(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】小型筐体を有するメイクアップ装置
(51)【国際特許分類】
A45D 44/00 20060101AFI20250212BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20250212BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20250212BHJP
B05B 15/62 20180101ALI20250212BHJP
B05B 15/70 20180101ALI20250212BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20250212BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20250212BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250212BHJP
【FI】
A45D44/00 Z
A45D34/04 550
B05B13/04
B05B15/62
B05B15/70
G06F3/01 510
G06F3/048
G06T7/00 660A
(21)【出願番号】P 2024506852
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022107997
(87)【国際公開番号】W WO2023011262
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-02-16
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512134163
【氏名又は名称】榮美創意科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ドノフエ ダニエル アリエル
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3172833(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0053608(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236474(US,A1)
【文献】実公昭49-000232(JP,Y1)
【文献】実開平4-080575(JP,U)
【文献】特開2013-169462(JP,A)
【文献】特開2012-071126(JP,A)
【文献】中国実用新案第212601835(CN,U)
【文献】特開2018-166650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/00
A45D 44/02
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全に開いた状態と部分的に閉じた状態とを有するメイクアップ装置であって、
上部レッジを含む筺体と、
垂直中心軸を中心に前記筐体内で回転するように作動可能な回転台と、
前記回転台と連結し、スプレーカートリッジを格納してユーザの肌の対象エリアに対して前記スプレーカートリッジ内に収容された物質を前記スプレーカートリッジに噴射させるように作動可能なスプレーヘッドと、
前記対象エリアに対して垂直及び水平に前記スプレーヘッドを移動させるように作動可能であり、前記回転台と連結し前記回転台と共に回転する移動手段と、
前記筐体内にあり、前記回転台及び前記移動手段の動作を制御する制御回路と
を備え
、
前記移動手段は、前記スプレーヘッドの上面が前記上部レッジと位置合わせされるように前記筐体の外側からスプレーヘッドを垂直方向に下げるように動作し、これによりメイクアップ装置は部分的に閉じた状態となり、
前記移動手段は、前記スプレーヘッドを前記筐体の内部から前記上部レッジの上の位置まで垂直方向に上げるように動作し、メイクアップ装置を前記部分的に閉じた状態から前記完全に開いた状態に変化させるメイクアップ装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記中心軸に平行であって、前記スプレーヘッドが垂直に移動する又は前記スプレーヘッドを垂直に移動させるように作動可能なzスライダーアームを備える、
請求項1に記載のメイクアップ装置。
【請求項3】
前記移動手段はさらに、
前記zスライダーアームが沿ってスライドする水平トラックを有するyスライダーアームと、
前記yスライダーアームが沿ってスライドし、前記回転台上に設置され、前記zスライダーアーム及び前記yスライダーアームに垂直なxスライダートラックとを備える、
請求項2に記載のメイクアップ装置。
【請求項4】
前記移動手段はさらに、
前記zスライダーアームに支持される第1端と前記スプレーカートリッジを支持する第2端を有し、前記第1端を中心に水平に回転するように作動可能なスイングアームを備える、
請求項2に記載のメイクアップ装置。
【請求項5】
前記筐体に取り付けられた観察素子であって、前記メイクアップ装置のユーザのデジタル画像や反射像を表示する観察面を有する前記観察素子をさらに備える、
請求項1に記載のメイクアップ装置。
【請求項6】
前記回転台は円形の上面を持つ円柱形である、
請求項1に記載のメイクアップ装置。
【請求項7】
前記対象エリアはユーザの顔であり、
前記移動手段は前記顔の周りで前記スプレーヘッドを移動し、
前記物質は前記ユーザが動かないでいる間に前記顔の全体に噴射される、
請求項1に記載のメイクアップ装置。
【請求項8】
前記対象エリアの3次元(3D)プロファイルを撮影する撮像システムと、
前記3Dプロファイルに従って前記スプレーヘッドの一連の位置を決定し、前記一連の位置に従って前記回転台と前記移動手段の動作を制御するように制御ソフトウェアを実行する前記制御回路をさらに備える、
請求項1に記載のメイクアップ装置。
【請求項9】
完全に開いた状態と部分的に閉じた状態とを有するメイクアップ装置であって、
上部レッジを含む筺体と、
垂直中心軸を中心に前記筐体内で回転するように作動可能な回転台と、
前記回転台と連結し、スプレーカートリッジを格納してユーザの肌の対象エリアに対して前記スプレーカートリッジ内に収容された物質を前記スプレーカートリッジに噴射させるように作動可能なスプレーヘッドと、
前記スプレーヘッドが垂直運動を行うように、上端が前記スプレーヘッドに取り付けられたzスライダーアームと、
前記zスライダーアームが沿ってスライドする水平トラックを有するyスライダーアームと、
前記yスライダーアームが沿ってスライドし、前記回転台上に設置され、前記zスライダーアーム及び前記yスライダーアームに垂直なxスライダートラックと、
前記筐体内にあり、前記回転台
及び移動手段の動作を制御する制御回路と
を備え
、
