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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】電源装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20250213BHJP
【FI】
H05B47/105
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021117263
(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公開番号】P2023013241
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石北 徹
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-017203(JP,A)
【文献】特開2020-071978(JP,A)
【文献】特開2021-057257(JP,A)
【文献】特開2013-055802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチングにより入力電力を変換し、負荷に供給する変換回路と;
前記負荷に応じて予め設定されている前記スイッチング素子のスイッチングの最大デューティ比と、前記変換回路の出力電流のピーク電流と、に応じて、前記スイッチング素子のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御する制御部と;
を備え
前記制御部は、前記変換回路の出力電流を検出し、前記変換回路の出力電流の検出値が予め設定されている目標値と一致するように前記スイッチング素子のスイッチングのデューティ比を変更し、前記変換回路の出力電流の検出値が前記目標値と一致する前記スイッチング素子のスイッチングのデューティ比から、前記最大デューティ比を設定する
ことを特徴とする電源装置
【請求項2】
前記変換回路の出力電流のピーク電流を検出する第1電流検出部と;
前記第1電流検出部とは異なり、前記変換回路の出力電流を検出する第2電流検出部と;
をさらに備え、
前記制御部は、
前記波高値制御時に、前記第1電流検出部で検出される前記変換回路の出力電流のピーク電流を取得して波高値制御し、
前記最大デューティ比の設定時に、前記第2電流検出部で検出される前記変換回路の出力電流を取得して前記最大デューティ比を設定する
ことを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記変換回路の出力電流のピーク電流の設定が変更可能とし、前記変換回路の出力電流のピーク電流の設定変更に応じて、前記目標値を変更し、変更された目標値に応じた前記最大デューティ比を設定する
ことを特徴とする請求項または記載の電源装置。
【請求項4】
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチングにより入力電力を変換し、負荷に供給する変換回路と;
予め設定されている前記負荷の最大定格電圧に応じた前記スイッチング素子のスイッチングの最大デューティ比と、前記変換回路の出力電流のピーク電流と、に応じて、前記スイッチング素子のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御する制御部と;
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
前記負荷の電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記変換回路の出力電流を検出し、前記変換回路の出力電流の検出値が予め設定されている目標値と一致するように前記スイッチング素子のスイッチングのデューティ比を変更し、前記変換回路の出力電流の検出値が前記目標値と一致する際の前記電圧検出部で検出される前記負荷の電圧から、前記負荷の最大定格電圧を設定する
ことを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項6】
負荷である光源と;
請求項1ないしいずれか一記載の電源装置と;
を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、波高値制御をする電源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば照明装置に用いられる電源装置は、スイッチング素子のスイッチングにより入力電力を変換し、負荷である光源に供給する変換回路を備え、この変換回路の出力電流のピーク電流に応じてスイッチング素子のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御することが知られている。
【0003】
