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特許7634301トレーニング器具用負荷伝達機構部及びこれを用いたトレーニング器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】トレーニング器具用負荷伝達機構部及びこれを用いたトレーニング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/062 20060101AFI20250214BHJP
   A63B 23/035 20060101ALI20250214BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A63B21/062
A63B23/035 Z
A63B23/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024004917
(22)【出願日】2024-01-16
【審査請求日】2024-10-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503059301
【氏名又は名称】株式会社ワールドウィングエンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕史
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2024/009742(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/021720(WO,A1)
【文献】特開2022-104690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/062
A63B 23/035
A63B 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが力を入力する入力部が端部に接続され、前記入力部と共に回動する主動軸部と、
前記主動軸部の回動に連動して回動する中間軸部と、
前記主動軸部と前記中間軸部との間を連携し、前記主動軸部と前記中間軸部との間の回動の伝達に用いられる第1回動伝達部と、
前記中間軸部と、前記中間軸部と直交する直交軸部との間を連携し、前記中間軸部と前記直交軸部との間の回動の伝達に用いられる第2回動伝達部と、
外部からの張力を受けるとともに、軸受に支持されて前記軸受の軸方向の往復運動が許容されるとともに、前記入力部の水平移動に伴って水平移動する摺動軸部と、
前記主動軸部、前記中間軸部、前記直交軸部、及び前記軸受を連結する連結固定部を備え、前記主動軸部、前記中間軸部、前記直交軸部、及び前記摺動軸部は、前記連結固定部を介して前記主動軸部の水平移動に伴って水平移動し、前記連結固定部を前記第1回動伝達部の延伸方向に対して平行となる直線方向の移動案内する直動案内部と、
前記摺動軸部に接続されて前記張力を伝えるとともに、前記摺動軸部の前記軸方向及び前記直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える引張部材と、
両端を前記直交軸部と前記摺動軸部とに接続され、前記直交軸部の回動運動を前記摺動軸部の軸方向の往復運動に変換するリンク機構部と、
前記主動軸部、前記中間軸部、前記直交軸部、前記摺動軸部、及び前記直動案内部のスライダを内蔵する筐体部と、
前記直動案内部のスライダの直進移動する方向に延伸するように前記筐体部の上面に形成され、前記摺動軸部が内側に挿通されて水平移動する長穴と、
円盤形状の外周面に周方向に延びる環状の溝が形成されている2個のガイドロールであって、前記引張部材をそれぞれの前記溝に嵌めて保持する第1ガイドロール及び第2ガイドロールと、
を備え、
前記引張部材は、前記摺動軸部の前記長穴における水平移動に合わせて伸長し、前記第1ガイドロールの溝と前記第2ガイドロールの溝とにより保持されている部分からの伸長方向の角度を変化させることを特徴とするトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項2】
前記入力部は、ユーザが握持する握持部又はユーザの足置き部であることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項3】
トレーニング器具と接続するための接続部が備えられることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項4】
前記第1回動伝達部は、伝達チェーンであり、
前記主動軸部に主動軸スプロケットが備えられ、
前記中間軸部に中間軸スプロケットが備えられ、
前記伝達チェーンが前記主動軸スプロケットと前記中間軸スプロケットとの間に懸架されることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項5】
前記第2回動伝達部は、
前記中間軸部に備えられる中間軸傘歯車と、
前記直交軸部に備えられ前記中間軸傘歯車と歯合する直交軸傘歯車とを備えることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項6】
前記握持部が環状物であることを特徴とする請求項2に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項7】
前記張力はトレーニング器具の負荷の大きさを自在に調整する負荷付与部により生じることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング器具用負荷伝達機構部。
【請求項8】
請求項1のトレーニング器具用負荷伝達機構部を備えたことを特徴とするトレーニング器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング器具用負荷伝達機構部及びこれを用いたトレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツに限らず健やかな日常生活を送るためには筋力のトレーニングは良いとされている。筋力のトレーニングでは、身体に負荷を与えつつ動作させる方法が広く行われている。このようなトレーニングを行う際に用いられるトレーニング器具は各種存在する。例えば、特許文献1は、腹部及び腰周りに負荷を与えつつ動作させるトレーニングを行う器具を開示している。
【0003】
特許文献1に開示のトレーニング器具は、ウェイトプレート(負荷)から延びる吊りベルトなどの引張部材とユーザが押圧する押圧パットなどの入力部との間にある二つの中継ローラを使って、ウェイトプレート(負荷)によって生じる引張部材の張力は、その方向を反転させて入力部に伝えられる。特許文献1に開示のトレーニング器具を用いて行うトレーニングでは、運動者の上半身を引き起こしたり寝かせたりする1方向の往復運動に対して負荷が与えられる。
【0004】
筋力トレーニングは、骨格の周りの複数の筋肉を複合的な動きにより動かすことで柔軟性及び弾力性を備えた筋力の習得が可能であるとされている。特許文献1に開示のトレーニング器具を用いたトレーニングでは、限られた範囲の筋肉に対する1方向の往復運動による単調な動きによる鍛錬となり、当該鍛錬の対象となる筋肉が硬化し柔軟性及び弾力性を欠くおそれがあった。
そこで、筋力トレーニングにおける筋肉の負荷を伴う動作において、トレーニングの対象となる筋肉の複数方向の動作を同時に行うことができるトレーニング機器の登場が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-187724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、筋力トレーニングにおける筋肉の負荷を伴う動作において、トレーニングの対象部位を複数方向に同時に動かすことで、当該対象部位の複合的な動きに負荷をかけることができるトレーニング器具用負荷伝達機構部及びこれを用いたトレーニング器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、第1の態様に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部は、ユーザが力を入力する入力部が端部に接続され、入力部と共に回動する主動軸部と、主動軸部の回動に連動して回動する中間軸部と、主動軸部と中間軸部との間を連携し、主動軸部と中間軸部との間の回動の伝達に用いられる第1回動伝達部と、中間軸部と、中間軸部と直交する直交軸部との間を連携し、中間軸部と直交軸部との間の回動の伝達に用いられる第2回動伝達部と、外部からの張力を受けるとともに、軸受に支持されて軸受の軸方向の往復運動が許容される摺動軸部と、主動軸部、中間軸部、直交軸部、及び軸受を連結する連結固定部を備え、連結固定部を第1回動伝達部の延伸方向に対して平行となる直線方向の移動を案内する直動案内部と、摺動軸部に接続されて張力を伝えるとともに、摺動軸部の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える引張部材と、を直交軸部と摺動軸部とに接続され、直交軸部の回動運動を摺動軸部の往復運動に変換するリンク機構部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2の態様に係るトレーニング器具は、第1の態様に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部は、ユーザが力を入力する入力部が端部に接続され、入力部と共に回動する主動軸部と、主動軸部の回動に連動して回動する中間軸部と、主動軸部と中間軸部との間を連携し、主動軸部と中間軸部との間の回動の伝達に用いられる第1回動伝達部と、中間軸部と、中間軸部と直交する直交軸部との間を連携し、中間軸部と直交軸部との間の回動の伝達に用いられる第2回動伝達部と、外部からの張力を受けるとともに、軸受に支持されて軸受の軸方向の往復運動が許容される摺動軸部と、主動軸部、中間軸部、直交軸部、及び軸受を連結する連結固定部を備え、連結固定部を第1回動伝達部の延伸方向に対して平行となる直線方向の移動を案内する直動案内部と、摺動軸部に接続されて張力を伝えるとともに、摺動軸部の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長の方向を変える引張部材と、を直交軸部と摺動軸部とに接続され、直交軸部の回動運動を摺動軸部の往復運動に変換するリンク機構部と、を備えることを特徴とするので、筋力トレーニングにおける筋肉の負荷を伴う動作において、トレーニングの対象部位を複数方向に同時に動かすことで、当該対象部位の複合的な動きに負荷をかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aの内部の構成を説明するための正面図である。
図2図2は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aの構成を説明するための側面図である。
図3図3は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aの内部の構成を説明するための斜視図である。
図4図4は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aのリンク機構部について説明するための図である。
図5図5は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aの内部の動作を説明するための正面図である。
図6図6は第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aのリンク機構部の動作について説明するための図である。
図7図7は第2実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Bの内部の構成を説明するための正面図である。
図8図8は両腕用第1トレーニング器具の斜視図である。
図9図9は両腕用第1トレーニング器具の正面図である。
図10図10は両腕用第1トレーニング器具の使用中の形態の斜視図である。
図11図11は両腕用第1トレーニング器具の使用中の形態の正面図である。
図12図12は片腕用第1トレーニング器具の斜視図である。
図13図13は片腕用第1トレーニング器具の正面図である。
図14図14は第2トレーニング器具の斜視図である。
図15図15は第2トレーニング器具の足置き部の拡大斜視図である。
図16図16は第2トレーニング器具の使用中の形態における第1態様を示す側面図である。
図17図17は第2トレーニング器具の使用中の形態における第2態様を示す側面図である。
図18図18は第2トレーニング器具の使用中の形態における第3態様を示す側面図である。
図19図19は第3実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Cの内部の構成を説明するための正面図である。
図20図20は第4実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Dの内部の構成を説明するための正面図である。
図21図21は第5実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Eの内部の構成を説明するための正面図である。
図22図22は第6実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Fの内部の構成を説明するための正面図である。
図23図23は第7実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Gの内部の構成について説明するための正面図である。
図24図24は第7実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Gの内部の構成について説明するための斜視図である。
図25図25は第8実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Hの内部の構成について説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Aの概要について>
図1乃至図6を参照して、本開示の第1実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1A(以下、負荷伝達機構部1Aと言う。)について説明する。負荷伝達機構部1Aは、後述の第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201に取り付けて用いられ、ユーザの手からの入力を受け付ける。
【0012】
<負荷伝達機構部1Aの構成についての説明>
図1乃至図6を参照して、第1実施形態の負荷伝達機構部1Aの構成と動作について説明する。
先ず、図1乃至図4を参照して、第1実施形態の負荷伝達機構部1Aの構成について説明する。図1は負荷伝達機構部1Aの内部の構成を説明するための正面図であり、図2は負荷伝達機構部1Aの構成を説明するための側面図であり、図3は負荷伝達機構部1Aの内部の構成を説明するための斜視図であり、図4は負荷伝達機構部1Aのリンク機構部30について説明するための図である。
【0013】
負荷伝達機構部1Aは筐体部22を備える。図1及び図3は負荷伝達機構部1Aの内部の構成を説明するための図であるため、図1及び図3において筐体部22は想像線で描かれている。筐体部22は主動軸部4、中間軸部5、直交軸部6、及び摺動軸部13を内蔵する。主動軸部4と摺動軸部13との間の各軸部を介して主動軸部4と摺動軸部13との間の双方向の力の伝達が可能である。
主動軸部4は、ユーザが力を入力する入力部である握持部11が端部に接続され、握持部11と共に回動、及び筐体部22の長手方向であって、摺動軸部13側へ近接及び離隔する向きの水平移動をする。
第1回動伝達部1Kは、主動軸部4と中間軸部5との間を連携し、主動軸部4と中間軸部5との間の回動の伝達に用いられる。
中間軸部5は、主動軸部4の回動に連動して回動する。
また、中間軸部5、直交軸部6、及び摺動軸部13は、後述の連結固定部23を介して主動軸部4と連結されているため、主動軸部4の水平移動に伴って水平移動する。
筐体部22は、負荷伝達機構部1Aの外壁を構成する。
【0014】
直交軸部6は、中間軸部5と直交する。
第2回動伝達部1Mは、中間軸部5と直交軸部6との間を連携し、中間軸部5と直交軸部6との間の回動の伝達に用いられる。
摺動軸部13は、外部からの張力を受けるとともに、摺動軸受13aに支持されて摺動軸受13aの軸方向の往復運動が許容される。張力19はトレーニング器具100、の負荷の大きさを自在に調整する後述の負荷付与部130、230により生じる。
【0015】
連結固定部23は、主動軸部4、中間軸部5、直交軸部6、及び摺動軸受13aを連結する。連結固定部23は、第1固定片23aと第2固定片23bとを備える。図1に示す様に、第1固定片23aは直線状の板状体であり、第2固定片23bはL字状の板状体である。
【0016】
第1固定片23aは、主動軸受(不図示)及び中間軸受5aが備えられ、主動軸受は主動軸部4を回転自在に支持し、中間軸受5aは中間軸部5を回転自在に支持する。主動軸受及び中間軸受5aは、主動軸部4と中間軸部5とが平行となるように主動軸部4及び中間軸部5を支持する。
第2固定片23bは、短辺と長辺とが直交するL字状の板状物である。L字状短辺に摺動軸受13aが備えられ、L字状長辺に直交軸受6aが備えられる。摺動軸部13は摺動軸受13aを軸方向に往復移動可能となるように支持する。直交軸受6aは直交軸部6を回転自在に支持する。
後述のリンク機構部30は、両端を摺動軸部13と直交軸部6とに接続され、直交軸部6の回動運動を摺動軸部13の往復運動に変換する。
【0017】