前記移動手段は、前記スプレーヘッドの上面が前記上部レッジと位置合わせされるように前記筐体の外側からスプレーヘッドを垂直方向に下げるように動作し、これによりメイクアップ装置は前記部分的に閉じた状態となり、
前記移動手段は、前記スプレーヘッドを前記筐体の内部から前記上部レッジの上の位置まで垂直方向に上げるように動作し、メイクアップ装置を前記部分的に閉じた状態から前記完全に開いた状態に変化させるメイクアップ装置。
【請求項10】
前記部分的に閉じた位置にあるとき、前記xスライダートラック、前記yスライダーアーム、前記zスライダーアームは前記筐体内に位置
する、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項11】
完全に全開位置にあるとき、前記スプレーヘッドを前記筐体の外周より外側に移動するように前記yスライダーアームは長手方向に延在可能である、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項12】
完全に開いた位置にあるとき、前記スプレーヘッドを前記筐体の前記上部レッジより上に移動するように前記zスライダーアームは長手方向に延在可能である、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項13】
前記回転台は円形の上面を持つ円柱形である、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項14】
前記スプレーヘッドは、土台を中心に回転するように作動可能であり、
前記土台上で前記スプレーヘッドが前記zスライダーアームに接続する、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項15】
前記筐体に取り付けられた観察素子であって、前記メイクアップ装置のユーザのデジタル画像や反射像を表示するように作動可能な観察素子をさらに備える、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項16】
前記メイクアップ装置は取り付け手段によって前記筐体に取り付けられる観察素子をさらに備え、
前記取り付け手段は前記観察素子を折り畳んで収容し、前記筐体の裏側と前側の間の複数の位置において前記観察素子を展開するように作動可能である、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項17】
ユーザの顎を支持するための顎乗せ部であって、前記顎乗せ部の上端に、前記ユーザの顎が前記顎乗せ部に乗っているかどうかを検出するように作動可能なセンサが埋め込まれている顎乗せ部をさらに備える、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項18】
上端が前記筐体の前側にヒンジ留めされ、下端が前記前側から引き出されて前記筐体の上部レッジ上のロック位置まで上方にスイングし、これによりユーザの顎を支持する顎乗せ部をさらに備える、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項19】
前記筐体の前側に沿って長手方向に延在し、前記筐体から着脱可能な顎乗せ部であって、ユーザの顎を支持する上端と前記筐体の底面と位置合わせされる下端を有する顎乗せ部を更に備える、
請求項9に記載のメイクアップ装置。
【請求項20】
前記メイクアップ装置は、オーディオ電子機器と埋込配線を有する一対のアーチ型アームをさらに備え、
前記アーチ型アームは前記顎乗せ部に取り付けられており、不使用時には前記筐体に巻き付くように配置され、
前記アーチ型アームの先端はユーザに向かって上方にスイングし、前記ユーザの頭部又は耳に押し付けられ、前記ユーザにオーディオ信号を提供するように構成される、
請求項19に記載のメイクアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年8月4日に出願された米国仮特許出願第63/229,489号及び2021年9月1日に出願された米国仮特許出願第63/239,908号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明の実施形態は、自動的にスプレーデバイスを複数方向に移動し、ユーザにスキンスプレー(skin spray)を吹き付けるメイクアップ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自分に似合う化粧(makeup)をするためには技術が必要である。化粧に慣れてない人にとっては、化粧をするということはイライラすることかもしれないし、その結果は期待していたものとは程遠いものとなる可能性がある。化粧が必要な時に、誰もがプロフェッショナルに助けを求める時間やお金を持っているわけでは無い。
【0004】
ロボット工学、人工知能、制御技術の進歩により、化粧の自動化が可能になるかもしれない。例えば、人の顔にアイシャドウブラシを使うように、ロボットをトレーニングすることは可能だと明らかになっている。ユーザにとって実用的なメイクアップ装置には、汎用性、コンパクト性、使いやすさ、安全性などの特性が必要になる。しかし、コンパクト性と汎用性は、時に相反する目標になり得る。汎用的な特性を持つ装置は、大型化し得る。一方、小型の装置は通常、所望の特性の全てを満たすことができるスペースは有しない。
【0005】
さらに、ハンディスプレーのような小型の装置では、ユーザの手動の動作が必要であるため、正確に化粧品を塗布することができない。この正確さというのは据え置き型の小型の装置を用いることにより向上させることができるが、コンパクト性は、多くの場合、ユーザの顔への化粧品の塗布など広いエリアを対象とする際の妨げとなる。据え置き型の小型の装置のユーザは、装置がユーザの顔の端から端まで届くように、物理的に(例えば、正面、右向き、左向きなど)何度も頭の位置を再配置するように求められる可能性がある。この再配置により、装置がユーザの顔の様々な面の位置合わせを誤り、望ましくない結果を得る可能性がある。
【0006】
そのため、汎用性とコンパクト性を両立させたメイクアップ装置の設計・製造が課題となっている。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、メイクアップ装置は、筐体、回転台、スプレーヘッド、移動手段と制御回路を有する。回転台は垂直中心軸を中心に筐体内で回転するように作動可能である。スプレーヘッドは回転台と連結し、スプレーカートリッジを格納してユーザの肌の対象エリアに対してスプレーカートリッジ内に収容された物質をスプレーカートリッジに噴射させるように作動可能である。移動手段は、対象エリアに対して垂直及び水平にスプレーヘッドを移動させるように作動可能である。移動手段は、回転台と連結し、回転台と共に回転する。制御回路は筐体内にあり、回転台及び移動手段の動作を制御する
【0008】
