(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】機械駆動ハイブリッドガスタービンと機械駆動ハイブリッドガスタービンのための動的冷却システムとを備えるターボ機械プラント
(51)【国際特許分類】
F02C 7/12 20060101AFI20250214BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20250214BHJP
F02C 7/143 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F02C7/12
F01D15/10 A
F02C7/143
(21)【出願番号】P 2023565915
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022025173
(87)【国際公開番号】W WO2022228724
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】102021000010889
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(72)【発明者】
【氏名】サンティーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】バルダンツィーニ,ファビオ
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-341740(JP,A)
【文献】特開平08-232681(JP,A)
【文献】特開2012-159043(JP,A)
【文献】特開2014-152781(JP,A)
【文献】特開2005-054779(JP,A)
【文献】特開2008-185031(JP,A)
【文献】特開2014-190252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/12
F01D 15/10
H02K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械プラントであって、
ガスタービンとエアフィルタチャンバとを備えるガスタービンモジュールと、
電力を供給/吸収することができる電気可逆機械を備える可変周波数駆動電気ユニットと、
冷却システムであって、
冷媒流体を冷却するための少なくとも1つのチラーと、
前記チラーと前記エアフィルタチャンバとを接続する第1のラインと、
前記チラーを前記電気可逆機械に接続する第2のラインと、
前記チラーに接続されており、前記チラーによって冷却された前記冷媒流体を少なくとも前記第1のライン及び前記第2のラインに圧送するように構成された少なくとも1つの圧送装置と、を備える、冷却システムと、を備え、
前記ターボ機械プラントは、
データを記憶するための記憶手段と、
前記チラー、前記圧送装置及び前記記憶手段に接続されており、所定の第1の温度値が所定の第1の電力値に関連付けられている、前記ガスタービンに関連付けられた第1の劣化曲線と、所定の第2の温度値が所定の第2の電力値に関連付けられている、前記電気可逆機械に関連付けられた第2の劣化曲線とを前記記憶手段に記憶するように構成された
中央制御ユニットと、を更に備え、
前記冷却システムは、
前記第1のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第1の弁と、
前記エアフィルタチャンバ内の空気に関する第1の温度値を測定し、前記第1の弁を制御するように構成された第1の測定制御装置と、
前記第2のライン上を流れるある量の前記冷媒流体の流量を変化させるための第2の弁と、
前記チラーによって冷却された前記冷媒流体に関する第2の温度値を測定し、前記第2の弁を制御するように構成された第2の測定制御装置と、を更に備え、
前記中央制御ユニットは、
前記冷媒流体の温度基準値を、前記チラーを出る前記冷媒流体が前記温度基準値を有するように設定し、
前記圧送装置を作動させ、かつ
電力需要に応じて、前記エアフィルタチャンバ内の前記空気が、前記第1の劣化曲線における前記ガスタービンの所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値に達するように、又は前記電気可逆機械内の空気が、前記第2の劣化曲線における前記電気可逆機械の所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値に達するように、前記チラーによって冷却された前記冷媒流体の流量を増加/減少させるために、それぞれの前記測定制御装置を介して各弁を互いに独立して制御するように構成されている、ターボ機械プラント。
【請求項2】
前記
中央制御ユニットは、前記第1の測定制御装置によって測定された前記第1の温度値と、前記電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応する前記ガスタービンの所定の第1の電力に関連付けられた所定の第1の温度値との間の差に基づいて前記第1の弁を制御し、かつ前記第2の測定制御装置によって測定された前記第2の温度値と、前記電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する前記電気可逆機械の所定の第2の電力に関連付けられた所定の第2の温度値との間の差に基づいて前記第2の弁を制御するように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項3】
前記チラーは論理制御ユニットを備え、前記中央制御ユニットは、前記チラーの前記論理制御ユニットに接続されており、
前記冷媒流体の前記温度基準値が、前記ガスタービンによって必要とされる前記所定の第1の電力値に関連付けられた前記所定の第1の温度値と、
前記電気可逆機械によって必要とされる前記所定の第2の電力値に関連付けられた前記所定の第2の温度値との間の最小値であると決定し、かつ
前記チラーの前記論理制御ユニットが
冷媒流体の前記温度値を前記温度基準値に等しく設定するように、前記チラーの前記論理制御ユニットに前記温度基準値を送信するように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項4】
前記中央制御ユニットは、
