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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】潤滑剤を含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20250212BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20250212BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20250212BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20250212BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20250212BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20250212BHJP
   A61F 13/64 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61F13/511 200
A61F13/15 140
A61F13/511 300
A61F13/514 213
A61F13/534 100
A61F13/53 200
A61F13/53 300
A61F13/535 100
A61F13/535 200
A61F13/64
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022568900
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 SE2020050496
(87)【国際公開番号】W WO2021230783
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・リュンベリ
(72)【発明者】
【氏名】シャビラ・アッバース
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0137544(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0069370(US,A1)
【文献】特表平10-509896(JP,A)
【文献】特表2018-504204(JP,A)
【文献】特表2017-531531(JP,A)
【文献】特表2010-525862(JP,A)
【文献】特開2012-187152(JP,A)
【文献】米国特許第05525346(US,A)
【文献】米国特許第05944705(US,A)
【文献】特開2004-255164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/511
A61F 13/15
A61F 13/514
A61F 13/534
A61F 13/53
A61F 13/535
A61F 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性のトップシート(102)、バックシート(103)、および、前記トップシート(102)と前記バックシート(103)との間に挟まれた吸収性コア(104)を備えた吸収性物品(100)であって、長手方向(L)および横断方向(T)に延在し、長手方向に見て、前方ウエスト部分(105)、後方ウエスト部分(106)、前記後方ウエスト部分と前記前方ウエスト部分(105)との間に配置された股部分(107)、並びに、前記股部分(107)と前記後方ウエスト部分(6)との間に配置されたお尻部分(108)を確定している、吸収性物品(100)において、
前記トップシート(102)が、潤滑剤を含む第1の潤滑剤ゾーン(109)を備え、前記第1の潤滑剤ゾーン(109)が前記お尻部分(108)の上に配置されており、
前記吸収性コア(104)は、第1の吸収層(114)および第2の吸収層(115)を含み、前記第1の吸収層(114)は、第1の吸収層前方エッジ(114a)および第1の吸収層後方エッジ(114b)を有し、前記第2の吸収層(115)は、第2の吸収層前方エッジ(115a)および第2の吸収層後方エッジ(115b)を有し、前記第1の吸収層(114)および前記第2の吸収層(115)はそれぞれ、当該吸収性物品(100)の平面におけるサイズおよび形状を有し、前記第2の吸収層(115)のサイズおよび形状は、当該吸収性物品(100)の平面における前記吸収性コア(104)のサイズおよび形状を確定し、前記第1の吸収層(14)は、当該吸収性物品(100)の長手方向(L)に見られるように、前記第2の吸収層(115)よりも短く、
前記第1の吸収層(114)および前記第2の吸収層(115)のそれぞれが超吸収性ポリマーを含み、
前記第1の吸収層(114)が上側吸収層で、前記第2の吸収層(115)が下側吸収層であり、前記上側吸収層での超吸収性ポリマーの量が、前記下側吸収層よりも1.6倍多いことを特徴とする、吸収性物品(100)。
【請求項2】
当該吸収性物品(100)は、本明細書に開示されている圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、60gsm(1平方メートルあたりのグラム)以下の再湿潤値1-6(Rewet 1-6 value)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品(100)。
【請求項3】
当該吸収性物品(100)は、本明細書に開示されている圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、30gsm以下の再湿潤値5(Rewet 5 value)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性物品(100)。
【請求項4】
前記吸収性物品(100)は、本明細書に開示されている圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、20gsm以下の再湿潤値4(Rewet 4 value)を有していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項5】
前記吸収性物品(100)は、本明細書に開示されている圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、10gsm以下の再湿潤値3(Rewet 3 value)を有していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項6】
前記第1の潤滑剤ゾーン(109)内の潤滑剤の量が、前記第1の潤滑剤ゾーン(109)において、前記トップシートの総重量に対し10重量ppmから10重量%であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項7】
前記第1の潤滑剤ゾーン(109)が、25cm以上の範囲内の表面積を有していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項8】
前記第1の潤滑剤ゾーン(109)が、お尻部分(108)および後方ウエスト部分(106)にわたって延在していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項9】
前記トップシート(102)が第2の潤滑剤ゾーン(112)を含み、前記第1の潤滑剤ゾーン(109)内の潤滑剤の量が、前記第2の潤滑剤ゾーン(112)内の潤滑剤の量よりも少なくとも25%多いことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品(100)。
