(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】広域設置エンターテインメント器具及び該エンターテインメント器具を用いたエンターテインメントシステム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/195 20200101AFI20250214BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20250214BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20250214BHJP
G10K 15/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H05B47/195
H05B45/10
H05B45/20
G10K15/00 Z
(21)【出願番号】P 2023573914
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2022045847
(87)【国際公開番号】W WO2023136025
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2022002977
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392000486
【氏名又は名称】株式会社エルム
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮原 隆和
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0035109(KR,A)
【文献】特開2021-057799(JP,A)
【文献】特開2019-096489(JP,A)
【文献】特開2019-079686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/195
H05B 45/10
H05B 45/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、
b) グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、
c) 同一の制御情報送信用無線通信装置から送信される、複数のグループ番号のそれぞれに割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する複数の制御情報を無線
通信により受信する無線通信部と、
d) 前記無線通信部が受信した前記複数の制御情報から、前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に割り当てられた制御情報を抽出し、該制御情報に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部と
を備える器具であって、個々の器具の識別情報を有しない、エンターテインメント器具。
【請求項2】
前記無線通信部がさらに前記グループ番号を無線
通信により受信するものである、請求項1に記載のエンターテインメント器具。
【請求項3】
前記グループ番号記憶部が、グループ番号を記憶する複数のページを有する、請求項1又は2に記載のエンターテインメント器具。
【請求項4】
前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作は前記発光部と前記発音部のうちの一方の動作であり、
前記グループ番号記憶部はさらに第2グループ番号を記憶するものであり、
前記無線通信部はさらに、前記第2グループ番号に割り当てられた前記発光部と前記発音部のうちの他方の動作を制御する第2制御情報を
前記無線
通信により受信するものであり、
前記制御部は、前記制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記一方の動作を制御すると共に、前記第2制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶された第2グループ番号に基づき前記他方の動作を制御するものである、
請求項1又は2に記載のエンターテインメント器具。
【請求項5】
さらに、
前記エンターテインメント発信部に電力を供給する一次電池又は二次電池と、
前記一次電池又は二次電池の残量を測定する残量測定部と、
前記残量測定部で測定された残量が所定値以下となったときに前記エンターテインメント発信部の出力を低下させる制御を行う出力制御部と
を備える、請求項1又は2に記載のエンターテインメント器具。
【請求項6】
さらに、前記エンターテインメント発信部に電力を供給する太陽光発電パネル及び二次電池による電源部を備える、請求項1又は2に記載のエンターテインメント器具。
【請求項7】
複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、複数のグループ番号のそれぞれに割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する複数の制御情報を無線
通信により受信する無線通信部と、前記無線通信部が受信した前記複数の制御情報から、前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に割り当てられた制御情報を抽出し、該制御情報に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部とをそれぞれ備える複数の器具であって、個々の器具の識別情報を有しない、複数のエンターテインメント器具と、
前記複数の制御情報を生成する情報生成装置と、
前記情報生成装置で生成された前記複数の制御情報を
前記無線
通信により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信する制御情報送信用無線通信装置と
を備えるエンターテインメントシステム。
【請求項8】
前記無線通信部がさらに前記グループ番号を無線
通信により受信するものであり、
前記情報生成装置がさらに前記グループ番号を生成するものであって、
さらに、前記複数のエンターテインメント器具のうち同一のグループに属するエンターテインメント器具の全てに対して同時に、前記情報生成装置で生成された同一のグループ番号を無線通信により送信するグループ番号設定用無線通信装置を備える、
請求項7に記載のエンターテインメントシステム。
【請求項9】
前記グループ番号記憶部が、それぞれページ番号が付与された、グループ番号を記憶する複数のページを有し、
前記制御情報送信用無線通信装置がページ番号及び制御情報を送信するものである、
請求項7に記載のエンターテインメントシステム。
【請求項10】
前記グループ番号記憶部が、それぞれページ番号が付与された、グループ番号を記憶する複数のページを有し、
前記無線通信部がさらに前記ページ番号を無線
通信により受信するものであって、
前記グループ番号設定用無線通信装置がページ番号及びグループ番号を送信するものであり、
前記制御情報送信用無線通信装置がページ番号及び制御情報を送信するものである、
請求項8に記載のエンターテインメントシステム。
【請求項11】
前記エンターテインメント発信部は前記発光部と前記発音部の双方を有し、前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作は前記発光部と前記発音部のうちの一方の動作であり、
前記グループ番号記憶部はさらに第2グループ番号を記憶するものであり、
前記無線通信部はさらに、前記第2グループ番号に割り当てられた前記発光部と前記発音部のうちの他方の動作を制御する第2制御情報を無線
通信により受信するものであり、
前記制御部は、前記制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記一方の動作を制御すると共に、前記第2制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶された第2グループ番号に基づき前記他方の動作を制御するものであり、
前記情報生成装置はさらに前記第2グループ番号毎に前記第2制御情報を生成するものであり、
前記制御情報送信用無線通信装置はさらに、前記第2制御情報を
前記無線
通信により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信するものである
請求項7~10のいずれか1項に記載のエンターテインメントシステム。
【請求項12】
前記無線通信が赤外線を用いた通信である、請求項7~10のいずれか1項に記載のエンターテインメントシステム。
【請求項13】
前記無線通信が
磁気通信である、請求項7~10のいずれか1項に記載のエンターテインメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域に設置するエンターテインメント器具、及び該エンターテインメント器具を用いたエンターテインメントシステムに関する。ここでエンターテインメント器具には、詳細は後述するが、例えば複数色を発光可能な灯具が含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年LED素子の高性能化に伴い、多色を発光可能で有線もしくは無線(RF)による通信機能を有する灯具が製造され、各地で鮮やかで変化の激しいイルミネーションイベントが催されている。また、能登の白米千枚田の様に、広範な屋外で多数の、タイマーにより変色する灯具を用い大規模かつ静かなイルミネーションや、参加者が通信機能を持つLEDによる多色灯具を内蔵する杖(スティック)や提灯を持ち、ゾーンや音楽に合わせて色が変化するなど、よりインターラクティブなイルミネーションも実施されている(以上、特許文献1~5並びに非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-115455号公報
