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特許76333922成分無溶剤接着剤組成物及びその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】2成分無溶剤接着剤組成物及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20250212BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20250212BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20250212BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
B32B27/40
B32B27/00 M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023522477
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2020122729
(87)【国際公開番号】W WO2022082575
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シー、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ク、ジャオフイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、カイリ
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508818(JP,A)
【文献】特開2008-056758(JP,A)
【文献】特開平08-199145(JP,A)
【文献】特表2005-517059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物であって、
(A)少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネートプレポリマーを含む、イソシアネート成分と、
(B)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールを含む、ポリオール成分と、を含むが、
ただし、(A)及び(B)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのシラン含有ポリオールを更に含むことを条件とし、
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、式(I)によって表される構造を有し、
【化1】

(式中、各R は、独立して、水素、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アルコキシ、C ~C 12 シクロアルキル、又は、非置換であるか、若しくはハロゲン、C ~C アルキル、若しくはC ~C ハロアルキルで置換されるC ~C 12 アルコキシアルキルを表し、R は、非置換であるか、又は、ヒドロキシル、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C シクロアルキル、C ~C アルコキシアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換される直鎖C ~C 20 アルキレンを表し、および、R は、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換される直鎖又は分岐鎖C ~C 12 アルキルを表す)
前記シラン含有ポリオールの量は、0.5 重量%以上である、
接着剤組成物。
【請求項2】
前記接着剤組成物は無溶剤である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート成分の前記ポリオール成分に対するNCO/OHモル比は、0.5:1~2.5:1の範囲内である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記接着剤組成物中の前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールの量は、前記ポリオール成分及び前記イソシアネート成分の総重量に基づく重量で少なくとも0.05重量%である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、シラン含有ジオール、シラン含有トリオール、シラン含有テトラオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、構造-SiR によって表される分岐シラン基を含み、式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C12シクロアルキル、又は、非置換であるか、若しくはハロゲン、C~Cアルキル、若しくはC~Cハロアルキルで置換されるC~C12アルコキシアルキルを表す、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記接着剤組成物の前記ポリオール成分と前記イソシアネート成分との硬化性混合物の前記反応生成物を含む、請求項1に記載の接着剤組成物から調製される硬化接着剤組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の接着剤組成物を使用する硬化積層体の製造方法であって、
(a)イソシアネート成分とポリオール成分とを含む前記接着剤組成物を提供することと、
(b)イソシアネート成分とポリオール成分とを接触させて、硬化性混合物を形成することと、
(c)硬化性混合物を基材の表面の第1の部分に塗布して、硬化性混合物の層を形成することと、
(d)同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分を前記硬化性混合物の前記層と接触させて、前記硬化性混合物の前記層が前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれるようにすることと、
(e)前記硬化性混合物を硬化させるか又は前記硬化性混合物が硬化するのを可能にすることと、を含む、方法。
【請求項9】
請求項に記載の硬化積層体の製造方法を使用することによって調製された硬化積層体。
【請求項10】
基材の表面の第1の部分と、請求項9に記載の硬化接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む、硬化積層体であって、前記硬化接着剤組成物の前記層は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれ、かつ前記第1の部分及び前記第2の部分と接触している、硬化積層体。
【請求項11】
請求項1に記載の2成分ポリウレタン系接着剤組成物におけるシラン含有ポリオールの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤組成物に関する。より詳細には、本開示は、2成分無溶剤接着剤組成物、それを含む物品、及びその製造方法に関する。2成分無溶剤接着剤組成物は、例えば、接着強度、ヒートシール性能、及び耐化学性のうちの1つ以上に関して改善された性能を提供する。
【背景技術】
【0002】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。例えば、接着剤組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、又はセロファンなどの基材を一緒に結合して複合フィルム、すなわち、積層体を形成するために使用される。様々な積層最終用途における接着剤の使用が一般に知られている。例えば、接着剤は、包装産業において、特に食品包装のために使用されるフィルム/フィルム及びフィルム/ホイル積層体の製造に使用することができる。積層用途で使用される接着剤、すなわち「積層用接着剤」は、全般に、溶剤系、水系、及び無溶剤の3つのカテゴリーに分類することができる。接着剤の性能は、カテゴリーによって、また接着剤が適用される用途によって変わる。
【0003】
無溶剤積層用接着剤は、有機溶剤又は水性担体のいずれも用いずに塗布することができる。塗布時に有機溶剤又は水を接着剤から乾燥する必要がないため、これらの接着剤は高いラインスピードで稼働させることができ、迅速な接着用途を必要とする用途において好ましい。溶剤系及び水系の積層用接着剤は、塗布時に溶剤又は水担体が効果的に乾燥及び除去され得る速度によって限定される。環境、健康、及び安全の理由から、積層用接着剤は、好ましくは水性又は無溶剤である。
【0004】
無溶剤積層用接着剤のカテゴリーには多くの種類がある。1つの特定の種類としては、2成分ポリウレタン系積層用接着剤が挙げられる。典型的には、2成分ポリウレタン系積層用接着剤は、イソシアネート含有プレポリマーを含む第1の成分と、1つ以上のポリオールを含む第2の成分と、を含む。2つの成分が組み合わされ、フィルム/ホイル基材上に塗布され、次いで別のフィルム/ホイル基材に積層される。
【0005】
