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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】電流検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20250213BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20250213BHJP
   H01C 1/14 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
G01R15/00 500
H01C13/00 J
H01C1/14 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022153450
(22)【出願日】2022-09-27
(65)【公開番号】P2024047775
(43)【公開日】2024-04-08
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖 拓也
(72)【発明者】
【氏名】知屋城 悠希
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-155626(JP,A)
【文献】特開2019-015520(JP,A)
【文献】特開2021-085732(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203492(WO,A1)
【文献】実開昭58-019269(JP,U)
【文献】実開昭48-108187(JP,U)
【文献】国際公開第2022/019565(WO,A1)
【文献】特開2001-319701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00
H01C 13/00
H01C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に沿って電流が流れる抵抗体と、前記抵抗体における前記第一方向の一端に接続された第一導体と、前記抵抗体における前記第一方向の他端に接続された第二導体と、を有するシャント抵抗と、
前記シャント抵抗に流れる電流値を検出する電流検出部を有する基板と、
前記基板に対して固定される導電性の第一端子台および第二端子台と、
前記第一方向と直交する第二方向に延在し、かつ前記第一導体および前記基板に対して固定され、前記第一導体と前記電流検出部とを電気的に接続する第一バスバと、
前記第二方向に延在し、かつ前記第二導体および前記基板に対して固定され、前記第二導体と前記電流検出部とを電気的に接続する第二バスバと、
を備え
前記第一バスバは、前記第一端子台に対して固定されて前記第一端子台を介して前記電流検出部に接続され、
前記第二バスバは、前記第二端子台に対して固定されて前記第二端子台を介して前記電流検出部に接続され、
前記第一導体および前記第二導体は、前記第二方向と直交する側面を有し、
前記第一バスバおよび前記第二バスバは、前記シャント抵抗の側の端部を折り曲げて形成された第一規制部と、前記基板の側の端部を折り曲げて形成された第二規制部と、を有し、
前記第一規制部は、前記第二方向において前記側面と対向し、前記第一バスバおよび前記第二バスバが前記第二方向に対して傾斜することを規制し、
前記第一バスバの前記第二規制部は、前記第一端子台の端面と対向し、前記第一バスバが前記第二方向に対して傾斜することを規制し、
前記第二バスバの前記第二規制部は、前記第二端子台の端面と対向し、前記第二バスバが前記第二方向に対して傾斜することを規制する
ことを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記第一バスバおよび前記第二バスバは、前記シャント抵抗に対する固定部と前記基板に対する固定部との間に低剛性部を有し、
前記低剛性部では、前記第一バスバおよび前記第二バスバに貫通孔または切欠きが形成されている
請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記低剛性部は、屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記第一バスバおよび前記第二バスバを複数の箇所で折り曲げて形成され、かつ前記第一方向および前記第二方向の何れとも直交する第三方向に延在する部分を含む
請求項に記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記基板を収容する収容室および前記シャント抵抗を保持する保持部を有するケースを備える
