(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】消火スティック用ツインホルダ
(51)【国際特許分類】
A62C 13/76 20060101AFI20250213BHJP
A62C 13/22 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A62C13/76 Z
A62C13/22
(21)【出願番号】P 2024190790
(22)【出願日】2024-10-30
【審査請求日】2024-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599053713
【氏名又は名称】株式会社ホワイトハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 文夫
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209734807(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175061(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111686388(CN,A)
【文献】特開2015-123277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
A62D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火スティック(1)に連結可能な消火スティック用連結器具であって、
把持可能なハンドル(41)と、
前記ハンドルの一端から両翼状に張出す第1張出部材(22)及び第2張出部材(32)と、
第1張出部材の張出方向の先端に連結され、第1消火スティックを保持する第1ホルダ(21)と、
第2張出部材の張出方向の先端に連結され、第2消火スティックを保持する第2ホルダ(31)とを備える消火スティック用ツインホルダ(20)。
【請求項2】
前記消火スティックは、筒状の本体(3)と、前記本体の先端部に設置される着火剤からなる着火部(7)と、前記本体の反先端側の一端に同軸上に一体に連結される中空円筒部(15)とを備える請求項1記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項3】
前記第1及び第2張出部材は、互いに平行な平板状の上プレート(18)と下プレート(19)を備える請求項1記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項4】
前記消火スティックは、前記本体の先端部側から前記着火部及び前記本体の外側に被せられる着脱自在の筒状の保護キャップ(4)を備える請求項2記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項5】
前記消火スティックは、前記中空円筒部の反本体側の一端に着脱自在に取り付けられるエンドキャップ(6)を備える請求項2記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項6】
前記エンドキャップは、キャップ本体(9)の先端部に側薬部(10)を設ける請求項5記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項7】
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダは、前記消火スティックの円筒部(15)の外壁を節度感をもって弾性嵌合する第1嵌合部(26)及び第2嵌合部(36)を備える請求項1記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項8】
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、開口(23、33)から挿入して嵌合しやすくするテーパ面(24、34)を有する請求項7記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項9】
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、横断面円弧状の形状をしており、前記ハンドルの延びる方向と同方向に延びる内壁(25、35)は、前記消火スティック
の中空円筒部の外壁を部分的に包み込むように
、中空円筒部の外壁の周方向と軸方向に延びる面で弾性的に面接触可能な接合面(85)を有する請求項7記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項10】
