(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】重合性化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 20/36 20060101AFI20250213BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20250213BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250213BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250213BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20250213BHJP
C07C 269/02 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
C08F20/36
C09J4/02
C09J201/00
C09J7/38
C08F290/06
C07C269/02
(21)【出願番号】P 2023042481
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2022057212
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亮太
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良紘
(72)【発明者】
【氏名】石垣 仁寛
(72)【発明者】
【氏名】堀江 翔一
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-203408(JP,A)
【文献】国際公開第2019/221135(WO,A1)
【文献】特開2000-272244(JP,A)
【文献】特表2003-505561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/36
C08F 290/06
C09J 4/02
C09J 201/00
C09J 7/38
C07C 269/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物と、反応性二重結合を持ったイソシアネート化合物とを、活性水素を発生しうる酸触媒の存在下で反応させて反応物を得る工程を有する接着・粘着層形成用の重合性化合物の製造方法。
(前記一般式(1)中、nは
3~5の数を示し、R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示す)
【請求項2】
前記一般式(1)中、R
1が-O-である請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(1)中、R
2が炭素数2~10のアルキレン基である請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
【請求項4】
前記イソシアネート化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
(前記一般式(I)中、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【請求項5】
前記酸触媒の酸解離定数が5未満である請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
【請求項6】
前記酸触媒が、ハロゲン化水素、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
【請求項7】
HPLCにより測定される下記一般式(4)で表される化合物の含有量が20%以下である前記反応物を得る請求項
4~
6のいずれか一項に記載の重合性化合物の製造方法。
(前記一般式(4)中、R
11~R
15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は下記一般式(5)で表される基を示し、R
11~R
15のうちの1以上が下記一般式(5)で表される基である。R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
3は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
(前記一般式(5)中、*はベンゼン環との結合位置を示し、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着・粘着層形成用の重合性化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドーパやドーパミン等のカテコール骨格を有する化合物や没食子酸等のピロガロール骨格を有する化合物の誘導体をモノマーとする、様々な機能を示す重合体が提案されている。例えば、ドーパミンアクリルアミド等のモノマーを含有する硬化性の樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。また、メタクリロイル基を有するピロガロール類の誘導体を、各種の基材上に良好な密着性で接着層等を形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体として含有する光硬化性コーティング組成物が提案されている(特許文献2)。カテコール骨格やピロガロール骨格を有する接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体は、芳香環に直接結合した水酸基が基材に配向して強固な接着性を示すと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/221135号
【文献】特開2009-203408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(メタ)アクリロイル基を有するピロガロール類の誘導体は、例えば、没食子酸誘導体にメタクリル酸無水物やイソシアネート基を持った(メタ)アクリル酸誘導体等を反応させて合成することができる。しかし、この合成方法の場合、ピロガロール類の誘導体と(メタ)アクリル酸誘導体等とを反応させるのに長時間加熱する必要があった。さらに、検討の結果、ジブチルスズジラウレート等の有機金属を反応促進剤(触媒)として用いると、副生成物が多く生成しやすくなることが判明した。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、接着性や粘着性を付与する、又は接着性や粘着性をさらに増強し、接着性や粘着性に優れた接着層等を各種の基材上に形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を調製することが可能な重合性化合物の効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、以下に示す接着・粘着層形成用の重合性化合物の製造方法が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物と、反応性二重結合を持ったイソシアネート化合物とを、活性水素を発生しうる酸触媒の存在下で反応させて反応物を得る工程を有する接着・粘着層形成用の重合性化合物の製造方法。
