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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】香味吸引器及びヒータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20250213BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20250213BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20250213BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20250213BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/70
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023534504
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2021026424
(87)【国際公開番号】W WO2023286193
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】松葉 凌太
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/084775(WO,A1)
【文献】特開2019-079714(JP,A)
【文献】特開平02-168590(JP,A)
【文献】特表2002-502103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/20
A24F 40/40
A24F 40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙可能物を加熱するための、主面と端面とを有するヒータを有し、
前記ヒータは、前記主面に対して直交する方向に通電されて発熱するように構成され
前記喫煙可能物を含む消費材を収容する収容部を有し、
前記ヒータは、前記収容部を取り囲むように配置され、
前記ヒータは、ヒータ要素と、前記ヒータ要素の両面に通電可能に配置される一対の電極と、を有し、
前記ヒータ要素は、前記一対の電極から、前記ヒータ要素の面に直交する方向に通電されて発熱するように構成され、
前記一対の電極の一つは、前記収容部を含む、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記ヒータは、前記喫煙可能物を取り囲むように配置される、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
前記電極はシート状であり、
前記電極の平面視において、前記電極の前記ヒータ要素に対して固定される部分は、前記電極が配置される面の前記ヒータ要素の内側に位置する、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記ヒータ要素は、導電材料と、前記導電材料を担持するように構成される多孔質体と、を含む、香味吸引器。
【請求項5】
請求項に記載された香味吸引器において、
前記多孔質体は、無機繊維で形成される、香味吸引器。
【請求項6】
請求項に記載された香味吸引器において、
前記無機繊維は、絶縁材料からなる、香味吸引器。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記導電材料は、炭素から構成される物質を含む、香味吸引器。
【請求項8】
請求項に記載された香味吸引器において、
前記導電材料は、カーボンナノチューブを含む、香味吸引器。
【請求項9】
請求項からのいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記一対の電極の少なくとも一つは、導電性接着剤を含む、香味吸引器。
【請求項10】
請求項に記載された香味吸引器において、
前記一対の電極の少なくとも一つは、前記導電性接着剤を介して前記ヒータ要素に固定される金属箔を含む、香味吸引器。
【請求項11】
請求項又は10に記載された香味吸引器において、
前記導電性接着剤に一部が接続されて、前記導電性接着剤から延在する導電要素を有する、香味吸引器。
【請求項12】
請求項から11のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記電極は、前記喫煙可能物の長さ方向において前記喫煙可能物の下流側の端部よりも下流側に延在する、香味吸引器。
【請求項13】
請求項から12のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記ヒータ要素の体積抵抗率は、0.1m・Ω以上18m・Ω以下である、香味吸引器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記ヒータは可撓性を有し、
前記ヒータの最小曲げ半径が3mm以下である、香味吸引器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