前記第1の測定制御装置によって測定された前記第1の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応する前記ガスタービンの所定の第1の電力に関連付けられた前記所定の第1の温度値よりも大きいときは、前記冷媒流体の前記流量を増加させ、前記第1の測定制御装置によって測定された前記第1の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応する前記ガスタービンの所定の第1の電力に関連付けられた前記所定の第1の温度値よりも小さいときは、前記冷媒流体の前記流量を減少させるために、前記第1の測定制御装置が逐次、前記第1の弁を制御するような方式で、前記第1の測定制御装置を制御し、かつ
前記第2の測定制御装置によって測定された前記第2の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する前記電気可逆機械の所定の第2の電力に関連付けられた前記所定の第2の温度値よりも大きいときは、前記冷媒流体の前記流量を増加させ、前記第2の測定制御装置によって測定された前記第2の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する前記電気可逆機械の所定の第2の電力に関連付けられた前記所定の第2の温度値よりも小さいときは、前記冷媒流体の前記流量を減少させるために、前記第2の測定制御装置が逐次、前記第2の弁を制御するような方式で、前記第2の測定制御装置を制御するように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項5】
前記電気可逆機械は、冷媒流体が熱交換器を通過することによって閉ループ内の空気を冷却するように構成されたエアクーラーユニットを備える、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項6】
前記可変周波数駆動電気ユニットは、前記電気可逆機械を制御するように構成されたVFD制御パネルを更に備え、
前記冷却システムは、
前記チラーを前記VFD制御パネルに接続する第3のラインと、
前記第3のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第3の弁と、
前記チラーによって冷却された前記冷媒流体に関する第3の温度値を測定し、前記第3の弁を制御するように構成された第3の測定制御装置と、を備え、
前記圧送装置は、前記チラーによって冷却されたある量の冷媒流体を前記第3のラインに圧送するように構成されており、
前記
中央制御ユニットは、前記第3の測定制御装置に接続されており、
前記VFD制御パネルに関連付けられた第3の劣化曲線を前記記憶手段に記憶することであって、所定の第3の温度値が所定の第3の電力値に関連付けられている、記憶することと、
前記電力需要に応じて、前記VFD制御パネル内の前記冷媒流体が、前記第3の劣化曲線における前記VFD制御パネルの所定の第3の電力値に関連付けられた所定の第3の温度値に達するような方式で、前記チラーによって冷却された前記冷媒流体の流量を増加/減少させるために、前記第3の測定制御装置を介して、前記第1及び第2の弁から独立して、前記第3の弁を制御することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項7】
前記
中央制御ユニットは、前記第3の測定制御装置によって測定された前記第3の温度値と、前記電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応する前記VFD制御パネルの所定の第3の電力に関連付けられた所定の第3の温度値との間の差に基づいて前記第3の弁を制御するように構成されている、請求項6に記載のターボ機械プラント。
【請求項8】
前記チラーは論理制御ユニットを備え、前記中央制御ユニットは、前記チラーの前記論理制御ユニットに接続されており
、
前記中央制御ユニットは、前記冷媒流体の前記温度基準値が、前記ガスタービンによって必要とされる前記所定の第1の電力値に関連付けられた前記所定の第1の温度値と、前記電気可逆機械によって必要とされる前記所定の第2の電力値に関連付けられた前記所定の第2の温度値と、前記VFD制御パネルによって必要とされる前記所定の第3の電力値に関連付けられた前記所定の第3の温度値との間の最小値であると決定
し、
前記チラーの前記論理制御ユニットが冷媒流体の前記温度値を前記温度基準値に等しく設定するように、前記チラーの前記論理制御ユニットに前記温度基準値を送信するように構成されている、請求項6に記載のターボ機械プラント。
【請求項9】
前記中央制御ユニットは、前記第3の測定制御装置によって測定された前記第3の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応する前記VFD制御パネルの所定の第3の電力に関連付けられた前記所定の第3の温度値よりも大きいときは、前記冷媒流体の前記流量を増加させ、前記第3の測定制御装置によって測定された前記第3の温度値が、前記電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応する前記VFD制御パネルの所定の第3の電力に関連付けられた前記所定の第3の温度値よりも小さいときは、前記冷媒流体の前記流量を減少させるために、前記第3の測定制御装置が逐次、前記第3の弁を制御するような方式で、前記第3の測定制御装置を制御するように構成されている、請求項6に記載のターボ機械プラント。
【請求項10】
前記冷却システムは、2つのチラー及び2つの圧送装置を備え、各チラーは、それぞれの量の冷媒流体を冷却するように構成されており、各圧送装置は、それぞれのチラーに接続されており、それぞれのチラーによって冷却されたそれぞれの量の冷媒流体を、それぞれ前記エアフィルタチャンバ及び前記電気可逆機械に圧送するように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項11】
前記冷却システムは、3つのチラー及び3つの圧送装置を備え、各チラーは、それぞれの量の冷媒流体を冷却するように構成されており、各圧送装置は、それぞれのチラーに接続されており、それぞれのチラーによって冷却されたそれぞれの量の冷媒流体を、それぞれ前記エアフィルタチャンバ内、前記電気可逆機械内、及び前記VFD制御パネル内に圧送するように構成されている、請求項6に記載のターボ機械プラント。
【請求項12】
前記可変周波数駆動電気ユニットは、前記電気可逆機械を制御するように構成されたVFD制御パネルを更に備え、
前記冷却システムは、
第3のラインを備え、
前記第2のラインが
ある点で第1の部分と第2の部分とに細分され
、前記第1の部分は前記点を前記チラーに接続しており、前記第2の部分は前記点を前記電気可逆機械に接続しており、
前記第3のラインは前記点を前記VFD制御パネルに接続しており、
前記第2の弁は前記第2のラインの前記第1の部分上に構成配置され
、
