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特許7633618岩塊の安定性分析の試験方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】岩塊の安定性分析の試験方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01V 20/00 20240101AFI20250213BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20250213BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20250213BHJP
   G01M 10/00 20060101ALN20250213BHJP
【FI】
G01V20/00
G01N1/28 E
G01N3/00 D
G01M10/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024209696
(22)【出願日】2024-12-02
【審査請求日】2024-12-02
(31)【優先権主張番号】202410535251.3
(32)【優先日】2024-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521231444
【氏名又は名称】河南理工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】524443714
【氏名又は名称】▲石▼炭科学研究▲総▼院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】洪紫▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】李向上
(72)【発明者】
【氏名】李振▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】杜▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼岩
(72)【発明者】
【氏名】曹正正
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第117875212(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117214410(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112255059(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115524275(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117368069(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117217113(CN,A)
【文献】中国実用新案第220339996(CN,U)
【文献】中国実用新案第206223506(CN,U)
【文献】特開2005-273218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 20/00
G01N 1/28
G01N 3/00
G01M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得することと、
前記裸構造面映像情報に基づいて前記岩塊の裸構造面3次元モデルを構築することと、
前記内部構造面レーダ情報に基づいてクラック構造情報を決定することと、
前記裸構造面3次元モデルと前記クラック構造情報に基づいて構造面空間情報確率モデルを構築することと、
前記構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル製造情報を決定することであって、ただし、前記モデル製造情報がクラック製造情報と岩塊製造情報を含み、前記クラック製造情報がクラック位置情報とクラック製造材料を含み、前記岩塊製造情報が岩塊位置情報と岩塊製造材料を含むことと、
ポリビニルアルコール材料をクラック製造材料とし、クラック位置情報に基づいて、3D印刷技術を用いて岩塊骨格を構築することと、
岩塊製造材料として岩のような材料を採用し、前記岩塊位置情報に基づいて前記岩塊骨格に前記岩のような材料を充填し、前記岩のような材料に微小管を埋設させ、前記微小管の一端を前記岩のような材料に埋設させ、前記微小管の他端に水源を接続させ、予め設定されている定圧定速ポンプによって前記水源の前記微小管を流れる流速を制御させ、岩塊物理大規模モデルを製造することと、
前記岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得することと、
前記現場フィードバック情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定することであって、ただし、前記試験圧力に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験するように、前記試験圧力が試験周囲圧と、試験軸圧と、試験浸透圧とを含むことと、
前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での試験フィードバック情報を取得することと、
