(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】圧縮機のスタビライザ流路
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20250212BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/44 X
F04D29/66 H
(21)【出願番号】P 2022547908
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021052430
(87)【国際公開番号】W WO2021156251
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】アクセラロン スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ ダニエル
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-085095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0106274(US,A1)
【文献】特開2008-309123(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001644(WO,A1)
【文献】特開2000-064848(JP,A)
【文献】特開2015-158187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機
のスタビライザ流路(10)であって、
前記スタビライザ流路(10)は、圧縮機ホイール(21)の吸入領域の主流路(13)を取り囲み、環状ウェブ(14)によって前記主流路(13)に対して区切られる環状スタビライザチャンバ(12)を有し、
前記環状スタビライザチャンバ(12)は、ベーンを有しておらず、下流入口流路(15)及び上流出口開口(16)を介して接続されており、
複数の流れ案内要素(17)が前記下流入口流路(15)に配置されており、
前記下流入口流路(15)は、前記環状ウェブ(14)の上流部分(141)と前記環状ウェブ(14)の下流部分(142)との間に配置されており、
前記環状ウェブ(14)の上流部分(141)は、実質的に半径方向に延びる第1の突起部(18)を備え、前記環状ウェブ(14)の下流部分(142)は、実質的に半径方向に延びる第2の突起部(19A)
又は、前記環状ウェブ(14)の前記下流部分(142)は、実質的に軸方向に延びる第2の突起部(19B)を備える、スタビライザ流路。
【請求項2】
前記複数の流れ案内要素(17)は、通過可能な偏向グリッドを提供するように構成されて配置されている、請求項1に記載のスタビライザ流路。
【請求項3】
前記下流入口流路(15)は、実質的に半径方向に延びる、又は前記下流入口流路(15)は、実質的に半径方向に延びる部分(15C)及び実質的に軸方向に延びる部分(15D)を備える、請求項1又は2に記載のスタビライザ流路。
【請求項4】
前記複数の流れ案内要素(17)は、前記主流路(13)の中心軸(11)の周りで円周方向に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項5】
前記スタビライザ流路は、圧縮機ハウジングの一体部品である、又は前記スタビライザ流路は、前記圧縮機の前記吸入領域に取り付け可能な挿入部品(22)に組み込まれている、又は前記スタビライザ流路は、
ハウジング圧縮機の内側を構成する内側圧縮機ハウジング(20A)の一部である、請求項1から4のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項6】
前記環状ウェブ(14)の前記上流部分(141)及び前記環状ウェブ(14)の前記下流部分(142)は、前記複数の流れ案内要素(17)を介して、結合されている請求項1から5のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項7】
前記複数の流れ案内要素(17)は、別個の構成要素の形態である、請求項1から6のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項8】
前記複数の流れ案内要素(17)は、前記環状ウェブ(14)の前記上流部分(141)、及び、前記環状ウェブ(14)の前記下流部分(142)の少なくとも一方と一体形成されている、請求項1から7のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項9】
前記環状ウェブ(14)の前記下流部分(142)、及び、前記環状ウェブ(14)の前記上流部分(141)の少なくとも一方は、センタリング肩部(143)を有する、請求項1から8のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項10】
前記複数の流れ案内要素(17)の各々は、前記
下流入口流路(15)内で前記流れ案内要素(17)を前記主流路(13)の中心軸(11)の周りで円周方向に配置するように構成されたセンタリング座部を有する、請求項1から9のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項11】
