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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】飛行装置
(51)【国際特許分類】
   B64U 20/96 20230101AFI20250213BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20250213BHJP
   B64U 20/98 20230101ALI20250213BHJP
   B64U 50/11 20230101ALI20250213BHJP
   B64U 50/33 20230101ALI20250213BHJP
【FI】
B64U20/96
B64U10/13
B64U20/98
B64U50/11
B64U50/33
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024228435
(22)【出願日】2024-12-25
(62)【分割の表示】P 2024204003の分割
【原出願日】2024-11-22
【審査請求日】2024-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011199
【氏名又は名称】株式会社石川エナジーリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(72)【発明者】
【氏名】石川 満
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直己
(72)【発明者】
【氏名】中 陽一
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-182499(JP,A)
【文献】特開2016-175489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 20/96
B64U 10/13
B64U 20/98
B64U 50/11
B64U 50/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、ロータと、エンジンと、冷却部と、導風部と、を具備し、
前記冷却部は、前記エンジンと熱交換するエンジン側熱交換部と、外部との熱交換を行う外部側熱交換部と、前記エンジン側熱交換部と前記外部側熱交換部との間で熱輸送媒体を輸送する媒体輸送部と、を有し、
前記導風部は、前記ロータの上方側と前記外部側熱交換部との間に配設され、且つ、上面視において前記ロータの回転方向に沿って伸びるように構成されると共に、前記外部側熱交換部の側に第1開口部を有し、前記ロータの側に第2開口部を有する風洞であることを特徴とする飛行装置。
【請求項2】
前記外部側熱交換部の側面は、前記ロータの回転面に対して交差する面に配設されることを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【請求項3】
前記外部側熱交換部の側面は、前記ロータの回転面に対して略直交する面に配設されることを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【請求項4】
前記外部側熱交換部は、前記機体に備えられることを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【請求項5】
前記外部側熱交換部は、前記ロータよりも、前記ロータが回転することで発生する空気の流れの上流側に配設されることを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置に関し、特に、エンジンによりロータを駆動する飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無人で空中を飛行することが可能な飛行装置が知られている。このような飛行装置は、垂直軸回りに回転するロータの推力で、空中を飛行することを可能としている。
【0003】
かかる飛行装置の適用分野としては、例えば、輸送分野、測量分野および撮影分野等が挙げられる。このような分野に飛行装置を適用する場合は、測量機器や撮影機器を飛行装置に備え付ける。飛行装置をかかる分野に適用させることで、人が立ち入れない地域に飛行装置を飛行させ、そのような地域の輸送、撮影および測量を行うことができる。このような飛行装置に関する発明は、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0004】
一般的な飛行装置では、飛行装置に搭載された蓄電池から供給される電力により、上記したロータは回転する。しかしながら、蓄電池による電力の供給ではエネルギの供給量が必ずしも十分ではないため、長時間に渡る連続飛行を実現するために、エンジンを搭載した飛行装置も出現している。このような飛行装置では、エンジンの駆動力で発電機を回転させ、発電機で発電された電力でロータを回転駆動する。かかる構成の飛行装置は、動力源からロータにエネルギが供給される経路に、エンジンと発電機とが直列的に接続されることから、シリーズ型ハイブリッドドローンとも称される。このような飛行装置を用いて撮影や測量を行うことで、広範囲な撮影や測量を行うことができる。エンジンが搭載された飛行装置は、例えば特許文献3に記載されている。また、エンジンの駆動力により機械的にメインロータを回転させ、モータによりサブロータを回転させるパラレル型ハイブリッドドローンも徐々に登場している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-51545号公報
【文献】特開2014-240242号公報
