IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サクサ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電源制御回路 図1
  • 特許-電源制御回路 図2
  • 特許-電源制御回路 図3
  • 特許-電源制御回路 図4
  • 特許-電源制御回路 図5
  • 特許-電源制御回路 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】電源制御回路
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/24 20060101AFI20250213BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20250213BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20250213BHJP
   G06F 1/3246 20190101ALI20250213BHJP
【FI】
G06F1/24 Z
G06F1/3209
G06F1/3287
G06F1/3246
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021105326
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023003935
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】山中 駿
(72)【発明者】
【氏名】石井 泰彦
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159030(JP,A)
【文献】特開2013-017139(JP,A)
【文献】特表2005-512438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0201510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/24
G06F 1/3209
G06F 1/3287
G06F 1/3246
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の制御部に対して駆動電源の供給制御を行う電源制御回路であって、
前記制御部よりスタンバイ状態に遷移させる事象が発生したことの通知を受けた場合に、電源供給回路を制御して、前記制御部のコア部分の電源をオフにする第1の制御手段と、
前記制御部のコア部分の電源がオフにされ、前記制御部が初期状態に戻った後に、前記電源供給回路を制御して、前記制御部の全電源をオフにする第2の制御手段と、
電源スイッチの状態を判別する判別手段と、
前記制御部の全電源がオフにされた後に、前記判別手段により前記電源スイッチがオンにされたことが判別された場合に、前記電源供給回路を制御して、前記制御部のリセット動作を行う部分への電源の供給を再開させ、リセット動作を実行させる第3の制御手段と、
前記リセット動作後において、前記電源供給回路を制御して、前記制御部のコア部分の電源をオンにする第4の制御手段と
を備えることを特徴とする電源制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源制御回路であって、
前記電源スイッチは、使用者の指示に応じて、電源のオン/オフを切り替えるスイッチであって、オンにされた時には電源の接続状態を維持し、オフにされた時には電源の遮断状態を維持する位置保持型のものであり、
前記第2の制御手段により、前記制御部の全電源をオフにする場合に、維持フラグを、電源オフを維持することを示す状態にセットするフラグ設定手段と、
前記電源スイッチの状態が接続状態から遮断状態に変化したことが前記判別手段で判別された場合に、前記維持フラグの電源オフを維持することを示す状態を解除するフラグ解除手段と
を備え、
前記第2の制御手段は、前記維持フラグが、電源オフを維持することを示す状態である場合には、前記制御部の全電源をオフにした状態を維持するように、前記電源供給回路を制御するものであり、
前記第3の制御手段は、前記判別手段により前記電源スイッチがオンにされ接続状態になった場合であって、前記維持フラグが電源オフを維持することを示す状態でない場合に、前記制御部のリセットを行う部分への電源の供給を再開させる
ことを特徴とする電源制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、UTM(Unified Threat Management)装置などの電子機器に搭載される電源制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの電源制御では、例えば、全く操作されない状態が所定時間以上継続した場合に、制御部(CPU部)のコア電源を落とし、周辺機器との接続部分の電源であるいわゆるI/O電源だけを供給するスタンバイ状態に遷移する。これにより、例えば、キーボードが操作されたり、いわゆるマウス(ポインティングデバイス)が操作されたりした場合に、スタンバイ状態になる直前の状態に復旧(リセット)した後に、コア電源の供給を再開し、迅速に使用を再開させることができる。後に記す特許文献1には、スタンバイ状態(サスペンド状態)、休止状態(ハイバネーション状態)、電源オフ状態といったより多様な電源状態から復帰することができる、デバイスを有する情報処理装置及びその復帰管理方法に関する発明が開示されている。
【0003】
