(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】スペクトルトモシンセシスシステムにおける幾何学的キャリブレーションマーカの検出
(51)【国際特許分類】
A61B 6/58 20240101AFI20250213BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20250213BHJP
A61B 6/02 20060101ALI20250213BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20250213BHJP
A61B 6/51 20240101ALN20250213BHJP
【FI】
A61B6/58 500A
A61B6/00 533
A61B6/02 501A
A61B6/00 590C
G01T7/00 C
A61B6/51 500
(21)【出願番号】P 2022510990
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(86)【国際出願番号】 US2020046921
(87)【国際公開番号】W WO2021034891
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521154774
【氏名又は名称】ケアストリーム デンタル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルドクラウト ジェイ エス
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン クリシュナムルティ
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/038304(WO,A1)
【文献】特表2019-516460(JP,A)
【文献】特開2009-233294(JP,A)
【文献】特表2019-514663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリューム撮像装置の幾何学的キャリブレーションのための、前記ボリューム撮像装置によって実行される方法であって、
(a)キャリブレーションファントムをx線源と検出器との間に配置された対象を含む照射経路に配置し、ここで前記キャリブレーションファントムはマーカ材料で形成された複数の放射線不透過性マーカを有することと、
(b)繰り返しシーケンスにおいて、前記x線源と前記検出器の複数の相対的な位置関係のそれぞれで、
(i)前記対象及び前記キャリブレーションファントムのための2D投影画像データを取得し、ここで前記2D投影画像データは、少なくとも第1及び第2のx線エネルギー分布を区別する
ものであって、
(ii)前記第1及び第2のx線エネルギー分布について取得された前記2D投影画像データに対応する前記
ボリューム撮像装置の
x線源-検出器ジオメトリを計算することと、
(c)前記対象の3Dボリューム画像を、前記対象から取得された解剖学的画像データ及び前記複数の2D投影画像内の計算された
前記x線源-検出器ジオメトリに従って、再構成することと、を含
み、
(iii)前記第1及び第2の前記x線エネルギー分布は、スペクトル帯域が異なる、
方法。
【請求項2】
前記対象の少なくとも1つの2D解剖学的画像を、前記第1及び第2のx線エネルギー分布の組み合わせられたデータに従って形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象の前記少なくとも1つの2D解剖学的画像を形成することは、放射線不透過性マーカコンテンツを前記2D解剖学的画像から抑制することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記3Dボリューム画像を再構成することは、放射線不透過性マーカコンテンツを前記2D投影画像から抑制することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マーカコンテンツが増強された画像を前記2D投影画像データの材料分解に従って形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2D投影データを取得することは、光子計数検出器を使用して前記対象を露光することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
放射線撮像の幾何学的キャリブレーションための、ボリューム撮像装置によって実行される方法であって、
(a)キャリブレーションファントムを、x線源と検出器との間に配置された対象を含む照射経路に配置し、ここで前記キャリブレーションファントムはマーカ材料で形成された複数の放射線不透過性マーカを有することと、
(b)前記対象及び前記キャリブレーションファントムの2D投影画像データを取得することであって、ここで前記2D投影画像データは、少なくとも第1及び第2のx線エネルギー分布を区別することと、
(c)少なくとも前記第1及び第2のx線エネルギー分布に基づいて、前記2D投影画像データ内の前記放射線不透過性マーカの相対的な空間位置を識別することと、
(d)幾何学的キャリブレーションを前記放射線不透過性マーカの前記識別された空間位置を用いて実行することと、
(e)前記対象の解剖学的構造を示し、かつ前記放射線不透過性マーカを抑制する2D投影画像を形成することと、を含む、
方法。
【請求項8】
前記2D投影画像を形成することは、加重減算を使用することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2D投影画像データを取得することは、前記対象の前記2D投影画像データを、光子計数検出器を使用して取得することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記2D投影データを取得することは、デュアルエネルギーx線源を使用して前記対象を露光することを含む、請求項1または7に記載の方法。
【請求項11】
前記マーカ材料は、ヨウ素、ガドリニウム、白金、鉛、金、及び銀を含む前記群から得られる、請求項1または7に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリブレーションファントムは前記x線源又は前記検出器に結合される、請求項1または7に記載の方法。
【請求項13】
前記ボリューム撮像装置はトモシンセシス撮像装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(a)x線源及び検出器であって、対象及びキャリブレーションファントムを通る照射経路を規定するように配置され、ここで前記x線源及び検出器は少なくとも第1及び第2のx線スペクトルエネルギー分布を有する2D投影画像データを作成するように構成され、ここで前記キャリブレーションファントムは、マーカ材料で形成された複数の放射線不透過性マーカを有する、x線源及び検出器と、
(b)プログラムされた命令を実行するように構成された制御論理プロセッサであって、
(i)前記2D投影画像データを前記検出器から取得し、
(ii)前記第1及び第2のx線エネルギー分布の前記キャリブレーションファントムの前記取得された2D投影画像データに対応する前記
ボリューム撮像装置の
x線源-検出器ジオメトリを計算し、
(iii)前記対象の3Dボリューム画像を、前記対象から取得された解剖学的画像データ及び前記計算された
前記x線源-検出器ジオメトリに従って再構成する、
制御論理プロセッサと、
を備え
、
前記第1及び第2の前記x線エネルギー分布は、スペクトル帯域が異なる、
放射線撮影ボリューム撮像装置。
【請求項15】
前記マーカ材料は、k吸収端を、前記第1又は第2のx線スペクトルエネルギー分布のいずれかのエネルギー範囲内に有する、請求項1に記載の方法または請求項14に記載の放射線撮影ボリューム撮像装置。
【請求項16】
前記x線エネルギー分布は、x線エネルギーのスペクトル確率分布と、前記放射線不透過性マーカ及び解剖学的材料の質量減衰特性との積から求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記x線エネルギー分布は、x線エネルギーのスペクトル確率分布と、前記放射線不透過性マーカ及び解剖学的材料の質量減衰特性との積から求められる、請求項14に記載の放射線撮影ボリューム撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、3Dボリューム放射線撮像に関連し、特に、トモシンセシス撮像に使用されるキャリブレーションマーカの自動検出のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)又はボリュームx線画像は、歯及び支持構造の診断及び治療にとって重要な価値があり得る。この目的のためのボリュームx線画像は、2つ以上の個別の2D投影画像からの画像データを組み合わせることによって形成され、個別の2D投影画像は、互いに短時間内に、各投影画像と対象の歯との間の、及び各投影画像と別の投影画像との間の、明確に規定された角度及び位置ジオメトリで得られる。
【0003】
コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)は、歯科構造のボリューム画像を複数の投影画像から取得するための1つの確立された方法である。CBCT撮像では、画像検出器と放射線源は対象を周回し、一連のx線投影画像を小さな角度増分で取得する。次に、得られた情報を使用して、システムの利用可能な解像度内で撮像された対象を忠実に表すボリューム画像を合成し、その結果、形成されるボリューム画像はどの角度からも観察され得る。歯科用の市販のCBCT装置は、ジョージア州アトランタのCarestream Dental LLCのCS81003Dシステムを含む。
【0004】
CBCT撮像は強力な診断ツールであるが、ボリューム撮像が有益であっても、CBCT撮像の本格的な能力が必要とされない場合があり得る。これは、例えば、特許文献1、及び特許文献2の開示において認められている。インプラント埋入のガイドに使用するなどの一部の種類のボリューム撮像では、例えば、基本的なボリューム撮像能力が役立つであろう。ボリューム撮像は、隣接する歯科構造の間の重ね合わせの異常を回避するのにも役立ち得る。このような用途では、CBCTシステムから提供されるような多数のx線投影画像は必要とされないであろう。代わりに、十分なボリューム情報は、画像間の空間座標基準が維持されているという条件で、少数のX線画像を使用して取得され得る。
【0005】
一般原則として、ボリューム診断データを作成するために必要な最小数のx線露光を取得することが有利であろう。180°の軌道で取得された完全なCBCTシリーズの投影画像は、部分シリーズを行うよりも高い累積放射線量を必要とし、部分シリーズはより狭い範囲の角度で撮影されるか、又は増加した相対的な角度増分で撮影されたより少ない投影画像を使用する。したがって、KalkeとSiltanenらの開示で教示された方法は、完全なCBCT撮像が必要とされない場合の患者被曝を減らすのに役立ち得る。
【0006】
トモシンセシスは、「2.5D撮像」と呼ばれることもあり、歯科医に、口腔内特徴の従来の2D放射線撮影及び3D断層撮影イメージング、例えばCBCT撮像に勝る多くの利点を提供するように思われる。トモシンセシスでは、他のボリューム撮像アプローチと同様に、限定数の2D投影画像が連続して取得され、各画像フレームは以前に取得された画像フレームから相対角度でシフトされる。次に、再構成技術を使用して、多くの診断及び評価機能に十分な深さと解像度のボリューム画像を形成し得る。これにより、トモシンセシスは、ボリュームデータを提供するためのフルスケール断層撮影イメージングの利点のいくつかを提供するが、断層撮影が必要とするよりも低線量である。
【0007】
トモシンセシス撮像は、相対的な放射線源角度の漸増的な幾何学的変化を、各画像で検出器表面に対して使用する。従来のトモシンセシスシステム、例えばマンモグラフィに使用されるようなものは、例えば、検出器に対するソース位置の固有の制御を提供する機械的結合を有する。この機械的結合は、本質的に幾何学的キャリブレーションを、ある撮像検査から次の撮像検査に適用されるアライメントで実現する。
【0008】
ソースに対する検出器の固定された機械的結合は、常に可能であるとは限らない。一部の種類のトモシンセシス撮像では、検出器とソースが分離され、幾何学的アライメントとキャリブレーションを提供するためのいくつかの方法が必要となる。
【0009】
アライメント及び幾何学的キャリブレーションは関連するが、同一ではないことに留意すべきである。アライメントはビーム方向に関連し、撮像の前に生じる。幾何学的キャリブレーションは、撮像に続いて、例えば本明細書に記載されるように、個々の取得された画像を処理することによって提供され得る。
【0010】
ソースを検出器に適切にアライメントすることで、x線エネルギーは、x線ビームが検出器の境界内にのみ入射するように配置される。アライメントが達成されると、画像コンテンツから得られた正しい幾何学的キャリブレーションデータは、次に、連続する各投影画像のためのx線源と検出器の相対的な空間位置を規定し、その結果、再構成技術は、取得された2D投影画像からボリューム3D画像データを正確に作成し得る。
【0011】
ほとんどの歯科用途に関して、口腔内検出器は、x線源に対して患者の歯の後ろに配備されており、大部分が視界から隠され、口内の様々な位置に柔軟に配置可能である必要があり、複雑でないソースと検出器アライメント(source-to-detector alignment)の試みを妨げ、幾何学的キャリブレーションのタスクを複雑にしている。システムは、適切なアライメントによって検出器の輪郭の境界ジオメトリを確実に識別できる必要があるのみでなく、検出器に対するx線源の相対位置が、幾何学的キャリブレーションを使用して既知である必要があり、これは、2D投影画像からの正確な3Dボリューム再構成を可能にするためである。
【0012】
x線ビームの経路に配置された放射線不透過性マーカの使用は、幾何学的キャリブレーションのための実行可能な解決策を提供するが、重大な欠点を提示する。マーカの放射線不透過性は、下にある解剖学的構造の部分を不明瞭にし、それは診断目的のための取得した画像の品質を損なう可能性がある。この問題を、マーカのサイズ又は密度を縮小することによって軽減しようとすると、マーカを解剖学的構造と区別することが困難になり、正確な幾何学的キャリブレーションが複雑になり、又は危うくなる可能性がある。
【0013】
多くの解決策が口腔内トモシンセシスを提供するために提案されてきたが、トモシンセシス技術を歯科医にとって適したものにするための改善の余地はかなりある。
【0014】