【文献】特開2011-251678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従前の飛行装置においては、エンジンの冷却機構において改善の余地があった。
【0007】
具体的には、飛行装置にエンジンが搭載される場合、エンジンを冷却するための冷却機構が必要とされる。かかる冷却機構としては、冷却効率の高さから、水冷式の冷却機構を備える場合が多い。係る水冷機構は、外気と熱交換するラジエタを備える。
【0008】
一方、飛行装置は空中で浮遊して移動することから、飛行装置におけるラジエタの理想的な配置位置を検討することは簡単ではなかった。例えば、ロータの直下にラジエタを配設すると、ロータが回転することで発生する空気の流れがラジエタにより阻害されるため、ロータの回転により得られる推力が減少してしまう恐れがあった。また、ロータが回転することにより発生する気流は旋回流であるところ、この旋回流がラジエタに対して傾斜して進入すると、ラジエタにおける熱交換の効率が低下する恐れがあった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、飛行中に於いて水冷式のエンジンを効果的に冷却できる飛行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の飛行装置は、機体と、ロータと、エンジンと、冷却部と、導風部と、を具備し、前記冷却部は、前記エンジンと熱交換するエンジン側熱交換部と、外部との熱交換を行う外部側熱交換部と、前記エンジン側熱交換部と前記外部側熱交換部との間で熱輸送媒体を輸送する媒体輸送部と、を有し、前記導風部は、前記ロータの上方側と前記外部側熱交換部との間に配設され、且つ、上面視において前記ロータの回転方向に沿って伸びるように構成されると共に、前記外部側熱交換部の側に第1開口部を有し、前記ロータの側に第2開口部を有する風洞であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飛行中に於いて水冷式のエンジンを効果的に冷却できる飛行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る飛行装置を示す上面図である。
図2】本発明の実施形態に係る飛行装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る飛行装置を別の角度から示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る飛行装置を示す側面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る飛行装置の導風部を示す斜視図である。
図5B】本発明の実施形態に係る飛行装置の導風部を示す側面図および下面図である。
図6】本発明の実施形態に係る飛行装置の接続構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る飛行装置の冷却部の接続構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して本形態の飛行装置の構成を説明する。以下の説明では、同一の構成を有する部位には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。尚、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いるが、これらの各方向は説明の便宜のためである。また、飛行装置10は、ドローンとも称され、詳細にはハイブリッドドローンとも称される。更に、以下の説明において、前方とは、飛行装置10の進行方向前側であり、後方とは、飛行装置10の進行方向後側である。更に、以下の説明では、機体19から離れる側を外側と称し、機体19に近づく側を内側と称する場合もある。
【0014】
図1は、飛行装置10を示す上面図である。図2は、飛行装置10を示す斜視図である。図3は、飛行装置10を別の角度から示す斜視図である。図4は、飛行装置10を示す側面図である。
【0015】
飛行装置10は、機体19と、ロータ14と、エンジン20と、冷却部11と、導風部15と、を具備する。
【0016】
具体的には、飛行装置10は、エンジン20を搭載し、エンジン20が運転されることで発生するエネルギにより飛行するエンジン搭載型ドローンである。飛行装置10としては、シリーズハイブリッドドローンまたはパラレルハイブリッドドローンを採用できる。シリーズハイブリッドドローンは、エンジン20により後述する発電機21を駆動し、発電機21から給電を受けた後述するモータ25が、後述するロータ14を回転させる。パラレルハイブリッドドローンは、モータ25によりロータ14を回転させる電気的駆動系とは別に、エンジン20により機械的に別のロータ14を回転させる機械的駆動系を有する。
【0017】
機体19は、飛行装置10を構成するエンジン20等の機器を支える本体であり、合成樹脂、金属またはこれらの複合材から成る。ここでは、機体19は、パイプ形状の部材を枠状に組み上げることで構成される。上方から飛行装置10を見た場合、機体19の外縁は、略8角形を呈する。
【0018】
ロータ14は、回転することにより機体19が浮遊するための推力を発生する。ロータ14は、第1ロータ141および第2ロータ142を有する。第1ロータ141は、機体19の左方側に配置される。第2ロータ142は、機体19の右側に配置される。第1ロータ141および第2ロータ142は、例えば、エンジン20により機械的に回転駆動されるロータである。ロータ14としては、エンジン20により駆動される発電機またはバッテリにより給電されるモータにより回転するものでも良い。本実施形態では、第1ロータ141の回転範囲を第1回転範囲281と称し、第2ロータ142の回転範囲を第2回転範囲282と称する。
