(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】塩素含有灰の脱塩方法と脱塩設備
(51)【国際特許分類】
B09B 3/45 20220101AFI20250214BHJP
B09B 3/00 20220101ALI20250214BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20250214BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20250214BHJP
C04B 7/26 20060101ALI20250214BHJP
C04B 7/28 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B09B3/45
B09B3/00 ZAB
B09B3/35
B09B5/00 N
C04B7/26
C04B7/28
(21)【出願番号】P 2020197685
(22)【出願日】2020-11-28
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 憲史
(72)【発明者】
【氏名】村岡 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】矢島 達哉
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-156337(JP,A)
【文献】特開2006-326462(JP,A)
【文献】特開平09-187748(JP,A)
【文献】特開平06-142637(JP,A)
【文献】特開2003-334508(JP,A)
【文献】特開2003-266047(JP,A)
【文献】国際公開第2005/025768(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1735468(CN,A)
【文献】特開平09-165243(JP,A)
【文献】特開2002-338312(JP,A)
【文献】特開平11-319769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/45
B09B 3/00
B09B 3/35
B09B 5/00
C04B 7/26
C04B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有灰(原灰)を水スラリーにして脱塩洗浄する水洗工程と、水洗後の水洗灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する水洗灰回収工程と、回収した水洗灰を水スラリーにし水熱処理して脱塩を促進する水熱処理工程と、水熱処理後の脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する脱塩灰回収工程を有し、
上記水洗工程によって原灰中の塩素の80%以上を脱塩した水洗灰を上記水熱処理において150℃~250℃および0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で処理することによって難溶性塩素化合物を分解して脱塩を進める一方、脱塩灰にカルシウムを残留させて回収することを特徴とする塩素含有灰の脱塩方法。
【請求項2】
上記水洗工程および上記水熱処理工程によって、原灰中の99.5%~99.8%の塩素を除去する一方、原灰中のカルシウムの80~85%を脱塩灰に残留させて回収する請求項1に記載する塩素含有灰の脱塩方法。
【請求項3】
塩素含有灰(原灰)を水スラリーにして撹拌洗浄して
原灰中の塩素の80%以上を脱塩する洗浄槽と、該洗浄槽から送られる水洗灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する水洗灰分離手段と、回収した水洗灰に水を加えて
150℃以上~250℃以下および0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で処理する水熱処理設備と、該水熱処理設備から送られる脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する脱塩灰分離手段を有し、
上記原灰中の塩素を上記水洗および上記水熱処理によって脱塩する一方、脱塩灰にカルシウムを残留させて回収することを特徴とする塩素含有灰の脱塩設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を用いずに塩素含有灰を効率よく脱塩する方法と脱塩設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物や産業廃棄物の焼却によって発生した焼却灰(主灰、飛灰、燃え殻、煤塵等)や最終処分場に埋め立て処分された焼却灰、あるいはセメント工場から発生するクリンカダスト等をセメント原料等として再利用することが進められている。一方、これらの焼却灰等には十数%程度の塩素が含まれているので、これらの塩素を含む上記各種の焼却灰やクリンカダスト等(これらを塩素含有灰と云う)を再資源化するには用途に応じた程度まで脱塩する必要がある。