別の実施形態では、メイクアップ装置は、筐体、回転台、スプレーヘッド、zスライダーアーム、yスライダーアーム、xスライダートラックと制御回路を有する。回転台は垂直中心軸を中心に筐体内で回転するように作動可能である。スプレーヘッドは回転台と連結し、スプレーカートリッジを格納してユーザの肌の対象エリアに対してスプレーカートリッジ内に収容された物質をスプレーカートリッジに噴射させるように作動可能である。zスライダーアームは、スプレーヘッドが垂直運動を行うように、上端がスプレーヘッドに取り付けられている。yスライダーアームは、zスライダーアームが沿ってスライドする水平トラックを有する。yスライダーアームはxスライダートラックに沿ってスライドする。xスライダートラックは、回転台上に設置され、zスライダーアーム及びyスライダーアームに垂直である。制御回路は筐体内にあり、回転台、yスライダーアーム、zスライダーアームの動作を制御する。
【0009】
他の態様及び特徴は添付の図面と併せて以下の特定の実施形態の説明を検討することにより、当業者には明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付図面の図において限定ではなく例示の手段で図示され、図の中で類似する参照符号は同様の要素を示す。本開示における「実施形態」又は“「一実施形態」への様々な言及は必ずしも同じ実施形態についてのものではなく、そうした参照は少なくとも1つを意味することに留意すべきである。さらに、特定の特徴、構造又は特性が一実施形態との関連で説明される際、明示的に説明されているか否かに関わらず、そうした特徴、構造又は特性を他の実施形態との関連で作用させることは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0011】
【
図1】一実施形態に係るメイクアップ装置の図である。
【
図2】別の実施形態に係るxスライダートラック、yスライダーアーム、zスライダーアームを示す。
【
図7A】一実施形態に係るスプレーヘッドの回転を示す。
【
図7B】一実施形態に係るスプレーヘッドの回転を示す。
【
図8A】一実施形態に係るスプレーディスクの回転を示す。
【
図8B】一実施形態に係るスプレーディスクの回転を示す。
【
図9A】一実施形態に係る全開のメイクアップ装置を示す。
【
図9B】一実施形態に係る部分的に閉じたメイクアップ装置を示す。
【
図9C】一実施形態に係る完全に閉じたメイクアップ装置を示す。
【
図11A】一実施形態に係る着脱可能な顎乗せ部と付属アーチ型アームを示す。
【
図11B】一実施形態に係る着脱可能な顎乗せ部と付属アーチ型アームを示す。
【
図12A】一実施形態に係るメイクアップ装置の上面図を示す。
【
図12B】一実施形態に係るメイクアップ装置の上面図を示す。
【
図13A】一実施形態に係るスイングアーム付きメイクアップ装置を示す。
【
図13B】一実施形態に係るスイングアーム付きメイクアップ装置を示す。
【
図14】一実施形態に係るメイクアップ装置のブロック図である。
【
図15】一実施形態に係る自動メイクアップ動作の制御方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載では、多くの具体的な詳細を述べる。しかしながら、本発明の実施例は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることが理解される。他の例では、周知の回路、構造及び技術は、この記述の理解を不明確にしないように詳細には示されていない。しかしながら、本発明がそうした具体的な詳細が無くとも実践され得ることが、当業者により理解されるであろう。当業者は、包含される説明によって、過度な実験をせずとも適切な機能性を実装することができるであろう。
【0013】
小型の筐体を有するメイクアップ装置であって、最小限の設置面積で卓上又はカウンター上に設置することができるメイクアップ装置を本明細書で開示する。装置の動作中は、装置の筐体は動かずに静止する。スプレーヘッドなどの装置の構成要素は、使用時には筐体の外に向かって延在するように自動的に展開され、不使用時には筐体の内部に格納される。スキンスプレーを収容するスプレーカートリッジは、使用前にスプレーヘッドに挿入され、使用後に取り出され得る。スプレーヘッドは移動機構によって支持され、移動機構は筐体内の回転台に搭載される。移動機構と回転台によって、スプレーヘッドは対象エリアへの噴射(spray)に最適な位置まで移動可能となる。後述のように、メイクアップ装置は、コンパクトで、汎用的で、使いやすく、安全である。移動機構と回転台が複数寸法に沿って動作することにより、ユーザの顔全体など広いエリアをカバーすることが可能となる。装置の動作中、ユーザは一箇所の位置で静止していることが可能である。移動機構はユーザの顔の回りでスプレーヘッドを移動する。したがって、ユーザが自信の頭の位置を再配置したりすることなく、また、上述のような位置合わせの問題が起きることもなく、高い精度でスキンスプレーを顔全体に噴射することができる。
【0014】
メイクアップ装置は、対象エリア(例えば、人間の顔などの人間の肌のとあるエリア)にスキンスプレーを塗布(apply)する。スキンスプレーは、スプレー式皮膚関連製品(spray-on skin products)とも称され、化粧品、スキンケア製品、薬用皮膚関連製品(pharmaceutical skin products)、皮膚用製品(dermatological products)などを含む。いくつかの実施形態において、スキンスプレーとは液体、流体、液状物質(liquid-like material)であり、液状物質は、溶液、混合流体(fluid mixture)、油、ローションなど、圧縮空気によって噴射され得るあらゆる粘度のあらゆる物質を含む。以下の説明の簡略のため、スキンスプレーを液体と称する場合がある。ユーザの肌に霧化液体(atomized liquids)を塗布する工程のことを、「塗布工程」(application process)と称する場合がある。「メイクアップ工程」という用語を本開示中で用いることがあるが、この「メイクアップ」とはユーザの肌にスプレーカートリッジ内の液体内容物(liquid contents)を噴射する本開示の装置の使用の非限定的な例であることが理解される。下記において、ユーザの顔を中心に説明を行うが、本発明の装置及び方法は人体のどの部分においても適用可能である。
【0015】
本明細書に開示するスプレーカートリッジは、ユーザの肌に霧化液体を噴射可能なあらゆる装置において用いることができ、本明細書に開示するメイクアップ装置は、本開示において図示・記載されたものに限定されない他の種類のスプレーカートリッジを使用することもできる。発明を実施するための形態に付随する図面において、丸形のスプレーディスクがスプレーカートリッジの例として図示されている。メイクアップ装置は、丸形に限定されないあらゆる形のスプレーカートリッジを使用することができることが理解される。
【0016】