しかしながら、従来の溶剤含有接着剤と比較して、2成分無溶剤ポリウレタン系積層用接着剤から調製された積層体は、ホイル系積層構造体に対する低い接着強度、低い耐化学性及び耐熱性を示す傾向があり、モートンスープを用いたボイルインバッグ(boiling in bag、BIB)試験で不合格となり得る。したがって、例えば、接着強度、ヒートシール、及び耐化学性のうちの1つ以上に関して改善された性能を有する2成分無溶剤ポリウレタン系積層用接着剤を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、
(A)少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネートプレポリマーを含む、イソシアネート成分と、
(B)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールを含む、ポリオール成分と、を含むが、
ただし、(A)及び(B)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのシラン含有ポリオールを更に含むことを条件とする、接着剤組成物を提供する。
【0007】
更なる態様では、本開示は、接着剤組成物のポリオール成分とイソシアネート成分との硬化性混合物の反応生成物を含む、記載される接着剤組成物から調製される硬化接着剤組成物を提供する。
【0008】
更なる態様では、本開示は、記載される接着剤組成物を使用した硬化積層体の製造方法であって、
(a)イソシアネート成分とポリオール成分とを含む接着剤組成物を提供することと、
(b)イソシアネート成分とポリオール成分とを接触させて、硬化性混合物を形成することと、
(c)硬化性混合物を基材の表面の第1の部分に塗布して、硬化性混合物の層を形成することと、
(d)硬化性混合物の層が第1の部分と第2の部分との間に挟まれるように、基材の表面の第2の部分を硬化性混合物の層と接触させることと、
(e)硬化性混合物を硬化させることか又は前記硬化性混合物が硬化するのを可能にすることと、を含む、方法を提供する。
【0009】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載される硬化積層体の製造方法を使用することによって調製される硬化積層体を提供する。
【0010】
更なる態様では、本開示は、基材の表面の第1の部分と、本明細書に記載される硬化接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む硬化積層体であって、硬化接着剤組成物の層は、第1の部分と第2の部分との間に挟まれ、かつ第1の部分と第2の部分に接触している、硬化積層体を提供する。
【0011】
更なる態様では、本開示は、2成分ポリウレタン系接着剤組成物におけるシラン含有ポリオールの使用を提供する。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0014】
本明細書で開示するとき、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0015】
本明細書で開示するとき、本明細書で言及される全ての百分率は、別段明記されない限り、重量基準であり、温度は℃である。
【0016】
接着剤組成物
本開示による2成分接着剤組成物は、(A)イソシネート(isocynate)成分及び(B)ポリオール成分を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示の接着剤組成物は、2成分ポリウレタン系接着剤組成物であり得る。いくつかの実施形態では、本開示による接着剤組成物は、無溶剤であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の接着剤組成物は、積層用接着剤組成物であり得る。
【0018】
本明細書で使用するとき、「無溶剤」という用語は、接着剤組成物が、有機溶剤又は水性担体のいずれも用いずに塗布され得ること(例えば、最大100パーセント固体)を意味する。本開示のいくつかの実施形態では、接着剤組成物は、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、100重量ppm未満、50重量ppm未満、10重量ppm未満、1重量ppm未満の任意の有機若しくは無機溶剤若しくは水を含むか、又は有機若しくは無機溶剤若しくは水のいずれも含まない。塗布時に有機又は無機溶剤又は水を接着剤から乾燥する必要がないか又はほとんどないため、これらの接着剤は高いラインスピードで稼働させることができ、迅速な接着用途を必要とする用途において好ましい。環境、健康、及び安全の理由から、積層用接着剤は、好ましくは無溶剤である。
【0019】
本明細書で使用するとき、「2成分」という用語は、接着剤組成物が使用前に互いに分離された部分で提供されることを意味する。典型的には、本開示による組成物は、少なくとも、イソシアネート含有プレポリマーを含む第1の成分(本明細書では「イソシアネート成分」又は「NCO成分」とも称される)と、1つ以上のポリオールを含む第2の成分(本明細書では「ポリオール成分」又は「OH成分」とも称される)と、を含み得る。本開示の例示的な実施形態では、イソシアネート成分及びポリオール成分は、別々に調製され、貯蔵され、輸送され、供給され、例えば、基材の表面に塗布される直前に組み合わされ得る。
【0020】
本明細書に記載される接着剤組成物のイソシアネート成分及びポリオール成分は、別々に作製され得、所望に応じて、接着剤組成物を使用することが望ましいときまで別々に貯蔵され得ることが企図される。接着剤組成物を使用することが所望される場合、イソシアネート成分及びポリオール成分を互いに接触させて一緒に混合する。これらの2つの成分を接触させると、イソシアネート基がヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する硬化反応が開始することが企図される。2つの成分を接触させることによって形成される接着剤組成物は、「硬化性混合物」と称され得る。
【0021】
本開示の様々な実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネートプレポリマーを含み得る。イソシアネートプレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含み得る。
【0022】
本開示の様々な実施形態では、ポリオール成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールを含み得る。
【0023】
本開示の様々な実施形態では、イソシアネート成分及びポリオール成分のうちの少なくとも1つは、シラン含有ポリオールを含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の本明細書に記載されるシラン含有ポリオールの量は、イソシアネート成分及びポリオール成分の総重量に基づいて、例えば、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、若しくは約15.0重量%、又は前述の値のうちの任意の2つの間の任意の範囲内、例えば、約0.5重量%~約15.0重量%、約0.5重量%~約12.0重量%、約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約12.0重量%、約1重量%~約10重量%、約1.5重量%~約10重量%、約2重量%~約10重量%、若しくは約2.5重量%~約10重量%であり得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の本明細書に記載されるシラン含有ポリオールの量は、接着剤組成物の重量に基づいて、例えば、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、若しくは約15.0重量%、又は前述の値のうちの任意の2つの間の任意の範囲内、例えば、約0.5重量%~約15.0重量%、約0.5重量%~約12.0重量%、約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約12.0重量%、約1重量%~約10重量%、約1.5重量%~約10重量%、約2重量%~約10重量%、若しくは約2.5重量%~約10重量%であり得る。
【0024】
本開示の様々な実施形態では、接着剤組成物に含まれるイソシアネート成分のポリオール成分に対するNCO/OH比は、0.5:1~2.5:1、0.8:1~2.5:1、1:1~2.5:1、0.5:1~2:1、0.8:1~2:1、1:1~2:1、0.5:1~1.8:1、0.8:1~1.8:1、1:1~1.8:1、0.5:1~1.5:1、0.8:1~1.5:1又は1:1~1.5:1の範囲内であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分中のプレポリマーとポリオール成分中のポリオール化合物(複数可)との間の重量比は、1:1以上、又は1.2:1以上、又は1.5:1以上であり得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分中のプレポリマーとポリオール成分中のポリオール化合物(複数可)との間の重量比は5:1以下、又は4.5:1以下、又は4:1以下であり得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分とポリオール成分との間の重量比は、イソシアネート成分中のプレポリマーとポリオール成分中のポリオール化合物(複数可)との間の重量比が、100:10~100:100、又は100:20~100:90、又は100:30~100:80となるように調節され得るか、又は以下の比:100:30、100:40、100:45、100:50、100:55、100:60、100:65、100:70、100:75及び100:80のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲にあり得る。
