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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】高規格無方向性ケイ素鋼帯の生産方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 8/12 20060101AFI20250213BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20250213BHJP
   C22C 38/50 20060101ALI20250213BHJP
   C21C 1/02 20060101ALI20250213BHJP
   C21C 5/28 20060101ALI20250213BHJP
   C21C 7/10 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
C21D8/12 A
C22C38/00 303U
C22C38/50
C21C1/02 101
C21C5/28 Z
C21C7/10 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023532616
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2021107028
(87)【国際公開番号】W WO2022127104
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】202011486898.X
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522116856
【氏名又は名称】江蘇省沙鋼鋼鉄研究院有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523108810
【氏名又は名称】張家港揚子江冷軋板有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521514565
【氏名又は名称】江蘇沙鋼集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】岳 重祥
(72)【発明者】
【氏名】呉 聖傑
(72)【発明者】
【氏名】陸 佳棟
(72)【発明者】
【氏名】李 慧
【審査官】鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110592460(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112030059(CN,A)
【文献】国際公開第2013/069754(WO,A1)
【文献】特表2013-515170(JP,A)
【文献】特開2016-130360(JP,A)
【文献】特開2017-101315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0044641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 8/12, 9/46
C22C 38/00-38/60
H01F 1/12- 1/38, 1/44
C21C 1/02, 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に用いて製錬し、最終的に得られた溶鋼の化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるステップと、
2)ステップ1で得られた溶鋼を厚さ200mm以上の連鋳スラブに連続鋳造するステップと、
3)ステップ2で得られた連鋳スラブを1120~1150℃に加熱して200min以上保持した後、複数パスの粗圧延を経て厚さ40~45mmの中間スラブを得、さらに複数パスの仕上圧延、冷却、巻き取りを経て厚さ2.50±0.1mmの熱延コイルを得、ここで仕上圧延の最終圧延温度が890±15℃で、最終パスの仕上圧延の圧下量が≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量が≧50%で、巻き取り温度が650±20℃であるステップと、
4)ステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの硬質冷延コイルを得るステップと、
5)ステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH+Nの混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、ここで仕上焼鈍温度が920~980℃で、焼鈍時間が60±5sであり、そして焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て無方向性ケイ素鋼完成品を得るステップと、を含むことを特徴とする、高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項2】
得られた無方向性ケイ素鋼完成品の厚さが0.500±0.005mmで、鉄損P1.5/50が≦3.8W/kgで、磁束密度B5000が≧1.71であり、又は、
得られた無方向性ケイ素鋼完成品の厚さが0.350±0.004mmで、鉄損P1.5/50が≦3.3W/kgで、磁束密度B5000が≧1.70であることを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項3】
ステップ3では、ステップ2で得られた連鋳スラブを1130~1150℃に加熱して200min以上保持することを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項4】
ステップ3では、前記冷却の工程は、仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却であることを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項5】
前記溶銑脱硫の工程では、脱硫後の溶銑の温度が≧1320℃で且つ質量パーセントで含まれるSが≦0.0015%で、除滓率が≧98%であるように制御し、
前記転炉製錬の工程では、脱硫後の溶銑を鋼スクラップと混合して転炉内で製錬し、ここで溶鋼全体に鋼スクラップが占める質量比が20~25%であり、出鋼中に、完成品中のSnが0.015~0.035%であるように溶鋼に十分な量の錫インゴットを加え、そして出鋼が終了した後、溶鋼にスラグ面脱酸素剤を加え、