第1固定辺23aは、第2固定辺23bのL字状長辺と直交する様に、第2固定辺23bと接続する。従って、主動軸部4、中間軸部5、及び摺動軸部13は相互に平行となるように連結固定部23に備えられる。直交軸部6は、主動軸部4、中間軸部5、及び摺動軸部13に直交するように連結固定部23に備えられる。
【0018】
主動軸部4に主動軸スプロケット4cが備えられ、中間軸部5に中間軸スプロケット5cが備えられる。スプロケット(sprocket)とは、軸の回転を伝達チェーン10に伝達し、或いは、伝達チェーン10の回転を軸に伝達するための歯車のことである。伝達チェーン10とは、軸の回転を張力として伝達する動力伝達に用いられる機械要素の一つである。主動軸スプロケット4cと中間軸スプロケット5cとの間は、第1回動伝達部1Kとなる伝達チェーン10が懸架されて連携されているので、伝達チェーン10が主動軸スプロケット4cと中間軸スプロケット5cとを連動して回転させるので、中間軸部5は主動軸部4の回動に連動して回動する。
【0019】
第2回動伝達部1Mは、中間軸傘歯車5dと直交軸傘歯車6cとを備える。中間軸傘歯車5dと直交軸傘歯車6cとは、相手の歯に自分の歯をかみ合わせることで互いの回動を伝達する。中間軸部5に中間軸傘歯車5dが備えられ、直交軸部6に直交軸傘歯車6cが備えられる。
傘歯車とは、二つの交差する回転軸のそれぞれに取り付けられ、この二軸間で回動運動を伝達し、歯車自体の歯付き面は円すい形になっている歯車である。中間軸傘歯車5dと直交軸傘歯車6cは第2回動伝達部1Mを構成し、中間軸部5と、中間軸部5と直交する直交軸部6との間を連携し、中間軸部5と直交軸部6との間の回動の伝達に用いられる。
【0020】
第1固定片23aは、直動案内部20のスライダ20cに固定される。直動案内部20とは、レール(鉄路)となるガイド20a、20bとスライダ20cとガイド支持台20dとを備え、当該ガイド20a、20bに沿って摺動するスライダ20cが低摩擦で滑らかに直線運動を行う機械要素部品の一つである。スライダ20cは、主動軸部4、中間軸部5、直交軸部6、及び摺動軸部13を連結する連結固定部23が取り付けられ、連結固定部23を第1回動伝達部1Kの延伸方向に対して平行となる方向に沿って移動させる。
【0021】
直動案内部20は、第1ガイド20a、第2ガイド20b、スライダ20c、及びガイド支持台20dを備える。ガイド支持台20dは、筐体部22の内部に固定される。第1ガイド20a及び第2ガイド20bは、直線の棒状体であり、第1ガイド20aと第2ガイド20bとの平行状態を維持したままガイド支持台20dに固定される。スライダ20cは、第1ガイド20aと第2ガイド20bとに跨って設置されて、第1ガイド20aと第2ガイド20bとの上を直進移動する。
【0022】
入力部である握持部11がユーザによって水平移動されることにより、連結固定部23はスライダ20cとともに第1ガイド20a及び第2ガイド20bの延伸方向に沿って低摩擦で滑らかに水平移動する。中間軸部5及び直交軸部6は、連結固定部23の水平移動に伴って水平移動する。第1ガイド20a及び第2ガイド20bの延伸方向が直交軸部6の延伸方向に対して平行となるように、第1ガイド20a及び第2ガイド20bは筐体部22に設置される。これにより、主動軸部4の水平移動に伴う直交軸部6の水平移動の方向は、直交軸部6の延伸方向に平行となる。
なお、2つの方向の平行とは、三次元の平行のことであり、2つの方向が同一平面上にあり、両者が交わらないことをいう。
【0023】
筐体部22の上面22aは、上下に貫通する長穴33が設けられている。長穴33はスライダ20cの直進移動する方向に延伸するように形成される。長穴33は摺動軸部13が挿通される。ユーザによる握持部11の水平移動に伴って摺動軸部13は長穴33内を水平移動する。
【0024】
リンク機構部30は、両端を摺動軸部13と直交軸部6とに接続され、直交軸部6の回動運動を摺動軸部13の上下方向の往復運動に変換する。
図4を参照してリンク機構部30の構成について説明する。リンク機構部30は、第1リンク30aと第2リンク30bとを備える。リンクは一般に細長い棒状の形をしており両端にジョイントが設けられ、力や運動を伝える役割をする部材である。第1リンク30aの一端は直交軸部6に固定され、第1リンク30aの他端は第2リンク30bの一端と連結し第1ジョイント30cを形成する。第1ジョイント30cは、第1リンク30aと第2リンク30bとにより形成される関節であり可動部である。第2リンク30bは第1ジョイント30cを中心として第1リンク30aに対して略360度回転可能である。
第2リンク30bの他端は摺動軸部13の第1端部13bに連結されて第2ジョイント30dを形成する。第2ジョイント30dは、第2リンク30bと摺動軸部13とにより形成される関節であり可動部である。第2リンク30bは第2ジョイント30dを中心として摺動軸部13に対して略360度回転可能である。
【0025】
引張部材25は、摺動軸部13に接続されて張力19を伝えるとともに、摺動軸部13の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長の方向を変える。
引張部材25は、可撓性を有するロープであり、伸縮性は小さく、荷重条件、及び耐久性要求に合わせて、材質及び太さが決定される。引張部材25の材質は主に金属が用いられる。また、引張部材25は金属製チェーンであってもよい。
両腕用第1トレーニング器具100a(図8乃至図11参照)にあっては、引張部材25は、一端を摺動軸部13の第2端部13cに接続され、他端を負荷付与部130の引張部材接続部181に接続される。
片腕用第1トレーニング器具100b(図12乃至図13参照)にあっては、引張部材25は、一端を2台の負荷伝達機構部1Aのうちの一方の摺動軸部13の第2端部13cに接続され、他端を他方の摺動軸部13の第2端部13cに接続される。
引張部材25は、負荷付与部130から伸長し、第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び方向転換案内車170に挿通され巻回される。
【0026】
第1ガイドロール26及び第2ガイドロール27は、それぞれ円盤形状をしておりその外周面に周方向に延びる環状の溝26a、溝27aが形成される(図1乃至図4参照)。引張部材25は、溝26a及び溝27aに嵌り保持される。引張部材25は、溝26a及び溝27aに保持されることにより、前後方向(図1の紙面上における左右)の移動が規制される。
【0027】
引張部材25は、第1ガイドロール26及び第2ガイドロール27によって挟持され、左右(図2の紙面上における左右)の移動が規制される。
第1ガイドロール26及び第2ガイドロール27は、引張部材25との間に生じる摩擦により引張部材25の進退に合わせて回転する。
【0028】
方向転換案内車170は、後述のウェイト131によって引張部材25に付与される下方向への負荷を上方向への負荷に転換している。
方向転換案内車170は、円盤形状をしており外周面に周方向に延びる環状の溝170aが形成される(図1乃至図2参照)。引張部材25は溝170aに嵌り保持される。
【0029】
第1ガイドロール26、及び第2ガイドロール27は、取り付けブラケット141を介して案内支柱140の最上部付近に取り付けられる。負荷伝達機構部1Aは案内支柱140を中心とする旋回運動が許容される。取り付けブラケット141は、旋回運動する負荷伝達機構部1Aの向きに合わせて、負荷伝達機構部1Aの向きに追従するように取り付けブラケット141の向きを変える。
【0030】
<負荷伝達機構部1Aの動作についての説明>
図5乃至図6をも参照して、負荷伝達機構部1Aの動作について説明する。図5は負荷伝達機構部1Aの内部の動作を説明するための正面図であり、図6は負荷伝達機構部1Aのリンク機構部30の動作について説明するための図である。
【0031】
先ず、図1及び図5を参照して、負荷伝達機構部1Aにおける主動軸部4が水平移動をした場合の内部の動作について説明する。図5において筐体部22は想像線で描かれている。
図1に示す状態と図5に示す状態との間の相互間の変化において、ユーザの操作による握持部11の筐体部22において案内支柱140から離隔する向きの水平移動は連結固定部23を介して摺動軸部13の水平移動として伝達される。摺動軸部13は、筐体部22の上面22aに形成された長穴33内を水平移動する。摺動軸部13の第2端部13cに接続された引張部材25は、第2端部13cの水平移動に合わせて伸長し、引張部材25の溝26aと溝27aとにより保持されている部分からの伸長方向の角度を変化させる。
【0032】
図4及び図6を参照して、負荷伝達機構部1Aにおける主動軸部4を回動させた場合の内部構造の動きについて説明する。
図4に示す状態と図6に示す状態との間の相互間の変換において、ユーザによる握持部11の回転運動は、第1回動伝達部1K及び第2回動伝達部1Mにより直交軸部6の回転運動として伝達される。そして直交軸部6の回動運動は更にリンク機構部30により摺動軸部13の上下運動に変換されて引張部材25を進退させることで、握持部11を回動させるユーザに対して、握持部11の水平移動が組み合わされてユーザの腕部、肩部等の身体部位に適度な捻じれの負荷が生じ、全身の筋肉のトレーニング効果が高まる。