【0026】
ポリオール成分
本開示による接着剤組成物に含まれるポリオール成分は、少なくとも1つのポリオールを含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物に含まれるポリオール成分は、2つ以上のポリオールを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分に含まれるポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分は、少なくとも1つのポリエステルポリオール及び少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み得る。
【0027】
本明細書で使用するとき、「ポリオール」という用語は、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を指す。厳密に2つのヒドロキシル基を有するポリオールは、「ジオール」である。厳密に3つのヒドロキシル基を有するポリオールは「トリオール」である。厳密に4つのヒドロキシル基を有するポリオールは、「テトラオール」である。
【0028】
同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含有する化合物は、本明細書では「ポリエステル」として知られている。ポリエステル及びポリオールである化合物は、本明細書では「ポリエステルポリオール」として知られている。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、10,000g/molを超えない分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、少なくとも1.5(すなわち、f≧1.5)のヒドロキシル基官能価を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、10を超えない(すなわち、f≦10)、例えば、8を超えない、又は6を超えないヒドロキシル基官能価を有し得る。
【0029】
本開示による使用に好適なポリエステルポリオールとしては、ジオール、また場合によってはポリオール(例えばトリオール、テトラオール)の重縮合物、ジカルボン酸、また場合によってはポリカルボン酸(例えばトリカルボン酸、テトラカルボン酸)又はヒドロキシカルボン酸又はラクトンの重縮合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルポリオールはまた、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、又は低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルから誘導され得る。
【0030】
好適なジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキサレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、また、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。2を超えるポリエステルポリオール官能価を達成するために、3の官能価を有するポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼン又はトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)が接着剤組成物に任意選択的に含まれ得る。
【0031】
好適なジカルボン酸としては、脂肪酸、芳香族酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な芳香族酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びテトラヒドロフタル酸が挙げられる。好適な脂肪族酸の例としては、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、及びトリメリット酸が挙げられる。本明細書で使用するとき、「酸」という用語は、当該酸の任意の無水物も含む。更に、安息香酸及びヘキサンカルボン酸などのモノカルボン酸は、最小限にするか又は開示された組成物から排除されるべきである。アジピン酸又はイソフタル酸等の飽和脂肪族及び/又は芳香族酸も本開示による使用に適している。
【0032】
様々な実施形態では、ポリエステルポリオールは、端点120、200、500、800、900、1000、1200、1500、1800、2000、2200、2500、2800、3000、3200、3500、3800、4000、4200、4500、4800、5000、5200、5500、5800、6000、6200、6500、6800、7000、7200、7500、7800、8000、8200、8500、8800、9000、9200、9500、9800、及び10000g/molのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポリオール成分中で使用されるポリエステルポリオールのうちの1つ以上は、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ヒドロキシル基で終端された他のポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリオールによって置き換えられ得る。
【0034】
同じ原子の直鎖中に2つ以上のエーテル結合を含有する化合物は、本明細書では「ポリエーテル」として知られている。ポリエーテル及びポリオールである化合物は、「ポリエーテルポリオール」である。いくつかの実施形態では、ポリエーテルポリオールは、10,000g/molを超えない分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリエーテルポリオールは、少なくとも1.5(すなわち、f≧1.5)のヒドロキシル基官能価を有し得る。
【0035】
本開示による使用に好適なポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドの重付加生成物、並びにそれらの共付加及びグラフト化生成物、並びに多価アルコールの縮合によって得られるポリエーテルポリオール、又はそれらの混合物である。使用に好適なポリエーテルポリオールの例としては、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリブチレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ポリオール成分中のポリエーテルポリオールの量は、ポリオール成分の重量に基づく重量で、少なくとも0.05重量%、又は少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%であり得る。ポリオール成分中のポリエーテルポリオールの量は、ポリオール成分の重量に基づく重量で、100重量%、又は90重量%、80重量%、又は70重量%を超えない。
【0037】
様々な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、端点120、200、500、800、900、1000、1200、1500、1800、2000、2200、2500、2800、3000、3200、3500、3800、4000、4200、4500、4800、5000、5200、5500、5800、6000、6200、6500、6800、7000、7200、7500、7800、8000、8200、8500、8800、9000、9200、9500、9800、及び10000g/molのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールより小さい分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールの分子量より小さい、50、100、150、200、250、350、450、550、650、750、850、900、950、1000、1100、1150、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800g/mol以上の分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールより大きい分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、ポリオール成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールの分子量より大きい、50、100、150、200、250、350、450、550、650、750、850、900、950、1000、1100、1150、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800g/mol以上の分子量を有し得る。