【0007】
(前記一般式(1)中、nは1~5の数を示し、R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示す)
【0008】
[2]前記一般式(1)中、nが2~5である前記[1]に記載の重合性化合物の製造方法。
[3]前記一般式(1)中、R1が-O-である前記[1]又は[2]に記載の重合性化合物の製造方法。
[4]前記一般式(1)中、R2が炭素数2~10のアルキレン基である前記[1]~[3]のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
[5]前記イソシアネート化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である前記[1]~[4]のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
【0009】
(前記一般式(I)中、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0010】
[6]前記酸触媒の酸解離定数が5未満である前記[1]~[5]のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
[7]前記酸触媒が、ハロゲン化水素、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]~[6]のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
[8]HPLCにより測定される下記一般式(4)で表される化合物の含有量が20%以下である前記反応物を得る前記[5]~[7]のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
【0011】
(前記一般式(4)中、R
11~R
15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は下記一般式(5)で表される基を示し、R
11~R
15のうちの1以上が下記一般式(5)で表される基である。R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
3は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0012】
(前記一般式(5)中、*はベンゼン環との結合位置を示し、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接着性や粘着性を付与する、又は接着性や粘着性をさらに増強し、接着性や粘着性に優れた接着層等を各種の基材上に形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を調製することが可能な重合性化合物の効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<重合性化合物の製造方法>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明者らは、一般式(1)で表される化合物と、反応性二重結合を持ったイソシアネート化合物(以下、単に「イソシアネート化合物」とも記す)との反応性、及び反応によって得た生成物を用いて製造した重合体や組成物の接着性及び粘着性について検討した。その結果、一般式(1)で表される化合物とイソシアネート化合物の反応時にジブチルスズジラウレート等の有機金属を触媒として用いると、ウレタン化反応が促進される一方で、イソシアネート化合物がフェノール性水酸基とも反応しやすくなって、目的とする重合性化合物の純度が低下することが判明した。
【0015】
本発明者らは、イソシアネート化合物を一般式(1)中の脂肪族水酸基(-R2-OH)と優先的に反応させて、より純度の高い重合性化合物が生成する条件について種々検討した。その結果、一般式(1)で表される化合物とイソシアネート化合物を、活性水素を発生しうる酸触媒の存在下で反応させることが有効であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の一実施形態は、下記一般式(1)で表される化合物と、反応性二重結合を持ったイソシアネート化合物とを、活性水素を発生しうる酸触媒の存在下で反応させて反応物を得る工程(以下、「工程(1)」とも記す)を有する接着・粘着層形成用の重合性化合物の製造方法である。
【0016】
(前記一般式(1)中、nは1~5の数を示し、R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示す)
【0017】
(工程(1))
工程(1)では、一般式(1)で表される化合物と、反応性二重結合を持ったイソシアネート化合物とを反応させて反応物を得る。一般式(1)で表される化合物は、一分子中に、フェノール性水酸基及び脂肪族水酸基を有する化合物(第一級アルコール)である。一般式(1)中、nは2~5であることが好ましく、3であることがさらに好ましい。一般式(1)中、R1は-O-(エーテル結合)であることが好ましい。一般式(1)中、R2は、得られる重合性化合物中の一般式(2)で表される化合物の比率を増加させる観点からは、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数2~6であることが特に好ましく、炭素数2~4であることが最も好ましい。一方、一般式(1)中、R2は、製造上の観点からは、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数3~6であることが特に好ましく、炭素数4~6であることが最も好ましい。このような構造の化合物を原料化合物として用いることで、接着性や粘着性により優れた接着層等を各種の基材上に形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を提供可能な重合性化合物を製造することができる。
【0018】
一般式(1)で表される化合物として、市販品を用いてもよく、合成品を用いてもよい。一般式(1)で表される化合物は、例えば下記反応式に示すように、下記一般式(3)で表される化合物(ヒドロキシ安息香酸類)と、下記一般式(II)で表される化合物とを反応させて調製することができる。なお、下記一般式(II)中のR1及びR2は、一般式(1)中のR1及びR2と同義である。また、触媒としては、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸無水物、硫酸、塩酸、及びリン酸等の酸触媒を用いることができる。
【0019】
【0020】
