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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】画像評価装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250213BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G01B11/16 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021129645
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023802
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 崇
(72)【発明者】
【氏名】金野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 聡志
(72)【発明者】
【氏名】高見 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 史十
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 光弘
(72)【発明者】
【氏名】古林 沙夜香
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01B 11/16
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の特定の部位の撮像画像が前記特定の部位の摩耗量の測定に用いられる測定用画像に適しているかを評価する画像評価装置であって、
前記特定の部位の輪郭を含む学習用画像と、前記学習用画像に含まれる前記特定の部位の輪郭を特定するための複数の特徴点とが教師データとして機械学習されており、前記撮像画像に含まれる前記特定の部位の輪郭を特定する特徴点を抽出する特徴点抽出部と、
前記摩耗量の測定に適した方向から撮像された前記学習用画像における前記特徴点から算出された、前記撮像画像を評価するための基準となる基準値を記憶する基準値記憶部と、
前記特徴点抽出部により抽出された前記撮像画像における前記特徴点と、前記基準値記憶部に記憶された前記基準値とに基づいて、前記撮像画像が前記測定用画像に適しているかを評価する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出された前記評価値に応じて、前記撮像画像が前記測定用画像として利用できるか否かを判定する画像判定部と、
を備えることを特徴とする画像評価装置。
【請求項2】
前記測定用画像を抽出する画像抽出部を更に備え、
前記撮像画像は、予め撮像された動画像又は複数の静止画像であり、
前記画像抽出部は、前記画像判定部の判定結果に応じて、前記動画像を構成する複数のフレーム画像又は前記複数の静止画像の中から前記測定用画像を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像評価装置。
【請求項3】
前記特定の部位を撮像する撮像装置の位置又は姿勢を案内する撮像案内部を更に備え、
前記撮像画像は、前記撮像装置により取得されたライブビュー画像であり、
前記撮像案内部は、前記画像判定部により前記ライブビュー画像が前記測定用画像として利用できないと判定された場合、前記ライブビュー画像が前記測定用画像として利用できるよう前記撮像装置の位置又は姿勢を案内するメッセージを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の継続的な稼働により、作業機械を構成する部位が摩耗することがある。摩耗する部位の摩耗状態を適切に管理するため、当該部位の摩耗量を測定することがある。摩耗量の測定手法としては、カメラ等の撮像装置を用いて摩耗する部位を撮像し、当該部位の撮像画像から当該部位の輪郭を特定し、摩耗前の当該部位の輪郭と比較することによって、当該部位の摩耗量を測定する手法がある。
【0003】
上記の測定手法では、摩耗する部位の撮像画像が、摩耗量の測定に適した画像であることが重要である。例えば、クローラ式の油圧ショベルでは、下部走行体のスプロケットが摩耗することがある。スプロケットの摩耗量を測定する場合、スプロケットの正面に撮像装置を正対させて撮像された真正面画像でなければ、摩耗量の測定精度を担保することが難しい。
【0004】
真正面画像のような特定の方向から撮像された画像を取得する技術として、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1は、被写体面を撮像する撮像手段と、撮像手段を基準とした被写体面の向きを計測する平面計測手段と、計測した被写体面の向きに基づいて撮像手段が撮像した画像の斜め撮影による歪みを補正する画像歪み補正手段と、を備える画像処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-307947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術を摩耗量の測定に採用する場合、平面計測手段という特別な手段を撮像前に予め用意しておき、撮像時に平面計測手段を使用して、摩耗する部位を撮像する必要がある。この場合、平面計測手段という特別な手段を、作業機械の保守員やユーザに対して配布しなければならないので、特許文献1の技術を摩耗量の測定に採用することは現実的ではない。特に、特許文献1の技術を採用しても、スマートフォン等によって摩耗する部位を気軽に撮像して当該部位の摩耗量を測定することは難しい。
【0007】
また、特許文献1の技術は、平面計測手段という特別な手段を撮像時に使用して摩耗する部位を撮像する必要があるので、当該手段を使用せずに既に撮像された撮像画像に対して特許文献1の技術を適用することができない。
【0008】
このようなことから、作業機械の摩耗する部位を撮像した撮像画像が、摩耗量の測定に適した画像であるかを適切且つ容易に評価することができる技術が求められている。
【0009】
上記事情に鑑みて、本発明は、作業機械の摩耗する部位の撮像画像が摩耗量の測定に適した画像であるかを適切且つ容易に評価して、摩耗量の測定作業の簡略化及び効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の画像評価装置は、作業機械の特定の部位の撮像画像が前記特定の部位の摩耗量の測定に用いられる測定用画像に適しているかを評価する画像評価装置であって、前記特定の部位の輪郭を含む学習用画像と、前記学習用画像に含まれる前記特定の部位の輪郭を特定するための複数の特徴点とが教師データとして機械学習されており、前記撮像画像に含まれる前記特定の部位の輪郭を特定する特徴点を抽出する特徴点抽出部と、前記摩耗量の測定に適した方向から撮像された前記学習用画像における前記特徴点から算出された、前記撮像画像を評価するための基準となる基準値を記憶する基準値記憶部と、前記特徴点抽出部により抽出された前記撮像画像における前記特徴点と、前記基準値記憶部に記憶された前記基準値とに基づいて、前記撮像画像が前記測定用画像に適しているかを評価する評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値算出部により算出された前記評価値に応じて、前記撮像画像が前記測定用画像として利用できるか否かを判定する画像判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業機械の摩耗する部位の撮像画像が摩耗量の測定に適した画像であるかを適切且つ容易に評価して、摩耗量の測定作業の簡略化及び効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1の画像評価装置を備える摩耗量測定システムの構成を模式的に示す図。
図2図1に示す作業機械の構成を示す図。
図3図1に示す画像評価装置の機能的構成を示すブロック図。
図4図3に示す基準値算出部及び評価値算出部の詳細構成を示すブロック図。
図5】スプロケットの摩耗量の測定に適した真正面画像を模式的に示す図。
図6】スプロケットの輪郭を特定する特徴点を説明する図。
図7】基準値の学習モードでの画像評価装置の動作を示すフローチャート。
図8】画像抽出モードでの画像評価装置の動作を示すフローチャート。
図9】実施形態2の画像評価装置が備える基準値算出部及び評価値算出部の詳細構成を示すブロック図。
図10】バケットの先端部の構成を模式的に示す図。
