(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】医療機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250213BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20250213BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20250213BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
H01M10/46
A61B3/10 100
(21)【出願番号】P 2022561955
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2021041300
(87)【国際公開番号】W WO2022102646
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2020187830
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】覺内 篤志
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 英明
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029224(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0010462(US,A1)
【文献】特開平09-297631(JP,A)
【文献】特開2001-043841(JP,A)
【文献】国際公開第2013/171813(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
H01M10/42-10/48
A61B3/10-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器本体と、
前記医療機器本体に対して着脱可能に設けられる電源供給用の第1電池パックと、
前記医療機器本体に装着された前記第1電池パックを充電可能に構成された充電台と
を備え、
前記第1電池パックは、送電側が備える送電コイルが発生させた磁界を受電するための受電コイルと、前記受電コイルによって受電した電力に基づいて充電される二次電池とを有し、前記医療機器本体から取り外した状態においても無接点充電可能に構成されており、
前記充電台は、
前記医療機器本体に装着された前記第1電池パックを充電する場合の前記医療機器本体の適切な載置位置の位置決めを補助する本体載置位置決定手段と、
前記本体載置位置決定手段に基づいて前記医療機器本体が載置された場合の当該医
療機器本体に装着された前記第1電池パックの位置を示す電池載置位置表示手段とを備える
ことを特徴とする医療機器。
【請求項2】
前記充電台は、前記電池載置位置表示手段に基づいて前記第1電池パックを単体で載置することによって、前記第1電池パック単体での充電が可能に構成されている
ことを特徴とする請求項
1記載の医療機器。
【請求項3】
前記充電台は、前記電池載置位置表示手段に基づいて載置された前記第1電池パックの受電コイルの位置と一致するように配置された前記送電コイルを更に有する
ことを特徴とする請求項
1記載の医療機器。
【請求項4】
前記充電台の前記本体載置位置決定手段は、前記
充電台の載置面に前記医療機器本体を載置した状態において、前記送電コイルと前記受電コイルの位置が一致するように前記医療機器本体の少なくとも一部を固定する本体固定手段を有する
ことを特徴とする請求項
3記載の医療機器。
【請求項5】
前記充電台の本体固定手段は、前記載置面に載置された前記第1電池パックの充電状態を示すインジケータを有する
ことを特徴とする請求項
4記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関するものであり、詳しくは、医療機器に対する電源供給手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療の分野において、人間や動物などの被検体を検査するための手持ち式の医療機器が用いられている。特許文献1には、操作者により片手で把持された状態において、被検体である眼にスリット光を照射し前眼部を検査することが可能な検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療機器の中には電力を消費する機能を備えたものも存在し、多機能になるにつれて電力消費量も増加する傾向にある。