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特許7633772車両の自動制御方法及び車両制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】車両の自動制御方法及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20250213BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20250213BHJP
   B60T 7/16 20060101ALI20250213BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20250213BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20250213BHJP
   B60W 10/184 20120101ALI20250213BHJP
   B60W 10/196 20120101ALI20250213BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20250213BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20250213BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20250213BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20250213BHJP
【FI】
B60W30/09
B60T7/12 C
B60T7/16
B60W10/00 132
B60W10/184
B60W10/196
B60W10/20
B60W30/095
B60W30/10
B60W40/02
B60W60/00
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020078445
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2020200023
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】16/401,951
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508108578
【氏名又は名称】リープヘル マイニング イクイップメント ニューポート ニューズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィットフィールド ジェイムズ ジュニア
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-325099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0088105(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0067759(KR,A)
【文献】特開2009-090718(JP,A)
【文献】特開2016-025798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/09
B60T 7/12
B60T 7/16
B60W 10/20
B60W 10/184
B60W 10/196
B60W 30/095
B60W 30/10
B60W 40/02
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾーン制御システム、衝突予想システム、及びブレーキ制御システムを備える車両制御システムにより実行される車両の自動制御方法であって、
前記車両は、電気リターダである第1ブレーキシステムと、少なくとも1つの常用ブレーキを含む第2ブレーキシステムとを有し、
中央プラットフォームから前記車両が追従する軌道を受信するステップと、
前記車両を前記軌道に沿って動くように自動で制御するステップと、
前記ゾーン制御システムにより、前記車両の位置に関する少なくとも第1ゾーンと第2ゾーンとを設定するステップと、
前記衝突予想システムにより前記第1ゾーン及び前記第2ゾーンのいずれにおいて障害物との衝突が発生するかを予測するステップと、
衝突が前記第1ゾーン内で発生すると予想されるときには、前記ブレーキ制御システムにより第1ブレーキモードで車両を自動的に制動する一方、衝突が前記第2ゾーン内で発生すると予想されるときには、前記ブレーキ制御システムにより第2ブレーキモードで車両を自動的に制動するステップと、を含み、
前記第1ゾーン及び前記第2ゾーンは、前記車両の前方に前記軌道に沿って延び、
前記第2ゾーンは、前記第1ゾーンよりも前記車両に近く、第1サブゾーンと第2サブゾーンとを含み、
前記第1ブレーキモードは、前記車両を制動させるために、前記第1ブレーキシステムのみを用いるステップを含み、
前記第2ブレーキモードは、
前記車両を制動させるために、前記第1ブレーキシステムと前記第2ブレーキシステムとを用い、
衝突が前記第1サブゾーンで発生すると予測されるときにアクティブになる第1サブモードと、
衝突が前記第2サブゾーンで発生すると予測されるときにアクティブになる第2サブモードと、
を有し、
前記第1サブモードは、前記第1及び第2ブレーキシステムを最大の制動力で使用するモードであり、
前記第2サブモードは、前記第1ブレーキシステムを最大の制動力で使用しかつ第2ブレーキシステムを一部の制動力で使用するモードである
車両の自動制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記第1ブレーキモード及び前記第2ブレーキモードのうちの少なくとも一方は、所定の距離マージンを維持又は回復するのに十分に前記車両を制動することを含む車両の自動制御方法。