図1は、一実施形態に係るメイクアップ装置100の図である。メイクアップ装置100は筐体110と、内筒120などの回転台を有する。代替の実施形態では、回転台は筒とは異なる他の形であってもよい。筐体110は円柱形又は略円柱形であり得る。いくつかの実施形態において、筐体110の断面は円形ではなく、しずく形(teardrop shape)や略楕円形(oval shape)、円形を伸縮して得られる他の幾何学的形であってもよい。筐体110の異なる高さにおける断面は、同一形状であってもよいし、略同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0017】
内筒120は筐体110の高さの寸法(垂直方向とも称する)に沿って長手方向に延在し(extends longitudinally)、円形の断面を有する。内筒120はその中心軸(円筒軸とも称する)を中心に回転し、スプレーヘッド130を内筒120上に配置させ、内筒120に取り付けられた他の構成要素も円筒軸を中心に回転することができる。筐体110や内筒120は、モータ、バッテリ、エアコンプレッサ、電線、無線接続(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)など)を提供する通信機器、1つ以上のプロセッサ、及びメモリモジュールのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、電気、機械及び/又は電子部品を収容する1つ以上の内部空洞(不図示)を有してもよい。いくつかの実施形態において、これらの部品の一部(例えばエアコンプレッサ)は筐体110の外に位置し、筐体内の部品と電気的及び/又は機械的手段を介して接続され得る。メモリモジュールは1以上のプロセッサによって実行可能なソフトウェアを保存する。ソフトウェアは、ユーザが装置100を使用するのを補助するユーザナビゲーションインタフェースと、装置の動作を制御するための制御ソフトウェアとを含み得る。内筒120内に収容又は埋め込まれた部品は内筒120の回転運動に合わせて回転するか、内筒120が回転しても静止したままであり得る。一実施形態では、筐体110の上部レッジ150が、ユーザの頭部を固定する顎支持部又は顎乗せ部としてユーザに用いられ得る。
図1はメイクアップ装置の非限定的な例を示していることが理解される。本開示の範囲は様々な寸法、形状及び/又はサイズのメイクアップ装置を包含する。
【0018】
図1の例では、例えばユーザの顔などの対象エリアに1以上のスキンスプレー物質を噴射するようにスプレーヘッド130に挿入されるスプレーディスク132などのスプレーカートリッジが図示されている。スプレーディスク132は、その周縁部に位置する1以上のノズル135を有する。一実施形態では、スプレーディスク132は複数のパーティション(partition)を有し、各パーティションが液体を収容するための液体タンクと、対応する液体タンクに収容された液体を噴射するためのノズル135とを有する。異なる液体タンクは異なるスキンスプレー物質を収容し得る。一部のノズル135は異なる形及び/又はサイズを有し得る。別の実施形態では、スプレーディスク132は1つのノズルと1つの液体物質を収容する1つの液体タンクとを有し得る。このような実施形態では、スプレーディスク132のことをポッド(pod)と称しても良い。メイクアップ装置100の動作中に、選択されたノズル135がユーザの対象エリア(以降、対象エリアと称する)を向くようにスプレーディスク132が回転するよう、モータはスプレーヘッド130を駆動することができる。前述のように、スプレーディスク132は、ディ^@スク形(すなわち丸形)とは異なり得る形状を有するスプレーカートリッジの非限定的な例である。噴射動作に必要であれば、メイクアップ装置100はいずれの形状のスプレーカートリッジも回転し得る。
【0019】
一実施形態では、スプレーヘッド130のユーザと対向する側(前側(front side)とも称する)は、奥行き検出技術(depth-sensing technology)を用いて、ユーザの顔などの対象エリアの奥行きや飛び出しを検出する撮像システム131を有する。撮像システム131は、ステレオカメラ又は他のタイプの奥行き認識カメラのような多数のカメラを含み、周波数センサ(例えば、超音波、赤外線、低周波紫外線周波数範囲及び/又は別の周波数範囲で動作するセンサ)のようなセンサを含み得る。奥行き検出により、撮像システム131は、正確な3Dメッシュ(3D mesh)を作成し、その3Dメッシュを対象エリアに正確にマッピングすることが可能になる。例えば、ユーザの顔に化粧を施す際、正確な3Dメッシュを用いることにより、装置100は顔の上に正確に3Dメイクアップデザインを施すことができる。撮像システム131はまた、コントラスト比法(contrast ratio method)、レーザメータ法(laser meter method)、焦点法(focusing method)などの方法を用いて奥行きを検出するための回路及び/又はソフトウェアを含み得る。撮像システム131によって撮影された画像は、他の機能のうち、装置100内のハードウェア及び/又はソフトウェアによって用いられることができ、対象エリアの位置決めを行ったり、ユーザの顔の3Dプロファイル(例えば、3Dメッシュ)を作成したり、及び/又はユーザの身元(identity)を識別したりする。撮像システム131はまた、対象エリアを照らすため、発光ダイオード(LED)照明、拡散光照明などのうちの1以上を含み得る照明を含んでいてもよい。撮像システム131はまた、モーションセンサ、温度センサ、光センサ、超音波センサなどのうちの1又は複数を有し得る。装置100は、任意の数のカメラ、センサ、照明、及び/又は他のユーザインターフェースモジュールを有し、これらはスプレーヘッド130及び/又は装置100の他の部分(例えば、筐体110に取り付けられた又は埋め込まれた部分や、後述する観察素子140内など)上の任意の場所に設置され得ることが理解される。
【0020】
一実施形態では、装置100はスピーカなどのオーディオユーザインターフェースを有する。動作中に、装置100はユーザを導くために、スピーカを介して段階的なオーディオコマンドを提供し得る。例えば、装置100はスピーカを介して、化粧品(makeup)の噴射中は目を閉じたままにすることをユーザに忘れさせないようにするオーディオコマンドを生成し得る。このオーディオコマンドはまた、提案、警告、音楽、その他のオーディオ信号を含み得る。
【0021】