前記RH精錬の工程では、予め真空化したRH精錬炉内で、溶鋼を脱炭素処理し、続いて、完成品中のSiが1.4~1.7%で、Mnが0.7~0.95%で、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である合金化案に従って、溶鋼に超低チタンケイ素鉄及び金属マンガンを加え、溶鋼に脱硫剤を加えて深度脱硫処理を行ってから出鋼することを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項6】
酸洗の工程では、ステップ3で得られた熱延コイルを巻き解いた後、HClで3段酸洗を行い、ここで、第1段酸液濃度は50~80g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦130g/Lであり、第2段酸液濃度は90~120g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦90g/Lであり、第3段酸液濃度は140~160g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦50g/Lであり、
各段階の酸洗時に、酸液温度は75~85℃であり、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が含まれ、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が占める重量パーセントは0.05~0.10%であり、
すすぎ水の温度は45~55℃であり、酸洗とすすぎの速度は100~180mpmに制御されることを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項7】
ステップ5では、3段冷却によって仕上焼鈍後の鋼帯を冷却し、ここで、第1段の冷却は高温段の徐冷であり、鋼帯は焼鈍温度から≦5℃/sの冷却速度で850℃まで冷却され、第2段の冷却は循環ガス噴射制御冷却であり、鋼帯は≦15℃/sの冷却速度で850℃から引き続き350℃以下に冷却され、第3段の冷却は循環水噴射冷却であり、鋼帯は350℃から引き続き100℃以下に冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【請求項8】
1)溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に用いて製錬し、最終的に得られた溶鋼の化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるステップと、
2)ステップ1で得られた溶鋼を厚さ200mm以上の連鋳スラブに連続鋳造するステップと、
3)ステップ2で得られた連鋳スラブを1120~1150℃に加熱して200min以上保持した後、複数パスの粗圧延を経て厚さ40~45mmの中間スラブを得、さらに複数パスの仕上圧延、巻き取りを経て厚さ2.50±0.1mmの熱延コイルを得、ここで仕上圧延の最終圧延温度が(Ar1-40)±15℃で、Ar1がオーステナイトからフェライトへの転移温度を表し、最終パスの仕上圧延の圧下量が≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量が≧50%で、巻き取り温度が650±20℃であり、そして仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を、巻き取りの前に2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却であるステップと、
4)ステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの硬質冷延コイルを得るステップと、
5)ステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH+Nの混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、ここで仕上焼鈍温度が920~980℃で、焼鈍時間が60±5sであり、そして焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て無方向性ケイ素鋼完成品を得るステップと、を含むことを特徴とする、高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、出願日が2020年12月16日で、出願番号が202011486898.Xで、発明の名称が「高規格無方向性ケイ素鋼及びその生産方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、鉄鋼材料製造の技術分野に属し、高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無方向性ケイ素鋼は、回転磁場において動作する電動機と発電機回転子の鉄心材料であり、より低い鉄損とより高い磁束密度を含めて良好な磁気性能が要求される。各国の技術基準及び技術協定により、通常、鉄損P1.5/50が≦4.00W/kgの無方向性ケイ素鋼を高規格無方向性ケイ素鋼と呼ぶ。高規格無方向性ケイ素鋼は厚さ仕様により、主に0.35mm厚シリーズ、0.50mm厚シリーズ、特別厚仕様シリーズ及び特別薄仕様シリーズの4種類に分類される。高規格無方向性ケイ素鋼は、主に大型電機、中小型高効率電機、省エネ家電、電気自動車用電機、マイクロ電機、及び精密計器等の器械製品に応用されている。
【0004】
無方向性ケイ素鋼の化学成分のうち、Si元素は鉄損に影響を与える主要元素であり、通常、Si含有量の増大につれて、無方向性ケイ素鋼の鉄損値は減少し、つまり、高規格無方向性ケイ素鋼の化学成分は、通常、高ケイ素鋼である。しかしながら、Si含有量の増大により、オーステナイト-フェライトの相転移温度が高くなり、又は相転移がなくなるため、高規格無方向性ケイ素鋼の生産プロセスにおいて、一般に低温フェライト領域で仕上圧延と最終圧延を行い、圧延後に変形したフェライト組織は再結晶化できなくなり、変形した繊維組織が得られる。該繊維組織を含む熱延コイルをそのまま冷間圧延-仕上焼鈍を行うと、得られた完成品は結晶粒が微細で、表面に波状欠陥が発生しやすく、磁気性能に劣り、ひいては基準を満たしていないことになる。
【0005】
