(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】カテーテルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
A61M25/00 550
A61M25/00 530
A61M25/00 504
(21)【出願番号】P 2023547318
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2022050131
(87)【国際公開番号】W WO2022172093
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202110175905.2
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120359384.1
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519292811
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル(シェンゼン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リシア グオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンリ ドン
(72)【発明者】
【氏名】シェンヤン シャン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0391009(US,A1)
【文献】特開2012-192177(JP,A)
【文献】特表2020-533069(JP,A)
【文献】特開2012-139606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00 - 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺管状体を備えるカテーテルであって、前記長尺管状体が、近位端と遠位端との間で長手方向軸に沿って延び、前記長尺管状体が管腔を有し、
前記長尺管状体の少なくとも一部分が第1のコイルによって画定され、前記第1のコイルが、前記長手方向軸に沿ってその周りに延びる複数の巻線を備え、
前記第1のコイルが、前記長尺管状体の遠位端の近くに配置され、かつ複数の隣接巻線を含む少なくとも1つの第1の領域を備え、前記第1の領域が、その内部に少なくとも1つの第2のコイルから挿入された複数の巻線を有し、前記第2のコイルの挿入された巻線が、前記第1のコイルの巻線の間に位置付けられており、
前記第1のコイルが、複数の隣接巻線を含む少なくとも1つの第2の領域をさらに備え、前記第2の領域が、前記第2のコイルから挿入された巻線を有
さず、
少なくとも1つの前記第2のコイルの巻線が、前記長手方向軸に沿って前記第2のコイルを前記第1のコイルにねじ込むことによって前記第1のコイルの巻線の間に挿入され、 前記コイルのうちのいずれか1つのためのワイヤが、平型ワイヤである、カテーテル。
【請求項2】
前記第1の領域において、前記第2のコイルの巻線の少なくとも一部が、前記第1のコイルの巻線の一部に当接する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルが前記長尺管状体の長手方向軸に沿って押されたり引かれたりしたときに、前記第2のコイルの巻線の少なくとも一部が、前記第1の領域において前記第1のコイルの巻線の一部に押し付けられるように構成されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1の領域において、前記第2のコイルの巻線が、前記第1のコイルの巻線と略同じ直径を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の領域が、前記長手方向軸に沿って前記第1のコイルの所定の位置に配設されて、軸方向に変化する強度分布を前記長尺管状体に提供する、請求項1~
4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
複数の巻線を有する第3のコイルをさらに備え、
前記第3のコイルの巻線の一部が前記第2のコイルの巻線の間に位置し、前記第1のコイルの巻線の間には位置しない、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記コイルのうちのいずれか1つが、螺旋ばねである、請求項1~
6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記コイルのうちのいずれか1つが、単線ワイヤばねまたは複線ワイヤばねである、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが、同じ材料で作られている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが、異なる材料で作られている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第1のコイルのピッチが、前記長手方向軸に沿って、前記近位端における1インチ当たりの第1のピッチ数から1インチ当たりの第2のピッチ数へと徐々に移行する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記1インチ当たりの第1のピッチ数が80であり、前記1インチ当たりの第2のピッチ数が40、または26、または26未満である、請求項