前記ハンドルは、中空円筒状であり、長尺状の操作棒の一端を連結可能な係止孔(44、45)を有する請求項1記載の消火スティック用ツインホルダ。
【請求項11】
前記ハンドルは
、操作棒の延びる方向と前記消火スティックの延びる方向の傾斜角(θ)を調節可能な角度調節器取付用
の係止孔を有する請求項1に記載の消火スティック用ツインホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火スティック用ツインホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消火器は、粉末系消火器では白色の粉を噴出するものが一般に知られているが、燃焼する物品や設備に向けて使用すると、ノズルから噴出した白色の粉が物品や設備に降りかかって頑固に付着し、消火後の後処理時に白い粉を除去することが困難であった。白色の粉末を掃除機で吸引すると、フィルタを透過し、掃除機の故障を招くなどの問題を生じ、消火作業後の後処理にも悪影響を及ぼし、取扱いが困難であったり不便をきたしていた。
【0003】
この課題を解決する公知の消火器として、次の特許文献1、2が知られている。
特許文献1は、不活性ガスと消火液を混合ノズル内で混合させて微噴霧を形成して放出することで二次的な損害の少ない消火器を開示している。この消火器は、不活性ガスと消火液の混合により微噴霧を形成し、ホースを通して混合ノズルから微噴霧を放出する。レバーの操作によりガス収納部の出口に設けたシール部材を破封部材により開放して圧縮された不活性ガスをガス取出口から流出させると共に加圧ガス導入口から液収納部に導入し、不活性ガスにより加圧された消火液を吐出管の液取出口から流出させる。
【0004】
特許文献2は、加圧状態の不活性ガスにより水を霧状に噴射することで環境破壊の恐れもないウオーターミスト消火器を開示している。消火器の使用後は後処理が水処理となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-55360号公報
【文献】特開2004-135742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に広く普及している公知の消火器は、重量感のある所謂重量物であり、重量が例えば5kgもある。この種の消火器は、重量物であるため取り扱いが不便であった。重量物の消火器を手動により高所に持ち上げたり、手動で消火器を狭い空間に接近させることが困難であるため、火災発生場所が、高所又は狭い空間であった場合、所望の消火作業を行うことができなかった。
【0007】
特許文献1は、所謂縦長の容器の内部に消火液を内蔵し、消火液として、通常の水、蒸留水、純水を使用する消火器を開示している。そのため、消火に要する一定量の消火液を内蔵する消火器本体の重量を軽量にすることは困難であった。また、このような重量物となる消火器本体を片手で把持し操作することは困難であり、容器を一方の手によって支持し、ノズルを他方の手により手動操作するとなると、取り回し操作が困難になる(操作が不便となる)問題がある。
【0008】
また、特許文献2は、ノズルの向きが容器の長手方向と直交する方向に噴霧を噴射する消火器を開示している。未使用の保管時に縦長方向に容器を載置し、縦長の容器の重力方向に直交する方向にミストノズルを設ける構成であるから、使い勝手の評価基準となる操作性が悪い。
一般に、火災が起きたとき初期消火(2分以内の消火)を完結することが強く求められている。初期消火を実現することで、火災に起因する被災損失を大幅に低減することができる。そのため、初期消火を実現する手段を提供することは、世の中に最優先して求められる重要課題となっている。
【0009】
従来より標準的な構成をもつ消火器は、粉末系、水系、又はガス系消火器があるが、いずれの消火器についても、大外径の筒状の容器を縦置きに床面に載置し、容器上端の外部にノズルが設けられるか、あるいは容器の側面からホースが引き出され、ホース先端のノズルが容器の上端外壁に取り付けられているものが多い。
また従来から広く普及している粉末系、水系又はガス系の消火器は、その基本原理について長期間実質的に変更されていない。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型軽量かつ操作性の良好な消火スティックの操作性及び利便性をさらに向上する消火スティック用ツインホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の消火スティック用補助具となるツインホルダまたはそれを用いた消火器具は、把持可能なハンドル(41)と、前記ハンドルの一端から両翼状に張出す第1張出部材(22)及び第2張出部材(32)と、第1張出部材の張出方向の先端に連結され、第1消火スティックを保持する第1ホルダ(21)と、第2張出部材の張出方向の先端に連結され、第2消火スティックを保持する第2ホルダ(31)とを備える構成を採用する。