図11】ツースの摩耗量の測定に適した斜視画像を模式的に示す図。
図12】ツース及びアダプタの輪郭を特定する特徴点を説明する図。
図13】実施形態3の画像評価装置の機能的構成を示すブロック図。
図14】自動撮像モードでの画像評価装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0014】
現在のAI技術を用いれば、スプロケット63(図2参照)やツース693(図10参照)等の作業機械6の摩耗する部位を含む撮像画像461から摩耗量を自動で測定することが可能である。但し、摩耗量の測定にはmm単位の高い精度が求められることがある。高精度の測定を担保するために摩耗量の測定に用いられる画像(以下「測定用画像」とも称する)は、作業機械6の部位毎に異なる。
【0015】
例えば、スプロケット63の測定用画像は、スプロケット63の正面633に撮像装置31を正対させて撮像された真正面画像である(図5参照)。スプロケット63には、摩耗前のスプロケット63の歯631及び歯底632(図5参照)に隙間なくフィットする測定ゲージ画像が存在する。スプロケット63の摩耗量は、スプロケット63の撮像画像461に含まれる歯631及び歯底632と測定ゲージ画像との隙間の大きさを、画像処理により測定することによって、容易に測定することができる。2次元の撮像画像461及び測定ゲージ画像からスプロケット63の摩耗量を高精度で測定するためには、奥行きが殆ど写っていない真正面画像に対して測定ゲージ画像をフィットさせることが重要である。よって、スプロケット63の測定用画像は、撮像装置31をスプロケット63の正面633に正対させて撮像された真正面画像である。
【0016】
一方、ツース693の測定用画像は、後述するアダプタ692及びツース693のそれぞれの正面694及び側面695が写るよう、ツース693の正面694に対して適度に斜め方向から撮像装置31を向けて撮像された画像(以下「斜視画像」とも称する)である(図11を参照)。ツース693には、真正面の基準となる平面が存在しないので、ツース693の撮像画像461が如何に真正面画像に近いかを評価することは困難である。むしろ、ツース693の側面695の情報を利用すべきである。なぜなら、ツース693とアダプタ692との境界部696を測定基準とすれば、バケット69が回転していても、摩耗量の測定において問題とならないからである。発明者らは実験を重ねて、境界部696を測定基準とすることによって、画像による摩耗量の測定値と実測値との差異を僅少にすることができることを、立証することに成功した。よって、ツース693の測定用画像は、アダプタ692及びツース693のそれぞれの正面694及び側面695が写るよう、ツース693の正面694に対して適度に斜め方向から撮像された斜視画像である。
【0017】
画像評価装置40は、作業機械6の摩耗する部位を含む撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する装置である。画像評価装置40は、評価対象の撮像画像461に含まれる部位毎に適した処理を行って、様々な部位の撮像画像461を評価することができる。
【0018】
[実施形態1]
図1図8を用いて、実施形態1の画像評価装置40について説明する。
【0019】
実施形態1では、作業機械6の摩耗する部位がスプロケット63である場合に、スプロケット63の撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する画像評価装置40について説明する。
【0020】
図1は、実施形態1の画像評価装置40を備える摩耗量測定システム1の構成を模式的に示す図である。
【0021】
摩耗量測定システム1は、作業機械6の摩耗する部位の画像から当該部位の摩耗量を測定するシステムである。摩耗量測定システム1は、摩耗量測定システム1を管理するサーバ装置2と、各々が撮像装置31を備えた複数の通信端末3とが、ネットワークを介して無線通信可能に接続されたシステムである。本実施形態の摩耗量測定システム1では、画像評価装置40が通信端末3に備えられているが、画像評価装置40の全部又は一部の機能がサーバ装置2に備えられていてもよい。
【0022】
通信端末3は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯通信端末である。通信端末3は、動画像又は静止画像を撮像可能な撮像装置31と、タッチパネルティスプレイを構成する表示装置32及び入力装置33と、画像評価装置40とを備える。
【0023】
画像評価装置40は、CPU等により構成される演算処理装置401と、ROM及びRAM等により構成される記憶装置402とを備える。記憶装置402には、後述する教師データ記憶部41、基準値記憶部45及び撮像画像記憶部46等のデータ記憶領域が設けられている。記憶装置402には、後述する学習部42、特徴点抽出部43、基準値算出部44、評価値算出部47、画像判定部48及び画像抽出部49等の機能を実現する各種プログラムを記憶するプログラム記憶領域が設けられている。演算処理装置401は、記憶装置402のデータ記憶領域に記憶された各種データを用いて、記憶装置402のプログラム記憶領域に記憶された各種プログラムを実行することによって、画像評価装置40の各種機能を実現することができる。
【0024】
図2は、図1に示す作業機械6の構成を示す図である。
【0025】
作業機械6は、特に限定されないが、例えば、油圧ショベル等の建設機械であってもよい。本実施形態では、作業機械6がクローラ式の油圧ショベルであるものとして説明する。
【0026】
作業機械6は、下部走行体61と、旋回装置651を介して下部走行体61に旋回可能に取り付けられた上部旋回体65と、上部旋回体65の前部に取り付けられた多関節式のフロント作業機66とを備える。
【0027】
下部走行体61は、下部走行体61の前端部に設けられたアイドラ62と、下部走行体61の後端部に設けられ油圧モータによって駆動するスプロケット63と、アイドラ62及びスプロケット63に架けられた帯状のクローラ64とを備える。スプロケット63は、クローラ64との摩擦や、スプロケット63とクローラ64との間に入り込んだ土砂等との摩擦によって摩耗することがある。
【0028】
上部旋回体65は、上部旋回体65の前部に設けられたキャブ652と、上部旋回体65の後部に設けられ作業機械6の駆動装置を収容する機械室653とを備える。
【0029】
フロント作業機66は、上部旋回体65の前部に対して回動可能に支持されたブーム67と、ブーム67の先端部に対して回動可能に支持されたアーム68と、アーム68の先端部に対して回動可能に支持されたバケット69とを備える。ブーム67、アーム68及びバケット69は、それぞれ、ブームシリンダ671、アームシリンダ681及びバケットシリンダ691とリンクを介して接続され、これらの油圧シリンダが伸縮することによって回動する。バケット69の先端部69aには、ツース693が幅方向に間隔をあけて取り付けられている。ツース693は、掘削する土砂等との摩擦によって摩耗することがある。
【0030】
図3は、図1に示す画像評価装置40の機能的構成を示すブロック図である。図4は、図3に示す基準値算出部44及び評価値算出部47の詳細構成を示すブロック図である。図5は、スプロケット63の摩耗量の測定に適した真正面画像G1を模式的に示す図である。図6は、スプロケット63の輪郭を特定する特徴点を説明する図である。
【0031】
画像評価装置40は、スプロケット63等の摩耗する部位を含む撮像画像461から当該部位の輪郭を特定する特徴点を抽出し、当該撮像画像461が測定用画像にどの程度適しているかを評価する評価値を算出する。画像評価装置40は、算出された評価値に応じて、撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定する。特徴点の抽出機能は、機械学習によって生成されたモデルとして構築される。評価対象の撮像画像461は、既に撮像されて、予め撮像画像記憶部46に記憶されている。画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された複数の撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価し、当該複数の撮像画像461の中から測定用画像を抽出することができる。
【0032】
画像評価装置40は、教師データ記憶部41と、学習部42と、特徴点抽出部43と、基準値算出部44と、基準値記憶部45と、撮像画像記憶部46と、評価値算出部47と、画像判定部48と、画像抽出部49とを備える。
【0033】
