(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】非燃焼型エアロゾル供給システムで使用される非晶質固体を作製する方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20250212BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20250212BHJP
A24C 5/01 20200101ALI20250212BHJP
【FI】
A24B15/167
A24B3/14
A24C5/01
(21)【出願番号】P 2022531376
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083740
(87)【国際公開番号】W WO2021105431
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-10-16
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリド
(72)【発明者】
【氏名】リーア, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オークリー, バーナビー
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519209(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122097(WO,A1)
【文献】特表2019-520036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/167
A24B 3/14
A24C 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算さ
れ、前記スラリーはタバコ繊維を備えない、ステップと、
(b)前記スラリーを支持体材料上で成形するステップであり、前記スラリーが、前記支持体材料の近位に底面を有し、前記底面に対向する上面を有する、ステップと、
(c)前記スラリーを硬化させて、前記スラリーの前記底面及び上面に対応する底面及び上面を有するゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、熱を前記ゲルの前記底面に供給する第1の時間帯と、熱を前記ゲルの前記上面に供給する第2の時間帯とを含む、
方法。
【請求項2】
前記支持体材料が熱伝導性支持体材料であり、前記第1の時間帯が、前記熱伝導性支持体材料を少なくとも100℃に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱伝導性支持体材料が金属バンドである
、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の時間帯が、空気を60分間未満の時間にわたって前記ゲル上に流すことを含み、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
乾燥させる前記ステップが、(di)熱を前記ゲルの前記底面に供給する前記第1の時間帯、(dii)熱を前記ゲルの前記上面に供給する前記第2の時間帯、及び(diii)熱を前記ゲルの前記底面に供給する第3の時間帯を含み、
(di)及び(dii)が同時又は順次に行われ、(diii)が、(dii)及び(dii)が完了した後に行われる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記支持体材料が熱伝導性支持体材料であり、前記第3の時間帯が、前記熱伝導性支持体材料を少なくとも100℃に加熱することを含む
、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱伝導性支持体材料が金属バンドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算さ
れ、前記スラリーはタバコ繊維を備えない、ステップと、
(b)前記スラリーを熱伝導性支持体材料上で成形するステップと
(c)前記スラリーを硬化させてゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、前記熱伝導性支持体材料を加熱することを含む、
方法。
【請求項9】
伝導性支持体材料を加熱する前記ステップが、前記熱伝導性支持体材料を少なくとも100℃に加熱することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
乾燥させる前記ステップが、空気を60分間未満の時間にわたって前記ゲル上に流すことを含み、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である、請求項
8又は請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱伝導性支持体材料が金属バンドである、請求項
8~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
乾燥させる前記ステップが、(di)前記熱伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱すること、(dii)空気を前記ゲル上に流すことであり、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である、流すこと、及び(diii)前記熱伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱することを含み、ここで、(di)及び(dii)が同時又は順次に行われ、(diii)が、(di)及び(dii)が完了した後に行われる、請求項
8~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
乾燥させる前記ステップが、前記スラリー中の(WWBで)50~95重量%の水を除去することを含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
得られる非晶質固体が、湿重量基準で計算して約1重量%~約15重量%の水を備える、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
成形する前記ステップが、前記スラリーの層を形成することを含み、前記層が約4mm未満の厚さを有する、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記層の厚さが、約1mm~約3mm、好適には約1.5mm~約2.5mmの範囲である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
乾燥させる前記ステップが、前記層の厚さの約5%~20%の厚さを有する非晶質固体をもたらす、請求項
15又は請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
キャリアが前記支持体材料上に提供され、スラリーを成形する前記ステップが、前記スラリーを前記キャリア上で成形することを含む、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記スラリーが、10~60重量%の前記活性成分及び/又は香味料を備える、請求項1~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ゲル化剤が、ペクチン、アルギン酸塩及びこれらの混合物から選択される、請求項1~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記エアロゾル形成材料が、エリスリトール、プロピレングリコール、グリセロール及びこれらの混合物から選択される、請求項1~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~
21のいずれか一項に記載の方法により得ることの可能な又は得られる、非晶質固体。
【請求項23】
非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品であって、請求項
22に記載の非晶質固体を備える、物品。
【請求項24】
請求項
23に記載の物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、前記物品が前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに、前記物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質固体を作製する方法、前記方法により得ることの可能な又は得られる非晶質固体、並びに前記非晶質固体が組み込まれる物品及びシステムに関する。
【背景】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻などの喫煙物品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を生成する。このような種類の物品に対する代替物は、燃焼させることなく加熱することによって基体材料から化合物を放出することにより、吸入可能なエアロゾル又は蒸気を放出する。これらは、非燃焼型の喫煙物品又はエアロゾル生成アセンブリと称されることがある。
【0003】
このような製品の一例は、固体のエアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。この固体のエアロゾル生成材料は、幾つかの例では、タバコ材料を含んでもよい。加熱は、材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成する。これらの製品は、非燃焼加熱式(heat not burn)デバイス、タバコ加熱デバイス、又はタバコ加熱製品と呼ばれることがある。固体エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための様々な異なる構成が知られている。
【0004】
別の例として、ハイブリッドデバイスがある。これらのハイブリッドデバイスは、加熱によって気化して吸入可能な蒸気又はエアロゾルを生成する液体源(ニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい)を含む。このデバイスは、固体のエアロゾル生成材料(タバコ材料を含んでいても含んでいなくてもよい)を更に含み、この材料の成分は、吸入可能な蒸気又はエアロゾルに同伴されて吸入媒体を生成する。
【概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される、ステップと、
(b)前記スラリーを支持体材料上で成形するステップであり、前記スラリーが、前記支持体材料の近位に底面を有し、前記底面に対向する上面を有する、ステップと、
(c)前記スラリーを硬化させて、前記スラリーの前記底面及び上面に対応する底面及び上面を有するゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、熱を前記ゲルの前記底面に供給する第1の時間帯と、熱を前記ゲルの前記上面に供給する第2の時間帯とを含む、
方法を提供する。
【0006】
本発明者らは、ゲルを両側から乾燥させることが、所望の含水量を有する非晶質固体を生成し、同時に非晶質固体における亀裂の形成を最小限にすることを見出した。乾燥の際に支持体材料からのゲル及び/又は非晶質固体の剥離も低減し、そのことは、主張される方法の一貫性を改善する。
【0007】
本発明の第2の態様は、非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される、ステップと、
(b)前記スラリーを熱伝導性支持体材料上で成形するステップと
(c)前記スラリーを硬化させてゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、前記熱伝導性支持体材料を加熱することを含む、
方法を提供する。
【0008】
本発明者らは、熱伝導性支持体材料を使用して、ゲルを下側から乾燥させることが、所望の含水量を有する非晶質固体を生成することを助け、同時に非晶質固体における亀裂の形成を最小限にすることを見出した。乾燥の際に支持体からのゲル及び/又は非晶質固体の剥離も低減し、そのことは、主張される方法の一貫性を改善する。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の方法により得ることの可能な又は得られる非晶質固体を提供する。
【0010】
本発明の第4の態様は、非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品であって、前記物品が、第3の態様による非晶質固体を備える、物品を提供する。この物品は、本明細書においてエアロゾル生成物品と称されることもある。
