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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ケーブル収容体
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/36 20060101AFI20250212BHJP
   B65H 49/02 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B65H75/36 G
B65H49/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024501288
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2023003582
(87)【国際公開番号】W WO2023157674
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2022022471
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 直也
(72)【発明者】
【氏名】多木 剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 稔
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 彰
(72)【発明者】
【氏名】羅 声楊
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-11377(JP,U)
【文献】実公昭43-17910(JP,Y1)
【文献】特公昭42-12622(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/36
B65H 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを巻くことで形成されていると共に、巻き芯を有しておらず、相互に繋がっている複数のケーブル束と、
前記複数のケーブル束を個別に収容している複数の第1の容器と、を備えており、
前記第1の容器は、前記ケーブルを前記第1の容器の中から取り出す第1及び第2の取出口を有し、
前記複数の第1の容器は、前記複数のケーブル束の巻きの軸方向が鉛直方向に沿うように、相互に積み重ねられ、
前記複数の第1の容器は、相互に積み重ねられた上側容器及び下側容器を含み、
前記上側容器と前記下側容器は、相互にずれるように積み重ねられており、前記下側容器の前記第1又は第2の取出口が前記上側容器から露出しているケーブル収容体。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル収容体であって、
前記第1の容器は、前記ケーブル束の巻きの軸方向に実質的に直交していると共に、相互に対向している第1及び第2の面を備えており、
前記第1の取出口は、前記第1の面に形成され、
前記第2の取出口は、前記第2の面に形成されているケーブル収容体。
【請求項3】
請求項2に記載のケーブル収容体であって、
前記第1の容器は、前記ケーブル束の巻きの軸方向に実質的に平行な面に配置され、前記ケーブル束に接触する凸部又は傾斜面を備えているケーブル収容体。
【請求項4】
ケーブルを巻くことで形成されていると共に、巻き芯を有しておらず、相互に繋がっている複数のケーブル束と、
前記複数のケーブル束を個別に収容している複数の第1の容器と、
記複数の第1の容器を収容する第2の容器と、を備え、
前記第1の容器は、前記ケーブルを前記第1の容器の中から取り出す第1及び第2の取出口を有し、
前記第2の容器は、前記ケーブルを前記第2の容器の中から取り出す第3及び第4の取出口を有するケーブル収容体。
【請求項5】
請求項に記載のケーブル収容体であって、
前記複数の第1の容器は、前記複数のケーブル束の巻きの軸方向が鉛直方向に沿うように、相互に積み重ねられているケーブル収容体。
【請求項6】
請求項に記載のケーブル収容体であって、
前記複数の第1の容器は、相互に積み重ねられた上側容器及び下側容器を含み、
前記上側容器と前記下側容器は、相互にずれるように積み重ねられており、前記下側容器の前記第1又は第2の取出口が前記上側容器から露出しているケーブル収容体。
【請求項7】
ケーブルを巻くことで形成されていると共に、巻き芯を有しておらず、相互に繋がっている複数のケーブル束と、
前記複数のケーブル束を収容している第1の容器と、を備え、
前記第1の容器は、前記ケーブルを前記第1の容器の中から取り出す第1及び第2の取出口を有し、
前記複数のケーブル束は、
第1の内径を有する第1のケーブル束と、
前記第1の内径よりも小さな第1の外径を有する第2のケーブル束と、を含み、
前記第2のケーブル束は、前記第1のケーブル束の内側に収容されているケーブル収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル束を容器に収容したケーブル収容体に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2022年2月16日に日本国に出願された特願2022-22471に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルユニットの圧送距離を長くするための空気圧送光ケーブル工法として、例えば、特許文献1に記載の工法が知られている。この工法では、先ず、光ファイバユニットの中間部分を胴に固定した状態で当該光ファイバユニットの両側部分を同時に巻き取ったリールを準備する。次いで、予め敷設された2本のパイプの間にこのリールを設置し、当該リールを回転させることで光ファイバユニットの両側部分の2本のパイプ内に空気圧送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-45322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の工法では、光ファイバユニットの両側部分の一方をリールの上側から繰り出して一方のパイプ内に送り込むと共に、当該光ファイバユニットの両側部分の他方をリールの下側から繰り出して他方のパイプ内に送り込む。このように、上記の工法では光ファイバユニットの両側部分を同時に繰り出すため、2台の圧送器を準備する必要があると共に、2本のパイプ内への送り込み作業を同期させる必要がある、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ケーブル束からケーブルの両端を独立して繰り出すことが可能なケーブル収容体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るケーブル収容体は、ケーブルを巻くことで形成されていると共に、巻き芯を有しないケーブル束と、前記ケーブル束を収容している第1の容器と、を備えており、前記第1の容器は、前記ケーブルを前記第1の容器の中から取り出す第1及び第2の取出口を有するケーブル収容体である。