請求項1からの何れか1項に記載の電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャント抵抗器がある。特許文献1には、少なくとも一部に、予め抵抗値が設定された抵抗体を有し、2つの電極の間を架橋して、抵抗体による電圧降下を検出することにより電極の間に流れる電流の電流値を検出するシャント抵抗器が開示されている。特許文献1のシャント抵抗器は、導電性接着材を介して各々の電極に固定され、電気的に接続される一対の接続部と、一方の接続部から、他方の接続部へ延設され、接続部の間を架橋する架橋部と、抵抗体の電圧降下を検出するための一対のボンディングワイヤと、を備え、ボンディングワイヤは、架橋部にボンディングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-053521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャント抵抗式の電流検出装置において、検出精度の低下を抑制できることが望ましい。例えば、電流検出部を有する基板とシャント抵抗とを一対の導体によって接続する場合に、シャント抵抗に対する導体の接続角度がばらつくと、検出精度の低下を招きやすい。
【0005】
本発明の目的は、電流検出精度の低下を抑制することができる電流検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電流検出装置は、第一方向に沿って電流が流れる抵抗体と、前記抵抗体における前記第一方向の一端に接続された第一導体と、前記抵抗体における前記第一方向の他端に接続された第二導体と、を有するシャント抵抗と、前記シャント抵抗に流れる電流値を検出する電流検出部を有する基板と、前記第一方向と直交する第二方向に延在し、かつ前記第一導体および前記基板に対して固定され、前記第一導体と前記電流検出部とを電気的に接続する第一バスバと、前記第二方向に延在し、かつ前記第二導体および前記基板に対して固定され、前記第二導体と前記電流検出部とを電気的に接続する第二バスバと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電流検出装置では、電流の流れ方向と直交する第二方向に延在する第一バスバが第一導体および基板に対して固定され、第二方向に延在する第二バスバが第二導体および基板に対して固定される。本発明に係る電流検出装置によれば、第一バスバおよび第二バスバがシャント抵抗および基板に対してリジッドに固定されることで、接続角度のばらつきに起因する電流検出精度の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電流検出装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る第一端子台および第二端子台の斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る第一バスバおよび第二バスバの平面図である。
図5図5は、実施形態に係る第一バスバおよび第二バスバの斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る電流検出装置の平面図である。
図7図7は、実施形態に係る電流検出装置の断面図である。
図8図8は、実施形態に係る電流検出装置の斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る電流検出装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電流検出装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電流検出装置に関する。図1は、実施形態に係る電流検出装置の斜視図、図2は、実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図、図3は、実施形態に係る第一端子台および第二端子台の斜視図、図4は、実施形態に係る第一バスバおよび第二バスバの平面図、図5は、実施形態に係る第一バスバおよび第二バスバの斜視図、図6は、実施形態に係る電流検出装置の平面図、図7は、実施形態に係る電流検出装置の断面図、図8は、実施形態に係る電流検出装置の斜視図、図9は、実施形態に係る電流検出装置の平面図である。図7には、図6のVII-VII断面が示されている。
【0011】
図1および図2に示すように、本実施形態の電流検出装置1は、シャント抵抗2、基板3、第一バスバ4A、および第二バスバ4Bを有する。電流検出装置1は、例えば、車両のバッテリーに配置され、バッテリーの充放電電流を検出する。電流検出装置1は、いわゆるシャント式の電流センサである。すなわち、電流検出装置1は、シャント抵抗2に電流を流し、通電した際の電圧降下とシャント抵抗2の抵抗値とからオームの法則を用いて電流値を計測する。電流検出装置1は、バッテリーを監視する監視ユニットとして構成されてもよい。