【0011】
本発明の第5の態様は、第4の態様による物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、前記物品が前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに、前記物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システムを提供する。幾つかの例において、デバイスは、非晶質固体を燃焼させることなく加熱するように構成された加熱器を備えてもよい。幾つかの例において、システムは、本明細書においてエアロゾル生成アセンブリと称されることもある。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、例示のためにのみ、添付の図面を参照して、以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の斜視図である。
【
図6】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の断面図である。
【
図7】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の斜視図である。
【詳細な説明】
【0014】
本明細書に記載される方法は、「非晶質固体」を生成し、非晶質固体は、代替的に「モノリシリック固体」(すなわち、非繊維質)又は「乾燥ゲル」と称されることもある。非晶質固体は、その中に幾らかの流体、例えば液体を保持しうる固体材料である。
【0015】
上述のように、本発明は、非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される、ステップと、
(b)前記スラリーを支持体材料上で成形するステップであり、前記スラリーが、前記支持体材料の近位に底面を有し、前記底面に対向する上面を有する、ステップと、
(c)前記スラリーを硬化させて、前記スラリーの前記底面及び上面に対応する底面及び上面を有するゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、熱を前記ゲルの前記底面に供給する第1の時間帯と、熱を前記ゲルの前記上面に供給する第2の時間帯とを含む、
方法を提供する。
【0016】
第1及び第2の時間帯は、順次又は同時に行ってもよい。更に、用語「第1」及び「第2」は、任意の時系列順を示唆するものではない。これらの用語は、単に、対応する時間帯への参照を提供するために使用される。
【0017】
幾つかの例において、支持体材料は熱伝導性支持体材料であり、第1の時間帯は、熱伝導性支持体材料を少なくとも100℃に加熱することを含む。そのような例の幾つかにおいて、熱伝導性支持体材料は金属バンドである。
【0018】
幾つかの例において、第2の時間帯は、空気を60分間未満の時間にわたってゲル上に流すことを含み、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である。幾つかの例において、空気の流速は約30m/s未満であり、好適には10m/s~30m/sである。幾つかの例において、空気の流速は約20m/sである。幾つかの例において、第2の時間帯は、空気を約40分、30分又は20分未満にわたってゲル上に流すことを含む。幾つかの例において、第2の時間帯は、ゲルを少なくとも約10分間加熱することを含む。幾つかの例において、空気温度は、約80℃、85℃又は90℃~約130℃、120℃又は110℃の範囲である。
【0019】
幾つかの例において、乾燥させるステップ(d)は、(di)熱をゲルの底面に供給する第1の時間帯、(dii)熱をゲルの上面に供給する第2の時間帯、及び(diii)熱をゲルの底面に供給する第3の時間帯を含み、ここで、(di)及び(dii)は同時又は順次に行われ、(diii)は(dii)が完了した後に行われる。幾つかの例において、(di)、(dii)及び(diii)に対応する3つの乾燥領域があり、ゲルは経時的に領域間を移動される。特に、支持体材料はバンドであってもよく、バンドはローラーで駆動され、それによって領域間でゲルを移動させる。
【0020】
そのような幾つかの例において、支持体材料は熱伝導性支持体材料であり、第1及び第3の時間帯は、熱伝導性支持体材料を少なくとも100℃に加熱することを含み、第2の時間帯は、上記に記載されたように、ゲル上に熱気を流すことを含む。
【0021】
幾つかの例において、熱伝導性支持体材料は、例えば熱気/蒸気と接触することによって加熱されうる(ここで、空気/蒸気はゲルと接触しない)。他の例において、熱伝導性支持体材料は、電流の印加により加熱されるようなものであってもよい。
【0022】
本発明は、非晶質固体を作製する方法であって、
(a)スラリーを形成するステップであり、前記スラリーは、
0.5~60重量%のゲル化剤と、
5~80重量%のエアロゾル形成材料と、
0~60重量%の活性成分及び/又は香味料と、
を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される、ステップと、
(b)前記スラリーを熱伝導性支持体材料上で成形するステップと
(c)前記スラリーを硬化させてゲルを形成するステップと、
(d)前記ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成するステップと、
を含み、
乾燥させる前記ステップが、前記熱伝導性支持体材料を加熱することを含む、
方法も提供する。
【0023】
幾つかの例において、熱伝導性支持体材料は少なくとも100℃に加熱される。
【0024】
幾つかの例において、乾燥させるステップ(d)は、空気を60分間未満の時間にわたってゲル上に流すことを追加的に含み、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である。幾つかの例において、空気の流速は約30m/s未満であり、好適には10m/s~30m/sである。幾つかの例において、空気の流速は約20m/sである。幾つかの例において、第2の時間帯は、空気を約40分、30分又は20分未満にわたってゲル上に流すことを含む。幾つかの例において、乾燥させるステップ(d)は、ゲルを少なくとも約10分間加熱することを含む。幾つかの例において、空気温度は、約80℃、85℃又は90℃~約130℃、120℃又は110℃の範囲である。
【0025】
幾つかの例において、熱伝導性支持体材料は、例えば熱気/蒸気と接触することによって加熱されうる(ここで、空気/蒸気はゲルと接触しない)。他の例において、熱伝導性支持体材料は、電流の印加により加熱されるようなものであってもよい。
【0026】
幾つかの例において、乾燥させるステップ(d)は、(di)熱伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱すること、(dii)空気をゲル上に流すこと(ここで、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である)、及び(diii)熱伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱することを含み、ここで、(di)及び(dii)は同時又は順次に行われ、(diii)は(dii)が完了した後に行われる。幾つかの例において、(di)、(dii)及び(diii)に対応する3つの乾燥領域があり、ゲルは経時的に領域間を移動される。特に、支持体材料はバンドであってもよく、バンドはローラーで駆動され、それによって領域間でゲルを移動させる。
【0027】
幾つかの例において、乾燥(d)は、幾つかの例において、スラリー中の(WWBで)約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%~約80重量%、90重量%、又は95重量%の水を除去してもよい。
【0028】
幾つかの例において、得られる非晶質固体は、湿重量基準で計算して約1重量%~約15重量%の水を備える。好適には、得られる非晶質固体は、湿重量基準(WWB)で計算して約5重量%~約15重量%の水を備える。好適には、非晶質固体の含水量は、(WWBで)約5重量%、7重量%、又は9重量%~約15重量%、13重量%、又は11重量%であってもよく、最も好適には約10重量%であってもよい。
【0029】
本発明者らは、乾燥プロセスが、非晶質固体の最終含水量を制御するので、重要であることを見出した。特に、非晶質固体の含水量が高すぎると、その使用時の性能が損なわれる。水の高い熱容量は、含水量が高すぎる場合、エアロゾルを生成するためにより多くのエネルギーが必要となり、動作効率を低下させることを意味する。更に、含水量が高すぎると、高温で湿ったパフ(当技術分野で「ホットパフ」として知られる感覚)の発生により、パフプロファイルが消費者にとってあまり満足のいくものでなくなる可能性がある。更に、含水量が高すぎる場合、微生物増殖が起こりうる。逆に、含水量が低すぎると、材料が脆くなり、取り扱いが困難になる可能性がある。エアロゾル形成材料の吸湿性は、含水量が低すぎる場合に、水分が大気から材料に引き込まれ、材料を不安定にすることを意味しうる。
【0030】
本発明者らは、乾燥プロセスが急速に行われすぎると、非晶質固体に亀裂が観察されることも見出した。加熱により亀裂した非晶質固体から生成されたエアロゾルは、亀裂しなかった固体と比較して一貫性が低い。したがって乾燥プロセスは、エアロゾル生成及び使用者の満足度に影響を与えるので重要である。
【0031】
更に、本発明者らは、乾燥温度が高すぎると、非晶質固体の所望の成分(例えば、エアロゾル形成材料、活性成分及び/又は香味料)の含有量が所望のレベルを超えて低減しうることを見出した。
【0032】
このように、ゲルを乾燥させて非晶質固体を形成することを試みる場合、釣り合いを取らなければならない競合する目的が多数存在する。主張されるプロセスは、特に好適であることが本発明者らにより見出された。
【0033】
幾つかの例において、乾燥は、スラリー厚さの約5%~20%、好適には約10%である厚さを有する非晶質固体をもたらす。幾つかの例において、非晶質固体は、約0.015mm~約1.0mmの厚さを有してもよい。好適には、厚さは、約0.05mm、0.1mm、又は0.15mm~約0.5mm又は0.3mmの範囲であってもよい。本発明者らは、0.2mmの厚さを有する材料が特に適していることを見出した。非晶質固体は、2つ以上の層を備えてもよく、本明細書に記載される厚さは、これらの層の合計厚さを指す。
【0034】
幾つかの例において、本方法は、約4mm厚未満のスラリーの層を形成することを含む。好適には、スラリー層の厚さは、約1mm~約3mm、好適には約1.5mm~約2.5mmの範囲である。幾つかの例において、スラリー層の厚さは、約2mmである。
本発明者らは、スラリー層が厚すぎる場合、乾燥によって、必要な含水量を有する非晶質固体を形成し、同時に乾燥時に前記固体の亀裂を最小限にすることが困難になりうることを見出した。
【0035】
本発明者らは、エアロゾル形成用の非晶質固体が厚すぎる場合、加熱効率が損なわれることを見出した。これは、使用時の消費電力に悪影響を及ぼす。逆に、エアロゾル形成用の非晶質固体が薄すぎる場合、製造及び取り扱いが困難である。つまり、非常に薄い材料は、キャストすることがより困難であり、また、壊れやすく、使用中のエアロゾル形成を損なう可能性がある。
【0036】
本発明者らは、本明細書で規定される非晶質固体の厚さが、これらの競合する検討事項を考慮して材料特性を最適化することを見出した。
【0037】
本明細書に規定される任意の厚さは、平均厚さである。幾つかの例において、厚さは、25%、20%、15%、10%、5%、又は1%以下だけ変動してもよい。
【0038】
幾つかの例において、乾燥の際のゲルの表面温度は、約100℃を超えない。
【0039】
ゲルを硬化させることは、スラリーに硬化剤を添加することを含んでもよい。例えば、スラリーは、ゲル化剤として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムを備えてもよく、カルシウム源(例えば、塩化カルシウム又は乳酸カルシウム)を備える硬化剤をスラリーに添加して、アルギン酸カルシウムゲルを形成してもよい。幾つかの例において、硬化剤を(b)の後にスラリーに噴霧してもよい。
【0040】
例において、硬化剤は、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム又はこれらの組合せを備える又はからなる。幾つかの例において、硬化剤は、ギ酸カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを備える又はからなる。特定の例において、硬化剤は、ギ酸カルシウムを備える又はからなる。本発明者らは、典型的には、ギ酸カルシウムを硬化剤として用いると、より大きな引張強度及びより大きな伸び抵抗を有する非晶質固体をもたらすことを確認した。