【0007】
[2]上記発明において、前記ケーブルは、一本の連続したケーブルであってもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第1の取出口は、前記光ファイバケーブルの第1の端部側を通過させ、前記第2の取出口は、前記光ファイバケーブルの第2の端部側を通過させてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記第1の容器は、前記ケーブル束の巻きの軸方向に実質的に直交していると共に、相互に対向している第1及び第2の面を備えており、前記第1の取出口は、前記第1の面に形成され、前記第2の取出口は、前記第2の面に形成されていてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第1の容器は、前記ケーブル束の巻きの軸方向に実質的に平行な面に配置され、前記ケーブル束に接触する凸部又は傾斜面を備えていてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記ケーブル収容体は、相互に繋がっている複数の前記ケーブル束を備えていてもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記複数のケーブル束は、一本の前記ケーブルにより相互に連続的に繋がっていてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記第1の容器は、前記第1の容器の内部の空間を複数の収容空間に仕切る仕切板を備えており、前記複数のケーブル束は、前記複数の収容空間に個別に収容されていてもよい。
【0014】
[9]上記発明において、前記ケーブル収容体は、前記複数のケーブル束を個別に収容する複数の前記第1の容器を備えていてもよい。
【0015】
[10]上記発明において、前記複数の第1の容器は、前記複数のケーブル束の巻きの軸方向が鉛直方向に沿うように、相互に積み重ねられていてもよい。
【0016】
[11]上記発明において、前記複数の第1の容器は、相互に積み重ねられた上側容器及び下側容器を含み、前記上側容器と前記下側容器は、相互にずれるように積み重ねられており、前記下側容器の前記第1又は第2の取出口が前記上側容器から露出していてもよい。
【0017】
[12]上記発明において、前記ケーブル収容体は、前記複数の第1の容器を収容する第2の容器を備え、前記第2の容器は、前記ケーブルを前記第2の容器の中から取り出す第3及び第4の取出口を有していてもよい。
【0018】
[13]上記発明において、前記第3の取出口は、前記光ファイバケーブルの前記第1の端部側を通過させ、前記第4の取出口は、前記光ファイバケーブルの前記第2の端部側を通過させてもよい。
【0019】
[14]上記発明において、前記複数のケーブル束は、第1の内径を有する第1のケーブル束と、前記第1の内径よりも小さな第1の外径を有する第2のケーブル束と、を含み、前記第2のケーブル束は、前記第1のケーブル束の内側に収容されていてもよい。
【0020】
[15]本発明に係るケーブル敷設方法は、第1及び第2のダクトを準備する第1の工程と、上記のケーブル収容体を準備する第2の工程と、前記ケーブルを前記第1の取出口から繰り出して、前記ケーブルを前記第1のダクトに挿入する第3の工程と、前記ケーブルを前記第2の取出口から繰り出して、前記ケーブルを前記第2のダクトに挿入する第4の工程と、を備えたケーブル敷設方法である。
【0021】
[16]上記発明において、前記第1の工程は、前記第1及び第2のダクトを設置することを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ケーブル束が巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束を収容している第1の容器が、ケーブルを当該第1の容器の中から取り出す第1及び第2の取出口を有しているので、ケーブル束からケーブルの両端を独立して繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体を示す透過斜視図である。
図2図2(a)~図2(d)は、本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体の第1~第4変形例を示す透過斜視図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体の第5変形例を側方から見た断面図である。
図4図4(a)~図4(d)は、本発明の第1実施形態におけるケーブル敷設方法を示す図である。
図5図5(a)は、本発明の第2実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図であり、図5(b)は、図5(a)のVB-VB線に沿った断面図である。
図6図6(a)~図6(c)は、本発明の第2実施形態におけるケーブル束の巻き方を示す図である。
図7図7(a)は、本発明の第3実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す内側の容器を外容器から取り出した状態を示す図である。
図8図8は、本発明の第4実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図である。
