(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】通知システムおよび通知方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20250214BHJP
G08B 21/14 20060101ALI20250214BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20250214BHJP
H04M 11/00 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/14
G08B21/02
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2021148470
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2024-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】714006510
【氏名又は名称】株式会社マーベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】北村 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】東 航太朗
(72)【発明者】
【氏名】木戸 稔人
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-071621(JP,A)
【文献】特開2000-090366(JP,A)
【文献】特開2000-186840(JP,A)
【文献】特開2016-173732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/02
G08B 21/14
H04M 11/00
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果の履歴を記憶する記憶部と、
前記取得部により新たに取得された前記計測結果および計測時刻と、前記記憶部に保存されている前記履歴とに基づいて、部屋における人の行動を監視する第1の監視を行う監視部と、
前記監視部による監視結果を通知する通知部とを備え
、
前記監視部は、特定の部屋の前記履歴と、新たに取得された他の部屋の前記計測結果および計測時刻とに基づいて、前記第1の監視を行う、通知システム。
【請求項2】
前記監視部は、前記特定の部屋の前記履歴に含まれる前記計測結果であって、新たに取得された前記計測時刻と同じ計測時刻における前記特定の部屋の前記計測結果と、新たに取得された前記他の部屋の前記計測結果とに基づいて、前記第1の監視を行う、請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記特定の部屋の前記履歴は
、寝室の前記履歴
である、請求項1
または請求項2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記監視部は、さらに、特定の部屋の前記計測結果が所定条件を満たした回数と、前記回数の履歴とに基づいて、人の行動を監視する第2の監視を行う、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項5】
前記通知システムは、さらに、
前記監視部の監視対象である1または複数の部屋を換気する換気装置を備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項6】
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果の履歴を記憶する記憶部と、
前記取得部により新たに取得された前記計測結果および計測時刻と、前記記憶部に保存されている前記履歴とに基づいて、部屋における人の行動を監視する第1の監視を行う監視部と、
前記監視部による監視結果を通知する通知部とを備え、
前記監視部は、複数の部屋の前記計測結果の合計値の前記履歴と、新たに取得された前記複数の部屋の前記計測結果の合計値および計測時刻とに基づいて、前記第1の監視を行う、通知システム。
【請求項7】
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果の履歴を記憶する記憶部と、
前記取得部により新たに取得された前記計測結果および計測時刻と、前記記憶部に保存されている前記履歴とに基づいて、部屋における人の行動を監視する第1の監視を行う監視部と、
前記監視部による監視結果を通知する通知部とを備え、
前記取得部は、前記計測結果に対応する計測日をさらに取得し、
前記記憶部は、平日の前記履歴および休日の前記履歴を記憶し、
前記監視部は、前記取得部により新たに取得された前記計測日が平日である場合、前記記憶部に保存されている平日の前記履歴を用いて前記第1の監視を行い、
前記監視部は、前記取得部により新たに取得された前記計測日が休日である場合、前記記憶部に保存されている休日の前記履歴を用いて前記第1の監視を行う、通知システム。
【請求項8】
通知システムにおける通知方法であって、
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得するステップと、
取得した前記計測結果を保存するステップと、
新たに取得した前記計測結果および計測時刻と、保存している前記計測結果の履歴とに基づいて、部屋における人の行動の監視を行うステップと、
前記監視の結果を通知するステップとを含
み、
前記監視を行うステップにおいて、特定の部屋の前記履歴と、新たに取得された他の部屋の前記計測結果および計測時刻とに基づいて、前記監視を行う、通知方法。
【請求項9】
通知システムにおける通知方法であって、
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得するステップと、
取得した前記計測結果を保存するステップと、
新たに取得した前記計測結果および計測時刻と、保存している前記計測結果の履歴とに基づいて、部屋における人の行動の監視を行うステップと、
前記監視の結果を通知するステップとを含み、
前記監視を行うステップにおいて、複数の部屋の前記計測結果の合計値の前記履歴と、新たに取得した前記複数の部屋の前記計測結果の合計値および計測時刻とに基づいて、前記監視を行う、通知方法。
【請求項10】
通知システムにおける通知方法であって、
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得するステップと、
