(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電気コネクタ及び電気コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20250212BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20250212BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R24/38
H01R13/631
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023144255
(22)【出願日】2023-09-06
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】202211091215.X
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】シュウ ハイ チャン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022141(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/092223(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/030226(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109994854(CN,A)
【文献】特開2019-021573(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225606(JP,U)
【文献】特開2006-066281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/91
H01R 24/38
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタであって、
内部に端子受容溝を有する絶縁固定座であって、前記端子受容溝の底部が水平に延びる端子固定溝を有する、絶縁固定座と、
該絶縁固定座の上方に浮動的に取り付けられることができる絶縁浮動座であって、該絶縁浮動座は、上下に貫通する挿入孔を有し、前記絶縁浮動座の外壁に環状溝が設けられている、絶縁浮動座と、
前記絶縁固定座に固定された浮動端子であって、該浮動端子は、はんだ付けテール部と、該はんだ付けテール部に接続されて水平に延びる水平固定部と、嵌合部と、該嵌合部と前記水平固定部との間に弾性的に接続されて複数回屈曲することによって形成された浮動接続部と、を備え、前記水平固定部が前記端子固定溝に固定されており、前記浮動接続部が前記端子受容溝に浮動的に受容されることができ、前記嵌合部が前記絶縁浮動座の前記挿入孔内に上向きに延びている、浮動端子と、
前記絶縁固定座の外側を覆う導電シェルであって、該導電シェルは、上方に延びる複数の弾性嵌合片を有し、該弾性嵌合片の先端が前記環状溝内に延びる、導電シェルと、を含
み、
前記浮動端子の浮動接続部は、順次屈曲して延びる3つの直線延在部を備え、3つの直線延在部のうちの任意の2つの直線延在部は、互いに垂直であり、
前記浮動接続部は、前記嵌合部に接続された第1の屈曲部と、該第1の屈曲部に接続され、水平に延びる第1の直線延在部と、該第1の直線延在部から下方に90度屈曲する第2の屈曲部と、該第2の屈曲部に接続されて上下方向に延びる第2の直線延在部と、該第2の直線延在部から水平方向に90度屈曲する第3の屈曲部と、該第3の屈曲部に接続され、上下方向に延びる第3の直線延在部と、該第3の直線延在部に接続された第4の屈曲部と、を備え、前記水平固定部は、前記第4の屈曲部と接続される、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1の直線延在部の2つの対向する側部はそれぞれ、下方に延びる屈曲アームを有し、該屈曲アームは、懸架される自由端を有する、請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記浮動端子の水平固定部は、前記嵌合部の直下で水平に延びているか、又は
前記浮動端子の水平固定部は、前記嵌合部の直下で水平方向にオフセットして延びている、請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記浮動端子の嵌合部は、互いに対向して設けられた2つの嵌合弾性片を含み、2つの嵌合弾性片の断面は、互いに向かって湾曲している円弧であり、2つの嵌合弾性片の下部の対応する側部は接続され、2つの嵌合弾性片の上部は互いに分離され、それらの間の2つの嵌合弾性片は、上下に貫通する挿入キャビティを形成し、2つの嵌合弾性片は、2つの嵌合弾性片の上端に近い前記2つの嵌合弾性片の位置で前記挿入キャビティの中心に向かって集まり、くびれ部を形成する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記嵌合部は、下から上に順に
直線胴部と、
該直線胴部からその口径を上方に先細りにすることによって形成される円錐胴部と、
該円錐胴部から上方に形成されたラッパ状の挿入ガイド部と、を備え、
前記くびれ部は、前記円錐胴部と前記挿入ガイド部との境界位置に形成されている、請求項
4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記嵌合部は、第1のスリット及び第2のスリットを有し、
前記第1のスリットは、前記挿入ガイド部の上端から前記直線胴部まで下方に延び、該直線胴部を切断しており、
前記第2のスリットは、前記挿入ガイド部の上端から前記直線胴部まで下方に延びているが、該直線胴部を切断しておらず、
前記浮動接続部は、前記直線胴部の下端に接続され、前記第2のスリットの直下に位置している、請求項
5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記端子受容溝と前記浮動接続部との間には隙間があり、
前記端子受容溝は、前記浮動接続部の様々な部分の間に延びる間隔部材を有する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記絶縁固定座は、主固定座及び補助固定座を含み、
前記端子受容溝は、前記主固定座の側部に開口し、前記主固定座の側面に側部開口を形成し、
前記補助固定座は、前記
側部開口にスナップされ、前記補助固定座には間隔ブロックが設けられ、該間隔ブロックは、前記浮動端子の屈曲アームと前記浮動端子の水平固定部との間に介在される、請求項
2に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記端子受容溝は、前記主固定座の内壁を、互いに対向する2つの位置制限壁に区画し、2つの位置制限壁には、スナップ溝がそれぞれ設けられ、
