(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
A01G 18/22 20180101AFI20250213BHJP
A01G 18/69 20180101ALI20250213BHJP
【FI】
A01G18/22
A01G18/69
(21)【出願番号】P 2022063847
(22)【出願日】2022-04-07
(62)【分割の表示】P 2020083970の分割
【原出願日】2020-05-12
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】520164585
【氏名又は名称】株式会社楽々
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】駒場 裕美
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041027(JP,A)
【文献】特許第6651047(JP,B1)
【文献】特開平09-028182(JP,A)
【文献】特開昭60-129375(JP,A)
【文献】米国特許第05934012(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 18/22
A01G 18/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小室と、
前記小室内に設置され、菌床の材料となる基材が投入される格納容器と、
前記格納容器の外面に沿って設けられ、当該格納容器及び
当該格納容器内の基材を加温する加温手段と、
前記小室内を加温する、前記加温手段とは別のヒータを備えた、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
菌床の材料となる基材が投入される格納容器と、
前記格納容器及び前記格納容器内の基材を加温する加温手段と、
前記加温手段とは別のヒータを備え、
前記ヒータは、格納容器からの温度漏れを防止するものである、
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
菌床の材料となる基材が投入される格納容器と、
前記格納容器及び前記格納容器内の基材を加温する加温手段と、
前記加温手段とは別のヒータを備え、
前記ヒータは、格納容器が設置された雰囲気を加温して当該格納容器からの温度漏れを防止するものである、
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
温度むらを解消するサーキュレータを備えた、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムにおいて、
サーキュレータは、格納容器が設置された雰囲気の温度むらを解消するものである、
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
室外環境情報を取得する室外情報取得手段を備え、
ヒータは、前記室外情報取得手段で取得した室外環境情報に基づいて制御される、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵菌床生成ミキサー(菌床製造装置)が設置された室内の環境調節方法及び環境調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
茸類の栽培方法の一つとして、菌床栽培が知られている。菌床栽培では、主として木質基材を用いた培地に茸類の種菌が接種された菌床が用いられる。従来、菌床製造装置として、格納容器内の基材を撹拌手段で撹拌しながら嫌気性発酵や好気性発酵を促した培地に、同格納容器内で茸類の種菌を接種して発酵菌床を製造する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