電源の安定確保という観点でいえば、電源コードによって電源を確保することが最も好ましいが、特許文献1に記載の検査装置のように医師が把持した状態で使用する医療機器の場合、電源コードが邪魔になるおそれがあるため、内部に備える二次電池等のバッテリによって電源を確保する構成とすることが優先されることがある。有線で電源を確保できる医療機器の場合には、常に安定して電力供給がなされるので問題にならないが、内部バッテリによって電源を確保する医療機器の場合には、バッテリ切れが生じるリスクが存在する。バッテリとして二次電池を採用している医療機器であれば、こまめに充電することでリスクを回避できるが、医療機関において日常的に使用し続けられている医療機器の充電タイミングを管理することは難しく、充電が行われない状態が続いてしまうと、使用したいタイミングでバッテリ切れとなってしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、バッテリ切れのリスクを回避可能な電源供給手段を持つ医療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る医療機器は、医療機器本体と、前記医療機器本体に対して着脱可能に設けられる電源供給用の第1電池パックとを備え、前記第1電池パックは、送電側が備える送電コイルが発生させた磁界を受電するための受電コイルと、前記受電コイルによって受電した電力に基づいて充電される二次電池とを有し、前記医療機器本体から取り外した状態においても無接点充電可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る医療機器は、前記第1電池パックに替えて前記医療機器本体に取付可能に構成された電源供給用の第2電池パックを更に備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る医療機器は、前記第2電池パックは、送電側が備える送電コイルが発生させた磁界を受電するための受電コイルと、前記受電コイルによって受電した電力に基づいて充電される二次電池とを有し、前記医療機器本体から取り外した状態においても無接点充電可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る医療機器は、前記第2電池パックは、一次電池又は二次電池を取付可能な電池ホルダを有し、電池ホルダに取り付けられた一次電池又は二次電池によって前記医療機器本体に対して電源供給を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る医療機器は、前記第1電池パックは、上下非対称、左右非対称、前後非対称のうちの少なくとも一つの形状的特性を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る医療機器は、前記医療機器本体は、前記第1電池パックとの間の通電を担う本体側端子部と、この本体側端子部を挟んで配置された保護凸部とを備え、前記第1電池パックは、前記本体側端子部と接触可能な電池側端子部と、前記電池側端子部を挟んで形成され前記保護凸部を受ける保護凹部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る医療機器は、前記第1電池パックの受電コイルに対し電磁誘導によって送電可能な送電コイルと、前記医療機器本体を載置する載置面と、前記医療機器本体の一部を嵌合することで前記載置面における前記医療機器本体の位置を固定する本体受け部とを有する充電台を更に備え、前記載置面は、前記本体受け部に対して前記医療機器本体を嵌合した状態における前記第1電池パックの位置を示すための電池載置位置表示手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願の実施の形態により1又は2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器の構成の外観例を示す外観図である。
【
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器の構成の外観例を示す外観図である。
【
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器の構成の外観例を示す外観図である。
【
図4】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器における本体底部の電池パック挿入箇所の一例を表した外観図である。
【
図5】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器において使用される電池パックの一例を表した斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の一例を表した斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器に適用される無接点充電方式の一例を表したブロック図である。