前記補助固定座には、前記スナップ溝にそれぞれスナップするスナップブロックが設けられている、請求項
8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記主固定座の2つの位置制限壁のうちの1つには、突出する停止壁が更に設けられ、該停止壁は、前記第1の屈曲部の下方で停止する、請求項
9に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記端子受容溝は、前記絶縁固定座の側部に設けられ、前記絶縁固定座を互いに対向する第1の位置制限壁及び第2の位置制限壁に区画し、
前記第1の位置制限壁には、前記第2の位置制限壁に向かって水平に延びる仕切壁が設けられ、
該仕切壁と前記第2の位置制限壁との間には隙間があり、前記仕切壁は前記第1の直線延在部の下方に延びており、前記仕切壁と前記第1の直線延在部との間には間隔があり、
前記第2の直線延在部は、前記隙間に挿入されて前記隙間内で浮動可能である、請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記第1の位置制限壁及び前記第2の位置制限壁には、前記第1の位置制限壁の下端に近い位置及び前記第2の位置制限壁の下端に近い位置においてそれぞれ第1の挿入溝及び第2の挿入溝が設けられ、
前記第1の挿入溝の開口と前記第2の挿入溝の開口とが互いに対向して前記端子固定溝を構成し、
前記浮動端子の前記水平固定部の2つの側部は、それぞれ前記第1の挿入溝及び前記第2の挿入溝にスナップされる、請求項
11に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記絶縁浮動座は、胴状の胴体を備え、
前記環状溝は、前記絶縁浮動座の上部に設けられ、前記胴体の周りを取り囲み、
前記環状溝の下方に隣接する前記胴体の外壁に、外側に突出する突出リングが形成されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記導電シェルは、前記絶縁固定座を覆うスリーブ部を含み、
前記弾性嵌合片は、前記スリーブ部の上端に沿って互いに離隔して分布し、ケージ(cage)形状を形成し、
前記弾性嵌合片の上端は前記導電シェルの中心軸に向かって屈曲して屈曲フックを形成し、前記屈曲フックの先端は前記環状溝内に延び、
前記スリーブ部の下端には、外方に延びるはんだ付け脚が設けられている、請求項
13に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
電気コネクタアセンブリであって、
雄コネクタと、
該雄コネクタが挿入される主取り付けハウジングと、
前記雄コネクタに挿入され、該雄コネクタと協働する、請求項1~
14のいずれか1項に記載の電気コネクタと、を含み、
前記雄コネクタは、
金属シェルと、
該金属シェル内に受容される中心導電部材と、
絶縁座と、を含み、
前記中心導電部材は前記絶縁座上に固定され、前記絶縁座は前記金属シェルと前記中心導電部材との間に介在し、
前記中心導電部材と前記浮動端子の嵌合部とが対応して接触して第1の電気的接続を確立し、前記金属シェルが前記導電シェルを覆って第2の電気的接続を確立する、電気コネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気コネクタの分野に関し、特に、別の電気コネクタと浮動的に接続することができる電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタは、電子デバイス間の接続、又は電子デバイスと電気ケーブルとの間の接続を実現するために使用される。電気コネクタ間の接続は、一般に、互いに挿入されて協働する雄コネクタ及び雌コネクタによって実現される。雄コネクタは、一般的に、絶縁座と、絶縁座に設けられた中心導電部材と、絶縁座の外側に設けられた接地シェルとを含む。雌コネクタは、一般に、雄コネクタの中心導電部材と嵌合するために使用される嵌合端子と、雄コネクタの接地シェルと嵌合するために使用される導電シェルと、嵌合端子と導電シェルとの間に介在される絶縁座とを含む。しかし、組立公差のために、雄コネクタと雌コネクタとの間に軸方向又は半径方向の位置ずれが存在することになることが多く、その結果、雄コネクタと雌コネクタとの間の嵌合が困難になるか、又はそのような困難の下で雄コネクタと雌コネクタとの間の嵌合さえ達成することができ、中心導電部材と嵌合端子との間に位置ずれが存在することにより、中心導電部材と嵌合端子との間の接触が不十分になり、その結果、信号伝送の信頼性が影響を受ける。
【0003】
この問題に関して、市場は浮動タイプの雄コネクタを提供しており、そのような雄コネクタの中心導電部材及び導電シェルは、雄コネクタと雌コネクタとの間の組立公差に適合させるために、ある程度の浮動空間を有する。しかしながら、このような雄コネクタは、浮動範囲が制限され、可撓性に乏しく、このような雄コネクタが、その使用環境下で頻繁に振動する車両などの輸送手段に適用される場合、振動によって雄コネクタがしばしば位置ずれし、雄コネクタが損傷しても雄コネクタ内の信号伝送がしばしば中断されるため、さらなる改善が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示によって解決されるべき技術的課題は、上記の先行技術に存在する欠陥を克服するために、組立公差により良く適合することができ、振動環境下でも正常に動作することができる電気コネクタ及び電気コネクタアセンブリを提供することである。
【0005】
本開示の一態様によれば、本開示は電気コネクタを提供し、電気コネクタは、内部に端子受容溝を有する絶縁固定座であって、端子受容溝の底部が水平に延びる端子固定溝を有する、絶縁固定座と、絶縁固定座の上方に浮動的に取り付け可能である絶縁浮動座であって、絶縁浮動座は上下に貫通する挿入孔を有し、絶縁浮動座の外壁に環状溝が設けられている、絶縁浮動座と、絶縁固定座に固定される浮動端子であって、浮動端子は、はんだ付けテール部と、はんだ付けテール部に接続されて水平に延びる水平固定部と、嵌合部と、嵌合部と水平固定部との間に弾性的に接続されて複数回屈曲することによって形成された浮動接続部とを備え、水平固定部は端子固定溝に固定され、浮動接続部は端子受容溝に浮動的に受容可能であり、嵌合部は絶縁浮動座の挿入孔内に上方に延びる、浮動端子と、絶縁固定座の外側を覆う導電シェルであって、導電シェルは、上方に延びる複数の弾性嵌合片を有し、弾性嵌合片の先端は環状溝内に延びる、導電シェルと、を含む。
【0006】
一実施形態において、浮動端子の浮動接続部は、順次屈曲して延びる3つの直線延在部を備え、3つの直線延在部のうちの任意の2つの直線延在部は、互いに垂直である。
【0007】