図9図9は、本発明の第5実施形態におけるケーブル収容体を示す透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
<<第1実施形態>>
図1は本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体を示す透過斜視図である。なお、この図1及び後述する図2(a)~図2(d)では、容器20の内部の様子の理解を容易にするために、容器20の一部又は全体を透過して示している。
【0026】
本実施形態のケーブル収容体1Aは、図1に示すように、ケーブル束10と、当該ケーブル束10を収容している容器20と、を備えている。このケーブル収容体1Aは、例えば、ケーブル11の敷設工事に際して、敷設現場への運搬作業や敷設作業自体で使用される。
【0027】
ケーブル束10は、一本の連続したケーブル11を環状(コイル状)に巻くことで形成されている。本実施形態では、このケーブル束10を構成するケーブル11は、一方の端部(第1の端部)12と他方の端部(第2の端部)13との間に接続点を一切有していない。なお、例えば融着やコネクタ等により複数のケーブルを接続することで、一本の連続したケーブル11を構成してもよい。すなわち、本実施形態における「一本の連続したケーブル11」とは、一方の端部12と他方の端部13との間が分断されずに連続的に繋がっているケーブルであれば、端部12,13の間に接続点を一切有していなくてもよいし、端部12,13の間に1又は複数の接続点を有していてもよい。また、ケーブル11の具体例としては、光ファイバケーブルを例示することができるが、特にこれに限定されない。例えば、送電用、通信用、或いは、これらを組み合わせた複合タイプのメタルケーブルを、ケーブル11として用いてもよい。
【0028】
このケーブル束10を形成する際のケーブル11の巻き方としては、例えば、トラバース巻きを例示することができる。なお、ケーブル11の巻き方は特に上記に限定されず、8の字巻き等の他の巻き方によりケーブル11を巻くことでケーブル束10を構成してもよい。また、例えば、実用新案登録第3035145号や特開2000-255659号公報に記載されているような巻き方により、ケーブル11を一巻きする毎に、ケーブル11の繰り出し時の捻れとは反対の方向の捻れをケーブル11に加えながら、当該ケーブル11を巻くことで、ケーブル束10を形成してもよい。
【0029】
本実施形態のケーブル束10は、例えば、パラソルドラム式の巻取装置によりケーブル11を巻き取ることで形成されている。この方式の巻取装置は、ケーブル11の巻取後にパラソルドラムを収縮させることで、完成したケーブル束10を当該巻取装置から取り外す。このため、本実施形態のケーブル束10は、ドラムやリール等の巻き芯を有していない、所謂、ドラムレス構造を有している。なお、ケーブル束10が巻き芯を有していないのであれば、上記のパラソルドラム式以外の方式の巻取装置を用いてケーブル束10を形成してもよい。
【0030】
このように、本実施形態では、ケーブル束10が巻き芯を有していないので、ケーブル11の第1の端部12と、当該ケーブル11の第2の端部13と、をケーブル束10から同時に繰り出すことが可能となっている。すなわち、本実施形態では、ケーブル11の両方の端部12,13をケーブル束10から同時に繰り出すことが可能となっている。これに対し、ケーブル束がドラムに巻き取られている場合には、巻き終わり側の端部(E端。例えば一方の端部)をケーブル束から繰り出すことはできるが、巻き始め側の端部(S端。例えば他方の端部)はドラムに固定されているため、当該巻き始め側の端部をケーブル束から繰り出すことはできない。
【0031】
また、本実施形態では、ケーブル束10が巻き芯を有していないので、ケーブル11を繰り出す際にケーブル束10自体を回転させる必要がなく、ケーブル11の両方の端部12,13をケーブル束10から独立して繰り出すことが可能となっている。これに対し、上述した特許文献1に記載の工法では、リールの回転に伴ってケーブルの両方の端部を同時に繰り出す必要があるので、ケーブルの両方の端部を独立して繰り出すことはできない。
【0032】
容器20は、例えば、6つの面21a~21fを有する箱体であり、上記のケーブル束10をその内部に収容している。なお、ケーブル束10を収容可能な空間を内部に有しているのであれば、容器20の形状は特に上記に限定されない。例えば、容器20の形状が円筒形状であってもよい。こうした容器20にケーブル束10を収容することで、ケーブル束10の運搬が容易になると共に、ケーブル束10の崩れの発生を抑制することができる。
【0033】
本実施形態では、ケーブル束10は、横向きの姿勢で容器20に収容されており、当該ケーブル束10の巻きの軸方向Lが水平方向(図中のXY平面方向)に対して実質的に平行な姿勢(すなわち「横向き姿勢」)で、容器20内に配置されている。このように、ケーブル束10を横向きの姿勢で容器20に収容することで、当該ケーブル束10の自重等に起因したキンクがケーブル11に発生するのを抑制することができる。なお、後述する第2~第5実施形態において、ケーブル束10を横向き姿勢で容器内に収容してもよい。
【0034】
この容器20は、例えば、紙製のダンボールを用いて構成されているが、特にこれに限定されない。例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料からなるプラスチックダンボールを用いて容器20を構成してもよいし、或いは、金属製の箱体を用いて容器20を構成してもよい。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の容器20は2つの取出口22,23を有している。第1の取出口22は、図1において箱体の左側面を構成している第1の面21aに形成されている。この第1の取出口22は、第1の面21aを当該第1の面21aの厚さ方向に貫通している。これに対し、第2の取出口23は、図1において箱体の右側面を構成している第2の面21bに形成されている。この第2の取出口23も、第2の面21bを当該第2の面21bの厚さ方向に貫通している。
【0036】