前記中央制御ユニットは、前記第2の測定制御装置を介して前記第2の弁を制御して、前記第2のラインの前記第2の部分を流れる冷媒流体と、前記第3のラインを流れる冷媒流体の流量を変化させるように構成されている、請求項1に記載のターボ機械プラント。
【請求項13】
前記チラーは入口及び出口を有し、前記冷却システムはクーラー装置を備え、前記クーラー装置は、前記チラーの前記入口に直列に接続されているか、又は前記チラーの前記入口と前記出口との間に並列に接続されている、請求項1
から12のいずれか1項に記載のターボ機械プラント。
【請求項14】
前記ターボ機械プラントは、前記ガスタービンモジュールと前記可変周波数駆動電気ユニットとの間に構成配置された第1の圧縮機を備
える、請求項1
から12のいずれか1項に記載のターボ機械プラント。
【請求項15】
前記ターボ機械プラントは、第1の圧縮機を備え、前記ガスタービンモジュールは、前記可変周波数駆動電気ユニットと前記第1の圧縮機との間に構成配置されている、請求項1
から12のいずれか1項に記載のターボ機械プラント。
【請求項16】
前記ターボ機械プラントは、第1の圧縮機を備え、前記可変周波数駆動電気ユニットは、前記ガスタービンモジュールと前記第1の圧縮機との間に構成配置されている、請求項1
から12のいずれか1項に記載のターボ機械プラント。
【請求項17】
前記ターボ機械プラントは、
第1の圧縮機と、第2の圧縮機
と、第3の圧縮機
と、を備え、前記第3の圧縮機は、前記第1の圧縮機と前記第2の圧縮機との間に構成配置されており、前記第1の圧縮機は、前記ガスタービンモジュールに接続されており、前記第2の圧縮機は、前記可変周波数駆動電気ユニットに接続されている、請求項1
から12のいずれか1項に記載のターボ機械プラント。
【請求項18】
冷却システムによって、少なくともガスタービンモジュール内のある量の空気及び可変周波数駆動電気ユニット内のある量の空気を冷却するための方法であって、前記ガスタービンモジュールは、ガスタービン及びエアフィルタチャンバを備え、前記可変周波数駆動電気ユニットは、電気可逆機械を備え、前記冷却システムは、冷媒流体を冷却するためのチラーと、前記チラーを前記エアフィルタチャンバに接続する第1のラインと、前記チラーを前記電気可逆機械に接続する第2のラインと、少なくとも前記第1のライン及び前記第2のライン内の冷媒流体を圧送するための圧送装置と、を備えるだけでなく、前記第1のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第1の弁と、前記エアフィルタチャンバ内の空気に関する第1の温度値を測定し、前記第1の弁を制御するように構成された第1の測定制御装置と、前記第2のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第2の弁と、前記電気可逆機械内の空気に関する第2の温度値を測定し、前記第2の弁を制御するように構成された第2の測定制御装置と、を備え、前記方法は、
前記圧送装置によって前記冷媒流体を圧送するステップと、
前記第1の測定制御装置によって、前記エアフィルタチャンバ内の前記空気に関する前記第1の温度値を測定するステップと、
前記第2の測定制御装置によって、前記電気可逆機械内の前記空気に関する前記第2の温度値を測定するステップと、
前記チラーを出る前記冷媒流体の温度が温度基準値に等しくなるように、電力需要に応じて、所定の第1の温度値が所定の第1の電力値に関連付けられている、前記ガスタービンに関連付けられた第1の劣化曲線と、所定の第2の温度値が所定の第2の電力値に関連付けられている、前記電気可逆機械に関連付けられた第2の劣化曲線とに対して、
前記冷媒流体の前記温度基準値を設定するステップと、
前記電力需要に応じて、前記エアフィルタチャンバ内の前記空気が、前記第1の劣化曲線における前記ガスタービンの所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値に達するか、又は
前記電気可逆機械内の前記空気が、前記第2の劣化曲線における前記電気可逆機械の所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値に達するような方式で、前記チラーによって冷却された前記冷媒流体の流量を増加/減少させるために、それぞれの前記測定制御装置を介して、前記第1の弁及び前記第2の弁を互いに独立して制御するステップと、含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械駆動ハイブリッドガスタービンと、機械駆動ハイブリッドガスタービンのための動的冷却システムとを備えるターボ機械プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンハイブリッド化の概念は、新しいユニット上の機械駆動用途に、あるいは既存のトレイン上のアップグレードとして適用可能である。それは、電気可逆機械及び電気可逆機械のためのVFD制御パネルを備える可変周波数駆動電気ユニットと組み合わせたガスタービンが提供することができる広範囲の能力相乗作用を活用したものである。
【0003】
電気可逆機械は、ガスタービンのための補助装置として働くようにガスタービンに電力を供給することができ、あるいは発電機として働くようにガスタービンから電力を吸収することができる。
【0004】
ガスタービンは周囲温度に敏感であり、ある出力値がニーズによって要求されることから、そのような出力値を得る必要がある場合、ガスタービンの出力を増加させることができるように、ガスタービン内を流れる熱流体ベクトル又は冷媒流体を冷却する必要がある。
【0005】
これは、冷媒流体が冷却されると空気の密度が増加するという事実によるものである。
【0006】
現在、ターボ機械プラントには、少なくともガスタービン内の空気及び電気可逆機械内の空気を冷却するための冷却システムが設けられている。
【0007】
しかしながら、ターボ機械プラントで使用される既知のタイプの冷却システムは、最悪の動作条件で、すなわち周囲温度に基づいて動作するように考案され設計されている。通常、動作温度は実質的に周囲温度に依存する。
【0008】
その結果、既知のタイプの冷却システムは、周囲温度の最大値に基づいて動作するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、動的冷却システムを有するターボ機械プラントは、機械駆動ガスタービンの技術において歓迎されるであろう。
【0010】
一態様において、本明細書で開示される主題は、ターボ機械プラントを対象とする。ターボ機械プラントは、ガスタービンモジュールと、可変周波数駆動電気ユニットと、冷却システムと、を備える。
【0011】
ガスタービンモジュールは、ガスタービンとエアフィルタチャンバとを備える。