波高値制御する電源装置では、電源装置に接続される光源の種類などに応じて光源の電圧や電流が異なるため、光源に応じて適切な波高値制御ができることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-57257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、負荷に応じた適切な波高値制御ができる電源装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源装置は、変換回路と、制御部とを備える。変換回路は、スイッチング素子を有し、スイッチング素子のスイッチングにより入力電力を変換し、負荷に供給する。制御部は、負荷に応じて予め設定されているスイッチング素子のスイッチングの最大デューティ比と、変換回路の出力電流のピーク電流と、に応じて、スイッチング素子のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御する。制御部は、変換回路の出力電流を検出し、変換回路の出力電流の検出値が予め設定されている目標値と一致するようにスイッチング素子のスイッチングのデューティ比を変更し、変換回路の出力電流の検出値が目標値と一致するスイッチング素子のスイッチングのデューティ比から、最大デューティ比を設定する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の電源装置によれば、負荷に応じた適切な波高値制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示す電源装置の回路図である。
図2】同上電源装置による負荷に応じたスイッチング素子のスイッチングの最大デューティ比を設定する設定処理を示すフローチャートである。
図3】同上電源装置の変換回路の出力電流の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に負荷装置である照明装置10を示す。照明装置10は、例えば、舞台やスタジオでの照明に用いられ、通信可能に接続される上位機である調光操作卓などの制御装置11により制御される。照明装置10は、例えば、フルカラー照明に対応している。
【0011】
照明装置10は、負荷である光源14を備える光源モジュール15と、この光源モジュール15を接続し、光源14を点灯させる電源装置16と、を備えている。
【0012】
光源14は、発光素子であるLED18を備えている。光源モジュール15には、複数のLED18が用いられている。照明装置10がフルカラー照明に対応している場合、少なくとも赤、緑、青の異なる光色のLED18が用いられる。LED18は光色毎に電圧(順方向電圧)が異なり、さらに複数のLED18が用いられる光源14である光源モジュール15は光色毎に電圧や電流が異なっている。なお、光源14は、LED18に限らず、有機ELなどの他の固体発光素子を用いてもよい。
【0013】
異なる光色のLED18は、光色毎に、電源装置16に接続されて個別に制御される。図1には1つの光色のLED18が1つの電源装置16に接続されている場合を示すが、異なる光色のLED18に対して電源装置16の一部を共用してもよい。
【0014】
また、電源装置16は、例えば、交流100Vの入力電力を供給する外部電源である商用交流電源eに対し、図示しないフィルタ回路を介して整流回路20の一対の入力端が接続されている。整流回路20は、商用交流電源eからの交流電力を直流電力に整流して出力する。整流回路20の一対の出力端に、第1変換回路21が接続されている。第1変換回路21は、力率改善のための既知の力率改善回路であり、本実施形態では昇圧チョッパ回路である。第1変換回路21は、整流回路20から入力された直流電力の電圧を、その電圧よりも高い所定の第1直流定電圧に変換して出力する。
【0015】
第1変換回路21の出力側には、第2変換回路22が接続されている。第2変換回路22は、第1変換回路21から入力された第1直流定電圧を、その第1直流定電圧よりも低い所定の第2直流定電圧に変換して出力する降圧チョッパ回路である。
【0016】
第1変換回路21と第2変換回路22とにより、入力電力を変換して光源14に供給する変換回路23が構成されている。
【0017】
第2変換回路22は、第1変換回路21の出力端間に接続されたスイッチング素子である第1スイッチング素子Q1および帰還ダイオードDの直列回路と、第1スイッチング素子Q1と帰還ダイオードDのカソードとの接続点に一端側が接続されたインダクタLとを備えている。また、第1スイッチング素子Q1の制御端子には、ドライバ回路DRVを介してマイコンによって構成される制御部24が接続され、制御部24から出力される第1PWM信号S1により第1スイッチング素子Q1がスイッチング駆動される。第1スイッチング素子Q1は、第1PWM信号S1により所定の動作周波数、例えば100kHz以上の動作周波数でスイッチングされ、インダクタLに流れる出力電流ILの谷がゼロよりも大きくインダクタLに出力電流ILが連続的に流れる電流連続モードとなるように駆動される。
【0018】
また、第2変換回路22の出力端には、この出力端と並列に接続された第2スイッチング素子Q2を備える調光回路25が接続されているとともに、光源モジュール15の入力端が接続されている。第2スイッチング素子Q2は、光源モジュール15の光源14と並列に接続されている。第2スイッチング素子Q2の制御端子には、制御部24が接続され、制御装置11から入力する調光信号に応じて制御部24から出力される第2PWM信号S2により第2スイッチング素子Q2がスイッチング駆動される。
