(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】情報処理装置およびゲーム画像表示方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/497 20140101AFI20250213BHJP
A63F 13/52 20140101ALI20250213BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20250213BHJP
A63F 13/803 20140101ALI20250213BHJP
G06T 13/80 20110101ALI20250213BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20250213BHJP
【FI】
A63F13/497
A63F13/52
A63F13/53
A63F13/803
G06T13/80 C
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2023522129
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2021019204
(87)【国際公開番号】W WO2022244199
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】平川 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 久貴
(72)【発明者】
【氏名】土屋 桃子
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】王 海涛
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-320164(JP,A)
【文献】特開2000-153069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0256447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
G06T 13/80
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行して、ゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成するゲーム実行部と、
過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを記録する記録部と、
前記ゲーム画像を解析して、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定するための開始画像を検出する画像解析部と、
前記ゲーム実行部が生成する前記ゲーム画像に、前記動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳する表示処理部と、を備え、
前記表示処理部は、
前記画像解析部が前記開始画像を検出したタイミングから、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定して、決定したタイミングで前記動画像データの再生を開始する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像解析部は、前記ゲーム画像を解析して、ユーザが操作するゲームキャラクタが所定のチェックポイントを通過したことを検出する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザが操作するゲームキャラクタがチェックポイントを通過した時間を取得する時間計測部を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記録部は、前記動画像データに関連付けられたチェックポイントの通過時間を記録しており、
前記時間計測部は、ユーザが操作するゲームキャラクタがチェックポイントを通過した時間と、前記動画像データに関連付けられたチェックポイントの通過時間との時間差を計算し、
前記表示処理部は、前記ゲーム画像に、計算された時間差を示す情報を重畳する、
ことを特徴とする請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行して、ゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成するステップと、
過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを記録するステップと、
前記ゲーム画像を解析して、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定するための開始画像を検出するステップと、
前記開始画像を検出したタイミングから、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定するステップと、
