(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】モジュール式フロー・サイトメトリ・システム及びサンプル処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/1409 20240101AFI20250212BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20250212BHJP
G01N 15/14 20240101ALI20250212BHJP
【FI】
G01N15/1409 100
C12M1/00 A
G01N15/14 C
(21)【出願番号】P 2023530009
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 US2021059148
(87)【国際公開番号】W WO2022108840
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2024-11-07
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519275881
【氏名又は名称】エイビーエス グローバル、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラス、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マカダ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シア、ジェン
(72)【発明者】
【氏名】エバーソール、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】レナ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アップルヤード、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルー、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バックリィ、スコット
(72)【発明者】
【氏名】アベルモスケ、マーク
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0099262(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170697(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303563(US,A1)
【文献】特開2020-122792(JP,A)
【文献】特開2018-068312(JP,A)
【文献】特開2013-032994(JP,A)
【文献】特表2019-521715(JP,A)
【文献】中国実用新案第206515209(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14~15/1492
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを処理するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムであって、
a.
複数のレベルに区分されたシャーシと、
b.電子系モジュール
であって、前記電子系モジュールが、前記シャーシの複数のレベルのうち最低の第1のレベルに配設されており、1つ又は複数のコンピュータ・プロセッサ及び複数の電子系ポートを含む、電子系モジュールと、
c.サンプル通路モジュール
であって、前記サンプル通路モジュールが、前記シャーシの第2のレベルに配設されており、マイクロ流体系チップを保持するためのマイクロ流体系モジュールを含む、サンプル通路モジュールと、
d.流体系モジュール
であって、前記流体系モジュールが、前記シャーシの前記第2のレベルに配設されて、前記サンプル通路モジュールを通して1つ又は複数の流体を循環させるように、前記サンプル通路モジュールに流体結合されている、流体系モジュールと、
e.問合せモジュール
であって、前記問合せモジュールが、前記シャーシの第3のレベルに配設され、前記電子系モジュールに動作可能に結合されており、前記問合せモジュールが、検出組立体に動作可能に結合された検出レーザと、前記マイクロ流体系チップを通って流れるサンプルを処理するために前記検出組立体に動作可能に結合されたキル・レーザとを含み、前記キル・レーザと前記検出レーザとが、互いに、前記問合せモジュールの共通の側に配設されている、問合せモジュールと、
f.サンプル混合及び採集モジュール
であって、前記サンプル混合及び採集モジュールが、前記マイクロ流体系チップから出てくる前記処理されたサンプルを採集して自動的に混合するように構成されて、前記シャーシの同じ前記第2のレベルにおいて前記マイクロ流体系モジュールの下に配設され、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きで前記サンプルの混合を可能にするサンプル混合及び採集モジュールと
を備えるモジュール式フロー・サイトメトリ・システムにおいて、
それぞれのモジュールが、前記モジュール式フロー・サイトメトリ・システムのほぼ連続的な運転のために、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されている、モジュール式フロー・サイトメトリ・システム。
【請求項2】
前記サンプル通路モジュールが、前記マイクロ流体系モジュールに流体結合された分配ブロックをさらに備え、前記分配ブロックが、第1の流体系ラインを通して前記マイクロ流体系モジュールに前記サンプルを配送し、第2の流体系ラインを通して前記マイクロ流体系モジュールにシース流体を配送する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サンプル通路モジュールを洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備えるシステムであって、前記マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールが、
a.流体リザーバのセットと、
b.ポンプ組立体と、
c.分配ブロック固定要素及び分配ブロック調整要素を備える分配ブロック・インターフェイスであって、流体インターフェイスのセットをさらに備え、前記流体インターフェイスのセットのうち少なくとも1つが前記流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する、分配ブロック・インターフェイスと、
d.マイクロ流体系デバイス固定要素及びマイクロ流体系デバイス整列要素を備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスであって、前記流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスをさらに備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスと
を備え、
前記分配ブロック・インターフェイスが、その上に前記分配ブロックを固定するように適合されており、前記マイクロ流体系デバイス・インターフェイスが、その上に前記マイクロ流体系モジュールを固定するように適合されており、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムが、前記サンプル通路モジュールを通して流体を循環させる前記サンプル通路モジュールを洗浄するように適合されている、
請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
1つ又は複数の識別要素が、前記マイクロ流体系チップの表面上に配設されるか又は前記表面にエッチングされており、前記マイクロ流体系モジュールに現在搭載されているチップを識別して、前記検出レーザ及び前記キル・レーザに対して前記マイクロ流体系チップを自動的に整列させて配置するために使用される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記識別要素を使用して前記マイクロ流体系チップの位置を再調整する多軸ステージに、前記識別要素付きの前記マイクロ流体系チップが取り付けられている、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプル通路モジュールが、少なくとも1つの特性に基づいてサンプル中の粒子又は構成分子を処理するように構成されており、前記サンプル混合及び採集モジュールが、定義されたパラメータのセットを基に、前記サンプル通路モジュールによって処理された前記サンプルを自動的に混合するように構成されて
いる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記サンプル混合及び採集モジュールが、
a.回転ベースと、
b.前記回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、
c.それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプル混合及び採集モジュールが、流体レベル・センサをさらに備え、第1の管が所望の充填レベルに達したことを前記流体レベル・センサが検出したとき、前記採集管のセットにおいて前記第1の管と第2の管とを交換するように構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年8月6日に出願した米国仮出願第63/230,568号、2021年3月17日に出願した米国仮出願第63/162,222号、2020年12月1日に出願した米国仮出願第63/119,769号、及び2020年11月23日に出願した米国仮出願第63/117,104号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、2021年11月12日に出願した米国出願第17/525,125号、名称MODULAR FLOW CYTOMETRY SYSTEMS AND METHODS OF PROCESSING SAMPLES(Klasら)、整理番号GS-38-2021-US2の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本発明は、サンプルを処理する自動及び半自動システム並びに方法に関する。より詳細には、本発明は、サンプルにおける流体及び成分又は粒子を分析、取扱、且つ処理するフロー・サイトメータベースのシステムにおけるシステム及び方法に関する。
【0004】
本発明は、フロー・サイトメータ・システムにおけるサンプル通路を洗浄するモジュール式フロー・サイトメトリ・システム及び方法を特徴とする。
【0005】
本発明は、マイクロ流体系チップなどのマイクロ流体系デバイスで電磁放射及び検出を使用する粒子選別を含むフロー・サイトメトリにおける粒子の検出及び選別に使用される光学システムも特徴とする。
【0006】
本発明は、サンプルにおける粒子又は成分を媒体と混合し、サンプル及び媒体における粒子又は成分の、均一な混合物などの所望の懸濁液を維持する混合及び採集システムをさらに特徴とする。
【背景技術】
【0007】
フロー・サイトメトリの分野では、粒子がフロー・サイトメータ内で適切に整列され、各液滴が個々の粒子を含む一連の液滴として分注されるか、又はフロー・サイトメータの内部検出領域を通って移動されたかのいずれかの後、個々の細胞などの粒子を識別且つ選別することが必要になることがよくある。いくつかの用途では、フローの流れから特定の粒子を取り除く、又はフローの流れにおいて粒子を別の方法で選別するか、不活発にするか、若しくは不活性化することがさらに必要になることがある。
【0008】
いくつかのシステムでは、マイクロ流体系チップなどのマイクロ流体系デバイスを使用して、粒子サンプル及び/又はシース若しくは指向流体を受け、マイクロ流体系デバイスの1つ又は複数のチャネルにおける流体フロー内に粒子サンプルからの個々の粒子を集束、整理、又は別の方法で配置する。粒子及び流体は、粒子に対して検出、選別、及び/又は破壊プロセスが行われるマイクロ流体系デバイスのチャネルにおける1つ又は複数の問合せ及び/又は作用場所を通って流れてもよい。粒子は、次いで、流体フロー又は圧力によってなどのマイクロ流体系デバイスから放出又は別の方法で取り除かれてもよい。
【0009】
フロー・サイトメトリベースのシステムによってサンプルにおける粒子又は成分を処理する既存のシステム及び方法は、多数のステップ、構成要素、及び要素を含み、それらの多くが人間の介入及び手動プロセスに依存する。フロー・サイトメトリにおけるオペレータの介入、較正、及び動作を広範に使用すると、不正確なシステムのパラメータ又は較正、サンプルの誤取扱、汚染、及び全体的な誤差の可能性が高まる。プロセスの全ての態様では人間のオペレータに主に依存する既存のシステム及び方法も、必要とされる広範な専門の手動介入に基づいて、ダウンタイムが延長され調整及び較正のステップが長くなる。手動プロセスには、サンプルを準備し、サンプル及びシース流体の流量を構成し、電磁放射発光器(例えば、レーザ・モジュール)の光通路を構成又は較正し、電力及び持続時間を含むレーザ・モジュール発光特性を構成し、検出器を構成し、サンプル処理特性を構成又はプログラミングし、サンプルを捕捉し又は進路を変えさせ、処理されたサンプルを混合且つ収納することを含んでもよい。
【0010】
マイクロ流体システムなどのフロー・サイトメトリ・デバイスにおいて複数の細胞を含む生体流体サンプルなどのサンプルを処理する既存のシステム、装置、及び方法は、使い捨てのマイクロ流体系チップ、カセット、又はカートリッジを使用することを含む。他のシステム及び方法は、サンプル処理通路を通して洗浄液又は空気を流してもよいフロー・サイトメトリ・デバイスを含む。さらに他のシステム及び方法には、マイクロ流体系チップ、カセット、又はカートリッジを洗浄する別個の独立型デバイスが含まれる。
【0011】
しかしながら、既存のシステムには、フロー・サイトメトリ又はマイクロ流体分析デバイスから流体サンプルによって使用されたサンプル通路を完全に隔離するものはない。例えば、既存のシステムでは、マイクロ流体系チップ又はカセットなどのサンプル通路の一部が除去されてもよいが、流体サンプルによって接触されるサンプル通路の他の部分は、フロー・サイトメトリ・デバイス自体の一部であり、システムから取り外すことができない。これらの部分は、サンプル収納若しくは搭載エリアとマイクロ流体系チップ自体との間の通路を含んでもよい。サンプル・ラン間には、フロー・サイトメトリ・デバイスの広範なクリーニング及びフラッシングを行わなければならない。これにより、別々の流体サンプルの処理の間に広範のダウンタイムが生じるが、生物学的又はその他の汚染の可能性を排除し、生物学的サンプルの処理に関連する様々な規則及び規制に準拠することが必要である。例えば、第1の雄動物からの精液サンプルなどの第1の流体サンプルを処理した後、システムは、第2の雄動物からの精液サンプルなどの第2の流体サンプルとの交差汚染の可能性を排除するために広範なクリーニングを必要とする。サンプルが異なる遺伝物質又は形質を含み、汚染によってサンプルが使用に適さなくなる場合は、交差汚染の排除が必要である。
【0012】
既存のシステム及び方法に関する追加の問題は、システムの部分がクリーニングのために取り外されてもよい一方で、クリーニング・プロセス自体が労働集約的であり、広範な手動入力及び構成を必要とすることがあることである。しかしながら、多くのシステムは、マイクロ流体系チップ、カートリッジ、カセットなどのコンポーネントを使い捨て可能で単一使用アイテムとして扱い、ラボによる単一使用のプラスチック又はガラス廃棄物の量を大幅に増加させる。
【0013】
必要なのは、フロー・サイトメトリ・デバイスから取り外して別個のクリーニング・デバイスで洗浄されてもよい取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールである。サンプル通路モジュールは、サンプル処理のフロー・サイトメトリ・デバイスをほぼ連続して作動するために、フロー・サイトメトリ・デバイス上のサンプル通路モジュール間の交換を行うために再利用可能且つ容易に取外し可能であるべきである。
【0014】
さらに、既存のシステム及び方法は、アバランシェ・フォトダイオードなどの検出器によって検出された粒子の蛍光に基づいて粒子の1つ又は複数の性質を決める手段を含む。粒子は、レーザなどの電磁放射の指向且つ集束された放射によって蛍光を生じさせてもよい。検出された蛍光は、選別決定又は破壊決定の基準として使用されてもよい。
【0015】
選別決定では、特定の性質を持つ特定の蛍光特性を有し、又は1つ又は複数の検出器によって検出された特定の閾値を満たす特定の粒子が、それらの特性に基づいて選別される。この選別は、特定の特性を有する粒子を、磁場、マイクロバルブ、又は空気圧若しくは油圧パルス若しくはジェットを含む手段によって、異なるフローの流れ及び/又は異なる採集容器内へ向けることを含んでもよい。
【0016】
フロー・サイトメトリで粒子を処理するために選別決定又は破壊決定のいずれかを使用することには、利点及び不利な点がある。フロー・サイトメトリの特定の分野、精子細胞を性判別する目的でX染色体又はY染色体のいずれかのDNAを含むものとする精子細胞の選別では、フロー・サイトメータ・システムにおいて処理された後の精子細胞の生存可能性又は受胎能力を保存することが重要である。選別決定プロセス又は方法は、選択された又は望ましい精子細胞に過度のストレスを引き起こし、精子細胞の採集されたサンプルの生存可能性又は受胎能力を低下させることがある。破壊決定プロセス又は方法は、採集されたサンプルにおいて完全には不活性化されなかった精子細胞を残し、サンプル全体の生存可能性又は受胎潜在能力を低下させることがある。
【0017】
粒子の不活発化又は損傷を含む破壊決定では、特定の蛍光特性を有し、特定の性質を含み、又は1つ若しくは複数の検出器によって検出される特定の閾値を満たす特定の粒子が損傷又は不活性化されてもよい。この破壊は、レーザによる電磁放射の指向且つ集束された放射による切除又は光損傷を含んでもよい。精子などの生細胞は、破壊又は不活性化の決定が細胞の死をもたらすため、「キル事象」又は「細胞キル事象」と呼ばれることがある。
【0018】
さらに、破壊決定プロセスに関して、破壊プロセスで使用されたレーザ又は他の電磁放射発光デバイスを整列することは、適切に行うために広範なトレーニング及び専門知識を必要とする、特に時間のかかるプロセスである。この問題点は、精液処理において異なる雄動物からの未処理の精子サンプル間で変更するときなど、特定の粒子のサンプル・バッチ間で変更するときに特によく見られる。既存のシステム及び方法は、幅が制御されず、レーザ発散の関数であるフロー・サイトメータの問合せ又は作用場所内の破壊又はキル場所の高さ(例えば、長手若しくはフロー方向におけるキル・ビーム若しくはキル場所のサイズ)の調整を行うのみである。また、既存のレーザ・ベースのフロー・サイトメータ・システムは、隣接する問合せ若しくは作用場所の単一若しくはセットで、蛍光及び「キル」レーザ、並びに関連する検出器システムを設けるための複数の光学システム及び経路を含んでもよい。これらの既存システムは、適切に機能するために、複雑で時間のかかる正確な調整及び構成を必要とすることがある。不正確に調整されると、これらの既存のシステムは、もしあれば、所望された通りに機能しないことがある。複数の光通路は、別々の光学システム間のクロストーク及び干渉の問題を引き起こすこともある。
【0019】
必要なのは、特定の蛍光特性を有し、特定の性質を有し、又は1つ若しくは複数の検出器によって検出される特定の閾値を満たす粒子に対して、破壊の割合、比率、若しくは率を改良するフロー・サイトメータ・システムにおける問合せ又は作用場所での粒子の検出及び破壊のための改良されたシステム及び方法である。必要なのは、レーザ・キル場所に対して調整可能、整調可能、又は改良された幅を有するレーザ・ベースのフロー・サイトメータである。
【0020】
さらにまた、既存のシステムでのサンプル混合は、オペレータが定期的に、例えば、5分ごとに捕獲管の内容物を緩やかに旋回させる手動混合プロセスを要する。このプロセスは、緩やかな旋回として規定されるもの、5分ごとに混合を達成する際のオペレータごとの差異、及びサンプル、例えば、細胞の経路からの管の取外しの解釈の範囲で、又はサンプルを過剰混合により管から飛び散らせる、いくつかの形態の誤差を生じる。既製品の軌道シェーカは自動化できるが、それら自体の不利な点を有する。1つは、高すぎて分注機器の下に収まらない場合、空間を占有する可能性がある。別の不利な点は、軌道移動により捕獲管を滴下サンプルの経路から離すか、又は外側に取り出すことがある。ボルテクサなどのよりコンパクトな混合器は、素早い振動運動を誘発し、急速に混合を行う。しかしながら、これらの解決策は細胞へストレスを引き起こすことがある。必要なのは、サンプルの採集及び混合プロセスを改良するシステム及び方法である。
【0021】
さらに、効率を改良し、ダウンタイムを低減し、オペレータが誘発した誤差を低減するために、少なくとも上述の手動プロセスの自動化又は半自動化を含む、フロー・サイトメトリ・システムでのサンプルの処理に要するプロセスの一部又は全てを自動化する必要がある。
【0022】
既存のサイトメータ・システムは、大型で、かさばり、非モジュール式である。それらのコンポーネントは別々に出荷され、又は互いから分解されてもよいので、調整及び操作には専門家又は専門的なトレーニングを必要とする。組み立てられると、コンポーネントは機器自体へ組み込まれ、デバイス全体又はデバイスのテーブルを広範に分解しない限り、個々に取外し又は修理できない。これらのシステムは入り組んで複雑であり、相対的に熟練していない技術者による現場での修理又は較正の助けとならない。さらに、これらのシステムは、メンテナンス、修理、又は洗浄のために長時間のダウンタイムを必要とし、熟練した技術者がいない場合は数時間以上の中断を生じる。したがって、専門的なトレーニングを必要とすることなく、どのようなオペレータでも容易に調整、操作、修理できるモジュール式組立体を備えるサイトメータ・システムを有することが望ましい。
【0023】
ここで説明された問題又は問題点は例示的であり、対処され得る全ての問題又は問題点を含むわけではなく、当業者であれば、上記で定義された問題に対する解決策を提供するか、又は対処するシステム、装置、又は方法が、他の類似した、補完的な、又は未定義の問題を解決又は対処することを理解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】US8961904
【文献】US9588100
【文献】US10488320
【文献】US10928298
【文献】US10532357
【文献】US16/279430
【文献】US16/419756
【文献】US16/597235
【文献】US16/704175
【文献】US16/741608
【発明の概要】
【0025】
本明細書では、フロー・サイトメトリ・ベースのシステムにおいてサンプルを処理するための、自動化されたシステム、装置、及び方法、並びに半自動化された、システム、装置、及び方法が提供される。いくつかの態様では、本発明は、サンプルを処理するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを特徴とする。
【0026】
いくつかの実施例では、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムは、支持構造体、電子系モジュール、サンプル通路モジュール、流体系モジュール、問合せモジュール、並びにサンプル混合及び採集モジュールを備え得る。各モジュールは、支持構造体からの別個の取外しや再設置、又は別の同一モジュールでの置換が可能なように構成されて、支持構造体に配設され得る。いくつかの実施例では、システムは、サンプル通路モジュールを洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備え得る。
【0027】
いくつかの他の実施例では、サンプルを処理するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムは、支持構造体と、1つ又は複数のコンピュータ・プロセッサ及び電子的ポートを備える電子系モジュールと、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを有するマイクロ流体系モジュールを備えるサンプル通路モジュールと、サンプル通路モジュールを通して1つ又は複数の流体を循環させるように、サンプル通路モジュールに流体結合された流体系モジュールと、検出器を含み、電子系モジュールに動作可能に結合された問合せモジュールと、マイクロ流体系チップを通って流れるサンプルを処理するための検出レーザ及びキル・レーザと、マイクロ流体系モジュールから出てくる処理されたサンプルを採集して混合するように構成されたサンプル混合及び採集モジュールとを備え得る。各モジュールは、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムのほぼ連続的な運転のために、支持構造体からの別個の取外しや再設置、又は別の同一モジュールでの置換が可能なように構成されて、支持構造体に配設され得る。キル・レーザと検出レーザとは、互いに、問合せモジュールの共通の側に配設されてよい。サンプル混合及び採集モジュールは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することができ、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする。いくつかの実施例では、システムは、サンプル通路モジュールを洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備え得る。
【0028】
いくつかの実施例では、本発明は、サンプルの性判別のためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを特徴とする。システムは、複数のレベルに区分されたシャーシを備え得る。シャーシの複数のレベルのうち最も低い第1のレベルには、1つ又は複数のコンピュータ・プロセッサ及び複数の電子系ポートを含む電子系モジュールが配設されている。シャーシの第2のレベルには、マイクロ流体系チップを保持するためのマイクロ流体系モジュールを含むサンプル通路モジュールと、サンプル通路モジュールを通して1つ又は複数の流体を循環させるように、サンプル通路モジュールに流体結合された流体系モジュールとが配設されている。シャーシの第3のレベルには、電子系モジュールに動作可能に結合された問合せモジュールが配設されており、問合せモジュールは、検出組立体に動作可能に結合された検出レーザと、マイクロ流体系チップを通って流れるサンプルを処理するために検出組立体に動作可能に結合されたキル・レーザとを含み、キル・レーザと検出レーザとは、互いに、問合せモジュールの共通の側に配設されている。また、シャーシの同じ第2のレベルにおいて、マイクロ流体系モジュールの下に、マイクロ流体系チップから出てくる処理されたサンプルを採集して自動的に混合するように構成されたサンプル混合及び採集モジュールが配設されている。サンプル混合及び採集モジュールは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする。各モジュールは、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムのほぼ連続的な運転のために、支持構造体からの別個の取外しや再設置、又は別の同一モジュールでの置換が可能なように構成されて、支持構造体に配設され得る。
【0029】
他の実施例では、サンプル通路モジュールは、マイクロ流体系モジュールに流体結合された分配ブロックをさらに備え得る。分配ブロックは、第1の流体系ラインを通してマイクロ流体系モジュールにサンプルを配送し、第2の流体系ラインを通してマイクロ流体系モジュールにシース流体を配送することができる。他の実施例では、システムはシース流体を必要とせず、マイクロ流体系モジュールは、サンプルを配送する単一の流体系ラインからのみ流入物を受け入れればよい。いくつかの実施例では、分配ブロックは流体系マニホールドを備える。他の実施例では、分配ブロックはサンプル・チューブ・ローダをさらに備える。
【0030】
いくつかの実施例では、システムは、サンプル通路モジュールを洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備え得る。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、サンプル通路モジュールを通して流体を循環させるサンプル通路モジュールを洗浄するように適合されている。いくつかの実施例では、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールは、流体リザーバのセットと、ポンプ組立体と、分配ブロック固定要素及び分配ブロック調整要素を備える分配ブロック・インターフェイスとを備え得る。分配ブロック・インターフェイスは、少なくとも1つが流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスのセットと、マイクロ流体系デバイス固定要素及びマイクロ流体系デバイス整列要素を備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスとをさらに備える。マイクロ流体系デバイス・インターフェイスは、流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスをさらに備える。分配ブロック・インターフェイスは、その上に分配ブロックを固定するように適合されてよく、マイクロ流体系デバイス・インターフェイスは、その上にマイクロ流体系モジュールを固定するように適合されてよい。
【0031】
いくつかの実施例によれば、問合せモジュールは、光学系モジュールを冷却するために自然対流によって空気を引き込むことができる、レーザ用のレーザ・ヒートシンクをさらに含み得る。一実施例では、キル・レーザと検出レーザとは、それぞれマイクロ流体系チップの主面に関連して共通の側に配設される。別の実施例では、キル・レーザ及び検出レーザは、それぞれ、焦点面において楕円のビーム・プロファイルを含むレーザ・ビームを放射するように適合される。好ましい実施例では、問合せモジュールの問合せ構成要素は、取り外され得、置換又は再接続が可能である。
【0032】
他の実施例では、サンプル混合及び採集モジュールは、回転ベースと、回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと、流体レベル・センサとを備え得る。採集管のうち1つは、処理されたサンプルが前記採集管に採集されるように、マイクロ流体系チップの下に配置され得る。サンプル混合及び採集モジュールは、前記採集管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、処理されたサンプルを採集するために別の採集管と交換するように構成されている。いくつかの実施例では、サンプル混合及び採集モジュールは、マイクロ流体系モジュールを出る、処理されたサンプルが、サンプル混合及び採集モジュールに入るのを防止するように構成された機械的ダイバータをさらに備え得る。
【0033】
他の実施例では、電子系モジュールは、コンピュータ・プロセッサ及び他の電子部品を収容するための、取外し可能な蓋付きの電子系ボックスを含む。電子部品は電子系ボックスから取外し可能であり、置換又は再接続され得る。いくつかの実施例では、電子系ボックスは、容易に移動できるようにレール上に配設される。他の実施例では、電子系モジュールは、電子部品を冷却するための1つ又は複数のファンを含む。
【0034】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の識別要素が、マイクロ流体系チップの表面上に配設されてよく、又は前記表面にエッチングされてもよい。1つ又は複数の識別要素の実例は、それだけではないが、文字数字の列、バーコード、QRコード(登録商標)、基準マーカ、又はこれらの組合せを含む。一実施例では、マイクロ流体系モジュールに現在搭載されているチップを識別するために、1つ又は複数の識別要素が使用され得る。別の実施例では、検出レーザ及びキル・レーザに対してマイクロ流体系チップを自動的に整列させて配置するために、1つ又は複数の識別要素が使用され得る。例えば、識別要素付きマイクロ流体系チップは、多軸ステージに取り付けられ得、多軸ステージは、検出器、カメラ、スキャナ又はセンサによる識別要素の読取りを基に、必要に応じてマイクロ流体系チップを再配置するように調節され得る。
【0035】
いくつかの実施例では、システムは、サンプル流量を利用してサンプル・レベルを決定するように適合された自動サンプル・レベル検出器をさらに備え得る。サンプル流量は細胞率に関連付けられる。細胞率が、目標の細胞率よりも低いか若しくは高い場合、又は公差範囲に入らない場合には、自動サンプル・レベル検出器は、入力サンプル圧力を調節することによってサンプル流量を調節することができる。入力サンプル圧力が閾値圧力を越えると、自動サンプル・レベル検出器は、サンプル・レベルが低いか又は閾値レベル未満であるという通知を供給することができる。
【0036】
一実施例では、サンプルは、人以外の哺乳動物からの精子細胞を含む精液サンプルである。人以外の哺乳動物の非限定的実例は、牛、豚、馬、羊、及び山羊を含む。
【0037】
他の実施例によれば、本発明は精子の性判別の方法を提供する。一実施例では、精子の性判別方法は、精子細胞を、第1の特性、第2の特性、又は第3の特性を有するものとして分類するステップと、それらの分類を基に、精子細胞の少なくとも一部に選択的に傷をつけるステップとを含む。第1の特性は、1つの精子細胞からのX染色体の存在であり得、一重項と称される。第2の特性は、1つの精子細胞からのY染色体の存在であり得る。第3の特性は、X染色体とY染色体との両方の存在、又は複数の精子細胞による、多生子とも称される、染色体のうち1つの繰返しであり得る。非限定的実例として、第3の特性は、2つの精子細胞による、X染色体及びX染色体、X染色体及びY染色体、Y染色体及びX染色体、又はY染色体及びY染色体であり得る。
【0038】
別の実施例では、精子の性判別方法は、染色された精子細胞に、第1の放射線源を用いて応答指令信号を送って蛍光放射を生成させるステップと、前記蛍光放射を検出するステップと、検出された蛍光放射に基づいて精子細胞を分類するステップと、これらの分類に基づき、精子細胞に、第2の放射線源を用いて選択的に傷をつけるステップとを含み得る。
【0039】
さらに別の実施例では、精子の性判別方法は、問合せ位置に、染色された精子細胞を含む流体流れを配送するステップと、染色された精子細胞に、第1のレーザを用いて応答指令信号を送って蛍光放射を生成させるステップと、前記蛍光放射を検出するステップと、検出された蛍光放射に基づいて精子細胞を分類するステップと、これらの分類に基づき、分類された精子細胞の1つ又は複数の部分母集団に、第2のレーザを用いて選択的に傷をつけるステップとを含む。他の実施例では、この方法は、精子細胞を染色して、染色された精子細胞を生成するステップをさらに含み得る。精子細胞は、蛍光性のDNA結合性色素を用いて染色され得る。
【0040】
いくつかの実施例では、染色された精子細胞に応答指令信号を送ると、1つの精子細胞に対応する蛍光放射又は複数の精子細胞に対応する蛍光放射を生成する。一実施例では、精子細胞に傷をつけると、細胞に対してDNA損傷及び/又は膜傷をもたらし得る。一実施例では、精子細胞に傷をつけると、前記精子細胞が不妊の精子細胞又は死んだ精子細胞になる。
【0041】
他の実施例によれば、本発明は、性判別された精液製品を生成するための方法を提供する。一実施例では、この方法は、電子系モジュールと、サンプル通路モジュールと、流体系モジュールと、問合せモジュールと、サンプル混合及び採集モジュールとを備えるモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップであって、各モジュールが、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されて支持構造体の中に配設される、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップと、染色された精子細胞を有する精液サンプルを、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、シース流体を、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、問合せモジュールにおける検出レーザを使用して、染色された精子細胞に蛍光発光させるステップと、染色された精子細胞の蛍光を検出するステップと、検出された蛍光を基に、問合せモジュールにおけるキル・レーザを使用して、染色された精子細胞の部分母集団に傷をつけることにより、性判別された精液製品を生成するステップと、サンプル通路モジュールから流れる性判別された精液製品を、サンプル混合及び採集モジュールに採集するステップと、採集された性判別された精液製品を混合するステップとを含む。
【0042】
他の実施例では、この方法は、精子細胞を含む精液サンプルを染色して、染色された精子細胞を生成するステップをさらに含み得る。さらなる他の実施例では、この方法は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールを使用してサンプル通路モジュールを洗浄するステップをさらに含み得る。いくつかの実施例では、検出レーザ及びキル・レーザからの放射は、楕円のビーム・プロファイルを含み得る。他の実施例では、サンプル混合及び採集モジュールは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きで、性判別された精液製品の混合を可能にする。
【0043】
別の実施例では、性判別された精液製品を生成するための方法は、本明細書で説明されたモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップと、精子細胞を含む精液サンプルを染色して、染色された精子細胞を生成するステップと、精液サンプルを、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通してシース流体を流すステップであって、シース流体、マイクロ流体系チップにおける1つ又は複数のチャネル、又はそれらの組合せが、マイクロ流体系チップ内を流れるとき、染色された精子細胞に的を絞る、シース流体を流すステップと、検出レーザからの、楕円のビーム・プロファイルを含む放射によって、染色された精子細胞に蛍光発光させるステップと、検出組立体によって精子細胞の蛍光を検出するステップと、検出された蛍光に基づき、キル・レーザからの放射によって、染色された精子細胞の1つ又は複数の部分母集団を不活性化することにより、性判別された精液製品を生成するステップであって、キル・レーザからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、検出レーザとキル・レーザとがマイクロ流体系チップの同一の側に配設されている、性判別された精液製品を生成するステップと、マイクロ流体系チップから流れる性判別された精液製品を、サンプル混合及び採集モジュールに採集するステップと、採集された性判別された精液製品を、処理されるサンプルに関連する定義されたサンプル混合パラメータのセットに基づいて自動的に混合するステップとを含み得る。サンプル混合及び採集モジュールは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することができ、制御された均一な動きで、性判別された精液製品の混合を可能にする。
【0044】
いくつかの実施例では、この方法は、マイクロ流体系チップから出てくる性判別された精液製品の流れを、サンプル混合及び採集モジュールから離れるように個別の採集器に進路を変えるステップをさらに含み得る。他の実施例では、この方法は、マイクロ流体系チップ上に配設された識別要素を使用することにより、マイクロ流体系チップを、検出レーザ及びキル・レーザに対して自動的に整列させて配置するステップをさらに含み得る。いくつかの他の実施例では、この方法は、自動サンプル・レベル検出器を使用してサンプル・レベルを判定するステップと、サンプル・レベルが閾値レベル未満であるときにはそのことを通知するステップとをさらに含み得る。さらなる実施例では、この方法は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールを使用してサンプル通路モジュールを洗浄するステップを含み得る。
【0045】
いくつかの実施例では、この方法は、サンプル混合及び採集モジュールの採集管が、性判別された精液製品で所望のレベルまで充填されたとき、性判別された精液製品の流れを、マイクロ流体系チップから離れるように進路を変えるステップと、第2の採集管が、性判別された精液製品を採集するように配置されるように、サンプル混合及び採集モジュールの回転ベースを回転させるステップと、性判別された精液製品の流れを第2の採集管に進路を変えるステップとをさらに含み得る。
【0046】
他の実施例によれば、本発明は、フロー・サイトメトリ・デバイスに用いる取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを提供するためのシステム、方法、及び装置と、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを自動的又は半自動的に洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムとを特徴とするものである。サンプル通路モジュールは、マイクロ流体系モジュールと流体接続又は流体連通する分配ブロックを備える。取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールの、分配ブロックと、マイクロ流体系モジュールと、その間の流体接続とは、流体サンプルが、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを通ってフロー・サイトメトリ・デバイスによって処理される流体通路全体を備える。取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールの、分配ブロックと、マイクロ流体系モジュールとは、洗浄又は処理用の1つ又は複数の流体を受け入れるために、フロー・サイトメトリ・デバイス又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムのいずれかの対応するインターフェイスを用いてインターフェイスに接続する。取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールは、フロー・サイトメトリ・デバイス又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールに解放可能に固定され、流体サンプルを処理するために、使用され得、取り外され得、洗浄され得て、再利用又は置換され得る。
【0047】
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、上記で説明され取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールなどのサンプル通路モジュールを洗浄するための自動式又は半自動式のシステムを備える。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、サンプル通路モジュールの分配ブロック及びマイクロ流体系モジュール用のインターフェイスを備え、1つ又は複数の流体が、サンプル通路モジュールを洗浄するために、サンプル通路モジュールを通って処理され得る。1つ又は複数の内部又は外部のリザーバのセットが、クリーニング・プロセスにおいて使用される1つ又は複数の洗浄液を含有する。クリーニング・プロセスを制御するために、コンピュータ、タブレット、若しくは専用マイクロプロセッサなどの内部又は外部の制御システムが使用される。制御システムは、1つ又は複数の内部弁、1つ又は複数の内部ポンプを含む、他の内部デバイスの動作を制御するため、また、近接センサ、カメラ又は画像センサ、及び弁又はポンプの動作を制御するためのフロー・センサなどの1つ又は複数のセンサからの信号を処理するために使用される。
【0048】
加えて、本発明の、いかなる理論又は機構への限定も望むことなく、本明細書で説明された方法及びシステムは、取外し可能、置換可能、且つ洗浄可能なモジュール式サンプル通路モジュールと、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムとにより、流体サンプル中の粒子の処理に使用されるフロー・サイトメトリ・デバイスにおいてサンプル・ラン又はマイクロ流体系チップを交換するとき一般的に費やされる使用不能時間が解消されるか又は実質的に短縮されるので、有利であると考えられる。
【0049】
第1の実施例では、フロー・サイトメータ・システムで使用される取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールが提供され、この流体通路は、流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成し、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、サンプル通路とを備える。
【0050】
マイクロ流体系デバイス固定装置は、マイクロ流体系モジュールにおいて、マイクロ流体系チップ又はマイクロ流体系カセットのうち1つを固定するように適合されている。マイクロ流体系デバイス固定装置は、マイクロ流体系チップ又はマイクロ流体系カセットの位置を調節するように適合された1つ又は複数の調節手段を備え得る。分配ブロックは流体系マニホールドを備え得る。分配ブロックはサンプル管ローダをさらに備え得る。流体通路モジュールは分配ブロックをさらに備えてよく、流体入口のセットの別の入口が、流体出口のセットの別の出口と流体連通して第1の緩衝流体経路要素を形成し、マイクロ流体系モジュールの流体入口のセットの別の入口が、流体出口のセットの別の出口と流体連通して第2の緩衝流体経路要素を形成する。流体通路には、第1の緩衝流体経路要素と第2の緩衝流体経路要素とを接合し、流体連通させて、緩衝流体通路を形成する、第2の部分がさらに備わっており、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通って処理される緩衝流体は、処理中は緩衝流体通路に閉じ込められる。
【0051】
分配ブロック及びマイクロ流体系モジュールは、それぞれが、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールをフロー・サイトメータ・システムに固定するように適合された解放可能な固定手段をさらに備え得る。解放可能な固定手段は少なくとも1つの鉄プレート又は少なくとも1つの磁性プレートを備え得る。取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールは、固定手段を解放することにより、フロー・サイトメータ・システムから取外し可能になり得る。取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの解放可能な固定手段は、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを流体通路クリーニング・システムに固定するようにさらに適合され得る。
【0052】
サンプルは哺乳類の精液サンプルでよい。一実施例では、サンプルは、豚、牛、馬、及び羊を含む人以外の精子細胞などの精子細胞を含み得る。精子細胞は、色素をしみ込ませて染色され得る。フロー・サイトメータ・システムは、サンプルを処理して、サンプルにおける部分母集団を識別し得る。このシステムは、サンプルを処理して、精液の性判別動作を実行し得る。