【請求項3】
請求項に記載の車両の自動制御方法において、
前記第1ブレーキモードが前記所定の距離マージンを回復するのに不十分であるときには、前記第1ブレーキモードから前記第2ブレーキモードに切り換えるステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記車両制御システムの検出システムにより前記障害物を検出するステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記障害物が静止しているときには、衝突を予測するために、前記障害物が前記車両の軌道の上に位置しているかどうかを決定するステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記障害物が動的障害物であるときには、該障害物の軌道を予測するために、前記車両制御システムの検出システムにより前記障害物の動作を検出するステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記障害物がある軌道を追従するように制御された動的障害物であるときには、前記車両制御システムのインターフェースを介して前記障害物の前記軌道に関する情報を受信するステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記障害物が動的障害物であるときには、衝突を予測するために、前記障害物が前記車両の軌道の上に位置しているかどうかを決定するステップを更に含む車両の自動制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記障害物は、所定の軌道を追従するよう制御された動的障害物であり、
前記車両制御システムの検出システムにより前記障害物の動作を検出するステップと、
前記車両制御システムのインターフェースを介して、前記障害物の前記所定の軌道に関する情報を受信するステップと、
衝突を予測するために、前記障害物が前記車両の軌道の上に位置しているかどうかを決定するステップと、を更に含む車両の自動制御方法。
【請求項10】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記第1ゾーンと前記第2ゾーンとを設定するステップは、前記車両の速度、勾配、付着力、及び重量のうち少なくとも1つのパラメーターを含む少なくとも1つの車両状態に基づく、少なくとも1つの制動距離のリアルタイム計算を含む車両の自動制御方法。
【請求項11】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記第1ブレーキモードでは、前記車両は、中央プラットフォームから受信した、予め計画された軌道を追従し、
前記第2ブレーキモード又は前記第2ブレーキモードの第1サブモードでは、前記車両制御システムの車両軌道制御システムが、衝突を回避するために、前記中央プラットフォームから独立して前記車両の軌道を再計画する車両の自動制御方法。
【請求項12】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記ゾーン制御システムにより、第3ゾーンを設定するステップと、
前記第3ゾーンにおいて衝突が予想されるときには、該衝突を回避するために、前記車両制御システムの車両軌道制御システムにより、中央プラットフォームから独立して前記車両の軌道を再計画する車両の自動制御方法。
【請求項13】
請求項1に記載の車両の自動制御方法において、
前記車両は採掘作業用のダンプカーである車両の自動制御方法。
【請求項14】
車両を自動制御する車両制御システムであって、
ゾーン制御システムと、
衝突予想システムと、
ブレーキ制御システムとを備え、
前記ゾーン制御システムにより、前記車両の位置に関する少なくとも第1ゾーンと第2ゾーンとを設定するステップと、
前記衝突予想システムにより障害物との衝突を予測するステップと、
衝突が前記第1ゾーン内で発生すると予想されるときには、前記ブレーキ制御システムにより第1ブレーキモードで車両を自動的に制動する一方、衝突が前記第2ゾーン内で発生すると予想されるときには、前記ブレーキ制御システムにより第2ブレーキモードで車両を自動的に制動するステップと、を含み、
前記車両は、第1ブレーキシステムと第2ブレーキシステムとを有し、
前記第1ブレーキモードは、前記車両を制動させるために、前記第1ブレーキシステムのみを用いるステップを含み、
前記第2ブレーキモードは、前記車両を制動させるために、前記第1ブレーキシステムと前記第2ブレーキシステムとを用い、
前記第1ブレーキシステムは電気リターダであり、
前記第2ブレーキシステムは少なくとも1つの常用ブレーキを含み、
前記第2ゾーンは、第1サブゾーンと第2サブゾーンとを含み、
前記第2ブレーキモードは、
衝突が前記第1サブゾーンで発生すると予測されるときにアクティブになる第1サブモードと、
衝突が前記第2サブゾーンで発生すると予測されるときにアクティブになる第2サブモードと、
を有し、
前記第1サブモードは、前記第1及び第2ブレーキシステムを最大の制動力で使用するモードであり、
前記第2サブモードは、前記第1ブレーキシステムを最大の制動力で使用しかつ第2ブレーキシステムを一部の制動力で使用するモードである
方法を実行可能である車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の自動制御方法及び車両を自動制御する車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動制御のダンプカーなどの自動制御車両は、所定の軌道を使用して、スタート位置から到着位置に移動する。車両制御システムは、作動点を定義して、所定の軌道に沿って車両を制御し得る。
【0003】