取得した前記計測結果を保存するステップと、
新たに取得した前記計測結果および計測時刻と、保存している前記計測結果の履歴とに基づいて、部屋における人の行動の監視を行うステップと、
前記監視の結果を通知するステップとを含み、
前記計測結果を取得するステップにおいて、前記計測結果に対応する計測日をさらに取得し、
前記監視を行うステップにおいて、新たに取得した前記計測日が平日である場合、保存している前記計測結果の平日の前記履歴を用いて前記監視を行い、
前記監視を行うステップにおいて、新たに取得した前記計測日が休日である場合、保存している前記計測結果の休日の前記履歴を用いて前記監視を行う、通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知システムおよび通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅などの建物内における高齢者または子供の見守りに関する技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2012-73989号公報)には、人またはペットが生命の危機に関わる状態であるか否かを監視する生命危機検知装置が開示されている。すなわち、生命危機検知装置は、赤外線の変化量を検知するセンサから検出した変化量に変化があった場合、人やペットが存在すると判断し、赤外線の量を検知するセンサから検出した赤外線の量が所定の値以下になるまで経過時間を監視し、経過時間が所定の時間を超えた時に当該の人やペットが生命の危機に関わる可能性がある状態であると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の生命危機検知装置のように、赤外線センサにより検出された赤外線の変化量に基づいて、監視対象である人の状態を監視する場合、部屋の中で赤外線が届かない領域、すなわち死角となる領域が存在する可能性があり、監視対象である人の状態を正確に判断できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、部屋における人の行動をより正確に監視して通知することのできる通知システムおよび通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通知システムは、二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記計測結果の履歴を記憶する記憶部と、前記取得部により新たに取得された前記計測結果および計測時刻と、前記記憶部に保存されている前記履歴とに基づいて、部屋における人の行動を監視する第1の監視を行う監視部と、前記監視部による監視結果を通知する通知部とを備える。
【0007】
ここで、赤外線センサを用いて監視対象である人の状態を監視する場合、部屋の中で死角となる領域が存在する可能性、および人と動物とを判別できない可能性などがあり、監視対象である人の状態を正確に判断できないおそれがある。また、カメラによる撮像画像を用いて監視対象である人の状態を監視する場合、赤外線と同様に、死角となる領域が存在する可能性があったり、プライバシーの面での抵抗感があったりするという問題がある。
【0008】
これに対して、二酸化炭素の濃度の計測結果を用いて監視対象である人の行動を監視する構成により、誤検知を防ぎ、かつプライバシー面での抵抗感を抑えることができる。また、赤外線センサおよびカメラと比べてセンサの設置場所の自由度が高いため、部屋の形等の影響を受けることなく、通知システムを容易に構築することができる。
【0009】
また、二酸化炭素の濃度の計測結果の履歴を用いる構成により、監視対象である人の、普段の行動との違いをより正確に検知することができる。したがって、部屋における人の行動をより正確に監視して通知することができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記監視部は、新たに取得された特定の部屋の前記計測結果および計測時刻と、前記特定の部屋の前記履歴とに基づいて、前記第1の監視を行う。
【0011】
このような構成により、現在、監視対象である人が特定の部屋にいるか否かを判断することができ、さらに、当該人の特定の部屋における普段の行動を特定することができるため、当該人の現在の行動が普段と異なる行動であるか否かを容易かつ正確に判断することができる。
【0012】
(3)好ましくは、前記監視部は、特定の部屋の前記履歴と、新たに取得された他の部屋の前記計測結果および計測時刻とに基づいて、前記第1の監視を行う。
【0013】
このような構成により、現在、監視対象である人が、特定の部屋以外の他の部屋にいるか否かを判断することができる、さらに、当該人の特定の部屋における普段の行動を特定することができるため、当該人の現在の行動が普段と異なる行動であるか否かを容易かつ正確に判断することができる。
【0014】
(4)好ましくは、前記監視部は、複数の部屋の前記履歴と、新たに取得された前記複数の部屋の前記計測結果および計測時刻とに基づいて、前記第1の監視を行う。
【0015】
このような構成により、複数の部屋における人の行動の監視を行うことができるため、たとえば、建物内に人が存在するか否かを判断することができる。
【0016】
(5)好ましくは、前記監視部は、少なくとも寝室の前記履歴に基づいて、前記第1の監視を行う。
【0017】
このような構成により、監視対象である人が普段寝室にいる時間を特定することができるため、当該人の現在の行動を監視することで、当該人が体調不良であるか否か、または体調を崩しやすい状態であるか否かなどの判断を行うことができる。
【0018】
(6)好ましくは、前記監視部は、さらに、特定の部屋の前記計測結果が所定条件を満たした回数と、前記回数の履歴とに基づいて、人の行動を監視する第2の監視を行う。
【0019】
このような構成により、たとえば、監視対象である人のトイレの利用回数の変化を監視することができるため、当該人の加齢による老化の進行状況などを判断することができる。
【0020】
(7)好ましくは、前記通知システムは、さらに、前記監視部の監視対象である1または複数の部屋を換気する換気装置を備える。
【0021】
ここで、換気装置が設けられていない場合、部屋から人が出た場合であっても、当該部屋では二酸化炭素の濃度が高い状態が維持されるため、当該部屋に人がいるか否かの判断を正確に行うことができない可能性がある。これに対して、通知システムが換気装置を備える構成により、換気が行われる部屋では、当該部屋における人の在不在に応じた二酸化炭素の濃度変化を観測することができるため、当該部屋に人がいるか否かの判断をより正確に行うことができる。