画像評価装置40が備える機能は、特徴点の抽出機能を生成する機械学習や後述する基準値Xの算出を行う学習段階において使用又は実行される機能と、撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する利活用段階において使用又は実行される機能とに大別することができる。
【0034】
まず、画像評価装置40の学習段階に使用又は実行される機能について説明する。
教師データ記憶部41は、作業機械6の摩耗する部位の輪郭が写る学習用画像411と、学習用画像411に含まれる当該部位の輪郭を特定するための複数の特徴点の座標を示す特徴点データ412とを、互いに紐付けて記憶する。
【0035】
学習部42は、教師データ記憶部41に記憶された学習用画像411と特徴点データ412とを教師データとして、特徴点の抽出を機械学習し、特徴点抽出部43を生成する。学習部42が有する機械学習アルゴリズムは、特に限定されず、例えばランダムフォレスト等であってもよい。機械学習済みの特徴点抽出部43は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する際に、当該撮像画像461に含まれる部位の輪郭を特定する特徴点を抽出する。
【0036】
学習用画像411は、スプロケット63の外縁を形成する歯底632の正面633及び背面634の各輪郭を含む画像である。学習用画像411は、スプロケット63の歯631及び歯底632を、摩耗量の測定に適した方向を含む複数の撮像方向から撮像することによって取得される。学習用画像411は、通信端末3の撮像装置31によって撮像された画像であってもよいし、撮像装置31とは異なる他の撮像装置によって撮像された画像であってもよい。摩耗量の測定に適した方向とは、例えば、スプロケット63の正面633を含む平面に対して撮像装置31の光軸が直交するような撮像方向である。摩耗量の測定に適した方向から撮像された画像は、図5に示すような真正面画像G1である。摩耗量の測定に適した方向以外の撮像方向から撮像された画像は、図6に示すような画像G2である。図6に示す画像G2は、スプロケット63の歯底632の正面633及び背面634の各輪郭を含む画像である。
【0037】
なお、正面633は、作業機械6の左右方向外側に向かう面であり、背面634は、作業機械6の左右方向内側に向かう面であり、側面635は、正面633及び背面634に連続しスプロケット63の周方向に沿う面である。
【0038】
図6に示すように、スプロケット63の歯底632の各輪郭を含む画像では、歯底632の正面633の輪郭を近似する正面円Fと、歯底632の背面634の輪郭を近似する背面円Bとを描くことができる。スプロケット63の歯底632の各輪郭を含む画像において、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとが一致することは、当該画像が真正面画像G1であることと、ほぼ等価である。背面634の輪郭が完全に隠れた画像では、背面634の中心Cbは不明となる。スプロケット63の歯底632の各輪郭を含む画像を取得する場合、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとが写る状況から、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを重ね合わせるよう撮像装置の姿勢を変更すると、両者が近付いていく。やがて、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとが一致して背面円Bの中心Cbが消滅する。背面円Bの中心Cbが消滅した瞬間に撮像された画像は、真正面画像G1とみなすことができる。
【0039】
遠近の原理により、背面円Bの半径Rbは、正面円Fの半径Rfよりも小さくなる。よって、歯底632の正面633の輪郭と背面634の輪郭とを重ねることは不可能である。正面円F及び背面円Bを描く手法を用いずに真正面画像G1を得るには、歯底632の正面633の輪郭と背面634の輪郭とを同時並行に眺めながら両者の乖離のバランスを考慮しながら、感覚的に撮像しなければならない。これでは、真正面画像G1を得ることは非常に困難である。しかしながら、正面円F及び背面円Bを描く手法を採用することにより、上記のように正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを重ね合わせるだけの簡便な操作で、より正確な真正面画像G1を取得することができる。
【0040】
このようなことから、本実施形態の画像評価装置40は、正面円Fと背面円Bとを描くことができるスプロケット63の歯底632の各輪郭上の点の座標を、特徴点データ412とする。図6のP1~P4は、スプロケット63の歯底632の正面633の輪郭を特定する特徴点である。図6のP5~P8は、スプロケット63の歯底632の背面634の輪郭を特定する特徴点である。
【0041】
基準値算出部44は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価するための基準となる基準値Xを算出する。基準値算出部44は、図4に示すように、中心半径算出部441と、割合算出部442とを備える。
【0042】
上記のように、スプロケット63の歯底632の各輪郭を含む画像において、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとが一致することは、当該画像が真正面画像G1であることと、ほぼ等価である。但し、正面円Fの半径Rfと背面円Bの半径Rbとは異なるので、一致させるべき点は、正確には、中心Cfよりも歯底632に近い側の点、及び、中心Cbよりも歯底632に近い側の点である。この一致させるべき点は、評価対象の撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価するための基準となる点(以下「基準点」とも称する)である。正面円Fの基準点及び背面円Bの基準点を、それぞれ、半径Rf及び半径Rbに対してどの程度の割合を乗算した距離だけ中心Cf及び中心Cbから歯底632側に離れた点に設定するべきであるかは、歯底632の幅及び厚さに依存するので、スプロケット63の種類に依存する。本実施形態の画像評価装置40では、撮像画像461を評価する前に、基準値算出部44が、この割合を基準値Xとして算出し、スプロケット63の種類毎に基準値記憶部45に記憶させる。スプロケット63の歯底632の各輪郭を含む画像において、正面円Fの基準点と背面円Bの基準点とが一致することは、当該画像が真正面画像G1であることと、完全に等価である。
【0043】
このようなことから、本実施形態の画像評価装置40は、正面円Fの中心Cfよりも歯底632に近い側の点を正面円Fの基準点とし、背面円Bの中心Cbよりも歯底632に近い側の点を背面円Bの基準点とする。そして、本実施形態の画像評価装置40は、正面円Fの基準点と背面円Bの基準点とが一致する画像を、真正面画像G1とする。
【0044】
基準値算出部44は、基準値Xを算出する際、摩耗量の測定に適した方向から撮像された学習用画像411における特徴点を用いて算出する。基準値Xの算出に用いられる学習用画像411は、例えば、教師データ記憶部41に記憶された学習用画像411や、基準値Xの算出のために撮像装置31にて摩耗量の測定に適した方向から新たに撮像された学習用画像411であってもよい。基準値算出部44は、これらの学習用画像411を、機械学習済みの特徴点抽出部43に入力する。特徴点抽出部43は、歯底632の正面633の輪郭を特定する特徴点と、背面634の輪郭を特定する特徴点とを抽出する。特徴点抽出部43は、抽出された特徴点から、正面円Fと背面円Bとを特定する。
【0045】
中心半径算出部441は、特徴点抽出部43により特定された正面円Fの中心Cf及び半径Rfと、特徴点抽出部43により特定された背面円Bの中心Cb及び半径Rbとを算出する。基準値算出部44の割合算出部442は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線を算出する。割合算出部442は、算出された直線上であって、次式(1)を満たすXを算出する。
正面円Fの中心Cfからの距離(半径Rf×X)=背面円Bの中心Cbからの距離(半径Rb×X)・・・(1)
【0046】
基準値算出部44は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線上の点であって、半径Rfに対してXを乗算した距離だけ中心Cfから歯底632側に離れた点を、正面円Fの基準点とする。基準値算出部44は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線上の点であって、半径Rbに対してXを乗算した距離だけ中心Cbから歯底632側に離れた点を、背面円Bの基準点とする。基準値算出部44は、算出されたXを基準値Xとして基準値記憶部45に記憶させる。この際、基準値記憶部45は、基準値算出部44により算出された基準値Xを、スプロケット63の種類を識別する部品番号に紐付けて記憶する。
