(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】遠隔自動RTGシステム、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置
(51)【国際特許分類】
B65G 63/00 20060101AFI20250212BHJP
B66C 19/00 20060101ALI20250212BHJP
B66C 13/40 20060101ALI20250212BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B65G63/00 M
B66C19/00 B
B66C13/40 D
B66C13/48 A
(21)【出願番号】P 2022553462
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2021022189
(87)【国際公開番号】W WO2022070520
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2020163615
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 伸郎
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-091394(JP,A)
【文献】特開2015-040795(JP,A)
【文献】特開2018-077649(JP,A)
【文献】特開2012-041132(JP,A)
【文献】特開平06-110415(JP,A)
【文献】特開2005-255348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00
B66C 13/48
B66C 19/00
B66C 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRTGクレーンと、
前記RTGクレーンをオペレーターが遠隔操作可能な複数の操作卓と、
前記複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、前記複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける制御部と、を備える遠隔自動RTGシステムであって、
前記制御部は、
一の条件に基づいて、前記操作要求RTGクレーンに前記空き操作卓を紐付ける順番待ちリストを作成し、前記リストの順に前記空き操作卓を紐付ける演算部を有し、前記リストは、
前記一の条件とは異なる他の条件に基づいて順序を補正可能であり、
前記一の条件及び前記他の条件の条件は、先着順、操作要求の緊急度、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択され、前記他の条件は、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択される、遠隔自動RTGシステム。
【請求項2】
前記演算部は、新たに前記操作要求を取得すると、前記リストを編集する、請求項1に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項3】
前記演算部は、前記操作要求RTGクレーンでの荷役のカテゴリに基づいて、前記リストの順序を変更する、請求項1
又は2に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項4】
前記演算部は、前記操作要求RTGクレーンの作業エリアに基づいて、前記リストの順序を変更する、請求項1~
3の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項5】
前記演算部は、前記操作要求RTGクレーンが作業を行っている
船舶の優先順に基づいて、前記リストの順序を変更する、請求項1~
4の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項6】
前記リストは、オペレーターに開示される、請求項1~
5の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項7】
前記複数のRTGクレーンの各々はクレーン制御装置を有し、
当該クレーン制御装置は、安全上のリスクが高い状態であると考えられる検知機能が作動した場合は、自動運転を自発的に停止すると同時に前記操作要求を発信する、請求項1~
6の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項8】
前記複数のRTGクレーンの各々はクレーン制御装置を有し、
当該クレーン制御装置は、コンテナを自動で積み付けようとするも、吊荷位置が所定の範囲内に収まらず自動積み付けを断念する場合に前記操作要求を発信する、請求項1~
6の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項9】
前記操作要求には、対象となる前記操作要求RTGクレーンの状況を示す情報が含まれており、前記演算部は、当該状況を考慮して前記リストの順序を変更する、請求項1~
7の何れか一項に記載の遠隔自動RTGシステム。
【請求項10】
複数のRTGクレーンと、
前記RTGクレーンを操作可能な複数の操作卓と、を備える遠隔自動RTGシステムの制御方法であって、前記制御方法は、
一の条件に基づいて、前記複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、前記複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける順番待ちリストを作成し、
前記リストの順に前記空き操作卓を紐付けを行い、
前記リストは、
前記一の条件とは異なる他の条件に基づいて順序を補正可能であ
り、