11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第2のコイルの1インチ当たりのピッチ数が40、または26、または26未満である、請求項
12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1の領域において、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが、0.5588~0.6604mmの外径範囲および0.4826~0.5842mmの内径範囲を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
長尺カテーテルを製造する方法であって、前記長尺カテーテルが、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有し、管腔を有し、前記方法が、
第1のコイルの第1の端部を前記
長尺カテーテルの近位端の近くに配置し、前記第1のコイルの第2の端部を前記
長尺カテーテルの遠位端の近くに配置することと、
第2のコイルを提供することと、
前記第2のコイルの一端部にある巻線を、前記第1のコイルの第2の端部から前記長手方向軸に沿って前記第1のコイルにねじ込むことにより、前記第2のコイルの巻線の少なくとも一部を、複数の隣接コイルを含む前記第1のコイルの領域に位置付けることと、を含
み、
前記コイルのうちのいずれか1つのためのワイヤが、平型ワイヤである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスおよび装置に関するものであり、特にカテーテルまたはマイクロカテーテル、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、インターベンション手術(interventional operation)で使用され、治療用装置を体内の標的部位へと前進させるのを支援するために使用される、細い可撓性のチューブである。例えば、慢性完全閉塞(CTO)に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施時に、カテーテルをガイドワイヤと併用して、ステントを血管の狭窄部分内へと前進させ、ガイドワイヤが通過するチャネルを形成し得る。
【0003】
現在のインターベンションカテーテルに関しては、カテーテルの操作性を高め、血管壁への損傷を避けるために、その遠位部が、比較的高い可撓性を有するコイル層および/または編組層によって支持されるのが一般的である。しかし、ある場合には、遠位部の可撓性により、かかる装置を使用した手術中に押し込み性が不足して、一部の血管内で前進のために可撓性遠位部を押すことが困難となり、カテーテルが標的部位に正確に到達しにくくなったり、外科手術の時間が増したりし得る。加えて、カテーテル遠位部が狭窄病変領域につかえる場合、または(カテーテルを身体から引き抜くなど)他の条件では、カテーテルに引張力を印加する必要があり、このときに、より高い可撓性を有するカテーテル遠位部は、引張力の影響で引張変形、巻き戻し、または屈曲といった不都合な反応を呈して、ガイドワイヤが屈曲したり捻れたりし得るリスクをもたらし得る。
【0004】
そのため、上記の欠点を克服または部分的に克服し、既存製品以外の代替選択肢を提供するために、支持力および通過性能を高めるカテーテルを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の特徴および利点を以下の説明で示し、その一部は、説明の中で明らかとなるか、本明細書に開示した原理を実施することによってわかる可能性がある。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において特に記載された手段および組み合わせによって達成および取得され得る。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、長尺管状体を備えるカテーテルが提供され、長尺管状体は、近位端と遠位端との間で長手方向軸に沿って延び、長尺管状体は、管腔を有する。長尺管状体の少なくとも一部分が第1のコイルによって画定され、第1のコイルは、長手方向軸に沿ってその周りに延びる複数の巻線を備える。第1のコイルは、長尺管状体の遠位端の近くに配置され、かつ複数の隣接巻線を含む少なくとも1つの第1の領域を備え、第1の領域は、その内部に少なくとも1つの第2のコイルから挿入された複数の巻線を有し、第2のコイルの挿入された巻線は、第1のコイルの巻線の間に位置付けられており、第1のコイルは、複数の隣接巻線を含む少なくとも1つの第2の領域をさらに備え、第2の領域は、第2のコイルから挿入された巻線を有しない。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、長尺カテーテルを製造する方法が提供され、長尺カテーテルは、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有し、管腔を有する。この方法は、第1のコイルの第1の端部をカテーテルの近位端の近くに配置し、第1のコイルの第2の端部をカテーテルの遠位端の近くに配置することと、第2のコイルを提供することと、第2のコイルの一端部にある巻線を、第1のコイルの第2の端部から長手方向軸に沿って第1のコイルにねじ込むことにより、第2のコイルの巻線の少なくとも一部を、複数の隣接コイルを含む第1のコイルの領域に位置付けることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】例示的なカテーテルの内部構造の一部分の概略図を示す。