を含む、ことを特徴とする岩塊の安定性分析の試験方法。
【請求項2】
前記の、前記試験圧力に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験するステップは、
前記岩塊物理大規模モデルの外部に設けられている電気的制御可能なストレスローダに基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験周囲圧と試験軸圧を印加することと、
前記定圧定速ポンプと前記微小管に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験浸透圧を印加することと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の岩塊の安定性分析の試験方法。
【請求項3】
前記試験フィードバック情報が応力ひずみ情報とモデル変形情報を含み、前記の、前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での試験フィードバック情報を取得することは、
前記岩塊物理大規模モデルに予め設定されているひずみゲージに基づいて、前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での応力ひずみ情報を取得することと、
予め設定されているひずみ測定システムに基づいて、前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力でのモデル変形情報を取得することと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の岩塊の安定性分析の試験方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の岩塊の安定性分析の試験方法を用いる岩塊の安定性分析の試験システムであって、前記岩塊の安定性分析の試験システムは、
岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得し、前記裸構造面映像情報と前記内部構造面レーダ情報に基づいて前記岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築する、確率モデル構築モジュールと、
前記構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル構築情報を決定し、前記モデル構築情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルを製造する、物理モデル製造モジュールと、
前記岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得し、前記現場フィードバック情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、前記試験圧力に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験する、試験圧力印加モジュールと、
前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での試験フィードバック情報を取得する、モデル変形モニタリングモジュールと、
を含む、ことを特徴とする岩塊の安定性分析の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は岩塊の安定性分析の技術分野に関し、具体的には岩塊の安定性分析の試験方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
炭鉱の深部の採掘プロセスにおいて、岩塊は、採掘の撹乱、高浸透圧及び非連続構造面の影響を受け、周囲の岩石の広範囲の崩壊や突水などの災害を極めて誘発しやすく、深部の岩塊の安定性制御問題がますます際立ち、石炭の安全採掘に大きな脅威をもたらした。
【0003】
採掘の撹乱、高浸透圧、深部の岩塊及び非連続構造面などの要素による周囲の岩石の安定性を総合的に考慮してこそ、深部の岩塊の安定性を根本的に制御することができた。同時に、炭鉱の周囲の岩石の安定性の研究対象が岩石標本であることは多いが、岩石標本の研究は工事尺度の周囲の岩石の安定性状況を反映するのに不足した。
【0004】
その上で、一部の研究者は大規模モデルを用いて周囲の岩石の変形破裂規則を実験的に分析し始めたが、大規模モデル試験における岩塊を層状モデルとして構築することが多い一方、岩塊の内部構造が岩塊に与える影響を無視し、製造されたモデルが現場の周囲の岩石の構造面分布特徴を反映するのに不足し、試験結果の正確性に影響を与えた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、関連する技術における技術的問題の少なくとも1つをある程度解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本願の第1の目的は、現場の実際の状況に合わせる岩塊モデルを構築し、現場の周囲の岩石の採掘現場の撹乱での全面的な安定性状況をリアルに反応させ、石炭採掘に安全保障を提供する岩塊の安定性分析の試験方法を提案することにある。
【0007】
本願の第2の目的は、岩塊の安定性分析の試験システムを提案することにある。
【0008】
上記目的を達成するために、本願は岩塊の安定性分析の試験方法を提供し、該当試験方法は、