イソシアネート化合物は、一分子中に、反応性(重合性)二重結合及びイソシアネート基(-NCO基)を有する化合物である。イソシアネート化合物のイソシアネート基(-NCO基)を、一般式(1)中の脂肪族水酸基(-R2-OH)と優先的に反応させてウレタン結合を形成することで、より高純度な重合性化合物を得ることができる。
【0021】
イソシアネート化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物を用いることができる。
【0022】
(前記一般式(I)中、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0023】
一般式(I)中、R3は、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数2~6のアルキレン基であることが特に好ましく、炭素数2のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0024】
工程(1)では、一般式(1)で表される化合物とイソシアネート化合物とを、活性水素を発生しうる酸触媒(以下、単に「酸触媒」とも記す)の存在下で反応させる。水酸基とイソシアネート基を反応させてウレタン結合を形成する際に用いられる従来の有機金属触媒(有機スズ化合物、有機ビスマス化合物等)に代えて、上記の酸触媒を用いることで、イソシアネート化合物とフェノール性水酸基との反応よりも、イソシアネート化合物と脂肪族水酸基との反応を優先的(選択的)に進行させることができる。これにより、下記一般式(4)で表される副生成物の生成を抑制し、より高純度な重合性化合物を効率的に製造することができる。具体的には、HPLCにより測定される下記一般式(4)で表される化合物の含有量が20%以下である反応物を得ることができる。
【0025】
(前記一般式(4)中、R
11~R
15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は下記一般式(5)で表される基を示し、R
11~R
15のうちの1以上が下記一般式(5)で表される基である。R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
3は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0026】
(前記一般式(5)中、*はベンゼン環との結合位置を示し、R
3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0027】
生成する反応物中、HPLCにより測定される一般式(4)で表される化合物(副生成物)の含有量は、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。有機金属触媒を用いると、イソシアネート化合物とフェノール性水酸基との反応が進行し、イソシアネート化合物が過剰に消費されやすくなる。このため、一般式(1)で表される化合物とイソシアネート化合物を有機金属触媒の存在下で反応させると、未反応の原料(一般式(1)で表される化合物)が多く残存する傾向にある。
【0028】
酸触媒としては、反応系中で活性水素を発生しうる化合物であればよく、特に限定されない。但し、酸触媒の25℃における酸解離定数(pKa)は、5未満であることが好ましく、4.8以下であることがさらに好ましい。pKaが5未満の酸触媒を用いることで、さらに高純度な重合性化合物をより効率的に製造することができる。
【0029】
酸触媒としては、例えば、ハロゲン化水素、リン酸、硫酸、硝酸等の無機酸やスルホン酸、及びカルボン酸等の有機酸などが挙げられる。これらの中でもハロゲン化水素、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。ハロゲン化水素は、塩化水素(pKa=-4.0)や臭化水素等のハロゲン化水素そのものの他、反応系中でハロゲン化水素を発生しうる化合物であってもよい。反応系中でハロゲン化水素を発生しうる化合物としては、例えば、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、ジメチルカルバモイルクロリド、アクリル酸クロリド及びメタクリル酸クロリド等を挙げることができる。なお、ジメチルカルバモイルクロリドからは塩化水素が発生することが知られている。スルホン酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p―トルエンスルホン酸(pKa=-2.8)及びトリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。カルボン酸としては、安息香酸(pKa=4.2)、没食子酸(pKa=4.5)、ギ酸、酢酸(pKa=4.8)、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等を挙げることができる。これらの酸触媒は一種を単独で用いても良く、二種以上を併用して用いても良い。
【0030】
酸触媒の使用量は、原料として用いる一般式(1)で表される化合物及びイソシアネート化合物の量に応じて適宜設定すればよい。具体的には、酸触媒の使用量は、一般式(1)で表される化合物の量を基準として、0.5~10モル%とすることが好ましく、1~5モル%とすることがさらに好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される化合物と、イソシアネート化合物とを、酸触媒の存在下で反応させて反応物を得る際の反応式の一例を以下に示す。
【0032】
【0033】
上記反応式中、一般式(2)で表される化合物は、目的とする接着・粘着層形成用の重合性化合物の一例である。一般式(2)中のn、R1、及びR2は、一般式(1)中のn、R1、及びR2と同義である。すなわち、一般式(2)中、nは2~5であることが好ましく、3であることがさらに好ましい。一般式(2)中、R1は-O-(エーテル結合)であることが好ましい。一般式(2)中、R2は、得られる重合性化合物中の一般式(2)で表される化合物の比率を増加させる観点からは、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数2~6であることが特に好ましく、炭素数2~4であることが最も好ましい。一方、一般式(2)中、R2は、製造上の観点からは、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数3~6であることが特に好ましく、炭素数4~6であることが最も好ましい。
【0034】
また、一般式(2)中のR3及びR4は、一般式(I)中のR3及びR4と同義である。すなわち、一般式(2)中、R3はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基であり、炭素数2~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数2~6のアルキレン基であることが特に好ましく、炭素数2のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0035】
