(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】卵の測定装置
(51)【国際特許分類】
A01K 43/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A01K43/00
(21)【出願番号】P 2022508285
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009782
(87)【国際公開番号】W WO2021187312
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2020044910
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 邦男
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-215015(JP,A)
【文献】特開平09-127096(JP,A)
【文献】国際公開第2013/171890(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間ごとに転卵動作が行われる孵卵機内
のトレイに収容される卵の状態を、前記
トレイに収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、
前記
トレイに収容される前記卵の状態を測定するセンサと、
前記センサとともに前記卵に装着され、
前記トレイが傾けられた状態であっても前記センサが前記卵に接触した状態を保持する、弾性力および把持力のいずれかを有する固定部と
を備え、
前記固定部によって、前記センサおよび前記卵のうち、一方を他方に向けて付勢した状態を保持しながら、前記センサによって、前記
トレイに収容された前記卵の状態を経時的に測定する、卵の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵の測定装置に関し、特に、孵卵機内に収容された卵の状態を測定する卵の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雛の生産またはワクチンの生産等に用いられる孵化する前の卵は、所定の温度、湿度等の環境下で孵卵される。孵卵する前では、卵の内部における胚の活動状況、すなわち、卵の生死等を判定する検査がなされる。このような検査装置として、たとえば、特表2005-532046号公報(特許文献1)に提案されている生存卵を識別するための装置が公知である。この装置によれば、トレイに載せられた孵化する前の卵を孵卵機から取り出した後、その卵をコンベヤに載せて、所定の測定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2005-532046号公報
【文献】特開2013-255431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
孵卵機内は、温度、湿度、風などが孵卵に適した雰囲気に保たれている。このため、卵の生死等の検査のために、孵化する前の卵を孵卵機の外に長時間さらしてしまうことはあまり好ましくない。そのため、本発明者らは、孵卵機から孵化する前の卵を取り出さずに、孵化する前の卵の状態を測定することを考えた。
【0005】
孵卵機内では、卵内の胚が卵殻に癒着するのを防ぐために、転卵という動作が行われる(たとえば、特開2013-255431号公報(特許文献2))。具体的には、所定時間ごとに、孵卵機内の卵が載置されたトレイが、一方に傾いた状態から他方に傾いた状態へと揺り動かされる。このような孵化する前の卵の動きに対応可能な卵の測定装置は、従来考えられていなかった。
【0006】
本発明は、転卵動作が行われる孵卵機内であっても、孵化する前の卵の状態を経時的に測定することができる卵の測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る卵の測定装置は、一定時間ごとに転卵動作が行われる孵卵機内のトレイに収容される卵の状態を、トレイに収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、センサと固定部とを備えている。センサは、トレイに収容される卵の状態を測定する。固定部は、センサとともに卵に装着され、トレイが傾けられた状態であってもセンサが卵に接触した状態を保持する、弾性力および把持力のいずれかを有する。固定部によって、センサおよび卵のうち、一方を他方に向けて付勢した状態を保持しながら、センサによって、トレイに収容された卵の状態を経時的に測定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る卵の測定装置によれば、固定部によって、センサおよび卵のうち、一方を他方に向けて付勢した状態を保持しながら、センサによって、孵卵機内に収容された卵の状態を経時的に測定する。これにより、転卵動作が行われる孵卵機内であっても適切に卵の測定を行うことができる。