【0039】
ポリオール成分は、任意選択的に、少なくとも1つのシラン含有ポリオール、例えば、分岐シラン基を有するポリオールを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、ジオール、トリオール、テトラオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、ジオールから選択され得る。いくつかの実施形態では、ポリオール成分は、いずれのシラン含有ポリオールも含まないものであり得る。他の実施形態では、ポリオール成分は、少なくとも1つのシラン含有ポリオールを含み得る。シラン含有ポリオールは、本明細書において以下に詳述される。
【0040】
ポリオール成分は、任意選択的に、特定の目的のための1つ以上の追加の補助剤及び/又は添加剤を含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポリオール成分は、任意選択的に、接着強度を改善するために1つ以上の接着促進剤を含み得る。ポリオール成分での使用に好適な1つ以上の接着促進剤の例としては、シラン、エポキシ、及びフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
更なる実施形態では、ポリオール成分は、任意選択的に、1つ以上の鎖延長剤を含み得る。ポリオール成分での使用に好適な1つ以上の鎖延長剤の例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロパンジオール、及び2-メチル-1,3-プロパンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
更なる実施形態では、ポリオール成分は、任意選択的に、1つ以上の触媒を含み得る。ポリオール成分での使用に好適な少なくとも1つの触媒の例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、酢酸亜鉛、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリオール成分は、他の助触媒、界面活性剤、強靭化剤、流動調整剤、希釈剤、安定剤、可塑剤、触媒失活剤、分散剤、着色剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の補助剤及び/又は添加剤を更に含み得る。
【0045】
イソシアネート成分
本開示による接着剤組成物に含まれるイソシアネート成分は、イソシアネートプレポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、イソシアネートプレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールと、を含む反応物の反応生成物を含み得る。いくつかの実施形態では、イソシアネートプレポリマーは、1つ以上のイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリオールとの反応生成物を含み得る。
【0046】
本明細書で使用される「イソシアネートモノマー」という用語は、2つ以上のイソシアネート基を含有する任意の化合物である。「芳香族イソシアネート」は、1つ以上の芳香族環を含有するイソシアネートである。「脂肪族イソシアネート」は芳香環を含有していない。
【0047】
本開示による使用に好適なイソシアネートモノマーは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。本開示による使用に好適な芳香族イソシアネートの例としては、4,4-MDI、2,4-MDI及び2,2’-MDIなどのメチレンジフェニルジポリイソシアネート(「MDI」)の異性体、又はカルボジイミド変性MDI若しくはアロファネート変性MDIなどの変性MDI;2,4-TDI、2,6-TDIなどのトルエン-ジポリイソシアネート(「TDI」)の異性体、1,5-NDIなどのナフタレン-ジポリイソシアネート(「NDI」)の異性体、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示による使用に好適な脂肪族ポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジポリイソシアネート(「HDI」)の異性体、イソホロンジポリイソシアネート(「IPDI」)の異性体、キシレンジポリイソシアネート(「XDI」)の異性体、メチレン-ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)(「HMDI」)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、イソシアネートモノマーは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレン-ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネートモノマーを含む。
【0048】
イソシアネート成分中の少なくとも1つのイソシアネートモノマーの量は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%である。イソシアネート成分中の少なくとも1つのイソシアネートの量は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、95重量%、90重量%、80重量%、又は70重量%を超えない。
【0049】
イソシアネート基を有する化合物、例えばイソシアネート成分のイソシアネートプレポリマーは、パラメータ「%NCO」によって特徴付けることができ、それは化合物の重量に基づく重量でのイソシアネート基の量である。パラメータ%NCOは、ASTM D2572-97(2010)の方法によって測定される。開示されたイソシアネート成分は、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも7重量%の%NCOを有する。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、30重量%、又は25重量%、又は22重量%、又は20重量%を超えない%NCOを有する。
【0050】
ポリエステルポリオールの好適な例は、ポリオール成分において上記した通りである。
【0051】
様々な実施形態では、ポリエステルポリオールは、端点120、200、500、800、900、1000、1200、1500、1800、2000、2200、2500、2800、3000、3200、3500、3800、4000、4200、4500、4800、5000、5200、5500、5800、6000、6200、6500、6800、7000、7200、7500、7800、8000、8200、8500、8800、9000、9200、9500、9800、及び10000g/molのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分中で使用されるポリエステルポリオールのうちの1つ以上は、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ヒドロキシル基で終端された他のポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリオールによって置き換えられ得る。
【0053】
ポリエーテルポリオールの好適な例は、ポリオール成分において上記した通りである。
【0054】
様々な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、端点120、200、500、800、900、1000、1200、1500、1800、2000、2200、2500、2800、3000、3200、3500、3800、4000、4200、4500、4800、5000、5200、5500、5800、6000、6200、6500、6800、7000、7200、7500、7800、8000、8200、8500、8800、9000、9200、9500、9800、及び10000g/molのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールより小さい分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールの分子量より小さい、50、100、150、200、250、350、450、550、650、750、850、900、950、1000、1100、1150、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800g/mol以上の分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールより大きい分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエステルポリオールは、イソシアネート成分に含まれる1つ以上のポリエーテルポリオールの分子量より大きい、50、100、150、200、250、350、450、550、650、750、850、900、950、1000、1100、1150、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800g/mol以上の分子量を有し得る。