前記菌床製造装置は、格納容器外に設置された温度センサでの計測値に基づき、ヒータ等に付与する電圧・電力を制御することによって、格納容器内の温度を培地の嫌気性発酵や好気性発酵に好ましい温度帯(40℃~90℃、好ましくは50℃~80℃の範囲)に維持できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の菌床製造装置のように格納容器内の温度を制御できるようにしても、季節ごとに完成する菌床の出来が異なり、菌床品質の安定化を図るのが難しかった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、菌床品質の安定化に資する室内環境調節方法と、その方法を実現することのできる室内環境調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件発明者は鋭意研究を重ね、次のことを見出し、本願の室内環境調節方法及び室内環境調節システムを発明するに至った。
(1)輻射熱によって室温が低いときほど格納容器の温度が下がりやすいこと
(2)輻射熱によって室外の気温が低いときほど室温が下がりやすいこと
(3)格納容器内の温度は計測する箇所によって大きく異なること
(4)温度センサは格納容器の一部の温度を測定しているにすぎないこと
(5)格納容器内の温度が低いと微生物叢が変化し菌床の出来に影響がでること
【0008】
[室内環境調節方法]
本発明の室内環境調節方法は、菌床製造装置が設置された小室の環境を調節する方法であって、小室の外部の室外環境情報を取得し、取得した室外環境情報に基づいて小室内の室内環境の調節を行う方法である。
【0009】
前記室内環境調節方法では、室外環境情報として、将来の室外環境情報(たとえば、菌床製造装置での培地の製造開始時点の室外環境情報又は製造開始から製造完了までの一又は二以上の時点の室外環境情報)を取得し、その室外環境情報に基づいて小室内の室内環境の調節を行うこともできる。
【0010】
前記室内環境調節方法では、室外環境情報として、小室外の温度、湿度及び天気の一又は二以上を取得することができる。
【0011】
[室内環境調節システム]
本発明の室内環境調節システムは、菌床製造装置が設置された小室の環境を調節するシステムであって、小室内の室内環境を調節する室内環境調節手段と、小室外の室外環境情報を取得する室外情報取得手段と、室外情報取得手段で取得した室外環境情報に基づいて室内環境調節手段を制御する制御手段を備えたものである。
【0012】
前記室内環境調節システムでは、室外情報取得手段には、将来の室外環境情報(たとえば、菌床製造装置での培地の製造開始時点の室外環境情報又は製造開始から製造完了までの一又は二以上の時点の室外環境情報)を取得できるものを用いることができる。
【0013】
前記室内環境調節システムでは、室外情報取得手段には、室外環境情報として、少なくとも小室外の温度と湿度の双方又はいずれか一方を取得できるものを用いることができる。
【0014】
前記室内環境調節システムでは、室外情報取得手段と制御手段とは通信可能に接続しておくこともできる。この場合、制御手段によって、室外情報取得手段から送信される室外環境情報を取得し、その室外環境情報に基づいて室内環境調節手段を制御できるようにすることができる。
【0015】
前記室内環境調節システムでは、制御手段を手動操作可能な操作部が表示されるモニタを備えたものとすることができる。この場合、モニタには、少なくとも、室外環境情報を表示する室外情報表示部と、小室内の室内環境情報を表示する室内情報表示部と、菌床製造装置に関する装置情報を表示する装置情報表示部の一又は二以上が表示されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の室内環境調節方法及び室内環境調節システムによれば、小室外の室外環境情報に基づいて小室の温度を調節することで、菌床の良し悪しに影響する格納容器内(槽内)の温度を適温に維持することができるため、菌床品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の室内環境調節システムの一例を示す説明図。
【
図2】
図1に示す室内環境調節システムを左側から見た場合の説明図。
【
図3】
図1に示す室内環境調節システムを平面側から見た場合の説明図。
【
図5】モニタに表示される操作画面の一例を示す説明図。
【
図6】(a)は室内環境調節手段が自動制御される場合の一例を示すフローチャート、(b)は手動入力ののち室内環境調節手段が制御される場合の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(室内環境調節方法の実施形態)
本発明の室内環境調節方法の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の室内環境調節方法は、