電源と、
前記一対の電極に接続され、前記電源から前記一対の電極に電力を供給するための導電部材と、を有する、香味吸引器。
【請求項16】
喫煙可能物を加熱するためのシート状のヒータの製造方法であって、
多孔質体で形成されるシートを準備し、
前記シートに導電材料含有液を含浸させて、前記シートに導電材料を担持させ、
前記導電材料を担持した前記シートの両面に導電性接着剤を塗布し、
前記シートの一方の面に前記導電性接着剤を介して電極であるチャンバを貼り付ける、ことを含む、ヒータの製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載されたヒータの製造方法において、
前記導電性接着剤を介して金属箔を前記シートの他方の面に貼り付ける、ことを含む、ヒータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器及びヒータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/084775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような外部加熱ヒータは、抵抗発熱体として導電トラックが用いられていた。従来の外部加熱ヒータには導電トラックの分布がその面内に沿って存在するので、香味発生物品(消費材)の外周を均一に加熱することが困難であった。
【0005】
本発明の目的の一つは、消費材に含まれる喫煙可能物質をより均一に加熱することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、喫煙可能物を加熱するための、主面と端面とを有するヒータを有する。前記ヒータは、前記主面に対して直交する方向に通電されて発熱するように構成される。
【0007】
第1態様によれば、ヒータの面内方向ではなく、主面に対して直交する方向に通電されて発熱するので、ヒータの面内における抵抗値を一定とすることで、通電した箇所を均一に発熱させることができる。なお、本明細書において、主面とは、端面よりも面積の大きい面であり得る。また、主面とは、ヒータの最も大きい面積を有する面、又はヒータが収容部に巻き付けられたときに収容部の外面と接触する面であり得る。
【0008】
第2態様は、第1態様において、前記ヒータは、前記喫煙可能物を取り囲むように配置される、ことを要旨とする。
【0009】
第2態様によれば、消費材の喫煙可能物を外周から均一に加熱することができる。
【0010】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、前記喫煙可能物を含む消費材を収容する収容部を有し、前記ヒータは、前記収容部を取り囲むように配置される、ことを要旨とする。
【0011】
第3態様によれば、収容部に収容された消費材の喫煙可能物を、ヒータによって外側からより均一に加熱することができる。
【0012】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記ヒータは、ヒータ要素と、前記ヒータ要素の両面に通電可能に配置される一対の電極と、を有し、前記ヒータ要素は、前記一対の電極から、前記ヒータ要素の面に直交する方向に通電されて発熱するように構成される、ことを要旨とする。
【0013】
第4態様によれば、電極が設けられたヒータ要素の領域が、ヒータ要素の面に直交する方向に通電されて発熱することができる。即ち、ヒータ要素のうち、電極が配置されている領域を加熱領域として使用することができる。なお、本明細書において「電極」とは、例えばヒータ要素に比べて抵抗が低く、ヒータにおいて発熱に対する寄与が相対的に低い部分をいうことができる。
【0014】
第5態様は、第4態様において、前記電極はシート状であり、前記電極の平面視において前記電極の前記ヒータ要素に対して固定される部分は、前記電極が配置される面の前記ヒータ要素の内側に位置する、ことを要旨とする。
【0015】
第5態様によれば、シート状の電極のヒータ要素に固定される部分が、電極の平面視において、ヒータ要素からはみ出ないように配置される。これにより、一対の電極同士がヒータ要素を越えて互いに接触することが抑制され得る。
【0016】
第6態様は、第4態様又は第5態様において、前記ヒータ要素は、導電材料と、前記導電材料を担持するように構成される多孔質体と、を含む、ことを要旨とする。
【0017】
第6態様によれば、多孔質体に導電材料を均一に分散して担持させることができるので、ヒータ要素の面内における抵抗値をより均一にすることができる。また、多孔質体に担持させる導電材料の種類又は量等を調節することで、ヒータ要素の抵抗値を容易に調整することができる。このため、所望の抵抗値を有するヒータを得ることができる。
【0018】
第7態様は、第6態様において、前記多孔質体は、無機繊維で形成される、ことを要旨とする。
【0019】
第7態様によれば、ヒータ要素が、多孔質体に導電材料を均一に分散して担持させながら、十分な耐熱性(例えば300℃以上)を有することができる。
【0020】
第8態様は、第7態様において、前記無機繊維は、絶縁材料からなる、ことを要旨とする。
【0021】