【0022】
また、通知システムが、換気装置と、二酸化炭素の濃度を計測するセンサとの両方を備える構成により、たとえば、換気装置が、当該センサの計測結果に基づいて部屋の換気を行う場合、当該部屋の換気を良好に行うことができ、かつ換気を良好に行うためのセンサを流用することにより、人の行動を監視することができる。
【0023】
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通知方法は、通知システムにおける通知方法であって、二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得するステップと、取得した前記計測結果を保存するステップと、新たに取得した前記計測結果および計測時刻と、保存している前記計測結果の履歴とに基づいて、部屋における人の行動の監視を行うステップと、前記監視の結果を通知するステップとを含む。
【0024】
ここで、赤外線センサを用いて監視対象である人の状態を監視する場合、部屋の中で死角となる領域が存在する可能性、および人と動物とを判別できない可能性などがあり、監視対象である人の状態を正確に判断できないおそれがある。また、カメラによる撮像画像を用いて監視対象である人の状態を監視する場合、赤外線と同様に、死角となる領域が存在する可能性があったり、プライバシーの面での抵抗感があったりするという問題がある。
【0025】
これに対して、二酸化炭素の濃度の計測結果を用いて監視対象である人の行動を監視する方法により、誤検知を防ぎ、かつプライバシー面での抵抗感を抑えることができる。また、赤外線センサおよびカメラと比べてセンサの設置場所の自由度が高いため、部屋の形等の影響を受けることなく、通知システムを容易に構築することができる。
【0026】
また、二酸化炭素の濃度の計測結果の履歴を用いる方法により、監視対象である人の、普段の行動との違いをより正確に検知することができる。したがって、部屋における人の行動をより正確に監視して通知することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、部屋における人の行動をより正確に監視して通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る通知システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る監視装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る監視装置における履歴作成部により作成される履歴の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る監視装置における履歴作成部により作成される履歴の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る監視装置における履歴作成部により作成される履歴の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第2の監視の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る監視装置における記憶部に保存される、トイレの利用回数のカウント値の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る監視装置からの監視情報を受信する端末装置の画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係る通知システムにおける監視装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0030】
<構成および基本動作>
[通知システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る通知システムの構成を示す図である。
【0031】
図1を参照して、通知システム201は、たとえば住宅などの建物における部屋Rに設けられる1または複数のセンサ151と、監視装置101とを備える。
【0032】
図1では、一例として、建物に含まれる8つの部屋Rである部屋R1~R8と、8つの部屋R1~R8にそれぞれ設けられる8つのセンサ151A~151Hとを示している。部屋Rには、リビングおよび寝室等の居室だけでなく、トイレおよび浴室等も含まれる。
【0033】
各センサ151は、自己が設けられた部屋Rの二酸化炭素の濃度(以下、単に「CO2濃度」と称する。)を計測し、計測結果を示す計測情報を、外部ネットワーク161経由で監視装置101へ送信する。より詳細には、各センサ151は、たとえば、自己の識別情報、CO2濃度の計測結果、計測時刻および計測日を示す計測情報を、外部ネットワーク161を介して1分周期で監視装置101へ送信する。
【0034】
なお、監視装置101は、建物内に設けられてもよい。この場合、各センサ151は、外部ネットワーク161を介することなく、建物における無線通信または有線通信によって計測情報を監視装置101へ送信する。
【0035】
通知システム201は、さらに、建物における1または複数の部屋Rを換気する図示しない換気装置を備える。換気装置は、たとえば、各部屋Rに設けられた、ファンまたは扇風機などの送風機、部屋Rへ空気を流入させるための給気口、および部屋Rの空気を外部へ排出するための排気口、ならびに各送風機の回転数を制御する制御部を含み、各部屋Rの換気を行うことができる。
【0036】
監視装置101は、各センサ151から送信された計測情報を外部ネットワーク161経由で受信し、受信した複数の計測情報に基づいて、部屋Rにおける人の行動を監視する。そして、監視装置101は、たとえば、監視結果を示す監視情報を、外部ネットワーク161経由でユーザの端末装置171へ送信することにより、当該監視結果をユーザに通知する。
【0037】
なお、各センサ151は、計測情報を監視装置101へ送信する機能を有していなくてもよい。たとえば、各センサ151は、建物内に設けられたホームゲートウェイ等の図示しない通信機へ、無線通信または有線通信によって計測情報を送信し、当該通信機が、各センサ151からの計測情報を外部ネットワーク161経由で監視装置101へ送信してもよい。
【0038】