【請求項10】
前記第2の潤滑剤ゾーン(112)が、当該吸収性物品(100)の使用者に面する側(110)の後方ウエスト部分(106)に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の吸収性物品(100)。
【請求項11】
前記第1の吸収層前方エッジが、前記第2の吸収層前方エッジから前方エッジ距離(d1)を隔てて配置され、前記第1の吸収層後方エッジ(114b)が、前記第2の吸収層後方エッジ(115b)から後方エッジ距離(d2)を隔てて配置され、前記前方エッジ距離(d1)と前記後方エッジ距離(d2)との比が1.5以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品(100)。
【請求項12】
当該吸収性物品(100)が、前記トップシート(102)と前記吸収性コア(104)との間に配置された移行層を含み、前記移行層が移行層前方エッジおよび移行層後方エッジを有し、前記移行層前方エッジが前記第2の吸収層前方エッジから第2の前方エッジ距離d3を隔てて配置され、前記移行層後方エッジが前記第2の吸収層後方エッジから第2の後方エッジ距離d4を隔てて配置され、前記第2の前方エッジ距離d3と前記第2の後方エッジ距離d4との比が1以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品(100)。
【請求項13】
当該吸収性物品(100)の後方ウエスト部分(106)が弾性糸を含まないことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品、および摩擦が低減されたベルトタイプの吸収性物品に関する。特に、本開示は、第1の潤滑剤ゾーンにおいて潤滑剤でコーティングされたトップシートを備えた、吸収性物品およびベルトタイプの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示が関する種類の吸収性物品は、トップシートが使用者の皮膚に面するように皮膚に装着される。皮膚に直接接触する製品のすべての使用は、望ましくない副作用につながり得る。これらは、皮膚と吸収性物品との間の閉塞、湿気、および摩擦などの機械的要因の結果として発生し得る。これらの要因はすべて、程度の差こそあれ相互作用し、互いの影響を増幅させ、前記物品の使用者に異なる形態の皮膚刺激を引き起こし得る。体に面する材料は柔らかく柔軟な素材で作られているが、使用中に肌にこすりつけられ、肌が完全に乾燥せず、体液のない状態にされ得る。濡れた後、機械的摩擦、特に材料と皮膚との間のいわゆる湿式摩擦により、皮膚刺激のリスクが高まり得る。
【0003】
機械的な不快感の1つの理由は、まとわりつき、つまり、発汗、汗および尿などの少量の水分の存在下で吸収性製品と人間の皮膚との間に作用する力に関連する。粘着は、少量の水分の存在下で固体材料とサポート面との間に作用する垂直方向の力として説明され得る。濡れたまたは湿った製品と皮膚との間で湿潤摩擦が発生する。湿潤摩擦は、表面素材と皮膚との間で、製品内または境界に少量の水分または液体が存在する場合でも生じ得る。乾燥摩擦は、乾いた製品と皮膚との間に発生する。
【0004】
吸収性物品と使用者の皮膚との間の摩擦およびトップシート材料に加えられる圧力は、特に、失禁用物品を多く使用する寝たきりの介護者および夜間に使用される吸収性物品に不快感および皮膚刺激を引き起こし得る。寝たきりの介護者は、体位を変えずに長時間留まることが多く、身体の特定の領域に高い圧力がかかる。特に、介護者が仰向けでいる時間が長いため、仙骨部にかかる圧力が高くなり得る。
【0005】
寝たきりの介護者のために吸収性物品を交換するとき、特に夜間に、介護人はしばしば介護者にお尻を持ち上げるように頼み、使用済みの物品を介護者の下から引き出し、介護者の臀部の下に配置される新しい物品を臀部の下に配置する。あるいは、介護者は、物品が患者の下に折り畳まれるように一方の側から向きを変え、続いて汚れた物品を取り除き、新しい物品を介護者に適用できるように他方の側に向きを変える。しかしながら、どちらの場合も、汚れた物品の除去は、吸収性物品の後部/お尻部分が患者の下から引き出されることを伴うことが多く、吸収性物品の後部/お尻部分、サイドパネルまたは吸収性のベルトと介護者の皮膚との間に摩擦が生じる。
【0006】
したがって、湿潤と介護者の動きのパターンとの両方により、吸収性物品の特定の領域に生じるせん断力が高くなり得る。
【0007】
クリーム、ローション、または軟膏は、摩擦を減らし、肌の状態を改善するために使用され得る。しかしながら、そのような疎水性組成物の使用は、吸収性物品の吸収性能に悪影響を及ぼし、物質および組成物を使用者の皮膚に移すことが常に望ましいとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、長時間の使用および大きな湿潤後に改善された皮膚効果をもたらす、吸収性物品および/または重い失禁用物品などのベルトタイプの吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的の1つまたは複数は、請求項1による吸収性物品および/または請求項28によるベルトタイプの吸収性物品によって達成され得る。本発明のさらなる利点および有利な特徴は、以下の説明および従属請求項に開示されている。
【0010】
第1の態様では、本開示は、液体透過性トップシート、バックシート、および、トップシートとバックシートとの間に挟まれた吸収性コアを備えた、おむつや成人用失禁物品などの吸収性物品に関する。吸収性物品は長手方向および横断方向に延在する。吸収性物品は、長手方向に見て、前方ウエスト部分、後方ウエスト部分、および、前方ウエスト部分と後方ウエスト部分との間に配置された股部分を画定している。股部分と後方ウエスト部との間にお尻部分が配置される。トップシートは、潤滑剤が供給された第1の潤滑剤ゾーンを含み、第1の潤滑剤ゾーンはお尻部分の上に配置される。
【0011】
「吸収性物品」という用語は、尿や糞便などの体の滲出物を吸収して封じ込めるために、着用者の皮膚に当てて配置される製品を指す。本出願は、主に使い捨て吸収性物品に言及しており、これは、吸収性物品として洗濯または復元若しくは再利用することを意図していない物品を意味する。使い捨て吸収性物品としては、パンツ型おむつ、オープン型おむつ、ベルトタイプの吸収性物品等が挙げられる。
【0012】
吸収性物品のトップシートは、使用中に着用者に面する層である。トップシートは、繊維不織布層であり得る。
【0013】
お尻部分は、使用中に着用者の仙骨領域に面する吸収性物品の部分である。お尻部分は、吸収性コアの後方エッジと、吸収性物品の後方ウエストエッジから吸収性物品の全長の40%の距離に配置された横移行線との間に延在し得る。お尻部分は、吸収性物品の長手方向の中心線の上に重なる。
【0014】
不織布材料または有孔プラスチックフィルムまたはネットなどのトップシート材料と使用者の皮膚との間に発生する摩擦は、液体/水分が存在しない場合とは異なる。水分が汗や他の体液に由来する場合など、存在する水分が非常に少量であっても、表面材料と使用者の皮膚との間に発生する摩擦力に影響を与える。したがって、製品の全体的な使用中の機械的不快感が減少するように、吸収性物品の吸収特性および表面層を注意深く設計することが重要であることが見出された。
【0015】
寝たきりの介護者は、多くの場合、姿勢を変えずに長時間そのままで、特に仰向けになっている。したがって、仙骨領域などの体の特定の領域に対する圧力は、吸収性物品のお尻部分領域に対応する領域で高くなり得る。吸収性物品を取り外すとき、特に夜間に、介護者の身体からの圧力がこの領域に加えられ、吸収性物品の後部/お尻部分の間に高い摩擦が生じる。寝たきりの介護者は高齢の介護者であることが多いため、これらの介護者の皮膚はより薄く、より脆弱であることが多く、摩擦を減らすことの重要性が増している。