【0041】
カルシウム源などの硬化剤の総量は、0.5~5重量%(乾重量基準で計算して)であってもよい。好適には、総量は、約1重量%、2.5重量%又は4重量%~約4.8重量%又は4.5重量%であってもよい。本発明者らは、硬化剤の添加量が少なすぎると、非晶質固体成分を安定化させずに、これらの成分が非晶質固体から脱落することを招くような非晶質固体が得られる可能性があることを見出した。本発明者らは、硬化剤の添加量が多すぎると、非常に粘着性で、結果として取り扱い性に乏しい非晶質固体が得られることを見出した。
【0042】
非晶質固体がタバコを含有しない場合、より多い量の硬化剤を付与する必要がありうる。幾つかの例において、したがって硬化剤の総量は、乾重量基準で計算して0.5~12重量%、例えば、5~10重量%であってもよい。好適には、総量は、約5重量%、6重量%又は7重量%~約12重量%又は10重量%であってもよい。この例において、非晶質固体は、一般に任意のタバコを含有しない。
【0043】
アルギン酸塩はアルギン酸の誘導体であり、典型的には高分子量重合体(10~600kDa)である。アルギン酸は、(1,4)-グリコシド結合で一緒に連結されて多糖を形成するβ-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルロン酸(G)ユニット(ブロック)の共重合体である。カルシウムカチオンが添加されると、アルギン酸塩は架橋してゲルを形成する。本発明者らは、高いG単量体含有量を有するアルギン酸塩が、カルシウム源の添加時に、より容易にゲルを形成すると判断した。したがって、幾つかの例において、スラリーは、アルギン酸塩共重合体中の単量体ユニットの少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、又は70%がα-L-グルロン酸(G)ユニットであるアルギン酸塩を備えてもよい。
【0044】
幾つかの例において、スラリーは、46.5℃において約10~約20Pa.s、例えば46.5℃において約14~約16Pa.sの粘度を有する。
【0045】
幾つかの例において、スラリーの成形は、例えば、スラリーを噴霧する、キャストする又は押し出すことを含んでもよい。幾つかの例において、(b)は、スラリーの層を形成することを含んでもよい。幾つかの例において、スラリー層は、スラリーをキャストすることによって形成される。
【0046】
幾つかの例において、キャリアが提供され、(b)においてスラリーがキャリア上で成形される。キャリアは、非晶質固体層がその上に形成される支持体として機能し、製造を容易にする。キャリアは、非晶質固体層に剛性をもたらして、取り扱いを容易にしてもよい。キャリアは、非晶質固体を支持するために使用することの可能な任意の適切な材料であってよい。幾つかの例において、キャリアは、金属箔、紙、カーボン紙、耐油紙、セラミック、炭素同素体(例えばグラファイト及びグラフェン)、プラスチック、厚紙、木材、又はこれらの組合せから選択される材料から形成されてもよい。幾つかの例において、キャリアは、タバコ材料(再構成タバコのシートなど)を備えるか、又はタバコ材料からなってもよい。幾つかの例において、キャリアは、金属箔、紙、厚紙、木材、又はそれらの組合せから選択される材料から形成されてもよい。幾つかの例において、キャリアは紙を備える。幾つかの例において、キャリア自体は、前述のリストから選択される複数の材料の層を備える積層構造である。幾つかの例において、キャリアは、香味キャリアとしても機能しうる。例えば、キャリアに香味料又はタバコ抽出物を含浸させてもよい。
【0047】
好適には、キャリア層の厚さは、約10μm、15μm、17μm、20μm、23μm、25μm、50μm、75μm又は0.1mm~約2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.0mm又は0.5mmの範囲であってもよい。キャリアは、2つ以上の層を備えてもよく、本明細書に記載の厚さは、これらの層の合計厚さを指す。
【0048】
幾つかの例において、キャリアは非磁性であってもよい
【0049】
幾つかの例において、キャリアは磁性であってもよい。この機能は、使用時にキャリアをアセンブリに固定するために使用されてもよく、又は特定の非晶質固体形状を生成するために使用されてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、使用時に固体を誘導加熱器に固定するために使用することのできる1つ以上の磁石を備えてもよい。
【0050】
幾つかの例において、キャリアは、気体及び/又はエアロゾルに対して実質的に又は完全に不透過性であってもよい。これは、エアロゾル又は気体がキャリア層を通過することを防止し、それによって流れを制御し、エアロゾル又は気体が使用者に確実に送達されるようにする。これはまた、使用中に気体/エアロゾルが、例えばエアロゾル生成アセンブリに設けられた加熱器の表面上で、凝縮又は他の堆積を生じることを防止するために利用することもできる。このようにして、幾つかの例において、消費効率及び衛生を改善することができる。
【0051】
幾つかの例において、非晶質固体に当接するキャリアの表面は、多孔質であってもよい。例えば、ある例では、キャリアは紙を備える。本発明者らは、紙などの多孔質キャリアが本発明に特に適しており、多孔質(例えば、紙)層が非晶質固体層に当接し、強い結合を形成することを見出した。非晶質固体は、ゲルを乾燥させることによって形成され、そして、理論によって限定されるものではないが、ゲルを形成するスラリーは、多孔質キャリア(例えば、紙)に部分的に含浸し、その結果、ゲルが硬化して架橋を形成するときにキャリアが部分的にゲルに結合されると考えられる。これは、ゲルとキャリアとの間(及び乾燥ゲルとキャリアとの間)に強い結合をもたらす。
【0052】
これに加えて、表面粗さが、非晶質材料及びキャリア間の結合の強度に寄与しうる。本発明者らは、(キャリアに当接する表面の)紙の粗さが、好適には50~1000ベック(Bekk)秒の範囲であって、好適には50~150ベック秒、好適には100ベック秒(50.66~48.00kPaの空気圧区間にわたって測定)でありうることを見出した(ベック平滑度試験機は、紙表面の平滑度を測定するために使用される機器である。この試験機では、平滑なガラス表面と紙試料との間に特定圧力の空気が侵入させられる。これらの表面の間に、ある固定体積の空気が浸透する時間(秒)が「ベック平滑度」である)。
【0053】
逆に、キャリアのうち非晶質固体に対向しない表面は、加熱器に接触させて配置されてもよく、また、より滑らかな表面は、より効率的な熱移動を提供しうる。したがって、幾つかの例において、キャリアは、非晶質材料に当接する、より粗い面と、非晶質材料に対向しない、より滑らかな面とを有するように配置される。
【0054】
1つの特定の例では、キャリアは、紙で裏打ちされた箔であってもよく、ここで、紙層は非晶質固体層に当接し、これまでの段落で論じた特性がこの当接によってもたらされる。箔裏打ちは実質的に不浸透性であり、エアロゾル流路の制御をもたらす。金属箔裏打ちは、乾燥及び使用時の両方において、非晶質固体に熱を伝える作用も果たしうる。
【0055】
別の例では、紙裏打ち箔の箔層が非晶質固体に当接する。箔は実質的に不浸透性であり、非晶質固体中に与えられる水分が紙に吸収される(これは、紙の構造的一体性を弱めかねない)ことを防止する。
【0056】
幾つかの例において、キャリアは、金属箔(アルミニウム箔など)から形成されるか、又は金属箔を備える。金属のキャリアは、乾燥及び使用時において、非晶質固体への熱エネルギーのより良好な伝達を可能にしうる。加えて、又は代替として、金属箔は、誘導加熱システム内のサセプタとして機能してもよい。特定の実施形態では、キャリアは、金属箔層と、支持層(厚紙など)を備える。これらの実施形態では、金属箔層は、20μm未満、例えば約1μm~約10μm、好適には約5μmの厚さを有してもよい。
【0057】
幾つかの例において、キャリアは、本明細書に記載されている熱伝導性支持体材料である。この例では、キャリアは熱伝導性でなければならない。幾つかの例において、キャリアは、アルミニウム箔などの金属箔から形成されるか又は金属箔を備え、熱伝導性支持体材料である。
【0058】
幾つかの例において、キャリアは、約0.017mm~約2.0mm、好適には約0.02mm、0.05mm、又は0.1mmから約1.5mm、1.0mm、又は0.5mmまでの厚さを有してもよい。
【0059】
幾つかの例において、スラリーは、1~60重量%のゲル化剤を備えてもよく、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される。好適には、スラリーは、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、又は27重量%までのゲル化剤(全て乾重量基準で計算)を備えてもよい。例えば、スラリーは、1~50重量%、5~40重量%、10~30重量%、又は15~27重量%のゲル化剤を備えてもよい。
【0060】
幾つかの例において、ゲル化剤は親水コロイドを備える。幾つかの例において、ゲル化剤は、アルギン酸塩、ペクチン、デンプン(及び誘導体)、セルロース(及び誘導体)、ガム、シリカ又はシリコーン化合物、クレイ、ポリビニルアルコール、及びこれらの組合せを含む群から選択される1つ以上の化合物を備える。例えば、幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、アガロース、アカシアガム、フュームドシリカ、PDMS、ケイ酸ナトリウム、カオリン、及びポリビニルアルコールのうちの1つ以上を備える。幾つかの例において、ゲル化剤は、アルギン酸塩及び/又はペクチンを備え、非晶質固体の形成中に硬化剤(カルシウム源など)と結合させてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、カルシウム架橋アルギン酸塩及び/又はカルシウム架橋ペクチンを備えてもよい。
【0061】
幾つかの例において、ゲル化剤はアルギン酸塩を備え、このアルギン酸塩は、非晶質固体の10~30重量%(乾重量基準で計算)の量で非晶質固体中に存在する。幾つかの例において、アルギン酸塩は、非晶質固体中に存在する唯一のゲル化剤である。他の実施形態では、ゲル化剤は、アルギン酸塩と、少なくとも1つの更なるゲル化剤、例えばペクチンを備える。
【0062】
幾つかの例において、スラリーは、カラギーナンを備えるゲル化剤を含んでもよい。
【0063】
ゲル化剤は、セルロースゲル化剤、非セルロースゲル化剤、グアーガム、アカシアガム及びこれらの混合物から選択される1つ以上の化合物を備えてもよい。
【0064】
幾つかの実施形態において、セルロースゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びこれらの組合せからなる群から選択される
【0065】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グアーガム又はアカシアガムのうちの1つ以上を備える(又は、である)。
【0066】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、イナゴマメガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない非セルロースゲル化剤のうちの1つ以上を備える(又は、である)。好ましい実施形態において、非セルロース系ゲル化剤は、アルギン酸塩又は寒天である。
【0067】
好適には、非晶質固体は、約5重量%、10重量%、15重量%、又は20重量%から約80重量%、70重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%、又は35重量%までのエアロゾル形成材料(全て乾重量基準で計算)を備えてもよい。エアロゾル形成材料は、可塑剤として作用してもよい。例えば、スラリーは、10~60重量%、15~50重量%、又は20~40重量%のエアロゾル形成材料を備えてもよい。幾つかの例において、エアロゾル形成材料は、エリスリトール、プロピレングリコール、グリセロール、トリアセチン、ソルビトール及びキシリトールから選択される1つ以上の化合物を備える。幾つかの例において、エアロゾル形成材料は、グリセロールを備えるか、グリセロールから本質的になるか、又はグリセロールからなる。本発明者らは、可塑剤の含有量が高すぎると、非晶質固体が水を吸収し、その結果、使用時に適切な消費体験を生み出さない材料が得られる可能性があることを見出した。本発明者らは、可塑剤の含有量が低すぎると、非晶質固体が脆くなり、容易に壊れる可能性があることを見出した。本明細書で特定される可塑剤含有量は、非晶質固体シートをボビンに巻き取ることを可能にする非晶質固体可撓性をもたらし、これはエアロゾル生成に使用される物品の製造に有用である。