【
図1C】
図1Bの例示的なカテーテルの遠位部の断面の概略構造図を示す。
【
図2A】例示的実施形態に係る2つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
【
図2B】
図2Aに示す組み合わせコイルを含むカテーテル遠位部の長手方向断面の概略図を示し、コイルは、丸型ワイヤで作られている。
【
図2C】
図2Aに示す組み合わせコイルを含むカテーテル遠位部の長手方向断面の概略図を示し、コイルは、平型ワイヤで作られている。
【
図3A】別の例示的実施形態に係る2つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
【
図3B】
図3Aに示す組み合わせコイルを含むカテーテル遠位部の長手方向断面の概略図を示す。
【
図4A】例示的実施形態に係る3つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
【
図4B】
図4Aに示す組み合わせコイルを含むカテーテル遠位部の長手方向断面の概略図を示す。
【
図4C】
図4Aの実施形態の組み合わせコイルの透視図を示す。
【
図5A】例示的実施形態に係る4つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
【
図5B】
図5Aに示す組み合わせコイルを含むカテーテル遠位部の長手方向断面の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の上述および他の利点および特徴が得られる方式を説明するために、簡潔に説明した上記原理について、添付の図面に示した具体的な実施形態を参照しながら、より具体的に説明する。これらの図面は、本開示の例示的実施形態を示すにすぎないため、その範囲を制限するものと見なされるべきではなく、本明細書の原理は、添付の図面を利用して、特定の例および詳細を伴って記載および説明されるものと理解すべきである。本開示の好適な実施形態について、例として、かつ添付の図面を参照して、以下でさらに詳述する。
【0010】
本開示の各種実施形態について、以下に詳述する。具体的な実施形態について述べているが、例示目的にすぎないものと理解すべきである。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成要素および構成が使用され得ると認識するであろう。
【0011】
以降の説明において、同じ参照番号は、同じ構成要素を示す。「近位」という用語は、カテーテルが使用されているときに操作者に近い方向を意味し、「遠位」という用語は、カテーテルが使用されているときに操作者から遠い方向を意味し、「長手軸方向」という用語は、長手方向軸に沿って近位端から遠位端に延びる方向を意味する。この説明における数字、例えば「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」などは、これらの構成要素/部分を限定するためではなく、単に異なる構成要素/部分を示すために使用される。
【0012】
本開示は、2つ以上のコイルを組み合わせることによって形成された遠位部を有するカテーテルを提供するものである。カテーテル遠位部は、カテーテルの操作性に影響を及ぼさずに可撓性を提供することを前提として、所望に応じて様々な強度を有し、それによって血管内でのカテーテルの押し込み性を高め、応力を受けてカテーテルが変形するのを防ぐ。
【0013】
図1Aは、例示的なカテーテル100を示す。
図1を参照すると、カテーテル100は、ハブ102、接続部材104、カテーテル本体および先端108を備え、カテーテル本体は、近位部106および遠位部110を備える。ハブ102は、カテーテルの近位端に位置し、接続部材104は、ハブ102とカテーテル本体との間でのソフト/ハードな移行のために、ハブ102とカテーテル本体との間に配設されている。カテーテル本体は、カテーテルの近位端と遠位端との間で長手方向軸に沿って延びる長尺管状体であり、カテーテルの内部は、ガイドワイヤ、薬剤、または外科用具の通路を提供するための管腔を有する。先端108は、カテーテル本体の遠位端に配設され、先端と接触する血管の内皮への損傷を防ぐために十分な可撓性および靭性を有する。
【0014】
カテーテル本体は、その長手方向軸に沿って、カテーテルの近位端の近くに位置する近位部106と、カテーテルの遠位端の近くに位置する遠位部110と、を有する。近位部106の剛性は、遠位部110の剛性よりも高いため、近位部106は、特定の支持強度および反動を遠位部110に提供して、カテーテル本体に、十分なねじり推力および支持強度を持たせる。