第8態様によれば、ヒータ要素の体積抵抗率が低くなりすぎることを抑制することができる。このため、ヒータ要素の面積及び厚さを比較的大きくすることができるので、より広い範囲を加熱することができるとともに頑丈なヒータが得られる。また、ヒータをより容易に製造することができる。
【0022】
第9態様は、第6態様から第8態様のいずれかにおいて、前記導電材料は、炭素から構成される物質を含む、ことを要旨とする。
【0023】
第9態様によれば、導電材料が金属材料のみから構成される場合に比べて、ヒータ要素の体積抵抗率が低くなりすぎることを抑制することができる。このため、ヒータ要素の面積及び厚さを比較的大きくすることができる。
【0024】
第10態様は、第9態様において、前記導電材料は、カーボンナノチューブを含む、ことを要旨とする。
【0025】
第10態様によれば、ヒータ要素に十分な耐熱性を付与し、カーボンナノチューブの長さや量を調整することで、ヒータ要素の体積抵抗率を容易に調整することができる。このため、ヒータ要素へ印加する電圧を大きく変更することなく、所望の加熱プロファイルに近い加熱が可能となる。
【0026】
第11態様は、第4態様から第10態様のいずれかにおいて、前記一対の電極の少なくとも一つは、導電性接着剤を含む、ことを要旨とする。
【0027】
第11態様によれば、導電性接着剤自体が電極を構成することができ、又は導電性接着剤により任意の導電部材を電極としてヒータ要素に接着することができる。また、導電性接着剤を介してヒータ要素に通電させることができるので、金属箔を用いた場合に比べて、ヒータの熱容量を下げることができる。したがって、ヒータの加熱効率を向上させることができる。
【0028】
第12態様は、第11態様において、前記一対の電極の少なくとも一つは、前記導電性接着剤を介して前記ヒータ要素に固定される金属箔を含む、ことを要旨とする。
【0029】
第12態様によれば、ヒータが金属箔に覆われるので、消費材を収容する収容部にヒータを巻き付けやすくすることができる。また、ヒータ表面の放射率が低くなり、輻射による熱損失を低減できる。
【0030】
第13態様は、第11態様又は第12態様において、前記導電性接着剤に一部が接続されて、前記導電性接着剤から延在する導電要素を有する、ことを要旨とする。
【0031】
第13態様によれば、導電要素を介して導電性接着剤及びヒータ要素に通電することができるので、金属箔を用いた場合に比べて、ヒータの熱容量を下げることができる。したがって、ヒータの加熱効率を向上させることができる。なお、導電要素の導電性接着剤と接続されている部分は、実質的に電極として機能する。即ち、本明細書における「導電要素」とは、導電性の材料のヒータ要素に対して固定(又は接着)されていない部分をいう。
【0032】
第14態様は、第4態様から第13態様のいずれかにおいて、前記電極は、前記喫煙可能物の長さ方向において前記喫煙可能物の下流側の端部よりも下流側に延在する、ことを要旨とする。
【0033】
第14態様によれば、喫煙可能物の下流側の端部をヒータによって確実に加熱することができる。したがって、喫煙可能物の下流側端部における蒸気又はエアロゾルの凝集を抑制することができるので、蒸気又はエアロゾルのデリバリ量を向上させることができる。
【0034】
第15態様は、第4態様から第14態様のいずれかにおいて、前記ヒータ要素の体積抵抗率は、0.1m・Ω以上18m・Ω以下である、ことを要旨とする。
【0035】
第15態様によれば、ヒータを、一般的に流通している消費材のサイズに応じた面積であり且つ適切な厚さにしても、ヒータ要素の抵抗を消費材の喫煙可能物を適切に加熱することができる程度にすることができる。
【0036】
第16態様は、第3態様を引用する第4態様から第15態様のいずれかにおいて、前記一対の電極の一つは、前記収容部を含む、ことを要旨とする。
【0037】
第16態様によれば、収容部を介して導電性接着剤及びヒータ要素に通電することができるので、金属箔を用いた場合に比べて、ヒータの熱容量を下げることができる。したがって、ヒータの加熱効率を向上させることができる。
【0038】
第17態様は、第1態様から第16態様のいずれかにおいて、前記ヒータは可撓性を有し、前記ヒータの最小曲げ半径が3mm以下である、ことを要旨とする。
【0039】
第17態様によれば、ヒータを、一般的に流通している消費材、又はこれを収容する収容部を取り囲むように、容易に湾曲させることができる。
【0040】
第18態様によれば、喫煙可能物を加熱するためのシート状のヒータの製造方法が提供される。このヒータの製造方法は、無機繊維で形成されるシートを準備し、前記シートに導電材料含有液を含浸させて、前記シートに導電材料を担持させ、前記導電材料を担持した前記シートに導電性接着剤を塗布する、ことを含む。
【0041】
第18態様によれば、面に対して直交する方向に通電されて発熱するヒータを製造することができる。また、このヒータによれば、多孔質体に導電材料を均一に分散して担持させることができるので、ヒータの面内における抵抗値をより均一にすることができる。また、多孔質体に担持させる導電材料の量等を調節することで、ヒータの抵抗値を容易に調整することができる。このため、所望の抵抗値を有するヒータを得ることができる。さらに、シートが無機繊維で形成される場合には、ヒータが十分な耐熱性(例えば300℃以上)を有することができる。