上記問題の既存の有効解決策としては、熱延コイルを冷間圧延する前に焼準処理を行うことであり、焼準処理によって、フェライトの変形繊維組織を再結晶化させることができ、これにより、完成品の磁気性能を高め、表面の波状欠陥を解消し、完成品の品質を向上させて高規格無方向性ケイ素鋼の生産ニーズを満たすことができる。しかしながら、焼準処理の工程が加わると、高規格無方向性ケイ素鋼の生産プロセスがより複雑で困難になるとともに、設備投資が増えて生産コストが大幅に上昇し、そのほかに、生産ラインを中・低・高の異なる規格製品に汎用的に使用することができず、汎用性に劣る。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術において高規格無方向性ケイ素鋼の生産時に焼準処理が必要であるという技術的問題を解決するために、焼準処理を必要としない高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法を提供することを目的とする。
【0007】
上記発明の目的を実現するために、本発明の一実施形態は、化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である、高規格無方向性ケイ素鋼を提供する。
【0008】
さらに、得られた無方向性ケイ素鋼完成品の厚さは0.500±0.005mmで、鉄損P1.5/50は≦3.8W/kgで、磁束密度B5000は≧1.71であり、
又は、得られた無方向性ケイ素鋼完成品の厚さは0.350±0.004mmで、鉄損P1.5/50は≦3.3W/kgで、磁束密度B5000は≧1.70である。
【0009】
上記発明の目的を実現するために、本発明の一実施形態は、
1)溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に用いて製錬し、最終的に得られた溶鋼の化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるステップと、
2)ステップ1で得られた溶鋼を厚さ200mm以上の連鋳スラブに連続鋳造するステップと、
3)ステップ2で得られた連鋳スラブを1120~1150℃に加熱して200min以上保持した後、複数パスの粗圧延を経て厚さ40~45mmの中間スラブを得、さらに複数パスの仕上圧延、冷却、巻き取りを経て厚さ2.50±0.1mmの熱延コイルを得、ここで仕上圧延の最終圧延温度が890±15℃、最終パスの仕上圧延の圧下量が≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量が≧50%、巻き取り温度が650±20℃であるステップと、
4)ステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの硬質冷延コイルを得るステップと、
5)ステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH2+N2の混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、ここで仕上焼鈍温度が920~980℃で、焼鈍時間が60±5sであり、そして焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て無方向性ケイ素鋼完成品を得るステップと、を含む、前記高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法をさらに提供する。
【0010】
好ましくは、ステップ3では、ステップ2で得られた連鋳スラブを1130~1150℃に加熱して200min以上保持する。
【0011】
好ましくは、ステップ3では、前記冷却の工程は、仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却である。
【0012】
好ましくは、前記溶銑脱硫の工程では、脱硫後の溶銑の温度が≧1320℃で且つ質量パーセントで含まれるSが≦0.0015%で、除滓率が≧98%であるように制御し、
前記転炉製錬の工程では、脱硫後の溶銑を鋼スクラップと混合して転炉内で製錬し、ここで溶鋼全体に鋼スクラップが占める質量比が20~25%であり、出鋼中に、完成品中のSnが0.015~0.035%であるように溶鋼に十分な量の錫インゴットを加え、そして出鋼が終了した後、溶鋼にスラグ面脱酸素剤を加え、
前記RH精錬の工程では、予め真空化したRH精錬炉内で、溶鋼を脱炭素処理し、続いて、完成品中のSiが1.4~1.7%で、Mnが0.7~0.95%で、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である合金化案に従って、溶鋼に超低チタンケイ素鉄及び金属マンガンを加え、7分間以上清水循環してから出鋼し、清水循環の間に溶鋼に脱硫剤を加えて深度脱硫処理を行う。
【0013】
好ましくは、酸洗の工程では、ステップ3で得られた熱延コイルを巻き解いた後、HClで3段酸洗を行い、ここで、第1段酸液濃度は50~80g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦130g/Lであり、第2段酸液濃度は90~120g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦90g/Lであり、第3段酸液濃度は140~160g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦50g/Lであり、
各段階の酸洗時に、酸液温度は75~85℃であり、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が含まれ、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が占める重量パーセントは0.05~0.10%であり、
すすぎ水の温度は45~55℃であり、酸洗とすすぎの速度は100~180mpmに制御される。
【0014】
好ましくは、ステップ5では、3段冷却によって仕上焼鈍後の鋼帯を冷却し、ここで、第1段の冷却は高温段の徐冷であり、鋼帯は焼鈍温度から≦5℃/sの冷却速度で850℃まで冷却され、第2段の冷却は循環ガス噴射制御冷却であり、鋼帯は≦15℃/sの冷却速度で850℃から引き続き350℃以下に冷却され、第3段の冷却は循環水噴射冷却であり、鋼帯は350℃から引き続き100℃以下に冷却される。
【0015】
上記発明の目的を実現するために、本発明のさらなる実施形態も、
1)溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に用いて製錬し、最終的に得られた溶鋼の化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるステップと、
2)ステップ1で得られた溶鋼を厚さ200mm以上の連鋳スラブに連続鋳造するステップと、
