(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ロボットシステム及びロボット作業方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/02 20060101AFI20250212BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20250212BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20250212BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B25J13/02
B25J5/00 A
B25J13/00 Z
B25J9/06 E
(21)【出願番号】P 2022571508
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047361
(87)【国際公開番号】W WO2022138652
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2020215816
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 仁志
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-528570(JP,A)
【文献】特開2019-107721(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239679(WO,A1)
【文献】特表2020-515425(JP,A)
【文献】特開2020-040155(JP,A)
【文献】特開2021-062426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な台車と前記台車に搭載された少なくとも1つのロボットアームとを有する自走ロボットと、
前記自走ロボットを操作する複数の操作コンソールであって、互いに異なる操作者によって操作される前記複数の操作コンソールとを、備え、
前記自走ロボットは、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第1ロボットアームと前記台車とを含む複数の被操作部を有し、
前記複数の操作コンソールは、前記第1ロボットアームを独占的に手動操作するように構成された第1操作コンソールと、前記台車を独占的に手動操作するように構成された第2操作コンソールとを含
み、前記第2操作コンソールの操作により前記台車を走行させながら前記第1操作コンソールの操作により前記第1ロボットアームで作業をすることが可能に構成されている、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記複数の被操作部は、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第2ロボットアームを有し、
前記複数の操作コンソールは、前記第2ロボットアームを独占的に手動操作する第3操作コンソールを含む、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記複数の被操作部は、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第2ロボットアームを有し、
前記第1ロボットアーム、及び前記第2ロボットアームが、前記第1操作コンソールによって操作される、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
自律走行可能な台車と前記台車に搭載された少なくとも1つのロボットアームとを有する自走ロボットと、
前記自走ロボットを操作する複数の操作コンソールであって、互いに異なる操作者によって操作される前記複数の操作コンソールと、
プロセッサとメモリとを含む関連付け回路を有するロボットコントローラ
とを、備え、
前記自走ロボットは、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第1ロボットアームと前記台車とを含む複数の被操作部を有し、
前記複数の操作コンソールは、前記第1ロボットアームを独占的に手動操作するように構成された第1操作コンソールと、前記台車を独占的に手動操作するように構成された第2操作コンソールとを含み、前記第2操作コンソールの操作により前記台車を走行させながら前記第1操作コンソールの操作により前記第1ロボットアームで作業をすることが可能に構成されており、
前記関連付け回路は、前記プロセッサが前記メモリに記憶された所定のプログラムを実行することによって、前記複数の操作コンソールと前記ロボットコントローラとの通信が確立されると、前記複数の被操作部の各々に前記複数の操作コンソールのうち一つを関連付する関連付けテーブルを生成し、前記複数の被操作部に何も関連付けされていない状態の前記関連付けテーブルを表示させる情報を前記複数の操作コンソールへ出力し、前記第1操作コンソールから前記第1ロボットアームを指定する第1被操作部指定情報を取得し、前記第1被操作部指定情報に基づいて前記複数の被操作部のうち前記第1ロボットアームに前記第1操作コンソールが関連付けられ、且つ、前記第1ロボットアームに前記第1操作コンソール以外の前記複数の操作コンソールを関連付けることが禁止された状態の前記関連付けテーブルを表示させる情報を前記複数の操作コンソールへ出力し、前記第2操作コンソールから前記台車を指定する第2被操作部指定情報を取得し、前記第2被操作部指定情報に基づいて前記複数の被操作部のうち前記台車に前記第2操作コンソールが関連付けられ、且つ、前記台車に前記第2操作コンソール以外の前記複数の操作コンソールを関連付けることが禁止された状態の前記関連付けテーブルを表示させる情報を前記複数の操作コンソールへ出力し、
前記複数の被操作部の各々について関連付けが完了した前記関連付けテーブルを記憶するように構成されている、
ロボットシステム。
【請求項5】
前記自走ロボットは、プロセッサとメモリとを含む関連付け回路を有し、
前記関連付け回路は、前記プロセッサが前記メモリに記憶された所定のプログラムを実行することによって、前記複数の操作コンソールの各々から前記複数の被操作部のうち操作対象を指定する被操作部指定情報を取得し、前記複数の被操作部の各々が前記複数の操作コンソールのいずれか1つと関連付けられた関連付け情報を生成し、前記関連付け情報を記憶するように構成されている、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記自走ロボットは、当該自走ロボットの動作を制御するロボットコントローラを有し、
前記関連付け回路は、前記プロセッサが前記メモリに記憶された所定のプログラムを実行することによって、前記複数の被操作部のうち第1被操作部に対する操作信号と当該操作信号を出力した前記操作コンソールの識別記号とを取得し、前記関連付け情報を参照して前記識別記号が前記第1被操作部と関連付けされた前記操作コンソールのものと対応していることを確認し、前記確認が肯定的である場合には前記操作信号を前記第1被操作部に対する確認後の操作信号として前記ロボットコントローラへ送り、前記確認が否定的である場合には前記操作信号を破棄するように、構成されており、
前記ロボットコントローラは、受け取った前記確認後の操作信号に従って前記第1被操作部を動作させるように構成されている、