【0042】
第19態様は、第18態様において、前記導電性接着剤を介して金属箔を前記シートに貼り付ける、ことを含むことを要旨とする。
【0043】
第19態様によれば、ヒータが金属箔に覆われるので、消費材又は消費材を収容する収容部にヒータを巻き付けやすくすることができる。また、ヒータ表面の放射率が低くなり、輻射による熱損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の概略正面図である。
図1B】本実施形態に係る香味吸引器の概略上面図である。
図1C】本実施形態に係る香味吸引器の概略底面図である。
図2】消費材の概略側断面図である。
図3図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器の断面図である。
図4】ヒータの模式断面図である。
図5】消費材を収容した状態のチャンバの概略断面図を示す。
図6】他の実施形態に係るヒータの模式断面図である。
図7】他の実施形態に係るヒータの模式断面図である。
図8】ヒータの製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0046】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略正面図である。図1Bは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略上面図である。図1Cは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略底面図である。本明細書で説明する図面においては、説明の便宜のためにX-Y-Z直交座標系を付することがある。この座標系において、Z軸は鉛直上方を向いており、X-Y平面は香味吸引器100を水平方向に切断するように配置されており、Y軸は香味吸引器100の正面から裏面へ延出するように配置されている。Z軸は、後述する霧化部30のチャンバ50に収容される消費材の挿入方向又はチャンバ50の軸方向ということもできる。また、X軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス長手方向、又は加熱部と電源部とが並ぶ方向ということもできる。Y軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス短手方向ということもできる。X-Y平面と平行な方向は、チャンバ50の軸方向と直交する方向であり、径方向ということもできる。また、本明細書において周方向とは、消費材の挿入方向又はチャンバ50の軸方向を中心とした周方向をいう。
【0047】
本実施形態に係る香味吸引器100は、例えば、エアロゾル源及び香味源を含んだ喫煙可能物を有するスティック型の消費材を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0048】
図1Aから図1Cに示されるように、香味吸引器100は、スライドカバー90と、本体120とから構成され得る。本体120は、アウタハウジング101と、スイッチ部103と、を有する。アウタハウジング101は、香味吸引器100の最外のハウジングを構成し、ユーザの手に収まるようなサイズを有する。ユーザが香味吸引器100を使用する際は、本体120を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。アウタハウジング101は、複数の部材を組み立てることによって構成されてもよい。
【0049】
図1Bに示すように、アウタハウジング101は、消費材が挿入される開口部101aを有する。スライドカバー90は、この開口部101aを閉じるようにアウタハウジング101にスライド可能に取り付けられる。具体的には、スライドカバー90は、アウタハウジング101の開口部101aを閉じる閉位置(図1Aに示す位置)と、開口部101aを開放する開位置(図1Bに示す位置)との間を、アウタハウジング101の外表面に沿って移動可能に構成される。例えば、ユーザがスライドカバー90を手動で操作することにより、スライドカバー90を閉位置と開位置とに移動させることができる。これにより、スライドカバー90は、香味吸引器100の内部への消費材のアクセスを許可または制限することができる。
【0050】
スイッチ部103は、香味吸引器100の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、ユーザは、消費材を香味吸引器100に挿入した状態でスイッチ部103を操作することで、図示しない加熱部に図示しない電源から電力が供給され、消費材を燃焼させずに加熱することができる。なお、スイッチ部103は、アウタハウジング101の外部に設けられるスイッチを有してもよいし、アウタハウジング101の内部に位置するスイッチを有してもよい。スイッチがアウタハウジング101の内部に位置する場合、アウタハウジング101の表面のスイッチ部103を押下することで、間接的にスイッチが押下される。本実施形態では、スイッチ部103のスイッチがアウタハウジング101の内部に位置する例を説明する。
【0051】
