(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】データ管理システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20250213BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021095429
(22)【出願日】2021-06-07
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東村 邦彦
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057089(JP,A)
【文献】特開2006-215998(JP,A)
【文献】特開平10-304008(JP,A)
【文献】特開2014-232389(JP,A)
【文献】特許第7325523(JP,B2)
【文献】特開2021-018603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0091266(US,A1)
【文献】特開2013-225317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0202069(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置が検査対象を検査して得られた時系列の検査データを格納するデータ格納部と、
前記検査装置の検査仕様、検査項目、又は前記検査対象のうち少なくも一つが変更されたことを示す同義関係又は異義関係のデータであって、その変更時刻及びその変更内容を含む変化記述データを前記検査データに関連づけて格納する変化記述格納部と、
前記データ格納部及び前記変化記述格納部を検索対象として、前記検索対象からデータを抽出するデータ抽出部と、
抽出対象項目と時刻を含む抽出要求を前記データ抽出部に出力するデータ抽出指示部と、を備え、
前記データ抽出部は、
前記抽出要求を受信した場合、受信した前記抽出要求を基に前記検索対象を検索し、前記抽出要求で指定された前記時刻に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを前記データ格納部から抽出し、前記抽出要求で指定された前記時刻に対応した前記変更時刻の前記変更内容を含む前記変化記述データを前記変化記述格納部から抽出し、抽出された前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記抽出された検査データを正規化して出力することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理システムであって、
前記データ抽出部は、
前記抽出要求で指定された前記時刻を示す基準時刻よりも前の時間帯に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを、前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データとして前記データ格納部から抽出し、前記抽出された前記変化記述データであって前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ管理システムであって、
前記データ抽出部は、
前記抽出要求で指定された前記時刻を示す基準時刻よりも後の時間帯に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを、前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データとして前記データ格納部から抽出し、前記抽出された前記変化記述データであって前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ管理システムであって、
前記データ抽出部は、
前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係のデータが存在すると判別した場合、前記変化記述データの中の前記同義関係のデータを基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、前記同義関係のデータで変換された前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化し、前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記異義関係のデータが存在すると判別した場合、前記異義関係のデータを基に前記異義関係の変換規則を作成し、作成された前記異義関係の変換規則を基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、前記異義関係の変換規則で変換された前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載のデータ管理システムであって、
前記データ抽出部は、
前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係のデータが存在すると判別した場合、前記変化記述データの中の前記同義関係のデータを基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、前記同義関係のデータで変換された前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化し、前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記異義関係のデータが存在すると判別した場合、前記異義関係のデータを基に前記異義関係の変換規則を作成し、作成された前記異義関係の変換規則を基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、前記異義関係の変換規則で変換された前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載のデータ管理システムであって、
前記変化記述格納部に格納された前記変化記述データとは異なる変化記述データを登録する変化記述登録部を更に備えることを特徴とするデータ管理システム。
【請求項7】
データベースのデータを管理する計算機における方法であって、
前記計算機が、検査装置が検査対象を検査して得られた時系列の検査データを前記データベースに格納するデータ格納ステップと、
前記計算機が、前記検査装置の検査仕様、検査項目、又は前記検査対象のうち少なくも一つが変更されたことを示す同義関係又は異義関係のデータであって、その変更時刻及びその変更内容を含む変化記述データを前記検査データに関連づけて前記データベースに格納する変化記述格納ステップと、
前記計算機が、前記データベースを検索対象として、前記検索対象からデータを抽出するデータ抽出ステップと、