3)ステップ2で得られた連鋳スラブを1120~1150℃に加熱して200min以上保持した後、複数パスの粗圧延を経て厚さ40~45mmの中間スラブを得、さらに複数パスの仕上圧延、巻き取りを経て厚さ2.50±0.1mmの熱延コイルを得、ここで仕上圧延の最終圧延温度が(Ar1-40)±15℃で、Ar1がオーステナイトからフェライトへの転移温度を表し、最終パスの仕上圧延の圧下量が≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量が≧50%で、巻き取り温度が650±20℃であり、そして仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を、巻き取りの前に2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却であるステップと、
4)ステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの硬質冷延コイルを得るステップと、
5)ステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH2+N2の混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、ここで仕上焼鈍温度が920~980℃で、焼鈍時間が60±5sであり、そして焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て無方向性ケイ素鋼完成品を得るステップと、を含む、前記高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法を提供する。
【0016】
好ましくは、ステップ3では、ステップ2で得られた連鋳スラブを1130~1150℃に加熱して200min以上保持する。
【0017】
好ましくは、ステップ3では、Ar1が933℃で、仕上圧延の最終圧延温度が893±15℃である。
【0018】
好ましくは、前記溶銑脱硫の工程では、脱硫後の溶銑の温度が≧1320℃で且つ質量パーセントで含まれるSが≦0.0015%で、除滓率が≧98%であるように制御し、
前記転炉製錬の工程では、脱硫後の溶銑を鋼スクラップと混合して転炉内で製錬し、ここで溶鋼全体に鋼スクラップが占める質量比が20~25%であり、出鋼中に、完成品中のSnが0.015~0.035%であるように溶鋼に十分な量の錫インゴットを加え、そして出鋼が終了した後、溶鋼にスラグ面脱酸素剤を加え、
前記RH精錬の工程では、予め真空化したRH精錬炉内で、溶鋼を脱炭素処理し、続いて、完成品中のSiが1.4~1.7%で、Mnが0.7~0.95%で、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である合金化案に従って、溶鋼に超低チタンケイ素鉄及び金属マンガンを加え、7分間以上清水循環してから出鋼し、清水循環の間に溶鋼に脱硫剤を加えて深度脱硫処理を行う。
【0019】
好ましくは、酸洗の工程では、ステップ3で得られた熱延コイルを巻き解いた後、HClで3段酸洗を行い、ここで、第1段酸液濃度は50~80g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦130g/Lであり、第2段酸液濃度は90~120g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦90g/Lであり、第3段酸液濃度は140~160g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦50g/Lであり、
各段階の酸洗時に、酸液温度は75~85℃であり、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が含まれ、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が占める重量パーセントは0.05~0.10%であり、
すすぎ水の温度は45~55℃であり、酸洗とすすぎの速度は100~180mpmに制御される。
【0020】
好ましくは、ステップ5では、3段冷却によって仕上焼鈍後の鋼帯を冷却し、ここで、第1段の冷却は高温段の徐冷であり、鋼帯は焼鈍温度から≦5℃/sの冷却速度で850℃まで冷却され、第2段の冷却は循環ガス噴射制御冷却であり、鋼帯は≦15℃/sの冷却速度で850℃から引き続き350℃以下に冷却され、第3段の冷却は循環水噴射冷却であり、鋼帯は350℃から引き続き100℃以下に冷却される。
【0021】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0022】
(1)前記生産方法で製造された無方向性ケイ素鋼完成品について、0.50mm厚仕様の完成品は鉄損P1.5/50が≦3.8W/kgで、磁束密度B5000が≧1.71であり、0.35mm厚仕様の完成品は鉄損P1.5/50が≦3.3W/kgで、磁束密度B5000が≧1.70で、磁気性能に優れる。溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬、連鋳、熱間圧延、連続酸洗冷間圧延、焼鈍、冷却、塗装及び精整の生産ラインを使用すれば実現でき、生産ラインは中・低・高の異なる規格製品に汎用的に使用でき、高規格無方向性ケイ素鋼に対して他の工程及び機器をわざわざ追加する必要がない。冷間圧延の前に焼準処理を行う必要はなく、プロセス手順が1つ削減され、生産コストが低く、電気鋼製品のアップグレード及び電気製品のエネルギー効率向上において低コストで高規格なケイ素鋼板に対する需要を満たすことができる。
【0023】
(2)前記化学成分におけるMn、S、N等の元素を設計する上で、連鋳スラブの加熱温度(1120~1150℃)及び温度保持時間の制御を組み合わせ、これにより、生産効率が保証され、その後の仕上圧延の高温最終圧延に有利であるとともに、微細なMnSが析出する確率が下げられ、鋼中のMnS等の析出物の加熱過程での固溶が防止される。また、前記化学成分におけるMn、C、Si等の元素を設計する上で、従来技術に対してオーステナイト領域は拡大され、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1は低下し、Ar1をほぼ一定に保つことができ、さらに、粗圧延後の中間スラブの厚さを大きく制御し、仕上圧延の最終圧延温度を二相領域又は高温フェライト領域に制御することによって、高温フェライトが形成され、背景技術に記載の変形繊維組織の形成が回避され、高温フェライトは、その後の再結晶化の基礎条件を構成する。さらに、仕上圧延の最終2パスでの大きな圧下量によって、最終圧延時に形成された高温フェライトはより多くの内部貯蔵エネルギーを有するようになり、高温フェライトの再結晶化と繊維組織の除去に有利である。また、さらに巻き取り温度を低く制御し及び仕上圧延の最終2パスでの圧下量を大きく制御することによって、緻密な酸化スケールの形成を回避することもでき、その後の酸洗における酸化スケールの除去が困難になることが回避される。