【0003】
上記塩素含有灰の脱塩について、該塩素含有灰に含まれる塩素化合物の大部分は水溶性なので水洗浄して脱塩できるが、塩素化合物の一部は水に難溶性のフリーデル氏塩(3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O)等を形成しており、水洗浄だけでは十分に脱塩することができない。このような水に溶け難い塩素化合物を除去する手段として、塩素含有灰スラリーに酸を加え、pHを低下させて脱塩する方法が知られている(特許文献1)。しかし、酸を加える方法は、塩素と共にカルシウムも溶出するので、脱塩後にカルシウムの回収を行う場合にはその分離回収プロセスが必要になり作業負担が増すなどの問題がある。さらに塩酸や硫酸等の酸性薬剤を使用するので薬剤コストが増し、また十分な耐食性の設備が必要になる。
【0004】
塩素含有灰に炭酸塩を含む水を加えて洗浄する脱塩方法(特許文献2)、塩素含有灰の水スラリーに炭酸ガスを吹き込んで洗浄する脱塩方法が知られている(特許文献3)。この方法では、炭酸塩や炭酸ガスによってフリーデル氏塩は分解するので、脱塩洗浄灰を得ることができる。しかし、カルシウムの一部は水に難溶性のカルシウム炭酸塩(CaCO3、CaMg(CO3)2など)になり、これが洗浄後の固液分離によって固形分として洗浄灰と共に回収される。このカルシウム炭酸塩を含む洗浄灰をセメント原料に用いると、セメントの製造工程で多量のCO2ガスが発生し、CO2削減の環境要請に適わない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5561326号公報
【文献】特開2006-326462号公報
【文献】特許第3924822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、塩素含有灰について従来の脱塩方法における上記問題を解消したものであり、薬液を用いずに塩素含有灰を効率よく脱塩すると共にカルシウム分を含む洗浄残渣を回収することが容易な脱塩方法と脱塩設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成によって上記課題を解決した塩素含有灰の脱塩方法および脱塩設備である。
〔1〕塩素含有灰(原灰)を水スラリーにして脱塩洗浄する水洗工程と、水洗後の水洗灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する水洗灰回収工程と、回収した水洗灰を水スラリーにし水熱処理して脱塩を促進する水熱処理工程と、水熱処理後の脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する脱塩灰回収工程を有し、上記水洗工程によって原灰中の塩素の80%以上を脱塩した水洗灰を上記水熱処理において150℃~250℃および0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で処理することによって難溶性塩素化合物を分解して脱塩を進める一方、脱塩灰にカルシウムを残留させて回収することを特徴とする塩素含有灰の脱塩方法。
〔2〕上記水洗工程および上記水熱処理工程によって、原灰中の99.5%~99.8%の塩素を除去する一方、原灰中のカルシウムの80~85%を脱塩灰に残留させて回収する上記[1]に記載する塩素含有灰の脱塩方法。
〔3〕塩素含有灰(原灰)を水スラリーにして撹拌洗浄して原灰中の塩素の80%以上を脱塩する洗浄槽と、該洗浄槽から送られる水洗灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する水洗灰分離手段と、回収した水洗灰に水を加えて150℃以上~250℃以下および0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で処理する水熱処理設備と、該水熱処理設備から送られる脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する脱塩灰分離手段を有し、上記原灰中の塩素を上記水洗および上記水熱処理によって脱塩する一方、脱塩灰にカルシウムを残留させて回収することを特徴とする塩素含有灰の脱塩設備。
【0008】
〔具体的な説明〕
本発明の脱塩方法を具体的に説明する。以下、濃度等に関する%は質量%である。
本発明は、塩素含有灰(原灰)を水スラリーにして脱塩洗浄する水洗工程と、水洗後の水洗灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する水洗灰回収工程と、回収した水洗灰を水スラリーにし水熱処理して脱塩を促進する水熱処理工程と、水熱処理後の脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する脱塩灰回収工程を有し、