【0056】
イソシアネート成分中の1つ以上のポリオールの量は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%であり得る。イソシアネート成分中の1つ以上のポリオールの量は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、又は40重量%、又は35重量%を超え得ない。
【0057】
イソシアネート成分は、任意選択的に、少なくとも1つのシラン含有ポリオール、例えば、分岐シラン基を有するポリオールを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、ジオール、トリオール、テトラオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、ジオールから選択され得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、いずれのシラン含有ポリオールも含まないものであり得る。他の実施形態では、イソシアネート成分は、少なくとも1つのシラン含有ポリオールを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオールは、イソシアネート成分中に含まれて、イソシアネートプレポリマーとの混合物を形成し得る。更なる実施形態では、シラン含有ポリオールは、イソシアネートプレポリマー中に含まれ得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのシラン含有ポリオールとの反応生成物を含み得る。
【0059】
シラン含有ポリオールは、本明細書において以下に詳述される。
【0060】
イソシアネート成分は、任意選択的に、1つ以上の触媒を含み得る。本開示による使用に好適な少なくとも1つの触媒の例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、酢酸亜鉛、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物に含まれるイソシアネート成分のポリオール成分に対するNCO/OH比は、0.5:1~2.5:1、0.8:1~2.5:1、1:1~2.5:1、0.5:1~2:1、0.8:1~2:1、1:1~2:1、0.5:1~1.8:1、0.8:1~1.8:1、1:1~1.8:1、0.5:1~1.5:1、0.8:1~1.5:1又は1:1~1.5:1の範囲内であり得る。
【0062】
シラン含有ポリオール
本開示の様々な実施形態では、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)の生理食塩水含有ポリオールが接着剤組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生理食塩水含有ポリオールは、イソシアネート成分及びポリオール成分のうちの少なくとも1つに含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物のポリオール成分及びイソシアネート成分のうちの1つは、少なくとも1つの生理食塩水含有ポリオールを含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物のポリオール成分及びイソシアネート成分のそれぞれは、少なくとも1つの生理食塩水含有ポリオールを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、シラン含有ジオール、シラン含有トリオール、シラン含有テトラオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、シラン含有ジオールから選択され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオールは、分岐シラン基を有するポリオールであり得る。いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオールは、構造-SiR によって表されるシラン基である分岐シラン基を含み得、ここで、各R基は、独立して、水素、ハロゲン、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C12シクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはハロゲン、C~Cアルキル、若しくはC~Cハロアルキルで置換されるC~C12アルコキシアルキルを表す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR基は、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのR基は、独立して、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。いくつかの実施形態では、3つのR基の全ては、独立して、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。
【0065】
いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオールは、式(I)によって表される構造を有し、
【化1】

式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C12シクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはハロゲン、C~Cアルキル、若しくはC~Cハロアルキルで置換されるC~C12アルコキシアルキルを表し、Rは、非置換であるか、又はヒドロキシル、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルコキシアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換される直鎖C~C20アルキレンを表し、Rは、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換される直鎖又は分岐鎖C~C12アルキルを表す。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR基は、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのR基は、独立して、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。いくつかの実施形態では、3つのR基の全ては、独立して、直鎖又は分枝鎖C~C12アルコキシを表す。
【0067】
いくつかの実施形態では、Rは、少なくとも1つ、2つ、又は3つの一級ヒドロキシル基で置換される直鎖又は分岐鎖C~C12アルキルを表す。
【0068】
明確にするために、本開示の文脈において、「ハロゲン」は、独立して、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を含む。
【0069】
「C~C12アルキル」という用語は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基が挙げられる。いくつかの実施形態では、C~C12アルキルは、例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、又はC~Cアルキルであり得る。
【0070】
「C~C12シクロアルキル」という用語は、3~12個の炭素原子を含有する単環又は多環シクロアルキル基を表し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、及びノルボルナニルなどが挙げられる。
【0071】
「C~C12アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ部分及びアルキル部分の炭素原子の総数が2~12個の炭素原子である直鎖又は分岐鎖アルコキシアルキル基を表し、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロピルオキシメチル基、イソプロピルオキシメチル基、ブチルオキシメチル基、イソブチルオキシメチル基、sec-ブチルオキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、1-メトキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-プロピルオキシエチル基、2-イソプロピルオキシエチル基、2-ブチルオキシエチル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-プロピルオキシプロピル基、3-メトキシブチル基、3-エトキシブチル基、4-メトキシブチル基、4-エトキシブチル基、及び5-メトキシペンチル基などが挙げられる。いくつかの実施形態では、C~C12アルコキシアルキルは、例えば、C~Cアルコキシアルキル、C~Cアルコキシアルキル、C~Cアルコキシアルキル、又はC~Cアルコキシアルキルであり得る。