一実施形態において、浮動接続部は、嵌合部に接続された第1の屈曲部と、第1の屈曲部に接続されて水平方向に延びる第1の直線延在部と、第1の直線延在部から下方に90度屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部に接続されて垂直方向に延びる第2の直線延在部と、第2の直線延在部から水平方向に90度屈曲する第3の屈曲部と、第3の屈曲部に接続されて垂直方向に延びる第3の直線延在部と、第3の直線延在部に接続された第4の屈曲部と、を備え、水平固定部は、第4の屈曲部と接続される。
【0008】
一実施形態では、第1の直線延在部の2つの対向する側部はそれぞれ、下方に延びる屈曲アームを有し、屈曲アームは、懸架される自由端を有する。
【0009】
一実施形態では、浮動端子の水平固定部は、嵌合部の真下で水平に延びる。又は、浮動端子の水平固定部は、嵌合部の直下に水平方向にオフセットして延びている。
【0010】
一実施形態では、浮動端子の嵌合部は、互いに対向するように設けられた2つの嵌合弾性片を含み、2つの嵌合弾性片の断面は、互いに向かって湾曲している円弧である。2つの嵌合弾性片の下部の対応する側部が接続され、2つの嵌合弾性片の上部が互いに分離され、それらの間の2つの嵌合弾性片が上下に貫通する挿入キャビティを形成し、2つの嵌合弾性片の上端に近い2つの嵌合弾性片の位置で2つの嵌合弾性片が挿入キャビティの中心に向かって集まり、くびれ部を形成する。
【0011】
一実施形態では、嵌合部は、下から上に順に、直線胴部と、直線胴部からその口径を上方に先細りにすることによって形成される円錐胴部と、円錐胴部から上方に形成され、ラッパ状である挿入ガイド部とを備える。くびれ部は、円錐胴部と挿入ガイド部との境界位置に形成されている。
【0012】
一実施形態において、嵌合部は、第1のスリット及び第2のスリットを有し、第1のスリットは、挿入ガイド部の上端から直線胴部まで下方に延び、直線胴部を切断し、第2のスリットは、挿入ガイド部の上端から直線胴部まで下方に延びるが、直線胴部を切断せず、浮動接続部は、直線胴部の下端に接続され、第2のスリットの直下に位置する。
【0013】
一実施形態において、端子受容溝及び浮動接続部は、それらの間に隙間を有し、端子受容溝は、浮動接続部の様々な部分の間に延びる間隔部材を有する。
【0014】
一実施形態において、絶縁固定座は、主固定座及び補助固定座を含み、端子受容溝は、主固定座の側部で開口され、主固定座の側面に側部開口を形成し、補助固定座は、側部開口にスナップされ、補助固定座には、間隔ブロックが設けられ、間隔ブロックは、浮動端子の屈曲アームと浮動端子の水平固定部との間に介在する。
【0015】
一実施形態において、端子受容溝は、主固定座の内壁を、互いに対向する2つの位置制限壁に区画し、2つの位置制限壁にはそれぞれスナップ溝が設けられ、補助固定座にはスナップブロックが設けられ、スナップブロックはそれぞれスナップ溝とスナップする。
【0016】
一実施形態において、主固定座の2つの位置制限壁のうちの1つには、突出する停止壁が更に設けられ、停止壁は、第1の屈曲部の下で停止する。
【0017】
一実施形態において、端子受容溝は、絶縁固定座の側部に設けられ、絶縁固定座を互いに対向する第1の位置制限壁及び第2の位置制限壁に区画し、第1の位置制限壁には、第2の位置制限壁に向かって水平に延びる仕切壁が設けられ、仕切壁と第2の位置制限壁との間に隙間を有し、仕切壁は第1の直線延在部の下方に延び、仕切壁と第1の直線延在部との間に間隔を有し、第2の直線延在部は隙間に挿入され、隙間内で浮動可能である。
【0018】
一実施形態では、第1の位置制限壁及び第2の位置制限壁にはそれぞれ、第1の位置制限壁の下端に近い位置及び第2の位置制限壁の下端に近い位置において第1の挿入溝及び第2の挿入溝が設けられて、第1の挿入溝の開口及び第2の挿入溝の開口は互いに対向し、共に端子固定溝を構成し、浮動端子の水平固定部の2つの側部はそれぞれ第1の挿入溝及び第2の挿入溝にスナップされている。
【0019】
一実施形態において、絶縁浮動座は、胴状である胴体を備え、環状溝は、絶縁浮動座の上部に設けられ、胴体の周りを取り囲み、環状溝の下に隣接する胴体の外壁に、外向きに突出する突出リングが形成される。
【0020】
一実施形態において、導電シェルは、絶縁固定座を覆うスリーブ部を備え、弾性嵌合片は、スリーブ部の上端に沿って互いに離間して分布し、ケージ形状を形成し、弾性嵌合片の上端は、導電シェルの中心軸に向かって屈曲して屈曲フックを形成し、屈曲フックの先端は、環状溝内に延び、スリーブ部の下端には、外向きに延びるはんだ付け脚が設けられる。
【0021】
本開示の別の態様によれば、本開示は、電気コネクタアセンブリを提供し、電気コネクタアセンブリは、雄コネクタと、雄コネクタが挿入される主取り付けハウジングと、雄コネクタに挿入されて協働する電気コネクタと、を備え、雄コネクタは、金属シェルと、金属シェル内に受容される中心導電部材と、絶縁座と、を備え、中心導電部材は絶縁座上に固定され、絶縁座は金属シェルと中心導電部材との間に介在し、中心導電部材と浮動端子の嵌合部とが対応して接触して第1の電気的接続を確立し、金属シェルが導電シェルを覆って第2の電気的接続を確立する。
【0022】
従来技術と比較して、本開示は少なくとも以下の利点を有する。本開示の電気コネクタ及び電気コネクタアセンブリは、浮動端子と、浮動端子を取り付けるために使用される絶縁固定座及び絶縁浮動座と、絶縁固定座及び絶縁浮動座を覆う導電シェルとを備える。浮動端子は浮動接続部を含み、浮動接続部は良好な可撓性を有し、3次元空間の様々な方向に変形することができ、浮動端子が浮動するとき、絶縁浮動座も導電シェルの弾性嵌合片の弾性拘束下で追従して浮動して浮動端子の変形に追従し得、浮動端子が上下方向、左右方向、前後方向に浮動できることを確実にし、浮動端子を浮動端子と浮動端子と嵌合する電気コネクタとの間の組立公差により良好に適合させ、振動環境下で、浮動端子も振動に追従して変形し、浮動端子と嵌合する電気コネクタとの確実な嵌合を維持し、電気コネクタが振動環境下で正常に動作することを確実にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の第1の好適な実施形態の電気コネクタアセンブリの側面図である。
【
図2】
図1の電気コネクタアセンブリの分解図である。
【
図3】
図1の線A-Aに沿った電気コネクタアセンブリの断面図である。
【
図4a】回路基板上に設けられた
図2の雌コネクタの斜視図である。
【
図4b】回路基板上に設けられた
図4aの雌コネクタの上面図である。
【
図6】ある角度から見た
図5の雌コネクタの絶縁固定座の分解斜視図である。
【
図7】別の角度から見た
図5の雌コネクタの絶縁固定座の分解斜視図である。
【
図8】
図5の雌コネクタの絶縁浮動座及び絶縁固定座の分解斜視図である。
【
図9】ある角度から見た
図5の雌コネクタの浮動端子の斜視図である。
【
図10】別の角度から見た
図5の雌コネクタの浮動端子の斜視図である。
【
図12】
図5の雌コネクタの絶縁浮動座及び導電シェルの分解斜視図である。
【
図14】
図4aの雌コネクタと嵌合雄コネクタとの間に組立公差があるときの嵌合状態の断面図である。
【