【0016】
圧力下での再湿潤値(Rewet Under Pressure value)は、吸収性物品の使用者が横になっているときに、シミュレートされた使用中の圧力条件下で吸収性物品の圧力領域に生じる、0.9%生理食塩水を保持する吸収性物品の能力の測定値に基づく。圧力下での再湿潤値を測定する方法は、本明細書において以下に開示されている。圧力領域、つまり仙骨領域および会陰領域の乾燥ゾーンでの低再湿潤は、特に寝たきりの介護者にとって、せん断力が高くなり得る領域での湿潤摩擦の減少につながる。圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)は、本明細書の以下に開示され、0.9NaCl溶液の5回の100ml投与の追加を含む。吸収性物品を6時間加圧した状態で、再湿潤値3(Rewet 3 value)は3回目の投与後に測定され、再湿潤値4(Rewet 4 value)は4回目の投与後に測定され、再湿潤値5(Rewet 5 value)は5回目の投与後に測定され、再湿潤値6(Rewet 6 value)は5回目の投与の6時間後に測定される。
【0017】
物品は、本明細書に開示される圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、20gsm以下、または15gsm以下、または13gsm以下、または11gsm以下の再湿潤値6(Rewet 6 value)を有し得る。
【0018】
本発明者らは、本開示による再湿潤値6(Rewet 6 value)を有する吸収性物品のトップシートのお尻部分領域に潤滑剤を供給した場合、機械的不快感の驚くべき重要な減少が得られ、長期間の使用および/または大きな湿潤の後、吸収性物品の使用者の皮膚の健康が著しく向上し得ることを発見した。
【0019】
吸収性物品は、5gsm~23gsmの範囲内のような、本明細書に開示される5回目の投与後に圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、30gsm以下または23gsm以下の再湿潤値5(Rewet 5 value)を有し得る。
【0020】
吸収性物品は、2gsm~12gsmの範囲内のような、本明細書に開示される4回目の投与後に圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、20gsm以下または12gsm以下の再湿潤値4(Rewet 4 value)を有し得る。
【0021】
吸収性物品は、1gsm~5.5gsmの範囲内のような、本明細書に開示される3回目の投与後に圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、10gsm以下または5.5gsm以下の再湿潤値3(Rewet 3 value)を有し得る。
【0022】
第1の潤滑剤ゾーンは、お尻部分および後方ウエスト部分に配置され得る。後方ウエスト部分は中央後方ウエスト部分であり得る。後方ウエスト部分は、中央後方ウエスト部分と、横断方向に見て中央後方ウエスト部分のそれぞれの側に配置された第1および第2の横後方ウエスト部分とを含み得る。
【0023】
後方ウエスト部分は、吸収性物品の後方ウエストエッジからお尻部分に向かって延在する。後方ウエスト部分は、吸収性コアの後端エッジと後方ウエストエッジとの間に延在し得る。
【0024】
第1の潤滑剤ゾーンは、介護者の仙骨領域と接触するように配置されることが意図されている。これは、吸収性物品の使用中、特に横になっているときに高圧レベルにさらされることが多い領域である。
【0025】
第1の潤滑剤ゾーンは、25cm以上、任意選択で25cmから600cmの範囲内の表面積を有し得る。
【0026】
第1の潤滑剤ゾーンは、トップシートの全表面積の1~30%、またはトップシートの全表面積の2~25%、または5~20%の表面積を有し得る。
【0027】
第1の潤滑剤ゾーン(109)中の潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーン(109)中のトップシートの総重量に対して10ppmから10重量%であり、または、第1の潤滑剤ゾーン(109)内のトップシートの総重量に対して、0.05重量%から2重量%、若しくは、0.1重量%から2重量%であり得る。
【0028】
任意選択で、トップシートは、第1の潤滑剤ゾーン全体にわたって測定して、0.3から4.0gsmの潤滑剤または0.3から2.0gsmの潤滑剤を含み得る。このようなレベルが、改善された湿潤摩擦をもたらすことがわかっている。
【0029】
潤滑剤は、例えば、噴霧(spraying)、キスローリング(kiss rolling)、または浸漬(dipping)などの任意の適切な方法または方法の組み合わせによって塗布され得る。塗布前に潤滑剤を水と混合する必要がある塗布方法の場合、潤滑剤は、水とよく混合するために8~18の範囲内のHLBを有し得る。
【0030】
本明細書における「HLB」は、親水性親油性バランス(hydrophilic-lipophilic balance)を意味する。当業者に知られているように、化合物のHLBは、親油性または親水性の程度の尺度である。HLB値は、化合物の異なる領域の値を計算することによって決定され得る。HLB値を決定する1つの方法は、1954年の Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 5 (4): 249-56 に記載されている Griffin 法である。
【0031】
潤滑剤は、500g/mol以上、または、例えば1000g/mol以上の分子量を有し得る。500g/モル以上または1000g/モル以上の分子量を有する潤滑剤は、繊維不織布から使用者の皮膚へ、および/または、下にある吸収性コアなどの吸収性物品へと下方に移行する傾向がより少ない。したがって、これは、吸収性物品の着用者に面する側に対する潤滑剤の効果を延長する。さらに、潤滑剤は500g/mol以上または1000g/mol以上の分子量を有し得るので、潤滑剤の一部が繊維不織布から使用者の皮膚に移行する場合、皮膚バリアを通過しない。
【0032】
潤滑剤はコーティングに適用され、潤滑剤を含むコーティングは、5.0重量%以下、または1.0重量%以下であり得る。したがって、コーティングは、5.0重量%以下、または1.0重量%以下の含水量を有する潤滑剤であり得る。トップシート上にもたらされるコーティングは、吸収性物品の使用中ずっとトップシート上に残るように意図されており、トップシートから移行しやすい液体または半液体の組成物よりも、比較的乾燥したコーティングがトップシート上により多く残る。コーティングが比較的乾燥したコーティングであり得るいう事実は、経時的に湿潤摩擦低減効果を高めることがわかっている。潤滑剤がお尻部分により多く留まり得るため、潤滑剤は、5.0重量%以下または1.0重量%以下の含水量を有し得ることも有益である。
【0033】
トップシートは、潤滑剤を含まないゾーンである少なくとも1つの表面ゾーンを含み得る。股部分に潤滑剤を含まないゾーンも設けられ得る。股部分に設けられた潤滑剤のないゾーンは、50cm以上、任意選択で50cmから600cmの範囲内の表面積を有し得る。前方ウエスト部分もまた、潤滑剤を含まないゾーンを有し得る。
【0034】
寝たきりの介護者は、使用中にウエスト前部および股部分の両方が肌に触れる。しかしながら、これらの部分は使用中に皮膚と接触していても、領域は皮膚に対して圧力をかけず、これらの領域における皮膚とトップシートとの間の剪断力はそれほど重要ではない。
【0035】
トップシートは、第2の潤滑剤ゾーンを含んでもよく、第2の潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーンよりも少なくてもよい。