図1及び
図2に示すような菌床製造装置10が設置された小室20の環境調節方法であって、小室20の外部の環境に関する情報(以下「室外環境情報」という)を取得し、取得した室外環境情報に基づいて小室20内の空気環境(以下「室内環境」という)の調節を行う方法である。
【0019】
前記室外環境情報には、たとえば、気温や湿度のほか、気圧、天気、風速、風向などの情報が含まれる。また、室外環境情報には、取得時点の情報のみならず、将来(数時間後)の予測情報も含まれる。たとえば、菌床製造の開始時間における室外環境情報(温度や湿度、天気など)が含まれる。情報は一つ(たとえば、温度情報)でもよいが、二つ以上(たとえば、温度情報と天気情報)を取得することもできる。少なくとも温度と湿度の双方又はいずれか一方が取得されるようにするのが好ましい。
【0020】
前記室外環境情報の取得は、たとえば、温度センサや湿度センサ、気圧センサ、風速計、風量計、風向計などの各種機器を用いて取得するほか、テレビやラジオ、気象データ配信サービス等を通じて提供される天気予報などから取得することができる。たとえば、室外環境情報として、数時間後の室外の気温や湿度、天気などを取得する場合には、テレビやラジオ、気象データ配信サービス等を通じて提供される天気予報を利用することができる。
【0021】
前記室内環境には、温度や湿度のほか、気圧、風速、風向などが含まれる。室内環境の調節は、小室20の室内環境を調節する室内環境調節手段30を制御することによって行われる。室内環境調節手段30の制御は、手動操作なし(自動)で行われるようにすることも、手動で行えるようにすることもできる。
【0022】
このように、室外環境情報を取得し、取得した室外環境情報に基づいて室内環境の調節を行うことで、寒い季節でも格納容器11内の温度に影響を与える小室20内の環境を一定に保つことができ、菌床品質の安定化を図ることができる。
【0023】
(室内環境調節システムの実施形態)
次に、本発明の室内環境調節システムの実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の室内環境調節システムは、菌床製造装置10が設置された小室20の環境調節システムである。
【0024】
一例として
図1及び
図2に示す室内環境調節システムは、菌床を製造する菌床製造装置10と、菌床製造装置10が設置された小室20と、小室20内の室内環境を調節する室内環境調節手段30と、小室20外の室外環境情報を取得する室外情報取得手段40と、室内環境調節手段30を室外情報取得手段40で取得した室外環境情報に基づいて制御する制御手段50を備えている。
【0025】
前記菌床製造装置10は、菌床を製造する装置である。この菌床製造装置10では、湿潤状態の基材(コットンハルやピートパルプ、コーンコブ、稲わら、落花生殻、籾殻、麦殻等)を撹拌しながら嫌気性発酵や好気性発酵を促し、発酵菌床を製造することができる。この菌床製造装置10は、ヒラタケをはじめ、シイタケ、マイタケ、シメジなど、菌根菌以外の茸類(腐朽菌)の栽培に用いる菌床の製造に用いることができる。
【0026】
一例として
図1及び
図2に示す菌床製造装置10は、格納容器11と、加温手段12と、撹拌手段13と、送風手段14と、温度センサ15と、菌床製造装置10を構成する各種装置を制御するコントローラ16を備えている。格納容器11はラック17に設置されている。
【0027】
前記格納容器11は、発酵菌床を生成するための槽である。
図1及び
図2に示すように、この実施形態の格納容器11は、基材が投入される槽本体11aと、槽本体11aに被せられる上蓋11bを備えている。この実施形態の槽本体11aは、長手方向両端面が側壁で閉塞された上面開口の断面視U字状の容器であり、上面開口部が前記上蓋11bで開閉できるように構成されている。この実施形態の格納容器11は熱伝導率の高いステンレス製である。
【0028】
槽本体11aには完成した菌床を外部に排出するための菌床排出口11c(
図2)が設けられている。菌床排出口11cは開閉扉で開閉できるようにしてある。上蓋11bには槽本体11aに基材(材料)を投入する材料投入口11d、図示しない加水手段から供給される水(温水を含む。以下同じ。)を槽本体11aに導入する給水口11e、送風手段14から供給される冷風を槽本体11a内に導入する給気口11f、槽本体11aを通過した冷風を槽本体11a側に排出する排気口11g及び種菌を投入するための種菌投入口11hが設けられている。