【0012】
可変周波数駆動電気ユニットは、電力を供給/吸収する電気可逆機械を備える。
【0013】
冷却システムは、空気フィルタチャンバ内の空気及び電気可逆機械内の空気を冷却する働きをする冷媒流体を冷却する。冷却システムは、チラーと、チラーによって冷却された冷媒流体を圧送するための、チラーに接続された圧送装置と、を備えるだけでなく、チラーをエアフィルタチャンバに接続する第1のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第1の弁と、エアフィルタチャンバ内の空気に関する第1の温度値を測定し、第1の弁を制御するように構成された第1の測定制御装置と、チラーを電気可逆機械に接続する第2のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第2の弁と、チラーによって冷却された冷媒流体に関する第2の温度値を測定し、第2の弁を制御するように構成された第2の測定制御装置と、を備える。
【0014】
制御中央ユニットによって、所定の第1の温度値が所定の第1の電力値に関連付けられている、ガスタービンに関連付けられた第1の劣化曲線と、所定の第2の温度値が所定の第2の電力値に関連付けられている、電気可逆機械に関連付けられた第2の劣化曲線とを記憶し、かつ冷媒流体の温度基準値を、チラーを出る冷媒流体が温度基準値を有するように設定することが可能である。
【0015】
制御中央ユニットは、圧送装置を作動させ、各弁を制御する。電力需要に応じて、エアフィルタチャンバ内の空気が、第1の劣化曲線におけるガスタービンの所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値に達するか、又は電気可逆機械内の空気が、第2の劣化曲線における電気可逆機械の所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値に達するような方式で、第1の弁及び第2の弁は、それぞれの測定制御装置によって互いに独立して制御され、チラーによって冷却される冷媒流体の流量は、増加/低減される。
【0016】
特に、第1の弁は、第1の測定制御装置によって測定された第1の温度値と、電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応するガスタービンの所定の第1の電力に関連付けられた所定の第1の温度値との間の差に基づいて制御され、第2の弁は、第2の測定制御装置によって測定された第2の温度値と、電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する電気可逆機械の所定の第2の電力に関連付けられた所定の第2の温度値との間の差に基づいて第2の弁制御を制御される。
【0017】
別の態様では、冷却システムを通して、電気可逆機械を制御するための可変周波数駆動電気ユニットの一部であるVFD制御パネルを通過する冷媒流体を冷却することが可能である。第3のラインは、チラーをVFD制御パネルに接続し、第3の弁は、第3のライン上を流れるある量の冷媒流体の流量を変更するように構成され、第3の測定制御装置は、チラーによって冷却された冷媒流体に関する第3の温度値を測定し、第3の弁を制御するように構成される。この場合、圧送装置は、使用時に、チラーによって冷却されたある量の冷媒流体を第3のラインにも圧送し、制御中央ユニットは、第3の測定制御装置に接続され、所定の第3の温度値が所定の第3の電力値に関連付けられるVFD制御パネルに関連付けられた第3の劣化曲線を記憶手段に記憶し、電力需要に応じて、VFD制御パネル内の冷媒流体が、第3の劣化曲線におけるVFD制御パネルの所定の第3の電力値に関連付けられた所定の第3の温度値に達するような方式で、チラーによって冷却された冷媒流体の流量を増加/減少させるために、第3の測定制御装置を介して、第1の弁及び第2の弁から独立して、第3の弁を制御するように構成される。
【0018】
第3の弁は、第3の測定制御装置によって測定された第3の温度値と、電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応するVFD制御パネルの所定の第3の電力に関連付けられた所定の第3の温度値との間の差に基づいて制御される。
【0019】
別の態様では、主題は、ガスタービンモジュール内、特にエアフィルタチャンバ内のある量の空気、及び可変周波数駆動電気ユニット内のある量の空気を冷却するための方法に関する。この方法は、圧送装置によって冷媒流体を圧送するステップと、第1の測定制御装置によってエアフィルタチャンバ内の空気に関する第1の温度値を測定するステップと、第2の測定制御装置によって電気可逆機械内の空気に関する第2の温度値を測定するステップと、を含む。更に、本方法は、電力需要に応じて、ガスタービンに関連する第1の劣化曲線と、電気可逆機械に関連する第2の劣化曲線と、に対して冷媒流体の温度基準値を設定するステップと、電力需要に応じて、エアフィルタチャンバ内の空気が、第1の劣化曲線におけるガスタービンの所定の第1の電力値に関連する所定の第1の温度値に達するか、又は電気可逆機械内の空気が、第2の劣化曲線における電気可逆機械の所定の第2の電力値に関連する所定の第2の温度値に達するような方式で、チラーによって冷却される冷媒流体の流量を増加/減少させるために、それぞれの測定制御装置を介して第1の弁及び第2の弁を互いに独立して制御するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、第1の実施形態による冷却システムが設けられたターボ機械プラントの概略図であり、ターボ機械プラントは、エアフィルタチャンバ及びガスタービンを備えるガスタービンモジュールと、電気可逆機械及び電気可逆機械のためのVFD制御パネルを備える可変周波数駆動電気ユニットと、を備える。
【
図2A】
図2Aは、デカルト平面上のガスタービンに関連する第1の劣化曲線を示し、x軸はエアフィルタチャンバの入口における空気温度であり、y軸はガスタービンの出力である。
【
図2B】
図2Bは、デカルト平面上の電気可逆機械に関連する第2の劣化曲線を示し、x軸は電気可逆機械の入口における水温であり、y軸は電気機械の出力である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態によるターボ機械プラントの概略図を示す。
【
図4】
図4は、第3の実施形態によるターボ機械プラントの概略図を示す。
【
図5】
図5は、第4の実施形態によるターボ機械プラントに含まれるトレインの概略図を示す。
【
図6】
図6は、第5の実施形態によるターボ機械プラントに含まれるトレインの概略図を示す。
【
図7】