【0009】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、孵卵機内に収容された卵の状態を経時的に測定する卵の測定装置を概略的に示す斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る卵の測定装置を概略的に示す平面図である。
【
図3】同実施の形態において、第1変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す斜視図である。
【
図4】同実施の形態において、
図3に示す卵の測定装置を概略的に示す平面図である。
【
図5】同実施の形態において、第2変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す平面図である。
【
図6】同実施の形態において、第3変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す正面図である。
【
図7】同実施の形態において、第4変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す正面図である。
【
図8】同実施の形態において、第5変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す斜視図である。
【
図9】同実施の形態において、
図8に示す卵の測定装置を概略的に示す平面図である。
【
図10】同実施の形態において、第6変形例に係る卵の測定装置を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、
図1および
図2を参照して説明する。
本実施の形態に係る、孵卵機内に収容された卵Eの状態を経時的に測定する卵の測定装置1について説明する。卵の測定装置1では、トレイT(収容座TS)に載置された孵化する前の卵Eの状態が、トレイT(収容座TS)に載置された状態で測定される。ここでは、一例として、卵Eの卵殻温度がセンサ2(温度センサ)によって測定される。卵の測定装置1では、孵卵に適した雰囲気に保たれるケーシング(図示しない)内において、複数の層に配置されたトレイTに載置された卵Eの状態が個別に測定される。
【0012】
トレイTには、二次元的に設けられた複数の収容座TSを備える。各収容座TSには、卵Eの形状に適合して側方から卵を支持するための枠部S1と、卵Eを下方から支持するための複数の突起部S2とが形成されて、卵Eが側方および下方から支持(保持)される(
図6参照)。孵卵機内では、卵Eは、所定の収容座TSに、卵Eの長軸が略鉛直になるように収容されている。
【0013】
卵の測定装置1は、センサ2と、固定部3と、サポート部4を備える。ここでは、センサ2は、卵Eの卵殻温度を測定する温度センサである。センサ2は、卵Eに接触する態様で取り付けられる。センサ2は、温度を測定する測温部(図示しない)が、卵殻に向くように配置される。なお、センサ2は、シリコン等の樹脂製の介在物(図示せず)を介して卵Eに接触している。介在物は、熱伝導性が高く、卵殻の外表面の形状に沿って変形可能なものであればよい。センサ2は、1つの卵Eに対して1つ配置されている。センサ2は、1つの卵Eに対して複数配置されていてもよい。センサ2は、卵Eの胴回り部分に配置される。センサ2に接続された配線5から、たとえば、卵Eの温度に関する信号が送られる。
【0014】
固定部3は、センサ2を卵Eに固定する。固定部3は、変形可能な材料から形成されている。固定部3は、弾性を有する部材を主体に構成される。固定部3は、たとえば、伸縮可能なゴムバンド状の帯状部材が望ましい。帯状部材から形成された固定部3は、一端部と他端部とを有している。固定部3は、卵Eを抱えるように配置される。
【0015】
固定部3は、固定部3をセンサ2とともに卵Eに巻き付ける態様で、固定部3の一端部を、隣の収容座TSに配置されることになるサポート部4に取り付けるとともに、固定部3の他端部をサポート部4に取り付けることにより、サポート部4に保持された卵Eと固定部3との間にセンサ2が配置された状態が保持される。センサ2は、固定部3によって、測定対象の卵Eの卵殻に向けて一定の圧力(付勢力)をもって付勢されて卵殻に接触する。また、卵Eは、固定部3によって、サポート部4に向けて付勢する力が加えられて、サポート部4に一定の圧力(付勢力)をもって接触する。固定部3は、トレイTに直接係わり合うことなく配置される。