なお、スタンバイ状態(サスペンド状態)は、上述したように、コンピュータの一部の機能を停止して省電力モードで待機させる状態を意味する。通常の電源断とは異なり、次回使用時に迅速に処理を再開することができる。また、休止状態(ハイバネーション状態)は、コンピュータの実行状態を保存して電源を切り、次に起動したときに迅速に休止前の状態を再現可能にした状態を意味する。メモリ上の内容を丸ごとストレージ(外部記憶装置)に退避し、電源を切り、次回の起動時は通常の起動プロセスをスキップし、退避しておいた内容をメモリに書き戻して迅速に動作を再開できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-71066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報処理装置の中には、外的要因での起動が不要であるために、上述したスタンバイ状態に遷移させる必要がないものが存在する。例えば、会社内に設置される、UTM装置などの場合には、業務時間中においては常に稼動させておかなければならず、業務時間中においてスタンバイ状態にする必要はない。このため、業務時間外においては、システム管理者が、UTM装置やデータサーバの電源をオフにする操作を行って、電源オフ状態にすればよい。しかし、日々の業務の終了時間は、従業員ごとにまちまちであるので、システム管理者が電源をオフにすることを前提にすると、システム管理者の負担が大きくなってしまう。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、いわゆるスタンバイ状態に遷移させる必要のない情報処理装置において、システム管理者の負荷を大きくすることなく、消費電力の省力化と、再起動時の迅速性を実現できる電源制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電源制御回路は、
情報処理装置の制御部に対して駆動電源の供給制御を行う電源制御回路であって、
前記制御部よりスタンバイ状態に遷移させる事象が発生したことの通知を受けた場合に、電源供給回路を制御して、前記制御部のコア部分の電源をオフにする第1の制御手段と、
前記制御部のコア部分の電源がオフにされ、前記制御部が初期状態に戻った後に、前記電源供給回路を制御して、前記制御部の全電源をオフにする第2の制御手段と、
電源スイッチの状態を判別する判別手段と、
前記制御部の全電源がオフにされた後に、前記判別手段により前記電源スイッチがオンにされたことが判別された場合に、前記電源供給回路を制御して、前記制御部のリセット動作を行う部分への電源の供給を再開させ、リセット動作を実行させる第3の制御手段と、
前記リセット動作後において、前記電源供給回路を制御して、前記制御部のコア部分の電源をオンにする第4の制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明の電源制御回路によれば、スタンバイ状態に遷移させる事象が発生すると、第1の制御手段により、電源供給回路が制御され、情報処理装置の制御部のコア部分の電源がオフにされる。この状態では、制御部において初期状態に戻す部分の電源は落とされておらず、初期状態に戻す動作が行われた後に、第2の制御手段により、電源供給回路が制御され、制御部の全電源がオフにされる。これにより、情報処理装置は、電源オフ状態にされる。この後、判別手段により電源スイッチがオンにされたことが判別されると、第3の制御手段により、電源供給回路が制御され、制御部のリセット動作を行う部分への電源の供給が再開されて、リセット動作が実行される。当該リセット動作後において、第4の制御手段により、電源供給回路が制御され、制御部のコア部分の電源がオンにされる。これにより、当該情報処理装置は動作状態にされる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、いわゆるスタンバイ状態に遷移させる必要のない情報処理装置において、スタンバイ状態に遷移させる事象が発生すると、制御部を初期状態にした上で、制御部への全電源がオフにされる。これにより、システム管理者の負荷を大きくすることなく、消費電力の省力化が実現できる。この後に、電源スイッチがオンにされると、まず、制御部のリセット動作を行う部分に電源の供給が再開され、リセット動作後に、制御部への全電源の供給が再開される。これにより、電源の投入時においても、スタンバイ状態から復帰させる場合と同程度に、情報処理装置を迅速に再起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態の電源制御回路が搭載された電気機器の例であるUTM装置が使用されるシステム環境について説明するためのブロック図である。
図2】実施の形態の電源制御回路が搭載された電気機器の例であるUTM装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の電源制御回路において行われる処理について説明するためのブロック図である。
図4】実施の形態の電源制御回路において行われる処理について説明するためのフローチャートである。
図5】ロッカスイッチである電源スイッチ104A、電源制御回路105A、電源供給回路106からなる電源回路部について説明するためのブロック図である。
図6】実施の形態の電源制御回路の他の例の場合の制御内容について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら、この発明の電源制御回路の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による電源制御回路の実施の形態が、電子機器の例であるUTM(Unified Threat Management)装置に搭載された場合を例にして説明する。
【0012】
[UTM装置が使用されるシステム環境]