図7は、第6の実施形態によるターボ機械プラントに含まれるトレインの概略図を示す。
【
図8】
図8は、本開示による、少なくともガスタービンモジュールのエアフィルタチャンバ内の空気及び可変周波数駆動電気ユニットの電気可逆機械内の空気を冷却するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
電力生産の分野において、ターボ機械プラントは、ガスタービンと、電力を供給/吸収することができる電気可逆機械とを組み合わせて備える。電気可逆機械は、ガスタービンに電力を供給するときにガスタービンのヘルパーとして働き、電力を吸収するときにエネルギーを生産する。このターボ機械プラントは、電気機械が可逆的であり、VFD制御パネルが正しく動作するための冷却システムの存在を必要とする。したがって、熱ベクトル流体又は冷媒流体が、電気可逆機械及びVFD制御パネルにおいて使用される。チラーが使用されない限り、冷媒流体の実際の動作温度が周囲温度によって影響を受けるように、冷却システムは、動作条件を周囲温度の最大値で定義される最悪の動作条件に一致させるように設計される。チラーの採用(チラーの種類にかかわらず)は、エネルギーの望ましくない消費及び冷却システムの性能の効率の損失を意味する。なぜなら、冷却装置は、ニーズによって必要とされる所定の電力値を得るために必要とされる温度では動作せず、チラーが設計された固定温度、一般に5℃で動作するからである。したがって、本主題は、電力需要に基づいて温度及び流量を経時的に変化させることができるチラーによって冷却される水などの冷媒流体によって、少なくともガスタービンへの空気及び電気可逆機械への空気を冷却する冷却システムを備えるターボ機械プラントを対象とする。電力需要は、ガスタービンによって必要とされる電力又は電気可逆回路に必要とされる電力によって定義することができる。
【0022】
特に、エネルギーに関して高い性能を得ると同時に運転費用を削減するために、ガスタービン及び電気可逆機械(及び好ましくはVFD制御パネル)に関連するそれぞれの劣化曲線に基づいて、冷媒流体の温度及びその流量を経時的に変化させることが可能である。
【0023】
したがって、冷媒流体は、顧客のニーズによって要求される電力需要を満たすために動的制御を受ける。
【0024】
ここで、図面、特に本発明によるターボ機械プラントの第1の実施形態を示す
図1を参照する。
【0025】
ターボ機械プラントは、ガスタービンモジュール1及び可変周波数駆動電気ユニット2、並びに熱流体ベクトル又は冷媒流体を冷却するための冷却システムを備える。
【0026】
ガスタービンモジュール1は、ガスタービン10と、ガスタービン10に接続されたエアフィルタチャンバ11と、を備えている。エアフィルタチャンバ11は、ある量の冷媒流体がエアフィルタチャンバ11に入ることを可能にする第1の入口11Aと、ある量の冷媒流体がエアフィルタチャンバ及びガスタービンモジュール1から出ることを可能にする第2の出口11Bと、を有する。
【0027】
可変周波数駆動電気ユニット2は、電力を供給/吸収することができる電気可逆機械20を備え、そのため、電力を供給するとき、電気可逆機械20はガスタービン10のヘルパーとして機能し、電力を吸収するとき、電気可逆機械20はエネルギーを生産する。電気可逆機械20は、ある量の冷媒流体が電気可逆機械20に入ることを可能にする第2の入口21Aと、ある量の冷媒流体が電気可逆機械20から出ることを可能にする出口21Bと、を有する。
【0028】
特に、電気可逆機械20は、冷媒流体が熱交換器(冷媒流体/空気)を通過することによって閉ループ内の空気を冷却するように構成されたエアクーラーユニット21を備える。
【0029】
より詳細には、第2の入口21A及び第2の出口21Bは、エアクーラーユニット21に構成配置されている。
【0030】
冷却システムは、冷媒流体が温度基準値を有するように冷媒流体を冷却するように構成されている。開示されている第1の実施形態では、冷媒流体は水である。
【0031】
冷却システムは、流体冷媒を冷却するように構成された少なくとも1つのチラー5と、チラー5をエアフィルタチャンバ11に接続する少なくとも第1のラインL1と、チラー5を電気可逆機械20に接続する第2のラインL2と、を備えるだけでなく、チラー5に接続され、チラー5によって冷却された冷媒流体を、ある量の冷媒流体が第1の入口11Aを通ってエアフィルタチャンバ11に入るように、第1のラインL1内で圧送し、ある量の冷媒流体が第2の入口21Aを通って電気可逆機械20に入るように、第2のラインL2内で圧送するように構成された少なくとも1つの圧送装置6をも備える。
【0032】
エアフィルタチャンバ11内のある量の冷媒流体の通過は、エアフィルタチャンバ11内に存在する空気を冷却する一方で、エアフィルタチャンバ11内の空気が熱を冷媒流体に伝達するので冷媒流体が加熱され、電気可逆機械20内のある量の冷媒流体の通過は、電気可逆機械20内に存在する空気を冷却する一方で、電気可逆機械20内の空気が熱を冷媒流体に伝達し、したがって冷却されるので冷媒流体が加熱される。
【0033】
エアフィルタチャンバ11を通過した後、ある量の加熱された冷媒流体は、第4のラインL4上でエアフィルタチャンバ自体を出て、電気可逆機械20を通過した後、ある量の加熱された冷媒流体は、第5のラインL5上で電気可逆機械自体を出る。
【0034】
特に、チラー5は、ある量の冷媒流体がチラーに入ることを可能にする入口5Aと、ある量の冷媒流体がチラー5から出ることを可能にする出口5Bと、を有する。チラー5の出口5Bには、圧送装置6が接続されている。
【0035】
冷却システムはまた、チラー5の出口5Bに接続された供給ラインL7と、チラー5の入口5Aに接続された戻りラインL8と、を備える。供給ラインL7は第1ラインL1及び第2ラインL2に接続され、戻りラインL8は第4ラインL4及び第5ラインL5に接続されている。圧送装置6は、供給ラインL7上に構成配置されている。
【0036】
ターボ機械プラントは、データを記憶するための記憶手段7(メモリなど)と、チラー5、圧送装置6、及び記憶手段7に接続された制御中央ユニット8と、を更に備える。制御中央ユニット8は、I/Oモジュールとともにマイクロプロセッサ又はPLCによって実装され得るプログラマブルコントローラであり得る。制御中央ユニット8は、少なくとも記憶手段7に、所定の第1の温度値が所定の第1の電力値に関連付けられるガスタービン10に関連付けられた第1の劣化曲線と、所定の第2の温度値が所定の第2の電力値に関連付けられる電気可逆機械20に関連付けられた第2の劣化曲線と、を記憶するように構成される。所定の第1の温度値は、エアフィルタチャンバ11の入口11Aにおける空気の温度値であり、所定の第2の温度値は、電気可逆機械20の入口21Aにおける冷媒流体(すなわち、水)の温度値である。