請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
自律走行可能な台車と前記台車に搭載された少なくとも1つのロボットアームとを有する自走ロボットと、前記自走ロボットを操作する複数の操作コンソールとを用いるロボット作業方法であって、
前記複数の操作コンソールが互いに異なる操作者によって操作される第1操作コンソール及び第2操作コンソールを含み、
前記自走ロボットは、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第1ロボットアームと前記台車とを含む複数の被操作部を有し、
前記第1ロボットアームが前記第1操作コンソールによって独占的に手動操作され、前記台車が前記第2操作コンソールによって独占的に手動操作され
、前記第2操作コンソールの操作により前記台車を走行させながら前記第1操作コンソールの操作により前記第1ロボットアームで作業をする、
ロボット作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステム及びロボット作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人によって行う作業が、ロボットアームを備える自走ロボットを用いて行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、棚への荷物の上げ下ろしを、ロボットアームを備える自走ロボットを用いて行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自走ロボットを用いて行う作業の中には、自走ロボットを走行させながらロボットアームで作業する作業が存在する。しかし、上記従来の技術では、自走ロボットの走行部とロボットアームとを1つの操作端末によって操作する、換言すると、一人で操作するため、そのような作業を必ずしも好適に行うことができない。
【0006】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたもので、自走ロボットを走行させながらアーム部で作業する作業を好適に行うことが可能なロボットシステム及びロボット作業方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボットシステムは、
自律走行可能な台車と前記台車に搭載された少なくとも1つのロボットアームとを有する自走ロボットと、
前記自走ロボットを操作する複数の操作コンソールであって、互いに異なる操作者によって操作される前記複数の操作コンソールとを、備え、
前記自走ロボットは、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第1ロボットアームと前記台車とを含む複数の被操作部を有し、
前記複数の操作コンソールは、前記第1ロボットアームを独占的に手動操作するように構成された第1操作コンソールと、前記台車を独占的に手動操作するように構成された第2操作コンソールとを含み、前記第2操作コンソールの操作により前記台車を走行させながら前記第1操作コンソールの操作により前記第1ロボットアームで作業をすることが可能に構成されているものである。
【0008】
また、本開示の別の一態様に係るロボット作業方法は、
自律走行可能な台車と前記台車に搭載された少なくとも1つのロボットアームとを有する自走ロボットと、前記自走ロボットを操作する複数の操作コンソールとを用いるロボット作業方法であって、
前記複数の操作コンソールが互いに異なる操作者によって操作される第1操作コンソール及び第2操作コンソールを含み、
前記自走ロボットは、前記少なくとも1つのロボットアームに含まれる第1ロボットアームと前記台車とを含む複数の被操作部を有し、
前記第1ロボットアームが前記第1操作コンソールによって独占的に手動操作され、前記台車が前記第2操作コンソールによって独占的に手動操作され、前記第2操作コンソールの操作により前記台車を走行させながら前記第1操作コンソールの操作により前記第1ロボットアームで作業をするものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、自走ロボットを走行させながらアームで作業する作業を好適に行うこと可能なロボットシステム及びロボット作業方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るロボットシステムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の操作ユニットの構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のロボットシステムの制御系統の構成の概要を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3のロボットシステムの制御系統の構成の詳細を示す機能ブロックである。
【
図5A】
図5Aは、操作ユニット群の操作ユニットと自走ロボットの被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、関連付けがされていない状態を示す関連付けテーブルである。
【
図5B】
図5Bは、操作ユニット群の操作ユニットと自走ロボットの被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニットが自走ロボットの被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。
【
図5C】
図5Cは、操作ユニット群の操作ユニットと自走ロボットの被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット及び第2操作ユニットが自走ロボットの被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。
【
図5D】
図5Dは、操作ユニット群の操作ユニットと自走ロボットの被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット、第2操作ユニット、及び第3操作ユニットが自走ロボットの被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態1に係るロボットシステムの動作を示す図であって、自走ロボットがスーパーマーケットの倉庫で商品のピッキングを行っている様子を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態2のロボットシステムにおける操作ユニット群の操作ユニットと自走ロボットの被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット及び第2操作ユニットを自走ロボットの被操作部に関連付けした状態を示す関連付けテーブルである。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態2に係るロボットシステムの動作を示す図であって、自走ロボットが、ビールが入ったコップを、双方のロボットアームのハンドにそれぞれ保持しながら自走している様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下の図は、本開示を説明するための図であるので、本開示に無関係な要素が省略される場合、誇張等のために寸法が正確でない場合、簡略化される場合、複数の図において互いに対応する要素の形態が一致しない場合等がある。また、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係るロボットシステム100の構成の一例を示す模式図である。