また、換気装置における制御部は、センサ151からの計測情報を受信し、受信した計測情報に基づいて、当該センサ151が設けられた部屋Rの送風機の回転数を制御する構成であってもよい。この場合、制御部は、たとえば、当該部屋RのCO2濃度が所定の閾値以上である場合、対応する送風機の回転数を上げる制御を行う。
【0039】
また、通知システム201は、換気装置を備える構成に限定されず、換気装置を備えない構成であってもよい。
【0040】
[監視装置]
図2は、本発明の実施の形態に係る監視装置の構成を示す図である。
【0041】
図2を参照して、監視装置101は、受信部(取得部)10と、記憶部11と、履歴作成部12と、監視部13と、通知部14とを含む。履歴作成部12および監視部13は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部11は、たとえば不揮発性メモリである。
【0042】
(計測情報の受信および保存)
受信部10は、各センサ151から送信された計測情報を外部ネットワーク161経由で受信し、たとえば、受信した計測情報と、計測が行われた曜日とを対応づけて記憶部11に保存する。これにより、記憶部11には、センサ151の識別情報と、当該センサ151によるCO2濃度の計測結果と、計測時刻と、計測日と、計測が行われた曜日とが対応付けられて蓄積される。
【0043】
また、記憶部11には、各部屋Rの識別情報と、各部屋Rに設けられたセンサ151の識別情報との対応関係を示す対応テーブルが保存されている。
【0044】
(履歴の作成および更新)
履歴作成部12は、記憶部11に保存されている、対応テーブル、複数の計測情報、および各計測情報に対応する曜日を参照して、部屋Rごとに、CO2濃度の計測結果の時系列変化の履歴(以下、単に「履歴Mh」とも称する。)を作成する。そして、履歴作成部12は、作成した部屋Rごとの履歴Mhを記憶部11に保存する。
【0045】
また、履歴作成部12は、記憶部11に新たに保存された1または複数の計測情報に基づいて、定期的または不定期に、各部屋Rの履歴Mhの更新を行う。
【0046】
図3および
図4は、本発明の実施の形態に係る監視装置における履歴作成部により作成される履歴の一例を示す図である。
図3および
図4において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0047】
図3を参照して、履歴作成部12は、たとえば、同一のセンサ151による計測結果であって、月曜から金曜まで(以下、「平日」と称する。)の同一の計測時刻に対応する複数の計測結果の平均値を、計測時刻ごとに算出する。これにより、履歴作成部12は、当該センサ151に対応する部屋Rの平日の履歴Mh1を作成する。
【0048】
図3に示すグラフX61は、部屋R6における履歴Mh1の一例であり、平日の同一の計測時刻に対応する複数の計測結果の平均値の、1日における時系列変化を示す。
【0049】
図4を参照して、履歴作成部12は、たとえば、同一のセンサ151による計測結果であって、土曜および日曜(以下、「休日」と称する。)の同一の計測時刻に対応する複数の計測結果の平均値を、計測時刻ごとに算出する。これにより、履歴作成部12は、当該センサ151に対応する部屋Rの休日の履歴Mh2を作成する。
【0050】
図4に示すグラフX62は、部屋R6における履歴Mh2の一例であり、休日の同一の計測時刻に対応する複数の計測結果の平均値の、1日における時系列変化を示す。
【0051】
なお、履歴作成部12は、
図3および
図4に示すような、平日と休日とに分けた部屋Rごとの履歴Mh1,Mh2を作成する構成に限らず、たとえば、曜日ごとに分けた、部屋Rごとの履歴Mhを作成する構成であってもよい。
【0052】
(人の行動の監視および通知)
監視部13は、記憶部11に新たに保存された計測情報の示す計測結果および計測時刻、ならびに記憶部11に保存されている履歴Mhに基づいて、部屋Rにおける人の行動を監視する第1の監視を行う。
【0053】
より詳細には、監視部13は、第1の監視として、監視対象である人が普段と異なる行動をしているか否かを監視する。そして、監視部13は、たとえば、監視対象である人が異常な行動、すなわち普段と異なる行動をしていると判断した場合、当該人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0054】
また、監視部13は、さらに、記憶部11に保存されている対応テーブルおよび複数の計測情報に基づいて、特定の部屋RのCO2濃度の計測結果が所定条件を満たした回数と、当該回数の履歴とに基づいて、人の行動を監視する第2の監視を行う。
【0055】
より詳細には、監視部13は、たとえば、トイレにおけるCO2濃度の計測結果が所定条件を満たした回数と、当該回数の履歴とに基づいて、監視対象である人のトイレの利用回数の変化を監視する。そして、監視部13は、ある時期と比較して、トイレの利用回数が著しく増加した場合、当該人のトイレの利用回数が増加した旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0056】
記憶部11には、監視対象である人の監視を行うユーザの端末装置171の識別情報等が予め保存されている。
【0057】
通知部14は、監視部13から出力された監視情報を受けると、記憶部11に保存されている端末装置171の識別情報等を確認して、当該監視情報を外部ネットワーク161経由で端末装置171へ送信する通知処理を行う。これにより、監視装置101による監視結果を、ユーザに通知することができる。
【0058】
[第1の監視の具体例]
(例1)体調不良であるか否かの監視
監視部13は、第1の監視として、たとえば、記憶部11に新たに保存された、特定の部屋RのCO2濃度の計測結果および計測時刻、ならびに記憶部11に保存されている当該部屋Rの履歴Mhに基づいて、監視対象である人が体調不良であるか否かの監視を行う。ここでは、特定の部屋Rは寝室であり、部屋R6が寝室であることが監視装置101に予め登録されているとする。
【0059】
図5は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の一例を説明するための図である。
図5において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0060】
図5に示すグラフG1,G2,G4,G6は、それぞれ、部屋R1,R2,R4,R6の今日のCO2濃度の時系列変化を示す。
図5では、グラフを見やすくするため、8つの部屋R1~R8のうちの一部である4つの部屋R1,R2,R4,R6における今日のCO2濃度の時系列変化を示している。
【0061】