前記複数の流れ案内要素(17)の少なくとも1つは、カーチス型ベーンプロファイル角柱状のベーンプロファイル、及び、カーチス型ベーンの少なくとも一つである、請求項1から10のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項12】
前記複数の流れ案内要素(17)は、前記
環状スタビライザチャンバの前記
下流入口流路(15)の流出領域(15E)に配置されている、請求項1から11のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項13】
前記流れ案内要素(17)の各々は、流入端部(17A)及び流出端部(17B)を有し、前記流れ案内要素(17)の前記流出端部は、前記流入端部(17A)に対して周方向で傾斜しており、それらが通過する際にスワールが減少するか又は逆スワールが発生するようになっている、請求項1から12のいずれかに記載のスタビライザ流路。
【請求項14】
圧縮機(20
)であって、前記圧縮機は、圧縮機ホイール(21)と、請求項1から13のいずれかに記載のスタビライザ流路(10)とを有する、圧縮機。
【請求項15】
請求項14に記載の圧縮機(20)を有するターボ過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機及びダイアゴナル圧縮機の分野に関する。詳細には、本発明は、圧縮機段のマップ幅及び特性曲線勾配を増大させるための圧縮機入口のスタビライザ流路に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスターボ過給機は、内燃機関、特に往復動ピストンエンジンの性能を向上させるために使用される。排気ガスターボ過給機は、通常、ラジアル又はダイアゴナル圧縮機と、ラジアル又は軸流タービンとを備えている。
【0003】
ラジアル圧縮機及びダイアゴナル圧縮機の実用的な運転範囲は、サージ限界/流れの不安定性によって、より小さな質量流に向かって制限され、圧縮機がスロットル調整されると、入射角は、流れが分離してポンピングが発生するまでますます悪化する。流れが依然として発生する許容入射角は、流れのマッハ数が増加するにつれて減少する。すなわち、マップ幅は、高圧力比及び/又は高吸引能力を有する段の場合、減少する傾向がある。
【0004】
特性曲線を安定させるための手段として、圧縮機ハウジング内で圧縮機ホイールのホイール輪郭の上に、吸入通路と平行に、環状キャビティの形態のバイパスを設けることができる。このようなバイパスは、スタビライザチャンバ又は再循環器としても知られている。再循環器を用いることで、圧縮機ホイール入口の質量流をサージ限界の近くまで人為的に増加させることができる。質量流の一部は、圧縮機ホイールからサイドチャンバ(バイパス)へ分岐される。この質量流は高いスワール成分(インペラの回転方向、共スワール(co-swirl))を有する。この共スワールにより、圧縮機の仕事率が低下し、サージ限界に近いフラットな特性曲線となる。
【0005】
サージ限界に近いフラットな特性曲線は、圧力脈動(例えば、過給された内燃機関のバルブの動きによって生じる)を伴う用途において、予期しないポンピングを引き起こす可能性がある。このため、動作点と動作速度曲線上のサージ限界点との間に最小限の圧力上昇をもたらすことが要求される。高圧力比及び従来のバイパス/スタビライザ流路を有する段の場合、この要求は、高い仕事率と一定速度での質量流に対するフラットな仕事率プロファイルのために、ほとんど満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機のスタビライザ流路を提供することであり、これは、従来技術で知られている欠点の少なくとも1つに関して改良される。さらに、本発明の目的は、改良された圧縮機及び改良されたターボ過給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、独立請求項1による圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機のスタビライザ流路が提供される。さらに、本明細書に記載された実施形態によるスタビライザ流路を有する圧縮機、及びそのような圧縮機を有するターボ過給機が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様、利点及び特徴は、従属請求項、明細書及び添付図面に見出される。
【0009】
本発明の1つの態様によれば、圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機のスタビライザ流路が提供される。スタビライザ流路は、圧縮機ホイールの吸入領域において主流路を取り囲み、環状ウェブによって主流路に対して区切られた環状スタビライザチャンバを備える。環状スタビライザチャンバは、ベーンがなく、下流入口流路と上流出口開口部を介して接続される。複数の流れ案内要素が下流入口流路に配置される。下流入口流路は、環状ウェブの上流部分と環状ウェブの下流部分との間に配置される。
【0010】