【0037】
ガスタービン10に関する第1の劣化曲線の第1の例が
図2Aに示され、電気可逆機械に関する第2の劣化曲線の例が
図2Bに示される。
【0038】
冷却システムは、第1のラインL1上を流れるある量の冷媒流体の流量を変更するための第1の弁V1と、エアフィルタチャンバ11内の空気に関する第1の温度値を測定し、第1の弁V1を制御するように構成された第1の測定制御装置D1と、を更に備えるだけでなく、第2のラインL2上を流れるある量の冷媒流体の流量を変更するための少なくとも1つの第2の弁V2と、チラー5によって冷却された冷媒流体に関する第2の温度値を測定し、第2の弁V2を制御するように構成された少なくとも1つの第2の測定制御装置D2と、を更に備える。
【0039】
中央制御ユニット8は、
-冷媒流体の温度基準値を、チラー5を出る冷媒流体が温度基準値を有するように設定することと、
-圧送装置6を作動させることと、
-電力需要に応じて、エアフィルタチャンバ11内の空気が、第1の劣化曲線におけるガスタービン10の所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値に達するようにするため、又は電気可逆機械20内の空気が、第2の劣化曲線における電気可逆機械20の所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値に達するようにするため、チラー5によって冷却された冷媒流体の流量を増加/減少させるように、それぞれの測定制御装置D1、D2を介して各弁V1、V2を互いに独立して制御することと、を行うように構成される。
【0040】
特に、制御中央ユニット8は、第1の測定制御装置D1によって測定された第1の温度値と、電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応するガスタービン10の所定の第1の電力に関連付けられた所定の第1の温度値との間の差に基づいて第1の弁V1を制御し、第2の測定制御装置D2によって測定された第2の温度値と、電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する電気可逆機械20の所定の第2の電力に関連付けられた所定の第2の温度値との間の差に基づいて第2の弁V2を制御するように構成される。
【0041】
チラー5は、中央制御ユニット8と通信するように構成された論理制御ユニット51を備える。更に、論理制御ユニット51は、チラー5を出る冷媒流体の温度を測定及び制御するように構成された第4の測定制御装置D4に接続される。
【0042】
より具体的には、中央制御ユニット8は、チラー5の論理制御ユニット51に接続され、
-冷媒流体の温度基準値が、ガスタービン10によって必要とされる所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値と、電気可逆機械20によって必要とされる所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値との間の最小値であると決定することと、
-論理制御ユニット51がチラー5の温度値を温度基準値に等しく設定するように、チラー5の論理制御ユニット51に温度基準値を送信することと、を行うように構成される。
【0043】
中央制御ユニット8は、第1の測定制御装置D1が次に第1の弁V1を制御して、
-第1の測定制御装置D1によって測定された第1の温度値が、電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応するガスタービン10の所定の第1の電力に関連付けられた所定の第1の温度値よりも大きいとき、冷媒流体の流量を増加させることと、
-第1の測定制御装置D1によって測定された第1の温度値が、電力需要によって必要とされる第1の電力値に対応するガスタービン10の所定の第1の電力に関連付けられた所定の第1の温度値よりも小さいとき、冷媒流体の流量を減少させることと、を行うような方式で、第1の測定制御装置D1を制御するように構成される。
【0044】
更に、中央制御ユニット8は、冷媒流体の流量が第1の所定値未満に減少したときにチラー5をオフにするように構成される。
【0045】
中央制御ユニット8は、第2の測定制御装置D2が次に第2の弁V2を制御して、
-第2の測定制御装置D2によって測定された第2の温度値が、電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する電気可逆機械20の所定の第2の電力に関連付けられた所定の第2の温度値よりも大きいとき、冷媒流体の流量を増加させることと、
-第2の測定制御装置D2によって測定された第2の温度値が、電力需要によって必要とされる第2の電力値に対応する電気可逆機械20の所定の第2の電力に関連付けられた所定の第2の温度値よりも小さいとき、冷媒流体の流量を減少させることと、を行うような方式で、第2の測定制御装置D2を制御するように構成される。
更に、中央制御ユニット8は、冷媒流体の流量が第1の所定値とは異なる第2の所定値未満に減少したときにチラー5をオフにするように構成されている。
【0046】
図1に示すように、可変周波数駆動電気ユニット2は、電気可逆機械20を制御するように構成されたVFD制御パネル22を更に備え、冷却システムは、チラー5をVFD制御パネル22に接続する第3のラインL3、並びに第3のラインL3上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させる第3の弁V3、及びチラー5によって冷却された冷媒流体に関する第3の温度値を測定し、第3の弁V3を制御するように構成された第3の測定制御装置D3を備える。
【0047】
VFD制御パネル22は、ある量の冷媒流体がVFD制御パネル22に入ることを可能にする第3の入口22Aと、ある量の冷媒流体がVFD制御パネル22から出ることを可能にする出口22Bと、を有する。
【0048】
冷媒流体がVFD制御パネル22の内部を流れるとき、冷媒流体は、VFD制御パネル22の内部に構成配置された電気部品、特に電流を変調するための1つ又は複数の変調装置(そのような変調装置は静電スイッチ及び/又は1つ又は複数のトライスター(trystors)などを含む)を冷却し、一方、電気部品が熱を冷媒流体に伝達するので冷媒流体は加熱される。
【0049】
VFD制御パネル22を通過した後、ある量の加熱された冷媒流体が、第6のラインL6上でVFD制御パネル自体を出る。戻りラインL8は、第6ラインL6にも接続されている。
【0050】
圧送装置6は、チラー5によって冷却されたある量の冷媒流体を、第3のラインL3によってVFD制御パネル22内に圧送するように構成されている。