前記一の条件及び前記他の条件の条件は、先着順、操作要求の緊急度、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択され、前記他の条件は、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択される、遠隔自動RTGシステムの制御方法。
【請求項11】
複数のRTGクレーンと、
前記RTGクレーンを操作可能な複数の操作卓と、を備える遠隔自動RTGシステムを制御する遠隔自動RTGシステム制御装置であって、
一の条件に基づいて、前記複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、前記複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける順番待ちリストを作成し、前記リストの順に前記空き操作卓を紐付ける演算部を有し、
前記リストは、
前記一の条件とは異なる他の条件に基づいて順序を補正可能であ
り、
前記一の条件及び前記他の条件の条件は、先着順、操作要求の緊急度、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択され、前記他の条件は、荷役のカテゴリ、作業エリア、船舶の優先順、前記操作要求に含まれる前記RTGクレーンの状況を示す情報の中から選択される、遠隔自動RTGシステム制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔自動RTGシステム、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のRTG(Rubber Tyred Gantry Crane)クレーンを備える遠隔自動RTGシステムが知られている。特許文献1には、複数のRTGクレーンと、複数の操作卓と、を備える遠隔自動RTGシステムが記載されている。この遠隔自動RTGシステムのRTGクレーンは、自動運転から、操作卓を介したオペレータによる運転に切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、遠隔自動RTGシステムにおいては、より少ない操作卓にて複数のRTGクレーンを制御することが求められる。従って、RTGクレーンの数に対する操作卓の数を減少させることが求められる。
【0005】
本開示は、RTGクレーンの数に対する操作卓の数を減少させることができる遠隔自動RTGシステム、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る遠隔自動RTGシステムは、複数のRTGクレーンと、RTGクレーンをオペレーターが遠隔操作可能な複数の操作卓と、複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける制御部と、を備える遠隔自動RTGシステムであって、制御部は、操作要求RTGクレーンと空き操作卓との紐付けの順序を所定の条件に基づいて調整する演算部を有する。
【0007】
この遠隔自動RTGシステムでは、制御部が、複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける。このとき、制御部は、操作要求RTGクレーンと空き操作卓との紐付けの順序を所定の条件に基づいて調整する演算部を有する。従って、演算部は、操作卓が空いている場合には、空き操作卓を操作要求RTGクレーンに速やかに紐付けることができる。一方、制御部は、操作卓が空いておらず、待機中の操作要求RTGクレーンが存在している場合は、次に操作卓が空いたときに、どのように操作要求RTGクレーンを紐付けるかを状況に応じて適切に調整することができる。すなわち、RTGクレーンの数に対して過剰な操作卓を準備しなくとも、状況に合わせて適切なタイミングで操作要求RTGクレーンと空き操作卓を紐付けることができる。以上より、RTGクレーンの数に対する操作卓の数を減少させることができる。
【0008】
演算部は、操作要求の先着順に基づいて、空き操作卓を紐付けてよい。この場合、演算部は、待機時間が長い操作要求RTGクレーンを優先的に空き操作卓に紐付けることができる。
【0009】
演算部は、操作要求の緊急度順に基づいて、空き操作卓を紐付けてよい。この場合、演算部は、緊急度が高い操作要求RTGクレーンを優先的に空き操作卓に紐付けることができる。
【0010】
演算部は、操作要求RTGクレーンでの荷役のカテゴリに基づいて、空き操作卓を紐付けてよい。この場合、演算部は、優先度の高いカテゴリの荷役に係る操作要求RTGクレーンを優先的に空き操作卓に紐付けることができる。
【0011】
演算部は、操作要求RTGクレーンの作業エリアに基づいて、空き操作卓を紐付けてよい。この場合、演算部は、優先度の高い作業エリアに係る操作要求RTGクレーンを優先的に空き操作卓に紐付けることができる。
【0012】
演算部は、操作要求RTGクレーンが作業を行っているコンテナの優先順に基づいて、空き操作卓を紐付けてよい。この場合、演算部は、優先度の高いコンテナに対して作業を行っている操作要求RTGクレーンを優先的に空き操作卓に紐付けることができる。
【0013】
演算部は、操作要求の先着順に基づく空き操作卓の紐付けの順序に対し、他の条件に基づいて順序の補正を行ってよい。この場合、演算部は、操作要求の先着順をベースにしつつ、他の条件を考慮して、空き操作卓の紐付けの順序を調整することができる。
【0014】
演算部は、操作要求RTGクレーンに空き操作卓を紐付ける順番待ちリストを作成し、リストの順に空き操作卓を紐付けてよい。この場合、順番待ちリストを参照することで、どの操作要求RTGクレーンが何番目に空き操作卓に紐付けられるかを容易に把握することができる。
【0015】
操作要求には、対象となる操作要求RTGクレーンの状況を示す情報が含まれてよい。これにより、演算部は、操作要求RTGクレーンの状況を考慮して、空き操作卓との紐付けを調整することができる。
【0016】
本発明に係る遠隔自動RTGシステムの制御方法は、複数のRTGクレーンと、RTGクレーンを操作可能な複数の操作卓と、を備える遠隔自動RTGシステムの制御方法であって、複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける順序を所定の条件に基づいて調整する。