【0016】
サポート部4は、卵Eが収容される収容座TSの隣に位置する収容座TSに配置されている。サポート部4は、卵Eを保持する。サポート部4は、たとえば、ブロック状のものが適用される。サポート部4には、固定部3の一端部と他端部とが取り付けられる。サポート部4は、卵Eの姿勢を一定の姿勢に保持する機能を有する。卵の測定装置1は、上記のように構成される。
【0017】
次に、上述した卵の測定装置1を用いた、孵卵機内に収容された卵Eの状態を、孵卵機内に収容された状態で経時的(連続的または間欠的)に測定する測定方法の一例について説明する。
【0018】
まず、孵卵を開始する際に、孵卵機の外で、固定部3をセンサ2とともに卵Eに巻き付ける態様で、固定部3の一端部と他端部とをサポート部4に取り付ける。センサ2は、卵Eと固定部3との間に挟まれた状態となる。次に、センサ2が配置された卵E等を孵卵機内の所定のトレイT(
図1参照)に配置する。このとき、サポート部4は、卵Eが収容された収容座TSの隣の収容座TSに配置される。次に、孵卵機に収容された卵Eの状態を、孵卵機内において、センサ2によって経時的(連続的または間欠的)に測定する。
【0019】
孵卵機では、孵卵に適した雰囲気に保たれるケーシング内において、転卵動作に伴い、卵EとともにトレイTが揺り動かされたとしても、センサ2と卵Eとの位置関係が一定に保たれる。すなわち、孵卵が開始されると、一定時間ごとに転卵動作が行われるが、トレイTが傾けられた状態であっても、センサ2は、固定部3の弾性力によって卵Eの卵殻に一定の圧力(付勢力)をもって接触した状態が保持される。本実施の形態では、孵卵機の転卵動作に対して固定部3を備えていることで、転卵動作に伴って収容座TSに収容された卵Eが動いても、センサ2の測温部が卵Eの卵殻に接触している状態が保持される。
【0020】
センサ2によって得られた情報は、孵卵機内の環境制御または卵Eの状態の把握に利用される。
【0021】
上述した卵の測定装置1では、孵卵機内において、トレイの所定の収容座に、卵Eの長軸が略鉛直になるように収容された卵Eにセンサ2を接触させた状態を維持しながら、卵Eの状態が経時的(連続的または間欠的)に測定される。
【0022】
センサ2として、たとえば、卵殻温度を測定する温度センサが適用される。固定部3として、たとえば、弾性力を有する帯状部材から形成された固定部3が用いられる。その固定部3を、センサ2とともに卵Eに巻き付ける態様で、固定部3の一端部と他端部とをサポート部4に取り付けることで、センサ2は、卵Eと固定部3との間に挟まれた状態が保持される。これにより、孵卵機内において、転卵動作に伴い、卵EとともにトレイTが揺り動かされたとしても、センサ2と卵Eとの位置関係が一定に保たれる。その結果、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に適切に測定することができる。
【0023】
卵の状態としては、たとえば、卵の内部の状態(胚の状態または胚の生死等に関する状態)を測定することができる。センサ2からの情報は電気信号に変換されて、たとえば、識別部に送られる。識別部では、センサ2から送られた電気信号を解析することにより、卵の内部の状態として、たとえば、胚の活動状況または胚の生死の状況等が判定される。
【0024】
識別部では、センサ2によって測定された卵殻の温度と、その温度に関する閾値とが比較される。閾値としては、たとえば、孵卵機内の設定温度(37.8℃)が設定されている。識別部では、測定された卵殻の温度が閾値よりも高い値であれば、胚が生存していると判定される。なお、孵卵開始から12日目または13日目からでは、胚が熱を発生して、卵殻の温度が上がることが知られている。
【0025】
一方、未受精卵、腐敗卵、中止胚の場合には、孵卵機内では、孵卵機内の温度と同程度の温度に温められているが、未受精卵等を孵卵機の外に出すと、その温度は、外気温度まで下がることになる。
【0026】
孵卵機では、転卵動作に伴い、収容座(トレイ)の揺れに対して収容座と卵Eとの位置関係が変化する。このため、従来、孵卵機内において、上述したような、卵の状態を測定するという発想はなかった。これに対して、上述した卵の測定装置によれば、固定部3により、卵Eにセンサ2が接触した状態が保持されて、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に適切に測定することができる。