【0036】
第1の潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第2の潤滑剤ゾーンよりも少なくとも25%多くてもよい。
【0037】
第2の潤滑剤ゾーンは、物品の使用者に面する側の後方ウエスト部分に設けられ得る。第2の潤滑剤ゾーンは、第1の潤滑剤ゾーンのそれぞれの横側に配置され得る。
【0038】
潤滑剤は、ワックス、脂肪酸エステル潤滑剤からなる一群から選択されるアルコキシル化ジエステルを含む潤滑剤またはシリコーン油を含む潤滑剤のいずれか1つまたはその組み合わせであり得る。アルコキシル化ジエステルは、ミリスチルアルコール(myristyl alcohol)およびアジピン酸のアルコキシル化ジエステルであり得る。シリコーン油はポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)であり得る。
【0039】
お尻部分の吸収性物品の厚さは、WSP120.6.R4 (12) によって測定したとき、0.5kPaで4mm以上であり得る。任意選択で、お尻部分における吸収性物品の厚さは、0.5kPaで5mm以上、または、0.5kPaで6mm以上、例えば30mmまでであり得る。
【0040】
バックシートは、24時間当たりの1平方メートル当たり少なくとも3500grmsの水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate:WVTR)を規定する透湿性バックシートであり得る。
【0041】
通気性のあるバックシートは、表面層の水分を少なくし、潤滑剤と低圧力下での再湿潤値(low Rewet Under Pressure value)との組み合わせで、皮膚の健康を増進し、吸収性物品と着用者の皮膚との間の摩擦を減少させる。
【0042】
トップシートは、繊維不織布層であってもよく、任意選択で、実質的にポリオレフィン繊維などの熱可塑性繊維からなる繊維不織布層であり得る。
【0043】
吸収性コアは、第1の吸収層と第2の吸収層とを含み、第1の吸収層は、第1の吸収層前方エッジおよび第1の吸収層後方エッジを有し、第2の吸収層は、第2の吸収層前方エッジおよび第2の吸収層後方エッジを有し、吸収層はそれぞれ、吸収性物品の平面におけるサイズおよび形状を有する。第2の吸収層のサイズおよび形状は、吸収性物品の平面における吸収性コアのサイズおよび形状を規定することができ、第1の吸収層は、吸収性物品の長手方向に見られるように、第2の吸収層よりも短くてもよい。
【0044】
第1および第2の吸収層のそれぞれは、超吸収性ポリマーを含み得る。
【0045】
第1の吸収層は上側吸収層であり、第2の吸収層は下側吸収層であり、上側吸収層での超吸収性ポリマーの量が、下側吸収層よりも1.6倍多く、任意選択で、下側吸収層よりも1.7倍多くなり、任意選択で、上側吸収層での量が、下側吸収層よりも最大4倍まで多くなり得る。
【0046】
第1の吸収層前方エッジは、第2の吸収層前方エッジから前方エッジ距離d1に配置され、第1の吸収層後方エッジは、第2の吸収層後方エッジから後方エッジ距離d2に配置され、前方エッジ間隔d1および後方エッジ間隔d2との比が1.5以上であり得る。
【0047】
吸収性物品は、トップシートと吸収性コアとの間に配置された移行層を含み、移行層は、移行層前方エッジおよび移行層後方エッジを有し得る。移行層前方エッジは、第2の吸収層前方エッジから第2の前方エッジ距離d3を隔てて配置され、移行層後方エッジは、第2の吸収層後方エッジから第2の後方エッジ距離d4を隔てて配置され、第2の前方エッジ距離d3と第2の後方エッジ距離d4との比は1以上であり得る。
【0048】
吸収性物品の後方ウエスト部分には弾性糸がなくてもよい。
【0049】
物品は、開放おむつタイプ、パンツおむつまたはベルトタイプの吸収性物品のような、おむつまたは失禁用物品によって構成され得る。
【0050】
吸収性物品は、成人用の失禁用吸収性物品であり得る。
【0051】
吸収性物品は、オーバーナイト吸収性物品であり得る。
【0052】
第2の態様によれば、本開示は、ベルトタイプの吸収性物品に関する。吸収性物品は、吸収性パッドと、パッドが取り外し可能に取り付けられる別個のベルトとを備えたベルト付き吸収性物品であり、このベルトは、物品が着用されているときにパッドを保持するために着用者のウエストの周りに配置される。吸収性パッドは、液体透過性のトップシート、バックシート、および、トップシートとバックシートの間に挟まれた吸収性コアを含む。吸収性パッドは、長手方向および横断方向に延在する。吸収性パッドは、長手方向に見て、前方ウエスト部分、後方ウエスト部分、および、後方ウエスト部分と前方ウエスト部分との間に配置された股部分を画定する。股部分と後方ウエスト部との間にお尻部分が配置される。第1の潤滑剤ゾーンは、吸収性物品のお尻部分のトップシート上に配置される。別個のベルトには、ベルト潤滑剤ゾーンに潤滑剤が供給される。
【0053】
ベルト潤滑剤ゾーン内の潤滑剤の量は、cm当たりの潤滑剤のグラム、すなわち平方メートル当たりのグラム(gsm)で測定されるように、第1の潤滑剤ゾーン内の潤滑剤の量よりも少なくてもよい。ベルト潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーンよりも少なくとも10%少なくてもよい。ベルト潤滑剤ゾーン内の潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーンよりも少なくとも20%または30%少なくてもよい。ベルト潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーンよりも20%から80%少なくてもよい。
【0054】
第1の潤滑剤ゾーンは、お尻部分および後方ウエスト部分の両方に配置され得る。後方ウエスト部分は中央後方ウエスト部分であり得る。後方ウエスト部分は、中央後方ウエスト部分と、横断方向に見て中央後方ウエスト部分のそれぞれの横側に配置された第1および第2の横後方ウエスト部分とを含み得る。お尻部分は、吸収性コアの最後部と重なり合い得る。
【0055】
ベルトタイプの吸収性物品は、オーバーナイト吸収性物品であり得る。
【0056】
本開示の第2の態様によるベルトタイプの吸収性物品は、前方および後方ウエスト領域を有し、胴体下部の比較的広い領域を覆うため、皮膚の特定の部分に閉塞を生じさせ、それによって皮膚の水分過剰を引き起こし得る。また、ベルトは使用者のウエストにきつくフィットするため、使用者がベルトタイプの吸収性物品を着用している間に動き回ると摩擦が生じ得る。不織布材料などのトップシート材料と使用者の皮膚との間に発生する摩擦は、液体/水分が存在しないときと、液体/水分が存在するときでは異なる。汗やその他の体液に由来する非常に少量の水分でさえ、トップシート素材と使用者の皮膚との間に発生する摩擦力に影響を与える。
【0057】
機械的不快感の主な原因の1つは、「まとわりつき」、つまり水分(発汗、汗、尿)の存在下において吸収性製品と人間の皮膚との間に作用する力に関連していることがわかっている。吸収性製品は、その領域が実質的に乾燥しているときだけでなく、発汗や他の体液の存在によってその領域が湿っている場合でも、使用者の皮膚と製品との間の摩擦を低減する。
【0058】
寝たきりの介護者は、多くの場合、姿勢を変えることなく、特に仰向けに横たわっている時間が長くなる。したがって、仙骨領域などの体の特定の領域に対する圧力は、吸収性物品の臀部領域に対応する領域で高くなり得る。ベルトタイプの吸収性物品を取り外すとき、介護者の身体からの圧力がこの領域に加えられ、吸収性物品の後部/お尻部分の間に高い摩擦が生じる。吸収性物品を下向きに引っ張ると、ベルトは介護者の臀部領域とも接触する可能性があり、結果として高い剪断力が生じる。これは、高齢の介護者であることが多いため、皮膚はより薄く、より脆弱であることが多く、摩擦を減らすことの重要性が増す。