【0012】
本発明の消火スティック用ツインホルダによると、第1ホルダ及び第2ホルダに各1個の消火スティックを連結可能である。軽量小型の消火スティックを使用するに際し、補助具として、消火スティックそのものの出力、利便性、取扱い機能をさらに高めることができる。
2個の消火スティックを平行に同方向に消火剤を噴射するように接近した位置に配置し、手の操作位置を消火スティックの噴射部から遠のけることにより、火災現場から離間した位置から、速やかに消火活動を行える。
【0013】
本発明のツインホルダを使用することで、2個の消火スティックをひとまとめに同時に使用することで、出力アップし、初期消火を実現する確率を格段に向上することができる。また操作棒に連結することで、遠隔操作による消火活動を便利に行うことができる。
【0014】
例えば、搬送用大型トラックのタイヤのディスクブレーキなどが発火原因となる場合、運転手は気づかないで他車両の乗員からの通告を受けて自車両の発火を知ることがあるが、その際は、自車両を緊急停止し、車載の消火スティック及び消火スティック用ツインホルダその他の補助具を荷台などから取外し、消火スティックに本発明のツインホルダを取り付け、消火活動に速やかに移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一実施形態のエンドキャップ付状態の消火スティックの正面図。
【
図2】本発明の第一実施形態の
図1と異なる状態の消火スティックの正面図。
【
図3】本発明の第一実施形態の
図2と異なる状態の消火スティックの正面図。。
【
図4】本発明の第一実施形態のエンドキャップの拡大正面図。
【
図7】本発明の第一実施形態のツインホルダの斜視図。
【
図8】
図7の別角度からみたツインホルダの斜視図。
【
図9】本発明の第一実施形態の使用形態を示す斜視図。
【
図11】本発明の第二実施形態のツインホルダの斜視図。
【
図12】本発明の第二実施形態の使用形態を示す斜視図。
【
図13】本発明の第一実施形態の使用例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の消火スティック用ツインホルダを図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0017】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について
図1から
図10及び
図13に基づいて説明する。
【0018】
(消火スティックの構成)
図1から
図3は消火スティックを示す。
図3は保護キャップとエンドキャップ付きの消火スティック、
図1は
図3の状態から保護キャップを取り外した状態の消火スティック、
図2は
図1の状態から保護キャップとエンドキャップを取り外した消火スティックを示す。
【0019】
消火スティック1は、円筒状の金属製の本体3と、本体3の先端部に設置される着火剤からなる着火部7と、本体3の反先端側の一端に同軸上に一体に連結されるハンドル5と、本体3の先端部側から着火部7及び本体3の外側に被せられる着脱自在の(樹脂製の)保護キャップ4と、ハンドル5の反本体側の一端に着脱自在に取り付けられるエンドキャップ6を備える。
【0020】
本体3に収容される図示しないカートリッジの内部には消火薬剤が封入されている。
着火部7は、マッチの頭薬に相当する着火剤を備える。
ハンドル5は、中空円筒状の中空円筒部15を有し、一端は開口8を有し、他端は本体3の基端側に接続されており、使用者が把持可能である。
【0021】
保護キャップ4は、一端が閉塞する中空円筒状であり、他端の保護キャップ把持部13が開口になっており、本体3の使用時に
図3においてハンドル5に対し矢印17方向へ保護キャップ把持部13を持って保護キャップ4をハンドル5から取り外し可能である。
【0022】
エンドキャップ6は、中空円筒部15の開口8を閉塞可能に脱着自在に設けられ、
図4から
図6に示すように、エンドキャップ本体9の先端部に側薬部10を設ける。エンドキャップ6の中空円筒部15への装着時、
図4に示す矢印18方向へエンドキャップ把持部13を持って開口8にエンドキャップ本体9を嵌め込むと、本体9の外壁と中空円筒部15の内壁が摺動し、エンドキャップ把持部12の当接部19が開口8に当接し、位置決めされ、エンドキャップ本体9の外壁と中空円筒部15の内壁とが節度感をもって接合する。エンドキャップ装着時に側薬部10はハンドル5の内部に収容される。エンドキャップ6の取外時、エンドキャップ把持部12を持って開口8から引き抜けば、中空円筒部15からエンドキャップ6を取り外すことができる。