【0019】
エンジン20は、第1ロータ141および第2ロータ142が回転するための動力を発生させる。エンジン20は機体19に内蔵される。本実施形態では、エンジン20は、熱交換媒体として水が採用された水冷型エンジンである。
【0020】
機体19からは、周囲に向かって複数のアーム12が伸びている。アーム12は、第1アーム121および第2アーム122を有する。第1アーム121は、機体19から左方に向かって伸びる。第2アーム122は、機体19から右方に向かって伸びる。ここでは図示しないが、アーム12は、機体19から、前側左方、前側右方、後側左方および後側右方に向かって伸びるものを更に備えても良い。また、これらのアーム12の外側端部には、モータにより回転駆動されて回転することで、飛行装置10の空中における位置姿勢を制御するロータが備えられても良い。
【0021】
冷却部11は、エンジン20を冷却する構成機器である。具体的には、冷却部11は水冷式冷却機構であり、水などの熱輸送媒体を循環させることで、機体19に内蔵されたエンジン20と、外部雰囲気とを熱交換する。これにより、飛行時におけるエンジン20の過熱を防止し、飛行装置10を安定的に飛行させることができる。冷却部11の具体構成は、図2以降の図を参照して後述する。
【0022】
外部側熱交換部112は、冷却部11を構成する機器であり、外部雰囲気との熱交換を行うように構成される。外部側熱交換部112は、ラジエタとも称される機器である。外部側熱交換部112は、フィンアンドチューブ式の機構を有する熱交換器である。また、外部側熱交換部112を構成するフィンは、アルミニウム等の鋼板から成り、左右方向に沿って等間隔に複数が配列されている。外部側熱交換部112を構成するチューブは、このフィンを貫くように左右方向に沿って伸びる。また、外部側熱交換部112は、第1回転範囲281の外側に配設されている。よって、第1ロータ141が回転することで発生する空気の流れを、外部側熱交換部112が直接的に阻害することが無い。よって、外部側熱交換部112は、第1ロータ141から発生する推力を阻害する要因にはならない。
【0023】
図2および図3を参照して、外部側熱交換部112は、機体19の、外側を向く面に設置される。具体的には、外部側熱交換部112の側面は、ロータ14の回転面に対して交差する面に配設される。具体的には、外部側熱交換部112の側面は、ロータ14の回転面に対して略直交する面に配設される。このようにすることで、ロータ14と外部側熱交換部112との間に形成される風路における風量を更に増加させることができる。また、外部側熱交換部112の更なる小型化を図ることができる。外部側熱交換部112の上端部および下端部には、パイプを経由して後述するエンジン側熱交換部111と接続するための接続口が備えられる。飛行装置10の飛行時においては、一方の接続口から水が導入され、外部側熱交換部112において熱交換された水は、他方の接続口から外部に導出される。
【0024】
図1を参照して、飛行装置10では前面左方側および前面右方側に、夫々、外部側熱交換部112が配設される。
【0025】
導風部15は、ロータ14と外部側熱交換部112との間に配設される風洞である。導風部15は、外部側熱交換部112に対応して、機体19の前側左方部分および前側右方部分に、夫々配設される。導風部15の幅方向内側の端部は、外部側熱交換部112に接続する。一方、導風部15の幅方向外側端部は、第1回転範囲281および第2回転範囲282の内部に配設される。導風部15がロータ14と外部側熱交換部112との間に配設されることにより、ロータ14が回転することで発生する回転風により、外部側熱交換部112における熱交換を促進できる。
【0026】
上面視において、導風部15は、ロータ14の回転方向に沿って伸びる。具体的には、第1回転範囲281は、上面視において反時計回りに回転する。導風部15は、第1回転範囲281の反時計回りの回転方向に沿って伸びる。詳述すると、導風部15の風洞の向きは、導風部15が配設される部分の第1回転範囲281の外縁の接線に沿う。かかる構成により、第1ロータ141が回転することで発生する気流が、導風部15の内部を良好に通過し、外部側熱交換部112における熱交換を促進できる。係る事項は、右方側に配設された導風部15に関しても同様である。
【0027】
図4を参照して、導風部15および外部側熱交換部112は、第1ロータ141および第1回転範囲281の上方側に配設される。かかる構成により、導風部15および外部側熱交換部112には、第1ロータ141が回転することで発生する吸引風が通過する。第1ロータ141が回転することにより、第1ロータ141の下方側にはダウンウォッシュが発生するところ、係るダウンウォッシュは第1ロータ141の回転に応じた旋回流である。よって、仮に、第1ロータ141の下方に外部側熱交換部112を配設すると、旋回流であるダウンウォッシュが、外部側熱交換部112に吹き付けられ、外部側熱交換部112における熱交換の効率が低下する恐れが有る。一方、本実施形態では、外部側熱交換部112を第1ロータ141の上方側に配設している。換言すると、第1ロータ141が回転することで発生する気流において、外部側熱交換部112は第1ロータ141の上流側である。このことから、第1ロータ141が回転することで発生する吸引風が、外部側熱交換部112を通過する。よって、第1ロータ141が回転することで発生する吸引風が、外部側熱交換部112を通過することで、外部側熱交換部112における熱交換を促進できる。
【0028】