したがって、理解され得ることは、検出器と放射線源が機械的に結合されていない口腔内トモシンセシスシステムのための正確な幾何学的キャリブレーションを提供する装置及び方法の改善が必要であることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許出願公開第2007/0127801号明細書
【文献】米国特許第7,269,241号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0060145号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
広く説明され、本明細書に記載された例示的な実施形態によると、本発明は、口腔内撮像検出器によって得られた少数の放射線画像からボリューム画像を作成するための装置及び方法を含む。特に、本発明は、検出器とソースが機械的に結合されていないボリューム撮像装置の幾何学的キャリブレーションのための装置及び方法を含む。有利なことに、本発明は、正確なマーカ検出と画質への影響との間のトレードオフでもたらされた問題に対処する。本明細書における別段の規定に拘わらず、本発明は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0017】
本開示の1つの態様によると、方法はボリューム撮像装置の幾何学的キャリブレーションのために提供され、この方法は、
(a)キャリブレーションファントムをx線源と検出器との間に配置された対象を含む照射経路に配置し、ここでファントムはマーカ材料で形成された複数の放射線不透過性マーカを有することと、
(b)繰り返しシーケンスにおいて、x線源と検出器の複数の相対的な位置関係のそれぞれで、
(i)対象及びファントムのための2D投影画像データを取得し、ここで2D投影画像データは、少なくとも第1及び第2のx線エネルギー分布を区別することと、
(ii)第1及び第2のx線エネルギー分布について取得された2D投影画像データに対応する撮像装置のソースと検出器ジオメトリ(source-to-detector geometry)を計算することと、
(c)対象の3Dボリューム画像を、対象から取得された解剖学的画像データ、及び複数の2D投影画像内の計算されたソースと検出器ジオメトリに従って、再構成及び表示することと、を含む。
【0018】
本発明及び本明細書に記載されるその例示的な実施形態は、全体的又は少なくとも部分的に、関連技術の問題、欠陥、及び欠点に対処する。加えて、本発明及びそのような例示的な実施形態は、本明細書に記載の様々な利点及び利益を提供する。開示された装置及び方法によって本質的に達成される他の利点及び利益は、当業者に見出されるか、又は明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の前述の、ならびに別の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に示されるように、本発明の例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面の要素は、必ずしも相互に相対的な縮尺である必要はない。
【
図1】本出願による例示的な実施形態による、椅子側トモシンセシス撮像装置の構成要素を示す概略図である。
【
図2B】2つの異なるエネルギーレベルで測定するための光子計数配置を示す概略図である。
【
図3A】アライメント問題の異なる態様を示す簡略化された概略ブロック図である。
【
図3B】アライメント問題の異なる態様を示す簡略化された概略ブロック図である。
【
図4】口腔内画像検出器の横方向位置及び角度方向を計算する撮像装置を示す概略ブロック図である。
【
図5】口腔内画像検出器の横方向位置及び角度方向を計算し、表示を患者の頬に投影する撮像装置を示す概略ブロック図である。
【
図6A】三角測量が本発明の1つの例示的な実施形態において、位置検出のためにどのように使用されるかを示す概略図である。
【
図6B】本発明の代替の例示的な実施形態における位置検出を示す概略図である。
【
図6C】放射線不透過性アライメントマーカの配置を中央開口部の周りに有するホルダを示す図である。
【
図6D】マーカが、取得された画像内に、撮像された口腔内特徴の境界に沿ってどのように現れるかを示す図である。
【
図6E】マーカが、取得された画像内に、撮像された口腔内特徴の境界に沿ってどのように現れるかを示す図である。
【
図7A】1つの例示的な実施形態による、口腔内x線撮像装置を示す斜視図であり、アライメントは正しくない。
【
図7B】1つの例示的な実施形態による、口腔内x線撮像装置を示す斜視図であり、アライメントは正しい。
【
図8A】コリメーションを実質的に正方形配置で備える放射線源アセンブリを示す底面図である。
【
図8B】異なるアスペクト比のアパーチャを備えたコリメータプレートアセンブリを示す底面図である。
【
図8C】代替のコリメータプレート配置を示す底面図であり、代替のコリメータプレート配置は線形方向に並進されて、放射線源アレイの異なるサブセット上に異なるアパーチャのセットを配置する。
【
図8D】代替のコリメータプレート配置を示す底面図であり、代替のコリメータプレート配置は線形方向に並進されて、放射線源アレイの異なるサブセット上に異なるアパーチャのセットを配置する。
【
図8E】異なるアスペクト比のアパーチャの対のセットを有するコリメータプレートを示す底面図である。
【
図8F】線形分散ソースアレイに沿って線形に湾曲及び並進されるコリメータの図である。
【
図8G】線形分散ソースアレイの周りを回転することによって湾曲及び並進されるコリメータの図である。
【
図9A】限定数のx線からボリューム画像を取得するために使用される撮像パターンを示す概略ブロック図である。
【
図9B】患者に対するx線エミッタの異なる位置が、ボリューム画像を形成する際に使用するための個々の画像をどのように提供するかを示す斜視図である。
【
図10A】弧状軌道に沿って搬送されたx線源を用いたトモシンセシス撮像のための口腔内撮像装置を示す概略図である。
【
図10B】線形軌道に沿って搬送されたx線源を用いたトモシンセシス撮像のための口腔内撮像装置を示す概略図である。
【
図10C】感知された伸展及び回転データを報告するために、各調整可能なジョイントに複数の関節式セクションを有するフレームを示す上面概略図である。
【
図12A】口腔内検出器と結合されるマーカガイドの使用を示す概略図である。
【
図12B】口腔内検出器と直接結合されないマーカガイドの使用を示す概略図である。
【
図13A】歯科処置用の椅子及び他の装置を備えた治療システムを示す図である。
【
図13B】コリメータ、椅子、床、又は他の設備に結合されたx線源を備えた配置を示す上面概略図である。
【
図14A】本出願による例示的な実施形態によるアライメントのためのマーカガイドのアセンブリ及び構成要素を示す図である。
【
図14B】本出願による例示的な実施形態によるアライメントのためのマーカガイドのアセンブリ及び構成要素を示す図である。
【
図15】アライメント及びコリメーション支持のための患者の顔に対するフレームの位置を示す図である。
【
図16】コリメーション及びアライメントのためのフレームと関連付けられた構成要素の側面図及び上面図を示す。
【
図17】トモシンセシス撮像のために撮像された対象に対して追跡され得る例示的な相対的な移動経路を示す概略図である。
【
図18】スピント型(Spindt-type)フィールドエミッタベースのソース又は画像取得のための他のx線源アレイを示す概略ブロック図である。
【
図19】代替の例示的な実施形態において、限定数のx線からボリューム画像を取得するために使用される撮像パターンを示す概略ブロック図である。
【
図20】ボリューム画像を作成するためにx線画像を取り込むためのシーケンスを示す論理フロー図である。
【
図21】画像データに関連付けられた空間位置及び角度方向情報を示すブロック図である。
【
図22】シーケンスでの各画像取り込みの準備におけるシステムアクティビティを示す論理フロー図である。
【
図23】投影画像とトモシンセシス画像スライスの比較表示を示す図である。
【
図24】検出器に対して所定の位置に固定されたマーカを備えた配置を示す概略図である。
【
図25】ファントムのマーカがソースに固定されている代替の配置を示す概略図である。
【
図26A】本開示の例示的な実施形態による所与のx線エネルギー分布を規定するために組み合わせられるx線エネルギー及び質量減衰特徴を示すグラフである。
【
図26B】本開示の例示的な実施形態による所与のx線エネルギー分布を規定するために組み合わせられるx線エネルギー及び質量減衰特徴を示すグラフである。
【
図26C】本開示の例示的な実施形態による所与のx線エネルギー分布を規定するために組み合わせられるx線エネルギー及び質量減衰特徴を示すグラフである。
【
図27】スペクトルx線撮像システムを使用して得られた単一の2D投影画像からマーカ及び解剖学的2D画像を提供するためのシーケンスを示す論理フロー図である。
【
図28A】本開示の例示的な実施形態による、トモシンセシス撮像用の2D投影画像内のマーカ検出のための画像処理の結果をシミュレートされた形で示す図である。
【
図28B】本開示の例示的な実施形態による、トモシンセシス撮像用の2D投影画像内のマーカ検出のための画像処理の結果をシミュレートされた形で示す図である。
【
図28C】本開示の例示的な実施形態による、トモシンセシス撮像用の2D投影画像内のマーカ検出のための画像処理の結果をシミュレートされた形で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は、例示的な実施形態の詳細な説明であり、図面が参照され、図面では同じ参照番号は、場合によっては、いくつかの図のそれぞれにおいて、構造の同じ要素又は方法の同じステップを識別する。
【0021】
本開示の文脈で使用される場合、用語「第1の」、「第2の」などは、必ずしも任意の順序、順次又は優先の関係を示さず、別段の定めがない限り、単に、1つのステップ、要素、又は要素のセットを別のものからより明確に区別するために使用される。
【0022】
本明細書で使用する際、用語「通電可能な」は、電力を受け取ると、また任意選択で、イネーブル信号を受信すると、表示された機能を実行するデバイス、又は構成要素のセットに関連する。
【0023】
本開示の文脈では、用語「観察者」、「オペレータ」、及び「ユーザ」は同意義であると考えられ、観察している開業医、技師、又は他の、歯科画像などの画像を表示モニタ上で観察して操作する人を指す。「オペレータ命令」又は「観察者命令」は、観察者によって、例えばカメラのボタンをクリックすることによって、コンピュータマウスを使用することによって、又はタッチ画面若しくはキーボード入力によって入力された明確なコマンドから得られる。
【0024】
本開示の文脈では、語句「信号通信において」は、2つ以上のデバイス及び/又は構成要素が、いくつかの種類の信号経路上を伝送される信号を介して互いに通信できることを示す。信号通信は有線でも無線でもよい。信号は、通信信号、電力信号、データ信号、又はエネルギー信号であり得る。信号経路は、第1のデバイス及び/又は構成要素と、第2のデバイス及び/又は構成要素との間の物理的、電気的、磁気的、電磁気的、光学的、有線、及び/又は無線の接続を含み得る。信号経路はまた、第1のデバイス及び/又は構成要素と、第2のデバイス及び/又は構成要素との間に追加のデバイス及び/又は構成要素を含み得る。
【0025】
用語「対象」は、撮像されている患者の歯又は他の部分を指し、光学的用語では、対応する撮像システムの「対象(object)」と同義語であると見なし得る。
【0026】
本開示において、用語「検出器」は、患者の口に配置され、放射線を受け取り、画像コンテンツを提供する要素を指す。このような検出器は、x線画像データを撮像システムに直接提供するデジタル検出器である。
【0027】
本開示の文脈において、用語「ピクセル」及び「ボクセル」は、互換的に使用され得て、個別のデジタル画像データ要素、すなわち、測定された画像信号の強さを表す単一の値を説明する。従来、個別のデジタル画像データ要素は、3次元ボリューム画像に対してはボクセル、2次元画像に対してはピクセルと呼ばれる。ボリューム画像、例えばCT又はCBCT装置からのものは、ピクセルの複数の2D画像を異なる相対角度で撮影して取得し、次に画像データを組み合わせて対応する3Dボクセルを形成することによって形成される。本明細書において説明の目的で、ボクセル及びピクセルという用語は、一般に同義語であると見なし得て、数値の範囲を有することのできる画像要素データを説明している。ボクセル及びピクセルは、空間位置及び画像データコード値の両方の属性を有する。
【0028】
平面は、任意の方向に12°以下で平行である場合、「平行」であると見なし得る。
【0029】
トモシンセシス撮像に関して特に記載されているが、本開示の一実施形態はまた、他の種類のボリューム撮像装置、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムとともに使用され得て、それは3Dボリュームの再構成に使用される多数の2D投影画像を作成し、例えばCBCT撮像装置である。
【0030】
図1は、本開示の特定の例示的な方法及び/又は装置の実施形態による、例示的な椅子側トモシンセシス撮像装置100の構成要素を示す概略図である。x線源10は、放射エネルギーを、対象の歯14又は他の特徴を介して口腔内検出器20に、検出器に対するx線源の複数の位置関係の各々で向ける。各位置関係は、ソースと検出器のそれぞれの空間座標のペアと見なすことができる。コリメータ16は、ソース10の放射線の角度範囲を調整し、その結果、露光は関心領域内に制限される。アライメント装置70は、ソース10からコリメータ16を通る放射線場のアライメントを感知し、必要に応じて制御して、関心領域に亘って放射線を提供する。口腔内検出器20は、制御論理プロセッサ26と信号通信にあり、画像コンテンツを取得し、処理して、ディスプレイ28上にトモシンセシス画像を提供する。トモシンセシス撮像は、本明細書でより詳細に説明されるように、変化する相対角度、又はより一般的には、検出器20に対するソース10の位置関係を必要とする。制御論理プロセッサ26は、トモシンセシス画像取得に必要な制御を提供する。
【0031】
トモシンセシス撮像は、
図1に示される構成要素が、関心領域の2つ以上の2D投影画像、例えば1つ以上の隣接する歯の画像などを取得することを必要とする。作成された画像コンテンツには、ある程度の輪郭と深さ情報が含まれるが、CBCTシステムなどの断層撮影から得られたより幾何学的に完全な3D画像ボリュームデータは含まれない。
【0032】
トモシンセシスデータは、深さ情報の尺度をフルボリュームの画像コンテンツなしで提供する。トモシンセシスは、撮像された対象へのスライスの作成を可能にし、スライスは異なる深さにある。
【0033】
反射率画像の取得