(工程(2))
本実施形態の重合性化合物の製造方法は、上記の工程(1)で得た反応物をアルコールで処理する工程(以下、「工程(2)」とも記す)をさらに有することが好ましい。工程(1)で得た反応物をアルコールで処理することで、反応物中に残存する一般式(I)で表される化合物の量を低減し、得られる重合性化合物の純度をさらに高めることができる。
【0036】
工程(2)では、例えば、工程(1)で得た反応物にエタノール、プロパノール等のアルコールを添加及び混合して処理する。処理温度は、室温(25℃)~100℃とすることが好ましく、50~90℃とすることがさらに好ましい。工程(1)又は工程(2)の後は、常法にしたがって分離・精製等することで、目的とする重合性化合物を得ることができる。
【0037】
<重合性化合物>
上述の製造方法で製造される重合性化合物は、例えば、下記一般式(2)で表される化合物である。下記一般式(2)で表される構造とすることで、接着性や粘着性により優れた接着層等を各種の基材上に形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を製造することができる。
【0038】
(前記一般式(2)中、nは1~5の数を示し、R
1は-O-又は-NH-を示し、R
2はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
3は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上の直鎖状アルキレン基、又は(メタ)アクリル基を有していてもよい炭素数2以上の分岐状アルキレン基を示し、R
4は水素原子又はメチル基を示す)
【0039】
重合性化合物は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定される純度が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましく、90%以上であることが最も好ましい。このような高純度の重合性化合物とすることで、接着性や粘着性により優れた接着層等を形成可能な接着・粘着層形成用組成物等を調製することができる。
【0040】
重合性化合物の純度は、HPLCにより測定される。重合性化合物の純度は、HPLCにより測定される、波長294nmの光(紫外線(UV))の吸収強度の変化を記録したクロマトグラムの全ピーク面積に占める、重合性化合物に対応する吸収ピークの面積の割合(百分率)で表される。クロマトグラムの全ピーク面積とは、HPLCで分離された各成分に由来する吸収ピークの面積の合計を意味する。但し、重合性化合物の希釈溶媒及び気泡に由来する吸収ピーク;希釈溶媒及び溶離液に含まれる不純物に由来する吸収ピーク;溶離液の組成のグラジエントによるバックグラウンドの変化に伴う吸収ピーク;面積比0.1%以下の吸収ピーク;並びに希釈溶媒のみを測定した際に得られるバックグラウンドピーク;については、クロマトグラムの全ピーク面積には含めない。HPLCの条件は、以下のようにすることができる。
分析機器:LC-30AD、SPD-M20A、及びLCMS-8050からなるLCMSシステム(島津製作所社製)
溶離液:アセトニトリル-3%酢酸水溶液(1:19→17:3(v/v)、40分間かけてグラジエント)
流速:0.2mL/min
カラム:L-column2 ODS.2μm(3.0×100mm)(化学物質評価研究機構社製)
カラム温度:40℃
試料:約100ppmTHF溶液2.0μL
検出波長:294nm
【0041】
<接着・粘着層形成用組成物>
上述の重合性化合物を用いることで、接着・粘着層形成用組成物を製造することができる。すなわち、接着・粘着層形成用組成物は前述の重合性化合物を含有するものであり、接着性や粘着性に優れた接着層・粘着層を各種の基材上に形成することができる。
【0042】
接着・粘着層形成用組成物中の重合性化合物の含有量は、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。具体的には、重合性化合物の含有量は、接着・粘着層形成用組成物中の固形分を基準として、通常、0.1~90質量%、好ましくは0.3~50質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0043】
接着・粘着層形成用組成物には、重合性化合物以外の重合性モノマーや樹脂等を含有させてもよい。重合性モノマー及び樹脂としては、従来公知の各種重合性モノマーや樹脂を用いることができる。重合性モノマー及び樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの重合性モノマー及び樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
接着・粘着層形成用組成物は、重合開始剤をさらに含有することが好ましい。重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド類;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、及びジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾイン、及びベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;その他のハロゲン化ケトン、及びアシルフォスファナート等を挙げることができる。
【0045】
熱重合開始剤としては、アゾ化合物及び有機過酸化物等を用いることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン酸)ジメチル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパーオキサイド系化合物、パーオキシエステル系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、ケトンパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、及びパーオキシジカーボネート系化合物等を挙げることができる。
【0046】
接着・粘着層形成用組成物は、溶剤をさらに含有させることで、適度な塗工性(塗布性)を有する塗料とすることができる。溶剤としては、水や各種有機溶剤を用いることができる。
【0047】
接着・粘着層形成用組成物には、その他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、チキソ付与剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、熱可塑性樹脂、帯電防止剤、ワックス、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、及び消臭剤等を挙げることができる。
【0048】