この第1及び第2の面21a,21bのいずれも、上記のケーブル束10の巻きの軸方向Lに対して実質的に直交しており、第1及び第2の取出口22,23は、この相互に対向している第1及び第2の面21a,21bにそれぞれ形成されている。そして、第1の取出口22からは、ケーブル11が当該容器20の中から外に取り出されており、この第1の取出口22を当該ケーブル11の第1の端部12側が通過している。一方、第2の取出口23からも、ケーブル11が当該容器20の中から外に取り出されており、この第2の取出口23を当該ケーブル11の第2の端部13側が通過している。
【0037】
なお、容器20内におけるケーブル束10の姿勢や第1及び第2の取出口22,23を形成する面は、特に上記に限定されない。図2(a)~図2(d)は、本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体の第1~第4変形例を示す透過斜視図である。
【0038】
例えば、図2(a)に示すように、図1に示すケーブル収容体1Aを時計回り90度回転させた状態で、当該ケーブル収容体1Aを使用してもよい。この場合には、第1の面21aが図中において箱体の蓋面を構成し、第2の面21bが図中において箱体の底面を構成するので、第1の取出口22はケーブル束10の上方に位置し、第2の取出口23はケーブル束10の下方に位置する。また、ケーブル束10は、縦向きの姿勢で容器20に収容されており、当該ケーブル束10の巻きの軸方向Lが鉛直方向(図中のZ方向)に対して実質的に平行な姿勢(すなわち「縦向き姿勢」)で、ケーブル束10が容器20内に配置されている。
【0039】
或いは、図2(b)に示すように、第1及び第2の取出口22,23を、第3及び第4の面21c,21dに形成してもよい。或いは、図2(c)に示すように、第1の取出口22を第1の面21aに形成すると共に、第2の取出口23を第4の面21dに形成してもよい。或いは、図2(d)に示すように、第1及び第2の取出口22,23の両方を同一の面21aに形成してもよい。なお、図2(a)~図2(d)において、第3及び第4の面21c,21dは、図中において箱体の側面を構成している。なお、図2(b)において、第3の面21cと第4の面21dとが相互に対向しているが、特にこれに限定されない。例えば、第3の面21cと第4の面21dとが相互に隣接する面であってもよい。
【0040】
また、第2及び第5実施形態において、図2(a)~図2(c)に示す面に第1及び第2の取出口22,23を形成してもよい。或いは、第3及び第4実施形態において、図2(b)~図2(d)に示す面に第1及び第2の取出口22,23を形成してもよい。
【0041】
図1に戻り、本実施形態の容器20は、当該容器20の内壁に複数の凸部24を有していてもよい。それぞれの凸部24は、三角形の断面形状を有しており、ケーブル束10の巻きの軸方向Lに対して実質的に直交する方向(図中のY方向)に沿って延在している。それぞれの凸部24は、例えば、L字型の断面形状を有するダンボールから構成されており、容器20の内側面に貼り付けることで形成されている。なお、凸部24の断面形状は、凸状に突出した形状であれば上記に特に限定されず、例えば、矩形状や円弧状であってもよい。また、凸部24を、紙製のダンボールに代えて、プラスチックダンボールや金属製の部材で構成してもよい。
【0042】
この複数の凸部24は、上述の第1の面21aと第2の面21bとを接続している第3及び第4の面21c,21dに配置されている。複数の凸部24は、第3の面21cの内側面に設けられていると共に、第4の面21dの内側面に設けられている。また、第3の面21cは、図1において箱体の底面を構成しているのに対し、第4の面21dは、図1において箱体の蓋面を構成している。複数の凸部24は、第3の面21cの上面(内側面)に相互に並行に配置されることで、波型の構造を形成している。同様に、複数の凸部24は、第4の面21dの下面(内側面)に相互に並行に配置されることで、波型の構造を形成している。なお、一つの面に配置される凸部24の数は、特に限定されず、任意に設定することができる。
【0043】
こうした複数の凸部24からなる波型の構造を、ケーブル束10の軸方向Lに対して実質的に平行な面21c,21dに形成することで、ケーブル束10を構成するケーブル11同士の間に当該凸部24を入り込ませて、当該凸部24によりケーブル11を保持することができる。これにより、ケーブル束10を横向きの姿勢で容器20に収容した場合であっても、ケーブル束10が倒れたり崩れてしまうことを抑制することができる。
【0044】
なお、複数の凸部24からなる波型の構造を形成する面は、ケーブル束10の軸方向Lに対して実質的に平行な面であれば、特に上記に限定されない。例えば、第5及び第6の面21e,21fに複数の凸部24を配置してもよい。第5の面21eは、図1において箱体の前面を構成しており、第6の面21fは、図1において箱体の背面を構成している。或いは、複数の凸部24を第3~第6の面21c~21f(すなわち、箱体においてケーブル束10の軸方向Lに対して実質的に平行な全ての面)に複数の凸部24を配置してもよい。また、第2~第5実施形態において、例えばケーブル束を横向き姿勢で容器内に収容した場合に、当該容器が凸部24を有していてもよい。
【0045】
図3は本発明の第1実施形態におけるケーブル収容体の第5変形例を側方から見た断面図である。
【0046】
上述した凸部24に代えて、図3に示すように、ケーブル束10の軸方向Lに対して実質的に平行な面21c~21fに傾斜面25a,25bを配置してもよい。第1の傾斜面25aは、ケーブル束10の軸方向Lに対して傾斜しており、第1の取出口22に近づくに従って収容空間が狭くなる先細の漏斗状の形状を有している。第2の傾斜面25bも、ケーブル束10の軸方向Lに対して傾斜しており、第2の取出口23に近づくに従って収容空間が狭くなる先細の漏斗状の形状を有している。
【0047】
こうした傾斜面25a,25bによってケーブル束10全体を保持することで、ケーブル束10を横向きの姿勢で容器20に収容した場合であっても、ケーブル束10が倒れたり崩れてしまうことを抑制することができる。なお、図3に示す例の場合には、例えば、ケーブル束10の軸方向Lにおいてケーブル11の巻き回数を異ならせることで、ケーブル束10の形状を傾斜面25a,25bに合わせることができる。第2~第5実施形態において、例えばケーブル束を横向き姿勢で容器内に収容した場合に、当該容器が傾斜面25a,25bを有していてもよい。