前記計算機が、抽出対象項目と時刻を含む抽出要求を出力するデータ抽出指示ステップと、を備え、
前記計算機は、
前記データ抽出ステップでは、
前記抽出要求を受信した場合、受信した前記抽出要求を基に前記検索対象を検索し、前記抽出要求で指定された前記時刻に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを前記データベースから抽出し、前記抽出要求で指定された前記時刻に対応した前記変更時刻の前記変更内容を含む前記変化記述データを前記データベースから抽出し、抽出された前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記抽出された検査データを正規化して出力することを特徴とするデータ管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理方法であって、
前記計算機は、
前記データ抽出ステップでは、
前記抽出要求で指定された前記時刻を示す基準時刻よりも前の時間帯に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを、前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データとして前記データベースから抽出し、前記抽出された前記変化記述データであって前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理方法。
【請求項9】
請求項7に記載のデータ管理方法であって、
前記計算機は、
前記データ抽出ステップでは、
前記抽出要求で指定された前記時刻を示す基準時刻よりも後の時間帯に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを、前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データとして前記データベースから抽出し、前記抽出された前記変化記述データであって前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理方法。
【請求項10】
請求項8に記載のデータ管理方法であって、
前記計算機は、
前記データ抽出ステップでは、
前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係のデータが存在すると判別した場合、前記変化記述データの中の前記同義関係のデータを基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、前記同義関係のデータで変換された前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化し、前記基準時刻よりも前の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記異義関係のデータが存在すると判別した場合、前記異義関係のデータを基に前記異義関係の変換規則を作成し、作成された前記異義関係の変換規則を基に前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、前記異義関係の変換規則で変換された前記基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理方法。
【請求項11】
請求項9に記載のデータ管理方法であって、
前記計算機は、
前記データ抽出ステップでは、
前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記同義関係のデータが存在すると判別した場合、前記変化記述データの中の前記同義関係のデータを基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、前記同義関係のデータで変換された前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化し、前記基準時刻よりも後の時間帯に属する前記変化記述データの中に前記異義関係のデータが存在すると判別した場合、前記異義関係のデータを基に前記異義関係の変換規則を作成し、作成された前記異義関係の変換規則を基に前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、前記異義関係の変換規則で変換された前記基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを前記基準時刻における前記検査データに対応した前記変更内容に合わせて正規化することを特徴とするデータ管理方法。
【請求項12】
請求項7に記載のデータ管理方法であって、
前記計算機が、前記データベースに格納された前記変化記述データとは異なる変化記述データを前記データベースに登録する変化記述登録ステップを更に備えることを特徴とするデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査データを管理するデータ管理システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の製造現場において、各製造ラインで各種製造品の検査を行う場合、工程毎の検査結果を検査データとして収集し、収集した検査データを分析することが行われる。データを分析するに際して、例えば、同じような属性をもつ、或いは同じようなデータを格納する複数のカラムの各々に同義カラム(同じ管理対象の同じ情報を格納するカラム)であるか否かを判定する技術がある(特許文献1参照)。また、生産設備で発生するデータの形式の相違を吸収できるようにした技術がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-232879号公報
【文献】特開2020-57089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査結果のデータを各工程から収集する場合、同じ工程であっても、時間によって検査仕様が変化すると、検査結果のデータの意味が変わることになる。また、異なる検査項目(データ項目)に同じ意味のデータが格納されることがある。例えば、複数の検査装置の処理が分散された場合、各検査装置の処理方法によっては、検査仕様が異なる検査装置の検査結果が同じ意味のデータとなることがある。このため、単純に工程の変化を検査結果に記録するだけでは、同じ検査仕様の検査結果であるか、異なる検査仕様の検査結果であるかを区別することができず、各工程の検査結果のデータに無関係なデータが混在し、各工程の検査結果に必要なデータが不足することがある。
【0005】