【0024】
(3)焼鈍温度を高く制御することによって、熱延コイルが直接再結晶化して形成した結晶粒のサイズが小さくても、最終的に得られた無方向性ケイ素鋼完成品の磁気性能を保証することができる。また、本実施形態では焼準処理を省略したものの、連続酸洗冷間圧延ステップ及び焼鈍工程の過程に二次冷間圧延又は二次焼鈍を追加する必要がなく、生産方法全体の操作が簡単で、コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明で提供される実施例1の熱延コイルの金相顕微鏡組織写真である。
図2】本発明で提供される実施例3の熱延コイルの金相顕微鏡組織写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態は、高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法、及び前記生産方法で製造された高規格無方向性ケイ素鋼を提供する。該生産方法は、溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬、連鋳、熱間圧延、連続酸洗冷間圧延、焼鈍、冷却、塗装及び精整の工程を順に行うことを含み、連続酸洗冷間圧延の前に焼準処理を行う必要がなく、得られた無方向性ケイ素鋼は磁気性能が高く、表面に波状欠陥がなく、低コストで高規格な無方向性ケイ素鋼へのニーズを満たしている。
【0027】
本実施形態において、前記無方向性ケイ素鋼の化学成分設計案は、化学成分が質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるようなものである。
【0028】
化学成分設計案における各元素の役割を以下に説明する。
【0029】
Cについては、無方向性ケイ素鋼において、通常、Cが有害元素と認められており、Cの含有量が増加すると、完成品は結晶粒が微細になり、鉄損が高く、磁束密度が低く、そして磁気時効の問題を引き起こすことがあるため、通常、Cの含有量は低く制御するほどよいが、本実施形態において、化学成分に少量のCを含み且つCの含有量(質量パーセントで)を0.002~0.004%に制御することで、オーステナイト領域を拡大させ、生産時のCによる合金添加量の制御が困難な問題を回避することができる。
【0030】
Siは抵抗率を高め、鉄損を低減するのに有効な添加元素であるが、Siの含有量が増加すると、オーステナイト領域が減少し、Si>1.7%の場合、オーステナイト相転移がない。低鉄損を実現して高規格無方向性ケイ素鋼の獲得を保証するために、Siの含有量(質量パーセントで)は1.4~1.7%に制御される。
【0031】
Mnについては、Mnを適量添加すると、Sによる熱間脆性を抑えることができ、MnSはフェライト相よりもオーステナイトでの固溶度が低く、MnSの粗大化を促進することができ、結晶粒の成長に有利である。本実施形態において、化学成分にMnを添加し且つMnの含有量(質量パーセントで)を0.7~0.95%に制御することで、オーステナイト領域の拡大に有利であるとともに、オーステナイト-フェライト転移温度を低下させることができる。また、MnとSiは同時に増減し、両者の含有量は1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3の関係を満たし、[Mn]と[Si]はそれぞれMnとSiの含有量(質量パーセントで)を表す。本実施形態では、MnとSiの含有量関係を制御することによって、オーステナイト-フェライト転移温度(即ち本発明に記載のオーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1)はほぼ一定に保つことができ、Siの変化又はMnの変化によって大きく変動することがない。
【0032】
Sは有害元素であり、Sの増加は磁束密度の低下と鉄損の上昇を招く。本実施形態において、熱間圧延中に微細なMnSが析出すること避けるために、Sの含有量(質量パーセントで)は0.003%を超えないように制御される。
【0033】
Pは磁気性能にあまり影響を与えないが、Pの含有量を増やすことで鋼板の強度を効果的に高め、打ち抜き性を向上させることができる。本実施形態において、Si、Mnの含有量が高いため十分に高い強度が既に実現され、よって、Pをわざわざ添加する必要はない。また、RH製錬の工程における深度脱硫の実現に影響を与えないように、Pの含有量の上限は、あまり低く制御しなくてもよく、0.03%を上回らないように制御すればよい。
【0034】
Snは粒界偏析元素であり、本実施形態において、化学成分にSnを添加し且つSnの含有量(質量パーセントで)を0.015~0.035%に制御することで、不利な{111}集合組織の割合を著しく減少させることができ、焼準処理せずに完成品の磁束密度を高めるのに有利である。
【0035】
Nb、V、Ti、Mo、Cr、Ni、Cu、Nについては、これらの元素が多いほど、焼鈍過程における結晶粒の成長に不利になり、さらに無方向性ケイ素鋼の磁気性能を悪化させ、鉄損の増加と磁束密度の低下を招くため、制御可能な範囲内で含有量は低いほどよく、例えば、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%である。
【0036】
総じて言えば、本実施形態は化学成分設計において、C、Si、Mnの含有量を設計し、Siの含有量を増加させて鉄損を低減する上で、CとMnを添加してオーステナイト領域を拡大させ、Siの含有量の増加によるオーステナイト-フェライト転移温度の上昇を回避し、MnとSiの含有量関係を制御することで、オーステナイト-フェライト転移温度をほぼ一定に保ち、熱間圧延工程の制御によってフェライトの変形繊維組織を除去するための条件を作り、さらに、焼準処理過程が省略された生産プロセスを実現する。また、C、Si、Mnの含有量を設計するとともに、S及びP等の元素をも制御し、熱間圧延工程で微細なMnSが析出する確率を下げ、そしてNb、V、Ti、Mo、Cr、Ni、Cu、N、Snを制御することで、磁気性能を保証し、低鉄損と高磁束密度を実現する。
【0037】
本実施形態の前記高規格無方向性ケイ素鋼の生産方法は、以下の1)~5)の数ステップを含む。
【0038】
1)製錬ステップ
該ステップは、前記溶銑脱硫工程、前記転炉製錬工程及び前記RH精錬工程を含む。具体的には、溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に用いて前述した化学成分で製錬し、つまり、該ステップで最終的に得られた溶鋼の化学成分は質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である。
【0039】