【0015】
図1Bは、例示的なカテーテルの内部構造の一部分の概略図を示し、
図1Cは、カテーテルの遠位部の断面の概略構造図を示す。
図1Bおよび
図1Cに示すとおり、遠位部110は、同心3層構造であり、中空管腔を有する内層112と、内層を包囲する管状中間層114と、中間層114を包囲する管状外層116と、を備え、中間層114は、ばね状コイルを備え得る。また、カテーテルの近位部106は、遠位部まで延びる内層112、中間層114、および外層116に加えて同心4層構造であり得、加えて、編組層118は、遠位部110の剛性よりも高い剛性を提供するために内層112と外層116との間に含まれ得る。
【0016】
いくつかの実施形態においては、カテーテルの遠位部110が、先端108の端部から約10~60mmの位置に配設され、より良好な側枝インターベンション(side branch intervention)を達成するように、約0.2mm~約2mmの外径範囲を有し得る。カテーテル遠位部110の一部分は、カテーテルが冠状動脈などの血管中の分岐病変を通過する必要があるときに、遠位部が、冠状動脈分岐および主枝によって形成される夾角に適合するように対応する角度で事前に生体外で屈曲できるように、カテーテル本体の長手方向軸に沿ってある角度で屈曲し得、それにより、カテーテルは、分岐病変を円滑に通過しやすくなる。中空管腔は、カテーテル本体の内層に形成され、薬剤、ガイドワイヤ、外科用具、治療要素など、必要な物を介在させるのに使用され得る。
【0017】
カテーテル遠位部110は、ガイドワイヤを操作することによってカテーテル100が遠位脈管構造に進入できるように可撓性および屈曲性を有する必要がある一方で、遠位部は、カテーテル100を前進させるときに遠位部を押して血管内の狭窄部位を通過させられるように、かつカテーテル100が引き抜かれるときに大きな引張力を受けて変形することのないように、特定の引張強度を有する必要がある。
【0018】
従来のカテーテルは、カテーテル遠位部110の内層112、外層116、および中間層114がそれぞれ、カテーテルの近位部106から外へと延び、継ぎ目のない一貫した材料で作られており、各部分の強度が概ね一定であることから、カテーテルは、一定の可撓性または引張強度を提供することしかできず、使用要件を満たせない場合が多い。中間層114のコイルのワイヤ材料、ワイヤの太さや本数、コイルのピッチなどを変更することにより、遠位部110の引張強度の変更を達成ことはできるものの、このような従来の手段では、カテーテル遠位部110の強度を必要に応じて変更することが困難である。これに加え、このような変更により、材料コスト、コイル巻線の難しさ、または製造工程の複雑さが増し、それによって生産コストが増大し得る。
【0019】
本開示では、カテーテル遠位部110の少なくとも1つの領域において、2つ以上の第2のコイルを第1のコイルと組み合わせることにより、領域の引張強度が改善される。さらに、カテーテル遠位部は、第1のコイルのみが提供され、第2のコイルがそれと組み合わせられない少なくとも1つの領域も備え、その結果、カテーテル遠位部110は、異なる領域において異なる引張強度を達成する。
【0020】
図2Aは、例示的実施形態に係る2つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
図2Bおよび
図2Cは、
図2Aの実施形態のカテーテル遠位部を含む長手方向断面の概略図を示す。
図2Bは、丸型ワイヤで作られたコイルを示し、
図2Cは、平型ワイヤで作られたコイルを示す。
図2Bおよび
図2Cに示すとおり、カテーテル遠位部110は、第1のコイル210および第2のコイル220を組み合わせることによって形成されるコイル230から形成されたコイル層と、コイル層の内側に位置する内層と、コイル層の外側に位置する外層と、を備える。
【0021】
第1のコイル210および第2のコイル220の両方が、内部空洞を形成する複数の巻線を備える。第1のコイル210は、第1の領域212および第2の領域214を備え、第1の領域212および第2の領域214はそれぞれ、複数の隣接巻線を備え、第1の領域212および第2の領域214のピッチは異なり得、第1の領域212のピッチは、第2のコイル220のピッチと同じであり、このピッチは、第2のコイル220のワイヤ幅よりも広い。
【0022】
第1の領域212において、第2のコイル220の巻線は、第1のコイル210の巻線と交絡して挿入され、第2のコイル220の巻線は、第1のコイル210の巻線の間に位置し、第2のコイル220の巻線の少なくとも一部は、第1のコイル210の巻線の一部に長手方向軸の方向で当接し、その結果、第1のコイル210および第2のコイル220は、第1の領域212で組み合わせられて組み合わせコイル230を形成する。すなわち、組み合わせコイル230には、強度の異なる、以下の2つの部分が含まれている:第1のコイルの第2の領域214である第1の部分232、および第1のコイル210の第1の領域212と第2のコイル220とを組み合わせることによって形成された部分である第2の部分234である。
【0023】