【0019】
調光回路25は、第2スイッチング素子Q2のスイッチングにより第2変換回路22の出力端間を短絡および開放することで、光源14に流れる電流を制御する。すなわち、光源14に流れる平均電流である負荷電流Iは、変換回路23の出力電流ILを第2スイッチング素子Q2がスイッチングすることにより制御される。
【0020】
また、第2変換回路22には、帰還ダイオードDのアノードと一方の出力端である第2スイッチング素子Q2との間に、出力電流ILの検出用の抵抗Rが接続されている。
【0021】
第2変換回路22の抵抗Rと第2スイッチング素子Q2との間に、制御部24による波高値制御時に変換回路23の出力電流ILのピーク電流を検出する第1電流検出部26と、制御部24による第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比の設定時に変換回路23の出力電流ILを検出する第2電流検出部27と、がそれぞれ接続されている。
【0022】
第1電流検出部26は、コンパレータである比較器28を有し、この比較器28の反転入力端子が第2変換回路22の抵抗Rと第2スイッチング素子Q2との間に接続され、この比較器28の非反転入力端子に基準電圧源29から所定の基準電圧である閾値電流(ピーク電流値)Ithが入力される。そして、比較器28は、出力電流ILと閾値電流Ithとの大小を、それぞれに対応する電圧に基づき比較する。比較器28の出力端子は制御部24に接続され、比較器28での比較結果が信号(電圧信号)Sとして制御部24に入力される。
【0023】
第2電流検出部27は、第1電流検出部26とは異なり、第2変換回路22の抵抗Rと光源14との間に接続されている。第2電流検出部27は、検出回路30を含み、この検出回路30により、光源14に流れる変換回路23の出力電流ILを検出し、この出力電流ILに対応する電圧信号である検出信号を制御部24に出力する。
【0024】
また、第2変換回路22の出力端には、変換回路23の出力電圧、つまり光源14の電圧(負荷電圧)を検出する電圧検出部31が接続されている。電圧検出部31は、検出回路30を含み、この検出回路30により光源14の電圧を検出し、この検出信号を制御部24に出力する。
【0025】
なお、検出回路30は、第2電流検出部27と電圧検出部31とで兼用されるが、兼用せず、第2電流検出部27と電圧検出部31とで別々に設けてもよい。
【0026】
そして、制御部24は、変換回路23に接続された光源14に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比(最大オンデューティ)を設定する機能を有している。制御部24は、この最大デューティ比の設定時に、変換回路23に接続された光源14に対して出力電流ILを実際に流した状態で、第2電流検出部27により変換回路23の出力電流ILを検出し、変換回路23の出力電流ILの検出値と予め設定されている目標電流値である目標値とを比較し、変換回路23の出力電流ILの検出値が目標値と一致するように第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を変更し、変換回路23の出力電流ILの検出値が目標値と一致する第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比から、最大デューティ比を設定し、記憶する。制御部24は、制御プログラムや第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比を記憶する記憶部を有している。第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比の設定は、例えば工場出荷前の検査工程にて実行され、電源装置16への最初の電源投入時に自動的に実行してもよいし、電源装置16への電源投入後に制御部24に所定の信号が入力されることで実行してもよい。また、目標値は、変換回路23の出力電流のピーク電流の設定に応じて設定される。
【0027】
さらに、制御部24は、光源14に応じて予め設定されて記憶されている最大デューティ比と、第1電流検出部26の比較器28の比較結果である変換回路23の出力電流ILのピーク電流と、に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を決定し、このデューティ比の第1PWM信号S1を第1スイッチング素子Q1に出力し、波高値制御を実行する機能を有している。
【0028】
さらに、制御部24は、制御装置11から入力される調光信号に応じて、第2PWM信号S2のデューティ比を決定し、このデューティ比の第2PWM信号S2を第2スイッチング素子Q2に出力し、光源14に流れる電流を制御する調光制御を実行する機能を有している。
【0029】
さらに、制御部24は、電圧検出部31の検出回路30により変換回路23の出力電圧を監視し、その出力電圧に応じて、変換回路23の出力を低下または停止させる保護動作を実行する機能を有している。
【0030】