【0072】
「C~C20アルキレン」という用語は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭素鎖を表し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、イソプロピレンなどが挙げられる。
【0073】
式(I)の特定の実施形態では、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、又はC~Cアルコキシアルキルを表し得る。式(I)の別の特定の実施形態では、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、又はC~Cアルコキシアルキルを表し得る。いくつかの実施形態では、各Rは、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cアルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル)、若しくはC~Cハロアルキル(例えば、C~C若しくはC~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、又はブロモアルキル)で置換され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、C~C12アルコキシ(例えば、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ)を表し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのRは、同じか又は異なり得、それぞれは、C~C12アルコキシ(例えば、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ)を表す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、C~C12アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル)を表し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのRは、同じか又は異なり得、それぞれは、C~C12アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル)を表す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、C~C12アルコキシアルキル(例えば、C~Cアルコキシアルキル、C~Cアルコキシアルキル)を表し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのRは、同じか又は異なり得、それぞれは、C~C12アルコキシアルキル(例えば、C~Cアルコキシアルキル、C~Cアルコキシアルキル)を表す。式(I)の特定の実施形態では、各Rは、独立して、C~C12アルコキシを表し得る。特定の実施形態では、各Rは、同じか又は異なり得、独立して、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、及びこれらの組み合わせから選択される基を表し得る。
【0074】
式(I)の一実施形態では、Rは、直鎖C~C18アルキレンを表し得る。式(I)の別の実施形態では、Rは、直鎖C~C15アルキレンを表し得る。式(I)の別の実施形態では、Rは、直鎖C~C12アルキレンを表し得る。式(I)のいくつかの実施形態では、Rは、非置換であるか、又はヒドロキシル、ハロゲン、C~Cアルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル)、C~Cアルコキシ(例えば、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ)、C~Cシクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル)、C~Cアルコキシアルキル(例えば、C~Cアルコキシアルキル、C~Cアルコキシアルキル)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換され得る。
【0075】
式(I)の一実施形態では、Rは、直鎖又は分岐鎖C~C10アルキルを表し得る。式(I)の一実施形態では、Rは、直鎖又は分岐鎖C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、又はC~Cアルキルを表し得る。式(I)のいくつかの実施形態では、Rは、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換され得る。いくつかの実施形態では、Rは、少なくとも1つ、2つ、又は3つの一級ヒドロキシル基で置換され得る。
【0076】
いくつかの例示的な実施形態では、シラン含有ポリオールは、シラン含有アミンとカーボネートとの反応生成物であり得る。いくつかの実施形態では、カーボネートは環状カーボネートであり得る。特定の実施形態では、カーボネートは、非置換であるか、又はヒドロキシル若しくはヒドロキシルアルキル、より好ましくはヒドロキシル若しくはヒドロキシル(C~C10)アルキル、より好ましくはヒドロキシル若しくはヒドロキシル(C~C)アルキル、更により好ましくはヒドロキシル若しくはヒドロキシル(C~C)アルキルで置換された5~8員環環状カーボネートであり得る。いくつかの実施形態では、シラン含有アミンは、5~20個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施形態では、シラン含有アミンは、5~16個の炭素原子を有し得る。いくつかの特定の実施形態では、シラン含有アミンは、アミノアルキルトリアルキオキシシラン(aminoalkyltrialkyoxysilane)、好ましくはアミノ(C~C10)アルキルトリ(C~C10)アルキオキシシラン(alkyoxysilane)、より好ましくはアミノ(C~C)アルキルトリ(C~C)アルキオキシシラン、更により好ましくはアミノ(C~C)アルキルトリ(C~C)アルキオキシシランであり得る。好適なアミノアルキルトリアルコキシシランの例としては、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノペンチルトリメトキシシラン、アミノヘキシルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、アミノペンチルトリエトキシシラン、アミノヘキシルトリエトキシシラン、アミノメチルトリプロポキシシラン、アミノエチルトリプロポキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノブチルトリプロポキシシラン、アミノペンチルトリプロポキシシラン、アミノヘキシルトリプロポキシシラン、アミノメチルトリブトキシシラン、アミノエチルトリブトキシシラン、アミノプロピルトリブトキシシラン、アミノブチルトリブトキシシラン、アミノペンチルトリブトキシシラン、アミノヘキシルトリブトキシシランが挙げられ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の少なくとも1つのシラン含有ポリオールの量は、ポリオール成分及びイソシアネート成分の総重量(例えば、総乾燥重量)に基づく重量で、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.8重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%であり得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の少なくとも1つのシラン含有ポリオールの量は、ポリオール成分及びイソシアネート成分の総重量(例えば、総乾燥重量)に基づく重量で、30重量%未満、25重量%未満、22重量%未満、20重量%未満、18重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、又は8重量%未満であり得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の少なくとも1つのシラン含有ポリオールの量は、ポリオール成分及びイソシアネート成分の総重量(例えば、総乾燥重量)に基づく重量で、0.05重量%~30重量%、0.05重量%~25重量%、0.3重量%~20重量%、0.5重量%~18重量%、0.5重量%~15重量%、0.5重量%~12重量%、0.8重量%~18重量%、0.8重量%~15重量%、0.8重量%~12重量%、1重量%~18重量%、1重量%~15重量%、1重量%~12重量%、又は1重量%~10重量%であり得る。
【0078】
接着剤組成物の適用
更なる態様では、本開示は、硬化接着剤組成物を提供する。
【0079】
いくつかの実施形態では、硬化接着剤組成物は、本明細書に記載される接着剤組成物のポリオール成分とイソシアネート成分との硬化性混合物の反応生成物を含み得る。いくつかの実施形態では、硬化接着剤組成物は、本明細書に記載される接着剤組成物のイソシアネート成分とポリオール成分とを接触させて硬化性混合物を形成し、硬化性混合物を硬化させることによって調製され得る。いくつかの実施形態では、硬化接着剤組成物は、層の形態であり得る。いくつかの実施形態では、硬化接着剤組成物は、積層体内に含まれ得る。