【文献】特開2021-093384号公報
【文献】特開2005-251443号公報
【文献】特表2010-507218号公報
【文献】国際公開WO2016/114331号
【非特許文献】
【0004】
【文献】"カラーキネティクス FLEX"、[online]、カラーキネティクス・ジャパン株式会社、[2022年11月18日検索]、インターネット<URL: https://www.colorkinetics.co.jp/products/948>
【文献】"CSRトピックス 輪島物語 with 石川サンケン"、[online]、サンケン電気株式会社、[2022年11月18日検索]、インターネット<URL: https://www.sanken-ele.co.jp/corp/csr/topics/wajima.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の照明装置は、自由に色や明るさを変更できるが一般的な照明を制御する為の照明装置あるいは照明システムであり、数千個あるいは数万個に及ぶ多数の灯具を広域に設置する為には多額の費用が必要である。そのため、コストや消費電力の面でも使い勝手は良くない。
【0006】
特許文献3に記載の装置は、通信方式が無線で且つ電池駆動であるため設置は容易であるが、個々の発光装置が固有の識別番号を持ち、同識別番号毎に色や明るさの指示をする必要がある。従って、大量の例えば1万個の発光装置を制御するには高速な通信を必要とし、個々の発光装置の消費電力が増加してコストが高額になるため、市場性が低い。
【0007】
特許文献4に記載の装置は、通信方式については有線/無線、電源もACからソーラー迄広範に選択できるが、特許文献3に記載の装置と同様の理由で、大量に使用するには不向きである。
【0008】
特許文献5に記載の装置は、上記事例と異なり、グループという概念が導入されているが、同グループは制御時に色や明るさを同一値にする為のもので、灯具は個々に固有番号を持つので、全体としての制御情報の量(通信量)は変わらない。
【0009】
非特許文献1に記載の灯具は近年多く見られる有線型の灯具で、個々の発光を高速にフルカラー制御できるので、動きを伴う大規模なイルミネーションが可能であるが、コスト面と設置工事の点で商用施設など収益性の高い用途以外には使い難い。
【0010】
非特許文献2に記載の灯具は、安価で、設置も地面に差し込むか吊るすだけで済むため、多数且つ広域に設置可能ではあるが、その制御は内部のタイマーによってなされるため、複雑な変化や、流れるような速い速度で連動した制御は不可能である。
【0011】
本発明は、上述した既存の無線通信により制御する一般照明用灯具や、タイマーによる動きの遅い単純な制御しかできない従来の灯具の欠点を補い、灯具等のエンターテインメント器具を多数用いて安価に且つ調和のとれた動きの速いイルミネーション等のエンターテインメントを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明に係るエンターテインメント器具は、
a) 複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、
b) グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、
c) 前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する制御情報を無線により受信する無線通信部と、
d) 前記無線通信部が受信した制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部と
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るエンターテインメントシステムは、
複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する制御情報を無線により受信する無線通信部と、前記無線通信部が受信した制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部とをそれぞれ備える複数のエンターテインメント器具と、
前記複数のエンターテインメント器具の各々に付与されたグループ番号毎に前記制御情報を生成する情報生成装置と、
前記情報生成装置で生成されたグループ番号毎の制御情報を無線により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信する制御情報送信用無線通信装置と
を備えることを特徴とする。
【0014】
前記「複数種の光」は、互いに色及び/又は強度が異なる複数種の光をいう。従って、前記制御部により行う発光の制御は、これら光の色及び/又は強度の制御のことである。また、前記制御部により行う発音の制御は、音の周波数(複数の周波数の重ね合わせを含む)及び/又は強度を含む波形全般の制御のことである。
【0015】
本発明に係るエンターテインメント器具は、発光部及び発音部のいずれか一方又は双方を有する器具である。このエンターテインメント器具は、発光部を備える灯具、発音部を備えるスピーカー、発光部と発音部の双方を備えるスピーカー付灯具等により具現化される。
【0016】
本発明に係るエンターテインメント器具及びエンターテインメントシステムでは、前記複数(以下、「全数」と呼ぶ)のエンターテインメント器具の各々にグループ番号を付与する。すなわち、全数(Nとする)のエンターテインメント器具を複数(M。ただし、M<N)のグループに分け、グループ毎に該グループに属するエンターテインメント器具に同一のグループ番号を付する。ここで、各グループに属するエンターテインメント器具の数はグループ毎に異なっていてもよい。
【0017】
グループ番号は、予めグループ番号記憶部に記憶させておくようにしてもよい。あるいは、グループ番号は、情報生成装置で生成したうえで無線通信装置によって同一グループに属する(ように設定しようとする)エンターテインメント器具の全てに送信することによって、この無線を受信した(受信可能な位置に配置された)それら1又は複数個のエンターテインメント器具の各々が当該グループ番号をグループ番号記憶部に記憶するようにしてもよい。後者の場合、グループ番号を送信する無線通信装置は、制御情報送信用無線通信装置と兼用してもよいし、それとは異なるグループ番号設定用無線通信装置を用いてもよい。また、後者の場合、グループ番号の送信は2以上のグループに対してそれぞれ行う。
【0018】
グループ番号記憶部にグループ番号が記憶された全数のエンターテインメント器具は、それぞれのグループ番号に対応する位置に配置する。そのうえで、制御情報送信用無線通信装置を用いた無線通信により、グループ番号毎の制御情報を、制御情報送信用無線通信装置を用いた無線通信により全数のエンターテインメント器具に送信すると、各エンターテインメント器具では、無線通信部が制御情報を受信し、グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号の制御情報で指定された動作を実行するよう、制御部がエンターテインメント発信部を制御する。すなわち、制御部は、エンターテインメント発信部が発光部を有する場合には制御情報で指定された色及び/又は明るさで点灯するよう発光部を制御し、エンターテインメント発信部が発音部を有する場合には制御情報で指定された波形で発音するよう発音部を制御する。エンターテインメント発信部が発光部と発音部の双方を有する場合には上記2つの制御の双方を行う。その結果、同じグループ番号が設定されたエンターテインメント器具は同じ色及び/若しくは明るさで点灯し、並びに/又は同じ波形で発音する。そして、グループ番号毎にそれぞれ異なる制御情報を、制御情報送信用無線通信装置を用いた無線通信により送信することにより、異なるグループ同士では互いに異なる色及び/若しくは明るさで点灯し、並びに/又は異なる波形で発音する。
【0019】
本発明に係るエンターテインメント器具及びエンターテインメントシステムによれば、前記全数(N)の灯具を複数(M)のグループに分け、同一グループに属するエンターテインメント器具を同じ色及び明るさで点灯、並びに/又は同じ波形で発音させつつ、異なるグループ同士では異なる色及び/若しくは明るさで点灯、並びに/又は異なる波形で発音させることにより、個々のエンターテインメント器具を制御する場合よりも多数のエンターテインメント器具によるエンターテインメントシステムを安価に且つ容易に構築できる。また、多数のエンターテインメント器具の動作を無線通信により制御するため、無線通信で送信する制御情報を時系列に沿って様々に変化させることにより、調和の取れた動きの速いイルミネーションや臨場感のある音響を実現することができる。
【0020】