従って、圧縮機段のマップ幅及び特性曲線勾配の増大を可能にするスタビライザ流路が好都合に提供される。さらに、下流入口流路に流れ案内要素を有する本発明によるスタビライザ流路によって、構成要素の統合、格納性及び製造コストの点で、従来技術による従来のスタビライザよりも有利なスタビライザ流路を提供することができる。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機が提供され、この圧縮機は、圧縮機ホイール及び本明細書に記載の実施形態の1つによるスタビライザ流路を備える。従って、増大したマップ幅及び特性曲線勾配を有する圧縮機を好都合に提供することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、本明細書に記載された実施形態の1つによる圧縮機を有するターボ過給機に関し、従来技術よりも改善されたターボ過給機を好都合に提供することができる。
【0013】
本発明は、図に示され、そこからさらなる利点及び変更が続く例示的な実施形態によって、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術によるスタビライザ流路の概略図である。
【
図2】本明細書に記載される実施形態によるスタビライザ流路の概略図である。
【
図3a】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるスタビライザ流路の概略図である。
【
図3b】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるスタビライザ流路の概略図である。
【
図4a】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるスタビライザ流路の概略図である。
【
図5】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるスタビライザ流路の入口流路の概略図である。
【
図6】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるスタビライザ流路の入口流路の概略図である。
【
図7】流れ案内要素を通過したときに流れの逆スワールを生成するための流れ案内要素の構成を示す概略図である。
【
図8】流れ案内要素を通過したときに流れのスワールを減少させるための流れ案内要素の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、従来技術のスタビライザ流路10の概略図である。詳細には、
図1は、例えば排気ガスターボ過給機において空気を圧縮するために用いられるラジアル圧縮機のハウジングを通る圧縮機ホイール21の回転軸11に沿った断面を示す。スタビライザチャンバ12は、圧縮機ハウジング5内に配置される。スタビライザチャンバ12は、入口流路15及び出口開口16を介して主流路13に接続される。スタビライザチャンバ12は、環状ウェブ14によって主流路13に対して区切られている。環状ウェブ14を圧縮機ハウジングに接続する保持リブ121は、スタビライザチャンバ12内に配置される。
【0016】
本開示による圧縮機のスタビライザ流路は、
図2から8を参照して以下に説明する。圧縮機は、ラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機とすることができる。
【0017】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、スタビライザ流路10は、圧縮機ホイール21の吸入領域において主流路13を取り囲む環状スタビライザチャンバ12を備える。換言すると、スタビライザ流路10は、典型的には、圧縮機入口に配置される。これに関連して、本開示において、「スタビライザ流路」は、詳細には、圧縮機段のマップ幅を拡大するように構成された圧縮機入口の流路であると理解されることに留意されたい。例えば、スタビライザ流路10は、再循環流路とすることができる。
【0018】
環状スタビライザチャンバ12は、さらに、
図2に例示的に示されるように、環状ウェブ14によって主流路13に対して区切られる。環状スタビライザチャンバ12にはベーンがない。換言すると、環状スタビライザチャンバ12内にはベーン、詳細には流れ案内ベーンが配置されていない。詳細には、環状スタビライザチャンバ12は、ストラットなしとすることができる。換言すると、環状スタビライザチャンバ12内にベーン及びストラットが存在しないように、環状スタビライザチャンバ12は、流れ案内ベーンなし及びストラットなしとすることができる。さらに、環状スタビライザチャンバ12は、下流入口流路15及び上流出口開口16を介して主流路13に接続される。環状スタビライザチャンバ12は、回転対称とすることができる。
【0019】
図2に概略的に示すように、下流入口流路15には、複数の流れ案内要素17が配置されている。典型的には、複数の流れ案内要素17は、主流路13の中心軸11の周りで周方向に配置されている。詳細には、複数の流れ案内要素17は、主流路13の中心軸11の周りに同心円状に配置することができる。さらに、流れ案内要素17は、入口流路15の主流路側の入口開口15Aと面一になるように、及び/又は入口流路15のスタビライザチャンバ側の出口開口15Bと面一になるように形成できることに留意されたい。もしくは、
図2に例示的に示されるように、流れ案内要素17は、入口流路15の主流路側の入口開口15Aから、及び/又は入口流路のスタビライザチャンバ側の出口開口15Bから相隔たることができる。下流入口流路15は、環状ウェブ14の上流部分141と環状ウェブ14の下流部分142との間に配置されている。
【0020】
本開示において、用語「入口流路」は、スタビライザチャンバへの流れ入口流路として機能する流路を意味すると理解される。典型的には、入口流路15は、