【0012】
シャント抵抗2は、抵抗体20と、第一導体21と、第二導体22と、を有する。抵抗体20は、予め定められた抵抗値を有する。電流検出装置1は、抵抗体20の抵抗値に基づいて電流値を算出する。例示された抵抗体20の形状は、矩形の平板形状である。第一導体21および第二導体22は、銅などの高い導電性を有する金属で形成された導体である。例示された第一導体21および第二導体22の形状は、平板形状である。第一導体21および第二導体22は、所謂バスバであり、剛性を有する導体である。第一導体21および第二導体22は、抵抗体20を挟むように抵抗体20に対して両側に配置される。第一導体21および第二導体22は、抵抗体20に対して物理的にかつ電気的に接続される。
【0013】
第一導体21および第二導体22のうち一方の導体は、例えば、バッテリーの負極に接続される。第一導体21および第二導体22のうち他方の導体は、例えば、車両のボディ等の接地部に接続される。電流検出装置1によって検出された電流値に基づいて、バッテリーの監視および制御がなされる。
【0014】
抵抗体20には、第一方向Xに沿って電流が流れる。第一方向Xは、第一導体21および第二導体22が互いに対向する方向である。第一導体21は、第一方向Xにおける抵抗体20の一端につながっており、第二導体22は、第一方向Xにおける抵抗体20の他端につながっている。
【0015】
以下の説明において、シャント抵抗2の幅方向を「第二方向Y」と称し、シャント抵抗2の板厚方向を「第三方向Z」と称する。第二方向Yは、第一方向Xと直交する。第三方向Zは、第一方向Xおよび第二方向Yの両方と直交する。
【0016】
図2に示すように、第一導体21は第一貫通孔21aおよび第二貫通孔21bを有する。第二導体22は、第一貫通孔22aおよび第二貫通孔22bを有する。第一貫通孔21a,22aは、抵抗体20に隣接して配置されている。二つの第一貫通孔21a,22aは、抵抗体20に関して対称な位置に配置されている。
【0017】
第一貫通孔21aには、第一バスバ4Aを第一導体21に固定するねじ61が挿入される。第一導体21には、ねじ61と螺合するナット66が固定されている。ナット66は、第一導体21の裏面側に配置されており、かつ第一貫通孔21aに対して同軸上に配置されている。第一貫通孔22aには、第二バスバ4Bを第二導体22に固定するねじ62が挿入される。第二導体22には、ねじ62と螺合するナット67が固定されている。ナット67は、第二導体22の裏面側に配置されており、かつ第一貫通孔22aに対して同軸上に配置されている。
【0018】
第二貫通孔21b,22bは、第一貫通孔21a,22aよりも抵抗体20から離れた位置に配置されている。第二貫通孔21b,22bには、ボルト等の締結部材が挿入される。第二貫通孔21b,22bに挿入される締結部材により、第一導体21および第二導体22が相手方のバスバ等に対して締結される。
【0019】
基板3は、例えば、プリント回路基板(PCB)である。例示された基板3の形状は、矩形である。基板3は、電流検出部31を有する。電流検出部31は、例えば、電流検出回路である。基板3は、バッテリーの監視および制御を実行する制御回路を有していてもよい。
【0020】
基板3には、第一端子台7Aおよび第二端子台7Bが固定されている。端子台7A,7Bは、銅などの導電性を有する金属板で形成されている。第一端子台7Aおよび第二端子台7Bは、それぞれ電流検出部31に対して電気的に接続されている。第一端子台7Aおよび第二端子台7Bは、基板3の端部3aに配置されている。端部3aは、第二方向Yにおいてシャント抵抗2と隣接する端部である。
【0021】
図3に示すように、第一端子台7Aおよび第二端子台7Bは、接続部71および二つの脚部72を有する。接続部71は、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bに対して接続され、かつ第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bを支持する部分である。接続部71の形状は、平板形状である。接続部71には、雌ねじ部71aが形成されている。雌ねじ部71aは、円筒形状を有している。雌ねじ部71aの内周面には、ねじ山が形成されている。
【0022】
脚部72は、接続部71に対して直角に折れ曲がっている。脚部72は、接続部71の両端に配置されており、接続部71を支持する。脚部72は、基板3に当接しており、はんだ等によって基板3に対して固定されている。接続部71は、脚部72を介して電流検出部31に接続される。
【0023】