【0023】
(ツインホルダの構成)
次に、消火スティック1に連結可能なツインホルダ20について、
図7から
図10に基づいて説明する。
【0024】
ツインホルダ20は、中空円筒状の把持可能なハンドル41を備える。ハンドル41の一端から当該ハンドルの延びる方向と直交する両方向へ翼状に第1張出部材22及び第2張出部材32が張り出している。
【0025】
第1張出部材22の張出方向の先端に連結される第1ホルダ21は、第1消火スティックを保持することが可能である。
第2張出部材32の張出方向の先端に連結される第2ホルダ31は、第2消火スティックを保持することが可能である。
【0026】
第1ホルダ21及び第2ホルダ31は、ハンドル41の延びる方向と同方向に互いに接近した位置に平行に延びており、2個の消火スティック1の各中空円筒部15の外壁を節度感をもって弾性的に締付嵌合する第1嵌合部26及び第2嵌合部36を備える。第1嵌合部26及び第2嵌合部36は、開口23、33から挿入して嵌合しやすくするテーパ面24、34を有する。
【0027】
第1嵌合部26及び第2嵌合部36は、各横断面円弧状の形状をしており、ハンドル41の延びる方向と同方向に延びるように配置される内壁25、35は、各消火スティック1の中空円筒部15の外周壁を部分的に包み込むように、中空円筒部15の外周壁の周方向と軸方向に延びる面で弾性的に面接触する接合面85を有する。
【0028】
中空円筒状のハンドル41は、図示しない長尺状の操作棒の一端を連結可能な係止孔44、45を有する。係止孔44、45に操作棒の連結部材としてのワンタッチ式のボタンの爪を弾性嵌合する構成にすれば、ハンドル41に操作棒を固定することができる。これにより、2個の消火スティックをツインホルダ20を経由して操作棒に連結することができる。したがって、消火活動の遠隔操作をパワーアップして行える。
また、ハンドルは、図示しない操作棒の延びる方向と消火スティックの延びる方向の傾斜角(θ)を調節可能な図示しない角度調節器を連結すれば、噴出する不活性ガスの噴射方向を変更することができ、ツインホルダの利便性をさらに高めることができる。
【0029】
次に、ツインホルダ20の使い方について
図10に基づいて説明する。
図10Aに示すように、使用者は、
図3に示す消火スティック1の本体3から保護キャップ4を取り外し、
図10Bに示すように、ハンドル5からエンドキャップ6を取り外す。
【0030】
次に、
図10Cに示すように、2個の消火スティック1の各中空円筒部15をツインホルダ20の開口23、33から挿入する。
次に
図10Dに示すように、各消火スティック1の各本体3の着火部7にエンドキャップ6の側薬部10を擦って点火させる。
図10Eに示すように、ツインホルダ20を把持して消火活動するとき、ツインホルダ20の取り付けた分だけ手元から遠隔操作を行うことができる。
【0031】
(比較形態との対比)
比較形態としての従来の消火器は、大径の筒状金属製の容器を使用し、重さが例えば5kgの重量物である。この重量物の2個の消火器に、本発明のツインホルダを適用するという発想は生まれない。比較形態となる従来の重量物の消火器を片手で保持するホルダの概念を想起することは困難であり、ましてや従来の比較形態の消火器を2個も片手で保持して2個の消火器から炎発生源に向けて消火剤の噴出を実行する発想は創出されない。
【0032】
これに対し、本実施形態のツインホルダは、例えば365gという軽量の消火スティックに適用する。本実施形態のツインホルダを適用する対象は、比較形態の従来の消火器に対比して、格段に小型軽量で操作性、利便性の優れた消火スティックである。本実施形態のツインホルダは、消火スティックのハンドル部に相当する中空円筒部に取り付けて使用するものである。
本発明のツインホルダの適用対象となる相手方の消火機能を有する消火スティックは、広く一般に普及している従来の比較形態の消火器にはない特性を有する所謂消火スティックである。本実施形態のツインホルダは、消火スティックの補助器具として機能する。
本発明のツインホルダと消火スティックを組み合わせて使用することで、遠隔操作による消火活動効率を大幅に向上することができる。例えば、高所に火元が発生した場合に火炎発生源に向けて2個の消火スティックから短時間に消火剤(不活性ガス)等の噴出の開始を実行することができる。
【0033】