【
図8】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器において使用される電池パックの一例を表した斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の他の一例を表した斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の他の一例を表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る医療機器の例について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器の構成の外観例を示す外観図である。この
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る医療機器は、医療機器本体100と、電池パック(第1電池パック)200と、充電台400とを備えている。また、予備の電池パック(第2電池パック)300をさらに備えるようにしてもよい。本発明の実施の形態に係る医療機器は、電源として電池パックを採用し、かつ、その電池パックは無接点充電によって充電可能としたことを特徴とするものである。なお、以下の説明において、医療機器全体を指して符号100を用いる場合があるものとする。
【0016】
本発明の実施の形態に係る医療機器は、バッテリからの電力供給を必要とするものであればどのような医療機器であっても対象となり得る。以下においては、医療機器の一例として、所謂スリットランプと呼ばれる、被検体の一例である眼(以下、「被検眼」と称する。)にスリット光を照射して、被検眼での散乱により生成した散乱光を観察することで被検眼の角膜や水晶体等を検査するための装置である。医療機器の他の例には、眼圧計や眼底カメラ、オートレフケラトメータ等の眼科装置や、体温計などが考えられる。以下、医療機器がスリットランプを用いた検査装置である場合を例に説明する。以下において、本発明の実施の形態に係る医療機器の一例であるスリットランプを用いた検査装置の構成について説明を行う。
【0017】
図1~
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器100の構成の外観例を示す外観図である。医療機器100は、片手で把持した状態で操作することにより被検眼を検査するための装置である。
図1~
図3に示すように、医療機器100は、照射部10と、観察部20と、グリップ部30と、指掛部40aと、人差し指側操作部50と、親指側操作部60aと、ベース部70と、照射角度調整部80と、目盛部90とを備える。
【0018】
照射部10は、被検眼に対し照射光を照射する機能を有する。本例では、照射部10は、照射光としてスリット光やスポット光を被検眼に照射する機能を有する。照射部10は、照射筒11と、照射口12と、円盤操作部13と、スイング部14と、別光源設置部15とからなる。照射筒11は、上述した特許文献1に記載されているようなスリット光を照射するための公知の構成が内部に配置される。本例では、照射筒11は、光源、コンデンサレンズ、スポット円盤、スリット円盤及び投光レンズを内部に備える。光源の例にはLEDがある。照射筒11では、光源から発された光がコンデンサレンズで集光後にスリット円盤を通過しスリット光やスポット光が生成される。当該スリット光やスポット光は、照射口12に入射する。照射口12は、内部に配置される投光プリズムからなる。投光プリズムに入射したスリット光やスポット光は、方向を変え装置外部の被検眼方向へ照射される。円盤操作部13は、操作者がスポット円盤及びスリット円盤を回転させ、照射するスリット光の長さや幅、スポット光の直径を選択するダイヤルである。スイング部14は、一端部分と照射筒11の下部に設けられ、当該照射筒11と所定の距離を開けて位置する他端部分が後述する照射角度調整部80に接続される板状の部材からなる。なお、スイング部14における照射角度調整部80の外周に接する部分には、照射部10の回転角度を示すためのマーカが設けられる。
【0019】
別光源設置部15は、蛍光観察照明や背景照明のための光を被検眼に照射する機能を有し、照射口12とは別に設けられる。別光源設置部15は、蛍光観察照明用光源設置部と背景照明用光源設置部とからなる。例えば、蛍光観察照明用光源設置部には光源として青色LEDが設置され、背景照明用光源設置部には光源として白色LEDが設置される。なお、別光源設置部15は、蛍光観察照明用光源設置部及び背景照明用光源設置部のうち何れか一方のみを備えてもよい。従来、スリット光やスポット光と同様の照射口から蛍光観察照明や背景照明のための光が照射されていたが、スリット光やスポット光と蛍光観察照明や背景照明の光とを切り替える必要があり同時照射することができなかった。しかし、医療機器100に設けられた別光源設置部15には光源が直接設置されるため、スリット光やスポット光の照射時に蛍光観察照明や背景照明のための光も照射することができる。結果として、例えばスリット光の照射の様子を被検者に対して説明するための撮影等(例えば被検者の前眼部の背景照明を用いた撮影)に利用することが可能となる。また、蛍光観察照明や背景照明のための光がスリット光やスポット光の光路とは異なる光路で生成されるためスリットターレットの大きさより照射範囲が制限されることがなく、同一の光路で生成される場合と比較してより広範囲に蛍光観察照明や背景照明のための光が当たるように光源を設置することが可能となる。また、
