(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20250213BHJP
D06F 58/22 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/22
D06F58/02 Q
(21)【出願番号】P 2021069584
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】宮地 成佳
(72)【発明者】
【氏名】三觜 紳平
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-142267(JP,A)
【文献】特開2019-150362(JP,A)
【文献】特開昭57-034890(JP,A)
【文献】特開2016-203067(JP,A)
【文献】特開2011-033214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02-58/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記外槽に接続された循環路と、
前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、
前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、
前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、
前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、
前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベル
の最大値が所定値より小さいことに基づいて、異常発生の有無を判定する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記外槽に接続された循環路と、
前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、
前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、
前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、
前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、
前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベルであって、前記捕獲面を一拭きするための移動に前記ワイパが要した時間が所定時間より長いときの前記音圧レベルの波形を取得したことに基づいて、異常が発生したと判定する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御部は、
異常が発生したと判定した場合に、報知部に報知を行わせる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記外槽に接続された循環路と、
前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、
前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、
前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、
前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、
前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、
制御部と、
前記アクチュエータに供給される電流を検出する電流検出部
と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベルに基づいて、異常発生の有無を判定し、
前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記電流検出部により検出した電流の大きさに基づいて、異常発生の有無を判定し、
異常が発生したと判定した場合、前記音圧レベルに基づく異常発生の有無の判定結果と前記電流の大きさに基づく異常発生の有無の判定結果の組み合わせに応じた報知を、報知部に行わせる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、外槽内の空気を取出口から循環路内に取り出して戻し口から外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、循環路内に設けられ、循環路内の空気を加熱する加熱部と、循環路内において加熱部よりも取出口側に配置され、循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタと、縦面部に沿って移動可能なワイパと、ワイパを移動させるアクチュエータとを備える洗濯乾燥機が、以下の特許文献1に記載されている。この洗濯乾燥機では、乾燥フィルタの縦面部に付着した異物を、縦面部に沿って移動するワイパにより拭き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の洗濯洗濯機では、ブラシ部分等、ワイパの縦面部との接触部分が摩耗したり、アクチュエータの不具合等によりワイパが正常に動作しなくなったりした場合に、縦面部に付着した異物を良好に拭き取ることができなくなる、ということが懸念される。
【0005】
本願発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ワイパが正常に機能していない状態のまま放置されることを抑制でき、信頼性を高められ得る洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記外槽に接続された循環路と、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベルの最大値が所定値より小さいことに基づいて、異常発生の有無を判定する。
【0007】
ワイパに関連する異常が発生すると、アクチュエータが移動動作を行っているときにマイクロフォンにより収集された音の音圧レベルの状態が正常時とは異なるものとなり得る。
【0008】
上記の構成によれば、洗濯乾燥機は、アクチュエータが移動動作を行っているときにマイクロフォンによりワイパの周辺の音を収集し、収集した音の音圧レベルに基づいて、異常発生の有無を判定するので、ワイパに関連する異常を検出して、たとえば、ユーザに報知することができる。したがって、ワイパが正常に機能していない状態のまま放置されることを抑制することでき、洗濯乾燥機の信頼性を高めることができる。
【0010】
ワイパに関連する異常が発生した場合には、ワイパの動作時に周辺に生じる音の音圧レベルが正常時と比べて小さくなり得る。
【0011】