【0017】
本発明に係る遠隔自動RTGシステム制御装置は、複数のRTGクレーンと、RTGクレーンを操作可能な複数の操作卓と、を備える遠隔自動RTGシステムを制御する遠隔自動RTGシステム制御装置であって、複数のRTGクレーンのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信している操作要求RTGクレーンに対して、複数の操作卓のうち何れのRTGクレーンとも紐付けられていない空き操作卓を紐付ける順序を所定の条件に基づいて調整する。
【0018】
本発明に係る遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置によれば、上述の遠隔自動RTGシステムと同様の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、RTGクレーンの数に対する操作卓の数を減少させることができる遠隔自動RTGシステム、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る遠隔自動RTGシステムが適用される例示的なコンテナターミナル1を示す平面図である。
【
図2】コンテナヤードに配置されたRTGクレーンを模式的に示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る遠隔自動RTGシステムの機能を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)(b)(c)は、順番待ちリストの具体例を示す図である。
【
図5】いずれかのRTGクレーンが遠隔自動RTGシステム制御装置へ操作要求を行った場合の、遠隔自動RTGシステム制御装置での処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】いずれかの操作卓が空いた旨の情報を遠隔自動RTGシステム制御装置へ送信した場合の、遠隔自動RTGシステム制御装置での処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る遠隔自動RTGシステム、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100が適用される例示的なコンテナターミナル1を示す平面図である。
図1に示されるように、コンテナターミナル1には、コンテナ3(
図2参照)が配置されるコンテナヤード2と、接岸した船舶に対してコンテナ3の移載を行う複数のガントリクレーン4と、コンテナヤード2に配置されてコンテナ3の荷役を行う複数のRTGクレーン10と、複数のRTGクレーン10の遠隔操作が可能な遠隔操作室5とが設けられる。
【0023】
例えば、コンテナヤード2には、貨車、トレーラ又はAGV(Automated Guide Vehicle:自動搬送台車)等の搬送台車の走行路が敷設されている。RTGクレーン10は、当該搬送台車によって搬送されるコンテナ3を取得してコンテナ3をコンテナヤード2の所定の番地で示される位置に載置する。例えば、複数のRTGクレーン10のそれぞれがコンテナヤード2ごとに配置されている。RTGクレーン10は、コンテナヤード2に載置されているコンテナ3を取得して、コンテナ3を当該搬送台車に移載し、当該搬送台車によってコンテナ3を外部に搬出させる。
【0024】
図2は、コンテナヤード2に配置されたRTGクレーン10を模式的に示す斜視図である。
図2に示されるように、RTGクレーン10は、コンテナ3を荷役するコンテナ取り扱いクレーンであって、タイヤ式ガントリークレーン(RTG:Rubber Tired Gantry Crane)である。RTGクレーン10は、コンテナターミナル1において、コンテナヤード2に配置されたコンテナ3の荷役を自動で行う。
【0025】
RTGクレーン10は、例えば、クレーンガーダ上を横行可能なトロリー11と、コンテナ3を荷役するスプレッダ12と、車輪を有する走行装置13とを備える。RTGクレーン10は、一対の走行装置13に立設された一対の脚部と、一対の脚部の上端同士を繋ぐクレーンガーダとを備える門形を呈する。トロリー11は、例えば、横行モータの駆動によって横行する。一例として、トロリー11は、ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムを備え、ワイヤを介してスプレッダ12を吊り下げている。
【0026】
スプレッダ12は、コンテナ3を吊り下げる吊具である。スプレッダ12は、コンテナ3を上方から係止可能であり、コンテナ3を係止して吊り上げることによってコンテナ3の荷役を行う。例えば、スプレッダ12の動作及び位置は、本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置50によって制御される。
【0027】
図3は、本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100の機能を示すブロック図である。遠隔自動RTGシステム100は、複数のRTGクレーン10を制御するシステムである。
図3に示すように、遠隔自動RTGシステム100は、複数のRTGクレーン10と、各RTGクレーン10を操作可能な複数の操作卓6と、遠隔自動RTGシステム制御装置50(制御部)と、を備える。なお、
図3のブロック図においては、RTGクレーン10が備えているクレーン制御装置20が示されている。
【0028】