【0051】
制御中央ユニット8は、第3の測定制御装置D3に接続され、
-VFD制御パネル22に関連付けられた第3の劣化曲線を記憶手段7に記憶することであって、所定の第3の温度値は所定の第3の電力値に関連付けられる、記憶することと、
-電力需要に応じて、VFD制御パネル22内の冷媒流体が、第3の劣化曲線におけるVFD制御パネル22の所定の第3の電力値に関連付けられた所定の第3の温度値に達するような方式で、チラー5によって冷却された冷媒流体の流量を増加/減少させるために、第3の測定制御装置D3を介して、第1の弁V1及び第2の弁V2から独立して、第3の弁V3を制御することと、を行うように構成される。
【0052】
所定の第3の温度値は、VFD制御パネル22の入口22Aにおける冷媒流体(すなわち、水)の温度値である。
【0053】
特に、制御中央ユニット8は、第3の測定制御装置D3によって測定された第3の温度値と、電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応するVFD制御パネル22の所定の第3の電力に関連付けられた所定の第3の温度値との間の差に基づいて、第3の弁V3を制御するように構成される。
【0054】
より具体的には、中央制御ユニット8は、冷媒流体の温度基準値が、ガスタービン10によって必要とされる所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値と、電気可逆機械20によって必要とされる所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値と、VFD制御パネル22によって必要とされる所定の第3の電力値に関連付けられた所定の第3の温度値と、の間の最小値であると決定するように構成される。
【0055】
中央制御ユニット8は、第3の測定制御装置D3が次に第3の弁V3を制御して、
-第3の測定制御装置D3によって測定された第3の温度値が、電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応するVFD制御パネル22の所定の第3の電力に関連付けられた所定の第3の温度値よりも大きいとき、冷媒流体の流量を増加させることと、
-第3の測定制御装置D3によって測定された第3の温度値が、電力需要によって必要とされる第3の電力値に対応するVFD制御パネル22の所定の第3の電力に関連付けられた所定の第3の温度値よりも小さいとき、冷媒流体の流量を減少させることと、を行うような方式で、第3の測定制御装置D3を制御するように構成される。
更に、中央制御ユニット8は、冷媒流体の流量が、第1及び第2の所定値と異なるか、又は第1の所定値とのみ異なる第3の所定値未満に減少したとき(第2の劣化曲線が第3の劣化曲線に等しいとき)、チラー5をオフにするように構成される。
【0056】
冷却システムは、チラー5の入口5Aに直列に接続されたクーラー装置9を更に備える。クーラー装置9は、チラー5の入口5Aに接続された戻りラインL8上に構成配置されている。開示されている実施形態では、クーラー装置9はエアクーラー装置である。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、ウォータークーラー装置であってもよい。
【0057】
ターボ機械プラントは、プロセス圧縮機と呼ばれる第1の圧縮機4、好ましくは遠心圧縮機を備え、第1の圧縮機4は、ガスタービンモジュール1と可変周波数駆動電気ユニット2との間に構成配置される。好ましくは、圧縮機4は、自己同期クラッチ14によってガスタービン10に接続される。クーラー装置9は、冷媒流体を冷却するために消費されるエネルギーを低減する。なぜなら、一般に、クーラー装置は、使用時にチラーよりも少ない電力を吸収し、チラーは、クーラー装置が冷媒流体の温度を所望の温度にするために冷媒流体を冷却することができないときにのみオンにされるからである。
【0058】
したがって、いわゆる「トレインシステム」は、連続して構成配置されたガスタービンモジュール1、圧縮機4(すなわち、第1のプロセス圧縮機)、及び可変周波数駆動電気ユニット2を備える。
【0059】
一般に、動力源、伝達機器、及び圧縮機などの負荷を含むシステムは、「トレイン」、「トレインシステム」、あるいは「トレインプラント」と称される場合がある。
【0060】
図3に示されるターボ機械プラントの第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、冷却システムのクーラー装置9は、チラー5の入口5Aと出口5Bとの間に並列に接続される。特に、クーラー装置9は、供給ラインL7と戻りラインL8との間に構成配置されている。
【0061】
図4に示されるターボ機械プラントの第3の実施形態では、冷却システムには、第2のラインL2及び第3のラインL3を流れる冷媒流体のための単一の弁及び単一の測定制御装置が設けられている。
【0062】
そのような第3の実施形態は、VFD制御パネル22に関連付けられた第3の劣化曲線が電気可逆機械20に関連付けられた第2の劣化曲線に等しいときに使用されるものであり、したがって、冷却システムが電気可逆機械及びVFD制御パネルのためのそれぞれの弁及びそれぞれの測定制御装置を有する必要はない。
【0063】
したがって、上記で開示された第1の実施形態とは異なり、電気可逆機械20及びVFD制御パネル22に入るある量の冷媒流体の温度及び流量を制御するために、第2の弁V2及び測定制御装置D2のみが設けられる。
【0064】
第3のラインL3は、第2のラインL2が第1の部分L21と第2の部分L22とに細分されるように、点PにおいてVFD制御パネル22を第2のラインL2に接続する。第1の部分L21は、第7の部分L7によって点Pをチラー5の出口5Bに接続し、第2の部分L22は、点Pを電気可逆機械21の入口21Aに接続する。第2の弁V2は、第2のラインL2の第1の部分L21上に構成配置される。
【0065】
制御中央ユニット8は、VFD制御パネル22に関連付けられた第3の劣化曲線を記憶手段7に記憶するように構成される必要はなく、所定の第3の温度値は所定の第3の電力値に関連付けられる。実際、第3の劣化曲線は第2の劣化曲線に等しいので、制御中央ユニット8によって決定される温度基準値は、ガスタービン10によって必要とされる所定の第1の電力値に関連付けられた所定の第1の温度値と、電気可逆機械20によって必要とされる所定の第2の電力値に関連付けられた所定の第2の温度値との間の最小値であり、VFD制御パネル22によって必要とされる所定の第3の電力値に関連付けられた所定の第3の温度値に等しい。
【0066】