本発明の目的は、同義関係のデータと異義関係のデータとを判別して変化記述データを管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、検査装置が検査対象を検査して得られた時系列の検査データを格納するデータ格納部と、前記検査装置の検査仕様、検査項目、又は前記検査対象のうち少なくも一つが変更されたことを示す同義関係又は異義関係のデータであって、その変更時刻及びその変更内容を含む変化記述データを前記検査データに関連づけて格納する変化記述格納部と、前記データ格納部及び前記変化記述格納部を検索対象として、前記検索対象からデータを抽出するデータ抽出部と、抽出対象項目と時刻を含む抽出要求を前記データ抽出部に出力するデータ抽出指示部と、を備え、前記データ抽出部は、前記抽出要求を受信した場合、受信した前記抽出要求を基に前記検索対象を検索し、前記抽出要求で指定された前記時刻に属し、且つ前記抽出要求で指定された前記抽出対象項目に相当する前記検査データを前記データ格納部から抽出し、前記抽出要求で指定された前記時刻に対応した前記変更時刻の前記変更内容を含む前記変化記述データを前記変化記述格納部から抽出し、抽出された前記変化記述データの中に前記同義関係又は前記異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に前記抽出された検査データを正規化して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同義関係のデータと異義関係のデータとを判別して変化記述データを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係るデータ管理システムの構成例を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る表示装置の表示例を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る変化記述データの構成例を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る変化記述データの他の構成例を示す構成図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るデータ抽出部の前処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例1に係るデータ抽出部の変化記述データ抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1に係るデータ抽出部のデータ正規化処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係るデータ管理システムの構成例を示す構成図である。
図1において、データ管理システム1は、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置、及び通信装置を備える計算機(図示せず)で構成され、各種製品を製造する製造ラインを有する工場などに配置される。
【0011】
プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を用いて構成される。
【0012】
主記憶装置は、コンピュータプログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性半導体メモリ等である。
【0013】
補助記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、光学式記憶媒体(即ち、CD(Compact Disc)、及びDVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード(Integrated Circuit Card)、SD(Secure Digital)メモリカード、等の記録媒体の読取/書込装置、及びクラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置に格納されているコンピュータプログラムやデータは、主記憶装置に随時読み込まれる。
【0014】
入力装置は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力デバイス等である。出力装置(表示装置)は、ユーザに処理経過や処理結果等の各種情報を提供するユーザインタフェースである。出力装置は、例えば、画面表示装置(即ち、液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、又はグラフィックカード等)、音声出力装置(即ち、スピーカ等)、又は印字装置等である。
【0015】
通信装置は、LANやインターネット等の通信手段を介した他の装置との間の通信を実現する有線方式又は無線方式の通信インタフェースである。通信装置は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Bus)モジュール、又はシリアル通信モジュール等である。
【0016】
データ管理システム1は、ソフトウェア資源として、変化入力部10と、変化記述登録部12と、変化記述格納部14と、データ生成部16と、データ登録部18と、データ格納部20と、データ抽出部22と、データ抽出指示部24と、抽出済みデータ格納部26を備えている。
【0017】
変化入力部10は、変化入力者が操作する操作端末、例えば、キーボード、マウスからの情報として、変化入力者の操作に応じた情報を入力する。例えば、変化入力部10は、製造ラインの各工程における検査仕様、検査項目、及び検査装置のうち少なくとも一つが変更されたときの時刻(変更時刻)とその変更内容(変化内容)を示す情報を入力する。変化記述登録部12は、変化入力部10から入力された情報であって、変更時刻と変化記述を含む入力情報を変化記述格納部14に登録する。この際、入力情報に属する変化記述に関連した情報が、既に変化記述格納部14に存在する場合、変化記述登録部12は、既に存在する情報を入力情報で更新して登録する。変化記述格納部14に格納される入力情報に属する変化記述データは、同義関係又は異義関係のデータであって、時系列データとして順次記憶エリアに格納される。
【0018】
ここで、同義関係のデータとは、例えば、複数の検査装置の性能或いは機能が同一であることを意味するデータである。異義関係のデータとは、例えば、複数の検査装置のうち一方の検査装置に対する検査仕様と他方の検査装置に対する検査仕様が異なることを意味するデータである。また、時刻、例えば、変更時刻(変化時刻)をt1、t2、t3、・・・、t(n-1)、tnとした場合、変更時刻毎に、各変更時刻t1~tnにおける変化記述データが変化記述格納部14の記憶エリアに順次格納される。この際、後述するデータ抽出部22では、変更時刻t1と変更時刻t2との間の時間帯をフェーズ1、変更時刻t2と変更時刻t3との間の時間帯をフェーズ2、・・・、変更時刻t(n-1)と変更時刻tnとの間の時間帯をフェーズ(n-1)として、変化記述格納部14に格納された変化記述データを管理する。
【0019】