図1は、実施の形態の電源制御回路が搭載された電気機器の例であるUTM装置が使用されるシステム環境について説明するためのブロック図である。UTM装置1は、複数の異なるセキュリティ機能を1つのハードウェアに搭載して構成した、総合脅威管理装置(セキュリティ監視装置)である。
【0013】
UTM装置1には、LAN(Local Area Network)4を介して複数のユーザPC(Personal Computer)2(1)、2(2)、…、2(n)が接続され、LAN5を介して、コンソールPC3が接続されて、セキュリティ監視システムを構成している。このセキュリティ監視システムは、例えば、会社内に形成され、ユーザPC2(1)、2(2)、…、2(n)のそれぞれは、従業員によって使用される業務用のPCであり、コンソールPC3は、主にシステム管理者(保守担当者)などによって使用される保守用のPCである。
【0014】
図1に示すように、UTM装置1はインターネット6に接続されている。インターネット6上には、多数のHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバ装置7や多数のメールサーバ装置8が存在している。これらのHTTPサーバ装置7に格納されている種々のWebページは、不特定多数の者によって利用可能な状態になっている。また、これらのメールサーバ装置8を介して、電子メールの送信や受信が可能になっている。
【0015】
すなわち、LAN4に接続されたユーザPC2(1)、2(2)、…、2(n)やLAN5に接続されたコンソールPC3は、UTM装置1を通じてインターネット6上のHTTPサーバ装置7にアクセスし、目的とするWebページの閲覧が可能である。なお、HTTPサーバ装置7は、Webサーバなどとも呼ばれる。また、LAN4に接続されたユーザPC2(1)、2(2)、…、2(n)やLAN5に接続されたコンソールPC3は、UTM装置1を通じてインターネット6上のメールサーバ装置8を利用し、目的とする相手先との間で、電子メールの送信、受信が可能である。なお、メールサーバ装置8は、実際には、送信サーバ装置、受信サーバ装置、DNS(Domain Name System)サーバ装置などを含んで構成されている。
【0016】
なお、コンソールPC3は、主に、UTM装置1の保守管理のために使用される。例えば、コンソールPC3を通じて、UTM装置1の動作状況を監視したり、また、UTM装置1にシャットダウンコマンドを送信して、UTM装置1をシャットダウンさせたりすることができる。UTM装置1をシャットダウンさせた後においては、ボードを入れ替えるなどの保守が可能であり、保守後において、再立ち上げを行った後には、コンソールPC3を通じて、UTM装置1のテストを実行するなどのことができる。
【0017】
[UTM装置1の構成例]
図2は、実施の形態の電源制御回路が搭載された電気機器の例であるUTM装置の構成例を説明するためのブロック図である。UTM装置1は、インターネット6への接続端101と通信I/F(interface)102と制御部103を備える。通信I/F102は、インターネット6を通じて自機宛てに送信されてきたデータを自機において処理可能な形式のデータに変換して取り込み、制御部103に供給する処理を行う。また、通信I/F102は、制御部103からのデータを送信する形式のデータに変換し、インターネット6を通じて目的とする相手先に送信する処理を行う。インターネット6に接続されたサーバ装置等との通信は、接続端101及び通信I/F102とを通じて行うことになる。
【0018】
制御部103は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリがバスを介して接続されて構成されたものであり、UTM装置1の各部を制御する機能を実現する。なお、ROMには、種々のプログラムや処理に必要になるデータが記録されている。RAMは、処理の途中結果を一時記憶するなど主に作業領域として使用される。不揮発性メモリには、機能強化のための追加プログラムや使用者(ユーザ)によって設定される設定情報など、UTM装置1の電源が落とされても保持しておく必要のなるプログラムやデータが記録される。また、制御部103の各メモリとは別に、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置が搭載される場合もある。
【0019】
電源スイッチ104と、電源制御回路105と、電源供給回路106とは、UTM装置1の各部に駆動電源を供給するための電源回路部を構成する。電源スイッチ104は、商用電源と電源供給回路106との間に位置し、停止中に押下すれば、商用電源と電源供給回路106との接続状態を維持し、起動中に押下すれば、商用電源と電源供給回路106との遮断状態を維持する押し釦スイッチである。また、電源スイッチ104は、例えば、接続状態の時にはオンとなり、遮断状態のときにはオフになる接続状態信号を、電源制御回路105に供給する。
【0020】
電源制御回路105は、電源スイッチ104からの接続状態信号に基づいて、電源スイッチ104が接続状態になったか否か(接続状態か遮断状態か)を判別する。更に、電源制御回路105は、電源スイッチ104が接続状態であると判別したときには、電源供給回路106に対してイネーブル(enable)信号を供給する。なお、電源制御回路105は、電源スイッチ104が遮断状態である場合、すなわち、電源スイッチ104からオンとなる接続状態信号が供給されていない場合には、電源供給回路106に対してイネーブル信号を供給しない。
【0021】
この実施の形態の電源供給回路106は、電源制御回路105からイネーブル信号が供給されているときには動作状態となり、供給された商用電源から各部に供給する駆動電源を形成して、各部に供給する処理を行う。また、電源供給回路106は、電源制御回路105からイネーブル信号が供給されていないときには非動作状態となり、駆動電源の形成及び供給処理は行わない。このように、この実施の形態の電源供給回路106は、電源制御回路105によって、動作/非動作が切り替えられる。