香味吸引器100はさらに、図示しない端子を有してもよい。端子は、香味吸引器100を例えば外部電源と接続するインターフェースであり得る。香味吸引器100が備える電源が充電式バッテリである場合は、端子に外部電源を接続することで、外部電源から電源に電流を流し、電源を充電することができる。また、端子にデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器100の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る香味吸引器100で使用される消費材について説明する。図2は、消費材110の概略側断面図である。本実施形態において、香味吸引器100と消費材110とにより喫煙システムが構成され得る。図2に示す例においては、消費材110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113が省略され、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結されてもよい。筒状部材114及びその筒状部材114を覆う第2の巻紙113には、開孔Vが設けられていてもよい。開孔Vは、通常、使用者の吸引による外部からの空気の流入を促進するための孔であり、この空気の流入により喫煙可能物111から流入する成分や空気の温度を下げることができる。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消費材110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消費材110の吸口として機能する。
【0053】
喫煙可能物111は、例えばたばこ等の香味源と、エアロゾル源とを含み得る。また、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。図示の例では、消費材110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消費材110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116が省略され、筒状部材114とフィルタ部115とを互いに隣接配置されてもよい。
【0054】
次に、香味吸引器100の内部構造について説明する。図3は、図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器100の断面図である。図3においては、スライドカバー90は閉位置に位置する。図3に示すように、香味吸引器100のアウタハウジング101の内部には、インナハウジング10が収容される。インナハウジング10は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)若しくは複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、又は、アルミ等の金属で形成され得る。耐熱性や強度の観点からは、インナハウジング10はPEEKで形成されることが好ましい。しかしながら、インナハウジング10の材料は特に限定されない。インナハウジング10の内部空間には、電源部20と、霧化部30と、が設けられる。また、アウタハウジング101は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)若しくは複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、又はアルミ等の金属で形成され得る。
【0055】
電源部20は、電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、図示しないPCB(Printed Circuit board)等を介して霧化部30と電気的に接続される。これにより、電源21は、消費材110を適切に加熱するように、霧化部30に電力を供給することができる。
【0056】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50(収容部の一例に相当する)と、チャンバ50の一部を囲う加熱部40と、断熱部32と、略筒状の挿入ガイド部材34と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。チャンバ50は、耐熱性を有し、且つ熱膨張率が小さい材料で形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等の金属、PEEK等の樹脂、ガラス、又はセラミック等で形成され得る。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る。底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。
【0057】