オプションの反射率撮像装置96はまた、いくつかの例示的な椅子側口腔撮像方法及び/又は装置の実施形態の一部として提供され得て、例えば患者の口内に配置された検出器20用のより正確なポジショニング情報を提供する。撮像装置96は、輪郭撮像を、関心のある口腔内特徴への構造化光パターンの投影などによって提供し得る。次に、輪郭情報は、表面特徴を示す3Dメッシュを作成するために処理される。この目的のために、反射率撮像カメラは光学スキャナとして機能する。代替的に、撮像装置96は2Dカメラであり得て、関心領域から、及びその周辺の1つ以上の単色又はカラー画像を取得する。
【0034】
反射率撮像を使用して、例えば、頭部のサイズ及び/又は向きを決定し得る。取得された反射率画像はまた、補助として機能し、トモシンセシス及び/又は他の放射線画像取得中の患者の動きを検出し得る。輪郭撮像カメラ画像、例えばCarestream Dental LLCのCS3600口腔内スキャナによって提供されるようなものは、2D反射率画像よりも多くの情報を提供し得て、トモシンセシスで使用されるボリューム再構成処理をガイド及び/又は修正し、またトモシンセシス検査中の動きを検出する。
【0035】
オプションの超音波撮像装置98は、同様に、椅子側口腔撮像装置100の支持システムとして提供され得る。
【0036】
本出願による代替の例示的な実施形態によると、全口腔走査装置は、放射線撮像システムと連動して機能する。これにより、放射線画像と反射率画像の両方の同時取得が可能であり、例えば、後続の再構成処理に役立ち得る。反射率及びトモシンセシスの画像コンテンツを一緒に融合して、非常に正確な表面輪郭情報を参照していくつかの深さ情報を表示し得る。
【0037】
深さ分解画像コンテンツ、例えば光コヒーレンス断層撮影(OCT)及び超音波撮像システムを取得する撮像装置の種類は、取り込まれた反射率信号から、表面輪郭情報を得るのみでなく、表面下のある深さまで、検出された組織と特徴の特徴付けのための幾分かの追加情報を提供する可能性もある。この種類の深さ分解画像コンテンツは、より有用な補助となり、トモシンセシス取得のポジショニングを支持及び検証し、同様に撮像セッション中に検出された患者の動きを識別及び報告又は補正するのに役立ち得る。表面直下の特徴の深さ分解撮像装置によって取得される支持的情報が存在し得て、それは、例えば、ポジショニングガイダンスと検証に関して、表面輪郭撮像コンテンツのみを使用する場合よりも、より有効であり得る。
【0038】
放射線源
本開示の例示的な方法及び/又は装置の実施形態によると、x線源10は、スピント型フィールドエミッタ(カーボンナノチューブベースのフィールドエミッタを含む)であり、多数の分散されたx線源から放射エネルギーを提供する。x線源は、例えば、スピント型フィールドエミッタの分散アレイであり得て、それは中央の熱電子源の周りで、周辺に配置され得る。x線源は静止しているか、アレイ内で互いに対して相対的にその位置で固定され、アレイ自体は単一ユニットとして移動する。この種類のx線源は、マイクロ秒オーダで迅速なオン/オフ切り替えが可能である。
【0039】
他の適切なx線源は、対のパルス化された従来のフルオロ対応熱電子源をアレイ内に含み得て、そこではソースは空間的に分離される。これらのオプションは、十分なx線フルエンスを短い露光時間で提供し、同時に露光シーケンスを過熱することなく可能にする。
【0040】
スピント型フィールドエミッタベースのx線源は、真空チャンバ内に1つ以上のカソードを有し、各カソードは多数の個別のスピント型フィールドエミッタから形成され、励起電流が与えられると電子を提供し、次にそれらはチャンバ内の1つ以上のアノードに向かって加速される。
【0041】
代替的に、x線源は、より従来型の熱電子源であり得て、搬送装置と結合され、x線源を線形又は非線形(例えば、湾曲した)移動経路に沿って移動させるために必要なエネルギーを提供し、移動経路は放射線を対象に向けるためにセグメント化又は連続化され得る。
【0042】
本出願による例示的な実施形態によると、同じx線源は、従来の放射線撮影又は3D撮像のためのモードのセットのいずれかで使用され得る。したがって、同じ放射線撮像装置を使用して、単発放射線撮影画像を取得するか、あるいはCBCT、トモシンセシスを含む断層撮影用、又はX線透視若しくは透視撮像用の投影画像を取得及び処理することができ、本明細書でより詳細に説明する。
【0043】
発生器
x線源の一部である放射線発生器は、パルス化又は連続動作を提供し得る。発生器は、単一パルス又は一連のパルスを、特定の特徴に適した露光条件を提供するためにパルス幅を変化させて提供することができる。
【0044】
撮像検出器
例示的な方法及び/又は装置の実施形態における撮像検出器は、画像データをトモシンセシス撮像に十分な速度で取得する小型の口腔内デジタル放射線撮影(DR)検出器である。撮像検出器は、任意の適切な形状であり得て、また剛性又は可撓性であり得る。
【0045】
撮像検出器との信号通信は、有線又は無線であり得る。画像検出器は、ケーブルから電力を受け取ることができ、又は充電式バッテリを搭載し得る。
【0046】
トモシンセシス撮像の要件を満たすために、口腔内検出器は、速い応答時間を有し、トモシンセシスの取得に十分な画像取得レートを備え、少なくとも約2フレーム/秒(fps)、少なくとも5fps、又は少なくとも10fpsで取得する。
【0047】
背景技術の段落で前述したように、ソースと検出器アライメント及び検出器に対するソース位置の幾何学的キャリブレーションデータの両方を使用して、トモシンセシス撮像装置によって取得された2D投影画像を取得及び処理する。以降の説明では、アライメントの問題に対するいくつかの解決策と、正確なトモシンセシス又は断層撮影の再構成に使用される幾何学的キャリブレーションデータを取得するための装置と方法について概説する。
【0048】
本開示の特定の実施形態は、トモシンセシス撮像装置100のスペクトル検出能力を使用する幾何学的キャリブレーションの問題に対処する。この目的のために、トモシンセシス撮像装置のスペクトル特性が使用され、これについては、後で詳しく説明する。
【0049】
取得された画像コンテンツのスペクトル情報を取得するために使用され得るトモシンセシス撮像の1つの態様は、光子計数x線検出器に関連する。エネルギー積分検出を使用する従来の検出器と比較した、撮像用の光子計数検出のいくつかの利点は、(i)電気的ノイズの低減と信号対ノイズ比の改善、(ii)画像のコントラストの改善、例えばエネルギービニングで取得した画像の重み付け係数を調整すること、を含む。したがって、光子計数トモシンセシスは、診断精度を向上し得る。本開示の実施形態は、光子計数を更に活用して、幾何学的キャリブレーションに関連するスペクトル情報を取得し得る。
【0050】
光子計数において、各入射光子は電荷を生成し、各電荷イベントは記録される。光子の実際の計数、又は計数に従って対応して計算された値は、各ピクセルの画像データとして提供される。有利なことに、光子計数は、パルス強度がバックグラウンドノイズレベルを超える場合、ノイズに対して高い耐性を有する。
【0051】
図2Aは、光子計数シーケンスを概略的な形態で示す。入射光子は、パルス180を、その周波数に対応する(又は、その波長に反比例する)所与のエネルギーレベルで生成する。パルス180のエネルギーは、比較器182で閾値と比較され、パルス整形器184で整形されて、整形されたパルス188を形成する。次に、計数器186は、パルスイベントを記録し、デジタル出力、パルス計数値190を提供する。別個のパルス計数値190は、撮像センサ170の各ピクセル要素に対して得られ、それは検出器20に使用される。閾値は、関心のある光子エネルギーに応じて、調整可能であるか、又は値の範囲から選択可能であり得る。光子計数x線検出器は、低信号レベルで適切な性能を提供し、それによって患者に与えられるx線の線量を減らすことができる。
【0052】
本開示の幾何学的キャリブレーション法に使用され得る光子計数検出器は、2つの種類のいずれかであり得る。
(1)光子計数を用いた間接検出。間接検出は、シンチレータ層を有し、それはx線信号を受信し、受信したx線スペクトルエネルギーに対応するエネルギーレベルの光子を発生する。そして、
(2)光子計数を用いた直接検出。直接検出は、高感度の半導体材料を有し、それはx線光子からのエネルギーを電子流に変換する。エネルギーレベルは、受光したx線のスペクトルエネルギーに対応する。
【0053】
パルス計数の更なる利点は、パルス180を複数の閾値で計数するその能力に関連し、ここで各値は、x線エネルギーのスペクトル範囲を示す。
図2Bの概略図を参照すると、2つの比較器182a及び182bはパルスエネルギーを測定するために示される。この特定の構成では、比較器182a、パルス整形器184a、及び計数器186aは、第1の閾値エネルギーを超えるすべてのパルスに対して計数190aの値を提供し、同様に、比較器182b、パルス整形器184b、及び計数器186bは、より高い第2の閾値を超えるパルスのみを考慮し、それに応じて計数190bを提供する。次に、単純な減算により、各パルスで達成された異なる電力レベルを識別する。3つ以上の閾値レベルが比較器回路の対応する配置を使用して測定され得て、パルス計数をいくつかの閾値のうちのいずれかで可能にすることが理解され得る。加えて、閾値は選択可能であり得て、例えば、様々な光子エネルギーレベルに対する撮像センサ170の応答を調整するために調整可能である。したがって、例えば、オペレータは、事前設定された閾値のセットを使用して、最終的に作成される画像内のより柔らかい組織とより密度の高い組織を区別し得る。
【0054】
最小のフロア(floor)閾値を設定することに加えて(例えば、ノイズ低減のために)、マルチスペクトルx線撮像を使用する本開示の実施形態はまた、光子エネルギーのための追加の上限又は最大閾値を使用するオプションを提供し得る。この上限閾値能力は、多くの機能に役立ち得て、例えば、金属アーチファクト又は直接検出材料を直接通過するx線などからの過剰なノイズ信号の発生を低減する。
【0055】
異なるエネルギー閾値で光子を計数する能力は、
図2Bを参照して説明したように、口腔内検出器が、対象を異なるx線波長で照射することから得られるエネルギーレベルを区別することを可能にし、各露光の結果として提供される画像データに追加の次元を提供する。この能力は、マルチスペクトル又は「カラー」x線撮像として説明され、対象のピクセルの材料組成に関する情報を取得できる。よく知られているように、2つの材料AとBは、異なる減衰係数μを有し得て、それは放射エネルギーのレベル、露光Eによって変化する。所与の露光で、材料Aは材料Aに対応するエネルギーで光子を減衰させる。同様に、材料Bに当たる放射線は、材料Bに対応するレベルで光子を減衰させる。これらの異なるエネルギー値の光子が互いに区別され得る場合、得られた画像の同じピクセル又はボクセル画像要素内の一方又は両方の材料を識別することが可能である。放射線に反応するこの同じ基本的挙動はまた、組織の種類を区別するある程度の能力を可能にする。異なる線形吸収特性により、様々な種類の組織を区別でき、例えば骨の種類を区別する能力などがある。
【0056】
光子計数検出器を使用するカラーx線は、低コスト及び低線量のカラーx線撮像を提供する。マルチスペクトル又は「カラー」x線撮像の使用は、口腔内撮像の有用性に多くの潜在的利益をもたらし得る。これらには、金属アーチファクトの最小化、軟組織と硬組織の個別の再構成、歯と骨の特徴のより効率的なセグメンテーションアルゴリズム、癌とその他の疾患に対する病理検出の改善、及び微量物質又は造影剤の検出が含まれる。
【0057】
調整可能な解像度を提供し、取得速度を増加させるために使用され得る技術の中には、検出器ビニングがあり、本明細書でより詳細に説明される。ビニングは、隣接するセンサ素子の均一なセットをグループ化して、ピクセルの各セットの個々の領域に単一の平均値を提供する。
【0058】
ソース/検出器アライメント
検出器アライメントは、歯科又は口腔内放射線撮影では困難な場合がある。検出器の位置は患者の口内にあり、技師には見えない。代わりに、技師は通常、検出器をある種のホルダの中に配置し、次にホルダを口内の所定の位置に挿入する。ホルダは、バイトプレート又は他の種類の支持部材を有し得て、それは検出器を適切に配置するのに役立つ。よく知られているように、この種類のホルダは、患者にとって煩わしく不快なものになる場合がある。ホルダとその他のポジショニングデバイスはエラー防止機能がなく、これらのデバイスが有するポジショニングエラーは、取得された画像が診断に適していないことを意味する場合がある。例えば、検出器の整列が不十分な場合、コーンカット、根尖部の欠損、及び伸長とこれに関連するアンギュレーションエラー又は視差エラーなどが引き起こされる場合がある。これらのアライメントの問題により、許容可能な画像を取得するために、再撮影、追加の画像取り込みが必要になる場合がある。再撮影は、患者への追加のx線被曝と、口の中の検出器又はセンサに対する患者の不快感を長引かせるため、望ましくない。
【0059】
従来のx線源は、照準表示器を含み、技師によるx線源の位置と角度の調整を補助する。これら照準表示器は、可視光線を使用して、放射線ビームのセンタリングを補助する輪郭を描くことが多い。これらは放射線検出器が見える場合には良く作動するが、口腔内撮像などの検出器が見えない場合には必要とされるものに達しない。技師は、口腔内センサの位置とセンサ上でのx線の入射角との両方を推測又は推定する必要がある。
【0060】
図3A及び
図3Bの簡略図は、x線源10と検出器20の間の誤アライメントがどのように引き起こされ得るかを示す。これらの例では、x線源10は、照準センタリングに使用される可視光線の照準表示12を提供する。正確な照準アライメントが、例(a)で示すように達成されている場合、検出器20はセンタリングされて、照準表示12内に表示される。照準は、例(b)と(d)では不正確である。
【0061】
最良の撮像結果を得るために、角度に関する適正なアライメント、又はアンギュレーションも必要とされる。x線源10からの入射放射線は、例(a)で示すように検出器20に直交することが好ましい。
図3A、
図3BのラインNは、検出器20の表面に対して法線、又は直交線を示す。例(c)と(d)は不正確な角度アライメントを示す。例(c)では、照準又はセンタリングは正確であるが、アンギュレーション又はピッチは不正確である。例(d)では、照準(センタリング)及びアンギュレーション(ピッチ)の両方が不正確である。例(e)では、検出器20は平面内で回転(ロール)される。
【0062】
図3A及び
図3Bの概略的な例が、検出器20に対するx線源10の直交ポジショニングを想定していることに注目することは有益である。いくつかの実施形態では、斜め配向が使用されてもよい。
【0063】
アライメントとポジショニングは、ボリューム撮像用途にとって特に重要であり、その用途では、異なる角度で撮影された画像が何らかの方法で組み合わせられてボリューム画像データを形成する。