【0047】
このように、基準値記憶部45は、摩耗量の測定に適した方向から撮像された学習用画像411における特徴点から算出された、撮像画像461を評価するための基準となる基準値Xを記憶する。
【0048】
続いて、画像評価装置40の利活用段階に使用又は実行される機能について説明する。
撮像画像記憶部46は、撮像画像461を記憶する。撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461は、予め撮像された動画像又は複数の静止画像である。動画像は、所定のフレームレートによって撮像された複数のフレーム画像から構成される。画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された動画像を評価する場合、当該動画像を構成する複数のフレーム画像のそれぞれを評価することができる。
【0049】
特徴点抽出部43は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する際に、当該撮像画像461に含まれる特定の部位の輪郭を特定するための複数の特徴点を抽出する。具体的には、特徴点抽出部43には、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が入力される。特徴点抽出部43は、撮像画像461に含まれるスプロケット63の歯底632において正面633の輪郭を特定する特徴点と、背面634の輪郭を特定する特徴点とを抽出する。特徴点抽出部43は、抽出された特徴点から、正面円Fと背面円Bとを特定する。
【0050】
評価値算出部47は、特徴点抽出部43により抽出された撮像画像461における特徴点と、基準値記憶部45に記憶された基準値Xとに基づいて、撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する評価値を算出する。評価値算出部47は、図4に示すように、基準値平均算出部471と、中心半径算出部472と、差分長算出部473と、差分比算出部474とを備える。
【0051】
基準値平均算出部471は、スプロケット63の部品番号に紐付けて基準値記憶部45に記憶された複数の基準値Xの平均値Xmを算出する。中心半径算出部472は、特徴点抽出部43により特定された正面円Fの中心Cf及び半径Rfと、特徴点抽出部43により特定された背面円Bの中心Cb及び半径Rbとを算出する。
【0052】
差分長算出部473は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線を算出する。差分長算出部473は、算出された直線上において、次式(2)によって表される差分長Dを算出する。
差分長D={正面円Fの中心Cfから距離(半径Rf×Xm)だけ離れた点}-{背面円Bの中心Cbから距離(半径Rb×X)だけ離れた点}・・・(2)
【0053】
差分比算出部474は、次式(3)によって表される差分比Δを算出する。
差分比Δ=差分長D/(正面円Fの半径Rf+背面円Bの半径Rb)・・・(3)
【0054】
評価値算出部47は、差分比算出部474により算出された差分比Δを、撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する評価値とする。評価値算出部47は、評価値として算出された差分比Δを、画像判定部48に入力する。
【0055】
画像判定部48は、評価値算出部47により算出された評価値に応じて、撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定する。具体的には、画像判定部48は、評価値として算出された差分比Δを、閾値Tと比較する。閾値Tは、撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定するための閾値であり、スプロケット63の種類毎に予め定められている。閾値Tは、画像評価装置40の閾値記憶部(不図示)に、スプロケット63の部品番号に紐付けて予め記憶されている。画像判定部48は、差分比Δが閾値Tより小さければ、撮像画像461が測定用画像として利用できると判定する。画像判定部48は、差分比Δが閾値T以上であれば、撮像画像461が測定用画像として利用できないと判定する。画像判定部48は、判定結果を画像抽出部49に入力する。
【0056】
画像抽出部49は、画像判定部48の判定結果に応じて、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461の中から測定用画像を抽出する。具体的には、画像抽出部49は、画像判定部48の判定結果に応じて、撮像画像記憶部46に記憶された動画像を構成する複数のフレーム画像又は複数の静止画像の中から測定用画像に該当する撮像画像461を抽出する。画像抽出部49は、画像判定部48の判定結果において複数の撮像画像461が測定用画像に該当していた場合、測定用画像に該当する全ての撮像画像461を抽出してもよいし、差分比Δが最小であった撮像画像461だけを抽出してもよいし、差分比Δが最小のものから順に所定数の撮像画像461(例えば上位5つの撮像画像461)だけを抽出してもよい。画像抽出部49は、抽出された測定用画像に該当する撮像画像461を表示装置32に出力し、当該画像を表示装置32に表示させる。
【0057】
なお、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かの判定を行った後、当該判定結果を、撮像画像461に紐付けて撮像画像記憶部46に記憶したり、表示装置32に出力したりしてもよい。この場合、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461の中から測定用画像に該当する撮像画像461を抽出しなくてもよい。この場合、画像評価装置40は、画像抽出部49を省略してもよい。
【0058】
また、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461の全てにおいて測定用画像として利用できるか否かの判定を行わずに、差分比Δが最小の撮像画像461を測定用画像として抽出するだけでもよい。この場合、画像評価装置40は、画像判定部48を省略してもよい。
【0059】
次に、画像評価装置40の動作について説明する。画像評価装置40は、特徴点の抽出機能を生成する機械学習モードと、基準値Xを事前に算出し記憶しておく学習モードと、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461の中から測定用画像を抽出する画像抽出モードによって動作することができる。
【0060】
図7は、基準値Xの学習モードでの画像評価装置40の動作を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS701において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、基準値Xの学習モードの開始を受け付ける。
【0062】
ステップS702において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、スプロケット63の部品番号を受け付ける。
【0063】
ステップS703において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、基準値Xの消去(初期化)を受け付けたか否かを判定する。画像評価装置40は、基準値Xの消去を受け付けていない場合、ステップS705に移行する。画像評価装置40は、基準値Xの消去を受け付けた場合、ステップS704に移行する。
【0064】
ステップS704において、画像評価装置40は、基準値Xを消去する。具体的には、画像評価装置40は、基準値記憶部45に記憶された基準値X、又は、ステップS713においてエラーメッセージを出力した基準値Xを消去する。
【0065】
ステップS705において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、基準値Xの学習モードの終了を受け付けたか否かを判定する。画像評価装置40は、基準値Xの学習モードの終了を受け付けた場合、図7に示す本処理を終了する。画像評価装置40は、基準値Xの学習モードの終了を受け付けていない場合、ステップS706に移行する。