【0033】
<第2実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1Bについて>
図7を参照して、第2実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1B(以下、負荷伝達機構部1Bと言う。)について説明する。負荷伝達機構部1Bは負荷伝達機構部1Aの変形例であり、後述の第2トレーニング器具201に取り付けて用いられ、ユーザの足からの入力を受け付ける。
【0034】
次に図7、及び図15を参照して、第2実施形態に係る負荷伝達機構部1Bについて説明する。図7は負荷伝達機構部1Bの内部の構成を説明するための正面図であり、図15は第2トレーニング器具201の足置き部271の拡大斜視図である。図7において筐体部22は想像線で描かれている。
前述の負荷伝達機構部1Aは、主にユーザが手で把持して上肢のトレーニングに用いるための機械部材である。これに加え、下肢のトレーニング用として負荷伝達機構部1Bが提案される。負荷伝達機構部1Bは足置き部271が備えられ、ユーザは足を足置き部271に載置して下肢のトレーニングを行う。このように、本開示のトレーニング器具用負荷伝達機構部の構造は、上肢及び下肢のトレーニング用として拡張が可能である。
【0035】
負荷伝達機構部1Bは主動軸部276の先端部276cにユーザの力の入力部となる足置き部271が接続される。負荷伝達機構部1Bは、負荷伝達機構部1Aと比較して、主動軸部276の構成において負荷伝達機構部1Aの主動軸部4(図1参照)と異なる。主動軸部276は、摺動軸部13と同じ側面に先端部276cを突出させており、先端部276cに足置き部271が接続されている点で負荷伝達機構部1Aと異なる。以下、負荷伝達機構部1Bの説明では、負荷伝達機構部1Aと共通する構成については図7及び図15において負荷伝達機構部1Aの説明に用いた符号を付してその説明を省略し、負荷伝達機構部1Aと異なる構成についてのみ説明する。
【0036】
負荷伝達機構部1Bは、負荷伝達機構部1A(図1参照)から90度回転させて、直交軸部6の軸方向がほぼ鉛直となるように立てた状態で使用される。本体上部277(図15参照)付近に主動軸部276が配置される。
【0037】
ユーザは、左右の何れかの足を足置き部271に載せる。足置き部271はユーザの足の大きさより一回り大きい面積を持つ。足置き部271は、第3回動軸273と、側板274aと、側板274bと、接続板275と、を備える。
【0038】
接続板275は、その中央部に垂直に主動軸部276が接続される。接続板275の両端には、接続板275に対して垂直に接続された平板状の側板274a、274bが設けられる。側板274a、274bの間には、足置き部271が取り付けられた第3回動軸273が回動自在に設置されている。
【0039】
第3回動軸273は、足置き部271の裏面に設けられた軸受272(図15参照)により回動自在に支持されている。これにより、足置き部271は、第3回動軸273回りに回動することができる。更に、足置き部271は、主動軸部276回りに回動することができる。
【0040】
即ち、足置き部271は、二つの互いに直交する異なる軸回りに回動することができる。したがって、図7及び図15に示す構造を備えることにより、ユーザは、足の向き及び足の曲げ角など足の置き方の自由度が広がり、ストレスフリーで足置き部271に足裏を載置して、自身の足を所望の角度で足置き部271を足で押すことができる。よって、ユーザは自身の望む姿勢(角度や力)で、第2トレーニング器具201により、足置き部271に載置した足の屈伸運動に負荷を与えるとともに、屈伸運動の最中に当該足のつま先の向きを上向きから横向きへと変化させることで、足全体の捻り運動に負荷を与えることができる。従って、第2トレーニング器具201を用いる下肢のトレーニングでは、足置き部271に載置した足の負荷を伴う屈伸運動と負荷を伴う捻り運動とを同時に行うことができるため、適度に調整された負荷を与えられた状態のもと足の複数の筋肉に複合的な動きをさせることができる。
【0041】
<第2実施形態に係る負荷伝達機構部1Bの動作についての説明>
ユーザは負荷伝達機構部1Bを用いて様々な脚の運動をすることができる。図7及び図15を参照し、以下に脚の運動の一例を示しながら負荷伝達機構部1Bの動作について説明する。脚の運動の一例として、ユーザの膝関節を屈伸させる運動に伴う、負荷伝達機構部1Bの動作について説明する。
【0042】
ユーザの初期姿勢として膝関節を屈曲させて足の甲を真っ直ぐ上方に向けて足置き部271に置く姿勢をとる(図16参照)。ユーザの初期姿勢の状態では、足置き部271はユーザの脚部を曲げてユーザの身体に近い側に位置する。
【0043】
次に、ユーザは初期姿勢の膝関節を屈曲した状態から徐々に伸ばしつつ(図17参照)、当該膝関節を内側に倒すようにして脚を回転させる(図18参照)。ユーザは、膝関節を伸ばす際に脚を斜め上方に押し上げるようにして足置き部271を押し上げ、足置き部271を上方へ平行移動させる(図17参照)。そして、膝関節を最大限開いた状態において、ユーザは膝関節を内側に最大限倒すようにする(図18参照)。
【0044】
このときの足置き部271の状態は、負荷伝達機構部1Bのユーザが脚部を伸ばしてユーザの身体から遠い側に位置するとともに、足置き部271は主動軸部276の軸周りを最大限回動した状態にある(図18参照)。負荷伝達機構部1Bにおいて、足置き部271の上方への平行移動は、摺動軸部13の上方向への移動を生じさせるため、負荷付与部230による負荷を増加させる。
【0045】
負荷伝達機構部1Bにおいて、足置き部271を回動することで、主動軸部276の回動が第1回動伝達部1K、第2回動伝達部1M、及びリンク機構部30を介して摺動軸部13に伝達され、摺動軸部13は筐体部22に対して相対的に変位し、当該変位が負荷付与部230のウェイトを上下に変位させる。負荷伝達機構部1Bにおいて、足置き部271の主動軸部276の軸周りの回動は、摺動軸部13の変位を生じさせることから、負荷付与部230による負荷の変動を生じさせる。ユーザは、負荷付与部230により生じる付勢力に抗いながら足置き部271の回動運動を行うことができる。なお、足置き部271の平行移動における何れの位置での回動運動であっても負荷付与部230により生じる負荷の変動を受けることができる。
【0046】
<第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201の概要について>
図8乃至図13を参照して、第1トレーニング器具100について説明する。第1トレーニング器具100は、手からの入力を受け付ける負荷伝達機構部1Aが取り付けられて上肢の運動に用いる装置である。なお、第1トレーニング器具100は、両腕用第1トレーニング器具100a(図8乃至図11参照)と片腕用第1トレーニング器具100b(図12及び図13参照)とに分かれる。
【0047】
図14乃至図18を参照して、第2トレーニング器具201について説明する。第2トレーニング器具201は、手からの入力を受け付ける負荷伝達機構部1Aと、足からの入力を受け付ける負荷伝達機構部1Bが取り付けられ、上肢及び下肢の両方の運動に対応する装置である。
【0048】
負荷伝達機構部1Aは、第1トレーニング器具100、及び第2トレーニング器具201のウェイト等の負荷をユーザに伝達するための機構を備える。負荷伝達機構部1Aはユーザが握持するハンドルである握持部11(図1等参照)を備え、腕部、肩部など上肢のトレーニングに用いられる。負荷伝達機構部1Bはユーザの足置き部271(図7参照)を備え、脚部など下肢のトレーニングに用いられる。
【0049】
ユーザが握持する握持部11及びユーザの足置き部271は、ユーザが力を入力する入力部である。
例えば、ユーザは、両腕の手の甲を初期状態の第1トレーニング器具100(図8図9参照)の左右外側に向けて、2つある入力部となる握持部11のそれぞれを左右の手で把持する。そして、ユーザは両手で握持部11を把持しながら、両腕を同時に下方に動かすことで握持部11に引き下げる力を入力する。
また、ユーザは、両腕の手の甲を初期状態の第1トレーニング器具100(図8図9参照)の左右外側に向けて、2つある握持部11のそれぞれを左右の手で把持する。そして、ユーザは両手のそれぞれで握持部11を把持しながら、両腕を伸ばした状態で左右同時に外側に旋回して開胸運動を行うことで、握持部11を介して負荷伝達機構部1Aを外側に旋回運動をさせるように力を入力する。
握持部11は環状物であり、ユーザが環状の握持部11に手を通して握持する。
【0050】