なお、操作卓6、クレーン制御装置20、及び遠隔自動RTGシステム制御装置50は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インタフェース及びユーザインタフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されていてもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(記憶媒体)である。通信インタフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インタフェース及びユーザインタフェースを制御する。操作卓6、クレーン制御装置20、及び遠隔自動RTGシステム制御装置50では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。なお、操作卓6、及びクレーン制御装置20のユーザインタフェースは、表示出力を行うディスプレイ、及び音声出力を行うスピーカ等の出力器、並びに、操縦レバー、ボタン、キーボード、タッチパネル及びマイク等の入力器を含む。なお、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、一つの場所に設置された一台のコンピュータによって構成されてもよく、複数のコンピュータによって構成されてもよいし、複数箇所に分散された状態で設置されてもよい。
【0029】
クレーン制御装置20は、通信部21と、情報取得部22と、駆動制御部23と、演算部24と、を備える。通信部21は、他の機器と通信することによって、各種情報を送受信する。情報取得部22は、RTGクレーン10が自動運転を行うための各種状態を示す情報を取得する。情報取得部22は、RTGクレーン10に設けられた各種センサから情報を取得する。駆動制御部23は、RTGクレーン10のモータなどの駆動部へ制御信号を送信して駆動制御を行う。駆動制御部23は、オペレータの操作によって動作を行うときは、操作に従って駆動制御を行う。駆動制御部23は、自動運転のときは、演算部24によって演算された動作を実現できるように駆動制御を行う。演算部24は、RTGクレーン10に関する各種演算を行う。演算部24は、自動運転時には、RTGクレーン10の動作内容を演算する。
【0030】
ここで、クレーン制御装置20は、自動運転を行っているときに、状況を判断して、自発的に操作卓6による操作要求を送信することができる。すなわち、演算部24は、システムの運用効率、及び安全性を高めるための遠隔操作要否判断ロジックを備えており、当該ロジックに基づいて、操作卓6による操作要求の要否を判断する。また、通信部21は、操作要求を遠隔自動RTGシステム制御装置50へ送信する。
【0031】
具体的には、演算部24は、トラックにコンテナ3を積み付ける荷役動作の中で、シャーシエリア直前までのスプレッダ12の自動搬送が完了したとき(状況1)、操作要求を行うことができる。また、演算部24は、トラックからコンテナ3を掴み上げる荷役動作の中で、シャーシエリア直前までのスプレッダ12の自動搬送が完了したとき(状況2)、操作要求を行うことができる。また、演算部24は、制御システムに関する異常を検知したとき、操作要求を行うことができる。
【0032】
更に、演算部24は、上記「状況1」もしくは「状況2」において、シャーシが到着している事を検知した場合に限り、操作要求を行ってもよい。もしくは、演算部24は、上記「状況1」及び「状況2」に関わらず、シャーシが到着している事を検知したとき、操作要求を行ってもよい。RTGクレーン10は、シャーシが所定の停止位置に停車していることを検知するためのセンサを備えてもよい。
【0033】
また、演算部24は、安全上のリスクが高い状態を検知したとき、操作要求を行ってよい。安全上のリスクが高い状態であると考えられる検知機能が作動した場合は、演算部24は、自動運転を自発的に停止すればよい。また、演算部24は、自動運転を自発的に停止すると同時に遠隔自動RTGシステム制御装置50に対して、操作卓6の要求信号を送信し、オペレーターによる状態確認およびリカバリを促すことができる。
【0034】
具体的には、安全上のリスクが高い状態として、次のような場合が挙げられる。例えば、演算部24は、所定の停止位置に停車した状態のシャーシトラックと干渉する領域にスプレッダ12が存在しているとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。このような状態を検知するために、RTGクレーン10は、スプレッダ12の巻き及び横行位置を検出するシステムを備える。これにより、RTGクレーン10は、シャーシトラックとの干渉領域にスプレッダ12が侵入しているか否かの判定を行う機能を備えればよい。
【0035】
演算部24は、スプレッダ12もしくは吊荷が蔵置コンテナに接触する可能性が高いと判断したとき、もしくは接触したとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。このような状態を検知するために、RTGクレーン10は、スプレッダ12の下方、側方もしくは上方に向けて設置したレーザー距離計、2Dスキャナ、その他3Dスキャナ等によってスプレッダ12もしくは吊荷が蔵置コンテナに接触するか否かを監視するシステムを備えていればよい。または、RTGクレーン10は、トロリー11上に設備する2Dスキャナもしくは3Dスキャナ等によってスプレッダ12もしくは吊荷が蔵置コンテナに接触するか否かを監視するシステムを備えればよい。
【0036】
演算部24は、スプレッダ12もしくは吊荷が大きく揺れたとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、画像処理システム、加速度計もしくは傾斜計等によって得られるスプレッダ12の振れ信号を監視し、振れ量の正常範囲を逸脱する場合に、異常な状態にあると識別するシステムを備えればよい。
【0037】
演算部24は、スプレッダ12もしくは吊荷が大きく傾いたとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、画像処理システム,加速度計もしくは傾斜計等によって得られるスプレッダ12の傾斜を監視し、傾斜の正常範囲を逸脱する場合は異常な状態にあると識別するシステムを備えればよい。
【0038】
演算部24は、スプレッダ12もしくは吊荷が大きく回転したとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、画像処理システム、加速度計もしくは傾斜計等によって得られるスプレッダ12の回転(小旋回とも言う)を監視し、回転の正常範囲を逸脱する場合は異常な状態にあると識別するシステムを備えればよい。