図15】第2の好ましい実施形態の雌コネクタの斜視図である。
【
図19】絶縁固定座に組み立てられた
図16の雌コネクタの浮動端子の斜視図である。
【
図20】別の角度から見た、組み立てられた後の
図16の雌コネクタの浮動端子及び絶縁固定座の斜視図である。
【
図21】組み立てられた後の
図20の浮動端子及び絶縁固定座の側面図である。
【0024】
参照符号は、以下のように表される。
100 電気コネクタアセンブリ
1 回路基板
2 雄コネクタ
21 中心導電部材
22 金属シェル
23 絶縁座
24 ロックカバー
2a 雄コネクタ
21a 中心導電部材
22a 金属シェル
221a 第1の金属シェル
222a 第2の金属シェル
23a 絶縁座
3 主取り付けハウジング
31 嵌合柱
311 取り付け通路
4 雌コネクタ
41 絶縁固定座
410 支持台
411 主固定座
4111 停止壁
4112 スナップ溝
4113 受容溝
412 補助固定座
4121 間隔ブロック
4122 スナップブロック
413 第1の位置制限壁
414 第2の位置制限壁
4131 第1の挿入溝
4141 第2の挿入溝
41a 端子受容溝
41b 端子固定溝
42 絶縁浮動座
421 挿入孔
422 環状溝
423 胴体
424 突出リング
43 浮動端子
431 嵌合部
4311 第1のスリット
4312 第2のスリット
4313 嵌合弾性片
4314 挿入ガイド部
4315 くびれ部
4316 円錐胴部
4317 直線胴部
4318 挿入キャビティ
432 はんだ付けテール部
4321 段部
433 浮動接続部
4331 第1の屈曲部
4332 第1の直線延在部
4333 第2の屈曲部
4334 第2の直線延在部
4335 第3の屈曲部
4336 第3の直線延在部
4337 第4の屈曲部
4338 屈曲アーム
434 水平固定部
44 導電シェル
441 スリーブ部
442 弾性嵌合片
443 屈曲フック
444 はんだ付け脚
445 ラッチ
6 雌コネクタ
61a 端子受容溝
61 絶縁固定座
613 第1の位置制限壁
614 第2の位置制限壁
615 仕切壁
616 隙間
617 停止部
62 絶縁浮動座
63 浮動端子
631 嵌合部
632 はんだ付けテール部
633 浮動接続部
6331 第1の屈曲部
6332 第1の直線延在部
6333 第2の屈曲部
6334 第2の直線延在部
6335 第3の屈曲部
6336 第3の直線延在部
6337 第4の屈曲部
634 水平固定部
64 導電シェル
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、本開示の原理の例証とみなされるべきであり、本開示を例示されるように限定することを意図しないという理解のもとで、本開示は、異なる形態の実施形態が可能であり得るが、本明細書で図に示され、詳細に説明されるものは、特定の実施形態にすぎない。
【0026】
したがって、特徴の参照は、本開示の一実施形態の特徴を説明することを意図しており、すべての実施形態が、説明される特徴を有しなければならないことを暗示するものではない。更に、説明がいくつかの特徴を例示することに留意されたい。特定の特徴は、潜在的なシステム設計を例示するために共に組み合わせられ得るが、それらの特徴は、明示的に説明されていない他の組み合わせでも使用され得る。したがって、説明される組み合わせは、別途注記のない限り、限定することを意図しない。
【0027】
図に例示される実施形態では、本開示の様々な構成要素の構造及び移動を説明するために使用される上、下、左、右、前、及び後などの方向の表現は、絶対的なものではなく、相対的なものである。これらの表現は、構成要素が図に示される位置にあるときに適切なものである。しかしながら、構成要素の位置の説明が変化した場合は、これらの表現がそれに応じて変化する。
【0028】
図1~
図3を参照すると、電気コネクタアセンブリ100は、雄コネクタ2と、雄コネクタ2をその中に挿入することを可能にする主取り付けハウジング3と、雄コネクタ2に挿入されて雄コネクタ2と協働する雌コネクタ4とを含む。雌コネクタ4は回路基板1上に取り付けられ、雌コネクタ4と回路基板1は共に主取り付けハウジング3内に受容される。電気コネクタアセンブリ100は、信号伝送を実現するために、電子デバイス間の接続又は電子デバイスと電気ケーブルとの間の接続に適合され得る。例えば、電子デバイスは、無線通信デバイス、タコグラフ、車両ナビゲーション機器、車両オーディオ又は車両制御パネルなどであってもよい。
【0029】
本開示は主に雌コネクタの構造改善にあるが、好ましい実施形態の雌コネクタの様々な部品の構造、及び雌コネクタと雄コネクタとの間の協働プロセスを明確に説明するために、本実施形態は、雄コネクタ2と、雄コネクタ2がその上に取り付けられることを可能にする主取り付けハウジング3とを概略的に例示している。
【0030】
図3を参照すると、雄コネクタ2は、金属シェル22と、金属シェル22内に受容される中心導電部材21及び絶縁座23と、金属シェル22を覆うロックカバー24とを含む。中心導電部材21は絶縁座23に固定され、絶縁座23は金属シェル22と中心導電部材21との間に介在し、金属シェル22と中心導電部材21とを互いに絶縁させる。金属シェル22は、中心導電部材21内の信号を遮蔽して、ノイズをフィルタリングし、中心導電部材21の送信信号の忠実度性能を向上させるために使用される。ロックカバー24は、雄コネクタ2を主取り付けハウジング3上にロックするように主取り付けハウジング3と嵌合するために使用される。
【0031】
主取り付けハウジング3には嵌合柱31が設けられており、嵌合柱31には、上下方向に沿って貫通する取り付け通路311が開口している。雄コネクタ2が主取り付けハウジング3に取り付けられるとき、雄コネクタ2の金属シェル22、中心導電部材21及び絶縁座23は共に取り付け通路311内に受容され、ロックカバー24は嵌合柱31の外壁を覆い、ロックカバー24及び嵌合柱31は互いに協働してロックされる。
【0032】
以下、図面と組み合わせて、雌コネクタの好ましい実施形態が更に詳細に説明される。
【0033】
説明の便宜上、雄コネクタと嵌合する雌コネクタの端部を本明細書では「上」と定義し、雄コネクタから離れた雌コネクタの端部を本明細書では「下」と定義する。
【0034】
図4a、
図4b及び
図5を参照すると、本実施形態の雌電気コネクタ4は、絶縁固定座41と、絶縁浮動座42と、浮動端子43と、導電シェル44とを含む。浮動端子43は絶縁固定座41及び絶縁浮動座42内に受容され、絶縁固定座41、絶縁浮動座42及び浮動端子43は共に導電シェル44内に受容される。絶縁固定座41及び絶縁浮動座42は、浮動端子43と導電シェル44との間に介在して、浮動端子43と導電シェル44とを互いに絶縁させる。
【0035】
図6及び
図7を参照すると、絶縁固定座41は、主固定座411及び補助固定座412を含む。
【0036】