前記エンターテインメント器具のグループ番号記憶部は、2以上の(複数の)グループ番号を記憶するものであってもよい。この場合、2以上のグループ番号のそれぞれはグループ番号記憶部内の異なるページ(バンクとも言う)に記憶される。これら複数のページにはそれぞれページ番号(又はバンク番号)が付与されており、グループ番号記憶部の該ページ番号のページに該グループ番号を記憶させる。イルミネーションシステムの動作の際には、まず、前記制御情報送信用無線通信装置がページ番号(バンク番号)を送信すると、それを受信した各エンターテインメント器具は該ページ番号が付与されたページを参照する。そのうえで、前記制御情報送信用無線通信装置が、グループ番号及び該グループ番号に割り当てられた制御情報を送信すると、参照したページに記憶されたグループ番号と受信したグループ番号が一致したエンターテインメント器具が該制御情報に従った色及び/若しくは明るさで点灯、並びに/又は波形で発音する。
【0021】
このようにページ毎にグループ番号を設定することにより、制御情報送信用無線通信装置が送信するページ番号を変更することでエンターテインメント器具の発光パターンや音の発生パターンを変更することができるため、より変化に富んだイルミネーションや音響を実現することができる。
【0022】
グループ番号設定用無線通信装置を用いる場合においてページ毎にグループ番号を設定する際には、エンターテインメント器具が有する無線通信部はさらに(グループ番号と共に)ページ番号を無線により受信するものであって、グループ番号設定用無線通信装置はページ番号及びグループ番号を送信するものとするとよい。
【0023】
本発明に係るエンターテインメント器具において、
前記エンターテインメント発信部は前記発光部と前記発音部の双方を有し、前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作は前記発光部と前記発音部のうちの一方の動作であり、
前記グループ番号記憶部はさらに第2グループ番号を記憶するものであり、
前記無線通信部はさらに、前記第2グループ番号に割り当てられた前記発光部と前記発音部のうちの他方の動作を制御する第2制御情報を無線により受信するものであり、
前記制御部は、前記制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記一方の動作を制御すると共に、前記第2制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶された第2グループ番号に基づき前記他方の動作を制御するものである
という構成を取ることができる。
【0024】
この場合、前記エンターテインメントシステムは、
前記情報生成装置がさらに前記第2グループ番号毎に前記第2制御情報を生成するものであり、
前記制御情報送信用無線通信装置がさらに、前記第2制御情報を無線により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信するものである
という構成を取ることができる。
【0025】
このように、エンターテインメント発信部として発光部と発音部の双方を有するエンターテインメント器具を用い、グループ番号には発光部と発音部のうちの一方の動作を割り当て、第2グループ番号にはそれらのうちの他方の動作を割り当てることにより、発光部と発音部が異なる互いにグループ分けで制御される。これにより、発光部と発音部を互いに独立して制御することができるため、より複雑な表現を実現することができる。
【0026】
グループ番号と同様に第2グループ番号も、予めグループ番号記憶部に記憶させておくようにしてもよいし、情報生成装置で生成したうえで無線通信装置(制御情報送信用無線通信装置、又はそれとは異なるグループ番号設定用無線通信装置)でエンターテインメント器具に送信したうえで該エンターテインメント器具のグループ番号記憶部に記憶させるようにしてもよい。
【0027】
本発明に係るエンターテインメント器具はさらに、前記エンターテインメント発信部に電力を供給する一次電池又は二次電池による電源部を備えることが好ましい。これにより、個々のエンターテインメント器具に電力を供給するための配線を接続する必要がなくなるため、設置に要する手間を抑えることができる。
【0028】
前記電源部はさらに、太陽光発電パネル及び二次電池を備えることが好ましい。これにより、一次電池の交換や別途の二次電池への充電を行う必要がなくなるため、手間を抑えることができる。
【0029】
本発明に係るエンターテインメント器具は、前記電源部を備える場合においてさらに、
前記一次電池又は二次電池の残量を測定する残量測定部と、
前記残量測定部で測定された残量が所定値以下となったときに前記エンターテインメント発信部の出力を低下させる制御を行う出力制御部と
を備えることができる。
【0030】
これら残量測定部及び出力制御部を備える構成によれば、電源部の一次電池又は二次電池の残量が所定値以下となったときにエンターテインメント発信部の出力を低下させることにより、エンターテインメント器具がいわゆる電池切れで停止するまでの時間を延ばすことができる。この時間を延ばすことで一次電池の交換や二次電池の充電の時間を確保することにより、エンターテインメント器具が停止することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、エンターテインメント器具を多数用いて安価に、且つ調和のとれた動きの速いイルミネーションや臨場感のある音響によるエンターテインメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係るエンターテインメント器具であるイルミネーション用灯具の第一実施例を示す図。
【
図2】本発明に係るエンターテインメントシステムであるイルミネーションシステムの第一実施例を示す図。
【
図3】第一実施例の灯具を広域設置イルミネーションに使用した時の状態を示す図。
【
図4】第一実施例の各灯具にグループ番号を付与する様子を示す図。
【
図5】第一実施例の灯具にグループ番号を設定する時の通信内容の例を示す図。
【
図6】
図5に示したグループ番号を設定した灯具を点灯させる例を示す図。
【
図7】
図5に示したグループ番号を設定した灯具を点灯させる時の制御情報の通信内容の例を示す図。
【
図8】第一実施例の各灯具を点灯させつつイルミネーションを時間変化させる様子を示す図。
【
図10】第二実施例の灯具にグループ番号を設定する時の通信内容の例を示す図。
【
図11】
図10に示したグループ番号を設定した灯具を点灯させる例を示す図。
【
図12】
図10に示したグループ番号を設定した灯具に対してページ番号を指定する時の通信内容の例を示す図。
【
図13A】第二実施例の灯具にページ番号「1」を設定したときにおける、各灯具を点灯させつつイルミネーションを時間変化させる様子を示す図。
【
図13B】第二実施例の灯具にページ番号「2」を設定したときにおける、各灯具を点灯させつつイルミネーションを時間変化させる様子を示す図。
【
図15】第三実施例に係るイルミネーションシステムを示す図。
【
図16】第三実施例の灯具を広域設置イルミネーションに使用した時の状態を示す図。
【
図17】第四実施例に係るスピーカー付灯具を示す図。
【
図18】第四実施例に係るエンターテインメントシステムであるイルミネーションシステムを示す図。
【
図19】第四実施例においてグループ番号を設定したスピーカー付灯具を点灯及び発音させる時の制御情報の通信内容の例を示す図。
【
図20】第五実施例に係るスピーカー付灯具を示す図。
【
図21】第五実施例における第1グループ番号及び第2グループ番号の付与の例を示す図。
【
図22】第五実施例における制御情報の通信内容の例を示す図。
【
図23】第五実施例におけるスピーカー付灯具の第1グループ毎の発光及び第2グループ毎の発音の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下ではまず、発光部のみを有する(発音部を有しない)エンターテインメント器具であるイルミネーション用灯具(以下、「灯具」と略記する)及び該灯具を用いたエンターテインメントシステムであるイルミネーションシステムである第一~第三実施例について説明する。次に、発光部及び発音部(スピーカー)を有するエンターテインメント器具であるスピーカー付灯具並びに該スピーカー付灯具を用いたイルミネーションシステムである第四~第六実施例について説明する。最後に、発音部のみを有する(発光部を有しない)エンターテインメント器具及びそれを用いたエンターテインメントシステムを含む変形例を説明する。
【0034】
(1) 第一実施例
(1-1) 第一実施例の灯具及びイルミネーションシステムの構成
図1は、灯具に関する一つの実施例である。この灯具10は、電源部11と、発光部12と、赤外線通信受信回路(前記無線通信部に相当)13と、不揮発性メモリー(グループ番号記憶部)14と、CPU回路15とを備える。電源部11は、太陽光発電パネル111と、二次電池112と、それらを制御する電源回路113とを備える。発光部12は、赤色の光を発光する赤色LED
素子121、緑色の光を発光する緑色LED素子122、及び青色の光を発光する青色LED素子123という、互いに異なる色を発光する3個のLED素子121~123と、それらLED素子121~123を制御するLED点灯回路124とを備える。赤外線通信受信回路13は、後述の赤外線通信装置32から送信される赤外線を受信するものである。不揮発性メモリー14は電力の供給が途絶えても記憶された内容が維持されるメモリーであって、書き換えが可能なものである。不揮発性メモリー14には、後述のように赤外線通信受信回路13で受信するグループ番号が記憶される。
【0035】