データ生成部16は、生産現場にある検査装置などからのデータ、例えば、製品の検査データを取り込み、取り込んだ検査データに、検査時刻や作業対象などの情報が付加されたデータを生成し、生成したデータをデータ登録部18に転送する。データ登録部18は、データ生成部164から転送された検査データを受信した場合、受信した検査データをデータ格納部20に登録する。この際、データ登録部18は、受信した検査データが、CSV(Comma Separated Value)形式の検査データであった場合、CSV形式の検査データを、例えば、JSON(javaScript(登録商標) Object Notation)形式の検査データに変換し、変換された検査データをデータ格納部20に登録する。
【0020】
データ格納部20に検査データ等のデータを格納するに際しては、各データは時系列のデータとして順次記憶エリアに格納される。ここで、時刻、例えば、検査時刻或いはデータ収集時刻を示すタイムスタンプをt1、t2、t3、・・・、t(n-1)、tnとした場合、タイムスタンプ毎に、各タイムスタンプt1~tnにおけるデータがデータ格納部20の記憶エリアに順次格納される。この際、後述するデータ抽出部22では、タイムスタンプt1とタイムスタンプt2との間の時間帯をフェーズ1、タイムスタンプt2とタイムスタンプt3との間の時間帯をフェーズ2、・・・、タイムスタンプt(n-1)とタイムスタンプtnとの間の時間帯をフェーズ(n-1)として、データ格納部20に格納されたデータを管理する。なお、本実施例では、説明の便宜上、データ格納部20に格納されるデータのタイムスタンプt1~tnと変化記述格納部14に格納される変化記述データの変化時刻t1~tnを同じ時刻としている。
【0021】
データ抽出部22は、データ抽出支持者が操作するデータ抽出指示部24から、抽出対象項目(データ項目)と時刻(変化時刻)を含む抽出要求が入力された場合、抽出要求を基に変化記述格納部14とデータ格納部20を検索対象として検索し、抽出要求で指定された時刻のデータとして、変化記述格納部14から変化記述のデータを、データ格納部20からは検査データをそれぞれ抽出し、データ格納部20から抽出された検査データを、抽出要求で指定された時刻(変化時刻)を基準時刻とする検査データで特定される、変化記述データの内容で正規化し、正規化されたデータを、抽出済みデータとして抽出済みデータ格納部26に格納する。
【0022】
データ管理システム1のソフトウェア資源において、プロセッサが、主記憶装置に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、変化入力部10と、変化記述登録部12と、変化記述格納部14と、データ生成部16と、データ登録部18と、データ格納部20と、データ抽出部22と、データ抽出指示部24と、抽出済みデータ格納部26の様々な機能が実現される。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る表示装置の表示例を示す構成図である。
図2において、表示装置の表示画面100は、変化入力者が、操作端末を操作して、データ管理システム1に情報を入力するための画面であって、変更時刻欄101と、変更形態欄102と、等価機器ID欄103と、追加機器ID欄104と、ライン構成図表示領域105から構成される。変化入力者が、検査仕様等のデータを変更した時刻を、例えば、「2021年1月12日8時12分43秒」とする操作を行うと、変更時刻欄101には、「2021-01-12T08:12:43+0900」の情報が表示される。変化入力者が、例えば、検査装置として等価機器を追加する操作を行うと、変更形態欄102には、「等価機器追加」の情報が表示される。変化入力者が、追加される検査装置(追加機器)に並列接続される検査装置であって、追加機器と同一の性能を有する検査装置(等価機器)を特定する操作を行うと、等価機器ID欄103には、等価機器を一意に識別する機器識別子として、例えば、「E12」の情報が表示される。変化入力者が、追加される検査装置(追加機器)を特定する操作を行うと、追加機器ID欄104には、追加機器を一意に識別する機器識別子として、例えば、「E13」の情報が表示される。ライン構成表示領域105には、製造ラインEのライン構成に属する各検査装置(機器)を一意に識別する機器識別子(「E01」、「E11」、「E12」、「E21」、「E31」)と、各機器相互の接続関係を示す接続線の情報が表示される。この場合、機器識別子E13の追加機器は、機器識別子E12の等価機器と並列に接続された状態で、製造ラインEに追加される。これにより、製造ラインEにおいては、変更時刻以降、等価機器(E12)の検査結果のデータと追加機器(E13)の検査結果のデータは共に同じデータとして管理される。
【0024】
表示装置の表示画面200は、変化入力者が、操作端末を操作して、データ管理システム1に情報を入力するための画面であって、変更時刻欄201と、変更形態欄202と、旧項目ID欄203と、新項目ID欄204と、変換規則欄205と、ライン構成図表示領域206から構成される。変化入力者が、検査装置(E21)に関する検査仕様等のデータを変更した時刻を、例えば、「2021年1月12日8時12分43秒」とする操作を行うと、変更時刻欄201には、「2021-01-12T08:12:43+0900」の情報が表示される。変化入力者が、例えば、製造ラインEにおける検査装置(E21)の検査仕様を変更する操作を行うと、変更形態欄202には、「検査仕様変更」の情報が表示される。変化入力者が、製造ラインEにおける検査装置(E21)の検査仕様の変更前の項目を特定する操作を行うと、旧項目ID欄203には、検査仕様の旧項目を識別する検査項目識別子として、例えば、「E21-a」の情報が表示される。変化入力者が、製造ラインEにおける検査装置(E21)の検査仕様の変更後の項目を特定する操作を行うと、新項目ID欄204には、検査仕様の新項目を識別する検査項目識別子として、例えば、「E21-a’」の情報が表示される。
【0025】
変化入力者が、旧変換規則の検査仕様を新変換規則の仕様に変換するための操作を行うと、変換規則欄205には、旧変換規則の検査仕様を新変換規則の仕様に変換するための変換規則として、例えば、「E21-a’=E21-a*0.01」の情報が表示される。これは、変化時刻「2021年1月12日8時12分43秒」以降のデータ項目E21-aに属するデータに対するスケールが、1/100となり、各フェーズのデータのスケールを揃えて計算するためには、上記変更時刻以前のデータに対しては、0.01を掛けて比較することを意味する。
【0026】
ライン構成表示領域206には、ライン構成表示領域105と同様に、製造ラインEを構成する各機器を一意に識別する機器識別子(「E01」、「E11」、「E12」、「E21」、「E31」)と、各機器相互の接続関係を示す情報が表示される。
【0027】
図3は、本発明の実施例1に係る変化記述データの構成例を示す構成図である。