岩塊の裸(露出)構造面映像情報(裸の構造面の映像情報)と内部構造面レーダ情報(内部の構造面のレーダ情報)を取得することと、
前記裸構造面映像情報に基づいて前記岩塊の裸構造面3次元モデル(裸の構造面の3次元モデル)を構築することと、
前記内部構造面レーダ情報に基づいてクラック(crack)構造情報を決定することと、
前記裸構造面3次元モデルと前記クラック構造情報に基づいて構造面空間情報確率モデル(構造面の空間情報の確率モデル)を構築することと、
前記構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデル(岩塊の物理大規模モデル)のモデル製造情報を決定することであって、ただし、前記モデル製造情報がクラック製造情報と岩塊製造情報を含み、前記クラック製造情報がクラック位置情報とクラック製造材料を含み、前記岩塊製造情報が岩塊位置情報と岩塊製造材料を含むことと、
ポリビニルアルコール材料をクラック製造材料とし、クラック位置情報に基づいて、3D印刷技術を用いて岩塊骨格を構築することと、
岩塊製造材料として岩のような材料を採用し、前記岩塊位置情報に基づいて前記岩塊骨格に前記岩のような材料を充填し、前記岩のような材料に微小管を埋設させ、前記微小管の一端を前記岩のような材料に埋設させ、前記微小管の他端に水源を接続させ、予め設定されている定圧定速ポンプ(定圧・定速のポンプ)によって前記水源の前記微小管を流れる流速を制御させ、岩塊物理大規模モデルを製造することと、
前記岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得することと、
前記現場フィードバック情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定することであって、ただし、前記試験圧力に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験するように、前記試験圧力が試験周囲圧と、試験軸圧と、試験浸透圧とを含むことと、
前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での試験フィードバック情報を取得することと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本願は岩塊の安定性分析の試験システムを提供し、該当試験システムは、
岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得し、前記裸構造面映像情報と前記内部構造面レーダ情報に基づいて前記岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築する、確率モデル構築モジュール(確率モデルの構築モジュール)と、
前記構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル構築情報を決定し、前記モデル構築情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルを製造する、物理モデル製造モジュール(物理モデルの製造モジュール)と、
前記岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得し、前記現場フィードバック情報に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、前記試験圧力に基づいて前記岩塊物理大規模モデルに対して試験する、試験圧力印加モジュール(試験圧力の印加モジュール)と、
前記岩塊物理大規模モデルの、前記試験圧力での試験フィードバック情報を取得する、モデル変形モニタリングモジュール(モデル変形のモニタリングモジュール)と、を含む。
【有益な効果】
【0010】
本願により提供されている岩塊の安定性分析の試験方法及びシステムは、岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得することにより、現場の岩塊構造に合わせる構造面空間情報確率モデルを構築し、かつ構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルを製造する。採掘現場の撹乱により取得されている岩塊の現場フィードバック情報に基づいて、岩塊物理大規模モデルに印加する試験圧力を決定し、実際の状況によりよく合わせ、岩塊物理大規模モデルが岩塊の応力ひずみデータなどのフィードバック情報をよりリアルに反応させることができる。本願の配置は現場の実際の状況に合わせる岩塊モデルを構築でき、現場の周囲の岩石の安定性状況をリアルに反応させ、それによって石炭採掘に安全保障を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】岩塊の安定性分析の試験方法のフローチャートである。
図2】岩塊の安定性分析の試験方法におけるステップS201~S202のフローチャートである。
図3】岩塊の安定性分析の試験方法におけるステップS301~S302のフローチャートである。
図4】岩塊の安定性分析の試験方法における試験台の構造概略図である。
図5】岩塊の安定性分析の試験システムのモジュール概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本願の実施例の岩塊の安定性分析の試験方法及びシステムについて説明する。
【0013】
図1は岩塊の安定性分析の試験方法のフローチャートである。
【0014】
図1に示すように、該当方法は、
岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得するS101と、
裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報に基づいて岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築するS102と、
構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル構築情報を決定し、モデル製造情報に基づいて岩塊物理大規模モデルを製造するS103と、
岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得するS104と、
現場フィードバック情報に基づいて岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、試験圧力に基づいて岩塊物理大規模モデルに対して試験するS105と、
岩塊物理大規模モデルの、試験圧力での試験フィードバック情報を取得するS106と、を含む。
【0015】
ステップS101~S102において、岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得し、裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報に基づいて岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築する。
【0016】
3GSM3次元岩塊非接触撮影測定システム、3次元レーザースキャンシステムを用いて典型的な鉱山岩塊構造面に対して高速精密の撮影測定を行うとともに、人工測定技術を補助し、測定結果(すなわち、岩塊の裸構造面映像情報)を得る。
【0017】
裸構造面映像情報は、各グループの岩塊構造面の産状及び実際の分布状況を含み、具体的には、計算された各グループの岩塊構造面の跡長、傾斜角、ピッチ及び節理線密度条などの情報を含む。取得されているすべての岩塊構造面をグループ化し、3級-小規模二次断層と、4級-一定の連結性を有する非連続分布構造面と、5級-連結性の悪い微小クラックとを含む。産状クラスターに基づいてグループ化を行い、各グループの岩塊構造面の跡長、平均産状及びピッチと断距離を計算し、3次元画像処理分析システムを用いて裸構造面3次元構造モデルを構築する。
【0018】
岩塊裸構造面の測定に基づいて、地質レーダを用いて岩塊内部構造空間を非破壊探査し、内部構造面レーダ情報を得て、内部構造面レーダ情報の反転に基づいて岩塊内部構造を得て、同時にデジタルドリルボロスコープを用いて反転されている岩塊内部構造をドリルして補正して、クラック構造情報を決定する。裸構造面3次元構造モデルとクラック構造情報を結合し、さらに統計分析し、構造面空間情報確率モデルを構築する。
【0019】
以下の式を用いて一定のクラック粗さを有する岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築する。
【数1】
【0020】
ただし、z(x,y)はクラック粗面の高さを表す。x、yはクラックの変位座標である。Lはクラックの長さである。aはクラックフラクタル表面の高さの振幅である。Dは3次元クラックのフラクタル次元(2<D<3)を表す。ηはクラックの周波数密度パラメータであり、この値が1より大きい。M値は岩塊表面の粗ピーク重畳数を表す。nは周波数指数を表す。φm,nはクラックのランダム位相を表す。
【0021】
ステップS103では、構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル構築情報を決定し、モデル構築情報に基づいて岩塊物理大規模モデルを製造する。岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築した後、構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルを製造することができる。
【0022】
まず、構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル製造情報を決定し、モデル製造情報がクラック製造情報と岩塊製造情報を含み、クラック製造情報がクラック位置情報とクラック製造材料を含み、岩塊製造情報が岩塊位置情報と岩塊製造材料を含む。
【0023】
図2に示すように、岩塊物理大規模モデルの製造ステップは、
ポリビニルアルコール材料をクラック製造材料とし、クラック位置情報に基づいて、3D印刷技術を用いて岩塊骨格を構築するS201と、
岩塊製造材料として岩のような材料を採用し、岩塊位置情報に基づいて岩塊骨格に岩のような材料を充填し、岩塊物理大規模モデルを製造するS202と、を含む。
【0024】
構築されている岩塊の構造面空間情報確率モデルを基に、すべてのクラックの構造面空間情報確率モデルにおける位置を決定し、3Dプリンターを用いて岩塊の構造面空間情報確率モデルのクラック構造を印刷し、クラック構造を岩塊骨格とする。3Dプリンターの印刷材料はポリビニルアルコール材料、すなわちPVA材料であり、PVA材料はエタノールに可溶なものである。
【0025】
その後、印刷されている岩塊骨格を大規模モデル試験システムに置き、岩塊位置情報を決定した後、岩のような材料を用いて岩塊骨格を敷設して充填することができ、敷設が完了された後、岩塊物理大規模モデルを得ることができる。岩のような材料は、石膏、セメントモルタル、PLA材料などを含み、これらの材料は、岩塊物理大規模モデルの構築要件を満たすために、単独でまたは一定の配合比で混合することができる。