一実施形態では、観察面を備える素子(観察素子140と称する)が筐体110に取り付けられる。観察素子140の前側(ユーザと対向する側)は、観察素子140の前面を全て占めていてもよいし、観察素子の前面の一部を占めていてもよい観察面を有する。一実施形態では、観察面とはユーザの反射像を映す鏡であってもよい。この鏡は平面鏡であってもよいし、拡大鏡であってもよい。別の実施形態では、観察素子140はデジタル画像を表示するデジタル表示パネルであるか、それを含む。さらに別の実施形態では、観察素子140は鏡とデジタル表示パネルを組み合わせたものを含み得る。表示パネルは、コンピュータ及び/又はスマートホンの表示画面と同一又は同様であり得る。デジタル画像は、撮像システム131又は別のカメラによって撮影されたユーザのデジタル画像、拡張現実(AR)デジタル画像(例えば、ユーザの像に重畳されたメイクアップやスタイリングの選択肢)、ユーザに推奨される又はユーザによって選択された画像又は画像シーケンス(例えば、ビデオ)、メイクアップコーチ又は他の当事者とのリアルタイムオンラインコンサルティングセッション、ソーシャルメディアサイト等のウェブサイト等であり得る。観察素子140は、カメラ、センサ、マイク、スピーカ、及びライトを含み得る。一実施形態では、観察素子140は、例えば、観察素子140内や装置100上の他の場所に埋め込まれたセンサのセンサ入力に応じて自動的に、又はユーザの入力に応じて、変化可能なライトを含む。観察素子140はまた、ユーザが装置100の多くの機能を操作するのを補助するために観察面に埋め込まれたソフトウェアインターフェイスを含み得る。
【0022】
観察素子140は、例えば
図1に示す2つのアームなどの取り付け手段を介して筐体110に取り付けられる。
図1を参照すると、各アーム142は中央ジョイント(middle joint)によって下部分と接続された上部分を有する。上部分は上方ジョイントにより観察素子140に取り付けられ、下部分は下方ジョイントにより筐体110に取り付けられている。上方、中央、及び下方ジョイントにより、アーム142の両方の部分が各ジョイント軸を中心に時計回り及び反時計回りに回転することが可能となり、これにより、観察素子140をユーザに適した配置及び向きにすることができる。一実施形態では、アーム142は、筐体110の遠位側(すなわち、ユーザから最も遠い側である裏側)の第1の位置、筐体110の近位側(すなわち、ユーザに最も近い側である前側)の第2の位置、及び第1の位置と第2の位置との間の他の位置に観察素子140を移動させるように調整され得る。装置100の噴射動作中は、観察素子140は第1の位置に位置し得る。観察素子140が第2の位置に位置する際には、ユーザは噴射動作の前後において鏡で自身をより近くで見ることが可能になる。
【0023】
一実施形態では、各アーム142は、観察素子140の位置及び方向を、例えばユーザプリセット位置に自動的に調整するように駆動可能な内蔵機械式ベルトを有してもよい。代替の実施形態では、アーム142はユーザによって手動で調整されてもよい。
【0024】
図1の観察素子140及びアーム142は、非限定的な例を提供することが理解される。観察素子140及び/又は観察面は、長方形、丸形、正方形などの任意の形状を有していてもよく、観察素子140は、
図1に示されるアーム142とは異なる取り付け手段によって筐体110に取り付けられてもよいことが理解される。例えば、取り付け手段は、1本のアーム、伸縮ポール、又は別の機構であってもよい。取り付け手段は、観察素子140の片側か両側、又は観察素子140の裏面に固定されてもよい。取り付け手段は、任意の適切な寸法に沿って配置されてもよい。取り付け手段により、観察素子140の折り畳み収納が可能となり、メイクアップ工程ごとに任意の所定位置への観察素子140の配置が可能となる。
【0025】
スプレーヘッド130は、三つの直交方向、つまり、x軸、y軸、及びz軸に沿った方向において並進運動を行うことができる。z軸は内筒12の円筒軸と平行である。x軸とy軸によって、z軸に垂直であるXY平面(すなわち、水平面)が定義される。x軸、y軸z軸は固定軸ではない。これらの軸は全て内筒120と共に回転する。内筒120が初期位置にあるとき(すなわちゼロ度回転)、y軸は装置100の正面に座るユーザの方を向く。スプレーヘッド130のy軸運動により、スプレーヘッド130が対象エリアに近づけたり遠ざかるように移動される。スプレーヘッド130のx軸運動により、スプレーヘッド130が水平面上のy軸運動と直交する方向に移動され、スプレーヘッド130のz軸運動により、スプレーヘッド130が対象エリアに対して上下に移動される。
図2を参照して後述するように、x軸、y軸及びz軸はそれぞれ、xスライダートラック201、yスライダーアーム202及びzスライダーアーム203に位置合わせされている。
【0026】
図2、
図3A及び
図3Bを参照すると、zスライダーアーム203は、内筒120の最上部上で垂直方向を向き、円筒軸に平行なz軸に沿って長手方向に延在している。zスライダーアームの上端はスプレーヘッド130に取り付けられている。zスライダーアーム203の高さは、スプレーヘッド130が対象エリアに適した高さに位置することができるように調整可能(すなわち、長くしたり短くしたり)である。一実施形態では、zスライダーアーム203は、高さ調整のために長手方向に伸び縮み可能な一組の伸縮チューブからなる。
【0027】
図2、
図4A及び
図4Bを参照すると、yスライダーアーム202は第1の水平トラックを含む。この第1の水平トラック上において、zスライダーアーム203及びその上のスプレーヘッド130を、対象エリアに近づいたり遠ざかったりするように移動することができる。yスライダーアーム202の一端はxスライダートラック201に取り付けられ、yスライダーアーム202の他端は筐体110の外周を越えて長手方向に延在してもよい。yスライダーアーム202の延在により、zスライダーアーム203が筐体110の外周を越えてスライド可能となり、スプレーヘッド130と対象エリアとの間の距離を伸ばし、これにより、噴射のカバー範囲を広げることができる。
【0028】
図2、
図5A及び
図5Bを参照すると、xスライダートラック201は内筒120などの回転台上に設置される水平トラックである。xスライダートラック210はyスライダーアーム202及びzスライダーアーム203と直交する。yスライダーアーム202は、xスライダートラック201上をスライドすることで、zスライダーアーム203及びその上のスプレーヘッド130を、対象エリアに対して左右に移動することができる。全閉位置におけるxスライダートラック201は、筐体110の上部レッジ150の下に位置し、内筒120の回転運動に伴い上部レッジ150を回転させることができる。
【0029】
装置100は、3つ並進運動に加えて、3種の回転運動も行うことができる。動作中の装置100は、これらの並進運動及び回転運動のいずれかを組み合わせて、ノズル135を噴射塗布に最適な角度に向けることができる。
図6A及び
図6Bを参照すると、内筒120は、円筒軸を中心に時計回り及び反時計回りに回転することによって第1の回転運動を行うように作動可能である。この第1の回転運動により、スプレーヘッド130が円筒軸周りに移動される。
【0030】
さらに、
図7A及び
図7Bに示されるように、スプレーヘッド130がzスライダーアーム203に接続するスプレーヘッド130の土台において、スプレーヘッド130を時計回り及び反時計回りに水平に回転させることにより、装置100は、第2の回転運動を行うことができる。第2の回転運動の回転軸は、zスライダーアーム203に沿ったz軸である。第1及び第2の回転運動により、対象エリアに対するスプレーヘッド130の向きが変化する。