図2に示すように、別光源設置部15は、照射口12から照射される光及び別光源設置部15から照射される光が常に概略同一方向を向くように設けられる。例えば、別光源設置部15は、照射口12の回転に合わせて同じ回転をする。このような構成とすることで、スリット光やスポット光の照射方向を調整する際に蛍光観察照明や背景照明の方向調整を別途行う必要をなくし、結果として医療機器100の取り回し易さを向上させることが可能となる。
【0020】
観察部20は、照射部10から照射された照射光で被検眼を観察するための機能を有する。本例では、観察部20は、観察用筐体21と、右眼用接眼部22と、左眼用接眼部23と、変倍レバー24とを備える。観察用筐体21、右眼用接眼部22及び左眼用接眼部23は、上述した特許文献1に記載の公知の観察用光学系が内部で構成される。観察用光学系は、右眼での観察用と左眼での観察用とに分かれる。右眼での観察用光学系は、観察用筐体21及び右眼用接眼部22の内部で構成される。また、左眼での観察用光学系は、観察用筐体21及び左眼用接眼部23の内部で構成される。例えば、観察用光学系は、少なくとも対物レンズと、接眼プリズムと、レチクルレンズと、接眼レンズとからなる。照射部10からのスリット光が被検眼で散乱され散乱光として対物レンズに入射する。入射した散乱光は接眼プリズムと、レチクルレンズと、接眼レンズを通過し操作者が観察可能な光となる。変倍レバー24は、左右方向に動かすことにより対物レンズを前後方向に移動させ、被検眼の観察倍率を変更可能なレバーである。
【0021】
グリップ部30は、片手の親指と人差し指側の4本の指(以下、「人差し指側の指」と称する。)の少なくとも何れか1本との間で挟むように操作者が把持可能に設けられる。グリップ部30の形状は操作者が把持可能であれば特に限定されないが、略円筒形状が好ましい。本例では、グリップ部30は、
図1~
図3に示すように、観察用筐体21の下部に取り付けられ、円筒が反ったような形状をしている。以下、グリップ部30の中心軸が概略鉛直方向(
図1~
図3における上下方向)に向いた状態を「基準状態」というものとする。
図1~
図3に示されたグリップ部30の中心軸の方向は、概略鉛直方向であるものとする。従って、
図1~
図3に示された状態は基準状態である。
【0022】
指掛部40aは、グリップ部30を操作者が片手で把持したときに人差し指側の指のうち何れかに引っ掛かるように、当該グリップ部30に設けられている。ここで、人差し指側とは、グリップ部30の側面のうち、当該グリップ部30を把持したときに人差し指が接触し得る側をいう。人差し指側に位置する指は、人差し指、中指、薬指及び小指のうち少なくとも何れかである。また、指掛部40aが指に引っ掛かるとは、指が指掛部40aの荷重を受ける状態になることをいう。指掛部40aの形状は、人差し指側に位置する指のうち何れかに引っ掛かることが可能であれば特に限定されない。
図1~
図3に示す例では、指掛部40aの形状は、グリップ部30の側面から鍔状に突出した形状である。グリップ部30に指掛部40aが設けられることで、操作者は、人差し指側に位置する指のうち何れかに指掛部40aを引っ掛けてグリップ部30を把持することができる。従って、指掛部40aにより定められたグリップ部30を把持する手の理想的な位置で検査用の操作を操作者に安定して実行させることが可能となる。指掛部の形状例については後述する。
【0023】
人差し指側操作部50は、検査の操作に用いられ、グリップ部30を操作者が片手で把持する際に指掛部40aによって位置が定まる人差し指側の指のうち、予め操作に用いる指と想定した指が届く範囲内の位置に設けられる。予め操作に用いる指と想定した指は人差し指側の指のうち何れかであれば特に限定されないが、指掛部40aが引っ掛かる指以外の指が好ましい。本例では、人差し指を操作に用いる指として想定している。また、指が届く範囲内の位置とは、指を動かして届く位置をいう。予め操作に用いる指と想定した指が届く範囲内の位置の例には、グリップ部30を操作者が片手で把持する際に予め操作に用いる指と想定した指に対向するグリップ部30の位置がある。人差し指側操作部50は、例えばボタンやスイッチ等である。本例では、人差し指側操作部50は、押下している最中に照射部10の照射筒11内に配置された光源が発光し照射口12から光が照射されるスイッチである。