また、ユーザは、初期状態の第2トレーニング器具201(図14図18参照)の座席211の右側(図中手前)に着座する。そして、ユーザは右腕を上げて右手で握持部11を把持する。そして、ユーザは右手で握持部11を把持した状態を維持したまま右腕を前方に振り下ろすことで、入力部となる握持部11に引き下げる力を入力する。
また、ユーザは、第2トレーニング器具201(図14図18参照)の座席211の右側(図中手前)に着座し、左脚を負荷伝達機構部1Bの入力部となる足置き部271に載置し、ひざを屈曲させた状態をとる(図16参照)。そして、ユーザは、左足を伸ばしていくことで、足置き部271に押す力を入力する(図17参照)。
【0051】
<第1トレーニング器具100>
第1トレーニング器具100の構成は図8乃至図13にて示される。第1トレーニング器具100は、負荷伝達機構部1Aを装着して使用するトレーニング器具である。
なお、図8乃至図13に示す第1トレーニング器具100は、両腕用第1トレーニング器具100a(図8乃至図11参照)と片腕用第1トレーニング器具100b(図12及び図13参照)とに分かれる。
【0052】
図8乃至図11に示す両腕用第1トレーニング器具100aは、左右二つの負荷伝達機構部1Aのハンドル(握持部11)を両手で保持し常に同じ高さを維持するように左右両方の上肢でもって運動する装置であり、左右両上肢間の機能調整を図り、機能の関連性を高める。
図12及び図13に示す片腕用第1トレーニング器具100bは、左右二つの負荷伝達機構部1Aのハンドル(握持部11)を両手で保持できる点は両腕用第1トレーニング器具100aと同じであるが、片腕用第1トレーニング器具100bは、主に左右二つの負荷伝達機構部1Aの握持部11の何れかを片手で保持し、左右片方毎の上肢でもって運動する装置である。
第1トレーニング器具100は、両腕用第1トレーニング器具100a(図8図11参照)と片腕用第1トレーニング器具100b(図12図13参照)があり、共通する構成については、同じ符号を付している。
【0053】
<第1トレーニング器具100の構成についての説明>
第1トレーニング器具100は、負荷伝達機構部1Aを装着し、ユーザの上肢のトレーニングに使用することができる。第1トレーニング器具100の構成について、負荷伝達機構部1Aが第1トレーニング器具100に装着された場合を例に挙げて説明する。
【0054】
第1トレーニング器具100は、図8乃至図13に示すように、着座部110と、同着座部110を支持する枠組120と、同枠組120に設けられた負荷の大きさが調整自在の負荷付与部130と、枠組120に着座部110がその中央位置となるように所定の間隔をあけて鉛直方向に固定された2本の案内支柱140と、が備えられる。更に、第1トレーニング器具100は、その一端側が上下動自在で且つ水平方向に回転自在にそれぞれ嵌合された2個の負荷伝達機構部1Aと、この2個の負荷伝達機構部1Aの主動軸部4の下端部に連結された握持部11と、一端が負荷付与部130に連結され、他端が枠組120に設けた方向転換案内車170を巻回して負荷伝達機構部1Aの案内支柱140の嵌合位置よりも他端側に連結された引張部材25が備えられる。負荷伝達機構部1A内において、負荷付与部130からの負荷が引張部材25を介して握持部11の軸の回動に対して負荷の変動が与えられる。
【0055】
着座部110は、第1トレーニング器具100を使用するユーザが正面方向を向いて着座するために適切な座席111と、当該座席111の下面に鉛直に設けられた座席支柱112とからなる。
【0056】
枠組120は、第1トレーニング器具100を床面に安定させて設置するとともに、第1トレーニング器具100全体の骨格となり、着座部110、負荷付与部130、及び2本の案内支柱140等が固定される。枠組120の下面中央部より前方にて鉛直方向に貫設された孔に、座席支柱112が挿通され、着座部110は枠組120に支持される。枠組120は、座席111に着座した使用者の大腿部が浮き上がることを防止する大腿部押え部121を備える。大腿部押え部121は、使用者がトレーニング中に背中に適切なアーチを作るために備えることが好ましい。
【0057】
負荷付与部130は、枠組120に設けられ、第1トレーニング器具100における負荷の大きさを調整自在とし、金属製の重量部材である複数枚の板状プレートからなるスタックウェイトなどのウェイト131と、同ウェイト131を枠組120に上下動自在に支持するウェイト案内支柱132と、複数のウェイト131を相互に連結離別自在として重ね合わせる枚数を調整とすることが可能なクランプ(図示せず)を具備する。ウェイト131の枚数が加減されて負荷付与部130の荷重(負荷)は調整される。一対の円柱状のウェイト案内支柱132は、着座部110の後方にて枠組120に上下端が所定の左右の間隔を隔ててそれぞれ鉛直方向に固定され、ウェイト131の各板状プレートがその貫通孔を挿通され積層し、枠組120に上下動自在に支持されている。
【0058】
負荷伝達機構部1Aを第1トレーニング器具100に接続するために、接続部7が筐体部22に備えられる。負荷伝達機構部1Aの接続部7が採用する形態は、筒状の接続筒部8である。案内支柱140が接続筒部8内に挿通される。接続筒部8には、例えば、フッ素樹脂等の摺動抵抗の低い部材が用いられる。結果、負荷伝達機構部1Aは第1トレーニング器具100において円滑に上下に昇降かつ旋回可能となる。
【0059】
負荷伝達機構部1Aは、接続部7に案内支柱140を挿通させることにより案内支柱140に嵌合され、上下動自在、かつ水平方向に回動自在に動かされる。2個の負荷伝達機構部1Aの主動軸部4に接続される握持部11は、ユーザが手でそれぞれ把持し力を入力する入力部となる環状物のハンドルである。各握持部11は負荷伝達機構部1Aの主動軸部4を中心として水平方向に回転される。第1トレーニング器具100の初期状態(図8及び図9参照)において、各握持部11を把持した使用者の手の甲は、第1トレーニング器具100の左右の外側を向き、各握持部11は、座席111に着座したユーザが腕を上方に伸ばした手の位置よりさらに上方にある。そして、ユーザは握持部11を手で掴んで腕を下げることで握持部11を通じて負荷伝達機構部1Aを下降させることが可能となる。このとき、ユーザは両腕を正中(体の左右の真ん中のライン)から外側へ動かして胸元を開くような動作を行う。図10及び図11は、ユーザが胸元を開いた姿勢における両腕用第1トレーニング器具100aの状態を示している。
【0060】
第1トレーニング器具100のうち、図8乃至図11は両腕を同時に動作させて使用する両腕用第1トレーニング器具100aを示し、図12及び図13は片腕毎に動作させて使用する片腕用第1トレーニング器具100bを示す。
両腕用第1トレーニング器具100aは、同長の2本のロープまたはワイヤーが引張部材25として用いられ、2本の引張部材25の各々の一端はウェイト131に連結され、各々の他端は負荷伝達機構部1Aに連結されている。2本の引張部材25は、それぞれ方向転換案内車170に巻回されている。方向転換案内車170は、ウェイト131によって引張部材25に付与される下方向への負荷を上方向への負荷に転換している。
2本の引張部材25とウェイト131とは、2箇所の引張部材接続部181において接続される(図9図11等参照)。
【0061】
図12及び図13に示す片腕用第1トレーニング器具100bの引張部材25は1本のロープまたはワイヤーが用いられる。この1本の引張部材25の両端は2個の負荷伝達機構部1Aにそれぞれ連結される。ウェイト131の上端に設けられた箱部133の中に動滑車134が1個収納され、引張部材25はこの動滑車134に巻回されている。引張部材25は、箱部133の上面に設けられた2個の穴136より箱部133の内部に引き込まれる(図12では1個の穴136のみ図示)。2個ある負荷伝達機構部1Aの一方を引き下げると、引張部材25は他方の負荷伝達機構部1Aを支点として前述の動滑車134とともにウェイト131を上方に持ち上げる。
動滑車134は、箱部133の内部に固定された支持台135に回転自在に支持されている。
【0062】
図8及び図9の初期状態からユーザの胸元を開く動作を行うことで、負荷伝達機構部1Aの案内支柱140を中心とする外側への水平方向の回転に対して、引張部材25の張力による負荷がかかる。引張部材25の張力は、第1トレーニング器具100の負荷の大きさを自在に調整する負荷付与部130により生じる。なお、後述の第2トレーニング器具201においても、第1トレーニング器具100と同様に、引張部材280の張力は、第2トレーニング器具201の負荷の大きさを自在に調整する負荷付与部230により生じる。
【0063】
これに対し、図10及び図11の状態では、負荷伝達機構部1Aが正面方向を向くように内側に閉じようとする負荷が働き、ユーザは当該負荷に対向するようにして負荷伝達機構部1Aを所定角度まで回転させることが可能となる。負荷伝達機構部1Aが正面方向を向くように内側に閉じようとする負荷は、負荷付与部130の負荷に比例するとともに、負荷伝達機構部1Aの上下位置におおよそ逆比例している。
【0064】