決定したタイミングで前記動画像データの再生を開始して、前記ゲーム画像に、前記動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳するステップと、
を有するゲーム画像表示方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行して、ゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成する機能と、
過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを記録する機能と、
前記ゲーム画像を解析して、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定するための開始画像を検出する機能と、
前記開始画像を検出したタイミングから、前記動画像データの再生を開始するタイミングを決定する機能と、
決定したタイミングで前記動画像データの再生を開始して、前記ゲーム画像に、前記動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザがプレイしているゲームの画像に、過去に操作されたゲームキャラクタの画像を重畳する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、ユーザが、過去に操作されたゲームキャラクタの制御情報に基づくゴーストキャラクタと競争できるゲームが流通している。ゲームが、ユーザが操作するゲームキャラクタの制御情報と、過去に操作されたゲームキャラクタの制御情報とを同期して処理することで、ユーザが、ゴーストキャラクタとの競争を楽しむことができる。過去のゲームキャラクタの制御情報は、たとえば自分やフレンドがプレイしたときの制御情報であってもよいし、世界ランカーがプレイしたときの制御情報であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらゲームが、ゴーストキャラクタの制御情報の処理に対応していなければ、ユーザは、ゴーストキャラクタとの競争を楽しむことができない。そこで、ゴーストキャラクタの制御に対応していないゲームにおいても、ユーザが、擬似的にゴーストキャラクタと競争できる仕組みを提供できることが好ましい。
【0004】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゲーム画像に、過去に操作されたゲームキャラクタの画像を重畳する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理装置は、ユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行して、ゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成するゲーム実行部と、過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを記録する記録部と、ゲーム実行部が生成するゲーム画像に、動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳する表示処理部と、を備える。
【0006】
本開示の別の態様のゲーム画像表示方法は、ユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行して、ゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成するステップと、過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを記録するステップと、ゲーム画像に、動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳するステップと、を有する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体、データ構造などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例にかかる情報処理システムを示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
【
図5】ゲーム画像に重畳されるシステム画像の例を示す図である。
【
図6】ゲーム画像に重畳されるシステム画像の別の例を示す図である。
【
図7】ゴーストキャラクタとの対戦画面の例を示す図である。
【
図8】レーススタートまでのカウントダウンが開始されたシーンを示す図である。
【
図9】レースがスタートしたシーンを示す図である。
【
図10】ユーザのゲームキャラクタがチェックポイントに到達したシーンを示す図である。
【