図3において、変化記述格納部14には、例えば、同義関係の変化記述を含む変化記述データ300が格納される。変化記述データ300は、JSONのデータ形式で記載したデータであって、同義関係のデータの記述例である。変化記述データ300には、例えば、検査装置である機器E12と同じ性能を有する機器E13(機器E12と同義関係を有する機器)が、「2021年1月12日8時12分43秒」の時刻に製造ラインEに追加される場合、「cd:from」で特定される、変更時刻(変化時刻)の値(「rdf:value」)として、「2021-01-12T08:12:43+0900」のデータが記録され、「cd:object」で特定される値であって、等価機器の値(「line:name」)として、「E12」のデータが記録され、追加機器の値(「cd:addedSame」)として、「E13」のデータが記録される。
【0028】
この際、追加機器を特定するデータ(「cd:addedSame」)及びその値(「E13」)と、等価機器を特定するデータ(「line:name」)及びその値(「E13」)とから、変化記述データ300が、同義関係のデータで構成されることを判別することができる。すなわち、機器E12と機器E13が、互いに同義関係を有する機器であることを判別することができる。なお、これらのデータが格納された後、格納されたデータを取り消す変化が生じた場合、「cd:expiredAt」をキーとして、「cd:from」と同様の形式で、取り消し対象のデータが無効になった時刻を追記する操作が実行される。
【0029】
図4は、本発明の実施例1に係る変化記述データの他の構成例を示す構成図である。
図4において、変化記述格納部14には、例えば、異義関係の変化記述を含む変化記述データ400が格納される。変化記述データ400は、JSONのデータ形式で記載したデータであって、異義関係のデータの記述例である。この変化記述データ400には、例えば、検査装置の検査仕様が変更され、検査項目が、旧項目から新項目に変更された時刻が、「2021年1月12日8時12分43秒」である場合、「cd:from」で特定される、変更時刻(変化時刻)の値「rdf:value」として、「2021-01-12T08:12:43+0900」のデータが記録される。また、変化記述データ400には、「cd:object」で特定される、旧項目の値「cd:fromItem」(項目名)として、「E21-a」のデータが記録され、新項目の値「cd:toItem」として、「E21-a’」のデータが記録され、変換規則の値「cd:convEq」として、「E21-a’=E21-a*0.01」のデータが記録される。
【0030】
この際、旧項目を特定するデータ(「cd:fromItem」)及びその項目名のデータ(「E21-a」)と、新項目を特定するデータ(「cd:toItem」)及びその項目名のデータ(「E21-a’」)、変換規則を特定するデータ(「cd:convEq」)から、変化記述データ400が、異義関係のデータで構成されることを判別することができる。すなわち、旧項目(検査項目)と新項目(検索項目)は、検査仕様が異なり、互いに異義関係にあるので、変換規則が規定されていることを判別することができる。
【0031】
変更された変換規則は、変更時刻以降、旧項目のデータには、定数「0.01」を掛けて、データ算出時のスケールが1/100となることを意味している。なお、これらのデータが格納された後、格納されたデータを取り消す変化が生じた場合、「cd:expiredAt」をキーとして、「cd:from」と同様の形式で、取り消し対象のデータが無効になった時刻を追記する操作が実行される。
【0032】
図5は、本発明の実施例1に係るデータ抽出部の前処理の一例を示すフローチャートである。
図5において、データ抽出部22は、変化記述格納部14に格納された変化記述データ300、400を検索対象として検索し、変化記述格納部14に格納された変化記述データ、例えば、変化記述データ300、400の中から、何らかの変化があった時刻(変化時刻)を抽出する(S11)。この際、例えば、変化記述格納部14に格納された変化記述データ300、400の中に、変化時刻(変更時刻)t1、t2、t3、・・・、tnが存在する場合、これらの変化時刻t1~tnを抽出する。
【0033】
次に、データ抽出部22は、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、各変化記述が有効な期間内に含まれる変化時刻(変更時刻)を1以上抽出し、各変化記述を抽出された変化時刻(1以上の変化時刻)で分割する(S21)。例えば、ある変化記述Aの有効な期間が変化時刻aから変化時刻bであって、変化時刻a~変化時刻bの有効期間内に属する変化時刻がt3(変化時刻a〈変化時刻t3〈変化時刻b〉であった場合、変化記述Aを、変化時刻a~変化時刻t3に属する変化記述A1と、変化時刻t3~変化時刻bに属する変化記述A2に分割する。ここで、有効な期間とは、ある変化記述Aの変化時刻aより後の変化時刻を持ち、且つ変化記述Aの変化記述に含まれる変更内容を上書きする変更内容(例えば、機器E12に対して、同じ意味の機器E13を追加した変化記述の後に、機器E12と機器E13が同じ意味ではなくなったという変化記述が現れた場合)のうち変化記述Aに最も近い変更内容の変化時刻が変化時刻bのとき、変化時刻a~変化時刻bが、変化記述Aの有効な期間内である。
【0034】
図6は、本発明の実施例1に係るデータ抽出部の変化記述データ抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図6において、データ抽出部22は、データ抽出指示者から、データ抽出指示部24を介して、「時刻t_qの時点でのデータ項目i_qを抽出せよ」との指示による抽出要求を入力した場合、時刻t_qを基に変化記述格納部14内の変化記述データを検索し、変化記述データのうち、変化時刻t_qが含まれるフェーズ(時間帯)を特定し、特定したフェーズをフェーズp_qとする(S21)。なお、以下、tはtime、iはitem、pはphase、qはtime、phase等の番号、convはconvertを意味する。
【0035】
次に、データ抽出部22は、変化記述データのうち、特定したフェーズp_qに含まる同義関係の記述を示すデータ(同義関係記述データ)を変化記述格納部14から収集し、収集した同義関係記述データの中から、データ抽出指示者から指示されたデータ項目i_qと同義なデータ項目を抽出し、抽出したデータ項目でデータ項目i_qを更新する(S22)。例えば、
図3の変化記述データ300の中から、データ抽出指示者から指示されたデータ項目i_qが「line:name」:「E12」である場合、このデータ項目と同義なデータ項目として、「cd:addedSame」:「E13」を抽出する。
【0036】
次に、データ抽出部22は、変数cの初期値をフェーズp_qに用いるqの値で初期化する(S23)。
【0037】
次に、データ抽出部22は、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、データ項目i_cを対象とした異義関係の変化記述を示すデータ(異義関係記述データ)を収集し、収集した異義関係記述データを基にフェーズp_c-1のデータに対する変換規則群conv_c-1_cを作成する(S24)。例えば、データ項目i_cを対象とした異義関係の変化記述として、