本実施形態のツインホルダによると、上記のとおり、軽量かつ操作性の良好な消火スティック2個に簡単な操作で速やかにツインホルダを一体に取り付けることができる。このツインホルダを用いると、消火器具として出力アップした2個の消火スティックを同時に使用することができる。このため、消火スティックの利便性、操作性、軽量小型の利点をさらに高めてかつパワーアップして使用することができる。したがって、初期消火を実現する可能性を大幅に向上することができる。
【0034】
(消火スティックの作用について)
消火スティックの作用の一例について説明する。
【0035】
消火スティック1の本体3の着火剤に点火すると、カートリッジ内部の成分が化学反応を起こし、本体3の先端部から消火薬剤が噴射する。詳しくは、硝酸カリウムとジシアンジアミドとが化学反応により燃焼し、白い蒸気状のカリウム微粒子を含んだ不活性ガスが噴射する。大量のカリウムラジカルが炎の内部及び周囲の酸素を枯渇させる窒息効果及び抑制効果で燃焼の連鎖が遮断される。
【0036】
(消火スティックと比較形態の消火器との対比)
各消火スティック1と一般消火器(粉末消火器)と比較して説明する。
【0037】
(1)噴射時間:消火スティックは例えば最大100秒間連続噴射可能である。一般に火災発生から2分間の期間を消火までの初期消火期間と言われるが、初期消火の実現に顕著な効果がある。
(2)重量:消火スティック(付属品を含まない)は365gと軽量である。このため、火災時に持ち運びが容易である。
(3)残留物:消火スティックは不活性ガスを噴射するため有害な残留物が残らない。このため、消火後の被災箇所の物品や設備の復旧が容易である。
(4)消火スティックは、一般消火器が対応できない可燃性ガス火災にも対応可能である。
【0038】
(5)使用期限:消火スティックの使用期限は15年であり一般消火器に比べて長い。
(6)耐久性:消火スティックは非加圧式であるため耐久性と耐衝撃性に優れている。
(7)定期点検:消火スティックは法定資格者による定期点検を必要としない。
(8)安全・環境:消火スティックは、噴射ガスが不活性ガスである。このため、操作者及び周囲の者の呼吸や視力に悪影響を与えず、地球温暖化やオゾン層の破壊の原因にもならない。
【0039】
これに対し、従来の比較形態の消火器についての諸元は、参考までに次のとおりである。
(1)噴射時間:従来の消火器は噴射期間が例えば約15秒である。初期消火を達成できないことが多い。
(2)重量:一般の従来の消火器は重量約5kgが一般に普及しているように重量物である。このため、火災時に持ち運びが困難である。
(3)残留物:一般消火器は噴射後に薬剤残留物や汚れが残る。このため、消火後の被災箇所の物品や設備の復旧が困難である。
(4)従来の消火器は、可燃性ガス火災にも対応できない。
(5)使用期限:従来の消火器は劣化が速く、使用期限が短い。
(6)耐久性:従来の消火器は加圧式であるため耐久性と耐衝撃性が劣る。
(7)定期点検:従来の消火器は法定資格者による定期点検の必要とし、取扱いが煩雑である。
(8)安全・環境:従来の消火器は、操作者及び周囲の者に対し呼吸や視力に影響を与えやすく、地球温暖化やオゾン層の破壊の原因にもなっている。
【0040】
(本発明の実施形態の作用)
本実施形態によると、手動でマッチを擦るように、消火スティックに着火し、不活性ガスを噴出するもので、小型で軽量かつ取扱操作性の良好な消火スティックの補助具として機能し、消火スティックの利活用を高めるツインホルダを提供することができる。
【0041】
一般に、比較形態の消火器を操作するとき、消火器本体を一方の手に持ち、ノズルを他方の手により手動操作する手間がかかり、操作が不便であった。
【0042】
これに対し、本発明の実施形態によると、使用開始時、キャップを外し、点火操作するだけで、消火スティック1の先端から不活性ガスを噴出する。
例えば噴出前に、消火スティックの中空円筒部の端に対し、本発明のツインホルダの第1、第2嵌合部26、36を嵌合することで、消火スティックの長さを延長し、ツインホルダのハンドル41を把持することで、消火スティックの先端から噴出するガスを火に向けて射出することが容易にできる。射出方向の変更は、ツインホルダの手動操作により簡便な操作により消火活動を行える。
【0043】
ツインホルダ20の反スティック側のハンドル41の端に図示しない操作棒を取り付ければ、その操作棒の自由端を把持することで、反把持側のツインホルダ先端に連結される消火スティック1の先端から所望の方向へ不活性ガスを射出するように遠隔操作することができる。
本発明のツインホルダによれば、2個の消火スティックに連結することで、高所の消火に際しては、操作棒の遠隔操作により、2個の消火スティックからの消火剤の噴射により高所の消火を効果的に完結することができる。パワーアップした出力で高所の消火には顕著な消火効果を発揮する。
【0044】