好ましくは、前記溶銑脱硫の工程では、KR脱硫技術によって溶銑を脱硫処理し、脱硫後の溶銑の温度が≧1320℃で且つ質量パーセントで含まれるSが≦0.0015%であるように制御してもよく、つまり、該溶銑脱硫工程を経て、溶銑中のSの含有量を質量パーセントで≦0.0015%にし、脱硫後の溶銑の除滓率を≧98%に制御する。
【0040】
好ましくは、前記転炉製錬の工程では、前記溶銑脱硫工程で出鋼した鋼(つまり脱硫後の溶銑)を転炉に移し、転炉内で鋼スクラップを混合し、該脱硫後の溶銑と鋼スクラップは混合されて共に転炉内で製錬される。ここで、鋼スクラップはクリーンな鋼スクラップを用いてもよく、且つ溶鋼全体に鋼スクラップが占める質量比が20~25%である(つまり、鋼スクラップの添加量は鋼スクラップと溶銑の合計の20~25%を占める)。出鋼中に、まず溶鋼に石灰を加え、その後、完成品中のSnが0.015~0.035%であるように溶鋼に十分な量の錫インゴットを加えてもよく、出鋼が終了した後、溶鋼にスラグ面脱酸素剤を加える。
【0041】
好ましくは、前記RH精錬工程は、RH精錬炉内で実施し、脱炭素処理モードを採用し、予め真空化、脱炭素、合金化、清水循環、真空破りの順序で処理する。具体的には、予め真空化したRH精錬炉内で、溶鋼を脱炭素処理して、含まれるCの質量パーセントを制御し、その後、完成品中のSiが1.4~1.7%、で、Mnが0.7~0.95%で、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であるように合金化し、溶鋼に超低チタンケイ素鉄及び金属マンガンを加え、7分間以上清水循環してから出鋼し、ここで清水循環の間に溶鋼に脱硫剤を加えて深度脱硫処理を行う。
【0042】
前記RH精錬工程の出鋼は該製錬ステップの最終出鋼であり、その溶鋼の化学成分は質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3である。
【0043】
2)連鋳ステップ
該ステップは前記連鋳工程であり、具体的には、RH精錬工程で出鋼した鋼を連鋳設備で厚さ200mm以上の連鋳スラブとして製造し、好ましくは、厚さは200mm~230mmである。該連鋳工程の具体的な操作は、従来の実行可能な連鋳技術を用いれば実現でき、詳細な説明を省略する。
【0044】
3)熱間圧延ステップ
該ステップは前記熱間圧延工程であり、ステップ2で得られた連鋳スラブを、順に加熱、複数パスの粗圧延、複数パスの仕上圧延、冷却及び巻き取りを経て、熱延コイルを製造する。
【0045】
具体的には、ステップ2で得られた連鋳スラブをまず1120~1150℃に加熱して200min以上保持し、その後、複数パスの粗圧延を経て厚さ40~45mmの中間スラブを得、さらに、複数パスの仕上圧延、冷却及び巻き取りを経て、厚さ2.50±0.1mmの熱延コイルを得る。
【0046】
ここで、仕上圧延の最終圧延温度は(Ar1-40)±15℃で、Ar1がオーステナイトからフェライトへの転移温度を表し、最終パスの仕上圧延の圧下量は≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量は≧50%であり、巻き取り温度は650±20℃である。
【0047】
このように、前記化学成分におけるMn、S、N等の元素を設計する上で、連鋳スラブの加熱温度(1120~1150℃)及び温度保持時間の制御を組み合わせ、これにより、生産効率が保証され、その後の仕上圧延の高温最終圧延に有利であるとともに、微細なMnSが析出する確率が下げられ、鋼中のMnS等の析出物の加熱過程での固溶が防止される。また、前記化学成分におけるMn、C、Si等の元素を設計する上で、従来技術に対してオーステナイト領域は拡大され、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1は低下し、Ar1をほぼ一定に保つことができ、さらに、粗圧延後の中間スラブの厚さを大きく制御し、仕上圧延の最終圧延温度を二相領域又は高温フェライト領域に制御することによって、高温フェライトが形成され、背景技術に記載の変形繊維組織の形成が回避され、高温フェライトは、その後の再結晶化の基礎条件を構成する。さらに、仕上圧延の最終2パスでの大きな圧下量によって、最終圧延の時に形成された高温フェライトはより多くの内部貯蔵エネルギーを有するようになり、高温フェライトの再結晶化と繊維組織の除去に有利である。また、さらに巻き取り温度を低く制御し及び仕上圧延の最終2パスでの圧下量を大きく制御することによって、緻密な酸化スケールの形成を回避することもでき、その後の酸洗における酸化スケールの除去が困難になることが回避される。総じて言えば、上記した一連の制御によって、後続の冷間圧延の前に焼準処理を必要としないという目的が実現されるとともに、繊維組織がなく、且つ酸洗が困難になることがない熱延コイルが得られることが保証され、さらに、磁気性能が高く、表面に波状欠陥がない高規格無方向性ケイ素鋼が得られる。
【0048】
好ましくは、連鋳スラブの加熱温度は1130~1150℃としてもよく、つまり、ステップ2で得られた連鋳スラブをまず1130~1150℃に加熱し、それから200min以上保持する。
【0049】
好ましくは、前記化学成分におけるMn、C、Si等の元素を設計する上で、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1はほぼ930℃前後に維持され、例えば、代替的な一実施形態において、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1は933℃であり、つまり、仕上圧延の最終圧延温度は893±15℃である。別の代替的な実施形態において、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1は930℃であり、つまり、仕上圧延の最終圧延温度は890±15℃である。これにより、機器操作上の実行可能性に有利であるとともに、仕上圧延の最終圧延温度が二相領域又は高温フェライト領域に制御されることが保証され、高温フェライトが形成しやすいとともに、大結晶粒の形成に有利である。
【0050】
さらに好ましくは、該ステップにおいて、前記冷却工程では、仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却である。具体的には、最終圧延と巻き取りの間に、最終圧延の圧延機を出た直後の鋼板を、まず水冷ではなく約3~8s自然冷却してから、水冷を開始して鋼板を650±20℃の巻き取り温度まで急速冷却する。例えば、最終圧延の圧延機と巻き取り機の間の約100mの搬送ローラコンベアにおいて、鋼板は、最終圧延の圧延機に近い約30~80mのローラコンベア上で水冷を開始せずに空冷されて後方に搬送されるが、巻き取り機に近い残りの70~20mのローラコンベア上で大量の冷却水にて急速冷却される。これにより、最終圧延で得られた鋼板を高温で少なくとも3~8s維持して、再結晶化が十分に起こることを保証することができ、その後、巻き取り温度まで急速に降温することで、緻密な酸化スケールの形成を低減又は回避し、さらに、その後の酸洗における酸化スケールの除去が困難になることを回避する。