【0080】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載される接着剤組成物を使用することによる硬化積層体の製造方法を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本方法は、記載されるようなイソシアネート成分及びポリオール成分を含む接着剤組成物を提供することを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本方法は、イソシアネート成分とポリオール成分とを接触させて硬化性混合物を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、混合中、水分汚染を回避するために窒素が適用される。いくつかの実施形態では、全ての原料の水分含有量は、500ppm未満に制御される。
【0083】
いくつかの実施形態では、本方法は、硬化性混合物の層を形成するために、基材(例えば、フィルム)の表面の第1の部分上に硬化性混合物を適用することを含み得る。本明細書で使用するとき、「基材の表面の第1の部分」は、表面の一部又は全体を指し得る。いくつかの実施形態では、表面の第1の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。いくつかの実施形態では、硬化性混合物の被覆重量は、0.5~5.0g/m、0.5~4.0g/m、0.5~3.0g/m、0.5~2.0g/m、0.5~1.0g/m、0.8~4.0g/m、0.8~3.0g/m、1.0~3.0g/m、1.5~3.0g/m、又は1.5~2.0g/mであり得る。いくつかの実施形態では、基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、セロファン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、基材は、フィルムの形態であり得る。
【0084】
「フィルム」は、0.5mm以下の厚さを有する材料の層を指し得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1cm以上である構造体であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、ポリマー又はポリマーの混合物から作製されるフィルムである。いくつかの実施形態では、フィルムに適用される硬化性混合物の層の厚さは1~5μmである。フィルムの例としては、紙、織布及び不織布、金属ホイル、ポリマー、並びに金属被覆ポリマーが挙げられ得る。フィルムは、任意選択的に、その上に画像がインクで印刷される表面を有する。インクは接着剤組成物と接触してもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは、ポリマーフィルム及び金属被覆ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリマーフィルムである。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、硬化性混合物の層が第1の部分と第2の部分との間に挟まれて未硬化積層体を形成するように、基材(例えば、フィルム)の表面の第2の部分を硬化性混合物の層と接触させることを含み得る。本明細書で使用するとき、「基材の表面の第2の部分」は、表面の一部又は全体を指し得る。一般に、第2の部分は、上述のように第1の部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、同じか又は異なる表面上の部分であり得る。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、同じか又は異なる基材の同じか又は異なる表面の部分であり得る。いくつかの実施形態では、表面の第1の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。いくつかの実施形態では、表面の第2の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、未硬化積層体は、接着剤組成物中に存在する未反応ポリイソシアネート基の量が、ポリオール成分との接触前のイソシアネート成分中に存在するポリイソシアネート基の量と比較してモル基準で、少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90%であるときに作製され得る。未硬化積層体は、硬化性混合物中に存在する未反応ポリイソシアネート基の量が、100%未満、又は97%未満、又は95%未満であるときに更に作製され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法は、硬化性混合物を硬化させることか又は硬化性混合物が硬化するのを可能にすることを含み得る。いくつかの実施形態では、未硬化積層体は、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、加圧することができる。いくつかの実施形態では、未硬化積層体を加熱して(例えば、30℃~90℃、例えば、30℃~60℃の温度で)硬化反応を加速させ得る。
【0088】
更なる態様では、本開示は、上述の硬化積層体の製造方法を使用することによって調製される硬化積層体を提供する。
【0089】
更なる態様では、本開示は、基材の表面の第1の部分と、本明細書に記載される硬化接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む硬化積層体であって、硬化接着剤組成物の層は、第1の部分と第2の部分との間に挟まれ、かつ第1の部分と第2の部分に接触している、硬化積層体を提供する。
【0090】
更なる態様では、本開示は、2成分ポリウレタン系接着剤組成物における本開示によるシラン含有ポリオール化合物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は無溶剤であり得る。いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオール化合物は、接着剤組成物のヒドロキシル成分及びイソシアネート成分の一方又は両方に含まれ得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、シラン含有ポリオールは、上述の通りであり、例えば、式(I)によって表される構造を有し得、
【化2】

式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C12シクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはハロゲン、C~Cアルキル、若しくはC~Cハロアルキルで置換されるC~C12アルコキシアルキルを表し、Rは、非置換であるか、又はヒドロキシル、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルコキシアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換される直鎖C~C20アルキレンを表し、Rは、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換される直鎖又は分岐鎖C~C12アルキルを表す。
【実施例
【0092】
次に、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において説明し、全ての部及び百分率は、別段明記されない限り、重量による。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0093】
1.原料
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に示す:
【表1】

比較例2の無溶剤積層用接着剤中のNCO成分としてMor-free 698Aを使用した。
**比較例2の無溶剤積層用接着剤中のOH成分としてMor-free C-83を使用した。
【0094】
2.合成手順
本開示による分岐シラン基を有する例示的なポリオールを、表2に列挙される配合に従って合成した。
【0095】
原料JEFFSOLグリセリンカーボネート及びA1100を所与の配合に従って秤量し、慎重に混合した。混合物をケトルに供給し、ガラス反応器を約25℃の温度の水浴中に置いた。次いで、混合物を回転させた。温度を適切な範囲内(特に周囲温度、一般に15℃~35℃)に制御し、全プロセスの間、ケトルをN保護下に置いた。72時間後、真空(20mmHg)を約25℃の温度で40分間適用した。そのように得られた生成物を、窒素で保護された100mLのスチールボトルに投入した。
【表2】
【0096】
本発明の実施例及び比較例のNCO成分及びOH成分を、表3に列挙される配合に従って調製した。
【0097】
NCO成分:
NCO成分は、通常のポリウレタンプレポリマー調製プロセスに従って1000mLのガラス反応器中で合成した。
【0098】