上記の構成によれば、制御部は、音圧レベルの最大値が所定値より小さいことに基づいて異常が発生したと判定するので、ワイパに関連する異常の発生を精度よく検出でき、洗濯乾燥機の信頼性をさらに向上することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記外槽に接続された循環路と、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、制御部と、を備える。前記制御部は、前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベルであって、前記捕獲面を一拭きするための移動に前記ワイパが要した時間が所定時間より長いときの前記音圧レベルの波形を取得したことに基づいて、異常が発生したと判定する。
【0013】
上記の構成によれば、ワイパが正常時と比べて移動しづらくなり得るような異常の発生を検出することができるので、洗濯乾燥機の信頼性をさらに向上することができる。
【0017】
第1または第2の態様に係る洗濯乾燥機において、前記制御部は、異常が発生したと判定した場合に、報知部に報知を行わせるような構成とされ得る。
【0018】
上記の構成によれば、ユーザが異常の発生を把握することができ、ワイパのメンテナンスを行うなどの対応を図ることができる。
【0019】
本発明の第3の態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記外槽に接続された循環路と、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、前記循環路内における、前記加熱部よりも空気の流れの上流に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、前記ワイパの周辺で発生する音を収集するマイクロフォンと、制御部と、前記アクチュエータに供給される電流を検出する電流検出部と、を備える。前記制御部は、前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記マイクロフォンにより収集された音の音圧レベルに基づいて、異常発生の有無を判定し、前記アクチュエータが前記移動動作を行っているときに前記電流検出部により検出した電流の大きさに基づいて、異常発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合、前記音圧レベルに基づく異常発生の有無の判定結果と前記電流の大きさに基づく異常発生の有無の判定結果の組み合わせに応じた報知を、報知部に行わせる。
【0020】
異常の発生により、動作時にワイパに過度な負荷が加わると、アクチュエータへの供給電流が大きくなり得る。
上記の構成によれば、制御部は、アクチュエータが移動動作を行っているときに電流検出部により検出した電流の大きさに基づいて、異常発生の有無を判定するので、ワイパに関連する異常の発生を精度よく検出でき、洗濯乾燥機の信頼性をさらに向上することができる。
さらに、上記の構成によれば、ユーザは、より細かな異常内容の把握が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワイパが正常に機能していない状態のまま放置されることを抑制でき、信頼性を高められ得る洗濯乾燥機を提供できる。
【0022】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、洗濯機乾燥機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、フィルタ部材、給水部材およびワイパ機構が装着された第1ダクトの右側面断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、フィルタ部材、給水部材およびワイパ機構が装着された第1ダクトの背面断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、ワイパ動作工程における制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)ないし(d)は、それぞれ、実施の形態に係る、正常時、ワイパの摩耗時、乾燥フィルタの目詰まり時およびアクチュエータのロック時における、アクチュエータによりワイパを駆動した際に得られるA特性音圧レベルの波形を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る、マイクロフォンにより収集した音により異常発生の有無を判定する異常判定処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る、電流検出部により検出された電流により異常発生の有無を判定する異常判定処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変更例1に係る、異常報知のための制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。
【0026】
本実施の形態の洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0027】
筐体10内には、外槽20が、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。ドラム23は、本発明の洗濯槽に相当する。
【0028】
外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0029】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0030】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0031】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41は、排水ホース42に接続される。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内から排水を行う排水部40を構成する。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水ホース42を通じて機外に排出される。排水ホース42の途中には、リント等の異物を捕獲する排水フィルタ43を配置される。
【0032】
筐体10内の上部には、給水部50が配置される。給水部50は、第1給水バルブ51と、第2給水バルブ52と、第1給水ホース53と、第2給水ホース54とを含む。第1給水バルブ51と第2給水バルブ52は、2連電磁バルブによって構成される。第1給水ホース53は、一端が第1給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の後面に設けられた注水口20cに接続される。第2給水ホース54は、一端が第2給水バルブ52に接続され、他端が給水部材150に接続される。
【0033】