【0013】
[ハードウエアの構成]
図1を参照すると、実施形態1のロボットシステム100は、自律走行作可能な走行部11と走行部11に設けられたアーム部13とを備える自走ロボット1と、3つの操作ユニット(操作コンソール)2A~2Cを含む操作ユニット群(複数の操作コンソール)120と、を備える。操作ユニット群120の3つの操作ユニット2~2Cは、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13を、それぞれ、独占的に操作することが可能である。
【0014】
具体的には、ロボットシステム100は、自走ロボット1と、2以上(ここでは3つ)の操作ユニット2A~2Cを含む。
【0015】
自走ロボット1と2以上の操作ユニット2A~2Cとは、例えば、データ通信ネットワーク3を介して接続される。自走ロボット1と2以上の操作ユニット2A~2Cとが、直接、有線又は無線で接続されてもよい。なお、2以上の操作ユニットに関して、個々の操作ユニットを指す場合には、2A,2B,2C・・・の参照符号を付し、2以上の操作ユニットを総称する場合、又は、代表する操作ユニットを指す場合には、操作ユニットに参照符号2を付す。
【0016】
以下、ロボットシステム100におけるこれらの要素を詳しく説明する。
【0017】
<データ通信ネットワーク3>
データ通信ネットワーク3は、データ通信可能なネットワークであればよい。データ通信ネットワーク3として、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等が例示される。
【0018】
<自走ロボット1>
図1を参照すると、自走ロボット1は、基本的に、自律走行可能な走行部11と当該走行部11に搭載されたアーム部(ロボットアーム)13とを含むように構成されていればよい。
【0019】
自走ロボット1は、ここでは、走行部11と、昇降部12と、アーム部13とを備える。
【0020】
走行部11は、例えば、台車で構成される(以下では、台車11と表記する)。台車11は、基部に前輪及び後輪からなる車輪11aを備える。前輪及び後輪の一方が操舵輪であり、前輪及び後輪の少なくとも一方が駆動輪である。また、台車11の前部に昇降部12が設けられ、台車11の後部に、物品を置くための置き棚11bが設けられている。
【0021】
台車11は、さらに、バッテリ及びモータを備えていて、台車11は、モータがバッテリを電源として車輪11aを駆動することによって自律走行する。また、昇降部12、アーム部13、並びに、後述するロボット側表示部(ロボット側モニタ)14、ロボット側マイクロフォン15、及びロボット側放音部(ロボット側スピーカ)16は、このバッテリを電源として動作する。
【0022】
昇降部12は、基部122と、基部122に対して昇降する昇降軸123と、を備える。
【0023】
昇降軸123の上部に、第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bが、昇降軸123の中心軸の周りに回動自在に設けられている。第2ロボットアーム121Bは、第1ロボットアーム121Aの上側に設けられている。第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bはそれぞれの回転位置が入れ替わることができ、左右の区別はない。
【0024】
第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bは、それぞれ、多関節型ロボットアームで構成され、それぞれ、先端にハンド124A及びハンド124Bを備える。
【0025】
ハンド124A及びハンド124Bは、特に限定されないが、ここでは、対象物を把持することが可能な形状に形成されている。
【0026】
昇降軸123の前方には、周囲カメラ17が設けられている。周囲カメラ17は、この他、台車11の右側部(参照符号17で図示)、後部(
図1に示さず)、及び左側部(
図1に示さず)に設けられている。これらの4つの周囲カメラ17は、互いに同じ高さ位置に設けられている。4つの周囲カメラ17は、操作者Pが、自走ロボット1の周囲の状況(環境)を確認するためのデバイスである。
【0027】
第2ロボットアーム121Bの先端部には、手先カメラ18が設けられている。手先カメラ18は、一対のハンド124A,124Bが把持しようとする対象物を、操作者P1~P3が確認するためのデバイスである。
【0028】
昇降軸123の上端部には、支持部材125を介して、ロボット側表示部14が取り付けられている。ロボット側表示部14は、例えば、液晶ディスプレイで構成される。
【0029】
ロボット側表示部14の適所には、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19が設けられている。
【0030】
ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19は、自走ロボット1が、人(以下、対話者という)と対話するためのデバイス群である。ロボット側表示部14は、対話者に伝達しようとする情報(画像情報、文字情報等)を表示する。ロボット側マイクロフォン15は、対話者の音声を取得する。ロボット側放音部16は、例えば、ラウドスピーカで構成され、対話者に伝達しようとする音声情報を放音する。主カメラ19は、対話者を撮像する。
【0031】
台車11は、さらに、演算回路モジュールCm1及びロボット側通信部(ロボット側通信機)113を備える。演算回路モジュールCm1は、プロセッサPr1とメモリMe1とを備える。演算回路モジュールCm1は、後述するように、関連付け部(関連付け回路)111及びロボット制御部(ロボットコントローラ)112(
図4参照)を構成する。
【0032】
<操作ユニット2>
図2は、
図1の操作ユニット2の構成の一例を示す平面図である。操作ユニット2は、自走ロボット1を操作できるものであれば、特に限定されない。操作ユニット2は、
図2に示すように一体化されていてもよいし、個別に形成された複数の操作部で構成されてもよい。操作部は、操作者が操作できるものであれば、特に限定されない。操作部として、キー、ジョイスティック、ハンドル等が例示される。
【0033】
また、操作ユニット2は、
図2に示すように、操作部21A,21Bと、操作側表示部(操作側モニタ)23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部(操作側スピーカ)26と、が一体化されていてもよいし、操作部21A,21Bと、操作側表示部23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部26とが、別個に形成されていてもよい。
【0034】
図2を参照すると、操作ユニット2は、本体20を備える。本体20は、扁平な直方体状の箱に形成されている。
【0035】
本体20の左端部及び右端部には、それぞれ、左手操作部21A及び右手操作部21Bが設けられている。これらの左手操作部21A及び右手操作部21Bが、操作部21を構成する。左手操作部21A及び右手操作部21Bには、それぞれ、所定の一群の操作キー29が配置されている。この所定の一群の操作キー29は、例えば、ゲーム機の周知の操作キー群と同様に構成される。従って、この所定の一群の操作キー29の説明を省略する。操作者P1~P3が、これらの一群の操作キー29を両手で、適宜、操作すると、その操作に応じて、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13が動作する。つまり、操作部21は、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13を操作するための、操作信号を出力するように構成されている。