図2に例示的に示されるように、主流路側の入口開口15Aと、スタビライザチャンバ側の出口開口15Bとを備える。
【0021】
本開示において、用語「下流」及び「上流」は、圧縮機ホイールの吸入領域の主流路の主流れに関連する。より良く理解するために、図には主流路の方向1が示されている。1つの実施例によれば、スタビライザチャンバの入口流路15は、
図2に示されるように、圧縮機ホイール21の入口縁24に対して下流に配置することができる。スタビライザチャンバの出口開口16は、典型的には、圧縮機ホイール21の入口縁24の上流に配置される。
【0022】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、複数の流れ案内要素17は、通過することができる偏向グリッドを提供するように構成され配置されている。例えば、偏向グリッドは、実質的に半径方向に通過することができる偏向グリッドを提供するように構成して配置することができる。本開示において、表現「実質的に半径方向に」は、半径方向rに対してα=±45°以下、詳細にはα=±25°以下の角度範囲を意味すると理解される。
図2に例示的に示されるように、半径方向rは中心軸11に対して垂直に延びる。1つの実施例によれば、「実質的に半径方向に」は、半径方向rに対して±10°以下の角度範囲を意味すると理解される。より良い理解のために、
図5は、上述の「実質的に半径方向に」の定義に該当する角度αで傾斜した入口流路15を例示的に示す。角度αは、x-r平面内にある。
【0023】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、
図2から5の実施形態に例示的に示されるように、下流入口流路15は実質的に半径方向に延びる。
【0024】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、複数の流れ案内要素17は、
図6に例示的に示されるように、実質的に軸方向に通過することができる偏向グリッドを提供するように構成され配置されている。本開示において、表現「実質的に軸方向に」は、軸方向xに対して±45°以下、詳細には±25°以下の角度範囲を意味すると理解される、
図2に例示的に示されるように、軸方向xは中心軸11に沿って延びる。1つの実施例によれば、「実質的に軸方向に」は、軸方向xに対して±10°以下の角度範囲を意味すると理解される。実質的に軸方向に通過することができる偏向グリッドは、例えば、
図6によるスタビライザチャンバの入口流路15の構成及び流れ案内要素17の配置によって提供することができる。
【0025】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、下流入口流路15は、
図6に例示的に示されるように、実質的に半径方向に延びる部分15Cと実質的に軸方向に延びる部分15Dとを備える。実質的に半径方向に延びる部分15Cと実質的に軸方向に延びる部分15Dとの間には、典型的には、湾曲した移行領域15Fが存在する。
【0026】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、環状ウェブ14の上流部分141は、実質的に半径方向に延びる第1の突出部18を備える。環状ウェブ14の下流部分142は、
図4a、4b及び5に例示的に示されるように、同様に、実質的に半径方向に延びる第2の突出部19Aを備えることができる。もしくは、環状ウェブ14の下流部分142は、
図6に例示的に示されるように、実質的に軸方向に延びる第2の突出部19Bを備えることができる。
【0027】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、スタビライザ流路10は、
図2に例示的に示されるように、圧縮機ハウジングの一体部分である。もしくは、スタビライザ流路10は、
図3aに例示的に示されるように、圧縮機の吸入領域に取り付けることができる挿入部品22に一体化することができる。さらなる実施例によれば、スタビライザ流路は、内側圧縮機ハウジング20A及び外側圧縮機ハウジング20Bを有する圧縮機20が示されている
図3bに例示的に示されるように、内側圧縮機ハウジング20Aの一部とすることができる。
【0028】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、環状ウェブ14の上流部分141と環状ウェブ14の下流部分142は、複数の流れ案内要素17を介して、例えばねじ結合部により結合される。ねじ結合部は、流れ案内要素17を貫通して延びることができる。ねじ結合部は、別の方法で、すなわち、流れ案内要素17を貫通して延びないように製作することもできることに留意されたい。代替的に又は追加的に、例えばシュリンケージ(shrinkage)又はクランプのような他のタイプの結合手段を使用することも可能である。
【0029】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、複数の流れ案内要素17は、別個の構成要素の形態である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、複数の流れ案内要素17は、環状ウェブ14の上流部分141と一体的に(一体部品で)形成され、及び/又は環状ウェブ14の下流部分142と一体的に(一体部品で)形成される。