【0064】
トモシンセシスにおいて、ソースと検出器との間の相対的な移動は、アライメント問題に更に複雑さをもたらす。一般に、再構成処理では、移動の線又は円弧を、ソースの空間位置が検出器表面に対して同じ平面内にあるか、又は表面から等距離になるように配置し、移動が、取得された各投影画像について検出器表面のピクセル位置と一致することが最も望ましい。
【0065】
本開示の装置の部分及び動作をよりよく理解するため、適切なアライメントが撮像システムによってどのように検出され得るかを示すことが役立つ。
図4の概略ブロック図を参照すると、撮像検出器20とx線源10とのアライメントを検出する口腔内撮像装置22が示される。
【0066】
図4の配置では、検出器20は、患者の頬18の内側の歯14に隣接する検出器位置に配置される。検出器20の一部として、いくつかの検出可能要素30が組み込まれ、検出可能要素30は、電磁信号エミッタ、例えば無線周波数(RF)エミッタとして示される。検出可能要素30は、通常は、互いに離隔されて三角測量情報を提供する。センサ24は、それ自体がx線源10と整列されて、位置的に結合されており、検出可能要素30の存在を、何らかの方法、例えば放射されたRF信号を感知することで感知する。RFエミッタ、例えばRFIDタグに使用される微小なエミッタを起動して感知するための方法は、信号検出技術の当業者には周知である。制御論理プロセッサ26は、1つ以上のセンサ24と信号通信にあり、従来からの三角法による計算を、検出可能要素30と、x線源10に対して既知の位置にあるセンサ24とからの受信信号、又は、他の検出可能な特徴に基づいて実行する。これは、x線源10に対して、患者の口内にある検出器20の対応する位置的及び角度的アライメントを決定するために実行される。その後、オペレータコンソールディスプレイ28、コンピュータディスプレイモニタは、オペレータにアライメント情報を示し、必要とされる調整設定を推奨し得る。センサ24は、通電可能であり、1つ以上の所定周波数の電磁信号を受信する。
【0067】
本開示の特定の例示的な方法及び/又は装置の実施形態は、
図4の基本システムを、技師へのアライメント情報の提供により改善し、これはより容易に使用され得て、特にこの情報はボリューム画像を形成するために使用される個々の画像を取得するために必要とされる。本発明の例示的なアライメント装置は、歯科患者の頬又は他の部分の上に、検出器の位置及び角度に対してx線管を適切にアライメントするためのガイドとして、画像を投影できる。
図5の撮像装置36の一実施形態を参照すると、制御論理プロセッサ26は、アライメント情報を、
図4で説明された方法と同様の方法で得る。加えて、
図5に示すように、制御論理プロセッサ26はプロジェクタ40との画像データの信号通信にあり得て、患者の頬18、口唇、又は顔面上に画像を投影する。
【0068】
図6Aの斜視図は、概略的な形態で、1つの実施形態においてアライメントのオフセットを決定するために、三角測量が、検出器20の位置及び角度を示すためにどのように使用され得るかを示す。1つの実施形態においてセンサ24a及び24b、RF送信機は、x線源10に対して既知の位置にあり、例えばx線管上のx線源の近くに取り付けられる。信号エミッタ又は他の種類の検出可能要素30は通常、対で配置され、検出器20の角部に配置される。各検出可能要素30は、センサ24aと24bにより感知され得る検出可能な特徴を有する。1つの実施形態において、各検出可能要素30は、RFデバイスであり、例えば、その対応する信号受信機であるセンサ24a又は24bから送信された信号に応答して電磁場を生成する。放射された電磁場の位相、強度、又は他の特性は、対応するセンサ24a及び24bで測定され、それを使用して放射構成要素と受信構成要素の間の相対距離を決定する。例えば、
図6AのRF検出の実施形態では、検出可能要素30として作用する、エミッタの各対の信号が同位相である場合、良好なアライメントが達成される。位相が外れた状態はアライメントが不十分であることを示し、調整に必要な指示を表示し得る。センサ24a及び24bは制御論理プロセッサ26と信号通信にある。
【0069】
同様に、相対的な信号強度は、代替的に使用されて、x線源に対する検出器20の位置及び角度をアライメントオフセットの測定のために示し得る。RF実施形態におけるこのアプローチを使用すると、検出可能要素30として作用する最も近い信号エミッタは、これに対応して、センサ24a又は24bにおいて最も強い信号強度を有する。
図6Aの配置が使用される場合、4つすべてのエミッタ、又は他の種類の検出可能要素30から放射された信号の強度が等しい場合は、良好なアライメントを示す。信号強度が異なる場合、それらの変動に対するパターンを使用して、どの調整が必要かを示し得る。1つの例として、Tranchantらによる、「Positioning Adjustment of a Mobile Radiology Facility」と題された、米国特許出願公開第2009/0060145号では、位置検出システムが記述され、それは三角測量及び複数の放射された信号の感知を使用してアライメントポジショニングを計算する。いくつかの異なる構成のいずれかを使用して、適切なアライメントを、1つ以上のセンサ24及び検出可能要素30を用いて決定し得ることが理解され得て、これは信号処理及び位置感知技術の当業者には周知である。
【0070】
1つの代替の実施形態では、
図6Bに示されるように、
図6Aに示されたエミッタと検出器配置が逆にされ、その結果、1つ以上の検出可能な要素30を提供する1つ以上のエミッタがx線源10に機械的に結合され、2つ以上のセンサ24が検出器20に取り付けられる。
図6Bに示す実施形態では、例えば、検出可能要素30は破線の輪郭で示され、コイルであって、センサ24によって感知される電磁場を生成する。センサ24は、制御論理プロセッサ26と、直接(例えば、有線)又は間接(例えば、無線)接続のいずれかを介して信号通信にある。
【0071】
代替的なアライメント機構
1つの例示的な実施形態では、口腔内スキャナ又は他の反射率撮像センサは、検出器とのソースアライメントの補助として使用され得る。輪郭画像又は従来の反射率画像から得られた光学スキャンデータは、トモシンセシススキャンに望ましい軌道を決定するために、一種の「スカウト」スキャンとして分析され得る。
【0072】
別の例示的な実施形態では、超音波撮像はまた、ソースポジショニングのためのアライメント補助として使用され得る。超音波は、解剖学的構造内の軟組織構造を撮像する能力を備えて、特に有用であり得る。
【0073】
CNT源のアライメント機構は調整可能であり、後続の各画像の放射線源の相対的な位置変化の軌道を制御し得ることに留意する必要がある。
【0074】
本出願による1つの例示的な方法及び/又は装置の実施形態は、オートフォーカス及びアライメント機能を、口腔内センサをポジショニングするために使用されるホルダ内に埋め込まれたマーカの配置を使用して提供する。
図6Cは、フレーム78のホルダ72を示し、フレーム78は、放射線不透過性マーカ74の配置を、x線源10(
図6Cには示されていない)を向ける中央開口部76の周りに有する。
図6D及び
図6Eは、マーカ74が取得された画像に、撮像された口腔内特徴の境界に沿ってどのように現れるかを示す。アライメントマーカを使用すると、画像処理により、連続して取得された画像の位置を相関させ、その後の再構成のために投影画像を相互に正確に合わせることができる。
【0075】
図6A~
図6Cに示されるような解決策は、本明細書でより詳細に説明されるように、任意の数のソースと検出器配置でのアライメントに使用され得ることが観察され得る。
【0076】
患者への輪郭の投影又は他のアライメントフィードバック
図7A及び
図7Bの斜視図を参照して、オプションの画像投影を提供する本発明の例示的な実施形態の更なる利点が示される。プロジェクタ40は位置的にx線源10に結合され、例えばx線管の端部に向かう位置に、又はx線システムの他の部分に取り付けられて、例えば、患者の頬の上に2次元画像を投影し、隠された検出器20の位置42(点線の輪郭で示す)を表示し、また、x線源10によって既に提供されていない場合は、更にx線源の照準表示12を表示する。
図7Aは、照準アライメントが不正確である一例を示し、位置42が照準表示12と整列されていない。
図7Bは、照準アライメントが正確であり、位置42が照準表示12の間でセンタリングされた一例を示す。
【0077】
プロジェクタ40は、x線源10の上に取り付けられ得る撮像プロジェクタのいくつかの種類のうちのいずれかであり得る。1つの実施形態では、プロジェクタ40はピコプロジェクタであり、例えば、アメリカ合衆国ワシントン州レドモンドのMicrovision Inc.のピコプロジェクタディスプレイなどである。このようなデバイスは、数多くの理由による利点を有し、小型、軽量、及び低電力要件を含む。携帯電話及び他の携帯性の高い電子デバイスで使用されるこのようなピコプロジェクタは、1つ以上の低出力レーザをディスプレイ表面上で走査する。ピコプロジェクタは、最低限の光学部品を様々な距離での投影のために必要とする。レーザ自体は、必要に応じて速やかに電力がオンオフされ、その結果、電力は投影される画像ピクセルに対してのみ消費される。これにより、ピコプロジェクタを低電力レベルで動作することが可能となり、バッテリ電力をプロジェクタ40に使用し得る。代替の実施形態は、他の種類の電子撮像プロジェクタ、例えば、Texas Instruments,Inc.のデジタルライトプロセッサ(DLP)などのデジタルマイクロミラーアレイ、Silicon Light Machines,Inc.の回折格子ライトバルブ(GLV)デバイスなどの微小電気機械回折格子ライトバルブのアレイ、又はシリコン基板上の反射型液晶(LCOS)デバイスを含む液晶デバイス(LCD)を採用するプロジェクタを使用する。
【0078】
レーザをプロジェクタ40の照明源として使用する場合、追加の対策を行い、コヒーレントレーザ光が患者又は開業医の眼に入射するのを最小限に抑えることができる。非常に低出力のレーザ、例えばソリッドステートレーザは、非常に少量の光強度のみを任意のポイントに伝送する走査速度で使用され得る。拡散要素が光路に設けられてもよく、例えば、レーザ光をいくらか散乱させ、投影された画像の品質又は有用性にほとんど、又は全く影響を与えることなく、強度を低減する。発光ダイオード(LED)又は他の低出力のソリッドステート照明源が代替的に使用されてもよく、例えば有機LED(OLED)デバイスである。
【0079】
プロジェクタ40(
図7A及び
図7B)によって投影される画像は、画像コンテンツを有し得て、それは多数の形態のいずれかであり、x線源に対する照準表示12及び検出器20の位置42の表示の両方を含み得る。代替的に、照準表示12がx線システムにより既に設けられる場合、プロジェクタ40は位置42を示す投影のみを提供し得る。プロジェクタ40が2次元撮像デバイスを使用するため、表示された画像は複数の部分を有し、追加のテキスト領域、方向マーカ、及び他の要素を含んでもよい。位置42は、
図7A及び
図7Bで示されるように輪郭の形態で示されてもよく、又はいくつかの他の方法で表示されてもよい。1つの例示的な実施形態では、検出器20の角度オフセットの値は、患者の頬の上に数値的なメッセージ表示として示される。あるいは、プロジェクタ40の動画又は他の能力は、画像コンテンツとして追加の位置及び角度情報を提供するために使用され得る。
【0080】
色を使用して、アライメントオフセットの相対量を様々な方法で示すのに役立ち得る。例えば、検出器20の輪郭が頬の表面上に投影されていても、技師が角度アライメントの調整方法を知るのが難しい場合がある。表示12と位置42を異なる色で表示すると、x線管の角度の調整において、技師を、例えば、照準表示12と位置42の両方が同じ色で表示されるまでガイドするのに役立ち得る。表示の、又は表示された要素の異なる部分の点滅は、アライメント調整を指示しガイドするのに役立つ。可聴ビープ音は、アライメントが許容可能か否かを示すために備えられてもよい。矢印又は標的シンボルのような静的表示は、画像コンテンツとして患者の頬の上に投影され得る。動画は、調整をガイドするために提供され得る。
【0081】
1つの例示的な実施形態では、プロジェクタ40(
図7B)から投影された画像は、技師に、x線源10を再照準する方法、又は処置椅子の位置を調整する方法を、シーケンスの次の画像を設定するために指示する。投影された色、パターン、英数字のテキスト、動画、フラッシュ又は点滅、あるいはその他の機構を使用して、画像取り込み間のポジショニング調整をガイドし得る。
【0082】
患者頭部支持装置は、頭部位置をトモシンセシス画像取得サイクル中に安定させるために設けられる。任意の種類のヘッドレスト又は他の支持機構も、金属又は他の高度に放射線不透過性の材料であり得ないことに留意する必要がある。患者頭部支持装置は、例えば、ドーナツ型、拡張可能、又は膨張可能であり得る。
【0083】
コリメーション
選択された例示的な方法及び/又は装置の実施形態では、コリメーションは、放射線場を患者の口内の関心領域(ROI)に制限するために必要とされる。
【0084】
コリメーションの1つの有益な側面は、コーンカットを排除又は低減することに関し、コーンカットでは投影されたx線からの過剰な放射線が関心領域の外側の領域に入射する。
【0085】
CNTアレイなどの分散されたソース配置の難しさは、放射線の適切なコリメーションの必要性に関係する。その機能の中で、コリメーションは、放射エネルギーの広がりを制御し、その結果、放射線は関心のある解剖学的構造に適切に向けられ、放射線場は撮像受信機の外縁を越えて広がらない。コリメーションはまた、散乱を減らすのに役立つ。アレイ内のCNT及び他の種類の小さなx線源では、コリメーションは特定の課題を提示する。問題の1つのセットは、寸法の制約に関する。x線源間の間隔は通常小さいため、放射エネルギーを任意の個々のソースから効果的に分離することは困難な場合があり、クロストークが発生する可能性があり、放射線場の縁を明確に規定することが困難になる。更に別の複雑さは、各ソースから撮像のための放射線場を特定することに関する。従来の放射線撮影源では、問題は容易に解決され、放射線源に結合された光源を使用して、コリメータ縁自体を使用して放射線場の範囲の輪郭を描くことにより、放射線場の輪郭を描くか、又は強調し得る。しかし、対応するデュアルユース配置を、CNT及び他の種類の分散されたアレイソース用に設けられたコリメータ開口部を使用して提供することは、非現実的又は不可能な場合がある。
【0086】