図11】ユーザのゲームキャラクタがゴールしたシーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の実施例にかかる情報処理システム1を示す。情報処理システム1は、情報処理装置10と、サーバ装置12とを備える。アクセスポイント(AP)8は無線アクセスポイントおよびルータの機能を有し、情報処理装置10はAP8を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワーク3に接続して、サーバ装置12と通信可能に接続する。
【0010】
情報処理装置10は、ユーザが操作する入力装置6と無線または有線で接続し、入力装置6はユーザの操作情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10はユーザの操作情報をシステムソフトウェアやゲームの処理に反映し、出力装置4から処理結果を出力する。実施例の情報処理装置10はゲームを実行するゲーム装置やパーソナルコンピュータなどの端末装置であり、入力装置6はゲームコントローラなど、情報処理装置10に対してユーザの操作情報を供給する機器であってよい。
【0011】
入力装置6は複数のプッシュ式の操作ボタンや、アナログ量を入力できるアナログスティック、回動式ボタンなどの複数の入力部を有して構成される。撮像装置であるカメラ7は出力装置4の近傍に設けられ、出力装置4周辺の空間を撮像する。
図1ではカメラ7が出力装置4の上部に取り付けられている例を示しているが、出力装置4の側方に配置されてもよく、いずれにしても出力装置4の前方でゲームをプレイするユーザを撮像できる位置に配置される。カメラ7は、ステレオカメラであってよい。
【0012】
補助記憶装置2はHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)などの大容量記憶装置であり、内蔵型記憶装置であってよく、またUSB(Universal Serial Bus)などによって情報処理装置10と接続する外部記憶装置であってもよい。出力装置4は画像を出力するディスプレイおよび音声を出力するスピーカを有するテレビであってよく、またヘッドマウントディスプレイであってもよい。出力装置4は、情報処理装置10に有線ケーブルで接続されてよく、無線接続されてもよい。
【0013】
サーバ装置12は、情報処理システム1のユーザに対してネットワークサービスを提供する。サーバ装置12は、ユーザを識別するネットワークアカウントを管理しており、ユーザは、ネットワークアカウントを用いて、サーバ装置12が提供するネットワークサービスにサインインする。ユーザは情報処理装置10からネットワークサービスにサインインすることで、サーバ装置12に、ゲームのセーブデータや、またゲームプレイ中に獲得した仮想的な褒賞であるトロフィを登録できる。
【0014】
実施例の情報処理システム1において、サーバ装置12は、過去のゲーム動画からゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを生成して、情報処理装置10に提供する機能をもつ。情報処理装置10は、ユーザがプレイしているゲームの画像に、動画像データに含まれるゲームキャラクタ画像を重畳して表示することで、ユーザは、ゴーストキャラクタとの擬似的な対戦を楽しむことができる。サーバ装置12は、動画像データとともに、動画像データに関連付けられたデータ、たとえば1つ以上のチェックポイントの通過時間を示すデータを情報処理装置10に提供してもよい。
【0015】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示す。情報処理装置10は、メイン電源ボタン20、電源ON用LED21、スタンバイ用LED22、システムコントローラ24、クロック26、デバイスコントローラ30、メディアドライブ32、USBモジュール34、フラッシュメモリ36、無線通信モジュール38、有線通信モジュール40、サブシステム50およびメインシステム60を有して構成される。
【0016】
メインシステム60は、メインCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるメモリおよびメモリコントローラ、GPU(Graphics Processing Unit)などを備える。GPUはゲームプログラムの演算処理に主として利用される。メインCPUはシステムソフトウェアを起動し、システムソフトウェアが提供する環境下において、補助記憶装置2にインストールされたゲームプログラムを実行する機能をもつ。サブシステム50は、サブCPU、主記憶装置であるメモリおよびメモリコントローラなどを備え、GPUを備えない。
【0017】
メインCPUは補助記憶装置2にインストールされているゲームプログラムを実行する機能をもつ一方で、サブCPUはそのような機能をもたない。しかしながらサブCPUは補助記憶装置2にアクセスする機能や、サーバ装置12との間でデータを送受信する機能を有している。サブCPUは、このような制限された処理機能のみを有して構成されており、したがってメインCPUと比較して小さい消費電力で動作できる。これらのサブCPUの機能は、メインCPUがスタンバイ状態にある際に実行される。
【0018】