【0024】
また、人差し指側操作部50は、指掛部40aから荷重を受ける指よりも親指に近い指を操作用の指と想定して、当該操作用の指が届く範囲内の位置に設けられてよい。荷重を受ける指よりも親指に近い指は、例えば基準状態において荷重を受ける指が中指である場合には人差し指である。このような構成とすることで、指掛部40aからの荷重の影響が比較的少ない指でより安定して検査用の操作を行わせることが可能となる。
【0025】
親指側操作部60aは、被検眼の検査の操作に用いられ、グリップ部30を操作者が片手で把持する際に指掛部40aによって位置が定まる親指が届く範囲内の位置に設けられる。親指側操作部60aには、複数の操作箇所が設けられてもよい。操作箇所には、被検眼の検査に関する操作入力を行うためのボタンや種々のスイッチ、ダイヤル等の操作部材が設けられる。本例では、親指側操作部60aの操作箇所に、操作部材として操作用ボタン61a~63aと、操作用ダイヤル64とが設けられている。操作用ボタン61a~63aは、例えば蛍光観察照明や背景照明のオンオフ等、検査に関する種々の機能が割り当てられる。また、操作用ダイヤル64は、例えば照射部10の照射口12から照射されるスリット光の光量を調整する機能が割り当てられる。親指側操作部60aが含む複数の操作用ボタンの操作箇所は、グリップ部30を操作者が片手で把持する際に指掛部40aによって位置が定まる親指が届く範囲内の位置であれば特に限定されない。親指側操作部60aが含む複数の操作部材の形状や大きさ、配置等の例については後述する。
【0026】
ベース部70は、グリップ部30の下部に一端部分が取り付けられた板状の部材である。ベース部70の他端部分には、後述する照射角度調整部80が設けられる。
【0027】
照射角度調整部80は、回転軸を基準として照射部10を回転させることにより照射光の照射角度を調整する部材である。本例では、照射角度調整部80は、ベース部70の他端部分に固定的に取り付けられる。また本例では、照射角度調整部80は、スイング部14において照射筒11から所定の距離を開けた箇所に形成された孔に回動自在に取り付けられて、上面が露出した状態である。すなわち、ベース部70とスイング部14とが照射角度調整部80を介して接続され、スイング部14がベース部70に対して照射角度調整部80を基準に回動自在になっている。なお、照射角度調整部80は、例えば軸受により構成される。
【0028】
目盛部90は、回転軸の上面に回転角度を示す目盛を設ける。具体的には、目盛部90は、照射部10により照射される照射光の照射角度に対応する目盛を回転軸の上面において円弧状に設ける。本例では、目盛部90は、スイング部14の照射角度調整部80を基準とした回転角度を、スイング部14に嵌った照射角度調整部80の上面において円弧状に示す目印として設けられる。目盛部90は詳細を後述する。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器における本体底部の電池パック挿入箇所の一例を表した外観図である。この
図4に示すように、医療機器本体100の底部には、電池パック200(300)を取り付けるための取付凹部110が形成されている。この取付凹部110の内側には、電池パック200(300)と電気的に接続するための本体側端子部120と、本体側端子部120を保護するための保護凸部130と、電池パック200(300)を固定するための係止凹部140とが設けられている。
【0030】
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器において使用される電池パックの一例を表した斜視図である。この
図5に示すように、電池パック200は、本体側端子部120と電気的に接続するための電池側端子部210と、取付凹部110に対して取り付ける際に保護凸部130が収まるための保護凹部220と、係止凹部140に対して嵌まることで係止を実現する係止凸部230と、取付凹部110に対する着脱を担う係止ばね部材240とを備えている。係止ばね部材240は、取付凹部110に設けられた溝(図示省略)に対して弾性力によって係止と解除を実現する。また、電池パック200は、上下非対称、左右非対称、前後非対称のうちの少なくとも一つの形状的特性を有することが好ましい。上下非対称、左右非対称、前後非対称の形状的特性を備えさせることで、取付凹部110に対する誤挿入を防止することが可能となる。なお、
図1に示した電池パック(第2電池パック)300は、予備であるという点が異なるだけで、電池パック(第1電池パック)200と同一の構造であるので、説明を省略する。
【0031】
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の一例を表した斜視図である。この
