(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H04B1/16 G
(21)【出願番号】P 2023502064
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021040185
(87)【国際公開番号】W WO2022180936
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2021030901
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋輔
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082399(JP,A)
【文献】特開2017-085223(JP,A)
【文献】特開2010-258820(JP,A)
【文献】特開2017-108229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04H 20/12
H04H 40/18
H04H 60/12
H04H 60/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルラジオとアナログラジオとが含まれるブロードキャストラジオを受信するアンテナと、
IPラジオを受信するアンテナと、
前記ブロードキャストラジオと前記IPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断する切り替え判断部と、
前記ブロードキャストラジオと前記IPラジオのうち一方から他方への前記ラジオソースの切り替えを行う切り替え部と、
を備え、
前記切り替え判断部は、
前記デジタルラジオの受信品質を示すデジタル品質情報に基づいて前記デジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記デジタルラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせ、
前記アナログラジオの受信品質を示すアナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況が良好でなく、前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合、かつ前記デジタルラジオの受信状況が良好になると推定されない場合、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記アナログラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
ラジオ放送受信装置。
【請求項2】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記ブロードキャストラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項3】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記デジタルラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項4】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記デジタルラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項2に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項5】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、前記切り替え部に、前記ブロードキャストラジオから前記IPラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項6】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、前記切り替え部に、前記ブロードキャストラジオから前記IPラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項2または請求項4に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項7】
前記切り替え判断部は、前記ラジオソースとして前記ブロードキャストラジオのうち前記デジタルラジオが選択されており、かつ、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、前記切り替え部に、前記デジタルラジオから前記IPラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項8】
前記切り替え判断部は、前記ラジオソースとして前記ブロードキャストラジオのうち前記デジタルラジオが選択されており、かつ、前記アナログ品質情報に基づいて前記アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、前記切り替え部に、前記デジタルラジオから前記IPラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項2、請求項4、および請求項6のいずれか一項に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項9】
前記切り替え判断部は、前記デジタル品質情報に基づいて前記デジタルラジオの受信状況が良好でないと判断した場合、または前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況は良好であるが、前記アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、前記切り替え部に、前記ブロードキャストラジオから前記IPラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項
1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項10】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況および前記アナログラジオの受信状況がいずれも良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記ブロードキャストラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項
1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項11】
前記切り替え判断部は、前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況および前記アナログラジオの受信状況がいずれも良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記ブロードキャストラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項
9に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項12】
前記切り替え判断部は、
前記デジタル品質情報に基づいて前記デジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記デジタルラジオへとラジオソースを切り替えさせ、
前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況が良好でなく、かつ前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、前記切り替え部に、前記IPラジオから前記アナログラジオへと前記ラジオソースを切り替えさせる、
請求項
1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項13】
前記切り替え判断部は、
前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況が良好でなく、前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合、かつ前記デジタルラジオの受信状況が良好になると推定される場合、所定の時間待機してから、
前記切り替え部に、前記IPラジオから前記ブロードキャストラジオへと前記ラジオソースを切り替え
させる、
請求項
1に記載のラジオ放送受信装置。
【請求項14】
デジタルラジオの受信品質を示す
デジタル品質情報を受信するステップと、
アナログラジオの受信品質を示す
アナログ品質情報を受信するステップと、
前記デジタルラジオと前記アナログラジオとが含まれるブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断する
判断ステップと、
前記ブロードキャストラジオと前記IPラジオのうち一方から他方への前記ラジオソースの切り替えを行う切り替えステップと、
を有し、
前記判断ステップにおいて、前記デジタル品質情報に基づいて前記デジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合、前記切り替えステップは、前記IPラジオから前記デジタルラジオへと前記ラジオソースを切り替え、
前記判断ステップにおいて、前記アナログ品質情報および前記デジタル品質情報に基づいて、前記デジタルラジオの受信状況が良好でなく、前記アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合、かつ前記デジタルラジオの受信状況が良好になると推定されない場合、前記切り替えステップは、前記IPラジオから前記アナログラジオへと前記ラジオソースを切り替える、