絶縁固定座41は端子受容溝41aを有し、端子受容溝41aは絶縁固定座41の側部に開放され、絶縁固定座41内に延びる。端子受容溝41aは、浮動端子43を受容するために使用される。具体的には、本実施形態において、端子受容溝41aは、主固定座411の内壁を、互いに対向する第1の位置制限壁413と第2の位置制限壁414とに分割する。
【0037】
端子受容溝41aは、主固定座411の側面に側方開口を形成し、補助固定座412は、側方開口を閉じるように側方開口にスナップされる。第1の位置制限壁413及び第2の位置制限壁414には、スナップ溝4112がそれぞれ設けられている。補助固定座412には、スナップ溝4112にそれぞれスナップするスナップブロック4122が設けられている。主固定座411と補助固定座412は、スナップブロック4122とスナップ溝4112が互いにスナップすることによって互いに接続される。浮動端子43は、主固定座411の側方開口を介して端子受容溝41a内に取り付けられ、補助固定座412は、端子受容溝41a内に浮動端子43をパッケージするように側方開口にスナップされる。補助固定座412上には、突出する間隔ブロック4121が設けられ、間隔ブロック4121は、端子受容溝41a内に延びて、端子受容溝41a内の浮動端子43に位置制限を行う。
【0038】
端子受容溝41aの底部には、水平方向に延びる端子固定溝41bがある。具体的には、本実施形態では、第1の位置制限壁413及び第2の位置制限壁414は、第1の位置制限壁413の下端に近い位置及び第2の位置制限壁414の下端に近い位置にそれぞれ第1の挿入溝4131及び第2の挿入溝4141が開口しており、第1の挿入溝4131の開口及び第2の挿入溝4141の開口は互いに対向しており、第1の挿入溝4131及び第2の挿入溝4141は共に端子固定溝41bを構成している。端子固定溝41bは、浮動端子43を固定するために使用される。
【0039】
主固定座411の第1の位置制限壁413上に、突出する停止壁4111が設けられ、停止壁4111は、浮動端子43上の位置制限を構成するために使用され(以下で詳細に説明される)、絶縁固定座41の外側面には、導電シェル44を固定するために使用される少なくとも1つの凹溝4113が更に設けられる。
【0040】
図8を参照すると、絶縁浮動座42は、絶縁固定座41の上に浮動的に取り付けられる。具体的には、本実施例において、絶縁固定座41の上部に水平な支持台410が設けられ、絶縁浮動座42が支持台410に摺動可能に載置されることにより、絶縁浮動座42の水平浮動を実現し、絶縁浮動座42と絶縁固定座41との上下の接続拘束がないため、絶縁浮動座42は絶縁固定座41に対して自由に上下に浮動することができる。しかし、絶縁浮動座42の浮動範囲は、絶縁固定座41及び絶縁浮動座42を覆う導電シェル44によって制限される(詳細は後述する)。また、図示しない他の実施の実施形態では、絶縁固定座41上に受容溝が設けられてもよく、絶縁浮動座42は受容溝内に取り付けられ、絶縁浮動座42と受容溝との間に隙間があり、絶縁浮動座42を絶縁固定座41に対して水平方向及び上下方向に沿って浮動させることができるようにする。又は、他の実施形態では、絶縁浮動座42に受容溝又は貫通孔を設けて、絶縁固定座41を絶縁浮動座42の受容溝又は貫通孔内に部分的に延ばし、絶縁固定座41と絶縁浮動座42の受容溝又は貫通孔との間に隙間を設けて、絶縁浮動座42が絶縁固定座41に対して水平及び上下に自由に浮動できるようにしてもよい。
【0041】
絶縁浮動座42は、上下に貫通する挿入孔421を有し、浮動端子43の下部は絶縁固定座41内に固定され、浮動端子43の上部は絶縁浮動座42の挿入孔421内に延びる。絶縁浮動座42には、絶縁浮動座42の上部に位置し、絶縁浮動座42の上部の外壁を取り囲む環状溝422が設けられている。絶縁浮動座42は、胴状の胴体423を含む。挿通孔421は、胴体423を上下に貫通している。具体的には、環状溝422は、胴体423を取り囲み、胴体423の上端に近い胴体423の位置に配置される。環状溝422の下方に隣接する胴体423の外壁には、外向きに突出する突出リング424が形成される。
【0042】
図9を参照すると、浮動端子43は、好ましくは、弾性を有する金属導電材料であり、順に接続された嵌合部431、浮動接続部433、水平固定部434、及びはんだ付けテール部432を含む。ここで、嵌合部431及びはんだ付けテール部432は、浮動端子43の2つの端部にそれぞれ位置し、浮動接続部433は、嵌合部431と水平固定部434との間に接続され、水平固定部434は、浮動接続部433とはんだ付けテール部432との間に接続される。嵌合部431は、雄コネクタ2の中心導電部材21と嵌合するために使用され、はんだ付けテール部432は、浮動端子43と回路基板1とを電気的に導通させるように回路基板1とはんだ付けされるために使用される。浮動接続部433は、浮動端子43に上下左右前後の浮動を実現させ、浮動端子43が雄コネクタ2と浮動嵌合することを実現させるために使用され、水平固定部434は、浮動端子43の下端を絶縁固定座41に固定するために使用される。
【0043】
図6~
図9を参照すると、嵌合部431は絶縁浮動座42の挿入孔421内に延び、浮動接続部433及び水平固定部434は絶縁固定座41内に受容される。ここで、浮動接続部433は端子受容溝41a内に受容され、浮動接続部433と端子受容溝41aの溝壁との間には隙間があり、浮動接続部433が端子受容溝41a内で浮動できるようになっている。水平固定部434は端子固定溝41bに対応して受容され、はんだ付けテール部432は絶縁固定座41の外側に露出される。
【0044】
水平固定部434は嵌合部431のすぐ下で水平に延び、水平固定部434は端子固定溝41b内に受容され、水平固定部434の厚さは端子固定溝41bの高さと一致して、水平固定部434が端子固定溝41bの溝壁としっかりと付着することを保証する。具体的には、本実施形態では、端子固定溝41bを構成する第1の挿入溝4131及び第2の挿入溝4141の高さは、水平固定部434の2つの側部がそれぞれ第1の挿入溝4131及び第2の挿入溝4141内にスナップされるように、水平固定部434の厚さと一致する。
【0045】
一方、
図9を参照すると、はんだ付けテール部432は、水平固定部434の先端に接続され、はんだ付けテール部432及び水平固定部434は、それらの間に段部4321を伴って接続される。
【0046】
図9、
図10及び
図11を参照すると、浮動端子43の嵌合部431は、互いに対向する2つの嵌合弾性片4313を含み、2つの嵌合弾性片4313は、それらの間にスリットを形成する。2つの嵌合弾性片4313の下部の対応する側部は互いに接続され、2つの嵌合弾性片4313の上部は互いから分離され、それらの間に上下に貫通する挿入キャビティ4318を形成する。挿入キャビティ4318は、雄コネクタ2の中心導電部材21が挿入され、雄コネクタ2の中心導電部材21と浮動端子43の嵌合部431とが電気的に接続されるようにするために使用される。2つの嵌合弾性片4313の水平断面は、2つの嵌合弾性片4313が挿入キャビティ4318の中心に向かって集まる求心力を有するように、互いに向かって湾曲する円弧であり、くびれ部4315と中心導電部材21との間の確実な接触を常に維持することを確実にする。2つの嵌合弾性片4313は、2つの嵌合弾性片431の上端に近い2つの嵌合弾性片431の位置で挿入キャビティ4318の中心に向かって集まり、中心導電部材21に接触するために使用されるくびれ部4315を形成する。