【0053】
いくつかの実施例では、流体通路モジュールは識別要素を備え得る。識別要素は、光学的識別要素又は無線識別要素を備え得る。光学的識別要素は、マイクロ流体系モジュールにおけるマイクロ流体系チップ上に特徴又は基準のセットを備え得る。
【0054】
別の実施例では、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムが提供され、このシステムは、流体リザーバのセットと、ポンプ組立体と、分配ブロック固定要素及び分配ブロック調整要素を備える分配ブロック・インターフェイスとを備える。分配ブロック・インターフェイスは、少なくとも1つが流体リザーバと流体連通する流体インターフェイスのセットと、マイクロ流体系デバイス固定要素及びマイクロ流体系デバイス整列要素を備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスとをさらに備える。マイクロ流体系デバイス・インターフェイスは、流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスをさらに備え、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、分配ブロック・インターフェイス及びマイクロ流体系デバイス・インターフェイスに固定された、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通して、流体を循環させるように適合されている。
【0055】
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールは、フロー・サイトメータ・システムにおいて使用するように適合されており、しかも、流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成し、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、流体通路とをさらに備える。
【0056】
流体リザーバのセットは、洗浄液リザーバ及び廃液リザーバを備える。流体リザーバのセットは、システムのハウジングの外部に配設されてよい。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、流体リザーバの外部セットに対する流体接続をもたらす複数の解放可能な接続部をさらに備え得る。ポンプ組立体は、液体ポンプ及び空気ポンプを備え得る。ポンプのうち少なくとも1つは蠕動ポンプを備える。フロー・サイトメータ・システムは、内部の流体流れを制御するための弁のセットをさらに備え得る。フロー・サイトメータ・システムは、同システムの1つ又は複数の要素における流量を指示する信号を供給するように適合された流体フロー・センサのセットをさらに備え得る。フロー・サイトメータ・システムは、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの存否を指示する信号を供給するように適合された近接センサのセットをさらに備え得る。フロー・サイトメータ・システムは、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュール、分配ブロック・インターフェイス、又はマイクロ流体系デバイス・インターフェイスの画像のセットを取り込むための撮像デバイスをさらに備え得る。
【0057】
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、プロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェイスを備える監視及びインターフェイスのシステムをさらに備え得る。監視及びインターフェイスのシステムは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム用のクリーニング・プロトコルを選択するか又は構成するための入力のセットを受け取るように適合され得る。入力のセットは、ユーザ入力のセットを含み得る。入力のセットは、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの性質又は特性を基に自動的に決定されてよい。監視及び入力のシステムは、少なくとも1つのセンサから入力のセットを受け取って、これを基にクリーニング・プロトコルを変更するように適合され得る。監視及び入力のシステムは、クリーニング・プロトコルを基に、1つ又は複数の弁、アクチュエータ、又はポンプに、制御信号のセットを伝送するように適合され得る。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、フロー・サイトメトリ・デバイスをさらに備え得る。フロー・サイトメトリ・デバイスは、蛍光ベースの検出及びレーザ・アブレーションのフロー・サイトメトリ・デバイスを備え得る。
【0058】
別の実施例では、フロー・サイトメトリ・システム用のサンプル通路モジュールの置換及び洗浄のための方法が提供され、この方法は、フロー・サイトメトリ・システムによってサンプルを処理するための流体通路全体を備えるサンプル通路モジュールを、フロー・サイトメトリ・デバイスから解放するステップと、フロー・サイトメトリ・デバイスからサンプル通路モジュールを取り外すステップと、サンプル通路モジュールを、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの対応する受け部に接続するステップと、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム用のクリーニング・パラメータのセットを構成するステップと、クリーニング・パラメータのセットを基に、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムによって、サンプル通路モジュールを自動的に洗浄するステップとを含む。
【0059】
いくつかの実施例では、サンプル通路モジュールは、フロー・サイトメトリ・システムにおいて使用するように適合され、流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、流体通路を形成し、サンプル通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中は流体通路に閉じ込められる、流体通路とをさらに備える。この方法は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムからサンプル通路モジュールを取り外すステップをさらに含み得る。この方法は、洗浄液の量又は体積、流体圧力、及びクリーニング手順の期間を含む、クリーニング・パラメータのセットをさらに含み得る。クリーニング手順の期間は、洗浄されるサンプル通路容積の数である、掃除される経路の数を含み得る。クリーニング手順の期間は、少なくとも1つの乾燥サイクルを含み得る。
【0060】
いくつかの実施例では、この方法は、撮像センサを使用してサンプル通路モジュールにおける遮断物を検出し、自動クリーニングを停止するステップをさらに含み得る。自動クリーニングを停止するステップは、エラー指示を供給するステップをさらに含み得る。この方法は、少なくとも1つのフロー・センサを使用して、自動クリーニングに使用される流体の体積を測定するステップをさらに含み得る。測定された体積は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに関するメンテナンス・イベントを決定するために使用され得る。
【0061】
他の実施例では、この方法は、少なくとも1つの近接センサからの、サンプル通路モジュールが正しく接続されていることを指示する信号を、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに伝送するステップと、伝送された信号を基に自動クリーニングを始動するステップとをさらに含み得る。サンプル通路モジュールは、フロー・サイトメトリ・システムにおいて使用するように適合され得る。サンプルを処理するための流体通路全体は、流体連通している流体入口と流体出口とを備えるサンプル通路と、流体入口のセット及び流体出口のセットを備えるマイクロ流体系チップであって、流体入口のセットが流体出口のセットと流体連通して、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを形成し、サンプル通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設されており、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備え、サンプル通路モジュールを通ってフロー・サイトメトリ・システムによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、マイクロ流体系チップとをさらに備え得る。
【0062】
別の実施例では、複数の粒子を含む流体サンプルを処理するために用いる流体通路モジュールが提供され、この流体通路は、流体連通している流体入口と流体出口とを備えるサンプル通路と、流体入口のセット及び流体出口のセットを備えるマイクロ流体系チップであって、流体入口のセットが流体出口のセットと流体連通して、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを形成し、サンプル通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設されており、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備え、流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメトリ・デバイスによって処理される流体サンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、マイクロ流体系チップとを備える。
【0063】
上記の実施例の流体通路モジュールは、流体連通している流体入口と流体出口とを備えるシース流体通路をさらに備え得る。シース流体通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設され得、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備える。流体通路モジュールは、流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系チップを固定するように適合されたマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成する、流体通路とをさらに備え得る。
【0064】
分配ブロックは流体系マニホールドを備え得る。分配ブロックはサンプル管ローダをさらに備え得る。流体通路モジュールは、流体通路モジュールをフロー・サイトメータ・システムに固定するように適合された解放可能な固定手段をさらに備え得る。解放可能な固定手段は少なくとも1つの鉄プレート又は少なくとも1つの磁性プレートを備え得る。流体通路モジュールは、固定手段を解放することにより、フロー・サイトメータ・システムから取外し可能になり得る。取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの解放可能な固定手段は、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを流体通路クリーニング・システムに固定するようにさらに適合され得る。流体サンプルは複数の精子細胞を含む哺乳類の精液サンプルでよい。フロー・サイトメータ・システムは、サンプルを処理して、流体サンプルにおける部分母集団を識別し得る。フロー・サイトメータ・システムは、サンプルを処理して、精液の性判別動作を実行し得る。流体通路モジュールは識別要素を備え得る。識別要素は、光学的識別要素又は無線識別要素を備え得る。光学的識別要素は、マイクロ流体系モジュールにおけるマイクロ流体系チップ上に特徴又は基準のセットを備え得る。
【0065】
別の実施例によれば、本発明は、フロー・サイトメータにおける問合せ位置及び/又はアクション位置に電磁放射を送達するための改善された光路と要素の組合せとを備えるフロー・サイトメータ・システムを提供するものである。本発明の新規のシステムは、サンプル流体の流れと同方向から、検出レーザとキル・レーザ又はアブレーション・レーザとの両方を放射する。
【0066】
本発明は、フロー・サイトメータ・システムにおいて粒子を光学的に検出して破壊するための既知のシステム及び方法における既存の問題に対処するものである。既存のシステムでは、2つ以上のレーザから個別のビーム通路を通してビームを導くと、構成要素の経時的な被害又は劣化の可能性が増加する。加えて、流動流れの別々の側から電磁放射を放射すると、複雑なビーム通路と、電磁放射から導出された信号を合焦して検出するための要素の複雑な配向及び配置とが必要になる可能性がある。本発明は、染色プロセスを経た粒子などに蛍光発光させるための検出レーザと、キル・レーザ又はアブレーション・レーザとの両方を、サンプル流体の流れと同一の方向から放射することによって、これらの問題に対処するものである。
【0067】
加えて、精子の性判別プロセスに使用されるフロー・サイトメータ・システムのアブレーション領域におけるキル・ビーム・スポットの形状は、サンプル流れ内の特定のポイントに供給される光子用量にかなり影響を与え、個々のセルに対するキル・レーザの効果に影響を及ぼす。本発明が提供するキル・レーザのキル・ビーム又はキル位置の広さは、流れチャネルの広さ又はフロー・サイトメータ・システムにおける液滴サイズ以上である。本発明は、フロー・サイトメータ・システムにおけるビーム・ウエスト又は焦点面におけるレーザ・ビーム放射の幅の調節を提供するものであり、この幅は、焦点面においてビームの高さを調節することによって決定されるようなレーザ発散の関数ではない。
【0068】
加えて、本発明の、いかなる理論又は機構への限定も望むことなく、より高速のキル・アライメント、選別される粒子のより確実且つ均一なずれ(すなわち、選別プロセスの最後には所望のタイプの粒子がより多く採集される)、及びフロー・サイトメータ選別システムのより均一な性能を提供するので、本明細書の方法及びシステムは有利であると考えられる。本発明はまた、サンプル流体の流れと同一方向からの検出レーザ及びキル・レーザの位置決め及び放射によってもたらされる簡素化した光学的通路に基づき、既存のシステム及び方法と比較して、より高速の、又は簡単な訓練及びセットアップを提供し得る。本発明の簡単なシステムは、広範囲のマイクロ流体システム又はフロー・サイトメトリ・システムにも適用又は使用が可能であり、既存のシステム及び方法と比較して実施の融通性が向上する。
【0069】
加えて、本発明の、いかなる理論又は機構への限定も望むことなく、調節可能なビーム拡大器、シリンドリカル・レンズ及び非球面レンズと偏光ビーム・スプリッタなどのビーム結合器との組合せは、マイクロ流体系チップに対して共通の側におけるキル・レーザ組立体及び検出のレーザ組立体の位置決めをもたらす一方で、焦点面において、マイクロ流体系チャネル又はチップのタイプ又はサイズに特に構成され得る調節可能な楕円のビーム・ウエストをもたらすので、本明細書の方法及びシステムは有利であると考えられる。
【0070】
第1の実施例では、本発明は、粒子検出のための、レーザ・ベースのフロー・サイトメトリ・システムを提供するものであり、このシステムは、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体を備えるレーザ組立体を備え、キル・レーザ組立体と検出レーザ組立体とは、互いに、フロー・サイトメトリ・システムに対して共通の側に配設されている。フロー・サイトメトリ・システムは、マイクロ流体系チップ又はマイクロ流体系カセットなどのマイクロ流体系デバイスを備え得る。キル・レーザ組立体と検出レーザ組立体とは、マイクロ流体系デバイスの主面に対して共通の側に配設されている。主面は頂面又は底面でよい。レーザ組立体は偏光ビーム・スプリッタをさらに備え得る。キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体の各々が、電磁放射を焦点面に導くように適合された光学的通路をさらに備え得る。キル・レーザ組立体の光学的通路及び検出レーザ組立体の光学的通路は、それぞれが高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器を備える。検出レーザの光学的通路は、一対のシリンドリカル・レンズを備え得る。キル・レーザ組立体用の光学的通路の高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器は、キル・レーザ組立体の高速軸ビーム幅及び低速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。検出レーザ組立体用の光学的通路の高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器は、検出レーザ組立体の高速軸ビーム幅及び低速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。検出レーザの光学的通路のシリンドリカル・レンズは、検出レーザ組立体の高速軸ビーム幅及び低速軸ビーム幅を調節するとともにビーム成形するように適合され得る。
【0071】
いくつかの実施例では、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体は、焦点面において楕円のビーム・プロファイルを含むレーザ・ビームを放射するように適合され得る。キル・レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき0.5~5μmの高速軸ビーム幅を有し得る。キル・レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき5~35μmの低速軸ビーム幅を有し得る。キル・レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき、3.45~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を有し得る。検出レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき、3.5~20μmの高速軸ビーム幅及び30~150μmの低速軸ビーム幅を有し得る。キル・レーザ組立体は、1パルスごとに1~5μJのパルス・エネルギーで動作し得る。キル・レーザ組立体は、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備え得る。キル・レーザ組立体は、パルス持続時間が5~30ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備え得る。検出レーザ組立体は、連続波レーザ・モジュール、疑似連続波レーザ・モジュール、又はパルス・レーザ・モジュールを備え得る。システムは、検出組立体をさらに備え得る。検出組立体は、検出レーザ組立体からの放射によって励起された粒子の1つ又は複数の蛍光、キル・レーザ組立体からの放射による粒子の非活性化、検出イベントの画像、又はキル・イベントの画像を検出するように適合され得る。検出組立体は、少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードを備え得る。少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードが、検出レーザ組立体からの放射によって励起された粒子の蛍光を検出するように適合され得る。少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードが、キル・レーザ組立体からの放射による粒子の非活性化を検出するように適合され得る。検出組立体はCCDカメラを備え得る。CCDカメラは、検出イベントの画像を取り込むように適合され得る。CCDカメラは、キル・イベントの画像を取り込むように適合され得る。
【0072】
別の実施例では、本発明は、レーザ・モジュール及び光学的通路を備えるレーザ組立体を提供するものであり、光学的通路は、レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射を、焦点面において楕円のプロファイルに成形するように適合されている。
【0073】
いくつかの実施例では、レーザ組立体は、検出レーザ組立体及びキル・レーザ組立体のうちの1つである。光学的通路は、高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器を備え得る。光学的通路は一対のシリンドリカル・レンズを備え得る。高速軸ビーム拡大器は、ビーム放射用の高速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。低速軸ビーム拡大器は、ビーム放射用の低速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。対のシリンドリカル・レンズは、ビーム放射の焦点面においてビーム・プロファイルを調節するように適合され得る。レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき0.5~5μmの高速軸ビーム幅を有し得る。レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において5~35μmの低速軸ビーム幅を有し得る。レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において、3.45~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を有し得る。レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において、3.5~20μmの高速軸ビーム幅及び30~150μmの低速軸ビーム幅を有し得る。レーザ・モジュールは、1パルスごとに1~5μJのパルス・エネルギーで動作し得る。レーザ・モジュールは、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備え得る。レーザ・モジュールは、パルス持続時間が5~30ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備え得る。レーザ・モジュールは、連続波レーザ・モジュール、疑似連続波レーザ・モジュール、又はパルス・レーザ・モジュールを備え得る。対のシリンドリカル・レンズは、F25シリンドリカル・レンズ及びF150シリンドリカル・レンズを備え得る。光学的通路は非球面レンズを備え得る。光学的通路は偏光ビーム・スプリッタを備え得る。光学的通路は高調波セパレータを備え得る。光学的通路は波長板を備え得る。
【0074】
別の実施例では、本発明は、フロー・サイトメトリに用いるレーザ組立体用の光学的通路を提供するものであり、光学的通路は、ビーム拡大器、波長板、非球面レンズ、及び偏光ビーム・スプリッタを備え、ビーム拡大器は、レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射を、焦点面において楕円のビーム・プロファイルに成形するように適合されている。
【0075】
いくつかの実施例では、ビーム拡大器は、高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器を備える。高速軸ビーム拡大器は、ビーム放射用の高速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。低速軸ビーム拡大器は、ビーム放射用の低速軸ビーム幅を調節するように適合され得る。楕円のビーム・プロファイルは、焦点面において測定したとき、0.5~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を有し得る。レーザ・モジュールは、1パルスごとに1~5μJのパルス・エネルギーで動作し得る。レーザ・モジュールは、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備え得る。レーザ・モジュールは、持続期間が5~30ナノ秒のパルス・レーザを備え得る。光学的通路は高調波セパレータをさらに備え得る。
【0076】
別の実施例では、本発明は、性判別された、人以外の哺乳類の精液製品を提供するものであり、この製品は、性判別されていない、人以外の精液のサンプルから導出された、性判別された、人以外の哺乳類の精子細胞の収集物を含む。性判別されていない、人以外の精液は、性判別されていない、人以外の精液のサンプルを染色するステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルを、フロー・サイトメトリ・デバイスに挿入するステップと、フロー・サイトメトリ・デバイスにシース流体を挿入するステップであって、シース流体及びフロー・サイトメトリ・デバイスのチャネルが、性判別されていない、人以外の精液のサンプルにおいて、細胞を配向し且つ位置決めする、シース流体を挿入するステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける色素を、第1のレーザ・モジュールからの放射によって蛍光発光させるステップであって、第1のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含む、色素を蛍光発光させるステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける各精子細胞に関する蛍光が検出器によって検出されるステップと、検出された蛍光に基づき、第2のレーザ・モジュールからの放射によって、人以外の精液のサブセットを不活性化して、性判別された、人以外の精液を作成するステップであって、第2のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、第1のレーザ・モジュール及び第2のレーザ・モジュールが、フロー・サイトメトリ・デバイスの、検出器とは反対側の共通の側に配設されている、性判別された、人以外の精液を作成するステップと、性判別された、人以外の精液を採集するステップとを含む、性判別プロセスによって性判別されている。
【0077】
別の実施例では、本発明は、人以外の哺乳類の精液を性判別するための方法を提供するものであり、この方法は、性判別されていない、人以外の精液のサンプルを染色するステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルを、フロー・サイトメトリ・デバイスに挿入するステップと、フロー・サイトメトリ・デバイスにシース流体を挿入するステップであって、シース流体及びフロー・サイトメトリ・デバイスのチャネルが、性判別されていない、人以外の精液のサンプルにおいて、細胞を配向し且つ位置決めする、シース流体を挿入するステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける色素を、第1のレーザ・モジュールからの放射によって蛍光発光させるステップであって、第1のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含む、色素を蛍光発光させるステップと、性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける各精子細胞に関する蛍光が検出器によって検出されるステップと、検出された蛍光に基づき、第2のレーザ・モジュールからの放射によって人以外の精液のサブセットを不活性化して、性判別された、人以外の精液を作成するステップであって、第2のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、第1のレーザ・モジュール及び第2のレーザ・モジュールが、フロー・サイトメトリ・デバイスの、検出器とは反対側の共通の側に配設されている、性判別された、人以外の精液を作成するステップと、性判別された、人以外の精液を採集するステップとを含む。
【0078】
さらに別の実施例によれば、本発明は、例えばマイクロ流体系チップ・ベースのフロー・サイトメトリ・システムにおいて、処理されるサンプルの経路設定又は進路尾変更と混合とのための自動システム又は半自動システムを提供するものである。処理されるサンプルを取り扱うための自動システム又は半自動システムを用意すれば、サンプルの処理から、手動のステップ又はオペレータ集約的なステップが解消され、プロセスの効率及び処理されるサンプルの品質を改善する。自動化されたサンプルの経路設定及び混合を手段とする、より均一な動作により、サンプル処理動作における自動ルーチン又は反復可能なステップによって、オペレータによる間違いの可能性が低減する。
【0079】
本発明の別の目的は、自動混合と、より均一な混合時間と、管の内径が常に細胞の経路の下にあることを保証するための経路とを可能にするシステム及び方法を提供することである。本発明の実施例は、ピボットに沿って静かに混合する混合システムを備え、制限された空間を適用するための混合の自動化を可能にする。本発明の実施例は、混合動作を制御することによって細胞ストレスを低減すること、並びに細胞が流体の過剰濃度溶液の中にある時間を短縮することができる。
【0080】
いくつかの態様では、本発明はサンプル混合システムを特徴とする。サンプル混合システムは、構成分子又は粒子を含むサンプルを処理するためのフロー・サイトメトリ・システムとともに使用される。例えば、サンプル混合システムは、マイクロ流体系チップ・ベースのフロー・サイトメトリ・システムとともに使用されてよく、複数の細胞を含む生物学的サンプル又は遺伝子サンプルなどのサンプルは、レーザなどの電磁気ビームの放射デバイスのセットによって処理される。サンプルにおける細胞は、マイクロ流体系チップにおいて、サンプルのサブセットが、マイクロ流体系チップにおける処理に続いて、不活性化され、破壊され、又は取り除かれるように処理されてよく、サンプルはチップの端子端部における1つ又は複数の出口によってマイクロ流体系チップから放出される。処理されたサンプルは、基準又はパラメータのセットを満たすことに基づき、サンプル混合システム上に配設されたサンプル捕獲管に流れ込むことを許容されるか又は廃棄物収集容器に進路を変えられる。
【0081】
いくつかの実施例では、サンプル混合システムは、回転ベース、回転ベース上に配設された複数の採集管ホルダ、及び複数の採集管を備え得る。各採集管は、採集管ホルダに配設されるように構成されている。採集管は、緩衝媒体などの媒体を含有してよく、これに関して、混合が緩衝を維持し、緩衝の程度を制御する。回転ベースは、採集管ホルダ及び採集管が回転するか又は弓形経路で動くように回転することができる。この動きが、採集管の内容物の混合を引き起こす。
【0082】
いくつかの実施例では、回転ベースは、プラットフォーム上に配設された円板でよい。一実施例では、回転ベースは、前記回転ベースを中心軸のまわりで回転させるモータに動作可能に結合される。回転ベースは、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数に基づいて回転される。いくつかの実施例では、回転ベースは往復回転することができる。回転ベースは約10°~180°回転する。
【0083】
他の実施例では、回転ベースは、互いに離れて配置された磁石を含有し得る。関連して、各採集管ホルダのベースが磁石を含有している。各採集管ホルダは、前記採集管ホルダの磁石と回転ベースの磁石のうち1つの磁石との間の磁力によって回転ベースに取り付けられ得る。
【0084】
いくつかの実施例では、サンプル混合システムは、1つ又は複数のホール効果センサをさらに備え得る。例えば、回転ベースにおける磁石のうち1つのS極が1つ又は複数のホール効果センサの方へ配向されてよく、他の磁石のN極が、同じ1つ又は複数のホール効果センサの方へ配向される。
【0085】
他の実施例では、サンプル混合システムは、約2~6個の採集管ホルダを備え得る。それぞれの採集管ホルダが、ベースから上方へ突き出る2つ以上のアームを備え得る。2つ以上のアームが、ベース上に直立した採集管を保持するように構成されている。いくつかの実施例では、2つ以上のアームが、様々なサイズの採集管に収容するように伸長可能である。
【0086】
いくつかの実施例では、分配機器が採集管のうちの1つにサンプルを分配するように、システムは分配機器の下に配置され得る。好ましくは、前記採集管がサンプルを混合するために弓形経路で移動するとき、サンプルを受け入れている採集管は分配機器の分配経路の下にとどまる。システムは、採集管において、ある期間(例えば5~10分)にわたってサンプルを混合した後に、サンプルを別の採集管に分配するように、分配機器の下に別の採集管を自動的に設置する。
【0087】
他の実施例では、サンプル混合システムは、採集管の中の液位を検出するためのセンサをさらに備え得る。このセンサは、採集管の外表面又はその近くに配置され得る。さらなる他の実施例では、サンプル混合システムは、採集管に流れが入るのを防止するように構成された自動ダンプをさらに備え得る。
【0088】
他の態様では、本明細書で説明されたサンプル混合システムは、選別されたサンプルを混合する方法において使用され得る。この方法は、選別されたサンプルをサンプル混合システムの採集管に採集するステップと、採集管ホルダに配設された採集管が、弓形経路において、制御された動きで均一に回転するか又は移動して採集されたサンプルを混合するように回転ベースを回転させることによって、採集管の中に採集されたサンプルを自動的に混合するステップとを含み得る。さらなる実施例では、この方法は、採集管が所望のレベルまで充填されたとき、選別されたサンプルの流れを、採集管から個別の採集器に進路を変えるステップと、第2の採集管が、選別されたサンプルを採集するように配置されるように、回転ベースを回転させるステップと、選別されたサンプルの流れを第2の採集管に進路を変えるステップとを含み得る。
【0089】
本発明の独創的な固有の技術的特徴の1つには、サンプル管の円弧状の往復によって自動的に誘起される混合がある。本発明の、いかなる理論又は機構への限定も望むことなく、本発明の技術的特徴により、マイクロ流体系ベース又は液滴ベースのフロー・サイトメータなどの分配機器の下の、採集管のより均一な自動混合が有利に可能になると考えられる。円弧状の動きは、細胞を、管の中へ、媒体の上に徐々に滴らせながら、サンプル管の中の細胞媒体と細胞との間の均一な濃度を保証するものである。1つの管の混合が完了した後に、交換能力により、モータが、「使用中」の管から「待機中」の管へと素早く動くことができる。また、本発明のサンプル混合システムは、性判別機器の内部に割り当てられた空間に適応するように十分に小型であり、人の介入もより少なくて済む。現在知られている従前の参考文献又は著作物には、本発明の固有の独創的な技術的特徴を有するものはない。
【0090】
他の実施例によれば、本発明は、少なくとも1つの特性を基にサンプル中の粒子又は構成分子を処理するためのフロー・サイトメトリ組立体を備える粒子処理システムと、定義されたパラメータのセットを基に、フロー・サイトメトリ組立体によって処理されたサンプルを自動的に混合するように構成された自動サンプル混合システムとを特徴とする。一実施例では、自動サンプル混合システムは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することができ、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする。定義されたパラメータのセットは、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数を含む。
【0091】
一実施例では、自動サンプル混合システムは、回転ベースと、回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットとをさらに備える。別の実施例では、自動サンプル混合システムは、流体レベル・センサをさらに備える。自動サンプル混合システムは、第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するように構成されている。
【0092】
いくつかの実施例では、粒子処理システムは、フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れが自動サンプル混合システムに入るのを防止するように構成された機械的ダイバータをさらに備える。
【0093】
別の実施例によれば、粒子処理システムは、少なくとも1つの特性を基にサンプル中の粒子又は構成分子を処理するためのフロー・サイトメトリ組立体と、定義されたパラメータのセットを基に、フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れがサンプル回収容器に入るのを防止するように構成された機械的ダイバータとを備える。機械的ダイバータは、フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れが自動サンプル混合システムに入るのを防止するように構成されている。機械的ダイバータ向けに定義されたパラメータのセットは、サンプルの純度、サンプル中の粒子の数、及び回収容器の充填レベルのうち1つ又は複数を含み得る。
【0094】
他の実施例では、粒子処理システムは、サンプル回収容器に採集された、フロー・サイトメトリ組立体によって処理されたサンプルを、定義されたパラメータのセットを基に自動的に混合するように構成された自動サンプル混合システムをさらに備え得る。自動サンプル混合システム向けに定義されたパラメータのセットは、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数を含む。非限定的な実施例では、自動サンプル混合システムは、回転ベースと、回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットとを備え得る。自動サンプル混合システムは、第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するように構成されている。いくつかの実施例では、自動サンプル混合システムは、流体レベル・センサをさらに備える。
【0095】
さらなる実施例では、本発明は、性判別された、人以外の精液製品を生成するための方法を提供するものである。この方法は、フロー・サイトメトリ装置内の精液サンプルを処理して、少なくとも1つの望ましくない特性を含むサンプルの第2の部分母集団から、少なくとも1つの望ましい特性を含むサンプルの第1の部分母集団を選択するステップと、サンプル回収容器内の、少なくとも1つの望ましい特性を含む第1の部分母集団を主として含むサンプルを採集するステップと、本明細書で説明したサンプル混合システムのうちのいずれかを使用して、サンプル回収容器内の採集されたサンプルを自動的に混合するステップとを含み得る。採集されたサンプルの混合は、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数など、処理されるサンプルに関連する定義されたサンプル混合パラメータのセットに基づき得る。サンプル混合システムは、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することができ、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする。
【0096】
いくつかの実施例では、この方法は、処理されたサンプルがフロー・サイトメトリ装置を出た後に、サンプル回収容器に採集される、処理されたサンプルの一部を機械的に進路を変えるステップをさらに含む。処理されたサンプルを機械的に進路を変えるステップは、サンプルの純度、サンプル中の粒子の数、及び回収容器の充填レベルを含む、1つ又は複数の定義されたパラメータに基づき得る。他の実施例では、この方法は、第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するステップを含む。
【0097】
本明細書で説明されたあらゆる特徴又は特徴の組合せは、そのような組合せに含まれる特徴が互いに矛盾していない限り本発明の範囲内に含まれることが、状況、本明細書、及び当業者の知見から技術的に明らかであろう。本発明のさらなる利点及び態様は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲において明らかである。
【0098】
本発明の完全な理解を容易にするために、同様の要素は同様の数字で参照される添付の図面に示される例示的な実施例がここで参照される。これらの図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、例示であり、参照のためであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムの非限定的な実施例を示す。
【
図2】3つのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムの正面図で、それぞれにモニター、シース槽及びスケール組立体、マウス、採集トレイ、スキャナを備える。
【
図3A】本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムの正面図を示す。
【
図3B】本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムの背面図を示す。
【
図4】本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムの機器ワークフローのブロック図を示す。
【
図5】取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール及びサンプルを処理且つ分析するフロー・サイトメトリ・デバイスの実施例を示す正面斜視図である。
【
図6】取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール及び取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを洗浄するマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの実施例を示す正面斜視図である。
【
図7】分配ブロック及びマイクロ流体系モジュールからそれぞれの合せ穴までの、合せピンとボールとの間の経路を示す。
【
図8】分配ブロック及びマイクロ流体系モジュールからそれぞれの合せ穴までの、合せピンとボールとの間の経路の別の図である。
【
図9A】流体系モジュールの内部コンポーネントを示す。
【
図9B】流体系モジュールがシステムの後端流体系ポートへどのように接続されるかを示す。
【
図10】フロー・サイトメータ・システムにおいて取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を使用するための、及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムを使用して取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を洗浄するためのプロセス及び方法の実施例を示すフローチャートである。
【
図11A】フロー・サイトメータ・システムにおいて取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を使用するための、及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムを使用して取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を洗浄するためのシステム及び方法の実施例を示すブロック図である。
【
図11B】フロー・サイトメータ・システムにおいて取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を使用するための、及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムを使用して取外し可能且つ置換可能なサンプル通路を洗浄するためのシステム及び方法の実施例を示すブロック図である。
【
図12】外部流体リザーバを備えるマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの実施例を示すブロック図である。
【
図13】内部流体リザーバ及び制御システムを備えるマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの実施例を示すブロック図である。
【
図14】マイクロ流体系モジュール及び分配ブロックを備える取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールの実施例を示すブロック図である。
【
図15A】マイクロ流体系モジュール及び分配ブロックを備える取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールの実施例を示す別の図である。
【
図16A】取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュールの実施例の側面図を示すブロック図である。
【
図16B】識別要素を備えるマイクロ流体系チップの非限定的な実施例を示す。
【
図16C】マイクロ流体系チップの識別要素を利用してマイクロ流体系チップを自動的に整列且つ配置する非限定的な配列を示す。
【
図17】フロー・サイトメトリ・デバイス、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム、サンプル通路モジュール、ローカル制御システム、及びリモートサーバを含むシステムの実施例を示すブロック図である。
【
図18】マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内の流体フローの実施例を示すブロック図である。
【
図19A】本発明の光学系モジュール(問合せモジュール)の実施例を示す。光学系モジュールは、サイトメトリ・システムの残りの部分とは別に浮遊できて、ゴム製足部で隔離される。
【
図20A】本発明のサイトメトリ・システムに配設される電子系モジュールの実施例を示す。
【
図20C】電子系モジュールの内部コンポーネントを示す。
【
図21A】サイトメトリ・システムの背面に配設された制御盤を示す。制御盤は、電子系及び流体系ポートを含む。
【
図21B】サイトメトリ・システムの背面に配設された制御盤を示す。制御盤は、電子系及び流体系ポートを含む。
【
図22A】サイトメトリ・システムの電子ブロック図を示す。
【
図22B】サイトメトリ・システムの電子ブロック図を示す。
【
図23】本発明の実施例によるキル・レーザの電磁放射線放射のためのビーム幅の図である。
【
図24A】本発明の実施例による焦点面に円形ビーム・ウエスト・プロファイルを有するキル・レーザ・ビームに対する、焦点面での楕円形ビーム・ウエスト・プロファイルを有するキル・レーザ・ビームの性能を示すチャートである。
【
図24B】本発明の実施例による焦点面に円形ビーム・ウエスト・プロファイルを有するキル・レーザ・ビームに対する、焦点面での楕円形ビーム・ウエスト・プロファイルを有するキル・レーザ・ビームの性能を示すチャートである。
【
図25A】本発明の実施例によるレーザ・ベースの粒子処理システムの電気的、光学的、及び光学機械的要素のブロック図である。
【
図25B】本発明の実施例によるレーザ・ベースの粒子処理システムの電気的、光学的、及び光学機械的要素のブロック図である。
【
図26A】本発明の実施例による検出レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射のための光通路の概略図である。
【
図26B】本発明の実施例によるキル・レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射のための光通路の概略図である。
【
図27】本発明の実施例による検出組立体の光学的及び電気的要素の略図である。
【