本実施形態では、同一形状のバスバ4が第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bとして使用される。バスバ4は、銅などの導電性を有する金属板で形成されている。図4および図5に示すように、バスバ4は、第一端子部41、第二端子部42、および低剛性部43を有する。第一端子部41は、バスバ4の一つの端部であり、シャント抵抗2に対して固定される固定部である。第二端子部42は、バスバ4のもう一つの端部であり、端子台7A,7Bに対して固定される固定部である。低剛性部43は、第一端子部41と第二端子部42との間の部分である。
【0024】
第一端子部41は、ねじ61,62が挿入可能な貫通孔41aを有する。貫通孔41aは、第一端子部41における第一方向Xの中央部に配置されている。言い換えると、貫通孔41aは、第一端子部41における幅方向の中央部に配置されている。例示された貫通孔41aの形状は、第二方向Yが長軸の長円形状である。バスバ4は、図5に示すように、第一規制部44を有する。第一規制部44は、バスバ4における第一端子部41の側の先端を折り曲げて形成されている。第一規制部44は、第一端子部41に対して直交している。第一規制部44は、第二端子部42の側を向く規制面44aを有する。規制面44aは、後述するように、バスバ4の延在方向を規制することができる。
【0025】
第二端子部42は、図2に示すねじ63,64が挿入可能な貫通孔42aを有する。貫通孔42aは、第二端子部42における第一方向Xの中央部に配置されている。例示された貫通孔42aの形状は、第一方向Xが長軸の長円形状である。バスバ4は、図5に示すように、第二規制部46を有する。第二規制部46は、バスバ4における第二端子部42の側の先端を折り曲げて形成されている。第二規制部46は、第二端子部42に対して直交している。
【0026】
低剛性部43は、第二方向Yにおけるバスバ4の中央部に設けられている。低剛性部43の剛性は、第一端子部41の剛性および第二端子部42の剛性と比較して小さい。低剛性部43には、第二方向Yと直交する断面における断面積を低減させる肉抜き加工がなされている。例示された低剛性部43では、貫通孔43aを有することにより、断面積が小さな値となっている。貫通孔43aは、バスバ4を板厚方向に貫通している。例示された貫通孔43aの形状は、第二方向Yに沿って延在する長方形である。
【0027】
低剛性部43は、屈曲部45を有する。屈曲部45は、バスバ4を二箇所で折り曲げて形成される。屈曲部45は、第一屈曲部45aおよび第二屈曲部45bを有する。バスバ4の長手方向において、第一屈曲部45aの位置と、第二屈曲部45bの位置とは異なっている。第一屈曲部45aは、第二屈曲部45bよりも第一端子部41の近くに位置している。
【0028】
バスバ4は、第一屈曲部45aおよび第二屈曲部45bにおいて略直角に折れ曲がっている。第一屈曲部45aと第二屈曲部45bとの間には、第三方向Zに延在する部分45cが設けられている。屈曲部45が設けられることにより、第一端子部41と第二端子部42との間に第三方向Zの段差が形成されている。
【0029】
低剛性部43は、バスバ4に外力が作用したときの応力を吸収することができる。例えば、低剛性部43は、断面積が小さいことにより、バスバ4に第三方向Zの力が加わった場合の応力を吸収することができる。例えば、低剛性部43は、屈曲部45を有することにより、バスバ4に第一方向Xや第二方向Yの力が加わった場合の応力を吸収することができる。このように、バスバ4は、両端がリジッドに固定されることによる応力を低剛性部43で吸収することができる。
【0030】
本実施形態の第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bは、図6に示すように、第二方向Yに延在するようにシャント抵抗2および基板3に対して固定される。第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bは、例えば、平面視においてバスバ4の中心線CLが第一方向Xと直交するように固定される。第一バスバ4Aの中心線CLと第二バスバ4Bの中心線CLとが平行であることが好ましい。
【0031】
第一バスバ4Aの第一端子部41は、ねじ61によってシャント抵抗2の第一導体21に対して固定される。ねじ61は、第一端子部41の貫通孔41aおよび第一導体21の第一貫通孔21aに挿入され、ナット66と螺合する。つまり、第一導体21および第一バスバ4Aは、ねじ61およびナット66によって共締めされる。
【0032】
第一バスバ4Aの第二端子部42は、ねじ63によって第一端子台7Aに対して固定される。ねじ63は、第二端子部42の貫通孔42aに挿入され、第一端子台7Aの雌ねじ部71aと螺合する。つまり、第二端子部42は、ねじ63によって第一端子台7Aに対して締結される。