図8Aの簡略化された概略図は、幾何学的考察及び関係のいくつかを示し、それは、一般に単一のx線源210のx線コリメーションに関連し、x線源のアレイのコリメーションの後続する説明に役立ついくつかの規定を確立する。x線源210は、ポイントソースとして1次近似に理想化される。ソース210からの放射エネルギーは、第1のアパーチャ122を通って延びる照射経路に沿って向けられ、第1のアパーチャ122は典型的にはソース210に接近し、非常に小さいx線源の場合は条件によっては任意であってもよい。次に、放射エネルギーは、第2のアパーチャ124を通る照射経路に沿って継続し、第2のアパーチャ124は検出器20上にx線場130を形成する。次に、x線場130のアスペクト比を決定する照射経路の形状及び寸法は、幾何学的制約、例えばアパーチャ122、124のサイズ及びソース210に対する相互の位置、ならびにソースから画像までの距離(SID)によって決定される。x線場130の形状は、通常、検出器20の寸法によって境界付けられるが、撮像される解剖学的構造に応じて、より小さく、異なる形状であってもよい。
図8Aは、単一のソース210の幾何学的関係を示し、続いて説明される実施形態は、複数のx線源210を有し、それぞれが、
図8Aに示されるものと同様の方法で、その照射経路に沿ってコリメーションを有する。
【0087】
図8Bに示される本出願による例示的な実施形態によれば、ソース20のアレイは、回転可能なコリメータプレートアセンブリ220とともに使用して、アパーチャ222a、222bの寸法、コリメータプレートアセンブリ220の回転角、及び通電シーケンスで通電される対応するソース20の配置に応じて、様々な形状及びアスペクト比の放射線場を形成することができる。したがって、例えば、
図8Bに関して、放射線源アセンブリ200は、略正方形の形状を有し、ソース20がその正方形の側面に沿って分散される。
図8Bのコリメータプレートアセンブリ220は、複数のアスペクト比のアパーチャ222a及び222bを有する。アパーチャ222aの1つのセットは正方形であり、別のアパーチャ222bは長方形である。コリメータプレートアセンブリ220を異なる位置に回転させ、所与の放射線場の形状に対して対応する開孔ソース20に通電することによって、ソース20は、連続して使用されて、トモシンセシスに必要な放射線場の形状及び角度変化を提供し得る。
【0088】
図8C及び
図8Dは、別の代替の構成を示し、コリメータプレートアセンブリ220が、線L1によって示される方向に沿って、一方向に前後に並進可能である。この例では、放射線源アセンブリ200は、ソース20の線形アレイである。1セットの正方形のアパーチャ222aは、アパーチャの半分のサブセットが第1の位置(
図8C)においてプレートアセンブリ220とソース20に整列し(
図8C)、アパーチャの別の半分のサブセットが第2の位置(
図8D)においてプレートアセンブリ220とソース20に整列するように配置される。
図8Eは、別の配置を示し、3つの異なる種類のアパーチャが設けられ、正方形のアパーチャ222aのセットには、2つのサブセットが、
図8C及び
図8Dに示されるものと同様の方法で配置され、1セットの長方形のアパーチャ222b、及び1セットの楕円形のアパーチャ222cも同様の方法で使用される。アパーチャ222の形状は混合され得る(図示せず)。
【0089】
図8F及び
図8Gは、別の代替の実施形態を示し、コリメータプレートアセンブリ220は、一般に湾曲した、又は管状の形状を有し、アパーチャ222aは線形放射線源アセンブリ200のx線源20用に配置される。
図8Fの配置では、コリメータプレートアセンブリ220は線形方法で移動されて、x線源20のサブセット間でアパーチャ222aをシフトさせる。
図8Gの配置では、コリメータプレートアセンブリ220は、線形アレイを中心に回転されて、x線源20のサブセット間でアパーチャ222aをシフトさせる。
【0090】
コリメータプレートアセンブリ220は、一対の金属プレートから形成され得て、互いに離隔されてアパーチャ122及び124(
図8A)を形成し、適切なビーム整形のためにサイズ設定及び配置されたアパーチャ124を備える。アパーチャは、必要なビームプロファイルと角度に基づいてソース20と整列される。コリメーション制御の場合、ソース付近のアパーチャ122を固定位置とし、遠方のアパーチャ124のみを調整可能にし得る。
【0091】
トモシンセシス撮像のための走査シーケンス
図6A又は
図6Bの三角測量感知装置によって提供されるアライメント装置を使用して、同じ歯又は他の構造の一連の画像を取り込むのを支援でき、画像はすばやく連続して、それぞれがx線源と検出器の位置関係をわずかに変えて撮影され、限定深さのボリューム画像を形成する。前に示した背景技術の段落で述べたように、この種類のボリューム撮像は、単一のx線画像を超える診断上の価値と利点があるが、本格的なCBCT撮像の費用と線量の要件は必要でない。加えて、CBCT撮像とは異なり、トモシンセシスからの限定深さのボリューム画像は、患者が処置椅子に座った状態で取得され得る。
【0092】
図9Aを参照すると、上面図から、撮像パターンの概略ブロック図が示され、それは患者32から限定深さのボリューム画像を、単一のソース10及びデジタル検出器からの限定数のx線を使用して取得するために使用される。x線源10を使用して、露光を、いくつかの角度方向から検出器20へ向け、角度方向は
図9Aでは取り込み角度、又は露光角度として示され、非線形、湾曲、又は弧状経路Aに沿う。x線源と検出器との2つ以上の位置関係のそれぞれで、
図9Aでは、例として、2つの角度Q1及びQ2が提示され、放射エネルギーが検出器20に向けられ、デジタル検出器からの対応する画像データが、制御論理プロセッサ26によって取得され、成分又は投影画像44として保存され、露光角度の向きなどによって、画像の相対的な取得ジオメトリに従って標識付けられる。このようにして、1つの成分画像44が、x線源と検出器との対の位置関係ごとに取得されて保存され、交互に各露光角度と見なされる。次に、制御論理プロセッサ26は、個々の成分2D投影画像44からの結合されたデータを使用して3Dボリューム画像を合成画像として作成し得る。
【0093】
検出器に対するx線エミッタの相対位置の変化によって追跡されるパターンは、例えば
図9Aの上面図に示されるように、線形又は湾曲され得ることに留意する必要がある。
【0094】
追加の感知構成要素及びそれに関連付けられた論理を使用して、取得される各画像に関するソースと検出器の位置及び角度情報を提供する。1つの実施形態では、例えば、固定された位置及び角度座標は、x線源10の初期空間位置及び相対角度方向に割り当てられる。次に、システム論理は、変更された相対位置及び角度を記録し、それは取得される一連の2D投影画像の各撮像位置に対応する。このデータは、その後、一連の2D画像取り込みから3Dボリューム画像の再構成に必要な参照ジオメトリを提供する。空間位置データは、いくつかの方法、例えば角度センサ48を使用して取得され得て、角度センサ48はx線源10の移動に使用されるガントリ又は他の搬送装置と結合される。
【0095】
トモシンセシスの限定角度のボリューム撮像が正確に機能するために、検出器20に対するx線源10の角度方向及び空間的配置は、撮像サイクルを通して取得される各投影画像について既知でなければならず、その結果、得られる成分データは、投影画像間で適切に整列されて相関され得る。
図9Aに示される実施形態について、
図9Bの斜視図では、患者32の頭部と検出器20の空間位置(
図9Bに破線の輪郭で示される)は、その位置に堅固に固定され、その間にx線源10は1つの相対的な角度方向から次の方向に軌道上移動される。撮像されている対象に対する検出器20の空間位置を機械的に固定することが必要な場合がある。
図9A及び
図9Bに関して、例えば、1つ以上のバイトブロック又はクリップオンデバイスは、検出器20を患者32の口内の位置に堅固に固定するのに有用であり得る。
【0096】
図10Aは、湾曲状又は弧状軌道132に沿って搬送されたx線源10を用いたトモシンセシス撮像のための例示的な口腔内撮像装置を示す概略図である。弧状軌道132は湾曲されて、検出器位置に実質的にセンタリングされた弧に近似する。検出器20は、ホルダ72に取り付けられて、患者の口内に保持される。ホルダ72は、一種のポジショニング装置を提供し、コリメータに対する検出器位置を相関させる。フレーム78は、口の外側に吊り下げられ、x線源10のための照準及びアライメントデバイスと、2次コリメータ56をポジショニングするためのホルダを提供する。
図10Bの概略図は、線形軌道134を使用する装置100の同様の例示的な配置を示す。
図10Bの実施形態では、x線源10は、それが線形経路に沿って並進されるときに異なる角度に枢動し、それにより、
図10Aの径方向弧状の並進をエミュレートする。
【0097】
図10A及び
図10Bの実施形態では、検出器20は、
図6Cの例で以前に示されたように、フレーム78に堅固に結合される。ホルダ72は、検出器とコリメータのポジショニングを相関させるためのポジショニング装置194として機能し、検出器20とフレーム78の相対位置を固定する。様々な患者の頭部サイズに対して、様々なサイズのホルダ又は様々なホルダ設定が使用され得る。代替の例示的な実施形態は、センサとエンコーダの様々な配置を使用して、機械的又は感知されたポジショニング装置を提供でき、それはコリメータ56とフレーム78に対する検出器20のポジショニングを、1つ以上のセンサとエンコーダデバイスから得られた信号を使用して行う。
【0098】
図10Cの概略上面図は、例示的なフレーム278の実施形態を示し、それは複数の関節式セクション280a、280b、280cを有し、各調整可能なジョイントにエンコーダ282を備えて、感知された拡張及び回転データを報告する。この配置は、ポジショニング装置194を提供し、それは患者のサイズ変更を可能にし、コリメータ56に対する検出器20の再ポジショニングを提供し、構成要素の位置を基準位置に対して、かつ相互に対して相関させるために利用可能な感知データを備える。代替的に、加速度計又は電磁、磁気、若しくは無線周波数(RF)感知が設けられて、ポジショニング装置194として使用されてもよく、検出器20の位置を2次コリメータ56に相関させ、これらの位置を、トモシンセシスシーケンスにおける任意の取得角度でのx線源の位置に関連付ける。
【0099】
図11Aは、
図10Aに示される径方向経路配置のためのx線源10の構成を示す斜視図であり、アイソセントリック信号から検出器までの距離(SDD)の一例を示す。x線源10は、レール146に沿って移動し、湾曲状又は弧状軌道132(
図10A)を辿り、トランスポート136によって駆動される。ソース10は、ソースハードウェアに一体である1次コリメータ150を有する。本開示の文脈において、「1次コリメータ」という呼称は、x線源に不可欠であり、かつx線源から分離できない任意のコリメータ(複数可)に適用される。2次コリメータは、次に説明するように、フレーム78を使用して提供される。ガイド144に結合されるカメラ140を使用して、ソース/検出器アライメントを支援し得る。
図11Bの斜視図は、非アイソセントリックSDDを用いた、例示的な線形トランスポートの代替構成を示す。
【0100】
図12Aの概略図は、フレーム78を介して口腔内検出器20と結合されたマーカのための例示的なマーカガイド実施形態160の使用を示す。本明細書でより詳細に説明されるマーカガイド160は、x線源10のアライメントとコリメーションを支援し、口腔内x線検出器の空間位置をx線源10の位置に関連付けるいくつかの機能を提供する。
図12Bは、マーカガイド160が検出器20から切り離された構成を示す。
【0101】
放射線不透過性マーカを使用する場合、検出器に対するソースの空間位置は、画像コンテンツから、好ましくはFOVの縁の周りで決定され得る。コリメータと検出器は、放射線場に提供されて画像コンテンツに表示されるこれらのマーカと、機械的に切り離され得る。放射線透過性の光学マーカを使用する場合、コリメータとセンサは機械的に結合されるか、何らかの種類の感知されたポジショニングを有する必要がある。代替的に、光学マーカは、3D配向を有し得て、それは検出器に対するソースの位置が、カメラ、反射率、又は光学画像コンテンツから決定され得ることを可能にし、これらはx線画像コンテンツに対して順次又は同時に取得され得る。
【0102】
図13Aは、歯科処置用の椅子及び他の装置を備えた例示的な治療システム164の実施形態を示す。フレーム78は、マーカガイド160を収容し、2次コリメータ56を提供し、2次コリメータ56は、ベース198から、又は歯科用椅子からなどのシステム164上のマウント162から支持される。代替的に、コリメータ56又はその支持フレームは、天井から延びる支持によって取り付けられ得る。この配置は、デバイスを患者が保持する必要なしにコリメータ56の位置を安定させるための取り付けを備えて、2次コリメータを提供するフレーム78の重量を支えるのみでなく、患者及び口腔内検出器20へのx線源10の固有のアライメントと感知されたアライメントとを提供するのにも役立ち得る。矢印で示されるように、x線源10は、フレーム78に向かって移動され得て、その結果、それは、画像取得シーケンスに対して適切な距離とアライメントにある。フレーム78は、トモシンセシス撮像を可能にする患者ポジショニングのために、ヘッドレストの一部、例えば調整可能なヘッドレストであり得る。
【0103】
図13Bは、2次コリメータを備えたフレーム78のポジショニングを示す上面概略図であり、フレーム78は、歯科用椅子、地面若しくは天井、又は患者の外部にある別の近くの支持構造から延びる例示的な支持の実施形態に取り付けられる。アーム192、又は他のリンケージ若しくは結合デバイスもまた、フレーム78に取り付けられ得て、トモシンセシス撮像中にソース10のポジショニングと移動をガイドする。この配置により、ソース10は、フレーム78の2次コリメータ56に効果的に結合される。これは、ソース10を2次コリメータにアライメントするための任意の種類のアライメント機構の必要性を排除する。この配置は、検出器の相対位置を示すための放射線不透過性又は可視マーカとともに使用され得る。
【0104】
1つ以上のセンサ152、例えば加速度計又はホールセンサなどの電磁デバイスが設けられ得て、マウント162上のフレーム78の移動とポジショニングを検出し、検出器20及びx線源10に対するマーカガイド160の正確な位置合わせを決定するのに役立つ。
【0105】
マーカガイド構成
図14A及び
図14Bは、本開示の例示的な方法及び/又は装置の実施形態による、マーカガイド160のアセンブリ及び構成要素を示す。
図14Aは、組み立てられた例示的なマーカガイド160を示す。
図14Bは、マーカガイド160を形成するための層状構成要素を示す。コリメーション層166は、入射x線ビームの2次コリメータとして機能し、実質的に患者の顔面に対して保持され、局所的なコリメーションのための放射線不透過性シールドで縁取られた窓172を備える。シールドは、例えば、鉛入り(lead-laced)材料によって提供され得る。層2 174及び層3 176は、光学マーカ178を提供し、アライメントのための走査ジオメトリの抽出を支援する。層174、176を距離dで分離することは、アライメント測定を容易にするのに役立つ。マーカ178は、