第1給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が第1給水ホース53を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。第2給水バルブ52が開放されると、水道水が第2給水ホース54を流れて給水部材150に供給される。
【0034】
筐体10内の上部には、ドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環路110と、送風ファン120と、ヒータ130と、フィルタ部材140と、給水部材150と、ワイパ機構160と、を備える。
【0035】
循環路110は、空気が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路110は、第1ダクト111と、ファンケーシング112と、第2ダクト113と、第1接続ホース114と、第2接続ホース115とを含む。第1ダクト111は、一端が外槽20の背面に設けられた排気口20dに接続され、他端が第1接続ホース114を介してファンケーシング112の吸込口に接続される。第2ダクト113は、一端が第2接続ホース115を介してファンケーシング112の吐出口に接続され、他端が外槽20の開口部20aの近傍に設けられた吸気口20eに接続される。
【0036】
送風ファン120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に配置されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風ファン120は、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる。排気口20dを通じて外槽20内から排出された空気は、第1ダクト111、ファンケーシング112、第2ダクト113の順に循環路110内を流れ、吸気口20eを通じて外槽20内に戻る。送風ファン120は、本発明の送風部に相当する。
【0037】
ヒータ130は、たとえば、半導体ヒータであり、第2ダクト113内に配置される。ヒータ130は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる空気を加熱する。ヒータ130は、本発明の加熱部に相当する。
【0038】
フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160は、第1ダクト111に配置される。フィルタ部材140は、第1ダクト111内において、空気の流路を塞ぐように配置される。フィルタ部材140は、循環路110内において、ヒータ130よりも空気の流れの上流に位置する。フィルタ部材140は、後述の乾燥フィルタを含み、乾燥フィルタにより外槽20から排出された空気に含まれるリント等の異物を捕獲する。
【0039】
給水部材150とワイパ機構160は、乾燥フィルタを清掃するためものである。給水部材150は、フィルタ部材140の上部に配置され、給水部50から供給された水を乾燥フィルタに流し、乾燥フィルタに付着した異物を流す。ワイパ機構160は、後述のワイパを含み、ワイパにより乾燥フィルタに付着した異物を拭き取る。
【0040】
図2は、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160が装着された第1ダクト111の右側面断面図である。
図3は、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160が装着された第1ダクト111の背面断面図である。
図2は、
図3のB-B´線で切断された図であり、
図3は、
図2のA―A´線で切断された図である。なお、
図2には、便宜上、マイクロフォン60が二点鎖線により示されている。
【0041】
図2および
図3を参照し、第1ダクト111、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160の詳細な構成について説明する。
【0042】
第1ダクト111は、上下方向に延びる所定形状の上流ダクト部111aと、上流ダクト部111aの上部から前方に張り出す所定形状の下流ダクト部111bとを含む。さらに、第1ダクト111は、上流ダクト部111aの前面下部から前方に突出する円筒状の流入口111cと、下流ダクト部111bの上面から上方に突出する円筒状の流出口111dとを含む。流入口111cが外槽20の排気口20dに接続され、流出口111dが第1接続ホース114に接続される。
【0043】
流入口111cを通じて上流ダクト部111a内に流入した空気は、上流ダクト部111a内を上方へ流れた後、向きを変えて前方へ向かい、下流ダクト部111b内に流入し、さらに向きを変えて下流ダクト部111b内を上方へ向かい、流出口111dから第1接続ホース114へ排出される。
【0044】
第1ダクト111内では、フィルタ部材140が、前方への空気の流れに直交するよう、上下方向に立てられた状態で上流ダクト部111aと下流ダクト部111bとの境界部分に配置される。下流ダクト部111bの入口全体がフィルタ部材140により塞がれる。フィルタ部材140は、下流ダクト部111bの入口の下壁面と上壁面に設けられた固定部111eに、ネジ等により固定される。
【0045】
フィルタ部材140は、フレーム141と、乾燥フィルタ142とを含む。フレーム141は、樹脂材料により方形の板状に形成され、方形状の開口部141aを有する。開口部141aは、上下に延びる2つの格子141bにより区切られて3つの開口領域に分かれる。乾燥フィルタ142は、ステンレス等の金属材料により方形の板状に形成され、上流ダクト部111a側からフレーム141の開口部141aを覆うように、フレーム141に装着され、固定される。乾燥フィルタ142は、少なくとも開口部141aを覆う領域にメッシュが形成されており、上流ダクト部111a側に向く後面が、リント等の異物を捕獲する捕獲面142aとなる。
【0046】
給水部材150は、フレーム141の上流ダクト部111a側の面における上端であって乾燥フィルタ142より上の位置に設けられる。給水部材150は、細長い方形の管であり、フレーム141の左右方向の幅全体に亘って設けられ、さらに、第1ダクト111から外に突出する。給水部材150には、第1ダクト111から突出した部分に接続口151が設けられ、接続口151に第2給水ホース54が接続される。給水部材150の下面には、複数の給水孔152が、左右方向に並ぶように、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに寄せられて形成される。
【0047】
ワイパ機構160は、ワイパ170と、アクチュエータ180と、伝達機構190とを含む。
【0048】
ワイパ170は、棒状のヘッド171と、ヘッド171から延び出したアーム172とを含む。ヘッド171には、前面に、多数の毛により構成されたブラシ173が設けられる。ブラシ173は、ヘッド171の長手方向にヘッド171と同じ長さを有し、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに接触する。アーム172の先端部には、回動軸174が設けられる。第1ダクト111の後面には、アーム172の後方に凹部111fが設けられる。回動軸174は、凹部111fの底面を貫通し、第1ダクト111の外に突出する。回動軸174は、凹部111fの底面に設けられた図示しない軸受に回動可能に支持される。なお、ワイパ170は、ブラシ173に替えて、ゴムなどの弾性材料からなるブレードを備えてもよい。