【0033】
図7に示すように、第一バスバ4Aの第一規制部44は、第一導体21の側面21cと対向する。第一導体21の側面21cは、第二方向Yと直交する側面であり、基板3の側とは反対側を向いている。第一規制部44の規制面44aは、側面21cと対向し、かつ側面21cと近接している。第一規制部44は、バスバ4がシャント抵抗2に取り付けられる際のガイドとして機能する。例えば、第一規制部44は、第一バスバ4Aが第一導体21に載置されるときに、第一バスバ4Aを第一導体21に対して位置決めする。より詳しくは、第一規制部44は、第一バスバ4Aの延在方向を第一方向Xに対して直交させるように側面21cによって案内される。
【0034】
また、第一規制部44は、ねじ61が螺合される際の回転トルクに対してバスバ4の回転を規制することができる。つまり、ねじ61から伝わる回転トルクによって第一バスバ4Aが回転しようとした場合に、規制面44aが側面21cに当接して第一バスバ4Aの回転を規制する。このように、第一規制部44は、第一バスバ4Aが第二方向Yに対して傾斜してしまうことを規制することができる。
【0035】
第一バスバ4Aの第二規制部46は、第一端子台7Aの端面72aと対向する。第一端子台7Aの端面72aは、第二方向Yと直交する端面であり、シャント抵抗2の側とは反対側を向いている。第二規制部46は、端面72aと対向する規制面46aを有する。第二規制部46は、バスバ4が第一端子台7Aに載置される際のガイドとして機能する。第二規制部46は、第一バスバ4Aの延在方向を第一方向Xに対して直交させるように端面72aによって案内される。
【0036】
また、第二規制部46は、ねじ61が螺合される際の回転トルクに対してバスバ4の回転を規制することができる。ねじ61から伝わる回転トルクによって第一バスバ4Aが回転しようとした場合に、規制面46aが端面72aに当接して第一バスバ4Aの回転を規制する。このように、第二規制部46は、第一バスバ4Aが第二方向Yに対して傾斜してしまうことを規制することができる。
【0037】
第二バスバ4Bの第一端子部41は、ねじ62によってシャント抵抗2の第二導体22に対して固定される。ねじ62は、第一端子部41の貫通孔41aおよび第二導体22の第一貫通孔22aに挿入され、ナット67と螺合する。第二バスバ4Bの第二端子部42は、ねじ64によって第二端子台7Bに対して固定される。ねじ64は、第二端子部42の貫通孔42aに挿入され、第二端子台7Bの雌ねじ部71aと螺合する。
【0038】
第二バスバ4Bの第一規制部44は、第二バスバ4Bが第二方向Yに対して傾斜してしまうことを規制することができる。図2に示すように、第二導体22は、側面21cと同様の側面22cを有する。側面22cは、第二方向Yと直交しており、かつ基板3の側と反対側を向いている。第二バスバ4Bの第一規制部44は、第二導体22の側面22cと対向し、第二バスバ4Bを第二方向Yに延在させる。
【0039】
第二バスバ4Bの第二規制部46は、第二バスバ4Bが第二方向Yに対して傾斜してしまうことを規制することができる。第二バスバ4Bの第二規制部46は、第二端子台7Bの端面72aと対向し、第二バスバ4Bを第二方向Yに延在させる。
【0040】
本実施形態の電流検出装置1では、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bの両方を第二方向Yに延在させながら、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bをリジッドに固定することができる。第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bが電流の流れ方向に対して直交する方向に延在することで、電圧測定距離の変動が抑制される。比較例として、シャント抵抗2と基板3との間を電線により接続する構成について検討する。比較例では、例えば、電線に取り付けられた端子がシャント抵抗2にねじ止めされる。この場合、電線を精度よく第二方向Yに延在させることは容易ではない。例えば、ねじ止めの際の回転トルクにより端子が回転してしまいやすい。端子が正規の位置に対して回転してしまうと、端子間の抵抗値に第一導体21および第二導体22の抵抗成分が含まれてしまう。その結果、電流計測の精度が低下する。
【0041】
これに対して、本実施形態の電流検出装置1では、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bの延在方向がばらつきにくい。例えば、シャント抵抗2および基板3が予め固定されていれば、シャント抵抗2と端子台7A,7Bとの相対位置によって第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bの延在方向が決まる。よって、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bを精度よく第二方向Yに延在させることが可能である。