図14Bに示される積層配置を有し、カメラ140によって感知され得て、結果として得られる画像は、アライメントデータを取得するために処理される。マーカ178は、アライメント検出を支持するために、異なる形状(例えば、非対称)、層、3D構成、又は色であり得る。マーカ178のうちの1つ以上は、交互に放射線不透過性であり得る。
【0106】
図15において、患者の顔面に対して所定の位置に示されたフレーム78は、フレーム78に対してマーカガイド160のコリメーション層166を適切にアライメントするための支持構造を有する(
図14A、
図14B、
図15)。
図15はまた、フレーム78に対して適切に配置された口腔内検出器20の位置を示す。
【0107】
図16は、フレーム78及び関連する構成要素の側面図と上面図を示す。バイトブロック154は、口内の検出器20の位置を安定させるのに役立つ。調整可能なロッド156は、患者の快適さに合うようにバイトブロック154及び検出器20のポジショニングを可能にする。
【0108】
フレーム78及びその関連するマーカ構成要素は、単一のソースのx線源10、又はx線源のアレイ、例えば、スピント型フィールドエミッタベースのx線源を使用して提供されるものなどとともに使用され得ることに留意する必要がある。
【0109】
図17の概略図は、例示的な相対的な移動経路を示し、トモシンセシス撮像のために撮像された対象に対して追跡され得る。線形移動経路110又は径方向移動経路112は、検出器を回転させることなく提供され得る。移動経路114では、ソースは所定の位置に留まり、その間、検出器は回転する。移動経路116では、平坦又は球形のソース移動が提供され、検出器は回転しない。移動経路110、112、及び116のいずれについても、相対的な移動は、例えば、CNT源アレイなどのアレイの個々のソースを連続的に通電することによって提供され得る。
【0110】
制御論理プロセッサ26は、トモシンセシス撮像を実行するときに、画像データ及び位置情報の両方を取得し保存することが理解され得る。各画像が取得されると、制御論理プロセッサ26は、通電されたx線源及び検出器20の相対的な空間位置に関する、画像データと対応する情報を保存する。位置データと画像データは、画像データファイルなどの同じデータ構造の一部として保存されてもよく、又は別のファイル若しくはデータベース場所などの別のデータ構造に保存されてもよい。1つの実施形態では、制御論理プロセッサ26は、次に、任意選択で、次のx線画像を次の空間位置及び次の角度方向で取得するための、x線源の推奨位置調整を示す情報を提供する。推奨位置調整に関するこの情報は、ディスプレイ28(
図5)に表示された情報を含む多くの方法で、可聴キューを使用して、又は次の露光を設定するためにオペレータにグラフィカルガイダンスを提供することによって提供され得て、これは、投影された画像コンテンツ及びフォーマットの形態をとることができ、例えば、患者の頬に指示又は標的情報を投影することによる。各画像に関連する相対位置情報は、何らかの形態で保存され、制御論理プロセッサ26上の画像処理論理によって使用されて、ボリューム画像を作成する。
【0111】
スピント型フィールドエミッタベース又はその他の放射線源アレイの使用
図18の概略図は、x線源10としての放射線源アレイの使用を示す。各x線源38は、スピント型フィールドエミッタを利用するカソードからのものである。スピント型フィールドエミッタカソードを使用すると、x線源は静止しているか、又はアレイ内で互いに対して所定の位置に相対的に固定され、アレイ自体は単一のユニットとして移動する。この種類のx線源は、マイクロ秒オーダで迅速なオン/オフ切り替えが可能である。他の適切なx線源は、空間的に分離された対のパルス化された従来のフルオロ対応熱電子源を含み得る。これらのオプションは、短い露光時間で十分なx線フルエンスを提供し、同時に、過熱することなく露光シーケンスを可能にする。
【0112】
例示的な実施形態によると、各個々のソース38は、
図18に示される例示的な実施形態のように、それ自体のコリメータ16を有する。
【0113】
相対的な移動の代替の概念
データは、各画像に対する検出器20の空間位置及びx線源10の相対的な空間位置を特定するために、取得されなければならない。
【0114】
前述された
図13Bの代替の例示的な実施形態によると、x線源10は、枢動アーム192によってフレーム78に結合され、枢動アーム192は湾曲状、又は弧状の経路におけるソース10の移動のための支持及びガイドとして機能する。この配置により、明確に規定された角度トラック上でのソース10の移動が可能になり、ソース10の移動のための搬送装置の設計が簡素化され、コリメーション設計が更に簡素化される。
【0115】
図19の代替の例示的な実施形態では、x線源10は所定の位置に固定され、患者32は、例えば、処置椅子を漸増的に回転させることによって回転され、ある露光角度方向から次の露光角度方向にシフトする。この場合も、検出器20とx線源10の両方の相対位置情報は、制御論理プロセッサ26又は関連する処理デバイスによって、各成分画像について確立され、保存される必要がある。
【0116】
画像取得プロセス
図20の論理フロー図は、1つの例示的な実施形態における一連の成分画像を取得するための一連のステップを示す。初期化ステップ80は、シーケンスを開始し、初期開始位置及び角度に関するデータを取得する。1つの実施形態では、初期化ステップ80はまた、取得される画像の数と、各画像に対してそれに対応する露光角度を設定又は計算する。この情報は、固定又は可変であり得て、制御論理プロセッサ26を使用して計算され得るか、又は制御論理プロセッサ26と通信しているセットアップソフトウェアを使用して歯科医又は技師によって入力され得る。検出器20は、患者の口内に確実に配置され、必要なソースと検出器アライメントは、少なくとも技師によって大まかに行われる。セットアップステップ82では、撮像装置22は、患者の顔面又は頭部に投影される必要な画像表示を提供し、
図7A及び
図7Bを参照して先に説明したように、x線源10のアライメントと照準とのガイドを補助する。1つの実施形態では、患者の一部分に投影される画像コンテンツは、角度方向の相対的な精度に応じて変化する。これは、投影されたコンテンツの色、強度、点滅、又はその他の属性の変化であり得る。表示は、その後の各放射線撮影画像取り込みに最適な位置のヒント又は提案を与える場合があることに留意する必要がある。しかし、実際の空間位置が、限定角度のボリューム撮像アルゴリズムを適切に実行するために、正確に測定して記録されることが重要である。
【0117】
図20の論理フローを続けると、各成分画像は、画像取り込みステップ84で取得され、画像は、実際に測定された空間位置と露光が取得された角度方向とに関する情報とともに保存される。決定ステップ88は、初期化ステップ80に従って必要とされるすべての成分画像が取得されたかどうかを決定するためにチェックし、後続の画像が必要とされるときにセットアップステップ82にループバックする。画像取り込みのためのこの処理の終わりに、ボリューム画像作成ステップ90が実行されて、このシーケンスから得られた結果の合成ボリューム画像を作成する。次に、表示ステップ92は、作成されたボリューム画像を表示する。
【0118】
図21は、取得される画像のセット内の各成分画像44の画像データに関連する空間位置及び角度方向を示すブロック図である。示された例示的な実施形態では、空間位置データフィールド50と角度方向データフィールド52は、x線画像データ54とともに、例えば、測定された位置及び角度ジオメトリをx線画像データファイルのヘッダ部分に保存することによって、保存される。代替的に、空間位置及び角度方向データは、別々に保存され、リンクされ、又は画像データに関連付けられ得る。この情報は、ボリューム画像を適切に再構成するために必要である。
【0119】
図22は、シーケンス内の各画像取り込みの準備において、
図20の画像セットアップステップ82内のオプションのシステムアクティビティを示す論理フロー図である。計算ステップ60は、x線システムからの、又は以前の画像とともに保存された位置座標及び角度方向データを使用し、次の位置及び角度方向を、x線源10及び/又は検出器20の相対的な移動に関して計算する。次に、オプションの標的投影ステップ62は、画像を患者に投影し、ここで画像は位置調整及び角度調整を示し、それは次のx線画像を次の空間位置及び角度方向で取得するためにx線源10と検出器20との間に必要とされる。前述のように、オプションの投影された表示は、色、点滅又はその他の効果、数値、方向指示器又は矢印などのアイコン、あるいはその他の視覚効果を使用して、必要な調整を示し得る。次に、ループ動作において、再評価ステップ64は、投影された表示を、技師によって行われた位置調整及び角度の測定された変化に従って定期的に再調整する。調整が所定の許容範囲内で正しい場合、次に、正確な調整表示ステップ66が実行され、調整が次の画像を取得するために許容可能であることを示す。
【0120】
情報が
図9A~
図11に示される構成要素の配置を使用するときに相対位置で利用可能であることを考えると、本発明の例示的な実施形態は、センサ及び他の位置感知構成要素の継続的な再計算と反復チェックを使用して、小さな位置変化及び患者の動きを修正し適応させる。この配置では、検出器20及びx線源10は、互いに対して固定された所定の位置を有するか、又は次の画像のために計算されたそれらの位置を正確に達成する必要はない。しかしながら、いずれの場合でも、検出器20は、撮像される歯又は他の対象に対して固定された空間位置を有する必要がある。プログラムされた画像処理論理は、例えば、妥当な角度範囲内にある位置の変化に適応し得る。1つの実施形態では、固定された空間位置にある1つ以上の追加の位置センサを使用して、角度及び位置方向の基準点を確立する。加えて、患者の動きのアーチファクトの自動検出及び修正もまた、画像取得技術の当業者に周知の画像処理技術を使用して実行され得る。
【0121】
限定角度のボリューム画像は、2つ以上の成分x線画像から形成され、歯又は他の撮像された構造のある程度のボリューム関連情報を提供する。有利なことに、これは、完全なCBCT撮像に必要とされるより高いレベルの露光なしに、また特殊なCBCTガントリ及び関連機器を必要とせずに提供される。位置情報は、センサ24及び検出可能要素30を使用して得られ、3D画像再構成アルゴリズムによって使用されて、歯又は他の特徴を含む対応するボリューム画像を作成し、そのボリューム画像内のボクセルに適切なデータ値を加える。ボリューム画像は、例えば、CBCT再構成に通常使用される複雑なフィルタ処理された逆投影アルゴリズムを必要とせずに形成され得る。得られた画像は、従来のディスプレイモニタで見ることができ、又は、例えば、立体観察装置を使用して観察されてもよい。必要なボリューム画像は、例えば、開業医によって示された好ましい視野角に従って動的に作成され得る。
【0122】
画像取得シーケンスのバリエーション
本出願による例示的な実施形態によると、画像取得シーケンスは、異なる条件下で1つ以上の画像を取得するために変更され得る。例えば、トモシンセシスの条件と角度で撮影された一連の画像にわたって、1つ以上の画像は異なる条件下で、例えば従来の2D放射線撮像に通常適用される設定を使用して取り込まれ得る。これは、例えば、シーケンスにおける中央画像、例えば一連の20回のトモシンセシス画像取り込みのうちの10番目又は11番目の画像であり得る。異なる取り込み条件は、露光設定、ビニング、デュアルエネルギー、及びその他のパラメータを含み、この方法で取得された画像に使用され得る。
【0123】
1つ以上の画像が異なる条件下で取得される場合、これらの画像のより高い忠実度及び鮮明さなどの特徴を使用して、一連の他の画像の画像コンテンツを改善し得る。
【0124】
検出器ビニング
ビニング方法を使用して、高速画像取得に役立ち得る。ビニングは、隣接するピクセルのセットをグループ化して、画像データへのアクセスとデータのリフレッシュサイクルを高速化する。ビニングは通常、2×2ビニング、3×3ビニングなどの対称パターンで行われる。しかし、ビニングはまた、例えば2×1ビニングなど、一方向で実行され得る。非対称ビニングは、ボリューム撮像に有用であり、直交方向のビニングとは異なる、x線焦点の相対的な動作に平行な方向のビニングを有する。
【0125】
透視法
例えば、x線透視を含む透視撮像方法は、対象の画像を迅速に連続して取得し、ビデオ外観を有し得る対象の連続観察を提供する。透視法では、ボリューム再構成は提供されず、代わりに、取得された放射線撮影画像のシーケンスが表示される。透視法では、x線源と検出器との間に相対的な移動はなく、同じソースと検出器ジオメトリが、取得された各画像に適用される。
【0126】
透視法は、開業医にとって有用なツールであり得て、関心領域の、例えば、1本以上の歯又は歯列弓の一部分などの進行形の、又は「リアルタイム」表示を提供する。透視図法は、ドリル角度、又は処置中に役立つその他の特徴を示す視覚化ソフトウェアと組み合わせられ得る。透視法取得は、優れた解像度を有する高速デジタル検出器を利用する。
【0127】
一般に、透視法は、トモシンセシスに必要とされるものと同様の取得時間を有するが、幾分、長いx線被曝時間を伴う。透視法取得には、空間解像度と線量のトレードオフが存在する可能性がある。
【0128】
デユアルエネルギースペクトル撮像
特定の例示的な方法及び/又は装置のデュアルエネルギー撮像の実施形態は、撮像された解剖学的構造に見られる異なる種類の組織を分析する能力が改善されるという利点を可能にする。デュアルエネルギー又はマルチスペクトル撮像は、従来の検出器を使用して、また
図2Bを参照して前述したように、複数の閾値を有する光子計数検出器を使用して取得され得る。代替的に、他の検出器配置は、デュアルエネルギーx線源で使用され得る。
【0129】
デュアルエネルギー(DE)撮像は、ノイズコンテンツを低減し、様々な種類の撮像された解剖学的構造及び材料を区別するための代替方法として使用されてきた。従来のDE撮像では、同じ解剖学的構造の低kVp露光と高kVp露光が前後して連続するため、それらの結果は広範な位置合わせ技術を必要とせずに簡単に組み合わせられ得る。これは、後続する骨の特徴のセグメンテーション、例えば、x線画像コンテンツのより正確な解釈を可能することに役立ち得る。CBCT及びCT装置によって提供されるような、トモシンセシス及び3Dボリューム撮像全体の場合、再構成及びその後の分析のためにデュアルエネルギー画像コンテンツを提供することは大きな利点となり得る。
【0130】
デュアルエネルギートモシンセシスは、2つの異なる放射線スペクトルエネルギー分布を生成する2つの異なるエネルギー(又は波長)帯域を使用して得られる撮像コンテンツを備え、異なる構造を、同じ撮像された組織から再構成することを可能にする。