【0068】
幾つかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール及びグリセリン、多価アルコールのエステル、例えば、グリセロールモノ-、ジ-若しくはトリアセテート、並びに/又はモノ-、ジ-若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル、例えば、ジメチルドデカンジオエート及びジメチルテトラデカンジオエートのうちの1つ以上を備える。
【0069】
幾つかの例において、スラリーは香料を備えてもよい。好適には、非晶質固体は、約60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%、又は5重量%までの香料を備えてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、少なくとも約0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、20重量%、又は30重量%の香料を備えてもよい(全て乾重量基準で計算)。例えば、非晶質固体は、0.1~60重量%、1~60重量%、5~60重量%、10~60重量%、20~50重量%、又は30~40重量%の香料を備えてもよい。幾つかの例において、香料(もし存在すれば)は、メンソールを備えるか、メンソールから本質的になるか、又はメンソールからなる。幾つかの例において、非晶質固体は香料を備えない。
【0070】
幾つかの例において、スラリーは、活性成分を更に備える。例えば、幾つかの例において、スラリーは、タバコ材料及び/又はニコチンを更に備える。例えば、スラリーは、粉末タバコ及び/又はニコチン及び/又はタバコ抽出物を更に備えてもよい。幾つかの例において、スラリーは、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%、又は40重量%(乾重量基準で計算)までの活性成分を備えてもよい。幾つかの例において、スラリーは、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%、又は40重量%(乾重量基準で計算)までのタバコ材料及び/又はニコチンを備えてもよい。
【0071】
幾つかの例において、スラリーは、タバコ抽出物などの活性成分を備える。幾つかの例において、非晶質固体は、5~60重量%(乾重量基準で計算)のタバコ抽出物を備えてもよい。幾つかの例において、スラリーは、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%から約55重量%、50重量%、45重量%、又は40重量%(乾重量基準で計算)までのタバコ抽出物を備えてもよい。例えば、スラリーは、5~60重量%、10~55重量%、又は25~55重量%のタバコ抽出物を備えてもよい。タバコ抽出物は、スラリーが1重量%、1.5重量%、2重量%又は2.5重量%~約6重量%、5重量%、4.5重量%又は4重量%(乾重量基準で計算)のニコチンを備えるような濃度でニコチンを含有してもよい。幾つかの例では、タバコ抽出物からもたらされるもの以外のニコチンがスラリー中に存在しなくてもよい。
【0072】
幾つかの実施形態において、活性成分は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、及びカンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)からなる群から選択される1つ以上のカンナビノイド化合物を備える。
【0073】
活性成分は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択される1つ以上のカンナビノイド化合物を備えてもよい。
【0074】
活性成分は、カンナビジオール(CBD)を備えてもよい。
【0075】
活性成分は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を備えてもよい。
【0076】
活性成分は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)を備えてもよい。
【0077】
幾つかの実施形態において、スラリーは、タバコ材料を備えないが、ニコチンを備える。そのような例の幾つかでは、スラリーは、約1重量%、2重量%、3重量%、又は4重量%から約20重量%、15重量%、10重量%、又は5重量%(乾重量基準で計算)までのニコチンを備えてもよい。例えば、スラリーは、1~20重量%又は2~5重量%のニコチンを備えてもよい。
【0078】
幾つかの例において、活性成分及び/又は香料の総含有量は、少なくとも約0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、25重量%、又は30重量%であってもよい。幾つかの例において、活性成分及び/又は香料の総含有量は、約60重量%、50重量%、又は40重量%未満であってもよい(全て乾重量基準で計算)。
【0079】
幾つかの例において、タバコ材料、ニコチン及び香料の総含有量は、少なくとも約0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、25重量%、又は30重量%であってもよい。幾つかの例において、タバコ材料、ニコチン及び香料の総含有量は、約60重量%、50重量%、又は40重量%未満であってもよい(全て乾重量基準で計算)。
【0080】
非晶質固体は酸を備えてもよい。酸は有機酸であってもよい。これらの実施形態の幾つかにおいて、酸は、一塩基酸、二塩基酸及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含有してもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、アルファ-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、アルファ-ケト酸であってもよい。
【0081】
そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0082】
好適には、酸は乳酸である。他の実施形態において、酸は安息香酸である。他の実施形態において、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態の幾つかにおいて、酸は鉱酸であってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。幾つかの実施形態において、酸はレブリン酸である。
【0083】
酸を含めることは、非晶質固体がニコチンを備える実施形態において特に好ましい。そのような実施形態において、酸素の存在は、非晶質固体が形成されるスラリーにおいて溶解種を安定化させうる。酸の存在は、スラリーの乾燥の際にニコチンの蒸発を低減又は実質的に防止し、それによって製造の際のニコチンの損失を低減しうる。
【0084】
ある特定の実施形態において、非晶質固体は、セルロースゲル化剤及び/又は非セルロースゲル化剤を含むゲル化剤、活性物質、並びに酸を備える。
【0085】
非晶質固体は着色剤を備えてもよい。着色剤の添加は、非晶質固体の外観を変えうる。非晶質固体中の着色剤の存在は、非晶質固体及び非晶質固体を備えるエアロゾル生成材料の外観を向上させうる。非晶質固体への着色剤の添加によって、非晶質固体は、エアロゾル生成材料の他の成分又は非晶質固体を備える物品の他の成分と色合せされうる。
【0086】
様々な着色剤が、非晶質固体の所望の色に応じて使用されうる。非晶質固体の色は、例えば、白色、緑色、赤色、紫色、青色、褐色又は黒色であってもよい。他の色も想定される。天然又は合成の着色剤、例えば、天然又は合成染料、食品用着色剤及び医薬品用着色剤を使用してもよい。ある特定の実施形態において、着色剤はカラメルであり、カラメルは非晶質固体に褐色の外観を付与する。そのような実施形態において、非晶質固体の色は、非晶質固体を備えるエアロゾル生成材料の他の成分(例えば、タバコ材料)の色と類似しうる。幾つかの実施形態において、非晶質固体への着色剤の添加は、非晶質固体をエアロゾル生成材料の他の成分と視覚的に区別不能にする。
【0087】
着色剤を、非晶質固体の形成の際に(例えば、非晶質固体を形成する材料を備えるスラリーを形成するときに)組み込んでもよいか、又は非晶質固体が形成された後に(例えば、着色剤を非晶質固体に噴霧して)付与してもよい。
【0088】
幾つかの実施形態において、スラリーは、60重量%未満の充填剤、例えば、1重量%~60重量%、又は5重量%~50重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~20重量%の充填剤を備える(全て乾重量基準で計算)。
【0089】
他の実施形態では、スラリーは、20重量%未満、好適には10重量%未満又は5重量%未満の充填剤を備える。幾つかの例において、スラリーは、1重量%未満の充填剤を備え、幾つかの例においては、充填剤を備えない。
【0090】
充填剤が存在する場合、充填剤は、1つ以上の無機充填材料、例えば炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び適切な無機吸着剤(モレキュラーシーブなど)を備えてもよい。充填剤は、1つ以上の有機充填材料、例えば木材パルプ、セルロース及びセルロース誘導体を備えてもよい。特定の例において、非晶質固体は、チョークなどの炭酸カルシウムを備えない。
【0091】
充填剤を含む特定の実施形態では、充填剤は繊維質である。例えば、充填剤は、繊維質有機充填剤材料、例えば木材パルプ、麻繊維、セルロース又はセルロース誘導体であってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、非晶質固体中に繊維質充填剤を含むことで、材料の引張強度を増加させうると考えられる。これは、非晶質固体がシートとして提供される例、例えば、非晶質固体シートがエアロゾル生成材料のロッドを取り囲むとき、において特に有利となりうる。
【0092】
幾つかの実施形態において、スラリーはタバコ繊維を備えない。特定の実施形態では、スラリーは繊維質材料を備えない。
【0093】
幾つかの例において、スラリーは、ゲル化剤、エアロゾル形成材料、タバコ材料及び/又はニコチン源、水、並びに任意で香味料から本質的になるか、又はそれらからなっていてもよい。
【0094】
得られる非晶質固体は、任意の好適な面密度、例えば、30g/m2~120g/m2、好適には約30~70g/m2又は約40~60g/m2を有してもよい。幾つかの実施形態において、得られる非晶質固体は、約80~120g/m2、又は約70~110g/m2、又は特に約90~110g/m2の面密度を有してもよい。このような面密度は、非晶質固体が物品/非燃焼型エアロゾル供給システムにシート形態で、又は細断シートとして含まれる場合(以下で更に説明する)に特に好適となりうる。
【0095】
上記のように、本発明の更なる態様は、
第1又は第2の態様の方法により得ることの可能な又は得られる非晶質固体、
非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品であって、第1又は第2の態様の方法により得ることの可能な又は得られる非晶質固体を備える、物品、並びに
前述の態様による物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、物品が非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに、物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システム、を提供する。幾つかの例において、デバイスは、非晶質固体を燃焼させることなく加熱するように構成された加熱器を備えてもよい。
【0096】
幾つかの例において、加熱器は、使用時に、非晶質固体を燃焼させることなく120℃~350℃に加熱してもよい。幾つかの例において、加熱器は、使用時に、非晶質固体を燃焼させることなく140℃~250℃に加熱してもよい。幾つかの例において、使用時に、非晶質固体の実質的に全体が、加熱器から約4mm、3mm、2mm、又は1mm未満にある。幾つかの例において、この固体は、加熱器から約0.010mm~2.0mm、好適には約0.02mm~1.0mm、好適には0.1mm~0.5mmに配置される。これらの最小距離は、幾つかの例において、非晶質固体を支持するキャリアの厚さを反映してもよい。幾つかの例において、非晶質固体の表面は、加熱器に直接当接してもよい。
【0097】
加熱器は、非晶質固体を燃焼させることなく加熱するように構成される。加熱器は、幾つかの例において、電気抵抗加熱器、例えば薄膜電気抵抗加熱器であってもよい。他の例では、加熱器は、誘導加熱器やその他の加熱器を備えてもよい。加熱器は、可燃性熱源であってもよいし、使用時に発熱反応を起こして熱を生成する化学的熱源であってもよい。非燃焼型エアロゾル供給システムは、複数の加熱器を備えてもよい。これらの加熱器は、電池によって電力供給されてもよい。