図28】本発明の実施例による検出組立体による検出のための焦点面での作用又は問合せエリアにおけるキル・スポット及び検出スポットでの放射の概略図である。
【
図29A】本発明の実施例による検出レーザ・ビームの測定の出力を表す例示的なグラフィカル・ユーザ・インターフェースを示す。
【
図29B】本発明の実施例によるキル・レーザ・ビームの測定の出力を表す例示的なグラフィカル・ユーザ・インターフェースを示す。
【
図30】サンプルの流れを検出及びキル・レーザへ整列されて所望の分解能及びキル計数を達成する方法のブロック図を示す。
【
図32】サンプル・レベルを自動的に測定し、サンプル・レベルが低い場合を決めるためのブロック図を示す。
【
図33】サンプル混合モジュール及び自動ダンプ・コンポーネントを含むフロー・サイトメトリベースの粒子処理システムを示す。
【
図34】回転ベースに配設された磁気採集管を備える本発明のサンプル混合システムを示す。
【
図35A】採集管ホルダの磁気取付を示す断面図である。
【
図35B】サンプル混合システムのモータ内へ組み込まれたホール効果センサの上面図である。ホール効果センサは南極によって作動し、位置検出に使用される。単数の磁石は、そのS極がセンサへ配向され、他の全ての磁石は、N極がセンサへ配向される。
【
図36A】サンプル分注機器内へ組み込まれたサンプル混合システムを示す。
【
図36B】サンプル分注機器内へ組み込まれたサンプル混合システムを示す。
【
図37A】より大きな採集管を備えたサンプル混合システムの別の実施例を示す。
【
図37B】より大きな採集管を備えたサンプル混合システムの別の実施例を示す。
【
図37C】より大きな採集管を備えたサンプル混合システムの別の実施例を示す。
【
図38A】サンプル混合システムと併用されている液体レベル・センサの一実施例を示す。
【
図39A】サンプル混合システムと併用されている液体レベル・センサの別の実施例を示す。液体レベル・センサは、採集管から約10mm離れて配置される。
【
図39B】液体レベル・センサが採集管から約6mm離れて配置されていることを示す。
【
図40A】サンプル混合システムの自動ダンプ・コンポーネントを示す。
【
図40B】サンプル混合システムの自動ダンプ・コンポーネントを示す。
【
図41】本発明の実施例によるサンプルを処理するための非限定的なフローチャートである。
【
図42A】本発明によるサンプルを採集且つ混合する方法のブロック・フロー図である。
【
図42B】本発明によるサンプルを採集且つ混合する方法のブロック・フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本発明を次に、添付の図面に示されるような例示の実施例を参照してより詳細に記載する。本発明は、例示の実施例を参照して本明細書に記載されるが、本発明はそのような例示の実施例に限定されないことを理解されたい。当分野における通常の技術を所有し、本明細書の教示を利用する機会を有するものは、追加の実装形態、修正形態及び実施例並びに本発明の使用の他の用途を認識し、これらは、本明細書に開示されクレーム主張されるような本発明の範囲内であるように本明細書では十分に企図されており、それに関して、本発明は、かなり有益であり得る。
【0101】
一態様において、本開示は、精子及び他の粒子又は細胞などの粒子又は細胞物質を種々の成分及び部分に分離することができるフロー・サイトメトリ・システム及び方法に関する。例えば、本発明の種々の実施例は、生存可能であり運動性の精子を生存不可能又は非運動性精子から隔離する、性別及び他の性別を分類する変形形態によって精子を隔離する、幹細胞を母集団の中の細胞から隔離する、1つ又は複数のラベル付けされた細胞を、ラベル付けされない細胞から隔離して、望ましい/望ましくない特性を区別する、指定された特性に従って核DNAにおける遺伝子を隔離する、表面マーカーに基づいて細胞を隔離する、膜の完全性(生存能力)、潜在的、又は予測される生殖状態(繁殖力)、凍結後の生き残る能力などに基づいて細胞を隔離する、汚染物質又はゴミから細胞を隔離する、損傷した細胞(すなわち癌細胞)から健康な細胞を隔離する(骨髄摘出においてなど)、血漿混合物における白血球細胞及び血小板から赤血球を隔離する、並びに任意の他の細胞成分からの任意の細胞を対応する部分に隔離するなど、混合物における成分を隔離することを実現する。
【0102】
本明細書で使用される際、精子サンプルは、ヒト以外の哺乳類から提供されるべきであると理解される。精子サンプルは、ソース動物から新たに採集されたサンプル、又はソース動物からの予め冷凍保存されたものの解凍サンプルであってよい。ソース動物の例には、これに限定するものではないが、牛、羊、山羊、馬、豚、又はウサギ、アルパカ、犬、猫、フェレット、ラット、ネズミ又はバッファローなどの他の哺乳類ソースが含まれる。例えば、牛の精子細胞は、国産牛、バイソン、アフリカンバッファロー、水牛又はヤクからの精子細胞を含むことができる。さらに、サンプルは、単一の精液、同じ哺乳類からの複数回のためた精液、又は2頭以上の動物からの複数回のためた精液であってもよい。
【0103】
本明細書で使用される際、用語「通路」は、その中を流体が流れることができる流体ライン、チャネル又は配管を指す。例えば、シース流体通路は、その中をシース流体が流れることができるライン、チャネル又は配管を指し、サンプル通路は、その中をサンプル流体が流れることができるライン、チャネル又は配管を指し、空気通路は、その中を空気が流れることができるライン、チャネル又は配管を指すなどである。本明細書に記載されるサンプル通路モジュールにおいて、前記モジュールは、サンプルがその中を通って流れ、これにより採集以外の処理中にサンプル流体を他のモジュールから隔離する全体のサンプル通路を備える。これは、異なるサンプル流体間の相互汚染を阻止することができ、またサンプル通路を他のモジュールから切り離して洗浄することも可能にすることができる。全体のサンプル通路は、その中をサンプル流体が流れる通路全てを指し、別個であり、別の構成要素によって互いから物理的に隔てられた経路を含める。同様のやり方において、用語「全体の通路」は、主に、全体の通路が、特定の流体が中を通って流れる通路全てを備え、別個であり、別の構成要素によって互いから物理的に隔てられた通路を含めるという点において、シース流体、空気又は任意の他の流体に適用することができる。
【0104】
本明細書で使用される際、用語「掃除される経路」は、洗浄されるべきサンプル通路容積の数を指す。
【0105】
本明細書で使用される際、用語「モジュール」は、取り外すことができる、再設置することができる、又は1つのユニットとして置換することができる複数の構成要素を指す。個々の構成要素が、取り外されてよい、再設置されてよい、又は置換されてよい場合、個々の構成要素は、モジュールではない。
【0106】
いくつかの実施例によると、本発明は、
図1~
図2に示されるように、シャーシ、及び複数のモジュールが中に配置されたモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを特徴とする。これらのモジュールは、これに限定するものではないが、電子機器、及び制御モジュール、問合せ(又は光学系)モジュール、流体系モジュール、サンプル通路モジュール、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュール、並びに自動混合及び採集モジュールを含む。通気穴又はスロットを、シャーシに沿って複数の場所に位置決めすることで、電子機器への適切で十分な空気流と冷却を可能にすることができる。本発明を特定の理論又は機構に限定することを望む訳ではないが、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムは、これに限定するものではないが、チップ・ステージを介するチップ位置の自動調節、検出スポットの自動調節、キル・スポットの自動調節、自動のサンプル及びシーススループット、自動採集及び攪拌、自動ダンプ(例えば、サンプル採集における失敗状態、例えば、高過ぎる死滅細胞のパーセント、低すぎる分解能、汚染の手違い、位置合せエラーなどからの)を含む、自動化機構を有することができる。自動化機構は、サイトメータのコンピュータシステム構成要素によって制御され、操作され得る。
【0107】
図2に示されるように、シース槽は、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムに流体結合されてよい。シース槽は、搬送し易くするための車輪付き組立体と、槽内のシース流体の量を監視するための目盛りとを含んでよい。モジュール式フロー・サイトメトリに動作可能に結合され得る追加の構成要素は、これに限定するものではないが、マウス、モニタ、タッチスクリーン、キーボード、バーコード、QRコード(登録商標)又はRFIDスキャナなどの識別スキャナを含む。
【0108】
図3Aは、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの異なる構成要素をより詳細に示す。いくつかの実施例において、マイクロ流体系モジュールは、チップ・カートリッジと、システムに対して磁気的に保持されるマイクロ流体系チップとを中に含む。シース・ラインは、シース入口ポート及びマイクロ流体系チップ・シース・チャネルからの流体間の配管経路である。サンプル・ラインは、サンプル管及びマイクロ流体系チップ・サンプル・チャネルからの流体間の配管経路である。流体系モジュールは、サンプル入口及びシース入口からの流体、並びに流体系組立体からの流体を、マイクロ流体系チップ内のそのそれぞれのポートに誘導する。流体系アクセスねじは、流体系組立体内へのメンテナンスを可能にする。液体レベル・センサは、サンプル管内の採集充填量を検出する容量センサであってよい。採集モジュールは、「待機中」位置と「採集」位置の間を切り替える、採集管を保持する採集管ホルダを中に含む回転可能システムを備える。バイザは、採集中に環境変動からチップ・モジュールを保護するスイング・カバーである。サンプル管は、精液サンプル又はクリーニング・サンプルを中に含むサンプルを保持して、マイクロ流体系サンプル・チャネルに吐き出すことができるリザーバである。収納トレイは、動作中に、簡便になるように追加の管及びキャップを保持することができる。
【0109】
図3Bを参照すると、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの裏側構成要素は、制御盤及びカバーを中に含む制御ボックス・モジュールと、シース入口へのクイック・ディスコネクトを中に含む流体系ポートと、廃棄物出力と、空気入力と、シース槽への空気出力と、電源及びメインコンピュータを中に含む電子系ボックス・モジュールと、電子系ボックスに電力を供給するためにケーブルにプラグ接続するための電子機器電力ポートと、全体のシステム状態を示す状態指示器とを含む。
【0110】
光学系組立体は、キル・レーザ及び検出レーザからマイクロ流体系チップまでのビーム経路の位置合せ及び成形に関与している。チップは、焦点レンズを通してカメラの中まで眺められる。検出レーザは、細胞がマイクロ流体系チップの中を流れているとき、各個々の細胞の中を通る光を放出し、APD検出センサを通して放出を集めて細胞の性別を評価することに関与している。キル・レーザはその後、ソフトウェア内でゲート制御されていない各細胞における光のパルスを送信し、ゲート制御されていない細胞の各々をスライシングし、不活発にすることに関与している。ソフトウェアから、オペレータは、チップ・ステージ及び検出ビームの移動を制御することで、細胞の性別検出分解能及びキル・スライス精度を最適化することが可能である。
【0111】
本発明において実施される性判別法の非制限的実施例では、精子サンプルは、マイクロチャネルに取り込まれ、シース流体によって囲まれ、全4方向に集中させられる。モジュール式フロー・サイトメトリ・システムが稼働しているとき、サンプル内の染色された精子細胞は、蛍光発光させるために、レーザ(パルス波又は連続波のいずれか)によって照らされる。細胞の蛍光発光からの光又は光子が、アバランシェ・フォトダイオード(「APD」)にぶつかるとき、システム内のセンサにおいて決定プロセスが開始する。APDからの信号は処理され、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)に送信される。FPGAにおいて、最後の検出イベントから適切な時間のデッドタイムが経過した場合、このとき、新たなイベント状態が開始する、そうでなければ、イベントは全く起こり得ない。
【0112】
イベント状態決定の開始において、信号値が閾値を超え、且つ信号値が、下降ヒステリシス値を超えた場合、このとき、イベント・カウンターが増分される。そのイベントが、マルチピーク・イベントであるか、シングルピーク・イベントであるかが次に決定される。信号又はピークに関して、信号の屈折変化の方向が決定され、信号は、マルチピーク・イベント(二重項)における第1のピークであるか、マルチピーク・イベントにおける第2の、すなわちその後のピークであるかが決定される。イベントがマルチピーク・イベントである場合、ピークカウント、ピーク電圧、及びピーク時間を使用して、マルチピーク・イベントを処理する。一重項又は二重項は、ほぼ同じピーク高さを有するため、それらは、ピーク高さ(「強度」)の1-Dヒストグラム上の同じ場所に現れる。しかしながら、領域が有意に異なることが理由で、それらは、ピーク高さと領域を有する2-Dヒストグラム上では異なる場所に現れる。
【0113】
イベントがマルチピーク・イベントである場合、以下のデータ、すなわちピーク電圧、ピーク時間、積分領域及びイベントについてのスパン値が、イベントの終わりが決定されるまで、信号が処理される際に、イベント内の各データポイントについて更新される。スパン値が、イベントについての最小値を超えた場合、イベントは、有効なイベントであり、FPGAは、「ゲート・モード」に入り、ゲーティング結果を決定し、この結果を使用して始動するか否かを決定する。既に死滅した細胞に対応するピークは、始動しないことの決定となる。ピーク電圧、領域及びスパンを含めたFPGA結果は、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)に送信される。DSPは、追加のゲーティング決定を作成することができる、又はそれはFPGA結果を使用して始動するかどうかを決定することができる。DSPゲーティングにおいて、FPGAからのイベント・データが処理されて、イベント・データポイントが事前定義されたゲーティング多角形内にあるかどうかを決定する。
【0114】
FPGAは、信号をDSPに送信した後、DSPゲーティング結果を待ち、DSPゲーティング結果に基づいて、イベント内のピークについてのタイム・スタンプに基づいて1つ又は複数のピークがキル・スケジュールに追加される。シングルピークの場合、1つのイベントが、レーザ・トリガ・スケジュールに追加され、マルチピーク・イベントの場合、現在の設定に基づいて、マルチピーク・イベント内の1つ又は全てのピークがレーザ・トリガ・スケジュールに追加される。レーザ・トリガについて、EPGAは、新たなトリガ要求がスケジュールに追加されたかどうかを知るために絶えずチェックし、トリガ要求がスケジュールに追加された場合、要求に基づいて遅延が設定される。遅延の後、FPGAからの出力は、レーザに、特定のトリガ要求に対応する精子細胞において始動するようにさせる。
【0115】
いくつかの実施例において、流体系モジュールは、流体系マニホールドからマイクロ流体系チップまでのシース・ラインとサンプル・ラインとの間の流れの速度を正確に制御して、マイクロ流体系チップを通る最適な細胞流量を可能にし、チップ内の細胞間の最大の許容可能な間隔を可能にする、液体取扱装置である。流体系モジュールは、システムから取外し可能である。
【0116】
いくつかの実施例において、流体系モジュールは、システム内を通るシース流体及びサンプル流体に対して流れの速度を制御するための流体レギュレータと、流体弁とを含む。流体系モジュールはまた、機器内で筐体空気圧を約55psiまで降下させることができ、シース槽への空気圧を25psi未満まで降下させることができる二重空気レギュレータ組立体をシステムの背面付近に含んでよい。流体系モジュールは、流体制御PCB及び制御可能デバイスを収容して、機器を通る流体の流量を正確に制御する。流体系モジュールには、ラッチを開放する、又はノブを緩むまでねじるなどによって、解放機構を始動させ、その後モジュールを外に摺動させることによって到達することができる。
図9Aを参照すると、流体系モジュールがひとたび機器から引っ張り出されると、メンテナンス・スタッフは、最初に流体盤への電気ポートからプラグを抜き、その後、モジュールの頂部に位置するハンドルを保持して、ユニットを引っ張り上げることによってモジュールに迅速に到達することができる。流体系モジュールは、例えばメンテナンス又は診断のために、システムから切り離し、取り外すことができ、バックアップ流体系モジュールで置換することができることで、システムはなおも作動可能なままである。例えば流体系モジュールは、予防メンテナンスのために一月に一回シース・ライン・フィルタを交換するために取り外されてもよい。
【0117】
システム内を何らかの流体が流れるために、マイクロ流体系モジュール及び流体系モジュールは共に、そのそれぞれのスポットに適切に設置される必要がある。偶発的な漏出の機会を減らすためにマニホールドが所定の場所にあることを検出するためにセンサが存在する。両マニホールドとも、把持し易くするために装着されたハンドルを有する。いくつかの実施例において、チップ及び流体系マニホールドは共に、同時に取り扱われることが意図される。流体系モジュール及びチップ・モジュールを搭載するために、バイザが持ち上げられ、その後モジュールが、システム上のその意図される位置まで動かされる。流体系モジュールの場合、モジュールからの2つのドエルピンが、流体系モジュール・ベースにある穴に位置合せされ、その後所定の場所へと押し込まれる。チップ・モジュールの場合、モジュールの背面にある位置決めボールがチップ・モジュール・ベースにある位置決め穴と位置合せされ、その後、システム上の所定の位置へと摺動するように前方に押される。両方のモジュールとも、それらが磁気的に保持されるとき、カチッと音を立てて所定の場所になるべきである。シース・ライン及びサンプル・ラインは、ラインを所定の場所に保持するために、バイザの真下のクリップ上のそのそれぞれのスロットに挿入される。最後に、バイザが閉じられる。流体系モジュール及びチップ・モジュールをシステムから取り出すのは、搭載手順の反対である。
【0118】
いくつかの実施例において、所望の流体を有する5mL管サンプルは、管をサンプル管ローダ上に配置し、搭載されたサンプル管ローダを、機器面に垂直に流体系モジュールの真下に位置決めすることによって、流体系モジュールに搭載される。サンプル管がひとたびサンプル管の中心に位置合せされると、サンプル管ローダは、頂部面が流体系モジュールに接触するまで押し上げられる。サンプル管ローダは、ローダと流体系モジュールとの間の磁力で所定の場所の中にロックする。サンプル管を取り出すためには、サンプル管ローダをねじって、流体系モジュールとの磁力を断ち切り、下に引っ張って、それを流体系マニホールドから外す。
【0119】
他の実施例において、採集モジュールは、システムの採集プロセスのいくつかの部分を自動化することができる。それは、採集管が一杯になったときにそのことを検出するためのセンサを有する。液体レベル・センサは、サンプル管が事前に定義されたレベルまで一杯になったときに作動するように較正される。採集モジュールは、一杯になった採集管を、待機中の空の採集管に切り替え、5分毎に管内の内容物を自動的に混合することができる。いくつかの実施例において、自動化された採集モジュールは、ターンテーブル・ベースを中に含んでおり、これは、2つのサンプル管を保持する。採集ベースはまた、採集中、特有の配向でサンプル管ホルダを所定の場所に保持するために磁石を中に含む。収集が行われている間、採集モジュールは、内容物を頻繁に混合することができる。サンプルが管内に採集されるのが終わったとき、モジュールは、サンプルを採集している管を待機中の管に切り替える。最終的に、流れを止める必要なしに、サンプル流れを廃棄物ラインに向け直すための自動化されたシステムが存在する。
【0120】
性判別システムの監視中、オペレータは、採集モジュールと主にやりとりをする。ソフトウェアの起動時、採集モジュールは、所定の場所へと戻る。採集モジュールが移動する場合を除いて、「採集」位置と呼ばれるサンプル採集ゾーンと一直線に1つのサンプル管ホルダが常に存在する。サンプル採集ゾーンの真下でサンプル管ホルダから直接横切るのは、第2のサンプル管ホルダである。第2のサンプル管ホルダは、「待機中」位置と呼ばれる。
【0121】
サンプル採集中、採集管は、自動的に混合する。混合プロトコルは、採集管を数秒間往復旋回させ、その後、採集位置に戻す。新たな採集管が、採集位置になるように切り替えられたとき、終了した管は、待機中位置に戻るように切り替えられ、一杯になった採集管は取り外され、採集トレイ内に置かれる。新たな採集管が、採集管ホルダ内に配置され、待機中位置に戻るように搭載される。
【0122】
特定の理論又は機構に拘泥することを望まずに、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの新規且つ進歩的な機構は、空間の有効利用を可能するための互いに対するモジュールの構成及び位置である。システムは、3つの別個のレベル又はフロアに分割することができる。第1のフロア(例えば底部フロア)では、電子系モジュールが、シャーシの内外に摺動することができる。それは、上部レベルにある流体からの保護のために隔壁プレート又はプレートを含む。よって、電子系モジュールは、他のモジュールから物理的に隔離されている。第2のフロア(例えば中央フロア)では、流体系モジュールは、オペレータに到達することを容易にするために前方部分に備わっている。第3のフロア(例えば頂部フロア)は、レーザ、検出器及び他の光学構成要素を中に含む光学系モジュールを収容する。光学系モジュールは、光学構成要素を妨害しないように、移動する空気から隔離されている。レーザが最大の熱を生成するために、光学系モジュールは、最適な通気のために最上レベルにある。光学構成要素の周りで空気を乱す可能性のあるファンを使用する代わりに、レーザのためのヒートシンクが、構成要素を冷却するために、自然対流を介して空気を引き込むことができる。光学系モジュールは、これらのモジュールが共に熱を生成することが理由で、電子系モジュールから隔てられなければならない。電子構成要素を冷却するために、ファンが、第1のフロアに、及び/又は電子系モジュールの近くに配置されてもよい。モジュールのレイアウトは、頻繁なメンテナンスの領域に到達することをさらに可能にする。
【0123】
本発明の別の独自で進歩的な機構は、種々のモジュールの組立、並びにメンテナンス及び/又は置換のための取外しを容易にすることを有利に可能にし、その結果ダウンタイムが小さくなり、ほぼ連続運転となる、システム全体のモジュール性質である。例えば、コンピュータは、移動し易くするためにレール上に配置されてよく、同様の電子系モジュールで置換することができる。光学系モジュールにおいて、レーザは、取り外す、置換する、又は接続し直すことができる。他の光学構成要素、検出器、カメラ、レンズなどもまた、取り外す、置換する、又は接続し直すことができる。サンプル通路モジュールは、取り外して、クリーニング・モジュールを使用して洗浄することができる。流体系モジュールもまた、取り外して洗浄することができる。メンテナンスの間、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールは、他の洗浄されたモジュールで置換することができる。流体系モジュール又はその構成要素の置換は、フロー・サイトメータの連続運転を可能にすることができる。システムは、専門の技術者又は特殊な訓練を必要とせずに、容易に作動させ、維持することができる。さらにモジュールの性質はまた、配送後に必要となる組み立てがほとんどないか、全く必要ない、システムの容易な出荷も可能にする。
【0124】
本発明の別の独自で進歩的なさらに別の特徴は、システムのダウンタイムが小さくなり、製品の汚染が低下し、改善された製品の均一性及び純度となる、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの自動化された又は半自動化された性質である。例えば、マイクロ流体系チップの物理的な場所は、それが自動化されたチップ・ステージ調整手順を使用することを必要とする場所に対して調節することができる。処理後のサンプルを中に含むサンプル管の混合もまた、サンプルが採集されているときに、前記管を回転させることによって自動化され、これによりサンプルロスを減少させ、精子細胞の損傷を低減させる。システムの自動化機構のさらなる実例は、処理後のサンプル流れを廃棄物収集に向け直すことを可能にする自動ダンプ・モジュールと、サンプル・レベルが低いときにそのことをオペレータに知らせる自動化されたサンプル・レベル検出とを含む。
【0125】
以下のセクションは、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの種々のモジュールをより詳細に記載する。代替品及び等価物は、本発明の範囲内にある。
【0126】
サンプル通路モジュール及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュール
【0127】
商業的な精液処理の分野では、例えば、精液性判別作業では、サンプル・ラン間の汚染を防ぐために、マイクロ流体系チップ、カセット、又はカートリッジを洗浄すべきであるという要件がある。
【0128】
精液性判別において、プロセスは、流体サンプル変更サブ・プロセス、例えば、雄牛変更サブ・プロセスであり、ここでは、1つの流体サンプル(例えば精液サンプル)の処理が完了し、システムは、それに続くサンプルを処理するための準備をしなければならない。雄牛の変更中、最初の雄牛からの精液サンプルについての性判別プロセスに使用されているマイクロ流体系チップは、洗浄されなければならず、新たな雄牛の精液を使用する次の性判別プロセスを行うために、前の雄牛の精液を全て取り除く必要がある。或いは、新たな、又は別個のマイクロ流体系チップが使用される場合もある。雄牛間、又はより一般的には動物間、又は遺伝学的流体サンプル間で、汚染は、完璧に洗浄されなかったマイクロ流体系チップの起こり得る結果である。相互汚染は、汚染された製品が農業者に達した場合、結果として子孫の間違った品種又は間違った性別になる恐れがあるため、大きな問題である。
【0129】
既存のシステム及び方法において、雄牛間の汚染を低減させることは、マイクロ流体系チップをフロー・サイトメトリ・デバイス又は機器内に固定して維持することによって達成される。チップ・クリーニング手順は、フロー・サイトメトリ・デバイス上で行われ、そこでは、洗浄溶液又は洗浄液、PARVOSOLなど、及びシース液又は緩衝液が、雄牛の変更の間の期間内のおおよそ10分のクリーニング・プロセスの間、フロー・サイトメトリ・デバイス内のマイクロ流体系チップを通して処理される。手順は、半自立式プロセスであり、この場合、オペレータは、クリーニングのための圧力を設定し、洗浄液の流れを構成し、10分のクリーニング・タイマーを設定する。
【0130】
しかしながら商業的精液処理設定では、フロー・サイトメトリ・デバイスは、精液処理のための貴重な時間が、代わりにチップを洗浄するために使用されている場合、その貴重な時間を失うことになる。半自律式クリーニング手順においては、マイクロ流体系チップが完全には洗浄されない可能性もある。フロー・サイトメトリ・デバイス上で行われる半自律式クリーニング手順は、クリーニング流れを正確に設定すること、タイマーを正確に設定すること、クリーニング・サイクルが早期に終わらないこと、及び十分なクリーニング溶液、例えばPARVOSOLがクリーニング・サイクル全体においてサンプル管の中にあることを監視し保証することをオペレータの判断に任せている。
【0131】
よって、本発明の目的は、マイクロ流体系チップ、カセット又はカートリッジを有し、且つ分配ブロック又は流体系マニホールドをさらに備えるマイクロ流体系モジュールを備える、置換可能又は取外し可能なサンプル通路モジュールを含むフロー・サイトメトリ・システムを提供することである。いくつかの実施例において、フロー・サイトメトリ・システムは、事前にプログラムされた、又は構成されたクリーニング・プロトコルを使用してサンプル通路モジュールの自動クリーニングを行うマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムを含んでもよい。
【0132】
本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望まずに、本明細書に記載される方法及びシステムは有利であると考えられるが、その理由は、取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールは、マイクロ流体系チップ及び分配ブロック又は流体系マニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備え、可搬式であり、チップ・クリーニング・ステーションまで運ぶことができ、それにより、完全に自律式のクリーニング・サイクルを実現し、フロー・サイトメトリ・デバイスのほぼ連続する運転を実現するからである。
【0133】
例示の実施例では、マイクロ流体系チップ及び分配ブロック又はマニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備える取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールは、フロー・サイトメトリ・システムに解放可能に保持され(例えば磁気的に)、外向きの力によってなど、オペレータが、サンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・システムから取り外すことによって解放可能に取り外すことができる。サンプル通路モジュールはその後、チップ・クリーニング・ステーションまで運ぶことができ、チップ・クリーニング・ステーションは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムであり、ここで、磁力がサンプル通路モジュールをマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに解放可能に固定してよく、そのためオペレータは、サンプル通路モジュールをマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに容易に装着することができる。
【0134】
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上になると、オペレータは、サンプル管を分配ブロックに押しつけるのに使用されたサンプル管ローダを取り外し、それを、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上のサンプル・リザーバで置換する。オペレータは、一体式又は装着された制御システム又はコンピュータのユーザ・インターフェースを通してクリーニング・プロトコル又はクリーニング・パラメータを選択することによってクリーニング手順を開始する。これは、自動化されたクリーニング手順を開始し、これは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの背部に接続された容器又はリザーバからクリーニング溶液(例えばPARVOSOL)を引き出し、クリーニング・プロトコルによって事前に決定されたレベル(例えば4.5mL)までサンプル・リザーバを満たす。その後、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、シース・ライン又は緩衝液ライン或いはサンプル通路モジュールの流れ経路を通して、脱イオン水又は微生物学的グレードの水をプライミングし、サンプル通路モジュールを通るようにそれを流す。その後、圧力がサンプル・リザーバに加えられて、クリーニング溶液(例えばPARVOSOL)をサンプル・ライン又は流れ経路を通して、よってサンプル通路モジュールを通して押し込む。手順はその後、クリーニング溶液と脱イオン水の両方を、サンプル通路モジュールを通して、クリーニング・プロトコルによって決められたような時間量にわたって、例えば10分間流す。最後に、空気が、チップを通してサンプル・ライン及びシース・ラインの両方を通るように吹き込まれる。
【0135】
いくつかの実施例において、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、種々の液体の切り替えを可能にする、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内の一セットのマニホールド及び弁を備える。これは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムが、フロー・サイトメトリ・システム上と同じ手順をチップ・クリーニングの始動及び停止のために実行することも可能にする。
【0136】
マイクロ流体系チップ及び分配ブロック又はマニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備える取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールは、固定されることに対してここでは可搬式である。これは、オペレータが、雄牛サンプルなどの生体液サンプルを流した後、サンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・システムから取り外し、機器をきれいにするために、不必要な又は過剰なシステム処理のダウンタイムなしに、サンプル通路モジュールをマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムまで運び(すなわち、フロー・サイトメトリ・デバイスから離して)、収納庫から清潔なサンプル通路モジュールを獲得し、フロー・サイトメトリ・デバイス上に運んで設置することを可能にする。チップ・クリーニング・ステーションは自動化されており、そこでは、クリーニング・プロトコルのパラメータ、例えば流量及びタイマーが、クリーニング・プロトコルの一部として事前に構成される、又はプログラムされる。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム及びクリーニング・プロトコルは、流量が合致し、サンプル通路モジュール内のマイクロ流体系チップの完璧なクリーニングを実現するためにマニホールドが所定の場所にあることを保証するための内蔵ロジック及びアルゴリズムを備える。
【0137】
自動化されたシステム、並びにマイクロ流体系チップ及び分配ブロック又はマニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備える取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールを使用することは、フロー・サイトメトリ・システムのダウンタイムの時間を短縮しつつ、クリーニング・プロセスが、フロー・サイトメトリ・システムで、又はフロー・サイトメトリ・システム上で行われることを要求する既存のシステム及び方法に劣らない程、又はそれより優れた結果となる。いくつかの実施例において、オペレータが、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上の雄牛変更クリーニング・プロセスを実行するのにおおよそ13分から16分かかる可能性がある。クリーニング・プロセスの期間は、将来の最適化及び訓練のプラスを通してさらに最適化される可能性がある。
【0138】
一般に、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム、並びにマイクロ流体系チップ及び分配ブロック又はマニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備える取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールは、ダウンタイムをなくす、又はフロー・サイトメトリ・システムにつき、流体サンプル交換につき10分のダウンタイムを実質的に短縮するが、このダウンタイムは、フロー・サイトメトリ・デバイス上でマイクロ流体系チップを洗浄するための要件によってこれまでは生じていた。
【0139】
自律式クリーニング・サイクルは、完全なクリーニングを実現し、オペレータからの監視をあまり必要としない。クリーニング溶液、PARVOSOLなどは、オペレータがクリーニング・ルーチンにつき個々の5mL管を満たすことを要求する代わりに、1つ又は複数のより大きなリザーバで共有される。追加で、マイクロ流体系チップ及び分配ブロック又はマニホールドを保持するマイクロ流体系モジュールを備える取外し可能且つ置換可能な流体又はサンプル通路モジュールは、目詰まりが現れた場合に、取り替えたり、置換したりするのが容易であり、既存のシステムにおいてマイクロ流体系チップを置換するダウンタイムを低減させる。
【0140】
図5に関して、サンプルを処理し分析するための取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100及びフロー・サイトメトリ・システム10の一実施例を例示する前方斜視図が提供される。フロー・サイトメトリ・システム10は、粒子の観察された又は決定された特性に基づいて1つ又は複数の粒子間を区別することが可能な、いかなるタイプの粒子処理システムであってもよい。例えば、フロー・サイトメトリ・システム10は、レーザ・ベース検出及び不活性化システムであってよく、サンプル流れの中の細胞などの粒子の特性を決定するために、及び粒子のサブセットを不活性化するために1つ又は複数のレーザ及び検出器を使用する。流体選別、ジェット選別、レーザ操縦、ホログラフィック光学トラッピング、又は電気泳動などの粒子選別、粒子分離又は粒子不活性化の他の方法が、フロー・サイトメトリ・システム10において使用される場合もある。
【0141】
取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100は、フロー・サイトメトリ・システム10によって処理されているサンプルのための全体の流体通路を備える。サンプル通路モジュール100は、分配ブロック110及びマイクロ流体系モジュール150を備える。分配ブロック110は、本体112、デバイス面111、ハンドル114、位置合せピン又はロッドのセット116及びサンプル・ストロー118を備える。サンプル通路管継ぎ手103及びシース流体管継ぎ手又は緩衝液管継ぎ手105を含めた一セットの解放可能な管継ぎ手を使用して、分配ブロック110内のサンプル流体通路及びシース流体通路又は緩衝液通路をそれぞれのサンプル流体配管102(例えば第1の流体系ライン)及びシース配管又は緩衝液配管104(例えば第2の流体系ライン)を介してマイクロ流体系モジュール150内の対応する通路に接合する。代替の実施例では、これはシース流体を必要とせず、分配ブロック110内のサンプル流体通路は、緩衝液配管104の必要性をなくしつつ、サンプル流体配管102を介してマイクロ流体系モジュール150内の対応する通路に結合されてもよい。サンプル流体配管102及びシース流体配管又は緩衝液配管104は、分配ブロック110上で使用されるものと同様の一セットの解放可能な管継ぎ手によってマイクロ流体系モジュール150に固定されてよい。分配ブロック110上及びマイクロ流体系モジュール150上で使用される解放可能な管継ぎ手のセットは、とげ付き取付具、ロックカラー取付具、ねじ込み取付具、又はフロー・サイトメトリ・システム10によって処理されているサンプルの動作可能且つ加圧条件下で配管102及び104を固定することが可能な他の好適な取付具などの取付具であってよい。
【0142】
マイクロ流体系モジュール150は、本体152、ハンドル154及びマイクロ流体デバイス・ホルダ156を備える。マイクロ流体系デバイス・ホルダ156は、マイクロ流体系チップ又はカセットをマイクロ流体系デバイス・ホルダ156内に固定し位置決めするのに使用される。
図14に示されるように、ノブ、ハンドル、ねじ込みロッド、又は他の位置決めデバイスを使用して、マイクロ流体系チップ又はカセットをマイクロ流体系デバイス・ホルダ156内に固定し位置を調整して、チップ又はカセットをフロー・サイトメトリ・システム10内の検出及び/又は不活性化光学系と位置合せしてもよい。
【0143】
マイクロ流体デバイス・ホルダ及び分配ブロック110は各々、サンプル通路モジュール100をフロー・サイトメトリ・システム10に解放可能に固定するのに使用されてよい1つ又は複数の第1鉄の、鉄の又はフェリ磁性の、或いは他の磁気プレート又はブロックを備えてよい。追加で、又は磁石ベースの固定システムを使用する代替の実施例において、他のラッチ、ロック又は締め具を使用して、サンプル通路モジュール100をフロー・サイトメトリ・システム10に解放可能に固定してもよい。しかしながら、サンプル通路モジュール100の迅速で容易な固定、並びにサンプル通路モジュール100のフロー・サイトメトリ・システム10から迅速で容易な解放を実現する固定システム、例えば磁石ベースの固定システムなどは、使い易さ、及び単純化された操作に関連する追加の利点を提供してよい。
【0144】
フロー・サイトメトリ・システム10に対して固定されるとき、サンプル通路モジュール100は、フロー・サイトメトリ・システム10によって処理されているサンプルのための全体の流体通路を備える。例えば、サンプル管12内に収納されたサンプルは、サンプル管12が分配ブロックに搭載される、又は分配ブロックに対して固定されるとき、例えば、サンプルをサンプル・ストロー118を通して分配ブロック110に押しやるサンプル管12内の空気圧又はガス圧などの流体圧の作用によって、サンプル・ストロー118を介してサンプル通路モジュール110を通ってポンプで汲み上げられる、押し上げられる、又は供給される。サンプル管12への流体圧は、分配ブロック110のデバイス面111上の一セットの流体入口などの1つ又は複数の流体入口を介してフロー・サイトメトリ・システム10から提供される。フロー・サイトメトリ・システム10内の蠕動ポンプなどのポンプ又は外部の空気圧源が、サンプル管12に空気圧を提供する。
【0145】
流体サンプルは、精子細胞などの粒子を含んでよく、分配ブロック110を通って、サンプル流体配管102を介してマイクロ流体系モジュール150まで通過する。マイクロ流体系モジュール150において、マイクロ流体系チップ又はカセットが流体サンプルの処理に使用される。処理後、流体サンプルは、自動流体採集システム14内に採集される、或いは廃棄物収集管、リザーバ又はコンテナ内に入るように自動的に進路が変えられてもよい。処理中は、サンプル管12からの流体サンプルは、処理後の廃棄物収集リザーバ以外は、フロー・サイトメトリ・システム10のいかなる部分にも決して接触することはない。この方法において、サンプル通路モジュール100は、他のその後に処理されるサンプルの汚染のいかなるリスクもなしに、流体サンプルが処理された後、フロー・サイトメトリ・システム10から取り外されてよい。
【0146】
例えば、精子細胞を有する精液サンプルなどの第1の流体サンプルは、サンプル通路モジュール100を介してフロー・サイトメトリ・システム10によって処理される場合、サンプル通路モジュール100は、処理後にフロー・サイトメトリ・システム10から解放される、又は取り外されて、第1の流体サンプルと第2の流体サンプルの間の相互汚染のいかなるリスクもなしに、第2の流体サンプルを処理するために、別の同様の、又は同一のサンプル通路モジュールで置換されてよい。これは、相互汚染が望ましくないだけでなく、生体サンプルを処理し分配するための法律、規則、又はガイドラインに反する可能性がある場合に生体サンプルを処理する際にとりわけ重要である。相互汚染は、遺伝子型決定又は遺伝学的シークエンシングがサンプルに対して行われる場合に問題をさらに生み出す可能性がある。サンプル通路モジュール100は、個々のサンプル間の相互汚染の可能性を効果的になくす、又は少なくとも大いに低下させるフロー・サイトメトリ・デバイスにおいて使用される、又はそのようなフロー・サイトメトリ・デバイスと共に使用するために隔離され、完全に中に含まれた、取外し可能なサンプル通路モジュールを提供する。
【0147】
次に
図6を参照すると、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100と、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100を洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20(又はクリーニング・モジュール)の一実施例を例示する前方斜視図が提供される。
図6に示されるように、サンプル通路モジュール100は、
図5に示されるようにフロー・サイトメトリ・システム10から取り外されてよく、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20と位置合せされ、その上に配置される、そこに対して固定される、又は締結されてもよい。
【0148】
図6のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20(そのブロック図実施例は
図12及び
図13に示される)は、筐体22、前部24、背部26、マイクロ流体系モジュール又はチップ・インターフェイス28及び分配ブロック又は流体系マニホールド・インターフェイス30を備える。廃棄物収集管32は、廃棄物を、マイクロ流体系モジュール150内のマイクロ流体系チップ又はカセットから筐体22の前部24にあるグロメット又は開口34を通して廃棄物収集リザーバ内に誘導する。洗浄液又は加圧空気などの流体が、1つ又は複数の内部若しくは外部流体リザーバから、開口又はグロメット36を通る接続部を介して洗浄液リザーバ38に提供される。
【0149】
一実施例において、並びに
図5のフロー・サイトメトリ・システム10及び
図6のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20を参照して、一セットの弁取付具が、サンプル通路モジュール100の分配ブロック110又はマイクロ流体系モジュール150のインターフェイスで使用されてよい。弁取付具は、フロー・サイトメトリ・システム10、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20又はサンプル通路モジュール100内の流体が、接続部が形成されたとき、又は切り離されたときに、システムから漏れる、又はシステムを出て行くことを許可しないように、取付具が接続されたとき弁を開放し、取付具が切り離されたとき弁を閉鎖する取付具を備える。これは、生体汚染を防ぎ、クリーニング溶剤などの危険な廃棄物又は物質にデバイス又はオペレータが曝されるのをさらに防ぐ。弁又はポートは、外されたとき、又は切り離されたとき、閉鎖の位置を採り、接続が行われたときにのみ流体流れを許可するために開放する。一実施例において、弁取付具は、アクチュエータ又はモータによって、或いは弁の手動操作によって始動される取付具をさらに備える。
【0150】
サンプル通路モジュール100などの取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを使用する、フロー・サイトメトリ・システム10などのフロー・サイトメトリ・システム及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20などのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの動作を、
図10に提供されるフローチャートに示されるプロセス300を参照して次に記載する。プロセス300は、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールを使用してフロー・サイトメータを作動させ、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムでの洗浄のためにフロー・サイトメータからサンプル通路モジュールを取り外すための一例の方法を記載する。