メイン電源ボタン20は、ユーザからの操作入力が行われる入力部であって、情報処理装置10の筐体の前面に設けられ、情報処理装置10のメインシステム60への電源供給をオンまたはオフするために操作される。電源ON用LED21は、メイン電源ボタン20がオンされたときに点灯し、スタンバイ用LED22は、メイン電源ボタン20がオフされたときに点灯する。システムコントローラ24は、ユーザによるメイン電源ボタン20の押下を検出する。
【0019】
クロック26はリアルタイムクロックであって、現在の日時情報を生成し、システムコントローラ24やサブシステム50およびメインシステム60に供給する。
【0020】
デバイスコントローラ30は、サウスブリッジのようにデバイス間の情報の受け渡しを実行するLSI(Large-Scale Integrated Circuit)として構成される。図示のように、デバイスコントローラ30には、システムコントローラ24、メディアドライブ32、USBモジュール34、フラッシュメモリ36、無線通信モジュール38、有線通信モジュール40、サブシステム50およびメインシステム60などのデバイスが接続される。デバイスコントローラ30は、それぞれのデバイスの電気特性の違いやデータ転送速度の差を吸収し、データ転送のタイミングを制御する。
【0021】
メディアドライブ32は、ゲームなどのアプリケーションソフトウェア、およびライセンス情報を記録したROM媒体44を装着して駆動し、ROM媒体44からプログラムやデータなどを読み出すドライブ装置である。ROM媒体44は、光ディスクや光磁気ディスク、ブルーレイディスクなどの読出専用の記録メディアである。
【0022】
USBモジュール34は、外部機器とUSBケーブルで接続するモジュールである。USBモジュール34は補助記憶装置2およびカメラ7とUSBケーブルで接続してもよい。フラッシュメモリ36は、内部ストレージを構成する補助記憶装置である。無線通信モジュール38は、Bluetooth(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどの通信プロトコルで、たとえば入力装置6と無線通信する。有線通信モジュール40は、外部機器と有線通信し、たとえばAP8を介してネットワーク3に接続する。
【0023】
図3は、情報処理装置10の機能ブロックを示す。情報処理装置10は、処理部100、通信部102および受付部104を備える。処理部100は、ゲーム実行部110、システム画像生成部112、データ取得部114、画像解析部120、時間計測部122、表示処理部130および記録部140を備える。
【0024】
図3において情報処理装置10のさまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたゲームソフトウェアやシステムソフトウェアなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0025】
記録部140は、補助記憶装置2またはフラッシュメモリ36により構成されて、ゲームソフトウェア142を記録する。ゲームソフトウェア142は少なくともゲームプログラム、ゲームを構成する画像データおよび音声データを含む。ゲームプログラムは、仮想空間においてゲームキャラクタを動かす演算処理を行う。実施例においてゲームキャラクタは、ユーザが操作する対象となるゲームオブジェクトを意味し、仮想的な人物や動物だけでなく、乗り物なども含む。
【0026】
ゲーム実行部110は、入力装置6のユーザ操作にもとづいてゲームプログラムを実行する。ゲーム実行部110は、レンダリング処理などを実行するGPUを有し、ユーザが操作するゲームキャラクタを含むゲーム画像を生成する。ゲーム実行部110はゲーム音声も生成するが、以下の説明において、ゲーム音声の処理については省略する。
【0027】
図4は、出力装置4に表示されるゲーム画像の例を示す。ユーザが、複数のゲームのアイコン画像を並べたメニュー画面において、ゲームタイトル“ABCカーレース”を選択すると、ゲーム実行部110は、ゲームタイトル“ABCカーレース”のゲームソフトウェア142を実行して、ゲームキャラクタ80を含むゲーム画像を生成する。ゲーム実行部110は、生成したゲーム画像を表示処理部130に供給し、表示処理部130は、ゲーム画像を出力装置4に表示する。
【0028】
ゲームソフトウェア142は、過去に操作されたゲームキャラクタの制御情報に基づいてゴーストキャラクタをゲーム中で動かす機能を有していない。そこで実施例の情報処理装置10においては、システムソフトウェアが、ゴーストキャラクタをゲーム画像に重畳表示させて、ユーザが、擬似的にゴーストキャラクタと対戦できるようにする。
【0029】
入力装置6の所定のボタン(たとえばホームボタン)が操作されると、受付部104が、システム画像の表示操作として受け付け、システム画像生成部112が、ユーザが操作可能なシステム画像を生成する。システム画像生成部112は、システムソフトウェアにより実現される。システム画像生成部112は、生成したシステム画像を表示処理部130に供給し、表示処理部130は、システム画像をゲーム画像に重畳して、出力装置4に表示する。