CPU回路15は電源部11、発光部12、赤外線通信受信回路13及び不揮発性メモリー14を一括して制御する制御部である。なお、例えば既存の電源装置、発光装置、赤外線通信装置、不揮発性メモリーが有する制御部を流用する場合には、このように一括制御を行う1個のCPU回路15の代わりに、各部を個別に制御する(複数の)制御部を用いてもよい。
【0036】
図2は、第1実施例のイルミネーションシステム30を示す。このイルミネーションシステム30は、複数の灯具10と、それら複数の灯具10の各々に付与するグループ番号、及び該グループ番号が付与された灯具10に付与する制御情報を生成する情報生成装置であるパソコン31と、同パソコン31に無線で接続され、グループ番号や制御情報の信号を赤外線通信により灯具10に送出するための赤外線通信装置32から成る。赤外線通信装置32は赤外線通信インターフェイス321及び赤外線通信信号送出部322を有し、前記グループ番号設定用無線通信装置及び前記制御情報送信用無線通信装置として機能する。なお、パソコン31と赤外線通信装置32を有線で接続してもよいが、上記のようにそれらを無線で接続した方が設置工事が容易になるため好ましい。また、パソコン31と赤外線通信装置32を2組用意したうえで、一方をグループ番号設定用無線通信装置として用い、他方を制御情報送信用無線通信装置として用いてもよい。パソコン31と赤外線通信装置32を合わせて用いることにより、後述のように、同一グループ番号を設定する複数の灯具10に一括してプログラムする事ができる。
【0037】
図3は、広いエリアに大量に設置した灯具の全てに赤外線通信により制御信号を配信する場合の例を示しており、1台のパソコン31と、それぞれ該パソコン31に無線接続された4台の赤外線通信信号送出部3221~3224を配置している。全ての灯具10が見通し可能な範囲にある場合には、1台の高出力赤外線送出器で制御することも可能である。この例においてもパソコン31と赤外線通信信号送出部3221~3224を有線接続してもよいが、無線接続をした方が設置工事が容易になるため好ましい。
【0038】
(1-2) 第一実施例の灯具及びイルミネーションシステムの動作
以下、第一実施例の灯具及びイルミネーションシステムの動作を説明する。第一実施例では、各灯具にグループ番号を設定する操作を行った後、各灯具の点灯の制御を行うことにより、変化のあるイルミネーションを生成する。
【0039】
(1-2-1) グループ番号の設定操作
図4に、複数の灯具10の全て(全数)に01~04のいずれかのグループ番号を設定する場合の操作を模式的に示す(なお、
図4や後述の
図6等では上から1桁目の「0」を省略して表記している)。なお、設定するグループ番号の個数はこの例の4個には限定されず、2以上であればよい。また、
図4では01~04のグループ番号をそれぞれ同じ個数の灯具10に設定するように描いているが、グループ番号毎に異なる個数の灯具に対して設定を行ってもよい。
【0040】
まず、
図4(a)に示すように、全数の灯具10のうちグループ番号01を設定する灯具10を、赤外線通信装置32が送信する赤外線信号を受信することが可能な領域33内に配置する。それ以外の灯具は、
図4(a)に示すように領域33の外に配置するようにしてもよいし、それと共に又はその代わりに、赤外線を遮断する覆いを被せてもよい。
【0041】
そのうえで、
図5(a)に示すように、パソコン31によって以下のグループ番号設定信号を生成したうえで、赤外線通信装置32から領域33内の灯具に当該グループ番号設定信号を送信する。この例では、灯具10に対してグループ番号設定開始信号である“00H”を2回送出することにより、灯具10はグループ番号設定モードに入り、次に赤外線通信装置32からグループ番号を表す信号“01H”を送信する。この信号の前2桁「01」がグループ番号である。ここまでの00H、00H、01Hから成るグループ番号設定信号は複数回繰り返し送信される。このように灯具10が同一の命令を複数回受信することにより、誤動作を防止することができる。領域33内の灯具はこの信号を受けて、自分自身のグループ番号「01」を不揮発性メモリー14に書き込む。
【0042】
次に、グループ番号1を書き込んだ灯具10を領域33から取り出したうえで、未だグループ番号を設定していない灯具10のうちグループ番号02を設定する灯具10を領域33に配置する(
図4(b))。そのうえで、上記と同様に、赤外線通信装置32から領域33内の灯具にグループ番号「02」を設定するグループ番号設定信号(
図5(b))を送信し、それを受けた領域33内の灯具10がグループ番号「02」を不揮発性メモリー14に書き込む。
【0043】
グループ番号03及び04についても同様の操作を行う(
図4(c), (d))ことにより、全ての灯具10に対して01~04のいずれかのグループ番号を設定する。
【0044】
以上のグループ番号の設定操作において、指示された作業(グループ番号の書き込み)が正常に完了した灯具は例えば緑のLEDを短時間、異常が生じた灯具は赤のLEDを長時間点灯するようにしてもよい。これらの点灯の動作は、前述のように灯具10がグループ番号設定信号を複数回繰り返し受信している間に行うようにしてもよい。これらの点灯の動作により、グループ番号の設定が正常に終了したか否かを容易に判断できる。
【0045】
このようにグループ番号を不揮発性メモリー14に記憶させた全数の灯具10を、イルミネーションを実施する現場に設置する。
図6はそれら灯具10を現場に設置した例を示している。実際はさらに多数の灯具を使用するが、図示と理解が容易なように8×8=64個の例で説明する。
図6中の64個の円がそれぞれ1個の灯具10を表しており、各円の中心に記載した番号がグループ番号を表している(上記の通り、グループ番号の上から1桁目は省略)。この例では中心にグループ番号01の灯具10を4個、その外側にグループ番号02の灯具10を12個、更にその外側にグループ番号03の灯具10を20個、最外周にグループ番号04の灯具10を28個、それぞれ配置している。
【0046】
(1-2-2) 各灯具の点灯の制御
当該灯具を使用(点灯)するには、パソコン31によって以下の制御信号を生成したうえで、赤外線通信装置32から全ての灯具10に対して一斉に当該制御信号を送信する。まず、制御開始コードである“FFH”に引き続きグループ番号を指定するグループ番号指定コード“XnnH”(うち“nn”がグループ番号)を送信する。次に、赤色の強度“RmmH”、緑色の強度“GmmH”、青色の強度“BmmH”を示す色別強度指定コードを送出する。ここで“mm”は16進数で2桁(256段階)で示される数値であり、この数値が大きいほど、グループ番号指定コードで指定されたグループの灯具10が有する、各色に対応するLED素子121~123が明るく(強い強度で)点灯することになる。なお、ここでは赤色、緑色、青色のいずれにおいても同じ“mm”で表記したが、実際には色毎に数値が設定される。
【0047】
図7は、制御信号の一例を表している。この例では、制御開始信号である“FFH”に引き続きグループ番号指定信号“X01H”、及び色別強度指定信号“R40H”、“G40H”、“B00H”を送出する。これらの制御信号は、グループ番号01を付与した一番内側の4個の灯具10を、赤色が64段階目(強度が0である場合を「0段階目」として、弱い方から十進法で数えた強度。以下同じ。)の強度、緑色が64段階目の強度、青色が強度0となるように点灯させることを意味する。このように赤色と緑色を1:1の強度比で点灯させることにより、点灯色は黄色となる。本実施例では以下に述べるように、グループ番号02~04をそれぞれ付した灯具においても、赤色と緑色を1:1の強度比(強度の値はグループ毎に異なる)で点灯させるため点灯色は黄色となる。
【0048】
続いて制御開始信号“FFH”に引き続きグループ番号指定信号“X02H”、及び色別強度指定信号“R80H”、“G80H”、“B00H”を送出する。これらの制御信号は、グループ番号02を付与した12個の灯具10を、赤色が128段階目、緑色が128段階目、青色が強度0となるように点灯させることを意味する。更に制御開始信号“FFH”に引き続きグループ番号指定信号“X03H”、及び色別強度指定信号“RB0H”、“GB0H”、“B00H”を送り、更に制御開始信号“FFH”に引き続きグループ番号指定信号“X04H”、色別強度指定信号“RF0H”、“GF0H”、“B00H”を送出する。これらの制御信号は、グループ番号03を付与した20個の灯具10を、赤色が176段階目、緑色が176段階目、青色が強度0となるように点灯させると共に、最外周のグループ04の灯具10を、赤色が240段階目、緑色が240段階目、青色が強度0となるように点灯させることを意味する。
【0049】
以上のように、4つのグループの灯具10を、点灯色が黄色であって互いに強度が異なる4つの点灯状態のいずれかとなるように設定する。以下、色別強度指定信号が“R40H”、“G40H”、“B00H”である場合の点灯状態を「最も暗い黄色」、“R80H”、“G80H”、“B00H”である場合を「3番目に明るい黄色」、“RB0H”、“GB0H”、“B00H”である場合を「2番目に明るい黄色」、“RF0H”、“GF0H”、“B00H”である場合を「最も明るい黄色」と呼ぶ。
【0050】