【0151】
プロセス300は、サンプル通路モジュールがフロー・サイトメトリ・デバイス上で処理実行する準備ができているステップ302で始まる。処理実行のためのサンプル通路モジュールを準備することは、サンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・デバイスに設置すること、又は固定することを含んでよい。サンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・デバイスに対して固定することは、サンプル通路モジュールを、フロー・サイトメトリ・デバイス上の分配ブロック・インターフェイス及びマイクロ流体系デバイス又はチップ・インターフェイスのうちの1つ又はその両方に対して位置合せすることを含んでよい。一実施例において、マイクロ流体系デバイスを位置合せすることは、サンプル通路モジュール設置のためのフロー・サイトメトリ・デバイスに対して正確に位置決めするために位置合せピン又はロッドを使用することを含んでよい。他の位置合せデバイスが使用されてもよく、サンプル通路モジュール及びフロー・サイトメトリ・デバイス上の一セットの割り出しマーク、サンプル通路モジュール及びフロー・サイトメトリ・デバイスの相補的な幾何学的に対応する面又は表面、或いはサンプル通路モジュールを設置のためにフロー・サイトメトリ・デバイスに対して位置合せし、位置決めするための位置合せチャネル、ガイド、又はレールを含んでもよい。
【0152】
いくつかの実施例において、サンプル通路モジュールは、サンプル通路モジュール又はフロー・サイトメトリ・デバイスの面上の第1鉄の、鉄の又はフェリ磁性の、或いは他の磁気材料プレートと、対抗する表面上の対応する磁気プレートと、によってフロー・サイトメトリ・デバイスに対して固定されてもよい。例えば、一実施例において一セットの4枚のプレートが分配ブロックの面上に配置されてよく、対応するセットの4つの磁石が、フロー・サイトメトリ・デバイスのインターフェイス表面に配置されて、サンプル通路モジュールの分配モジュールをフロー・サイトメトリ・デバイスに対して位置合せし、解放可能に固定してもよい。1つ又は複数の磁石及び対応するプレートを使用して、サンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュール及び分配ブロックのいずれか、又はその両方を固定してもよい。別の実施例において、一セットのラッチ、一セットのロックタブ、一セットのボルトなどの一セットの締め具、バネ荷重維持ピン、或いは維持又はロックラグを使用してサンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・デバイスに対して固定してもよい。
【0153】
追加として、サンプル管は、手動で、又は自動で、分配ブロック上のサンプル管ローダに対して固定されてよい。例えば、一実施例においてサンプル管は、収納領域から取り出され、又は取り外され、蓋又はカバーが、取り外され、サンプル管は、サンプル管ローダ内に位置決めされ、押し込まれ、ばね荷重機構、例えばサンプル管の作用によって偏位され、サンプル管を分配ブロック上の所定の場所に固定する付勢ばねの作用によって元の場所に戻る一セットの固定ラグ又はタブなどによって固定される。別の実施例において、サンプル管は、サンプル管の対応するねじ込みネック、及び分配ブロックの開口を介して分配ブロックの中に、又は分配ブロックに対してねじ込まれる。別の実施例において、アクチュエータ駆動式ローダが、サンプル管を収納領域から移動させ、例えばばね荷重サンプル管ローダによってサンプル管を分配ブロックに対して固定する。
【0154】
ひとたびフロー・サイトメトリ・システムに対して固定されると、サンプル通路モジュールは、流体サンプルを処理するためにプライミングされてよい。プライミング作業は、空気、緩衝液などの流体又はその両方で、流体サンプルを処理する前に、サンプル通路モジュールを洗い流す、又はプライミングすることを含んでよい。ステップ304において、サンプルが、フロー・サイトメトリ・デバイスによってサンプル通路モジュールを通して処理される。分配ブロックに搭載されたサンプル管が、圧縮機、空気ポンプなどのフロー・サイトメトリ・デバイス内の加圧ガス源を介して、又は外部の加圧空気源によって加圧される。加圧ガスは、分配ブロックを通ってサンプル管へと通され、サンプル管内の加圧ガスは、流体サンプルを分配ブロックのサンプル・ストローを通させる。サンプル管が加圧されているのと同時に、緩衝液又はシース流体が、ポンプ又は加圧ガスによってフロー・サイトメトリ・デバイスの内部又は外部リザーバから汲み上げられる。シース流体又は緩衝液並びにサンプル管からの流体サンプルは、流体接続部、例えば解放可能な締め具によって所定の場所に保持された可撓性ホース又は管を介して、分配ブロックを通ってマイクロ流体系モジュールに移動する。マイクロ流体系モジュールにおいて、流体サンプル及びシース流体又は緩衝液は、マイクロ流体系チップ、カートリッジ又はカセットを通って通過する、又はそこを通って流れる。
【0155】
流体サンプル中の粒子は、上記に記載された方法になどによって、粒子の1つ又は複数のサブグループ又はサブセットを識別する目的で、粒子の1つ又は複数の品質又は特性を決定するために、フロー・サイトメトリ・デバイスによって分析される。処理後、シース流体又は緩衝液及び流体サンプルがサンプル採集管に集められ、サンプル採集管内のサンプル採集媒体内に集められてよい。汚染、不適切な識別、機器の較正不良、或いは理想的ではない選別状況を生み出す他のシステム又はサンプル問題などの望ましくない特性又は状況が確認された場合、このとき、流体サンプル或いはシース流体又は緩衝液の一部若しくはその全てが、サンプル採集管に集められる代わりに、廃棄物収集リザーバへと進路が変えられてよい。分配ブロックに搭載されたサンプル管内の全ての流体サンプルが処理された後、フロー・サイトメトリ・デバイスによるサンプルの処理は完了する。
【0156】
次に、ステップ306において、サンプル管は、サンプル通路モジュールから取り外され、サンプル通路モジュールは、フロー・サイトメトリ・システムから取り外される。サンプル通路モジュールは、磁気引力によって所定の場所に保持される場合、フロー・サイトメトリ・システムから単に引っ張るだけでよい、或いは一セットのラッチ又は締め具が取り外される、又は解放されて、サンプル通路モジュールをフロー・サイトメトリ・システムから切り離すことを可能にしてもよい。サンプル通路モジュールがフロー・サイトメトリ・システムから取り外された後、ばね荷重機構であり得るサンプル管ローダが分配ブロックから任意選択的に取り外されてもよい。このステップは、クリーニング・ステップにおいてマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムによって使用される洗浄液リザーバが、サンプル管ローダと適合可能である場合には必要でない場合もある。
【0157】
ステップ307において、ちょうど取り外されたものと同様の又は異なる構成の置換サンプル通路モジュールが、上記に記載した同様のやり方でフロー・サイトメトリ・システムに設置される、又は接続される。第1のサンプル通路モジュールによって処理された流体サンプルは、フロー・サイトメトリ・システム自体のいかなる部分にも接触せず、これにより、サンプル処理実行間又はサンプル通路モジュール間に相互汚染が全く生じないことを保証するため、交換可能なサンプル通路モジュールによるサンプルの処理の前のフロー・サイトメトリ・システムの追加のクリーニング又は衛生化は、全く必要とされない。フロー・サイトメトリ・システム上に設置した後、置換サンプル通路モジュールは、新たな流体サンプルを処理するためにすぐに使用されてよい。
【0158】
ステップ308において、フロー・サイトメトリ・システムから取り外された第1のサンプル通路モジュールは、クリーニング・ステーションに設置される、又は接続され、このクリーニング・ステーションは、一実施例では、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールである。サンプル通路モジュールのマイクロ流体デバイス・クリーニング・モジュール上の接続又は設置は、サンプル通路モジュールのフロー・サイトメトリ・システム上の設置と同様である。しかしながらサンプル管を分配ブロックに接続する代わりに、洗浄液リザーバが分配ブロックに接続される。適合可能である場合、洗浄液リザーバを固定するのにサンプル管ローダが使用されてもよく、そうでなければ、洗浄液リザーバは、一セットの締め具によって、又は磁気引力によって固定されてもよい。
【0159】
ステップ310において、サンプル通路モジュールを洗浄するためのクリーニング・プロトコルが選択される。半自動作動において、サンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュール内のマイクロ流体系チップ、カセット又はカートリッジのタイプを含めたサンプル通路モジュールの構成に基づいて、且つサンプル通路モジュールによって処理される流体サンプルタイプにさらに基づいて、オペレータによってクリーニング・プロトコルが選択される。クリーニング・プロトコルは、複数のクリーニング・プロトコルのうちの1つの選択を提供し、クリーニング・プロトコルの1つ又は複数のパラメータの構成を提供するユーザ・インターフェースを使用して選択される。例えば、一実施例において、クリーニング・プロトコルを選択するために、表示器及び一セットのユーザ・インターフェース要素(例えばスイッチ、ボタン、ジョイスティック、ノブなど)が使用される。別の実施例において、クリーニング・プロトコルを選択するために、タッチスクリーン表示器及び1つ又は複数のグラフィカル・ユーザ・インターフェース要素が使用される。別の実施例において、表示器及びインターフェイス要素は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースに提示されても、物理的制御装置として提示されても、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上にある、又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムと一体式である。別の実施例において、表示器及びインターフェイス要素を備える別個の制御コンピュータ又はシステムが提供される。一実施例において共通の制御システムが、フロー・サイトメトリ・デバイス及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに対して提供される。
【0160】
完全に自動の作動において、サンプル通路モジュールのためのクリーニング・プロトコルは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムによって自動的に決定される。
サンプル通路モジュール上の識別子は、サンプル通路モジュールのタイプを識別するのに使用され、サンプル通路モジュールによって最後に処理された流体サンプルのタイプを識別するのにさらに使用されてよい。一実施例において、光学的に可読な識別子がサンプル通路モジュール上で使用される。光学的に可読な識別子は、バーコード、クイックレスポンス(「QR」)コード、又は個々のサンプル通路モジュールを識別することが可能な他の光学的に可読なコード若しくは識別子であってよい。別の実施例において、電波識別子がサンプル通路モジュール上で使用される。電波識別子は、無線周波数識別子(「RFID」)タグ若しくはチップ、近接場通信(「NFC」)タグ若しくはチップ、ブルートゥース(登録商標)無線ベースデバイス、又は個々のサンプル通路モジュールを識別することが可能な他の電波識別子であってよい。
【0161】
サンプル通路モジュールと共に使用されるいずれのタイプの識別子についても、サンプル通路モジュールのタイプは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上で局所的に決定されてよい、又はサンプル通路モジュールから読み取られた識別子は、処理又は検索のために中央システム又はサーバに伝送又は送信されてもよい。例えば、サンプル通路モジュールから読み取られた識別子は、特有のサンプル通路モジュールを識別するために、既知のサンプル通路モジュールのデータベース又はテーブルと比較されてよい。一セットの特性が、サンプル通路モジュールと関連付けられた少なくとも1つのデータベースエントリ、フィールド又はレコードから読み取られてよく、この場合、データベースエントリ、フィールド又はレコードのうちの1つは、1つのクリーニング・プロトコル、又は一セットのクリーニング・プロトコル構成情報を含む。
【0162】
「クリーニング・プロトコル」は、サンプル通路モジュールに対してマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムのクリーニング作業を規定する一セットのパラメータを含む。「クリーニング・プロトコル」は、使用される洗浄液のタイプ(例えば、PARVOSOL、第四アンモニウム洗浄溶液、殺生剤(すなわち抗ウイルス性、抗菌性、抗真菌性)洗浄溶液、漂白剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム溶液)、アルコール(例えばイソプロピルアルコール)、使用される洗浄液の体積、使用されるすすぎ液のタイプ(例えば脱イオン水、分子生物学グレードの水、生物学的に中性の溶剤)、クリーニングの持続時間(例えば、0~5分、少なくとも5分、5分、5~10分、少なくとも10分、10分、10~15分、少なくとも15分、15分、15~20分、少なくとも20分、20分、20~25分、少なくとも25分、25分、25~30分、少なくとも30分、30分)、サンプル通路モジュール内のサンプル経路の容積、洗浄すべきサンプル通路容積の数(「掃除される経路」)、使用される圧力(例えば、5PSI、10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、少なくとも20PSI、少なくとも30PSI、少なくとも40PSI、少なくとも50PSI)、クリーニング・サイクルの数(例えば、少なくとも1回、1回、1回以上、連続して)、使用される温度(例えば少なくとも20°C、少なくとも30°C、少なくとも40°C、少なくとも50°C、少なくとも60°C、少なくとも70°C、少なくとも80°C、少なくとも90°C、少なくとも100°C)、目詰まり検出手順、警告手順、乾燥手順(例えば指定された時間量の間、加圧ガスで流体通路全体を乾燥させる、検出された水分含有量が指定されたレベルを下回るまで下がるまで流体通路全体を乾燥させる)、一セットのメンテナンス手順又はロギング手順(例えば、各クリーニング・サイクル又は動作について全てのクリーニング・プロトコル・パラメータ及びセンサ・データをログする)を含んでよい。
【0163】
追加で、「クリーニング・プロトコル」は、消毒手順又は作業、衛生化手順又は作業、或いはクリーニング手順又は作業のうちの1つ又は複数を含んでよい。クリーニング手順は、「微生物」、バクテリア、菌類又はウイルスの量の削減を伴う、又は伴わない、汚染物質又はゴミの物理的除去を含んでよい。衛生化手順は、汚染物質又はゴミの物理的除去を伴う、又は伴わない、「微生物」、バクテリア、菌類又はウイルスの量の削減を含んでよい。消毒手順又は衛生化手順は、汚染物質又はゴミの物理的除去を伴う、又は伴わない、全ての「微生物」、バクテリア、菌類又はウイルスを完全に殺傷する。クリーニング・プロトコルは、クリーニング手順又は作業、衛生化手順又は作業、或いは消毒手順又は作業のうちの1つ又は複数を達成するための特有のパラメータ又は構成を含んでよい。クリーニング・プロトコルに関して上記に記載したパラメータのセットは、流体による消毒又は衛生化に加えて、且つクリーニングに加えて消毒又は衛生化を達成するために、サンプル通路モジュールの1つ又は複数の部分の照射(例えば紫外線による)、或いはサンプル通路モジュールの1つ又は複数の部分の温度の上昇をさらに含んでよい。
【0164】
例えば、一実施例においてクリーニング・プロトコルは、洗浄液(例えばPARVOSOL)、クリーニングの持続時間(例えば10分)、行われるべき掃除される経路の数(例えば20個)、温度(例えば24℃)、圧力(例えば138kPa)、警告手順(例えば、クリーニングの停止及び音声警報、目詰まり検出手順(例えば規定された限界値までの流体圧力の増加)、すすぎ液又はフラッシング液(例えば脱イオン水又は微生物学グレードの水)、及び乾燥手順(例えば規定された期間の間サンプル通路モジュールを通るように加圧空気を流す)を特定することを含んでよい。当業者は、これらは例示のクリーニング・プロトコル・パラメータであり、他の構成可能なクリーニング・プロトコル・パラメータが、本開示の範囲内で考慮されることを理解するであろう。
【0165】
使用されるクリーニング・プロトコルを決定することは、洗浄されているサンプル通路モジュールを識別することに基づいてよい。一実施例において、サンプル通路モジュールは、マイクロ流体系チップ上の1つ又は複数の識別要素に基づいて識別される。例えば、識別要素は、画像センサからの信号又は画像を処理することによって視覚的に識別されるマイクロ流体系チップ上の特徴又は基準であってよい。一実施例において、サンプル通路モジュールは、サンプル通路モジュール上の1つ又は複数の識別要素に基づいて識別される。例えば、サンプル通路モジュールを識別するために、サンプル通路モジュールの外側表面上の光学的又は無線識別子がスキャン・デバイスによってスキャンされる。任意の実施例では、サンプル通路モジュールの識別に基づいて、1つのクリーニング・プロトコル又は一セットのクリーニング・プロトコル・パラメータがシステムによって自動的に特定されてもよい。或いは、又は自動識別に加えて、サンプル通路モジュールに対応付けられた一セットの情報がグラフィカル・ユーザ・インターフェース内でユーザに提示されてもよい。一実施例において、ユーザは、グラフィカル・ユーザ・インターフェース内に提示された情報に一部基づいて、一セットのクリーニング・プロトコルから選択してもよい。
【0166】
一実施例において、任意のデバイスの下流のいかなる流れ抵抗も識別するために、目詰まり検出のためアルゴリズムが、流体通路内のフロー・センサからの信号データを監視する。例えば、予測される流量より低いことを示す信号を送信している構成要素の下流のフロー・センサは、フロー・センサの上流の構成要素において、目詰まり、閉塞又は他の障害物を示していると解釈されてよい。システムは、予測される流量より低いことを示している特有のフロー・センサに基づいて応答する。一実施例において、マイクロ流体系チップを備えるマイクロ流体系モジュールの下流にあるフロー・センサは、低流量を示す信号を送信する。システムは、下流フロー・センサから送信された信号に基づいて、低流量の発生源はマイクロ流体系チップであるようだと特定する。一実施例において、目詰まりがマイクロ流体系チップ内に存在するとの決定に基づいて、目詰まりをなくすように試みるために流量又は圧力が増大される。別の実施例において、ユーザが目詰まりをなくすための適切な行動を採ることができるように、視覚的、聴覚的、又は視聴覚的警報、警告又は通知が、ユーザに提供される。別の実施例において、目詰まりした構成要素を取り外す、又は手作業で洗浄することを可能にするために運転が中止される。別の実施例において、フロー・センサの使用に追加して、又はその代替で、マイクロ流体系チップなどの透明な構成要素内などにおいて目詰まりを視覚的に識別するために画像センサが使用されてもよい。別の実施例において、目詰まり又は閉塞が検出されると、二次運転モードが開始される。別の実施例において、目詰まり又は閉塞が検出されると、手動オーバーライドモードが開始される。
【0167】
ステップ312において、クリーニング・プロトコルが決定され選択された後、クリーニング・プロトコルがマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムによって使用されて、クリーニング・プロトコルのパラメータに従ってサンプル通路モジュールに対してクリーニング作業を行う。
【0168】
いくつかの実施例において、代替のクリーニング・プロトコルが、特有の用途又は管轄範囲において使用されるサンプルに対して使用されてもよい。例えば、ある管轄範囲において製造されるべき、使用されるべき、若しくは販売されるべきサンプルに対して、又はより高度のクリーニング又は安全標準を要求する用途に対して、その用途又は管轄範囲に固有のフロー・サイトメトリ・デバイス、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム又はサンプル通路モジュールなどのシステム要素が使用されてもよい。管轄範囲又は用途固有のシステム構成要素は、任意の他の管轄範囲又は用途に使用される任意の他の構成要素の処理若しくはクリーニングにおいて、又はそのクリーニングのために使用されることはない。一実施例において、管轄範囲又は用途固有のシステムは、特有の管轄範囲又は用途のために流体サンプルを処理するために使用される1つ又は複数のフロー・サイトメトリ・デバイス、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム及びサンプル通路モジュールを備えてよい。一実施例において、管轄範囲は、地理学的、経済学的、又は政治的に編成された領域であってよい。一実施例において用途は、固有の供給源からの特有の流体サンプルを処理するためであってよい。一実施例において、用途は、特有の管轄範囲と対応付けられた哺乳類動物からの精液サンプルを処理するためであってもよい。
【0169】
クリーニング・プロトコルが完了した後、ステップ314において、サンプル通路モジュールは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムから取り外され、ステップ316において衛生化された安全な収納場所に配置される、又はステップ307において同じ、又は別のフロー・サイトメトリ・システム上に設置されるかのいずれかである。
【0170】
図11A~
図11Bを次に参照すると、フロー・サイトメトリ・システム10において取外し可能且つ置換可能なサンプル通路100を使用し、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20を使用して取外し可能且つ置換可能なサンプル通路100を洗浄するためのシステム及び方法の一実施例を例示するブロック
図400と、フロー・サイトメトリ・システム又はデバイス10において取外し可能且つ置換可能なサンプル通路502を使用し、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20を使用して取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール502を洗浄するためのシステム及び方法の一実施例を例示するブロック
図500がそれぞれ提供される。
【0171】
図11Aにおいて、サンプル通路モジュール100がフロー・サイトメトリ・システム10上に位置決めされて、又は設置されて示される。サンプル通路モジュール100は、フローチャート300に記載されるように、且つ制御システム402によって制御されるように設置され作動されてよい。一実施例において、制御システム402及び404は共通のシステムである、又は情報蓄積、管理及び処理を行う中央サーバ若しくはデータセンタに接続されたリモート若しくは「シン」クライアントである。サンプル管12は、流体サンプルをフロー・サイトメトリ・システム10によって処理するためにサンプル通路モジュール100に提供する。フロー・サイトメトリ・システム10によるサンプル管12内の流体サンプルの処理後、サンプル通路モジュール100は、フロー・サイトメトリ・システム10から取り外されてよい。サンプル通路モジュール100はその後、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20上に位置決めされる、接続される、又は設置されてよい。洗浄液リザーバ38が、サンプル通路モジュール100の分配ブロックに接続される。洗浄液リザーバ38は、サンプル通路モジュール100の単一のクリーニング作業のために必要な少量の洗浄液を保持し、1つ又は複数のより大きな内部又は外部流体リザーバから満たされる。
【0172】
図11Bにおいて、サンプル通路モジュール502がフロー・サイトメトリ・システム10上に位置決めされて、又は設置されて示される。サンプル通路モジュール502は、フローチャート300に記載されるように、且つ制御システム402によって制御されるように設置され作動されてよい。サンプル通路モジュール502は、サンプル通路モジュール502は、マイクロ流体系モジュール及び分配ブロック又はマニホールドを単一要素に合体させるという点において、
図11Aに示されるサンプル通路モジュール100とは異なる。サンプル通路モジュール100は、1つ又は複数の流体接続部によって接合された別個のマイクロ流体系モジュール150と、分配ブロック110とを備えているが、これらの構成要素は共に、サンプル通路モジュール502内では単一の要素に合体される。サンプル通路モジュール502のこの構成は、サンプル通路モジュール502のより簡素な設計及び動作を実現し、この場合、フロー・サイトメトリ・システム10の構成は、合体したマイクロ流体系モジュール及び分配ブロックが使用されることを可能にする。サンプル管12は、フロー・サイトメトリ・システム10によって処理されるためにサンプル通路モジュール502に流体サンプルを提供する。フロー・サイトメトリ・システム10によるサンプル管12内の流体サンプルの処理後、サンプル通路モジュール502は、フロー・サイトメトリ・システム10から取り外されてよい。サンプル通路モジュール502はその後、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20上に位置決めされる、接続される、又は設置されてよい。洗浄液リザーバ38が、サンプル通路モジュール502の分配ブロックに接続される。洗浄液リザーバ38は、サンプル通路モジュール502の単一のクリーニング作業のために必要な少量の洗浄液を保持し、1つ又は複数のより大きな内部又は外部流体リザーバから満たされる。
【0173】
図12を次に参照すると、外部流体リザーバを備えたマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の一実施例を例示するブロック図が提供される。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600は、一セットの流体リザーバ(流体リザーバ1 610a、流体リザーバ2 610b、及び流体リザーバn 610n)及び廃棄物リザーバ650が解放可能且つ流体式に接続される一次筐体又は本体602を備える。流体リザーバ610a~610nは、PARVOSOL、7X、脱イオン水、微生物学グレードの水、イソプロピルアルコール、エタノール、或いは他の好適な洗浄、湿潤又はすすぎ溶液若しくは溶剤を含んでよい、1つ又は複数の洗浄液若しくは他の流体を保持する。
【0174】
コンピューティング又は制御システム690は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の1つ又は複数の要素と電子通信しており、市販のマイクロプロセッサ、FPGA又は他の好適なプロセッサ(例えばRISC、ARM、x86、x64など)であり得るプロセッサ692と、メモリ693と、ネットワーキング・インターフェイス又はトランシーバ694と、入/出力(「I/O」)インターフェイス695とを備える。表示器691は、コンピューティング・システム690と一体式である、又はそれと電気通信していてよく、任意のユーザ・インターフェース、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、警告、システム情報或いはシステムによって要求される、又はユーザによって要望される他の出力を含めた、コンピューティング・システム690からの出力を表示する。コンピューティング又は制御システム690は、メモリ693内に、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の動作を制御又は管理する一セットのクリーニング・プロトコル又は手順を記憶する。プロトコルは、上記に記載されるパラメータ又は機構を含んでよいが、ユーザ入力に基づいて、或いはマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600のフロー・センサ、近接センサ又は画像センサからのセンサ信号に基づいて修正又は調節されてもよい。追加で、クリーニング・プロトコルは、目詰まり又は低い流体流れが検出された場合など障害検出及び応答を制御するためのアルゴリズム又はプロセスを含んでよい。障害の応答は、流体流れ又は圧力の一時的な増大、動作の中止、又は聴覚、視覚又は視聴覚警報の提供などを含んでよい。
【0175】
流体リザーバ610a~610nは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の本体602のポート又は開口に解放可能に接続される。一セットの弁612a、612bから612nまでは、それぞれのリザーバからの流体流れを制御し、コンピューティング・システム690から受け取った制御信号に基づいて作動される。一セットのフロー・センサ614a、614bから614nまでは、それぞれの流体リザーバからマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600への流れの体積又は流量に関連してコンピューティング・システム690に信号を提供する。ポンプ組立体620は、液体ポンプ及び空気ポンプを含めた単一のポンプ又は複数のポンプであってよく、そのうちの1つ又は複数は、蠕動ポンプであってよく、リザーバ610a~610nから分配インターフェイス630に流体を汲み上げる。ポンプ組立体620によって汲み上げられた流体は、加圧空気を含む加圧ガスを含んでよい。ポンプ組立体620は、1つ又は複数の流体通路を通して流体を汲み上げ、ポンプ組立体は、別個の制御弁621及び622と、フロー・センサ623、624及び625を有してよい。弁621及び622は、流体流れ制御を実現し、弁621などにおいて、1つ又は複数の流体流れ通路間から流体流れの進路を変えるために使用されてよい。
【0176】
一実施例において、分配インターフェイス630は、サンプル通路モジュールの分配ブロック又は分配マニホールドを留めるための一セットの磁石632を備える。ラッチ、ロックラグ又は締め具などの他の固定デバイスが使用されてもよい。近接センサ634は、分配ブロックが、分配インターフェイス630に対して適切に位置合せされる、位置決めされる、又は固定されることを示す信号をコンピューティング・システム690に提供するように構成された光学、超音波、又は磁気近接センサであってよい。分配インターフェイス630のポンプ側からの一セットの流体入口が、一セットの流体出口631に通じている。流体出口631は、圧縮ガス又は洗浄液などの流体が、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600から分配ブロック内に通過することを可能にする。流体は、サンプル通路モジュールの分配ブロックを通って、クリーニング処置によって制御されるようにクリーニング・プロセス中に、サンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュール内のマイクロ流体系チップ、カセット又はカートリッジまで通過する、又はその中を通って処理される。
【0177】
一実施例において、チップ・インターフェイス640は、サンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュールを留めるための一セットの磁石642を備える。ラッチ、ロックラグ又は締め具などの他の固定デバイスが使用されてもよい。近接センサ644は、マイクロ流体系モジュールが、チップ・インターフェイス640に対して適切に位置合せされる、位置決めされる、又は固定されることを示す信号をコンピューティング・システム690に提供するように構成された光学、超音波、又は磁気近接センサであってよい。画像センサ646は、電荷結合素子(「CCD」)センサ又はアクティブ・ピクセル・センサ、例えば相補形金属酸化物半導体(「CMOS」)センサであってよく、コンピューティング・システム690によって処理され得る画像情報を捕らえて、目詰まりがマイクロ流体系モジュール内のマイクロ流体系チップ、カセット又はカートリッジ内に存在するかどうか判定する。より簡素なセンサ、フォトレジスタ又はフォトダイオードなどもまた、目詰まりが存在するかどうか判定するのに使用されてよい。いずれのセンサタイプについても画像センサ646は、流体通路内の目詰まりを示す画像データをコンピューティング・システム690に提供する。そのような画像データは、低下した光レベル、増大したブラック・レベル、オン信号、又はオフ信号を含んでよく、これらは、何らかの物体又はゴミが流体流れ経路を塞いでいることを示す可能性がある。コンピューティング・システム690は、この入力データを処理して障害プロセス又は目詰まり除去プロセスを開始してよい。画像センサ646はまた、特徴、基準マーカー、参照画像又は参照マーキングなどの、マイクロ流体系チップ上の識別マーキングの画像を捕らえるのに使用されてもよく、これらは、コンピューティング・システム690によって処理されて、特有のマイクロ流体系チップを識別し、光学又はセンサ構成要素についての較正情報又は調整情報を提供してもよい。マイクロ流体系チップを光学的に識別することは、マイクロ流体系チップ又はサンプル通路モジュールのためのクリーニング・プロトコル又は一セットのクリーニング・パラメータを自動的に決定するのに使用されてよい。
【0178】
弁652及びフロー・センサ654は、ガス、洗浄溶液、及びすすぎ溶液又は他の溶液を含めた流体の流れがマイクロ流体系チップ、カセット又はカートリッジを出て、廃棄物リザーバ650へと流れるときに、それらをそれぞれ制御及び監視するのに使用されてよい。一実施例において、マイクロ流体系チップをさらに滅菌し洗浄するために、UV発光ダイオード(「LED」)であり得る、紫外線(「UV」)発光滅菌デバイス648が流体ベースのクリーニング及び滅菌と組み合わせて使用される。
【0179】
弁のセット、画像センサ及び近接センサは、コンピューティング・システム690によって処理される信号出力を提供して、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の1つ又は複数の状態又は状況を判定し、判定した、又は検出した状態を、理想の、又は所望のシステム状態と比較する。例えば、フロー・センサを使用して、1つ又は複数のリザーバから流れた流体の量を判定してよく、これをその後使用して、リザーバ内に残っている流体の量を判定し、リザーバの流体が低く、置換を必要としていることをオペレータに信号で伝えてもよい。フロー・センサはまた、メンテナンス寿命又はサイクルの終わりに、ポンプ又は管を置換するなど、その構成要素についてのメンテナンス・イベントを判定するのに使用されるべき特定の構成要素、管又は配管行程を通って流れた流体の量を判定するのに使用されてもよい。例えば、蠕動ポンプは、所定の寿命を有してよく、運転寿命の終わりに置換される必要がある。ポンプの前又は後の流体流れを測定することによって、ポンプをいつ置換しなければならないかについて正確な判定を行うことができる。
【0180】
構成要素又はデバイスを置換する必要があるときについての指示を提供するために、測定された値が、メンテナンス期間又は有効寿命などの記憶された値と比較され得る任意のシステム構成要素に対して、同様の測定値及びフィードバックが提供されてよい。別の実例では、画像センサが単独で、或いは1つ又は複数のフロー・センサと組み合わせて使用されて、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の構成要素が目詰まりしたときにそのことを検出又は決定してもよい。測定されたシステム条件によって判定される目詰まりのタイプに基づいて、信号がオペレータに送信されてよい、或いは中止動作又は目詰まりを破壊するために流れ速度又は圧力を増大させるなど、障害状況動作がトリガされてもよい。フロー・センサを含めたセンサはまた、サンプル通路モジュールの掃除される体積(例えば掃除される経路の数)を追跡して、サンプル通路モジュールが、クリーニング動作を終了するためにサンプル通路モジュールが十分に清潔であるときを正確に判定するのに使用されてもよい。
【0181】
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内の弁を使用して、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600内の流体の流れを制御し、例えば、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600の特定の構成要素への流体の流れの進路を変える又は中止する、或いは特定の構成要素からの流体の流れの進路を変える、又は中止するのに使用されてよい。弁は、コンピューティング・システム690からの制御信号によって作動されるソレノイド弁、アクチュエータ制御弁、又は空気圧式又は油圧式制御弁であってよい。
【0182】
図13は、内部流体リザーバ及び制御システムを備えたマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム700の一実施例を例示するブロック図を提供する。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム700は、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600と実質的に同様であるが、コンピューティング・システム690、表示器691、廃棄物リザーバ650及び流体リザーバ610a、610bから610nを含めた全てのシステム要素が本体又は筐体702内に配置される点が異なる。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム600及び700の両方において、リザーバの数及び場所、並びにコンピューティング・システム690の構成は、特定の実装形態又は処理の要望に基づいて修正(例えば、含まれる、又は省略される、或いは内部又は外部にある)されてよい。例えば、一実施例において、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、洗浄液と廃棄物流体の両方に使用される単一の外部流体リザーバ660を備えてもよく、この中で、流体は濾過される、又は再利用される。別の実施例において、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、内部の廃棄物リザーバと、1つの外部流体リザーバとを備えてもよい。別の実施例において、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、2つの内部流体リザーバと、1つの外部廃棄物リザーバとを備えてもよい。実施例のいずれにおいても、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムは、内部ガス圧縮機又はポンプ、或いは外部加圧ガス供給源への接続部を備えてよい。
【0183】
図14を次に参照すると、マイクロ流体系モジュール850及び分配ブロック810を備えた取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール800の一実施例を例示するブロック図が提供される。サンプル通路モジュール800は、分配ブロック810からマイクロ流体系モジュール850まで連続するサンプル流体通路830及びシース流体通路832を備える。サンプル通路モジュール800は、フロー・サイトメトリ・デバイスと共に使用されてよい、又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムと共に使用されてもよい。
図14における実施例に表されるように、サンプル通路モジュール800は、フロー・サイトメトリ・デバイス又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムのいずれかに共通である構成であると理解すべきである。
【0184】
分配ブロック810は、サンプル通路要素814、ガス経路要素815、シース流体又は緩衝液経路要素817及び接続経路要素816を備える本体又はマニホールド811を備える。ばね荷重サンプル管ローダ813は、分配ブロック本体811の底部表面などの表面に当接して流体リザーバ822を留め、密封する。或いは、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの場合など、サンプル管ローダ813は、取り外されてもよく、流体リザーバ822は、他の好適な手段によって分配ブロック810に対して適位置に保持されてもよい。一実施例において、流体リザーバ822は、対応するねじ又はラグと、一セットの磁石とによって分配ブロック810に当接して留められる、洗浄液リザーバである。一実施例において、流体リザーバ822は、サンプル管ローダ813内で十分に保持され、留められるサンプル流体リザーバであり、サンプル管ローダ813は、一セットの磁石によって分配ブロック110に対して解放可能に固定される。別の実施例において、サンプル管ローダ813は、サンプル管などの流体リザーバ822に圧力を加えるためのばね、又はばね付勢手段をさらに備えることで、サンプル・ストロー812に当接するシールが、流体リザーバ822内に延び、中に含まれる流体824まで延びることを保証する。フロー・サイトメトリ・システムにおいて、生体流体サンプルを処理する際、流体824は、精液サンプルであってよく、流体リザーバ822は、サンプル管であってよい。マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムにおいて、流体リザーバ822内の流体824は、洗浄液、溶液又は溶剤、或いは脱イオン水又は微生物学グレードの水などの水であってもよい。
【0185】
加圧ガスなどの加圧流体が、ポート又は開口820を通ってサンプル管に進入する。加圧ガスからの圧力は、流体824をサンプル・ストロー812を通り、サンプル通路要素814の中に推し進められるか又は流れる。シース流体又は緩衝液、或いはフラッシング液又はすすぎ液若しくは溶剤が、シース流体又は緩衝液経路要素817を通って流される、又はそこを通ってポンプで汲み上げられる。加圧ガスはまた、フラッシング又は乾燥するなどのために、加圧ガスをシース流体通路832内に提供するために、例えば内部弁又は外部弁などによって、ガス経路815から接続経路要素816を通ってシース流体又は緩衝液経路要素816まで進路が変えられてもよい。同様に、加圧ガスは、サンプル流体経路830を洗浄する又は乾燥させるために、サンプル通路要素814を通るように進ませる場合もある。ホース、管又はパイプ831及び833は、取付具セット819及び852と、818及び853とによって、所定の場所に解放可能に保持され、分配ブロック810及びマイクロ流体系モジュール850を流体接続部内に接合し、サンプル流体通路830及びシース流体又は緩衝液通路832それぞれの部分を形成する。
【0186】
マイクロ流体系モジュール850は、マイクロ流体系チップ(マイクロ流体系カセット又はカートリッジであってもよい)880が中に位置決めされ、マイクロ流体系デバイス・ホルダ856によって保持される本体851を備える。デバイス・ホルダ856は、マイクロ流体系チップ880を本体851の中に固定し、位置決めするのに使用される。デバイス・ホルダ856は、マイクロ流体系チップ880をフロー・サイトメトリ・デバイス内の検出光学システム又はレーザ・キル光学システムと、或いはマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内の画像センサと位置合せするために、例えばつまみねじ、ねじ込みロッド又は他の好適な位置決め手段によって、マイクロ流体系チップ880の相対位置及び角度を調節するのに使用される。別の実施例において、マイクロ流体系チップ880の位置は、ピンによって、又はマイクロ流体系モジュール850の対応する幾何学形状によってマイクロ流体系モジュール850内に固定され、キル・レーザ、検出レーザ又は他の光学デバイスの位置は、フロー・サイトメータ内又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内でマイクロ流体系チップ880に対してX、Y又はZ方向に調節される。
【0187】
例示の実施例において、マイクロ流体系チップ880は、本体881と、一セットの内部流体系チャネルとを備える。マイクロ流体系モジュール本体851におけるチャネル855は、シース流体、洗浄液又は加圧ガスをシース入力882内に誘導し、シース・チャネル883を通って、共通のチャネル886内に、検出領域887を通って、廃棄物流体892として廃棄物リザーバ890内に集められるために1つ又は複数の出口888及び889を通って外に出るように誘導する。マイクロ流体系モジュール本体851におけるチャネル854は、サンプル流体、洗浄液又は加圧ガスをサンプル入力884内に誘導し、サンプルチャネル885を通って、共通のチャネル886内に、検出領域887を通って、廃棄物流体892として廃棄物リザーバ890内に集められるために1つ又は複数の出口888及び889を通って外に出るように誘導する。
【0188】
サンプル通路モジュール800は、フロー・サイトメトリ・デバイスから取り外され、完全に自動化されたクリーニング・プロセスのためにマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム上に配置され得る完全にモジュール式のデバイスである。サンプル通路モジュール800の構成要素、例えば、分配ブロック810及びマイクロ流体系モジュール850などは、クリーニング又はメンテナンス目的で別々に取り外され、分離され、置換されてよい。サンプル通路モジュール800のサンプル流体通路830は、サンプル通路モジュール800がフロー・サイトメトリ・デバイスと共に使用されるとき、サンプル流体のための全体のサンプル流体通路を備える。フロー・サイトメトリ・デバイス内でサンプル通路モジュール800によって処理されるサンプル流体は、サンプルが、サンプル採集管内に採集されるとき、又は廃棄物収集コンテナに進路が変えられるとき以外は、フロー・サイトメトリ・デバイスのいかなる部分にも接触することはない。これは、例えば、精液サンプルの供給源の変更などのために、サンプル・ラン間にサンプル通路モジュール800を簡単に且つ迅速に置換することを実現する。置換可能で、取外し可能で、再利用可能で、モジュール式のサンプル通路モジュール800の性質は、商業的フロー・サイトメトリ機器のダウンタイムを短縮する、又はなくし、使い捨て、又は一回使用のマイクロ流体系デバイスの使用によって生じる可能性がある廃棄物をさらに減らす。
【0189】
図16Aを次に参照すると、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュールのマイクロ流体系モジュール950の一実施例の側面図を例示するブロック図が提供される。マイクロ流体系チップ880は、描かれるように内部のサンプル流体及び緩衝液又はシース流体流れチャネルを備えるマイクロ流体系チップであってよい、或いは、当業者に明白である、サンプル及び緩衝液又はシース流体流れチャネルの任意の構成を有してもよく、マイクロ流体系モジュール950の本体951のチップ固定装置955内に配置される。サンプル・ラインは、接続部952に接続され、内部通路954を通ってマイクロ流体系チップ880に供給され、シース流体ライン又は緩衝液ラインは、接続部953に接続され、内部通路955を通ってマイクロ流体系チップ880に供給される。接続部952及び953は、上記に記載したように解放可能な接続部であってよく、マイクロ流体系チップ880の特性及び機能は、上記に記載されるようなものであってよく、当業者に知られる修正を受けてもよい。
【0190】