【0036】
本体20の上面の中央部に操作側表示部23が設けられている。操作側表示部23は、例えば、タッチスクリーンで構成されている。操作側表示部23は、操作者P1~P3が自走ロボット1を操作するために必要な情報(画像情報、文字情報等)を表示する。例えば、操作側表示部23には、周囲カメラ17で撮像された画像、主カメラ19で撮像された画像、手先カメラ18で撮像された画像が、適宜、表示される。また、操作側表示部23には、後述する関連付けテーブルが表示される。
【0037】
本体20の上面の適所には、操作側マイクロフォン25及び操作側放音部26が設けられている。操作側マイクロフォン25は、対話者の音声を取得する。操作側放音部26は、例えば、ラウドスピーカで構成され、ロボット側マイクロフォン15で取得された対話者の音声を放音する。操作側放音部26は、さらに、ヘッドフォン等のウェアラブルスピーカ26aを備える。本体20の適所には、音声出力端子が(不図示)設けられており、この音声出力端子にウェアラブルスピーカ26aの接続コード30を接続すると、操作側放音部26の出力部がラウドスピーカからウェアラブルスピーカ26aに切り替わり、ウェアラブルスピーカ26aからロボット側マイクロフォン15で取得された対話者の音声が放音される。
【0038】
本体20の内部には、演算回路モジュールCm2及び操作側通信部(操作側通信機)28が設けられている。演算回路モジュールCm2は、プロセッサPr2とメモリMe2とを備える。演算回路モジュールCm2は、後述するように、操作制御部(操作コントローラ)27(
図4参照)を構成する。
【0039】
[制御系統の構成]
図3は、
図1のロボットシステム100の制御系統の構成の概要を示す模式図である。
図4は、
図3のロボットシステム100の制御系統の構成の詳細を示す機能ブロックである。
【0040】
図3を参照すると、ロボットシステム100では、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cが、データ通信ネットワーク3を介して、自走ロボット1に接続されている。
【0041】
図4を参照すると、
図4には、自走ロボット1と、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cを代表する操作ユニット2とが示されている。つまり、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cは互いに実質的に同じに構成されている。
【0042】
以下、ロボットシステム100の制御系統の構成を「基本的な構成」と、「操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1との関連付けに関する構成」とに分けて説明する。
【0043】
<基本的な構成>
{操作ユニット2側の構成}
操作ユニット2は、操作部21、操作側表示部23、操作側マイクロフォン25、操作側放音部26、操作制御部27、及び操作側通信部28を備える。
【0044】
操作部21は、操作者P1~P3の一群の操作キー29の操作に応じたキー操作信号を、操作制御部27に出力する。
【0045】
操作側表示部23は、操作制御部27から入力される画像表示信号に従って、画像を表示する。具体的には、主画像信号、手先画像信号、周囲画像信号、及び関連付けテーブル情報に従って、それぞれ、主画像、手先画像、周囲画像、及び関連付けテーブルを表示する。また、操作側表示部23は、後で詳しく説明する被操作部指定情報を出力する。
【0046】
操作側マイクロフォン25は、操作者P1の音声を取得し、これを操作者音声信号として、操作制御部27に出力する。
【0047】
操作側放音部26は、操作制御部27から入力される対話者音声信号に従って、音声を放音する。
【0048】
操作制御部27は、操作部21から入力されるキー操作信号に応じた走行部操作信号、昇降部操作信号、及びアーム部操作信号を生成し、これらを操作側通信部28に出力する。これらの操作信号は、例えば、予め設定された「一群の操作キー29のキー操作信号の組み合わせ」に対する「自走ロボットの走行部の動作、昇降部の動作、アーム部の動作」の割り当て情報に基づいて生成される。
【0049】
また、操作制御部27は、操作側マイクロフォン25から入力される操作者音声信号を、操作側通信部28に出力する。また、操作制御部27は、操作側表示部23から入力される被操作部指定情報を操作側通信部28に出力する。
【0050】
一方、操作制御部27は、操作側通信部28から入力される周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、及び関連付けテーブル情報に基づいて、適宜、画像表示信号を生成し、これらを操作側表示部23に出力する。
【0051】
また、操作制御部27は、操作側通信部28から入力される対話者音声信号を操作側放音部26に出力する。
【0052】
操作側通信部28は、データ通信可能な通信器で構成される。操作側通信部28は、操作制御部27から入力される走行部操作信号、昇降部操作信号、アーム部操作信号、操作者音声信号、及び被操作部指定信号を、それぞれ、通信データ(パケット)に変換して、ロボット側通信部113に送信する。
【0053】
また、操作側通信部28は、ロボット側通信部113から周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、関連付けテーブル情報、及び対話者音声信号の通信データを受信し、これらを、それぞれ、周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、関連付けテーブル情報、及び対話者音声信号に戻して操作制御部27に出力する。
【0054】
これらの通信は、ここでは、データ通信ネットワーク3を介して、行われる。
【0055】
ここで、操作制御部27は、プロセッサPr2とメモリMe2とを有する演算回路モジュールCm2で構成される。操作制御部27は、この演算回路モジュールCm2において、メモリMe2に格納された制御プログラムをプロセッサPr2が実行することによって実現される機能ブロックである。この演算回路モジュールCm2は、具体的には、例えば、マイクロコントローラ、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)等で構成される。これらは、集中制御を行う単独の演算回路モジュールで構成されてもよく、分散制御を行う複数の演算回路モジュールで構成されてもよい。
【0056】
{自走ロボット1側の構成}
自走ロボット1は、走行部11、昇降部12、アーム部13、ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、周囲カメラ17、手先カメラ18、主カメラ19、関連付け部111、ロボット制御部112、及びロボット側通信部113を備える。
【0057】
ロボット側通信部113は、データ通信可能な通信器で構成される。ロボット側通信部113は、操作側通信部28から、走行部操作信号、昇降部操作信号、アーム部操作信号、操作者音声信号、及び被操作部指定情報の通信データを受信し、これらを、走行部操作信号、昇降部操作信号、アーム部操作信号、操作者音声信号、及び被操作部指定情報に戻して、これらをロボット制御部112に出力する。
【0058】