【0030】
図5は、ゲーム画像に重畳されるシステム画像の例を示す。システム画像生成部112は、カード形状のGUI要素を含むシステム画像70aを生成し、表示処理部130は、システム画像70aをゲーム画像に重畳して、出力装置4に表示する。システム画像70aは、ゲームタイトル“ABCカーレース”に関する情報を含んで構成される。この例では、最速タイムをもつフレンドのトップ3が、その最速タイムとともに表示されており、ユーザ本人の最速タイムは2位にランキングされている。システム画像生成部112は、これらの情報をサーバ装置12から取得する。システム画像70aで、ユーザが“Play Against Rival”の項目を選択すると、受付部104は、当該項目の選択操作を受け付け、システム画像生成部112は、ゴーストプレイヤを選択するためのシステム画像を生成する。
【0031】
図6は、ゲーム画像に重畳されるシステム画像の別の例を示す。システム画像生成部112は、ゴーストプレイヤを選択するためのシステム画像70bを生成し、表示処理部130は、システム画像70bをゲーム画像に重畳して、出力装置4に表示する。システム画像70bは、ユーザの対戦相手となるゴーストプレイヤの選択肢を含んで構成される。
図6に示す例では、世界記録保持者である“Smith”と、フレンドの中で最速タイムをもつ“Tatsuya”と、ユーザ自身とが、ゴーストプレイヤの選択肢として表示されている。実施例でユーザは“Tatsuya”を選択する。
【0032】
受付部104が、“Tatsuya”の選択操作を受け付けると、データ取得部114は、サーバ装置12にアクセスして、“Tatsuya”がABCカーレースで最速タイム“01:15:12”を出したときの動画像データおよび当該動画像データに関連付けられた通過時間データと、チェックポイント特定画像を取得する。データ取得部114は、取得した動画像データ144、通過時間データ146およびチェックポイント特定画像148を、記録部140に記録する。
【0033】
情報処理システム1において、サーバ装置12は、複数のユーザから、過去のゲーム動画を提供される。サーバ装置12は、複数のユーザから提供されたゲーム動画を配信する配信サーバとして機能してよい。ユーザは、サーバ装置12にアクセスして、様々なユーザから投稿されたゲーム動画を楽しむことができる。
【0034】
実施例のサーバ装置12は、配信サーバとしての機能とは別に、ユーザから提供されたゲーム動画を処理して、ゴーストプレイ用の動画像データを生成する機能をもつ。具体的にサーバ装置12は、過去のゲーム動画から、ゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データを生成して、データベースに登録する。ABCカーレースのゲーム動画の処理では、サーバ装置12は、ゲーム動画から、ゲームキャラクタである車のみを抽出した(つまり車以外の画像を削除した)動画像データを生成する。このときサーバ装置12は、ゲームキャラクタを半透明に加工してよい。動画像データの開始点は、レースがスタートするタイミングであり、終了点はゲームキャラクタがゴールしたタイミングであってよいが、後述するように別のタイミングであってもよい。
【0035】
またサーバ装置12は、ゲーム動画を解析して、ゲームキャラクタが1つ以上のチェックポイントを通過した通過時間(スタートからチェックポイントまでの経過時間)を求める。ここでチェックポイントは、ゲーム動画における特定のシーンで定義される。ABCカーレースにおいては、コースの横に配置されている所定の木や、所定の看板などが表示されるシーンなどが、チェックポイントとして定義されてよい。チェックポイントの定義は、キュレータにより手作業で行われてよい。チェックポイントを検出するための特定の画像(チェックポイント特定画像)は、ゲームに関連付けられてデータベースに登録される。
【0036】
サーバ装置12は、ゲーム動画を画像解析して、定義されたチェックポイントにおける通過時間を求める。実施例では、第1のチェックポイント、第2のチェックポイント、第3のチェックポイントが定義され、サーバ装置12は、ABCカーレースのゲーム動画を画像解析して、チェックポイント特定画像を検出し、各チェックポイントの通過時間を求める。チェックポイントが、コース横に配置された「木」に設定されている場合、サーバ装置12は、ゲーム動画の各フレームを順番に解析して、設定された「木」を最初に検出したフレームの番号にもとづいて、当該チェックポイントの通過時間を求める。サーバ装置12は、半透明のゲームキャラクタ画像を抽出した動画像データに関連付けて、各チェックポイントの通過時間を示す通過時間データを、データベースに登録する。
【0037】
サーバ装置12は、情報処理装置10から、動画像データおよび当該動画像データに関連付けられた通過時間データの取得要求を受け付ける。上記の例では、サーバ装置12は、“Tatsuya”が最速タイム“01:15:12”を出したときの動画像データおよび通過時間データの取得要求を受け付ける。サーバ装置12は、データベースから、該当する動画像データおよび通過時間データと、ABCカーレースのチェックポイント特定画像とを読み出し、情報処理装置10に送信する。