次にプログラムにより指定された時間(一般的には1~数秒)が経過した後に、X01Hに最も明るい黄色、X02Hに最も暗い黄色、X03Hに3番目に明るい黄色、X04Hに2番目に明るい黄色を点灯させる計4種の制御信号を上記と同様の手法でパソコン31が生成したうえで順次、赤外線通信装置32から全ての灯具10に対して送信する。更にプログラムにより指定された時間が経過した後に、X01Hに2番目に明るい黄色を、X02Hに最も明るい黄色、X03Hに最も暗い黄色、X04Hに3番目に明るい黄色を点灯させる計4種の制御信号をパソコン31が生成したうえで同じく順次、赤外線通信装置32から全ての灯具10に対して送信する。最後に、プログラムにより指定された時間が経過した後に、X01Hに3番目に明るい黄色、X02Hに2番目に明るい黄色、X03Hに最も明るい黄色、X04Hに最も暗い黄色を点灯させる計4種の制御信号をパソコン31が生成したうえで順次、赤外線通信装置32から全ての灯具10に対して送信する。
【0051】
以上の操作を繰り返し実行することにより、
図8の左上図、右上図、左下図、右下図の順に示す4つのパターンにより灯具10が順次点灯し、さらに左上図のパターンに戻るように灯具10が順次点灯する、というイルミネーションが繰り返される。このイルミネーションにより、内側から外側に黄色の枠が広がり続ける動きを表現する事ができる。
【0052】
上の説明では黄色の明るさの変化だけを説明したが、実際の使用時には色と明るさを変えることにより更に複雑で美しいイルミネーションを表現できることになる。
【0053】
(2) 第二実施例
第二実施例の灯具及びイルミネーションシステムは、ハードウエア上は、
図9に示すように灯具10の不揮発性メモリー(グループ番号記憶部)14が複数のページ141、142…を有している点を除いて、第一実施例と同じ構成を有する。各ページ141、142…にはそれぞれ1個ずつグループ番号が記憶される。従って、不揮発性メモリー14の全体では複数のグループ番号が記憶される。各ページ141、142…にはそれぞれ1つずつグループ番号01、02…が付与されている。
【0054】
図10は、第二実施例においてパソコン31で生成され赤外線通信装置32により送出される信号の例を示している。この信号は、それを受信した各灯具10に対して、複数のページ番号の各々に対応してグループ番号を1つ(従って1つの灯具10全体ではグループ番号を複数)付与するものであり、設定しようとするページ番号とグループ番号の組み合わせが同じである複数の灯具10に対して同時に送信される。
図10に示すグループ番号設定信号では、プログラム開始符号の“00H”に続くコードでページ番号(以下Pppと記す)を指定し、次のコードでグループ番号(以下Gnnと記す)を書き込む。
【0055】
図10(a)の例では、ページ番号01を示すコード“P01H”を送信した後にグループ番号03を示すコード“G03H”を送信している。
図10(b)の例ではページ番号02を示すコード“P02H”
を送信した後にグループ番号01を示すコード“G01H”を送信している。これら
図10(a), (b)の一連の赤外線信号を受信した灯具10では、グループ番号03がページ番号01のページ141に、グループ番号01がページ番号02のページ142に、それぞれ記憶される。以下、ページ番号01のページ141に記憶したグループ番号を「/」(スラッシュ)の前に、ページ番号02でのページ142に記憶したグループ番号を「/」の後に、それぞれ記載する。
図10(a), (b)の例では「03/01」となる。なお、ここではページの数を2個としたが、3個以上としてもよい。
【0056】
第二実施例においても第一実施例と同様に、グループ番号の設定操作において、指示された作業(ページ番号毎のグループ番号の書き込み)が正常に完了した灯具は例えば緑のLEDを短時間、異常が生じた灯具は赤のLEDを長時間点灯するようにしてもよい。
【0057】
このような方法によって複数のグループ番号をそれぞれ不揮発性メモリー14のページに記憶させた全数の灯具10を、イルミネーションを実施する現場に設置する。
図11に示した例では、ページ番号01のページ141に記憶されたグループ番号に関しては
図6と同様の配置となり、ページ番号02でのページ142に記憶されたグループ番号に関しては横方向に区切られる4つの領域でグループ番号毎に分けられるように、灯具10が配置されている。
【0058】
各灯具10を点灯させる際には、まず、
図12に示すように、制御開始コードである“FFH”に引き続きページ選択コードである“FFH”を送出し、引き続きページ番号である“01H”(又は“02H”)を送ると、ページ番号01(又は02)が指定される。
【0059】
その後、第一実施例の場合と同様に、グループ番号毎に制御開始信号、グループ番号指定信号、及び色別強度指定信号から成る制御信号を送信する(
図7参照)ことにより、各灯具10の点灯を制御する。制御信号を受信した各灯具10は、ページ番号01が指定されているときには該ページ番号01で割り当てられたグループ番号に従って動作し、ページ番号02が指定されているときには該ページ番号02で割り当てられたグループ番号に従って動作する。各灯具10を
図11に示すように配置した場合、ページ番号01が指定されているときには
図13Aに示すように四角形の枠が外側にあるいは内側に向かって動くイルミネーションを表現でき、ページ番号02が指定されているときには
図13Bに示すように横線状のイルミネーションが下側から上側に向かって動くイルミネーションを表現できる。このように、ページ番号を切り替えるだけで、瞬時にパターンや動きの違うイルミネーションを表示できるので、観客を飽きさせない多彩なイルミネーションを提供できることになる。
【0060】
(3) 第三実施例
図14以降に、当該イルミネーションシステムの第三の実施例を示す。第三実施例では灯具20が有する前記無線通信部として、第一及び第二実施例で用いた赤外線通信受信回路13の代わりに、
図14に示すように磁気通信受信回路23を採用した。磁気による通信は電波法により許認可が必要な電波による無線と違い概ね自由に利用でき、また、交流磁界の検出は安価なコイルや昨今多用されているホール素子等を利用する事により、非常に低消費電力で且つ安価に実現する事ができる。
【0061】
磁気通信受信回路23は、コイル231と、同コイル231から得られる交流信号の増幅復調回路232を備える。コイル231の代わりに、各種ホール素子、磁気抵抗素子などの磁気検出素子が利用可能である。磁気通信受信回路23以外の灯具20の構成は、第一及び第二実施例における灯具10の構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0062】
図15は、第三実施例におけるイルミネーションシステム40を示す。このイルミネーションシステム40は、パソコン41と磁気通信インターフェイス421を無線で接続し、同磁気通信インターフェイス421に送信ループ422を接続したものである。なお、第一実施例の場合と同様に、パソコン41と磁気通信インターフェイス421を有線で接続してもよいが、それらを無線で接続した方が設置工事が容易である。送信ループ422の一部又は全部は地中に埋設してもよい。
図16に示した例では、送信ループ422のうち符号4221を付した部分が地中に埋設されている。磁気通信インターフェイス421と送信ループ422を合わせたものが磁気通信装置42であり、前記グループ番号設定用無線通信装置及び前記制御情報送信用無線通信装置として機能する。送信ループ422に交流電流を流すことにより、送信ループ422の内部に置かれた灯具20の磁気通信受信回路23に交流信号を発生させ、同交流信号を増幅・復調する事により、灯具20は信号を認識することができる。
【0063】
図16は広いエリアに大量に設置した灯具の全てに磁気通信により制御信号を配信する場合の例を示しており、パソコン41に、磁気通信インターフェイス421を無線で接続し、灯具20を設置したエリアを取り巻くように送信ループ422を配置する。なお、この例においてもパソコン41と磁気通信インターフェイス421を有線で接続してもよいが、無線で接続した方が設置工事が容易である。送信ループ422に交流電流を流すことにより灯具20の内部の磁気通信受信回路23に交流信号を発生させ、同交流信号を増幅・復調する事により、灯具20は制御信号を受信する。
【0064】
送信ループ422を設置するに当たっては、通路など地面に電線を配置しにくい場所は、電線を
図16に示すように支柱等で必要な高さに持ち上げることや、地中に埋設することができるので自由度が高い。また、設置領域が非常に広い場合や、ブロック的に分かれている場合は、複数の送信ループに分割してもよい。
【0065】
第三実施例におけるグループ番号の設定操作及び各灯具20の動作の制御は、磁気通信を用いる点を除いて第一又は第二実施例と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0066】
(4) 第四実施例
(4-1) 第四実施例のスピーカー付灯具及びイルミネーションシステムの構成
図17は、スピーカー付灯具に関する一つの実施例である。このスピーカー付灯具50は、電源部11と、発光部12と、赤外線通信受信回路(無線通信部)13と、不揮発性メモリー54と、CPU回路55と、発音部56とを有する。電源部11、発光部12及び赤外線通信受信回路13は第一実施例の灯具10のものと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
発音部56は、スピーカー561と、発音回路562を有する。スピーカー561は、本実施例では1個のスピーカー付灯具50につき1個のみ設けたが、2個以上設けてもよい。発音回路562は、CPU回路55からの制御信号を、スピーカー561を発音させる電気信号に変換する回路であって、増幅器(アンプ)等の機能を有する。