【0027】
上述したように、固定部3は、たとえば、ゴムバンド状の弾性力を有する帯状部材から形成されていることで、センサ2は、卵Eと固定部3との間に挟まれて卵Eに接触した状態が保持される。これにより、様々な形状またはサイズが混在する卵Eに応じて、センサ2を卵Eの卵殻における所定の位置に接触させた状態を保持することができる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られない。変形例に係る卵の測定装置について説明する。なお、
図1等に示す卵の測定装置1と同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0029】
(変形例1)
図3および
図4に示すように、変形例1に係る卵の測定装置1では、センサ2は、卵Eとサポート部4との間に配置される点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。センサ2を、卵Eとサポート部4との間に挟み込み、固定部3を卵に巻き付ける態様で、固定部3の一端部と他端部とをサポート部4に取り付ける。このため、卵Eは、サポート部4と卵Eとの間に配置されたセンサ2に向けて一定の圧力(付勢力)をもって付勢されてセンサ2に接触し、卵Eにセンサ2が接触した状態が保持される。
【0030】
すなわち、実施の形態(
図1および
図2)では、センサ2が卵Eに向けて付勢されていたのに対して、変形例1では、卵Eがセンサ2に向けて付勢される。これにより、センサ2が卵Eの卵殻に接触した状態で、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0031】
(変形例2)
図5に示すように、変形例2に係る卵の測定装置1では、1つのサポート部4に対して、この場合、4つの卵Eが、センサ2とともに固定部3によって保持される点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。ここでは、サポート部4は、一つの収容座TSに収容されるサイズに設定されている。
【0032】
1つのサポート部4に、固定部3によって、それぞれセンサ2が4つの卵Eのそれぞれに接触した状態が保持される。その状態で、センサ2によって、それぞれの卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0033】
(変形例3)
図6に示すように、変形例3に係る卵の測定装置1では、サポート部を備えず、固定部3は、サポート部の替りに、収容座TS(トレイT)に取り付けられる点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。収容座TSには、側方から卵Eを支持する枠部S1と、卵Eを下方から支持する突起部S2とが設けられている。
【0034】
固定部3を、センサ2とともに卵Eに巻き付ける態様で、固定部3の一端部と他端部とを収容座TSに取り付ける。固定部3により、センサ2とともに卵EがトレイTに向けて一定の圧力(付勢力)をもって付勢される。これにより、センサ2は、卵Eと固定部3との間に挟まれた状態が保持される。その状態で、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0035】
(変形例4)
図7に示すように、変形例4に係る卵の測定装置1では、サポート部を備えず、固定部3は、サポート部の替りに、収容座TS(トレイT)に取り付けられ、また、センサ2は収容座TSに配置されている点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。
【0036】
固定部3を、卵Eに巻き付ける態様で、固定部3の一端部と他端部とを収容座TSに取り付けることにより、卵Eが、収容座TSに配置されたセンサ2に向けて、一定の圧力(付勢力)をもって付勢される。これにより、卵Eが、介在物を介してセンサ2に接触した状態が保持される。その状態で、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0037】
(変形例5)
図8および
図9に示すように、変形例5に係る卵の測定装置1では、サポート部を備えず、固定部3として、弾性力を有する環状部材3aが適用される点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。
【0038】