【0022】
なお、この実施の形態において、電源制御回路105は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)の構成とされたものである。CPLDは、製造後にユーザ(使用者)の手元で内部論理回路を定義・変更できる集積回路であるプログラマブル・ロジック・デバイスの一種である。CPLDは、PAL(Programmable Array Logic)とFPGA(Field Programmable Gate Array)の中間の集積度を持ち、これら両方のアーキテクチャの特徴を持っている。また、電源供給回路106は、IC(integrated circuit)の構成とされたものである。
【0023】
時計回路107は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する。また、時計回路107は、制御部103によって設定された時刻が到来したら、これを制御部103に通知するアラーム機能を実現する。また、時計回路107は、制御部103によって設定された時間を計測するようにし、設定された時間が経過したら、これを制御部103に通知するタイマー機能を実現する。
【0024】
また、図2に示すように、制御部103には、LANポート111及びLAN接続端112と、LANポート113及びLAN接続端114とが接続されている。LAN接続端112には、図1に示したユーザPC2(1)、2(2)、…、2(n)が接続されてLAN4を構成し、LAN接続端114には、図1に示したコンソールPC3が接続されてLAN5を構成している。したがって、UTM装置1は、ユーザPC2(1)、2(2)、…、2(n)のそれぞれとは、LANポート111及びLAN接続端112を通じて通信を行う。また、UTM装置1は、コンソールPC3とは、LANポート113及びLAN接続端114を通じて通信を行う。
【0025】
また、UTM装置1は、セキュリティ監視装置としての機能を実現する部分として、P2P対策部121と、HPアクセス制限部122と、ウィルス対策部123と、メール対策部124と、IPS/IDS部125と、ファイアウォール部126とを備える。P2P対策部121は、セキュリティ対策を行っていない相手や悪意のある相手とのP2P接続を禁止する機能を実現する。なお、「P2P」とは、「Peer to Peer」を意味し、インターネットを介して対等なもの同士が直接に通信を行うことを意味する。P2P対策部121の機能により、例えば画像などのファイル交換を問題のある相手との間において1対1で行うことを防止し、相手からのウィルス感染を防止するなどの機能を実現する。
【0026】
HP(Home Page)アクセス制限部122は、例えば、予め指定したホームページカテゴリを選択しておくことにより、当該カテゴリに該当するホームページへのアクセスを禁止する機能を実現する。例えば、ギャンブルサイト、アダルトサイト、麻薬関連サイト等の不適切サイトへのURLフィルタリングが可能となる。ウィルス対策部123は、Webページのレスポンスの検証(ウィルスチェック)を行う。より具体的にウィルス対策部123は、Webページを閲覧するときの通信を監視し、閲覧しようとしている画像やダウンロードするファイルにウィルスが混入していないかを検証(チェック)する機能を実現する。
【0027】
メール対策部124は、受信した電子メールに関し、不要な広告やウィルスが添付された電子メールをブロックする機能を実現する。IPS/IDS部125は、不適切な侵入を防止したり、不適切な侵入を通知したりする機能を実現する。ここで、IPSは、侵入防止システム(Intrusion Prevention System)の略称であり、IDSは、侵入検知システム(Intrusion Detection System)の略称である。IPS/IDS部125は、ワームやトロイの木馬といったいわゆるマルウェアによる攻撃に対して防御を行うことができる。
【0028】
ファイアウォール部126は、データ通信の状況や利用するソフトウェアなどにより、社内ネットワークにデータを供給するか否かを判断し、外部のネットワークからの攻撃や不正なアクセスから自システムを防御する機能を実現する。このように、UTM装置1は、複数の異なるセキュリティ機能を1つのハードウェアに搭載していることにより、通信環境に生じる脅威に対して総合的に対処することができる。
【0029】
[電源制御回路で行われる処理]
図3は、実施の形態の電源制御回路において行われる処理について説明するためのブロック図である。まず、図3の最下段に示すように、既に、UTM装置1が動作状態にあるとする(ステップS1)。UTM装置1の制御部103は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であるならば、スタンバイ状態に遷移させることとなる事象が自機において発生した場合に、これを検知できる。
【0030】
具体的に、制御部103は、LAN接続端112及びLANポート111を通じて接続されたユーザPC2(1)~2(n)のいずれとも通信を行っていない時間が所定時間以上(例えば1時間以上)経過したとする。この場合を、制御部103は、スタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生として検知する。また、制御部103は、ユーザPC2(1)~2(n)のいずれとも通信を行っていない時間が所定時間以上(例えば30分以上)経過し、現在時刻が午後9時を過ぎていたとする。この場合を、制御部103は、スタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生として検知する。このような検知は、制御部103と時計回路107が協働することにより可能となる。