【0059】
後方ウエスト部分は、吸収性パッドの後方ウエストエッジからお尻部分に向かって延在する。後方ウエスト部分は、吸収性コアの後端エッジと後方ウエストエッジとの間に延在し得る。
【0060】
お尻部分は、使用中に着用者の仙骨領域に面する吸収性パッドの部分である。お尻部分は、吸収性コアの後方エッジと、吸収性物品の後方ウエストエッジから吸収性物品の全長の40%の距離に配置された横断移行線との間に延在し得る。お尻部分は、吸収性パッドの長手方向の中心線の上に重なる。
【0061】
股部分の長さは、吸収性パッドの長さの20%から25%であり、吸収性パッドの前方ウエストエッジおよび後方ウエストエッジに対して等距離で配置され得る。
【0062】
お尻部分の長さは、吸収性パッドの長さの25%から35%であり得る。
【0063】
第1の潤滑剤ゾーンは、介護者の仙骨領域と接触するように配置される。これは、吸収性物品の使用中、特に横になっているときに高圧レベルにさらされることが多い領域である。
【0064】
潤滑剤は、例えば噴霧(spraying)、キスローリング(kiss rolling)、または浸漬(dipping)などのいくつかの異なる方法によって塗布され得る。塗布前に潤滑剤を水と混合する必要がある塗布方法の場合、潤滑剤は、水とよく混合するために8~18の範囲内のHLBを有し得る。
【0065】
吸収性パッドは、本明細書に開示される圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定されるとき、20gsm以下または13gsm以下の再湿潤値6(Rewet 6 value)を有し得る。本発明者らは、本開示による再湿潤値6(Rewet 6 value)を有する吸収性物品のトップシートのお尻部分領域に潤滑剤を供給すると、機械的不快感の驚くほどの大きな減少が達成され、ベルトタイプ吸収性物品を長期間にわたって使用する際、および/または、大きな湿潤の後、ベルトタイプ吸収性物品の使用者の皮膚の健康状態が向上し得ることを発見した。
【0066】
圧力下での再湿潤値(Rewet Under Pressure value)は、シミュレートされた使用中の圧力および横になった位置での圧力領域の下で、吸収性物品が0.9%生理食塩水を保持する能力の測定値に基づく。圧力下での再湿潤値(Rewet Under Pressure value)を測定する方法は、本明細書では以下に開示されている。
【0067】
本明細書における「HLB」は、親水性親油性バランス(hydrophilic-lipophilic balance)を意味する。当業者に知られているように、化合物のHLBは、親油性または親水性の程度の尺度である。HLB値は、化合物の異なる領域の値を計算することによって決定され得る。HLB値を決定する1つの方法は、1954年の Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 5 (4): 249-56 に記載されている Griffin 法である。
【0068】
潤滑剤は、500g/mol以上、または、例えば1000g/mol以上の分子量を有し得る。500g/モル以上または1000g/モル以上の分子量を有する潤滑剤は、繊維不織布から使用者の皮膚へ、および/または、下にある吸収性コアなどの吸収性物品へと下方に移行する傾向がより少ない。したがって、これは、吸収性物品の着用者に面する側に対する潤滑剤の効果を延長する。さらに、潤滑剤は500g/mol以上または1000g/mol以上の分子量を有し得るので、潤滑剤の一部が繊維不織布から使用者の皮膚に移行する場合、皮膚バリアを通過しない。
【0069】
潤滑剤はコーティングに適用され、潤滑剤を含むコーティングは、5.0重量パーセント未満、または1.0重量パーセント未満の含水量を有し得る。トップシート上にもたらされるコーティングは、吸収性物品の使用中ずっとトップシート上に残るように意図されており、5.0重量パーセント未満または1.0重量パーセント未満の含水量を有するコーティングは、トップシートから移行しやすく、お尻部分からも移行しやすい可能性のある、液体または半液体の組成物よりも多くトップシート上に残る。コーティングが5.0重量パーセント未満または1.0重量パーセント未満の含水量を有するということも、経時的に湿潤摩擦低減効果を高めることが見出された。
【0070】
トップシートは、潤滑剤を含まないゾーンである少なくとも1つの表面ゾーンを含み得る。股部分に潤滑剤を含まないゾーンも設けられ得る。股部分に設けられた潤滑剤のないゾーンは、50cm以上、任意選択で50cmから600cmの範囲内の表面積を有し得る。前方ウエスト部分もまた、潤滑剤を含まないゾーンを有し得る。
【0071】
寝たきりの介護者は、使用中にウエスト前部および股部分の両方が肌に触れる。しかしながら、これらの部分は使用中に皮膚と接触していても、領域は皮膚に対して圧力をかけず、これらの領域における皮膚とトップシートとの間の剪断力はそれほど重要ではない。
【0072】
トップシートは、第2の潤滑剤ゾーンを含んでもよく、第2の潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第1の潤滑剤ゾーンよりも少なくてもよい。
【0073】
第1の潤滑剤ゾーンの潤滑剤の量は、第2の潤滑剤ゾーンよりも少なくとも25%多くてもよい。
【0074】
第2の潤滑剤ゾーンは、物品の使用者に面する側の後方ウエスト部分に設けられ得る。第2の潤滑剤ゾーンは、第1の潤滑剤ゾーンのそれぞれの横側に配置され得る。
【0075】
潤滑剤は、ワックス、シリコーン油を含む潤滑剤、または、脂肪酸エステル潤滑剤からなる一群から選択されるアルコキシル化ジエステルを含む潤滑剤のいずれか1つまたはその組み合わせであり得る。アルコキシル化ジエステルは、ミリスチルアルコール(myristyl alcohol)およびアジピン酸のアルコキシル化ジエステルであり得る。シリコーン油はポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)であり得る。
【0076】
お尻部分の吸収性物品の厚さは、WSP120.6.R4 (12) によって測定したとき、0.5kPaで4mm以上であり得る。任意選択で、お尻部分における吸収性物品の厚さは、0.5kPaで5mm以上、または、0.5kPaで6mm以上、例えば30mmまでであり得る。
【0077】
バックシートは、24時間当たりの1平方メートル当たり少なくとも3500grmsの水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate:WVTR)を規定する透湿性バックシートであり得る。
【0078】
通気性のあるバックシートは、表面層の水分を少なくし、潤滑剤と低圧力下での再湿潤値(low Rewet Under Pressure value)との組み合わせで、皮膚の健康状態を増進させ、吸収性物品と着用者の皮膚との間の摩擦を減少させる。
【0079】
トップシートは、繊維不織布層であってもよく、任意選択で、実質的にポリオレフィン繊維などの熱可塑性繊維からなる繊維不織布層であり得る。
【0080】
吸収性コアは、第1の吸収層と第2の吸収層とを含み、第1の吸収層は、第1の吸収層前方エッジおよび第1の吸収層後方エッジを有し、第2の吸収層は、第2の吸収層前方エッジおよび第2の吸収層後方エッジを有し、吸収層はそれぞれ、吸収性物品の平面におけるサイズおよび形状を有する。第2の吸収層のサイズおよび形状は、吸収性物品の平面における吸収性コアのサイズおよび形状を規定することができ、第1の吸収層は、吸収性物品の長手方向に見られるように、第2の吸収層よりも短くてもよい。
【0081】
第1および第2の吸収層のそれぞれは、超吸収性ポリマーを含み得る。