図5を参照して、監視部13は、記憶部11に保存されている対応テーブルおよび複数の計測情報を参照して、寝室である部屋R6の今日のCO2濃度の計測結果、すなわち
図5に示すグラフG6を確認する。
【0062】
そして、監視部13は、今日が平日である場合、記憶部11に保存されている部屋R6の平日の履歴Mh1、すなわち
図3に示すグラフX61と、部屋R6の今日のCO2濃度、すなわち
図5に示すグラフG6とを比較することにより、寝室における人の行動を監視する。
【0063】
具体的には、
図3に示すように、平日においては、部屋R6のCO2濃度が、0時から6時頃までの時間において700PPM以上となり、6時頃から23時頃までの時間において700PPM未満となる傾向であるとする。
【0064】
これに対して、
図5のグラフG6に示すように、部屋R6の今日のCO2濃度が、0時から11時頃までの時間において700PPM以上であるとする。この場合、監視部13は、普段と異なり、監視対象である人が11時頃においても寝室にいるため、体調不良により寝込んでいる可能性があると判断する。そして、監視部13は、たとえば、当該人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0065】
また、今日が休日である場合、監視部13は、記憶部11に保存されている部屋R6の休日の履歴Mh2、すなわち
図4に示すグラフX62と、部屋R6の今日のCO2濃度、すなわち
図5に示すグラフG6とを比較することにより、寝室における人の行動を監視する。
【0066】
なお、監視部13は、監視対象である人が異常な行動をしている旨に加えて、または当該人が異常な行動をしている旨の代わりに、当該人が11時においても寝室にいて、体調不良の可能性がある旨などを示す監視情報を出力してもよい。
【0067】
また、部屋R6が寝室であることが監視装置101に予め登録されていなくてもよい。この場合、たとえば、監視部13は、各部屋Rの履歴Mhに基づいて、部屋R6が寝室であると特定する。
【0068】
(例2)体調を崩しやすい状態であるか否かの監視
監視部13は、第1の監視として、たとえば、記憶部11に保存されている特定の部屋Rの履歴Mh、ならびに記憶部11に新たに保存された、他の部屋RのCO2濃度の計測結果および計測時刻に基づいて、監視対象である人が体調を崩しやすい状態であるか否かの監視を行う。
【0069】
ここでは、特定の部屋Rは寝室であり、他の部屋Rはリビングであり、部屋R4がリビングであり、部屋R6が寝室であることが監視装置101に予め登録されているとする。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
図6において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0071】
図6に示すグラフG1,G2,G4,G6は、それぞれ、部屋R1,R2,R4,R6の今日のCO2濃度の時系列変化を示す。
図6では、
図5と同様に、グラフを見やすくするため、部屋R1~R8のうちの一部である4つの部屋R1,R2,R4,R6における今日のCO2濃度の時系列変化を示している。
【0072】
図6を参照して、監視部13は、記憶部11に保存されている対応テーブルおよび複数の計測情報を参照して、リビングである部屋R4の今日のCO2濃度、すなわち
図6に示すグラフG4を確認する。
【0073】
そして、監視部13は、今日が平日である場合、記憶部11に保存されている部屋R6の平日の履歴Mh1、すなわち
図3に示すグラフX61と、部屋R4の今日のCO2濃度、すなわち
図6に示すグラフG4とを用いて、リビングにおける人の行動を監視する。
【0074】
具体的には、
図3に示すように、平日においては、上述のとおり、部屋R6のCO2濃度が、0時から6時頃までの時間において700PPM以上となり、6時頃から23時頃までの時間において700PPM未満となる傾向であるとする。
【0075】
これに対して、
図6のグラフG4,G6に示すように、今日の0時から2時頃までの時間において、部屋R6のCO2濃度は500PPM未満である一方で、部屋R4のCO2濃度は750PPM以上であるとする。
【0076】
この場合、監視部13は、普段と異なり、監視対象である人が0時から2時頃までにおいてリビングにいるため、リビングで寝ている、または夜更かししている可能性があり、体調を崩しやすい状態であると判断する。そして、監視部13は、たとえば、当該人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0077】
また、今日が休日である場合、監視部13は、記憶部11に保存されている部屋R6の休日の履歴Mh2、すなわち
図4に示すグラフX62と、部屋R4の今日のCO2濃度の時系列変化、すなわち
図6に示すグラフG4とを用いることにより、リビングにおける人の行動を監視する。
【0078】
なお、監視部13は、監視対象である人が異常な行動をしている旨に加えて、または当該人が異常な行動をしている旨の代わりに、当該人が0時から2時頃までにおいてリビングにいるため、リビングで寝ている、または夜更かししている可能性があり、体調を崩しやすい状態である旨などを示す監視情報を出力してもよい。
【0079】
また、部屋R4がリビングであることが監視装置101に予め登録されていなくてもよい。この場合、たとえば、監視部13は、各部屋Rの履歴Mhに基づいて、部屋R4がリビングであると特定する。
【0080】
(例3)人の有無の監視
監視部13は、第1の監視として、たとえば、記憶部11に保存されている複数の部屋Rの履歴Mh、ならびに記憶部11に新たに保存された、複数の部屋RにおけるCO2濃度の計測結果および計測時刻に基づいて、部屋Rにおける人の有無の監視を行う。
【0081】
図7は、本発明の実施の形態に係る監視装置における履歴作成部により作成される履歴の一例を説明するための図である。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0082】
より詳細には、
図7を参照して、履歴作成部12は、
図3および
図4に示す履歴Mh1,Mh2の代わりに、または
図3および
図4に示す履歴Mh1,Mh2に加えて、
図7に示すような履歴Mh3を作成する。
【0083】
たとえば、履歴作成部12は、各センサ151A~151Hからの計測結果であって、同一の計測時刻に対応する複数の計測結果の合計値を、計測時刻ごとに算出する。これにより、履歴作成部12は、各部屋RのCO2濃度の合計値の時系列変化を示す履歴Mh3を作成する。履歴作成部12は、たとえば、このような履歴Mhを曜日ごとに作成し、作成した各曜日の履歴Mh3を記憶部11に保存する。