本発明のシステム及び方法に従って使用され得るマイクロ流体系チップの追加の詳細及び実施例は、以下の共同で所有される特許及び特許出願、すなわちUS8961904、US9588100、US10488320、US10928298、US10532357、US16/279430、US16/419756、US16/597235、US16/704175及びUS16/741608に見いだすことができ、その内容及び仕様は参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
マイクロ流体系チップ880は、チップ固定装置955の面上のプレート及び締め具959によって、一セットの留めピン960によって、一セットの対応する幾何学形状機構961によって、又はこれらの要素の任意の組合せによってチップ固定装置955内に留められる。マイクロ流体系モジュール950の前部、前面又は前方プレート要素956は、チップ固定装置955に概ね直交している。前部956は、マイクロ流体系モジュール950をフロー・サイトメータ又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに対して解放可能に固定するのに使用される1つ又は複数の磁石956を備える。
【0192】
図17を次に参照すると、フロー・サイトメトリ・デバイス1010、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020、サンプル通路モジュール1100、ローカル制御システム1400及びリモートサーバ1500を備えるモジュール式フロー・サイトメトリ・システム1000の実施例を例示するブロック図が提供される。システム1000において、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール1100が、フロー・サイトメトリ・デバイス1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020と共に使用される。一実施例において、フロー・サイトメトリ・デバイス1010は、分配ブロック・インターフェイス1018、マイクロ流体系モジュール・インターフェイス1016、サンプル管ホルダ内に留められた一セットの未処理のサンプル管1012及び自動処理されたサンプルの混合ステーション1014を備える。一実施例において、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020は、分配ブロック・インターフェイス1630、マイクロ流体系デバイス・インターフェイス1640及び洗浄液リザーバ1038を備える。洗浄液は、1つ又は複数の内部又は外部流体槽からリザーバ1038へと供給されてよく、廃棄物洗浄液は、内部又は外部収納のために、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020に戻されてよい。
【0193】
マイクロ流体系モジュール・インターフェイス1016及びマイクロ流体系デバイス・インターフェイス1640は、サンプル通路モジュール1100のマイクロ流体系モジュール内のマイクロ流体系チップに対して光学撮像デバイス(例えば、カメラ、顕微鏡用撮像デバイス)、検出器(例えば、光電子増倍管、アバランシェ・フォトダイオード)又は照射デバイス(例えば、キル・レーザ又は検出レーザ)を位置決めするための調節可能要素を各々備える。調節可能要素の位置及び角度は、手動で(例えば一セットのねじなどによって)、又はフロー・サイトメトリ・システム1010若しくはマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の要素(例えばアクチュエータ、ステッパ・モータ)によって調節されてよい。これは、フロー・サイトメトリ・デバイス1010又はマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の任意の光学又は検出要素を、サンプル通路モジュール1100内のマイクロ流体系チップの一部(例えば作用領域、検出領域又は較正マーキング)に対して正確に位置決めすることを実現する。
調節可能要素は、X、Y若しくはZ方向に、又はそれらの方向の任意の組合せで移動されてよい、或いは、調節可能要素を適切に位置合せするために、マイクロ流体系チップに対して傾けられてもよい。
【0194】
サンプル通路モジュール1100は、一セットの磁石などによって、保持又は収納ステーション1700に保持及び留められ、このステーションはフロー・サイトメトリ・デバイス1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の一方又はその両方に物理的に隣接している。流体サンプルを処理するのに使用するためにフロー・サイトメトリ・デバイス1010に接続される、又は設置される前に、光学又は無線識別タグ(例えばバーコード・スキャナ又はRFIDリーダ)を読み取る又はスキャンすることが可能なデバイスであるスキャン・デバイス1720を使用して、サンプル通路モジュール1100上の識別要素1956を読み取る又はスキャンする。この情報は、ローカル制御システム1400に送信される。ローカル制御システム1400は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、シン・クライアント・コンピュータ又は他の好適なコンピュータなどの1つ又は複数のコンピューティング・デバイスであり、フロー・サイトメトリ・デバイス1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の外側にあってよく、フロー・サイトメトリ・デバイス1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の一方又はその両方と一体式であってよく、フロー・サイトメトリ・システム1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020によって共有されてよい、或いはフロー・サイトメトリ・システム1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020の各々のための別個のステーション又はターミナルを備えてもよい。
【0195】
ローカル制御システム1400は、サンプル通路モジュール1100からスキャン・デバイス1720によってスキャンされた識別情報を受信し処理する。グラフィカル・ユーザ・インターフェース1410は、サンプル通路モジュール1100がどのように使用され構成されているかについてユーザに知らせるために、構成、マイクロ流体系チップのタイプ、適切なフロー・サイトメトリ又はクリーニング・プロトコル若しくはパラメータ、メンテナンス情報或いは警告情報などのサンプル通路モジュール1100に対応付けられた情報を表示する。追加で、この情報は、サンプル通路モジュール1100の構成に基づいてフロー・サイトメトリ・プロトコル又はクリーニング・プロトコルを自動的に構成するためにそれぞれフロー・サイトメトリ・システム1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020によって使用されてもよい。追加で、又は代替として、スキャンを使用して、サンプル通路モジュール1100の場所又は状態を追跡し、同様の識別要素が、フロー・サイトメトリ・デバイス1010及びマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020上でスキャンされて、サンプル通路モジュール1100がいつどのように使用されたかを具体的に追跡し、サンプル通路モジュール1100が任意の所与の時間にどこにあるかを特定してもよい。
【0196】
ローカル制御システム1400によって使用される情報は、ローカルに記憶されてよい、或いは1つ又は複数のデータベースを備えるリモートサーバ1500に記憶されてもよい。リモートサーバ1500内に記憶されるデータベースは、特有のサンプル通路モジュール1100に関する情報を含み、これには、利用ログ、メンテナンス情報、構成情報、フロー・サイトメトリ・プロトコル及びクリーニング・プロトコルが含まれる。この情報は、ローカル制御システム1400に代替として記憶されてもよい。一実施例においてローカル制御システム1400又はリモートサーバ1500に記憶される情報は、複数のシステム間で、すなわち2つ以上のシステム間で共有されてよい。例えば一実施例において、1つのフロー・サイトメトリ・デバイス1010からの構成情報及び利用情報は、他のフロー・サイトメトリ・システムと共有されてもよく、1つのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム1020からの構成情報及び利用情報は、他のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムと共有されてもよく、サンプル通路モジュール1100に関する情報は、任意の接続されたデバイス又はシステム間で伝達され、共有されてもよい。
【0197】
ユーザ・インターフェース1410は、ユーザにGUI及び一セットのユーザ操作可能又は制御可能要素、例えばグラフィカル・ユーザ・インターフェース要素を提供して、システム1100の任意の態様に対応付けられたパラメータ又は情報の閲覧及び制御を実現する。例えば、一実施例において、特有のサンプル通路モジュール1100のため、及び精液サンプルなどの処理されている特有のサンプルのためにフロー・サイトメトリ・プロトコルを構成するために、ユーザに、ユーザ・インターフェース1410内の一セットのユーザ・インターフェース要素が提供される。別の実施例において、特有のサンプル通路モジュール1100のためのクリーニング・プロトコルを構成するために、ユーザに、ユーザ・インターフェース1410内の一セットのユーザ・インターフェース要素が提供される。ユーザ・インターフェース1410は、フロー・サイトメトリ・デバイス1010又はマイクロ流体系デバイスの現在の動作状況に関する警告又は情報を提供するようにさらに構成される。
【0198】
一実施例において、任意のフロー・サイトメトリ・システム(例えば、フロー・サイトメトリ・システム10)、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム(例えば、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20)及びサンプル通路モジュール(例えばサンプル通路モジュール100)並びに任意の流体通路、すなわち流体と物理的に接触する任意の構成要素は、化学的に不活性でなければならない。例えば、ケイ酸塩ガラス、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、ペルフルオロアルコキシアルカン(「PFA」)、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、又は他の好適な物質が、腐食性物質(例えば酸、酸化剤、塩基)或いはクリーニング・プロセス又は手順において使用され得る他の危険物質に曝される可能性のある構成要素内の損傷、腐食、又は他の望ましくない反応を阻止するのに使用されてよい。具体的には、任意の流体通路内の構成要素のための材料の選択は、クリーニング作業又はサンプル処理作業若しくはプロセスにおいて使用される何らかの化学物質と接触した状態でも安全に配置され得る材料を優先するべきであり、実質的に化学的に不活性である材料を使用するべきである。
【0199】
図18を次に参照すると、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム20、600、700又は1020などのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム内の流体流れの一実施例を例示するブロック
図2000が提供される。
図2000は、流体がマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに入る、その中を通る、及びそこから出る移動及び制御の一実施例を例示する。シース・ライン源2010、サンプル・ライン源2012及びガス源2014を含む一セットの流体源は、その各々が、内部又は外部供給源であってよく、それらは流体リザーバ(例えば、バッグ、容器、タンク)、圧縮ガス源又はタンクから提供されてよく、洗浄溶液、水などの溶剤、及び圧縮空気を含んでよく、流体システムのための入力のセットを備える。全体的に、3つの流体通路が設けられ、シース流体ライン又は経路2002、ガスライン又は経路2006及びサンプル・ライン又は経路2004である。シース流体ライン2002において、供給源2010のうちの1つからの流体の流れは、対応する弁2020によって制御されて、シース・ライン・マニホールド2030への流れを可能にする、又は制限する。サンプル流体ライン2004において、供給源2012のうちの1つからの流体の流れは、対応する弁2022によって制御されて、サンプル・ライン・マニホールド2032への流れを可能にする、又は制限する。1つ又は複数の流体入力、例えば特定の洗浄液又は溶液、水などの溶剤或いは他の流体は、シース流体ライン2002及びサンプル・ライン2004の両方に共有され、又は提供されてよい。共有される流体のための流体経路の制御は、弁2020又は2022のセット内の適切な対応する弁の動作によって達成される。ガスライン2006に関して、ガス又は空気入力2014からのガス圧は、加圧された外部又は内部ガス源であってよく、流体システム内の加圧ガスを許可する、又は調整するために、空気レギュレータ2040によって調整される。
【0200】
シースライ2002において、シース・ライン・ポンプ2050は、蠕動ポンプ又は他の好適なポンプであってよく、供給源2010からメイン流体系マニホールド2080に1つ又は複数の流体を引き込む、又は汲み上げる。シース・ライン・ポンプ2050によって汲み上げられるような流体の流れは、ポンプの下流のフロー・センサ2060によって測定され、弁2070によって制御される。サンプル・ライン2004において、サンプル・ライン・ポンプ2052は、蠕動ポンプ又は他の好適なポンプであってよく、供給源2010又は2012からメイン流体系マニホールド2080に1つ又は複数の流体を引き込む、又は汲み上げる。サンプル・ライン・ポンプ2052によって汲み上げられるような流体の流れは、フロー・センサ2060によって測定され、フロー・センサの下流の弁の動作によって制御されてよい。フロー・センサ2060は、流れラインを通って移動した流体の量又は流れラインを通る流体流れの速度を測定するのに使用され、流体流れラインにおける目詰まり又は障害物を示す可能性がある、所望の流体流速より低いことを検出又は識別するのに使用されてよい。空気入力2014からの圧縮ガスは、空気レギュレータ2040によって調整され、圧縮ガスの流れは、弁2072及び2074によって制御されて、ガスが流体系マニホールド2080内に、又はシース流体ライン2002に流れ込むのを可能にする。ガスは、サンプル・ライン2004又はシース流体ライン2002をきれいにするのに使用され、クリーニング作業後、流体ラインを乾燥させるのに使用される。
【0201】
ガスを含めた流体は、流体系マニホールド2080に流れ込み、チップ・マニホールド2090において戻る前に、サンプル通路モジュールを通って流れる。洗浄液及びすすぎ剤を含めた廃液は、廃棄物出力2100へと流れ、そこで受け取られ、この出力が、廃液を内部又は外部廃液リザーバ又はドレンラインへと誘導する。廃棄物弁2102は、サンプル・ライン2004、シース流体ライン2002又はガスライン2006からのいかなる流体も、サンプル通路モジュールを通過せずに、直接廃棄物出力2100に入るように進路を変えるのに使用される。流体の進路変更は、検出された目詰まり又は障害物に基づくものを含めたエラー又は障害状態の結果として、手動又は自動操作によって行われてよい。
【0202】
オン・チップ識別
【0203】
図16A及び
図16Bを次に参照すると、マイクロ流体系チップは、マイクロ流体系チップを自動焦点合せするためにオン・システムの物体の識別及び参照のための識別要素957を含んでよい。例えば、1つ又は複数の識別要素957が、チップの前部956に配置されてよい。識別要素957は、QRコード(登録商標)又はバーコードなどの視覚又は光学識別要素であってよい、或いは、RFID又はNFCタグなどの無線識別要素であってもよい、或いは、光学又は視覚要素と、無線識別要素の組合せであってもよい。
【0204】
各マイクロ流体系チップは、幾何学的に同じになることが意図されているが、製造中のばらつきによって、チップがわずかに異なる場合がある。識別要素は、機器性能に対するチップの比較を可能にすることができ、このことは、性能が劣るチップをなくし、高性能チップを識別するのに有益である。識別要素はまた、チップをクリーニングのために取り外す必要があるときをユーザに知らせるために、チップがどのくらいの間使用されているかを自動で追跡することも可能にする。
【0205】
いくつかの実施例において、識別要素957は、特有のマイクロ流体系モジュール950、及びモジュール950内に設置された、又は配置されたマイクロ流体系チップ880を識別するのに使用される。これは、相互汚染を回避する目的で、クリーニング、収納及び取り出しのために、並びに、識別要素957によって識別されるようなマイクロ流体系チップ880及びマイクロ流体系モジュール950のタイプ及び構成に基づいた、フロー・サイトメトリ又はクリーニング・パラメータ若しくはプロトコルの構成のための、要素の容易な識別を実現する。
【0206】
他の実施例において、識別要素はまた、マイクロ流体系チップをフロー・サイトメトリ・デバイス内に自動的に位置合せし、位置決めするのに使用することができる。これは、マイクロ流体系チップを手動で焦点を合わせ、位置合せする必要性をなくすことによってオペレータの時間を節約することができる。
図16Cに示されるように、一実施例において、識別要素を備えたマイクロ流体系チップは、3軸線ステージ上に設置され、これは、3本の軸の上を移動することができるステージである。カメラ及び明視野LED光などの光源は、マイクロ流体系チップを撮像し、チップを適切に位置合せするために3軸線ステージにフィードバックを提供するのに使用されてよい。カメラ及び光源は、所定の場所に固定され、代替のレベルの照明が必要とされる場合がある。識別要素の寸法は、カメラの視野内で完全に見ることができるように十分小さくすべきである。3軸線ステージは、カメラを焦点合せし直す、及び位置決めし直す代わりに、チップを、よってエッチング・パターンを移動させることによって、チップを焦点が合うように動かすように位置決めし直すことを可能にする。
【0207】
いくつかの実施例において、チップは、1つ又は複数の識別要素957を有する場合がある。例えば、多数の識別要素957が、正確な焦点合せ及び位置決めを達成するのに必要とされる場合がある。いくつかの実施例において、識別要素957は、各チップ内にレーザエッチングすることができる。識別要素は、画像分析を通して解読することができる任意のパターンであり得る。パターンには、これに限定するものではないが、文字数字のシーケンス、バーコード、QRコード(登録商標)などが含まれ、これらは適用可能で等価である。
【0208】
別の用途では、識別要素957は、どのチップが現在マイクロ流体系モジュール上に搭載されているかを示すのに使用されてもよい。エッチング・パターンは、情報を記憶することができるので、フロー・サイトメトリ・デバイスは、どのチップが機器上にあるかを示すのにチップ上のエッチング・パターンを読み取ることが可能であり得る。
【0209】
光学系モジュール及び電子系モジュール
【0210】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100などの本明細書に記載されるシステム、装置及び方法は、精液選別システム(例えばフロー・サイトメトリ・システム10)などの粒子処理システムと共に使用されてよい。一実施例において、精液選別システムは、サンプル粒子を含む流体流れを粒子問合せ場所を通るように誘導するように構成されたフロー・チャンバを備える、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを備えてよい。サンプル粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスに進入する前に染色された、又はそれ以外の方法で処理された精子などの細胞であってよい。フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスは、ビーム経路に沿って粒子問合せ場所まで電磁放射を放射するように構成されたレーザと、粒子からの放射を検出するように構成された検出器とをさらに備えてよい。検出の後に、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出て行く前に、又は出て行った後に、例えば電磁放射による切除によって選別される、又は不活性化されてよい。粒子の不活性化の効果を判定する、例えば個々の粒子が暴露された電磁放射の量又は分量を判定又は検出し、個々の粒子が、十分に不活性化されたか、又は十分に損傷されたかどうかを判定するのに追加の検出器が使用されてもよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液、例えばX染色体性判別精液であってよく、この場合、1つ又は複数の採集容器に採集される。
【0211】
取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100はまた、粒子がフロー・サイトメトリ装置内又はマイクロ流体系チップ内若しくはマイクロ流体系デバイス内で問合せ場所を通って流れるとき、流体流れに含まれる精子細胞などの粒子を分析するための方法で、又はそのような方法において使用されてもよい。そのような方法は、レーザから放射される電磁放射を使用して流体流れ及びその中に含まれる粒子を照らすことを含む。検出器は、粒子によって問合せ場所から放射される電磁放射を検出し、プロセッサが、検出器からの信号に一部基づいて流体流れにおける粒子の特性を決定する。検出の後、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出て行く前に、又は出て行った後、物理的選別及び除去プロセスなどによって、或いは電磁放射による切除又は光損傷による不活性化によって選別される、又は不活性化されてよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液であってよく、例えばX染色体又はY染色体を有する性判別された精液であってよく、その後1つ又は複数の採集容器に採集されてよい。
【0212】
取外し可能且つ置換可能なサンプル通路モジュール100はまた、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを使用して、精子細胞の核の中のDNAの総数を評価するための方法で、又はそのような方法において使用されてもよい。方法は、精子細胞の核の中のDNAを染色することと、その後、精子細胞が、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスの対応する領域内でレーザを通過するとき、精子細胞の核の中の染色されたDNAを、レーザなどの電磁放射デバイスによって放射することとを含んでよい。アバランシェ・フォトダイオードなどの検出器が、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイス内の検出場所又は問合せ場所で、精子細胞の核の中の照射され染色されたDNAから放射された蛍光性の光を検出する。方法は、精子細胞の核の中のDNAの検出された総量を使用して、精子細胞の雌雄を最初に決定し、その後、前記雌雄の決定に基づいて複数の精子細胞を区別することによって、精子細胞を有するX染色体と、精子細胞を有するY染色体を区別をすることをさらに含んでよい。精子細胞の特性は、精子細胞の核の中の対応するDNAの総数を含んでよい。方法は、所与の精子細胞の核の中の決定したDNAの総数に基づいて、所与の精子細胞を不活性化することをさらに含んでよい。前記不活性化することは、電磁放射の放射によって所与の精子細胞を光損傷させる、又は切除することを含んでよい。方法は、取り込まれた前記精子細胞の1つを有する複数の液滴を形成することと、前記液滴に取り込まれた前記精子細胞の前記性分化特性に基づいて、前記液滴の各々を別々に帯電させることと、前記液滴の1つを偏向させることと、前記液滴中に取り込まれた前記精子細胞の前記性分化特性に基づいて、前記液滴の各々を異なるように採集することとをさらに含んでよい。方法は、精子細胞がマイクロ流体系デバイスを出て行くとき、決定、選別又は不活性化の後、精子細胞を採集することをさらに含んでよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液であってよく、例えばX染色体又はY染色体を有する性判別精液であってよく、1つ又は複数の採集容器に採集される。
【0213】
いくつかの実施例において、本発明は、焦点面において調節可能な楕円形ビーム・ウエスト・プロファイルを有するより大きな放射された、電磁放射キル・ビームであって、高さ及び幅が独立して調節可能であり、且つ互いの要因ではない、又は互いに由来するものではない電磁放射キル・ビームと、サンプル流体の流れに対して同じ方向から、又はフロー・サイトメトリ・デバイスに関して共通の側からの検出レーザ及びキル・レーザの位置決め及び放射の両方のために、光学及び光学機械モジュールを提供する。
【0214】
図19は、検出光学系と、検出レーザ及びキル・レーザとを中に含む問合せ又は光学系モジュール7020の一実施例を示す。光学系モジュールは、モジュール・システムの残りの部分とは別個に浮遊しており、ゴム製の脚で隔離されてよい、すなわちシャシから取外し可能である。
図20は、光学系モジュールの内部配置を示す。検出及びキルは共に、ビーム・キューブの使用と組み合わせて一方の側からやって来る。光学系モジュールは、同じ波長の「S」及び「P」偏光ビームを合体させる。対象物の前方のフィルタが、それを損傷から保護する。非球面レンズが、対象物ではなくキル・レーザの焦点を合わせる。両レーザとも、チップの場所でスポット・サイズを制御するために、成形レンズを有する。
【0215】
図20A~
図20B及び
図21A~
図21Bは、電気構成要素及び制御盤を収容する電子ボックスを備える電子系モジュール7010を示す。ボックスは、ボックスの内部を保護する取外し可能な蓋を含む。電子系モジュールは、同様にシャシからも取り外すことができる。
図22は、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムの電子構成要素の概略図である。
【0216】
図23を次に参照すると、本発明の一実施例による焦点面において楕円形プロファイルを有するキル・レーザの電磁放射線放射のビーム幅を例示する図が提供される。ビームの幅は、X方向に幅が5μmから35μmになるように構成される、較正される、又は調節され、この場合、Y方向は、一セットの粒子を含むサンプル、及び/又はシース流体が中を流れるマイクロ流体系デバイスにおける流れ経路又はチャネルの長さに沿って長手方向である。示されるようなキル・ビームの幅は、20μmであり、これは、示される例示の芯幅より幅広である。5~20μmの芯幅は、サンプル流体などの流体の幅であり、他の焦点合せ流体によって境界が決められており、必ずしも物理的チャネル壁によってではない。フロー・サイトメータにおける物理的チャネルは、100μm幅を超えてもよいが、制約された流体であり、粒子又はサンプルが配置される芯は、5~20μmの幅である。例えば、単一のシース設計マイクロ流体系チップ(「SSMC」)チャネルは、5~20μmの芯幅を有してよく、二重シース設計マイクロ流体系チップ(「DSMC」)は、5~15μmの芯幅を有してよい。キル・ビームの幅は、マイクロ流体系チャネルの作用又は問合せ領域において芯幅と等しい、又は芯幅より大きいビーム幅を提供するために、例えば
図25A、
図25B及び
図26Bに提供されるように、1つ又は複数の光学又は光学機械構成要素の調節によって構成される。
【0217】
キル・ビームは、焦点面において楕円形のプロファイルを有し、ガウス強度プロファイルを有し、この場合、電磁放射線放射の最も高い集中、例えば光子は、キル・ビームの中心である。マイクロ流体系チャネルの作用又は問合せ領域における、又は液滴ベースのフロー・サイトメータにおける液滴における焦点面を通過する粒子を不活性化する、又は破壊する際のキル・ビームの効果の要因は、その空間を通過する、例えば精子細胞などの粒子にぶつかる、単位空間内の、例えば光子などの電磁放射線放射の量である。キル・ビームは、粒子が光損傷又は切除などによって十分に不活性化されたことを保証するために粒子の表面領域にわたって十分な強度を有する必要がある。キル・ビームを生成するのに使用されるレーザ・モジュールは、パルス・レーザ・モジュールであり、例えば、1~500ナノ秒のパルス持続時間を有し、パルス当たり1~5μJの利用可能なエネルギーの利用可能なパルス・エネルギーを有するパルス・レーザ・モジュールである。別の実施例において、パルス・レーザ・モジュールは、5~30ナノ秒のパルス持続時間を有する。パルス・エネルギーを増大させることは、キル・ビームのサイズを大きくする。既存のシステム及び方法において、このことは、焦点面においてビームの半径及び外周を増大させることなどによって、円形に成形されたビームに増大したビーム・ウエストを有するようにさせる可能性がある。しかしながら、楕円形プロファイルのキル・ビームを利用することはより有効であり、これは、既存の円形プロファイル・ビームよりも、より低いパルス・エネルギーで、且つ焦点面においてより幅広の面積にわたって、単位面積当たり同量の電磁放射線放射を出力することができる。キル・ビームの高さではなく、幅を拡張することによって楕円形プロファイルを提供することは、同じ面積の円形キル・ビームと比べて、レーザ・モジュールの同じパルス・エネルギー・レベルで増大したキル幅又は有効面積を提供する。
【0218】
図24Aを次に参照すると、図は、本発明の一実施例による特定のビーム形状について、μmで、ビーム幅を増大させるビームについて、どのくらいパルス・エネルギーをμJで増大するかを例示する。本発明の拡張された、又は楕円形ビーム形状の、粒子を不活性化する、又は破壊するのに十分な分量の電磁放射線放射が存在する焦点面におけるキル幅、すなわち有効面積は、レーザ・パルス・エネルギーが増大するときに増大されるが、標準の円形ビームと比べたとき、任意の所与のパルス・エネルギー・レベルにおいてより高くなる。拡張された、楕円形ビームは、粒子を完全に不活性化するために焦点面に十分な電磁放射が存在する標準の円形ビームよりμmでより大きなキル幅を有する。
図24Aにおける図に提供される例示の実施例では、拡張ビームと標準ビームのこの差は、より低いパルス・エネルギー、例えば1.8μJでは、おおよそ2.5μmであるが、より高いパルス・エネルギー、例えば3μJでは、7.5μmほどになり得る。拡張ビームは、粒子を部分的に不活性化する、又はスライスするために焦点面に十分な電磁放射が存在する標準ビームよりもμmで大きなキル・ビーム幅を有する。拡張ビームと標準ビームのこの差は、より低いパルス・エネルギー、例えば1.8μJでは、おおよそ2.5μmであるが、より高いパルス・エネルギー、例えば3μJでは、5μmほどになり得る。同様の結果が、より低いパルス・エネルギー、例えば1μJで、及びより高いパルス・エネルギー、例えば5μJで達成される。
【0219】
図23に示されるビームなどの、楕円形キル・ビームのビーム幅が30μmまで増大された場合、楕円形キル・ビームと標準の円形キル・ビームとの差は、スライスされた粒子幅において1.33+/-0.06%であってよく、死滅した、又は完全に不活性化された粒子幅においては1.29+/-0.15%であってよい。この差は、1μJから5μJのレーザ放射パルス・エネルギーにおいて存在し、レーザ放射パルス・エネルギーが増大するとき、さらに大きくなる可能性がある。
【0220】
本発明を特定の理論又は機構に限定することを望まずに、本発明の光学及び光学機械システムは、キル・レーザによって放射されるビームのキル幅を増大させ、X寸法又はZ寸法(この場合Y寸法は、フロー・サイトメータ・システムにおける流れ方向の寸法である)におけるキル体積に関して同様のキル性能又は効果を提供する。
【0221】
例えば、
図24Bに示されるチャートを参照すると、1つの非制限的な例示の実施例において、焦点面において楕円形プロファイルを有する30μm幅のキル・ビームが2.4μJの放射エネルギーにおいて使用された。しかしながら、放射されたパルス・エネルギーは、パルス当たり1~5μJであってもよく、パルス持続時間は1~500ナノ秒であってもよい、又は一実施例では5~30ナノ秒であってもよい。この例示の実施例では、30μm幅のキル・ビームが、キル・レーザの電磁放射によって切除された、又は光損傷された粒子のパーセンテージとして、改善されたキル計数を示した。焦点面において楕円形プロファイルを有する30μm幅のキル・ビームは、理想の、又は決定されたキル若しくは作用場所から+/-10μmの相対位置において異なる改善を提供した。焦点面において円形プロファイルを有する18μm幅未満の典型的なキル・ビーム又はキル場所は、理想の、又は決定されたキル場所から+/-10μmを超えて、粒子を効果的に殺傷したり、不活性化したり、有意に光損傷したり、切除することができなかったのに対して、焦点面において楕円形プロファイルを有する改善された30μm幅のキル・ビームは、キル・レーザに供された粒子の少なくとも90%の不活性化、殺傷、破壊又は有意な光損傷若しくは切除を実現する。より幅の狭い円形ビームによって殺傷された、死滅した、又はスライスされた精子細胞などの粒子を比較すると、より幅広の楕円形ビームの改善は、殺傷効果又はスライシングに関して容易に明らかである。
【0222】
本発明を特定の実施例に限定することを望まずに、上記に記載したより幅広のキル・ビームは、既存のフロー・サイトメトリ・システムと共に、且つ既存のフロー・サイトメトリ光学系構成において使用されてよい。しかしながら、本明細書に記載したより幅広のキル・ビームは、マイクロ流体系チップなどのフロー・サイトメトリ装置の主面又は主要面に対して共通の側に位置決めされた検出レーザ及びキル・レーザ又は不活性化レーザを有するフロー・サイメトリ・システムと共に使用されるときに、追加の利点を提供する。これらの利点には、さらなる調節能力及び構成能力、並びにシステムの共通の側に位置決めされた光学構成要素又は光学経路を有することによって提供されるような、ビームサイズ、形状及び位置決めに関してそうすることが容易であることが含まれる。
【0223】
図25Aを次に参照すると、本発明の一実施例による、マイクロ流体系チップの主(例えば頂部又は底部)面の同じ側にある検出レーザ組立体3430及びキル・レーザ組立体3420を備える一セットのレーザ組立体3410と、反対側にある検出組立体3450とを位置決めするための光学機械システム3400のブロック図が提供される。光学機械システム3400は、粒子の特定の特性を検出し、マイクロ流体系チップのチャネル内などのフロー・サイトメータ・システムの流れ経路3402における作用又は問合せ領域3404を通過する精子細胞などの粒子を不活性化する、殺傷する、光損傷させる、又は切除するために使用される。光学機械システム3400は、殺傷作用又は光損傷切除イベントの結果(例えば成功、失敗、一部成功)を検出するのにさらに使用されてもよい。キル・レーザ組立体3420は、1~500ナノ秒のパルス持続時間を有するパルス・レーザ・モジュールであり得るキル・レーザ3422と、一セットの1つ又は複数のビーム・エキスパンダ光学系3424と、シリンドリカル・レンズ対3426とを備える。ビーム・エキスパンダ3424のレンズ及びシリンドリカル・レンズ対3426のレンズのプロファイル又は形状及び構成は、+/-5°までの位置合せ不良の補償を実現する。これは、より簡素な位置合せ及び較正プロセスを実現し、位置合せ及び較正におけるオペレータのエラーに対するいくらかのマージンをさらに提供する。検出レーザ組立体3430は、コヒーレント連続波(「CW」)レーザ、準CWレーザ又はパルス・レーザであり得る検出レーザ3432と、一セットの1つ又は複数のビーム・エキスパンダ光学系3434と、シリンドリカル・レンズ対3436とを備える。ミラー3428は、キル・レーザ3422の電磁放射線放射(「ビーム」)をビーム・コンバイナー3412に向けて誘導して、キル・レーザ3422のビーム放射を検出レーザ3432のビーム放射と結合して、両方のビーム放射を、流れ経路3402の作用又は問合せ領域3404内にある焦点面3452に向けてさらに誘導する。ここで「結合する」は、ビーム放射の物理的結合又はオーバーラップのみを指すのではなく、同じ方向に誘導され、ビーム放射が一致しない接近した物理的近接に位置決めされるべきビームのうちの1つ又は複数の再配向も指す場合がある。
【0224】
光学機械システム3400の検出器側では、検出組立体3450が、ショート又はロング・パス・フィルタ3454などの1つ又は複数のフィルタ、ミラー3456、近紫外(「NUV」)対物レンズ3458、ミラー3460、ミラー3462、キル・センサ3464、カメラ3468及び検出センサ3470を備える。キル・センサ3464及び検出センサ3470は、アバランシェ・フォトダイオードタイプのセンサであってよく、カメラ3468は、電荷結合素子(「CCD」)カメラであってよい。別の実施例において、キル・センサ3464及び検出センサ3470は、光電子増倍管(「PMT」)、相補形金属酸化膜半導体(「CMOS」)センサ、又は電子増倍電荷結合素子(「EMCCD」)タイプのセンサを各々備えてもよい。別の実施例において、カメラ3468は、相補形金属酸化膜半導体(「CMOS」)又は電子増倍電荷結合素子(「EMCCD」)タイプのセンサを備えてもよい。
【0225】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、本発明のシステム、装置及び方法、例えば、光学機械システム3400は、精液選別システムなどの粒子処理システムと共に使用されてよい。一実施例において、精液選別システムは、サンプル粒子を含む流体流れを粒子問合せ場所(例えば作用又は問合せ場所3404)を通るように誘導するように構成された流れチャンバを備えるフロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを備えてよい。サンプル粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスに進入する前に染色されている、又はそれ以外の方法で処理された精子などの細胞であってよい。フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスは、ビーム経路に沿って粒子問合せ場所まで電磁放射を放射するように構成されたレーザ(例えば検出レーザ組立体3430)と、粒子からの放射を検出するように構成された検出器(例えば検出組立体3450)とをさらに備えてよい。検出の後に、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出て行く前に、又は出て行った後に、電磁放射による(例えばキル・レーザ組立体3420による)切除などによって選別される、又は不活性化されてよい。粒子の不活性化の効果を決定するために、例えば個々の粒子が暴露された電磁放射の総量又は分量を決定する、又は検出するために、且つ個々の粒子が十分に不活性化されたかどうか、又は十分に損傷されたかどうかを決定するのに追加の検出器が使用されてもよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液であってよく、例えばX染色体性判別精液であってよく、その後1つ又は複数の採集容器に採集される。
【0226】
光学機械システム3400はまた、粒子がフロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイス内の問合せ場所(例えば作用又は問合せ場所3404)を通って流れるときに、流体流れに含まれる精子細胞などの粒子を分析するための方法と共に、又はそのような方法において使用されてもよい。そのような方法は、レーザ(例えば検出レーザ組立体3430)から放射された電磁放射を使用して、流体流れ及びその中に含まれる粒子を照らすことを含む。検出器(例えば検出組立体3450)は、粒子によって問合せ場所から放射された電磁放射を検出し、プロセッサが、検出器からの信号に一部基づいて流体流れの中の粒子の特性を決定する。検出の後に、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出て行く前に、又は出て行った後に、物理的選別及び除去プロセス、或いは(例えばキル・レーザ組立体3420による)電磁放射による切除又は光損傷などによって選別される、又は不活性化されてよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液であってよく、例えばX染色体又はY染色体を有する性判別精液であってよく、その後1つ又は複数の採集容器に採集される。
【0227】
光学機械システム3400はまた、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを使用して、精子細胞の核の中のDNAの量を評価するための方法と共に、又はそのような方法において使用されてもよい。方法は、精子細胞の核の中のDNAを染色することと、その後、精子細胞が、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスの対応する領域(例えば作用又は問合せ場所3404)内でレーザを通過するとき、精子細胞の核の中の染色されたDNAをレーザ(例えば検出レーザ組立体3430)などの電磁放射デバイスによって放射することとを含んでよい。アバランシェ・フォトダイオードなどの、検出器(例えば検出組立体3450)は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイス内の検出又は問合せ場所(例えば作用又は問合せ3404)において、精子細胞の核の中の放射され染色されたDNAから放射された蛍光性の光を検出する。方法は、精子細胞の核の中のDNAの検出された量を使用して、精子細胞の雌雄を最初に決定し、その後、前記雌雄の決定に基づいて複数の精子細胞を区別することによって、X染色体を有する精子細胞と、Y染色体を有する精子細胞を区別することをさらに含んでよい。精子細胞の特性は、精子細胞の核の中のDNAの対応する量を含んでよい。方法は、所与の精子細胞の核の中のDNAの決定した量に基づいて、所与の精子細胞を不活性化することをさらに含んでよい。前記不活性化することは、電磁放射の放射(例えばキル・レーザ組立体3420による)によって、所与の精子細胞を光損傷させる、又は切除することを含んでよい。方法は、取り込まれた前記精子細胞の1つを有する複数の液滴を形成することと、前記液滴中に取り込まれた前記精子細胞の前記性分化特性に基づいて、前記液滴の各々を別々に帯電させることと、前記液滴の1つを偏向させることと、前記液滴中に取り込まれた前記精子細胞の前記性分化特性に基づいて、前記液滴の各々を異なるように採集することとをさらに含んでよい。方法は、精子細胞がマイクロ流体系デバイスを出て行くとき、決定、選別又は不活性化の後、精子細胞を採集することをさらに含んでよい。粒子は、X染色体又はY染色体選別された、或いは性判別された精液であってよく、例えばX染色体又はY染色体を有する性判別精液であってよく、1つ又は複数の採集容器に採集される。
【0228】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、光学機械システム3400は、一セットのレーザ組立体3410のキル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430を、マイクロ流体系チップなどのフロー・サイトメトリ・デバイスの共通の側に位置決めすることによって、粒子に問い合わせる、粒子を検出する、及び粒子を不活性化のための既存のシステム及び方法に対して改善を提供する。例えば、キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430は、マイクロ流体系チップの頂部面又は前面に対して、或いはマイクロ流体系チップの底部面又は背面に対して同じ、又は共通の側に位置決めされる、又は配置されてよく、検出組立体3450は、レーザ組立体3410に対して反対側に位置決めされる、又は配置されてよい。この構成は、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体が、フロー・サイトメトリ装置の流れ面の反対側に位置決めされる構成に対して利点を提供する。
【0229】
例えば、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体をフロー・サイトメトリ装置の流れ面の反対側に位置決めすることを含む構成では、キル・レーザ組立体の放射ビームは、検出組立体の対物レンズを通過する必要がある場合がある。このことは、検出組立体の1つ又は複数の光学構成要素の損傷又は劣化を引き起こす可能性がある。キル・レーザ組立体3420を検出レーザ組立体3430と共通の側に位置決めすることによって、キル・レーザ組立体3420の放射ビームは、不必要な、又は望ましくない劣化、損傷又は摩耗を引き起こす可能性がある検出組立体3450のいずれの光学構成要素も最初に通過する必要がない。
【0230】
追加で、キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430をフロー・サイトメトリ装置の共通の側に位置決めすることは、システム3400の光学及び機械要素の設定、位置合せ及び組立を簡素化する。これは、システム3400の優れた安定性を提供し、検出解像度の改善及び信号ノイズ比の削減もさらに実現する。キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430を共通に位置決めすることは、システム3400の検出組立体3450側での望ましくない波長をなくすためのさらに優れた能力を提供する。さらに、キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430が共通に位置決めされる場合、レーザ組立体3410のセットは、システムの複雑さを低減し、組立体が光学通路内で構成要素のサブセットを共有するときのシステムの物理的振動又は移動のための固有の補償を提供する、光学構成要素を共有してよい。キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430が光学構成要素を共有せず、共通に位置決めされない場合、システム3400の振動は、組立体3420及び3430の両方からの放射ビームが独立して移動する、又は振動するようにさせ、検出及び不活性化の精度及び効果に関する問題を生じさせる可能性がある。しかしながら共通に位置決めされる場合、振動は、キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430の放射ビームを共通に振動するようにさせ、検出及び不活性化の効果及び精度におけるロスを減少させる。
【0231】
図25Aにおける光学機械システム3400を続けて参照すると、キル・レーザ組立体3420の構成のみが、上記に記載した利点を提供するのではなく、
図1~
図3に示され記載されるようなより幅広のキル・ビームと共に使用されてもよい。例えば、電磁放射線放射又はレーザ・ビームは、キル・レーザ・モジュール3422(例えば1~500ナノ秒のパルス持続時間を有し、1~5μJのパルス・エネルギーでのパルス・レーザ・モジュール)であり得るレーザ・ヘッドから放射される。ビームは、一連の光学構成要素、すなわちビーム・エキスパンダ3424を通過して、ビームを所望の形状及びサイズに成形し、これは典型的には円形である。ビームは、ビームを円形プロファイルから楕円形プロファイルに続けて成形する一対のシリンドリカル・レンズ3426を続けて通過する。ビームはその後、ミラー3428によってビーム・コンバイナー3412に向かって誘導され、そこで、キル・レーザ・モジュール3422及び検出レーザ・モジュール3432からのビームは、結合され、焦点面に向けて投影される。
【0232】