【0068】
不揮発性メモリー54は、構造上は第一実施例における不揮発性メモリー14と同じものであって、機能ブロックとして、グループ番号を記憶するグループ番号記憶部541と、音データを記憶する音データ記憶部542とを有する。音データ記憶部542には複数の音データが記憶される。各音データは、所定の発音時間内における波形のデータから成る。各音データには、他の音データと区別する番号である音データ番号が付与されている。音データ番号の各々は、それに対応する音データと関連付けられて音データ記憶部542に記憶されている。なお、これら音データ及び音データ番号は、赤外線通信装置32から送信されたものを赤外線通信受信回路13で受信したうえで音データ記憶部542に記憶させてもよいし、スピーカー付灯具50にさらに、赤外線通信受信回路13とは別の無線又は有線の通信インターフェイスを設け、その通信インターフェイスで受信したうえで音データ記憶部542に記憶させてもよい。特に、音楽のように時間の長い音データを用いる場合には、赤外線通信装置32や赤外線通信受信回路13よりも大容量のデータの送受信が可能な通信インターフェイスを用いるとよい。
【0069】
音データとして音データ記憶部542に記憶させる音には、例えば波や風の音等の自然の音、虫や鳥等の動物の声、楽器が奏でる音、人の声(歌声を含む)等が挙げられる。異なる音データ番号同士には、例えば動物の声であれば異なる動物のものを、楽器が奏でる音であれば異なる楽器のものを、人の歌声であれば異なるパート(ソプラノ、アルト等)のものを割り当てることができる。
【0070】
CPU回路55は、構造上は第一実施例におけるCPU回路15と同じものであって、電源部11、発光部12、赤外線通信受信回路13、不揮発性メモリー54及び発音部56を一括して制御する制御部である。第一実施例の場合と同様に、各部を個別に制御する(複数の)制御部を用いてもよい。
【0071】
第四実施例のイルミネーションシステムは、
図18に示すように、複数のスピーカー付灯具50と、パソコン61と、赤外線通信インターフェイス621及び赤外線通信信号送出部622を有しパソコン61に無線で接続された赤外線通信装置62から成る。パソコン61及び赤外線通信装置62は、光に加えて音に関する制御情報を生成及び送出する点を除いて、第一実施例のイルミネーションシステムにおけるパソコン31及び赤外線通信装置32と同様である。また、第四実施例においても第一実施例において
図3に示したものと同様に、スピーカー付灯具50を広いエリアに大量に設置したうえで、複数台の赤外線通信信号送出部を配置することで全てのスピーカー付灯具50の制御を行うことができる。
【0072】
(4-2) 第四実施例のスピーカー付灯具及びイルミネーションシステムの動作
以下、第四実施例のスピーカー付灯具50及びイルミネーションシステム60の動作を説明する。第四実施例では、まず、各スピーカー付灯具50にグループ番号を設定する操作を行う。その後、各スピーカー付灯具50の点灯及び発音の制御を行うことにより、変化のあるイルミネーション及び臨場感のある音響を生成する。グループ番号の設定操作は第一実施例において
図4~
図6を用いて説明した操作と同じであるため説明を省略し、以下では各スピーカー付灯具50の点灯及び発音の制御を説明する。
【0073】
各スピーカー付灯具50を点灯及び発音させる際には、パソコン61によって以下の制御信号を生成したうえで、赤外線通信装置62から全てのスピーカー付灯具50に対して当該制御信号を送信する。まず、制御開始信号である“FFH”に引き続きグループ番号“nn”を指定するグループ番号指定信号“XnnH”を送信する。次に、赤色、緑色及び青色の発光強度をそれぞれ16進数の数値“mm”(実際には色毎に数値が設定される)で示す色別強度指定信号“RmmH”、“GmmH”及び“BmmH”をこの順で送出する。次に、発音させる音データの音データ番号”hk”を指定する音指定信号“ShkH”を送信する。
【0074】
音データが楽器楽曲や歌声等の場合には、それぞれ異なる楽器やパートを互いに異なるグループに割り当てたうえで、音データ番号”hk”のうちの前の番号”h”にグループ番号(の下の桁)を付し、後の番号”k”に時間毎の音データの発音順の番号を付与する、ということもできる。
【0075】
ここまでの操作で、或る1つのグループ番号を有するスピーカー付灯具50に対する点灯及び発音の制御信号の送信が完了する。続けて別のグループ番号を有するスピーカー付灯具50に制御信号を送信する際には、まず、制御開始信号“FFH”を送信したうえで、引き続きグループ番号指定信号、3色分の色別強度指定信号及び音指定信号を送信する。この操作を全てのグループ番号に対して行うことにより、制御信号の送信が完了する。
【0076】
図19に制御信号の一例を示す。この例では、制御開始信号である“FFH”に引き続きグループ番号指定信号“X01H”、色別強度指定信号“R40H”、“G40H”及び“B00H”、並びに音指定信号“S11H”を送出する。これらの制御信号は、グループ番号01を付与したスピーカー付灯具50を、赤色が64段階目の強度、緑色が64段階目の強度、青色が強度0となるように点灯させると共に、音データ番号11が付与された音データにより発音させることを意味する。次に、制御開始信号“FFH”、グループ番号指定信号“X02H”、色別強度指定信号“R80H”、“G80H”及び“B00H”、並びに音指定信号“S21H”を送出する。続いて、制御開始信号“FFH”、グループ番号指定信号“X03H”、色別強度指定信号“RB0H”、“GB0H”及び“B00H”、並びに音指定信号“S31H”を送出する。最後に、制御開始信号“FFH”、グループ番号指定信号“X04H”、色別強度指定信号“RF0H”、“GF0H”及び“B00H”、並びに音指定信号“S41H”を送出する。
【0077】
図19のように制御信号を送信することにより、各スピーカー付灯具50の発光部12は、グループ番号01を付与したものでは赤色が64段階目の強度、緑色が64段階目の強度、青色が強度0である「最も暗い黄色」に、グループ番号02を付与したものでは赤色が128段階目の強度、緑色が128段階目の強度、青色が強度0である「3番目に明るい黄色」に、グループ番号03を付与したものでは赤色が176段階目
の強度、緑色が176段階目
の強度、青色が強度0である「2番目に明るい黄色」に、グループ番号04を付与したものでは赤色が240段階目
の強度、緑色が240段階目
の強度、青色が強度0である「最も明るい黄色」に、それぞれ点灯する。これにより、観客には
図8の左上図に示したものと同じ発光パターンが看取される。
【0078】
それと共にスピーカー付灯具50の発音部56は、グループ番号01を付与したものでは音データ番号11が付与された音データによる音を、グループ番号02を付与したものでは音データ番号21が付与された音データによる音を、グループ番号03を付与したものでは音データ番号31が付与された音データによる音を、グループ番号04を付与したものでは音データ番号41が付与された音データによる音を、それぞれ発する。これにより、看者にはそれぞれ異なる位置から生じるこれら4つの音が重畳した第1の重畳音が看取される。
【0079】
次に、パソコン61及び赤外線通信装置62は、最初の制御信号の送信からプログラムにより指定された時間(一般的には1~数秒)が経過した後に上記と同様の手法で、X01Hに最も明るい黄色、X02Hに最も暗い黄色、X03Hに3番目に明るい黄色、X04Hに2番目に明るい黄色を点灯させる計4種の色別強度指定信号を生成及びスピーカー付灯具50に送信すると共に、X01Hに音指定信号“S12H”、X02Hに音指定信号“S22H”、X03Hに音指定信号“S32H”、X04Hに音指定信号“S42H”という計4種の音指定信号を生成及びスピーカー付灯具50に送信する。これにより、観客には
図8の右上図に示したものと同じ発光パターンが看取される。それと共に、音データ番号12、22、32及び42が付与された音データによる4つの音が重畳した第2の重畳音が観客に看取される。
【0080】
さらに、パソコン61及び赤外線通信装置62は、プログラムにより指定された時間が経過した後に上記と同様の手法で、X01Hに2番目に明るい黄色、X02Hに最も明るい黄色、X03Hに最も暗い黄色、X04Hに3番目に明るい黄色を点灯させる計4種の色別強度指定信号を生成及び送信すると共に、X01Hに音指定信号“S13H”、X02Hに音指定信号“S23H”、X03Hに音指定信号“S33H”、X04Hに音指定信号“S43H”という計4種の音指定信号を生成及びスピーカー付灯具50に送信する。その後、パソコン61及び赤外線通信装置62は、プログラムにより指定された時間が経過した後に上記と同様の手法で、X01Hに3番目に明るい黄色、X02Hに2番目に明るい黄色、X03Hに最も明るい黄色、X04Hに最も暗い黄色を点灯させる計4種の色別強度指定信号を生成及びスピーカー付灯具50に送信すると共に、X01Hに音指定信号“S14H”、X02Hに音指定信号“S24H”、X03Hに音指定信号“S34H”、X04Hに音指定信号“S44H”という計4種の音指定信号を生成及びスピーカー付灯具50に送信する。これらの操作により、看者には
図8の左下図及び右下図に示したものと同じ2つの発光パターンが順に看取される。それと共に、音データ番号13、23、33及び43が付与された音データによる4つの音が重畳した第3の重畳音と、音データ番号14、24、34及び44が付与された音データによる4つの音が重畳した第4の重畳音が順に観客に看取される。