【0066】
ステップS706において、画像評価装置40は、基準値Xの算出に用いられる学習用画像411を読み込む。
【0067】
ステップS707において、画像評価装置40は、スプロケット63の歯底632の正面633の輪郭を特定する特徴点と、背面634の輪郭を特定する特徴点とを抽出する。画像評価装置40は、抽出された特徴点から、正面円Fと背面円Bとを特定する。
【0068】
ステップS708において、画像評価装置40は、正面円Fの中心Cf及び半径Rfと、背面円Bの中心Cb及び半径Rbとを算出する。
【0069】
ステップS709において、画像評価装置40は、基準値Xを算出する。具体的には、画像評価装置40は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線上であって上記の式(1)を満たすような基準値Xを算出する。
【0070】
ステップS710において、画像評価装置40は、基準値記憶部45に既に基準値Xが記憶されているか否かを判定する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に既に基準値Xが記憶されていない場合、ステップS713に移行する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に既に基準値Xが記憶されている場合、ステップS711に移行する。
【0071】
ステップS711において、画像評価装置40は、今回算出された基準値Xと、基準値記憶部45に既に記憶された基準値Xとの差が、許容範囲内か否かを判定する。画像評価装置40は、今回算出された基準値Xと、基準値記憶部45に既に記憶された基準値Xとの差が、許容範囲内である場合、ステップS713に移行する。画像評価装置40は、今回算出された基準値Xと、基準値記憶部45に既に記憶された基準値Xとの差が、許容範囲内でない場合、ステップS712に移行する。なお許容範囲か否かは、あらかじめ設定して記憶されている閾値に基づく。閾値は任意に設定しうる。
【0072】
ステップS712において、画像評価装置40は、エラーメッセージを表示装置32に出力し、ステップS703に移行する。
【0073】
ステップS713において、画像評価装置40は、今回算出された基準値Xを新たな基準値Xとして基準値記憶部45に記憶する。
【0074】
このようにして、画像評価装置40は、撮像画像461を評価するための基準となる基準値Xを事前に算出し記憶しておくことができる。
【0075】
図8は、画像抽出モードでの画像評価装置40の動作を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS801において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、画像抽出モードの開始を受け付ける。
【0077】
ステップS802において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、スプロケット63の部品番号を受け付ける。
【0078】
ステップS803において、画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されているか否かを判定する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されている場合、ステップS805に移行する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されていない場合、ステップS804に移行する。
【0079】
ステップS804において、画像評価装置40は、基準値Xが記憶されていない旨のメッセージを表示装置32に出力する。画像評価装置40は、図8に示す本処理を終了する。
【0080】
ステップS805において、画像評価装置40は、基準値記憶部45に記憶された基準値Xの平均値Xmを算出する。
【0081】
ステップS806において、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461を読み込む。
【0082】
ステップS807において、画像評価装置40は、スプロケット63の歯底632の正面633の輪郭を特定する特徴点と、背面634の輪郭を特定する特徴点とを抽出する。画像評価装置40は、抽出された特徴点から、正面円Fと背面円Bとを特定する。
【0083】
ステップS808において、画像評価装置40は、正面円Fの中心Cf及び半径Rfと、背面円Bの中心Cb及び半径Rbとを算出する。
【0084】
ステップS809において、画像評価装置40は、正面円Fの中心Cfと背面円Bの中心Cbとを通る直線上において上記の式(2)によって表される差分長Dを算出する。
【0085】
ステップS810において、画像評価装置40は、上記の式(3)によって表される差分比Δを算出する。
【0086】
ステップS811において、画像評価装置40は、算出された差分比Δが予め定められた閾値Tより小さいか否かを判定することによって、今回読み込んだ撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定する。
【0087】
ステップS812において、画像評価装置40は、ステップS811の判定結果が測定用画像として利用できることを示すか否かを判定する。画像評価装置40は、当該判定結果が測定用画像として利用できることを示さない場合、ステップS814に移行する。画像評価装置40は、当該判定結果が測定用画像として利用できることを示す場合、ステップS813に移行する。
【0088】
ステップS813において、画像評価装置40は、今回読み込んだ撮像画像461を測定用画像として抽出する。
【0089】
ステップS814において、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された全ての撮像画像461を評価したか否かを判定する。画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された全ての撮像画像461を評価していない場合、ステップS806に移行する。画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された全ての撮像画像461を評価した場合、ステップS815に移行する。
【0090】
ステップS815において、画像評価装置40は、測定用画像が抽出されたか否かを判定する。画像評価装置40は、測定用画像が抽出された場合、ステップS817に移行する。画像評価装置40は、測定用画像が抽出されなかった場合、ステップS816に移行する。
【0091】
ステップS816において、画像評価装置40は、測定用画像が抽出されなかった旨のメッセージを表示装置32に出力する。画像評価装置40は、図8に示す本処理を終了する。
【0092】
ステップS817において、画像評価装置40は、抽出された測定用画像を表示装置32に出力する。画像評価装置40は、図8に示す本処理を終了する。
【0093】
以上のように、実施形態1の画像評価装置40は、作業機械6の特定の部位(摩耗する部位、例えばスプロケット63)の撮像画像461が摩耗量の測定に用いられる測定用画像に適しているかを評価する画像評価装置である。特徴点抽出部43は、当該特定の部位の輪郭を含む学習用画像411と、学習用画像411に含まれる当該特定の部位の輪郭を特定するための複数の特徴点の座標を示す特徴点データ412とが、教師データとして、機械学習されており、撮像画像461に含まれる当該特定の部位の輪郭を特定する特徴点を抽出する。基準値記憶部45は、摩耗量の測定に適した方向から撮像された学習用画像411における特徴点から算出された、撮像画像461を評価するための基準となる基準値Xを記憶する。評価値算出部47は、特徴点抽出部43により抽出された撮像画像461における特徴点と、基準値記憶部45に記憶された基準値Xとに基づいて、撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する評価値を算出する。画像判定部48は、評価値算出部47により算出された評価値に応じて、撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定する。
【0094】