加熱部40は、消費材110の喫煙可能物111を加熱するための後述するシート状のヒータを含む。本実施形態では、加熱部40のヒータは、消費材110の喫煙可能物111を取り囲むように配置され得る。また、本実施形態では、加熱部40のヒータは、チャンバ50を取り囲むように配置され得る。具体的には、加熱部40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。加熱部40は、さらにシート状のヒータの外側に位置する断熱部材、又はヒータ等をチャンバ50に固定する収縮チューブなどを備えてもよい。また、加熱部40は、シート状のヒータの片面又は両面を覆うポリイミド等の電気絶縁部材を有してもよい。
【0058】
加熱部40のヒータは、チャンバ50に収容された消費材110の喫煙可能物111を外側から加熱するように構成される。加熱部40のヒータは、チャンバ50の側壁の外面に設けられてもよいし、内面に設けられてもよい。
【0059】
断熱部32は、全体として略筒状であり、チャンバ50及び加熱部40を囲うように配置される。断熱部32は、例えばエアロゲルシートを含み得る。断熱部32は、チャンバ50及び加熱部40から離間するように配置され、断熱部32とチャンバ50及び加熱部40との間に空気層が形成される。挿入ガイド部材34は、例えばPEEK、PC、又はABS等の樹脂材料により形成され、閉位置にあるスライドカバー90とチャンバ50との間に設けられる。また、香味吸引器100は、断熱部32を保持するための第1保持部37及び第2保持部38を有する。第1保持部37及び第2保持部38は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーで形成することができる。図3に示すように、第1保持部37は、Z軸正方向側の断熱部32の端部を保持する。また、第2保持部38は、断熱部32のZ軸負方向側の端部を保持する。
【0060】
挿入ガイド部材34は、消費材110の挿入をガイドする機能を有する。具体的には挿入ガイド部材34は、スライドカバー90が開位置にあるときに、香味吸引器100の図1Bに示した開口部101aと連通し、消費材110を挿入ガイド部材34に挿入することで、チャンバ50への消費材110を案内する。本実施形態では、挿入ガイド部材34がチャンバ50と接触し得るので、挿入ガイド部材34は、耐熱性の観点からPEEKで形成されることが好ましい。
【0061】
香味吸引器100は、電源21と霧化部30との間をZ軸方向に延びる第1シャシー22と、電源21のスライドカバー90側を覆うように延びる第2シャシー23とを有する。第1シャシー22及び第2シャシー23は、インナハウジング10内に電源21が収容される空間を区画するように構成される。
【0062】
次に加熱部40のヒータについて詳細に説明する。図4は、ヒータの模式断面図である。上述したように、従来の外部加熱ヒータには、抵抗発熱体として導電トラックが用いられることがあり、外部加熱ヒータの面内における導電トラックの分布が原因で、消費材110を均一に加熱することが困難であった。そこで、本実施形態のヒータ41は、シート状のヒータ41の面に対して直交する方向に通電されて発熱するように構成される。具体的には、ヒータ41は、主面41aと、端面41bとを有し、主面41aに対して直交する方向に通電して発熱するように構成される。これにより、ヒータ41は、面内方向ではなく、主面41aに対して直交する方向に通電されて発熱するので、ヒータ41の面内における抵抗値を一定とすることで、通電した箇所を均一に発熱させることができる。図示の例では、ヒータ41は、平面視で略矩形状の形状を有するが、消費材110の喫煙可能物111を加熱し得る任意の形状を有し得る。
【0063】
具体的には、ヒータ41は、図4に示すように、ヒータ要素42と、ヒータ要素42の両面に通電可能に配置される一対の電極45と、を有することが好ましい。より具体的には、ヒータ要素42を介して一対の電極45が対向するように、シート状の一対の電極45がシート状のヒータ要素42の両面に配置される。言い換えれば、シート状のヒータ要素42がシート状の一対の電極45に挟み込まれるように、ヒータ要素42及び一対の電極45が積層される。ヒータ要素42の両面に電極45が配置されることにより、一方の電極45から他方の電極45に向かって、ヒータ要素42の主面41aに直交する方向に通電されて、ヒータ41が発熱する。したがって、電極45が設けられたヒータ要素42の領域が、ヒータ要素42の面に直交する方向に通電されて発熱することができる。即ち、ヒータ要素42のうち、電極45が配置されている領域を加熱領域として使用することができる。
【0064】
図4に示す例では、各々の電極45がシート状であり、ヒータ要素42と電極45とが、同一の平面形状(面積)を有しているがこれに限られない。具体的には、例えば、図4に示すように電極45が平坦である状態の電極45の平面視において、電極45のヒータ要素42に対して固定される部分は、電極45の平面視において電極45が配置される面のヒータ要素42の内側に位置してもよい。この場合、シート状の電極45のヒータ要素42に固定される部分が、電極45の平面視においてヒータ要素42からはみ出ないように配置されるので、一対の電極45同士がヒータ要素42を越えて互いに接触(短絡)することが抑制され得る。
【0065】