車両制御システムは、これまでに知られていない静止障害物や、車両や人などの移動物体のような障害物を検出する検出システムを有する(例えば、特許文献1)。このような障害物は、情報の不足のために、または動的障害物の場合にはそれらの位置が変更されるため、軌道を計画するときに考慮されない可能性がある。このため、車両制御システムは、衝突を回避するために障害物の検出に対処する方法が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-325099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、障害物との衝突を回避するための改良された機能である衝突回避機能を有するように、車両制御システムにより車両を自動で制御する方法、及び該機能を有しかつ車両を自動制御する車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的及び他の目的は、本開示の実施形態により解決され得る。
【0007】
本開示の一態様において、車両回避の概念は、車両の速度、勾配、付着力、及び重量のような現在の状態に基づくゾーンのリアルタイム計算を含む。本開示の他の態様では、所定の距離マージンを維持するために、電気リターディングと常用ブレーキの増強との組み合わせが使用される。一部の概念では、衝突のリスクを最小限に抑え、電気リターダの使用を優先し、可能な場合は常用ブレーキの使用を最小限に抑える。本開示のある態様では、車両制御システムが静止した障害物や動いている障害物を再計画する予防的障害物回避が使用される。
【0008】
第1の実施形態は、ゾーン制御システム、衝突予想システム、及びブレーキ制御システムを備える車両制御システムにより実行される車両の自動制御方法であり、該方法は、
ゾーン制御システムにより、車両の位置に関する少なくとも第1ゾーンと第2ゾーンとを設定するステップと、
衝突予想システムにより障害物との衝突を予測するステップと、
衝突が第1ゾーン内で発生すると予想されるときには、ブレーキ制御システムにより第1ブレーキモードで車両を自動的に制動する一方、衝突が第2ゾーン内で発生すると予想されるときには、ブレーキ制御システムにより第2ブレーキモードで車両を自動的に制動するステップと、を含む。
【0009】
第2の実施形態は、ゾーン制御システム、衝突予想システム、及び衝突回避システムを備える車両制御システムにより実行される車両の自動制御方法であり、該方法は、
ゾーン制御システムにより、車両に関する少なくとも第1ゾーンと第3ゾーンとを設定するステップと、
衝突予想システムにより障害物との衝突を予想するステップと、
衝突が第1ゾーン内で発生すると予想されるときには、衝突回避システムにより第1衝突回避モードで車両を自動的に制動する一方、衝突が第3ゾーン内で発生すると予想されるときには、衝突回避システムにより第3衝突回避モードで車両を自動的に制動するステップと、を含む。
【0010】
第3の実施形態は、車両を自動制御する車両制御システムであって、ゾーン制御システムと、衝突予想システムと、衝突回避システムと、を備え、
ゾーン制御システムにより、車両に関する少なくとも第1ゾーンと第3ゾーンとを設定するステップと、衝突予想システムにより障害物との衝突を予想するステップと、衝突が第1ゾーン内で発生すると予想されるときには、衝突回避システムにより第1衝突回避モードで車両を自動的に制動する一方、衝突が第3ゾーン内で発生すると予想されるときには、衝突回避システムにより第3衝突回避モードで車両を自動的に制動するステップと、を含む方法を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の方法及び制御システムにより自動制御されるダンプカーの側面図である。
図2図2は、本開示の制御システムの機能部品を示す概略図である。
図3図3は、本開示の方法及び制御システムで使用されるゾーンの第1概略図である。
図4図4は、本開示の方法の第1実施形態のステップを例示するダイヤグラムである。
図5図5は、本開示の方法の第2実施形態のステップを例示するダイヤグラムである。
図6図6は、本開示の方法の第1衝突回避モードのステップを例示するダイヤグラムである。
図7図7は、本開示の方法の第2衝突回避モードのステップを例示するダイヤグラムである。
図8図8は、本開示の方法の第3衝突回避モードのステップを例示するダイヤグラムである。
図9図9は、本開示の方法及び制御システムで使用されるゾーンの第2概略図である。
図10図10は、本開示の方法及び制御システムで使用されるゾーンの第3概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、車両制御システムにより実行される車両の自動制御方法の実施形態、及び車両を自動制御する車両制御システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、前記方法又は前記制御システムにより自動制御される車両を例示する。本実施形態では、車両は、採掘場において輸送目的で使用されるダンプカーである。このダンプカーは、100メートルトン以上のペイロードを有していてもよい。
【0014】
ダンプカー30は、車輪1上を移動可能なシャーシ2を備える。ホイール1は、少なくとも1つのエンジンを有する駆動ユニット6により駆動する。エンジンは、ディーゼルエンジンのような内燃機関であり得る。本実施形態において、駆動ユニット6は、ディーゼル電気駆動ユニットであってもよい。車輪は、ディーゼルエンジンによって駆動されるジェネレータから動力供給される電動モータにより駆動されるものであってもよい。
【0015】
図1に示すダンプカーは、シャーシ2に載置されたダンプボディ3を備える。ダンプボディは、水平方向の枢軸を用いてシャーシに取り付けられていて、ダンプボディに積載された材料をダンプボディからダンプトラックの後方に滑り出させるために、ホイストシリンダー4により旋回可能である。
【0016】
ダンプカーは、該ダンプカーのマニュアル操作を可能にするために、ドライバー用の車室5を更に備える。他の実施形態では、車室が設けられていなくてもよい。本実施形態では、車室5は、熱交換器9の上方に配置され、階段7を介してアクセス可能なプラットフォーム8上に設けられている。