【0029】
前記加温手段12は、槽本体11a及び槽本体11a内の基材等を加温するための手段である。この実施形態では、加温手段12として面状ヒータを用いている。面状ヒータは槽本体11aの外面に沿って設けてある。面状ヒータは、槽本体11aの前面に設けることもできるが、一部にのみ設けることもできる。加温手段12には、面状ヒータ以外のものを用いることもできる。なお、図示は省略しているが、厳冬期などの気温が低い時期には、菌床製造装置10の外周に断熱シートを設置することもできる。
【0030】
前記撹拌手段13は、格納容器11内の基材等を撹拌するための手段である。一例として
図1及び
図2に示す撹拌手段13は、格納容器11の長手方向に沿って配置された回転軸13aと、当該回転軸13aに保持された複数枚の撹拌用羽根13bと、回転軸13aを駆動する駆動モータ13Mと、駆動モータ13Mによる動力を回転軸13aに伝える伝達機構13cを備えている。駆動モータ13Mの電源を入れると回転軸13a及び撹拌用羽根13bが回転し、その回転力によって槽本体11a内の基材等が撹拌される。
【0031】
前記送風手段14(
図2)は、基材等の冷却に用いる冷却空気を槽本体11a内に供給するための手段である。この実施形態では、送風手段14としてスポットクーラーを用いている。送風手段14で生成された冷風は、給気口11fから槽本体11a内へ導入され、槽本体11a内を通過して排気口11gから排出される。
【0032】
前記送風手段14は一例であり、送風手段14はこれ以外であってもよい。たとえば、小室20内の空気を冷却する冷房手段と、冷却された空気を槽本体11a内に送るブロアを備えたものを用いることもできる。この場合、上蓋11bの給気口11fに冷気供給ラインを接続し、冷却した空気を当該冷気供給ラインから槽本体11a内に供給できるようにすることができる。なお、培地への雑菌の侵入や汚染を確実に防止するため、ブロアにはHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などのフィルタを設けるのが好ましい。
【0033】
前記温度センサ15は格納容器11内の温度を検知するための手段である。温度センサ15には、熱電対や測温抵抗体(たとえば、シース形白金測温抵抗体)、サーミスタなどを用いることができる。この実施形態では、温度センサ15は上蓋11bの内面側であって、給気口11fと排気口11gの間に設けられている。温度センサ15の設置個所はこれ以外であってもよい。温度センサ15に代えて格納容器11内の水蒸気の流量を検知する水蒸気センサを設けることもできる。
【0034】
温度センサ15での検知情報は、加温手段12による加温(熱伝導)が適切に行われているか否かを判断する際に用いることができる。たとえば、温度センサ15での検知温度が目標温度(たとえば、100℃)よりも低い場合には、加温手段12による熱伝導が適切に行われていないと判断される。この場合、出力が大きくなるように加温手段12が制御されるようにすることもできる。
【0035】
一方、温度センサ15での検知温度が目標温度(たとえば、100℃)よりも低い場合には、加温手段12による熱伝導が適切に行われており、水蒸気となった水分が槽本体11aの底部に偏在していた基材中に万遍なく行きわたっていると判断される。
【0036】
前記コントローラ16は、菌床製造装置10を構成する各種装置を制御するための手段である。この実施形態のコントローラ16は、菌床製造装置10の清潔区21側の正面部分に設けられている。コントローラ16によって、動作条件(時間や温度など)を設定することができる。
【0037】
図示は省略しているが、この実施形態の菌床製造装置10は、管理者が利用する管理者端末(たとえば、管理者が利用するPCやタブレットなど)と通信可能に接続され、菌床製造装置10の動作条件の設定を遠隔操作できるほか、菌床製造装置10の稼働状況や製造工程の進捗などを遠隔から確認できるように構成されている。
【0038】
前記小室20は菌床製造装置10を設置するための外部から仕切られた室である。一例として
図3に示す小室20は、内部が清潔区21と不潔区22に区画されている。この実施形態では、清潔区21と不潔区22に跨る位置に菌床製造装置10及び送風手段14が設置されている。
【0039】