【0031】
制御部103は、上述したように、スタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生を検知した場合に、これを電源制御回路105に通知する。当該通知を受けた電源制御回路105は、まず、電源供給回路106を制御して、制御部103のコア部分の電源をオフにする(ステップS2)。この場合、制御部103のコア部分は、例えば、命令のデコードや実行を行なう部分である。これに応じて、UTM装置1の各部への駆動電源の供給も停止される。
【0032】
すなわち、制御部103は、1個の半導体チップ上にシステムの動作に必要な機能の多く、あるいは、全てを実装するという設計手法であるSoC(System on a Chip)技術が用いられて形成されたものである。このため、電源供給回路106は、電源制御回路105の制御に応じて、制御部103のコア部分とその他のSoC部分とに対して別々に駆動電源の供給を行うことができるようになっている。
【0033】
制御部103のコア部分の電源をオフにすると、例えば、パーソナルコンピュータの場合であれば、図3において点線で示したようにスタンバイ状態になる。この場合、パーソナルコンピュータのCPU部は、キーボードやマウスの操作といった外的要因によって、いわゆる電源リセットを行って、迅速に自機を再起動させる。この場合の電源リセットは、CPU部の状態をスタンバイ状態になる直前の状態に復旧させる処理になる。
【0034】
しかし、この実施の形態のUTM装置1には、スタンバイ状態は存在しない。制御部103は、コア部分の電源が落とされても、自己を初期状態に戻す処理に必要な一部のSoC部分には、駆動電源が供給されており、自己の状態を初期状態(初期ステート)に戻すことができる。このため、制御部103は自己を初期状態に戻すようにする(ステップS3)。
【0035】
制御部103のコア部分の電源がオフにされ(ステップS2)、制御部103が初期状態に戻った後に(ステップS3)、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御して、制御部103の全SoC部分の電源をオフにする(ステップS4)。これにより、UTM装置1は、スタンバイ状態を経由することなく、制御部103が初期状態に戻った後に、パワーオフ状態になる(ステップS5)。上述したように、電源制御回路105は、電源スイッチ104からの接続状態信号によって、接続状態(オン状態)になったか、遮断状態(オフ状態)になったかを判別できる。電源スイッチ104が遮断状態にあるときには、パワーオフ状態は維持され、電源スイッチ104が接続状態にされたことを契機として再起動される構成を取る。
【0036】
すなわち、電源制御回路105は、UTM装置1がパワーオフ状態にあるときに、電源スイッチ104が押下操作され、電源スイッチが接続状態(オン状態)になったと判別したとする。この場合、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御して、制御部103のリセット動作を行う一部のSoC部分への電源の供給を再開させ(ステップS6)、制御部103においてリセット動作を実行させる(ステップS7)。
【0037】
上述したように、制御部103は、ステップS3において、初期状態に戻っているので、全電源が落とされる前の状態、すなわち、初期状態に戻るようにリセット動作が実行される(ステップS7)。当該リセット動作は、初期状態から初期状態に戻るリセット動作であるため、いわば疑似的なリセット動作となり、迅速に完了する。この後、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御して、制御部103のコア部分の電源をオンにする(ステップS8)。これにより、UTM装置1は、動作状態に戻る(ステップS1)。
【0038】
なお、上述もしたように、パーソナルコンピュータであれば、図3においては、点線及び点線矢印で示したように、スタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生により、まず、コア部分への電源の供給を停止させスタンバイ状態に遷移させる。この場合、制御部103は、スタンバイ状態になる直前の動作状態を保持しておき、外的要因などの復帰事象の発生により、制御部103は、スタンバイ状態になる直前の状態に復旧するいわゆる通常の電源リセットを行う。この後、コア部分への電源の供給を再開し、動作状態に復帰する。
【0039】
しかし、この実施の形態のUTM装置1は、図3において、ステップS1~ステップS5に示したように、電源制御回路105の機能によって、図3の点線で示したスタンバイ状態を経由させず、パワーオフ状態に遷移させることができる。これにより、消費電力の省力化を実現できる。
【0040】
更に、この実施の形態のUTM装置1は、電源制御回路105の機能によって、ステップS6~ステップS8に示したように、迅速に動作状態に復帰させることができる。すなわち、パワーオフ状態から電源スイッチがオンにされることを契機として、まず、電源リセットを可能にする部分への電源の供給を再開させ、電源リセットを実行させる。この後に、コア部分への電源の供給を再開させることで、スタンバイ状態から電源を立ち上げる場合と同様の迅速性をもって、動作状態に復帰させることができる。
【0041】
[電源制御回路の処理のまとめ]
図4は、実施の形態の電源制御回路105において行われる処理について説明するためのフローチャートである。まず、UTM装置1においては、電源が投入されて、既に、動作状態にあるものとする(ステップS101)。電源制御回路105は、制御部103よりスタンバイ状態へ遷移させるべき事象は発生したことの通知を受けたか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、まだ通知を受けていないと判別したとときには、ステップS101からの処理に戻り、動作状態を維持する。