また、ロボット側通信部113は、ロボット制御部112から入力される周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、関連付けテーブル情報、及び対話者音声信号を通信データ(パケット)に変換し、これらを操作側通信部28に送信する。
【0059】
ロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される走行部操作信号、昇降部操作信号、アーム部操作信号を、一旦、関連付け部111に出力し、関連付け部111から入力される確認後走行部操作信号、確認後昇降部操作信号、及び確認後アーム部操作信号を、それぞれ、走行部11、昇降部12、及びアーム部13に出力する。
【0060】
また、ロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される被操作部指定情報を関連付け部111に出力する。
【0061】
また、ロボット制御部112は、適宜、画像表示信号を生成して、これをロボット側表示部14に出力する。
【0062】
また、ロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される操作者音声信号をロボット側放音部16に出力する。なお、この場合、ロボット制御部112は、例えば、ロボット側表示部14に、所定の作業現場に応じた制服を着用した人物画像(例えば、イラスト画像)を表示させ、操作者音声信号を、当該人物に適合する音声(例えば、当該従業員の性別に対応し、且つ、ソフトな音声)の信号に変換してもよい。
【0063】
また、ロボット制御部112は、周囲カメラ17から入力される周囲画像信号、手先カメラ18から入力される手先画像信号、及び主カメラ19から入力される主画像信号を、ロボット側通信部113に出力する。
【0064】
走行部11、昇降部12、及びアーム部13は、ロボット制御部112から入力される確認後走行部操作信号、確認後昇降部操作信号、及び確認後アーム部操作信号にそれぞれ従って動作する。
【0065】
ロボット側表示部14は、ロボット制御部112から入力される画像表示信号に従って、画像を表示する。
【0066】
ロボット側マイクロフォン15は、対話者(例えば、顧客)の音声を取得し、これを対話者音声信号として、ロボット制御部112に出力する。
【0067】
ロボット側放音部16は、ロボット制御部112から入力される操作者音声信号に従って、音声を放音する。ロボット側放音部16は、例えば、スピーカで構成される。
【0068】
周囲カメラ17は、自走ロボット1の周囲の環境を撮像して、これを周囲画像信号として、ロボット制御部112に出力する。
【0069】
手先カメラ18は、第2ロボットアーム121Bの手先の環境(景色)を撮像して、これを手先画像信号として、ロボット制御部112に出力する。第2ロボットアーム121Bの手先の環境として、ハンド124Bが把持しようとする対象物等が例示される。
【0070】
主カメラ19は、立っている人の視野に相当する視野を撮像して、これを、主画像信号としてロボット制御部112に出力する。自走ロボット1が対話者と対面している場合には、主画像に対話者の画像が存在する。
【0071】
ここで、ロボット制御部112及び関連付け部111は、プロセッサPr1とメモリMe1とを有する演算回路モジュールCm1で構成される。ロボット制御部112及び関連付け部111は、この演算回路モジュールCm1において、メモリMe1に格納された制御プログラムをプロセッサPr1が実行することによって実現される機能ブロックである。この演算回路モジュールCm1は、具体的には、例えば、マイクロコントローラ、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)等で構成される。これらは、集中制御を行う単独の演算回路モジュールで構成されてもよく、分散制御を行う複数の演算回路モジュールで構成されてもよい。
【0072】
ここで、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、「ユニット」又は「部」は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、「ユニット」又は「部」は、ハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアは、ハードウエア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0073】
<操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1との関連付けに関する構成>
{関連付けの設定に関する構成}
図5Aは、操作ユニット群120の操作ユニット2と自走ロボット1の被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、関連付けがされていない状態を示す関連付けテーブルである。
図5Bは、操作ユニット群120の操作ユニット2と自走ロボット1の被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット2Aが自走ロボット1の被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。
図5Cは、操作ユニット群120の操作ユニット2と自走ロボット1の被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット2A及び第2操作ユニット2Bが自走ロボット1の被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。
図5Dは、操作ユニット群120の操作ユニット2と自走ロボット1の被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット2A、第2操作ユニット2B、及び第3操作ユニット2Cが自走ロボット1の被操作部に関連付けされた状態を示す関連付けテーブルである。これらの図において、+印は、関連付けされたことを示し、-印は、関連付けが禁止されたことを示す。
【0074】
関連付け部111は、例えば、以下のようにして、操作ユニット群120の第1乃至第3操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13とを関連付ける。第1乃至第3操作ユニット2A~2Cは、ここでは、それぞれ、操作者P1~P3によって操作される。
【0075】
図3、
図4、及び
図5Aを参照すると、関連付け部111は、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1との通信が確立されると、
図5Aに示す、関連付けされていない状態の関連付けテーブル114を生成し、これを関連付けテーブル情報として出力する。すると、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cの操作側表示部23に、それぞれ、この関連付けされていない状態の関連付けテーブル114が表示される。
【0076】
ここで、例えば、操作者P1が、最初に、アーム部13を操作対象の被操作部とし、関連付けテーブル114の該当部をタッチする。すると、このタッチ情報が、被操作部指定情報として関連付け部111に送信され、関連付け部111は、