【0084】
図7に示すグラフXsは、月曜における履歴Mh3の一例であり、同一の計測時刻に対応する各部屋RのCO2濃度の合計値の、1日における時系列変化を示す。
【0085】
履歴作成部12は、定期的または不定期に、記憶部11に新たに保存された複数の計測情報を参照して、記憶部11に保存されている曜日ごとの履歴Mh3を更新する。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
図8において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
図8に示すグラフは、同一の計測時刻に対応する各部屋RのCO2濃度の合計値の、今日の時系列変化を示す。
【0087】
監視部13は、記憶部11に保存されている対応テーブルおよび複数の計測情報を参照して、各部屋Rの今日のCO2濃度の合計値、すなわち
図8に示すグラフを確認する。そして、監視部13は、各部屋Rの今日のCO2濃度の合計値と、
図7に示す履歴Mh3とに基づいて、建物内において人が存在するか否かを判断する。
【0088】
具体的には、
図7に示すように、月曜においては、13時頃から17時40分頃までの時間において、各部屋RのCO2濃度の合計値が約3600PPMであるとする。部屋Rに人が存在しない場合、当該部屋RのCO2濃度は400PPM~500PPMになる。このため、監視部13は、8つの部屋RのCO2濃度の合計値が約3600PPMである時間、すなわち月曜の13時頃から17時40分頃までの時間においては、建物内において人が存在しない傾向であると判断する。
【0089】
これに対して、今日が月曜であって、
図8に示すように、各部屋Rの今日のCO2濃度の合計値が、13時頃に約3600PPMまで下がった後、13時45分頃から上昇し、14時30分頃において約3800PPMまで上がったとする。
【0090】
この場合、監視部13は、普段と異なり、建物内において人が存在していると判断する。そして、監視部13は、たとえば、人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0091】
なお、監視部13は、人が異常な行動をしている旨に加えて、または人が異常な行動をしている旨の代わりに、13時45分頃から建物内において人が存在するため、監視対象である人が普段よりも早く帰宅した、または不審者が侵入した可能性がある旨などを示す監視情報を出力してもよい。
【0092】
また、監視部13は、各部屋RのCO2濃度の合計値を確認する代わりに、他の方法を用いて、建物内において人が存在するか否かを判断してもよい。
【0093】
図9は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第1の監視の他の例を説明するための図である。
図9において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0094】
図9に示すグラフG2,G4,G5,G6,G8は、それぞれ、部屋R2,R4,R5,R6,R8の今日のCO2濃度の時系列変化を示す。
図9では、
図5および
図6と同様に、グラフを見やすくするため、部屋R1~R8のうちの一部である5つの部屋R2,R4,R5,R6,R8における今日のCO2濃度の時系列変化を示している。
【0095】
監視部13は、たとえば、
図9に示す部屋Rごとの今日のCO2濃度と、
図7に示す履歴Mh3とに基づいて、建物内において人が存在するか否かを判断してもよい。
【0096】
具体的には、
図7に示すように、月曜においては、13時頃から17時40分頃までの時間において、各部屋RのCO2濃度の合計値が約3600PPMであるとする。この場合、監視部13は、上述のとおり、月曜の13時頃から17時40分頃までの時間においては、建物内において人が存在しない傾向であると判断する。
【0097】
これに対して、今日が月曜であって、
図9に示すように、13時頃において部屋R2,R4,R5,R6,R8のCO2濃度がいずれも約450PPMであるとする。また、部屋R4のCO2濃度が、13時45分頃から上昇し、14時30分頃において約520PPMまで上がったとする。
【0098】
この場合、監視部13は、普段と異なり、部屋R4に人が存在していると判断する。そして、監視部13は、たとえば、人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0099】
なお、監視部13は、人が異常な行動をしている旨に加えて、または人が異常な行動をしている旨の代わりに、13時45分頃から部屋R4に人が存在するため、監視対象である人が普段よりも早く帰宅した、または不審者が侵入した可能性がある旨などを示す監視情報を出力してもよい。
【0100】
また、監視部13は、例1~例3のすべての第1の監視を行う構成に限らず、例1~例3のうちのいずれか1つまたは2つの第1の監視を行う構成であってもよい。
【0101】
また、監視部13は、例1~例3において説明した方法以外の方法により、部屋Rにおける人の行動を監視してもよい。
【0102】
また、監視部13は、複数の部屋RのCO2濃度が所定値Th1以上である場合、または1つの部屋RのCO2濃度が所定値Th2以上である場合、建物内において複数の人がいると判断してもよい。この場合、監視部13は、たとえば、例1~例3のうちの少なくともいずれか1つの第1の監視により、監視対象である人が異常な行動をしていると判断した場合であっても、建物内において、監視対象である人の他に別の人が存在するため、ユーザに対する監視結果の通知を行う必要はないと判断して、通知部14への監視情報の出力を行わない。
【0103】
また、受信部10は、計測情報に受信した曜日を対応づける際、受信した日が祝日である場合には、受信した日が祝日であることを計測情報にさらに対応づけてもよい。この場合、履歴作成部12および監視部13は、受信された日が祝日であることが対応付けられた計測情報については、たとえば、休日に受信された計測情報と同様に処理する。
【0104】
[第2の監視の詳細]
監視部13は、上述のとおり、たとえば、トイレにおけるCO2濃度の計測結果が所定条件を満たした回数と、当該回数の履歴とに基づいて、監視対象である人のトイレの利用回数の変化を監視する第2の監視を行う。
【0105】
図10は、本発明の実施の形態に係る監視装置における監視部による第2の監視の一例を説明するための図である。
図10において、横軸は時間を示し、縦軸はCO2濃度を示す。