【0051】
4)連続酸洗冷間圧延ステップ
該ステップは前記連鋳工程であり、ステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの硬質冷延コイルを得る。つまり、本実施形態は、0.50mmの高規格無方向性ケイ素鋼の製造に用いることができ、0.35mmの高規格無方向性ケイ素鋼の製造に用いることもできる。
【0052】
具体的には、ステップ3で得られた熱延コイルを巻き解いた後、HClで酸洗し、すすぎ及び乾燥をした後、冷間圧延及び巻き取りを行って硬質冷延コイルを製造する。
【0053】
好ましくは、HClで3段酸洗を行う。ここで、第1段酸液濃度は50~80g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦130g/Lであり、第2段酸液濃度は90~120g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦90g/Lであり、第3段酸液濃度は140~160g/Lで且つ酸液におけるFe2+濃度が≦50g/Lであり、各段階の酸洗時に、酸液温度は75~85℃であり、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が含まれ、酸液にケイ素鋼酸洗促進剤が占める重量パーセントは0.05~0.10%であり、すすぎ水の温度は45~55℃であり、酸洗とすすぎの速度は100~180mpmに制御される。
【0054】
5)焼鈍及び後ステップ
該ステップは、前記焼鈍工程、前記冷却工程、前記塗装工程及び前記精整工程を含む。
【0055】
具体的には、ステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH+Nの混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、ここで、仕上焼鈍温度が920~980℃で、焼鈍時間が60±5sである。焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て高規格無方向性ケイ素鋼完成品を得る。
【0056】
本実施形態において、前記熱延コイル組織には繊維組織がなく、焼準処理を行う必要がない。焼鈍温度を高く制御することによって、熱延コイルが直接再結晶化して形成した結晶粒のサイズが小さくても、最終的に得られた無方向性ケイ素鋼完成品の磁気性能を保証することができる。また、本実施形態では焼準処理を省略したものの、連続酸洗冷間圧延ステップ及び焼鈍工程の過程に二次冷間圧延又は二次焼鈍を追加する必要がなく、生産方法全体の操作が簡単で、コストが低い。
【0057】
好ましくは、該ステップの前記冷却工程では、3段冷却によって仕上焼鈍後の鋼帯を冷却し、ここで、第1段の冷却は高温段の徐冷であり、鋼帯は焼鈍温度から≦5℃/sの冷却速度で850℃まで冷却され、第2段の冷却は循環ガス噴射制御冷却であり、鋼帯は≦15℃/sの冷却速度で850℃から引き続き350℃以下に冷却され、第3段の冷却は循環水噴射冷却であり、鋼帯は350℃から引き続き100℃以下に冷却される。こうして、鋼板冷却速度が遅いほど、鋼板の冷却内応力の低下により有利であるが、冷却区間が長すぎると生産コストが大幅に上昇するため、前記の3段冷却方式で温度制御冷却を行えば、低コストで鋼板の残留応力を≦50MPaに効果的に制御することができ、板形の最適化に有利である。
【0058】
焼鈍において100℃以下に冷却された鋼板に対して塗装及び精整を行う。その具体的な操作については、従来の実行可能な塗装及び精整技術を用いれば実現でき、詳細な説明を省略する。最終的に厚さが0.500±0.005mm又は0.350±0.004mmの無方向性ケイ素鋼完成品を得る。
【0059】
本実施形態において、前記無方向性ケイ素鋼完成品は、厚さが0.500±0.005mmである場合、鉄損P1.5/50が≦3.8W/kgで、磁束密度B5000が≧1.71である。前記無方向性ケイ素鋼完成品は、厚さが0.350±0.004mmである場合、鉄損P1.5/50が≦3.3W/kgで、磁束密度B5000が≧1.70である。2種類の仕様の無方向性ケイ素鋼はいずれも高規格無方向性ケイ素鋼の標準的要求を満たしている。
【0060】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0061】
(1)前記生産方法で製造された無方向性ケイ素鋼完成品は、磁気性能に優れ、その鉄損が低く且つ磁束密度が高く、0.50mm、0.35mmの2種類の仕様の高規格無方向性ケイ素鋼の要求に適している。また、冷間圧延の前に焼準処理を行う必要はなく、プロセス手順が1つ削減され、生産コストが低く、電気鋼製品のアップグレード及び電気製品のエネルギー効率向上において低コストで高規格なケイ素鋼板に対する需要を満たすことができる。
【0062】
(2)前記化学成分におけるMn、S、N等の元素を設計する上で、連鋳スラブの加熱温度(1120~1150℃)及び温度保持時間の制御を組み合わせ、これにより、生産効率が保証され、その後の仕上圧延の高温最終圧延に有利であるとともに、微細なMnSが析出する確率が下げられ、鋼中のMnS等の析出物の加熱過程での固溶が防止される。また、前記化学成分におけるMn、C、Si等の元素を設計する上で、従来技術に対してオーステナイト領域は拡大され、オーステナイトからフェライトへの転移温度Ar1は低下し、Ar1をほぼ一定に保つことができ、さらに、粗圧延後の中間スラブの厚さを大きく制御し、仕上圧延の最終圧延温度を二相領域又は高温フェライト領域に制御することによって、高温フェライトが形成され、背景技術に記載の変形繊維組織の形成が回避され、高温フェライトは、その後の再結晶化の基礎条件を構成する。さらに、仕上圧延の最終2パスでの大きな圧下量によって、最終圧延の時に形成された高温フェライトはより多くの内部貯蔵エネルギーを有するようになり、高温フェライトの再結晶化と繊維組織の除去に有利である。また、さらに巻き取り温度を低く制御し及び仕上圧延の最終2パスでの圧下量を大きく制御することによって、緻密な酸化スケールの形成を回避することもでき、その後の酸洗における酸化スケールの除去が困難になることが回避される。総じて言えば、上記した一連の制御によって、後続の冷間圧延の前に焼準処理を必要としないという目的が実現されるとともに、繊維組織がなく、且つ酸洗が困難になることがない熱延コイルが得られることが保証され、さらに、磁気性能が高く、表面に波状欠陥がない高規格無方向性ケイ素鋼が得られる。