図5Bに示す、第1操作ユニット2Aが自走ロボット1のアーム部13に関連付けされ、且つ、他の操作ユニット2B,2Cを当該アーム部13に関連付けることが禁止された状態の関連付けテーブル114を生成し、これを関連付けテーブル情報として出力する。すると、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cの操作側表示部23に、それぞれ、この関連付けテーブル114が表示される。
【0077】
次に、例えば、操作者P2が、2番目に、走行部11を操作対象の被操作部とし、関連付けテーブル114の該当部をタッチする。すると、このタッチ情報が、被操作部指定情報として関連付け部111に送信され、関連付け部111は、
図5Cに示す、更に第2操作ユニット2Bが自走ロボット1の走行部11に関連付けされ、且つ、他の操作ユニット2A,2Cを当該走行部11に関連付けることが禁止された状態の関連付けテーブル114を生成し、これを関連付けテーブル情報として出力する。すると、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cの操作側表示部23に、それぞれ、この関連付けテーブル114が表示される。
【0078】
次に、例えば、操作者P3が、3番目に、昇降部12を操作対象の被操作部とし、関連付けテーブル114の該当部をタッチする。すると、このタッチ情報が、被操作部指定情報として関連付け部111に送信され、関連付け部111は、
図5Dに示す、更に第3操作ユニット2Cが自走ロボット1の昇降部12に関連付けされ、且つ、他の操作ユニット2A,2Bを当該昇降部12に関連付けることが禁止された状態の関連付けテーブル114を生成し、これを関連付けテーブル情報として出力する。すると、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cの操作側表示部23に、それぞれ、この関連付けテーブル114が表示される。
【0079】
ここで、関連付け部111は、上述のように、自走ロボット1のアーム部13、昇降部12、及び走行部11を、重複して、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cに関連付けることを禁止する。従って、上記の場合、第1操作ユニット2Aが、アーム部13を被操作部として指定した後に、第2操作ユニット2B又は第3操作ユニット2Cが、アーム部13を被操作部として指定すると、関連付け部111は、これを拒否する。他の被操作部の重複指定の場合も同様である。
【0080】
但し、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cは、自走ロボット1の2以上の被操作部を操作対象として指定することもできる。ここでは、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cは、自走ロボット1のアーム部13、昇降部12、走行部11のうちの2つ又は全部を操作対象(被操作部)として指定することもできる。
【0081】
関連付け部111は、関連付けが完了した
図5Dの関連付けテーブル(関連付け情報)114を記憶部(メモリ)に記憶する。
【0082】
これにより、操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1のアーム部13、昇降部12、走行部11のとの関連付けが設定される。
【0083】
また、操作者P1~P3は、操作ユニット2A~2Cと自走ロボット1のアーム部13、昇降部12、走行部11のとの関連付けを、操作側表示部23に表示される関連付けが完了した
図5Dの関連付けテーブル114によって知ることができる。
【0084】
{独占的操作に関する構成}
2以上の操作ユニット(ここでは、第1乃至第3操作ユニット2A~2C)には、それぞれ識別記号が付されている。
【0085】
各操作ユニット2A~2Cの操作制御部27は、生成する走行部操作信号、昇降部操作信号、及びアーム部操作信号に自己の属する操作ユニット2A~2Cの識別記号を付して、それらを出力する。自走ロボット1の関連付け部111は、ロボット制御部112から受け取った走行部操作信号、昇降部操作信号、及びアーム部操作信号のそれぞれの識別記号を、
図5Dの関連付けテーブル114と照合し、走行部操作信号の識別記号、昇降部操作信号の識別記号、及びアーム部操作信号の識別記号が、それぞれ、走行部11、昇降部12、及びアーム部13と関連付けされた操作ユニット2A~2Cの識別記号であるか否かを確認する。この確認結果が、肯定的である場合には、関連付け部111は、受け取った走行部操作信号、昇降部操作信号、及びアーム部操作信号を、それぞれ、確認後走行部操作信号、確認後昇降部操作信号、及び確認後アーム部操作信号として、ロボット制御部112に送る。これにより、走行部11、昇降部12、アーム部13が、それぞれ、確認後走行部操作信号、確認後昇降部操作信号、及び確認後アーム部操作信号に従って動作する。
【0086】
一方、上記確認結果が、否定的である場合、関連付け部111は、否定的な走行部操作信号、昇降部操作信号、及びアーム部操作信号を破棄し、これらに対応する識別記号を付してエラーメッセージを関連付けテーブル情報として出力する。すると、このエラーメッセージが、該当する操作ユニット2A~2Cの操作側表示部23に表示される(該当しない操作ユニット2A~2Cは当該関連付けテーブル情報に他の操作ユニットの識別記号が付されているので、それを処理しない)。これにより、操作者P1~P3が、操作の誤りを知り、それを是正することができる。
【0087】
以上の構成により、2以上の操作ユニット(ここでは、第1乃至第3操作ユニット2A~2C)が、それぞれ、分担して、すなわち、独占的に、自走ロボット1の被操作部(ここでは、走行部11、昇降部12、及びアーム部13)を操作することができる。
【0088】
[動作(ロボット作業方法)]
次に、以上のように構成されたロボットシステム100の動作(ロボット作業方法)を説明する。
図6は、実施形態1に係るロボットシステム100の動作を示す図であって、自走ロボット1がスーパーマーケットの倉庫50で商品55のピッキングを行っている様子を示す模式図である。
【0089】
図6を参照すると、自走ロボット1がスーパーマーケットの倉庫50に配置されている。操作者P1~P3は、それぞれ、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cを操作することによって、分担して、自走ロボット1のアーム部13、走行部11、及び昇降部12を操作する。この操作によって、自走ロボット1は、例えば、以下のように動作する。
【0090】
自走ロボット1は、倉庫50において、商品棚54に沿って移動しながら商品55のピッキングを行う。その過程で、置き棚11bに積んだ空の商品収容箱56を商品棚54の前の床に置き、商品棚54から所望の商品55を順次取り出し、それを商品収容箱56に順に収容する。商品収容箱56が満杯になったらそれを置き棚11bに積む。
【0091】
この際、自走ロボット1は、一対のハンド124A,124Bで交互に商品55を把持する。
【0092】
操作者P2が操作する第2操作ユニット2Bは、自走ロボット1の走行部11の操作を占有している。操作者P2は、第2操作ユニット2Bの操作側表示部23に表示される周囲カメラ17からの周囲画像で周囲を監視しながら、第2操作ユニット2Bを操作して、自走ロボット1を移動させる。
【0093】
また、操作者P1が操作する第1操作ユニット2Aは、自走ロボット1のアーム部13の操作を占有している。操作者P1は、第1操作ユニット2Aの操作側表示部23に表示される主カメラ19からの主画像で、商品55を陳列する商品棚54を確認する。そして、操作者P1は、第1操作ユニット2Aの操作側表示部23に表示される手先カメラ18からの手先画像で商品収容箱56の把持位置を確認しながら置き棚11bから商品収容箱56を床に降ろし、手先カメラ18からの手先画像で商品55の把持位置を確認しながら商品55を把持する。