上記水洗工程によって原灰中の塩素の80%以上を脱塩した水洗灰を上記水熱処理において150℃~250℃および0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で処理することによって難溶性塩素化合物を分解して脱塩を進める一方、脱塩灰にカルシウムを残留させて回収することを特徴とする塩素含有灰の脱塩方法と、その脱塩設備に関する。
本発明の概略工程図を
図1に示し、設備フローの一例を
図2に示す。
【0009】
水洗工程
塩素含有灰(原灰)に水を加えて原灰スラリーにし、攪拌洗浄して、水に溶けやすい塩素化合物(NaCl、KCl、CaCl2、CaClOH等)を溶出させる。この水洗浄によって塩素含有灰に含まれる大部分の塩素が洗浄除去される。塩素含有灰を最初に水で脱塩洗浄することによって、後段の水熱処理の負担を軽減することができ、さらに水熱処理設備の塩素腐食を抑制することができる。なお、水洗前に原灰を粉砕することによって効率よく脱塩洗浄することができる。粉砕装置としては、例えば、振動ミル、ハンマーミルなどを用いると良い。粉砕と水洗を同時に行っても良い。
【0010】
原灰スラリーの液固比は2~20(液体:固体=2:1~10:1)が好ましく、3~10(液体:固体=3:1~10:1)がより好ましい。液固比が2未満では液量が少な過ぎて洗浄が不十分になり、またスラリー濃度が高くなり、配管やポンプ等の摩耗が激しくなる。一方、液固比が20を超えると排水の発生量が多くなり、排水処理の負荷が増す。液固比が3~10程度であれば、十分に洗浄して脱塩効果を高めることができる。
【0011】
水洗によって原灰の塩素の約80%以上が脱塩されればよい。例えば、原灰10gに純水100mLを加えて水スラリーにし、5分~30分間、撹拌することによって、原灰の塩素の80%前後を除去することができる。また、連続的な脱塩処理では、水スラリーの電気伝導度を測定して脱塩状態を把握し、原灰の塩素の80%前後が除去された段階で水洗を終了するようにしてもよい。
【0012】
水洗灰回収工程
水洗後に原灰スラリーを固液分離して水洗灰を回収する。固液分離手段として、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、遠心脱水機などを用いることができる。なお、フィルタープレスによって固液分離した洗浄灰ケーキは、洗浄水で貫通洗浄することによって、より十分に脱塩することができ、また該洗浄灰ケーキの含水率は25~40%と低く、余剰な水分が少ないので重量が軽減され、ハンドリング性が向上するので好ましい。
【0013】
水洗浄の排水は排水設備で適切な排水処理をして放流することができる。また、フィルタープレスの貫通洗浄で発生した排水は塩素濃度が低いので、水洗工程の洗浄水として循環利用してもよい。
【0014】
水熱処理工程
回収した水洗灰に水を加えて水スラリーにし、これを100℃以上に加熱して水熱処理し、あるいは該水洗灰に100℃以上の亜臨界水を加えて水熱処理する。この水熱処理によって水に難溶性の塩素化合物が分解し溶出する。加熱温度は100℃以上~250℃以下が好ましく、150℃以上~200℃以下がより好ましい。オートクレーブを用いた場合、容器内は100℃~250℃で0.1MPa~4.0MPa、150℃~200℃で0.4MPa~1.5MPaの高温高圧下になり、水に難溶性の塩素化合物の分解が進む。100℃未満では脱塩が十分に進まない。250℃を超えると容器内が4MPaを超える高圧になり、耐圧性を保つために設備コストが高くなる。水熱処理時間は約20分~2時間程度でよい。この水熱処理によって原灰に含まれる塩素の約99.5%~約99.8%の塩素を除去することができ、残留塩素が約0.2%~約0.5%程度の脱塩灰を回収できるようになる。
【0015】
水熱処理装置としては、バッチ式のオートクレーブ、連続式のチューブリアクターなどを用いることができる。攪拌洗浄しながら水熱処理することでより効率よく脱塩することができる。
【0016】
水熱処理することによって、塩酸等の薬剤を使用せずに高度に脱塩することができるため、薬剤コストを低減することができる。また、炭酸イオンの導入によって水に難溶性の塩素化合物を分解溶出する方法と比べて、回収される脱塩灰には炭酸塩が少ないので、脱塩灰をセメント製造の原料に利用したときに、CO2ガスの発生量を低減することができ、低炭素化の要請に適うことができる。
【0017】
脱塩灰回収工程
水熱処理後の脱塩灰スラリーを固液分離して脱塩灰を回収する。固液分離手段として、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、遠心脱水機などを用いることができる。水洗灰回収工程と同様に、フィルタープレスによって固液分離した洗浄灰ケーキは、洗浄水で貫通洗浄することによって、より十分に脱塩することができ、また該洗浄灰ケーキの含水率は25~40%と低く、余剰な水分が少ないので重量が軽減され、ハンドリング性が向上するので好ましい。分離した排水は塩素濃度が低いため、水洗工程の洗浄水として再利用することができる。
【0018】
脱塩灰の塩素は低濃度(例えば約0.2%~約0.5%程度)に脱塩されている。一方、原灰に含まれるカルシウム分の約80%~約85%程度が脱塩灰に含まれているので、回収した脱塩灰はセメント原料として利用することができる。