追加で、キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430の位置は、交換される、又は反対にされてもよく、その結果、キル・レーザ組立体3420からのビーム又は放射は、偏光ビーム・スプリッタ又はコンバイナー3412を直接通過し、検出レーザ組立体3430からのビーム又は放射は、焦点面に向かって90度向け直される。キル・レーザ組立体3420及び検出レーザ組立体3430からの放射は、完全に結合されても、完全に結合されなくてもよく、すなわち、放射は、組立体が使用されるフロー・サイトメータ及び粒子処理作業に応じて、焦点面3452において完全に一致しなくてもよい。
【0233】
図25Bを次に参照すると、本発明の一実施例による、マイクロ流体系チップの主(例えば頂部又は底部)面の同じ側にあり、検出組立体3550の反対側にある検出レーザ組立体3530及びキル・レーザ組立体3520を備える一セットのレーザ組立体3510を位置決めするための光学機械システム3500のブロック図が提供される。光学機械システム3500は、粒子の特定の特性を検出し、マイクロ流体系チップのチャネル内などのフロー・サイトメータ・システムの流れ経路3502における作用又は問合せ領域3504を通過する精子細胞などの粒子を不活性化する、殺傷する、光損傷させる、又は切除するために使用される。光学機械システム3500は、殺傷作用又は光損傷切除イベントの結果(例えば成功、失敗、一部成功)を検出するのにさらに使用されてもよい。キル・レーザ組立体3520は、1~500ナノ秒のパルス持続時間を有するパルス・レーザ・モジュールであり得るキル・レーザ3522と、一セットの1つ又は複数のビーム・エキスパンダ光学系3524と、ウェーブ・プレート3526と、非球面レンズ3528とを備える。検出レーザ組立体3530は、コヒーレント連続波(「CW」)レーザ、準CWレーザ又はパルス・レーザであり得る検出レーザ3532と、シリンドリカル・レンズ3534とを備える。ミラー3512は、検出レーザ3532の電磁放射線放射(「ビーム」)を、偏光ビーム・スプリッタであるビーム・コンバイナー3514に向けて誘導して、キル・レーザ3522のビーム放射を検出レーザ3532のビーム放射と結合して、両方のビーム放射を、流れ経路3502の作用又は問合せ領域3504内にある焦点面3552に向けてさらに誘導する。ここで「結合する」は、ビーム放射の物理的結合又はオーバーラップのみを指すのではなく、同じ方向に誘導され、接近した物理的近接に位置決めされるべきビームのうちの1つ又は複数の再配向も指す場合がある。
【0234】
光学機械システム3500の検出器側で、検出組立体3550は、ハイ・パス・フィルタ3554などのフィルタ、NUV対物レンズ3556、ダイクロイック・ミラー3558、キル・センサ3564、カメラ3560、ビーム・スプリッタ3562及び検出センサ3566を備える。キル・センサ3564及び検出センサ3566は、アバランシェ・フォトダイオード・タイプのセンサであってよく、カメラ3560は、CCDカメラであってよい。別の実施例において、キル・センサ3564及び検出センサ3566は各々、PMT、CMOSセンサ又はEMCCDタイプのセンサを備えてもよい。別の実施例において、カメラ3560は、CMOS又はEMCCDタイプのセンサを備えてもよい。
【0235】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、光学機械システム3500などの、本発明のシステム、装置及び方法は、
図25Aに示されるシステム3400に関して上記に記載した精液選別システムなどの粒子処理システムと共に使用されてよい。
【0236】
光学機械システム3500はまた、
図25Aに示されるシステム3400に関して上記に記載した方法など、粒子が、フロー・サイトメトリ装置内の、又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイス内の問合せ場所(例えば作用又は問合せ場所3504)を通って流れるときに、流体流れに含まれる、精子細胞などの、粒子を分析するための方法と共に、又はそのような方法において使用されてもよい。
【0237】
光学機械システム3500はまた、
図25Aに示されるシステム3400に関して上記に記載した方法など、フロー・サイトメトリ装置或いはマイクロ流体系チップ又はデバイスを使用して、精子細胞の核の中のDNAの量を評価するための方法と共に、又はそのような方法において使用されてもよい。
【0238】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、光学機械システム3500は、マイクロ流体系チップなどのフロー・サイトメトリ・デバイスの共通の側にレーザ組立体のセット3510のキル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530を位置決めすることによって、粒子に問い合わせる、粒子を検出する、及び粒子を不活性化するための既存のシステム及び方法に対する改善を提供する。例えば、キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530は、マイクロ流体系チップの頂部面又は前面に対して、或いはマイクロ流体系チップの底面又は背面に対して同じ、又は共通の側に位置決めされる、又は配置されてよく、検出組立体3550は、レーザ組立体3510に対して反対側に位置決めされる、又は配置されてよい。この構成は、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体が、フロー・サイトメトリ装置の流れ面の反対側に位置決めされる構成に対して利点を提供する。
【0239】
例えば、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体をフロー・サイトメトリ装置の流れ面の反対側に位置決めすることを含む構成では、キル・レーザ組立体の放射ビームは、対物レンズを通過する必要がある場合がある。このことは、検出組立体の1つ又は複数の光学構成要素の損傷又は劣化を引き起こす可能性がある。キル・レーザ組立体3520を検出レーザ組立体3530と共通の側に位置決めすることによって、キル・レーザ組立体3520の放射ビームは、不必要な、又は望ましくない劣化、損傷又は摩耗を引き起こす可能性がある検出組立体3550のいずれの光学構成要素も最初に通過する必要がない。
【0240】
追加で、キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530をフロー・サイトメトリ装置の共通の側に位置決めすることは、システム3500の光学及び機械要素の設定、位置合せ及び組立を簡素化する。これは、システム3500の優れた安定性を提供し、検出解像度の改善及び信号ノイズ比の削減もさらに提供する。キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530を共通に位置決めすることは、システム3500の検出組立体3550側での望ましくない波長をなくすためのさらに優れた能力を提供する。さらに、キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530が共通に位置決めされる場合、レーザ組立体3510のセットは、システムの複雑さを低減し、システムの物理的振動又は移動のための固有の補償を提供する、光学構成要素を共有してよい。キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530が光学構成要素を共有せず、共通に位置決めされない場合、システム3500の振動は、組立体3520及び3530の両方からの放射ビームが独立して移動する、又は振動するようにさせ、検出及び不活性化の精度及び効果に関する問題を生じさせる可能性がある。しかしながら共通に位置決めされる場合、振動は、キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530の放射ビームを共通に振動するようにさせ、検出並びに不活性化の効果及び精度におけるロスを減少させる。
【0241】
図25Bにおける光学機械システム3500を続けて参照すると、キル・レーザ組立体3520の構成のみが、上記に記載した利点を提供するのではなく、
図1~
図3に示され記載されるようなより幅広のキル・ビームと共に使用されてもよい。例えば、電磁放射線放射又はレーザ・ビームは、キル・レーザ・モジュール3522(例えば1~500ナノ秒のパルス持続時間を有するパルス・レーザ・モジュール)であり得るレーザ・ヘッドから放射される。ビームは、一連の光学構成要素、すなわちビーム・エキスパンダ3524を通過して、ビームを所望の形状及びサイズに成形し、これは典型的には円形である。ビームは、引き続き、ビームがプレートを通過するときにビームの偏光状態を変えるウェーブ・プレート3526を通過し、その後非球面レンズ3528を通過し、プロファイルを円形から楕円形に変更する。これらの構成要素は、焦点面3552においてビームの楕円形プロファイルの高さ及び幅を独立して調整するために調整されてよい。ビームはその後、ビーム・コンバイナー3514を通るように誘導され、そこで、キル・レーザ・モジュール3522及び検出レーザ・モジュール3532からのビームは、結合され、焦点面に向けて投影される。キル・レーザ組立体3520及び検出レーザ組立体3530からの放射は、完全に結合されても、完全に結合されなくてもよく、すなわち、放射は、組立体が使用されるフロー・サイトメータ及び粒子処理作業に応じて、焦点面3552において完全に一致しなくてもよい。
【0242】
検出レーザ組立体(例えば検出レーザ組立体3430及び3530)並びにキル・レーザ組立体(例えばキル・レーザ組立体3420及び3520)のための光学通路は、システム3500及び3400と共に使用されてもよく、
図26A及び
図26Bに示される例示の実施例においてそれぞれ提供される。例示の実施例におけるレーザ・ベースの粒子検出及び不活性化システムは、
図26Aに示される、光学通路3600を有する検出レーザ組立体と、
図26Bに示される光学通路3700を有するキル・レーザ組立体とを備える。検出レーザのための光学通路3600は、検出レーザ・モジュール3602、第1の高調波セパレータ3604、第2の高調波セパレータ3606、F150シリンドリカル・レンズ3608、F25シリンドリカル・レンズ3610、偏光ビーム・スプリッタ3612を備え、焦点面又はマイクロ流体系チップにおいて終わる。
【0243】
キル・レーザ組立体のための光学経路3700は、キル・レーザ・モジュール3702、第1の高調波セパレータ3704、F50シリンドリカル・レンズ3706、F25シリンドリカル・レンズ3708、ウェーブ・プレート3710、第2の高調波セパレータ3712、F-25シリンドリカル・レンズ3714、F150シリンドリカル・レンズ3716、第3の高調波セパレータ3718、非球面レンズ3720、偏光ビーム・スプリッタ3722を備え、焦点面又はマイクロ流体系チップにおいて終わる。
【0244】
本発明を特定の用途又は実施例に限定することを望まずに、本発明の改善されたシステム及び光学経路は、
図25Aに示される光機械システム3400、
図25Bに示される光機械システム3500及び
図26A及び
図26Bにそれぞれ示される光学通路3600及び3700は、少なくともキル・レーザ・ビーム経路に球面レンズを組み込むことを通して、且つキル・レーザ・モジュールと検出レーザ・モジュールからの放射を組み合わせるための偏光ビーム・スプリッタの使用を通して、既存のシステムを改善する。具体的には、例示の実施例に示されるものなどの構成で非球面レンズを使用して、非球面レンズを含めた光学要素に対する損傷のリスクなしに、より高いパルス・エネルギー・レーザからのビーム放射を成形することを実現する。非球面レンズは、焦点において最適なビーム形状及びサイズを獲得するために、ビーム放射の正確な調整及び/又は較正をさらに実現する。このような光学構成要素の使用は、焦点面におけるビーム放射のために、ビーム・ウエストの高さ及び幅の独立した調整をさらに実現する。追加で、例示の実施例では、キル・レーザ・モジュール及び検出レーザ・モジュールからのビーム放射を組み合わせるのに偏光ビーム・スプリッタが使用されてもよく、この場合、両方のビーム放射は共通の波長である、又は共通の波長に近く、両方のモジュールの放射が偏光される。ビーム放射を組み合わせるための他の方法、例えばダイクロイック・ミラーは、フロー・サイトメータの共通の側に、且つ検出モジュール又は組立体の反対側に位置決めされたキル・レーザ・モジュール及び検出レーザ・モジュールを有するフロー・サイトメータ・システムにおいては適さない、又は最適ではない場合がある。例示の構成のこのタイプは、偏光ビーム・スプリッタの変則的な使用が、他のビーム結合システム又は方法と比べて優れた結果を達成する。
【0245】
図28を次に参照すると、検出スポット4001及びキル・スポット4003からの放射の線図が提供される。検出放射4014は、焦点面4002の作用又は問合せ場所において検出スポット4001で発生し、キル放射4012は、焦点面4002のキル・スポット4003で発生する。
図27に示されるものなどの光学通路の光学要素は、検出放射4014及びキル放射4012の両方が、
図27に提供されるシステム4400など、1つ又は複数のセンサ又はデバイスによって別々に分析される、検出される、及び/又は捕らえられることができるように、両方の放射を成形し誘導する。
【0246】
図27を次に参照すると、本発明の一実施例による検出組立体4400の光学、光学機械及び電気要素の線図が提供される。検出組立体4400は、粒子の検出レーザ励起(検出放射4414)から、又は粒子のキル・レーザ励起(キル放射4412)からのいずれかの電磁放射線放射をフィルタリングする、分割する、及び/又は向け直すために、ハイ・パス・フィルタであってよいフィルタ4404と、NUV 20x対物レンズであってよい対物レンズ4406と、100mm又は200mmチューブ・レンズであってよいチューブ・レンズ4408と、ダイクロイック・ミラー4420及びスプリッタ4422などの1つ又は複数のフィルタ又はスプリッタとを備える。検出放射4414は、焦点面4402の作用又は問合せ場所において検出スポットで発生し、キル放射4412は、焦点面4402のキル・スポットで発生する。少なくともフィルタ4404、対物レンズ4406及びチューブ・レンズ4408は、検出放射4414及びキル放射4412の両方が、CCDカメラ4430、キル・アバランシェ・フォトダイオード(「APD」)又はキル検出器4432及び検出器4434などの1つ又は複数のセンサ若しくはデバイスによって別々に分析される、検出される、及び/又は捕らえられることができるように、両方の放射を成形し誘導する。CCDカメラ4430は、放射4412及び4414の画像を取り込むのに使用され、キル・レーザ又は検出レーザの電磁放射線放射によって生じる粒子の蛍光発光の量の決定など、放射のタイプ又は品質の決定において使用されてよい。ダイクロイック・ミラー4420は、放射4412及び4414の一部又はごく少量をCCDカメラ4430に向けて反射させ、放射の残りが、キル検出器4432及び検出器4434に向かって通過することを可能にするのに使用される。キル検出器4432は、粒子を不活性化するためのキル・レーザによるキル・イベントが成功したか否かを検出するのに使用される。検出器4434は、粒子放射4414内などの、粒子の放射のタイプ及び品質を決定して、細胞の蛍光発光の決定したレベルに基づいて、精子細胞のDNA含有量などの粒子の品質又は特性を決定するのに使用される。
【0247】
「実例1」
【0248】
本発明を特定の用途又は実施例へ限定することは望まないが、以下の例示的な実施例を説明する。
【0249】
フロー・サイトメトリ粒子選別システムは、検出レーザ組立体、マイクロ流体系チップ、検出センサ、信号処理電子系のセット、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、CCDカメラ、キル・レーザ・モジュール、及びキル・センサを備える。検出レーザ組立体は、個々の精子細胞であってもよい粒子内でヘキスト色素などの色素を励起するように構成される。検出レーザからのビームは、3.5~20μmの速軸及び30~150μmの遅軸を有する楕円形などの指定のサイズへ集束される。マイクロ流体系チップは、精子を含む射出サンプルなどの粒子サンプルを受け入れ、チップにおける1つ又は複数のマイクロチャネル内のシース流体を使用して粒子を集束又は配向させる。検出センサは、検出レーザ場所で放射を採集する。信号処理電子系は、プロセッサ及びメモリを含むデジタル電子コンポーネントを含むか、又はアナログ電子コンポーネント、又はデジタルとアナログとの処理コンポーネントの組合せを含んでもよい。信号処理電子系は、1つ又は複数のセンサ又はカメラから1つ又は複数の信号を受信し、信号を変換又は解釈して、入力信号に基づいて判定を行う。この判定は、細胞におけるDNAの量に基づいて検出された蛍光に基づく精子細胞の性又は性別判定であってもよい。グラフィカル・ユーザ・インターフェース(「GUI」)は、処理率、レーザ・パルス・エネルギー、キル率、検出率、流体レベル、サンプル採集レベルを含むシステムのステータスに関する情報を表示し、レーザ・パルス・エネルギー、流量、温度、圧力、及び所望のサンプルのゆがみなどのシステム要素を構成するための1つ又は複数のユーザ・インターフェース要素をさらに提供する。CCDカメラは、キル場所及び検出場所の一方又は両方の画像を捕捉し、システムの光学的及び光学機械的要素のユーザ整列のためにGUIを介してフィードバックを提供する。キル・レーザは、望ましくない粒子を死なせる又は不活性化する。キル・レーザ放射は、精子細胞などの粒子を効果的にスライスする、切除する、光損傷させる、又は別の方法で死なせるために、小さな場所又はスポットへ集束される。集束されたレーザ放射は、3.5~5μmの速軸及び5~35μmの遅軸を有する楕円形のプロファイル形状であってもよい。
【0250】
検出レーザ組立体は、CWレーザ・モジュール、レーザ・シャッタ、1つ又は複数の高調波セパレータのセット、水平方向に配向されたF150シリンドリカル・レンズ、垂直方向に配向されたF25シリンドリカル・レンズ、及び偏光ビーム・スプリッタを備える。CWレーザ・モジュールは、粒子に蛍光発光を引き起こすために使用されるCWレーザ・ビームを放射する。レーザ・シャッタは、安全スイッチが作動した場合にレーザがユーザのアクセス・ポイントに到達するのを妨げる。高調波セパレータは、他の波長の光を透過しながら355nmの光を反射し、レーザ・ビームから352nm及び1064nmのキャリア波長を取り除くために使用する。F150シリンドリカル・レンズは、チップ又は焦点面での検出レーザの水平寸法を成形し、ビーム位置を水平方向に調整できる調整可能なベース又はステージに配設される。F25シリンドリカル・レンズは、チップ又は焦点面での検出レーザの垂直寸法を成形し、ビーム位置を垂直方向に調整できるベース又はステージに配設される。偏光ビーム・スプリッタは、P偏光レーザ光を透過しながらS偏光を反射し、検出レーザ・ビームがビーム・スプリッタを通してチップ又は焦点面上へ透過することを可能にする。
【0251】
キル・レーザ組立体は、キル・レーザ・モジュール、1つ又は複数のUVミラーのセット、垂直方向に配向されたF-25シリンドリカル・レンズ、垂直方向に配向されたF+150シリンドリカル・レンズ、F25非球面レンズ、及び偏光ビーム・スプリッタを備える。キル・レーザ・モジュールは、1~5μJでパルス・レーザ・ビームを放射するパルス・レーザ・モジュールである。1つ又は複数のUVレンズのセットは、それぞれ、レーザ・ビームを90度反射し、キル・レーザ・ビームを操縦する又は向けるための倒す/傾ける取付台に取り付けられる。F-25シリンドリカル・レンズは、F+150シリンドリカル・レンズと併用してキル・レーザ・ビームを垂直方向に拡張する。F-25シリンドリカル・レンズ及びF+150シリンドリカル・レンズの分離を調整することで、チップ又は焦点面でのキル・レーザの高さを制御できる。F-25及びF+150シリンドリカル・レンズは、キル・レーザ・ビームを1mmから6mmへ拡張できる。F25非球面レンズは、全ての軸のキル・レーザ・ビームをマイクロ流体系チップでの焦点面の小さい楕円形のスポットへ集光するために使用されてもよい。非球面レンズは、標準又は一般的な球面レンズと比較して球面収差を低減する。
【0252】
細胞検出組立体は、対物レンズ、390長パス・フィルタ、第1のF100球面管レンズ、90:10ビーム・スプリッタ、検出センサ、キル・センサ、第2のF100球面管レンズ、及びCCDカメラを備える。対物レンズは、フロー・サイトメトリ・デバイス内の流体経路(例えば、マイクロ流体系チップのマイクロチャネル)の焦点面での検出場所とキル場所との両方からの色素発光を採集し、レーザ・スポットのサイズを測定するためにキル・レーザ及び検出レーザからレーザ波長の一部をさらに採集する。390長パス・フィルタは、390nmよりも長い波長を透過し、390nm未満の波長を反射し、光の一部をCCDカメラへ向けて反射し、残りの光はキル・センサ及び検出センサへ透過できる。90:10ビーム・スプリッタは、全ての光の90%を透過し、10%を反射し、390長パス・フィルタを通過する光の90%を検出センサへ透過させ、光の10%をキル・センサへ反射する。検出センサは、検出場所で発した光を採集するアバランシェ・フォトダイオードである。キル・センサは、キル場所で発した光を採集するアバランシェ・フォトダイオードである。第1のF100球面管レンズは対物レンズから採集された光を検出センサ及びキル・センサ上へ集束させ、第2のF100球面管レンズは対物レンズから採集された光の一部を390長パス・フィルタによって反射されたようにCCDカメラ上へ集束させる。CCDカメラは、対物レンズによって採集された光を撮像し、システム整列並びにレーザ・スポットのサイズの測定のためのユーザのフィードバック源である。
【0253】
「実例2」
【0254】
本発明を特定の用途又は実施例へ限定することは望まないが、以下の例示的な実施例を説明する。
【0255】
通常、パルス・レーザは、フロー・サイトメトリ・システムにおける粒子では蛍光色素に使用される。例えば、精子における精液の性判別のための既存のシステムは、パルス・レーザを使用して、精子細胞におけるヘキスト33324などのヘキスト色素を蛍光発光させて、性判別プロセスにおいて精子細胞におけるDNAの量、したがってタイプを決める。しかしながら、CWレーザを使用すると、従来のパルス・レーザと比較して、効率、較正、及び調整に利点をもたらす。本発明におけるCWレーザの使用は、統計的に有意な誤差範囲内でこの様式で選別された精子細胞の同じ受胎能力又は生存可能性を維持しながら、既存のパルス検出レーザ及び検出レーザ組立体に対して上記改良をもたらす。CWレーザによって照射された細胞の受胎能力の測定値としての受胎率は、パルス・レーザで照射された細胞よりも状況によっては良くないにしても、少なくとも同じくらい良好であった。詳細には、受胎能力の差は約1%であり、測定誤差の範囲内であった。したがって、粒子検出におけるCWレーザの使用は、対照と比較してCWレーザを使用して処理された精子細胞の生存可能性又は受胎能力に測定可能な影響を与えない。
【0256】
「実例3」
【0257】
本発明を特定の用途又は実施例へ限定することは望まないが、以下の例示的な実施例を説明する。
【0258】
レーザ・ベースの粒子検出及び不活性化システムは、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体を備える。キル・レーザ組立体は、350mW~2Wの電力で動作してもよい。検出レーザ組立体の電力は、10mWから50mWへ設定されてもよい。検出レーザ組立体によって出力される電力は、約10%の電力損失と、24時間にわたって+/-1%未満の測定された電力ドリフトを負う可能性がある。正確で安定した検出レーザ電力は、操作の最初の1分間でレーザ電力を増加し、その後レーザ電力を下げて、摂氏約4度の上昇温度で安定した検出電力を提供することによって達成されてもよい。
【0259】
ここで
図29A及び
図29Bを参照すると、焦点面での検出レーザ・ビームのサイズ及び強度(
図29A)並びに焦点面でのキル・レーザ・ビームのサイズ及び強度(
図29B)を測定する代表的なグラフィカル・ユーザ・インターフェース出力のそれぞれの図が示される。
図29A及び
図29Bに示される出力は、本明細書での上述の実例3に説明されるレーザ・モジュール電力設定を使用して達成されてもよい。検出レーザの楕円の長軸は95から110μmの間であり、楕円の短軸は12から15μmの間である。詳細には
図29Aに示されるように、長軸又は遅軸は104.2μm、短軸又は速軸は11.2μmである。キル・レーザの楕円の長軸は20から25μmの間であり、楕円の短軸は2から4μmの間である。詳細には
図29Bに示されているように、長軸又は遅軸は20.9μm、短軸又は速軸は3.45μmである。しかしながら、光学的要素を配置する及び置くことは、調整又は較正されてもよく、レーザ・モジュールのためのパルス・エネルギーは、ビーム放射を所望どおりに成形するように調整されてもよい。
【0260】
「実例4」
【0261】
本発明を特定の用途又は実施例へ限定することは望まないが、以下の例示的な実施例を説明する。
【0262】
レーザ・ベースの粒子検出及び不活性化システムは、キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体を備える。検出レーザ組立体は、環状発光ダイオード(「LED」)及び電力センサを備える。環状LEDは6mmの内径を有し、検出レーザの光通路におけるシリンドリカル・レンズのセットの間に配置される。電力センサはTO-5パッケージングを備え、プリント回路基板に配設される。電力センサは、偏光ビーム・スプリッタなどによって、検出レーザの光通路内又は隣接して配置され、検出レーザ・ビームの電力を検出する。これは、出力電力の監視を連続して行い、オペレータにフィードバックを行うために使用される。検出された電力は、フィードバック・ループでも使用されて、出力電力を自動又は半自動で調整してもよい。
【0263】
「実例5」
【0264】
以下は、マイクロ流体系チップ内のサンプルの流れにおける粒子の速度を決める非限定的な例であり、キル・トリガ遅延タイミング、流量調整などに使用できる。
【0265】
細胞速度較正では、細胞速度は次のように計算される。
速度=検出スポットY-キル・スポットY/トリガ遅延
【0266】
現在の速度が目標速度から大きく逸脱する場合は、次の等式を使用して新しい流量が計算される。
(フロー1/速度1)=(フロー2/速度2)
本式では、フロー1及び速度1は現在の値、速度2は目標速度、及びフロー2は新しい流量である。
【0267】
事象/秒に等しい細胞率(細胞/秒)は、一定に維持されることが望ましい流体パラメータである。フロー・サイトメータは、最後の1秒で検出器によって報告された細胞又は事象の数を追跡する。この流体パラメータは、流体系モジュールにおいて圧力レギュレータを介して制御されるので、細胞/秒が低すぎると圧力が上昇し、セル/秒が高すぎると圧力が低下する。圧力はサンプルへ加えられるので、圧力が高いほど、サンプルのより多くがフロー・サイトメータに押し通される。サンプルはシース流体と混合され、シース流体は流体系モジュールにおいて作動するPIDコントローラによって一定の流量にとどめる。いくつかの実施例では、シース・フローは、圧力レギュレータなどのバルブの開閉によって制御される。
【0268】
整列手順
【0269】
既存のシステムは、標的細胞を効果的に死なせるために、オペレータがキル・レーザを細胞コアの流れへ整列することを必要とする。オペレータは、1つのカメラが細胞場所を監視し、別のカメラがキル・レーザを監視するように2つのカメラ・システムを使用して、コアの流れを3次元でレーザへ整列させる。各スポットには、画像内の重心場所が与えられる。スポット間の位置関係は、次に、採集中に維持される。整列は、画像、2軸ステージ、及び時間遅延を使用して達成される。2軸ステージにより、レーザの中心での整列が可能になり、時間遅延により、レーザは、マイクロ流体系チャネルを通過する細胞を標的とすることができる。コアの流れを焦点に集束させることにより、レーザ・エネルギーの大部分が細胞に集中し、高純度の製品が得られる。整列後、オペレータは適切な母集団にゲートを設け、その母集団の外側の細胞はキル・レーザによって標的とされる。動作中に発生する問題は、標的とされる細胞が効果的に死なされない又は見逃されるシステムの誤整列を引き起こすレーザ・ドリフト及び細胞速度ドリフトを含む。オペレータは、誤整列を識別且つ修正する必要がある。
【0270】
しかしながら、オペレータは、必要な周波数で誤整列を識別且つ修正して製品の純度を維持する際、信頼できない。さらに、オペレータはカメラ間のドリフトを修正できない、つまり、両方の測定デバイス自体がドリフトし、測定精度が整列を許容範囲内に維持するには十分に正確ではなかった。整列プロセスを自動化することで、人件費を低減し、製品の一貫性を改良し、オペレータに依存しないことで製品の品質を向上させる。
【0271】
したがって、いくつかの実施例において、本発明は、誤整列が許容範囲内になるまで、誤整列を測定し、ステージ位置又は遅延を漸進的に修正することによる自動整列修正を特徴とする。
【0272】
図30を参照すると、所望の分解能を達成するためにマイクロ流体系チップ・ステージを検出レーザ及びキル・レーザと整列する手順が示されている。まず、マイクロ流体系チップ・ステージは検出レーザと整列されて、所望の検出解像度を達成する。次に、マイクロ流体系チップ・ステージの位置はキル・レーザがサンプルの流れの中心と整列されるように調整され、それによって所望の分解能を達成する。キル計数がキル計数閾値を下回っている場合、マイクロ流体系チップ・ステージは、キル計数閾値に到達する又は超えるまで、キル・レーザに対して再配置される。
【0273】
図31は、キル・レーザに対するコアの流れの位置を調整し、キル・レーザ及び細胞コアの流れによって生成される蛍光の特性を測定することによって機器を整列させる手順を示す。初期整列中に、オペレータはコア・レーザに対するコアの流れの位置を最適化する。2D画像空間におけるこのスポットには、画像に重ねられた十字線がつけられる。オレンジ色の十字線は固定され、採集中に維持する位置として使用される。赤い十字線は、画像上のスポットの活性測定値である。スポットが移動した場合、赤い十字線は続くが、オレンジ色の十字線は続かない。
【0274】
いくつかの実施例では、コアの流れが元の位置から左又は右にずれた場合に、左右調整が必要とされることがある。十字線間の距離が測定され、十字線間の距離がゼロになるまでチップ/コアの流れは左又は右に移動される。他の実施例では、焦点は、ゼロ・スロープ条件が焦点最適化測定規準で満たされるまで、1つの極端から一方向に掃引することによって最適化されてもよい。
【0275】
いくつかの実施例では、細胞速度又は検出レーザとキル・レーザとの間の距離が変化した場合に、遅延調整が必要とされることがある。左右及び焦点最適化の後、画像上のスポットの場所が目標場所として印がつけられることがある。細胞が発火し、画像内の上記セルの現在場所が目標場所に対して測定される。十字線間の距離を測定した後、目標場所に対する現在の場所がゼロになるまで遅延が調整される。例えば、遅延はそれに応じて、十字線間の距離がゼロになるまで、減少又は増加される。
【0276】
本発明を特定の理論又は機構へ限定することは望まないが、整列手順は、レーザ位置を測定するために追加のハードウェアを必要としないという利点を有していた。さらに、このシステムは光学的に安定しており、レーザは採集中に0~1μm移動するのみである。これにより、移動するキル・レーザの場所を測定することも、製品の品質を維持するために頻繁に再整列することもなく、検証後も初期整列を維持することができる。
【0277】
枯渇したサンプルの検出
【0278】
精液処理では、精液の活力を維持するために、動作の時間にわたっていくつかのサンプルを作る必要がある。したがって、一度に3~5mLの容量が処理され、前のサンプルがなくなると新しく作られたサンプルに置き換えられる。オペレータは、サンプル管のレベルを視覚的に確認することにより、サンプルが少ないときにそのことを識別し、それがいつ交換されるべきであるかについて判断した。これにより、サンプルが完全に枯渇して、ダウンタイムが長くなる可能性がある。
【0279】
したがって、本発明は、サンプルが完全に枯渇する前にサンプルが枯渇しているときの指標を提供することによってこの問題点を解決し、オペレータの負担を低減し、機器のダウンタイムを低減するのに役立つ。この解決策の独自性は、既知の変化パターンを検出する手段としてコントローラの出力を監視することである。
【0280】
図32を参照すると、サンプルは、流体の上方へ圧力を加えることによって、5mL容器から、小径配管を通って流される。管におけるサンプルは均一な濃度であると仮定されるので、細胞が容器を離れる率(又は細胞率)は、加えられる圧力へ比例する。圧力が増加すると、細胞率が増加する。理想的には、細胞率は一定の機器性能を維持するために一定に保持される。濃度並びに下流の圧力における局所的な変動により、細胞率を目標に維持するには、圧力をわずかに調整する必要がある。
【0281】
実際には、濃度はサンプルの持続時間を通して均一のままではない。沈降が起こり、細胞は底へ向かって落下し、サンプルの下部は上部よりも濃縮されたままになる。流体レベルが減少すると、管出口付近の局所濃度は連続して減少する。一定のスループットを維持するために、必要な圧力が増加する。この圧力は、サンプルが枯渇し始めると指数関数的に増加する。本発明の方法は、採集中の圧力のこの変化を監視することを要する。オペレータは、次いで、圧力の変化が閾値を超えると、通知される。
【0282】
図32に示されるように、サンプル容器は溶液に精子細胞を含む。圧力レギュレータは、供給源から一定の圧力を受ける。圧力設定点はPC/GUIから受信される。圧力は精子細胞を含むサンプル管へ出力され、流体レベルより上へ加えられる。小径配管は、配管の端部を容器の底部近くに設けて、サンプル容器の内部に置かれる。配管の他方の端部は、細胞率の測定のためにフロー・サイトメータ内で細胞を集束させるために使用されるマイクロ流体系チップ内へ挿入される。細胞は、圧力が加えられると、小径配管を通って容器の外側に駆動される。フロー・サイトメータは、細胞率及び性別を測定する。細胞率は、一定の細胞率を維持するためにフィードバック・ループ内へ入力される。
【0283】
フィードバック・コントローラは、セル率を入力、圧力を出力として使用するPIDベースのコントローラであってもよい。PIDコントローラの目的は、一定のセル率を維持することであり、これはユーザ指定であってもよい。一定の細胞率がベースラインから逸脱する、例えば、細胞率が減少する場合、フィードバック・コントローラは、一定の細胞率を維持するために、圧力レギュレータからサンプル容器内へ出力される圧力を増加させる。圧力が圧力設定点を超える場合、これは容器におけるサンプルの量が少ないことを示し、オペレータに低レベルが通知される。
【0284】
上述の解決策は、サンプル流体レベルを決めるために追加のハードウェアを必要としないという利点を有する。しかしながら、代替実施例では、本発明は、レベルを直接測定するために、液体レベル・センサなどの1つ又は複数の追加コンポーネントを使用してもよい。液体レベル・センサの例を本明細書に説明する。
【0285】
粒子処理
【0286】
図33を参照すると、精子細胞を含む精液サンプルであってもよいサンプルは、サンプル通路を通ってマイクロ流体系チップ850に入り、シース流体は1つ又は複数のシース流体通路を通ってチップに入る。サンプル及びシース流体は、流体ポンプ、注射器ポンプ、又は他の好適な圧送手段によって、個々のサンプルに好適な速度及び圧力でチップ内へ圧送されてもよい。
【0287】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の電磁放射発光器は、光通路を使用してチップで又はチップへ向けられる。レーザ検出モジュールは、連続波レーザに基づいてもよく、サンプルにおける粒子又は成分に注入された色素において蛍光発光を生じさせるように構成されてもよい。レーザ・キル・モジュールは、パルス又はマイクロパルスのレーザに基づいてもよく、レーザ検出モジュールによって検出されたサンプルの特性に基づいて、サンプルにおける1つ又は複数の粒子又は成分を、光切除などによって不活性化するように構成されてもよい。検出モジュールは、サンプルにおいて粒子又は成分からの放射を採集又は検出して、DNAの量又はタイプなどの粒子又は成分の1つ又は複数の特性を識別し、システム及び/又はオペレータへフィードバックを行う。検出モジュールは、カメラ、光電子増倍管、又はアバランシェ・フォトダイオード・ベースの検出器のうちの1つ又は複数を備えてもよい。検出された特性に基づいて、発光モジュールにおけるキル・レーザはキル・レーザ・ビームを放射し、サンプルにおける粒子又は成分のサブセットを不活性化又は破壊する。
【0288】
処理されたサンプルは、チップの末端での1つ又は複数の開口部を通ってチップ850から出る。自動ダンプ組立体5160は、アクチュエータ及び機械的ダイバータを備える。アクチュエータは、2位置線状アクチュエータ又は他の好適な機械的若しくは電気機械的作動手段であってもよい。アクチュエータは、チップを出る処理されたサンプルの経路の内外にダイバータを移動させて、サンプルが採集管5130内へ通過することを可能にするか、又はサンプルを廃棄物収集容器又はエリア内へ進路を変えさせるかのいずれかとなるように動作する。判定は、純度などのサンプルの1つ又は複数の品質に基づき、又はオペレータの入力に基づく。判定は、サンプル管がサンプル採集経路に存在するか否かに基づいてもよい。
【0289】
いくつかの実施例では、サンプル混合組立体又はモジュール5100は、回転ベース5110へ一体化又は固定されている1つ又は複数の採集管ホルダ5120に保持された1つ又は複数のサンプル採集容器又は管5130を備える。回転ベース5110は、プラットフォーム5360へ磁気的に固定され、又はボルト、若しくは、ねじ付きキャップによって保持される。回転ベース5110は、回転ベース5110を回転させることができるステッパ・モータ、リニア・アクチュエータ、ブラシレス・モータ、又は他の好適な駆動手段であってもよいアクチュエータ又はモータ5340によって回転、振動、又は移動される。回転ベース5110は、弓形経路で回転して、サンプル採集管5130に採集されたサンプルを混合し、又はベース上のサンプル採集管をサンプル採集経路内へ回転させる。
【0290】
サンプルを検出する光学的手段が説明されたが、他の検出手段が本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムにおいて使用されてもよいことが理解される。サンプルの検出に関する実施例に代えて、又はそれと併せて、サンプルは、電極、カメラ、磁石、電気穿孔法、インピーダンス性、又は導電率を使用して検出されてもよい。
【0291】
サンプルを損傷させるキル・レーザが説明されたが、細胞を損傷させる他の手段が、本発明のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムにおいて使用されてもよいことが理解される。細胞を損傷させることに関する実施例に代えて又はそれと併せて、細胞は、物理的変形、又は電極の使用若しくは電気穿孔法などの電気的手段を使用して不活性にされるか又は死なされてもよい。
【0292】
他の代替実施例では、性判別された精子細胞は、物理的障壁、液滴分離、音響的手段、レーザ操縦、電極、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されない分離手段を使用して、2つ以上の部分母集団内へ分離されてもよい。
【0293】
自動混合及び採集モジュール
【0294】
ここで
図34を参照すると、本発明は、回転ベース5110、回転ベースの上部に配設された複数の採集管ホルダ5120、及び複数の採集管5130を備えるサンプル混合システム5100を特徴とする。各管は、複数の採集管の採集管ホルダに収まり且つ配設されるように構成される。本発明を特定の理論又は機構に限定することは望まないが、回転ベース5110は、その中に配設される採集管ホルダ5120及び採集管5130が弓形経路で回転又は移動するように回転することができ、採集管5130における内容物は、上記運動によって混合される。
【0295】
いくつかの実施例では、回転ベース5110は、それが配設されるプラットフォーム5360の上で往復回転できる。回転ベース5110は、その中心軸を中心に上記回転ベース5110を回転させるモータ5340へ動作可能に結合されてもよい。回転ベース5110は、その中心軸を中心に第1の方向、第2の方向、又は両方向に回転できる。例えば、回転ベース5110は、第1の方向、第2の方向、又は両方向に回転して、「使用中」採集管から次の又は隣接する「待機中」採集管へ変化できる。切替え目的のために、いくつかの実施例では、回転ベース5110は、約45°から360°まで回転できる。
【0296】
いくつかの実施例では、モータは、サンプル管の円弧状の往復の混合を自動的に誘起するために使用されるステッパ・モータである。他の混合解決策から、これはピボットベースの運動である。モータは円弧に沿って移動し、これにより、採集管5130はマイクロ流体系モジュールの下の滴下経路内に留まることができる。いくつかの実施例では、混合目的のために、回転ベース5110は約10°~40°回転できる。
【0297】
他の実施例では、回転ベース5110は、軌道シェーカの運動、すなわち軌道移動と同様に、旋回運動でサンプル管の混合を誘起するように軌道経路を移動できる。軸回転に代えて、又は軸回転と併せて、回転ベースの軸は、採集管5130もマイクロ流体系モジュールの滴下経路の下に留まりながら円形経路を移動するように、短径を有する円形経路に沿って移動できる。
【0298】
いくつかの好ましい実施例では、混合技術は、採集管の緩やかなかき混ぜ又は混合を可能にする。いくつかの実施例では、混合技術は定期的に実行される。例えば、採集管は、持続時間の間、定期的に混合される。例えば、採集管は、約10~120秒の範囲の持続時間、約3~8分ごとに混合される。いくつかの実施例では、システム5100は、内部の内容物を混合する主タスクに焦点を合わせながら、「使用中」採集管から「待機中」採集管への自動切替えを可能にする。いくつかの実施例では、設計は、混合装置がモジュール式フロー・サイトメトリ・システム内に設けられた空間内に収まるように構成されるように最適化される。
【0299】
一実施例では、ステッパ・モータ5340のための混合プロファイルは、可能な1600ステップのうち、+/-50ステップの左、中心へ戻る、及び右の運動を含んでもよい。非限定的な実施例では、例えば、左、中心へ戻る、及び右の運動のそれぞれに対して+/-50ステップの混合プロファイルは、22.5度の全弓形運動に対する+/-11.25度の円弧を含んでもよい。しかしながら、この範囲は、サンプル出力の流れのサイズ、サンプル採集容器若しくは管のサイズ、及び必要な混合の程度に基づいて増加又は減少してもよい。例えば、より短くより急速な移動を引き起こすより小さいステップを使用して、より強い混合プロファイルが得られ得る。これにより、揺れ運動の代わりに、かき混ぜられた又は混合されたサンプルにインパルス・タイプの運動が引き起こされる。別の例では、各方向に50ステップを超える運動及び22.5度を超える弓形運動を有する混合プロファイルが、より大きなサンプル容器、より粘性のあるサンプル、より徹底的又は均一な混合を必要とするサンプル、又はより大きなサンプルのサイズのいずれに対しても所望又は必要とされ得る。さらに、ベースを回転させる若しくはベースを往復運動で移動させるリニア・アクチュエータ、ベースを回転若しくは移動させるブラシ付き若しくはブラシレス電動モータ、ベースを回転若しくは移動させる空気圧アクチュエータなどの流体アクチュエータ、又はベースを攪拌若しくは移動させる圧電アクチュエータなどの、回転ベース5110を回転させる他の手段がベースを回転又は移動するために使用されてもよい。
【0300】
混合プロファイルの指定の構成は、ユーザによって手動で構成され、処理されている個々のサンプルに対して一意であってもよく、又は混合プロファイルの指定の構成がサンプルのタイプに基づいて自動的に決められてもよい。例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、又はRFIDタグなどの情報記憶手段から読み取られたコードは、機械によってサンプル容器から読み取られてもよく、サンプルのための混合プロファイルを画定するために使用される構成情報のセットを構成、検索又は別の方法で識別するために使用されてもよい。情報記憶手段は、混合プロファイル情報を含んでもよく、又は、そのような情報が見出される場所、ポインタ、若しくはアドレスを含んでもよい。本発明のシステム内へ入力された、又は本システムによって読み取られた混合プロファイルは、ユーザ又はオペレータからの最小の追加の入力又は作用の有無にかかわらず、混合プロファイルによって、サンプル混合器で処理されたサンプルを自動的に混合する、かき混ぜる、又は攪拌するために使用される。
【0301】
いくつかの実施例では、回転ベース5110は円板である。
図35Aを参照すると、回転ベース5110は、互いから別々に配置される磁石5112を含んでもよい。各採集管ホルダのベース5122も磁石5124を含む。採集管ホルダ5120は、上記採集管ホルダの磁石5124と回転ベースの磁石5112のうちの1つとの間の磁気引力によって回転ベース5110へ取り付けることができる。別の実施例では、磁石5124の使用の代わりに、又は加えて、回転ベース5110を対応するねじ付きロッド又はボルトへ固定するために、ねじ付きナット又はノブが使用されてもよい。
【0302】
いくつかの実施例では、システムは、約2~6の採集管ホルダ5120を備えてもよい。回転ベース磁石5112の数及び場所は、採集管ホルダの数によって決められてもよい。例えば、システムが2つの採集管ホルダ5120を備える場合、管ホルダは正反対又は180°離れている。4つの採集管ホルダ5120の場合、配置は90°離れてもよく、6つの採集管ホルダ5120の場合、配置は60°離れてもよい。
【0303】
他の実施例では、採集管ホルダは、ベース5122から上方に突出する2つ以上のアーム5126を備えてもよい。2つ以上のアーム5126は、採集管5130を直立させて保持するように構成されている。いくつかの実施例では、管ホルダベースは、円形又は正方形であってもよい。非限定的な実施例では、
図34は、管ホルダベース5122の両側に配設され、それらから上方に突出する2つのアーム5126を備える採集管ホルダを示す。別の実施例は、互いから等距離の、例えば90°離れた、又は正方形ベースの角にある4つのアーム5126を備えてもよい。一実施例では、アーム5126は、管ホルダベース5122の縁辺へ接続されてもよく、或いは、アーム5126は、管ホルダベース5122の上面へ取り付けられてもよい。別の実施例では、アーム5126は、上方から見たときに湾曲し、側方から見たときにまっすぐであってもよい。或いは、アーム5126は、上方から見ても側方から見てもまっすぐであることができる。さらに他の実施例では、採集管ホルダ5120は、完全に密閉された側面を有する円形又は正方形の管を備えてもよい。別の実施例では、採集管ホルダは、採集管又は容器を採集管ホルダへ固定するための固定手段を有する少なくとも1つのアーム又は突起を備えてもよい。固定手段は、摩擦嵌合開口部、1セットの磁石、磁石及び磁気受容材料の要素、金属若しくはプラスチックのクリップ若しくはファスナ、面ファスナ、又は止め輪若しくはカラーであってもよい。
【0304】
好ましい実施例では、2つ以上のアーム5126は、様々なサイズの採集管5130を収容するために拡張可能である。一実施例では、採集管の容積容量は約50ml~約300mlの範囲である。例えば、採集管は、50ml又は250mlの容積を有してもよい。別の実施例では、採集管の直径は、約100mm~約200mmの範囲であってもよい。別の実施例では、採集管の直径は、約50mm~約150mmの範囲であってもよい。採集管の高さは、約150mm~約250mmの範囲であってもよい。他の実施例では、管ホルダの高さは、採集管よりも短くてもよい。管ホルダの高さは50mm~100mmの範囲であってもよい。しかしながら、本明細書に記載されるような任意の好適な手段によって回転可能又は移動可能な基板へ固定された任意の好適な採集管又は容器が使用されてもよい。