図4の「cd:toItem」にデータ項目i_cが含まれるもの(E21-a)を収集し、収集したデータを基に、フェーズp_c-1のデータ(フェーズp_c-1に含まれた変化時刻を持つ変化記述のデータ)に対する変換規則群conv_c-1_cを作成する。具体的には、フェーズp_c-1内の時刻を変化時刻としてもつ変化記述であって、例えば、
図4の変換規則「cd:convEq」の情報「E21-a’=E21-a*0.01」を変換規則群conv_c-1_cとして作成する。この際、変更時刻:2021年1月12日8時12分43秒以降のデータ項目E21-a’は、それ以前のデータ項目E21-aの1/100の値と同じになることを意味している。このため、上記変更時刻より前のデータ項目の値を1/100にすることで、上記変更時刻より前のデータ項目の値を、上記変更時刻のフェーズp_cに属するデータ項目の値と同じ基準で比べることができる。
【0038】
次に、データ抽出部22は、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、フェーズp_cよりも一つ手前のフェーズp_c-1に属する変化記述データであって、同義関係の変化記述データを抽出する(S25)。例えば、
図3に示す変化記述データ300の中から、追加装置を特定する変化記述データとして「@type:cd:addEquipment」の情報(「E13」)を抽出する。また、データ抽出部22は、ステップS25では、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、フェーズp_c内の同義関係のうち、「line:name」に現れたデータ項目と同義なデータ項目を抽出し、抽出したデータ項目をデータ項目i_c-1とする。例えば、
図3に示す変化記述データ300のうち、「line:name」に現れたデータ項目E12と同義なデータ項目として、E12と等価な機器E13が追加されたことを意味するデータ項目「cd:addedSame」:「E13」をデータ項目i_c-1とする。
【0039】
次に、データ抽出部22は、変数cをc-1に設定し(S26)、変数cが0よりも大きいか否かを判定し(S27)、変数cが0よりも大きい場合、ステップS24に戻り、変数cが0になるまで、変化時刻t_qよりも前のデータを収集するために、ステップS24~ステップS27の処理を繰り返し、変数cが0より小さい場合、ステップS28に移行し、変数cをqに再度設定する。
【0040】
次に、データ抽出部22は、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、フェーズp_c+1に属する異義関係の変化記述を示すデータであって、データ項目i_cを対象とした変化記述データを収集し、収集した変化記述データを基に、フェーズp_c+1に属するデータに対する変換規則群conv_c+1_cを作成する(S29)。例えば、フェーズp_c+1に属する異義関係の変化記述データであって、データ項目i_cを対象とした変化記述データとして、
図4の変化記述データ400の中から、「cd:from:Item」にデータ項目i_cの情報(E12)が含まれているものを収集する。この際、フェーズp_c+1に属するデータに対する変換規則群conv_c+1_cは、例えば、フェーズp_c+1内の時刻を変化時刻にもつ変化記述データのうち、
図4の「cd:convEq」で特定される情報(「E21-a’=E21-a*0.01」)である。これは、変化時刻(変更時刻):2021年1月12日8時12分43秒以降のデータ項目E21-a’のデータは、それ以前のデータ項目E21-aのデータの1/100の値と同じになることを意味している。このため、上記変更時刻より後のデータ項目に対しては、逆関数の変換規則を適用し、上記変更時刻より後のデータ項目のデータの値を100倍にすることで、上記変更時刻より後のデータ項目のデータの値を、上記変更時刻のフェーズp_cに属するデータ項目のデータの値と同じ基準で比べることができる。
【0041】
次に、データ抽出部22は、ステップS30において、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、フェーズp_cの次のフェーズp_c+1に属する同義関係の変化記述データを抽出する。例えば、
図3に示す変化記述データ300の中から、追加装置を特定する変化記述データとして「@type:cd:addEquipment」の情報(「E13」)を抽出する。続いて、データ抽出部22は、ステップS30において、フェーズp_cにおける抽出対象のデータ項目i_cから、フェーズp_c+1の変化記述データの「cd:addedSame」に現れるデータ項目を削除する。例えば、「cd:addedSame」で特定されるデータ項目の情報である、「E13」を削除する。これは、フェーズp_c+1の変化記述データのうち、「cd:addedSame」で特定されるデータ項目は、フェーズp_c+1以降は、同義関係の変化記述とはならないためである。
【0042】
この後、データ抽出部22は、ステップS30において、「cd:addedSame」で特定されるデータ項目が削除された、抽出対象のデータ項目i_cの初期値i_c+1を作成し、変化記述格納部14に格納された各変化記述データの中から、初期値i_c+1と同義関係のデータ項目を抽出し、抽出したデータ項目で初期値i_c+1を更新する。この際、同義関係のデータ項目群の中から、フェーズp_cにおける抽出対象のデータ項目i_cを削除したものを、フェーズp_c+1における同義関係のデータ項目群とする。また、フェーズp_c+1の変化記述データの中に、
図3の「line:name」に現れるデータ項目の情報(E12)が、初期値i_c+1に含まれる場合、「line:name」に対応する「cd:addedSame」で特定されるデータ項目の情報(E13)を、初期値i_c+1と同義関係のデータ項目として抽出し、抽出した情報を初期値i_c+1に追加する。
【0043】
次に、データ抽出部22は、変数cをc+1に設定し(S31)、その後、変数cがn(n:変化時刻の数を示す整数)よりも小さいか否かを判定し(S32)、変数cがnよりも小さい場合、ステップS29に戻り、変数cがnより大きくなるまで、変化時刻tqよりも後のデータを収集するために、ステップS29~ステップS32の処理を繰り返し、変数cがnより大きい場合、全ての処理が終了したとして、このルーチンでの処理を終了する。
【0044】
図7は、本発明の実施例1に係るデータ抽出部のデータ正規化処理の一例を示すフローチャートである。
図7において、データ抽出部22は、フェーズpに相当する変数kを1に設定し(S41)、フェーズp_k内のタイムスタンプをもち、抽出対象項目i_kに含まれるデータ項目をデータ格納部20から抽出する(S42)。例えば、データ格納部20に、タイムスタンプの情報として、「timestamp:2021-01-10T08:12:12+0900」が格納され、データ項目の情報として、「E12-a:10」、「E13-z:20」が格納されている場合、これらの情報がデータ格納部20から抽出される。