【0063】
(3)焼鈍温度を高く制御することによって、熱延コイルが直接再結晶化して形成した結晶粒のサイズが小さくても、最終的に得られた無方向性ケイ素鋼完成品の磁気性能を保証することができる。また、本実施形態では焼準処理を省略したものの、連続酸洗冷間圧延ステップ及び焼鈍工程の過程に二次冷間圧延又は二次焼鈍を追加する必要がなく、生産方法全体の操作が簡単で、コストが低い。また、冷間圧延の難易度が下がり、冷間圧延及びその後の焼鈍における鋼帯破断のリスクが低減される。
【0064】
(4)溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬、連鋳、熱間圧延、連続酸洗冷間圧延、焼鈍、冷却、塗装及び精整の生産ラインを使用すれば実現でき、高規格無方向性ケイ素鋼について他の工程及び機器をわざわざ追加する必要がない。生産ラインは中・低・高の異なる規格製品に汎用的に使用できる。
【0065】
上記で列挙した詳細な説明は、本発明の実行可能な実施形態についての具体的な説明に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、本発明の技術的精神から逸脱しない等価な実施形態又は変更は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0066】
以下、本実施形態の有益な効果を4つの実施例によりさらに説明し、当然、この4つの実施例は本発明に含まれる多くの変形実施例の一部に過ぎず、全てではない。4つの実施例はそれぞれ無方向性ケイ素鋼を提供し、その生産方法は具体的に以下のとおりである。
【0067】
(1)製錬ステップ
実施例1~4はいずれも前述した本発明の一実施形態に従って、溶銑脱硫、転炉製錬、RH精錬を順に行い、得られた溶鋼の化学成分は質量パーセントで表1に示すとおりである。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から分かるように、実施例1~4の化学成分は質量パーセントで、C:0.002~0.004%、S≦0.003%、Si:1.4~1.7%、Mn:0.7~0.95%、P≦0.03%、Sn:0.015~0.035%、Nb≦0.004%、V≦0.004%、Ti≦0.005%、Mo≦0.004%、Cr≦0.03%、Ni≦0.03%、Cu≦0.03%、N≦0.003%であり、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ1.0≦(11×([Si]-1.4%))/(14×([Mn]-0.7%))≦1.3であることを満たす。
【0070】
(2)連鋳ステップ
実施例1~4では、いずれもステップ1で出鋼した鋼を連鋳設備で厚さ220mmの連鋳スラブとして製造する。
【0071】
(3)熱間圧延ステップ
実施例1~4では、いずれもステップ2で得られた連鋳スラブを順に加熱、複数パスの粗圧延、複数パスの仕上圧延、冷却及び巻き取りを経て、熱延コイルを製造する。
【0072】
ここで、複数パスの仕上圧延において、最終パスの仕上圧延の圧下量は≧30%で且つ最終2パスの仕上圧延の総圧下量は≧50%であり、また、仕上圧延の最終圧延で得られた鋼板を2段階で冷却し、前段冷却は水冷なしの自然徐冷で3~8s継続され、後段冷却は水冷による急速冷却である。また、粗圧延前の連鋳スラブの加熱温度、温度保持時間、複数パスの粗圧延を経て得られた中間スラブの厚さ、仕上圧延の最終圧延温度、巻き取り温度及び熱延コイルの厚さはそれぞれ表2に示すとおりである。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例1~4で得られた熱延コイルに対して金相の顕微鏡組織検出を行い、図1図2は、それぞれ実施例1と実施例3の金相顕微鏡組織写真を選択して模式的に示した。検出した結果、実施例1~4では、仕上圧延における最終圧延後に形成された高温フェライトは、変形繊維組織を形成することなくさらに再結晶化組織を得ることができ、後続の冷間圧延の前に焼準処理を省略するための前提が作られる。
【0075】
(4)連続酸洗冷間圧延ステップ
実施例1~4では、いずれもステップ3で得られた熱延コイルを、焼準処理せずに順に巻き解き、酸洗、すすぎ、乾燥、冷間圧延及び巻き取りを行い、厚さが0.503mm、0.350mm、0.501mm、及び0.349mmの硬質冷延コイルをそれぞれ得た。また、実施例1~4における熱延コイルは、酸洗時の酸化スケール除去の難易度が低く、除去効果が理想的であり、酸化スケールが緻密で効果的に除去できない異常がない。
【0076】
(5)焼鈍及び後ステップ
実施例1~4では、いずれもステップ4で得られた硬質冷延コイルを、連続焼鈍炉を用いてH+Nの混合雰囲気中で仕上焼鈍を行い、焼鈍後の鋼帯を、冷却、塗装及び精整を経て無方向性ケイ素鋼完成品を得る。ここで、仕上焼鈍温度及び焼鈍時間はそれぞれ表3に示すとおりである。
【0077】
【表3】
【0078】
実施例1~4で得られた無方向性ケイ素鋼完成品は、いずれも表面に波状欠陥がなく、それぞれサンプリング検出が行われ、測定した磁気性能は表4に示すとおりである。
【0079】
【表4】
【0080】
上記実施例1~4から分かるように、本発明の一実施形態にて無方向性ケイ素鋼を生産すれば、生産プロセスにおいて、冷間圧延の前に焼準処理を行う必要はなく、連続酸洗冷間圧延ステップ及び焼鈍工程の過程に二次冷間圧延又は二次焼鈍を追加する必要もなく、熱延コイル表面の酸化スケールは酸洗によって除去しやすく、生産方法全体の操作が簡単で、難易度が低く、生産異常のリスクが低く、コストが低い。また、得られた無方向性ケイ素鋼完成品は表面に波状欠陥がなく、磁気性能に優れる。実施例1と実施例3に示すように、得られた完成品の厚さが0.500±0.005mmである場合、鉄損P1.5/50は≦3.8W/kgで、磁束密度B5000は≧1.71である。実施例2と実施例4に示すように、得られた完成品の厚さが0.350±0.004mmである場合、鉄損P1.5/50は≦3.3W/kgで、磁束密度B5000は≧1.70である。2種類の仕様(即ち0.50mm仕様及び0.35mm仕様)の無方向性ケイ素鋼は、いずれも高規格無方向性ケイ素鋼の標準的要求を満たしている。
【0081】
改めて説明すべきことは、該実験例1~4は本実施形態の一例に過ぎず、本実施形態は該実験例1~4に従って実施しなければならないものではなく、本実施形態の技術的趣旨を逸脱しない限り、これらの実験例とは異なる他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする点である。
図1
図2