【0042】
また、本実施形態のバスバ4は、バスバ4を第一方向Xに対して直交させやすいように構成されている。上記のように、第一端子部41の貫通孔41aは、バスバ4の長手方向に沿った長円である。一方、第二端子部42の貫通孔42aは、バスバ4の幅方向に沿った長円である。
【0043】
貫通孔41aが第二方向Yに沿った長円であることから、第一端子部41がシャント抵抗2に対して固定される際にバスバ4がシャント抵抗2に対して相対回転しにくい。また、貫通孔41aが第二方向Yに沿った長円であることから、第一端子部41をシャント抵抗2に固定するときに、第一規制部44の規制面44aを側面21c,22cに当接させておくことが容易である。また、貫通孔41aが第二方向Yに沿った長円であることから、第一方向Xにおける第一端子部41の位置がずれにくい。すなわち、第一導体21および第二導体22に対する第一端子部41の接触位置がずれにくい。従って、第一導体21および第二導体22に対する第一端子部41の接触位置を抵抗体20に近づけることができ、第一導体21および第二導体22の抵抗成分を最小化することが可能となる。
【0044】
貫通孔42aが第一方向Xに沿った長円であることから、バスバ4を第二方向Yに延在させたままで第二端子部42を基板3に固定することが容易である。本実施形態のバスバ4は、シャント抵抗2に対して固定された後に基板3に対して固定されることが好ましい。
【0045】
なお、電流検出装置1は、図8に示すケース10を有していてもよい。ケース10は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。ケース10は、基板3を収容する収容室11、およびシャント抵抗2を保持する保持部12を有する。収容室11は、箱形状を有しており、基板3を内部に収容して保持する。平面視における収容室11の形状は、矩形である。
【0046】
保持部12は、収容室11の外側面から第二方向Yに向けて突出している。例示された保持部12の形状は、矩形の板状である。収容室11の側壁は、保持部12に対応する切欠き11aを有する。切欠き11aは、収容室11の内部空間と、保持部12の側の外部空間とを連通する。切欠き11aは、収容室11が第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bと干渉しないように形成される。シャント抵抗2は、ボルト68,69によって保持部12に対して固定される。保持部12は、ボルト68,69と螺合するナットを有していてもよい。
【0047】
図9に示すように、保持部12は、第一端子台7Aの雌ねじ部71aに対して第一導体21の第一貫通孔21aを第二方向Yに対向させる。言い換えると、ケース10は、第一端子台7Aの雌ねじ部71aと第一貫通孔21aとを結ぶ仮想線13Aが第一方向Xと直交するように基板3およびシャント抵抗2を保持する。また、保持部12は、第二端子台7Bの雌ねじ部71aに対して第二導体22の第一貫通孔22aを第二方向Yに対向させる。すなわち、ケース10は、第二端子台7Bの雌ねじ部71aと第一貫通孔22aとを結ぶ仮想線13Bが第一方向Xと直交するように基板3およびシャント抵抗2を保持する。
【0048】
一つのケース10に基板3およびシャント抵抗2が保持されていることで、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bの延在方向を制御することが容易となる。すなわち、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bを電流の流れ方向に直交させてシャント抵抗2に接続することが容易となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の電流検出装置1は、シャント抵抗2と、基板3と、第一バスバ4Aと、第二バスバ4Bと、を有する。シャント抵抗2は、第一方向Xに沿って電流が流れる抵抗体20と、第一導体21と、第二導体22と、を有する。第一導体21は、抵抗体20における第一方向Xの一端に接続されている。第二導体22は、抵抗体20における第一方向Xの他端に接続されている。基板3は、シャント抵抗2に流れる電流値を検出する電流検出部31を有する。
【0050】