【0049】
ワイパ170は、
図3の実線で示す待機位置と
図3の二点鎖線で示す拭取位置との間で回動可能である。ワイパ170は、待機位置では鉛直方向に立てられた状態で乾燥フィルタ142の水平方向の端部に位置し、拭取位置では水平方向よりやや下方に傾くように倒れた状態で乾燥フィルタ142の鉛直方向の端部に位置する。
【0050】
アクチュエータ180は、たとえば、電動モータである。アクチュエータ180は、第1ダクト111の外において、第1ダクト111に設けられた取付板111gの前面に取り付けられ、その出力軸181が取付板111gを貫通して、取付板111gの後面側に突出する。通電によりアクチュエータ180が動作すると、出力軸181が回転する。
【0051】
伝達機構190は、入力ギア191と、出力ギア192と、2つの中継ギア193,194と、2つの支軸195,196とを含み、アクチュエータ180の出力軸181の回転をワイパ170の回動軸174に伝達する。入力ギア191の直径は2つの中継ギア193,194の直径より大きく、2つの中継ギア193,194の直径は、出力ギア192の直径よりも大きい。入力ギア191は回動軸174に固定され、出力ギア192は出力軸181に固定される。2つの中継ギア193,194は、入力ギア191と出力ギア192との間に設けられる。2つの中継ギア193,194は、互いに噛み合うとともに、一方の中継ギア193が入力ギア191と噛み合い、他方の中継ギア194が出力ギア192と噛み合う。2つの支軸195,196は、取付板111gに取り付けられ、2つの中継ギア193,194を回転可能に支持する。
【0052】
ワイパ170が待機位置にある状態で、アクチュエータ180の出力軸181が正回転すると、その回転が伝達機構190により伝達され、ワイパ170が拭取位置に向かって回動する。即ち、ワイパ170が往路を捕獲面142aに沿って移動する。ワイパ170が拭取位置に達すると、第1ダクト111内に設けられたストッパ111hがワイパ170に当接する。これにより、ワイパ170は拭取位置を越えて回動しない。ワイパ170が拭取位置にある状態で、アクチュエータ180の出力軸181が逆回転すると、その回転が伝達機構190により伝達され、ワイパ170が待機位置に向かって回動する。即ち、ワイパ170が復路を捕獲面142aに沿って移動する。ワイパ170が待機位置に達すると、第1ダクト111内に設けられたストッパ111iがワイパ170に当接する。これにより、ワイパ170は待機位置を越えて回動しない。
【0053】
なお、アクチュエータ180は、ソレノイドであってもよい。この場合、ソレノイドのプランジャの直線運動を、伝達機構を用いて回転運動に変換し回動軸174に伝達することにより、ワイパ170を回動できる。
【0054】
第1ダクト111の外側面には、フィルタ部材140とワイパ170の近傍にマイクロフォン60(以下、「マイク60」と略する)が配置される。マイク60は、ワイパ170の周辺で発生する音を収集する。
【0055】
図4は、洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。
【0056】
洗濯乾燥機1は、上述した構成に加え、制御部201と、記憶部202と、操作部203と、表示部204と、電流検出部205と、モータ駆動部206と、給水駆動部207と、排水駆動部208と、ファン駆動部209と、ヒータ駆動部210と、アクチュエータ駆動部211とを備える。
【0057】
操作部203は、機器に対する電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、洗濯乾燥運転等に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンとを含む。操作部203は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部201に出力する。
【0058】
表示部204は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部201からの制御信号に従って、選択された運転コースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。表示部204は、本発明の報知部に相当する。
【0059】
電流検出部205は、アクチュエータ180に供給される電流を検出し、電流の大きさに応じた電流の波形信号を制御部201に出力する。
【0060】
マイク60は、収集した音の大きさに応じた音圧レベルの波形信号を制御部201に出力する。
【0061】
モータ駆動部206は、制御部201からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部206は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部201により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0062】
給水駆動部207は、制御部201からの制御信号に従って、第1給水バルブ51および第2給水バルブ52を駆動する。排水駆動部208は、制御部201からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0063】
ファン駆動部209は、制御部201からの制御信号に従って、送風ファン120のファンモータ122を駆動する。ヒータ駆動部210は、制御部201からの制御信号に従って、ヒータ130を駆動する。アクチュエータ駆動部211は、制御部201からの制御信号に従って、アクチュエータ180を駆動する。
【0064】
記憶部202は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部202には、各種運転コースの洗濯乾燥運転等を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部202には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0065】
制御部201は、CPU等を含み、操作部203、電流検出部205、マイク60等からの各信号に基づいて、記憶部202に記憶されたプログラムに従い、表示部204、モータ駆動部206、給水駆動部207、排水駆動部208、ファン駆動部209、ヒータ駆動部210、アクチュエータ駆動部211等を制御する。
【0066】