Isonate 50 OPを反応器に投入し、窒素で保護しながら60℃に維持し、次いで、表3に示されるようなGC10-3を含む又は含まないポリオールを反応器に投入して、MDIと混合した。温度を80℃までゆっくり上昇させ、NCO含有量が理論値に達するまで2~3時間保持してプレポリマーを生成した。最後に、プレポリマーを、更なる適用のために、窒素で保護された十分に密封された容器に投入した。
【0099】
OH成分:
OH成分は、表3に示すように、GC10-3を含む又は含まないポリオールを混合することによって調製した。原料を投入する前に、全ての原料の水分含有量を500ppm未満に制御した。全撹拌プロセスの間、水分汚染を避けるために窒素が必要であった。
【表3】
【0100】
被覆及び積層プロセス:
被覆及び積層プロセスは、SDC Labo-Combi 400機で行われた。全積層プロセスの間、100m/分の速度でニップ温度を40℃に維持した。被覆重量は1.8~2.0g/mであった。次いで、積層フィルムを室温(23~25℃)又はオーブン内で硬化させた後、試験した。
【0101】
3.サンプル調製
表4に示された配合に従ってサンプルを調製した。サンプルのNCO/OHモル比を1.0~1.8のレベルに維持した。
【表4】
【0102】
4.試験方法:
T型剥離(90°)接着強度(手で補助したT型剥離)
硬化後、Instron 5943機における250mm/分のクロスヘッド速度でのT型剥離試験のために、積層したフィルムを15mm幅のストリップに切断した。3つのストリップを試験して、平均値を取得した。試験中、ストリップの尾部をわずかに指で引っ張り、尾部が剥離方向に対して90°のままであることを確かめた。
【0103】
ヒートシール強度:
積層体を、Brugger Companyから入手可能なHSG-C Heat-Sealing Machine中、140℃のシール温度及び300Nの圧力で1秒間ヒートシールし、次いで、冷却し、ヒートシール強度試験のために、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Columnmn Table Top Systemを使用して、250mm/分のクロスヘッド速度下で15mm幅のストリップに切断した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mm単位とした。
【0104】
耐化学性(モートンスープを詰めたボイルインバッグ):
硬化した積層フィルムを8×12インチのサイズに切断し、次いで折り畳んで、140℃及び300N/15mm下で1秒間、より大きな長方形の底部及び側部をヒートシールした。次いで、パウチにモートンスープを全体の2/3ほど充填した後、空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにパウチの上部を注意深く密封した。一般に、モートンスープは、大豆油、ケチャップ、及び酢を1:1:1の混合比で混合したものを含む。ヒートシールが損なわれないよう、ヒートシール領域に水がかからないようにした。ヒートシール領域又は積層領域に既存する顕著な欠陥には、消えないマーカーで印をつけた。次いで、パウチを沸騰水中に慎重に入れ、30分間そこに保持した。全沸騰プロセス中、パウチが常に水中に浸漬されることを確認する。完了したら、トンネリング、層間剥離、及び/又は漏れの程度を、既存の欠陥と比較して記録した。任意の既存のヒートシール又は積層欠陥を超えるトンネリング、層間剥離、又は漏出の証拠を示さなかったサンプルは、「合格」として記録される。パウチを開き、空にし、冷却し、次いで幅15mmのストリップに切断して、Instron5943機においてそのT型剥離結合強度及びヒートシール強度を試験した。
【0105】
5.性能評価
結合強度(BS)、ヒートシール強度(HS)、及びBiB特性を表5に要約する。結果は、シラン含有ポリオールGC10-3の包含が、2成分無溶剤接着剤のホイルへの結合強度、耐化学性(モートンスープを用いたボイルインバッグ試験後にトンネリングのない良好なヒートシール)、及び加水分解安定性を大きく改善し得ることを示している。
【表5】

本願は以下の態様にも関する。
(1)
接着剤組成物であって、
(A)少なくとも1つのイソシアネートモノマーと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネートプレポリマーを含む、イソシアネート成分と、
(B)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリオールを含む、ポリオール成分と、を含むが、
ただし、(A)及び(B)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのシラン含有ポリオールを更に含むことを条件とする、接着剤組成物。
(2)
前記接着剤組成物は無溶剤である、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(3)
前記イソシアネート成分の前記ポリオール成分に対するNCO/OHモル比は、0.5:1~2.5:1の範囲内である、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(4)
前記接着剤組成物中の前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールの量は、前記ポリオール成分及び前記イソシアネート成分の総重量に基づく重量で少なくとも0.05重量%である、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(5)
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、シラン含有ジオール、シラン含有トリオール、シラン含有テトラオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(6)
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、構造-SiR によって表される分岐シラン基を含み、式中、各R は、独立して、水素、ハロゲン、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アルコキシ、C ~C 12 シクロアルキル、又は、非置換であるか、若しくはハロゲン、C ~C アルキル、若しくはC ~C ハロアルキルで置換されるC ~C 12 アルコキシアルキルを表す、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(7)
前記少なくとも1つのシラン含有ポリオールは、式(I)によって表される構造を有し、
【化3】
式中、各R は、独立して、水素、ハロゲン、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アルコキシ、C ~C 12 シクロアルキル、又は、非置換であるか、若しくはハロゲン、C ~C アルキル、若しくはC ~C ハロアルキルで置換されるC ~C 12 アルコキシアルキルを表し、R は、非置換であるか、又は、ヒドロキシル、ハロゲン、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C シクロアルキル、C ~C アルコキシアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換される直鎖C ~C 20 アルキレンを表し、R は、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換される直鎖又は分岐鎖C ~C 12 アルキルを表す、前記(1)に記載の接着剤組成物。
(8)
少なくとも2つのR は、同じか又は異なり、それぞれC ~C 12 アルコキシを表す、前記(7)に記載の接着剤組成物。
(9)
前記接着剤組成物の前記ポリオール成分と前記イソシアネート成分との硬化性混合物の前記反応生成物を含む、前記(1)に記載の接着剤組成物から調製される硬化接着剤組成物。
(10)
前記(1)に記載の接着剤組成物を使用する硬化積層体の製造方法であって、
(a)イソシアネート成分とポリオール成分とを含む前記接着剤組成物を提供することと、
(b)イソシアネート成分とポリオール成分とを接触させて、硬化性混合物を形成することと、
(c)硬化性混合物を基材の表面の第1の部分に塗布して、硬化性混合物の層を形成することと、
(d)同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分を前記硬化性混合物の前記層と接触させて、前記硬化性混合物の前記層が前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれるようにすることと、
(e)前記硬化性混合物を硬化させるか又は前記硬化性混合物が硬化するのを可能にすることと、を含む、方法。
(11)
前記(10)に記載の硬化積層体の製造方法を使用することによって調製された硬化積層体。
(12)
基材の表面の第1の部分と、前記(9)に記載の硬化接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む、硬化積層体であって、前記硬化接着剤組成物の前記層は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれ、かつ前記第1の部分及び前記第2の部分と接触している、硬化積層体。
(13)
2成分ポリウレタン系接着剤組成物におけるシラン含有ポリオールの使用。