第一バスバ4Aは、第一方向Xと直交する第二方向Yに延在し、かつ第一導体21および基板3に対して固定され、第一導体21と電流検出部31とを電気的に接続する。第二バスバ4Bは、第二方向Yに延在し、かつ第二導体22および基板3に対して固定され、第二導体22と電流検出部31とを電気的に接続する。本実施形態の電流検出装置1では、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bがシャント抵抗2および基板3に対して固定される。よって、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bの延在方向を第一方向Xに対して直交させることが容易である。また、第一バスバ4Aと第二バスバ4Bとを平行に延在させることが容易である。よって、本実施形態の電流検出装置1は、電流検出精度の低下を抑制することができる。
【0051】
本実施形態の第一導体21および第二導体22は、第二方向Yと直交する側面21c,22cを有する。第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bは、シャント抵抗2の側の端部を折り曲げて形成された第一規制部44を有する。第一規制部44は、第二方向Yにおいて側面21c,22cと対向し、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bが第二方向Yに対して傾斜することを規制する。よって、本実施形態の電流検出装置1は、電流検出精度の低下を抑制することができる。
【0052】
本実施形態の第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bは、シャント抵抗2に対する固定部と基板3に対する固定部との間に低剛性部43を有する。低剛性部43では、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bに貫通孔43aが形成されている。低剛性部43は、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bに発生する応力を吸収することができる。なお、低剛性部43は、貫通孔43aに代えて、または貫通孔43aに加えて、切欠きを有していてもよい。
【0053】
本実施形態の低剛性部43は、屈曲部45を有する。屈曲部45は、第一バスバ4Aおよび第二バスバ4Bを長手方向の異なる二箇所で折り曲げて形成される。屈曲部45は、第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する第三方向Zに延在する部分45cを含む。なお、低剛性部43は、三箇所以上で折り曲げられてもよい。
【0054】
電流検出装置1は、ケース10、第一端子台7A、および第二端子台7Bを有していてもよい。ケース10は、基板3を収容する収容室11およびシャント抵抗2を保持する保持部12を有する。第一端子台7Aおよび第二端子台7Bは、基板3に対して固定される。この場合、第一バスバ4Aは、第一端子台7Aに対して固定されて第一端子台7Aを介して電流検出部31に接続される。第二バスバ4Bは、第二端子台7Bに対して固定されて第二端子台7Bを介して電流検出部31に接続される。シャント抵抗2および基板3がケース10に配置されることで、シャント抵抗2と基板3との適切な相対位置の確保が容易となる。
【0055】
ケース10、シャント抵抗2、基板3、第一バスバ4A、および第二バスバ4Bが互いに組み付けられた監視ユニットとして構成される。監視ユニットが構成された段階でバスバ4A,4B間の抵抗値が所望の値であるか検査をすることができる。所望の抵抗値を有することが確認された監視ユニットがバッテリーに対して組み付けられることで、電流検出の精度が低下しにくい。
【0056】
なお、ケース10に対するシャント抵抗2の固定手段は、ボルト68,69には限定されない。例えば、ケース10の保持部12がシャント抵抗2を保持する保持構造を有していてもよい。保持構造は、シャント抵抗2を収容する凹部を有していてもよい。この場合、シャント抵抗2は保持部12の凹部に圧入されてもよい。
【0057】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0058】
1:電流検出装置
2:シャント抵抗、 3:基板、 4A:第一バスバ、 4B:第二バスバ
7A:第一端子台、 7B:第二端子台
20:抵抗体、 21:第一導体、 21a:第一貫通孔、 21b:第二貫通孔
21c:側面
22:第二導体、 22a:第一貫通孔、 22b:第二貫通孔、 22c:側面
31:電流検出部
41:第一端子部、 42:第二端子部、 43:低剛性部、 44:第一規制部
45:屈曲部、 46:第二規制部
61,62,63,64:ねじ、 66,67:ナット、 68,69:ボルト
71:接続部、 71a:雌ねじ部、 72:脚部、 72a:端面
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9