【0106】
より詳細には、
図10を参照して、ここでは、監視装置101に対して、部屋R1がトイレであることが予め登録されているとする。この場合、監視部13は、記憶部11に保存されている対応テーブルおよび複数の計測情報を参照して、たとえば、1か月間におけるトイレの利用回数をカウントし、カウント値を記憶部11に保存する。
【0107】
たとえば、監視部13は、
図10において矢印で示すように、トイレのCO2濃度が、550PPM以上になった後、550PPM未満となった場合に、カウント値をインクリメントする。
【0108】
図11は、本発明の実施の形態に係る監視装置における記憶部に保存される、トイレの利用回数のカウント値の一例を示す図である。
【0109】
図11を参照して、記憶部11には、たとえば、2022年以降の1月~12月までの各月の、監視部13によりカウントされたカウント値を示すカウント値テーブルTが保存されている。
【0110】
監視部13は、たとえば月ごとに、記憶部11に新たに保存された、部屋R1に対応するセンサ151Aからの複数の計測情報を参照して、記憶部11に保存されているカウント値テーブルTを更新する。
【0111】
また、監視部13は、定期的または不定期に、カウント値テーブルTを参照して、ある時期と比較して、トイレの利用回数が著しく増加した場合、たとえば、監視対象である人のトイレの利用回数が増加した旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0112】
具体的には、2023年から宅内において一人暮らしが開始されたことが監視装置101に予め登録されているとする。この場合、監視部13は、たとえば、今月のトイレの利用回数と、一人暮らしが開始された2023年における、今月と同じ月のトイレの利用回数とを比較する。
【0113】
ここでは、2027年の10月のカウント値が最新のカウント値であるとする。すなわち、2027年の10月が「今月」であるとする。監視部13は、今月のカウント値が、2023年の10月のカウント値と比較して所定値Th3以上大きい値であるか否かを確認する。所定値Th3は、たとえば70である。
【0114】
図11に示すように、2023年の10月のカウント値が「221」であるのに対して、2027年の10月のカウント値が「292」であり、70以上大きい値となっている。このため、監視部13は、トイレの利用回数が著しく増加したと判断し、トイレの利用回数が増加した旨の監視情報を通知部14へ出力する。
【0115】
なお、監視部13は、トイレの利用回数が増加した旨に加えて、またはトイレの利用回数が増加した旨の代わりに、トイレの利用回数が著しく増加しているため、監視対象である人の加齢による老化が進行した旨などを示す監視情報を出力してもよい。
【0116】
また、監視部13は、上述した方法以外の方法を用いて、監視対象である人のトイレの利用回数が増加したか否かを判断してもよい。たとえば、監視部13は、2023年と比較して、2027年の同じ月におけるカウント値が所定値Th4以上大きい値である月が3か月以上継続する場合、トイレの利用回数が著しく増加したと判断してもよい。
【0117】
また、監視部13は、1か月間におけるトイレの利用回数の比較を行う構成に限らず、たとえば、複数日におけるトイレの利用回数の比較を行うことにより、トイレの利用回数が著しく増加したか否かを監視する構成であってもよい。
【0118】
また、監視部13は、第1の監視および第2の監視の両方を行う構成に限定されず、第2の監視を行わない構成であってもよい。
【0119】
[通知処理]
図12は、本開示の実施の形態に係る監視装置からの監視情報を受信する端末装置の画面の一例を示す図である。
【0120】
図12を参照して、たとえば、監視対象である高齢者または子供の監視を行うユーザが、自己の端末装置171にインストールされたアプリケーションを動作させて、
図12の左図に示すように、監視装置101からの監視情報を受信する設定を行ったとする。
【0121】
また、ユーザは、端末装置171の識別情報、監視対象である人が暮らしている建物に設けられた各センサ151の識別情報、ならびに、寝室、リビングおよびトイレ等の各部屋Rの種別等のユーザ情報を、監視装置101に予め登録する。
【0122】
このような端末装置171の設定、および監視装置101に対するユーザ情報の登録が行われた後、監視装置101における監視部13により、部屋Rにおける人の普段とは異なる行動が監視された場合、通知部14は、人が異常な行動をしている旨の監視情報を外部ネットワーク161経由で、登録されている端末装置171へ送信する。
【0123】
端末装置171は、監視装置101からの監視情報を外部ネットワーク161経由で受信すると、
図12の右図に示すように、異常が生じていることを画面に表示する。
【0124】
なお、端末装置171は、人が異常な行動をしている旨以外の内容が監視情報に含まれる場合、当該内容を画面に表示してもよい。
【0125】
また、端末装置171は、異なる内容の複数の監視情報を監視装置101から受信した場合、たとえば、各監視情報の内容を画面に表示する。
【0126】
また、ユーザは、監視装置101に対して、監視結果の通知条件を含むユーザ情報を登録することができる。たとえば、ユーザは、通知条件として、監視対象である人が11時を過ぎても寝室にいる場合に、監視情報の送信が行われるように登録したり、夜中の2時にリビングに人が存在する場合に、監視情報の送信が行われるように登録したりすることができる。
【0127】
<動作の流れ>
本発明の実施の形態に係る監視装置は、記憶部を含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該記憶部から読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0128】
図13は、本発明の実施の形態に係る通知システムにおける監視装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0129】
図13を参照して、まず、受信部10は、各センサ151から送信された計測情報を外部ネットワーク161経由で受信し、受信した計測情報と、受信した曜日とを対応づけて記憶部11に保存する(ステップS11)。受信部10は、ステップS11の動作を、以下の各ステップの動作と並行して、たとえば1分ごとに行う。
【0130】