なお、異なる光色のLED18に対して電源装置16の一部を共用する場合には、第1変換回路21の出力端の接点32に、異なる光色のLED18毎に光色別の電源回路部(第2変換回路22、調光回路25、および制御部24などを含む)が並列に接続され、光色別の電源回路部に異なる光色のLED18がそれぞれ接続されて個別に制御される。
【0031】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0032】
まず、照明装置10の動作を説明すると、電源装置16に商用交流電源eから電力が供給されると、変換回路23では、第1変換回路21が動作して交流入力電圧を第1直流定電圧に昇圧するとともに、第2変換回路22が動作して第1直流定電圧を第2直流定電圧に降圧する。
【0033】
第2変換回路22では、制御部24からの第1PWM信号S1が第1スイッチング素子Q1の制御端子に入力され、第1スイッチング素子Q1が第1PWM信号S1に応じてスイッチングされる。第1スイッチング素子Q1のオン状態では、第1スイッチング素子Q1からインダクタLを介して第2変換回路22から出力電流IL1が出力されるとともに、インダクタLにエネルギが蓄えられる。また、第1スイッチング素子Q1のオフ状態では、インダクタLに出力電流IL1により蓄えられたエネルギが放出され、帰還ダイオードDからインダクタLを介して第2変換回路22から出力電流IL2が出力される。そして、第1スイッチング素子Q1のスイッチングにより、インダクタLに対して出力電流IL(IL=IL1+IL2)が連続的に流れる。
【0034】
制御部24では、光源14に応じて予め設定されている最大デューティ比と、第1電流検出部26の比較器28の比較結果である変換回路23の出力電流ILのピーク電流と、に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を決定し、このデューティ比の第1PWM信号S1を第1スイッチング素子Q1に出力し、第2変換回路22を波高値制御する。
【0035】
さらに、制御部24では、制御装置11から入力される調光信号に応じて、第2PWM信号S2のデューティ比を決定し、このデューティ比の第2PWM信号S2を調光回路25の第2スイッチング素子Q2に出力する。調光回路25では、第2スイッチング素子Q2を第2PWM信号S2に応じてスイッチングする。第2スイッチング素子Q2のスイッチングによって第2変換回路22の出力端間が短絡および開放されることで、制御装置11から入力される調光信号に応じて光源14に負荷電流Iが流れ、光源14が設定された調光度で点灯する。
【0036】
さらに、制御部24では、電圧検出部31の検出回路30により変換回路23の出力電圧を監視し、その出力電圧に応じて、変換回路23の出力を低下または停止させる保護動作を実行する。
【0037】
次に、制御部24により、変換回路23に接続された光源14に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比を設定する設定処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
この最大デューティ比の設定処理は、例えば工場出荷前の検査工程において、電源装置16への最初の電源投入時に自動的に実行し、または電源装置16への電源投入後に制御部24に所定の信号が入力されることで実行する。
【0039】
制御部24は、変換回路23の出力電流ILの目標値を設定する(ステップS1)。この目標値は、波高値制御を実行する変換回路23の出力電流のピーク電流の設定に応じて設定される。
【0040】
制御部24は、オンデューティの割合が最小または比較的少ないデューティ比で、変換回路23の第1スイッチング素子Q1のスイッチングを開始させる(ステップS2)。
【0041】
このとき、調光回路25の第2スイッチング素子Q2はオフ状態に維持されるため、変換回路23の出力電流ILが全て光源14に流れる。
【0042】
変換回路23から光源14に流れる出力電流ILを第2電流検出部27で検出する(ステップS3)。
【0043】
制御部24は、第2電流検出部27で検出される変換回路23の出力電流ILを取得し、変換回路23の出力電流ILの検出値と予め設定されている目標値とを比較し、一致するか判断する(ステップS4)。
【0044】
制御部24は、検出値が目標値と一致しないと判断すると、検出値が目標値と一致するように、オンデューティの割合をアップしたデューティ比に変更し(ステップS5)、このデューティ比で第1スイッチング素子Q1をスイッチングさせる。
【0045】
制御部24は、検出値が目標値と一致したと判断すると、一致したデューティ比を、第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比に設定し、制御部24の記憶部に記憶する(ステップS6)。
【0046】
このように、電源装置16では、光源14に応じて予め設定されている最大デューティ比と、変換回路23の出力電流ILのピーク電流と、に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御することにより、光源14に応じた適切な波高値制御ができる。
【0047】