【0048】
なお、例えばケーブル束10の倒れや崩れのおそれがない場合や、図2(a)~図2(d)に示すようにケーブル束10を縦向きの姿勢で容器20内に配置した場合には、容器20が凸部24や傾斜面25a,25bを有していなくてもよい。
【0049】
以下に、以上に説明したケーブル収容体1Aを用いた空気圧送ケーブル工法によるケーブル11の敷設方法について、図4(a)~図4(d)を参照しながら説明する。図4(a)~図4(d)は、本発明の第1実施形態におけるケーブル敷設方法を示す図である。
【0050】
先ず、図4(a)に示すように、2本のダクト51,52を設置する。なお、このダクト51,52が既に設置されたダクトであってもよい。次いで、この2本のダクト51,52の間に上述したケーブル収容体1Aを配置すると共に、第1のダクト51の一方の端部に圧送器60をセットする。次いで、作業者(図1参照)が、容器20の第1の取出口22を介してケーブル11を第1の端部12から引き出して、圧送器60に挿入する。
【0051】
次いで、図4(b)に示すように、コンプレッサ70から乾燥処理した圧縮空気を圧送器60に供給する。この圧送器60は、例えばキャタピラによる押し込みと圧縮空気とによってケーブル11を第1のダクト51内に圧送し、この圧送に伴って第1の取出口22を介してケーブル11の第1の端部12側が容器20から順次繰り出される。そして、第1のダクト51の反対側の端部からケーブル11の第1の端部12が露出したら、圧送器60を停止する。これにより、第1のダクト51内へのケーブル11の敷設作業が完了する。
【0052】
次いで、図4(c)に示すように、圧送器60を第1のダクト51の端部から取り外して第2のダクト52の一方の端部にセットする。そして、作業者(図1参照)が、容器20の第2の取出口23を介してケーブル11の第2の端部13を引き出して、ケーブル11を圧送器60に挿入する。
【0053】
次いで、図4(d)に示すように、コンプレッサ70から乾燥処理した圧縮空気を圧送器60に供給する。この圧送器60の押し込みと圧縮空気によってケーブル11が第2のダクト52内を圧送されることで、第2の取出口23を介してケーブル11の第2の端部13側が容器20から順次繰り出される。そして、第2のダクト52の反対側の端部からケーブル11の第2の端部13が露出したら、圧送器60を停止する。これにより、第2のダクト52内へのケーブル11の敷設作業が完了する。
【0054】
次いで、ケーブル収容体1Aの容器20をケーブル11から取り外した後に、2本のダクト51,52の端部同士を接続することで、ダクト51,52へのケーブル11の敷設作業が完了する。
【0055】
なお、上述のケーブル敷設方法では、一方のダクト51へのケーブル11の敷設が完了した後に、他方のダクト52へのケーブル11の敷設を開始しているが、2つのダクト51,52へのケーブル11の敷設のタイミングは特にこれに限定されない。例えば、2台の圧送器60を用意することができる場合には、一方のダクト51へのケーブル11の敷設作業と、他方のダクト52へのケーブル11の敷設作業と、を並行して進めてもよい。この場合であって、本実施形態のケーブル収容体1Aを用いることで、2つのダクト51,52へのケーブル11の敷設作業を同期させずに個別に独立して実施することができるので、作業性に優れている。
【0056】
以上のように、本実施形態では、ケーブル束10が巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束10を収容している容器20が、ケーブル11を容器20の中から取り出す第1及び第2の取出口22,23を有しているので、ケーブル束10からケーブル11の両端12,13を独立して繰り出すことができる。
【0057】
<<第2実施形態>>
図5(a)は本発明の第2実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図であり、図5(b)、図5(a)のVB-VB線に沿った断面図である。図6(a)~図6(c)は本発明の第2実施形態におけるケーブル束の巻き方を示す図である。
【0058】
本実施形態では、主に、(a)ケーブル束が複数のケーブル束10A,10Bに分割されている点と、(b)容器20が仕切板26を有している点で、上述した第1実施形態の図2(d)に示す変形例と相違する。以下に、第2実施形態におけるケーブル収容体1Bについて第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5(a)に示すように、本実施形態のケーブル収容体1Bは、複数(本例では2つ)のケーブル束10A,10Bを備えている。この複数のケーブル束10A,10Bは、一本のケーブル11により相互に連続的に繋がっている。すなわち、このケーブル束10A,10Bを構成するケーブル11は、第1の端部12と第2の端部13との間に接続点を一切有していない。なお、例えば融着やコネクタ等により複数のケーブルを接続することで一本の連続したケーブル11を構成し、このケーブル11を用いて複数のケーブル束10A,10Bを形成してもよい。この場合に、当該接続点がケーブル束10A,10Bの中に位置していることが好ましい。これにより、ケーブル11においてケーブル束10A,10B間の部分(ケーブル11においてケーブル束10A,10B同士を接続する部分)に応力が印加されても、接続点の不具合の発生を抑制することができる。また、ケーブル収容体1Bが備えるケーブル束の数は、複数であれば、特に上記に限定されない。
【0060】
このケーブル束10A,10Bは、以下のように形成されている。
【0061】
すなわち、先ず、図6(a)に示すように、供給ドラム80から供給されるケーブル11を、上述したパラソルドラム式の巻取装置を用いて巻き取ることで、ケーブル束10Bを形成する。この際、ケーブル11の第2の端部13はケーブル束10Bの下方に位置している。
【0062】
次いで、巻取装置からケーブル束10Bを取り外した後に、図6(b)に示すように、当該ケーブル束10Bを反転させる。これにより、ケーブル11の第2の端部13が、ケーブル束10Bの上方に位置する。
【0063】