【0017】
ダンプカーは、車両を自動制御する車両制御システムを更に備える。この車両制御システムの機能部品は、ダンプカーの他の機能部品と共に図2に示されている。
【0018】
車両制御システム12は、ゾーン制御システム17、衝突予想システム18、及び衝突回避システム19を備える。衝突回避システム19は、ブレーキ制御システム15を有していてもよく、該ブレーキ制御システムに置き換えられてもよい。
【0019】
車両制御システム12は、検出システム16を更に備えてもよい。検出システム16は、車両に配置されたセンサ22の信号を評価し、障害物を検出するように構成され得る。
【0020】
車両制御システムは、軌道制御システム13とステアリング制御システム14とを更に備え得る。ステアリング制御システムは、車両のステアリングシステムを制御する。
【0021】
本実施形態において、ブレーキ制御システム15は、第1ブレーキシステム10と第2ブレーキシステム11とを制御する。第1ブレーキシステム10は、摩擦なしで作動することができる。 第2ブレーキシステム11は、摩擦ブレーキを含み得る。
【0022】
第1ブレーキシステム10は、電気リターダであり得る。電気リターダは、車輪に制動トルクを供給するために、車両の電動モータを操作することにより作動する。それにより、電動モータは電気エネルギーを生成し、これは、抵抗器システムによって熱として放散されるか、またはエネルギー貯蔵システムによって回収され得る。第2ブレーキシステム11は、少なくとも1つの常用ブレーキを有していてよい。常用ブレーキは、ディスクブレーキや湿式ブレーキのような機械式ブレーキであり得る。
【0023】
車両制御システム12は、センサ22に接続されている。少なくとも1つのセンサ22は、検出システム16と接続されていて、これにより、検出システム16は障害物を検出することができる。
【0024】
車両制御システム12は、アクチュエータ20と更に接続されていてもよい。このようなアクチュエータは、ステアリング制御システムが車両を操舵できるように、ステアリング制御システム14と接続されたステアリング機器を含んでいてもよい。
【0025】
車両制御システム12は、フリート/交通管理システム等の中央プラットフォーム21と通信し得る。中央プラットフォーム21との通信用に、車両制御システムはインターフェース23を備えていてもよい。インターフェース23は、無線インターフェースであり得る。中央プラットフォーム21は、複数の自動制御車両と通信するように構成されていてもよい。特に、中央プラットフォーム21は、複数の自動制御車両に所定の軌道を供給するように構成されていてもよい。
【0026】
ゾーン制御システム17は、図3に示すように、車両Vに関するゾーンを設定するように構成されている。本実施形態において、ゾーンは、第1ゾーンZ1、並びに、第2ゾーンZ2及び第3ゾーンの少なくとも一方を含む。第2ゾーンは、第1サブゾーンZ2.1と第2サブゾーンZ2.2とを含んでいてもよい。
【0027】
第1ゾーンZ1は、第3ゾーンZ3よりも車両に近い位置であり得る。第2ゾーンZ2は、第1ゾーンZ1よりも車両に近い位置であり得る。第1サブゾーンZ2.1は、第2サブゾーンZ2.2よりも車両に近い位置であり得る。
【0028】
本実施形態において、ゾーンは、車両の軌道40に沿って、車両Vの前側に延びている。特に、ゾーンは、車両の所定の軌道40に沿って並んでいてもよい。車両制御システムは、所定の軌道に沿ってスタート位置から到着位置まで車両が移動するのを制御するために、所定の軌道を使用することができる。車両制御システムは、現在の位置を特定して、所定の軌道に沿って車両を制御し得る。
【0029】
検出システム16は、これまでに知られていない静的障害物50や、車両や人などの動的物体51のような障害物50を検出するように構成されている。このような障害物50,51は、情報の不足のために、または動的障害物の場合にはそれらの位置が変更されるため、軌道を計画するときに考慮されない可能性がある。車両制御システムは、このような障害物50,51との衝突を回避する方法を実行するように構成されている。
【0030】
次に、本実施形態に係る車両の自動制御方法について、図4図10を参照しながら詳細に説明する。これらの方法は、車両に搭載された車両制御システムによって自動的に実行され得る。特に、反対に明示されていないときには、全てのステップは、中央プラットフォームからは独立して、すなわち中央プラットフォームからの介入や制御なしに実行され得る。
【0031】
車両制御システムは、少なくとも1つのマイクロプロセッサと、メモリに格納されたソフトウェアとを備える、ソフトウェアは、車両制御システムの機能及び本明細書に記載された車両の自動制御方法の機能を、マイクロプロセッサ上で実行する。車両制御システムの種々のサブシステムは、車両制御システムのソフトウェア及びハードウェア要素により実行され得る。
【0032】
第1実施形態では、図4に概略的に示すように、車両制御システム30により実行される車両の自動制御方法は、以下のステップを有する。
【0033】
ステップS1では、少なくとも1つの車両状態に基づく少なくとも1つの制動距離に関するリアルタイム計算が実行される。車両状態は、車両の速度、勾配、付着力、及び重量のうち少なくとも1つのパラメーターを含む。車両の重量は、車両により搬送される積載物の重量を含んでもよい。少なくとも1つのパラメーターは、車両のセンサに基づいて検出されてもよい。
【0034】
ステップS2は、ゾーン制御システムにより、車両Vに対して、少なくとも第1ゾーンと第2ゾーンとを設定することを含む。第1ゾーン及び第2ゾーンの少なくとも1つは、ステップS1で計算された制動距離に依存し得る。
【0035】