ラジオソース切り替え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放送受信機が記載されている。放送受信機は、選局中の放送局からの放送波の受信信号レベルが第1の閾値以上であるか否かを判定する第1のレベル判定手段を備える。放送受信機は、選局中の放送局からの放送波の受信信号レベルが第2の閾値以上であるか否かを判定する第2のレベル判定手段を備える。ここで、第2の閾値<第1の閾値である。放送受信機は、IPネツトワークへ接続可能であるか否かを判定するIPネツトワーク接続判定手段を備える。放送受信機は第1の許可判定手段を備える。第1の許可判定手段は、第1のレベル判定手段の判定が正である場合又は第1のレベル判定手段の判定が否であり第2のレベル判定手段の判定が正でありかつIPネツトワーク接続判定手段の判定が正である場合は、IPネツトワークを介する選局中の放送局からのIP型放送の出力を許可する。
【0003】
特許文献2には放送受信装置が記載されている。放送受信装置において、第1規格の放送の受信レベルが所定の閾値を下回った場合、第1規格の放送からの第2規格の放送の遅延時間の算出、および、第1規格の放送の音声データに対する遅延処理を開始することにより、第1規格の放送の音声データの出力タイミングを、第2規格の放送の音声データの出力タイミングに同期させる。第1規格の放送の放送局から切り替え可能な代替局が無いときには、当該代替局が有るときに用いる閾値よりも高い閾値を所定の閾値として用いて、第1規格の放送の受信レベルが所定の閾値を下回ったかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2010-258820号公報
【文献】日本国特開2017-85223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、IPラジオとブロードキャストラジオとの間で高精度にラジオソースの切り替えを行うことができるラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ブロードキャストラジオを受信するアンテナと、IPラジオを受信するアンテナと、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断する切り替え判断部とを備え、前記ブロードキャストラジオには、デジタルラジオとアナログラジオとが含まれ、前記切り替え判断部は、少なくともデジタルラジオの受信品質を示す情報とアナログラジオの受信品質を示す情報とに基づいて、前記切り替えの判断を行う、ラジオ放送受信装置を提供する。
【0007】
本開示は、ブロードキャストラジオおよびIPラジオを受信するラジオ放送受信装置によるラジオソース切り替え方法であって、前記ブロードキャストラジオには、デジタルラジオとアナログラジオとが含まれ、前記ラジオ放送受信装置は、前記ブロードキャストラジオと前記IPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断する切り替え判断部を備え、前記切り替え判断部がデジタルラジオの受信品質を示す情報を受信するステップと、前記切り替え判断部がアナログラジオの受信品質を示す情報を受信するステップと、前記切り替え判断部が少なくとも前記デジタルラジオの受信品質を示す情報と前記アナログラジオの受信品質を示す情報とに基づいて、前記切り替えの判断を行うステップと、を有する、ラジオソース切り替え方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、IPラジオとブロードキャストラジオとの間で高精度にラジオソースの切り替えを行うことができるラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る、ラジオ放送受信装置の構成例を示すブロック図
【
図2】本開示の実施形態に係る、ラジオ放送受信装置の構成例を示すブロック図
【
図3】
図1のラジオ放送受信装置がHD SPSからIPラジオへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャート
【
図4】
図1のラジオ放送受信装置がIPラジオからブロードキャストラジオのHD SPSへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャート
【
図5】
図2のラジオ放送受信装置がIPラジオからDABまたはFMへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャート
【
図6】
図1のラジオ放送受信装置がブロードキャストラジオからIPラジオへの切り替えを行う場合に、切り替え判断部が行う判定例を示す概念図
【
図7】
図1のラジオ放送受信装置がIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えを行う場合に、切り替え判断部が行う判定例を示す概念図
【
図8】デジタルラジオについてのステーブルタイマが停止される状況を例示する概念図
【
図9】
図2のラジオ放送受信装置がIPラジオからDABまたはFMへの切り替えを行う場合に、切り替え判断部が行う判定例を示す概念図
【
図10】DABについてのステーブルタイマが停止される状況を例示する概念図
【
図11】FMについてのステーブルタイマが停止される状況を例示する概念図
【
図12】DABおよびFMについてのステーブルタイマが停止される状況を例示する概念図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至る経緯)
ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオの受信品質に応じて、IPラジオおよびブロードキャストラジオのうちどちらをユーザに聴取させるかを切り替える。つまりラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオの受信品質に応じてラジオソースを切り替える。従来のラジオ放送受信装置は、ラジオソースを切り替える際にアンテナおよびチューナを介して受信している電波の受信状態に基づいて、ブロードキャストラジオの受信品質を判断していた。
【0011】
例えばIBOC放送の補助プログラムサービスを意味するSPSにおいては、ラジオソースを切り替えるための基準として、SPSの信号を受信できているか否かの2値でしか受信品質を判断することができない。信号の受信状況を判断するために数秒のタイムラグもあるため、従来のラジオ放送受信装置は、受信状況を高精度で判断することができるものではなかった。なお、ここでいう受信状況の精度とは、測定値の分解能と、時間遅延などについての精度である。
【0012】
また、FMと、デジタルオーディオブロードキャスト(Digital Audio Broadcast)を意味するDABと、を含むブロードキャストラジオを受信するラジオ放送受信装置の場合も、ラジオソースの切り替えの際に、受信状況を高精度で判断することができるものではなかった。
【0013】
そこで、以下の実施形態では、デジタルラジオの受信状態に加えてアナログラジオの受信状態も考慮してIPラジオとブロードキャストラジオとの間の切り替え判断を行うラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法の例を説明する。
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
図1は、本開示の実施形態に係るラジオ放送受信装置10の構成例を示すブロック図である。ラジオ放送受信装置10は、ブロードキャストラジオとIPラジオを受信可能である。ブロードキャストラジオは、デジタルラジオとアナログラジオとを含む。本実施形態では、デジタルラジオがHD SPSである例について説明する。HD SPSは、ハイブリッドデジタルラジオの補助プログラムサービスを意味する。HD SPSの英語表記はHybrid Digital Supplemental Program Serviceである。
【0016】
ラジオ放送受信装置10は、ブロードキャストラジオ受信部101と、デジタルラジオデコード部102と、アナログラジオデコード部103とを備える。ラジオ放送受信装置10は、IPラジオ受信部104とIPラジオデコード部105とをさらに備える。ラジオ放送受信装置10は、切り替え判断部106と、切り替え部107と、スピーカ108とをさらに備える。
【0017】
ブロードキャストラジオ受信部101はアンテナA1と接続されており、ブロードキャストラジオの電波を受信する。デジタルラジオデコード部102は、アンテナA1が受信した電波に含まれる信号をデコードし、デコード後のデジタルラジオ音声情報を切り替え部107へ送信する。また、デジタルラジオデコード部102は、デジタルラジオの受信品質を示すデジタル品質情報を切り替え判断部106へ送信する。デジタル品質情報は、例えばデジタルラジオのデコードの成否を示す情報である。アナログラジオデコード部103は、アンテナA1が受信した電波に含まれる信号をデコードし、アナログラジオの受信品質を示すアナログ品質情報を切り替え判断部106へ送信する。アナログ品質情報は、例えばアナログラジオの信号レベルである。
【0018】
IPラジオ受信部104はアンテナA2と接続されており、IPラジオを受信する。IPラジオデコード部105は、アンテナA2が受信した電波に含まれる信号をデコードし、デコード後のIPラジオ音声情報を切り替え部107へ送信する。また、IPラジオデコード部105は、IPラジオの受信品質を示すIP品質情報を切り替え判断部106へ送信する。IP品質情報は、例えばIPラジオの受信状況を示す情報である。IPラジオの受信状況を示す情報は、例えば、IPラジオにおける音切れの有無を示す情報である。IPラジオの受信状況を示す情報は、例えば、IPラジオのデコードの成否を示す情報であってもよい。IPラジオの受信状況を示す情報は、2つ以上の情報の組み合わせであってもよい。