さて、洗濯乾燥機1では、ユーザによる操作部203の操作に基づき、各種運転コースの洗濯乾燥運転、洗濯運転または乾燥運転が行われる。洗濯乾燥運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程および乾燥工程が順次行われる。洗濯運転では、洗い工程から最終脱水工程までが行われ、乾燥工程が行われない。乾燥運転では、乾燥工程のみが行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0067】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた所定水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0068】
すすぎ工程では、外槽20内に所定水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0069】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0070】
乾燥工程では、送風ファン120の動作により外槽20と循環路110との間で空気が循環し、ヒータ130の動作により外槽20に導入される空気が加熱される。さらに、ドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。加熱された空気がタンブリングする洗濯物に当たり、洗濯物が乾燥する。洗濯物から出たリント等の異物が、空気とともに循環路110に取り込まれる。異物は、空気が乾燥フィルタ142を通過する際に乾燥フィルタ142の捕獲面142aで捕獲される。これにより、乾燥フィルタ142より下流側に異物が流れにくくなり、下流にあるヒータ130に異物が付着しにくくなる。なお、循環路110には、送風ファン120とヒータ130との間に、図示しないヒートポンプ式の冷却器が配置されており、洗濯物から水分を奪った空気が冷却器との熱交換により除湿される。
【0071】
洗濯乾燥運転および乾燥運転では、乾燥工程が終了すると、乾燥フィルタ142から異物を除去するためのフィルタ清掃運転が行われる。フィルタ清掃運転では、給水工程とワイパ動作工程とが順番に行われる。
【0072】
給水工程では、所定の給水時間、給水部材150から給水が行われる。乾燥フィルタ142の捕獲面142aに水が流れて捕獲面142aに付着した異物が水で流される。異物は水とともに循環路110から外槽20へと流れ、さらに排水ホース42へと流れて排水フィルタ43で回収される。
【0073】
次に、ワイパ動作工程では、所定のワイパ動作時間、ワイパ170が待機位置と拭取位置との間で往復移動する。ワイパ170のブラシ173が捕獲面142aを擦りながら移動することにより、捕獲面142aに付着した異物が削ぎ落とされる。
【0074】
フィルタ清掃運転では、最後に、ワイパ170が拭取位置に移動され、給水部材150から給水が行われてワイパ170のブラシ173に付着した異物が水で流される。ワイパ170で削ぎ剥がされた分を含む異物が、水とともに循環路110から外槽20へと流れ、さらに排水ホース42へと流れて排水フィルタ43で回収される。
【0075】
なお、フィルタ清掃運転は、乾燥工程の前に行われてもよい。
【0076】
ところで、洗濯乾燥機1が使用され続けることにより、ワイパ170のブラシ173が摩耗した場合、ブラシ173が捕獲面142aに接触しにくくなり、ワイパ170の動作により乾燥フィルタ142から十分に異物を除去できなくなることが想定される。また、日頃からタオル等のリントやほこり等が出やすい洗濯物が大量に乾燥されるような場合、フィルタ清掃運転で十分に乾燥フィルタ142から異物を除去しきれず、やがて乾燥フィルタ142が酷く目詰まりした状態になることが想定される。さらに、酷い目詰まりや硬い異物の噛み込みなどによりワイパ170と捕獲面142aとの間の生じる摩擦が非常に大きくなった場合や伝達機構190に破損等が生じた場合、アクチュエータ180がロックしてしまうことが想定される。
【0077】
このようなワイパ170に関連する異常が生じた場合、アクチュエータ180によりワイパ170を動作させているときにワイパ170の周辺で発生する音が、正常時とは違ったものになり得る。そこで、本実施の形態の洗濯乾燥機1は、ワイパ170を動作させているときにワイパ170の周辺で発生する音をマイク60により収集し、収集した音の音圧レベルに基づいて異常の有無を判定する。これにより、洗濯乾燥機1のワイパ170が異常状態のまま放置されることを防止することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態の洗濯乾燥機1は、ワイパ170を動作させるためにアクチュエータ180に供給される電流を電流検出部205により検出し、検出した電流の大きさに基づいて異常の有無を判定する。これにより、ワイパ170が異常状態のまま放置されることを、より一層防止することができる。
【0079】
図5は、ワイパ動作工程における制御処理を示すフローチャートである。
【0080】
図5を参照して、ワイパ動作工程の処理が開始されると、制御部201は、マイク60による集音と電流検出部205による電流の検出を開始する(S101)。即ち、制御部201は、マイク60から出力された音圧レベルの波形信号と電流検出部205から出力された電流の波形信号の取得を開始する。取得された音圧レベルの波形信号は、制御部201によってA特性音圧レベルの波形信号に変換された後に記憶部202に記憶される。また、取得された電流の波形信号は、記憶部202に記憶される。
【0081】
次に、制御部201は、往路通電を行う(S102)。往路通電は、待機位置にあるワイパ170を拭取位置へ移動させるためのアクチュエータ180への通電である。ワイパ170が、乾燥フィルタ142の捕獲面142aをブラシ173で擦りつつ拭取位置へ移動する。往路通電は、往路通電時間t1が経過するまで行われる。往路通電時間t1は、ワイパ170が拭取位置へ移動するのに要する時間よりも十分に長い時間とされる。このため、ワイパ170は、拭取位置に到達した後、直ちには待機位置へ戻る動作を行わずに停止状態となる。よって、往路通電時間t1の中に、ワイパ170が往路を移動する往路移動時間α1と、ワイパ170が拭取位置で待機する往路待機時間β1とが含まれる。
【0082】
往路通電時間t1が経過すると(S103:YES)、制御部201は、往路通電を停止し、直ちに復路通電を行う(S104)。復路通電は、拭取位置にあるワイパ170を待機位置へ移動させるためのアクチュエータ180への通電である。ワイパ170が、捕獲面142aをブラシ173で擦りつつ待機位置へ移動する。復路通電は、復路通電時間t2が経過するまで行われる。復路通電時間t2は、たとえば、往路通電時間t1と同じ時間とされ、ワイパ170が待機位置へ移動するのに要する時間よりも十分に長い時間となる。このため、ワイパ170は、待機位置に到達した後、直ちには拭取位置へ向かう動作を行わずに停止状態となる。よって、復路通電時間t2の中に、ワイパ170が復路を移動する復路移動時間α2と、ワイパ170が待機位置で待機する復路待機時間β2とが含まれる。
【0083】
復路通電時間t2が経過すると(S105:YES)、制御部201は、復路通電を停止し、ワイパ動作時間が経過していなければ(S106:NO)、再び、往路通電を行う(S102)。こうして、制御部201は、ワイパ動作時間が経過するまで、往路通電と復路通電とを繰り返す(S102~S105)。これにより、ワイパ170が待機位置と拭取位置との間で往復移動を繰り返す。