これにより、実施形態1の画像評価装置40は、例えば、特許文献1に開示された平面計測手段のような特別な手段を用いなくても、作業機械6の特定の部位の撮像画像461が、摩耗量の測定に適した画像であるかを高精度で評価することができる。更に、実施形態1の画像評価装置40は、撮像画像461が撮像済みであるか否かに関わらず、摩耗量の測定に適した画像であるかを高精度で評価することができる。したがって、実施形態1の画像評価装置40は、ユーザがスマートフォン等によって摩耗する部位を気軽に撮像した撮像画像461であっても、撮像画像461が摩耗量の測定に適した画像であるかを適切且つ容易に評価することができる。画像評価装置40を導入することによって、ユーザは、対象部位の3次元点群を取得する3次元形状測定機のような高額な手段を用いなくても、2次元の撮像画像461から摩耗量の測定を行うことができる。実施形態1の画像評価装置40は、摩耗量の測定作業の簡略化及び効率化を図ることができる。
【0095】
更に、実施形態1の画像評価装置40は、測定用画像を抽出する画像抽出部49を備える。実施形態1の評価対象の撮像画像461は、予め撮像されて撮像画像記憶部46に記憶された動画像又は複数の静止画像である。画像抽出部49は、画像判定部48の判定結果に応じて、撮像画像記憶部46に記憶された動画像を構成する複数のフレーム画像又は複数の静止画像の中から測定用画像を抽出する。
【0096】
これにより、実施形態1の画像評価装置40は、既に撮像済みの動画像集や静止画像集から、摩耗量の測定に適した画像を自動的に抽出することができる。特に、実施形態1の画像評価装置40は、何ら目的なく撮像された動画像集や静止画像集からであっても、摩耗量の測定に適した画像を自動的に抽出することができる。よって、実施形態1の画像評価装置40は、摩耗量の測定に適した画像を容易に取得することができ、摩耗量の測定作業の簡略化及び効率化を更に図ることができる。
【0097】
なお、上記の摩耗量測定システム1では、通信端末3が画像評価装置40の全部の機能を備えていたが、サーバ装置2が画像評価装置40の全部又は一部の機能を備えていてもよい。例えば、サーバ装置2が、教師データ記憶部41及び学習部42を備えており、通信端末3が、機械学習済みの特徴点抽出部43を備えていてもよい。或いは、サーバ装置2が、機械学習済みの特徴点抽出部43をも備えており、通信端末3が、サーバ装置2から送信された特徴点抽出部43の抽出結果を受信してもよい。また、サーバ装置2が、教師データ記憶部41、学習部42、特徴点抽出部43、基準値算出部44、基準値記憶部45、評価値算出部47、画像判定部48及び画像抽出部49を備えており、通信端末3が撮像画像記憶部46だけを備えていてもよい。また、サーバ装置2が撮像画像記憶部46をも備えており、通信端末3が、サーバ装置2から送信された画像抽出部49の抽出結果を受信し、表示装置32に出力してもよい。
【0098】
[実施形態2]
図9図12を用いて、実施形態2の画像評価装置40について説明する。実施形態2の画像評価装置40において、実施形態1と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
【0099】
実施形態2では、作業機械6の摩耗する部位がツース693である場合に、ツース693の撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する画像評価装置40について説明する。
【0100】
図9は、実施形態2の画像評価装置40が備える基準値算出部44及び評価値算出部47の詳細構成を示すブロック図である。図10は、バケット69の先端部69aの構成を模式的に示す図である。図11は、ツース693の摩耗量の測定に適した斜視画像G3を模式的に示す図である。図12は、ツース693及びアダプタ692の輪郭を特定する特徴点を説明する図である。なお、図11及び図12に示す破線部は、摩耗前のツース693の輪郭を示している。
【0101】
ツース693は、図10に示すように、バケット69の先端部69aに幅方向に間隔をあけて設けられたアダプタ692に取り付けられている。アダプタ692は、摩耗し難い部位である。本実施形態では、アダプタ692の長さ及び幅は不変とする。図11に示すアダプタ692及びツース693の正面694は、バケット69の内表面に連続する面である。図11に示すアダプタ692及びツース693の側面695は、バケット69の外表面に連続する背面と正面694とに連続する面であり、バケット69のダンプ/クラウド方向に沿う面である。
【0102】
ツース693の摩耗量(摩耗率)は、次のようにして測定することができる。すなわち、図11に示すように、摩耗したツース693の画像上の長さをLtとし、アダプタ692の画像上の長さをLaとする。また、アダプタ692の実際の長さをla(固定値)とし、摩耗前のツース693の画像上の長さをLt0とする。この場合、摩耗したツース693の実際の長さltは、次式(4)にように表すことができる。ツース693の摩耗量(摩耗率)は、次式(5)のように表すことができる。
摩耗したツース693の実際の長さlt=(摩耗したツース693の画像上の長さLt)×(アダプタ692の画像上の長さLa)/(アダプタ692の実際の長さla)・・・(4)
ツース693の摩耗量(摩耗率)=1-{(摩耗したツース693の画像上の長さLt)/(摩耗前のツース693の画像上の長さLt0)}・・・(5)
【0103】
但し、ツース693の正面694から撮像されたに近い画像では、アダプタ692及びツース693の側面695の面積が狭くなる。よって、ツース693の正面694から撮像されたに近い画像では、アダプタ692の画像上の長さLaやツース693の画像上の長さLt及びLt0を正確に測定することができない。一方、ツース693の正面694に対して過度に斜め方向から撮像された画像では、画像手前側に写るアダプタ692及びツース693と、画像奥側に写るアダプタ692及びツース693とが重なってしまい、画像奥側のアダプタ692及びツース693の側面695の一部が写らなくなる。よって、ツース693の正面694に対して過度に斜め方向から撮像された画像では、アダプタ692の画像上の長さLaやツース693の画像上の長さLt及びLt0を正確に測定することができない。よって、摩耗量の測定に適した方向から撮像された画像は、アダプタ692の画像上の長さLaやツース693の画像上の長さLt及びLt0を正確に測定できる方向から撮像された画像である。摩耗量の測定に適した方向から撮像された画像は、図11に示すような、ツース693の正面694に対して適度に斜め方向から撮像された斜視画像G3である。
【0104】
斜視画像G3は、アダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭とツース693の正面694及び側面695の各輪郭とを含む画像である。斜視画像G3では、画像上の長さとして、アダプタ692とツース693との境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとの比が、所定値を示すとして定義され得る(少なくとも所定範囲内に収まるとして定義され得る)。アダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭とツース693の正面694及び側面695の各輪郭とを含む画像において、境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとの比が所定値になること(少なくとも所定範囲内に収まること)は、当該画像が斜視画像G3であることと、等価である。
【0105】
このようなことから、実施形態2の画像評価装置40では、アダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭を特定する頂点の座標と、ツース693の正面694及び側面695の各輪郭を特定する頂点の座標とを、特徴点データ412とする。図12に示す画像G4は、アダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭とツース693の正面694及び側面695の各輪郭とを含む画像である。図12のP11~P14は、ツース693の正面694の輪郭を特定する特徴点である。図12のP12、P14、P15は、ツース693の側面695の輪郭を特定する特徴点である。図12のP13、P14、P16、P17は、アダプタ692の正面694の輪郭を特定する特徴点である。図12のP14、P15、P17、P18は、アダプタ692の側面695の輪郭を特定する特徴点である。
【0106】
そして、実施形態2の画像評価装置40では、アダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭とツース693の正面694及び側面695の各輪郭とを含む画像を、学習用画像411とする。学習用画像411は、アダプタ692及びツース693のそれぞれの正面694及び側面695を、摩耗量の測定に適した方向を含む複数の撮像方向から撮像することによって取得される。