【0039】
演算部24は、スプレッダもしくは吊荷に衝撃が作用したとき安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12に加速度計もしくは傾斜計その他衝撃を検知するセンサーを備え、通常時作用しない衝撃を感知した場合は異常と識別するシステムを備えればよい。
【0040】
演算部24は、スプレッダ12もしくは吊荷の荷重が大きく変化したとき、安全上のリスクが高い状態として検知し、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12もしくは吊荷の荷重を検出する手段を備え、通常時の荷重変化量を逸脱する変化量を感知した場合は異常と識別するシステムを備えればよい。
【0041】
また、演算部24は、コンテナ3の自動積み付けや自動掴みに失敗したとき、操作要求を行ってよい。演算部24は、遠隔自動RTGシステム制御装置50に対して、操作卓6の要求信号を送信し、オペレーターによる状態確認およびリカバリを促すことができる。
【0042】
具体的には、コンテナ3の自動積み付けに失敗したときの例として、次のような場合が挙げられる。例えば、演算部24は、コンテナ3を自動で積み付けたが、積み付けの精度が不十分である場合、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12に備える蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段だけでなく、例えばトロリ11上からの3Dスキャナ等によるスプレッダ12もしくは吊荷と蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段を備えればよい。演算部24は、コンテナ積み付けの精度が許容外の場合に、操作要求を行う。
【0043】
演算部24は、コンテナ3を自動で積み付けようとするも、吊荷位置が所定の範囲内に収まらず自動積み付けを断念する場合、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12に備える蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段だけでなく、例えばトロリ11上からの3Dスキャナ等によるスプレッダ12もしくは吊荷と蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段を備えればよい。演算部24は、ある一定時間を経過しても、コンテナ3の自動着床を許可する相対位置ずれの条件を満足しない場合に、操作要求を行う。
【0044】
演算部24は、コンテナ3を自動で積み付けるために積み付けられたコンテナ3の相対位置を検出しようとするが、相対位置が正常に検出できなかった場合、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12に備える蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段だけでなく、例えばトロリ11上からの2Dスキャナもしくは3Dスキャナ等によるスプレッダ12もしくは吊荷と蔵置コンテナとの相対位置ずれ検出手段を備えればよい。演算部24は、検出される相対位置が正常でない場合に、操作要求を行う。
【0045】
また、コンテナ3の自動掴みに失敗したときの例として、次のような場合が挙げられる。例えば、演算部24は、コンテナ3の自動掴み時にフリッパがコンテナ3に乗り上げたもしくはツイストロックがコンテナ3のコーナーキャスティングに収まらない状況において、「着床検出信号が4点揃わなかった」「スプレッダの傾斜が通常範囲を逸脱した」「スプレッダの振れ変位が通常範囲を逸脱した」という何れかの状況となった場合に、自動掴みに失敗したと判定して、操作要求を行ってよい。
【0046】
演算部24は、コンテナ3を自動掴みしようとするもスプレッダ12の振動が所定範囲内に収まらない状況となったら、操作要求を行ってよい。
【0047】
演算部24は、コンテナ3を自動掴みしようとするもスプレッダ12と蔵置コンテナとの相対位置が許容の範囲内に収まらない状況となったら、操作要求を行ってよい。この場合、RTGクレーン10は、スプレッダ12と蔵置コンテナとの相対位置検出手段として、スプレッダ12に備える複数からなるレーザー距離計もしくは2Dスキャナ等を備えればよい。もしくは、RTGクレーン10は、相対位置検出手段として、トロリ11上に備える2Dスキャナもしくは3Dスキャナを備えてよい。演算部24は、一定時間経過しても、これら検出手段によって検出されたスプレッダ12と蔵置コンテナとの相対位置が許容する範囲に収まらないとき、操作要求を行う。
【0048】
演算部24は、コンテナ3を自動掴みしようとするもスプレッダ12と蔵置コンテナとの相対位置が正常に検出できない状況となったら、操作要求を行ってよい。演算部24は、前述の検出手段が正常に機能しないとき、操作要求を行う。
【0049】
操作卓6は、通信部31と、状態判定部32と、操作情報作成部33と、を備える。通信部31は、他の機器と通信することによって、各種情報を送受信する。状態判定部32は、操作卓6がいずれかのRTGクレーン10と紐付けられた状態であるか、または何れのRTGクレーン10とも紐付けられていない状態であるかどうかの判定を行う。操作情報作成部33は、オペレータの操作に基づいて、RTGクレーン10へ送信する操作情報を作成する。なお、操作卓6とRTGクレーン10とが紐付けられた状態とは、オペレーターが操作卓6を用いて特定のRTGクレーン10の遠隔操作ができる状態である。特定のRTGクレーン10に紐づけられた状態の操作卓6は、遠隔操作に必要な情報を操作対象のRTGクレーン10から受信する。遠隔操作に必要な情報は、例えば、RTGクレーン10に搭載された撮像手段により撮影される画像である。操作卓6とRTGクレーン10とが紐付けられていない状態とは、操作卓6が遠隔操作に必要な情報を受信していない状態である。