次に、履歴作成部12は、記憶部11に保存されている、対応テーブル、複数の計測情報、および各計測情報に対応する曜日を参照して、たとえば、部屋Rごとに、平日のCO2濃度の計測結果の履歴Mh1、または休日のCO2濃度の計測結果の履歴Mh2を作成する。そして、履歴作成部12は、作成した部屋Rごとの履歴Mhを、記憶部11に保存する。また、履歴作成部12は、各部屋Rの履歴Mhが記憶部11に保存済である場合、記憶部11に新たに保存された1または複数の計測情報に基づいて、各部屋Rの履歴Mhの更新を行う(ステップS12)。履歴作成部12は、ステップS12の動作を、以下の各ステップの動作と並行して、定期的または不定期に行う。
【0131】
次に、監視部13は、ステップS11において記憶部11に新たに保存された計測情報、およびステップS12において作成または更新された履歴Mhに基づいて、部屋Rにおける人の行動を監視する第1の監視を行う。たとえば、監視部13は、上述した例1~例3のすべての監視を行う(ステップS13)。
【0132】
次に、監視部13は、上述した例1~例3の第1の監視(ステップS13)のうちの少なくともいずれか1つの監視により、異常が生じている、すなわち部屋Rにおいて人が普段とは異なる行動をしていると判断したとする(ステップS14において「YES」)。
【0133】
次に、監視部13は、たとえば、異常が生じていると判断した監視ごとに、人が異常な行動をしている旨の監視情報を通知部14へ出力する(ステップS15)。
【0134】
次に、通知部14は、たとえば、記憶部11に保存されているユーザ情報に含まれる通知条件を確認して、監視部13から受けた1または複数の監視情報の内容をユーザに通知すべきか否かを判断する(ステップS16)。
【0135】
次に、通知部14は、たとえば、1または複数の監視情報について、内容をユーザに通知すべきであると判断した場合(ステップS16において「YES」)、記憶部11に保存されている端末装置171の識別情報等を参照して、各監視情報を外部ネットワーク161経由で端末装置171へ送信する通知処理を行う(ステップS17)。
【0136】
次に、監視部13は、記憶部11に保存されている複数の計測情報を参照して、特定の部屋Rの計測結果が所定条件を満たした回数と、当該回数の履歴とに基づいて、人の行動を監視する第2の監視を行う(ステップS18)。
【0137】
次に、監視部13は、第2の監視(ステップS18)により、たとえば、監視対象である人のトイレの利用回数が著しく増加したと判断したとする(ステップS19において「YES」)。
【0138】
次に、監視部13は、トイレの利用回数が増加した旨の監視情報を通知部14へ出力する(ステップS20)。
【0139】
次に、通知部14は、たとえば、記憶部11に保存されているユーザ情報に含まれる通知条件を確認して、監視部13から受けた監視情報の内容をユーザに通知すべきか否かを判断する(ステップS21)。
【0140】
次に、通知部14は、監視情報の内容をユーザに通知すべきであると判断した場合(ステップS21において「YES」)、記憶部11に保存されている端末装置171の識別情報等を参照して、当該監視情報を外部ネットワーク161経由で端末装置171へ送信する通知処理を行う(ステップS22)。そして、ステップS13以降の動作が再び行われる。
【0141】
一方、監視部13は、たとえば、上述した例1~例3の第1の監視(ステップS13)のすべてにおいて、異常は生じていないと判断したとする(ステップS14において「NO」)。この場合、監視装置101は、ステップS15~ステップS17の動作を行わず、ステップS18以降の動作を行う。
【0142】
また、監視部13は、たとえば、上述した例1~例3の第1の監視(ステップS13)のうちの少なくともいずれか1つの監視により、異常が生じていると判断し(ステップS14において「YES」)、かつ、通知部14は、監視情報の内容をユーザに通知すべきではないと判断したとする(ステップS16において「NO」)。この場合、監視装置101は、通知処理(ステップS17)を行わず、ステップS18以降の動作を行う。
【0143】
また、監視部13は、第2の監視(ステップS18)において、トイレの利用回数の著しい増加は生じていないと判断したとする(ステップS19において「NO」)。この場合、監視装置101は、ステップS20~ステップS22の動作を行わず、ステップS13以降の動作を再び行う。
【0144】
また、監視部13が、第2の監視(ステップS18)により、監視対象である人のトイレの利用回数が著しく増加したと判断し(ステップS19において「YES」)、かつ、通知部14が、監視情報の内容をユーザに通知すべきではないと判断したとする(ステップS21において「NO」)。この場合、監視装置101は、通知処理(ステップS22)を行わず、ステップS13以降の動作を再び行う。
【0145】
なお、監視部13による第1の監視(ステップS13)は、第2の監視(ステップS18)の後に行われてもよい。この場合、たとえば、監視装置101は、ステップS13~ステップS17までの動作を、ステップS22の後に行う。
【0146】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置101の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本発明の実施の形態に係る監視装置101が、複数のサーバによって構成されるクラウドサーバであってもよい。
【0147】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0148】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
二酸化炭素の濃度を計測するセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果の履歴を記憶する記憶部と、
前記取得部により新たに取得された前記計測結果および計測時刻と、前記記憶部に保存されている前記履歴とに基づいて、部屋における人の行動を監視する第1の監視を行う監視部と、
前記監視部による監視結果を通知する通知部と、
前記監視部の監視対象である1または複数の部屋に設けられた換気装置とを備え、
前記監視部は、前記第1の監視として、監視対象である人が体調不良であるか否かの監視、監視対象である人が体調を崩しやすい状態であるか否かの監視、および部屋における人の有無の監視のうちの少なくともいずれか1つを行う、通知システム。
【符号の説明】
【0149】
10 受信部
11 記憶部
12 履歴作成部
13 監視部
14 通知部
101 監視装置
151,151A~151H センサ
161 外部ネットワーク
171 端末装置
201 通知システム