【0084】
制御部201は、ワイパ動作時間が経過すると(S106:YES)アクチュエータ180への通電を終了する(S107)。さらに、制御部201は、マイク60による集音と電流検出部205による電流の検出を終了する(S108)。こうして、ワイパ動作工程の処理が終了する。
【0085】
図6(a)ないし(d)は、それぞれ、正常時、ワイパ170の摩耗時、乾燥フィルタ142の目詰まり時およびアクチュエータ180のロック時における、アクチュエータ180によりワイパ170を駆動した際に得られるA特性音圧レベルの波形を模式的に示す図である。
【0086】
図5の制御処理において、ワイパ170を往復移動させるために、アクチュエータ180への往路通電と復路通電とが繰り返されたとき、
図6(a)に示すような、A特性音圧レベルの波形が制御部201に取得される。
【0087】
上述したように、ワイパ170は、移動を完了した後に拭取位置および待機位置で一時的に待機する。このため、往路のA特性音圧レベルの波形と復路のA特性音圧レベルの波形には、ワイパ170が移動しているときの高い値を維持する期間とワイパ170が待機しているときの低い値を維持する期間とが出現する。A特性音圧レベルが高い値を維持する期間は、往路移動時間α1および復路移動時間α2に相当する。A特性音圧レベルが低い値を維持する期間は、往路待機時間β1および復路待機時間β2に相当する。
【0088】
さらに、ワイパ170は、ブラシ173が乾燥フィルタ142の捕獲面142aを擦りながら拭取位置または待機位置へ移動する際、捕獲面142aを僅かに押圧する。このように、ワイパ170が捕獲面142aを押圧しながら移動すると、押圧により乾燥フィルタ142が撓む。そして、ワイパ170が捕獲面142aの端の方、即ち拭取位置または待機位置の近くまで移動すると、撓んでいた乾燥フィルタ142が跳ね返るように元に戻り、この際に跳ね返り音が発生する。これにより、
図6(a)に示すように、往路のA特性音圧レベルの波形と復路のA特性音圧レベルの波形に、乾燥フィルタ142の跳ね返り音によるピーク値が出現する。ピーク値は、往路および復路でのA特性音圧レベルの最大値、即ち往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxとなる。
【0089】
ワイパ170のブラシ173が摩耗した場合、ブラシ173が捕獲面142aに接触しにくくなるため、ワイパ170による捕獲面142aの押圧が弱くなる。これにより、乾燥フィルタ142の撓みが小さくなるので、跳ね返りが少なくなり、跳ね返り音が小さくなる。よって、
図6(b)に示すように、A特性音圧レベルの波形に出現するピーク値が小さくなって、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxが小さくなる。
【0090】
乾燥フィルタ142が酷く目詰まりした状態となった場合、異物で重くなることなどにより、乾燥フィルタ142の跳ね返りが弱くなり、跳ね返り音が小さくなる。よって、
図6(c)に示すように、A特性音圧レベルの波形に出現するピーク値が小さくなって、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxが小さくなる。さらに、多くの異物が間に介在することで、ワイパ170と捕獲面142aとの間の生じる摩擦が大きくなるので、ワイパ170が移動しにくくなる。よって、
図6(c)に示すように、往路移動時間α1および復路移動時間α2が長くなり、往路待機時間β1および復路待機時間β2が短くなる。
【0091】
アクチュエータ180がロックした場合、ワイパ170が動かなくなる。このため、
図6(d)に示すように、A特性音圧レベルの波形は、ピーク値が出現しなくなるとともに全体として低い値となる。なお、動こうとする伝達機構190のギア音などが生じるため、A特性音圧レベルの波形は、アクチュエータ180への通電が行われていないときと比べて大きな値となりやすい。
【0092】
図7は、マイク60により収集した音により異常発生の有無を判定する異常判定処理を示すフローチャートである。
【0093】
図7を参照して、制御部201は、回数n1、n2、n3をリセットする(S201)。回数n1は、往路最大値L1maxまたは復路最大値L2maxが第1閾値Laより小さくなった回数である。回数n2は、往路最大値L1maxまたは復路最大値L2maxが第2閾値Lbより小さくなった回数である。回数n3は、往路待機時間β1または復路待機時間β2が第3閾値taより短くなった回数である。回数n1、n2、n3は、それぞれに対応して制御部201に備えられたカウンタによりカウントされる。
【0094】
制御部201は、
図5のS101~S105のアクチュエータ180への往路通電と復路通電を1回終える度に、以下のS202~S212の処理を実行する。
【0095】
まず、制御部201は、記憶部202に記憶された往路でのA特性音圧レベルの波形から往路最大値L1maxと往路待機時間β1を取得する(S202)。さらに、制御部201は、記憶部202に記憶された復路でのA特性音圧レベルの波形から復路最大値L2maxと復路待機時間β2を取得する(S203)。
【0096】
次に、制御部201は、往路最大値L1maxが第1閾値La以上であり、且つ復路最大値L2maxが第1閾値La以上であるか否かを判定する(S204)。さらに、制御部201は、往路最大値L1maxが第2閾値Lb以上であり、且つ復路最大値L2maxが第2閾値Lb以上であるか否かを判定する(S205)。第2閾値Lbは、第1閾値Laより大きい値である。さらに、制御部201は、往路待機時間β1が第3閾値ta以上であり、且つ復路待機時間β2が第3閾値ta以上であるか否かを判定する(S206)。
【0097】
図6(a)のように、ワイパ170が正常に機能している場合、S204~S206の全てにおいてYESの判定が行われる。よって、制御部201は、ワイパ動作時間の経過によりアクチュエータ180への通電が終了するまで(S213:NO)、S202~S206の処理を繰り返す。そして、制御部201は、アクチュエータ180への通電が終了すると(S213:YES)、異常判定処理を終了する。
【0098】
たとえば、
図6(b)のように、ワイパ170に摩耗が生じた場合、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxの少なくとも一方が、第2閾値Lbより小さくなり得る。
【0099】
たとえば、
図6(c)のように、乾燥フィルタ142に酷い目詰まりが生じた場合、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxの少なくとも一方が、第2閾値Lbより小さくなり得る。さらに、往路待機時間β1および復路待機時間β2の少なくとも一方が第3閾値taより短くなり得る。
【0100】
たとえば、
図6(d)のように、アクチュエータ180がロックした場合、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxの少なくとも一方が、第1閾値Laより小さくなり得る。