【0305】
いくつかの実施例では、サンプル混合システム5100は、1つ又は複数のホール効果センサをさらに備えてもよい。非限定的な実施例では、
図35Bに示されるように、回転ベース5110における磁石5112のうちの1つは、その南極が1つ又は複数のホール効果センサへ配向されてもよく、他の磁石5112は、それらの北極が1つ又は複数のホール効果センサへ向けられるように配向されてもよい。ベース5110の上部及び下部にある磁石5112の北端又は北極は、サンプル管搭載器をベース5110上の定位置に保持又は留めるように構成される。サンプル管搭載器は、サンプル採集管又は容器を磁石の位置で保持且つ配置する。別の実施例では、1つ又は複数のサンプル管ホルダは、ベース5110へ一体化される。別の実施例では、サンプル管ホルダは、ベース上の対応する開口部内への圧入、1つ又は複数のプラスチック・クリップ、ばね仕掛けのクランプ、又はスクリュー、ボルト、若しくはリベットなどの1つ若しくは複数のファスナによって留められる。一実施例では、ベース5110の上部に配設された南端又は南極を有する磁石5112は、戻り位置又は位置0まで追跡する又は帰るために使用される。ホール効果センサを使用して、この磁石を検出又は識別して位置0を決め、その後、ベース5110は採集位置へ回転させ又は回されてもよい。光学的センサ及びベース5110の対応する印又は物理的特徴、電気スイッチ、ベース5110上の導電性エリアと固定位置での対応する導電性エリア、機械的スイッチ、ベース5110上の物理的リップ、縁辺若しくは係合タブなどのハード・ストップ、又は絶対的符号器のような他のセンサが、戻り位置又は位置0へ追跡する又は帰るために、ホール効果センサ及び対応する磁石の代わりに使用されてもよい。これらのセンサ・タイプのいずれも、戻り位置又は位置0を識別し、ベース5110を指定位置又は設定位置へ移動させるために使用されてもよい。
【0306】
いくつかの実施例によれば、サンプル混合システム5100は、サンプルを混合する方法で実施されてもよい。例えば、本発明は、精液サンプルの処理、例えば、精子細胞の混合に使用できる。このようにサンプル処理システムで使用されるとき、サンプル混合システム5100は、サンプルにおけるコンポーネント又は粒子の処理においてマイクロ流体系チップ及び1つ又は複数の光学的コンポーネントを採用するものなどの、フロー・サイトメトリ・システムのコンポーネントであってもよい。これは、例えば、精子細胞におけるDNAの量又はタイプなどの粒子の特性の判定であってもよい。このようにフロー・サイトメトリ・システムによって処理されたサンプルは、処理領域を出て、サンプル採集容器又は管に採集され、サンプルが均一に混合された懸濁液などの懸濁液に留まることが必要とされる追加の媒体又は流体で採集されてもよい。
【0307】
図36A及び
図36Bに示されるように、一実施例では、システム5100は分注機器の下に配置できる。分注機器は、回転ベースが弓形経路を移動するときに、サンプルを採集管5130のうちの1つの中へ分注できる。好ましい実施例では、サンプルを受ける採集管5130は、上記採集管5130が弓形経路を移動するとき、分注機器の分注経路の下に留まり、それによって採集管5130においてサンプルを混合する。非限定的な実施例では、サンプルは精子細胞を含んでもよく、採集管5130は媒体を含むことができる。本発明を特定の理論又は機構へ限定することは望まないが、本方法は、細胞が媒体の過剰濃縮溶液中にある時間を低減できる。例えば、媒体は、サンプルを添加する前に管内にある、又はサンプルと共に添加された緩衝媒体であってもよい。媒体は、緩衝を維持し、緩衝の程度を制御するために混合又は攪拌される。
【0308】
いくつかの実施例では、サンプルは、採集管内へ滴下されてもよい。他の実施例では、サンプルは、採集管内へ連続して分注されてもよい。マイクロ流体系チップなどのフロー・サイトメータ・デバイスにサンプルを強制的に通すために、注射器ポンプ、又は他の好適な油圧若しくは空気圧ポンプなどの流体ポンプを使用してもよい。サンプルは、フロー・サイトメータ内へ挿入され、フロー・サイトメータの1つ又は複数のシステム又は要素によって処理され、フロー・サイトメータの末端にある1つ又は複数の出口から放出される。例えば、一実施例では、サンプル及び少なくとも1つのシース流体はマイクロ流体系チップ内へ挿入され、サンプルは、1セットの電磁放射発光デバイス(例えば、レーザ・モジュール及び関連する光学系)などのマイクロ流体系チップの作用又は問合せ領域で処理され、サンプルはマイクロ流体系チップの末端での1つ又は複数の出口から放出される。処理されたサンプルは、次に、流体圧力及び/又は重力の動作によって、1つ若しくは複数のチャネル又は開口部を通してサンプル採集管内へ滴下、落下、又は排水される。
【0309】
1つの採集管5130、例えば「使用中」の管におけるサンプルを一定時間、混合した後、システム5100は、サンプルが上記採集管5130内へ分注されるように、別の採集管5130、例えば「待機中」の管を分注機器の下に自動的に置いてもよい。いくつかの実施例では、混合のための時間は約3~8分である。
【0310】
液体レベル・センサ
【0311】
いくつかの実施例では、サンプル混合システムは、採集管内部の液体レベルを検出するセンサを含む。センサは、採集管の表面又はその近くに配置されてもよい。例えば、センサは表面から1~10mmに配置される。一実施例では、
図38A及び
図38Bは、液体レベル検出の正方形静電容量センサの例を示す。別の実施例では、
図39A及び
図39Bは、液体レベル検出の管状静電容量センサの例を示す。他の実施例では、液体レベル・センサは赤外線センサである。
【0312】
特定の理論又は機構に縛られることは望まないが、液体レベル・センサは、採集管において所望のレベルの流体に達したときにそのことを検出できる。液体レベルが満たされると、システム5100は、別の採集管5130を分注機器の下に自動的に置いて、液体レベル・センサは、次いで、この採集管の内部の液体レベルを検出する。これは、例えば、ベース110を回転させて、別の採集管をサンプル採集場所又はサンプル分注経路の下に配置することによってなされてもよい。第1の管が所望のレベルまで充填されていると決められると、又はセンサが特定のレベルの流体を検出すると、例えば、第1の採集管においてサンプル流体を混合することによって流体が特定の点まではね散らされ又は上昇させると、第1の採集管は、サンプル分注経路の外に回転させ、第2の管が経路内へ回転されてもよい。サンプル分注経路の下又はサンプル分注場所に採集管がないとき、処理されているサンプルは、以下に説明するように廃棄物収集場所内へ投棄又は進路を変えられてもよい。
【0313】
自動ダンプ・モジュール
【0314】
図40A及び
図40Bを参照すると、いくつかの実施例では、自動ダンプ・サブシステムがサンプル混合システムと結合されてもよい。「自動ダンプ」システムは、マイクロ流体系チップ・ベースのシステムなどのフロー・サイトメータによって処理されたサンプルの経路を決めるように構成された機械的ダイバータを備える。自動ダンプの機械的ダイバータは、決められたセットのパラメータに基づいて、処理されたサンプルの通路を自動的に進路を変えさせ、再度決めて、又は変更するために使用される。例えば、自動ダンプの機械的ダイバータは、サンプルがフロー・サイトメトリ・システムによって適切に処理されなかった成分又は粒子(例えば、精子細胞などの細胞)を含むという判定に基づいて、処理されたサンプルの経路を自動的に進路変更又は再度決めるように構成されてもよい。一実施例において、これは、フロー・サイトメータのレーザ・ベースの「レーザ・キル」システムによって完全に又は適切に不活性化されなかった精液サンプルにおける1つ又は複数の精子細胞であってもよい。不活性化されるべきであった細胞が処理されたサンプルに存在する場合、サンプルは廃棄物収集場所内へ進路を変えさせてもよい。
【0315】
本発明を制限することは望まないが、機械的ダイバータ又は自動ダンプは、フローがソフトウェアの裁量で自律システムを通って採集管に入るのを防止するように構成される。いくつかの実施例では、自動ダンプは、シース流体を採集シュートから離して分散させるキャップを備えてもよい。自動ダンプ・キャップは、CYTOP(商標)などのフルオロポリマーで被覆されてもよい。他の実施例では、流体液滴はキャップの下で転動することができない。一実施例では、キャップは、さらに確実に流体がキャップの下に入らないようにするためにアンダーカットを含んでもよい。
【0316】
一実施例では、マイクロ流体系チップ・ベースのシステムなどのフロー・サイトメトリ・システムは、サンプルを連続して処理する。処理されたサンプル全体がサンプル採集管に採集され、サンプルは、マイクロ流体系チップ内で廃棄物収集場所などの別の採集場所へ進路変更されない。しかしながら、処理されたサンプルは、特定の状況下でマイクロ流体系チップにおける出口から放出された後、進路が変えられることが望ましいことがある。例えば、レーザ光学的コンポーネントなどの処理しているコンポーネントが較正されていないか、又は誤整列された場合、処理されているサンプルは、処理システムによって取り除かれる又は不活性化されるべきであった望ましくない要素を含むことがある。これは、処理システムによって取り除かれる又は不活性化されるべきであったサンプルにおける細胞などの、取り除かれる又は不活性化されるべきであったサンプルのサブセットであってもよい。これが生じた場合、不適切に処理されたサンプルは、サンプル採集管に採集されないように機械的に進路が変えられる。これにより、望ましくない特性を含む処理されたサンプルが、望ましい特性を含むサンプルと混合すること、又はこのサンプルを汚染することを防ぐ。
【0317】
これは、「フィルタリングする」又は「フィルタリングしない」と称されてもよい。例えば、デフォルト位置は、所望の条件のセットが満たされない限り、マイクロ流体系チップからの全てのサンプルを「フィルタリングする」通常は閉じている機械的ダイバータであってもよい。これは、サンプルが、DNA部分などの特定の特性を有する細胞若しくは粒子を含むのみである若しくは主として含む場合、又は処理されたサンプルを採集するために適切なサンプル採集管が配置されているときであってもよい。所望の条件が満たされると、機械的ダイバータが、処理されたサンプルをフィルタリングしないように開けられる。ダイバータを開くと、処理されたサンプルは、サンプル採集管などによって採集されてもよい。フィルタリングされたサンプルは、廃棄物収集用大型箱、又は廃棄物収集用に指定されたサンプル採集管などの廃棄物収集場所内へ投棄又は進路を変えさせてもよい。
【0318】
機械的ダイバータは、2位置リニア・アクチュエータ、ソレノイドなどのリニア・アクチュエータ、又は処理されたサンプルがサンプル採集管に採集されることができる少なくとも1つの開口部を有する回転キャップを含む空気圧作動回転システムなどの流体作動回転システムによって動作されてもよい。
【0319】
いくつかの実施例では、自動ダンプ・サブシステムは、プロセスで使用された全ての化学物質を許容できる。サブシステムは、採集シュートが開いているか閉じているかを判定することもできる。他の実施例では、サブシステムは、機器の内部のメンテナンスのために分解し、再度組立ができる。例えば、2つのスクリューは、
図40Aにおいて丸で囲まれたエリアであるが、自動ダンプ・サブシステム5160のアクチュエータを取り外すために取り外されることができる。
【0320】
本発明を特定の用途又は実施例へ限定することは望まないが、本発明のシステム、装置、及び方法は、
図41に実証される精液性判別システムなどの粒子処理システムと併用されてもよい。一実施例では、精液性判別システムは、サンプル粒子を含む流体の流れを粒子問合せ場所に通して向けるように構成されたフロー・チャンバを備えるフロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを備えてもよい。サンプル粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスに入る前に染色又は他の方法で処理された精子などの細胞であってもよい。フロー・サイトメトリ・デバイスは、粒子問合せ場所へのビーム経路に沿って電磁放射を放射するように構成されたレーザと、粒子からの放射を検出するように構成された検出器とをさらに備えてもよい。検出に続いて、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出る前又は後に、電磁放射による切除などによって選別又は破壊されてもよい。本発明のサンプル混合システムは、問合せ、判定、及び選別若しくは破壊プロセスに続いて採集された粒子及び流体のサンプルを混合するために使用されてもよい。
【0321】
本発明のサンプル混合システムは、粒子がフロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスにおいて問合せ場所を通って流れるとき、流体の流れに含まれる精子細胞などの粒子を分析する方法と併用、又はこの方法に使用されてもよい。このような方法は、レーザから放射された電磁放射を使用して、流体の流れとそれに含まれる粒子とを照明することを含む。アバランシェ・フォトダイオードなどの検出器は、粒子によって問合せ場所から放射される電磁放射を検出し、プロセッサは、検出器からの信号に部分的に基づいて流体の流れにおける粒子の特性を決める。検出に続いて、粒子は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスを出る前又は後に、電磁放射による切除又は光損傷などによって選別又は破壊されてもよい。本発明のサンプル混合システムは、問合せ、判定、及び選別若しくは破壊プロセスに続いて採集された粒子及び流体のサンプルを混合するために使用されてもよい。
【0322】
本発明のサンプル混合システムは、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系チップ若しくはデバイスを使用して精子細胞の核内のDNAの量を評価する方法と併用、又はこの方法に使用されてもよい。この方法は、精子細胞の核内のDNAに染色し、次いで、精子細胞がフロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイスの対応する領域でレーザを通り過ぎるときに、レーザなどの電磁放射デバイスによって精子細胞の核内の染色されたDNAに照射することを含んでもよい。アバランシェ・フォトダイオードなどの検出器は、フロー・サイトメトリ装置又はマイクロ流体系デバイス内の検出又は問合せ場所で、精子細胞の核内の照射及び染色されたDNAから発する蛍光を検出する。この方法は、精子細胞の核内の検出された量のDNAを使用して精子細胞の性別を最初に決めて、次いで上記性別判定に基づいて複数の精子細胞間で区別することによって、X染色体担持精子細胞及びY染色体担持精子細胞を区別することをさらに含んでもよい。精子細胞の特性は、精子細胞の核内に対応する量のDNAを含んでもよい。この方法は、所与の精子細胞の核内の決められた量のDNAに基づいて所与の精子細胞を不活性化することをさらに含んでもよい。上記不活性化は、電磁放射の放射によって所与の精子細胞を光損傷又は切除することを含んでもよい。
【0323】
他の実施例では、この方法は、運ばれた上記精子細胞のうちの1つを有する複数の液滴を形成し、上記液滴に運ばれた上記精子細胞の上記性別区別特性に基づいて上記液滴の各々に差分的に帯電させ、上記液滴の各々を偏向させ、上記液滴に運ばれた上記精子細胞の上記性別区別特性に基づいて上記液滴の各々を差分的に採集することをさらに含んでもよい。この方法は、精子細胞がマイクロ流体系デバイスから出るときに、判定、選別、又は不活性化後に精子細胞を採集することをさらに含んでもよい。本発明のサンプル混合システムは、問合せ、判定、及び選別若しくは破壊プロセスに続いて採集された粒子及び流体のサンプルを混合するために使用されてもよい。
【0324】
追加の自動化機能
【0325】
いくつかの実施例では、機械的ダイバータ又は自動ダンプを使用してサンプル経路を決めることを自動化することに加えて、及びサンプル混合システムを使用してサンプル混合プロセスを自動化することに加えて、フロー・サイトメトリベースの粒子処理システムの追加の要素が自動化されてもよい。例えば、サンプルと共に使用される流体圧力、使用されるシース流体の量、容積若しくは速度、レーザ・モジュールの電力若しくは持続時間、又は細胞などの粒子において識別される所望の特性に関するパラメータは、フロー・サイトメトリ・システムによって検出された、又はオペレータによって入力されたサンプル・タイプに基づいて自動的に決められてもよい。一実施例では、これは、オペレータによって、サンプル上のタグ又は識別子をスキャンすることを含んでもよい。タグ又は識別子は、サンプル上のバーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、又は同様の情報符号化タグであってもよいが、フロー・サイトメトリ・システムのための構成情報のセットを含んでもよく、又は、そのような情報が格納される場所へのアドレス、ポインタ、若しくはリンクを含んでもよい。サンプル上のタグ又は識別子でスキャンされた情報に基づいて、フロー・サイトメトリ・システムは、個々のサンプル又はサンプル・タイプに最適なパラメータで自動的に構成されてもよい。
【0326】
例えば、個体のボスおうし座雄牛からの精液サンプルは、一貫性、精子細胞密度、pH(例えば、酸性度)、受胎能力、又は脆弱性において異なることがあり、精液サンプルの処理、例えば、精子細胞を含むX染色体又は精子細胞を含むY染色体などのDNAの量又はタイプを含むサンプル内から精子細胞を識別及び不活性化するなどを成功させるために、特定のパラメータを必要とすることがある。特定の処理要件は、サンプル上のタグ若しくは識別子、又はタグ若しくは識別子によって識別されたデータベース記録若しくは場所に格納されてもよく、それらの処理要件は、フロー・サイトメトリベースのシステムの構成要件を含んでもよい。
【0327】
サンプル及びシース流体の流量及び/又は圧力、検出される染色体タイプ、レーザ力及び/又は持続時間、媒体のpH、システムによって自動的に導入される添加剤の量又はタイプ、並びに他のパラメータは、その指定のサンプルに対してシステムによって設定且つ自動的に実行されてもよい。このようにして、サンプルは、人間のオペレータがこの情報を断片的に使用してフロー・サイトメトリ・システムを検索、構成、又は較正することを必要とすることなく、指定のサンプルにとって理想的な条件下で処理されてもよい。
【0328】
実施例
【0329】
以下の実施例は、単なる例示であって、制限することのないように意図されている。
【0330】
実施例セットA:
【0331】
「実施例A1」
サンプルを処理するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムであって、
- 支持構造体と、
- 電子系モジュールと、
- サンプル通路モジュールと、
- 流体系モジュールと、
- 問合せモジュールと、
- サンプル混合及び採集モジュールと
を備えるシステムにおいて、
- 各モジュールが、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されて、支持構造体に配設されている、
システム。
【0332】
「実施例A2」
サンプル通路モジュールを洗浄するためのマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備える、実施例A1に記載のシステム。
【0333】
「実施例A3」
サンプルを処理するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムであって、
- 支持構造体と、
- 1つ又は複数のコンピュータ・プロセッサ及び電子的ポートを備える電子系モジュールと、
- 少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを有するマイクロ流体系モジュールを備えるサンプル通路モジュールと、
- サンプル通路モジュールを通して1つ又は複数の流体を循環させるように、サンプル通路モジュールに流体結合された流体系モジュールと、
- 電子系モジュールに動作可能に結合された問合せモジュールであって、
検出器、並びにマイクロ流体系チップを通って流れるサンプルを処理するための検出レーザ及びキル・レーザを含む問合せモジュールと、
- マイクロ流体系モジュールから出てくる処理されたサンプルを採集して混合するように構成されたサンプル混合及び採集モジュールと
を備えるシステムにおいて、
- モジュールの各々が、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムのほぼ連続的な運転のために、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されて、支持構造体に配設されている、
システム。
【0334】
「実施例A4」
キル・レーザと検出レーザとが、互いに、問合せモジュールの共通の側に配設されている、実施例A3に記載のシステム。
【0335】
「実施例A5」
サンプル混合及び採集モジュールが、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする、実施例A3又は実施例A4に記載のシステム。
【0336】
「実施例A6」
サンプルを性判別するためのモジュール式フロー・サイトメトリ・システムであって、
- 複数のレベルに区分されたシャーシと、
- シャーシの複数のレベルのうち最低の第1のレベルに配設された電子系モジュールであって、1つ又は複数のコンピュータ・プロセッサ及び複数の電子系ポートを含む電子系モジュールと、
- シャーシの第2のレベルに配設されたサンプル通路モジュールであって、マイクロ流体系チップを保持するためのマイクロ流体系モジュールを含むサンプル通路モジュールと、
- シャーシの第2のレベルに配設された流体系モジュールであって、サンプル通路モジュールを通して1つ又は複数の流体を循環させるように、サンプル通路モジュールに流体結合された流体系モジュールと、
- マイクロ流体系チップを通って流れるサンプルを処理するために検出組立体に動作可能に結合された検出レーザ及びキル・レーザを含み、シャーシの第3のレベルに配設されて、電子系モジュールに動作可能に結合された問合せモジュールであって、キル・レーザと検出レーザとが、互いに、問合せモジュールの共通の側に配設されている、問合せモジュールと、
- マイクロ流体系チップから出てくる処理されたサンプルを採集して自動的に混合するように構成され、シャーシの同じ第2のレベルにおいてマイクロ流体系モジュールの下に配設されている、サンプル混合及び採集モジュールであって、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にするサンプル混合及び採集モジュールと
を備えるシステムにおいて、
- それぞれのモジュールが、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムのほぼ連続的な運転のために、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されている、
システム。
【0337】
「実施例A7」
サンプル通路モジュールが、マイクロ流体系モジュールに流体結合された分配ブロックをさらに備え、分配ブロックが、第1の流体系ラインを通してマイクロ流体系モジュールにサンプルを配送し、第2の流体系ラインを通してマイクロ流体系モジュールにシース流体を配送する、実施例A3~A6のいずれか1つに記載のシステム。
【0338】
「実施例A8」
分配ブロックが流体系マニホールドを備える、実施例A7に記載のシステム。
【0339】
「実施例A9」
分配ブロックがサンプル管ローダをさらに備える、実施例A7又は実施例A8に記載のシステム。
【0340】
「実施例A10」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールをさらに備える、実施例A3~A9のいずれか1つに記載のシステム。
【0341】
「実施例A11」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールが、
- 流体リザーバのセットと、
- ポンプ組立体と、
- 分配ブロック固定要素及び分配ブロック調整要素を備える分配ブロック・インターフェイスであって、流体インターフェイスのセットをさらに備え、流体インターフェイスのセットのうち少なくとも1つが流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する、分配ブロック・インターフェイスと、
- マイクロ流体系デバイス固定要素及びマイクロ流体系デバイス整列要素を備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスであって、流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスをさらに備える、マイクロ流体系デバイス・インターフェイスと
を備えるマイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールを備え、
- 分配ブロック・インターフェイスが、その上に分配ブロックを固定するように適合されており、マイクロ流体系デバイス・インターフェイスが、その上にマイクロ流体系モジュールを固定するように適合されており、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムが、サンプル通路モジュールを通して流体を循環させるサンプル通路モジュールを洗浄するように適合されている、
実施例A10に記載のシステム。
【0342】
「実施例A12」
キル・レーザ及び検出レーザが、それぞれマイクロ流体系チップの主面に関連して共通の側に配設されている、実施例A6~A11のいずれか1つに記載のシステム。
【0343】
「実施例A13」
キル・レーザ及び検出レーザが、それぞれ、焦点面において楕円のビーム・プロファイルを含むレーザ・ビームを放射するように適合されている、実施例A3~A12のいずれか1つに記載のシステム。
【0344】
「実施例A14」
サンプル混合及び採集モジュールが、
- 回転ベースと、
- 回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、
- それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと、
- 流体レベル・センサと
を備える、システムであって、
- 採集管のうち1つが、処理されたサンプルが前記採集管に採集されるように、マイクロ流体系チップの下に配置されており、
- サンプル混合及び採集モジュールが、前記採集管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、処理されたサンプルを採集するために別の採集管と交換するように構成されている、
実施例A1~A13のいずれか1つに記載のシステム。
【0345】
「実施例A15」
サンプル混合及び採集モジュールが、マイクロ流体系モジュールから出てくる処理されたサンプルがサンプル混合及び採集モジュールに入るのを防止するように構成された機械的ダイバータをさらに備える、実施例A1~A14のいずれか1つに記載のシステム。
【0346】
「実施例A16」
問合せモジュールがレーザ用のレーザ・ヒートシンクを備え、レーザ・ヒートシンクが、問合せモジュールを冷却するために、自然対流によって空気を引き込むことができる実施例A1~A15のいずれか1つに記載のシステム。
【0347】
「実施例A17」
サンプルが、精子細胞を含む精液サンプルである、実施例A1~A16のいずれか1つに記載のシステム。
【0348】
「実施例A18」
電子系モジュールが、コンピュータ・プロセッサ及び他の電子部品を収容するための、取外し可能な蓋付きの電子系ボックスを含み、電子部品が、取外し可能であり置換又は再接続され得る、実施例A1~A17のいずれか1つに記載のシステム。
【0349】
「実施例A19」
電子系ボックスが、容易に移動できるようにレール上に配設されている、実施例A18に記載のシステム。
【0350】
「実施例A20」
電子系モジュールが、電子部品を冷却するための1つ又は複数のファンを含む、実施例A1~A19のいずれか1つに記載のシステム。
【0351】
「実施例A21」
問合せモジュールの問合せ構成要素が、取外し可能であり置換又は再接続され得る、実施例A1~A20のいずれか1つに記載のシステム。
【0352】
「実施例A22」
1つ又は複数の識別要素が、マイクロ流体系チップの表面上に配設され、又は前記表面にエッチングされている、実施例A6~A21のいずれか1つに記載のシステム。
【0353】
「実施例A23」
1つ又は複数の識別要素が、文字数字の列、バーコード、QRコード(登録商標)、基準マーカ、又はこれらの組合せを含む、実施例A22に記載のシステム。
【0354】
「実施例A24」
1つ又は複数の識別要素が、マイクロ流体系モジュールに現在搭載されているチップを識別するために使用される、実施例A22又は実施例A23に記載のシステム。
【0355】
「実施例A25」
識別要素が、検出レーザ及びキル・レーザに対してマイクロ流体系チップを自動的に整列させて配置するために使用される、実施例A22~A24のいずれか1つに記載のシステム。
【0356】
「実施例A26」
マイクロ流体系チップの位置を再調整する多軸ステージに、識別要素付きマイクロ流体系チップが取り付けられている、実施例A22~A25のいずれか1つに記載のシステム。
【0357】
「実施例A27」
サンプル流量を利用してサンプル・レベルを決定し、サンプル・レベルが閾値レベル未満になったときにはそのことを通知するように適合された、自動サンプル・レベル検出器をさらに備える、実施例A1~A26のいずれか1つに記載のシステム。
【0358】
「実施例A28」
精子の性判別の方法であって、
- 精子細胞を、第1の特性、第2の特性、又は第3の特性を有するものとして分類するステップと、
- これらの分類を基に、精子細胞の少なくとも一部に、選択的に傷をつけるステップと
を含む方法。
【0359】
「実施例A29」
第1の特性が、1つの精子細胞からのX染色体の存在であり、第2の特性が、1つの精子細胞からのY染色体の存在であって、第3の特性が、X染色体とY染色体との両方の存在、又は複数の精子細胞による、染色体のうち1つの繰返しである、実施例A28に記載の方法。
【0360】
「実施例A30」
精子の性判別の方法であって、
- 染色された精子細胞に、第1の放射線源を用いて応答指令信号を送って蛍光放射を生成させるステップと、
- 前記蛍光放射を検出するステップと、
- 検出された蛍光放射に基づいて精子細胞を分類するステップと、
- これらの分類に基づき、精子細胞に、第2の放射線源を用いて選択的に傷をつけるステップと
を含む方法。
【0361】
「実施例A31」
精子の性判別の方法であって、
- 問合せ位置に、染色された精子細胞を含む流体流れを配送するステップと、
- 染色された精子細胞に、第1のレーザを用いて応答指令信号を送って蛍光放射を生成させるステップと、
- 前記蛍光放射を検出するステップと、
- 検出された蛍光放射に基づいて精子細胞を分類するステップと、
- これらの分類に基づき、分類された精子細胞の1つ又は複数の部分母集団に、第2のレーザを用いて選択的に傷をつけるステップと
を含む方法。
【0362】
「実施例A32」
精子細胞を染色して、染色された精子細胞を生成するステップさらに含む、実施例A28~A31のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
「実施例A33」
前記精子細胞が蛍光性のDNA結合性色素を用いて染色される、実施例A28~A32のいずれか1つに記載の方法。
【0364】
「実施例A34」
染色された精子細胞に応答指令信号を送ることにより、1つの精子細胞に対応する蛍光放射又は複数の精子細胞に対応する蛍光放射を生成する、実施例A30~A33のいずれか1つに記載の方法。
【0365】
「実施例A35」
精子細胞に傷をつけることにより、細胞に対してDNA損傷及び/又は膜傷をもたらす、実施例A28~A34のいずれか1つに記載の方法。
【0366】
「実施例A36」
精子細胞に傷をつけることにより、前記精子細胞を不妊の精子細胞又は死んだ精子細胞にする、実施例A28~A35のいずれか1つに記載の方法。
【0367】
「実施例A37」
性判別された精液製品を生成するための方法であって、
- 電子系モジュールと、サンプル通路モジュールと、流体系モジュールと、問合せモジュールと、サンプル混合及び採集モジュールとを備えるモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップであって、各モジュールが、別個に取り外して再設置されるか又は同一モジュールの別のもので置換されるように構成されて支持構造体の中に配設される、モジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップと、
- 染色された精子細胞を有する精液サンプルを、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、
- シース流体を、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、
- 問合せモジュールにおける検出レーザを使用して、染色された精子細胞に蛍光発光させるステップと、
- 染色された精子細胞の蛍光を検出するステップと、
- 検出された蛍光を基に、問合せモジュールにおけるキル・レーザを使用して、染色された精子細胞の部分母集団に傷をつけることにより、性判別された精液製品を生成するステップと、
- サンプル通路モジュールから流れてくる性判別された精液製品を、サンプル混合及び採集モジュールに採集するステップと、
- 採集された性判別された精液製品を混合するステップと
を含む方法。
【0368】
「実施例A38」
検出レーザ及びキル・レーザからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含む、実施例A37に記載の方法。
【0369】
「実施例A39」
精子細胞を含む精液サンプルを染色して、染色された精子細胞を生成するステップをさらに含む、実施例A37又は実施例A38に記載の方法。
【0370】
「実施例A40」
サンプル混合及び採集モジュールが、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きで、性判別された精液製品の混合を可能にする、実施例A37~A39のいずれか1つに記載の方法。
【0371】
「実施例A41」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールを使用してサンプル通路モジュールを洗浄するステップをさらに含む、実施例A37~A40のいずれか1つに記載の方法。
【0372】
「実施例A42」
性判別された精液製品を生成するための方法であって、
- 実施例A6~A27のいずれか1つに記載のモジュール式フロー・サイトメトリ・システムを用意するステップと、
- 精子細胞を含む精液サンプルを染色して、染色された精子細胞を生成するステップと、
- 精液サンプルを、流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通して流すステップと、
- 流体系モジュール及びサンプル通路モジュールを通してシース流体を流すステップであって、シース流体、マイクロ流体系チップにおける1つ又は複数のチャネル、又はそれらの組合せが、マイクロ流体系チップ内を流れるとき、染色された精子細胞に的を絞る、シース流体を流すステップと、
- 検出レーザからの、楕円のビーム・プロファイルを含む放射によって、染色された精子細胞に蛍光発光させるステップと、
- 検出組立体によって精子細胞の蛍光を検出するステップと、
- 検出された蛍光に基づき、キル・レーザからの放射によって、染色された精子細胞の1つ又は複数の部分母集団を不活性化することにより、性判別された精液製品を生成するステップであって、キル・レーザからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、検出レーザとキル・レーザとがマイクロ流体系チップの同一の側に配設されている、性判別された精液製品を生成するステップと、
- マイクロ流体系チップから流れてくる性判別された精液製品を、サンプル混合及び採集モジュールに採集するステップと、
- 採集された性判別された精液製品を、処理されるサンプルに関連する定義されたサンプル混合パラメータのセットに基づいて自動的に混合するステップであって、サンプル混合及び採集モジュールが、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転して、制御された均一な動きで、性判別された精液製品の混合を可能にするステップと
を含む方法。
【0373】
「実施例A43」
マイクロ流体系チップから出てくる性判別された精液製品の流れを、サンプル混合及び採集モジュールから離れるように個別の採集器に進路を変えるステップをさらに含む、実施例A42に記載の方法。
【0374】
「実施例A44」
- サンプル混合及び採集モジュールの採集管が、性判別された精液製品で所望のレベルまで充填されたとき、性判別された精液製品の流れを、マイクロ流体系チップから離れるように進路を変えるステップと、
- 第2の採集管が、性判別された精液製品を採集するように配置されるように、サンプル混合及び採集モジュールの回転ベースを回転させるステップと、
- 性判別された精液製品の流れを第2の採集管に進路を変えるステップと
をさらに含む、実施例A42又は実施例A43に記載の方法。
【0375】
「実施例A45」
マイクロ流体系チップ上に配設された識別要素を使用することにより、マイクロ流体系チップを検出レーザ及びキル・レーザに対して自動的に整列させて配置するステップをさらに含む、実施例A42~A44のいずれか1つに記載の方法。
【0376】
「実施例A46」
自動サンプル・レベル検出器を使用してサンプル・レベルを判定し、サンプル・レベルが閾値レベルを下回ったときにはそのことを通知するステップをさらに含む、実施例A42~A45のいずれか1つに記載の方法。
【0377】
「実施例A47」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・モジュールを使用してサンプル通路モジュールを洗浄するステップをさらに含む、実施例A42~A46のいずれか1つに記載の方法。
【0378】
実施例セットB:
【0379】
「実施例B1」
フロー・サイトメータ・システムで使用される取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールであって、流体通路が、
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、
- 流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、
- 分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成する、流体通路と
を備える、流体通路モジュールにおいて、
- 取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、
流体通路モジュール。
【0380】
「実施例B2」
マイクロ流体系デバイス固定装置が、マイクロ流体系モジュールにおいて、マイクロ流体系チップ又はマイクロ流体系カセットのうち1つを固定するように適合されている、実施例B1に記載の流体通路モジュール。
【0381】
「実施例B3」
マイクロ流体系デバイス固定装置が、マイクロ流体系チップ又はマイクロ流体系カセットの位置を調節するように適合された1つ又は複数の調節手段を備える、実施例B2に記載の流体通路モジュール。
【0382】
「実施例B4」
分配ブロックが流体系マニホールドを備える、実施例B1~B3のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0383】
「実施例B5」
分配ブロックがサンプル管ローダをさらに備える、実施例B1~B4のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0384】
「実施例B6」
- 分配ブロックが、別の流体出口のセットと流体連通している別の流体入口のセットをさらに備えて、第1の緩衝流体経路要素を形成し、
- マイクロ流体系モジュールが、別の流体出口のセットと流体連通している別の流体入口のセットをさらに備えて、第2の緩衝流体経路要素を形成し、
- 流体通路に、第1の緩衝流体経路要素と第2の緩衝流体経路要素とを接合し、流体連通させて、緩衝流体通路を形成する、第2の部分がさらに備わっている、
流体通路モジュールであって、
- 取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通って処理される緩衝流体が、処理中は緩衝流体通路に閉じ込められる、
実施例B1~B5のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0385】
「実施例B7」
分配ブロック及びマイクロ流体系モジュールのそれぞれが、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールをフロー・サイトメータ・システムに固定するように適合された解放可能な固定手段をさらに備える、実施例B1~B6のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0386】
「実施例B8」
解放可能な固定手段が、少なくとも1つの鉄プレート又は少なくとも1つの磁性プレートを備える、実施例B7に記載の流体通路モジュール。
【0387】
「実施例B9」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールが、固定手段を解放することにより、フロー・サイトメータ・システムから取外し可能になる、実施例B7又は実施例B8に記載の流体通路モジュール。
【0388】
「実施例B10」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの解放可能な固定手段が、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを流体通路クリーニング・システムに固定するようにさらに適合されている、実施例B7~B9のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0389】
「実施例B11」
サンプルが哺乳類の精液サンプルである、実施例B1~B10のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0390】
「実施例B12」
フロー・サイトメータ・システムが、サンプルを処理して、サンプルにおける部分母集団を識別する、実施例B1~B11のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0391】
「実施例B13」
フロー・サイトメータ・システムが、サンプルを処理して、精液の性判別動作を実行する、実施例B1~B12のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0392】
「実施例B14」
流体通路モジュールが識別要素を備える、実施例B1~B13のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0393】
「実施例B15」
識別要素が光学的識別要素又は無線識別要素を備える、実施例B14に記載の流体通路モジュール。
【0394】
「実施例B16」
光学的識別要素が、マイクロ流体系モジュールにおけるマイクロ流体系チップ上に特徴又は基準のセットを備える、実施例B15に記載の流体通路モジュール。
【0395】
「実施例B17」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムであって、
- 流体リザーバのセットと、
- ポンプ組立体と、
- 分配ブロック固定要素及び分配ブロック調整要素を備える分配ブロック・インターフェイスであって、流体インターフェイスのセットをさらに備え、流体インターフェイスのセットのうち少なくとも1つが流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する、分配ブロック・インターフェイスと、
- マイクロ流体系デバイス固定要素及びマイクロ流体系デバイス整列要素を備えるマイクロ流体系デバイス・インターフェイスであって、流体リザーバのセットのうち少なくとも1つと流体連通する流体インターフェイスをさらに備える、マイクロ流体系デバイス・インターフェイスと
を備え、
- 分配ブロック・インターフェイス及びマイクロ流体系デバイス・インターフェイスに固定された取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通して流体を循環させるように適合されている、
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0396】
「実施例B18」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールがフロー・サイトメータ・システムにおいて使用されるように適合されており、同モジュールが、
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、
- 流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、
- 分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成する、流体通路と
をさらに備える、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムであって、
- 取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、
実施例B17に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0397】
「実施例B19」
流体リザーバのセットが洗浄液リザーバ及び廃液リザーバを備える、実施例B17又は実施例B18に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0398】
「実施例B20」
流体リザーバのセットがシステムのハウジングの外部に配設されている、実施例B17~B19のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0399】
「実施例B21」
流体リザーバの外部セットに対する流体接続をもたらす複数の解放可能な接続部をさらに備える、実施例B17~B20のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0400】
「実施例B22」
ポンプ組立体が液体ポンプ及び空気ポンプを備える、実施例B17~B21のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0401】
「実施例B23」
ポンプのうち少なくとも1つが蠕動ポンプを備える、実施例B22に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0402】
「実施例B24」
内部の流体流れを制御するための弁のセットをさらに備える、実施例B17~B23のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0403】
「実施例B25」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの1つ又は複数の要素における流量を指示する信号を供給するように適合された流体フロー・センサのセットをさらに備える、実施例B17~B24のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0404】