【0019】
切り替え判断部106は、デジタル品質情報、アナログ品質情報、およびIP品質情報のうち少なくとも一つに基づいて、ブロードキャストラジオおよびIPラジオのうちいずれを出力対象のラジオソースとするかを判断し、判断結果を示す情報を切り替え部107に送信する。
【0020】
切り替え部107は、切り替え判断部106から受信した判断結果を示す情報に基づいて、ラジオソースをデジタルラジオおよびIPラジオのうちいずれか一方に切り替える。スピーカ108は、切り替え部107による切り替えに応じて、デジタルラジオ音声またはIPラジオ音声を出力する。
【0021】
図2は、本開示の実施形態に係るラジオ放送受信装置10Bの構成例を示すブロック図である。ラジオ放送受信装置10Bは、ラジオ放送受信装置10の別の構成例である。ラジオ放送受信装置10Bは、ブロードキャストラジオとIPラジオを受信可能である。ブロードキャストラジオは、デジタルラジオとアナログラジオとを含む。本実施形態において、デジタルラジオがDABであり、アナログラジオがFMである例について説明する。DABは、デジタルオーディオブロードキャストを意味する。DABの英語表記はDigital Audio Broadcastである。
【0022】
ラジオ放送受信装置10Bは、DAB受信部109と、デジタルラジオデコード部102と、FM受信部110と、アナログラジオデコード部103と、デジタル/アナログラジオ選択部111とを備える。ラジオ放送受信装置10Bは、IPラジオ受信部104とIPラジオデコード部105とをさらに備える。ラジオ放送受信装置10Bは、切り替え判断部106と、切り替え部107と、スピーカ108とをさらに備える。
【0023】
DAB受信部109はアンテナA3と接続されており、DABの電波を受信する。デジタルラジオデコード部102は、アンテナA3が受信した電波に含まれる信号をデコードし、デコード後のDAB音声情報をデジタル/アナログラジオ選択部111へ送信する。また、デジタルラジオデコード部102は、デジタル品質情報を切り替え判断部106へ送信する。デジタル品質情報は、例えばビットエラーレート(BER)である。
【0024】
FM受信部110はアンテナA4と接続されており、アナログラジオ放送の電波を受信する。アナログラジオデコード部103は、アンテナA4が受信した電波に含まれる信号をデコードし、デコード後のFM音声情報をデジタル/アナログラジオ選択部111へ送信する。また、アナログラジオデコード部103は、アナログ品質情報を切り替え判断部106へ送信する。アナログ品質情報は、例えばアナログラジオの信号レベルである。
【0025】
デジタル/アナログラジオ選択部111は、所定の基準に基づいて、DAB音声情報およびFM音声情報のうちのいずれか一方を選択し、選択された音声情報をブロードキャストラジオ音声情報として切り替え部107へ送信する。
【0026】
IPラジオ受信部104はアンテナA2と接続されており、IPラジオを受信する。IPラジオデコード部105は、アンテナA2が受信した電波に含まれる信号をデコードし、デコード後のIPラジオ音声情報を切り替え部107へ送信する。また、IPラジオデコード部105は、IP品質情報を切り替え判断部106へ送信する。
【0027】
切り替え判断部106は、デジタル品質情報、アナログ品質情報、およびIP品質情報のうち少なくとも一つに基づいて、ブロードキャストラジオおよびIPラジオのうちいずれを出力対象のラジオソースとするかを判断し、判断結果を示す情報を切り替え部107に送信する。
【0028】
切り替え部107は、切り替え判断部106から受信した判断結果を示す情報に基づいて、ラジオソースをブロードキャストラジオおよびIPラジオのうちいずれか一方に切り替える。スピーカ108は、切り替え部107による切り替えに応じて、ブロードキャストラジオ音声またはIPラジオ音声を出力する。
【0029】
なお、
図1または
図2に記載の切り替え部107が行う、ラジオソースの切り替え処理の態様は、即時切り替えには限られない。例えば、第1のラジオソースと第2のラジオソースとを混ぜ合わせながら徐々に割合を変えて切り替えていく態様も、切り替え部107が行うラジオソースの切り替え処理に含まれる。ここで、即時切り替えとは、第1のラジオソースから第2のラジオソースへと即座に切り替えることをいう。
【0030】
第1のラジオソースと第2のラジオソースとの混ぜ合わせについて、第1のラジオソースがブロードキャストラジオであり、第2のラジオソースがIPラジオである場合を仮定して、より具体的に説明する。例えば、第1の時点では、出力におけるブロードキャストラジオの割合が100%である。第2の時点では、ブロードキャストラジオの割合が70%であり、IPラジオの割合が30%である。第3の時点では、ブロードキャストラジオの割合が30%であり、IPラジオの割合が70%である。第4の時点では、IPラジオの割合が100%である。切り替え部107は、例えば上記のように第1のラジオソースと第2のラジオソースの割合を変化させながらラジオソースを切り替えてよい。
【0031】
切り替え部107は、第1のラジオソースおよび第2のラジオソースの上記の割合を、離散的に変化させてもよく、連続的に変化させてもよい。
【0032】
上記においては、第1のラジオソースがブロードキャストラジオであり、第2のラジオソースがIPラジオであると仮定した。しかし、第1のラジオソースがIPラジオであり、第2のラジオソースがブロードキャストラジオであってもよい。以下、フローチャートや概念図等を用いて本開示の実施形態をより詳しく説明するが、下記においても、ラジオソースの切り替えには、即時切り替えだけでなく、第1のラジオソースと第2のラジオソースとを混ぜ合わせながら徐々に割合を変えて切り替えていく態様も含まれる。
【0033】
図3は、
図1のラジオ放送受信装置10がHD SPSからIPラジオへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャートである。
【0034】
切り替え判断部106が、デジタルラジオの受信状況が良好であるか否かを判断する。この判断は、切り替え判断部106がデジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報に基づいて行われる。例えば、デジタル品質情報が、デジタルラジオのデコードの成否を示す情報である場合、切り替え判断部106は、デジタルラジオのデコードができている場合に、デジタルラジオの受信状況が良好であると判断し、デジタルラジオのデコードができていない場合に、デジタルラジオの受信状況が良好でないと判断する(St101)。切り替え判断部106が、デジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合、例えばデジタルラジオのデコードができている場合(St101:Yes)、ステップSt102へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、デジタルラジオの受信状況が良好でないと判断した場合、例えばデジタルラジオのデコードができていない場合(St101:No)、ステップSt104へと処理が遷移する。
【0035】
ステップSt102において切り替え判断部106は、アナログラジオの受信状況が良好であるか否かを判定する。この判定は、アナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報に基づいて行われる。例えば、アナログ品質情報が、アナログラジオの信号レベルである場合、アナログラジオの信号レベルを示す数値が所定の閾値を一定時間の間、連続で下回った場合に、切り替え判断部106はアナログラジオの受信状況が良好でないと判断する。切り替え判断部106が、アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合(St102:NO)、ステップSt104へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合(St102:YES)、ステップSt103へと処理が遷移する。
【0036】
ステップSt103に処理が遷移した状況においては、デジタルラジオの受信状況が良好であり、アナログラジオの受信状況も良好である。したがって、切り替え判断部106はIPラジオへの切り替えは不要と判断し、切り替え部107に、ラジオソースの切り替えをさせない。したがって、スピーカ108からのブロードキャストラジオの出力が継続される。そして処理がステップSt101へと戻る。
【0037】
ステップSt104においては、デジタルラジオの受信状況が良好でない、あるいはアナログラジオの受信状況が良好でない状態である。したがって、切り替え判断部106はブロードキャストラジオの出力を継続できないと判断し、切り替え部107に、ラジオソースをIPラジオに切り替えさせる。
【0038】
図4は、
図1のラジオ放送受信装置10がIPラジオからブロードキャストラジオのHD SPSへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャートである。
【0039】