環状部材3aを卵Eの周囲にセンサ2とともに装着することにより、センサ2は、一定の圧力(付勢力)をもって付勢されて、卵Eと固定部3との間に挟まれた状態が保持される。その状態で、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0039】
(変形例6)
図10に示すように、変形例6に係る卵の測定装置1では、サポート部を備えず、固定部3として、卵Eを掴む把持力を有する挟み込み部材3bが適用される点で、
図1および
図2に示す卵の測定装置1と異なる。
【0040】
挟み込み部材3bとしては、卵Eを二方向以上から挟み込めればよい。挟み込み部材3bとして、たとえば、開閉可能なトング状またはクリップ状の部材を適用してもよい。把持力としては、たとえば、バネ等の弾性力を利用してもよい。挟み込み部材3bは、トレイTに直接係わり合うことなく配置される。
【0041】
挟み込み部材3bで、センサ2とともに卵Eを挟み込むことで、センサ2が卵Eに向けて一定の圧力(付勢力)をもって付勢されて、センサ2が卵Eの卵殻に接触した状態が保持される。その状態で、センサ2によって、卵Eの状態を経時的(連続的または間欠的)に測定することができる。
【0042】
(その他の変形例)
固定部3としては、弾性力を有する部材であれば、ゴムバンドの替りに、バネを適用してもよい。たとえば、直径の比較的小さいコイルスプリングを適用してもよい。また、固定部3としては、固定部3の全体が弾性を有する部材で形成されていてもよいし、一部のみが弾性を有する部材で形成されていてもよい。さらに、固定部3を構成する材料としては、樹脂製、金属製、その他種々のものが考えられる。
【0043】
固定部3の一端部と他端部とは、一端部と他端部との双方が取り付け可能になっていてもよいし、いずれか一方だけが取り付け可能になっていてもよい。また、一端部と他端部との双方がサポート部4または収容座TSに固定されており、固定部3自身を変形させることで、センサ2を卵Eとともに装着するものでもよい。
【0044】
センサ2としては、卵Eの温度を測定する温度センサの他に、たとえば、卵殻の音を測定する音センサ、卵殻振動を測定する振動センサ、または、卵殻振動を測定する加速度センサ等を適用することができる。また、センサ2と卵Eとの間には緩衝材を設けてもよい。センサ2としては、測定対象の卵Eの卵殻に一定の圧をもってセンサ2を接触させることができれば、卵Eと他の部材(固定部3、サポート部4、トレイT等)との間で挟まれている必要はない。
【0045】
サポート部4としては、サポート部4の内部に、センサ2から延びる配線5を収容してもよい。また、サポート部4の内部に、電子回路または電池を収容するようにしてもよい。さらに、センサ2によって取得されたデータ(卵Eに関する情報)は、ワイヤレスにより孵卵機の外に送信し、外部で受信するようにしてもよい。
【0046】
なお、実施の形態において説明した卵の測定装置については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0047】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0048】
実施の形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
孵卵機内に収容される卵を、前記孵卵機内に収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、
前記卵を測定するセンサと、
前記卵を収容する一の収容座の隣に位置する他の収容座に配置され、前記一の収容座に収容された前記卵を支持する支持部材と、
一端部と他端部とを有するとともに弾性力を有し、前記卵に巻き付ける態様で、前記一端部を前記支持部材に取り付けるとともに、前記他端部を前記支持部材に取り付けることにより、前記センサおよび前記卵を前記支持部材に保持する帯状の固定部と
を備えた、卵の測定装置。
【0049】
(付記2)
付記1に記載の卵の測定装置であって、
前記センサは、前記固定部と前記卵との間に配置されている。
【0050】
(付記3)
付記1に記載の卵の測定装置であって、
前記センサは、前記卵と前記支持部材との間に配置されている。
【0051】
(付記4)
孵卵機内に収容される卵を、前記孵卵機内に収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、
前記卵を測定するセンサと、
一端部と他端部とを有するとともに弾性力を有し、前記卵に巻き付ける態様で、前記一端部を前記卵が収容された一の収容座に取り付けるとともに、前記他端部を前記一の収容座に取り付けることにより、前記センサおよび前記卵を前記一の収容座に保持する帯状の固定部と