【0038】
このようにしてデータ取得部114は、サーバ装置12から、“Tatsuya”が最速タイム“01:15:12”を出したときの動画像データ144および通過時間データ146と、チェックポイント特定画像148とを取得し、記録部140に記録する。
【0039】
図7は、ゴーストキャラクタとの対戦画面の例を示す。表示処理部130は、記録部140から動画像データ144を読み出して、ゲーム実行部110が生成するゲーム画像に、動画像データ144に含まれるゲームキャラクタ画像を重畳する。
図7には、ゴーストキャラクタ82がゲーム画像に重ねて表示されている様子が示される。このゴーストキャラクタ82は、動画像データ144の開始フレーム(つまりレースがスタートするタイミングのフレーム)に含まれたゲームキャラクタ画像であり、この時点では、動画像データ144の再生は開始されない。動画像データ144において、ゴーストキャラクタ82が半透明にされていることで、ユーザは、ゴーストキャラクタ82が対戦相手のゲームキャラクタであることを容易に認識できる。
【0040】
表示処理部130は、画面左側に、ゴーストプレイヤである“Tatsuya”のチェックポイント通過時間を示す通過時間表示領域90を設ける。表示処理部130は、通過時間表示領域90を設けたことで、ゲーム画像を表示する領域を縮小する。なお通過時間表示領域90は、ゲーム画像に重畳表示されてもよく、その場合は、ゲーム画像の表示領域は縮小しなくてよい。
【0041】
表示処理部130は、記録部140から通過時間データ146を読み出して、通過時間表示領域90にチェックポイントの通過時間を表示する。実施例では、通過時間表示領域90に、“Tatsuya”による第1チェックポイント、第2チェックポイント、第3チェックポイントの通過時間と、フィニッシュタイムが表示されている。
【0042】
図8は、レーススタートまでのカウントダウンが開始されたシーンを示す。ABCカーレースでは、レース開始前に、「3」、「2」、「1」、「GO」のカウントダウン表示が行われる。画像解析部120は、ゲーム実行部110が生成するゲーム画像を画像解析して、動画像データ144の再生を開始するタイミングを決定するための開始画像を検出する。
【0043】
画像解析部120は、ゲーム実行部110が生成するフレーム画像を解析して、カウントダウン表示の「3」を検出する。カウントダウン表示の「3」は、3秒後にレースが開始されることを示し、動画像データ144の再生を開始するタイミングを決定するための開始画像となる。画像解析部120は、ゲーム画像内に「3」を検出すると、「3」を検出したことを表示処理部130に通知する。表示処理部130は、画像解析部120が開始画像を検出したタイミングから、動画像データ144の再生を開始するタイミングを決定する。開始画像がカウントダウン表示の「3」である場合、動画像データ144の再生を開始するタイミングは、画像解析部120が「3」を検出してから3秒後となる。
【0044】
なお実施例では、カウントダウン表示の「3」を開始画像としたが、カウントダウン表示の「2」や「1」を開始画像に設定してもよい。表示処理部130は、動画像データ144の再生を開始するタイミングを決定し、決定したタイミングで動画像データ144の再生を開始する。
【0045】
なお実施例において、サーバ装置12は、レースがスタートするタイミングを開始点とする動画像データ144を生成しているが、たとえばカウントダウン表示の「3」が表示されるタイミングを開始点とする動画像データ144を生成してもよい。動画像データ144の開始点がカウントダウン表示の「3」が表示されたタイミングに設定されている場合、表示処理部130は、画像解析部120がカウントダウン表示の「3」を検出したタイミングを、動画像データ144の再生を開始するタイミングとして決定して、画像解析部120から「3」を検出したことが通知されると、ただちに動画像データ144の再生を開始してよい。
【0046】
図9は、レースがスタートしたシーンを示す。レースがスタートすると、ユーザは、入力装置6を用いて、ゲームキャラクタ80を操作する。同時に表示処理部130は、動画像データ144の再生を開始して、ゲーム実行部110が生成するゲーム画像に、半透明のゴーストキャラクタ82を重畳表示する。ユーザは、半透明のゴーストキャラクタ82を見ることで、“Tatsuya”との擬似的な対戦を楽しむことができる。通過時間表示領域90の下欄には、レーススタートからの経過時間を示すタイム表示領域92が表示される。
【0047】
図10は、ユーザのゲームキャラクタ80が第1チェックポイントに到達したシーンを示す。画像解析部120は、ゲーム実行部110が生成するフレーム画像を解析して、フレーム画像にチェックポイント特定画像148が含まれているか否かを確認する。レースコースにおいて、第1チェックポイント、第2チェックポイント、第3チェックポイントは、この順番で現れるため、画像解析部120は、第1チェックポイントを特定するための画像(第1チェックポイント特定画像148a)がフレーム画像に含まれているか否かを確認する。ここで第1チェックポイント特定画像148aは、レースコースの右側に配置された「木」の画像である。