【0050】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、通信部51と、演算部52と、を備える。通信部51は、他の機器と通信することによって、各種情報を送受信する。演算部52は、遠隔自動RTGシステム制御装置50に関する各種演算を行う。特に、本実施形態では、演算部52は、複数のRTGのうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信しているRTGクレーン10(操作要求RTGクレーン)に対して、複数の操作卓のうち何れのRTGクレーン10とも紐付けられていない操作卓6(空き操作卓)を紐付ける。
【0051】
次に、遠隔自動RTGシステム制御装置50が複数のRTGクレーン10と複数の操作卓6とをどのように紐付けるかについて詳細に説明する。遠隔自動RTGシステム制御装置50の演算部52は、通信部51を介して、各操作卓6の空き状況に係る情報を取得する。操作卓6が空いている状態とは、操作卓6がいずれのRTGクレーン10にも紐付けられておらず、いずれのRTGクレーン10も操作できない状態である。操作卓6が空いていない状態とは、操作卓6がいずれかのRTGクレーン10に紐付けられて、当該RTGクレーン10を操作可能な状態である。なお、演算部52は、通信部51を介して、各RTGクレーン10からの操作要求を取得することができる。
【0052】
演算部52は、操作卓6に空きがある状態で、いずれかのRTGクレーン10の操作要求を取得した場合、空いているいずれかの操作卓6に、操作要求を発信しているRTGクレーン10を紐付ける。演算部53は、操作卓6に空きがない状態で、いずれかのRTGクレーン10の操作要求を取得した場合、操作卓6が空くまで、操作要求を発信しているRTGクレーン10を待機状態とする。更に、演算部52は、複数のRTGクレーン10が待機状態となっている場合、各RTGクレーン10の条件に基づいて、操作卓6を紐付ける順序を調整する。
【0053】
例えば、演算部52は、操作要求の先着順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。すなわち、演算部52は、待機状態となっているRTGクレーン10のうち、操作要求が早いRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付ける。
【0054】
また、演算部52は、操作要求の緊急度順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。すなわち、演算部52は、RTGクレーン10がどのような理由によって操作要求を出したかを把握すると共に、当該理由に対して緊急度のランク付けをし、緊急度が高いRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付ける。例えば、「安全上のリスクが高い状態を認知したもの」「トラックとのコンテナ移載に関わるもの」「システムの異常が発生したもの」「コンテナの自動積み付けや自動掴みに失敗したもの」のような項目が挙げられ、且つ、このような順序で緊急度を高く設定することができる。しかし、順位付けは特に限定されるものではなく、順位については設定を変更可能であってよく、項目を追加できてもよい。
【0055】
また、演算部52は、操作要求を発信しているRTGクレーン10での荷役のカテゴリに基づいて、空いた操作卓を紐付けてよい。すなわち、演算部52は、順位の高い荷役のカテゴリのRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付ける。例えば、「本船荷役」「外来トラック搬出入」「蔵置コンテナの配置換え」「待機移動」のような荷役のカテゴリが挙げられ、且つ、このような順序で順位を高く設定することができる。しかし、順位付けは特に限定されるものではなく、順位については設定を変更可能であってよく、項目を追加できてもよい。
【0056】
また、演算部52は、操作要求を発信しているRTGクレーン10の作業エリアに基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。すなわち、演算部52は、順位の高い荷役のカテゴリのRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付ける。例えば、「第1バース」「第2バース」「第3バース」のような作業エリアが挙げられ、且つ、このような順序で順位を高く設定することができる。しかし、順位付けは特に限定されるものではなく、順位については設定を変更可能であってよく、項目を追加できてもよい。
【0057】
また、演算部52は、操作要求を発信しているRTGクレーン10が作業を行っているコンテナの優先順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。すなわち、演算部52は、順位の高いコンテナに対する作業を行っているRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付ける。例えば、「最重要顧客コンテナ」「一般顧客コンテナ」のようなコンテナが挙げられ、且つ、このような順序で順位を高く設定することができる。しかし、順位付けは特に限定されるものではなく、順位については設定を変更可能であってよく、項目を追加できてもよい。
【0058】
上述のように、紐付け順序の調整のための所定の条件として、操作要求の先着順、操作要求の緊急度、荷役のカテゴリ、作業エリア、コンテナの優先順という条件を例示したが、演算部52は、何れかの条件をそれぞれ単独に条件設定して、空いた操作卓6とRTGクレーン10を紐付けして良いし、条件を組み合わせて条件設定してもよい。例えば、演算部52は、条件を組み合わせる場合、それぞれの条件に対して重み付けなどを行って、優先すべき条件と、優先度の低い条件とを設定してよい。例えば、演算部52は、各条件の順位や優先度に応じて点数などを設定して、得点の高いRTGクレーン10ほど、早く空いた操作卓6を紐付けてよい。なお、操作要求の条件は、RTGクレーン10のクレーン制御装置20が操作要求を送信するときに、操作要求に含まれる情報である。