図に示されていない更なる実施形態では、上記で開示された実施形態とは異なり、冷却システムは、少なくとも2つのチラー及び2つの圧送装置を備えることができ、各チラーは、それぞれの量の冷媒流体を冷却するように構成され、各圧送装置は、それぞれのチラーに接続され、それぞれのチラーによって冷却されたそれぞれの量の冷媒流体を、それぞれのラインL1、L2を通してそれぞれエアフィルタチャンバ及び電気可逆機械に圧送するように構成される。特に、冷却システムは、3つのチラー及び3つの圧送装置を備えることができ、各チラーは、それぞれの量の冷媒流体を冷却するように構成され、各圧送装置は、それぞれの冷却装置に接続され、それぞれのラインL1、L2、L3をそれぞれ介して、それぞれのチラーによって冷却されたそれぞれの量の冷媒流体をエアフィルタチャンバ11内、電気可逆機械20内、及びVFD制御パネル22内にそれぞれ圧送するように構成される。
【0067】
図4、
図5、及び
図6は、各実施形態において取り付けられたトレインシステムを置き換えるために、上記で開示された実施形態の各々において使用され得るそれぞれのトレインシステムを示す。
【0068】
以下、各トレインシステムは、更なる実施形態が得られるように、上記で開示された第1の実施形態を参照して説明される。
【0069】
図5に示されるターボ機械プラントの第4の実施形態では、ターボ機械プラントは、第1の圧縮機4(すなわち、第1のプロセス圧縮機)、好ましくは遠心圧縮機を備え、ガスタービンモジュール1は、可変周波数駆動電気ユニット2と第1の圧縮機4との間に構成配置される。
【0070】
言い換えれば、トレインシステムは、連続して構成配置された可変周波数駆動電気ユニット2、ガスタービンモジュール1、及び圧縮機4を備える。
【0071】
図6に示されるターボ機械プラントの第5の実施形態では、ターボ機械プラントは、第1の圧縮機4(すなわち、第1のプロセス圧縮機)、好ましくは遠心圧縮機を備え、可変周波数駆動電気ユニット2は、ガスタービンモジュール1と第1の圧縮機4との間に構成配置される。好ましくは、可変周波数駆動電気ユニット2は、それぞれの自己同期クラッチ14によって第1の圧縮機4及びガスタービン10に接続される。
【0072】
言い換えれば、トレインシステムは、連続して構成配置されたガスタービンモジュール1、可変周波数駆動電気ユニット2、及び第1の圧縮機4を備える。
【0073】
図7に示されるターボ機械プラントの第6の実施形態では、ターボ機械プラントは、第1の圧縮機4と、第2の圧縮機42(すなわち、第2のプロセス圧縮機)と、第3の圧縮機43(すなわち、第3のプロセス圧縮機)と、可変周波数駆動電気ユニット2と、を備え、第3の圧縮機43は、第1の圧縮機4と第2の圧縮機42との間に構成配置され、第1の圧縮機4はガスタービンモジュール1に接続され、第2の圧縮機42は可変周波数駆動電気ユニット2に接続される。上述の圧縮機の各々は、プロセス圧縮機である。
【0074】
言い換えれば、トレインシステムは、連続して構成配置されたガスタービンモジュール1、第1の圧縮機4、第3の圧縮機43、第2の圧縮機42、及び可変周波数駆動電気ユニット2を備える。
【0075】
図8は、少なくともガスタービンモジュール1内のある量の空気及び可変周波数駆動電気ユニット2内のある量の空気を冷却するための方法を要約するフローチャートを示し、ガスタービンモジュール1はガスタービン10及びエアフィルタチャンバ11を備え、可変周波数駆動電気ユニット2は電気可逆機械20を備え、これは、冷媒流体を冷却するためのチラー5と、チラー5をエアフィルタチャンバ11に接続する第1のラインL1と、チラー5を電気可逆機械20に接続する第2のラインL2と、少なくとも第1のラインL1及び第2のラインL2内の冷媒流体を圧送するための圧送装置6と、を備えるだけでなく、第1のラインL1上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第1の弁V1と、エアフィルタチャンバ11内の空気に関する第1の温度値を測定し、第1の弁V1を制御するように構成された第1の測定制御装置D1と、第2のラインL2上を流れるある量の冷媒流体の流量を変化させるための第2の弁V2と、電気可逆機械20内の空気に関する第2の温度値を測定し、第2の弁V2を制御するように構成された第2の測定制御装置D2と、を備える冷却システムによるものである。
【0076】
本方法は、以下のステップ、すなわち、
圧送装置6によって冷媒流体を圧送するステップ101と、
第1の測定制御装置D1によって、エアフィルタチャンバ11内の空気に関する第1の温度値を測定するステップ102と、
第2の測定制御装置D2によって、電気可逆機械20内の空気に関する第2の温度値を測定するステップ103と、
電力需要に応じて、チラー5を出る冷媒流体の温度が温度基準値に等しくなるように、所定の第1の温度値が所定の第1の電力値に関連付けられるガスタービン10に関連付けられた第1の劣化曲線と、所定の第2の温度値が所定の第2の電力値に関連付けられる電気可逆機械20に関連付けられた第2の劣化曲線と、に対して、冷媒流体の温度基準値を設定するステップ104と、
電力需要に応じて、エアフィルタチャンバ11内の空気が、第1の劣化曲線におけるガスタービン10の所定の第1の出力値に関連付けられた所定の第1の温度値に達するか、又は
電気可逆機械20内の空気が、第2の劣化曲線における電気可逆機械20の所定の第2の電力値まで所定の温度値に達するような方式で、チラー5によって冷却される冷媒流体の流量を増加/減少させるために、それぞれの測定制御装置D1、D2を介して、第1の弁V1及び第2の弁V2を互いに独立して制御するステップ105と、含む。
【0077】
本技術的解決策の利点は、必要とされる運転費用を最小限に抑え、同時にターボ機械プラントの性能を最大化するように、電力需要に応じて、劣化曲線に基づいて経時的に熱流体ベクトル又は(水などの)流体冷媒の冷却を最適化することである。
【0078】
別の利点は、機械駆動ハイブリッドガスタービンを使用する可能性によって与えられる。
【0079】
更なる利点は、電力を供給する際の電気可逆機械の性能が、周囲温度によって影響を受けないことである。
【0080】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0081】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例が図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0082】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
Barzano & Zanardo Roma S.p.A.