組み合わせコイル230が、カテーテル近位部106から伝達された押し込み力または引っ張り力を受けると、最初に第1のコイル210の巻線が、その押し込み力または引っ張り力下で移動する。第2のコイル220の巻線が第1のコイル210の巻線の間に挿入されるので、第1のコイル210の巻線が移動した後、第2のコイル220の巻線の少なくとも一部が、第1のコイル210の巻線の一部に押し付けられ、第1のコイル210の巻線と衝突することにより、第1のコイル210の巻線の押し込み/引っ張り下での移動を達成する。カテーテル近位部106から伝達される押し込み力/引っ張り力の影響を受けて組み合わせコイルが変形すると、組み合わせコイルの巻線の間での力伝達によってヒステリシス現象が発生して、組み合わせ部分の変形量が減少し、負荷量が増す。すなわち、負荷印加後にばねが吸収および蓄積できるエネルギーの量が変化し、このようにして、組み合わせコイル230の第2の部分234が、組み合わせられていない単一コイルよりも高い軸方向引張強度を呈する。
【0024】
図2Aは、第1のコイル210が1つの第1の領域212および1つの第2の領域214だけを備えることを示すが、第1のコイル210は、複数の第1の領域212と、これらの第1の領域の間および/または外側の1つ以上の第2の領域214と、を備え得、それぞれの第1の領域212が第2の領域214の引張強度とは異なる引張強度を有するように、1つの第2のコイル220がそれぞれの第1の領域212で組み合わせられ、第2の領域では第2のコイルが組み合わせられないものと理解することができる。
【0025】
一実施形態においては、組み合わせにおける第1のコイル210の第1の領域212および第2のコイル220の各巻線が略同じ内径および外径を有し、第1のコイル210および第2のコイル220の長手方向軸が一致するため、形成された組み合わせコイル230の内部空洞および外壁が、巻線の無秩序な配置によって明らかに不均一になることはない。
【0026】
図2Cに示す実施形態において、第1のコイル210および第2のコイル220は、同じ平型ワイヤで作られ、かつ同じ直径を有する2つのばねであり得、第2のコイル220を第1のコイル210にねじ込むことにより、継ぎ目のない類似した螺旋ディスクばね構造が形成される。継ぎ目のないこのディスク構造は、コイルの半径方向軸受力と、軸方向引張強度と、を高め、それによってコイルの耐久性を高め、コイルの破損のリスクを下げる。
【0027】
一実施形態においては、第1のコイル210および第2のコイル220が、組み合わせられた第1の領域212において同じピッチを有し、ピッチは、第1のコイルおよび第2のコイル220のワイヤ幅の合計以上であり、その結果、第2のコイル220の各巻線は、第1のコイル210の2つの隣接巻線の間に位置する。
【0028】
例えば、第1のコイル210および第2のコイル220の両方は、同じワイヤの幅(またはワイヤ幅)を有する単線コイルであり、第1のコイル210および第2のコイル220の第1の領域212のピッチの両方は、ワイヤ幅の2倍以上であり、2つのコイルは、従来の2線コイルに代わる組み合わせコイルを得るために相互ねじ込みによって組み立てられるため、コイルの軸方向引張強度、巻き戻し抵抗、および半径方向圧縮強度を高めることができる。
【0029】
別の例として、第1のコイル210は、単線コイルであり、第2のコイル220は、同じワイヤ幅を有する2つ以上の単線コイルを備え、第1のコイル210の第1の領域212および複数の第2のコイル220のピッチの両方がコイルのワイヤ幅の3倍以上である場合、第1のコイル210および複数の第2のコイル220は、一般的な3線以上のコイルに代わる組み合わせコイルを得るために、相互ねじ込みによって組み立てられ得る。
【0030】
一実施形態においては、第1のコイル210が、カテーテル本体の近位端と遠位端との間に延びて、カテーテル近位部106からカテーテル遠位部110まで延びる中間層114を形成し得る。第1のコイル210は、近位端から遠位端にかけて徐々に直径が減少する、先細りの形態になり得る。すなわち、近位巻線の直径は、遠位巻線の直径よりも大きく、第1の領域212は、第1のコイル210の遠位部内にのみ位置する。
【0031】
一実施形態においては、第1のコイル210および第2のコイル220が、継ぎ目のない螺旋ばねによって形成され得、形成された組み合わせコイル230の遠位部および近位部の巻線はそれぞれ、一定のピッチを有するが、その遠位部のピッチは、近位部のピッチとは異なり得、例えば、遠位部のピッチは、近位部のピッチよりも広い。遠位部と近位部との間には移行部も備わり得、移行部のコイルピッチは、一定ではなく、長手方向軸の方向に徐々に変化し、例えば、近位部のピッチから遠位部のピッチまで徐々に増大し、それにより、長手軸方向の組み合わせコイル230の形状は、急に大きく変化しない。
【0032】
一実施形態においては、第1のコイル210の第1の領域212のピッチが、第2の領域214のピッチよりも広く、第1のコイル210の第1の領域212が第2のコイル220と組み合わせられた後に形成された組み合わせコイル230が、第1のコイル210の第2の領域214と略同じピッチを有し得、それにより、組み合わせコイル230の長手軸方向の形状は急に大きく変化しない。
【0033】
一実施形態においては、第1のコイル210の第2の領域214の1インチ当たりのピッチ(PPI)数が80であり、第1の領域212のPPIが40であり、第2のコイル220のPPIが40であり、第1のコイル210および第2のコイル220の組み合わせ領域(第2の部分)234のPPIが80である。1インチ当たりのピッチ(PPI)数は、1インチ当たりの長さに含まれるピッチの数を表す。