次いで、図6(c)に示すよう、供給ドラム80から供給されるケーブル11を、上述したパラソルドラム式の巻取装置を用いて、ケーブル束10Aを形成する。この際、ケーブル11の第1の端部12はケーブル束10Aの上方に位置している。また、ケーブル束10Bを形成した後にケーブル11を切断せずにケーブル束10Aを形成しているので、2つのケーブル束10A,10Bは、一本のケーブル11により連続的に繋がっている。
【0064】
なお、ケーブル束10A,10Bの形成方法は、特に上記に限定されない。例えば、次のような方法で、ケーブル束10A,10Bを形成してもよい。すなわち、図6(a)に示す要領でケーブル束10Bを形成した後に、当該ケーブル束10Bを巻取装置から取り外さずにケーブル束10A形成する。そして、2つのケーブル束10A,10Bを巻取装置から取り外した後に、ケーブル束10Bを反転させてもよい。
【0065】
図5(a)に戻り、本実施形態の容器20は仕切板26を有しており、この仕切板26によって当該容器20の内部の空間が2つの収容空間27a,27bに分割されている。そして、上述した2つのケーブル束10A,10Bが、この2つの収容空間27a,27bに個別に収容されている。具体的には、ケーブル束10Aは収容空間27aに収容され、ケーブル束10Bは収容空間27bに収容されている。この際、いずれのケーブル束10A,10Bも、縦向きの姿勢で収容空間27a,27bに収容されている。なお、ケーブル収容体1Bが備えるケーブル束の数に応じて、容器20が複数の仕切板26を有していてもよい。
【0066】
なお、第1、第3及び第4実施形態において、容器が、当該容器の内部空間を複数の収容空間に仕切る仕切板を備え、ケーブル収容体が、複数の収容空間に個別に収容された複数のケーブル束を備えていてもよい。
【0067】
この仕切板26は、2つの貫通孔28、29を有している。この2つの貫通孔28,29はいずれも、当該仕切板26をその厚さ方向に貫通している。ケーブル11の第1の端部12は、容器20の第1の面21aに形成された第1の取出口22を介して、容器20の中から外に取り出されている。また、ケーブル11におけるケーブル束10A,10B同士の間の部分は、仕切板26の第1の貫通孔28を通過している。第2の貫通孔29は、容器20の第1の面21aに形成された第2の取出口23に対向するように仕切板26に形成されている。ケーブル11の第2の端部13は、この第2の貫通孔29を介して下側の収容空間27bから上側の収容空間27aに進入し、さらに第2の取出口23を介して容器20の中から外に取り出されている。
【0068】
以上のように、本実施形態では、ケーブル束10A,10Bが巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束10A,10Bを収容している容器20が、ケーブル11を容器20の中から取り出す第1及び第2の取出口22,23を有しているので、ケーブル束10A,10Bからケーブル11の両端12,13を独立して繰り出すことができる。
【0069】
また、本実施形態では、容器20の内部が仕切板26により複数の収容空間27a,27bに仕切られており、複数のケーブル束10A,10Bがその複数の収容空間27a,27bに個別に収容されている。このため、ケーブル束10A,10Bを縦向きの姿勢で容器20内に配置した場合であっても、いずれのケーブル束10A,10Bについてもケーブル11を上方に向かって繰り出すことができるので、当該ケーブル束10A,10Bの自重等に起因したキンクがケーブル11に発生するのを抑制することができる。なお、キンクの発生等のケーブル11への影響がないような場合には、取出口23を収容空間27b側に配置して貫通孔29を省略してもよい。
【0070】
<<第3実施形態>>
図7(a)は本発明の第3実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図であり、図7(b)は図7(a)に示す内側の容器を外容器から取り出した状態を示す図である。
【0071】
本実施形態では、主に、(a)複数のケーブル束10A,10Bが個別の容器20A,20Bに収容されている点と、(b)当該複数の容器20A,20Bが外容器30にさらに収容されている点で、上述した第2実施形態と相違する。以下に、第3実施形態におけるケーブル収容体1Cについて第2実施形態との相違点についてのみ説明し、第2実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
図7(a)に示すように、本実施形態のケーブル収容体1Cは、複数(本例では2つ)の容器20A,20Bを備えている。この2つの容器20Aは、鉛直方向に積み重ねられている。2つの容器20A,20Bにはケーブル束10A,10Bがそれぞれ個別に収納されている。具体的には、上側容器20Aには一方のケーブル束10Aが収容され、下側容器20Bには他方のケーブル束10Bが収容されている。この際、いずれのケーブル束10A,10Bも、縦向きの姿勢で容器20A,20Bに収容されている。なお、ケーブル収容体1Cが備える容器の数は、特に上記に限定されず、例えば、ケーブル収容体1Cが備えるケーブル束の数に応じて、容器の数を設定することができる。
【0073】
ケーブル11の第1の端部12は、上側容器20Aの第1の取出口22を介して、上側容器20Aの中から外に取り出されている。また、ケーブル11においてケーブル束10A,10B同士の間の部分は、上側容器20Aの第2の取出口23と下側容器20Bの第1の取出口22を通過している。さらに、ケーブル11の第2の端部13は、下側容器20Bの第2の取出口23を介して、下側容器20Bの中から外に取り出されている。
【0074】
本実施形態では、上側容器20Aでは、第1の取出口22は第1の面21aに形成され、第2の取出口23は第2の面21bに形成されているのに対し、下側容器20Bでは、第1の取出口22は第2の面21bに形成され、第2の取出口23は第1の面21aに形成されている。なお、上側容器20Aの第2の取出口23を、当該上側容器20Aの側面に形成してもよい。また、下側容器20Bの第1の取出口22を、当該下側容器20Bの側面に形成してもよい。
【0075】