【0019】
脱塩設備
本発明の脱塩方法を実施する設備の一例を
図2に示す。図示する脱塩設備には、塩素含有灰を破砕する振動ミル10、破砕した塩素含有灰を洗浄する撹拌洗浄槽20、該撹拌洗浄槽20から送られた水洗灰スラリーを固液分離するフィルタープレス(洗灰分離手段)30、該フィルタープレス30の排水を処理する排水処理設備40、該フィルタープレス30から回収した水洗灰を水熱処理するオートクレーブやチューブリアクターなどの水熱処理設備50、該水熱処理設備50から送られた脱塩灰スラリーを固液分離するフィルタープレス(脱塩洗浄灰分離手段)60が設けられている。
【0020】
塩素含有灰は洗浄水と共に振動ミル10で粉砕されて原灰スラリーになる。この原灰スラリーは撹拌洗浄槽20にて撹拌洗浄され、水洗灰スラリーになる。この水洗浄によって水溶性塩素化合物の大部分が脱塩される。その後、水洗灰スラリーはフィルタープレス30に送られて固液分離され、その排水は排水処理設備40に送られ、排水処理された後に系外に放流され、あるいは洗浄水として振動ミル10に返送される。
【0021】
一方、フィルタープレス30から回収された水洗灰は水熱処理設備50に送られ、洗浄水が加えられ、スラリーの状態で150℃以上~250℃以下に加熱され、オートクレーブ等の密閉容器では0.4MPa~4.0MPaの高温高圧下で水熱処理される。この水熱処理によって水に難溶性の塩素化合物が分解して溶出し、脱塩灰スラリーになる。この脱塩灰スラリーはフィルタープレス60で固液分離され、脱塩灰が回収される。この脱塩灰は塩素濃度が低く、また原灰のカルシウム分の大部分が含まれているので系外のセメント設備70などに送られる。一方、脱塩灰から分離された排水は排水処理設備40に送られて系外に放出され、あるいは一部が洗浄水として振動ミル10に返送される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の脱塩方法では、水洗灰を水熱処理することによって、水に難溶性の塩素化合物を分解溶出させるので、酸やアルカリ等の薬剤を使用せずに、脱塩を促進させることができ、塩素濃度の低い脱塩灰を回収することができる。
【0023】
本発明の脱塩方法は、薬剤を使用せずに高度に脱塩できるので薬剤コストを低減することができる。また、炭酸イオンを利用して水に難溶性の塩素化合物を分解溶出する方法に比べて、回収される脱塩灰には炭酸塩が少ないので、セメント原料として利用するときに、セメント製造工程での低炭素化の要請に適うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明の脱塩設備の一例を示す設備フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を示す。
脱塩灰の塩素濃度は該脱塩灰を酸に溶解して液中の塩素濃度を電量滴定法によって測定した。Ca濃度は蛍光X線分析(XRF)にて測定した。
【0026】
〔実施例〕
塩素含有灰(原灰:Cl濃度14.7%、Ca濃度21.2%)を105℃で乾燥し、篩分けして1mm以下に整粒したもの10gを用い、これをビーカーに入れ、水100mLを加えて液固比10の原灰スラリーにした。この原灰スラリーを15分間撹拌して水洗を行った。水洗後の水洗灰スラリーを濾過し、回収した水洗灰をオートクレーブの反応容器に入れ、水100mLを加え、100℃~250℃で20分~180分間加熱して水熱処理を行った。水熱処理後の脱塩灰スラリーを濾過し、脱塩灰を回収した。回収した脱塩灰を105℃に乾燥して乾燥脱塩灰とし、Cl濃度、Ca濃度を測定し、Ca残存率を次式によって求めた。この結果を表1に示す(試料No.1は参考例、試料No.2~7は実施例)。
Ca残存率(%)=〔脱塩灰の重量(g)×脱塩灰のCa濃度(%)〕/〔原灰の重量(g)×原灰のCa濃度(%)〕×100
【0027】
〔比較例〕
実施例1と同様の原灰について、液固比10の原灰スラリーにして水洗浄を1回行った後は水熱処理を行わずに乾燥脱塩灰とした(試料No.8)。
実施例1と同様の原灰について、液固比10の原灰スラリーにして水洗浄を1回行った後に、水熱処理に代えて、25℃の常温水で60分間洗浄して脱塩灰を回収し、105℃に乾燥して乾燥脱塩灰とした(試料No.9)。また60℃の温水で洗浄して脱塩灰を回収したこと以外は試料No.9と同様にして乾燥脱塩灰とした(試料No.10)。これらの結果を表1に示す。
【0028】
【0029】
表1に示すように、試料1~7の脱塩灰は塩素濃度が何れも0.5%以下であり、原灰に含まれるカルシウムの80%以上が残留している。一方、水熱処理を行わない試料8は脱塩灰の塩素濃度が1%以上であって脱塩が不十分である。また、温度が100℃未満の試料9,10は脱塩灰の塩素濃度が0.6%以上であり、脱塩効果が低い。
【符号の説明】
【0030】
10-振動ミル、20-撹拌洗浄槽、30-フィルタープレス(洗灰分離手段)、40-排水処理設備、50-水熱処理設備、60-フィルタープレス(脱塩洗浄灰分離手段)。