なお、図12及び図13に示す片腕用第1トレーニング器具100bでは、負荷付与部130を調整することで、負荷伝達機構部1Aの昇降動作に伴う負荷をユーザ毎にそれぞれ異ならせてトレーニングをすることが可能である。
【0065】
<第1トレーニング器具100の使用方法についての説明>
第1トレーニング器具100について、代表的な使用方法を順に説明する。始めにユーザの筋力、目的等を考慮した負荷に合わせて重量のウェイト131が設定される。ユーザは正面を向いて座席111に着座し、足裏が床面に接地するように座席111を適切な高さに調整して固定する。さらに、座席111に着座したユーザの大腿部の上面と接する程度に大腿部押え部121を適切な高さに調整して固定する。
【0066】
次に、使用者は立ち上がり、正面方向を向いた負荷伝達機構部1Aの初期状態(図8及び図9参照)に合わせ、手の甲を第1トレーニング器具100の左右の外側に向けて、握持部11をそれぞれ把持する。そして、握持部11を上方に伸ばした手で把持しながら、また握持部11を下方に引っ張りながら座席111に正面方向を向いて着座する。
【0067】
次に、ユーザは負荷付与部130の負荷に比例した力によって握持部11に作用する回転付勢力に抗して、両上腕を外側に捻り、各握持部11を負荷伝達機構部1Aに対して水平方向に回転させて、各握持部11を把持した手の甲をそれぞれ第1トレーニング器具100の正面方向より外側に向ける。この「かわし動作」のポジションをとることにより、屈筋と伸筋とが共に「弛緩」して肩や腕がリラックスした状態になる。また、負荷付与部130の負荷により握持部11が上方向に付勢されており、肩甲帯付近等の筋肉が適度に「伸張」される。
【0068】
次に、ユーザは、適度に「伸張」された肩甲帯付近等の筋肉が「反射」を引き起こすように、負荷付与部130の負荷に抗して両腕を屈曲し筋肉を「短縮」させて握持部11を引き下げる。このとき、さらに上腕を外側に捻る「弛緩」と「伸張」の動作を加えながら、両手で握持部11を引き下げる。この上腕を外側に捻る動作によって各握持部11を負荷伝達機構部1Aに対してさらに外側水平方向に回転することにより、ウェイト131を引き上げることになり、両腕を引き下げる初動作における負荷が減少する。このように、両腕を屈曲して握持部11を引き下げて筋肉を「短縮」させるとき、さらに上腕を外側に捻ることによって、「弛緩」と「伸張」の動作を加えながら適切な「短縮」のタイミングを出現させることにより、各筋肉群が「弛緩-伸張-短縮」のタイミングを得て、連動性よく動作を行うことができる。
【0069】
さらに、ユーザは、両腕を引き下げて、さらに上腕を外側に捻りながら外側に伸ばすという、下方向、回転方向、及び横方向の3方向のそれぞれに対して負荷付与部130によって適切に調節された負荷をかけることができるので、適度に「伸縮」された各筋肉群が「弛緩-伸張-短縮」のタイミングを得て、連動性よく動作を行うことができる。なお、上腕を外側に伸ばす際には、握持部11(主動軸部4)の水平移動に対して負荷付与部130(ウェイト131)による負荷の大きな変動は生じない。
【0070】
ユーザは、両腕を屈曲して握持部11を引き下げるとき、各負荷伝達機構部1Aが正面方向を向くように回転付勢される力に抗して、各負荷伝達機構部1Aがそれぞれ外側を向くように両腕を外側に漸次広げる。負荷伝達機構部1Aが正面方向を向くように回転付勢される力は負荷伝達機構部1Aの位置(高さ)に略逆比例するため、両腕を屈曲させて握持部11を引き下げることに伴い、両腕を外側に広げることに対する抗力が減少する。そのため、両腕を屈曲させて握持部11を引き下げるとき、使用者は両腕を外側に広げるように略一定の筋力を出力させることにより、握持部11を引き下げながら、両腕を漸次外側に広げる動作を滑らかに行うことができ、主動筋と拮抗筋の共縮を防ぐことが可能となる。
【0071】
主動筋とは、動作させるための主となる力を発生する筋力である。
拮抗筋とは、主動筋と反対の作用を持ち、特定の動作に対してある程度の抵抗又は逆動作をする筋力である。拮抗筋は主動筋とは逆の動作をして主動筋の働きを制御する役割を持つ。
例えば、肘を曲げる動作において、上腕二頭筋は主動筋に相当し、上腕二頭筋の反対側(裏側)にある上腕三頭筋は拮抗筋に相当する。一方で、肘を伸ばす動作では、上腕三頭筋が主動筋に相当し、上腕二頭筋が拮抗筋に相当する。
筋肉は力の入っていない(リラックスした)状態では弛緩し伸長状態となり、筋肉は短縮(縮む)することで力を発揮する。
例えば、肘を曲げる動作は、上腕二頭筋が短縮し、拮抗筋である上腕三頭筋が伸張することで行われる。しかし、上腕二頭筋と上腕三頭筋との両方に力が入り短縮しようとした場合は肘を曲げることができない。共縮とは、主動筋と拮抗筋との両方が同時に短縮しようとすることを言い、意図する動作の妨げになる。共縮は、身体に余計な力が入り力み状態となりリラックスできていない場合に生じやすい。共縮は、スポーツの分野において、投球、投擲、打撃など、一旦溜め(タメ)を作りつつ、力を解き放つまでの一連のしなやかな動作の阻害要因となる。
【0072】
次に、ユーザは、各握持部11を略肩部の高さまで引き下げた後、負荷付与部130の負荷による各付勢力に従いながら、上腕を内側に捻り両腕を内側に閉じながら両腕を伸ばすことにより、手の甲を握持部11に従って着座した状態にゆっくりと戻す。これにより、トレーニングの1サイクルが終了する。そして、このトレーニングを適切な回数のサイクルだけ繰り返す。
【0073】
<第2トレーニング器具201>
図14乃至図18を参照して第2トレーニング器具201の構成及び動作について説明する。図14は第2トレーニング器具201の斜視図であり、図15は第2トレーニング器具201の足置き部271の拡大斜視図である。図16乃至図18は、第2トレーニング器具201の使用中の形態における第1乃至第3態様を示す側面図である。
<第2トレーニング器具201の構成についての説明>
図14に示すように、第2トレーニング器具201は、ユーザが着座するための着座部210と、負荷を付与する負荷付与部230と、鉛直方向に伸びる円柱状の案内支柱240と、を備える。更に、第2トレーニング器具201は、案内支柱240に案内されて上下方向に移動自在、かつ、回動自在に接続された昇降部250と、昇降部250に設けられた握持部260と、を備える。更に、第2トレーニング器具201は、ユーザの足裏を載置するための足置き部271と、スライドレール222a、222bと、足置き部271を備える負荷伝達機構部1Bと、一端が昇降部250に接続され、他端が負荷伝達機構部1Bに接続され、負荷付与部230による負荷を昇降部250及び負荷伝達機構部1Bに対して付与する引張部材280と、を備える。
【0074】
昇降部250は、負荷伝達機構部1Aを適用し用いることができる。握持部260は、負荷伝達機構部1Aの握持部11に相当し、ユーザが力を入力する入力部である。
【0075】
先ず、図14図15を用いて、第2トレーニング器具201の構造を説明する。
図14に示す、第2トレーニング器具201において、着座部210は、第2トレーニング器具201の基礎フレームとなる枠組220により支持される。枠組220は、第2トレーニング器具201全体の骨格となり、第2トレーニング器具201を床面に安定させて設置させる機能を担う。枠組220は、例えば、鉄鋼やアルミニウム、ステンレス、樹脂等の一定以上の剛性を有する素材からなる角柱パイプ材や板材などを加工して、ボルトや溶接等により固定して形成することができる。
【0076】
着座部210は、ユーザが着座する座席211と、座席211を支持する座席支柱212と、から成る。座席支柱212は、枠組220に対して固定される。そして、座席支柱212は、座席211を保持する。座席支柱212は、図示していないが、引張部材280を前後方向に通過させるための貫通孔を備える。座席211は、第2トレーニング器具201の使用者(ユーザ)が着座する箇所であり、図14に示すように、第2トレーニング器具201の左右方向に長い長方形となっている。これは、座席211の右側と左側のいずれにも着座できるようにするためであるが、ユーザが無理なく着座できるのであれば長方形でなくともよく、正方形であってもよいし、円形であってもよい。
【0077】
図14に示すように、着座部210は、座席211の後方であって、負荷付与部230との間に、ユーザが使用時に体を支持させるための背もたれ215を備えてもよい。
枠組220には、鉛直方向に伸びる案内支柱240が設けられる。図14に示されるように、案内支柱240は、負荷付与部230よりも前方、かつ、着座部210よりも後方の位置に設けられる。図14に示されるように、枠組220は、案内支柱240の後方に、引張部材280を鉛直方向に誘導するための上部筐体225を備える。そして、案内支柱240は、その下端が枠組220に接続され、上端が上部筐体225に接続されて固定される。
【0078】
図14に示されるように、案内支柱240には衝撃吸収材241が設けられてもよい。衝撃吸収材241は、昇降部250が、上部筐体225及び枠組220に対して、接触する際の衝撃を緩和するための部材である。衝撃吸収材241は、一例としてゴムやスポンジ等により実現されてもよい。