【0081】
以上の操作を繰り返し実行することにより、
図8の左上図、右上図、左下図、右下図の順に示す4つのパターンによりスピーカー付灯具50が順次点灯し、さらに左上図のパターンに戻るようにスピーカー付灯具50が順次点灯する、というイルミネーションが繰り返される。このイルミネーションの繰り返しと同期して、第1の重畳音、第2の重畳音、第3の重畳音及び第4の重畳音が順次発せられ、第1の重畳音に戻るという発音が生じる。
【0082】
音データを、それぞれ異なる楽器やパートを互いに異なるグループに割り当ててグループ番号(の下の桁)”h”(1~4)と発音順の番号”k”(1~4)で音データ番号”hk”(11~14、21~24、31~34、41~44)を付した場合には、各グループのスピーカー付灯具50から、互いに異なる楽器の音又はパートの歌声が発音順に従って流れる。
【0083】
上の説明では黄色の明るさの変化だけを説明したが、実際の使用時には色と明るさを変えることにより更に複雑で美しいイルミネーションを表現できることになる。
【0084】
(5) 第五実施例
上述のように第四実施例では発光部12による発光と発音部56による発音を同一のグループ番号を用いて制御するため、同じ光を発するスピーカー付灯具50同士は同じ音を発する。それに対して第五実施例のスピーカー付灯具及びイルミネーションシステムは、発光と発音を独立に制御すべく、以下の構成を有する。
【0085】
図20は、第五実施例のスピーカー付灯具50Aの構成を示す。このスピーカー付灯具50Aは、第四実施例のスピーカー付灯具50におけるグループ番号記憶部541及び音データ記憶部542としての機能を有する不揮発性メモリー54の代わりに、第1グループ番号記憶部5411、第2グループ番号記憶部5412及び音データ記憶部542としての機能を有する不揮発性メモリー54Aを有する。それ以外のスピーカー付灯具50Aの構成は、第四実施例のスピーカー付灯具50と同様である。
【0086】
第1グループ番号記憶部5411には第1グループ番号が、第2グループ番号記憶部5412には第2グループ番号が、それぞれ記憶される。第1グループ番号及び第2グループ番号はいずれも、後述のようにパソコン61で生成されて赤外線通信装置62により送信され、スピーカー付灯具50Aの赤外線通信受信回路13で受信される。第1グループ番号は発光部12に同一の動作を実行させるスピーカー付灯具50Aのグループを識別する番号であり、第2グループ番号は発音部56に同一の動作を実行させるスピーカー付灯具50Aのグループを識別する番号である。
【0087】
各スピーカー付灯具50Aでは第1グループ番号と第2グループ番号は互いに独立に付与される。
図21に示す例では、正方格子状に多数配置したスピーカー付灯具50Aに対して、同心円状に01~04(同図では「1」~「4」と示す)の第1グループ番号を付与すると共に、左半分には11、右半分には12という第2グループ番号を付与している。もちろん、第1グループ及び第2グループの分け方はこの例には限定されない。第1グループ及び第2グループの各々におけるグループの個数もこの例(前者は4つ、後者は2つ)には限定されない。
【0088】
第五実施例のイルミネーションシステムは、ハードウエアとしては
図18に示した第四実施例のイルミネーションシステムと同様のパソコン61及び赤外線通信装置62を有し、それらと第五実施例のスピーカー付灯具50Aを組み合わせて成る。本実施形態では、パソコン61は、第1グループ番号毎に発光部12の動作を制御する第1制御信号を生成すると共に、第2グループ番号毎に発音部56の動作を制御する第2制御信号を生成する機能を有する。赤外線通信装置62はこれら第1制御信号と第2制御信号をスピーカー付灯具50Aの赤外線通信受信回路13に送信する。
【0089】
図22に第1及び第2制御信号の一例を示す。同図に示した6行の制御信号のうちの1行目~4行目は発光部12を制御する第1制御信号であり、これらは第一実施例の制御信号(
図7)と同様に4つの第1グループ01~04に対してそれぞれ赤色LED素子121、緑色LED素子122及び青色LED素子123の発光強度を制御する信号である。5行目及び6行目は第1制御信号に引き続いて送信される、発音部56を制御する第2制御信号である。この第2制御信号は、具体的には、2つの第2グループのうち第2グループ番号11を付与したスピーカー付灯具50Aでは音データ番号11が付与された音データによる音11を発するように制御し、第2グループ番号12を付与したスピーカー付灯具50Aでは音データ番号21が付与された音データによる音21を発するように制御する、というものである。第1制御信号及び第2制御信号もこの例には限定されない。
【0090】
各スピーカー付灯具50Aはこれら第1制御信号及び第2制御信号を受けて、該スピーカー付灯具50Aが属する第1グループに対応した第1制御信号に従って発光部12が発光すると共に、第2グループに対応した第2制御信号に従って発音部56から音を発する。
図21に示した例のグループ分けをした各スピーカー付灯具50Aに、
図22に示した例の第1制御信号及び第2制御信号を送信した場合には、各スピーカー付灯具50Aは
図23に示すように第1グループ01~04(同図では「1」~「4」)毎に異なる強度で発光し、第2グループ11、12毎に異なる音を発する。
【0091】
その後、異なる内容の第1制御信号及び/又は第2制御信号を送信することにより、各第1グループのスピーカー付灯具50Aの発光及び/又は各第2グループのスピーカー付灯具50Aの発音を変更することができる。
【0092】
(7) 各実施例の作用効果
以上の様に、上記各実施例のエンターテインメント器具及びエンターテインメントシステムは、エンターテインメント器具側には受信機能しか有しないシンプル且つ低消費電力の無線通信機能を用いることにより、エンターテインメントシステム全体においても安価且つ低消費電力になるため、電池による長時間駆動も可能になる。また、広範かつ大量に設置した大規模なフルカラーイルミネーションにおいて見学者が飽きない多種類の複雑な動きのある表現が可能になる。それに加えて第四及び第五実施例ではさらに、広範かつ大量に設置したエンターテインメント器具にそれぞれ設けたスピーカーを複数のグループに分けてグループ毎に異なる発音をすることにより、臨場感のある音響を実現することができる。
【0093】
上記各実施例では、数千、数万個のエンターテインメント器具を用いた大規模なイルミネーションに使用する際に、個々のエンターテインメント器具はハードウェアもソフトウェアも全て同じものであることから、制御情報等を書き込む際もグループ分けするだけで一括して書き込むことができ、設置する際も同一グループ内であれば個体に関係しないから設置作業が容易である。
【0094】
また、実際の使用時(点灯時)においても、旧来の灯具は個々に識別番号を持つため、数が増えると通信量が膨大になり高速な通信を必要とするが、当該発明によるエンターテインメント器具はグループ単位で一括して制御できるので、データ量を大幅に削減でき、ひいては低速通信でも動きのある大規模なイルミネーションが可能になる。
【0095】
更に、第二実施例のようにページ機能を有する場合には、全エンターテインメント器具に対して一括してページを切り替えることができるので、多彩なパターンのイルミネーションを瞬時に切り替えて表現する事ができる。
【0096】
(8) 変形例
本発明は上記各実施例には限定されず、種々の変形が可能である。
【0097】
例えば、上記各実施例の説明において、ページ番号、グループ番号、並びに赤色LED、緑色LED及び青色LEDのパワー等の設定は、2進数で8ビットとして記載したが、使用時の通信速度を上げるために各々4ビットで表すことや、8ビットと4ビットを適時組み合わせて使用してもよい。上記実施例におけるコード体系は一例であり、発明の効果に何ら影響はしない。
【0098】
上記各実施例では電源部に太陽光パネルと二次電池を用いたが、単なる二次電池や一次電池を用いてもよい。有線で電力を供給してもよい。また、上記各実施例では光源としてLEDを用いたが、LED以外の光源を用いてもよい。上記各実施例では無線通信装置には赤外線通信(第一~第四実施例)又は磁気通信(第三実施例)を用いたが、それら以外の無線通信装置を用いてもよい。
【0099】
第二実施例ではページ機能を用いて灯具10(スピーカーは有しない)の制御を行ったが、スピーカー付灯具50に対しても第二実施例と同様にページ機能を用いて制御を行ってもよい。この場合にはまず準備段階として、第二実施例で
図10に示した例のように無線通信を用いて、各スピーカー付灯具50が有する不揮発性メモリー54の各ページ(第二実施例におけるページ141、142…に相当)に、当該ページに対応するページ番号毎のグループ番号を記憶させる。そのうえで、イルミネーションの実行時には、まず、第二実施例で
図12に示した例のように、無線通信を用いてページ番号をスピーカー付灯具50に送信する。これにより、各スピーカー付灯具50では、受信したページ番号に記憶されたグループ番号を読み出す。その後は、そのグループ番号に基づいて、第四実施例と同様に、各スピーカー付灯具50はそのグループ番号で指定された発光部12及び発音部56の動作を含む制御情報の信号を無線通信で受信したうえで、それらの動作を実行する。
【0100】