また、本実施形態のケーブル収容体1Cは、外容器30を備えている。2つの容器20A,20Bは、相互に積み重ねられた状態で、この外容器30に収容されている。この際、上側容器20Aと下側容器20Bとは相互にずれるように積み重ねられており、下側容器20Bの第2の取出口23が上側容器20Aから露出している。なお、容器20Aの上に容器20Bを積み重ねてもよく、この場合には、容器20Aの第1の取出口22が容器20Bから露出するように、容器20A,20Bを相互にずらして積み重ねる。
【0076】
この外容器30の上面31aには、第3及び第4の取出口32,33が形成されている。第3の取出口32は、上側容器20Aの第1の取出口22に対向している。ケーブル11の第1の端部12は、上側容器20Aの第1の取出口22と外容器30の第3の取出口32を介して、上側容器20Aの中から外容器30の外に取り出されている。同様に、第4の取出口33は、下側容器20Bの第2の取出口23に対向している。ケーブル11の第2の端部13は、下側容器20Bの第2の取出口23と外容器30の第4の取出口33を介して、下側容器20Bの中から外容器30の外に取り出されている。なお、外容器30において第3及び第4の取出口32,33を形成する面は、上面31aに限定されず、外容器30の側面或いは底面に形成してもよい。また、第3及び第4の取出口32,33を外容器30の異なる面に形成してもよい。
【0077】
なお、第1、第2及び第5実施形態において、ケーブル収容体が複数の容器を備えていてもよい。この場合に、複数の容器を、ケーブル束の巻き方向の軸方向が鉛直方向に沿うように、相互に積み重ねてもよい。さらに、第1、第2及び第5実施形態において、ケーブル収容体が、当該複数の容器を収容する外容器を備えていてもよい。
【0078】
本実施形態のケーブル収容体1Cを用いてケーブル11を敷設する場合には、ケーブル11の第1の端部12側は、上側容器20Aの第1の取出口22から第1のダクト51に繰り出される。これに対し、当該ケーブル11の第2の端部13側は、下側容器20Bの第2の取出口23から第2のダクト52に繰り出される。
【0079】
なお、敷設現場において、図7(b)に示すように、外容器30から内側の容器20A,20Bを取り出した状態でケーブル収容体1Cを配置してもよい。これにより、当該現場におけるケーブル収容体1Cの短距離の運搬が容易になる。また、敷設現場におけるケーブル収容体の配置スペースが狭い場合であっても、外容器30から内側の容器20A,20Bを取り出して、ケーブル収容体1Cを容器20A,20Bに小分けにすることで、当該現場にも対応することができる。
【0080】
以上のように、本実施形態では、ケーブル束10A,10Bが巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束10A,10Bを収容している容器20A,20Bが、ケーブル11を容器20A,20Bの中から取り出す第1及び第2の取出口22,23をそれぞれ有しているので、ケーブル束10A,10Bからケーブル11の両端12,13を独立して繰り出すことができる。
【0081】
また、本実施形態では、複数のケーブル束10A,10Bが複数の容器20A,20Bに個別に収容されている。このため、ケーブル束10A,10Bを縦向きの姿勢で容器20A,20B内に配置した場合であっても、いずれのケーブル束10A,10Bについてもケーブル11を上方に向かって繰り出すことができるので、当該ケーブル束10A,10Bの自重等に起因したキンクがケーブル11に発生するのを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態では、2つの容器20A,20Bが1つの外容器30に収容されているので、ケーブル収容体1Cを効率的に運搬することができる。
【0083】
<<第4実施形態>>
図8は本発明の第4実施形態におけるケーブル収容体を側方から見た断面図である。
【0084】
本実施形態では、主に、ケーブル収容体1Dが、4つのケーブル束10A~10Dと、4つの容器20A~20Dと、を備えている点で、上述した第3実施形態と相違する。以下に、第3実施形態におけるケーブル収容体1Dについて第3実施形態との相違点についてのみ説明し、第3実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図8に示すように、本実施形態のケーブル収容体1Dは、2つのケーブル束10A,10Bに加えて、さらに2つのケーブル束10C,10Dを備えている。すなわち、ケーブル収容体1Dは、4つのケーブル束10A~10Dを備えている。この複数のケーブル束10A~10Dは、一本のケーブル11により相互に連続的に繋がっており、このケーブル束10A~10Dを構成するケーブル11は、第1の端部12と第2の端部13との間に接続点を一切有していない。なお、例えば融着やコネクタ等により複数のケーブルを接続することで一本の連続したケーブル11を構成し、このケーブル11を用いて複数のケーブル束10A~10Dを形成してもよい。この場合に、接続点がケーブル束10A~10Dの中に位置していることが好ましい。
【0086】
また、このケーブル収容体1Dは、上記のケーブル束10A~10Dを個別に収容するために、2つの容器20A,20Bに加えて、さらに2つの容器20C,20Dを備えている。すなわち、ケーブル収容体1Dは、4つの容器20A~20Dを備えている。具体的には、容器20Aにはケーブル束10Aが収容され、容器20Bにはケーブル束10Bが収容され、容器20Cにはケーブル束10Cが収容され、容器20Dはケーブル束10Dが収容されている。この際、いずれのケーブル束10A~10Dも、縦向きの姿勢で容器20A~20Dに収容されている。
【0087】
本実施形態では、4つの容器20A~20Dは、鉛直方向に積み重ねられている。具体的には、容器20A,20Bの間に容器20C,20Dが積み重ねられている。4つの容器20A~20Dは、相互に積み重ねられた状態で、この外容器30に収容されている。この際、容器20Dと容器20Bとは相互にずれるように積み重ねられており、容器20Bの第2の取出口23が容器20Dから露出している。
【0088】
ケーブル11の第1の端部12は、容器20Aの第1の取出口22と外容器30の第3の取出口32を介して、容器20Aの中から外容器30の外に取り出されている。これに対し、ケーブル11の第2の端部13は、容器20Bの第2の取出口23と外容器30の第4の取出口33を介して、容器20Bの中から外容器30の外に取り出されている。