本実施形態に用いた消火スティック及びツインホルダを常時に大型トラック等の車載に用いることができる。通常時、車両に常備する場合、消火スティックもツインホルダも、軽量、小容量で車載の操作が容易であり、トラックの車輪等からの出火時には、運転者又は同乗者による操作で初期消火を遂行できる確率を大幅に高めることができる。
【0045】
消火スティックのハンドル部である中空筒部にツインホルダを連結する操作によって、消火スティックの利便性領域を拡大し、例えば、一歩前進した位置から2個のパワーアップした消火スティックから不活性ガスを噴射可能であり遠隔操作可能である。
【0046】
2個の消火スティック及びツインホルダをトラック車載すれば、車載場所から取り出し、各消火スティックをワンタッチ操作でツインホルダに取り付けられ、消火スティックを取り付けた後は、キャップ装着の着火点を消火スティックの射出側端に擦れば、消火スティックの先端から不活性ガスを直ちに噴出することができる。片手に持つツインホルダの先端側の2個の消火スティックの先端から不活性ガスを噴出する。したがって。軽量で取り回しが容易で、当該片手にもつ手操作のみの操作で、容易にターゲットに向けて消火スティック先端から不活性ガスを噴出することができる。
【0047】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態を
図11及び
図12に示す。
第二実施形態は、第一実施形態の構成と基本構成を同様とする。第一実施形態の構成と実質的に同一構成については同一符号を付し、説明を省略する。
第1張出部材22、第2張出部材32の上プレート18とハンドル41とを連結する補強リブ51を設けている。補強リブ51の上端はハンドル41に連結し、補強リブ51の下端は第1張出部材22及び第2張出部材32に連結している。第1ホルダ21と第2ホルダ31の各軸心線は平行であり、円筒状のハンドル41の軸心線とも平行である。
ハンドル41の先端には照明例えばLED照明を取り付け可能のREDホルダ52を設けている。
図12では、REDホルダ52にホルダキャップ54を被せてある。
【0048】
第二実施形態では、第一実施形態の作用の他、補強リブ51を設ける構成であるから、ツインホルダの剛性を高め、ツインホルダ20の操作安定性を高めることができる。第1ホルダ21と第2ホルダ31の各軸心線から離間する方向にオフセットし、各軸心線が平行の軸心線をもつハンドル41の向きにしているから消火スティックと干渉することなしに手動操作しやすい構成になっている。
【0049】
またREDホルダ52にRED照明を取り付けることで、暗所でも光を前方及び周囲に照射し、暗所でも消火活動を容易にすることができる。さらに保護壁53により遮熱効果を高め、消火活動をしやすくすることができる。
第二実施形態の使い方は、
図10に示す手順と基本動作は同様である。
【0050】
(実施形態の使用例)
図13は、走行中の大型トラックに火災が発生した場合に本発明のツインホルダの使用例を示すものである。トラックに予め消火スティックおよび本発明のツインホルダを搭載しておく。消火スティック、ツインホルダ及び操作棒などは軽量小型であるから車体に搭載しやすい。
【0051】
例えば車両後輪ブレーキディスクなどに火災が発生した場合、他車乗務員等からの通知等により自車運転手が知ったとき直ちに自車を緊急停止し、車載の消火スティック、ツインホルダ及び必要に応じて操作棒を取出し、消火作業を行う。
【0052】
図13に示す使用例は、消火スティック1にツインホルダ20を嵌合して消火活動する使用例を示す。ハンドル5との非重複長さ分だけ延長されたツインホルダ20の長さ分だけ遠隔操作をして消火活動をすることができる。
【0053】
なお、比較形態の一般消火器は大型で重量物であるから持ち運びが難しく使い勝手が悪く、初期消火を遂行するのに適さないが、本発明では、消火スティックと共に使用することで、初期消火を達成する可能性を高め、防災に優れた補助器具として機能する。
【0054】
本発明によると、消火スティック用ツインホルダの適用対象となる小型軽量で細身の消火スティックを車両に搭載し、また個人住宅や集合住宅、工場等などに備え、併せて、補助器具として機能するツインホルダ、角度変更器、操作棒を消火スティックの保管場所と同じ場所又は近い場所に備える。これにより、火災発生時には、ツインホルダを用いて、消火作業を速やかに行え、出力アップした消火スティックを用いて消火活動を行える。したがって、初期消火を達成する可能性を高めることができ、火災による甚大な損失を回避する確率を高めることができる。
【0055】
なお、本発明を適用する消火スティックは、実施形態のものに限られない。