切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況を判断する(St201)。この判断は、IPラジオデコード部105から受信した、IP品質情報に基づいて行われる。切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況が良好であると判断した場合(St201:良好)はステップSt202へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況がやや悪いと判断した場合(St201:やや悪い)はステップSt203へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況が悪いと判断した場合(St201:悪い)はステップSt208へと処理が遷移する。
【0040】
ステップSt201における、IPラジオの受信状況の判定基準を例示する。受信状況が良好であるとは、例えば、IPラジオにおいて音切れが全くない状況を意味している。受信状況がやや悪いとは、例えば、IPラジオにおいて多少の音切れはあるが、ブロードキャストラジオに戻さずともユーザがIPラジオを聴取可能であるような状況を意味している。受信状況が悪いとは、例えば、IPラジオが一定時間以上デコードできていない状況を意味している。上記の判定基準はあくまで一例であり、当業者は上記以外の判定基準を用いて、IPラジオの受信状況を判定してよい。
【0041】
ステップSt202において切り替え判断部106が、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であるか否かを判断する。IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると切り替え判断部106が判断した場合(St202:YES)は、ステップSt204へと処理が遷移する。IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能ではないと切り替え判断部106が判断した場合(St202:NO)は、ステップSt205へと処理が遷移する。
【0042】
ステップSt202における、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であるか否かの判断基準を例示する。切り替え判断部106は、例えば、デジタルラジオのデコードが一定時間連続でできており、かつ、アナログラジオの受信品質を示す数値が第1の閾値αを第1の時間の幅だけ上回った場合、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると判断する。アナログラジオの受信品質を示す数値とは、例えばアナログラジオの信号レベルの数値である。
【0043】
ステップSt203において切り替え判断部106が、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であるか否かを判断する。IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると切り替え判断部106が判断した場合(St203:YES)は、ステップSt206へと処理が遷移する。IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能ではないと切り替え判断部106が判断した場合(St203:NO)は、ステップSt207へと処理が遷移する。
【0044】
ステップSt203における、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であるか否かの判断基準を例示する。切り替え判断部106は、例えば、デジタルラジオのデコードが一定時間連続でできており、かつ、アナログラジオの受信品質を示す数値が第2の閾値βを第2の時間の幅だけ上回った場合、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると判断する。アナログラジオの受信品質を示す数値とは、例えばアナログラジオの信号レベルの数値である。なお、第2の閾値βは、例えば第1の閾値α以下である。第2の時間の幅は第1の時間の幅と同等であってもよく、第1の時間の幅より短くてもよい。
【0045】
ステップSt204およびステップSt206において、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えが可能であると判断し、切り替え部107に、ラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えさせる。ステップSt208においては、IPラジオの受信状況が悪い(St201:悪い)ので、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへ切り替えるべきと判断し、切り替え部107に、ラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えさせる。なお、ラジオソースがブロードキャストラジオに切り替えられた際に出力される音声情報は、アナログラジオ音声情報とデジタルラジオ音声情報とを一定の割合で混ぜ合わせたものであってもよい。
【0046】
ステップSt205およびステップSt207において、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えが可能でないと判断し、切り替え部107にラジオソースの切り替えをさせない。したがって、スピーカ108からのIPラジオの出力が継続される。そして処理がステップSt201へと戻る。
【0047】
図5は、
図2のラジオ放送受信装置10BがIPラジオからDABまたはFMへとラジオソースを切り替える判断を行う際の処理例を示すフローチャートである。
【0048】
切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況が良好であるか否かを判定する(St301)。この判定は、切り替え判断部106がIPラジオデコード部105から受信した、IP品質情報に基づいて行われる。切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況が良好であると判断した場合(St301:YES)は、ステップSt302へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、IPラジオの受信状況が良好でないと判断した場合(St301:NO)は、ステップSt309へと処理が遷移する。
【0049】
ステップSt301における、IPラジオの受信状況の判定基準を例示する。IPラジオの受信状況が良好とは、IPラジオにおいて音切れが全くない状況や、IPラジオにおいて多少の音切れはあるが、ブロードキャストラジオに戻さずともユーザがIPラジオを聴取可能であるような状況を意味している。IPラジオの受信状況が良好でないとは、IPラジオが一定時間以上デコードできていない状況を意味している。上記の判定基準はあくまで一例であり、当業者は上記以外の判定基準を用いて、IPラジオの受信状況を判定してよい。
【0050】
なお、ステップSt301においては、切り替え判断部106は、IPラジオの受信状況を「良好」と「良好でない」の2択で判定している。しかし、
図4のステップSt201と同様に、切り替え判断部106がIPラジオの受信状況を「良好」「やや悪い」「悪い」の3択で判定してもよい。
【0051】
ステップSt302において切り替え判断部106が、デジタルラジオの受信状況が良好であるか否かを判断する。この判断は、切り替え判断部106がデジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報に基づいて行われる。
図5に示す例においては、デジタルラジオはDABであるので、以下DABを例に挙げて説明する。切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好であると判断した場合(St302:YES)は、ステップSt305へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好でないと判断した場合(St302:NO)はステップSt303へと処理が遷移する。
【0052】
ステップSt302における、切り替え判断部106によるDABの受信状況の判定基準を例示する。DABの受信状況が良好である場合とは、例えばビットエラーレートの値が所定の閾値よりも小さい場合である。DABの受信状況が良好でない場合とは、例えばビットエラーレートが所定の閾値よりも大きい場合である。上記の判定基準はあくまで一例であり、当業者は上記以外の判定基準を用いて、DABの受信状況を判定してよい。
【0053】
ステップSt303において切り替え判断部106が、アナログラジオの受信状況が良好であるか否かを判定する。この判断は、切り替え判断部106がアナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報に基づいて行われる。切り替え判断部106が、FMの受信状況が良好であると判断した場合(St303:YES)は、ステップSt304へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、FMの受信状況が良好でないと判断した場合(St303:NO)は、ステップSt308へと処理が遷移する。
【0054】
ステップSt303における、切り替え判断部106によるFMの受信状況の判定基準を例示する。FMの受信状況が良好である場合とは、例えば、FMの信号レベルが所定の値よりも大きい場合である。FMの受信状況が良好でない場合とは、例えば、FMの信号レベルが所定の閾値よりも小さい場合を意味している。上記の判定基準はあくまで一例であり、当業者は上記以外の判定基準を用いて、FMの受信状況を判定してよい。
【0055】