さらに、電源装置16では、変換回路23に接続された光源14に実際に電流を流し、光源14の電圧特性に応じて、変換回路23の第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比を設定することにより、異なる電圧特性の光源14であっても、適切な波高値制御ができる。
【0048】
光源14であるLEDは、チップ毎に電圧特性が異なり、さらに同じLED品種でもチップ毎に電圧はばらつくため、モジュールにした際の電圧特性はばらばらになる。第2変換回路22である降圧チョッパ回路においては、入力電圧と出力電圧(=LED電圧)の比でスイッチングのデューティが決定されるため、LED電圧に合わせたデューティの決定が必要となる。特に固定周波数スイッチングによるピーク電流制御を行う回路においては、比較器28であるコンパレータによるピーク電流の検出にノイズの影響でばらつきが出た際に、降圧チョッパ回路の出力電流の波形が乱れて、電流リップルが大きくなるなどの不具合が発生することがある。特にオンデューティが50%を超える場合は、ピーク電流の検出のばらつきで本来のデューティより小さくなった場合に次の周期で補う動作となり、デューティが大きくなる周期と小さくなる周期が交互になるような動作になりやすい。ここで、図3に変換回路23(降圧チョッパ回路)の出力電流の波形図に示し、実線で示す波形Aは理想の出力電流波形であり、破線で示す波形Bは上述のようにピーク電流の検出にばらつきが出た場合の出力電流波形であり、一点鎖線で示す波形Cは本実施形態のようにLEDに応じて最大デューティ比を設定して調整した場合の出力電流波形である。そのため、LEDに合わせた最大デューティを設定することで、波形が乱れるような場合にも、適切なデューティ範囲で動作させることで動作が安定し、電流リップルが大きくなるなどの不具合を抑制することが可能になる。
【0049】
そして、フルカラーの照明装置10の場合、光色毎に光源14の電圧特性が異なっているが、光色毎の光源14の電圧特性に応じて、変換回路23の第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比を適切に設定できるため、各光色の光源14毎に適切な波高値制御ができる。そのため、電源装置16を各光色の光源14に対して共通化することができる。
【0050】
また、変換回路23の出力電流のピーク電流を検出する第1電流検出部26とは異なる第2電流検出部27を備えるため、光源14に流れる変換回路23の出力電流ILを第2電流検出部27で検出でき、最大デューティ比を設定することが可能となる。
【0051】
また、変換回路23の出力電流ILのピーク電流の設定は変更可能であるため、この設定の変更に応じて目標値を変更し、変更された目標値に応じた最大デューティ比を設定することにより、変換回路23の出力電流ILのピーク電流の設定の変更に対応して適切な波高値制御ができる。
【0052】
なお、制御部24では、光源14に応じて最大デューティ比を予め設定し、記憶するのに代えて、光源14の最大定格電圧を予め設定し、記憶していてもよい。
【0053】
この場合、制御部24は、予め設定されている光源14の最大定格電圧に応じた第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比と、変換回路23の出力電流のピーク電流と、に応じて、第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を決定し、波高値制御する。このとき、変換回路23の降圧チョッパ回路である第2変換回路22に対する入力電圧と光源14の最大定格電圧とから降圧率が求まるため、この降圧率に応じて第1スイッチング素子Q1のスイッチングの最大デューティ比が求められる。
【0054】
さらに、制御部24は、光源14の最大定格電圧の設定時に、変換回路23の出力電流を検出し、変換回路23の出力電流の検出値が予め設定されている目標値と一致するように第1スイッチング素子Q1のスイッチングのデューティ比を変更し、変換回路23の出力電流の検出値が目標値と一致する際の電圧検出部31で検出される光源14の電圧から、光源14の最大定格電圧を設定する。
【0055】
このように、光源14の最大定格電圧を予め設定し、記憶した場合にも、異なる電圧特性の光源14に対し、適切な波高値制御ができる。
【0056】
また、最大デューティ比の記憶は、制御部24の記憶部に記憶することに限らず、照明装置10が制御装置11に接続された際に、最大デューティ比の情報を制御装置11に受け渡し、制御装置11に記憶するようにしてもよい。この場合、照明装置10の起動時に、制御装置11から記憶されている最大デューティ比の情報を照明装置10に送信すればよい。
【0057】
また、電源装置16は、波高値制御を実行する変換回路23を備えていれば、調光回路25を備えない構成でもよい。
【0058】
また、変換回路23に接続される負荷は、光源14に限らず、変換回路23の波高値制御によって変換される電力にて動作する負荷であればよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 照明装置
14 負荷である光源
16 電源装置
23 変換回路
24 制御部
26 第1電流検出部
27 第2電流検出部
31 電圧検出部
Q1 スイッチング素子である第1スイッチング素子
図1
図2
図3