図6に示すように、充電台400は、医療機器本体100を載置するための載置面410と、医療機器本体の一部を嵌合することで前記載置面における前記医療機器本体の位置を固定する本体受け部420と、本体受け部420に対して医療機器本体100を嵌合した状態における電池パック200(300)の位置を示すための電池載置位置表示手段430とを備える。なお、図示を省略しているが、充電台400は、商用電源からの電力を引き込むための電源コードを備える。また、商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換するためのACアダプタ440は、充電台400の中に備えるようにしてもよいし、商用電源コンセントから充電台400の間に備えるようにしてもよい。本体受け部420は、医療機器本体100自体を固定する役割と、医療機器本体の正確な位置決めの役割を担っている。電池載置位置表示手段430は、電池パック200(300)の載置位置を示すことができればどのような手段であってもよいが、
図6の例では、載置位置を示す表示線を載置面410の上に表示するようにしている。電池載置位置表示手段430の他の例としては、電池パック200(300)を載置する箇所だけ一段低く形成して凹部とすることが考えられる。この電池載置位置表示手段430は、
図6の下段に示すように、医療機器本体100とは別に電池パック200(300)のみを充電する場合に、載置場所を正確に認識するための構成として有効に機能する。
【0032】
図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器に適用される無接点充電方式の一例を表したブロック図である。
図7に示すように、充電台400は、ACアダプタ440と、無接点充電の送電を行うための送電コイル450とを備える。電池パック200(300)は、送電コイル450が発生させた磁界(磁束)を受電して電流に変換する受電コイル250と、受電コイル250で変換した電流に基づいて充電を制御する充電制御IC260と、充電対象である二次電池270と、本体と電気的に接続するための電池側端子部210とを備える。医療機器本体100は、電池側端子部210と電気的に接続される本体側端子部120を介して電池パック200(300)からの電力を必要な個所に対して給電する。この
図7に示すように、充電台400に対して医療機器本体100若しくは電池パック200(300)単体が正しく位置決めされて載置されたときに、最も充電効率が高くなるように送電コイル450と受電コイル250とが相対するように構成する。
【0033】
以上のように、本発明に係る医療機器によれば、医療機器本体と、医療機器本体に対して着脱可能に設けられる電源供給用の第1電池パックとを備え、第1電池パックは、送電側が備える送電コイルが発生させた磁界を受電するための受電コイルと、受電コイルによって受電した電力に基づいて充電される二次電池とを有し、医療機器本体から取り外した状態においても無接点充電可能に構成されているようにしたので、無接点充電とすることで充電を容易に行えるようにし、また、電池パック内部に受電コイルを設けて電池パック単体での無接点充電を可能としたので、充電台に対して電池パックを装着した状態の医療機器100を載置しての充電と、電池パックを取り外して電池パック単体での充電との2つの方法で充電が可能となる。また、電池パック単体での無接点充電を可能としたので、同一の予備の電池パックを用意しておけば、一方の電池パック(第1電池パック)を医療機器本体100に装着して医療機器を使用している間に他方の電池パック(第2電池パック)を充電しておけるため、一方の電池パック(第1電池パック)の充電が切れた場合であっても他方の電池パック(第2電池パック)に交換するだけで医療機器を連続して使用することが可能となる。
【0034】
上記の実施の形態においては、予備である第2電池パックは第1電池パック200と同一の構成であるものとして説明を行ったが、予備である第2電池パックは、乾電池を利用したものであってもよい。
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器において使用される電池パックの一例を表した斜視図である。電池パック500は、電池パック200と形状や端子構造は共通化することで医療機器本体100に対して同様に取付可能であるが、この
図8に示すように、二次電池の代わりに乾電池510を装着する箇所を備え、乾電池510によって給電する構成となっている。このように、乾電池510を利用した予備の電池パック500とすることで、電池パック200の充電が切れた場合には、乾電池510を用いて医療機器100を使用し、その間に、電池パック200単体での充電を行うことが可能となる。
【0035】
図9は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の他の一例を表した斜視図である。また、