【0098】
非燃焼型エアロゾル供給システムは、冷却要素及び/又はフィルターを更に備えてもよい。冷却要素が存在する場合、冷却要素は、気体成分又はエアロゾル成分を冷却するように作用又は機能してもよい。幾つかの例において、冷却要素は、気体成分が凝縮してエアロゾルを形成するように気体成分を冷却するよう作用してもよい。冷却要素はまた、装置の非常に熱い部分を使用者から離間させるように作用してもよい。フィルターが存在する場合、フィルターは、セルロースアセテートプラグなど、当技術分野で公知の任意の適切なフィルターを備えてもよい。
【0099】
幾つかの例において、非燃焼型エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式(heat-not-burn)デバイスであってもよい。すなわち、非燃焼型エアロゾル供給システムは、固体のタバコ含有材料を含んでもよい(液体のエアロゾル生成材料は含まない)。幾つかの例において、非晶質固体は、タバコ材料を備えてもよい。非燃焼加熱式デバイスは、WO2015/062983A2に開示されており、その公報の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
幾つかの例において、非燃焼型エアロゾル供給システムは、ハイブリッドデバイスであってもよい。すなわち、非燃焼型エアロゾル供給システムは、固体のエアロゾル生成材料と液体のエアロゾル生成材料を含んでもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、ニコチンを備えてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、タバコ材料を備えてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、タバコ材料及び別個のニコチン源を備えてもよい。これら別個のエアロゾル生成材料は、別個の加熱器によって加熱されてもよいし、同じ加熱器によって加熱されてもよいし、ある例では、下流のエアロゾル生成材料が、上流のエアロゾル生成材料から生成される高温のエアロゾルによって加熱されてもよい。ハイブリッドデバイスは、WO2016/135331A1に開示されており、この公報の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品(本明細書では、物品、カートリッジ、又は消耗品と称されることもある)は、THP、ハイブリッドデバイス、又は別のエアロゾル生成デバイスにおける使用に適合されうる。幾つかの例において、この物品は、フィルター及び/又は冷却要素(これらについては上述した)を更に備えてもよい。幾つかの例において、物品は、紙などの包装材料によって取り囲まれていてもよい。
【0102】
物品は、通気孔を更に備えてもよい。これらは、物品の側壁に設けられてもよい。幾つかの例において、通気孔は、フィルター及び/又は冷却要素に設けられてもよい。これらの孔は、使用中に冷たい空気が物品内に引き込まれることを可能にし、この冷たい空気は、加熱された揮発成分と混合し、それによってエアロゾルを冷却することができる。
【0103】
通気は、物品が使用時に加熱されるときに、物品から可視の加熱揮発成分が生成されることを促進する。加熱揮発成分は、加熱揮発成分の過飽和が生じるように加熱揮発成分を冷却する工程によって可視化される。加熱揮発成分は、この後、液滴形成(核形成としても知られる)を受け、最終的に、加熱揮発成分のエアロゾル粒子のサイズは、加熱揮発成分の更なる凝縮によって、及び加熱揮発成分から新たに形成された液滴の凝集によって、増大する。
【0104】
幾つかの例において、加熱揮発成分と冷たい空気との合計に対する冷たい空気の比率(通気比として知られる)は、少なくとも15%である。15%という通気比は、加熱揮発成分を上述の方法によって可視化することを可能にする。加熱揮発成分の可視性は、使用者が、揮発成分が生成されたことを識別できるようにし、喫煙体験の知覚体験を高める。
【0105】
別の例では、加熱揮発成分を更に冷却するために、通気比が50%~85%である。幾つかの例において、通気比は、少なくとも60%又は65%であってもよい。
【0106】
幾つかの例において、非晶質固体は、シート形態で物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、平坦なシートとして含まれてもよい。幾つかの例において、非晶質固体は、平坦なシートとして、ひだ若しくはギャザーをつけたシートとして、波形のシートとして、又は巻かれたシートとして(すなわち、管の形態で)含まれてもよい。そのような例の幾つかにおいて、非晶質固体は、シートとして、例えばエアロゾル生成材料(タバコなど)のロッドを取り囲むシートとして、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。他の幾つかの例では、非晶質固体は、シートとして形成され、次いで細断され、物品に組み込まれてもよい。幾つかの例において、細断されたシートは、刻みラグタバコと混合され、物品に組み込まれてもよい。
【0107】
幾つかの例において、シート形態の非晶質固体は、約200N/m~約900N/mの引張強度を有してもよい。非晶質固体が充填剤を備えない例など、幾つかの例において、非晶質固体は、200N/m~400N/m、又は200N/m~300N/m、又は約250N/mの引張強度を有してもよい。このような引張強度は、非晶質固体がシートとして形成され、次いで細断され、物品に組み込まれる実施形態に特に好適となりうる。非晶質固体が充填剤を備える例など、幾つかの例において、非晶質固体は、600N/m~900N/m、又は700N/m~900N/m、又は約800N/mの引張強度を有してもよい。このような引張強度は、非晶質固体が、巻かれたシートとして、好適には管の形態で、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれる実施形態に特に好適となりうる。
【0108】
非燃焼型エアロゾル供給システムは、一体化された物品と加熱器を備えてもよく、あるいは使用時に物品が挿入される加熱デバイスを備えてもよい。
【0109】
図1及び2を参照すると、物品101の一例の部分破断断面図及び斜視図が示されている。物品101は、電源及び加熱器を有するデバイスと共に使用されるように適合されている。この実施形態の物品101は、以下に説明する
図5~
図7に示すデバイス51と共に使用するのに特に適している。使用時には、物品101は、
図5に示すデバイス51の挿入箇所20においてデバイスに取り外し可能に挿入することができる。
【0110】
一例の物品101は、エアロゾル生成材料体103と、ロッドの形態のフィルターアセンブリ105とを含む略円筒状ロッドの形態をしている。エアロゾル生成材料は、本明細書に記載の非晶質固体を備える。幾つかの実施形態において、それはシート形態で含まれてもよい。幾つかの実施形態において、それは細断シートの形態で含まれてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるエアロゾル生成材料は、シート形態と細断形態とで組み込まれてもよい。
【0111】
フィルターアセンブリ105は、冷却セグメント107、フィルターセグメント109、及び口側端セグメント111という3つのセグメントを含む。物品101は、口側端又は近位端としても知られる第1の端部113と、遠位端としても知られる第2の端部115を有する。エアロゾル生成材料体103は、物品101のうち遠位端115側に配置されている。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107がエロゾル生成材料103及びフィルターセグメント109と当接関係にあるように、エアロゾル生成材料体103とフィルターセグメント109との間において、エアロゾル生成材料体103に隣接して配置される。他の例では、エアロゾル生成材料体103と冷却セグメント107との間、及びエアロゾル生成材料体103とフィルターセグメント109との間に分離部があってもよい。フィルターセグメント109は、冷却セグメント107と口側端セグメント111との間に配置されている。口側端セグメント111は、物品101の近位端113側に配置され、フィルターセグメント109に隣接している。一例では、フィルターセグメント109は、口側端セグメント111と当接関係にある。一実施形態では、フィルターアセンブリ105の全長は37mm~45mmであり、より好ましくは、フィルターアセンブリ105の全長は41mmである。
【0112】
一例では、エアロゾル生成材料103のロッドは、34mm~50mmの長さを有し、好適には38mm~46mmの長さを有し、好適には42mmの長さを有する。
【0113】
一例では、物品101の全長は、71mm~95mmであり、好適には79mm~87mmであり、好適には83mmである。
【0114】
エアロゾル生成材料体103の軸方向の一端は、物品101の遠位端115で目視可能である。しかし、他の実施形態では、物品101の遠位端115は、エアロゾル生成材料体103の軸方向の一端を覆う端部材(図示せず)を備えてもよい。
【0115】
エアロゾル生成材料体103は、環状チッピングペーパー(図示せず)によってフィルターアセンブリ105に接合され、環状チッピングペーパーは、フィルターアセンブリ105を取り囲むように実質的にフィルターアセンブリ105の周囲に配置され、エアロゾル生成材料体103の長さに沿って部分的に延在する。一例では、チッピングペーパーは、58GSM標準チッピングベースペーパーから作製される。一例では、チッピングペーパーは、42mm~50mm、好適には46mmの長さを有する。
【0116】
一例において、冷却セグメント107は、環状の管であり、冷却セグメント内の空隙の周囲に配置されて、その空隙を画定する。この空隙は、エアロゾル生成材料体103から生成された加熱揮発成分が流れるチャンバを提供する。冷却セグメント107は、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供するように中空であるが、製造中及び物品101がデバイス51への挿入中に使用される間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有する。一例では、冷却セグメント107の壁の厚さは約0.29mmである。
【0117】
冷却セグメント107は、エアロゾル生成材料103とフィルターセグメント109との間に物理的変位を提供する。冷却セグメント107によって提供される物理的変位は、冷却セグメント107の長さ方向の両端間に熱勾配をもたらす。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱揮発成分と冷却セグメント107の第2の端部から出る加熱揮発成分との間に少なくとも摂氏40度の温度差をもたらすように構成される。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱揮発成分と冷却セグメント107の第2の端部から出る加熱揮発成分との間に少なくとも60℃の温度差をもたらすように構成される。冷却要素107の長さ方向の両端間におけるこの温度差は、エアロゾル生成材料103がデバイス51によって加熱されたときに、感温性のフィルターセグメント109をエアロゾル生成材料103の高温から保護する。フィルターセグメント109と、エアロゾル生成材料体103及びデバイス51の加熱要素との間に物理的変位が設けられないとすれば、感温性のフィルターセグメント109は、使用中に損傷を受けて、その必要な機能を効果的に発揮しなくなる可能性がある。
【0118】
一例では、冷却セグメント107の長さは少なくとも15mmである。一例では、冷却セグメント107の長さは、20mm~30mm、より具体的には23mm~27mm、より具体的には25mm~27mm、好適には25mmである。
【0119】
冷却セグメント107は紙製であり、これは、冷却セグメント107が、使用時においてデバイス51の加熱器に隣接するときに、懸念のある化合物(例えば毒性化合物)を生成しない材料から構成されることを意味する。一例では、冷却セグメント107は、中空の内部チャンバを提供するが機械的剛性を維持する螺旋巻き紙管から製造される。螺旋巻き紙管は、管の長さ、外径、真円度及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0120】
別の例では、冷却セグメント107は、堅いプラグラップ又はチッピングペーパーから作られた凹部である。堅いプラグラップ又はチッピングペーパーは、製造中及び物品101がデバイス51への挿入中に使用されている間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。