【0034】
別の実施形態においては、第1のコイル210の第2の領域214の1インチ当たりのピッチ(PPI)数が80であり、第1の領域212および第2のコイル220のPPIが26または26未満である。
【0035】
一実施形態においては、組み合わせられた第1の領域212において、第1のコイル210および第2のコイル220の巻線が、0.5588~0.6604mmの外径範囲および0.4826~0.5842mmの内径範囲を有する。
【0036】
一実施形態においては、第1のコイル210および第2のコイル220が、同じ材料または異なる材料で作られ得る。例えば、第1のコイル210および第2のコイル220の両方の材料が304ステンレス鋼であるか、第1のコイル210の材料が304ステンレス鋼である一方、第2のコイル220の材料がニッケル・チタン合金である。
【0037】
本開示では、第1のコイル210および第2のコイル220が、現在のカテーテルと同じ材料およびサイズ範囲のコイルであり得るため、従来技術よりも性能の良いカテーテルが、従来技術と同程度の生産コストで達成され得、それにより、上記の技術的課題のうちの1つ以上を解決し得る。
【0038】
図3Aは、別の例示的実施形態に係る2つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
図3Bは、
図3Aの実施形態のカテーテル遠位部を含む長手方向断面の概略図を示す。
【0039】
図3Aおよび
図3Bにおいては、第1のコイル310の遠位端の近傍が、第1の領域312と、第1の領域312に隣接する第2の領域314と、を備え、第1の領域312および第2の領域314の両方は、複数の隣接巻線を有する。
図1Aに示したものとは異なり、第2のコイル320は、近位部分322および遠位部分324を備え、その両方が、複数の隣接巻線を備えており、異なるピッチを有し得る。第2のコイル320の近位部分322は、第1のコイル310の第1の領域312と同じ長さおよびピッチを有し、第2のコイル320の近位部分322の巻線は、第1のコイルの第1の領域312内の巻線内に挿入され、その結果、第1のコイル310および第2のコイル320が組み合わせられる。第2のコイル320の遠位部分324の巻線は、第1のコイル310を越えて延びる。
【0040】
第1のコイル310および第2のコイル320によって形成された組み合わせコイル330は、第1のコイル310の第2の領域314である第1の部分332と、第1のコイル310の第1の領域312および第2のコイル320の近位部分322の組み合わせである第2の部分334と、第2のコイル320の遠位部分324である第3の部分336という3つの部分を備え、それにより、引張強度の異なる3つの部位を提供する。
【0041】
例えば、組み合わせコイルにおいて第1のコイル310がステンレス鋼製のばねであり、第2のコイル320がニッケル・チタン合金製のばねであれば、第1の部分の引張強度は、ステンレス鋼ばねの引張強度であり、第2の部分の引張強度は、ステンレス鋼ばねまたはニッケル・チタン合金ばねの組み合わせ引張強度であり、第3の部分の引張強度は、ニッケル・チタン合金ばねの引張強度である。その中で、第2の部分334の引張強度が最も高く、第1の部分332の引張強度がその後に続き、第3の部分336の引張強度が最も低い。そのため、異なるばね剛性を有する部分をカテーテル遠位部110に形成することができ、剛性の高い第2の部分334は、応力を受けてカテーテルが変形する/巻き戻る可能性を下げる一方で、最遠位の第3の部分336が適度な可撓性に保たれ、カテーテルに良好な操作性を提供する。
【0042】
図4Aは、例示的実施形態に係る3つのコイルの組み合わせの概略構造図を示す。
図4Bは、
図4Aの実施形態のカテーテル遠位部を含む長手方向断面の概略図を示す。
図4Cは、
図4Aの実施形態の組み合わせコイルの3次元透視概略図を示す。
【0043】
図4A、
図4B、および
図4Cでは、カテーテル遠位部110が、3つのコイルを組み合わせることによって形成される。第1のコイル410は、
図3Aの第1のコイル310と同様であり、第1のコイル410は、複数の巻線を有する第1の領域412および第2の領域414を備え、第1の領域412のピッチは、第2の領域414のピッチよりも広い。第2のコイル420は、第1のコイル410の第1の領域412と同じピッチを有し、その結果、第2のコイルを第1のコイル410の第1の領域412の巻線に挿入することができる。
【0044】
図3Aに示したものとは異なり、第2のコイル420の長さは、第1の領域412の長さを上回ることから、第2のコイルが第1の領域412において第1のコイル410と完全に組み合わせられるまで第2のコイル420の近位端が第1のコイル410の遠位端から第1のコイル410にねじ込まれた後も、第1のコイル410の遠位端を越えて延びる部分が第2のコイル420の近位端の近くに依然として存在する。
【0045】
ピッチの異なる2つの部分を有し、近位部分432のピッチが第2のコイル420と同じである第3のコイル430は、第2のコイル420にねじ込まれ、第1のコイル410を越えて延びる第2のコイル420の部分と組み合わせられる。第3のコイルの遠位部分434のピッチは、第2のコイル420を越えて延びる第1の部分のピッチ未満であり得る。