【0047】
具体的には、浮動端子43の嵌合部431は、第1のスリット4311と第2のスリット4312とを有する。第1のスリット4311は、挿入ガイド部4314の上端から直線胴部4317まで延びており、直線胴部4317を切断している。第2のスリット4312は、挿入ガイド部4314の上端から直線胴部4317まで延びているが、直線胴部4317を切断していない。浮動接続部433は、直線胴部4317の下端に接続されており、第2のスリット4312の直下に位置している。
【0048】
嵌合部431は、全体的にくびれボトル形状である。嵌合部431は、下から上へ順に、直線胴部4317と、円錐胴部4316と、くびれ部4315と、挿入ガイド部4314とを含む。直線胴部4317は、口径が上下に一定であり、不完全に閉じられた胴状の構造であり、円錐胴部4316は、円錐胴部4316の口径を直線胴部4317から上方に先細りにすることによって形成され、挿入ガイド部4314は、挿入ガイド部4314の口径を円錐胴部4316から上方にわずかに拡張することによって形成され、くびれ部4315は、円錐胴部4316と挿入ガイド部4314との境界位置に形成される。
【0049】
図3、
図9及び
図14を併せて参照すると、挿入ガイド部4314は、実質的にラッパ状であり、雄コネクタ2の中心導電部材21が嵌合部431の挿入キャビティ4318内に滑らかに延びるための嵌合ガイドを提供する。中心導電部材21が挿入キャビティ4318内に延びるとき、くびれ部4315は中心導電部材21の外周を包み込むように接触し、くびれ部4315と中心導電部材21とは形状が円弧線である2つの接触帯を形成し、雌コネクタ4と中心導電部材21との間の接触面積が効果的に促進されるため、雌コネクタ4と中心導電部材21とが振動環境下でも確実な接触を維持して、信号を伝送するための第1の電気接続を確立することができる。雄コネクタ2の金属シェル22は、雌コネクタ4の導電シェル44の外周を覆い、導電シェル44の弾性嵌合片442は、金属シェル22の内壁に弾性的に当接して、第2の電気接続を確立して接地を提供する。
【0050】
図9~
図11を参照すると、浮動接続部433は、嵌合部431と水平固定部434との間に弾性的に接続されている。浮動接続部433が複数回屈曲して形成されているので、浮動接続部433は3次元空間において様々な方向に変形することができるため、左右方向、前後方向及び上下方向の各方向における浮動端子43の浮動を実現することができる。
【0051】
説明の便宜上、左右方向、前後方向、及び上下方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向と定義する。
【0052】
本実施形態は、浮動接続部433の実装方式として機能し、順次屈曲して延びる3つの直線延在部を含み、3つの直線延在部のうちの任意の2つの直線延在部は、互いに垂直である。すなわち、3つの直線延在部は、それぞれ3次元空間のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って延びており、3つの直線延在部は、それぞれの屈曲部によって回動を実現している。
【0053】
具体的には、浮動接続部433は、順に接続された第1の屈曲部4331、第1の直線延在部4332、第2の屈曲部4333、第2の直線延在部4334、第3の屈曲部4335、第3の直線延在部4336、及び第4の屈曲部4337を含む。
【0054】
第1の屈曲部4331は、嵌合部431の下端からX軸方向に向かって90度屈曲することによって形成され、第1の直線延在部4332は、第1の屈曲部4331に接続され、第1の屈曲部4331の水平先端からX軸方向に向かって水平に延びることによって形成され、第2の屈曲部4333は、第1の直線延在部4332からZ軸方向に向かって90度屈曲することによって形成され、第2の直線延在部4334は、第2の屈曲部4333に接続され、第2の屈曲部4333の下端からZ軸方向に向かって下方に垂直に延びることによって形成され、第3の屈曲部4335は、第2の直線延在部4334から水平方向に沿って90度屈曲することによって形成され、第3の直線延在部4336は、第3の屈曲部4335に接続され、第3の屈曲部4335から第2の直線延在部4334に垂直に延びることによって形成され、第4の屈曲部4337は、第3の直線延在部4336からY軸方向に向かって90度屈曲することによって形成され、水平固定部434は、第4の屈曲部4337に接続され、第4の屈曲部4337の水平先端からY軸方向(水平方向)に向かって延びることによって形成される。
【0055】
浮動接続部433の3つの直線延在部及び4つの屈曲部は、それらの間に可撓性接続を形成するため、浮動接続部433と嵌合部431とが互いに対して浮動することができ、浮動接続部433と水平固定部434とが互いに対して浮動することができ、3次元空間の様々な方向にそれぞれ延びる浮動接続部433の3つの直線延在部も互いに対して浮動することができ、これにより、浮動端子43が3次元空間の様々な方向に浮動することが実現される。
【0056】
図13a~
図14を参照すると、浮動接続部433は、主固定座411の端子受容溝41a内に受容され、端子受容溝41aと浮動接続部433とは、浮動接続部433が浮動空間を有するように、それらの間に隙間を有する。
【0057】
端子受容溝41aは、浮動接続部433の様々な部分の間に延びる間隔部材を有する。間隔部材は、浮動接続部433の各部分の弾性変形を制限するように機能することができ、端子受容溝41a内の浮動端子43の浮動範囲が大きすぎて浮動端子43と雄コネクタ2との間の嵌合安定性に影響を与えないことを回避する。
【0058】
図11を参照すると、具体的には、本実施形態では、第1の直線延在部4332の2つの対向する側部はそれぞれ、下方に延びる屈曲アーム4338を有し、屈曲アーム4338は、懸架される自由端を有する。互いに対向する2つの屈曲アーム4338は、インピーダンス整合を実現するために浮動端子43の容量性リアクタンスを促進することができ、更に、補助固定座412と協働して補助固定の機能を実現することができる。
【0059】
再び
図7及び
図13bを参照すると、補助固定座412には間隔ブロック4121が設けられている。間隔ブロック4121は、浮動端子43の屈曲アーム4338と浮動端子43の水平固定部434との間に介在して、浮動端子43の補助的な固定を実現する。同時に、間隔ブロック4121は、浮動端子43の弾性変形に対する位置制限としてある程度機能することもでき、浮動端子43が過度に浮動して浮動端子43と雄コネクタ2との間の嵌合安定性に影響を及ぼすことを回避する。