【0059】
また、演算部52は、操作要求の先着順に基づく空いた操作卓6の紐付けの順序に対し、他の条件に基づいて順序の補正を行ってもよい。すなわち、演算部53は、上述の条件のうち、先着順をベースにして紐付けの順序を設定した後に、操作要求の緊急度、荷役のカテゴリ、作業エリア、コンテナの優先順を考慮して、紐付けの順序を補正する。
【0060】
また、演算部52は、操作要求を発信しているRTGクレーン10に空いた操作卓6を紐付ける順番待ちリストを作成し、リストの順に空いた操作卓6を紐付けてよい。なお、当該順番待ちリストは、オペレータなどに開示されてよい。
図4に順番待ちリストの具体例を示す。当該リストには、空いた操作卓6を紐付ける順序と、各順序に該当するRTGクレーン10の識別記号が示されている。なお、RTGクレーン10の識別記号はアルファベットで示されている。
図4(a)に示すように、待機状態のRTGクレーン10の順序が四番目まで示されている。これに対し、新たに「G」のRTGクレーン10から操作要求が出された場合、演算部52は、「G」の各条件を評価することで、「G」の優先順序が「F」よりも高いと判定する。この場合、
図4(b)に示すように、演算部52は、二番目に「G」を割り込ませ、「F」以降のRTGクレーン10の順序を一個下げる。これにより、演算部52は、操作卓6が空いたら、当該空いた操作卓6をリストの一番目の「A」のRTGクレーン10に紐付ける。そして、演算部52は、次に操作卓6が空いたら、当該空いた操作卓6をリストの二番目の「G」のRTGクレーン10に紐付ける。なお、
図4に示すリストは、順序のみを示すシンプルなものであるが、各RTGクレーンの状況をリストに記載してもよい。
【0061】
なお、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、前述のRTGクレーン10の自発的な操作要求とは別に、例えば異常時などに、強制的に固有の操作卓6と固有のRTGクレーン10とを紐付けてもよい。
【0062】
次に、
図5及び
図6に示すフローチャートを参照して、遠隔自動RTGシステム制御装置50が、操作要求を発信しているRTGクレーン10に対して、空いた操作卓6を紐付ける処理について説明する。
図5は、いずれかのRTGクレーン10が遠隔自動RTGシステム制御装置50へ操作要求を行った場合の、遠隔自動RTGシステム制御装置50での処理内容を示すフローチャートである。まず、演算部52は、通信部51を介して操作要求を取得する(ステップS10)。次に、演算部52は、操作卓6が空いているか否かを判定する(ステップS20)。このとき、演算部52は、操作卓6が空いていると判定した場合、当該空いている操作卓6に対して、操作要求を発信しているRTGクレーン10を紐付ける(ステップS40)。一方、演算部52は、操作卓6が空いていないと判定した場合、操作要求を発信しているRTGクレーン10に空いた操作卓6を紐付ける順番待ちリストを作成、あるいは(既にリストが作成されている場合は)リストを編集する(ステップS30)。これによって、演算部52は、操作卓6の空き状況に基づいて、RTGクレーン10との紐付けを調整することができる。ステップS30またはステップS40が終了したら、次の操作要求が送信されたタイミングで、ステップS10から再び処理が繰り返される。
【0063】
図6は、いずれかの操作卓6が空いた旨の情報を遠隔自動RTGシステム制御装置50へ送信した場合の、遠隔自動RTGシステム制御装置50での処理内容を示すフローチャートである。まず、演算部52は、通信部51を介して操作卓6が空いている旨の状況を示す情報を取得する(ステップS110)。次に、演算部52は、待機しているRTGクレーン10があるか否かを判定する(ステップS120)。このとき、演算部52は、待機しているRTGクレーン10が無いと判定した場合、操作卓6に操作要求を待機させる(ステップS140)。一方、演算部52は、待機しているRTGクレーン10があると判定した場合、順番待ちリストを読み出すと共に、当該順番待ちリストに基づいて、紐付けを行う(ステップS130)。ステップS130またはステップS140が終了したら、次の操作卓6が空いた旨の情報が送信されたタイミングで、ステップS110から再び処理が繰り返される。
【0064】
次に、本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100、遠隔自動RTGシステムの制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置50の作用・効果について説明する。
【0065】
本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100では、遠隔自動RTGシステム制御装置50が、複数のRTGクレーン10のうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信しているRTGクレーン10(操作要求RTGクレーン)に対して、複数の操作卓6のうち何れのRTGクレーン10とも紐付けられていない操作卓6(空き操作卓)を紐付ける。このとき、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求を発信しているRTGクレーンと空いた操作卓6との紐付けの順序を所定の条件に基づいて調整する演算部52を有する。従って、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作卓6が空いている場合には、空いた操作卓6を操作要求を発信しているRTGクレーン10に速やかに紐付けることができる。一方、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作卓6が空いておらず、待機中のRTGクレーン10が存在している場合は、次に操作卓6が空いたときに、どのようにRTGクレーン10を紐付けるかを状況に応じて適切に調整することができる。すなわち、RTGクレーン10の数に対して過剰な操作卓6を準備しなくとも、状況に合わせて適切なタイミングでRTGクレーン10と空いた操作卓6を紐付けることができる。以上より、RTGクレーン10の数に対する操作卓6の数を減少させることができる。