【0131】
露光技術設定は、画像取得中に1つの投影画像から次の投影画像で変更され得る。
【0132】
再構成
制御論理プロセッサ26又は関連付けられたプロセッサ、あるいは画像処理に使用される他のコンピュータは、3D撮像技術の当業者に周知の、限定角度トモシンセシス再構成のためのいくつかの既知の技術のいずれかを実行し得る。例えば、何人かは、限定角度マンモグラフィ撮像において同様の種類の問題を解決するために使用される多くの再構成アルゴリズムについて説明しており、逆投影、代数的再構成、及び確率的手法を含んでいる。前述のSiltanenらの特許は、歯の構造のモデリングデータを使用したスパース2D画像データからの3D再構成方法について説明する。前述のKalkeの出願では、周波数変換を使用した歯の画像再構成の別の方法を説明する。3D撮像のための他の再構成方法は代わりに使用され得る。
【0133】
その利点の中で、ボリューム画像は、異なる角度から画像スライスを表示するために、成分画像データがどの程度、利用可能であるかに応じて形成され得る。十分な数の成分2D投影画像が異なる相対角度で取得される場合、結果として得られるボリューム画像は複数の視野角から形成され表示され得て、それによって歯又は他の構造のより正確な診断評価を行う歯科医を支援する。
【0134】
提示/GUI
オペレータは、オペレータインターフェースコマンドを使用して撮像システムの動作モードを設定する能力を有し得る。
【0135】
本出願による例示的な実施形態によると、ディスプレイ28(
図1)上のオペレータインターフェースは、トモシンセシスシリーズの一部として取得された投影画像の任意のサブセットを示すことができ、同様に再構成された画像データから任意の適切なトモシンセシススライスを示す。
図23は、比較表示を有するディスプレイ28を示し、2D投影画像68を、対応するトモシンセシススライス94とともに示す。
【0136】
スペクトルX線撮像を用いる幾何学的キャリブレーション
前述のように、アライメント方法及び装置と組み合わせて使用される幾何学的キャリブレーションは、トモシンセシス再構成のための改善された精度及び解像度を提供するのに役立つ。本開示の実施形態は、スペクトルx線撮像の特性を利用する幾何学的キャリブレーションのための多くの解決策を提供する。本明細書で説明する幾何学的キャリブレーションの方法は、椅子側の歯科用トモシンセシスと、他の放射線2D撮像及び3Dボリューム撮像用途にも適し得て、特に、検出器がソースに機械的に結合されず、セットアップ及び撮像中に見えないことがある場合に適している。
【0137】
ボリューム撮像装置の幾何学的キャリブレーション計算は、ボリューム画像再構成技術の当業者に周知である。本開示の実施形態は、x線源及び検出器の相対的な空間座標を特定することに関し、このベースラインデータを考えると、必要とされる空間座標の計算は、トモシンセシス又は断層撮影再構成に十分な精度で実行され得る。
【0138】
幾何学的キャリブレーションのための既存の方法は、検出器に対するソースの空間的ポジショニングに関する正確なデータを提供し得るが、まだ改善の必要性がいくらかある。口腔内撮影のための結合された機械的デバイスの使用は、患者にとって厄介で不快となり得る。マーカが幾何学的キャリブレーションに使用される場合、画像データを障害物なしで見る必要性と、マーカを明瞭かつ明確に検出し、また必要な幾何学的ポジショニング又はキャリブレーションデータを導出するためにマーカを他の画像コンテンツと区別する必要性との間に矛盾が生じる場合がある。実際には、診断に使用される画像コンテンツの一部が不明瞭になり、診断品質が低下するか、又は1つ以上の位置マーカの検出が困難になり、誤った測定、若しくは曖昧な測定につながる可能性がある。
【0139】
本開示の代替の例示的な実施形態によると、幾何学的キャリブレーションは、スペクトルx線検出を使用して提供される。前述のように、2種類のx線撮像アーキテクチャはスペクトル情報コンテンツを提供し、スペクトルx線システム、すなわち、
(i)1つ以上のデュアルエネルギー源を有するx線装置、及び、
(ii)直接又は間接型のいずれかの光子計数検出器を有するx線装置、を形成すると見なされ得る。
【0140】
スペクトルx線撮像を使用する幾何学的キャリブレーションの場合、異なる波長のx線に対して特有の減衰応答を有する材料のマーカは、ファントム内で、互いに対して既知の位置に配置され、x線源と検出器との間に配置され得る。スペクトル撮像コンテンツは、上記(i)のようにデュアルエネルギー源を備えた従来の検出器から、又は上記(ii)のように多色x線源を使用する光子計数検出器から取得され得る。このスペクトル撮像コンテンツを処理して、次の2つの画像種類、すなわち、
(a)3D断層撮影画像、トモシンセシス(部分3D)ボリューム画像、又は(2D)投影画像のいずれかで、診断/臨床目的に使用できる解剖学的画像であり、ここでファントムマーカが認識できないか、又は殆ど見えない解剖学的画像、及び、
(b)マーカ画像、つまり、ファントムマーカの位置を明瞭かつ明確にハイライト又は強調するが、解剖学的画像コンテンツがほとんど又はまったくないマーカ画像、のいずれかの個別の画像を提供し得る。
【0141】
スペクトルx線撮像を使用する幾何学的キャリブレーションは、ファントム内のマーカ間のいくつかの最初に既知である位置的又は空間関係で開始する。処理されたマーカ画像(上記の(b))で見られるファントムからのマーカを使用して、ソースと検出器との間の残りの未知の空間関係データと、ボリューム再構成に使用される全体的な座標系を計算し得る。
【0142】
したがって、キャリブレーションセットアップの場合、ファントムマーカは、通常、検出器又はソースのいずれかに対して所定の位置に固定される。
図24の概略図は、検出器に対して所定の位置に固定されたマーカを備えた配置を示す。ファントム230内のマーカ232は、バイトブロック254を備えたホルダ72のフレーム78内に配置される。ホルダ72は、ソースを検出器20とアライメントするために使用される。代替の配置は、歯又は他の撮像された対象に結合されるファントムを含み得る。
【0143】
図25は、ファントム230のマーカ232が、ソースに固定される、例えばx線フード250内に配置される代替の配置を示す概略図である。
【0144】
マーカは、互いに対して明確に規定された座標位置を、ソース又は検出器に対するそれらの位置が既知であるかどうかにかかわらず有することに留意する必要がある。
【0145】
本開示の実施形態は、マーカを使用してx線エネルギー分布を作成する幾何学的キャリブレーションの必要性を、撮像された解剖学的構造の画質への影響を低減可能にする対応する処理と、マーカの位置を明確に示す能力を用いて対処する。
図26A~
図26Cの例示的なグラフは、x線エネルギー分布を作成するために使用されるスペクトル関係を示しており、これを組み合わせて、異なる方法で処理して、以下の、
(i)マーカコンテンツを分離して、幾何学的キャリブレーション目的でよりはっきりと明確になるように増強され得ることと、
(ii)マーカコンテンツを観察者に見えにくくするか、知覚できないようにすることで、取得した画像コンテンツの診断的使用を可能にすること、を交替に達成し得る。
【0146】
これらの相反する効果を達成するために、本開示の実施形態は、2つの異なるx線エネルギー分布を作成し、ここで各分布は、生成された光子又はx線の数と、マーカ及び解剖学的材料の質量減衰特性との積である。これらの2つの異なるx線エネルギー分布のその後の処理は、次に説明するシーケンスを使用して、マーカコンテンツを増強又は抑制する。
【0147】
図26Aは、デュアルエネルギーx線放出のエネルギー特性を示し、x線エネルギーの2つの部分的に重なり合うスペクトル波長帯域が順次生成され、ファントム230及び対象の解剖学的構造に向けられる。迅速に連続して作成される2つのx線画像は、本質的に同じ位置にある対象を取り込む。
図26Aは、例えば、デュアルエネルギー放出などの、より低いエネルギー特性曲線240とより高いエネルギー曲線242を示す。各特性曲線は、異なるエネルギーレベル(keV)又はスペクトル値にわたって放出された光子の量を、示される2つの異なるkVp技術設定でx線管を用いて、表示すると考えられ得る。
【0148】
図26Bは、明確にするために幾分誇張された形態で、異なる組織種類、骨及び軟組織材料について、ならびにマーカ材料の1つの可能な種類、例えばヨウ素マーカ要素についての特徴的な質量減衰係数μを示す。材料のx線吸収特性は、撮像された対象におけるその材料を示す一種の「シグネチャ」を提供する。減衰曲線の傾きにk吸収端260として周知の顕著な不連続性があり得ることを観察することは有益である。ヨウ素のk吸収端260は、30~40keVの範囲(41~31nmの波長範囲)で顕著である。ほとんどの歯科用途に使用されるkeV範囲内のk吸収端を有する他の材料には、50.2kVでk吸収端を有するガドリニウム、78.4kVでk吸収端を有するプラチナ、88.0kVでk吸収端を有する鉛、80.7kVでk吸収端を有する金、25.5kVでk吸収端を有する銀を含む。2つの材料間の減衰の違いは、示されるように、一方の材料のk吸収端260又はその近くで最も顕著になる。
【0149】
第1の近似では、x線エネルギー分布は、材料、例えば本例では骨の有効質量減衰μ
effによって表される。材料の有効質量減衰μ
effは、
図26Bの質量減衰μ(E)曲線と
図26Aの曲線に示されるようなx線エネルギーのスペクトル確率分布p(E)との積の、エネルギースペクトルEの一部にわたる合計又は積分と見なし得る。
【数1】
【0150】
各材料の種類(脂肪組織、骨、マーカ)について、異なるx線エネルギー分布は、有効質量減衰μ
effの関係に直接関係し、より低い及びより高いエネルギー放出に適用できる。例えば、軟組織の場合、低エネルギー(L)と高エネルギー(H)の放出エネルギー分布の値は次のように関連付けられ得る。
【数2】
骨材料の場合、エネルギー部分の関係は次のように変わる。
【数3】
マーカ材料の場合、関係は次のように変わる。
【数4】
x線エネルギー分布のこの関係は、
図26Bの例に示されるように、k吸収端の近くで特に顕著になり得る。
図26Bでは、ヨウ素マーカ材料は、より高いx線エネルギー分布のエネルギー範囲内にk吸収端を有する。マーカ材料は、第1又は第2のx線エネルギー分布のいずれかのエネルギー範囲内にk吸収端を有し得る。
【0151】
したがって、スペクトルコンテンツの適切な選択によって、かつスペクトル特性による有効減衰係数の差の比較によって、対象画像の材料成分は、所与の条件下でのそれぞれのx線エネルギー分布に従って互いに区別され得る。本開示の実施形態は、これらの差をピクセルベースで使用して、取得された画像のマーカコンテンツを選択的に抑制又は増強する。例えば、エネルギー分布の差を減算により、又は重み付けを使用するなどの他の組み合わせによって測定すると、スペクトル特性を使用して材料の検出を強化できる。マーカの材料に関する事前の知識により、マーカ画像の抑制が、例えばマーカが解剖学的構造を覆い隠すような領域で可能となる。
【0152】
図26Bに示す質量減衰係数の関係は、光子計数検出器を使用する場合の単一エネルギー放出にも使用され得る。
図26Cは、閾値Tを有するスペクトルエネルギーの特徴的な分布を示し、閾値Tは、低エネルギー光子(閾値T未満の値)と高エネルギー光子(閾値Tを超える値)とを区別する境界値として使用される。
【0153】
前述のように、規定されたエネルギー閾値Tの上下の光子を計数する能力は、検出器20が、材料に応じて対象を照射することから得られるエネルギー分布を区別することを可能にし、 各露光の結果として提供される画像データに追加の次元を提供する。この能力は、マルチスペクトル又は「カラー」x線撮像として説明されており、各対象ピクセルの材料組成に関する情報の取得を可能にする。
【0154】
図26の減衰曲線が示すように、2つの異なる材料の減衰係数が互いに十分に異なる特定の波長(対応して、特定のkeV値)が存在し得て、その結果、材料をx線画像から、測定された減衰係数に起因する分布の違いに応じて特定することができる。更に、これらの異なるエネルギー分布の光子が互いに区別され得る場合、材料分解を実行し、これによって、得られた画像の同じピクセル又はボクセル画像要素内の一方又は両方の材料を識別することが可能になる。放射線に応答するこの同じ基本的な減衰挙動はまた、例えば、組織種類を区別するためのある程度の能力を可能にする。
【0155】
上記の背景技術の段落で述べたように、マーカを使用することは、正確な3D再構成を容易にする。x線ビームの経路に配置されたマーカは、撮像された解剖学的構造とともに撮像され得て、幾何学的キャリブレーションの目的に適した位置情報を提供し得る。しかし、キャリブレーションマーカは、ある程度、放射線不透過性であるため、撮像された解剖学的構造の一部分を簡単に不明瞭にして、取得された画像の診断値を損なう可能性がある。画質を低下させるこの側面は、3Dボリュームトモシンセシス再構成とトモシンセシスシリーズの一部として取得された2D投影画像の両方を使用したい開業医にとって特に厄介となる場合がある。3D再構成アルゴリズムは、マーカの影響をある程度補正でき、ボリューム再構成に対するマーカの影響を軽減し得る。その一方で、2D投影画像は、放射線不透過性マーカを明確に示し、関心領域である撮像された解剖学的構造の部分の表示をブロックする場合がある。減衰係数の低いマーカの使用は、撮像された解剖学的構造の一部分でマーカ自体が表示されない場合があるため、解決策としては不十分となり得る。
【0156】
本開示の例示的な実施形態は、スペクトルx線撮像を使用して、マーカを使用するトモシンセシス撮像のための幾何学的キャリブレーションの問題に対処する。本開示の例示的な実施形態は、
図24及び
図25で前述したように、マーカ232のセットを有するファントムを使用し得る。
【0157】
好ましくは、マーカは、検出器の撮像領域内に配置されるか、撮像領域の中心又はその近くに配置されるか、あるいは撮像領域の中心に対して対称的に配置される。このセンタリングされた配置では、マーカは各2D投影画像の撮像領域内に置かれる。
【0158】
マーカ232は、口腔内使用に適したいくつかの材料のいずれかで形成され得る。マーカ材料は、従来のマーカよりも低い減衰係数μmを有し得る。口腔内撮像に適し得る無毒の材料は、例えば、クロム鋼、セラミック、炭化タングステン、及び金を含み得る。マーカ232は球形であり得る。トモシンセシス撮像に適したサイズ範囲は、直径0.5mmである。他のサイズ及び形状は必要に応じて使用され得る。
【0159】
本開示の例示的な実施形態によると、放射線不透過性である他の材料、特に原子番号が45以下のものが使用され得る。この種類の材料の例には、クロム鋼(原子番号26)及びZrO2セラミック材料(原子番号40)が含まれる。この範囲の不透明度を有する材料は、放射線に対してより高い減衰を示す材料よりも、対応的してより低い強度の撮像アーチファクトを生成する傾向がある。