【0042】
ステップS102の判別処理において、当該通知を受けたと判別したときには、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御して、制御部103のコア部分の電源をオフにする(ステップS103)。これを契機として、制御部103は、自己の状態を初期ステート(初期状態)に戻す(ステップS104)。この後、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御し、制御部103の全SoC電源をオフにする(ステップS105)。これにより、UTM装置1は、パワーオフ状態になる。
【0043】
次に、電源制御回路105は、電源スイッチ104が操作され、接続状態になることによって、電源スイッチ104からの接続状態信号に基づいて、電源スイッチ104が接続状態になったか否かを判別する(ステップS107)。電源スイッチ104が遮断状態のままであれば、ステップS107の判別処理を行えないので、ステップS106のパワーオフ状態が維持される。
【0044】
ステップS107の判別処理において、電源スイッチ104が接続状態になったと判別したときには、電源制御回路105は、制御部103のリセット動作を行うために機能させる制御部103の一部のSoC部分の電源をオンにする(ステップS108)。これを契機として、制御部103は、リセット処理を実行し(ステップS109)、パワーオフ状態にされる直前の状態、この例の場合には、初期状態に復旧する動作を行う。この後、電源制御回路105は、電源供給回路106を制御して、制御部103のコア部分への電源の供給を再開する(ステップS110)。これにより、UTM装置1は、ステップS101の動作状態に復旧される。
【0045】
このように、この実施の形態のUTM装置1は、電源制御回路105の機能により、
スタンバイ状態を経由させず、パワーオフ状態に遷移させることができるので、消費電力の省力化を実現できる。更に、電源制御回路105の機能によって、疑似的に電源リセット処理を実行し、スタンバイ状態からの復帰の場合と同等の迅速性をもって、動作状態に復帰させることができる。
【0046】
このように、この実施の形態の電源制御回路105においては、内部論理回路において、図4に示した処理を実行することができるように、定義を行うようにすればよい。従って、図4に示す処理は、電源制御回路105において実行されるプログラムの内容となる。
【0047】
[電源スイッチがロッカスイッチである場合の電源制御回路の他の例]
上述したUTM装置1の電源スイッチ104は、停止中に押下すれば、商用電源と電源供給回路106との接続状態を維持し、起動中に押下すれば、商用電源と電源供給回路106との遮断状態を維持する押し釦スイッチであるものとして説明した。しかし、電源スイッチとしてロッカスイッチ(Rocker Switch)が用いられる場合もある。ロッカスイッチは、操作ボタンの両端をシーソーのように交互に押下操作することで電気回路の接続状態と遮断状態とを切り替えるものである。すなわち、ロッカスイッチは、オンにされれば接続状態を維持し、オフにされれば遮断状態を維持する。
【0048】
電源スイッチとしてロッカスイッチを用いた場合に、上述したように、スタンバイ状態に遷移させる事象の発生により、制御部103の全電源をオフにしたとする。この場合、ロッカスイッチは操作されていないので、当該ロッカスイッチは接続状態のままであり、商用電源は電源供給回路に供給されているので、自動的に再立ち上げが行われてしまう。すなわち、パワーオフ状態を維持することができないので、消費電力の省力化は実現できない。そこで、電源スイッチとしてロッカスイッチを用いる場合には、電源制御回路の構成を変更する必要が生じる。
【0049】
図5は、ロッカスイッチである電源スイッチ104A、電源制御回路105A、電源供給回路106からなる電源回路部について説明するためのブロック図であり、電源制御回路105Aは、実施の形態の電源制御回路105の他の例である。この例の電源制御部は、上述もしたように、制御部103からのスタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生の通知、すなわち、制御部103からのコマンドに基づいて、電源供給回路106の動作を停止させ、パワーオフ状態に遷移させることを可能にする。この場合、当該電源制御部においては、ロッカスイッチである電源スイッチ104Aが接続状態のままであってもパワーオフ状態を維持し、任意のタイミングで再起動させることができるものである。当該電源回路部の機能について具体的に説明する。
【0050】
電源スイッチ104Aは、上述したようにいわゆるロッカスイッチであり、シーソー型のスイッチ操作部1041と、固定接点a、bと可動接点cとを備えた接点部1042とから構成される。この例の場合、固定接点aが、電源供給回路106に接続された接続接点であり、固定接点bが、電源供給回路106に接続されていない遮断接点である。使用者が、スイッチ操作部1041を操作して、オフ状態からオン状態に切り替えると、接点部1042の可動接点cが固定接点(接続接点)aに接続されて、当該接続状態が維持される。
【0051】
この場合、電源スイッチ104Aから電源制御回路105Aに対してオン(ハイレベル)となる接続状態信号が供給され、電源制御回路105Aの動作制御部1051において、電源スイッチ104が接続状態に切り替えられたことが判別可能にされる。電源制御回路105Aの動作制御部1051は、電源スイッチ104Aが接続状態になったと判別すると、電源供給回路106に対して、イネーブル信号を供給して、電源供給回路106を動作状態にする。