ステップSt304において切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好になると推定できるか否かを判定する。切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好になると推定できると判断した場合(St304:YES)は、ステップSt306へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好になると推定できないと判断した場合(St304:NO)は、ステップSt307へと処理が遷移する。切り替え判断部106が、DABの受信状況が良好になると推定できるか否か、を具体的にどのように判断するかは後述する。
【0056】
ステップSt305において、切り替え判断部106はIPラジオからDABへの切り替えが可能であると判断し、切り替え部107に、ラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えさせる。ここでいうブロードキャストラジオは、DABである。ステップSt305においては、IPラジオの受信状況は良好であるが、DABの受信状況も良好であるので、DABへのラジオソースの切り替えが行われる。IPラジオを聴取するにはパケット通信料がかかるので、DABの聴取が可能であればそちらを聴取する方がユーザにとって経済的であるためである。
【0057】
ステップSt307において、切り替え判断部106はIPラジオからFMへの切り替えが適切であると判断し、切り替え部107に、ラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えさせる。ここでいうブロードキャストラジオは、FMである。ステップSt307の処理は、IPラジオとFMの受信状況が良好であり、DABの受信状況が良好でない場合に行われる。ステップSt307に処理が進む場合において、DABの受信状況が良好になることも推定できないので、受信状況が良好なFMへのラジオソースの切り替えが行われる。
【0058】
ステップSt309においては、IPラジオの受信状況が良好でないことから、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えを行うべきであると判断し、切り替え部107に、ラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えさせる。なお、ここでいうブロードキャストラジオは、DABまたはFMのうち音声受信品質の良い方である。切り替え判断部106は、デジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報と、アナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報とに基づいて、DABまたはFMのどちらの音声受信品質が良いかを判定してよい。
【0059】
ステップSt306およびステップSt308において、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えを行わないと判断し、切り替え部107にラジオソースの切り替えをさせない。したがって、スピーカ108からのIPラジオの出力が継続される。そして処理がステップSt301へと戻る。なお、ステップSt306の処理は、IPラジオとFMの受信状況が良好であり、DABの受信状況が良好ではない場合に行われる。ステップSt306に処理が進む場合、DABの受信状況が良好になると推定できるので、切り替え判断部106は、DABの受信状況が良好になるのを待つために、切り替え部107にラジオソースの切り替えをさせずに、IPラジオの出力を継続させている。一方で、ステップSt308に処理が進む場合には、DABおよびFMの双方の受信状況が良好でないので、切り替え判断部106は、切り替え部107に切り替えをさせずにIPラジオの出力を継続させている。
【0060】
なお、
図5に示す処理例の変形例として、ステップSt304を設けない態様も考えられる。変形例においては、ステップSt303において、切り替え判断部106が、FMの受信状況が良好であると判断した場合(St303:YES)、直接ステップSt307へと処理が遷移して、ラジオソースのIPラジオからFMへの切り替えが行われてもよい。
【0061】
図6は、
図1のラジオ放送受信装置10がブロードキャストラジオからIPラジオへの切り替えを行う場合に、切り替え判断部106が行う判定例を示す概念図である。
図6には、横軸を時間、縦軸を音声の受信品質とした、デジタルラジオについてのグラフ(a)と、アナログラジオについてのグラフ(b)とが記載されている。
図6には、ラジオ放送受信装置10がブロードキャストラジオの音声を出力するか、IPラジオの音声を出力するかを示すバー(c)が、併せて記載されている。バー(c)の横軸は、グラフ(a)およびグラフ(b)と同様に、時間を示している。
【0062】
デジタルラジオについてのグラフ(a)は、
図1のラジオ放送受信装置10における切り替え判断部106がデジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報に対応している。アナログラジオについてのグラフ(b)は、
図1のラジオ放送受信装置10における切り替え判断部106がアナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報に対応している。なお、
図6以降のグラフ(a)およびグラフ(b)において、デジタルラジオの受信品質と、アナログラジオの受信品質は、どちらが先に立ち上がってもよい。
【0063】
グラフ(a)が示すように、デジタルラジオの受信品質は、高い値と低い値の2値を取る。例えば、SPS放送を受信できている場合には、受信品質は高い値となり、SPS放送を受信できていない場合には受信品質は低い値となる。ラジオ放送受信装置10において、ブロードキャストラジオの受信品質が低くなった時に即座にラジオソースをIPラジオに切り替えると、ブロードキャストラジオとIPラジオとの間の切り替えが頻繁に行われることとなり不都合であるため、切り替えの際に一定時間のタイムラグを設けることがある。例えば、デジタルラジオの受信品質が低くなってから一定時間が経過しても、デジタルラジオの受信品質が高くならない場合に、切り替え判断部106が、ブロードキャストラジオからIPラジオへの切り替えを行うべきと判断する。一定時間は、例えば2秒である。このタイムラグは、アナログラジオについても同様に設けられてよい。
図6において、タイムラグは受信品質確認期間という表現で記載されている。グラフ(a)においては、切り替え判断部106が、点P1における時間に、デジタルラジオの受信品質に基づく場合にブロードキャストラジオからIPラジオへの切り替えを行うべきと判断する。
【0064】
しかし、デジタルラジオの受信品質のみを判定基準とした場合、上記のようにデジタルラジオの受信品質は2値のみを取り、かつタイムラグも存在するため、ブロードキャストラジオの受信状況をより高い精度で知ることが望まれている。そこで、本開示の実施形態では、アナログラジオの受信品質を用いて、受信状況を判断する。
【0065】
図6のグラフ(b)が示すアナログラジオの受信品質は2値ではなく連続した値をとる。そのため、アナログラジオの受信品質においては、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替える際の基準となるリンクの閾値と、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替える際の基準となるリンクバックの閾値とが設定されている。通常、リンクバックの閾値の方が、リンクの閾値よりも高い値として設定される。図示した例においては、アナログラジオの受信品質がリンクの閾値を下回ってから一定時間、リンクバックの閾値を下回りつづけた時、すなわち点P2における時間において、アナログラジオの受信品質に基づいてブロードキャストラジオからIPラジオへの切り替えを行うべきと切り替え判断部106が判断する。
【0066】
なお、ブロードキャストラジオからIPラジオへと切り替えるべきと切り替え判断部106が判断してから、実際にIPラジオの音声がスピーカ108から出力されるまでにはある程度の時間がかかる。そのため、
図6のバー(c)における、点P1または点P2よりも後の点P3における時間において、実際に出力音声がブロードキャストラジオからIPラジオへと切り替わる。
【0067】
図7は、
図1のラジオ放送受信装置10がIPラジオからブロードキャストラジオへと出力音声の切り替えを行う場合に、切り替え判断部106が行う判定例を示す概念図である。
図7には、横軸を時間、縦軸を音声の受信品質とした、デジタルラジオについてのグラフ(a)と、アナログラジオについてのグラフ(b)とが記載されている。
図7には、ラジオ放送受信装置10がIPラジオの音声を出力するか、ブロードキャストラジオの音声を出力するかを示すバー(c)が、併せて記載されている。バー(c)の横軸は、グラフ(a)およびグラフ(b)と同様に、時間を示している。
【0068】
デジタルラジオについてのグラフ(a)は、
図1のラジオ放送受信装置10における切り替え判断部106がデジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報に対応している。アナログラジオについてのグラフ(b)は、
図1のラジオ放送受信装置10における切り替え判断部106がアナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報に対応している。
【0069】