ステップS3は、予想システムを用いて、障害物との衝突を予想することを含む。特に、ステップS3は、障害物を検出して、該障害物と車両との衝突が発生するか否かを予想する。ステップS3は、衝突が予測される場合、該衝突が第1ゾーンで発生すると予想されるか、又は第2ゾーンで発生すると予測されるかを決定することを更に含んでもよい。
【0036】
本実施形態において、障害物予想システムは、静的障害物との衝突及び動的障害物との衝突の両方を予測することが可能である。他の実施形態では、障害物予想システムは、静的障害物との衝突のみ又は動的障害物との衝突のみを予想することができる。障害物50が静的障害物であるときには、衝突は、障害物の位置と車両の軌道とを比較することで予想される。動的障害物51であるときには、該障害物は車両の軌道上にまだ位置していないが、システムは、障害物51の速度と進行方向に基づいて、潜在的な衝突を予測することができる。したがって、本実施形態の場合、動的障害物51は、システムが介入するために、この瞬間に軌道上にある必要はない。
【0037】
衝突が第1ゾーンで発生すると予想されるときには、本方法はステップS4に進む。ステップS4では、ブレーキ制御システムを用いて、第1ブレーキモードで車両の自動制動が行われる。第1ブレーキモードについては後述する。
【0038】
衝突が第2ゾーンで発生すると予想されるときには、本方法はステップS5に進む。ステップS4では、ブレーキ制御システムを用いて、第2ブレーキモードで車両の自動制動が行われる。第2ブレーキモードについては後述する。
【0039】
ステップS4において実行される第1ブレーキモードは、第1ブレーキシステムのみを使用するステップを含み、ステップS5において実行される第2ブレーキモードは、第1及び第2ブレーキを使用するステップを含む。
【0040】
前述のように、第1ブレーキシステムは電気リターダでよく、第2ブレーキシステムは少なくとも1つの常用ブレーキを有してよい。
【0041】
ある実施形態では、第1ブレーキモードと第2ブレーキモードとの少なくとも一方は、所定の距離マージンを維持又は回復するのに十分に車両を制動することを含んでもよい。
【0042】
ある実施形態では、本方法は、第1ブレーキモードが所定の距離マージンを回復するのに不十分であるときには、第1ブレーキモードから第2ブレーキモードに変更するステップを更に含んでもよい。
【0043】
予想システムを用いて障害物との衝突を予想するステップS3は、1つ以上のサブステップを含んでもよい。
【0044】
ある実施形態では、ステップS3は、車両制御システムの検出システムを用いて障害物を検出するサブステップを含んでもよい。
【0045】
ある実施形態では、ステップS3は、障害物が、静的障害物であるか又は動的障害物であるかを決定するサブステップを含んでもよい。
【0046】
ある実施形態では、ステップS3は、衝突を予想するために、車両の軌道と障害物の位置とを比較するサブステップを含んでもよい。特に、このステップは、障害物が静的障害物であると決定されるときに適用され得る。
【0047】
ある実施形態では、ステップS3は、障害物の軌道を予測するための車両制御システムの検出システムを用いて、障害物の動作、特に速度及び進行方向を検出するサブステップを含んでもよい。特に、このステップは、障害物が動的障害物であると決定されるときに適用され得る。
【0048】
ある実施形態では、ステップS3は、車両制御システムのインターフェースを介して、障害物の軌道についての情報を受信するサブステップを含んでもよい。特に、このステップは、障害物が軌道を追従するように制御された動的障害物であると判断されるときに適用され得る。車両制御システムは、特に、中央プラットフォームから、障害物の軌道についての情報を取得し得る。
【0049】
ある実施形態では、ステップS3は、車両の軌道と衝突が予想される障害物の軌道とを比較するサブステップを含んでもよい。特に、このステップは、障害物が動的障害物であると決定されるときに適用され得る。
【0050】
ある実施形態では、障害物が所定の軌道を追従するように制御される動的障害物であると場合に、ステップS3は、次のサブステップを含んでもよい、
車両制御システムの検出システムを用いて障害物の動作を検出するステップ、
障害物の所定の軌道についての情報を車両制御システムのインターフェースを介して受信するステップ、
検出システムにより検出された障害物の動作とインターフェースを介して受信した障害物の所定の軌道とから障害物の軌道を予想するステップ、
衝突を予想するために、車両の軌道と障害物の予想される軌道とを比較するステップ。
【0051】
以下、追加のゾーンやサブゾーンを使用する実施形態について説明する。
【0052】
第2ゾーンZ2が第1サブゾーンZ2.1と第2サブゾーンZ2.2とを含む実施形態では、第2ブレーキモードは、衝突が第1サブゾーンZ2.1で発生すると予想されるときにアクティブになる第1サブモードと、衝突が第2サブゾーンZ2.2で発生すると予想されるときにアクティブになる第2サブモードとを有する。
【0053】
第1サブモードでは、第1及び第2ブレーキシステムは最大の制動力で使用され得る。第2サブモードでは、第1ブレーキシステムは最大の制動力で使用されかつ第2ブレーキシステムを一部の制動力で使用され得る。この一部の制動力は、所定の距離マージンを維持又は回復するために制御され得る。
【0054】
ある実施形態では、ステップS4で使用される第1ブレーキモードにおいて、車両は、中央プラットフォームから受信した、予め計画された軌道を追従してもよい。ステップS5で使用される第2ブレーキモード、又は第2ブレーキモードの第1サブモードにおいて、車両制御システムの車両軌道制御システムは、障害物との衝突を回避するために、手中型プラットフォームとは独立して車両の軌道を再計画してもよい。第2ブレーキモードの第2サブモードにおいて、車両は、中央プラットフォームから受信した、予め計画された軌道を追従してもよい。
【0055】
ある実施形態では、前記方法は、
ゾーン制御システムにより第3ゾーンZ3を設定するステップと、
衝突が、第1ゾーンZ1で発生するか、第2ゾーンZ2で発生するか、又は第3ゾーンZ3で発生するか否かを決定するステップ、