【0107】
また、実施形態2の画像評価装置40では、アダプタ692とツース693との境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとの比を、基準値Xとする。
【0108】
具体的には、実施形態2の基準値算出部44は、学習用画像411を、機械学習済みの特徴点抽出部43に入力する。実施形態2の特徴点抽出部43は、学習用画像411に含まれるアダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭を特定する特徴点と、ツース693の正面694及び側面695の各輪郭を特定する特徴点とを抽出する。特徴点抽出部43は、抽出された特徴点から、アダプタ692とツース693との境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとを特定する。
【0109】
実施形態2の基準値算出部44は、図9に示すように、幅比算出部443を備える。幅比算出部443は、特徴点抽出部43により特定された境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとの比(Wf/Ws)を算出する。幅比算出部443は、算出された比(Wf/Ws)を、基準値Xとして基準値記憶部45に記憶させる。この際、基準値記憶部45は、基準値算出部44により算出された基準値Xを、ツース693の種類を識別する部品番号に紐付けて記憶する。
【0110】
実施形態2の特徴点抽出部43は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する際に、撮像画像461に含まれるアダプタ692の正面694及び側面695の各輪郭を特定する特徴点と、ツース693の正面694及び側面695の各輪郭を特定する特徴点とを抽出する。特徴点抽出部43は、抽出された特徴点から、アダプタ692とツース693との境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとを特定する。
【0111】
実施形態2の評価値算出部47は、図9に示すように、基準値平均算出部471と、幅比算出部475と、幅比差分算出部476とを備える。基準値平均算出部471は、実施形態1と同様に、ツース693の部品番号に紐付けて基準値記憶部45に記憶された複数の基準値Xの平均値Xmを算出する。幅比算出部475は、特徴点抽出部43により特定された境界部696における正面694の幅Wfと側面695の幅Wsとの比X(=Wf/Ws)を算出する。幅比差分算出部476は、幅比算出部475により算出された比Xと、基準値平均算出部471により算出された平均値Xmとの差分値|X-Xm|を算出する。
【0112】
実施形態2の評価値算出部47は、幅比差分算出部476により算出された差分値|X-Xm|を、撮像画像461が測定用画像に適しているかを評価する評価値とする。評価値算出部47は、評価値として算出された差分値|X-Xm|を、画像判定部48に入力する。
【0113】
実施形態2の画像判定部48は、実施形態1と同様に、評価値算出部47により算出された評価値に応じて、撮像画像461が測定用画像として利用できるか否かを判定する。実施形態2の画像抽出部49は、実施形態1と同様に、画像判定部48の判定結果に応じて、撮像画像記憶部46に記憶された撮像画像461の中から測定用画像を抽出する。
【0114】
以上のように、実施形態2の画像評価装置40は、作業機械6の特定の部位がツース693のように真正面の基準となる平面が存在しない場合であっても、実施形態1と同様に、撮像画像461が摩耗量の測定に適した画像であるかを適切且つ容易に評価することができる。実施形態2の画像評価装置40は、実施形態1と同様に、撮像済みの動画像集や静止画像集から、摩耗量の測定に適した画像を自動的に抽出することができる。
【0115】
[実施形態3]
図13図14を用いて、実施形態3の画像評価装置40について説明する。実施形態3の画像評価装置40において、実施形態1と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図13は、実施形態3の画像評価装置40の機能的構成を示すブロック図である。
【0116】
撮像装置31は、撮像時に被写体の画像を表示装置32にリアルタイムで表示させるライブビュー機能を備えている。実施形態3の画像評価装置40は、撮像画像記憶部46に記憶された撮像済みの撮像画像461を評価するのではなく、撮像装置31のライブビュー機能により取得された撮像画像461(以下「ライブビュー画像501」とも称する)を評価対象とする。実施形態3の画像評価装置40は、ユーザが撮像装置31を用いて作業機械6の摩耗する部位を撮像する際に、撮像装置31が摩耗量の測定に適した測定用画像を撮像できるよう、表示装置32を介して撮像装置31の位置又は姿勢を案内する。
【0117】
実施形態3の画像評価装置40は、図13に示すように、撮像画像記憶部46の代わりにライブビュー画像取得部50を備え、画像抽出部49の代わりに撮像案内部51を備える。
【0118】
ライブビュー画像取得部50は、撮像装置31のライブビュー機能により取得されたライブビュー画像501を、撮像装置31から取得し、学習済みの特徴点抽出部43に入力する。撮像案内部51は、画像判定部48によりライブビュー画像501が測定用画像として利用できないと判定された場合、ライブビュー画像501が測定用画像として利用できるよう撮像装置31の位置又は姿勢を案内するメッセージを表示装置32に出力する。撮像案内部51は、当該メッセージを通信端末3のスピーカ(不図示)に出力してもよい。撮像案内部51は、画像判定部48によりライブビュー画像501が測定用画像として利用できると判定された場合、ライブビュー画像501を自動撮像し、所定の記憶部に記憶する。自動撮像を継続する時間は任意であってライブビュー画像501が測定用画像として適する限り続くが、「停止」を指示する操作によって任意のタイミングで停止することとしてもよい。また、摩耗の進行に応じて撮像時間を異ならせてもよい。この場合、摩耗の進行を判定するための基準値を予め設けておき、基準値を超えた場合は摩耗が進行していると仮定して、少なくとも2回以上の自動撮像を繰り返し、操作者に最善の撮像結果を選択してもらう構成としてもよい。これによって、摩耗の進行を更に確実に、且つ、より高精度に把握することが可能になる。
【0119】
このように、実施形態3の画像評価装置40は、ライブビュー画像501が測定用画像として適している場合に自動撮像する自動撮像モードによって動作することができる。
【0120】
図14は、自動撮像モードでの画像評価装置40の動作を示すフローチャートである。
【0121】
ステップS1401において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、自動撮像モードの開始を受け付ける。
【0122】
ステップS1402において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、閾値Tの変更を受け付けたか否かを判定する。閾値Tは、ライブビュー画像501が測定用画像として利用できるか否かを判定するための閾値であり、画像評価装置40の閾値記憶部(不図示)に予め記憶されている。画像評価装置40は、閾値Tの変更を受け付けていない場合、ステップS1404に移行する。画像評価装置40は、閾値Tの変更を受け付けた場合、ステップS1403に移行する。
【0123】
ステップS1403において、画像評価装置40は、受け付けた閾値Tを再設定する。
【0124】
ステップS1404において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、スプロケット63の部品番号を受け付ける。
【0125】
ステップS1405において、画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されているか否かを判定する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されている場合、ステップS1407に移行する。画像評価装置40は、基準値記憶部45に基準値Xが記憶されていない場合、ステップS1406に移行する。
【0126】
ステップS1406において、画像評価装置40は、基準値Xが記憶されていない旨のメッセージを表示装置32に出力する。画像評価装置40は、図14に示す本処理を終了する。
【0127】