【0089】
また、ケーブル11においてケーブル束10A,10C同士の間の部分は、容器20Aの第2の取出口23と容器20Cの第1の取出口22を通過している。同様に、ケーブル11においてケーブル束10C,10D同士の間の部分は、容器20Cの第2の取出口23と容器20Dの第1の取出口22を通過している。また、ケーブル11においてケーブル束10D,10B同士の間の部分も、容器20Dの第2の取出口23と容器20Bの第1の取出口22を通過している。
【0090】
本実施形態のケーブル収容体1Dを用いてケーブル11を敷設する場合には、ケーブル11の第1の端部12側は、容器20A,20C,20Dの第1の取出口22から第1のダクト51に順次繰り出される。これに対し、当該ケーブル11の第2の端部13側は、容器20Bの第2の取出口23から第2のダクト52に繰り出される。
【0091】
すなわち、本実施形態では、第1のダクト51が第2のダクト52よりも長くなっているため、外容器30内において上側の3つのケーブル束10A,10C,10Dのケーブル11が第1のダクト51内に設置され、最も下段の1つのケーブル束10Bのみのケーブル11が第2のダクト52内に設置される。このように、本実施形態では、それぞれのダクト51,52の長さに応じて、第1のダクト51内に設置するケーブル11を巻いたケーブル束の数と、第2のダクト52内に設置するケーブル11を巻いたケーブル束の数と、を設定することができる。
【0092】
なお、特に図示しないが、敷設現場において、外容器30から内側の容器20A~20Dを取り出した状態でケーブル収容体1Dを配置してもよい。これにより、ケーブル収容体1Dの短距離の運搬が容易になると共に、スペースの狭い敷設現場にも対応することができる。
【0093】
以上のように、本実施形態では、ケーブル束10A~10Dが巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束10A~10Dを収容している容器20A~20Dが、ケーブル11を容器20A~20Dの中から取り出す第1及び第2の取出口22,23をそれぞれ有しているので、ケーブル束10A~10Dからケーブル11の両端12,13を独立して繰り出すことができる。
【0094】
また、本実施形態では、複数のケーブル束10A~10Dが複数の容器20A~20Dに個別に収容されている。このため、ケーブル束10A~10Dを縦向きの姿勢で容器20A~20D内に配置した場合であっても、いずれのケーブル束10A~10Dについてもケーブル11を上方に向かって繰り出すことができるので、当該ケーブル束10A~10Dの自重等に起因したキンクがケーブル11に発生するのを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、4つの容器20A~20Dが1つの外容器30に収容されているので、ケーブル収容体1Dを効率的に運搬することができる。
【0096】
<<第5実施形態>>
図9は本発明の第5実施形態におけるケーブル収容体を示す透過斜視図である。なお、この図9では、上述の図2(a)~図2(d)と同様に、容器20の内部の様子の理解を容易にするために、容器20の全体を透過して示している。
【0097】
本実施形態では、主に、(a)容器20が仕切板26を有していない点と、(b)一方のケーブル束10Aの中に他方のケーブル束10Bが配置されている点で、上述した第2実施形態と相違する。以下に、第5実施形態におけるケーブル収容体1Eについて第2実施形態との相違点についてのみ説明し、第2実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
本実施形態では、ケーブル収容体1Eの容器20が仕切板26を有していないため、一方のケーブル束10Aが第1の内径D1を有しているのに対し、他方のケーブル束10Bは、第1の内径D1よりも小さな第1の外径D2を有している(D2<D1)。そして、ケーブル束10Bが、ケーブル束10Aの内側に配置されている。この際、いずれのケーブル束10A,10Bも、縦向きの姿勢で容器20に収容されている。なお、第1~第4実施形態において、ケーブル収容体が第1及び第2のケーブル束を備え、第1のケーブル束の内側に第2のケーブル束を配置してもよい。
【0099】
なお、ケーブル収容体1Eが備えるケーブル束の数は、複数であれば、特に上記に限定されない。この場合にも、複数のケーブル束の径を相互に異ならせることで、複数のケーブル束を入れ子状に収容することができる。
【0100】
ケーブル11の第1の端部12は、容器20の上面21aに形成された第1の取出口22を介して、容器20Aの中から外に取り出されている。ケーブル11の第2の端部13も、容器20の上面21aに形成された第2の取出口23を介して、容器20の中から外に取り出されている。
【0101】
以上のように、本実施形態では、ケーブル束10A,10Bが巻き芯を有していないと共に、当該ケーブル束10A,10Bを収容している容器20が、ケーブル11を容器20の中から取り出す第1及び第2の取出口22,23をそれぞれ有しているので、ケーブル束10A,10Bからケーブル11の両端12,13を独立して繰り出すことができる。なお、本実施形態では、ケーブル11の第1の端部12側の繰出作業が完了した後に、当該ケーブル11の第2の端部13側の繰出作業を開始する。
【0102】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0103】
1A~1E…ケーブル収容体
10…ケーブル束
11…ケーブル
12…第1の端部
13…第2の端部
20,20A~20D…容器
21a~21f…第1~第6の面
22…第1の取出口
23…第2の取出口
24…凸部
25a,25b…傾斜面
26…仕切板
27a,27b…収容空間
28,29…貫通孔
30…外容器
31a…上面
32…第3の取出口
33…第4の取出口
51,52…ダクト
60…圧送器
70…コンプレッサ
80…供給ドラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9