また、本実施形態では、外部側熱交換部112は、機体19に備えられる。具体的には、図1に示した様に、外部側熱交換部112は、エンジン20の外側を向く側面に配設される。重量が大きい外部側熱交換部112を機体19に備えることにより、飛行時において外部側熱交換部112から発生する慣性を低減できる。
【0029】
図5Aは、飛行装置10の導風部15を示す斜視図である。図5Bは、飛行装置10の導風部15を示す側面図および下面図である。
【0030】
図5Aおよび図5Bを参照して、導風部15は、第1開口部151と、第2開口部152と、導風部本体153と、を有する風洞である。
【0031】
第1開口部151は、略矩形状を呈する開口である。第1開口部151は、図1に示した様に、機体19の内部空間を望むように配設される。第1開口部151には、外部側熱交換部112が取り付けられる。
【0032】
第2開口部152は、略矩形状を呈する開口である。第2開口部152は、図4に示した様に、第1ロータ141および第1回転範囲281の上面において、下方に向けて開口する。
【0033】
導風部本体153は、外部側熱交換部112から第1ロータ141の上面に渡って湾曲する風洞である。図1に示した様に、導風部15の導風部本体153は、機体19の側面から、第1回転範囲281の外周部に向かって湾曲する。また、導風部15は、第1回転範囲281の外縁に沿って湾曲する。かかる構成により、第1回転範囲281が回転することにより発生する旋回風を、導風部15の内部に積極的に流し、外部側熱交換部112における熱交換を効果的に行うことができる。また、第1開口部151の直近部分における導風部本体153は、略水平に向かって伸びる。これにより、第1開口部151に取り付けられる外部側熱交換部112の面に対して、略直交する流れを形成できる。更に、第2開口部152の直近部分の導風部本体153は、略垂直に伸びる。このようにすることで、導風部本体153を経由した空気を、前述した第1ロータ141に対して良好に送風できる。
【0034】
図6は、飛行装置10の接続構成を示すブロック図である。
【0035】
飛行装置10は、演算制御部23と、エンジン20と、発電機21と、バッテリ18と、電力変換部24と、モータ25と、ロータ26と、冷却部11とを主要に有する。ここで、ロータ26は、飛行装置10の空中における位置姿勢を制御するためのものであり、図1等には図示されない。
【0036】
演算制御部23は、CPU、ROM、RAM等を有し、ここでは図示しない各種センサやコントローラからの入力に基づいて、飛行装置10を構成する各機器の挙動を制御する。また、演算制御部23は、各種センサからの入力に基づいて、各ロータ26の回転数を制御するフライトコントローラも含む。
【0037】
エンジン20は、演算制御部23からの入力信号に基づいて動作し、飛行装置10が飛行するためのエネルギを発生させる。
【0038】
発電機21は、エンジン20の駆動力を用いて電力を発生する装置である。
【0039】
バッテリ18は、発電機21と電力変換部24との間に介装される。バッテリ18は、発電機21により充電される。バッテリ18から放電された電力は、後述する電力変換部24に供給される。
【0040】
電力変換部24は、個々のロータ26に対応して設けられる。電力変換部24としては、発電機21から供給される交流電力を、一旦直流化した後に所定の周波数の交流電力に変換するコンバータおよびインバータを採用できる。更に、電力変換部24としては、バッテリ18から供給される直流電力を所定の周波数に変換するインバータを採用できる。
【0041】
モータ25は、個々のロータ26に対応して設けられる。ロータ26は、電力変換部24から供給される電力により所定の速度で回転する。モータ25は、ロータ26を回転させる。
【0042】
冷却部11は、エンジン20を冷却する構成機器である。冷却部11は、エンジン側熱交換部111と、外部側熱交換部112と、媒体輸送部113とを有する。
【0043】
エンジン側熱交換部111は、エンジン20と熱交換する機器である。エンジン側熱交換部111は、例えば、エンジン側熱交換部111の内部に形成されたピストンの周囲に形成されるウォータージャケットである。
【0044】
外部側熱交換部112は、熱輸送媒体114と外部雰囲気とを熱交換する機器である。外部側熱交換部112の構成は、図1等に説明した通りである。
【0045】
媒体輸送部113は、エンジン側熱交換部111と外部側熱交換部112との間で熱輸送媒体114を輸送する。熱輸送媒体114としては、例えば、水を採用できる。また、媒体輸送部113としては、例えば、塩ビ製のパイプ等が採用される。
【0046】
冷却部11を有することにより、飛行時に於いて発熱するエンジン20を効果的に冷却することができ、飛行時におけるエンジン20の過熱を防止できる。
【0047】
図7は、飛行装置10の冷却部11の接続構成を示すブロック図である。
【0048】
冷却部11は、エンジン側熱交換部111、媒体輸送部113、外部側熱交換部112、ウォーターポンプ17を有し、熱輸送媒体114を循環させる循環経路である。
【0049】
エンジン側熱交換部111、媒体輸送部113および外部側熱交換部112の構成は、前述した通りである。
【0050】
ウォーターポンプ17は、冷却部11を構成する各機器の間で、熱輸送媒体114としての冷却水が流通するための圧力を発生する部位である。
【0051】
飛行装置10の飛行時においてエンジン20が運転される際、ウォーターポンプ17の駆動力により、冷却水は、エンジン側熱交換部111、媒体輸送部113、外部側熱交換部112およびウォーターポンプ17の間で循環する。エンジン側熱交換部111を通過する際に、冷却水はエンジン20と熱交換することで昇温する。また、外部側熱交換部112を通過する際に、外気と熱交換することで冷却水は冷却される。このようにすることで、飛行装置10の飛行時におけるエンジン20の過熱を防止している。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0053】