【0082】
第1の吸収層は上側吸収層であり、第2の吸収層は下側吸収層であり、上側吸収層での超吸収性ポリマーの量が、下側吸収層よりも1.6倍多く、任意選択で、下側吸収層よりも1.7倍多くなり、任意選択で、上側吸収層での量が、下側吸収層よりも最大4倍まで多くなり得る。
【0083】
第1の吸収層前方エッジは、第2の吸収層前方エッジから前方エッジ距離d1に配置され、第1の吸収層後方エッジは、第2の吸収層後方エッジから後方エッジ距離d2に配置され、前方エッジ間隔d1および後方エッジ間隔d2との比が1.5以上であり得る。
【0084】
吸収性物品は、トップシートと吸収性コアとの間に配置された移行層を含み、移行層は、移行層前方エッジおよび移行層後方エッジを有し得る。移行層前方エッジは、第2の吸収層前方エッジから第2の前方エッジ距離d3を隔てて配置され、移行層後方エッジは、第2の吸収層後方エッジから第2の後方エッジ距離d4を隔てて配置され、第2の前方エッジ距離d3と第2の後方エッジ距離d4との比は1以上であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0085】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例によって、以下でさらに説明される。
【0086】
図1】本開示による吸収性物品を示す
図2】本開示によるベルトタイプの吸収性物品を示す。
図3】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)で使用するための固定具を示す。
図4a】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で使用するための2つのレッグブロックのうちの1つを示す。
図4b】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で使用するための2つのレッグブロックのうちの1つを示す。
図4c】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で使用するための2つのレッグブロックのうちの1つを示す。
図5a】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で使用するための臀部テンプレートを示す。
図5b】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で使用するための臀部テンプレートを示す。
図6】本明細書に開示される圧力下での再湿潤法で試験する前に、サイドシームに沿って切断され、マーク(印)が付けられた、引き伸ばされた吸収性物品を示す。
図7a】本明細書に開示された圧力下での再湿潤法で試験された吸収性物品を示す。
図7b】本明細書に開示された圧力下での再湿潤法で試験された吸収性物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下、例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、図面およびその説明で示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0088】
図1は、本開示による吸収性物品100を概略的に示す。吸収性物品100は、パンツタイプの吸収性物品である。吸収性物品は、液体透過性のトップシート102、バックシート103、および、トップシート102とバックシート103との間に挟まれた吸収性コア104を含む。吸収性物品100は、長手方向Lおよび横断方向Tに延在する。吸収性物品100は、長手方向Lに見られるように、前方ウエスト部分105、後方ウエスト部分106、および、前方ウエスト部分105と後方ウエスト部分106との間に配置された股部分107を画定する。
【0089】
トップシート102は、潤滑剤が供給された第1の潤滑剤ゾーン109を含み、第1の潤滑剤ゾーン109は、お尻部分108と後方ウエスト部分106の中央部分106aとの上に配置され、吸収性物品100の長手方向中心線C上にある。第1の潤滑剤ゾーン109における潤滑剤の量は、コーティングされた全面積にわたって測定して、トップシートの少なくとも0.1重量%である。任意選択で、トップシートは、コーティングされた全面積にわたって測定して、0.3重量%または0.5重量%の潤滑剤を含み得る。このようなレベルが、改善された湿潤摩擦を提供することがわかっている。
【0090】
トップシートは、スパンボンド(spunbonded)、メルトブローン(meltblown)、カード(carded)、ハイドロエンタングル(hydroentangled)、ウェットレイド(wetlaid)などの繊維不織布層を含むか、またはそれらから構成され得る。適切な不織材料は、木材パルプまたは綿繊維などの天然繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらのブレンドおよび組み合わせである合成熱可塑性繊維、或いは、天然繊維および合成繊維の混合物で構成され得る。トップシートの素材としては、柔らかくて肌に刺激がなく、尿などの体液が浸透しやすい素材が適している。トップシート材料は、実質的に、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、およびそれらのブレンドおよび組み合わせなどの合成熱可塑性繊維からなり得る。合成繊維は、単成分繊維、二成分繊維、或いは、ポリエステル、ポリアミド、および/または、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィンを含む多成分繊維であり得る。トップシートおよび繊維不織布層が熱可塑性合成繊維から「実質的になり」得ることは、繊維の少なくとも95%が熱可塑性合成繊維であり、例えば不織布材料中の繊維の少なくとも99%、少なくとも100%が非吸収性繊維であることを意味する。しかしながら、トップシート材料および繊維材料は、当業者に知られているように、例えば結合剤(binders)および顔料(pigments)などのような、少量存在するさらなる物質を含み得る。
【0091】
バックシートは、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルム、液体不透過性材料でコーティングされた不織布材料、液体の浸透に抵抗する疎水性不織布材料のような、薄いプラスチックフィルムから構成され得る。プラスチックフィルムおよび不織布材料のラミネートも使用され得る。バックシート素材は通気性があり、吸収構造から蒸気を逃がす一方、液体がバックシート素材を通過するのを防ぎ得る。あるいは、バックシート素材は非通気性であってもよい。
【0092】
前方ウエスト部分105および後方ウエスト部分106は、2つの対向する長手方向側方エッジ116、117、118、119に沿って互いに接合されて、ウエスト開口部と一対のレッグ開口部を画定するように意図されている。図1に示される吸収性物品100は、前方ウエスト部分105に前方弾性体120を含み、後方ウエスト部分6と部分的なお尻部分108とに後方弾性体121を含む。前方弾性体120および後方弾性体121のそれぞれは、吸収性物品100の横断方向Tに、それぞれ対向する長手方向側方エッジ116、117、118、119の間に延在する。前方ウエスト部分105は前方ウエストエッジ105aを有し、後方ウエスト部分106は後方ウエストエッジ106aを有する。
【0093】