【0045】
次に、データ抽出部22は、データ格納部20から抽出されデータ項目に対して、変換規則conv_pk_pk+1を使って、そのデータの意味を変換する(S43)。例えば、変換規則conv_pk_pk+1として、
図6のステップS24で作成した変換規則群conv_c-1_cと同じ変換規則を使用する場合、変換規則「E21-a’=E21-a*0.01」を使用して、データ項目の意味を変換する。この際、データ格納部20から抽出されデータ項目に「E21」の情報が含まれる場合、その値に「0.01」を乗じる処理が実行される。
【0046】
次に、データ抽出部22は、データ格納部20から収集したデータのうち、フェーズp_kに属するデータを、以降フェーズp_k+1のデータとして扱う(S44)。すなわち、フェーズp_kのデータは、フェーズp_k+1における変換規則を用いて、フェーズp_k+1におけるデータに変換されるので、変換後には、フェーズp_k+1のデータとして処理される。
【0047】
次に、データ抽出部22は、変数kの値をk+1に設定し(S45)、その後、変数kはフェーズ番号qよりも小さいか否かを判定し(S46)、変数kがフェーズ番号qよりも小さい場合、ステップS42に戻り、変数kがフェーズ番号qよりも大きくなるまで、ステップS42~ステップS46の処理を繰り返し、変数kがフェーズ番号qよりも大きい場合、変数kをn-1に設定し、変数kを最後のフェーズ番号(n-1)で初期化する(S47)。
【0048】
次に、データ抽出部22は、フェーズp_k内のタイムスタンプをもち、抽出対象項目i_kに含まれるデータ項目をデータ格納部から抽出する(S48)。例えば、データ格納部20に、タイムスタンプの情報として、「timestamp:2021-01-10T08:12:12+0900」が格納され、データ項目の情報として、「E12-a:10」、「E13-z:20」が格納されている場合、これらの情報がデータ格納部20から抽出される。
【0049】
次に、データ抽出部22は、データ格納部20から抽出されデータ項目に対して、変換規則conv_pk_pk-1を使って、そのデータの意味を変換する(S49)。例えば、変換規則conv_pk_pk-1として、
図6のステップS29で作成した変換規則群conv_c-1_cと同じ変換規則で逆関数の変換規則を使用する場合、変換規則「E21-a’=E21-a*0.01」を使用して、データ項目の意味を変換する。この際、データ格納部20から抽出されデータ項目に「E21」の情報が含まれる場合、逆関数の変換規則により、その値に「100」を乗じる処理が実行される。
【0050】
次に、データ抽出部22は、データ格納部20から収集したデータのうち、フェーズp_kに属するデータとして収集したデータを、以降フェーズp_k-1のデータとして扱う(S50)。すなわち、フェーズp_kのデータは、フェーズp_k-1における変換規則を用いて、フェーズp_k-1におけるデータに変換されるので、変換後には、フェーズp_k-1のデータとして処理される。
【0051】
次に、データ抽出部22は、変数kの値をk-1に設定し(S51)、その後、変数kはフェーズ番号qよりも大きいか否かを判定し(S52)、変数kがフェーズ番号qよりも大きい場合、ステップS48に戻り、変数kがフェーズ番号qよりも小さくなるまで、ステップS48~ステップS52の処理を繰り返し、変数kがフェーズ番号qよりも小さい場合、ステップS53に移行する。
【0052】
ステップS53において、データ抽出部22は、ステップS43で変換されたデータとステップS49で変換されたデータとを含む全てのデータをフェーズp_qのデータとして、このフェーズp_qのデータを抽出済みデータ格納部20に格納し、データ抽出指示部24を介してデータ抽出支持者にデータ格納が完了したことを知らせ、その後、このルーチンでの処理を終了する。この際、フェーズp_qのデータは、フェーズp_1~フェーズp_n-1のデータを、変化時刻t_qの時点で正規化したデータを意味する。
【0053】
本実施例において、データ抽出部22は、抽出要求を受信した場合、抽出要求で指定された時刻に属し、且つ抽出要求で指定された抽出対象項目に相当する検査データをデータ格納部20から抽出し、抽出要求で指定された時刻に属する変更時刻における変化記述データを変化記述格納部14から抽出し、抽出された変化記述データの中に同義関係又は異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に抽出された検査データを正規化して出力することができる。すなわち、データに変更が生じた場合、変更の内容と変更時刻が、同義関係のデータ又は異義関係のデータとして変化記述データに記録されるので、変更の内容が、同義関係又は異義関係であっても、抽出要求で指定された抽出対象項目の検査データを、抽出要求で指定された時刻を基準とした基準時刻における検査データの内容に合わせて正規化して抽出することができ、結果として、抽出要求で指令された任意の時点(時刻)を基準とした検査データを抽出することができる。
【0054】
また、データ抽出部22は、検査データを抽出するに際して、抽出要求で指定された時刻を示す基準時刻よりも前の時間帯に属し、且つ抽出要求で指定された抽出対象項目に相当する検査データを、基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データとしてデータ格納部20から抽出することができる。さらに、データ抽出部22は、変化記述データを判別するに際して、基準時刻よりも前の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係又は異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することができる。すなわち、基準時刻より前の時間帯におけるデータに変更があっても、その変更の内容と変更時刻が、同義関係のデータ又は異義関係のデータとして変化記述データに記録されている場合、基準時刻より前の時間帯におけるデータの変更の内容が、同義関係又は異義関係であっても、抽出要求で指定された抽出対象項目の検査データであって基準時刻より前の時間帯における検査データを、抽出要求で指定された時刻を基準とした時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化して抽出することができる。
【0055】