【0121】
フィルターセグメント109は、エアロゾル生成材料からの加熱揮発成分から1つ以上の揮発化合物を除去するのに十分な任意のフィルター材料から形成されてもよい。一例では、フィルターセグメント109は、セルロースアセテートなどのモノアセテート材料から作製される。フィルターセグメント109は、加熱揮発成分の量を使用者にとって不満足なレベルまで枯渇させることなく、加熱揮発成分の冷却と刺激低減をもたらす。
【0122】
幾つかの実施形態において、フィルターセグメント109内にカプセル(図示せず)を設けてもよい。このカプセルは、フィルターセグメント109の径方向及び長さ方向の双方において、フィルターセグメント109の実質的に中心に配置されてもよい。他の例では、カプセルを1つ以上の次元において中心からずらしてもよい。幾つかの例において、カプセルが存在する場合、そのカプセルは、香味料やエアロゾル形成材料などの揮発性成分を含有してもよい。
【0123】
フィルターセグメント109のセルロースアセテートトウ材料の密度は、フィルターセグメント109の両端間における圧力降下を制御し、ひいては物品101の吸引抵抗を制御する。したがって、フィルターセグメント109の材料の選択は、物品101の吸引抵抗を制御するうえで重要である。更に、フィルターセグメントは、物品101において濾過機能を果たす。
【0124】
1つの例では、フィルターセグメント109は、8Y15グレードのフィルタートウ材料で作製される。このフィルタートウ材料は、加熱揮発材料に対する濾過効果をもたらす一方で、加熱揮発材料から生じる凝縮エアロゾル液滴のサイズを低減する。
【0125】
フィルターセグメント109の存在は、冷却セグメント107を出る加熱揮発成分を更に冷却することによって断熱効果をもたらす。この更なる冷却効果は、フィルターセグメント109の表面に対する使用者の唇の接触温度を低下させる。
【0126】
一例では、フィルターセグメント109は、長さが6mm~10mm、好適には8mmである。
【0127】
口側端セグメント111は、環状管であり、口側端セグメント111内の空隙の周囲に配置されて、その空隙を画定する。この空隙は、フィルターセグメント109から流れる加熱揮発成分のためのチャンバを提供する。口側端セグメント111は、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供するために中空であるが、製造中及びデバイス51への挿入中に物品が使用されている間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有する。一例では、口側端セグメント111の壁の厚さは、約0.29mmである。一例では、口側端セグメント111の長さは、6mm~10mmであり、好適には8mmである。
【0128】
口側端セグメント111は、中空の内部チャンバを提供するが重要な機械的剛性を維持する螺旋巻き紙管から製造してもよい。螺旋巻き紙管は、管の長さ、外径、真円度及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0129】
口側端セグメント111は、フィルターセグメント109の出口に蓄積する液体凝縮物が使用者と直接接触することを防止する機能をもたらす。
【0130】
一例では、口側端セグメント111及び冷却セグメント107が単一の管から形成され、フィルターセグメント109がその管内に配置されて、口側端セグメント111と冷却セグメント107を分離してもよいことを理解されたい。
【0131】
図3及び
図4を参照すると、物品301の一例の部分破断断面図及び斜視図が示されている。
図3及び
図4に示される参照符号は、
図1及び
図2に示される参照符号と対応するが、その数字が200だけ増えている。
【0132】
図3及び
図4に示す物品301の例では、通気領域317が物品301に設けられ、空気が物品301の外部から物品301の内部に流入することを可能にする。一例では、通気領域317は、物品301の外層を貫いて形成された1つ以上の通気孔317の形態をとる。この通気孔は、物品301の冷却を助けるために、冷却セグメント307に配置されてもよい。一例では、通気領域317は、孔の列を1つ以上備え、好ましくは、孔の各列は、物品301の長手方向軸に実質的に垂直な断面において、物品301の外周に沿って配置される。
【0133】
一例では、物品301に通気をもたらすために、1~4列の通気孔がある。通気孔の各列は、12~36個の通気孔317を有してもよい。通気孔317の直径は、例えば、100~500μmとすることができる。一例では、通気孔317の列間の軸方向間隔は、0.25mm~0.75mm、好適には0.5mmである。
【0134】
一例では、通気孔317は均一なサイズを有する。別の例では、通気孔317は様々なサイズを有する。通気孔は、任意の適切な技術、例えば、レーザ技術、冷却セグメント307の機械的穿孔、又は物品301に形成される前の冷却セグメント307の事前穿孔のうちの1つ以上を使用して作製することができる。通気孔317は、物品301を効果的に冷却するように位置決めされる。
【0135】
一例では、通気孔317の列は、物品の近位端313から少なくとも11mm、好適には物品301の近位端313から17mm~20mmに位置する。通気孔317の位置は、物品301の使用時に使用者が通気孔317を塞がないように決められる。
【0136】
物品301の近位端313から17mm~20mmに通気孔の列を設けることにより、
図6及び7に見られるように、物品301がデバイス51に完全に挿入されたときに通気孔317をデバイス51の外側に配置することができる。通気孔をデバイスの外側に配置することによって、加熱されていない空気が、デバイス51の外側から通気孔を通って物品301に入り、物品301の冷却を助けることができる。
【0137】
冷却セグメント307の長さは、物品301がデバイス51に完全に挿入されたときに、冷却セグメント307がデバイス51に部分的に挿入されるような長さである。この冷却セグメント307の長さは、デバイス51の加熱装置と感熱性のフィルター装置309との間に物理的な間隙を提供する第1の機能と、物品301がデバイス51に完全に挿入されたときに、通気孔317が冷却セグメント内に配置される一方で、デバイス51の外側にも配置されることを可能にする第2の機能をもたらす。
図6及び
図7から分かるように、冷却要素307の大部分は、デバイス51内に配置されている。しかしながら、冷却要素307には、デバイス51の外に延びる部分がある。冷却要素307のうちデバイス51の外に延びるこの部分に、通気孔317が配置されている。
【0138】
ここで
図5~
図7をより詳細に参照すると、エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成するように構成されたデバイス51の例が示されている。デバイス51は、エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。
【0139】
第1の端部53は、本明細書では、デバイス51の口側端又は近位端53と呼ばれることがあり、第2の端部55は、本明細書では、デバイス51の遠位端55と呼ばれることがある。デバイス51は、オン/オフボタン57を有し、デバイス51全体を使用者が望むように起動/停止することができる。
【0140】
デバイス51は、デバイス51の様々な内部部品を配置及び保護するためのハウジング59を備える。図示の例では、ハウジング59は、デバイス51の外縁を取り巻く単一体スリーブ11を備えており、このスリーブ11は、デバイス51の「上部」を概ね形成するトップパネル17と、デバイス51の「底部」を概ね形成するボトムパネル19とで蓋をされている。別の例では、ハウジングは、トップパネル17及びボトムパネル19に加えて、フロントパネル、リアパネル、及び一対の対向するサイドパネルを備える。
【0141】
トップパネル17及び/又はボトムパネル19は、デバイス51の内部への容易なアクセスを可能にするために、単一体スリーブ11に取り外し可能に固定されてもよく、又は、例えば使用者がデバイス51の内部にアクセスすることを阻止するために、単一体スリーブ11に「永久的に」固定されてもよい。一例では、パネル17及び19は、プラスチック材料(射出成形によって形成されたガラス充填ナイロンなどを含む)で作られ、単一体スリーブ11はアルミニウムで作られるが、他の材料及び他の製造プロセスを使用してもよい。
【0142】
デバイス51のトップパネル17は、デバイス51の口側端53に開口部20を有しており、使用時に、使用者が、エアロゾル生成材料を含む物品101、301を、この開口部20を通して、デバイス51に挿入し、また、デバイス51から取り外すことができる。
【0143】
ハウジング59は、その中に加熱装置23、制御回路25、及び電源27を配置又は固定している。この例では、加熱装置23、制御回路25、及び電源27は横方向に近接(すなわち、一端から見たときに近接)し、制御回路25は、概ね加熱装置23と電源27との間に位置するが、他の配置も可能である。
【0144】
制御回路25は、以下で更に論じるように、物品101、301内のエアロゾル生成材料の加熱を制御するように構成及び配置された、マイクロプロセッサ装置などのコントローラを含んでいてもよい。
【0145】
電源27は、例えば、電池であってもよく、この電池は、充電式電池でも非充電式電池でもよい。好適な電池の例としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池(例えば、ニッケルカドミウム電池)、アルカリ電池などが挙げられる。電池27は、加熱装置23に電気的に結合され、必要なときに制御回路25の制御下で電力を供給して、物品内のエアロゾル生成材料を加熱する(前述のように、エアロゾル生成材料を燃焼させることなくエアロゾル生成材料を揮発させる)。
【0146】
電源27を加熱装置23に横方向に近接させて配置する利点は、デバイス51全体を過度に長くすることなく、物理的に大きな電源25を使用できることである。当然のことながら、一般に、物理的に大きい電源25は、より高い容量(すなわち、供給可能な総電気エネルギー、しばしばアンペア時などで測定される)を有し、したがって、デバイス51の電池寿命をより長くすることができる。
【0147】
一例では、加熱装置23は、中空内部加熱チャンバ29を有する中空円筒管の形態を概ねしており、この中空内部加熱チャンバ29には、エアロゾル生成材料を備える物品101、301が、使用時に加熱のために挿入される。加熱装置23については様々な構成が可能である。例えば、加熱装置23は、単一の加熱要素を備えてもよいし、加熱装置23の長手方向軸に沿って整列された複数の加熱要素から形成されてもよい。加熱要素又は各加熱要素は、環状又は管状であってもよく、又は、その外周に沿って少なくとも部分的に環状又は少なくとも部分的に管状であってもよい。一例では、加熱要素又は各加熱要素は、薄膜ヒータであってもよい。別の例では、加熱素子又は各加熱素子は、セラミック材料から作製されてもよい。適切なセラミック材料の例としては、アルミナセラミック及び窒化アルミニウムセラミック、並びに窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これらは積層して焼結してもよい。他の加熱構成も可能であり、これには、例えば、誘導加熱、赤外線加熱素子(これは赤外線を放射することによって加熱する)、抵抗電気巻線などによって形成される抵抗加熱素子が含まれる。
【0148】
1つの特定の例では、加熱装置23は、ステンレス鋼の支持管によって支持され、ポリイミド加熱要素を備える。加熱装置23は、物品101、301がデバイス51に挿入されたときに、物品101、301のうちエアロゾル生成材料103、303からなる本体の実質的に全体が加熱装置23に挿入されるような寸法を与えられている。
【0149】
加熱要素又は各加熱要素は、エアロゾル生成材料の選択された複数のゾーン(区域)を、例えば希望に応じて順次に(上述のように経時的に)又は一緒に(同時に)、独立して加熱できるように配置してもよい。
【0150】
この例における加熱装置23は、その長さの少なくとも一部に沿って断熱体31によって囲まれている。断熱体31は、加熱装置23からデバイス51の外部へ通過する熱を低減するのに役立つ。これは、一般に熱損失を低減するので、加熱装置23の電力要件を低く抑えるのに役立つ。断熱体31はまた、加熱装置23の動作中にデバイス51の外部を冷たく保つのに役立つ。一例では、断熱体31は、スリーブの2つの壁の間に低圧領域を設ける二重壁スリーブであってもよい。すなわち、断熱体31は、例えば、「真空」管、すなわち、伝導及び/又は対流による伝熱を最小限に抑えるように少なくとも部分的に真空排気された管であってもよい。断熱体31については他の構成も可能であり、これには、二重壁スリーブに加えて、又は二重壁スリーブに代えて、断熱材(例えば、適切な発泡タイプの材料を含む)を使用することが含まれる。
【0151】