【0101】
制御部201は、S204において、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxの少なくとも一方が第1閾値Laより小さいと判定すると(S204:NO)、回数n1のカウントを1つ増やした後、回数n1が規定回数na、たとえば2回に達したか否かを判定する(S207)。回数n1が規定回数naに達した場合(S207:YES)、アクチュエータ180のロックによりワイパ170が動かず、ワイパ170が全く機能していない可能性が高い。よって、この場合、制御部201は、重度な異常が発生したと判定し、異常処理として、アクチュエータ180への通電を終了することによりワイパ動作工程を中止する(S208)。さらに、制御部201は、異常処理として、ワイパ機構160の重度な異常を知らせる第1報知を表示部204に行わせる(S209)。たとえば、第1報知に対応するエラーコードが表示部204に含まれるディスプレイに表示される。あるいは、表示部204に含まれるエラー報知用の発光素子が、第1報知に対応する色で発光する。なお、第1報知が、ブザー等の音出力部からの音により行われてもよい。
【0102】
制御部201は、S205において、往路最大値L1maxおよび復路最大値L2maxの少なくとも一方が第2閾値Lbより小さいと判定すると(S205:NO)、回数n2のカウントを1つ増やした後、回数n2が規定回数nb、たとえば2回に達したか否かを判定する(S210)。回数n2が規定回数nbに達した場合(S210:YES)、ワイパ170の摩耗や乾燥フィルタ142の目詰まりにより、ワイパ170が適切に機能していない可能性が高い。よって、この場合,制御部201は、軽度な異常が発生したと判定し、異常処理として、ワイパ機構160の軽度な異常を知らせる第2報知を表示部204に行わせる(S211)。たとえば、第2報知に対応するエラーコードが表示部204に含まれるディスプレイに表示される。あるいは、表示部204に含まれるエラー報知用の発光素子が、第2報知に対応する色で発光する。なお、第2報知が、ブザー等の音出力部からの音により行われてもよい。
【0103】
制御部201は、S206において、往路待機時間β1および復路待機時間β2の少なくとも一方が第3閾値taより短いと判定すると(S206:NO)、回数n3のカウントを1つ増やした後、回数n3が規定回数nc、たとえば2回に達したか否かを判定する(S212)。回数n3が規定回数ncに達した場合(S212:YES)、乾燥フィルタ142の目詰まりにより、ワイパ170が適切に機能していない可能性が高い。よって、この場合、制御部201は、軽度な異常が発生したと判定し、第2報知を表示部204に行わせる(S211)。
【0104】
往路待機時間β1または復路待機時間β2が第3閾値taより短い場合、往路移動時間α1または復路移動時間α2が、異常発生の判定基準となる所定時間よりも長くなる。この場合、往路移動時間α1または復路移動時間α2が所定時間よりも長いときのA特性音圧レベルの波形を、制御部201が取得したことになる。よって、S206およびS212のように、制御部201が、往路待機時間β1または復路待機時間β2が第3閾値taより短いことに基づいて異常が発生したと判定することは、制御部201が、往路移動時間α1または復路移動時間α2が所定時間よりも長くなるA特性音圧レベルの波形を取得したことに基づいて、異常が発生したと判定することの一例と言える。なお、他の例として、制御部201が、S202およびS203において、往路移動時間α1および復路移動時間α2を取得し、S206において、往路移動時間α1が所定時間以下であり、且つ復路移動時間α2が所定時間以下であるか否かを判定し、往路移動時間α1および復路移動時間α2の少なくとも一方が、所定時間より大きいことに基づいて、異常が発生したと判定するようにしてもよい。
【0105】
図8は、電流検出部205により検出された電流により異常発生の有無を判定する異常判定処理を示すフローチャートである。
【0106】
図8を参照して、制御部201は、回数n4をリセットする(S301)。回数n4は、往路電流実効値C1または復路電流実効値C2が第4閾値Caより小さくなった回数である。回数n4は、当該回数n4に対応して制御部201に備えられたカウンタによりカウントされる。
【0107】
制御部201は、
図5のS101~S105のアクチュエータ180への往路通電と復路通電を1回終える度に、以下のS302~S307の処理を実行する。
【0108】
まず、制御部201は、記憶部202に記憶された電流の波形から往路電流実効値C1を算出する(S302)。さらに、制御部201は、記憶部202に記憶された電流の波形から復路電流実効値C2を算出する(S303)。往路電流実効値C1および復路電流実効値C2は、往路通電および復路通電を行ったときにアクチュエータ180に供給される交流電流の実効値である。
【0109】
次に、制御部201は、往路電流実効値C1が第4閾値Ca以下であり、且つ復路電流実効値C2が第4閾値Ca以下であるか否かを判定する(S304)。ワイパ170が正常に機能している場合、S304においてYESの判定が行われる。よって、制御部201は、ワイパ動作時間の経過によりアクチュエータ180への通電が終了するまで(S308:NO)、S302~S304の処理を繰り返す。そして、制御部201は、アクチュエータ180への通電が終了すると(S308:YES)、異常判定処理を終了する。
【0110】
ワイパ170に過大な負荷が生じてアクチュエータ180がロックしたり、ロックに近い状態となったりした場合、アクチュエータ180に供給される電流が過度に大きくなり、往路電流実効値C1および復路電流実効値C2の少なくとも一方が、第4閾値Caより大きくなり得る。
【0111】
制御部201は、S304において、往路電流実効値C1および復路電流実効値C2の少なくとも一方が、第4閾値Caより大きいと判定すると(S304:NO)、回数n4のカウントを1つ増やした後、回数n4が規定回数nd、たとえば2回に達したか否かを判定する(S305)。回数n4が規定回数ndに達した場合(S305:YES)、制御部201は、重度な異常が発生したと判定し、アクチュエータ180への通電を終了することによりワイパ動作工程を中止する(S306)。さらに、制御部201は、表示部204に第1報知を行わせる(S307)。
【0112】
なお、上記の
図8の異常判定処理において、さらに、往路電流実効値C1および復路電流実効値C2が、第4閾値Caだけでなく、第4閾値Caより小さい第5閾値Cbとも比較されるようにしてもよい。この場合、制御部201は、往路電流実効値C1が第5閾値Cb以下であり、且つ復路電流実効値C2が第5閾値Cb以下であるか否かを判定し、往路電流実効値C1および復路電流実効値C2の少なくとも一方が第5閾値Cbより大きいことに基づいて、表示部204に第1報知を行わせる。