【0048】
画像解析部120は、ゲーム画像を画像解析して、第1チェックポイント特定画像148aが含まれていることを確認すると、ユーザが操作するゲームキャラクタ80が第1チェックポイントを通過したことを検出する。第1チェックポイントの通過が検出されると、時間計測部122は、ゲームキャラクタ80が第1チェックポイントを通過した時間を取得する。
図10に示す例で、時間計測部122は、ゲームキャラクタ80が“00:16:02”に第1チェックポイントを通過したことを計測する。
【0049】
時間計測部122は、記録部140に記録された通過時間データ146を参照して、ユーザが操作するゲームキャラクタ80が第1チェックポイントを通過した時間と、動画像データ144に関連付けられた通過時間データ146に含まれる第1チェックポイントの通過時間との時間差を計算する。ここで、通過時間データ146に含まれる第1チェックポイントの通過時間は“00:15:21”であるため、時間計測部122は、第1チェックポイントにおける時間差を“+00:00:81”と算出する。なお時間差における“+”は、ゲームキャラクタ80がゴーストキャラクタ82より遅いことを、時間差における“-”は、ゲームキャラクタ80がゴーストキャラクタ82より速いことを表現する。時間計測部122は、計算した時間差を表示処理部130に提供し、表示処理部130は、ゲーム画像に、計算された時間差に関する情報を重畳する。ユーザは時間差情報150を見ることで、ゴーストキャラクタ82に対して先行しているか、または遅れているかを確認できる。なお時間計測部122は、通過時間表示領域90に、第1チェックポイントにおける時間差を表示してよい。
【0050】
続く第2チェックポイント、第3チェックポイントに関しても、画像解析部120は、ゲーム画像を画像解析して、第2チェックポイント特定画像、第3チェックポイント画像を検出し、時間計測部122は、各チェックポイントにおける時間差を計算する。表示処理部130は、ゲームキャラクタ80がチェックポイントに到達するたびに、時間差情報150をゲーム画像に重畳して表示し、これによりユーザは、ゴーストキャラクタ82に対して先行しているか、または遅れているかを、チェックポイントごとに確認できる。
【0051】
図11は、ユーザのゲームキャラクタ80がゴールしたシーンを示す。画像解析部120は、ゲーム実行部110が生成するフレーム画像を解析して、ゲーム画像に「FINISH」が含まれていることを検出すると、レースの終了を判断し、時間計測部122および表示処理部130に通知する。時間計測部122は、タイマのカウントアップを停止して、フィニッシュタイムを求め、表示処理部130に通知する。表示処理部130は、レースの終了通知を受け取ると、動画像データ144の再生を終了して、ゴーストキャラクタ82の重畳表示を終了する。また表示処理部130は、フィニッシュタイムの通知を受けると、タイム表示領域92にフィニッシュタイムを表示する。なおフィニッシュタイムは、ゲームが把握しているため、ゲーム実行部110から提供されてもよい。
【0052】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
実施例では、レースの開始タイミングを、カウントダウン表示の「3」を検出することで決定し、レースの終了タイミングを、“FINISH”を検出することで決定している。カウントダウン表示の「3」や、“FINISH”の画像は、チェックポイント特定画像148に含まれていてよく、画像解析部120が、チェックポイント特定画像148を参照して、画像解析を実施してもよい。
【0054】
またゲーム進行において、ゲームキャラクタ80が、たとえばコースアウトしたり、クラッシュする等により、ゴールできないこともある。その場合には、ゴールできないときに表示される画像をチェックポイント特定画像148として登録しておき、画像解析部120が、当該画像を検出することで、表示処理部130が、動画像データ144の再生を強制終了してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、ユーザがプレイしているゲームの画像に、過去に操作されたゲームキャラクタの画像を重畳する技術分野に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・情報処理システム、10・・・情報処理装置、12・・・サーバ装置、100・・・処理部、102・・・通信部、104・・・受付部、110・・・ゲーム実行部、112・・・システム画像生成部、114・・・データ取得部、120・・・画像解析部、122・・・時間計測部、130・・・表示処理部、140・・・記録部、142・・・ゲームソフトウェア、144・・・動画像データ、146・・・通過時間データ、148・・・チェックポイント特定画像。