【0030】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、環状ウェブ14の下流部分142は、センタリング肩部143を有する。代替的に又は追加的に、環状ウェブ14の上流部分141は、センタリング肩部(明示的に示されていない)を有することができる。センタリング肩部は、円筒形又は円錐形とすることができる。
【0031】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、複数の流れ案内要素17の各々は、入口流路15内で主流路13の中心軸11の周りに、流れ案内要素17を円周方向に、詳細には同心円状に配置するように構成されたセンタリング座部を有する。
【0032】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、複数の流れ案内要素17の少なくとも1つ、詳細には少なくとも半分、又は全ては、カーチス型ベーンプロファイルから形成される。詳細には、複数の流れ案内要素17の少なくとも1つ、詳細には少なくとも半分、又は全ては、角柱状のカーチス型ベーンとすることができる。典型的には、流れ案内要素17は、半径方向偏向ベーンの形態である。カーチス型ベーンプロファイルから流れ案内要素を、詳細には角柱状のカーチス型ベーンの形態の流れ案内要素を形成すると、これらは比較的厚く作ることができるという利点を有するので、例えばねじ結合部又は他の適切なタイプの結合手段によって、このような案内要素を介して環状ウェブ14の上流部分141と環状ウェブ14の下流部分142とをより良好に結合することができる。
【0033】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、
図4a及び4bに例示的に示されるように、複数の流れ案内要素17は、スタビライザチャンバの入口流路15の流出領域に配置される。入口流路15の流出領域は、スタビライザチャンバ側の出口開口15bの側に位置する入口流路15の領域を意味すると理解される。流出領域は、例えば、入口流路長さLの半分以下にわたって延びることができる。より良く理解するために、入口流路15の流出領域15Eは、
図4bに例示的に示されている。入口流路15の流出領域における流れ案内要素17の配置は、流速及びベーン振動励起に対して有利な効果を有することができる。
【0034】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、流れ案内要素17の各々は、流入端部17a及び流出端部17bを有し、流れ案内要素17のそれぞれの流出端部17Bは、流れ案内要素17のそれぞれの流入端部17Aに対して周方向に傾斜しており、
図8に流入端部17Aと流出端部17Bとの間の矢印によって例示的に示されるように、それらが通過する場合にスワール(swirl)が減少するようになっている。
【0035】
もしくは、
図7に流入端部17Aと流出端部17Bとの間の矢印で例示するように、逆スワールが発生するように、流れ案内要素17のそれぞれの流出端部17Bを流れ案内要素17のそれぞれの流入端部17Aに対して周方向に傾斜させることができる。より良く理解するために、圧縮機ホイールの回転方向2が
図7及び
図8に示されている。圧縮機ホイールの回転は、スワールに作用される流れをもたらす。
【0036】
本開示の第2の態様によれば、圧縮機ホイール21と本明細書に記載の1つの実施形態によるスタビライザ流路10とを備える圧縮機、詳細にはラジアル圧縮機又はダイアゴナル圧縮機が提供される。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、圧縮機ホイール21は、入口開口15aの領域において、数N1の圧縮機ホイールベーン23を備える。下流入口流路15内の案内要素の数N2は、N2≧1.5×N1の関係にある。これは、圧縮機の運転時の騒音及び振動の発生を低減するために好都合である。
【0037】
本発明の第3の態様は、本明細書に記載された実施形態の1つによる圧縮機を有するターボ過給機に関し、従来技術よりも改善されたターボ過給機が好都合に提供される。
【符号の説明】
【0038】
1 主流れ方向
2 圧縮機ホイールの回転方向
5 圧縮機ハウジング
10 スタビライザ流路
11 中心軸/圧縮機ホイールの回転軸
12 環状スタビライザチャンバ
121 ストラット
13 主流路
14 環状ウェブ
141 環状ウェブの上流部分
142 環状ウェブの下流側部分
143 センタリング肩部
15 スタビライザチャンバの入口流路
15A 主流路側の入口流路の入口開口
15B スタビライザチャンバ側の入口流路の出口開口
15C 実質的に半径方向に延びる入口流路の部分
15D 実質的に軸方向に延びる入口流路の部分
15E 流入流路の流出領域
15F 移行領域
16 スタビライザチャンバの出口開口
17 流れ案内要素
17A 流れ案内要素の流入端部
17B 流れ案内要素の流出端部
18 実質的に半径方向に延びる第1の突出部
19A 実質的に半径方向に延びる第2の突出部
19B 実質的に軸方向に延びる第2の突出部
20 圧縮機
20A 内側圧縮機ハウジング
20B 外側圧縮機ハウジング
21 圧縮機ホイール
22 挿入部品
23 圧縮機ホイールのベーン
24 圧縮機ホイールの入口縁
r 半径方向
x 軸方向
L 入口流路長さ
α 「実質的に半径方向に」を説明するためのx-r平面における角度