【0031】
さらに、
図8A及び
図8Bに示されるように、噴射中にスプレーディスク132(つまり、及び、ノズル135)を時計回り及び反時計回りに回転させて、拡散効果を生じさせるか、スプレーディスク132上の異なるノズルを選択することにより、装置100は、第3の回転運動を行うことができる。第3の回転運動において、スプレーヘッド130の向きは変化しない。スプレーヘッド130によって回転するのはスプレーディスク132である。第3の回転運動の回転軸は、スプレーディスク132のディスク中心軸である。これら3種類の回転運動は、それぞれ独立して行われ得る。これらの回転運動は、同時に、又は任意の順序で連続して行われ得る。
【0032】
図9A、
図9B、
図9Cはそれぞれ、一実施形態に係る全開のメイクアップ装置、部分的に閉じたメイクアップ装置、完全に閉じたメイクアップ装置を示す。完全に開いた位置では、zスライダーアーム203は上方に延び、スプレーヘッド130を筐体110の上部レッジ150の上方に移動させ、観察素子140はその前側を対象エリアに向けながら展開する。部分的又は完全に閉じた際には、スプレーヘッド130、xスライダートラック201、yスライダーアーム202、及びzスライダーアーム203は、筐体110の内部空洞内に引っ込む(又は内部空洞内に留まる)ことができ、スプレーヘッド130の上面は、筐体110の上部レッジ150と位置合わせされる。メイクアップ装置100が完全に閉じると、観察素子140は、自身の前側を筐体110の上側に向けながら、より具体的には、上部レッジ150及びスプレーヘッド130の上面上において、折り畳まれることができる。一実施形態では、観察素子140は、筐体110の上面と同一、又は略同一のサイズを有し得る。
【0033】
一実施形態(不図示)では、アーム142の下部分は、下方ジョイントを通り越してスライドし、筐体110の底面に向かって筐体110に沿って下方に移動することができる。観察素子140が全閉位置に達すると、観察素子140は、表側を下にして筐体110の上に載置され、各アーム142は、上下部分が略垂直線上に並んで筐体110の側面に載置される。このため、本実施形態において、全閉位置におけるアーム142(より具体的には、中央ジョイント)が筐体110の側面から突出することはない。
【0034】
図1及び
図2を参照し、以下にメイクアップ装置100の動作の一例について述べる。本例において、メイクアップ装置100は、対象エリア(例えば、ユーザの左頬)にスキンスプレーを噴射する位置にある。動作は、本明細書に記載された順序に限定されない任意の順序で行うことができる。いくつかの実施形態では、動作の一部を同時に行ってもよい。装置100は、z軸運動を行い、スプレーヘッド130を筐体110の上部レッジ150よりも上に持ち上げる。また、装置100は、y軸運動を行い、zスライダーアーム203(及びスプレーヘッド130)をyスライダーアーム202の遠位端に移動させる(対象エリアから遠ざける)。また、装置100は、x軸運動を行い、yスライダーアーム202(及びスプレーヘッド130)をxスライダートラック201の左端まで移動させる。また、円筒軸を中心に内筒120を回転させ、対象エリアに対して適切な角度でスプレーヘッド130を配置することにより、装置100は、第1の回転運動を行う。第1の回転運動により、スプレーヘッド130を円筒軸を中心に180度以上回転することができる。yスライダーアーム202は、zスライダーアーム203及びスプレーヘッド130が筐体110の外周の外側に位置するように、長手方向に延びてもよい。また、スプレーヘッド130をその土台を中心に回転させることにより、装置100は、第2の回転運動を行う。また、スプレーディスクの中心軸を中心にスプレーディスク132を回転させて、適切なノズル135を選択するか、及び/又は拡散効果を生じさせることにより、装置100は、第3の回転運動を行うことができる。
【0035】
図10は一実施形態に係る内蔵型顎乗せ部1010を示す。
図1及び
図2を参照すると、顎乗せ部1010は、筐体110の前面から筐体110の上部レッジ150の上方の位置に引き出されるように構成され、これにより、ユーザの顎を支持し、スプレーヘッド130からの正しい高さ及び距離にユーザの頭部が位置できるように補助する。顎乗せ部1010は、(例えば、奥行きと高さに関して)最適な使用位置及び(ヨレを防ぐための皮膚上での最適な噴射機能を発揮する)姿勢にユーザの頭部を位置させるように機能する。顎乗せ部1010には、ユーザの顎が顎乗せ部1010上にあるか否かを検知し、安全機能として、もしユーザが何らかの理由で離脱したら装置の動作を停止させるセンサを設けてもよい。一実施形態では、顎乗せ部1010の上端が筐体110の前側にヒンジ留めされ、下端はヒンジ留めされずに引き出されて上部レッジ上のロック位置まで上方にスイングしてもよい。不使用時には、顎乗せ部1010は折り畳まれて筐体110の前面まで押し戻されることができる。
【0036】
図11A及び
図11Bは、一実施形態に係る着脱可能な顎乗せ部を示す。また、
図1を参照すると、図示された顎乗せ部1110は、筐体110のユーザと対向する側(すなわち、前側)に取り付けられ、筐体110の前側に沿って長手方向に延在している。顎乗せ部1110は、ユーザの顎を支持するための上端と、筐体110の底面と位置合わせされる下端とを有する。顎乗せ部1110は筐体110から着脱可能である。いくつかの実施形態において、顎乗せ部1110は、メイクアップ装置100に限定されず、任意のデバイスや装置(machine)に取り付けることができる。この取り付けメカニズムは、磁石、ノッチなどを含み得る。一実施形態では、顎乗せ部1110は本体1120と1対のアーチ型アーム1130を有する。本体1120は、ユーザの顎を支えるための上面と、設置するための土台を有する細長い形をしている。一実施形態では、本体1120は、頂部から土台までアーチ状の側面形状を有し、土台の断面が一番大きなものとなる。土台が大きいことにより、ユーザの頭部の重さが頂部にかかったときに装置100が転倒しないことを保証する。別の実施形態では、本体1120は、長手方向(longitudinal direction)にわたって同じ断面を有してもよい。
【0037】
一実施形態では、アーチ型アーム1130の一端が本体1120に取り付けられている。不使用時には、アーチ型アーム1130は筐体110に巻き付くことができる。使用時には、アーチ型アーム1130はユーザに向かって上方にスイングされ、前記ユーザの頭部又は耳に押し付けられることができる。アーチ型アーム1130は、装置100の動作中において、ユーザの頭部の固定を補助することができる。一実施形態では、アーチ型アーム1130はイヤホンの配線とオーディオ電子機器を含む。アーチ型アーム1130の先端を伸ばしてユーザの耳に押し当て、ユーザに提案、警告、音楽、又は他のオーディオなどのオーディオ信号を提供することができる。