接着・粘着層形成用組成物を基材上に塗布して形成した塗工層を硬化させることで、接着層や粘着層を形成することができる。接着・粘着層形成用組成物を基材上に塗布する方法としては、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ナイフコート、及びダイコート等を挙げることができる。
【0049】
塗工層(接着・粘着層形成用組成物)を硬化させる方法としては、光重合開始剤を用いた場合、可視光線、紫外線、及び電子線等の活性エネルギー線の照射装置を使用し、塗工層に活性エネルギー線を所定の光量で照射する方法を採用することができる。照射装置としては、キセノンランプ、キセノン-水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、及びフュージョンランプ等を挙げることができる。一方、熱重合開始剤を用いた場合には、例えば、高温炉等を使用し、好ましくは50~250℃に加熱する方法を採用することができる。
【0050】
<接着・粘着性重合体>
上述の重合性化合物を用いることで、接着・粘着性重合体を製造することができる。すなわち、接着・粘着性重合体は、前述の重合性化合物に由来する構成単位を有するものであり、接着性や粘着性に優れた接着層・粘着層を各種の基材上に形成することができる。
【0051】
接着・粘着性重合体中の重合性化合物に由来する構成単位の含有量は、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。具体的には、重合性化合物に由来する構成単位の含有量は、接着・粘着性重合体の全体を基準として、通常、0.1~90質量%、好ましくは0.3~50質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0052】
接着・粘着性重合体は、前述の一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を有していてもよい。その他の構成単位は、通常の接着・粘着性重合体を構成する従来公知の重合性モノマーや樹脂を用いて形成することができる。
【0053】
<各種製品>
接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を用いることで、粘着シート等の製品を形成することができる。粘着シートは、シート状の支持体と、この支持体の片面又は両面に設けられた接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体により形成された粘着剤層とを備える。支持体としては、樹脂フィルム、樹脂フィルムを含むラミネートフィルム、紙、織布、及び不織布等を挙げることができる。樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等を挙げることができる。粘着剤層の表面上には、粘着剤層を保護するために剥離フィルムを積層しておいてもよい。
【0054】
また、接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を用いることで、光学フィルム等として有用な各種の積層体を形成することができる。積層体は、第1の基材と第2の基材とが、前述の接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体によって形成された接着層や粘着層を介して積層されたものである。第1の基材と第2の基材とは、同一の材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0055】
基材(第1の基材及び第2の基材)の材質としては、ガラス、ハイドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムスズ(ITO)等の無機材料;アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、これらの合金等の金属材料;ポリプロプレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、繊維強化プラスチック(FRP)、モリブデン-アルミニウム-モリブデン積層構造(MAM)等の有機材料;を挙げることができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0057】
<重合性化合物の製造>
(実施例1)
下記式(1-1)で表される化合物29部を1,2-ジメトキシエタン60部に懸濁させた後、92℃に加熱した。2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23部、ジメチルカルバモイルクロリド0.6部(下記式(1-1)で表される化合物に対して4.6モル%)、及び1,2-ジメトキシエタン4部を添加し、95℃で270分間加熱した。その後、エタノール14部を添加し、85℃で90分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、下記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物1 64部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物1の純度(HPLC純度)は84%であった。また副生成物の含有量は5.8%であった。得られた重合性化合物1(式(2-1)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。また、HPLCによる純度の測定条件を以下に示す。
1.68(4H,m),1.86(3H,s),3.27(2H,q),4.00(2H,t),4.08(2H,t),4.18(2H,t),5.65(1H,m),6,05(1H,m),6.95(2H,s),7.25(1H,t),9.18(3H,br)
【0058】
[HPLCによる純度の測定条件]
分析機器:LC-30AD、SPD-M20A、及びLCMS-8050からなるLCMSシステム(島津製作所社製)
溶離液:アセトニトリル-3%酢酸水溶液(1:19→17:3(v/v)、40分間かけてグラジエント)
流速:0.2mL/min
カラム:L-column2 ODS.2μm(3.0×100mm)(化学物質評価研究機構社製)
カラム温度:40℃
試料:約100ppmTHF溶液2.0μL
検出波長:294nm
【0059】
【0060】
(実施例2)
前記式(1-1)で表される化合物29部を1,2-ジメトキシエタン60部に懸濁させた後、85℃に加熱した。2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.6部(前記式(1-1)で表される化合物に対して2.8モル%)、及び1,2-ジメトキシエタン4部を添加し、95℃で140分間加熱した。その後、エタノール14部を添加し、85℃で120分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物2 65部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物2の純度(HPLC純度)は84%であった。また副生成物の含有量は4.7%であった。