第四及び第五実施例、並びに前段落で述べた第二実施例の変形例では、スピーカー付灯具50を用いて、それが有する発光部12及び発音部56の双方の動作を制御したが、スピーカー付灯具50の代わりに発光部12を有しない(発音部56は有する)スピーカーを用いてもよい。この場合には、上記各実施例又は変形例における動作から、発光部12の制御に関する制御信号の送信の動作を省略してスピーカーの制御を行う。
【0101】
各実施例及び変形例においてさらに、電源回路113内に、電池の残量を測定する残量測定部1131を設けると共に、CPU
回路15を、残量測定部1131で測定された残量を取得したうえで該残量が所定値以下となったときには発光部
12及び/又は発音部56の出力を低下させる制御を行う出力制御部として機能させるようにしてもよい。
図24では第一実施例の構成に残量測定部1131を設けた例を示したが、他の実施例や変形例でも同様の残量測定部を設けることができる。このような構成を取ることにより、灯具
10又はスピーカー付灯具51、51Aがいわゆる電池切れで停止するまでの時間を延ばすことができ、それによって一次電池の交換や二次電池の充電の時間を確保することにより、それら灯具等が停止することを防ぐことができる。
【0102】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0103】
(第1項)第1項に係るエンターテインメント器具は、
a) 複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、
b) グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、
c) 前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する制御情報を無線により受信する無線通信部と、
d) 前記無線通信部が受信した制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部と
を備える。
【0104】
(第2項)第2項に係るエンターテインメント器具は、第1項に係るエンターテインメント器具において、前記無線通信部がさらに前記グループ番号を無線により受信するものである。
【0105】
(第3項)第3項に係るエンターテインメント器具は、第1項又は第2項に係るエンターテインメント器具において、前記グループ番号記憶部が、グループ番号を記憶する複数のページを有する。
【0106】
(第4項)第4項に係るエンターテインメント器具は、第1~3項のいずれか1項に係るエンターテインメント器具において、
前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作は前記発光部と前記発音部のうちの一方の動作であり、
前記グループ番号記憶部はさらに第2グループ番号を記憶するものであり、
前記無線通信部はさらに、前記第2グループ番号に割り当てられた前記発光部と前記発音部のうちの他方の動作を制御する第2制御情報を無線により受信するものであり、
前記制御部は、前記制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記一方の動作を制御すると共に、前記第2制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶された第2グループ番号に基づき前記他方の動作を制御するものである。
【0107】
(第5項)第5項に係るエンターテインメント器具は、第1~4項のいずれか1項に係るエンターテインメント器具においてさらに、
前記エンターテインメント発信部に電力を供給する一次電池又は二次電池と、
前記一次電池又は二次電池の残量を測定する残量測定部と、
前記残量測定部で測定された残量が所定値以下となったときに前記エンターテインメント発信部の出力を低下させる制御を行う出力制御部と
を備える。
【0108】
(第6項)第6項に係るエンターテインメント器具は、第1~5項のいずれか1項に係るエンターテインメント器具においてさらに、前記エンターテインメント発信部に電力を供給する太陽光発電パネル及び二次電池による電源部を備える。
【0109】
(第7項)第7項に係るエンターテインメントシステムは、
複数種の光を発光可能な発光部及び音を発音可能な発音部のいずれか一方又は双方を有するエンターテインメント発信部と、グループ番号を記憶するグループ番号記憶部と、前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作を制御する制御情報を無線により受信する無線通信部と、前記無線通信部が受信した制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記エンターテインメント発信部の発光及び発音のいずれか一方又は双方を制御する制御部とをそれぞれ備える複数のエンターテインメント器具と、
前記複数のエンターテインメント器具の各々に付与されたグループ番号毎に前記制御情報を生成する情報生成装置と、
前記情報生成装置で生成されたグループ番号毎の制御情報を無線により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信する制御情報送信用無線通信装置と
を備える。
【0110】
(第8項)第8項に係るエンターテインメントシステムは、第7項に係るエンターテインメントシステムにおいて、
前記無線通信部がさらに前記グループ番号を無線により受信するものであり、
前記情報生成装置がさらに前記グループ番号を生成するものであって、
さらに、前記複数のエンターテインメント器具のうち同一のグループに属するエンターテインメント器具の全てに、前記情報生成装置で生成された同一のグループ番号を無線通信により送信するグループ番号設定用無線通信装置を備える。
【0111】
(第9項)第9項に係るエンターテインメントシステムは、第7項に係るエンターテインメントシステムにおいて、
前記グループ番号記憶部が、それぞれページ番号が付与された、グループ番号を記憶する複数のページを有し、
前記制御情報送信用無線通信装置がページ番号及び制御情報を送信するものである。
【0112】
(第10項)第10項に係るエンターテインメントシステムは、第8項に係るエンターテインメントシステムにおいて、前記グループ番号記憶部が、それぞれページ番号が付与された、グループ番号を記憶する複数のページを有し、
前記無線通信部がさらに前記ページ番号を無線により受信するものであって、
前記グループ番号設定用無線通信装置がページ番号及びグループ番号を送信するものであり、
前記制御情報送信用無線通信装置がページ番号及び制御情報を送信するものである。
【0113】
(第11項)第11項に係るエンターテインメントシステムは、第7~10項のいずれか1項に係るエンターテインメントシステムにおいて、
前記エンターテインメント発信部は前記発光部と前記発音部の双方を有し、前記グループ番号に割り当てられた前記エンターテインメント発信部の動作は前記発光部と前記発音部のうちの一方の動作であり、
前記グループ番号記憶部はさらに第2グループ番号を記憶するものであり、
前記無線通信部はさらに、前記第2グループ番号に割り当てられた前記発光部と前記発音部のうちの他方の動作を制御する第2制御情報を無線により受信するものであり、
前記制御部は、前記制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶されたグループ番号に基づき前記一方の動作を制御すると共に、前記第2制御情報と前記グループ番号記憶部に記憶された第2グループ番号に基づき前記他方の動作を制御するものであり、
前記情報生成装置はさらに前記第2グループ番号毎に前記第2制御情報を生成するものであり、
前記制御情報送信用無線通信装置はさらに、前記第2制御情報を無線により前記複数のエンターテインメント器具の全てに送信するものである。
【0114】
(第12項)第12項に係るエンターテインメントシステムは、第7~11項のいずれか1項に係るエンターテインメントシステムにおいて、前記無線通信が赤外線を用いた通信である。
【0115】
(第13項)第13項に係るエンターテインメントシステムは、第7~12項のいずれか1項に係るエンターテインメントシステムにおいて、前記無線通信が磁気を用いた通信である。
【符号の説明】
【0116】
10、20…灯具(エンターテインメント器具)
11…電源部
111…太陽光発電パネル
112…二次電池
113…電源回路
1131…残量測定部
12…発光部
121…赤色LED素子
122…緑色LED素子
123…青色LED素子
124…LED点灯回路
13、53…赤外線通信受信回路(無線通信部)
14…不揮発性メモリー(グループ番号記憶部)
15、55…CPU回路
23…磁気通信受信回路(無線通信部)
231…コイル
232…増幅復調回路
30、40、60…イルミネーションシステム
31、41、61…パソコン
32、62…赤外線通信装置(グループ番号設定用無線通信装置、兼、制御情報送信用無線通信装置)
321、621…赤外線通信インターフェイス
322、3221~3224、622…赤外線通信信号送出部
33…赤外線が照射される領域
42…磁気通信装置(グループ番号設定用無線通信装置、兼、制御情報送信用無線通信装置)
421…磁気通信インターフェイス
422…送信ループ
4221…送信ループのうち地中に埋設されている部分
50、50A…スピーカー付灯具
54、54A…不揮発性メモリー
541…グループ番号記憶部
5411…第1グループ番号記憶部
5412…第2グループ番号記憶部
542…音データ記憶部
56…発音部
561…スピーカー
562…発音回路