【0094】
また、操作者P3が操作する第3操作ユニット2Cは、自走ロボット1の昇降部12の操作を占有している。操作者P3は、第3操作ユニット2Cの操作側表示部23に表示される主カメラ19からの主画像で、自走ロボット1の一対のハンド124A,124Bの動きを見ながら、第3操作ユニット2Cを操作して、昇降部12を昇降させ、それによって、自走ロボット1の商品55の取り出し及び商品収容箱56の上げ下ろしをアシストする。
【0095】
このように、実施形態1のロボットシステム100によれば、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cが、それぞれ、分担して、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、アーム部13を操作することができる。従って、自走ロボット1を走行させながらアーム部13で商品55を取り出す等の作業をする商品のピッキングを、好適に行うことができる。
【0096】
(実施形態2)
本開示の実施形態2は、以下に述べる点が実施形態1と異なり、その他の点は実施形態1と同様である。以下、この相違点を説明する。
【0097】
図7は、実施形態2のロボットシステム100における操作ユニット群120の操作ユニット2と自走ロボット1の被操作部との関連付けを示す関連付けテーブルであって、第1操作ユニット2A及び第2操作ユニット2Bを自走ロボット1の被操作部に関連付けした状態を示す関連付けテーブル114である。
図8は、実施形態2に係るロボットシステム100の動作を示す図であって、自走ロボット1が、ビールが入ったコップ92,92,92を、双方のロボットアーム121A,121Bのハンド124A,124Bにそれぞれ保持しながら自走している様子を示す模式図である。
【0098】
図7を参照すると、実施形態2では、第1操作ユニット2Aが自走ロボット1のアーム部13と関連付けられ、第2操作ユニット2Bが、自走ロボット1の昇降部12及び走行部11と関連付けられている。従って、第3操作ユニット2Cは、いずれの被操作部とも関連付けられていない。その理由は、実施形態2では、昇降部12を操作する必要が余りないからである。
【0099】
例えば、自走ロボット1は、第1ロボットアーム121Aのハンド124Aで、ビールが入った2つのコップ92,92が乗ったお盆91を保持し、且つ、第2ロボットアーム121Bのハンド124Bで、ビールが入った1つのコップ92を、直接、保持する。そして、この状態で、目的場所まで走行する。3つのコップ92,92,92には、ビールがほぼ一杯に入っている。従って、自走ロボット1は、双方のハンド124A,124Bで保持した3つのコップ92,92,92からビールがこぼれないように揺れを防ぎながら、走行しなければならない。
【0100】
しかし、実施形態2では、操作者P1が、第1操作ユニット2Aで自走ロボット1のアーム部13を操作し、操作者P2が、第2操作ユニット2Bで自走ロボット1の昇降部12及び走行部11を操作する。このため、操作者P2は、自走ロボット1が揺れないように昇降部12及び走行部11を操作することに専念することができ、且つ、操作者P1は、3つのコップ92,92,92からビールがこぼれないようにアーム部13を操作することに専念できる。なお、自走ロボット1を走行させる際、自走ロボット1は、必要に応じて顧客と適宜対話する。この対話は、第1操作ユニット2Aの操作側表示部23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部26と、自走ロボット1のロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19と、を用いて行われる。
【0101】
その結果、双方のハンド124A,124Bで保持した3つのコップ92,92,92からビールがこぼれないように、好適に、自走ロボット1を走行させることができる。
【0102】
(実施形態3)
本開示の実施形態3では、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cが、自走ロボット1のいずれかの被操作部のみを操作することが可能な専用の操作ユニットとして構成される。従って、自走ロボット1の関連付け部111が省略される。その他の点は実施形態1と同様である。
【0103】
このような実施形態3によっても、第1乃至第3操作ユニット2A~2Cが、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13を、それぞれ、独占的に操作することが可能であるので、自走ロボット1を走行させながらアーム部13で商品55を取り出す等の作業をする商品のピッキングを、好適に行うことができる。
【0104】
(実施形態4)
本開示の実施形態4は、以下に述べる点が実施形態1と異なり、その他の点は実施形態1と同様である。以下、この相違点を説明する。
【0105】
図1を参照すると、操作ユニット群120は、操作者P1~P3によって自走ロボット1の被操作部11~13を操作することが可能な操作ユニット2A~2Cと、自走ロボット1の被操作部11~13を自動運転することが可能な操作ユニット2A~2Cと、を含む。
【0106】
具体的には、
図4を参照すると、操作制御部27が、所定の自動運転プログラムを備えていて、手動操作部21から、手動操作を自動運転に切り替える旨の操作信号が入力されると、所定の自動運転プログラムに従った操作信号を操作側通信部28に出力する。
【0107】
これにより、自走ロボット1が、操作ユニット2A~2Cによって自動運転される。
【0108】
このような実施形態4によれば、操作者P1~3を減らすことができる。
【0109】
(その他の実施形態)
実施形態1乃至3のいずれかにおいて、関連付け部111をデータ通信ネットワーク3に接続されたサーバに配置してもよい。
【0110】
また、実施形態1又は2において、2つのロボットアーム121A,121Bを、それぞれ、独占的に操作することを可能にしてもよい。また、自走ロボット1のさらなる他の部分を独占的に操作することを可能にしてもよい。例えば、ハンド124A,124Bを独占的に操作することを可能にしてもよい。
【0111】
以上に説明したように、本開示の上記実施形態では、自走ロボット1が、アーム部13を昇降させる昇降部12を更に備え、アーム部13が、昇降部12を介して、走行部11に設けられ、操作ユニット群120が、自走ロボット1の昇降部12を独占的に操作することが可能な操作ユニット2を含んでいる。
【0112】
従って、操作ユニット群120が2つ又は3つの操作ユニット2A~2Cを含み得る。操作ユニット群120が3つの操作ユニットを含む場合、3人の操作者が、互いに分担して、自走ロボット1の走行部11、昇降部12、及びアーム部13を操作することができるので、自走ロボット1を走行させながらロボットアーム121A,121Bで作業する作業を、より好適に行うことができる。
【0113】
また、アーム部13が2つのロボットアーム121A,121Bを含み、操作ユニット群120が、アーム部13の2つのロボットアーム121A,121Bを、それぞれ、独占的に操作することが可能な操作ユニット2A~2Cを含む。
【0114】
従って、2人の操作者が、互いに分担して、2つのロボットアーム121A,121Bを操作することができるので、アーム部13で作業する作業を、より好適に行うことができる。