とを更に含んでもよい。
【0056】
衝突が第1ゾーン又は第2ゾーンで発生すると予想されるときには、前記ステップS4及びステップS5にそれぞれ進む。
【0057】
衝突が第3ゾーンZ3で発生すると予想されるときには、前記方法は、障害物との衝突を回避するために、車両制御システムの車両軌道制御システムにより、中央プラットフォームからは独立して、車両の軌道を再計画するステップを含んでもよい。
【0058】
衝突が第3ゾーンZ3で発生すると予想されるときには、前記方法は、ブレーキ制御システムを用いて、第3ブレーキモードで車両を自動的に制動するステップを含んでもよい。第3ブレーキモードは、車両を制動するために、第1ブレーキシステムのみを使用するステップを含んでもよい。第3ブレーキモードでは、第1ブレーキシステムは、所定の距離マージンを維持するために、一部の制動力に制御されて使用され得る。
【0059】
図5に概略的に示すように、車両制御システムにより実行される車両の自動制御方法の更なる実施形態は、次のステップを踏んでもよい。
【0060】
ステップS1では、少なくとも1つの車両状態に基づく少なくとも1つの制動距離に関するリアルタイム計算が実行される。車両状態は、車両の速度、勾配、付着力、及び重量のうち少なくとも1つのパラメーターを含む。車両の重量は、車両により搬送される積載物の重量を含んでもよい。少なくとも1つのパラメーターは、車両のセンサに基づいて検出されてもよい。
【0061】
ステップS2は、ゾーン制御システムにより、車両Vに対して、少なくとも第1ゾーン、第2ゾーン、及び第3ゾーンを設定することを含む。第1ゾーン及び第2ゾーンの少なくとも1つは、ステップS1で計算された制動距離に依存し得る。
【0062】
ステップS3は、予想システムを用いて、障害物との衝突を予想することを含む。ステップS3は、衝突が、第1ゾーン、第2ゾーン、及び第3ゾーンのうちの1つで発生すると予想されるか否かを決定することを更に含み得る。特に、ステップS3は、障害物を検出して、該障害物と車両との衝突が発生するか否かを予想して、予測される衝突が、第1ゾーン、第2ゾーン、又は第3ゾーンで発生するかを決定することを更に含んでもよい。
【0063】
ステップS4では、車両制御システムは、車両が移動状態であるか静止状態であるかを決定する。移動状態では、車両は軌道に沿って移動していてもよい。静止状態では、車両は、固定点に留まっている。
【0064】
ステップS4において、車両の移動状態が検出されたときには、前記方法は、以下のように進む。
【0065】
衝突が第1ゾーンで発生すると予想されるときには、前記方法はステップS5.1に進む。ステップS5.1では、車両は、衝突回避システムを用いて、第1衝突回避モードで自動的に操作される。
【0066】
衝突が第2ゾーンで発生すると予想されるときには、前記方法はステップS5.2に進む。ステップS5.2では、車両は、衝突回避システムを用いて、第2衝突回避モードで自動的に操作される。
【0067】
衝突が第3ゾーンで発生すると予想されるときには、前記方法はステップS5.3に進む。ステップS5.3では、車両は、衝突回避システムを用いて、第3衝突回避モードで自動的に操作される。
【0068】
第1、第2、及び第3衝突回避モードの実施形態は、図6図8を参照して説明される。
【0069】
ステップS4において、車両が静止状態であることが検出されたときには、前記方法は以下のように進む。
【0070】
衝突が第1ゾーンZ1又は第3ゾーンZ3で発生すると予想されるときには、ステップS6.2において、車両の始動前に、中央プラットフォームからは独立して車両の軌道が再計画される。
【0071】
衝突が第2ゾーンで発生すると予想されるときには、ステップS6.1において、車両の動作が中止される。
【0072】
車両が静止状態であるか又は移動状態であるかを決定するステップS4は、オプションであってもよい。前記方法は、移動状態に関するステップのみを有してもよく、静止状態に関するステップのみを有してもよい。
【0073】
代わりの実施形態では、第1、第2、及び第3ゾーンのうち少なくとも2つのゾーンを設定してもよい。代わりの実施形態では、第1、第2、及び第3衝突回避モードのうち少なくとも2つのモードで車両を操作してもよい。
【0074】
図6は、衝突回避システムを用いて、第1衝突回避モードで車両を自動操作するステップS5.1のサブステップS5.1.1,S5.1.2,及びS5.1.3を示す。
【0075】
ステップS5.1.1は、中央プラットフォームから受信した、予め計画された軌道を追従することを含む。ステップS5.1.2は、車両のブレーキ制御システムにより、第1ブレーキモードで車両を自動的に制動することを含む。第1ブレーキモードは、第1ブレーキシステムのみを使用するステップを含んでもよい。
【0076】
ステップS5.1.3は、第1衝突回避モードにおいて車両を制動するステップS5.1.2の結果、第3ゾーンで衝突が発生すると予想されるときに、第1衝突回避モードから第3衝突回避モードに変更することを含む。
【0077】
図7は、衝突回避システムにより、第2衝突回避モードで車両を自動操作するステップS5.2のサブステップを示す。
【0078】
ステップS5.2.1は、第2ゾーンに対して第1サブゾーンと第2サブゾーンとを設定することを含む。ステップS5.2.1は、衝突が第1サブゾーンZ2.1で発生すると予想されるか、又は第2サブゾーンZ2.2で発生すると予想されるかを決定することを更に含んでもよい。
【0079】
衝突が第2ゾーンZ2の第1サブゾーンZ2.1で発生すると予想されるときには、前記方法はステップS5.2.2に進む。ステップS5.2.2では、衝突回避システムを用いて、第2衝突回避モードの第1サブモードにより車両を自動操作する。第2衝突回避モードの第1サブモードは、第1及び第2ブレーキシステムを最大の制動力で使用するステップS5.2.2.1と、車両軌道制御システムにより、障害物との衝突を回避するように車両の軌道を緊急再計画するステップS5.2.2.2とを含み得る。緊急再計画は、中央プラットフォームからは独立して実行されてもよい。