ステップS1407において、画像評価装置40は、基準値記憶部45に記憶された基準値Xの平均値Xmを算出する。
【0128】
ステップS1408において、画像評価装置40は、ライブビュー画像取得部50により取得されたライブビュー画像501を読み込む。
【0129】
ステップS1409~ステップS1413において、画像評価装置40は、図8に示すステップS807~ステップS811と同様の処理を行う。
【0130】
ステップS1414において、画像評価装置40は、ステップS1413の判定結果が測定用画像として利用できることを示すか否かを判定する。画像評価装置40は、当該判定結果が測定用画像として利用できることを示さない場合、ステップS1417に移行する。画像評価装置40は、当該判定結果が測定用画像として利用できることを示す場合、ステップS1415に移行する。
【0131】
ステップS1415において、画像評価装置40は、今回読み込んだライブビュー画像501を撮像し、測定用画像として記憶する。
【0132】
ステップS1416において、画像評価装置40は、抽出された測定用画像を表示装置32に出力する。画像評価装置40は、図14に示す本処理を終了する。
【0133】
ステップS1417において、画像評価装置40は、ライブビュー画像501が測定用画像として利用できるよう撮像装置31の位置又は姿勢を案内するメッセージを表示装置32に出力する。例えば、画像評価装置40は、ステップS1410において算出された正面円Fの基準点が背面円Bの基準点よりも右斜め上にある場合、「撮像装置31をもっと右斜め上に移動させた位置から撮像してください」と案内するメッセージを表示装置32に出力する。
【0134】
ステップS1418において、画像評価装置40は、撮像装置31の位置又は姿勢が変更されたか否かを判定する。画像評価装置40は、ライブビュー画像501の変化を確認したり、通信端末3の姿勢センサの検出信号を確認したりすることによって、撮像装置31の位置又は姿勢が変更されたか否かを判定することができる。画像評価装置40は、撮像装置31の位置又は姿勢が変更された場合、ステップS1408に移行する。画像評価装置40は、撮像装置31の位置又は姿勢が変更されていない場合、ステップS1419に移行する。
【0135】
ステップS1419において、画像評価装置40は、入力装置33に対するユーザの入力操作に応じて、自動撮像モードの終了を受け付けたか否かを判定する。画像評価装置40は、自動撮像モードの終了を受け付けていない場合、ステップS1418に移行する。画像評価装置40は、自動撮像モードの終了を受け付けた場合、図14に示す本処理を終了する。
【0136】
以上のように、実施形態3の画像評価装置40は、作業機械6の摩耗する部位を撮像する撮像装置31の位置又は姿勢を案内する撮像案内部51を備える。実施形態3の評価対象の撮像画像461は、撮像装置31のライブビュー機能により取得されたライブビュー画像501である。撮像案内部51は、画像判定部48によりライブビュー画像501が測定用画像として利用できないと判定された場合、ライブビュー画像501が測定用画像として利用できるよう撮像装置31の位置又は姿勢を案内するメッセージを出力する。
【0137】
これにより、実施形態3の画像評価装置40は、作業機械6の摩耗する部位をこれから撮像しようとするユーザに対して、摩耗量の測定に適した画像を容易に撮像させることができる。よって、実施形態3の画像評価装置40は、摩耗量の測定作業の簡略化及び効率化を更に図ることができる。また撮影時においては、撮影対象の特性上、泥が付着しているなどによって物体認識ができない場合もある。このことは摩耗量の精確な測定に障害となる。ライブビュー画像で撮像対象の部位をリアルタイムで撮像することによって、摩耗量の測定に適した、さらに精度の高い画像の取得が可能になる。
【0138】
なお、実施形態3は、作業機械6の摩耗する部位がスプロケット63である場合を例に挙げて説明したが、実施形態3の画像評価装置40は、作業機械6の摩耗する部位がツース693である場合にも当然に適用可能である。また、実施形態3の画像評価装置40では、撮像画像記憶部46の代わりにライブビュー画像取得部50を備え、画像抽出部49の代わりに撮像案内部51を備えていた。しかしながら、画像評価装置40は、撮像画像記憶部46及びライブビュー画像取得部50の両方を備え、画像抽出部49及び撮像案内部51の両方を備えていてもよい。
【0139】
[他の実施形態]
摩耗量測定システム1は、画像評価装置40により抽出された測定用画像を用いて、摩耗量を測定する。摩耗量の測定は、通信端末3によって行われてもよいし、サーバ装置2によって行われてもよい。摩耗量測定システム1は、測定された摩耗量のレベルを特定し、特定されたレベルに応じた表示を含む摩耗量のインジケータ画像を作成し、通信端末3の表示装置32に出力することができる。
【0140】
摩耗量のレベルは、例えば、摩耗した部位の交換が必要な摩耗量に到達している第1レベルと、所定作業量を作業後に摩耗した部位の交換が必要な摩耗量に到達しそうな第2レベルと、所定作業量を作業後でも摩耗した部位の交換が必要な摩耗量に到達しない第3レベルとを有する。
【0141】
摩耗量のインジケータ画像は、その形状、大きさ、色彩及び模様の少なくとも1つを、摩耗量のレベルに応じて変化させて、部位毎に作成される。例えば、摩耗量のレベルが第1レベルであれば摩耗量のインジケータ画像は赤色、摩耗量のレベルが第2レベルであれば摩耗量のインジケータ画像は黄色、摩耗量のレベルが第3レベルであれば摩耗量のインジケータ画像は緑色を用いて作成されてもよい。なおレベルや色は3段階もしくは3色に限られず、任意に設定され得る。或いは、例えば、摩耗量のレベルが第1レベルであれば摩耗量のインジケータ画像の長さが最も長くなり、摩耗量のレベルが第2レベルであれば摩耗量のインジケータ画像の長さが中位であり、摩耗量のレベルが第3レベルであれば摩耗量のインジケータ画像の長さが最も短くなるように作成されてもよい。すなわち、インジケータ画像は、摩耗した部位の交換推奨度が高くなるに従って、インジケータ画像の長さが長くなるように作成されてもよい。
【0142】
更に、摩耗量測定システム1は、現在の作業機械6の稼動状況から将来的な摩耗量の推移を予測することができる。そして、摩耗量測定システム1は、摩耗量の予測推移を上記のインジケータ画像に重畳表示させる画像を作成し、表示装置32に出力することができる。或いは、摩耗量測定システム1は、摩耗量の予測推移に応じてインジケータ画像の長さが変化するようなアニメーションを作成し、表示装置32に出力することができる。
【0143】
更に、摩耗量測定システム1は、複数の作業機械6における摩耗する部位の摩耗量をサーバ装置2に集約し、摩耗量が類似する複数の作業機械6を特定することができる。そして、摩耗量測定システム1は、摩耗量が類似する複数の作業機械6の情報を、ユーザの通信端末3に送信して、ユーザ間で共有させることができる。
【0144】
このような構成により、摩耗量測定システム1は、摩耗量のレベル、部位交換時期、摩耗量の予測推移等の情報を、直感的に把握しやすい形態でユーザに報知することができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0146】
1…摩耗量測定システム、2…サーバ装置、3…通信端末、31…撮像装置、32…表示装置、33…入力装置、40…画像評価装置、401…演算処理装置、402…記憶装置、41…教師データ記憶部、411…学習用画像、412…特徴点データ、42…学習部、43…特徴点抽出部、44…基準値算出部、441…中心半径算出部、442…割合算出部、443…幅比算出部、45…基準値記憶部、46…撮像画像記憶部、461…撮像画像、47…評価値算出部、471…基準値平均算出部、472…中心半径算出部、473…差分長算出部、474…差分比算出部、475…幅比算出部、476…幅比差分算出部、48…画像判定部、49…画像抽出部、50…ライブビュー画像取得部、501…ライブビュー画像、51…撮像案内部、6…作業機械、61…下部走行体、62…アイドラ、63…スプロケット、631…歯、632…歯底、633…正面、634…背面、635…側面、64…クローラ、65…上部旋回体、651…旋回装置、652…キャブ、653…機械室、66…フロント作業機、67…ブーム、671…ブームシリンダ、68…アーム、681…アームシリンダ、69…バケット、69a…先端部、691…バケットシリンダ、692…アダプタ、693…ツース、694…正面、695…側面、696…境界部
図1
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