吸収性コア104は、第1の吸収層114および第2の吸収層115を含む。第1の吸収層114は、トップシート102と第2の吸収層115との間に配置された上側吸収層である。第1の吸収層114は、第1の吸収層前方エッジ114aおよび第1の吸収層後方エッジ114bを有する。第2吸収層115は、第2吸収層前方エッジ115aおよび第2吸収層後方エッジ115bを有する。吸収層114、115はそれぞれ、吸収性物品100の平面におけるサイズおよび形状を有し、第2の吸収層115のサイズおよび形状は、吸収性物品100の平面における吸収性コア104のサイズおよび形状を規定する。第1の吸収層114は、吸収性物品100の長手方向Lに見られるように、第2の吸収層115よりも短い。第1の吸収層前方エッジ114aは、第2の吸収層前方エッジ115aから前方エッジ距離d1に配置され、第1の吸収層後方エッジ114bは、第2の吸収層後方エッジ115bから後方エッジ距離d2に配置され、前方エッジ距離d1と後方エッジ距離d2との比が1.5以上である。したがって、第1吸収層114は、第2吸収層115よりも後方に配置されている。
【0094】
お尻部分108は、股部分107と後方ウエスト部分106との間に配置される。この図では、股部分107およびお尻部分108の移行部は、後方ウエストエッジ106bから、吸収性物品100の全長の40%の距離に配置される。ここで、お尻部分108の長さは、吸収性コア104の全長の25%から35%である。この図では、後方ウエスト部分106とお尻部分108との間の移行部は、第1の吸収層後方エッジ114bと一致する。
【0095】
吸収性コアは、任意の従来の種類のものであり得る。一般に存在する吸収性材料の例は、セルロース綿毛パルプ(cellulosic fluff pulp)、ティッシュ層、高吸収性ポリマー(いわゆる超吸収体)、吸収性フォーム材料、吸収性不織材料などである。セルロース綿毛パルプを超吸収剤と組み合わせて吸収構造にするのが一般的である。液体獲得能力、液体分配能力、および貯蔵能力に関して異なる特性を有する異なる材料の層を含む吸収構造を有することも一般的である。例えば、第1および第2の吸収層14、15のそれぞれは、超吸収性ポリマーを含み得る。第1の吸収層14は、第2の吸収層15よりも多量の超吸収性物品を有し得る。
【0096】
図2は、ベルトタイプの吸収性物品200を示す。ベルトタイプ吸収性物品200は、吸収性パッド216と、パッドが取り外し可能に取り付けられ、着用時にパッドを保持するために着用者のウエストの周りに配置される別個のベルト217とを備えている。吸収性パッド217は、液体透過性トップシート202、バックシート203、および、トップシート202とバックシート203との間に挟まれた吸収性コア204を含む。吸収性パッドは、長手方向Lおよび横断方向Tに延在する。吸収性パッドは、長手方向Lに見て、前方ウエスト部分205、後方ウエスト部分206、および、後方ウエスト部分206と前方ウエスト部分205との間に配置された股部分207、並びに、股部分207と後方ウエスト部分206との間に配置されたお尻部分208を画定している。吸収性物品200は、お尻部分208のトップシート202上に配置された第1の潤滑剤ゾーン209を含む。第1の潤滑剤ゾーン209には潤滑剤が供給されている。別個のベルトには、ベルト潤滑剤ゾーン210に潤滑剤が供給されている。
【0097】
吸収性パッド216または別個のベルト217は、別個のベルト217または吸収性パッド216にそれぞれ面するように意図された表面上に配置された、フック材料・接着材料の断片などの取り付け要素を備え得る。吸収性パッド216または別個のベルト217のうちの1つは、対応する取り付け要素を備え得るか、或いは、フック材料または接着材料が接着し得る表面を有し得る。取り付け要素がフック材料である場合、そのような材料は不織布材料であり得る。
【0098】
お尻部分208は、吸収性コア204の上に配置され、着用者の仙骨領域と接触する領域に配置される。
【0099】
ベルト潤滑剤ゾーン内の潤滑剤の量は、cm当たりの潤滑剤のグラムで測定されるとき、第1の潤滑剤ゾーン9内の潤滑剤の量よりも少ない。
【0100】
「試験方法-圧力下での再湿潤(Rewet Under Pressure)」
圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)は、製品を繰り返し湿らせた後の圧力下での再湿潤を測定する方法であり、湿潤を繰り返した後の重度失禁物品の使用条件をシミュレートする。
【0101】
「装置」
1.研磨されたアルミニウム製の固定具1(図3を参照)。
固定具1は、200×420mmの寸法の第1のプレート2と、200×300mmの寸法の第2のプレート3とを備えている。第2のプレート3は、第1のプレート2に対して60°の角度αで配置されている。
【0102】
2.2つのレッグブロック4、5は硬質プラスチック材料でできている(図3および図4a~4cを参照)。
レッグブロック4、5はそれぞれ、その最も高い高さで測定して35mmの高さhを有し、それぞれのレッグブロック4、5の最も長い長さで測定して120mmの長さlを有する。中心線Cに沿ったそれぞれのレッグブロック4、5の幅は45mmである。レッグブロック4、5はそれぞれ、35×55mmの寸法である内側の垂直長方形側面4a、5aであって、固定具1に配置されたおむつの長手方向の側面を押すように配置された、対応する内側の垂直長方形側面4a、5aを備えている。内側の長方形側面4a、5aのそれぞれの側で、レッグブロック4、5のそれぞれは、対応する第1のブロック側壁4b、5bおよび第2のブロック側壁4c、5cを有する。ブロック側壁4b、5b、4c、5cは、上向きかつ内向きに角度付けされ、それぞれの内側の長方形側面4a、5aとそれぞれの第1および第2の長方形側壁4d、4e、5d、5eとの間に配置され、それぞれが20×20mmの寸法を有する。サイドブロック4、5の第2の長方形側壁4e、5eは、第1のプレート2および第2のプレート3の間の接合部と垂直に位置合わせされる。レッグブロック4、5は、固定具1の横断方向に移動可能であり、例えば、ねじまたは磁石を介して所定の位置にロックされ得る。
【0103】
3.ディスタンス・テンプレート(図示せず)。高さが約20mmで、40x80mmの寸法を有する長方形スチールブロック。
【0104】
4.長さlが175mm、幅wが150mm、厚さtが6mmの底板7を有する、PMMA(ポリ(メチルメタクリレート))または類似物でできた臀部テンプレート6(図3および図5a、5bに示す)。
臀部テンプレート6は、高さhが45mmのテンプレート壁8を有する。テンプレート壁8は、第1の側壁部分8a、前方壁部分8b、第2の側壁部分8cを備えた、3つの壁部分8a、8b、8cを有する。前方壁部分8bは幅50mm、高さ45mmである。底板7の長手方向側面7a、7bは、底板7の後端エッジからそれぞれの側壁部分108a、108cまで測定して、それぞれ115mmの長さを有する。
【0105】
5.金属重量は9、10kgである。
【0106】
6.10ml/秒の送出速度が可能な液体ポンプ11(図7bに示される)。ポンプ11は、内径3mmのチューブ12に接続されている。
【0107】
7.スペインの Viscofan で入手可能なコラーゲンフィルム。このフィルムは、Coffi(透明、商品番号706)と指定されている。フィルムは、プラスチックで包まれて冷蔵庫で保管される。再湿潤測定(Rewet measurement)では、8枚のシートを重ね、70x80mmの寸法にカットまたはパンチされる。パッド(8枚)は小さなホッチキスで適切に留められる。その後、パッドは、試験前に密閉可能なポリエチレン袋に入れられる。コラーゲンフィルムは、ピンセットで処理される必要がある。
【0108】
8.試験液は、0.9%NaCl溶液。
【0109】
「手順」
評価は、23℃における湿度50%に設定された安定した実験室環境で行われる。吸収性物品は、試験前にこの同じ環境で24時間調整される。少なくとも6つの同一の吸収性物品が試験される。手順はこれらの吸収性物品の1つについて説明されている。
【0110】