を備えた、卵の測定装置。
【0052】
(付記5)
付記4に記載された卵の測定装置であって、
前記センサは、前記卵と前記固定部との間に配置されている。
【0053】
(付記6)
付記4に記載された卵の測定装置であって、
前記センサは、前記一の収容座に配置されている。
【0054】
(付記7)
孵卵機内に収容される卵を、前記孵卵機内に収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、
前記卵を測定するセンサと、
前記センサとともに前記卵に装着され、前記センサが前記卵に接触した状態を保持する、弾性力を有する環状部材と
を備えた、卵の測定装置。
【0055】
(付記8)
孵卵機内に収容される卵を、前記孵卵機内に収容された状態で経時的に測定する卵の測定装置であって、
前記卵を測定するセンサと、
前記センサとともに前記卵を挟み込むように配置され、前記センサが前記卵に接触した状態を保持する、把持力を有する挟み込み部材と
を備えた、卵の測定装置。
【0056】
(付記9)
孵卵機内に収容される卵の状態を、前記孵卵機内に収容された状態で、前記卵をセンサによって経時的に測定する卵の測定方法であって、
前記卵を収容する一の収容座に前記卵が収容された状態で、固定部によって、前記センサおよび前記卵のうち、一方を他方に向けて付勢した状態を保持しながら、前記センサによって前記卵の状態を経時的に測定する、卵の測定方法。
【0057】
(付記10)
付記9に記載の卵の測定方法であって、
前記固定部として、一端部と他端部とを有するとともに弾性力を有する帯状部材を使用する。
【0058】
(付記11)
付記10に記載の卵の測定方法であって、
前記一の収容座の隣に位置する他の収容座に、前記一の収容座に収容された前記卵を支持する支持部材を配置し、
前記測定は、前記帯状部材を前記センサとともに前記卵に巻き付ける態様で、前記帯状部材の前記一端部を前記支持部材に取り付けるとともに、前記帯状部材の前記他端部を前記支持部材に取り付けることにより、前記センサおよび前記卵が前記支持部材に保持された状態で行われる。
【0059】
(付記12)
付記10または11に記載の卵の測定方法であって、
前記測定は、前記帯状部材と前記卵との間に前記センサが配置された状態で行われる。
【0060】
(付記13)
付記11に記載の卵の測定方法であって、
前記測定は、前記支持部材と前記卵との間に前記センサが配置された状態で行われる。
【0061】
(付記14)
付記10に記載の卵の測定方法であって、
前記測定は、前記帯状部材を前記センサとともに前記卵に巻き付け、前記帯状部材の前記一端部を前記一の収容座に支持させるとともに、前記帯状部材の前記他端部を前記一の収容座に支持させることにより、前記帯状部材と前記卵との間に配置された前記センサ、および前記卵を、前記一の収容座に向けて付勢した状態で行われる。
【0062】
(付記15)
付記10に記載の卵の測定方法であって、
前記測定は、前記帯状部材を前記卵に巻き付ける態様で、前記帯状部材の前記一端部を前記一の収容座に取り付けるとともに、前記帯状部材の前記他端部を前記一の収容座に取り付けることにより、前記卵を、前記一の収容座に配置された前記センサに向けて付勢した状態で行われる。
【0063】
(付記16)
付記9に記載の卵の測定方法であって、
前記固定部として、弾性力を有する環状部材を使用し、
前記測定は、前記環状部材を前記卵の周囲に前記センサとともに装着し、前記環状部材と前記卵との前記センサを挟み込んだ状態で行われる。
【0064】
(付記17)
付記9に記載の卵の測定方法であって、
前記固定部として、前記卵を挟み込む把持力を有する挟み込み部材を使用し、
前記測定は、前記挟み込み部材により、前記センサとともに前記卵を挟み込んだ状態で行われる。
【0065】
(付記18)
付記9~17のいずれか1つに記載の卵の測定方法であって、
前記センサは、前記卵の温度、前記卵の音、前記卵の卵殻の振動および前記卵殻の振動に伴う加速度の少なくともいずれかを測定する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、孵卵機内に収容された卵の状態を、孵卵機内に収容された状態で、センサによって経時的に測定する卵の測定装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0067】
1 卵の測定装置、2 センサ、3 固定部、3a 環状部材、3b 挟み込み部材、4 サポート部、5 配線、T トレイ、TS 収容座、S1 枠部、S2 突起部、E 卵。