例えば、本発明のツインホルダを使用可能な消火スティックは、消火機能を有する気体、液体、または粉体を一端側で噴出し、スティック胴部を有する構成のものに適用することができる。
【0056】
本発明では、実施形態にハンドルは中空円筒状の形態であったが、ハンドル形状は中実円筒状であっても、横断面形状が角形であってもよい。また、ハンドルの延びる方向の反張出部材側の端部に操作棒の一端を連結することもできる。この場合、操作棒を操作することで消火スティックを遠隔操作することができる。またハンドルの延びる方向の反張出部材側の端部に角度変更器を経由して操作棒の一端を連結すれば、消火スティックからの不活性ガスなどの噴射方向を所望の方向に切り替えることができる。
【0057】
本発明に係る消火スティック用ホルダは、筒状の本体(3)と、前記本体の先端部に設置される着火剤からなる着火部(7)と、前記本体の反先端側の一端に同軸上に一体に連結される中空円筒部(15)とを備える消火スティックに適用することができる。
【0058】
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記第1及び第2張出部材は、互いに平行な平板状の上プレート(18)と下プレート(19)を備えることができる。
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記消火スティックの本体の先端部側から前記着火部及び前記本体の外側に被せられる着脱自在の筒状の保護キャップ(4)を備える消火スティックに適用することができる。
【0059】
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記消火スティックの中空円筒部の反本体側の一端に着脱自在に取り付けられるエンドキャップ(6)を備える消火スティックに適用することができる。前記エンドキャップは、キャップ本体(9)の先端部に側薬部(10)を設けることができる。
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダが、前記消火スティックの円筒部(15)の外壁を節度感をもって弾性嵌合する第1嵌合部(26)及び第2嵌合部(36)を備えることができる。
【0060】
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部が、開口(23、33)から挿入して嵌合しやすくするテーパ面(24、34)を有することができる。
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部が、横断面円弧状の形状をしており、前記ハンドルの延びる方向と同方向に延びる内壁(25、35)は、前記消火スティックの前記中空円筒部の外壁を部分的に包み込むように、前記中空円筒部の外壁の周方向と軸方向に延びる面で弾性的に面接触可能な接合面(85)を有することができる。
【0061】
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記ハンドルが、中空円筒状であり、長尺状の操作棒の一端を連結可能な係止孔(44、45)を有することができる。
本発明に係る消火スティック用ホルダは、前記ハンドルが、前記操作棒の延びる方向と前記消火スティックの延びる方向の傾斜角(θ)を調節可能な角度調節器取付用の前記係止孔を有することができる。
【0062】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 消火スティック、
3 本体、
5 ハンドル、
7 着火部、
10 側薬、
15 中空円筒部、
20 ツインホルダ、
21 第1ホルダ、
22 第1張出部材、
23 開口、
26 第1嵌合部、
31 第2ホルダ、
32 第2張出部材、
33 開口、
36 第1嵌合部、
41 ハンドル。
【要約】 (修正有)
【課題】小型軽量かつ操作性の良好な消火スティックの操作性及び利便性をさらに向上する消火スティック用補助具を提供する。
【解決手段】消火スティック用補助具となるツインホルダ20は、2個の消火スティックを連結可能である。ツインホルダ20は、把持可能なハンドル41の一端から両翼状に張出す第1、第2張出部材22、32と、第1、第2張出部材22、32の張出方向の先端に連結され、第1、第2消火スティックを保持する第1、第2ホルダ21、31とを備える。軽量小型の消火スティックを使用するに際し、補助具として、消火スティックそのものの利便性や取扱い機能をさらに高めることができる。手の操作位置を消火スティックの噴射部から遠のけることにより、火災現場から離間した位置から、2個の消火スティックを使用することで、出力アップし、初期消火を実現する確率を格段に向上することができる。
【選択図】
図7