前述した実施形態から把握できる発明を、その効果と共に下記する。
【0054】
本発明の実施形態にかかる飛行装置は、機体と、ロータと、エンジンと、冷却部と、導風部と、を具備し、前記冷却部は、前記エンジンと熱交換するエンジン側熱交換部と、外部との熱交換を行う外部側熱交換部と、前記エンジン側熱交換部と前記外部側熱交換部との間で熱輸送媒体を輸送する媒体輸送部と、を有し、前記導風部は、前記ロータと前記外部側熱交換部との間に配設されることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、導風部がロータと外部側熱交換部との間に配設されることにより、ロータが回転することで発生する回転風により、外部側熱交換部における熱交換を促進できる。よって、エンジンを効果的に冷却できる。
【0055】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記導風部は、前記ロータの上方側と前記外部側熱交換部との間に配設されることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、ロータが回転することで発生する安定的な吸引力を用いて、外部側熱交換部を通風することができ、外部側熱交換部における熱交換を促進させることができる。
【0056】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記外部側熱交換部の側面は、前記ロータの回転面に対して交差する面に配設されることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、ロータと外部側熱交換部との間に形成される風路における風量を増加させることができる。また、外部側熱交換部の小型化を図ることができる。
【0057】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記外部側熱交換部の側面は、前記ロータの回転面に対して略直交する面に配設されることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、ロータと外部側熱交換部との間に形成される風路における風量を更に増加させることができる。また、外部側熱交換部の更なる小型化を図ることができる。
【0058】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、上面視において、前記導風部は、前記ロータの回転方向に沿って伸びることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、ロータが回転することで発生する吸引力により、導風部の内部における風量を増加させることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記導風部は、前記外部側熱交換部の側に第1開口部を有し、前記ロータの側に第2開口部を有する風洞であることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、外部側熱交換部とロータとの間に風洞が形成されることにより、外部側熱交換部と熱交換するための空気が風洞を良好に流れるので、外部側熱交換部における熱交換を促進できる。
【0060】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記外部側熱交換部は、前記機体に備えられることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、重量が大きい外部側熱交換部を機体に備えることにより、飛行時において外部側熱交換部から発生する慣性を低減できる。
【0061】
また、本発明の実施形態にかかる飛行装置では、前記外部側熱交換部は、前記ロータよりも、前記ロータが回転することで発生する空気の流れの上流側に配設されることを特徴とする。本発明の飛行装置によれば、外部側熱交換部がロータよりも、空気の流れの上流側に配設されることで、外部側熱交換部に対して安定的に空気を流すことができる。
【符号の説明】
【0062】
10 飛行装置
11 冷却部
111 エンジン側熱交換部
112 外部側熱交換部
113 媒体輸送部
114 熱輸送媒体
12 アーム
121 第1アーム
122 第2アーム
14 ロータ
141 第1ロータ
142 第2ロータ
15 導風部
151 第1開口部
152 第2開口部
153 導風部本体
17 ウォーターポンプ
18 バッテリ
19 機体
20 エンジン
21 発電機
23 演算制御部
24 電力変換部
25 モータ
26 ロータ
281 第1回転範囲
282 第2回転範囲
【要約】
【課題】飛行中に於いてエンジンを効果的に冷却できる飛行装置を提供する。
【解決手段】飛行装置10は、機体19と、ロータ14と、エンジン20と、冷却部11と、導風部15と、を具備する。冷却部11は、エンジン側熱交換部111と、外部側熱交換部112と、媒体輸送部113と、を有する。エンジン側熱交換部111は、エンジン20と熱交換するように構成される。外部側熱交換部112は、外部との熱交換を行うように構成される。媒体輸送部113は、エンジン側熱交換部111と外部側熱交換部112との間で熱輸送媒体114を輸送するように構成される。導風部15は、ロータ14と外部側熱交換部112との間に配設される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7