【0080】
衝突が第2ゾーンの第2サブゾーンZ2.2で発生すると予想されるときには、前記方法はステップS5.2.3に進む。ステップS5.2.3では、衝突回避システムを用いて、第2衝突回避モードの第2サブモードにより車両を自動操作する。第2衝突回避モードの第2サブモードは、第1ブレーキシステムを最大の制御力で使用しかつ第2ブレーキシステムを一部の制動力で使用するステップS5.2.3.1と、中央プラットフォームから受信した、予め計画された軌道を追従するステップS5.2.3.2とを含み得る。一部の制動力は、距離マージンを維持するように制御されてもよい。
【0081】
図8は、衝突回避システムにより、第3衝突回避モードで車両を自動操作するステップS5.3のサブステップS5.3.1及びS5.3.2を示す。
【0082】
ステップS5.3.1は、障害物を第3ゾーン内に維持するために第1ブレーキシステムのみを使用することを含み、ステップS5.3.2は、障害物との衝突を回避するために、車両制御システムの車両軌道制御システムにより、中央プラットフォームからは独立して車両の軌道を再計画することを含む。すなわち、車両軌道制御システムは、中央プラットフォームの助けを借りずに、該中央プラットフォームから受け取った所定の軌道に対する介入を、車両内で実行し得る。特に、中央プラットフォームは、車両が中央プラットフォームから受信した元々の軌道を追従するという仮定に基づいて機能するが、これに代えて、車両は、前記介入を選択して独自の決定を行って、この動作が進行中であることを中央プラットフォームに通知する。
【0083】
前記方法のいくつかは、
軌道制御システムにより、中央プラットフォームから所定の軌道を受信するステップと、
軌道制御システムにより、軌道を予め設定するステップと、
の少なくとも1つのステップを更に含んでもよい。
【0084】
ある実施形態では、前記方法は、ステアリング制御システムにより所定の軌道に沿って車両を制御する更なるステップを含んでもよい。
【0085】
ある実施形態では、前述の車両の自動制御方法は、車両がステアリング制御システムにより所定の軌道に沿って制御されている間に実行されてもよい。
【0086】
図5図8を参照して説明した本開示の方法は、図4を参照して説明された特徴及びステップのいくつかを含んでもよい。
【0087】
車両制御システムは、以下で説明するように、反応的及び予防的障害物回避を実行するものでもよく、車両の能力の範囲内で、静的障害物までの距離マージンよりも大きい距離で停止したり、動的障害物に対する距離マージンを維持又は回復するように動作したりしてもよい。
【0088】
更なる実施形態は、図9及び図10を参照して説明される。障害物を回避するという目的のため、車両制御システムは、障害物の衝突を回避するために利用可能なマージンを示す3つの距離ゾーンを計算し、回避関連の決定に基づいて機能する。これらのゾーンは、継続的に更新され得る。図9及び図10はゾーンの概念を示す。
【0089】
(ゾーン1)
ゾーン1は、第1ブレーキシステム、特に動的リターダを制動力100%で利用するとともに、第2ブレーキシステム、特に常用ブレーキを制動力100%で利用したときに、現在の速度、勾配、付着力、及びGVW(車両総重量)の状態に基づいて要求される停止距離に、マージンdmargin1を加えたものとして設定され得る。
【0090】
(ゾーン2)
ゾーン2は、第1ブレーキシステムのみを制動力100%で利用したときに、現在の速度、勾配、付着力、及びGVWの状態に基づいて要求される停止距離に、マージンdmargin2を加えたものとして設定され得る。
【0091】
(ゾーン3)
ゾーン3は、ゾーン2にマージンdmargin3を加えたものとして設定され得る。概念的には、これが、反応性障害物回避を使用できる車両の軌道に沿った最大距離を表す。ゾーン3よりも長い距離で最初に検出された障害物については、予防的障害物回避が使用される。
【0092】
〈マージン〉
各ゾーンにおける距離マージンは設定可能なものである。
【0093】
ある実施形態では、図9及び図10で説明されたゾーンは、以下のように、図3図8を参照して説明されたゾーンと対応している。
【0094】
【表1】
【0095】
他の対応も同様に適用され得る。
【0096】
〈予防的障害物回避〉
本明細書の目的のために、反応的障害物回避は、障害物との衝突を回避するために、距離マージンを維持するようにリアルタイムの操縦を実行する移動中の車両として定義され得る。反応的障害物回避には、障害物を予測して、車両制御システムの唯一のガイダンスの下で行動して、距離マージンを維持することが含まれる。車両制御システムは、監督による介入の前に、状況を独立して管理しかつ障害を回避する必要がある。反応的障害物回避は、図9を参照して説明される。前述した第1及び第2障害物回避モードが、この概念に対応している。
【0097】
反応性障害物回避の実施形態には、これらに限定されないが以下のものが含まれる。
【0098】
車両制御システムは、車両軌道(車両の幅を含み得る)を、検出された静的障害物及び動的障害物の軌道と比較して、適切な距離マージン内で停止するように行動し得る。
【0099】
動作中の障害物が、決められた軌道を有する他の自動的な物体であるときには、車両制御システムは、他の自動的な物体に定義された軌道を使用して、衝突の予測を強化し、障害物回避の誤った実行を回避します。
【0100】