【0079】
案内支柱240には、図14に示される昇降部250が取り付けられる。図14に示されるように、昇降部250は、案内支柱240に対して上下の移動が自在となるように取り付けられている。図示していないが、昇降部250は、案内支柱240を挿通するための貫通孔を有する。したがって、昇降部250は、案内支柱240に沿って上下移動する。また、昇降部250は、案内支柱240を中心軸として、案内支柱240に対して回動自在に、案内支柱240に取り付けられている。したがって、案内支柱240には一定の剛性が求められる。よって、案内支柱240は、一例として、ステンレス等により作製されてもよい。第2トレーニング器具201において、昇降部250として、前述の第1実施形態に係る負荷伝達機構部1Aが適用されるようにしても良い。
【0080】
図14に示されるように、第2トレーニング器具201の負荷伝達機構部1Bは、スライドレール222a、222bに沿って摺動する。スライドレール222a、222bは、第2トレーニング器具201の枠組220と枠組220の前方に配される枠組221に懸架され、両端部で固定される。
【0081】
負荷付与部230は、図14に示すように、枠組220に対してその上下が固定された一対の円柱状のウェイト案内支柱232と、ウェイト案内支柱232に対して上下動自在に備えられたウェイト233とからなる。ウェイト233にはウェイト案内支柱232を挿通するための貫通孔が設けられている。負荷付与部230は、付与する負荷の大きさを調整可能に構成されており、具体的には、重量部材となるスタックウェイトなどのウェイト233を板状の部材とし、その枚数によって、負荷を調整することができる。したがって、負荷付与部230は、複数のウェイト233を相互に連結離別自在として重ね合わせる枚数を調整するクランプ(不図示)を備えることとしてもよい。また、ウェイト案内支柱232には、衝撃吸収材231が設けられており、ウェイト233が枠組220と一定以上の衝撃で以て衝突することを抑制する。
【0082】
<第2トレーニング器具201の使用方法>
図16乃至図18を参照して、第2トレーニング器具201の使用方法について説明する。
図16に示すように、ユーザは、第2トレーニング器具201の右側、即ち、座席211の右側に着座する(図16の紙面上手前側)。即ち、ユーザは、負荷伝達機構部1Bを左側、背もたれ215を右側にして、座席211に着座する。そして、図16に示すように、ユーザは、左脚を負荷伝達機構部1Bの足置き部271に載置し、ひざを屈曲させた状態をとる。
【0083】
この状態から、ユーザは、左足を伸ばしていき、負荷伝達機構部1Bを押す。すると、図16に示すように、負荷伝達機構部1Bは、スライドレール222a、222bに沿って摺動していく。このとき、負荷伝達機構部1Bには、第2トレーニング器具201の後方(図16図18の紙面左方向)に引っ張ろうとする負荷が、接続部279に接続された引張部材280によって付与される。
【0084】
そして、図16に示すように足を伸ばした状態から、ゆっくりと負荷伝達機構部1Bをスライドレール222a、222bに沿って、元の位置に戻すように摺動させる。この運動を一定回数繰り返し実行する。つまり、ユーザは、図16図17との間の姿勢を所定回数繰り返す。
【0085】
なお、ユーザは、図18に示すように、図17に示す状態よりも更に腰に捻りを加える方法で、負荷伝達機構部1Bをより遠くまで押してもよく、その場合により足を伸ばしつつ腰回りを鍛えることができる。このような姿勢が可能なのも、足置き部271が、負荷伝達機構部1B本体に対して主動軸部276の軸周りの回動が自在となるように構成されているからである。ユーザは、図16図17の間で足の伸縮運動を行ってもよいし、図16図18の間で腰の捻りを伴う足の伸縮運動を行ってもよい。
【0086】
また、図示していないが、ユーザは、図16乃至図18における座席211の反対側であって第2トレーニング器具201の左側に着座してもよい(図16~18の紙面上奥側)。即ちユーザが自身の右側に負荷伝達機構部1Bを左側に背もたれ215が位置するように座席211に着座することで、ユーザは右足による運動をすることもできる。
【0087】
したがって、ユーザは、第2トレーニング器具201を使って、両足を鍛えつつ、腰回りの双方向の回転運動を行うことができる。具体的には、ユーザは開脚して負荷伝達機構部1Bを蹴るようにして押し出す動作を行う。このため、ユーザの股関節周り、骨盤の周囲、大腿部、膝等の筋肉の強化に好例である。
【0088】
脚の各筋肉群が「弛緩-伸長-短縮」のタイミングを得て、連動性よく動作を行うことができる。具体的には、図16に示す状態では、左足には負荷付与部230の負荷がかからず、筋肉が「伸長」している状態であると言える。また、図16に示す状態は、足置き部271に、ただ足を載置しているだけの状態でもあり、全体的にリラックスした状態であるので、「弛緩」している状態であるとも言える。
【0089】
ここから、ユーザが、足に力を加えて、負荷付与部230による負荷が加えられている負荷伝達機構部1Bを押していく。即ち、図16から図17又は図18に示す過程において、ユーザの左脚に負荷付与部230の負荷がかかり、ユーザの左脚の筋肉に、「短縮」状態を生じさせることができる。そして、図17又は図18に示す状態において、足置き部271を負荷伝達機構部1Bに対して回転させることで、内部のクランク機構により接続部279が負荷伝達機構部1B内に引き込まれることによって、足にかかる負荷付与部230による負荷が軽減される。即ち、図17又は図18に示すように、負荷伝達機構部1Bを回転させる状態では、ユーザの足に、「短縮」状態を生じさせることができる。また、負荷伝達機構部1Bは、足置き部271の平行移動については負荷付与部230による負荷が大きく加えられないため、足置き部271の回動に伴う負荷に意識を集中させることができる。
【0090】
そして、図17又は図18に示す状態から図16に示す状態に移行する過程において、脚を図16の状態に戻していくことで、筋肉の「伸長」状態を生じさせることができる。
したがって、図16に示す状態から、図17又は図18に示す状態になるまで、負荷伝達機構部1Bを動かし、そこから、図16に示す状態に戻す運動のサイクルを繰り返すことで、「弛緩-伸長-短縮」のタイミングを生じさせて、連動性よく動作を行うことができる。なお、脚の運動についても、図16に示す状態を初期状態としてもよいし、図17又は図18に示す状態を初期状態として1サイクルの運動を行うこととしてもよい。ただ、「弛緩」した状態から運動を開始することが望ましいことから、図17又は図18に示す状態を初期状態として運動を開始する場合は、初期状態において他者の協力等を得て負荷の無い状態から運動を開始することが望ましい。
【0091】
第2トレーニング器具201は、両脚ではなく片脚ずつ鍛える構造とすることで、一度に両方を鍛えるための負荷伝達機構部1Bを用意する必要がないので、両足に対応する形で構成するよりもサイズをコンパクトにすることができる。さらに、第2トレーニング器具201は、負荷伝達機構部1Bを両脚のために二つ備えるよりも幅を狭くすることができるので、設置スペースとして用意するべきスペースの面積を小さくすることができる。なお、図16及び図17の運動において、ユーザは、第2トレーニング器具201に対して、負荷伝達機構部1Bを正面にし、背もたれ215を背にして着座部210に着座して、運動を行ってもよい。
【0092】
<第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201のまとめ>
前述の第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201は、初動負荷トレーニング(登録商標)により肩部、腕部、背部、脚の筋肉等に対するトレーニングを適切に行う器具である。ここで、初動負荷トレーニングとは、「反射の起こるポジションへの身体変化及びそれに伴う重心位置変化等を利用し、主働筋の「弛緩-伸張-短縮」の一連動作過程を促進させるとともに、その拮抗筋並びに拮抗的に作用する筋の共縮を防ぎながら行うトレーニング」と定義される。反射とは、無意識に発現する反応のことである。初動負荷トレーニングは、最後まで負荷を与えて筋肉の緊張状態(硬化)を伴いながら筋肉を肥大化する終動負荷トレーニングとは全く異なるトレーニングである。初動負荷トレーニングは、負荷を与えるポイント、負荷を解き放つポイントと角度、リズム、筋出力の連続性など全体としての動作イメージを把握してトレーニングを行うことが必要である。従来の負荷トレーニングは身体のバランスや部分的硬化等によって適切な動作やフォームを取ることが困難であるという問題を内包している。しかし、初動負荷トレーニングを実現する第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201により理想的な一連動作やフォームを伴ったトレーニングが容易に誘導される。