【0046】
そのため、組み合わせコイル440は、第1のコイル410の第2の領域414である第1の部分442と、第1のコイル410および第2のコイル420の組み合わせ部分である第2の部分444と、第2のコイル420および第3のコイル430の組み合わせ部分である第3の部分446と、第3のコイル430の遠位部分434である第4の部分448という4つの部分を備え得、それにより、引張強度が異なる最大4つの部位が提供され得る。
【0047】
例えば、組み合わせコイル440において第1のコイル410および第2のコイル420がステンレス鋼材料製のばねであり、第3のコイル430がニッケル・チタン合金製のばねであれば、第1の部分の引張強度は、ステンレス鋼ばねの引張強度であり、第2の部分の引張強度は、2つのステンレス鋼ばねの組み合わせの引張強度であり、第3の部分の引張強度は、ステンレス鋼ばねおよびニッケル・チタン合金ばねの組み合わせの引張強度であり、第4の部分の引張強度は、ニッケル・チタン合金ばねの引張強度である。
【0048】
図5Aは、例示的実施形態に係る4つのコイルの組み合わせの遠位部の概略構造図を示す。
図5Bは、
図5Aの実施形態のカテーテル遠位部を含む長手方向断面の概略図を示す。
【0049】
図5Aでは、カテーテル遠位部110が、4つのコイルを組み合わせることによって形成される。第1のコイル510は、複数の巻線を有する第1の領域512および第2の領域514を備え、第1の領域512および第2の領域514のピッチは異なる。第2のコイル520は、第1のコイル510の第1の領域512と同じピッチを有するため、第2のコイル520を第1のコイル510の遠位端から第1のコイル510にねじ込み、第1の領域512で組み合わせることができる。
【0050】
第3のコイル530は、異なるピッチを有する近位部分532および遠位部分534を備え、近位部分532のピッチは、第2のコイル520のピッチと同じであることから、第3のコイル530の近位部分532は、第2のコイル520および第1のコイル510と組み合わせられるように、第2のコイル520の遠位端から第2のコイル520にねじ込まれ得る。
【0051】
第4のコイル540は、徐々に狭まるピッチを有する近位部分542、中間部分544および遠位部分546を備え、近位部分542のピッチは、第3のコイルの近位部分532のピッチと同じであり、中間部分544のピッチは、第3のコイルの遠位部分534のピッチと同じであることから、第4のコイル540の近位部分542および中間部分544は、第3のコイルの遠位端から第3のコイルにねじ込まれて、第3のコイル530および第2のコイル520と組み合わせられ得る。第4のコイル540の遠位部分546は、任意のコイルとの組み合わせを伴わずに第3のコイル530を越えて延び、遠位部分546は、より狭いピッチを有し得る。
【0052】
第1のコイル510の第1の領域512のピッチは、第2のコイル520および第3のコイル530のワイヤ幅の合計よりも広く、その結果、第2のコイル520および第3のコイル530を第1の領域512に同時にねじ込むことができる。
【0053】
第4のコイル540の巻線は、第2のコイル520の巻線と第3のコイル530の巻線との間に位置するが、第1のコイル510の巻線の間には位置しない。
【0054】
組み合わせコイル550は、第1のコイル510の第2の領域514である第1の部分551と、第1のコイル510の第1の領域512、第2のコイル520、および第3のコイルの近位部分532の組み合わせ部分である第2の部分553と、第2のコイル520、第3のコイルの近位部分532、および第4のコイルの近位部分542の組み合わせ部分である第3の部分555と、第3のコイル530の遠位部分534および第4のコイルの中間部分544の組み合わせ部分である第4の部分557と、第4のコイル540の遠位部分546である第5の部分559という5つの異なる構成部分を有する。そのため、組み合わせコイル550は、強度の異なる5つの部位を有し得る。
【0055】
上記の実施形態においては、示されたコイルが単線コイルであるが、他の実施形態においては、コイルのうちのいずれか1つが複線コイル、すなわち少なくとも2本の等サイズワイヤを巻くことによって形成されたコイルであり得る。組み合わせに複線ワイヤコイルが使用される場合には、コイルのピッチが複線ワイヤの幅に応じて構成され、組み合わせに使用されるコイルのピッチが、組み合わせに使用されるコイルのワイヤ幅の合計以上であり、その結果、コイルをねじ込んで、重なりと継ぎ目のない巻線構造を形成するようになっている。
【0056】
上記の実施形態においては、カテーテル本体が略円筒状であることから、示されたコイルは円筒状螺旋ばねであるが、他の実施形態においては、コイルのうちのいずれか1つが、カテーテル本体の形状に適合する他の形状のばねでもあり得る。
【0057】
例示的実施形態の図には、コイル用のワイヤが、丸型ワイヤまたは平型ワイヤとして示されている。いくつかの好適な実施形態においては、コイル用のワイヤが平型ワイヤであるが、これに限定されるものではなく、コイル用のワイヤは他の形状のワイヤでもあり得る。コイル用の材料は、必要に応じて選択され得、異なるコイルの材料は、異なる可撓性を達成したり、異なる引張強度要件を満たしたりするために、同じであったり異なったりし得る。