【0052】
また、使用者が、スイッチ操作部1041を操作して、オン状態からオフ状態に切り替えると、接点部1042の可動接点cが固定接点(遮断接点)bに接続されて、当該遮断状態が維持される。この場合、電源スイッチ104Aから電源制御回路105Aに対しては、オンなる接続状態信号は供給されなくなるので、電源制御回路105Aの動作制御部1051において、電源スイッチ104Aが遮断状態に切り替えられたことが判別可能にされる。電源制御回路105Aの動作制御部1051は、電源スイッチ104Aが遮断状態になると、電源供給回路106に対して、イネーブル信号の供給を停止する。これにより、電源供給回路106は非動作状態になる。
【0053】
従って、電源スイッチ104Aが遮断状態から接続状態に切り替えられたときには、商用電源が電源供給回路106に供給され、電源制御回路105Aからイネーブル信号により電源供給回路106が動作状態にされる。これにより、電源供給回路106において各部に供給する駆動電源が形成され、各部に供給されることにより、UTM装置1が動作状態となる。逆に、電源スイッチ104Aが接続状態から遮断状態にされたときには、商用電源は電源供給回路106に供給されず、また、電源制御回路105Aからイネーブル信号が電源供給回路106に供給されなくなるので、電源供給回路106は動作を停止する。これにより、電源供給回路106からUTM装置1の各部に駆動電源が供給されなくなるので、UTM装置1は停止状態となる。
【0054】
更に、電源スイッチ104Aが接続状態にされて、電源供給回路106からUTM装置1の各部に駆動電源が供給され、UTM装置1が動作状態にあるとする。このときに、制御部103からのスタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生の通知があったとする。このように、スタンバイ状態に遷移させるべき事象の発生の通知は、この実施の形態のUTM装置においては、パワーオフを指示するコマンドの到来である。この場合、電源制御回路105Aの動作制御部1051は、電源制御回路105Aのフラグ設定解除部1052を制御して、維持フラグを1(オン)にする。この実施の形態において、維持フラグが1(オン)である場合は、コマンドによるパワーオフであることを示すものとなる。すなわち、維持フラグが1(オン)の場合、電源スイッチ104Aをオフにして遮断状態にしたり、あるいは、停電などにより強制的に遮断状態になったりしたのではなく、コマンドの到来によってパワーオフされたことを示すものとなる。
【0055】
この場合に、動作制御部1051は、図3を用いて説明したように、電源供給回路106を制御し、制御部103のコア部分の電源をオフにし(ステップS2)、制御部103を初期状態に戻し(ステップS3)、制御部103の全SoC部分の電源をオフにする(ステップS4)。この後、動作制御部1051は、電源スイッチ104Aからオンとなる接続状態信号が供給されており、電源スイッチ104が接続状態であることが判別できても、維持フラグが1(オン)である場合には、電源供給回路106にイネーブル信号を供給しない。従って、電源スイッチ104Aが接続状態で、商用電源が電源供給回路106に供給されている状態であっても、維持フラグが1(オン)である場合には、電源供給回路106は動作状態とはならず、パワーオフ状態が維持される。
【0056】
このようにして、電源スイッチ104Aが接続状態にあり、UTM装置1が動作状態にあるときに、スタンバイ状態になるべき事象が発生したことの通知を受けて、UTM装置1をパワーオフ状態にしたとする。この場合に、UTM装置1を立ち上げ直す場合には、接続状態になっている電源スイッチ104Aをオフにするように操作し、遮断状態を維持する状態に切り替える。更に、接続状態から遮断状態に切り替えられ、維持フラグが1(オン)であれば、動作制御部1051は、フラグ設定解除部1052を制御して、維持フラグを0(オフ)にする。
【0057】
これにより、電源回路部は、電源スイッチ104Aをオフに操作することにより、遮断状態にして、シャットダウンした状態となる。従って、電源スイッチ104をオンに切り替えることにより、電源スイッチ104を接続状態することによって、UTM装置1に対して電源の再投入を行って立ち上げ直すことが可能になる。
【0058】
図6は、実施の形態の電源制御回路の他の例(電源制御回路105A)の動作制御部1051の制御内容について説明するための図である。図6の1行目に示したように、動作制御部1051が、電源スイッチ104Aは接続状態であり、維持フラグは0(オフ)であると判別したとする。この場合、動作制御部1051は、電源供給回路106にイネーブル信号を供給して、通常の電源立ち上げ処理を行う。また、図6の2行目に示したように、動作制御部1051が、電源スイッチ104Aはが接続状態であり、維持フラグが1(オン)であると判別したとする。この場合、上述したように、コマンドの到来によりUTM装置1をパワーオフした状態であるので、動作制御部1051は、電源供給回路106へのイネーブル信号の供給を停止し、パワーオフ状態を維持する。
【0059】
また、図4の3行目に示したように、電源スイッチ104Aが遮断状態であり、維持フラグが0(オフ)である場合には、電源スイッチ104をオフにすることによってパワーオフした情報である。この状態において、動作制御部1051は何も処理することなく、パワーオフ状態を維持することになる。なお、図4の4行目に示したように、電源スイッチ104が遮断状態で、維持フラグが1オンになる状態は発生しない。電源スイッチ104が遮断状態になれば、維持フラグは必ず0(オフ)にされるためある。
【0060】