【0061】
(実施例3)
前記式(1-1)で表される化合物29部を1,2-ジメトキシエタン60部に懸濁させた後、85℃に加熱した。2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23部、酢酸0.2部(前記式(1-1)で表される化合物に対して2.8モル%)、及び1,2-ジメトキシエタン4部を添加し、95℃で420分間加熱した。その後、エタノール14部を添加し、85℃で120分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物3 60部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物3の純度(HPLC純度)は79%であった。また副生成物の含有量は8.0%であった。
【0062】
(実施例4)
前記式(1-1)で表される化合物29部を1,2-ジメトキシエタン60部に懸濁させた後、85℃に加熱した。2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23部、没食子酸一水和物0.6部(前記式(1-1)で表される化合物に対して2.8モル%)、及び1,2-ジメトキシエタン4部を添加し、95℃で300分間加熱した。その後、エタノール14部を添加し、85℃で90分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物4 60部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物4の純度(HPLC純度)は79%であった。また副生成物の含有量は6.0%であった。
【0063】
(実施例5)
前記式(1-1)で表される化合物29部を1,2-ジメトキシエタン60部に懸濁させた後、92℃に加熱した。2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23部、ジメチルカルバモイルクロリド0.4部(下記式(1-1)で表される化合物に対して2.8モル%)、及び1,2-ジメトキシエタン4部を添加し、95℃で270分間加熱した。その後、エタノール14部を添加し、85℃で90分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物5 64部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物5の純度(HPLC純度)は83%であった。また副生成物の含有量は6.2%であった。
【0064】
(比較例1)
前記式(1-1)で表される化合物29部をテトラヒドロフラン48部に懸濁させた後、ジブチルスズジラウレート(商品名「KS-1260」、堺化学工業社製、1%トルエン溶液)1.8部、及び2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート18部を添加した。テトラヒドロフラン80部を適宜追加しながら60℃で1,110分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物6 65部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物6の純度(HPLC純度)は39%であった。また副生成物の含有量は32%であった。
【0065】
(比較例2)
前記式(1-1)で表される化合物29部をテトラヒドロフラン42部に懸濁させた後、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)(商品名「ネオスタンU-600」、日東化成社製、1%トルエン溶液)0.8部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート18部、及びテトラヒドロフラン6部を添加し、60℃で1,380分間加熱した。冷却後、減圧乾燥して、前記式(2-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物7 55部を得た。HPLCにより測定した重合性化合物7の純度(HPLC純度)は41%であった。また副生成物の含有量は27%であった。
【0066】
得られた重合性化合物をまとめて表1に示す。
【0067】
【0068】
<接着・粘着層形成用組成物の製造>
(製造例1)
UV硬化型ウレタンアクリレート(UV-3700B)(商品名「紫光UV-3700B」、三菱ケミカル社製)50部、重合開始剤(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO))5部、アクリルモノマー(アクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFA))49部、及び重合性化合物1 1部を混合して、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0069】
(製造例2、参考例1)
表2に示す配合としたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0070】
【0071】
<接着・粘着層形成用組成物の評価>
(OCR評価(接着力の評価))
製造した塗料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの易接着面に塗工して塗工層を形成した。PETフィルム、アルミニウム板、及びガラスを形成した塗工層上にそれぞれ載置してラミネートした。UV照射して塗工層を硬化させた後、切断加工して短冊状の試験片を得、1日間放置後に剥離強度を測定した。参考例1の塗料を用いて得た試験片の剥離強度を「100(%)」とし、各試験片の接着力を相対的に評価した。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表3に示す。
◎:200%以上
○:100%以上200%未満
×:100%未満
【0072】
(OCA評価(粘着力の評価))
製造した塗料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの易接着面に塗工して塗工層を形成した。シリコーン処理済PETフィルムを形成した塗工層上に載置してラミネートした後、UV照射して塗工層を硬化させた。1日後にシリコーン処理済PETフィルムを剥離して除去した後、露出した硬化層(粘着層)上にPETフィルム、アルミニウム板、及びガラスをそれぞれ載置して圧着した。切断加工して短冊状の試験片を得、1日間放置後に剥離強度を測定した。参考例1の塗料を用いて得た試験片の剥離強度を「100(%)」とし、各試験片の粘着力を相対的に評価した。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表3に示す。
◎:200%以上
○:100%以上200%未満
×:100%未満
【0073】