【0026】
現実の岩塊環境では、クラックのクラックタイプは中実(solid)クラックと中空型(hollow)クラックに分けることができ、一般的に、中実クラックには砂などの物質が充填されているが、中空型クラックには砂などの物質が充填されていない。
【0027】
現場の実際の実地調査条件により適合させるために、図3に示すように、岩塊物理大規模モデルを製造した後、以下のS301~S302を含み、
S301において、構造面空間情報確率モデルに基づいてクラックのクラックタイプを決定し、クラックタイプは中実クラックと中空型クラックを含み、
S302において、クラックタイプが中空型クラックであるクラックにおけるポリビニルアルコール材料を分解(溶解)し、中空型クラックの物理モデルを構築する。
【0028】
上記から、クラックを作製するための材料はポリビニルアルコール(すなわち、PVA材料)であり、PVA材料はエタノールに可溶なものであることがわかる。そのため、クラックのクラックタイプが中空型クラックであることを決定する場合に、エタノールを該当クラックのPVA材料に滴下し、PVA材料をエタノールで分解すれば、中空型クラックを形成することができる。クラックのクラックタイプが中実クラックであることを決定する場合に、印刷されているクラックは処理されず、この時PVA材料が砂などの充填物質としてクラックを充填することができる。
【0029】
ステップS104では、岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得する。岩塊物理大規模モデルを構築した後、岩塊物理大規模モデルに対して試験することができる。試験プロセスにおいて、岩塊物理大規模モデルに現場の実際に印加されている圧力に応じた圧力を印加する必要があり、正確な岩塊物理大規模モデルの試験効果を得ることができる。
【0030】
従って、小型電気放電震源システムを用いて、地震波断層撮影方法を用いて、探査領域内の岩塊物理大規模モデルに対応する実際の岩塊構造面の各位置における地震波伝播の速度及び速度反転図を決定し、地震波の波速異常係数と岩塊応力との対応関係に基づいて、速度反転図において岩塊の高応力領域を初歩的に決定する。高応力領域に重点を置き、間隔20mごとにドリルの応力計を埋設する。応力計の配置が完了された後、応力オンラインモニタリングシステムにアクセス(接続)し、岩塊の採掘の撹乱での現場の岩塊が受けられる応力をモニタリングし、採掘の撹乱での岩塊応力進化規則及び地下水動態進化規則を総合的に分析し、岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報とする。
【0031】
ステップS105では、現場フィードバック情報に基づいて岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、試験圧力に基づいて岩塊物理大規模モデルに対して試験する。試験圧力が試験周囲圧と、試験軸圧と、試験浸透圧とを含む。岩塊力学において、囲圧とは、岩塊の周囲の圧力または応力の強度を意味し、通常、地下採掘またはトンネル工事で測定して評価されたものである。軸圧とは、構造または岩土塊に作用するある軸線に沿った圧力を意味し、この圧力は重力、外部から加わる荷重またはその他の要因に由来する可能性がある。浸透圧とは、液体または気体が土壌または他の多孔質媒体を通過することに起因する圧力を意味し、この圧力は液体または気体の流れに起因し、土壌または構造に影響を与える可能性がある。岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を決定した後、現場フィードバック情報を根拠に大規模モデルに外部試験圧力を印加し、試験フィードバック情報を得る。
【0032】
図4に示すように、図4は試験台の構造概略図であり、図4において、試験台は、岩塊物理大規模モデルを固定するための、試験台フレーム3や基部9を含む。岩塊物理大規模モデルは、ポリビニルアルコール材料によって製造されているクラック構造1と岩のような材料によって製造されている岩のような構造2を含み、岩のような構造2の周辺に電気的制御可能なストレスローダ(electric control stress loader)7が設けられ、電気的制御可能なストレスローダ7を介して岩塊物理大規模モデルに周辺の試験周囲圧を印加することができ、異なる深さの岩塊が受けられる周囲圧をシミュレーションすることができる。同時に上部の電気的制御可能なストレスローダ7を介して岩塊物理大規模モデルに上部の試験軸圧を印加して、現場の岩塊の採掘撹乱をシミュレーションすることができる。
【0033】
岩塊構築位置情報に基づいて岩塊骨格に岩のような材料を充填して岩のような構造2を製造する時に、岩のような材料に微小管を埋設させ、微小管の一端を岩のような構造2に埋設させ、微小管の他端に水源6を接続させ、予め設定されている定圧定速ポンプ10によって水源6の微小管を流れる流速を制御させる。
【0034】
微小管は、水流入管4と水流出管5に分けられ、岩塊物理大規模モデルにおいて水流入管4に水源6を通し、水流入管4の一端を介して岩塊物理大規模モデルに圧力を印加して岩塊物理大規模モデルが受けられる試験浸透圧をシミュレーションし、水流出管5は水を流出するために用いられるものである。同時に、定圧定速ポンプ10によって微小管における水流速度を制御することができ、試験浸透圧の調整を実現することができる。