清潔区21側の外壁21aには、作業員が清潔区21に出入りするための作業員出入り口21bが設けられている。この作業員出入り口21bは作業員出入り扉21cで開閉できるようにしてある。不潔区22側の外壁22aにも人が出入り可能な開口部22bが設けられている。この開口部22bは取り外し可能なパネル材22cで閉塞されている。
【0040】
前記清潔区21には、当該小室20内の室内環境を調節する室内環境調節手段30が設けられている。前述のとおり、室内環境には、温度や湿度のほか、気圧、風速、風向などが含まれる。
【0041】
室内環境調節手段30には温度調節可能な冷暖房装置のほか、格納容器11からの温度漏れを防止するヒータ(たとえば、シート状やパネル状のもの)や、室内の温度むらを解消するサーキュレータ、換気扇、陽圧ダンパーなど、室内環境を調節可能な種々の手段が含まれる。室内環境調節手段30には、これらを一又は二以上用いることもできる。ヒータは槽本体11aの外側に、サーキュレータは天井側に設置することができる。なお、図面には、室内環境調節手段30の一例として冷暖房装置のみを示している。
【0042】
この実施形態では、
図1及び
図3に示すように、小室20の不潔区22側の外側に複数本の支持具23を突設し、当該支持具23に埃が舞うのを防止する埃除けカーテン24を吊り下げてある。埃除けカーテン24にはビニール製のものなどを用いることができる。
【0043】
前記室外情報取得手段40は、小室20外の室外環境情報を取得するための手段である。前述のとおり、室外環境情報には、気温や湿度のほか、気圧、天気、風速、風向などの情報が含まれる。また、室外環境情報には、取得時点の情報のみならず、将来(数時間後や数時間後からの一定時間)の予測情報も含まれる。たとえば、菌床製造の開始時間における室外環境情報(温度や湿度、天気など)が含まれる。
【0044】
室外環境情報は、温度センサや湿度センサ、気圧センサ、風速計、風量計、風向計などの各種機器を用いて取得するほか、テレビやラジオ、気象データ配信サービス等を通じて提供される天気予報などから取得することもできる。たとえば、室外環境情報として、数時間後の室外の気温や湿度、天気などを取得する場合には、気象データ配信サービス等を通じて提供される天気予報を利用することができる。
【0045】
前記制御手段50は、室内環境調節手段30を室外情報取得手段40で取得した室外環境情報に基づいて制御するための手段である。制御手段50には、たとえば、
図4に示すような、制御部51や演算部52、送受信部53、記憶部54、操作部55などを備えたものを用いることができる。制御手段50は内蔵されたものでも、外付けのものでもよい。外付けとする場合はPC(たとえばモバイルPC)やタブレット、スマートフォンなどを用いることができる。いずれの場合も、タッチパネル式のモニタ56を備えたものが好ましい。
【0046】
モニタ56に表示される操作画面は、たとえば、
図5に示すような条件入力部56aや室外情報表示部56b、室内情報表示部56c、装置情報表示部56d、予測情報表示部56eを含むものとすることができる。操作画面にはこれらのすべてが含まれている必要はなく、いずれか一又は二以上が含まれていればよい。
【0047】
前記条件入力部56aは製造開始時間などの条件を入力する部分、室外情報表示部56bは現時点(画面操作時)の室外環境情報を表示する部分、室内情報表示部56cは現時点の小室20内の室内環境情報を表示する部分、装置情報表示部56dは現時点の菌床製造装置10に関する装置情報を表示する部分、予測情報表示部56eは予測情報を表示する部分である。
【0048】
図5に示す例では、条件入力部56aに条件として製造開始時間と天気、気温、湿度の入力欄が、室外情報表示部56bに室外環境情報として現時点の天気と気温、湿度が、室内情報表示部56cに室内環境情報として現時点の室内の気温と湿度が、装置情報表示部56dに装置情報として現時点の格納容器11内の温度と運転状態が、予測情報表示部56eに予測情報として現時点から数時間後までの時間ごとの天気と気温が表示されるようにしてある。条件入力部56aや各表示部56b~56eに表示される情報は一例であり、これら以外の情報であってもよい。
【0049】