【0060】
再び
図6を参照すると、主固定座411の第1の位置制限壁413には、突出する停止壁4111が更に設けられる。停止壁4111は、浮動端子43の第1の屈曲部4331の下方で停止して、第1の屈曲部4331の過度の浮動を制限する。
【0061】
図12、
図13a及び
図13bを参照すると、導電シェル44は、導電材料であり、絶縁固定座41及び絶縁浮動座42を覆う。導電シェル44は、環状のスリーブ部441と、スリーブ部441から上方に延びる複数の弾性嵌合片442とを備えている。スリーブ部441は、絶縁固定座41を覆い、スリーブ部441の下端には、外向きに延びる複数のはんだ付け脚444が設けられる。はんだ付け脚444は、はんだ付けによって導電シェル44と回路基板1とを固定するために使用される。
【0062】
スリーブ部441には、内向きに突出する少なくとも1つのラッチ445が設けられ、導電シェル44が絶縁固定座41を覆うとき、スリーブ部441のラッチ445は、スリーブ部441と絶縁固定座41との間の相対的な固定を実現するように、スタンピングによって絶縁固定座41の凹溝4113(
図7に示すように)内に延びてもよい。
【0063】
各弾性嵌合片442の先端は、絶縁浮動座42の環状溝422内に延び、そこに受容される。具体的には、複数の弾性嵌合片442は、スリーブ部441の上端に沿って周方向に互いに離間して分布しており、ケージ形状を形成している。弾性嵌合片442の上端は、導電シェル44の中心軸に向かって屈曲して、屈曲フック443を形成する。屈曲フック443は、絶縁浮動座42の突出リング424に懸架されて係合し、屈曲フック443の先端は、環状溝422内に延び、環状溝422との間に隙間を有し、絶縁浮動座42が絶縁固定座41から外れることを防止し、絶縁浮動座42が水平方向及び上下方向に狭い範囲で浮動することを可能にする。突出リング424は、屈曲フック443が環状溝422から外れることを回避するために、屈曲フック443上の位置制限として機能することができる。
【0064】
弾性嵌合片442が弾性を有するので、弾性嵌合片442は、絶縁浮動座42が絶縁固定座41に対して浮動し得るように適切に変形され得、絶縁浮動座42の浮動プロセスにおいて、弾性嵌合片442はまた、絶縁浮動座42が絶縁固定座41から取り外されないことを確実にするように、絶縁浮動座42を適切に拘束することができる。
【0065】
比較のために
図3及び
図14を参照すると、
図3は、本開示の電気コネクタアセンブリ100の断面図であり、第1の実施形態の雌コネクタ4と雄コネクタ2との間の嵌合状態を示す(嵌合公差がない)。
図14は、第1実施形態の雌コネクタ4と雄コネクタ2aとの嵌合状態(嵌合公差あり)を示している。
【0066】
図3の雄コネクタ2は、上記の説明において提示されているので、繰り返しの説明は省略され、
図14の雄コネクタ2aは、
図3の雄コネクタ2とはわずかに異なる。
図14の雄コネクタ2aは、中心導体21aと、中心導体21aを取り付ける絶縁座23aと、金属シェル22aとを備えている。金属シェル22aは、第1の金属シェル221a及び第2の金属シェル222aを含み、第1の金属シェル221a及び第2の金属シェル222aは、互いに嵌合して接続され、金属シェル22aを貫通する取り付け通路を形成し、中心導電部材21a及び絶縁座23は、取り付け通路内に受容される。
【0067】
図3を参照すると、雌コネクタ4と雄コネクタ2とが互いに嵌合するとき、雌コネクタ4は主取り付けハウジング3に受容され、雄コネクタ2は主取り付けハウジング3の嵌合柱31に挿入され、雄コネクタ2の中心導電部材21は雌コネクタ4の浮動端子43の上端の嵌合部431に挿入され、中心導電部材21は嵌合部431の2つの嵌合弾性片4313によって挟持されて浮動端子43と中心導電部材21との間の電気的接続を実現し、雌コネクタ4の導電シェル44は雄コネクタ2の金属シェル22内に延び、雌コネクタ4の導電シェル44は金属シェル22の内壁に接触して導電シェル44と金属シェル22との間の電気的接続を実現し、雄コネクタ2と雌コネクタ4において、中心導電部材21と浮動端子43との間の導通によって電気信号伝送が実現され、金属シェル22と導電シェル44との間の導通によって信号シールドが実現されてノイズをフィルタリングする。
【0068】
図14を参照すると、雌コネクタ4と雄コネクタ2aとの間に組立公差がある場合、雄コネクタ2aと雌コネクタ4との間に軸ずれが生じ、このとき、雄コネクタ2aの中心導電部材21aは雌コネクタ4の嵌合部431の縁と依然として位置合わせすることができ、嵌合部431の上端の挿入ガイド部4314のラッパ状開口を用いて中心導電部材21aをガイドし、中心導電部材21aが嵌合部431にスムーズに挿入されると同時に、雌コネクタ4の導電シェル44の浮動端子43、絶縁浮動座42及び弾性嵌合片442も中心導電部材21aに追従してスキューし、スキュー後、嵌合部431は依然として中心導電部材21aとの確実な嵌合を維持することができ、導電シェル44も依然として雄コネクタ2aの第2の金属シェル222aとの確実な嵌合を維持することができる。浮動端子43は、振動環境下であっても、左右方向、前後方向、上下方向などの様々な方向への振動に追従して変形することができ、変形後も浮動端子43は依然として雄コネクタ2aとの確実な嵌合を維持するので、信号伝送の安定性が確保され、浮動端子43が浮動するとき、絶縁浮動座42も浮動端子43に追従して浮動することができ、浮動端子43の全方向浮動に有利であると同時に、浮動端子43の変形後の状態を維持し、浮動端子43を組立公差により良好に適合させ、振動環境下で正常な動作を維持するのにも有利である。
【0069】
図15及び
図16を参照すると、本開示の第2の実施形態の雌コネクタ6は、絶縁固定座61と、絶縁浮動座62と、浮動端子63と、導電シェル64とを含む。ここで、絶縁浮動座62及び導電シェル64は、第1の実施形態の雌コネクタ4の構造と同様であるので、ここでは繰り返しの説明を省略する。
【0070】
具体的には、第2の実施形態では、浮動端子63も、順に接続された嵌合部631と、浮動接続部633と、水平固定部634と、はんだ付けテール部632とを含む。
【0071】
浮動端子63の嵌合部631及びはんだ付けテール部632の具体的な構造は、第1の実施形態の嵌合部431の雌コネクタ4の構造と同じであるため、ここでは繰り返しの説明を省略する。
【0072】
浮動端子63の水平固定部634の延在方向は、第1の実施形態の雌コネクタ4のそれとは異なり、第1の実施形態では、水平固定部634は、嵌合部631の真下で水平に延びるが、第2の実施形態では、水平固定部634は、嵌合部631の真下でオフセットして水平に延びる。
【0073】
図17及び
図18を参照すると、浮動端子63の浮動接続部633は、順次屈曲して延びる3つの直線延在部を含み、3つの直線延在部のうちの任意の2つの直線延在部は、互いに垂直である。そして、3つの直線延在部は、それぞれの屈曲部によって回動を実現している。