試験される吸収性物品100は、図6に示されるように、実験台上で平らに伸ばされ、サイドシームに沿って切断されて弾性体が除去される。吸収性物品100の前方ウエスト部分105および後方ウエスト部分106にマークをつける(前方部が使用者の腹部に面する)。吸収性コア104の前方エッジが識別され、ここでは第2の吸収層前方エッジ115aに対応する。吸収性コア104の全長(100%)に基づいて、吸収性物品100のトップシート102上に、第2の吸収層前方エッジ115aから吸収性コア104の全長の40%の距離に横断方向の基準線rを引く。基準線rから70mm前方(吸収性物品1の横断方向Tを中心とする)に液体添加用の第1の入口点P1をマークする。再湿潤測定のためのコラーゲンパッドの配置のガイドとして、基準線r(横断方向Tの中心)から65mm後方に第2の点P2をマークする。
【0111】
40×80mmの距離テンプレートを、吸収性コア104の基準線rの中心に配置する(テンプレートの長さ方向を、吸収性物品の長手方向Lと一致させる)。距離テンプレートの外側の長手方向の漏れバリアを持ち上げ、吸収性コア104の長手方向の側面を少し上に折る(漏れバリアがない場合は、距離テンプレートの側面に沿って吸収性部材の長手方向のエッジを上に持ち上げる)。第1のプレート2に配置されたレッグブロック4、5を外側に押し出して空間を作り、図7aに示されるように、吸収性物品100の前方部分105が第2のプレート3上に置かれ、臀部テンプレート6が固定具1から取り外される状態で、吸収性物品100を固定具1内に配置する。基準線rをそれぞれのレッグブロック4、5の中心線Cに合わせる。次に、レッグブロック4、5を距離テンプレートに押し付け、ブロック4、5をこの位置でロックする。吸収性物品100の前方部分105および後方部分106を慎重に伸ばして、折り目および不規則性(しわ)を除去する(レッグブロック間の位置合わせが影響を受けないようにする)。図7a、7bに示されるように、吸収性物品100をクランプ10で第1および第2のプレート2、3に対して固定する。臀部テンプレート6を吸収性コア104の後方部分に置き、それを前方に押してレッグブロック4、5に合わせる。垂直壁部分8a、8cは、中間壁部分8bに向かって内向きの角度を有し、レッグブロック4、5のそれぞれの第1のブロック側壁4b、5bに対してしっかりと嵌合するように設計される。距離テンプレートを取り外す。図7bに示すように、臀部テンプレート6の中央に10kgの金属製重り9を置く。液体ポンプ11に接続された流体出口管12を、液体入口点の上方に、すなわち、吸収性物品100の平面に対して90°の角度で配置する。流体出口管12は、液体入口点P1の10mm上に配置されている。
【0112】
次に、合計5回分の100ml投与が吸収性物品100に加えられる。各投与が吸収されたとき(すなわち、おむつ表面に溜まった液体がなくなったとき)にストップウォッチが開始され、15分間の待機時間の後、次の投与が導入される。
【0113】
再湿潤(Rewet)は、3回目、4回目、および、5回目の投与の10分後に測定される。この目的のために、10kgの重り9と臀部テンプレート6とが取り外される。吸収性物品100に面するように意図された臀部テンプレート6の底面を、液体がなく湿った状態に拭き取る。コラーゲンパッド(8枚)を秤量し、パッドの長さ方向を吸収性物品100の長手方向Lに合わせて、吸収性物品100の上に置く。コラーゲンパッドは、基準線rから65mm後方に配置された第2の点P2(図6に示す)にコラーゲンパッドの前方エッジを合わせることによって配置される。コラーゲンパッドの長さは、おむつ106の後方部分に向かって基準線rから離して配置される。次に、臀部テンプレート6をコラーゲンフィルムの上に戻し、10kgの重り9を臀部テンプレート6の中央に慎重に降ろす。30秒後、重りと臀部テンプレート6を取り外し、コラーゲンパッドの重さを量り、液体の吸収を測定する(湿ったコラーゲンの重さから乾燥したコラーゲンの重さを差し引く)。その後、臀部テンプレート6と10kgの重り9とを元に戻し、投与スケジュールを続行する。再湿潤値3(Rewet 3 value)は3回目の投与後に測定され、再湿潤値4(Rewet 4 value)は4回目の投与後に測定され、再湿潤値5(Rewet 5 value)は5回目の投与後に測定される。5回目の投与後、吸収性物品1を固定具101内に10kgの重りの圧力下で6時間放置し、6時間後に再湿潤値6(Rewet 6 value)を測定した。結果は、コラーゲンパッドの面積に関して、グラムから1平方メートルあたりのグラム(gsm)に再計算される。
【0114】
全手順は、一晩の睡眠に相当する約7.5時間かかる。
【0115】
「試験結果」
実施例1の吸収性物品と実施例2の吸収性物品との間で試験を実施して、圧力下でのトップシートの乾燥度、すなわち、本明細書に開示される圧力下での再湿潤法(Rewet Under Pressure method)によって測定される、圧力下での再湿潤(Rewet)を測定した。
【0116】
以下の表1は、実施例1の物品および実施例2の物品の第1の吸収層および第2の吸収層における吸収材料の量を示す。
【0117】
実施例2の物品は、Essity Hygiene and Health AB から Tena Pant Super という名前で現在販売されている。実施例1の吸収性物品と実施例2の吸収性物品とは、2010mlの同じロスウェル全容量値(Rothwell, total capacity, value)を有する。両方の物品は、第1の吸収層、第2の吸収層、および、第1の上側吸収層とトップシートとの間に配置された移行層を有する吸収性部材を含む。それぞれの層の寸法は、実施例1の物品と実施例2の物品との間で実質的に同じである。実施例1の吸収性物品では、移行層は、実施例2と比較して、吸収性部材の後方エッジに向かって60mmに配置されている。実施例1の吸収性物品では、第1の吸収層は、実施例2の物品と比較して、吸収性部材の耳エッジ(ear edge)に向かって25mm多く配置されている。
【0118】
【表1】
【0119】
以下に示す表2は、実施例2の吸収性物品と比較した実施例1の吸収性物品からの試験データを示す。
【0120】
【表2】
【符号の説明】
【0121】
1 固定具
2 第1のプレート
3 第2のプレート
4、5 レッグブロック
4a、5a 長方形側面
4b、5b 第1のブロック側壁
4c、5c 第2のブロック側壁
4d、5d 第1の長方形側壁
4e、5e 第2の長方形側壁
6 臀部テンプレート
7 底板
7a、7b 長手方向側面
8 テンプレート壁
8a 第1の側壁部分
8b 前方壁部分
8c 第2の側壁部分
9 重り
11 液体ポンプ
12 流体出口管
100 吸収性物品
102 トップシート
103 バックシート
104 吸収性コア
105 前方ウエスト部分
105a 前方ウエストエッジ
106 後方ウエスト部分
106a 中央部分、後方ウエストエッジ
106b 後方ウエストエッジ
107 股部分
108 お尻部分
109 第1の潤滑剤ゾーン
114 第1の吸収層
114a 第1の吸収層前方エッジ
114b 第1の吸収層後方エッジ
115 第2の吸収層
115a 第2吸収層前方エッジ
115b 第2吸収層後方エッジ
116、117、118、119 長手方向側方エッジ
120 前方弾性体
121 後方弾性体
200 ベルトタイプ吸収性物品
202 トップシート
203 バックシート
204 吸収性コア
205 前方ウエスト部分
206 後方ウエスト部分
207 股部分
208 お尻部分
209 第1の潤滑剤ゾーン
210 ベルト潤滑剤ゾーン
216 吸収性パッド
217 ベルト
d1 前方エッジ距離
d2 後方エッジ距離
L 長手方向
T 横断方向
中心線
r 基準線
P1 液体入口点
P2 第2の点
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7a
図7b