従って、図4に示した内容から分かるように、制御部103からのコマンドによってパワーオフ(シャットダウン)した場合に、電源スイッチ104Aが接続状態であっても、維持フラグを設けたことにより、パワーオフ状態を維持できるようになっている。なお、上述したように、電源スイッチ104Aを遮断状態にすれば、維持フラグも0(オフ)にされるので、電源スイッチ104を通じて任意のタイミングで電源の再投入を行い、UTM装置1を動作状態に戻すことができる。
【0061】
なお、コマンドによりシャットダウンした場合には、電源スイッチ104は接続状態にあり、商用電源は供給されているので、電源制御回路105は動作可能な状態にされている。
【0062】
[実施の形態の効果]
この実施の形態のUTM装置1においては、電源制御回路105、105Aの機能により、スタンバイ状態を経由させずに、パワーオフ状態に遷移させることができるので、消費電力の省力化を実現できる。更に、電源制御回路105の機能によって、疑似的に電源リセットを実行し、スタンバイ状態からの復帰の場合と同等の迅速性をもって、パワーオフ状態から動作状態に復帰させることができる。
【0063】
また、スタンバイ状態を設けないことで、スタンバイ状態で稼動している電源及び回路部分の部品の寿命を延ばすことが期待できる。
【0064】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、電源制御回路と電源供給回路とは別々のものであるものとして説明したが、電源制御回路と電源供給回路とを一体に構成することもできる。
【0065】
また、電源制御回路105は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)の構成とされたものとして説明したが、これに限るものではない。回路規模が許せば、PAL(Programmable Array Logic)の構成としたり、回路規模が大きくなる場合にはFPGA(Field Programmable Gate Array)の構成としたりすることが可能である。また、電源制御回路105を、いわゆるマイクロコントローラなどと呼ばれる集積回路の構成としてもよい。すなわち、電源制御回路105は、製造後においてユーザ(この場合はUTM装置1の製造者)の手元で内部論理回路を定義・変更できることにより、図5に示した処理の実行が可能な種々のプログラマブル・ロジック・デバイス(集積回路)として構成できる。
【0066】
また、上述した実施の形態において、変形例として説明した電源スイッチ104Aは、ロッカスイッチであるものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、押し釦スイッチであっても、1回の押下操作で、接続状態と遮断状態とを切り替えて、その状態を維持できるものであれば、上述した変形例の電源スイッチとして利用可能である。すなわち、位置保持型スイッチやオルターネートスイッチなどと呼ばれるスイッチであれば、変形例の場合の電源スイッチとして用いることができる。
【0067】
また、上述した実施の形態の変形例では、通常の状態では維持フラグは0(オフ)で、コマンドによるシャットダウンが発生したら維持フラグを1(オン)にし、この後、電源スイッチ104を遮断状態にしたら維持フラグを0(オフ)にした。しかし、これに限るものではない。通常の状態では維持フラグは1(オフ)で、コマンドによるシャットダウンが発生したら維持フラグを0(オフ)にし、この後、電源スイッチ104を遮断状態にしたら維持フラグを1(オン)にするように制御するようにしてもよい。この場合、維持フラグがオフ(0)の状態の時には、電源供給回路106の非動作状態を維持するように制御することになる。
【0068】
また、上述の実施の形態の変形例では、電源制御回路105Aの動作制御部1051からのイネーブル信号が電源供給回路106に供給されているか否かに応じて、電源供給回路106の動作状態/非動作状態を切り替えるようにした。しかし、これに限るものではない。動作制御部1051からのイネーブル信号により電源供給回路106を動作状態にし、動作制御部1051からのディセーブル(disable)信号により電源供給回路106を非動作状態にするように制御することも可能である。
【0069】
また、上述した実施の形態では、この発明による電源制御回路をUTM装置1に適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。この発明による電源制御回路は、家電製品、PC周辺機器、事務機器、業務用機器などに適用可能である。特に、データベースを記憶保持するデータサーバ装置などに対して適用して好適である。
【0070】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項1における第1~第4の制御手段、判別手段の各機能は、実施の形態の電源制御回路105が実現している。また、請求項2におけるフラグ設定手段とフラグ解除手段の機能は、動作制御部1051とフラグ設定解除部1052とが協働して実現している。
【符号の説明】
【0071】
1…UTM装置、101…接続端、102…通信I/F、103…制御部、104、104A…電源スイッチ、1041…スイッチ操作部、1042…接点部、a、b…固定接点、c…可動接点、105、105A…電源制御回路、1051…動作制御部、1052…フラグ設定解除部、106…電源供給回路、107…時計回路、111、113…LANポート、112、114…LAN接続端、121…P2P対策部、122…HPアクセス制限部、123…ウィルス対策部、124…メール対策部、125…IPS/IDS部、126…ファイアウォール部、2(1)、2(2)~2(n)…ユーザPC、3…コンソールPC、4…LAN、5…LAN、6…インターネット、7…HTTPサーバ装置、8…メールサーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6