【0035】
これにより、最終的に、この試験台を介して、岩塊の採動-浸透流-構造面の作用下で深部岩塊の安定性研究を完成する。
【0036】
ステップS106では、岩塊物理大規模モデルの、試験圧力での試験フィードバック情報を取得する。試験フィードバック情報が応力ひずみ情報とモデル変形情報を含み、応力ひずみ情報は異なる受力条件における岩塊の応力ひずみデータを提供することができ、モデル変形情報は試験圧力を受けるときの岩塊のモデル変形情報を直感的に体現することができ、意思決定に便利である。
【0037】
具体的には、岩塊物理大規模モデルにおけるクラック領域にひずみゲージ8を取り付け、応力オンライン監視システムにアクセスすることにより、ひずみゲージ8で収集されているデータを介して岩塊物理大規模モデルの応力ひずみ情報を取得することができる。同時に、VIC-3Dひずみ測定システムを介して、岩塊物理大規模モデル全体のモデル変形情報をリアルタイムで記録し、VIC-3Dは非接触フルフィールド動的ひずみ測定システムであり、このシステムを介して岩塊物理大規模モデルのモデル変形情報を3次元展示することができ、比較的直感的である。
【0038】
本願の有益な効果は、以下の通りであり
(1)現場の周囲の岩石の実際のクラック分布状況に基づいて、現場の周囲の岩石の構造面空間情報確率モデルを構築し、岩塊物理大規模モデルを構築する。
(2)3Dプリンターを用いて岩塊の構造面空間情報確率モデルのクラック構造1を印刷し、印刷材料はPVAであり、PVA材料がエタノールに溶解する特性を利用して、クラック構造1を中空型クラックと中実クラックに分ける。同時に、構築されている物理大モデルはクラックの粗さを考慮し、現場の実際の条件により合致する。
(3)大規模物理試験台を構築し、採掘の撹乱、高浸透圧及び非連続構造面などの多方面要素に対して、現場の周囲の岩石が受けた採掘応力、浸透圧などの情報を実測し、この実測データを根拠に大模型に周囲圧、軸圧及び浸透圧を印加し、それによって岩塊物理大規模モデルの多方面の安定性情況に対してシミュレーション試験を行い、得られている試験結果はより科学的なものであり、信頼性が高い。
【0039】
上記実施例を実現するために、本願は岩塊の安定性分析の試験システムも提案する。
【0040】
図5は岩塊の安定性分析の試験システムのモジュール概略図である。
【0041】
図5に示すように、該当システムは、岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得し、裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報に基づいて岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築する、確率モデル構築モジュール11と、構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルのモデル構築情報を決定し、モデル構築情報に基づいて岩塊物理大規模モデルを製造する、物理モデル製造モジュール12と、岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得し、現場フィードバック情報に基づいて岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、試験圧力に基づいて岩塊物理大規模モデルに対して試験する、試験圧力印加モジュール13と、岩塊物理大規模モデルの、試験圧力での試験フィードバック情報を取得する、モデル変形モニタリングモジュール14と、を含む。
【0042】
前述の岩塊の安定性分析の試験方法実施例の説明は、該当実施例の岩塊の安定性分析の試験システムにも適用され、ここではもはや説明しない。
【符号の説明】
【0043】
1 クラック構造
2 岩のような構造
3 フレーム
4 水流入管
5 水流出管
6 水源
7 電気的制御可能なストレスローダ
8 ひずみゲージ
9 基部(ベース)
10 定圧定速ポンプ
11 確率モデル構築モジュール
12 物理モデル製造モジュール
13 試験圧力印加モジュール
14 モデル変形モニタリングモジュール
【要約】
【課題】 岩塊の安定性分析の試験方法及びシステムである。
【解決手段】 該当試験方法は、岩塊の裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報を取得することと、裸構造面映像情報と内部構造面レーダ情報に基づいて岩塊の構造面空間情報確率モデルを構築することと、構造面空間情報確率モデルに基づいて岩塊物理大規模モデルを製造することと、岩塊の、採掘現場の撹乱での現場フィードバック情報を取得することと、現場フィードバック情報に基づいて岩塊物理大規模モデルに対する試験圧力を決定し、試験圧力に基づいて岩塊物理大規模モデルに対して試験し、かつ採掘の撹乱、高浸透圧及び非連続構造面の作用影響を総合的に考慮し、岩体の安定性変化をシミュレーションすることと、岩塊物理大規模モデルの、試験圧力での試験フィードバック情報を取得することと、を含む。本願は、周囲の岩石の現場の実際の状況に合わせる岩塊モデルを構築し、現場の周囲の岩石の安定性状況をリアルに反応させ、それによって石炭採掘に安全保障を提供する。
【選択図】 図1
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図2
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図5