【0113】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、アクチュエータ180がワイパ170を移動させるための移動動作を行っているときにマイク60により収集した音の音圧レベル、より詳しくは音圧レベルの波形の状態に基づいて、異常発生の有無を判定するので、ワイパ170に関連する異常が発生した場合に、そのまま放置することなく、異常報知を行うなどの適切な対処を行うことができ、信頼性を高めることができる。
【0114】
さらに、ワイパ170に関連する異常が発生した場合には、ワイパ170の動作時に周辺に生じる音の音圧レベルが正常時と比べて小さくなり得る。本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、音圧レベル、具体的にはA特性音圧レベルの最大値が所定値、具体的には第1閾値Laや第2閾値Lbより小さいことに基づいて異常が発生したと判定するので、ワイパ170に関連する異常の発生を良好に検出でき、適切な対処が可能となる。
【0115】
さらに、本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、乾燥フィルタ142の捕獲面142aを一拭きするための移動にワイパ170が要した時間が所定時間より長いときの音圧レベルの波形を取得したことに基づいて、異常が発生したと判定する。これにより、洗濯乾燥機1は、ワイパ170が正常時と比べて移動しづらくなり得るような異常の発生を検出でき、適切な対処が可能となる。
【0116】
さらに、本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、アクチュエータ180がワイパ170を移動させるための移動動作を行っているときに電流検出部205により検出された電流の大きさに基づいて、異常発生の有無を判定する。これにより、洗濯乾燥機1は、ワイパ170に関連する異常の発生を、一層正確に検出することができる。
【0117】
さらに、本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、ワイパ170に関連する異常が発生したと判定した場合に、異常処理として、表示部204による第1報知や第2報知を行うので、ユーザが異常の発生を把握することができ、ワイパ170のメンテナンスを行うなどの対応を図ることができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0119】
<変更例1>
変更例1では、異常が発生したと判定された場合、音圧レベルに基づく異常発生の有無の判定結果と電流の大きさに基づく異常発生の有無の判定結果の組み合わせに応じた報知が表示部204により行われる。これにより、ユーザは、より細かな異常内容の把握が可能となる。
【0120】
本変更例では、
図7の異常判定処理において、S209の第1報知およびS211の第2報知が表示部204により行われない。さらに、
図8の異常判定処理において、S307の第1報知が表示部204により行われない。
【0121】
図9は、変更例1に係る、異常報知のための制御処理を示すフローチャートである。制御部201は、
図5のS101~S105のアクチュエータ180への往路通電と復路通電が1回終わるたびに、この回の
図7の異常判定処理において異常が発生したことが検出されたか否か、即ち、マイク60により収集した音の音圧レベルに基づいて異常の発生を検出したか否かを判定する(S401)。音圧レベルに基づいて異常の発生を検出した場合(S401:YES)、制御部201は、この回に、
図8の異常判定処理において異常が発生したことを検出したか否か、即ち、電流検出部205により検出した電流の大きさに基づいて異常の発生を検出したか否かを判定する(S402)。
【0122】
電流の大きさに基づいて異常の発生を検出した場合(S402:YES)、即ち、音圧レベルと電流の双方により異常の発生を検出した場合、アクチュエータ180がロックされているかあるいはロックに近い状態はある可能性が高いと考えられる。よって、この場合、制御部201は、ロック等のアクチュエータ180側に係る異常が発生したことを示す報知を表示部204に行わせる(S403)。たとえば、アクチュエータ180側に係る異常に対応するエラーコード表示がディスプレイに行われたり、アクチュエータ180側に係る異常に対応する色で、異常報知用の発光素子が点灯されたりする。
【0123】
一方、電流の大きさに基づいて異常の発生を検出していない場合(S402:NO)、即ち、音圧レベルのみにより異常の発生を検出した場合、ワイパ170のブラシ173が摩耗しているなど、ワイパ170側に係る異常が発生している可能性が高いと考えられる。よって、この場合、制御部201は、ワイパ170側に係る異常が発生したことを示す報知を表示部204に行わせる(S404)。たとえば、ワイパ170側に係る異常に対応するエラーコード表示がディスプレイに行われたり、ワイパ170側に係る異常に対応する色で、異常報知用の発光素子が点灯されたりする。
【0124】
制御部201は、S401において、音圧レベルに基づいて異常の発生を検出していない場合(S401:NO)、この回に、電流の大きさに基づいて異常の発生を検出したか否かを判定する(S405)。電流の大きさに基づいて異常の発生を検出した場合(S405:YES)、即ち、電流のみにより異常の発生を検出した場合、音圧レベルでの異常が認められないことから少なくともワイパ170は動いておりアクチュエータ180はロックしていないと考えられる。そして、音圧レベルでの異常が認められないものの電流での異常が認められることを考えると、ワイパ170側に異常の発生している可能性が高いと考えられる。よって、この場合、制御部201は、ワイパ170側に係る異常が発生したことを示す報知を表示部204に行わせる(S404)。
【0125】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、
図7の異常判定処理において、マイク60により収集された音のA特性音圧レベルに基づいて、異常発生の有無を判定した。しかしながら、A特性音圧レベルに変換される前、即ち、周波数により重み付けがなされていない音圧レベルに基づいて、異常発生の有無を判定してもよい。
【0126】
さらに、上記実施の形態では、
図7のマイク60により収集した音により異常発生の有無を判定する異常判定処理と並行して、
図8の電流検出部205により検出した電流により異常発生の有無を判定する異常判定処理が実行された。しかしながら、
図7の異常判定処理のみが実行され、
図8の異常判定処理が実行されないようにしてもよい。
【0127】
さらに、上記実施の形態では、洗濯乾燥機1は、横軸型のドラム23を備えるドラム式の洗濯乾燥機であった。しかしながら、本発明は、内部にパルセータを有する縦軸型の洗濯脱水槽を備える、いわゆる縦型の洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0128】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(洗濯槽)
60 マイクロフォン
110 循環路
120 送風ファン(送風部)
130 ヒータ(加熱部)
142 乾燥フィルタ
142a 捕獲面
170 ワイパ
180 アクチュエータ
201 制御部
204 表示部(報知部)
205 電流検出部