障害物(予想された衝突を含む)がゾーン3とゾーン2との間で検出されるときには、車両制御システムは、ブレーキ制御システムにより、第1ブレーキシステムのみを使用して、障害物の速度に合わせるか、障害物が静止している場合は停止させるように、指定された速度をある割合で減少させる。既存の計画された軌道は変更されず、ステアリング偏差も利用されない。可能な場合、速度は減少され、車両は、ゾーン3の距離よりも大きい障害物からの距離に到達する。これが達成された場合、ロジックは、後述するように、予防的障害物回避にシフトしてもよい。これは、安全な距離を維持するために機械を減速させて、トラックが完全に停止することなく障害物を回避できるように、状況を予防的回避に代えることを目的としている。障害物がゾーン2よりも近い場合には、ゾーン2又はゾーン1内の障害物用のロジックが、後述するように利用される。車両制御システムは、障害物回避ステータスを交通管理に送信してもよい。
【0101】
障害物又は予想される衝突がゾーン2とゾーン1との間で検出されるときには、車両制御システムは、障害物からの距離がゾーン2の距離以上に回復させる試みとして、ブレーキ制御システムにより、第1ブレーキシステムを100%で使用しかつ第2ブレーキシステムを部分的に使用して、指定された速度をある割合で減少させる。車両から障害物までの距離がゾーン2の距離以上の距離に増加すると、障害物がゾーン3とゾーン2との間で検出された場合のロジックが利用され得る。車両から障害物までの距離がゾーン1の距離と同程度にまで減少したときには、ゾーン1におけるロジックが利用される。車両制御システムは、障害物回避ステータスを交通管理に送信してもよい。
【0102】
障害物又は予想される衝突がゾーン1よりも近くで検出されるときには、車両はブレーキ制御システムにより、第1ブレーキシステムを100%で使用しかつ第2ブレーキシステムを100%で使用して(例えば、車両制御システムの速度基準ステップ関数をゼロにして)、車両の減速を最大限化させて、指定された速度をゼロにまで減少させる。速度の減少と併行して、車両制御システムは、新たな緊急軌道を計画する。緊急軌道は、通過可能な領域、障害物の位置(動的障害物の軌道を含む)、車両の安全限界が考慮されて、車両が停止するまでの十分な距離が算出される。すべての条件を満たす緊急軌道を計算することが不可能な場合に、車両制御システムは、遵守すべき制約の優先順位を決定するための構成可能なオプションを有する。車両制御システムは、障害物回避ステータスを交通管理に送信してもよい。
【0103】
車両制御システムは、車両及び接近する障害物の相対速度を識別して、該相対速度情報を使用して距離マージンを達成する能力を有してもよい。例えば、車両に接近する動的障害物は、車両と同じ方向に移動している障害物よりも、ゾーン距離を維持するためにより積極的なアクションが必要になる。
【0104】
緊急軌道が失敗した後、車両制御システムは失敗を報告する。通常の自動操作への復帰をトリガーするために交通管理からのリセットが必要になる場合がある。
【0105】
車両制御システムは、緊急軌道の全ての計画された経路の座標、及びどの経路が実施されたかを記録してもよい。
【0106】
〈予備的障害物回避-動的な場合〉
本明細書の目的のために、予備的障害物回避は、静的又は動的障害物がある障害物を予測して、動作中のOHTの衝突を予備的に回避する軌道を再計画する車両制御システムの動作として定義される。これは、衝突が、ゾーン3を超えてセンサ22の限界まで予測されるものであって、第2ブレーキシステムを使用することなく、車両の速度を下げかつ障害物の周りを再計画するのに十分な距離と時間があるという点で、緊急軌道の概念とは異なる。
【0107】
車両制御システムの権限の制限は、車両制御システムの再計画のレベルを、人間の介入なしに実行することができるレベルに制限するように定義されてもよい。
【0108】
予備的障害物回避の実施形態は、これらに限定されないが以下のものが含まれる。
【0109】
障害物が、ゾーン3より長くかつセンサ22の限界まで予測される距離であるときには、車両は、ゾーン3の距離よりも長い距離を維持するように(再計画操作中を除く)、第1ブレーキシステムのみを使用して、指定された速度をある割合で減少させてもよい。同時に、車両制御システムは、障害物周りを再計画するプロセスを開始してもよい。車両制御システムは、障害物回避ステータスを交通管理に送信してもよい。
【0110】
再計画は、前述した最小距離を採用することができる。
【0111】
双方向の道路を走行するときには、新しい軌道が通過可能領域の境界内にありかつ反対側の車線内に他の障害物や通行がない場合、車両制御システムは、障害物を避けるために現在の軌道を再計画してもよい。再計画は、前述した最小距離を採用することができる。
【0112】
車両制御システムは、ゾーン3と同等の距離を維持する速度、又はゾーン3に近づく速度の小さい方と同等の速度で、再計画された軌道に沿って車両を制御してもよい。
【0113】
車両制御システムは、交通管理に、再計画された軌道の実行を示すためにイベントメッセージを報告してもよい。
【0114】
車両制御システムは、再計画された軌道の座標を記録してもよい。
【0115】
車両制御システムが、前述した条件内で有効な軌道の再計画をできないときには、車両は、ブレーキ制御システムにより、ゾーン2よりも長い距離を維持して機械を停止させるように、(遅延された安全範囲内で)第1ブレーキシステムのみを利用して減速させて、指定された速度をある割合で減少させる。
【0116】
〈予備的障害物回避-静的な場合〉
本明細書の目的のために、予備的障害物回避は、衝突を回避するために静止車両の動きを抑制する車両制御システムの動作として定義され得る。
【0117】
予備的障害物回避の実施形態は、これらに限定されないが以下のものが含まれる。
【0118】
車両制御システムは、障害物がゾーン1内で検出されたときには、自動動作を抑制してもよい。車両制御システムは、障害物回避ステータスを交通管理に送信してもよい。車両制御システムは、交通管理の介入を要求してもよい。
【0119】
障害物が、ゾーン2とゾーン1との間、又はゾーン3にあるときには、車両制御システムは障害物周りの軌道を再計画する。車両制御システムは、再計画された軌道を実行するとともに、自動操作を再開するように車両に命令することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10