【0058】
複数のコイルが組み合わせられる上記の実施形態は、本開示の例示的実施形態にすぎない。実使用時には、当業者が、所与の領域において所望の強度を有するコイル層を達成するために、必要に応じて異なる数のコイルを異なる領域で異なるピッチと組み合わせ得る。
【0059】
本発明者らは、単一コイルが同一または同様のパラメータ(内径、外径、断面積、材料特性を含む)を有するという条件の下で、単一コイルおよび組み合わせコイルのばね剛性を測定した。測定結果を表Iに示す。
【表1】
【0060】
表Iから、2つの単線コイルによって形成された組み合わせコイルのばね剛性は、同様の他のパラメータの条件下で、単線コイルまたは複線コイルのばね剛性よりもはるかに高い(単線コイルのばね剛性の10倍超、または14線コイルのばね剛性の1.5倍超)ことがわかる。このことから、組み合わせコイルが負荷を受けると、ヒステリシス効果によって変形量が低減され、これにより、変形に対する単位当たりの負荷が増す(すなわち、ばね剛性が高まる)ことがわかる。
【0061】
本開示では、2つ以上の単線コイルを互いに螺旋状に組み合わせることによって新規な螺旋状のコイルが得られ、かかる組み合わせが複線コイルの代わりとなる。組み合わせコイルの軸方向引張強度および半径方向圧縮強度が、互いに押し付けられるコイルの相互接触によって向上し、軸方向の巻き戻しに抵抗する能力も向上し、それによってカテーテルの軸受力、信頼性、堅固性、および耐久性が向上する。
【0062】
この説明では、コイルの「軸方向引張強度」は、コイルのばね剛性によって表すことができ、ばね剛性は、ばねの変形量に対する負荷容量の比、または単位当たりの変形に必要な負荷である。
【0063】
本開示は、長尺カテーテルを製造する方法をさらに提供するものであり、長尺カテーテルは、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有し、管腔または空洞を有する。この方法は、第1のコイルの第1の端部をカテーテルの近位端の近くに配置し、第1のコイルの第2の端部をカテーテルの遠位端の近くに配置することと、第2のコイルを提供することと、第2のコイルの一端部にある巻線を、第1のコイルの第2の端部から長手方向軸に沿って第1のコイルにねじ込むことにより、第2のコイルの巻線の少なくとも一部を、複数の隣接コイルを含む第1のコイルの第1の領域に位置付けることと、を含む。
【0064】
一実施形態においては、第1のコイルの長さが第2のコイルの長さを上回り、第1のコイルが、第2のコイルの巻線が挿入されていない少なくとも1つの第2の領域を備える。
【0065】
一実施形態においては、第1のコイルと複数の第2のコイルとの組み合わせられた第1の領域の巻線において、ねじ込まれた2つのコイル端部がオフセットまたは変位し得るのを防ぐために、第1のコイルおよび第2のコイルの巻線が、いくつかの位置で接続されている。例えば、互いに当接する第1のコイル巻線および第2のコイル巻線に対して、2つの端部および中間部分または他の適切な部分でレーザ溶接による部分的なスポット溶接作業を施して、ねじ込んだ後の複数のコイルの輪郭が同心円状に確実に重なり合うようにすることにより、安定した一様の外径および内径を得て、応力を受けて第1のコイルおよび第2のコイルが互いに分離するリスクを低減する。
【0066】
第1のコイルは、カテーテルの近位端から遠位端まで延びるばね層であり得、第2のコイルは、第1のコイルの遠位部の特定領域で第1のコイルと組み合わせられて、特定領域の軸方向引張強度および半径方向曲げ強度を高め、第2のコイルは、カテーテルの近位部まで延びない。
【0067】
本開示の組み合わせコイルをばね層として使用するカテーテルは、経皮的に血管内に挿入して、ガイドワイヤが血管の局所的な狭窄病変を通過するときにガイドワイヤを支持および案内し、その結果、ガイドワイヤが狭窄病変を通過できない現象を防ぐのに使用されたり、別のガイドワイヤと交換するのに使用されたりし得る。例えば、カテーテルは、経皮的冠動脈インターベンション療法のための器具として使用され得る。
【0068】
上記の実施形態は、例として本明細書に記載されているにすぎない。特許請求の範囲において規定された本開示の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。様々な例および他の情報が、添付の特許請求の範囲内の様々な態様を説明するのに使用されているが、当業者は、これらの特許請求の範囲の例を用いて様々な実装形態を導出することが可能となることから、かかる例における具体的な機能または構成が、特許請求の範囲に対する制限として使用されるべきではない。
【0069】
さらに、本明細書において、ある主題が、具体的な構造的特徴および/または方法ステップについて例示的な言語で説明されている場合があるが、特許請求の範囲において定義される主題は、説明された特徴または行為に必ずしも限定されないものと理解すべきである。例えば、かかる機能は、本明細書に記録された構成要素以外の構成要素において別様に配布または実行され得る。記載された特徴およびステップは、添付の特許請求の範囲内のシステムおよび方法の構成要素の例として開示されているにすぎない。