図6において説明したのと同様に、グラフ(a)が示すように、デジタルラジオの受信品質は、高い値と低い値の2値を取る。ラジオ放送受信装置10において、ブロードキャストラジオの受信品質が高くなった時に即座にラジオソースをブロードキャストラジオに切り替えると、ブロードキャストラジオの受信品質が安定する前に切り替えが行われることがあり不都合であるため、切り替えの際に一定時間のステーブルタイマを待機時間として設けることがある。例えば、デジタルラジオの受信品質が高くなってから一定時間経過しても、デジタルラジオの受信品質が低くならない場合に、切り替え判断部106が、ブロードキャストラジオは安定したのでIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えを行うべきと判断する。一定時間は、例えば5分である。このステーブルタイマは、アナログラジオについても同様に設けられてよい。ステーブルタイマは、例えば3分から20分の間で設定可能であってよい。ステーブルタイマの値は固定値でもよく、ユーザが適宜変更可能な値であってもよい。
【0070】
切り替え判断部106がデジタルラジオの受信品質のみに基づいてラジオソースの切り替えを判断する場合、グラフ(a)にあるように受信品質が高くなってからステーブルタイマの5分が経過した点P1における時間で、切り替え判断部106はIPラジオからブロードキャストラジオへのラジオソースの切り替えを行うべきと判断する。なお、IPラジオからブロードキャストラジオへと切り替えるべきと切り替え判断部106が判断してから、実際にブロードキャストラジオの音声がスピーカ108から出力されるまでにはある程度の時間がかかる。そのため、切り替え判断部106がデジタルラジオの受信品質のみに基づいてラジオソースの切り替えを判断する場合、バー(c)に示されているように点P1における時間よりも少し後のP6における時間において、実際に出力音声がIPラジオからブロードキャストラジオへと切り替わる。
【0071】
しかし、2値で表現されるデジタルラジオの受信品質が高いままでも、グラフ(b)に示されているように、連続値をとるアナログラジオの受信品質には上下動がある場合がある。そこで切り替え判断部106は、デジタルラジオの受信品質だけでなくアナログラジオの受信品質にも基づいて、IPラジオからブロードキャストラジオへのラジオソースの切り替えの判断を行う。
【0072】
図7のグラフ(b)が示すアナログラジオの受信品質は2値ではなく連続した値をとる。そのため、アナログラジオの受信品質においては、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替える際の基準となるリンクの閾値と、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替える際の基準となるリンクバックの閾値とが設定されている。通常、リンクバックの閾値の方が、リンクの閾値よりも高い値となるように設定される。図示した例においては、アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を上回ってから一定時間、リンクバックの閾値を上回りつづけた時、すなわち点P5における時間において、アナログラジオの受信品質に基づいてIPラジオからブロードキャストラジオへの切り替えを行うべきと切り替え判断部106が判断する。一定時間は、ステーブルタイマとして設定されてもよい。一定時間は、例えば5分である。
【0073】
ここで、
図4に基づいて上述したように、ステップSt202における、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能である場合とは、ブロードキャストラジオにおけるデジタルラジオのデコードが一定時間連続でできており、かつ、アナログラジオの受信品質を示す数値が第1の閾値αを第1の時間の幅だけ上回った場合を意味している。デジタルラジオのデコードについての一定時間とは、例えば、
図7のグラフ(a)におけるステーブルタイマすなわち5分に対応する。第1の閾値αは、例えば、
図7のグラフ(b)におけるリンクバックの閾値に対応する。第1の時間の幅は、例えば、
図7のグラフ(b)についてのステーブルタイマすなわち5分に対応する。つまりステップSt202において切り替え判断部106は、点P5における時間において、ラジオソースをIPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると判断する。その結果、図示を省略する、点P5における時間から少し後の時間において、実際に音声出力がIPラジオからブロードキャストラジオへと切り替わることになる。
【0074】
なお、
図4のステップSt203についても上記と同様である。ステップSt203における、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能である場合とは、ブロードキャストラジオにおけるデジタルラジオのデコードが一定時間連続でできており、かつ、アナログラジオの受信品質を示す数値が第2の閾値βを第2の時間の幅だけ上回った場合を意味している。第2の時間の幅は第1の時間の幅より短いので、グラフ(b)におけるステーブルタイマに相当する値は5分より短く設定されることになる。
【0075】
ここで、ステーブルタイマの設定例について説明する。
図7のグラフ(b)が示すアナログラジオについてのステーブルタイマの測定は、アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を所定の時間下回った場合に停止されてよい。所定の時間は、例えば10秒である。
【0076】
一定時間を例えば5分、所定の時間を例えば10秒として、ステーブルタイマの設定例についてより詳しく説明する。
図7のグラフ(b)における点P2における時間において、アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を上回っている。そのため、点P2における時間において、アナログラジオについてのステーブルタイマの測定が開始される。しかし、点P3における時間において、アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を下回ってから10秒経過した場合に、アナログラジオについてのステーブルタイマの測定が停止される。そして点P4における時間において、アナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を再び上回っている。そのため、点P4における時間において、アナログラジオについての5分間のステーブルタイマの測定が再度開始される。
【0077】
一方、
図7のグラフ(a)が示すデジタルラジオの場合、受信品質を示す変数自体がヒステリシスを有している。そのため、デジタルラジオの受信品質が短時間でも悪くなった場合は、デジタルラジオについてのステーブルタイマの測定が停止される。
【0078】
図8は、デジタルラジオについてのステーブルタイマの測定が停止される状況を例示する概念図である。
図8のグラフ(a)の縦軸および横軸は
図7のグラフ(a)の縦軸および横軸と同様であり、
図8のグラフ(b)の縦軸および横軸は
図7のグラフ(b)の縦軸および横軸と同様である。まず、アナログラジオについてのグラフ(b)を参照すると、点P2における時間においてアナログラジオについてのステーブルタイマの測定が開始し、点P5における時間においてアナログラジオの受信品質が安定していると判定される。ここで、点P3においてアナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。しかしながら、点P4においてアナログラジオの受信品質がリンクバックの閾値を再び上回っている。点P3から点P4までの時間が所定の時間である10秒に満たないため、点P3における時間でアナログラジオについてのステーブルタイマの測定は停止されない。
【0079】
次に、デジタルラジオについてのグラフ(a)を参照する。点P6における時間でデジタルラジオについてのステーブルタイマの測定が開始する。しかし、一定時間である5分を経過する前に、点P7における時間においてデジタルラジオの受信品質が下がっている。そのため、点P7における時間においてデジタルラジオについてのステーブルタイマの測定が停止される。点P8における時間においてデジタルラジオの受信品質が上がっているため、点P8における時間においてデジタルラジオについてのステーブルタイマの測定が再度開始される。点P9における時間において一定時間である5分間が経過し、デジタルラジオの受信品質が安定していると判定される。
【0080】
図4のステップSt202において切り替え判断部106は、点P9における時間において、IPラジオからブロードキャストラジオに切り替え可能であると判断する。その結果、図示を省略する、点P9における時間から少し後の時間において、実際に出力音声がIPラジオからブロードキャストラジオへと切り替わることになる。
【0081】
図9は、
図2のラジオ放送受信装置10BがIPラジオからDABまたはFMへの切り替えを行う場合に、切り替え判断部106が行う判定例を示す概念図である。
図9には、横軸を時間、縦軸を受信品質とした、DABについてのグラフ(a)と、FMについてのグラフ(b)とが記載されている。
図9には、ラジオ放送受信装置10BがIPラジオの音声を出力するか、DABまたはFMの音声を出力するかを示すバー(c)が、併せて記載されている。バー(c)の横軸は、グラフ(a)およびグラフ(b)と同様に、時間を示している。
【0082】
DABについてのグラフ(a)は、
図2のラジオ放送受信装置10Bにおける切り替え判断部106がデジタルラジオデコード部102から受信した、デジタル品質情報に対応している。FMについてのグラフ(b)は、
図2のラジオ放送受信装置10Bにおける切り替え判断部106がアナログラジオデコード部103から受信した、アナログ品質情報に対応している。
【0083】
グラフ(a)およびグラフ(b)が示すように、DABについてもFMについても、受信品質は連続した値をとる。そのため、DABまたはFMからIPラジオへと切り替える際の基準となるリンクの閾値と、IPラジオからDABまたはFMへと切り替える際の基準となるリンクバックの閾値とが、DABの受信品質およびFMの受信品質のそれぞれに対して設定されている。通常、リンクバックの閾値の方が、リンクの閾値よりも高い値となるように設定される。図示した例においては、受信品質がリンクバックの閾値を上回ってから一定時間、リンクの閾値を上回りつづけた時、IPラジオからDABまたはFMへの切り替えを行うべきと切り替え判断部106が判断する。この一定時間が、