「実施例B26」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの存否を指示する信号を供給するように適合された近接センサのセットをさらに備える、実施例B17~B25のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0405】
「実施例B27」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの画像、分配ブロック・インターフェイスの画像、又はマイクロ流体系デバイス・インターフェイスの画像のセットを取り込むための撮像デバイスをさらに備える、実施例B17~B26のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0406】
「実施例B28」
プロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェイスを備える監視及びインターフェイスのシステムをさらに備える、実施例B17~B27のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0407】
「実施例B29」
監視及びインターフェイスのシステムが、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム用のクリーニング・プロトコルを選択するか又は構成するための入力のセットを受け取るように適合されている、実施例B28に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0408】
「実施例B30」
入力のセットがユーザ入力のセットを含む、実施例B29に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0409】
「実施例B31」
入力のセットが、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの性質又は特性を基に自動的に決定される、実施例B29又は実施例B30に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0410】
「実施例B32」
監視及び入力のシステムが、少なくとも1つのセンサから入力のセットを受け取って、これを基にクリーニング・プロトコルを変更するように適合されている、実施例B29~B31のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0411】
「実施例B33」
監視及び入力のシステムが、クリーニング・プロトコルを基に、1つ又は複数の弁、アクチュエータ、又はポンプに、制御信号のセットを伝送するように適合されている、実施例B29~B32のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0412】
「実施例B34」
フロー・サイトメトリ・デバイスをさらに備える、実施例B17~B33のいずれか1つに記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0413】
「実施例B35」
フロー・サイトメトリ・デバイスが、蛍光ベースの検出及びレーザ・アブレーションのフロー・サイトメトリ・デバイスを備える、実施例B34に記載のマイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム。
【0414】
「実施例B36」
フロー・サイトメトリ・システム用のサンプル通路モジュールを置換し、洗浄するための方法であって、
- フロー・サイトメトリ・システムによってサンプルを処理するための流体通路全体を備えるサンプル通路モジュールを、フロー・サイトメトリ・デバイスから解放するステップと、
- フロー・サイトメトリ・デバイスからサンプル通路モジュールを取り外すステップと、
- サンプル通路モジュールを、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムの対応する受け部に接続するステップと、
- マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システム用のクリーニング・パラメータのセットを構成するステップと、
- クリーニング・パラメータのセットを基に、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムによって、サンプル通路モジュールを自動的に洗浄するステップと
を含む方法。
【0415】
「実施例B37」
フロー・サイトメータ・デバイスにおいて使用するように適合されたサンプル通路モジュールが、
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、
- 流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、
- 分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、流体通路を形成する、流体通路とをさらに備える、
方法であって、
- サンプル通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・システムによって処理されるサンプルが、処理中は流体通路に閉じ込められる、
実施例B36に記載の方法。
【0416】
「実施例B38」
マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムからサンプル通路モジュールを取り外すステップをさらに含む、実施例B36又は実施例B37に記載の方法。
【0417】
「実施例B39」
クリーニング・パラメータのセットが洗浄液の量又は体積を含む、実施例B36~B38のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
「実施例B40」
クリーニング・パラメータのセットが流体圧力を含む、実施例B36~B39のいずれか1つに記載の方法。
【0419】
「実施例B41」
クリーニング・パラメータのセットがクリーニング手順の期間を含む、実施例B36~B40のいずれか1つに記載の方法。
【0420】
「実施例B42」
クリーニング手順の期間が掃除される経路の数を含む、実施例B41に記載の方法。
【0421】
「実施例B43」
クリーニング手順の期間が少なくとも1つの乾燥サイクルを含む、実施例B41又はB42に記載の方法。
【0422】
「実施例B44」
撮像センサを使用して、サンプル通路モジュールにおける遮断物を検出し、自動クリーニングを停止するステップをさらに含む、実施例B36~B43のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
「実施例B45」
自動クリーニングを停止するステップが、エラー指示を供給するステップをさらに含む、実施例B44に記載の方法。
【0424】
「実施例B46」
少なくとも1つのフロー・センサを使用して、自動クリーニングに使用される流体の体積を測定するステップをさらに含む、実施例B36~B45のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
「実施例B47」
測定された体積が、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに関するメンテナンス・イベントを決定するために使用される、実施例B46に記載の方法。
【0426】
「実施例B48」
- 少なくとも1つの近接センサからの、サンプル通路モジュールが正しく接続されていることを指示する信号を、マイクロ流体系デバイス・クリーニング・システムに伝送するステップと、
- 伝送された信号を基に自動クリーニングを始動するステップと
をさらに含む、実施例B36~B47のいずれか1つに記載の方法。
【0427】
「実施例B49」
サンプル通路モジュールがフロー・サイトメータ・デバイスにおいて使用するように適合されており、サンプルを処理するための流体通路全体が、
- 流体入口及び流体出口を備えるサンプル通路であって、流体入口と流体出口とが流体連通しているサンプル通路と、
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備えるマイクロ流体系チップであって、流体入口のセットが流体出口のセットと流体連通して、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを形成する、マイクロ流体系チップと
をさらに備える、方法であって、
- サンプル通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設されており、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備え、
- サンプル通路モジュールを通ってフロー・サイトメータ・デバイスによって処理されるサンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、
実施例B36~B48のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
「実施例B50」
複数の粒子を含む流体サンプルを処理するのに用いる流体通路モジュールであって、流体通路が、
- 流体入口及び流体出口を備えるサンプル通路であって、流体入口と流体出口とが流体連通しているサンプル通路と、
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備えるマイクロ流体系チップであって、流体入口のセットが流体出口のセットと流体連通して、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルを形成する、マイクロ流体系チップと
を備える、流体通路モジュールにおいて、
- サンプル通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設されており、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備え、
- 流体通路モジュールを通ってフロー・サイトメトリ・デバイスによって処理される流体サンプルが、処理中はサンプル通路に閉じ込められる、
流体通路モジュール。
【0429】
「実施例B51」
流体入口及び流体出口を備えるシース流体通路であって、流体入口と流体出口とが流体連通しているシース流体通路をさらに備える、実施例B50に記載の流体通路モジュール。
【0430】
「実施例B52」
シース流体通路の流体入口と流体出口との間にマイクロ流体系チップが配設されており、少なくとも1つのマイクロ流体系チャネルがサンプル通路の要素を備える、実施例B51に記載の流体通路モジュール。
【0431】
「実施例B53」
- 流体入口のセット及び流体出口のセットを備える分配ブロックであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第1のサンプル通路要素を形成する、分配ブロックと、
- 流体入口のセット、流体出口のセット、及びマイクロ流体系チップを固定するように適合されたマイクロ流体系デバイス固定装置を備えるマイクロ流体系モジュールであって、流体入口のセットのうち少なくとも1つが、流体出口のセットのうち少なくとも1つと流体連通して第2のサンプル通路要素を形成する、マイクロ流体系モジュールと、
- 分配ブロックの流体出口のセットとマイクロ流体系モジュールの流体入口のセットとの間を流体連通させる流体通路であって、流体通路の一部が、第1のサンプル通路要素と第2のサンプル通路要素とを接合し、流体連通させて、サンプル通路を形成する、流体通路と
をさらに備える、実施例B50~B52のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0432】
「実施例B54」
分配ブロックが流体系マニホールドを備える、実施例B53に記載の流体通路モジュール。
【0433】
「実施例B55」
分配ブロックがサンプル管ローダをさらに備える、実施例B53及び実施例B54に記載の流体通路モジュール。
【0434】
「実施例B56」
流体通路モジュールをフロー・サイトメータ・システムに固定するように適合された解放可能な固定手段をさらに備える、実施例B50~B55のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0435】
「実施例B57」
解放可能な固定手段が少なくとも1つの鉄プレート又は少なくとも1つの磁性プレートを備える、実施例B56に記載の流体通路モジュール。
【0436】
「実施例B58」
固定手段を解放することにより、流体通路モジュールがフロー・サイトメータ・システムから取外し可能になる、実施例B56又は実施例B57に記載の流体通路モジュール。
【0437】
「実施例B59」
取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールの解放可能な固定手段が、取外し可能且つ置換可能な流体通路モジュールを流体通路クリーニング・システムに固定するようにさらに適合される、実施例B56~B58のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0438】
「実施例B60」
流体サンプルが、複数の精子細胞を含む哺乳類の精液サンプルである、実施例B50~B59のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0439】
「実施例B61」
フロー・サイトメータ・システムが、サンプルを処理して、流体サンプルにおける部分母集団を識別する、実施例B50~B60のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0440】
「実施例B62」
フロー・サイトメータ・システムが、サンプルを処理して、精液の性判別動作を実行する、実施例B50~B61のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0441】
「実施例B63」
流体通路モジュールが識別要素を備える、実施例B50~B62のいずれか1つに記載の流体通路モジュール。
【0442】
「実施例B64」
識別要素が光学的識別要素又は無線識別要素を備える、実施例B63に記載の流体通路モジュール。
【0443】
「実施例B65」
光学的識別要素が、マイクロ流体系モジュールにおけるマイクロ流体系チップ上に特徴又は基準のセットを備える、実施例B64に記載の流体通路モジュール。
【0444】
実施例セットC:
【0445】
「実施例C1」
フロー・サイトメトリ・システムのチャネル内に流れるサンプル・ストリーム中の粒子を区別するように適合された、粒子検出用のレーザ・ベースのフロー・サイトメトリ・システムであって、
- キル・レーザ組立体、及び
- 検出レーザ組立体を備える、レーザ組立体備える、
システムにおいて、
- キル・レーザ組立体と検出レーザ組立体とが、互いに、フロー・サイトメトリ・システムに対して共通の側に配設されている、
システム。
【0446】
「実施例C2」
マイクロ流体系デバイスを備える、実施例C1に記載のシステム。
【0447】
「実施例C3」
マイクロ流体系デバイスがマイクロ流体系チップである、実施例C2に記載のシステム。
【0448】
「実施例C4」
キル・レーザ組立体と検出レーザ組立体とが、マイクロ流体系デバイスの主面に対して共通の側に配設されている、実施例C2又は実施例C3に記載のシステム。
【0449】
「実施例C5」
主面が頂面又は底面である、実施例C4に記載のシステム。
【0450】
「実施例C6」
レーザ組立体が偏光ビーム・スプリッタをさらに備える、実施例C1~C5のいずれか1つに記載のシステム。
【0451】
「実施例C7」
キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体の各々が、電磁放射を焦点面に導くように適合された光学的通路を備える、実施例C1~C6のいずれか1つに記載のシステム。
【0452】
「実施例C8」
キル・レーザ組立体の光学的通路が高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器を備える、実施例C7に記載のシステム。
【0453】
「実施例C9」
キル・レーザ組立体用の光学的通路の高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器が、キル・レーザ組立体の高速軸ビーム幅及び低速軸ビーム幅を調節するように適合されている、実施例C8に記載のシステム。
【0454】
「実施例C10」
検出レーザ組立体用の光学的通路が、検出レーザ組立体用の高速軸ビーム幅及び低速軸ビーム幅を調節するように適合された一対のシリンドリカル・レンズを備える、実施例C7~C9のいずれか1つに記載のシステム。
【0455】
「実施例C11」
キル・レーザ組立体及び検出レーザ組立体のそれぞれが、焦点面において楕円のビーム・プロファイルを含むレーザ・ビームを放射するように適合されている、実施例C1~C10のいずれか1つに記載のシステム。
【0456】
「実施例C12」
キル・レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルが、焦点面又はビーム・ウエストにおいて、3.45~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を含む、実施例C11に記載のシステム。
【0457】
「実施例C13」
検出レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルが、焦点面又はビーム・ウエストにおいて、3.5~20μmの高速軸ビーム幅及び30~150μmの低速軸ビーム幅を含む、実施例C11又は実施例C12に記載のシステム。
【0458】
「実施例C14」
キル・レーザ組立体が1~5μJのパルス・エネルギーで動作する、実施例C1~C13のいずれか1つに記載のシステム。
【0459】
「実施例C15」
キル・レーザ組立体が、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備える、実施例C1~C14のいずれか1つに記載のシステム。
【0460】
「実施例C16」
検出レーザ組立体が連続波レーザ・モジュール又は疑似連続波レーザ・モジュールのうち1つを備える、実施例C1~C15のいずれか1つに記載のシステム。
【0461】
「実施例C17」
検出組立体をさらに備える、実施例C1~C16のいずれか1つに記載のシステム。
【0462】
「実施例C18」
検出組立体が、検出レーザ組立体からの放射によって励起された粒子の1つ又は複数の蛍光、キル・レーザ組立体からの放射による粒子の非活性化、検出イベントの画像、又はキル・イベントの画像を検出するように適合されている、実施例C17に記載のシステム。
【0463】
「実施例C19」
検出組立体が少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードを備える、実施例C17又は実施例C18に記載のシステム。
【0464】
「実施例C20」
少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードが、検出レーザ組立体からの放射によって励起された粒子の蛍光を検出するように適合されている、実施例C19に記載のシステム。
【0465】
「実施例C21」
少なくとも1つのアバランシェ・フォトダイオードが、キル・レーザ組立体からの放射による粒子の非活性化を検出するように適合されている、実施例C19又は実施例C20に記載のシステム。
【0466】
「実施例C22」
検出組立体がCCDカメラを備える、実施例C17~C21のいずれか1つに記載のシステム。
【0467】
「実施例C23」
CCDカメラが検出イベントの画像を取り込むように適合されている、実施例C22に記載のシステム。
【0468】
「実施例C24」
CCDカメラがキル・イベントの画像を取り込むように適合されている、実施例C22又は実施例C23に記載のシステム。
【0469】
「実施例C25」
フロー・サイトメトリ・システムのチャネル内に流れるサンプル流れにおける粒子を区別するように適合されたフロー・サイトメトリ・システムにおいて使用するレーザ組立体であって、
- レーザ・モジュールと、
- レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射を、焦点面において楕円のプロファイルに成形するように適合された光学的通路と
を備えるレーザ組立体。
【0470】
「実施例C26」
検出レーザ組立体及びキル・レーザ組立体のうちの1つである、実施例C25に記載の組立体。
【0471】
「実施例C27」
キル・レーザ組立体の光学的通路が高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器を備える、実施例C26に記載の組立体。
【0472】
「実施例C28」
高速軸ビーム拡大器が、ビーム放射用の高速軸ビーム幅を調節するように適合されており、低速軸ビーム拡大器が、ビーム放射用の低速軸ビーム幅を調節するように適合されている、実施例C27に記載の組立体。
【0473】
「実施例C29」
検出レーザ組立体用の光学的通路が、ビーム放射用の低速軸ビーム幅及び高速軸ビーム幅を成形し且つ調節するように適合された一対のシリンドリカル・レンズを備える、実施例C26~C28のいずれか1つに記載の組立体。
【0474】
「実施例C30」
レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルが3.45~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を有する、実施例C25~C29のいずれか1つに記載の組立体。
【0475】
「実施例C31」
レーザ組立体の楕円のビーム・プロファイルが3.5~20μmの高速軸ビーム幅及び30~150μmの低速軸ビーム幅を有する、実施例C25~C30のいずれか1つに記載の組立体。
【0476】
「実施例C32」
レーザ・モジュールが1~5μJのパルス・エネルギーで動作する、実施例C25~C31のいずれか1つに記載の組立体。
【0477】
「実施例C33」
レーザ・モジュールが、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザを備える、実施例C25~C32のいずれか1つに記載の組立体。
【0478】
「実施例C34」
レーザ・モジュールが連続波レーザ・モジュール又は疑似連続波レーザ・モジュールのうち1つを備える、実施例C25~C33のいずれか1つに記載の組立体。
【0479】
「実施例C35」
光学的通路が一対のシリンドリカル・レンズを備える、実施例C25~C34のいずれか1つに記載の組立体。
【0480】
「実施例C36」
対のシリンドリカル・レンズの位置決めが調節可能である、実施例C35に記載の組立体。
【0481】
「実施例C37」
対のシリンドリカル・レンズが、F25シリンドリカル・レンズ及びF150シリンドリカル・レンズを備える、実施例C35又は実施例C36に記載の組立体。
【0482】
「実施例C38」
光学的通路が非球面レンズを備える、実施例C25~C37のいずれか1つに記載の組立体。
【0483】
「実施例C39」
光学的通路が偏光ビーム・スプリッタを備える、実施例C25~C38のいずれか1つに記載の組立体。
【0484】
「実施例C40」
光学的通路が高調波セパレータを備える、実施例C25~C39のいずれか1つに記載の組立体。
【0485】
「実施例C41」
フロー・サイトメトリ・システムのチャネル内に流れるサンプル流れにおける粒子を区別するように適合されたフロー・サイトメトリ・システムにおける使用のためのレーザ組立体用の光学的通路であって、
- 高速軸ビーム拡大器と、
- 低速軸ビーム拡大器と、
- 偏光ビーム・スプリッタと
を備える光学的通路において、
- 高速軸ビーム拡大器及び低速軸ビーム拡大器が、レーザ・モジュールからの電磁放射ビーム放射の放射を、焦点面において楕円のビーム・プロファイルに成形するように適合されている、
光学的通路。
【0486】
「実施例C42」
高速軸ビーム拡大器が、ビーム放射用の高速軸ビーム幅を調節するように適合されている、実施例C41に記載の通路。
【0487】
「実施例C43」
低速軸ビーム拡大器が、ビーム放射用の低速軸ビーム幅を調節するように適合されている、実施例C41又は実施例C42に記載の通路。
【0488】
「実施例C44」
楕円のビーム・プロファイルが、3.45~5μmの高速軸ビーム幅及び5~35μmの低速軸ビーム幅を有する、実施例C41~C43のいずれか1つに記載の通路。
【0489】
「実施例C45」
楕円のビーム・プロファイルが、3.5~20μmの高速軸ビーム幅及び30~150μmの低速軸ビーム幅を有する、実施例C41~C44のいずれか1つに記載の通路。
【0490】
「実施例C46」
レーザ・モジュールが1~5μJのパルス・エネルギーで動作する、実施例C41~C45のいずれか1つに記載の通路。
【0491】
「実施例C47」
レーザ・モジュールが、パルス持続時間が1~500ナノ秒のパルス・レーザ・モジュールを備える、実施例C41~C46のいずれか1つに記載の通路。
【0492】
「実施例C48」
レーザ・モジュールが連続波レーザ・モジュール又は疑似連続波レーザ・モジュールのうち1つを備える、実施例C41~C47のいずれか1つに記載の通路。
【0493】
「実施例C49」
光学的通路が一対のシリンドリカル・レンズを備える、実施例C41~C48のいずれか1つに記載の通路。
【0494】
「実施例C50」
対のシリンドリカル・レンズの位置決めが調節可能である、実施例C49に記載の通路。
【0495】
「実施例C51」
対のシリンドリカル・レンズが、F25シリンドリカル・レンズ及びF150シリンドリカル・レンズを備える、実施例C49又は実施例C50に記載の通路。
【0496】
「実施例C52」
非球面レンズをさらに備える、実施例C41~C51のいずれか1つに記載の通路。
【0497】
「実施例C53」
偏光ビーム・スプリッタをさらに備える、実施例C41~C52のいずれか1つに記載の通路。
【0498】
「実施例C54」
高調波セパレータをさらに備える、実施例C41~C53のいずれか1つに記載の通路。
【0499】
「実施例C55」
性判別されていない、人以外の精液のサンプルから導出された、性判別された、人以外の哺乳類の精子細胞の採集を含む、性判別された、人以外の哺乳類の精液製品であって、性判別されていない、人以外の精液が、
- 性判別されていない、人以外の精液のサンプルを染色するステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルを、フロー・サイトメトリ・デバイスに挿入するステップと、
- フロー・サイトメトリ・デバイスにシース流体を挿入するステップであって、シース流体及びフロー・サイトメトリ・デバイスのチャネルが、性判別されていない、人以外の精液のサンプルの細胞を配向し且つ位置決めする、シース流体を挿入するステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける色素を、第1のレーザ・モジュールからの放射によって蛍光発光させるステップであって、第1のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含む、色素を蛍光発光させるステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプル中の各精子細胞の蛍光を、検出器によって検出するステップと、
- 検出された蛍光に基づき、第2のレーザ・モジュールからの放射によって、人以外の精液のサブセットを不活性化して、性判別された、人以外の精液を作成するステップであって、第2のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、第1のレーザ・モジュール及び第2のレーザ・モジュールが、フロー・サイトメトリ・デバイスの、検出器とは反対側の共通の側に配設されている、性判別された、人以外の精液を作成するステップと、
- 性判別された、人以外の精液を採集するステップと
を含む性判別プロセスによって性判別されたものである、性判別された、人以外の哺乳類の精液製品。
【0500】
「実施例C56」
人以外の哺乳類の精液を性判別するための方法であって、
- 性判別されていない、人以外の精液のサンプルを染色するステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルを、フロー・サイトメトリ・デバイスに挿入するステップと、
- フロー・サイトメトリ・デバイスにシース流体を挿入するステップであって、シース流体及びフロー・サイトメトリ・デバイスのチャネルが、性判別されていない、人以外の精液のサンプルにおいて、細胞を配向し且つ位置決めする、シース流体を挿入するステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプルにおける色素を、第1のレーザ・モジュールからの放射によって蛍光発光させるステップであって、第1のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含む、色素を蛍光発光させるステップと、
- 性判別されていない、人以外の精液の染色されたサンプル中の各精子細胞の蛍光を、検出器によって検出するステップと、
- 検出された蛍光に基づき、第2のレーザ・モジュールからの放射によって、人以外の精液のサブセットを不活性化して、性判別された、人以外の精液を作成するステップであって、第2のレーザ・モジュールからの放射が楕円のビーム・プロファイルを含み、第1のレーザ・モジュール及び第2のレーザ・モジュールが、フロー・サイトメトリ・デバイスの、検出器とは反対側の共通の側に配設されている、性判別された、人以外の精液を作成するステップと、
- 性判別された、人以外の精液を採集するステップと
を含む方法。
【0501】
実施例セットD:
【0502】
「実施例D1」
- 少なくとも1つの特性を基にサンプル中の粒子又は構成分子を処理するためのフロー・サイトメトリ組立体と、
- 定義されたパラメータのセットを基に、フロー・サイトメトリ組立体によって処理されたサンプルを自動的に混合するように構成された自動サンプル混合システムであって、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することにより、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にするサンプル混合システムと
を備える粒子処理システム。
【0503】
「実施例D2」
フロー・サイトメトリ組立体がマイクロ流体系チップを備える、実施例D1に記載の粒子処理システム。
【0504】
「実施例D3」
サンプルが精液サンプルであり、粒子又は構成分子が精子細胞である、実施例D1又は実施例D2に記載の粒子処理システム。
【0505】
「実施例D4」
少なくとも1つの所望の特性がDNAの量又はタイプである、実施例D1~D3のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0506】
「実施例D5」
自動サンプル混合システムが、
- 回転ベースと、
- 回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、
- それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと
をさらに備える、実施例D1~D4のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0507】
「実施例D6」
自動サンプル混合システムが流体レベル・センサをさらに備える、実施例D5に記載の粒子処理システム。
【0508】
「実施例D7」
自動サンプル混合システムが、第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するように構成されている、実施例D6に記載の粒子処理システム。
【0509】
「実施例D8」
定義されたパラメータのセットが、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数を含む、実施例D1~D7のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0510】
「実施例D9」
フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れが自動サンプル混合システムに入るのを防止するように構成された機械的ダイバータをさらに備える、実施例D1~D8のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0511】
「実施例D10」
サンプルの構成分子又は粒子が、色素がしみ込んだ構成分子又は粒子を含む、実施例D1~D9のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0512】
「実施例D11」
フロー・サイトメトリ組立体によって処理され、実施例D1に記載の自動サンプル混合システムによって混合されたサンプルを含む、性別がある、人以外の精液製品。
【0513】
「実施例D12」
- 少なくとも1つの特性を基にサンプル中の粒子又は構成分子を処理するためのフロー・サイトメトリ組立体と、
- 定義されたパラメータのセットを基に、フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れがサンプル回収容器に入るのを防止するように構成された機械的ダイバータと
を備える粒子処理システム。
【0514】
「実施例D13」
フロー・サイトメトリ組立体がマイクロ流体系チップを備える、実施例D12に記載の粒子処理システム。
【0515】
「実施例D14」
サンプルが精液サンプルであり、粒子又は構成分子が精子細胞である、実施例D12又は実施例D13に記載の粒子処理システム。
【0516】
「実施例D15」
少なくとも1つの所望の特性がDNAの量又はタイプである、実施例D12~D14のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0517】
「実施例D16」
サンプル回収容器に採集された、フロー・サイトメトリ組立体によって処理されたサンプルを、定義されたパラメータのセットを基に自動的に混合するように構成された自動サンプル混合システムをさらに備える、実施例D12~D15のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0518】
「実施例D17」
機械的ダイバータが、フロー・サイトメータからの処理されたサンプルを含む出力流れが自動サンプル混合システムに入るのを防止するように構成されている、実施例D16に記載の粒子処理システム。
【0519】
「実施例D18」
自動サンプル混合システムが、
- 回転ベースと、
- 回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、
- それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと
をさらに備える、実施例D16又は実施例D17に記載の粒子処理システム。
【0520】
「実施例D19」
自動サンプル混合システムが流体レベル・センサをさらに備える、実施例D17又は実施例D18に記載の粒子処理システム。
【0521】
「実施例D20」
自動サンプル混合システムが、第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するように構成されている、実施例D18又は実施例D19に記載の粒子処理システム。
【0522】
「実施例D21」
自動サンプル混合システム向けに定義されたパラメータのセットが、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数を含む、実施例D16~D20のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0523】
「実施例D22」
機械的ダイバータ向けに定義されたパラメータのセットが、サンプルの純度、サンプル中の粒子の数、及び回収容器の充填レベルのうち1つ又は複数を含む、実施例D12~D21のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0524】
「実施例D23」
サンプルの構成分子又は粒子が、色素がしみ込んだ構成分子又は粒子を含む、実施例D12~D22のいずれか1つに記載の粒子処理システム。
【0525】
「実施例D24」
実施例D12~D23のいずれか1つに記載のフロー・サイトメトリ組立体によって処理されたサンプルを含む、性別がある、人以外の精液製品。
【0526】
「実施例D25」
性判別された、人以外の精液製品を生成するための方法であって、
- フロー・サイトメトリ装置内の精液サンプルを処理して、少なくとも1つの望ましくない特性を含むサンプルの第2の部分母集団から、少なくとも1つの望ましい特性を含むサンプルの第1の部分母集団を選択するステップと、
- サンプル回収容器内の、少なくとも1つの望ましい特性を含む第1の部分母集団を主として含むサンプルを採集するステップと、
- 処理されたサンプルに関連する定義されたサンプル混合パラメータのセットを基に、サンプル混合システムを使用して、サンプル回収容器内の採集されたサンプルを自動的に混合するステップであって、サンプル混合システムが、弓形経路で動くようにピボットのまわりを回転することにより、制御された均一な動きでサンプルの混合を可能にする、サンプルを自動的に混合するステップと
を含む方法。
【0527】
「実施例D26」
処理されたサンプルが、フロー・サイトメトリ装置を出た後にサンプル回収容器に採集される、処理されたサンプルの一部を機械的に進路を変えるステップをさらに含む、実施例D25に記載の方法。
【0528】
「実施例D27」
フロー・サイトメトリ装置がマイクロ流体系チップである、実施例D25又は実施例D26に記載の方法。
【0529】
「実施例D28」
少なくとも1つの望ましい特性がDNAの量又はタイプである、実施例D25~D27のいずれか1つに記載の方法。
【0530】
「実施例D29」
DNAの量又はタイプが、DNAを有するX染色体又はDNAを有するY染色体の検出された存在である、実施例D28に記載の方法。
【0531】
「実施例D30」
自動サンプル混合システムが、
- 回転ベースと、
- 回転ベースの上に配設された採集管ホルダのセットと、
- それぞれが採集管のセットの採集管ホルダに配設されるように構成された採集管のセットと
をさらに備える、実施例D25~D29のいずれか1つに記載の方法。
【0532】
「実施例D31」
自動サンプル混合システムが流体レベル・センサをさらに備える、実施例D30に記載の方法。
【0533】
「実施例D32」
第1の管が所望の充填レベルに達したことを流体レベル・センサが検出したとき、採集管のセットにおいて第1の管と第2の管とを交換するステップをさらに含む、実施例D31に記載の方法。
【0534】
「実施例D33」
自動サンプル混合システム向けに定義されたパラメータのセットが、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数を含む、実施例D32に記載の方法。
【0535】
「実施例D34」
機械的に進路を変えるステップが、サンプルの純度、サンプル中の粒子の数、及び回収容器の充填レベルを含む、1つ又は複数の定義されたパラメータを基に進路を変えるステップを含む、実施例D26~D33のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
「実施例D35」
精液サンプルが、色素がしみ込んだ精子細胞を含む、実施例D25~D34のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
「実施例D36」
フロー・サイトメトリ装置により、実施例D25~D35のいずれか1つに記載の方法によって処理されたサンプルを含む、性別がある、人以外の精液製品。
【0538】
「実施例D37」
- 回転ベースと、
- 回転ベースの上に配設された複数の採集管ホルダと、
- それぞれが複数の採集管の採集管ホルダに配設されるように構成された複数の採集管と
を備えるサンプル混合システムであって、
- 回転ベースが、採集管ホルダ及びそこに配設された採集管を弓形経路で回転させるか又は動かすことにより、採集管内の内容物を混合するように、回転するように構成されている、
サンプル混合システム。
【0539】
「実施例D38」
回転ベースが、前記回転ベースをその中心軸のまわりで回転させるモータに動作可能に結合されており、度で定義された混合円弧、ステップで定義された混合円弧、及び回転速度のうち1つ又は複数に基づいて回転される、実施例D37に記載のサンプル混合システム。
【0540】
「実施例D39」
回転ベースが往復回転する、実施例D38に記載のサンプル混合システム。
【0541】
「実施例D40」
回転ベースが10°~180°回転する、実施例D39に記載のサンプル混合システム。
【0542】
「実施例D41」
回転ベースが円板である、実施例D37~D40のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0543】
「実施例D42」
回転ベースが、互いに別個に配置された磁石を含有している、実施例D37~D41のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0544】
「実施例D43」
1つ又は複数のホール効果センサをさらに備えるサンプル混合システムであって、回転ベースにおける磁石のうち1つのS極が1つ又は複数のホール効果センサの方へ配向されており、他の磁石のN極が、同じ1つ又は複数のホール効果センサの方へ配向されている、実施例D42に記載のサンプル混合システム。
【0545】
「実施例D44」
それぞれの採集管ホルダのベースが磁石を含有しているサンプル混合システムであって、それぞれの採集管ホルダが、前記採集管ホルダの磁石と回転ベースの磁石のうち1つの磁石との間の磁力によって回転ベースに取り付けられている、実施例D42又は実施例D43に記載のサンプル混合システム。
【0546】
「実施例D45」
採集管ホルダが、ベースから上方へ突き出る2つ以上のアームを備え、2つ以上のアームが採集管を直立して保持する、実施例D44に記載のサンプル混合システム。
【0547】
「実施例D46」
採集管ホルダが備える2つ以上のアームが、様々なサイズの採集管を収容するように伸長可能である、実施例D45に記載のサンプル混合システム。
【0548】
「実施例D47」
約2~6個の採集管ホルダを備える、実施例D37~D46のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0549】
「実施例D48」
180°間隔で配置された2つの採集管ホルダ、90°間隔で配置された4つの採集管ホルダ、又は60°間隔で配置された6つの採集管ホルダを備える、実施例D37~D47のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0550】
「実施例D49」
採集管の容積容量が約50ml~約300mlである、実施例D37~D48のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0551】
「実施例D50」
採集管の直径が約100mm~約200mmである、実施例D37~D49のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0552】
「実施例D51」
分配機器が採集管のうちの1つにサンプルを分配するように、分配機器の下に配置されたサンプル混合システムであって、前記採集管がサンプルを混合するために弓形経路で移動するとき、サンプルを受け入れる採集管が分配機器の分配経路の下にとどまる、実施例D37~D50のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0553】
「実施例D52」
サンプルが精子細胞を含み、採集管が媒体を含有する、実施例D51に記載のサンプル混合システム。
【0554】
「実施例D53」
媒体が緩衝媒体を含み、混合が緩衝を維持し、緩衝の程度を制御する、実施例D51又は実施例D52に記載のサンプル混合システム。
【0555】
「実施例D54」
1つの採集管において、ある期間にわたってサンプルを混合した後に、サンプルを別の採集管に分配するように、分配機器の下に別の採集管を自動的に設置する、実施例D51~D53のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0556】
「実施例D55」
採集管の中の液位を検出するためのセンサをさらに備えるサンプル混合システムであって、同センサが、採集管の外表面又はその近くに配置されている、実施例D37~D54のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0557】
「実施例D56」
採集管に流れが入るのを防止するように構成された自動ダンプをさらに備える、実施例D37~D55のいずれか1つに記載のサンプル混合システム。
【0558】
「実施例D57」
選別されたサンプルを混合する方法であって、
- 実施例D37~D56のいずれか1つに記載のサンプル混合システムを用意するステップと、
- 選別されたサンプルをサンプル混合システムの採集管に採集するステップと、
- 採集管ホルダに配設された採集管が弓形経路で回転するか又は動くように回転ベースを回転させることにより、採集管内の採集されたサンプルを、均一且つ制御された動きで自動的に混合するステップと
を含む方法。
【0559】
「実施例D58」
- 採集管が所望のレベルまで充填されたとき、選別されたサンプルの流れを、採集管から個別の採集器に進路を変えるステップと、
- 第2の採集管が、選別されたサンプルを採集するように配置されるように、回転ベースを回転させるステップと、
- 選別されたサンプルの流れを第2の採集管に進路を変えるステップと
をさらに含む、実施例D57に記載の方法。
【0560】
本明細書で使用される「約」は、引用された数の±10%を指す。
【0561】
以下の特許請求の範囲において列挙される参照番号は、単にこの特許出願の検討を容易にするための例示であり、特許請求の範囲を、図中の対応する参照番号を有する特定の特徴に限定することを意図するものではない。いくつかの実施例では、この特許出願において提供された図は、角度、寸法比などを含めて原寸に比例するものである。いくつかの実施例では、図は代表でしかなく、特許請求の範囲が図の寸法によって制限されることはない。
【0562】
いくつかの実施例では、本明細書で、「~を備える」という慣用句を使用して記述された本発明の説明は、「基本的に~から成る」又は「~から成る」と記述され得る実施例を含み、そのため、本発明の1つ又は複数の実施例を特許請求するために、「基本的に~から成る」又は「~から成る」という慣用句を使用して記述された説明要件が満たされる。
【0563】
本発明は特定の好ましい実施例を参照して説明されているが、説明された発明概念の趣旨及び範囲の内部で多数の変更形態が作製され得ることを理解されたい。実施においては、発明概念は、自動的に実行されてよく、又は半自動的に、すなわちある程度の人の介入を伴って実行されてもよい。また、本発明の範囲が、本明細書で説明した特定の実施例によって制限されることはない。本明細書で説明されたものに加えて、本発明の他の様々な実施例及び本発明に対する様々な修正形態は、当業者には、前述の説明及び添付図面から明らかになることが十分に企図されている。したがって、他のそのような実施例及び修正形態は、以下に添付される特許請求の範囲に含まれるように意図されている。さらに、本発明は、本明細書において、特定の実施例、実装形態、及び用途、並びに特定の環境の状況で説明されているが、当業者なら、本発明の有用性はそれらに限定されることなく、本発明が、任意数の目的のために、任意数の環境に、任意数のやり方で有利に適用され得ることを理解するであろう。したがって、以下で明記される特許請求の範囲は、本明細書で開示された本発明の全体の広さ及び趣旨の観点から解釈されるべきである。