ハウジング59は、加熱装置23と同様に、全ての内部部品を支持するための様々な内部支持構造37を更に備えてもよい。
【0152】
デバイス51は、開口部20の周囲に延在し、開口部20からハウジング59の内部に突出するカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端との間に配置された略管状のチャンバ35とを更に備える。チャンバ35は、冷却構造35fを更に備えており、この冷却構造35fは、この例では、チャンバ35の外面に沿って離間した複数の冷却フィン35fを備え、各冷却フィンは、チャンバ35の外面を取り巻くように配置される。中空チャンバ35の長さの少なくとも一部にわたって物品101、301がデバイス51に挿入されるとき、中空チャンバ35と物品101、301との間には空隙36が存在する。空隙36は、冷却セグメント307の少なくとも一部にわたって物品101、301の外周全体を取り巻く。
【0153】
カラー33は、開口部20の外周を取り巻くように配置された複数の隆起部60を備えており、これらの隆起部は、開口部20内に突出する。隆起部60は、隆起部60の位置における開口部20の開放距離が、隆起部60のない位置における開口部20の開放距離よりも小さくなるように、開口部20内の空間を占める。隆起部60は、デバイス内に挿入された物品101、301と係合して、それをデバイス51内に固定するのを助けるように構成される。隆起部60の隣り合う対と物品101、301とによって画定される開放空間(図示せず)は、物品101、301の外面の周りに通気経路を形成する。これらの通気経路は、物品101、301から逃げた高温蒸気がデバイス51から出ることを可能にすると共に、空隙36内において物品101、301の周りでデバイス51に冷却空気が流れ込むことを可能にする。
【0154】
動作中、物品101、301は、
図5~7に示されるように、デバイス51の挿入箇所20に取り外し可能に挿入される。特に
図6を参照すると、一例において、エアロゾル生成材料体103、303(これは、物品101、301の遠位端115、315側に配置されている)は、デバイス51の加熱装置23内に完全に収容される。物品101、301の近位端113、313は、デバイス51から延び出て、使用者のためのマウスピースアセンブリとして機能する。
【0155】
動作中、加熱装置23は、物品101、301を加熱して、エアロゾル生成材料体103、303からエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0156】
エアロゾル生成材料体103、303からの加熱揮発成分のための一次流路は、軸方向に沿って物品101、301を通り、冷却セグメント107、307の内側のチャンバを通り、フィルターセグメント109、309を通り、口側端セグメント111、313を通って使用者に至る。一例では、エアロゾル生成材料体から生成される加熱揮発成分の温度は、60℃~250℃であり、これは、使用者にとって許容可能な吸入温度を上回る可能性がある。加熱揮発成分は、冷却セグメント107、307を通って移動するにつれて冷却され、一部の揮発成分が冷却セグメント107、307の内面上に凝縮する。
【0157】
図3及び
図4に示される物品301の例では、冷たい空気が、冷却セグメント307に形成された通気孔317を介して冷却セグメント307に入ることができる。この冷たい空気は、加熱揮発成分と混合して、加熱揮発成分を更に冷却する。
【0158】
例示の実施形態
多数の例示的実施形態の記載が以下である。それぞれ、本発明の方法により得ることが可能な非晶質固体を指す。非晶質固体の組成が与えられる場合(DWB)、スラリーは非晶質固体と同じDWB組成を有しうる(すなわち、追加の水のみを含む)。
【0159】
幾つかの実施形態において、非晶質固体はメンソールを備える。
メンソール含有非晶質固体を備える特定の実施形態は、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに細断シートとして含めるのに特に適しうる。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の組成(DWB)を有してもよく、すなわち、(DWBで)約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~35重量%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を備え、より好ましくはアルギン酸塩とペクチンの組合せを備える)、約35重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%の量のメンソール、及び約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のエアロゾル形成材料(好ましくはグリセロールを備える)という組成を有してもよい。
【0160】
一実施形態では、非晶質固体は、(DWBで)約32~33重量%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンド、約47~48重量%のメンソール香味料、及び約19~20重量%のグリセロールエアロゾル形成材料を備える。
【0161】
これらの実施形態の非晶質固体は、任意の適切な含水量を有してもよい。例えば、非晶質固体は、約2重量%~約10重量%、又は約5重量%~約8重量%、又は約6重量%の含水量を有してもよい。
【0162】
上述のように、これらの実施形態の非晶質固体は、細断シートとして物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。この細断シートは、刻みタバコとブレンドされて物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに提供されてもよい。あるいは、非晶質固体は、非細断シートとして提供されてもよい。好適には、細断又は非細断シートは、約0.015mm~約1mm、好ましくは約0.02mm~約0.07mmの厚さを有する。
【0163】
メンソール含有非晶質固体の特定の実施形態は、シート、例えばエアロゾル生成材料(タバコなど)のロッドを取り囲むシート、とし物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含めるのに特に適しうる。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の組成(DWB)を有してもよく、すなわち、(DWBで)約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%の量のゲル化剤(好ましくは、アルギン酸塩を備え、より好ましくは、アルギン酸塩とペクチンの組合せを備える)、約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~40重量%の量のメンソール、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~約35重量%の量のエアロゾル形成材料(好ましくは、グリセロールを備える)、及び任意で60重量%までの量(例えば、5重量%~20重量%、又は40重量%~60重量%の量)の充填剤という組成を有してもよい。
【0164】
これらの実施形態の1つでは、非晶質固体は、(DWBで)約11重量%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンド、約56重量%の木材パルプ充填剤、約18%のメンソール香味料、及び約15重量%のグリセロールを備える。
【0165】
これらの実施形態の別の1つでは、非晶質固体は、(DWBで)約22重量%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンド、約12重量%の木材パルプ充填剤、約36%のメンソール香味料、及び約30重量%のグリセロールを備える。
【0166】
上記のように、これらの実施形態の非晶質固体は、シートとして含まれてもよい。一実施形態では、このシートは、紙を備えるキャリア上に設置される。一実施形態では、このシートは、金属箔、好適にはアルミニウム金属箔、を備えるキャリア上に設置される。この実施形態では、非晶質固体は金属箔に当接してもよい。一実施形態では、このシートは、シートの上面及び底面に取り付けられた層(好ましくは紙を備える)と共に積層材料の一部を形成する。好適には、非晶質固体のシートは、約0.015mm~約1mmの厚さを有する。
【0167】
幾つかの実施形態において、非晶質固体は、メンソールを備えない香味料を備える。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の組成(DWB)を有してもよく、すなわち、(DWBで)約5~約40重量%、又は約10重量%~約35重量%、又は約20重量%~約35重量%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を備える)、約0.1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約20重量%、又は約5重量%~約20重量%の量の香味料、15重量%~75重量%、約30重量%~約70重量%、又は約50重量%~約65重量%の量のエアロゾル形成材料(好ましくはグリセロールを備える)、及び任意で約60重量%、約20重量%、約10重量%、又は約5重量%未満の量の充填剤(好適には木材パルプ)という組成を有してもよい(好ましくは、非晶質固体は充填剤を備えない)。
【0168】
これらの実施形態の1つでは、非晶質固体は、(DWBで)約27重量%のアルギン酸塩ゲル化剤、約14重量%の香味料、及び約57重量%のグリセロールエアロゾル形成材料を備える。
【0169】
これらの実施形態の別の1つでは、非晶質固体は、(DWBで)約29重量%のアルギン酸塩ゲル化剤、約9重量%の香味料、及び約60重量%のグリセロールを備える。
【0170】
これらの実施形態の非晶質固体は、細断シートとして、任意で刻みタバコとブレンドされて、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。あるいは、これらの実施形態の非晶質固体は、シート、例えばエアロゾル生成材料(タバコなど)のロッドを取り囲むシート、として物品/アセンブリに含まれてもよい。あるいは、これらの実施形態の非晶質固体は、キャリア上に配置された層部分として物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。
【0171】
幾つかの実施形態において、非晶質固体はタバコ抽出物を備える。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の組成(DWB)を有してもよく、すなわち、(DWBで)約5重量%~約40重量%、約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を備える)、約30重量%~約60重量%、約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量のタバコ抽出物、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%の量のエアロゾル形成材料(好ましくはグリセロールを備える)という組成を有してもよい。
【0172】
一実施形態では、非晶質固体は、(DWBで)約20重量%のアルギン酸塩ゲル化剤、約48重量%のバージニアタバコ抽出物、及び約32重量%のグリセロールを備える。
【0173】
これらの実施形態の非晶質固体は、任意の適切な含水量を有してもよい。例えば、非晶質固体は、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%、又は約10重量%の含水量を有してもよい。
【0174】
これらの実施形態の非晶質固体は、細断シートとして、任意で刻みタバコとブレンドされて、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。あるいは、これらの実施形態の非晶質固体は、シート、例えばエアロゾル生成材料(タバコなど)のロッドを取り囲むシート、として物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。あるいは、これらの実施形態の非晶質固体は、キャリア上に配置された層部分として物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。好適には、これらの実施形態のいずれにおいても、非晶質固体は、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μm、好適には約77μmの厚さを有する。
【0175】