図9ではステーブルタイマとして表現されている。一定時間は、例えば5分である。DABまたはFMの受信品質が高くなった時に即座にラジオソースをDABまたはFMに切り替えると、DABまたはFMの受信品質が安定する前に切り替えが行われてしまうことがあり不都合であるため、このステーブルタイマが設けられている。
【0084】
なお、DABおよびFMについてのステーブルタイマの測定は、
図7のグラフ(b)に基づいて上述したのと同様に、受信品質がリンクバックの閾値を所定の時間下回った場合に停止されてよい。所定の時間は、例えば10秒である。
【0085】
切り替え判断部106がDABの受信品質のみに基づいてラジオソースの切り替えを判断する場合、グラフ(a)にあるように点P1における時間においてDABの受信品質が高くなってからステーブルタイマの5分が経過した点P4における時間において、切り替え判断部106はIPラジオからDABへのラジオソースの切り替えを行う事ができると判断する。これは
図5のステップSt302に対応する。ここで、点P2における時間においてDABの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P3における時間においてDABの受信品質がリンクバックの閾値を再び上回っている。点P2から点P3までの時間が、所定の時間である10秒未満であるため、点P2における時間においてDABについてのステーブルタイマの測定は停止されない。
【0086】
グラフ(b)にあるように、点P5における時間においてFMの受信品質が高くなってからステーブルタイマの5分が経過した点P8における時間において、IPラジオからFMへのラジオソースの切り替えを行う事ができると切り替え判断部106が判断する。これは
図5のステップSt303に対応する。ここで、点P6における時間においてFMの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P7における時間においてFMの受信品質がリンクバックの閾値を再び上回っている。点P6から点P7までの時間が、所定の時間である10秒未満であるため、点P6における時間においてFMについてのステーブルタイマの測定も停止されない。
【0087】
点P8において、DABの受信状況が良好になると推定できる場合(ステップSt304:YES)、切り替え判断部106はIPラジオからFMへのラジオソースの切り替えを切り替え部107に行わせない。したがって、IPラジオの出力が継続される(ステップSt306)。そして、実際にDABの受信状況が良好になった点P4における時間で、切り替え判断部106はIPラジオからDABへのラジオソースの切り替えを切り替え部107に行わせる(ステップSt302およびSt305)。
図9の例では、グラフ(a)にあるように、点P8における時間において、点P1における時間においてDABの受信品質がリンクバックの閾値を越えてからある程度の時間、DABの受信品質が高く維持されているため、切り替え判断部106はDABの受信状況が良好になると推定できると判断する。ある程度の時間とは、例えば、ステーブルタイマとして設定される時間の半分の時間である。なお、ラジオソースをIPラジオからDABまたはFMへと切り替えるべきと切り替え判断部106が判断してから、実際にDABまたはFMの音声がスピーカ108から出力されるまでにはある程度の時間がかかる。そのため、バー(c)に示されているように、切り替え判断部106は、点P4における時間から所定の時間待機してから、ラジオソースをIPラジオからDABへと切り替える。
【0088】
一方、点P8における時間において、DABの受信状況が良好になると推定できない場合(ステップSt304:NO)、切り替え判断部106は点P8における時間においてラジオソースのIPラジオからFMへの切り替えを行うべきと判断する。切り替え判断部106は、点P8における時間から所定の時間待機してから、ラジオソースをIPラジオからFMへと切り替える。
【0089】
図10は、DABについてのステーブルタイマの測定が停止される状況を例示する概念図である。
図10のグラフ(a)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(a)の縦軸および横軸と同様であり、
図10のグラフ(b)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(b)の縦軸および横軸と同様である。DABについてのグラフ(a)に見られるように、点P2における時間からDABの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P2における時間から所定の時間である10秒が経過した所で、DABについてのステーブルタイマの測定が停止される。点P3における時間からDABの受信品質がリンクバックの閾値を上回っているので、点P3における時間で、DABについてのステーブルタイマの測定が再び開始される。
【0090】
図11は、FMについてのステーブルタイマの測定が停止される状況を例示する概念図である。
図11のグラフ(a)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(a)の縦軸および横軸と同様であり、
図11のグラフ(b)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(b)の縦軸および横軸と同様である。FMについてのグラフ(b)に見られるように、点P6における時間からFMの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P6における時間から所定の時間である10秒が経過した所で、FMについてのステーブルタイマの測定が停止される。点P7における時間からFMの受信品質がリンクバックの閾値を上回っているので、点P7における時間で、FMについてのステーブルタイマが再び開始される。
【0091】
図12は、DABおよびFMについてのステーブルタイマが停止される状況を例示する概念図である。
図12のグラフ(a)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(a)の縦軸および横軸と同様であり、
図12のグラフ(b)の縦軸および横軸は
図9のグラフ(b)の縦軸および横軸と同様である。DABについてのグラフ(a)に見られるように、点P2における時間からDABの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P2における時間から所定の時間である10秒が経過した所で、DABについてのステーブルタイマの測定が停止される。点P3における時間からDABの受信品質がリンクバックの閾値を上回っているので、点P3における時間で、DABについてのステーブルタイマの測定が再び開始される。FMについてのグラフ(b)に見られるように、点P6における時間からFMの受信品質がリンクバックの閾値を下回っている。点P6における時間から所定の時間である10秒が経過した所で、FMについてのステーブルタイマの測定が停止される。点P7における時間からFMの受信品質がリンクバックの閾値を上回っているので、点P7における時間で、FMについてのステーブルタイマの測定が再び開始される。
【0092】
なお、
図10および
図12において、切り替え判断部106がIPラジオからDABまたはFMへのラジオソースの切り替えを行うべきと判断するタイミングは、
図9に基づいて上述したタイミングと同様である。
【0093】
図11においては、点P4における時間よりも点P8における時間の方が後になる。点P4における時間には、DABについてのステーブルタイマである5分間が経過している。そのため、切り替え判断部106がDABについての受信品質のみでラジオソースの切り替えを判断するのであれば、点P4における時間において、IPラジオからDABへとラジオソースが切り替えられることになる(
図5のステップSt302およびステップSt305参照)。ただし、切り替え判断部106が、DABについての受信品質と、FMについての受信品質の両方を用いてラジオソースの切り替えを判断するのであれば、点P8における時間において、IPラジオから例えばDABへとラジオソースが切り替えられることになる。
【0094】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下の付記のように表現できる。
<付記1>
ラジオ放送受信装置が、ブロードキャストラジオを受信するアンテナと、IPラジオを受信するアンテナと、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断する切り替え判断部と、を備える。ブロードキャストラジオには、デジタルラジオとアナログラジオとが含まれる。切り替え判断部は、アナログラジオの受信品質を示すアナログ品質情報に基づいて、切り替えの判断を行う。これにより、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオとの間でラジオソースを高精度に切り替えることができる。
【0095】
<付記2>
付記1において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0096】
<付記3>
付記1において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0097】
<付記4>