【0074】
具体的には、浮動接続部633は、順に接続された第1の屈曲部6331、第1の直線延在部6332、第2の屈曲部63333、第2の直線延在部6334、第3の屈曲部6335、第3の直線延在部6336、及び第4の屈曲部6337を含む。
【0075】
第1の屈曲部6331は、嵌合部631の下端から水平方向に向かって90度屈曲することによって形成され、第1の直線延在部6332は、第1の屈曲部6331に接続され、第1の屈曲部6331の水平先端から水平に延びることによって形成され、第2の屈曲部63333は、第1の直線延在部6332から下方に屈曲することによって形成され、第2の直線延在部6334は、第2の屈曲部63333に接続され、第2の屈曲部63333から下方に垂直に延びることによって形成され、第3の屈曲部6335は、第2の直線延在部6334から水平方向に沿って90度屈曲することによって形成され、第3の直線延在部6336は、第3の屈曲部6335に接続され、第3の屈曲部6335から下方に垂直に延びることによって形成され、第4の屈曲部6337は、第3の直線延在部6336から水平方向に向かって屈曲することによって形成され、水平固定部634は、第4の屈曲部6337に接続され、第4の屈曲部6337から水平方向に向かって延びることによって形成される。
【0076】
第2の実施形態の雌コネクタ6の第1の直線延在部6332、第2の直線延在部6334、及び第3の直線延在部6336は、上から下に向かって高さが順次低くなり、3つの直線延在部及び4つの屈曲部は、それらの間に可撓性接続を形成し、それにより、浮動接続部633及び嵌合部631は互いに対して浮動することができ、浮動接続部633及び水平固定部634は互いに対して浮動することができ、3次元空間の様々な方向にそれぞれ延びる浮動接続部633の3つの直線延在部は、3次元空間の上下方向、左右方向、前後方向に変形することができ、それにより、浮動端子63が3次元空間の様々な方向に浮動することが実現される。
【0077】
図19~
図21を参照すると、第2の実施形態の雌コネクタ6の絶縁固定座61は、浮動端子63を受容するために使用される端子受容溝61aも有し、端子受容溝61aは、絶縁固定座61の内壁を第1の位置制限壁613と第2の位置制限壁614とに分割する。端子受容溝61aは、絶縁固定座61の側面に開口する開口を形成し、浮動端子63は、開口を介して絶縁固定座61に取り付けられる。
【0078】
絶縁固定座61の第1の位置制限壁613には、第1の位置制限壁613の上部に近い第1の位置制限壁613の位置に仕切壁615が設けられ、仕切壁615は、第2の位置制限壁614に向かって水平に延びることによって形成され、仕切壁615と第2の位置制限壁614との間に隙間616を有する。仕切壁615は、浮動端子63の第1の直線延在部6332の下方に延び、仕切壁615と第1の直線延在部6332とは、第1の直線延在部6332が上下に浮動することができるように間隔を有するが、同時に、仕切壁615は、第1の直線延在部6332の浮動時の位置制限も構成し、第1の直線延在部6332が過度に浮動して雄コネクタとの嵌合の安定性に影響を及ぼすことを防止する。
【0079】
第2の直線延在部6334は、仕切壁615と第2の位置制限壁614との間の隙間616に挿入され、隙間616内で浮動することができる。同時に、仕切壁615及び第2の位置制限壁614はまた、第2の直線延在部6334の水平浮動に対する位置制限を構成し、第2の直線延在部6334が水平方向に沿って過剰に浮動することを防止する。
【0080】
第2の位置制限壁614には、突出する停止部617が設けられる。停止部617は、第2の直線延在部6334の下方で停止され、第2の直線延在部6334が下方に過度に浮動することを防止する。
【0081】
図22~
図24を参照すると、第2の実施形態の雌コネクタ6が組み立てられるとき、絶縁浮動座62は、絶縁固定座61の上方に浮動的に設けられてもよく、浮動端子63の浮動接続部633及び水平固定部634は、絶縁固定座61内に受容され、はんだ付けテール部632は、絶縁固定座61の外側に露出され、嵌合部631は、絶縁浮動座62内に上向きに延び、導電シェル64は、絶縁浮動座62が絶縁固定座61から外れることを防止するために、絶縁固定座61及び絶縁浮動座62を覆う。
【0082】
第2の実施形態の雌コネクタ6の浮動端子63もまた、3次元空間の様々な方向に沿ってそれぞれ延びる3つの直線延在部を含むので、浮動端子63もまた、3次元空間の様々な方向に変形することができ、浮動端子63が3次元空間の様々な方向に浮動することが実現され、浮動端子63が浮動するとき、浮動端子63が上下方向、左右方向、及び前後方向に浮動することを確実にし、浮動端子63と、浮動端子63に嵌合される電気コネクタとの間の組立公差に浮動端子63をより良好に適合させ、振動環境下で正常な動作を維持するように、絶縁浮動座62もまた、導電シェル64の嵌合弾性片の弾性拘束下で追従して浮動して浮動端子63に従うことができる。
【0083】
更に、以下のように留意されたい。
【0084】
上記各実施形態の浮動端子の嵌合部と水平固定部とは、浮動接続部を介して接続されている。浮動接続部は、3次元空間の異なる方向に沿ってそれぞれ延びる3つの直線延在部及び屈曲部によって接続されるため、浮動接続部が3次元空間の様々な方向に変形されることが実現され、ひいては、浮動端子の上下方向、左右方向及び前後方向の全方向浮動が実現される。屈曲部と直線延在部との間の接続関係及び屈曲方向は、説明のための例としてのみ取り上げられ、本明細書では限定として使用されない。
【0085】
他の実施形態では、屈曲部の屈曲方向及び直線延在部の延在方向は、置換によって変更されてもよい。
【0086】
他の実施形態では、浮動接続部の形状は、直線延在部と屈曲部との組み合わせ形態に限定されなくてもよく、浮動接続部は更に、複数回屈曲する波線状、又は渦巻きコイルを有するバネ状、又はDNA構造に類似して屈曲する二重螺旋形状であってもよく、これらの形状は、浮動接続部を空間の3次元方向に変形させることができる。
【0087】
上記各実施形態では、主固定座と補助固定座とが互いにスナップされて接続されているが、他の実施形態ではまた、主固定座と補助固定座とが他の方法、例えば接着によって接続されてもよく、又は主固定座と補助固定座とがまた一体構造であってもよい。
【0088】
上記の電気コネクタの各実施形態は、説明のための例としてのみ取り上げられ、電気コネクタアセンブリの様々な部分の構造は、互いに固定的に協働する組み合わされた構造ではない。構造に矛盾がない場合、電気コネクタの実施形態の様々な部分の構造は、任意に組み合わされて使用され得る。
【0089】
上記は本開示の好ましい実施形態にすぎず、本開示の実施方案を限定するものではなく、本分野の通常の技術職が本開示の主な概念及び趣旨に基づいて従来通り相応の変更又は修正を行うことができるため、本開示の保護範囲は特許請求の範囲に記載された保護範囲に基づくべきである。