図10は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する医療機器を載置する充電台の他の一例を表した平面図である。この
図9及び
図10に基づいて、他の例としての充電台600の構成について説明を行う。
【0036】
図9及び
図10に示すように、充電台600は、医療機器本体100を載置するための水平な載置面610と、医療機器本体100が載置されるときにグリップ部30を固定するためのグリップ固定部620(本体固定手段)と、電池パック200(300)単体で充電する場合の適切な載置位置を示す電池用ガイド線630(電池載置位置表示手段)と、医療機器本体100を充電する場合の適切な載置位置を示す本体用ガイド線640(本体載置位置決定手段)とを備えている。
【0037】
グリップ固定部(本体固定手段)620は、載置面610よりも高さのある土手状に形成されており、土手状部分でグリップ部30の下端及びベース部70を囲むことで医療機器本体100の載置位置を定める効果がある。
図2に示すように、本例における医療機器本体100は、グリップ部30の下端部であるグリップエンド31がベース部70のベース部後端71から突出した形状となるように、グリップ部30とベース部70の位置関係を定めている(グリップエンド31よりもベース部後端71を後退させているともいえる)。グリップ固定部620は、適切な位置に医療機器本体100を載置した状態においてグリップエンド31及びベース部後端71に接するようにして形成する。そのため、本例においては、グリップ固定部620はグリップエンド31に対応する部分がグリップエンド収容部622として窪んだ状態に形成してある。また、グリップ固定部620の何れかの個所(例えば、中央)には、電池パック200(300)の充電状況を表示するためのインジケータ621を設けるようにしてもよい。この場合、グリップエンド31の収容位置が視認し易くなり、医療機器100のスムーズな載置を助ける。なお、
図9及び
図10に示す充電台600においては、本体固定手段としてグリップエンド31部分を固定するものとしているが、本体固定手段は、医療機器本体100の少なくとも一部を固定可能なものであればどのような手段であってもよい。
【0038】
電池用ガイド線630(電池載置位置表示手段)は、充電台620が備える送電コイルと電池パック200(300)が備える受電コイルの位置が一致する(充電効率が最も高くなる位置関係となる)ような電池パック200(300)の載置位置を示すものである。この電池用ガイド線630を設けることで、載置面610に対して自由に載置可能な状況においても使用者が載置面610の最適な位置に電池パック200(300)を載置することが可能となる。
【0039】
本体用ガイド線640(本体載置位置決定手段)は、充電台620が備える送電コイルと医療機器本体100に接続された電池パック200(300)が備える受電コイルの位置が一致する(充電効率が最も高くなる位置関係となる)ような医療機器本体100の載置位置を示すものである。この本体用ガイド線640を設けることで、使用者が載置面610の最適な位置に医療機器本体100を載置することが可能となる。なお、本体用ガイド線640が示す医療機器本体100の最適な載置位置における医療機器本体100に接続された電池パック200(300)の位置と、電池用ガイド線630が示す電池パック200(300)の最適な載置位置における医療機器本体100に接続された電池パック200(300)の位置は、同じ位置となる。
【0040】
このように、
図9及び
図10に示す充電台600によれば、送電コイルに対する受電コイルの位置がズレることが原因で生じる充電効率低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0041】
100 医療機器本体(医療機器)
10 照射部
11 照射筒
12 照射口
13 円盤操作部
14 スイング部
15 マーカ
20 観察部
21 観察用筐体
22 右眼用観察部
23 左眼用観察部
24 変倍レバー
30 グリップ部
31 グリップエンド
40a~40c 指掛部
50 人差し指側操作部
60a~60e 親指側操作部
70 ベース部
71 ベース部後端
80 照射角度調整部
90 目盛部
110 取付凹部
120 本体側端子部
130 保護凸部
140 係止凹部
200 電池パック
210 電池側端子部
220 保護凹部
230 係止凸部
240 係止ばね部材
250 受電コイル
260 充電制御IC
270 二次電池
300 電池パック
400 充電台
410 載置面
420 本体受け部
430 電池載置位置表示手段
440 ACアダプタ
450 送電コイル
500 電池パック
510 乾電池
600 充電台
610 載置面
620 グリップ固定部
621 インジケータ
622 グリップエンド収容部
630 電池用ガイド線
640 本体用ガイド線