付記2において、切り替え判断部は、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0098】
<付記5>
付記1において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、切り替え部に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログラジオの受信状況が良好でない場合に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0099】
<付記6>
付記2または付記4において、切り替え判断部は、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、切り替え部に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログラジオの受信状況が良好でない場合に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0100】
<付記7>
付記1において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、ラジオソースとしてブロードキャストラジオのうちデジタルラジオが選択されており、かつ、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、切り替え部に、デジタルラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、ラジオソースとしてデジタルラジオが選択されており、かつ、アナログラジオの受信状況が良好でない場合、デジタルラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0101】
<付記8>
付記2、付記4、および付記6のいずれか1つにおいて、切り替え判断部は、ラジオソースとしてブロードキャストラジオのうちデジタルラジオが選択されており、かつ、アナログ品質情報に基づいてアナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、切り替え部に、デジタルラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、ラジオソースとしてデジタルラジオが選択されており、かつ、アナログラジオの受信状況が良好でない場合、デジタルラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0102】
<付記9>
付記1において、切り替え判断部は、デジタルラジオの受信品質を示すデジタル品質情報と、アナログ品質情報と、に基づいて、切り替えの判断を行う。これにより、ラジオ放送受信装置は、アナログ品質情報に加えて、デジタル品質情報に基づいて、ラジオソースの切り替えの判断を行うことができる。
【0103】
<付記10>
付記9において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、デジタル品質情報に基づいてデジタルラジオの受信状況が良好でないと判断した場合、またはアナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況は良好であるが、アナログラジオの受信状況が良好でないと判断した場合に、切り替え部に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況が良好でない場合、または、デジタルラジオの受信状況は良好であるがアナログラジオの受信状況が良好でない場合に、ブロードキャストラジオからIPラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0104】
<付記11>
付記9において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、アナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況およびアナログラジオの受信状況がいずれも良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況およびアナログラジオの受信状況がいずれも良好である場合に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0105】
<付記12>
付記10において、切り替え判断部は、アナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況およびアナログラジオの受信状況がいずれも良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況およびアナログラジオの受信状況がいずれも良好である場合に、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0106】
<付記13>
付記9において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、デジタル品質情報に基づいてデジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替えさせる。切り替え判断部は、アナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、かつアナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、切り替え部に、IPラジオからアナログラジオへとラジオソースを切り替えさせる。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替え、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、かつアナログラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからアナログラジオへとラジオソースを切り替えることができる。
【0107】
<付記14>
付記9において、ラジオ放送受信装置は、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを行う切り替え部を備える。切り替え判断部は、デジタル品質情報に基づいてデジタルラジオの受信状況が良好であると判断した場合に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替える。切り替え判断部は、アナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合、かつデジタルラジオの受信状況が良好になると推定されない場合、IPラジオからアナログラジオへとラジオソースを切り替える。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況が良好である場合に、IPラジオからデジタルラジオへとラジオソースを切り替え、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、アナログラジオの受信状況が良好である場合、かつデジタルラジオの受信状況が良好になると推定されない場合、IPラジオからアナログラジオへのラジオソースを切り替えることができる。
【0108】
<付記15>
付記14において、切り替え判断部は、アナログ品質情報およびデジタル品質情報に基づいて、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、アナログラジオの受信状況が良好であると判断した場合、かつデジタルラジオの受信状況が良好になると推定される場合、所定の時間待機してから、IPラジオからブロードキャストラジオへとラジオソースを切り替える。これにより、ラジオ放送受信装置は、デジタルラジオの受信状況が良好でなく、アナログラジオの受信状況が良好である場合、かつデジタルラジオの受信状況が良好になると推定される場合、所定の時間待機してデジタルラジオの受信状況が良好になってから、IPラジオからブロードキャストへとラジオソースを切り替えることができる。
【0109】
<付記16>
ラジオソース切り替え方法は、デジタルラジオの受信品質を示す情報を受信するステップと、アナログラジオの受信品質を示す情報を受信するステップと、デジタルラジオの受信品質を示す情報とアナログラジオの受信品質を示す情報とに基づいて、ブロードキャストラジオとIPラジオのうち一方から他方へのラジオソースの切り替えを判断するステップと、を有する。ブロードキャストラジオには、デジタルラジオとアナログラジオとが含まれる。これにより、ラジオソース切り替え方法は、ブロードキャストラジオとIPラジオとの間でラジオソースを高精度に切り替えることができる。
【0110】
以上、図面を参照して、本開示に係るラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0111】
なお、本出願は、2021年2月26日出願の日本特許出願(特願2021-030901)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示は、IPラジオとブロードキャストラジオとの間で高精度にラジオソースの切り替えを行うことができるラジオ放送受信装置およびラジオソース切り替え方法として有用である。
【符号の説明】
【0113】
10、10B ラジオ放送受信装置
101 ブロードキャストラジオ受信部
102 デジタルラジオデコード部
103 アナログラジオデコード部
104 IPラジオ受信部
105 IPラジオデコード部
106 切り替え判断部
107 切り替え部
108 スピーカ
109 DAB受信部
110 FM受信部
111 デジタル/アナログラジオ選択部
A1~A4 アンテナ