図4に示すように、電極45は、導電性接着剤43を含み得る。これにより、導電性接着剤43自体が電極45を構成することができ、又は導電性接着剤43により任意の導電部材(例えば図4に示す金属箔44)を電極45としてヒータ要素42に接着することができる。本実施形態では、一対の電極45の両方が導電性接着剤43を含むが、これに限らず、一対の電極45の少なくとも一つが導電性接着剤43を含んでもよい。導電性接着剤43としては、例えば、エポキシ樹脂などの有機バインダに導電フィラーが含有されたもの等、公知の導電性接着剤が使用され得る。
【0066】
図4に示すように、電極45は、金属箔44を含み得る。金属箔44は、導電性接着剤43を介してヒータ要素42に固定され得る。これにより、ヒータ41が金属箔44に覆われるので、消費材110を収容するチャンバ50にヒータ41を巻き付けやすくすることができる。また、ヒータ41の表面の放射率が低くなり、輻射による熱損失を低減できる。本実施形態では、一対の電極45の両方が金属箔44を含むが、これに限らず、一対の電極45の少なくとも一つが金属箔44を含んでもよい。また、一対の電極45のいずれも金属箔44を含まなくてもよい。この場合、一対の電極45は、それぞれ導電性接着剤43のみから構成され得る。金属箔44は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス等、低抵抗な金属材料から構成され得る。金属箔44には、図示しない導電部材(リード線)が接続され得、図3に示した電源21から電力が供給される。
【0067】
ヒータ要素42は、導電材料と、導電材料を担持するように構成される多孔質体と、を含むことが好ましい。これにより、多孔質体に導電材料を均一に分散して担持させることができるので、ヒータ要素42の面内における抵抗値をより均一にすることができる。また、多孔質体に担持させる導電材料の種類又は量等を調節することで、ヒータ要素42の抵抗値を容易に調整することができる。このため、所望の抵抗値を有するヒータ41を得ることができる。なお、導電材料を多孔質体に偏って担持させることで、ヒータ41は、面内方向において異なる抵抗値を有してもよい。これにより、ヒータ41が消費材110の所望の部分を他の部分に比べて高温に加熱することができる。
【0068】
この多孔質体は、無機繊維で形成されることが好ましい。これにより、ヒータ要素42が、多孔質体に導電材料を均一に分散して担持させながら、十分な耐熱性(例えば300℃以上)を有することができる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール等の非晶質繊維、炭素繊維、アルミナ繊維などのセラミック繊維等が使用され得る。また、無機繊維は、絶縁材料からなることが好ましい。これにより、ヒータ要素42の体積抵抗率が低くなりすぎることを抑制することができる。この場合、ヒータ要素42として適切な抵抗値を有しながら、ヒータ要素42の面積及び厚さを比較的大きくすることができるので、より広い範囲を加熱することができるとともに頑丈なヒータ41が得られる。またヒータ41をより容易に製造することができる。したがって、無機繊維としては、ガラス繊維、非晶質繊維、セラミック繊維等の絶縁材料からなる繊維を使用することが好ましい。
【0069】
多孔質体に担持される導電材料は、金属材料であってもよいが、炭素から構成される物質を含むことが好ましい。これにより、導電材料が金属材料のみから構成される場合に比べて、ヒータ要素42の体積抵抗率が低くなりすぎることを抑制することができる。このため、ヒータ要素42として適切な抵抗値を有しながら、ヒータ要素42の面積及び厚さを比較的大きくすることができるので、ヒータ41をより容易に製造することができる。また、具体的には、導電材料は、カーボンナノチューブを含むことが好ましい。これにより、ヒータ要素42に十分な耐熱性を付与し、カーボンナノチューブの長さや量を調整することで、ヒータ要素42の体積抵抗率を容易に調整することができるため、ヒータ要素42へ印加する電圧を大きく変更することなく、所望の加熱プロファイルに近い加熱が可能となる。
【0070】
図4に示すヒータ41のヒータ要素42の体積抵抗率は、0.1m・Ω以上18m・Ω以下であることが好ましい。ヒータ要素42の体積抵抗率がこの範囲であれば、ヒータ41を、一般的に流通している消費材110のサイズに応じた面積であり且つ適切な厚さにしても、ヒータ要素42の抵抗を消費材110の喫煙可能物111を適切に加熱することができる程度にすることができる。
【0071】
ヒータ41のシート面積は、例えば、100mm以上900mm以下であり得る。また、ヒータ41の抵抗値は、例えば、0.5Ω以上2.0Ω以下であり得る。ヒータ41のヒータ要素42の厚さは、例えば、0.1mm以上0.5mm以下であり得る。
【0072】
ヒータ41は可撓性を有することが好ましい。また、ヒータ41の最小曲げ半径は、3mm以下であることが好ましい。これにより、ヒータ41が、一般的に流通している消費材、又はこれを収容するチャンバ50を取り囲むように、容易に湾曲させることができる。
【0073】
図5は、消費材110を収容した状態のチャンバ50の概略断面図を示す。図示の例では、ヒータ41は、チャンバ50の外面に巻き付けられている。また、消費材110の喫煙可能物111は、チャンバ50の底部に位置する。図示のように、ヒータ41の電極45は、喫煙可能物111の長さ方向において喫煙可能物111の下流側の端部111aよりも下流側に延在することが好ましい。これにより、喫煙可能物111の下流側の端部111aをヒータ41によって確実に加熱することができる。したがって、喫煙可能物111の下流側の端部111aにおける蒸気又はエアロゾルの凝集を抑制することができるので、蒸気又はエアロゾルのデリバリ量を向上させることができる。