【0115】
また、操作ユニット群120に含まれる操作ユニット2A~2Cが、自走ロボット1の走行部11及びアーム部13の2つのロボットアーム121A,121Bのうちの少なくとも2つを、それぞれ、独占的に操作することが可能である。
【0116】
従って、作業内容に応じて、作業を分担する操作者P1~3を減らすことができる。
【0117】
また、操作ユニット群120は、操作者によって自走ロボット1の被操作部を操作することが可能な操作ユニット2A~2Cと、自走ロボット1の被操作部を自動運転することが可能な操作ユニット2A~2Cと、を含む。
【0118】
従って、操作者P1~3をさらに減らすことができる。
【0119】
また、ロボットシステム100は、操作ユニット群120に含まれる1つの操作ユニット2が指定をした自走ロボット1の1つの被操作部11~13と、指定をした操作ユニット2A~2Cと、を関連付け、関連付けられた操作ユニット2A~2Cが出力する操作信号のみを関連付けられた被操作部11~13に送るようにして、操作ユニット群120に含まれる全ての操作ユニット2A~2Cが出力する操作信号と、自走ロボット1の全ての被操作部11~13が受け取る操作信号とを関連付ける関連付け部を備える。
【0120】
従って、関連付けられた操作ユニット2A~2Cが出力する操作信号のみを関連付けられた被操作部11~13に送るので、関連付けられた操作ユニット2A~2Cが、関連付けられた被操作部11~13を独占的に操作することが可能になる。そして、このような関連付けを、操作ユニット群120に含まれる全ての操作ユニット2A~2Cが出力する操作信号と、自走ロボット1の全ての被操作部11~13が受け取る操作信号とに行うので、操作ユニット群120に含まれる任意の2以上の操作ユニット2A~2Cによって、自走ロボット1の任意の2以上の被操作部11~13を、それぞれ、独占的に操作することが可能になる。
【0121】
[総括]
本開示に係るロボットシステム100は、自律走行可能な台車11と台車11に搭載された少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bとを有する自走ロボット1と、自走ロボット1を操作する複数の操作コンソール2A,2B,2Cとを、備える。そして、複数の操作コンソール2A,2B,2Cは、台車11及び少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bを含む自走ロボット1の複数の被操作部11,12,13のうち一部を独占的に操作するように構成された第1操作コンソール2と、複数の被操作部11,12,13のうち残りの一部又は全部を独占的に操作するように構成された第2操作コンソール2とを含むことを特徴としている。
【0122】
また、本開示に係るロボット作業方法は、自律走行可能な台車11と台車11に搭載された少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bとを有する自走ロボット1と、自走ロボット1を操作する複数の操作コンソール2A,2B,2Cとを用いるロボット作業方法であって、複数の操作コンソール2A,2B,2Cが第1操作コンソール2及び第2操作コンソール2を含み、第1操作コンソール2が台車11及び少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bを含む自走ロボット1の複数の被操作部11,12,13のうち一部を独占的に操作し、第2操作コンソール2が複数の被操作部11,12,13のうち残りの一部又は全部を独占的に操作することを特徴としている。
【0123】
上記のロボットシステム100及びロボット作業方法によれば、複数の操作者の各々が操作コンソール2を操作することにより、複数の操作者で分担して自走ロボット1の被操作部(即ち、走行部11、昇降部12、及び、少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bを含むアーム部13)を操作することができる。よって、自走ロボット1が、台車11で走行しながらロボットアーム121A,121Bを動かす作業を、より好適に行うことができる。
【0124】
上記ロボットシステム100において、少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bは、第1操作コンソール2に独占的に操作される第1ロボットアーム121Aと、第2操作コンソールに独占的に操作される第2ロボットアーム121Bとを含んでいてよい。
【0125】
また、上記ロボットシステム100において、少なくとも1つのロボットアーム121A,121Bは第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bを含み、台車11、第1ロボットアーム121A、及び第2ロボットアーム121Bのうち2つが、第1操作コンソール2及び第2操作コンソール2のうち一方に独占的に操作されてよい。
【0126】
上記ロボットシステム100において、複数の操作コンソール2A,2B,2Cは、操作者が操ることによって複数の被操作部11,12,13を手動操作するように構成された手動操作コンソール(即ち、自走ロボット1を手動操作する操作コンソール2)と、複数の被操作部11,12,13を自動運転するように構成された自動操作コンソール(即ち、自走ロボット1を自動運転する操作コンソール2)とを含んでいてよい。
【0127】
上記ロボットシステム100において、関連付け回路111(Cm1)は、プロセッサPr1がメモリMe1に記憶された所定のプログラムを実行することによって、複数の操作コンソール2の各々から複数の被操作部11,12,13のうち操作対象を指定する被操作部指定情報を取得し、複数の被操作部11,12,13の各々が複数の操作コンソール2のいずれか1つと関連付けられた関連付け情報を生成し、関連付け情報を記憶するように構成されていてよい。
【0128】
このように、操作者らは操作コンソール2を用いて、複数の操作コンソール2の各々の操作対象となる被操作部11,12,13を指定することができる。
【0129】
更に、上記ロボットシステム100において、自走ロボット1は、当該自走ロボット1の動作を制御するロボットコントローラ112を有し、関連付け回路111は、プロセッサPr1がメモリMe1に記憶された所定のプログラムを実行することによって、複数の被操作部11,12,13のうち第1被操作部に対する操作信号と当該操作信号を出力した操作コンソール2の識別記号とを取得し、関連付け情報を参照して識別記号が第1被操作部と関連付けされた操作コンソール2のものと対応していることを確認し、確認が肯定的である場合には操作信号を第1被操作部に対する確認後の操作信号としてロボットコントローラ112へ送り、確認が否定的である場合には操作信号を破棄するように、構成されており、ロボットコントローラ112は、受け取った確認後の操作信号に従って第1被操作部を動作させるように構成されていてよい。
【0130】
これにより、複数の被操作部11,12,13の各々は関連付けられた操作コンソール2から入力された操作でしか動作しなくなり、誤操作が防止され、また、操作者らは操作の誤りを知ってそれを是正することができる。
【0131】
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【0132】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエア及び/又はプロセッサの構成に使用される。