制御手段50は、室外情報取得手段40から送信される室外環境情報を受信して自動的に動作するようにすることも、室外環境情報を手動で入力して動作するようにすることもできる。手動操作による入力は前記操作部55で行うことができる。この場合、たとえば、条件入力部56aに製造開始予定時刻や、室外情報取得手段40で取得した製造開始予定時刻の天気や気温、湿度等を入力すればよい。
【0050】
室内環境調節手段30を制御手段50によって自動制御する場合、たとえば、
図6(a)に示すように、室外情報取得手段40で室外環境情報を取得したのち(S101)、室外情報取得手段40から当該室外環境情報が送信され(S102)、当該室外環境情報を送受信部で受信し(S103)、当該室外環境情報に基づいて、小室20内の温度が予め設定された適正温度となるための条件が算出され(S104)、算出された制御条件で室内環境調節手段30が制御される(S105)ようにすることができる。
【0051】
たとえば、菌床の製造開始時間が6時間後であり、小室20内の温度として予め設定された適正温度が25℃である場合、室外情報取得手段40から送信される6時間後の室外の温度情報が送受信部53で受信され、その温度情報に基づいて、6時間後(好ましくは6時間後から仕上がり(製造完了)予定時刻まで)の小室20内の温度が25℃となるための条件が演算部52で算出され、算出された条件で室内環境調節手段30が制御されるようにすることができる。
【0052】
一方、室内環境調節手段30を制御手段50によって手動制御する場合、たとえば、
図6(b)に示すように、室外情報取得手段40で室外環境情報を取得したのち(S201)、室外情報取得手段40で得られた室外環境情報を手動入力し(S202)、入力が完了すると、当該設定条件に基づいて、小室20内の温度が予め設定された適正温度となるための条件が算出され(S203)、算出された制御条件で室内環境調節手段30が制御される(S204)ようにすることができる。
【0053】
たとえば、菌床の製造開始時間が6時間後であり、小室20内の温度として予め設定された適正温度が25℃である場合、室外情報取得手段40で得られた6時間後の室外の温度情報をモニタ56に表示される操作画面上で設定する。設定が完了すると、6時間後(好ましくは6時間後から仕上がり予定時刻まで)の小室20内の温度が25℃となるための条件が演算部52で算出され、算出された条件で室内環境調節手段30が制御されるようにすることができる。
【0054】
前記制御手段50の動作は一例であり、これ以外の方法で動作するようにすることもできる。たとえば、モニタ56に表示される操作画面に仕上がり時間入力部(図示しない)を設け、その仕上がり時間入力部に希望する仕上がり時間を入力すると、室外情報表示部56bや室内情報表示部56c、予測情報表示部56e等に表示された情報から、製造開始時間から仕上がり時間までの室内環境が、予め設定された適正温度となるための制御条件が算出され、その算出された制御条件で室内環境調節手段30が制御されるようにすることができる。
【0055】
ここで説明した実施形態は一例であり、本発明の室内環境調節システムはこれ以外の構成とすることもできる。また、この実施形態で説明した各構成はすべてが必須の構成というわけでなく、不要な構成は適宜省略することができる。
【0056】
なお、本願の室内環境調節方法及びこの室内環境調節システムは、あくまでも小室20内の環境を調節することにより、格納容器11内の環境(温度)を維持するものであり、格納容器11内の温度等を直接制御するものとは位置づけを異にするものである。
【符号の説明】
【0057】
10 発酵菌床生成ミキサー(菌床製造装置)
11 格納容器
11a 槽本体
11b 上蓋
11c 菌床排出口
11d 材料投入口
11e 給水口
11f 給気口
11g 排気口
11h 種菌投入口
12 加温手段
13 撹拌手段
13a 回転軸
13b 撹拌用羽根
13c 伝達機構
13M 駆動モータ
14 送風手段
15 温度センサ
16 コントローラ
17 ラック
20 小室
21 清潔区
21a (清潔区の)外壁
21b 作業員出入り口
21c 作業員出入り扉
22 不潔区
22a (不潔区の)外壁
22b 開口部
22c パネル材
23 支持具
24 埃除けカーテン
30 室内環境調節手段
40 室外情報取得手段
50 制御手段
51 制御部
52 演算部
53 送受信部
54 記憶部
55 操作部
56 モニタ
56a 条件入力部
56b 室外情報表示部
56c 室内情報表示部
56d 装置情報表示部
56e 予測情報表示部