また、データ抽出部22は、検査データを抽出するに際して、抽出要求で指定された時刻を示す基準時刻よりも後の時間帯に属し、且つ抽出要求で指定された抽出対象項目に相当する検査データを、基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データとしてデータ格納部20から抽出することができる。さらに、データ抽出部22は、変化記述データを判別するに際して、基準時刻よりも後の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係又は異義関係のデータが存在するか否かを判別し、当該判別結果を基に基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することができる。すなわち、基準時刻より後の時間帯におけるデータに変更があっても、その変更の内容と変更時刻が、同義関係のデータ又は異義関係のデータとして変化記述データに記録されている場合、基準時刻より後の時間帯におけるデータの変更の内容が、同義関係又は異義関係であっても、抽出要求で指定された抽出対象項目の検査データであって基準時刻より後の時間帯における検査データを、抽出要求で指定された時刻を基準とした時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化して抽出することができる。
【0056】
また、データ抽出部22は、基準時刻よりも前の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係のデータが存在すると判別した場合、変化記述データの中の同義関係のデータを基に、基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、同義関係のデータで変換された基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化し、基準時刻よりも前の時間帯に属する変化記述データの中に異義関係のデータが存在すると判別した場合、異義関係のデータを基に異義関係の変換規則を作成し、作成された異義関係の変換規則を基に基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを変換し、異義関係の変換規則で変換された基準時刻よりも前の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することができる。
【0057】
例えば、基準時刻よりも前の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係のデータとして、変化記述データ300に属するデータが存在する場合、これらのデータで特定される検査データを基準時間における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することで、基準時刻よりも前の時間帯に属する同義関係の検査データを、基準時間における検査データと同様のスケールで扱うことができる。また、基準時刻よりも前の時間帯に属する変化記述データの中に異義関係のデータとして、変化記述データ400に属するデータが存在する場合、これらのデータで特定される検査データを、変化記述データ400で生成される変換規則で変換し、変換された検査データを基準時間における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することで、基準時刻よりも前の時間帯に属する異義関係の検査データを基準時間における検査データと同様のスケールで扱うことができる。
【0058】
また、データ抽出部22は、基準時刻よりも後の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係のデータが存在すると判別した場合、変化記述データの中の同義関係のデータを基に基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、同義関係のデータで変換された基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化し、基準時刻よりも後の時間帯に属する変化記述データの中に異義関係のデータが存在すると判別した場合、異義関係のデータを基に異義関係の変換規則を作成し、作成された異義関係の変換規則を基に基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを変換し、異義関係の変換規則で変換された基準時刻よりも後の時間帯に属する検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することができる。
【0059】
例えば、基準時刻よりも後の時間帯に属する変化記述データの中に同義関係のデータとして、変化記述データ300に属するデータが存在する場合、これらのデータで特定される検査データを基準時刻における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することで、基準時刻よりも後の時間帯に属する同義関係の検査データを、基準時間における検査データと同様のスケールで扱うことができる。また、基準時刻よりも後の時間帯に属する変化記述データの中に異義関係のデータとして、変化記述データ400に属するデータが存在する場合、これらのデータで特定される検査データを、変化記述データ400で生成される変換規則で変換し、変換された検査データを、基準時間における検査データに対応した変更内容に合わせて正規化することで、基準時刻よりも後の時間帯に属する異義関係の検査データを、基準時間における検査データと同様のスケールで扱うことができる。
【0060】
また、変化記述登録部12は、変化入力者の操作に基に、変化記述格納部14に格納された変化記述データとは異なる変化記述データ、例えば、新規となる変化記述データを登録することができる。これにより、現場の製造ラインで検査仕様などに新たに変化があった場合でも、検査データの正規化に必要な情報や手順を書き換えることなく、新たに変化が生じた内容を変化記述データに追記するのみで、同義関係のデータと異義関係のデータとを判別して変化記述データを管理することができ、効率よく現場の変化に追従することが可能になる。
【0061】
本実施例によれば、同義関係のデータと異義関係のデータとを判別して変化記述データを管理することができ、結果として、抽出要求で指令された任意の時点(時刻)を基準とした検査データを抽出することができる。
【0062】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、変化記述格納部14とデータ格納部20をデータベース或いは記憶部として一体化することもできる。前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。
【0063】
また、前述した各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0064】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 データ管理システム、10 変化入力部、12 変化記述登録部、14 変化記述格納部、16 データ生成部、18 データ登録部、20 データ格納部、22 データ抽出部、24 データ抽出指示部、26 抽出済みデータ格納部