【0074】
図示のように、ヒータ41の電極45は、喫煙可能物111の長さ方向において喫煙可能物111の上流側の端部111bと重ならないことが好ましい。これにより、喫煙可能物111の上流側の端部111bがヒータ41によって直接的に加熱されないので、喫煙可能物111の端部11bから蒸気又はエアロゾルが生じることが抑制され得る。したがって、消費材110の先端から蒸気又はエアロゾルが漏れることが抑制され得る。
【0075】
次に、他の実施形態に係るヒータ41について説明する。図6は、他の実施形態に係るヒータ41の模式断面図である。図6に示すヒータ41は、図4に示したヒータ41に比べて、一対の電極45の一方の構造が異なる。即ち、図6に示すヒータ41の一対の電極45の一つは、金属箔44に代えて、チャンバ50を含む。ヒータ41では、ヒータ要素42の一方の面に導電性接着剤43を介して金属箔44が接着されて電極45の一つが形成され、ヒータ要素42の他方の面に導電性接着剤43を介してチャンバ50が接着されて、電極45の一つが形成され得る。この場合、チャンバ50は、ステンレス鋼等の導電性材料で形成され得る。図6に示す実施形態によれば、チャンバ50を介して導電性接着剤43及びヒータ要素42に通電することができるので、金属箔44を用いた場合に比べて、ヒータ41の熱容量を下げることができる。したがって、ヒータ41の加熱効率を向上させることができる。
【0076】
図7は、他の実施形態に係るヒータ41の模式断面図である。図7に示すヒータ41は、図4に示したヒータ41に比べて、一対の電極45の両方の構造が異なる。即ち、図7に示すヒータ41の一対の電極45の一方がチャンバ50を含み、且つ他方が金属箔44を含まない。ヒータ41では、ヒータ要素42の一方の面に導電性接着剤43が塗布されて電極45の一つが形成され、ヒータ要素42の他方の面に導電性接着剤43を介してチャンバ50が接着されて、電極45の一つが形成され得る。この場合、チャンバ50は、ステンレス鋼等の導電性材料で形成され得る。ヒータ要素42の一方の面の導電性接着剤43は、乾燥することで単独で電極45として機能し得る。図7に示す実施形態によれば、チャンバ50又は導電性接着剤43を介して導電性接着剤43及びヒータ要素42に通電することができるので、金属箔44を用いた場合に比べて、ヒータ41の熱容量を下げることができる。したがって、ヒータ41の加熱効率を向上させることができる。
【0077】
また、図7に示す例では、導電性接着剤43のみから形成される電極45に導電要素46が接続され得る。図示のように導電要素46は、導電性接着剤43に一部が接続され、導電性接着剤43からヒータ41の外部に延在する。このように、図7に示す例では導電要素46を介して導電性接着剤43及びヒータ要素42に通電することができるので、金属箔44を用いた場合に比べて、ヒータ41の熱容量を下げることができる。したがって、ヒータ41の加熱効率を向上させることができる。
【0078】
次に、図4図6、及び図7に示したヒータ41の製造方法について説明する。図8は、ヒータ41の製造方法を示すフロー図である。まず、図8に示すように、無機繊維などの多孔質体で形成されるシートを準備する(ステップS801)。無機繊維は、上述した材料で形成され得る。次に、このシートに導電材料含有液を含浸させ、導電材料を担持させる(ステップS802)。導電材料含有液は、例えば、炭素含有液であり得、より具体的にはカーボンナノチューブ分散液であり得る。そして、シートに含浸された導電材料含有液の溶媒が蒸発することで、導電材料が多孔質体に担持される。続いて、導電材料を担持したシートに、導電性接着剤43を塗布する(ステップS803)。
【0079】
さらに、例えば、導電性接着剤43を介して金属箔44をシートに貼り付けてもよい(ステップS804)。具体的には、導電性接着剤43を介して、シートの少なくとも一方の面に金属箔44を貼り付けてもよい。例えば、シートの両方の面に導電性接着剤43を介して金属箔44を貼り付けることで、図4に示したヒータ41が製造され得る。また、例えば、シートの一方の面に導電性接着剤43を介してチャンバ50を貼り付けてもよい。これにより、図7に示したヒータ41が製造され得る。さらに、例えば、シートの一方の面に導電性接着剤43を介して金属箔44を貼り付け、シートの他方の面に43を介してチャンバ50を貼り付けてもよい。これにより、図6に示したヒータ41が製造され得る。
【0080】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【符号の説明】
【0081】
41 :ヒータ
42 :ヒータ要素
43 :導電性接着剤
44 :金属箔
45 :電極
46 :導電要素
50 :チャンバ
100 :香味吸引器
110 :消費材
111 :喫煙可能物
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8