【0066】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求の先着順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、待機時間が長いRTGを優先的に空いた操作卓6に紐付けることができる。
【0067】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求の緊急度順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、緊急度が高いRTGクレーン10を優先的に空いた操作卓6に紐付けることができる。
【0068】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求を発信しているRTGクレーン10での荷役のカテゴリに基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、優先度の高いカテゴリの荷役に係るRTGクレーン10を優先的に空いた操作卓に紐付けることができる。
【0069】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求を発信しているRTGクレーン10の作業エリアに基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、優先度の高い作業エリアに係るRTGクレーン10を優先的に空いた操作卓6に紐付けることができる。
【0070】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求を発信しているRTGクレーン10が作業を行っているコンテナの優先順に基づいて、空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、優先度の高いコンテナに対して作業を行っているRTGクレーン10を優先的に空いた操作卓6に紐付けることができる。
【0071】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求の先着順に基づく空いた操作卓6の紐付けの順序に対し、他の条件に基づいて順序の補正を行ってよい。この場合、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求の先着順をベースにしつつ、他の条件を考慮して、空いた操作卓6の紐付けの順序を調整することができる。
【0072】
遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求を発信しているRTGクレーン10に空いた操作卓6を紐付ける順番待ちリストを作成し、リストの順に空いた操作卓6を紐付けてよい。この場合、順番待ちリストを参照することで、どのRTGクレーン10が何番目に空いた操作卓6に紐付けられるかを容易に把握することができる。このように、待機状態に係るRTGクレーン10の紐付けを考慮したリストが作成されることで、各RTGクレーン10の状況に合わせた待機状態を適切に把握することができるため、操作卓6を減らした場合であっても、システムの運用を適切に行うことができる。
【0073】
操作要求には、対象となるRTGクレーン10の状況を示す情報が含まれてよい。これにより、遠隔自動RTGシステム制御装置50は、操作要求に係るRTGクレーン10の状況を考慮して、空いた操作卓6との紐付けを調整することができる。
【0074】
本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100の制御方法は、複数のRTGクレーン10と、RTGクレーン10を操作可能な複数の操作卓と6、を備える遠隔自動RTGシステム100の制御方法であって、複数のRTGクレーン10のうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信しているRTGクレーン10に対して、複数の操作卓6のうち何れのRTGクレーン10とも紐付けられていない操作卓6を紐付ける順序を所定の条件に基づいて調整する。
【0075】
本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム制御装置50は、複数のRTGクレーン10と、RTGクレーン10を操作可能な複数の操作卓6と、を備える遠隔自動RTGシステム100を制御する遠隔自動RTGシステム制御装置50であって、複数のRTGクレーン10のうちオペレーターによる操作を要求する操作要求を発信しているRTGクレーン10に対して、複数の操作卓6のうち何れのRTGクレーン10とも紐付けられていない操作卓6を紐付ける順序を所定の条件に基づいて調整する。
【0076】
本実施形態に係る遠隔自動RTGシステム100の制御方法、及び遠隔自動RTGシステム制御装置50によれば、上述の遠隔自動RTGシステム100と同様の作用・効果を得ることができる。
【0077】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0078】
例えば、上述の実施形態においては、空いている操作卓6にRTGを紐付ける形態について説明したが、操作卓6は必ず空いているものに限定されず、空いている操作卓6が無い場合であっても、緊急度等に応じて、既に紐付けられた操作卓6に対して、開放の要求を出し、開放後、緊急度の高いRTGが紐付けられてよい。
【0079】
上述の実施形態においては、操作卓6及びRTGクレーン10とは異なる位置に設置された遠隔自動RTGシステム制御装置50が、RTGクレーン10と操作卓6との紐付けの調整を行ったが、操作卓6及びクレーン制御装置20が、遠隔自動RTGシステム制御装置の一部として機能してもよい。
【符号の説明】
【0080】
6…操作卓、10…RTGクレーン、50…遠隔自動RTGシステム制御装置(制御部)、100…遠隔自動RTGシステム。