【0038】
図12A及び
図12Bは、一実施形態に係るメイクアップ装置(例えば、装置100)の上面図を示す。図示の簡略化のため、この例では筐体110の上部レッジは図示されていない。筐体110(ボディシェルとも称する)は、外壁と内壁とを有する。本例における外壁は略円柱形である。代替の実施形態では、外壁は円柱形に限定されず、任意の形状を有し得る。非限定的な例として、外壁の上面図は、しずく形を有していてもよく、しずく形の先端には、顎乗せ部を収納するために切り欠いている(notched)。筐体の外壁と内壁は、異なる形状であってもよい。例えば、外壁の上面図は切り欠きのあるしずく形で、内壁の上面図は円形又はほぼ円形であり得る。筐体110の内部には回転台があり、この例では回転台とは内筒120である。代替の実施形態では、回転台は円柱形に限定されず、任意の形状を有し得る。
【0039】
図12Aにおいて、内筒120は初期位置にあり、すなわち、内筒120はゼロ度回転である。Yスライダーアーム202は、筐体110の外壁の外側に延在している。
図12Bにおいて、xスライダートラック201、yスライダーアーム202及びzスライダーアーム203の位置も内筒120と共に回転するように、内筒120は、初期位置から反時計回りに回転する。
図12Aと
図12Bは、非限定的な例を提供することが理解される。本発明の実施形態によるメイクアップ装置は、
図12A及び
図12Bに示された実施形態と同様の寸法であってもよいし、それらとは異なる寸法であってもよい。
【0040】
図13Aは、別の実施形態に係るメイクアップ装置1300の上面図を示す。本実施形態では、装置1300は、xスライダートラック及びyスライダーアームの代わりにスイングアーム1310を備える。スイングアーム1310の土台はzスライダーアーム1330の上端と接続される。スイングアーム1310は、土台中心に時計回り及び反時計回りに回転可能である。一実施形態では、スイングアーム1310は伸縮可能であってもよい。つまり、スプレーヘッド130の位置を調整するために伸び縮みすることができる。スイングアーム1310の回転と内筒120の回転とにより、スプレーディスク130を対象エリアに対して左右に移動することができる。さらに、スプレーヘッド130は、スプレーディスク130がスイングアーム1310に接続されるその土台を中心に回転可能である。スイングアーム1310に沿ったスプレーヘッド130の回転運動及びZ軸運動により、スプレーヘッド130は広範囲の位置に移動することができる。スプレーヘッド130は、スプレーディスク132を格納し、スプレーディスク132を垂直ディスク中心軸を中心に回転させ、スプレーディスク132に収容されるスキンスプレー物質をユーザの肌の対象エリアに噴射するように作動可能である。スプレーディスク132の回転により、拡散効果を生じさせることができ、及び/又はスプレーディスク132の異なるノズルの選択を可能にする。
【0041】
図13Bは、一実施形態に係るメイクアップ装置1300のスプレーヘッド1320を示す図である。本例におけるスプレーヘッド1320は、その中心の周りに回転可能な円形ケースである。一実施形態では、スプレーヘッド1320は、スプレーディスク132を格納する際に上方に開くことができる上蓋を有する。一実施形態では、スプレーヘッド1320はスプレーディスク132を格納する際に下方に開くことができる下蓋を有する。
図13Aにおいて、スプレーヘッド130は半円形のケースであり、スプレーディスク132を挿入することができるスリット開口部を側面に有する。なお、本明細書で開示するメイクアップ装置に用いられるスプレーディスク及びスプレーヘッドは、任意の形状を有することができ、スプレーディスク132及びスプレーヘッド1320の例は限定されないことが理解される。
【0042】
図14は、一実施形態に係る自動メイクアップ装置1400(「装置1400」)示すブロック図である。装置1400は、上述した装置100及び装置1300の一例であり得る。
図14の実施形態は、説明のために簡略化されていることが理解される。追加のハードウェアコンポーネントが含まれていてもよい。装置1400は、スプレーカートリッジ1430が挿入され、使用後に取り外されるスプレーヘッド1440を含む。一実施形態では、スプレーカートリッジ1430は、複数の液体タンク及び対応するノズルを含み得る。一実施形態では、スプレーカートリッジ1430は1つの液体タンクと1つのノズルを有し得る。
図1のスプレーヘッド130及びスプレーディスク132は、それぞれスプレーヘッド1440及びスプレーカートリッジ1430の非限定的な例である。
【0043】
装置1400は、1以上の汎用プロセッサ、専用回路、又はこれらの組み合わせなどの処理ハードウェアをさらに含み得る、コントローラ1410を有する。コントローラ1410はメモリ1415と接続している。メモリ1415は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、SRAM、フラッシュメモリや、揮発性又は不揮発性メモリデバイスなどの他の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。一実施形態では、コントローラの処理ハードウェアによって実行される際に、装置1400の移動や自動メイクアップ動作、スプレーカートリッジ1430の移動や噴射動作をコントローラ1410に制御させる指示をメモリ1415は記憶し得る。コントローラ1410は、エアポンプ弁又はエアポンプを自動的に制御し、スプレーカートリッジ1430のノズルへのスキンスプレーの流れを制御するための最適なパフォーマンスに必要な空気量を出力し得る。
【0044】
装置1400は、さらに多数のモータを含むモータモジュール1450を有する。モータモジュール1450は、コントローラ1410の制御の下、スプレーヘッド1440の移動及びスプレーカートリッジ1430の回転を可能にする。
図14は、モータモジュール1450を1つのブロックとして図示しているが、モータモジュール1450は、スプレーヘッド1440及びスプレーカートリッジ1430の異なる動きを制御するために、装置1400内の複数の位置に配置された複数のモータを含み得ることが理解される。装置1400は、さらに、コントローラ1410のコマンドに従い、スプレーカートリッジ1430に圧縮空気を供給するエアコンプレッサ1420を含む。いくつかの実施態様において、エアコンプレッサ1420は、装置1400の筐体の外部に配置され、電気配線やエアチューブを介して装置筐体内の構成要素に接続され得る。いくつかの実施形態では、エアコンプレッサ1420及び装置筐体は、別々の表面に配置されてもよい。例えば、装置筐体は卓上に、エアコンプレッサ1420は床の上に配置され得る。エアコンプレッサ1420を装置筐体の外側に配置すると、ユーザにとって不快であり、噴射動作の精度低下につながる振動や騒音を低減することができる。装置1400は、さらに、コントローラ1410のコマンドに従いスプレーヘッド1440を移動するロボット部品などの機械部品1460を備える。一実施形態では、機械1400は、さらに、観察素子及び取り付け手段1470を含む。これらの非限定的な例は、