この非晶質固体を形成するためのスラリーも本発明の一部を形成しうる。幾つかの例において、スラリーは、約5~1200Paの弾性率(貯蔵弾性率とも呼ばれる)を有してもよく、幾つかの例において、スラリーは、約5~600Paの粘性率(損失弾性率とも呼ばれる)を有してもよい。
【0176】
定義
本明細書で使用される活性成分は、生理活性材料、すなわち、生理反応を達成又は増強するための材料である。活性成分は、例えば、機能性食品、向知性物質、及び精神作用物質から選択してもよい。活性成分は、天然に存在するものでもよいし、合成により得られるものでもよい。活性成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6、B12、Cなど)、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの成分、誘導体、若しくは組合せを備えてもよい。活性成分は、タバコ、大麻又は他の植物性材料の成分、誘導体又は抽出物を1つ以上備えてもよい。
【0177】
幾つかの実施形態において、活性成分はニコチンを備える。
【0178】
幾つかの実施形態において、活性成分はカフェイン、メラトニン又はビタミンB12を備える。
【0179】
本明細書に記載されるように、活性成分は、大麻の1つ以上の成分、誘導体又は抽出物、例えば1つ以上のカンナビノイド又はテルペン、を備えてもよい。
【0180】
カンナビノイドは、脳内の神経伝達物質放出を抑制する細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用する天然又は合成化合物の一分類である。カンナビノイドは、大麻などの植物から天然に見つかるもの(フィトカンナビノイド)でもよいし、動物からのもの(内因性カンナビノイド)でもよいし、人工的に製造されたもの(合成カンナビノイド)でもよい。大麻種は、少なくとも85の異なるフィトカンナビノイドを表し、複数の下位分類に分けられる。これらの下位分類には、カンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイドが含まれる。大麻中に見つかるカンナビノイドには、これらに限定されるものではないが、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)が含まれる。
【0181】
本明細書に記載されるように、活性成分は、1つ以上の植物性材料又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を備えるか、又はそれらに由来してもよい。本明細書中で使用される場合、用語「植物性材料」は、植物に由来する任意の材料を含み、これらに限定されるものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む。あるいは、この材料は、植物性材料中に天然に存在し、又は合成により得られる活性化合物を備えてもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性材料の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ葉エキス、ハシバミ、ハイビスカス、ローリエ、甘草、抹茶、マテ、オレンジピール、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶、紅茶など)、タイム、クローヴ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、以下のミント品種、すなわち、ヨウシュハッカ(Mentha arvensis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cordifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)から選択してもよい。
【0182】
幾つかの実施形態において、活性成分は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、及びカンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)からなる群から選択される1つ以上のカンナビノイド化合物を備える。
【0183】
活性成分は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択される1つ以上のカンナビノイド化合物を備えてもよい。
【0184】
活性成分は、カンナビジオール(CBD)を備えてもよい。
【0185】
活性成分は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を備えてもよい。
【0186】
活性成分は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)を備えてもよい。
【0187】
幾つかの実施形態において、植物性材料は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、及び麻から選択される。
【0188】
幾つかの実施形態において、植物性材料は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0189】
本明細書で使用するとき、用語「香料」及び「香味料」は、現地の規制が許す場合に成人消費者向けの製品に所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用できる材料を指す。それらは、天然に存在する香味材料、植物性材料、植物性材料の抽出物、合成により得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ、ユージノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローヴ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニスの実(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カット(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ミント属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶、紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断薬、感覚受容体部位活性化剤、若しくは刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性材料、又は呼気清涼化剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体とすることができる。
【0190】
香料は、好適には、1種類以上のミント香料、好適にはミント属の任意の品種から得られるミント油を備えてもよい。香料は、好適には、メンソールを備えるか、メンソールから本質的になるか、又はメンソールからなってもよい。
【0191】
幾つかの実施形態において、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを備える。
【0192】
幾つかの実施形態において、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類果実、及び/又はレッドベリーの香味成分を備える。
【0193】
幾つかの実施形態において、香料はオイゲノールを備える。
【0194】
幾つかの実施形態において、香料は、タバコから抽出された香味成分を備える。
【0195】
幾つかの実施形態において、香料は、大麻から抽出された香味成分を備える。
【0196】
幾つかの実施形態において、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5の脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成することを目的とした感覚剤を備えてもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、これに限定されるものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、これに限定されるものではないが、ユーカリプトールやWS-3であってもよい。
【0197】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、エアロゾルの発生を促進する薬剤を指す。エアロゾル形成材料は、吸入可能な固体及び/又は液体のエアロゾルへの気体の初期的な揮発及び/又は凝縮を促進することによって、エアロゾルの発生を促進してもよい。
【0198】
適切なエアロゾル形成材料には、これに限定されるものではないが、ポリオール、例えば、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコールやトリエチレングリコールのようなグリコール、並びに、非ポリオール、例えば、一価アルコール、高沸点炭化水素、酸(乳酸など)、グリセロール誘導体、エステル(ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル又はミリスチン酸塩(ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含む))、及び脂肪族カルボン酸エステル(例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチル)が含まれる。エアロゾル形成材料は、好適には、メンソールを溶解しない組成物を有しうる。エアロゾル形成材料は、好適には、グリセロールを備えてもよく、グリセロールから本質的になってもよく、又はグリセロールからなってもよい。
【0199】
幾つかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール及びグリセリン;多価アルコールのエステル、例えば、グリセロールモノ-、ジ-若しくはトリアセテート;並びに/又はモノ-、ジ-若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル、例えば、ジメチルドデカンジオエート及びジメチルテトラデカンジオエートのうちの1つ以上を備える。
【0200】
本明細書で使用するとき、用語「タバコ材料」は、タバコ又はその派生物を備える任意の材料を指す。用語「タバコ材料」は、タバコ、タバコ派生物、膨化タバコ、再構成タバコ、又はタバコ代替物のうちの1つ以上を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ葉柄、再構成タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ以上を備えてもよい。
【0201】
タバコ材料を製造するために使用されるタバコは、バージニア及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一グレード又はブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。それはまた、タバコ粒子の「微粉」又は粉塵、膨化タバコ、葉柄、膨化葉柄、及び他の加工葉柄材料(圧延刻み葉柄など)であってもよい。タバコ材料は、挽きタバコ又は再構成タバコ材料であってもよい。再構成タバコ材料は、タバコ繊維を備えてもよく、キャスティング、タバコ抽出物の背面付加を伴う長網抄紙型アプローチ、又は押出によって形成されてもよい。
【0202】
本明細書に記載される全ての重量百分率(重量%と示される)は、特に明記しない限り、乾重量基準で計算される。全ての重量比も乾重量基準で計算される。乾重量基準で示される重量は、水以外の抽出物、スラリー又は材料の全体を指しており、室温及び室圧のもとでそれ自体で液体である成分、例えばグリセロールを含んでもよい。逆に、湿重量基準で示される重量百分率は、水を含む全ての成分を指す。
【0203】
誤解を避けるために述べると、本明細書において用語「備える」が本発明又は本発明の特徴を定義する際に使用される場合、「備える」の代わりに「から本質的になる」又は「からなる」という用語を使用して発明や特徴を定義することができる実施形態も開示されている。特定の特徴を「備える」材料への言及は、それらの特徴がその材料に含まれる、材料に含有される、又は材料内に保持されることを意味する。
【0204】
上記の実施形態は、本発明の例示として理解されるべきである。任意の1つの実施形態に関連して説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態、又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。更に、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び変更形態も使用することができる。