【0160】
マーカ232は、
図26Bの簡略化されたグラフに示されるように、x線エネルギー範囲内に特有のk吸収端260を有するヨウ素又は他の材料であり得る。前述のように、k吸収端260の減衰曲線の傾きに顕著な不連続性があり得る。ヨウ素のk吸収端260は、30~40keVの範囲(41~31nmの波長範囲)で顕著である。歯科用途に通常使用されるkeV範囲内のk吸収端を有する他の材料は、ガドリニウム、プラチナ、鉛、金、及び銀を含み得る。
【0161】
球状BB又は他の高減衰材料の粒子を使用する従来のマーカアプローチと比較して、出願人のプロセスで使用されるマーカ材料は、低減された減衰を有し得て、その結果、2D投影画像で撮像された解剖学的構造への影響が軽減される。加えて、本明細書に記載の例示的な方法により、取得された画像の処理が行われて、マーカ232のコンテンツを強調し、曖昧さ、又は混乱する画像コンテンツを減らし、マーカ位置をより明確に示し得る。
【0162】
マーカは、トモシンセシスシリーズの各2D投影画像に現れる。検出器上に明確に規定されたマーカの配置と、トモシンセシスのための入射放射線のソース経路がわかっていると考えると、取得された2D投影画像は、撮像システムを正確な再構成のために幾何学的にキャリブレーションすることが可能になり得る。
【0163】
画像処理技術は、マーカ232の出現とマーカによって引き起こされる妨害を補うために適用され得る。インペインティングと補間などの周知の手法を使用して、マーカ(複数可)を1つ以上の投影画像から抑制又は削除し、それによって、例えば金属アーチファクトを最小化又は排除するのに役立つ。
【0164】
したがって、本開示の例示的な実施形態によると、放射線ボリューム撮像装置が提供され、それはx線源及び検出器を有し、それらは対象及びキャリブレーションファントムを通る照射経路を規定するように配置され、少なくとも第1及び第2のx線スペクトルエネルギー分布を有する2D投影画像データを作成するように構成され、ここでキャリブレーションファントムは、マーカ材料で形成された複数の放射線不透過性マーカを有する。撮像装置は更に、プログラムされた命令を実行するように構成された制御論理プロセッサを有し、(i)2D投影画像データを検出器から取得し、(ii)第1及び第2のx線エネルギー分布のキャリブレーションファントムの取得された2D投影画像データに対応する撮像装置のソースと検出器ジオメトリを計算し、(iii)対象の3Dボリューム画像を、対象から取得された解剖学的画像データ及び複数の2D投影画像内のソースと検出器ジオメトリに従って再構成する。ディスプレイは、制御論理プロセッサと信号通信にあり、再構成された3Dボリューム画像の1つ以上の部分を表示するように構成される。
【0165】
本明細書の例示的な方法は、
図26A~
図26Cを参照して説明された原理を採用して、スペクトル撮像を、トモシンセシス又は他のボリューム撮像システムの幾何学的キャリブレーションに使用する。
図27の論理フロー図は、上記のように、デュアルエネルギー源又は光子計数検出器のいずれかを備えたスペクトルx線撮像システムを使用して得られる2D投影画像コンテンツから、マーカ及び解剖学的コンテンツの両方を提供するためのシーケンスを示す。
【0166】
取得ステップS100では、スペクトルx線投影画像が取得される。
図26A、
図26B、及び
図26Cを参照して示されているように、スペクトルx線投影画像は、標準的なx線検出器を使用するデュアルエネルギー源、又は光子計数検出器を使用する多色x線源のいずれかから取得され得る。したがって、スペクトル画像コンテンツは、スペクトルコンテンツ(光子エネルギー、keV単位)に従って分割される。
【0167】
少なくとも、光子計数検出器については、スペクトル画像データは、keVエネルギーが所定の閾値Tを下回る低スペクトル帯域又はサブセットSSLの一部、あるいはkeVエネルギーが閾値Tを超える高スペクトル帯域又はサブセットSSHの一部であり得る。低スペクトル応答と高スペクトル応答のさまざまな組み合わせにより、マーカ232のコンテンツを強調し、又はマーカのコンテンツを減少又は排除し得る。
【0168】
閾値x線エネルギー値Tは、より低いスペクトル帯域とより高いスペクトル帯域との間の境界として決定される。実際には、閾値は、keV値で得られ(又は、波長nm値で代替的に考慮される)、マーカ232の材料の減衰係数値μ
mと、撮像された解剖学的構造の減衰係数値との間の差が容易に測定され得る。
図26Cに示す閾値Tは、k吸収端260に沿って、又はその近くで得られ、低帯域と高帯域との間で分割するのに適切であり得て、これは値T、又はその近くの値が、マーカ用と解剖学的構造用とで著しく異なる場合があるためである。
【0169】
図27のシーケンスを続けると、次に材料分解ステップS110は、スペクトル画像データのサブセットSS
L、SS
Hを処理して、2つの異なる種類の画像コンテンツを作成する。それらは、
(i)マーカ配置を明瞭かつ明確に示すために処理され得るマーカ材料画像コンテンツ300。マーカ材料画像コンテンツ300は、マーカ材料の減衰特性を利用して、マーカコンテンツ300を背景の解剖学的構造から分離する。マーカ材料画像コンテンツ300は、有用な解剖学的コンテンツをほとんど、又は全く含まない場合があるが、主に、画像コンテンツ内のマーカ材料(複数可)の空間位置に関係する。更なる処理により、明確なマーカ位置が検出され得て、後続のマーカ検出ステップS120において、画像フレーム内の各マーカの容易な識別を可能にする。ソース又は検出器のいずれかに対する既知のファントム位置、及び画像平面での位置によるファントムマーカ232の相対的な空間位置を明確に示すマーカ画像を考えると、当業者に周知の幾何学的方法を使用して、幾何学的キャリブレーションを提供する計算のための十分な情報がある。
(ii)診断機能のための十分なコントラスト及び解像度を備えた、撮像された解剖学的構造を示す背景画像320。
【0170】
図28A~
図28Cは、本開示の例示的な実施形態による、トモシンセシス撮像のための2D投影画像内のマーカ232検出のための画像処理の結果を、シミュレートされた形で示す。
図28Aは、幾何学的キャリブレーションのための従来のマーカ232のセットを有する取得された2D投影画像を示す。この例では、マーカは球形又はBB型のマーカ232であり、ビーム方向に対して直交して延びる2つの平面に沿って配置される。各平面のマーカ232は、形状、密度、又は他の要因によって区別され得る。画像内のマーカ232の位置間の相対的なシフトは、ソースと検出器の相対的な空間位置に対応する。この従来のマーカ画像コンテンツが診断画像コンテンツの一部分をブロックすることは容易に理解され得る。
【0171】
図28Bは、例示的なマーカ画像310を示す。この画像は作成されても、作成されなくてもよいが、しかしながら、
図28Bは、本明細書に記載の方法を使用してマーカ232をどのように強調し得るかを示す。オプションのラベルを提供して、個々のマーカ232を、示される例のラベル1A1~1C1、2A1~2A4のように識別し得る。マーカ画像310は、
図27のマーカ検出ステップS120などの処理によって得られる。スペクトルx線データを使用する場合、適切な閾値選択を備える、低スペクトルデータと高スペクトルデータとの差は、取得されたデータ内のマーカ232の位置を計算するのに有用である。したがって、
図27のシーケンスを参照すると、マーカ画像310を形成するための処理方法は、通常、材料分解ステップS110において、低スペクトル投影SS
Lと高スペクトル投影SS
Hとの間の重み付けされた差を取得する。
【0172】
図28Cは、
図28Bで与えられたマーカ画像310に対応する例示的な背景画像320を示す。観察者にとって、マーカは、背景画像に示された解剖学的コンテンツに対して、知覚できないか、ほとんど知覚できない場合がある。材料分解ステップS110は、追加の処理を提供し得て、それはマーカ画像310を、結合された低及び高スペクトル投影から得られた完全な画像から差し引くか、そうでなければ除去する。これにより、マーカコンテンツを背景材料画像320から効果的に削除し得る。
【0173】
図27で概説されたシーケンスに従うと、幾何学的キャリブレーションデータは、トモシンセシスシリーズの2D投影画像のそれぞれに対して作成される。その後の再構成処理は、背景材料画像のセットを関連するキャリブレーションマーカデータとともに使用して、3Dボリューム画像コンテンツを作成し得る。
【0174】
本発明は、現在理解されている例示的な実施形態を特に参照して詳細に説明されてきたが、変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲内で影響を受ける可能性があることを理解する必要がある。
【0175】
例えば、制御論理プロセッサ26は、いくつかの種類の論理処理デバイスのいずれかであり得て、コンピュータ又はコンピュータワークステーション、専用ホストプロセッサ、マイクロプロセッサ、論理アレイ、あるいは保存されたプログラム論理命令を実行する他のデバイスが挙げられる。
【0176】
したがって、現在開示された例示的な実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、その同等物の意味及び範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図される。
【0177】
少なくとも1つの例示的な実施形態と一致して、例示の方法/装置は、電子メモリからアクセスされる画像データ上で実行する、保存された命令を伴うコンピュータプログラムを用いることができる。画像処理技術の当業者によって理解され得るように、本発明の例示的な実施形態のコンピュータプログラムは、適切な、汎用コンピュータシステム、例えばパソコン又はワークステーションによって利用され得る。しかしながら、多くの他の種類のコンピュータシステムを使用して、開示された例示的な実施形態のコンピュータプログラムを実行でき、例えば、1つ、又はネットワークのプロセッサ配置を含む。
【0178】
本明細書に開示された特定の例示的な実施形態の方法を実行するためのコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体の中に保存され得る。この媒体は、例えば、磁気記憶媒体でハードドライブ若しくはリムーバブルデバイスなどの磁気ディスク又は磁気テープなど、光学記憶媒体で光ディスク、光テープ、又は機械可読光学符号化など、ソリッドステート電子記憶デバイスでランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM)など、あるいはコンピュータプログラムを保存するために使用される任意の他の物理デバイス又は媒体を含み得る。説明された例示的な実施形態の方法を実施するためのコンピュータプログラムはまた、コンピュータ可読記憶媒体上に保存されてもよく、それはインターネット、他のネットワーク、又は通信媒体の手段により画像プロセッサに接続される。当業者は、そのようなコンピュータプログラム製品の同等物もまたハードウェアの中に構築され得ることを更に容易に認識するであろう。
【0179】
用語「メモリ」は、出願の文脈内で「コンピュータでアクセス可能なメモリ」と同等であり、画像データを保存し、画像データ上で動作するために用いられ、コンピュータシステムにアクセス可能である、任意の種類の一時的又はより永続的なデータ記憶ワークスペースを指すことができ、例えばデータベースを含む、ことに留意されたい。メモリは、例えば、磁気又は光学記憶などの長期記憶媒体を用いた不揮発性であり得る。代替的に、メモリは、より揮発性のものであり得て、電子回路、例えばマイクロプロセッサ又は他の制御論理プロセッサデバイスによって一時的なバッファ又はワークスペースとして用いられるランダムアクセスメモリ(RAM)を用いる。表示データは、例えば、表示デバイスに直接関連付けられる一時的記憶バッファに典型的に保存され、かつ表示されたデータを提供するために必要に応じて定期的に更新される。この一時的な記憶バッファもまた、この用語が本出願で使用される際、メモリと考えられ得る。メモリはまた、計算及び他の処理の中間及び最終結果を実行し、保存するためのデータワークスペースとして使用され得る。コンピュータでアクセス可能なメモリは、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性のハイブリッドな組み合わせであり得る。
【0180】
本明細書の例示的な実施形態のコンピュータプログラム製品は、周知の様々な画像操作アルゴリズム及び/又は処理を利用してもよいことが理解されよう。本明細書における例示のコンピュータプログラム製品の実施形態は、実装に有益であるが、本明細書において特に示されず、又は説明されないアルゴリズム及び/又は処理を具体化し得ることが更に理解されよう。このようなアルゴリズム及び処理は、画像処理技術の通常の技術範囲にある従来の効用を含んでもよい。このようなアルゴリズム及びシステムと、画像の作成及びその他の処理のための、あるいは本出願のコンピュータプログラム製品と連動するためのハードウェア及び/又はソフトウェアとの追加の態様は、本明細書において具体的に示されず、説明されず、当技術分野で周知のアルゴリズム、システム、ハードウェア、構成要素、及び要素から選択され得る。
【0181】
本出願による例示的な実施形態は、本明細書に記載される様々な特徴を(個別に、又は組み合わせて)含み得る。
【0182】
本発明は1つ以上の実装に関して例示されているが、代替例及び/又は修正例は、添付の特許請求の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された例についてなされ得る。加えて、本発明の具体的な特徴はいくつかの実装/例示的な実施形態のうちの唯一のものについて開示され得るが、このような特徴は、任意の所与の又は特定の機能にとって望ましくかつ有利であり得るように、他の実装/例示的な実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。用語「1つの(a)」又は「少なくとも1つの」を用いて、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味する。「約」という用語は、列挙された値が、示された例示的な実施形態に対して処理又は構造における不適合を生じない限り、いくらか変更され得ることを示す。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の明細及び実施を考慮することにより、当業者には明らかであろう。本明細書及び例示の実施形態は、例示としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲と趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。