図1に示す観察素子140及びアーム142である。
【0045】
コントローラ1410は、メモリ1415に記憶された制御ソフトウェア1416を実行し、装置の動作の決定及びカスタマイズを含むメイクアップ工程を制御する。一実施形態では、装置1400は、ユーザの3D顔画像など対象エリアの3Dプロファイルを撮影可能な撮像システム1411(例えば、
図1の撮像システム131)をさらに含む。3Dプロファイルに従い、コントローラ1410は、制御ソフトウェア1416を実行して、スプレーカートリッジ1430から液体を塗布又は噴射するためのスプレーヘッド1440の一連の配置及び向きを決定することができる。次に、コントローラ1410は、モータモジュール1450に対し、スプレーヘッド1440を一連の配置及び向きに従って移動するよう指示する。撮像システム1411は、液体塗布工程(例えば、メイクアップ工程)を監視するために使用することもできる。コントローラ1410は、カメラからの情報を使用し、装置1400の安全性と適切な使用を確保し得る。一実施形態では、スプレーカートリッジ1430又はスプレーヘッド1440は、多数の基準マーカー(fiduciary markings)が付されていてもよい。1以上のディスク対向カメラを、スプレーヘッド1440に対向する装置1400の部分に設置してもよく、これにより、塗布セッション中において、ディスク対向カメラは、基準マーカーに基づいてスプレーディスク1430の配置及び向きを継続的に監視することができる。1又は複数のユーザ対向カメラは、ユーザの顔の配置及び向きを監視し得る。コントローラ1410は、監視されたデータから、スプレーカートリッジ1430とユーザの顔との間の距離及び角度を決定して、顔に化粧を施すことが安全であるかどうかをさらに決定することができる。
【0046】
一実施形態では、装置1400は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)などのユーザインタフェース1412を含み、このユーザインタフェース1412を介して、例えば、メイクアップ工程と色のオプションに関して、コントローラ1410とユーザとの通信が可能となり、メイクアップ工程中のユーザを導くことができる。一実施形態では、装置1400はまた、音声、デジタルデータ、及び/又はメディア信号を送受信するための有線及び/又は無線ネットワークに接続するためのネットワークインターフェース1413を含み得る。例えば、装置1400は、ネットワークインターフェース1413を介してユーザデバイス1480と通信を行い得る。ユーザデバイス1480は、ユーザが装置1400と通信を行うためのユーザアプリ1490を実行し得る。一実施形態では、ユーザデバイス1480又はリモートコントロールデバイスであり得る別のデバイスによって、ネットワークインターフェース1413を介した装置1400の遠隔制御が可能となる。
【0047】
以下において、コントローラ1410の動作の詳細の説明をさらに行う。コントローラ1410は、制御ソフトウェア1416を実行することにより、スキンスプレー塗布セッション中において異なる装置構成要素へ動作するよう指示する。コントローラ1410は、モータモジュール1450に、スプレーヘッド1440を三次元軌道に沿って移動させ、スプレーカートリッジ1430を対象エリア(例えば、ユーザの顔)に対して適切な距離及び角度で配置するように指示する。この距離及び角度は、顔の3D撮像に基づいて決定され得る。コントローラ1410は、モータモジュール1450に対し、スプレーカートリッジ1430を中心軸(z軸と一致)を中心として回転させ、選択されたノズルを顔に向けるように指示する。一連のスプレーヘッドの動きとスプレーディスクの回転は、予め選択されたメイクアップテンプレート(すなわち、メイクアップパターン)に基づいて決定されてもよい。たとえば、選択済みのガラ(gala、特別な催し用の)スタイルのメイクアップテンプレートには、ファンデーション、ハイライト、2色のアイシャドウ、及びチークを含み得る。これに従い、コントローラ1410は、各液体タンクの起動順序(ノズルA―B―C―D―Eの順)と流量を決定する。コントローラ1410は、モータモジュール1450に対し、3D顔画像に応じてスプレーヘッド1440を顔の対象エリアの正面に移動し、スプレーカートリッジ1430を所定の角度だけ回転させるように指示する。例えば、ファンデーションが選択されると、選択されたファンデーションを収容するパーティションがユーザに対向し、対応するノズルがユーザの顔の対象エリアに向けられるようにスプレーカートリッジ1430が回転する。エアコンプレッサ1420は、選択されたパーティションの吸気口に圧縮空気を注入し、ファンデーションをユーザの顔に噴射する。
【0048】
図15は、一実施形態に係る自動メイクアップ動作の制御方法1500を示すフロー図である。マルチノズルスプレーディスクに収容されるスキンスプレー液体をユーザに噴射するために、自動メイクアップ装置によって方法1500が実行されてもよい。
図1、
図2、
図13A、
図13B及び
図14を参照すると、方法1500のステップは、コントローラ1410の制御下において装置100、1300又は1400の構成要素によって実行され得る。
【0049】
塗布セッションが開始されると、方法1500がスタートする。ステップ1510において、装置は、対象エリアにスキンスプレーを噴射するためのスプレーカートリッジの一連の対応するノズルの配置及び向きを決定する。ステップ1520において、装置は上記位置のうちの1つに、スプレーヘッドを移動させる。装置は、回転台と移動手段(例えば、yスライダーアーム202、zスライダーアーム203、スイングアーム1310及び/又は他の上述の動作)の動作を一連の位置に従って制御する。ステップ1530において、装置はスプレーカートリッジの中心軸を中心にスプレーカートリッジを回転させ、対応するノズルを対象エリアに向ける。ステップ1540において、装置は対応するノズルに圧縮空気を供給し、対象エリアに液体を噴射する。
【0050】
各種機能性コンポーネンツやブロックはすでに本明細書において述べた。当業者なら理解できるように、機能ブロックは、好ましくは、回路(専用回路、あるいは、汎用回路、回路は、1以上のプロセッサ、及び、コード化された命令下で動作する)を介して実装され、通常、ここで記述される機能と動作に関連する回路の動作を制御するよう構成されるトランジスタを有する。
【0051】
本発明をいくつかの実施形態に関して記載してきたが、当業者にとっては本発明が記載された実施形態に限定されず、添付の請求項の精神及び範囲内において変更及び変形を加えて実施されうることが理解されよう。従って本開示は限定としてでなく例示として見なされるべきである。