【0093】
第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201を用いた初動負荷トレーニングでは、先ず、「中心部(身体根幹部)から末端部への分節間の力伝達」、すなわち、自らは伸びようとせず縮む特性を持つ人体の筋を弛緩させリラックスした状態とする。そして、初動負荷トレーニングでは、感覚受容器である筋紡錘・腱器官に適切な負荷を与え、筋伸展反射を生じさせて適度に筋を伸張したところから、あるいは受動的に伸張されたところから筋が短縮する時の力の発揮を誘発し、瞬時、連続性をもって負荷が漸減することにより、共縮を起こすことのない活動状態を得ることができ、神経筋制御を促進・発達させることが可能となる。
筋伸展反射とは、脊髄反射の一つであり、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象を言う。この収縮は、筋肉の伸展によって生ずる張力を、その筋肉の中にある筋紡錘が感受して起こるものである。筋伸展反射は、過剰に伸ばされた筋肉が損傷を回避するために収縮するという、一種の防衛機能的側面も有する反射でもある。筋伸展反射の例としては、膝蓋腱反射が挙げられる。
心筋は人体の筋の中で唯一共縮を起こさないと言われており、初動負荷トレーニングは、心筋以外の筋肉に対して「弛緩-伸張-短縮」の一連動作を促進させることで共縮を防ぎながら行うトレーニングである。
【0094】
第1トレーニング器具100及び第2トレーニング器具201を用いた初動負荷トレーニングは、当該トレーニング器具の負荷を利用して筋肉に反射を起こし、本来働かなければならない筋肉がうまく働き、筋肉と神経の機能を高めるトレーニングである。弛緩した筋肉にタイミングの良い伸縮、短縮を促すための触媒として負荷を用いている。そして、このようなトレーニングによって、「弛緩-伸張-短縮」の一連動作の促進が図られ、さらに共縮が防止されることにより、神経と筋肉の機能や協調性を高め、筋肉痛や疲労など身体への負担が少なく、筋肉の硬化を伴うことなく、柔軟で弾力性の富んだ筋肉が得られる。又、強制的な心拍数や血圧の上昇が少なく有酸素的に代謝を促進させることにより、糖尿病、高血圧など生活習慣病の予防や靭帯損傷、骨折等の治癒促進に有効であるとともに、神経・筋肉・関節のストレスの解除、老廃物の除去等、身体に有益な状態を作り出すことができる。
【0095】
<第3実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Cの構成について>
図19を参照して、第3実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1C(以下、負荷伝達機構部1Cと言う。)について説明する。図19は第3実施形態に係る負荷伝達機構部1Cの内部の構成を説明するための正面図である。負荷伝達機構部1Cは負荷伝達機構部1Aの変形例であり、第1トレーニング器具100に取り付けられて用いられ、ユーザの手からの入力を受け付ける。以下、負荷伝達機構部1Cの説明において、負荷伝達機構部1Aとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Aとの共通点については図19において負荷伝達機構部1Aと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0096】
負荷伝達機構部1Cは、負荷伝達機構部1Aの構成に対してさらに送りロール28が追加された構成である。
第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び送りロール28は、取り付けブラケット141を介して案内支柱140の最上部付近に取り付けられる。
引張部材25は、負荷付与部130から伸長し、第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、送りロール28、及び方向転換案内車170に挿通され巻回される。
引張部材25は、摺動軸部13に接続されて張力19を伝えるとともに、円柱状の送りロール28の外周面の接線方向に伸長し、摺動軸部13の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える。摺動軸部13の第2端部13cに接続された引張部材25は、第2端部13cの水平移動に合わせて伸長し、送りロール28からの伸長方向の角度を変化させる。
【0097】
送りロール28は、円盤形状をしており外周面に周方向に延びる環状の溝28aが形成される(図19参照)。引張部材25は溝28aに嵌り保持される。
送りロール28は、第1ガイドロール26及び第2ガイドロール27と摺動軸部13との間に配置されて引張部材25の前後方向(図19の紙面上における左右)の移動を規制する。
送りロール28は、引張部材25との間に生じる摩擦により引張部材25の進退に合わせて回転する。
【0098】
<第4実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Dの構成について>
図20を参照して、第4実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1D(以下、負荷伝達機構部1Dと言う。)について説明する。図20は第4実施形態に係る負荷伝達機構部1Dの内部の構成を説明するための正面図である。負荷伝達機構部1Dは負荷伝達機構部1Bの変形例であるとともに、負荷伝達機構部1Cの変形例であり、第2トレーニング器具201に取り付けられて用いられ、ユーザの足からの入力を受け付ける。以下、負荷伝達機構部1Dの説明において、負荷伝達機構部1Bとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Bとの共通点については図20において負荷伝達機構部1Bと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0099】
負荷伝達機構部1Dは、負荷伝達機構部1Bの構成に対して、さらに送りロール28が付加された構成である。また、負荷伝達機構部1Dは、負荷伝達機構部1Cと比較して、主動軸部276の構成において負荷伝達機構部1Cの主動軸部4(図19参照)と異なる。主動軸部276は、摺動軸部13と同じ側面に先端部276cを突出させており、先端部276cに足置き部271が接続されている点で負荷伝達機構部1Aと異なる。
【0100】
第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び送りロール28は、取り付けブラケット141を介して案内支柱140の先端部付近に取り付けられる。
なお、図7に示す負荷伝達機構部1B、図20に示す負荷伝達機構部1D、及び図22に示す負荷伝達機構部1Fは、足置き部271を備えて第2トレーニング器具201に実装される。この場合、第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び送りロール28は、取り付けブラケット141を介して、座席211の下部付近等に設置される。
引張部材25は、負荷付与部230から伸長し、第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、送りロール28、及び滑車285hに挿通され巻回される。
引張部材25は、負荷伝達機構部1Cと同様に、摺動軸部13に接続されて張力19を伝えるとともに、円柱状の送りロール28の外周面の接線方向に伸長し、摺動軸部13の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える。摺動軸部13の第2端部13cに接続された引張部材25は、第2端部13cの水平移動に合わせて伸長し、送りロール28からの伸長方向の角度を変化させる。
【0101】
送りロール28は、負荷伝達機構部1Cと同様に、円盤形状をしており外周面に周方向に延びる環状の溝28aが形成される(図20参照)。引張部材25は溝28aに嵌り保持される。
送りロール28は、第1ガイドロール26及び第2ガイドロール27と摺動軸部13との間に配置されて引張部材25の前後方向(図20の紙面上における上下方向)の移動を規制する。
送りロール28は、負荷伝達機構部1Cと同様に、引張部材25との間に生じる摩擦により引張部材25の進退に合わせて回転する。
【0102】
<第5実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Eの構成について>
図21を参照して、第5実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1E(以下、負荷伝達機構部1Eと言う。)について説明する。図21は第5実施形態に係る負荷伝達機構部1Eの内部の構成を説明するための正面図である。負荷伝達機構部1Eは負荷伝達機構部1Aの変形例であり、第1トレーニング器具100に取り付けられて用いられ、ユーザの手からの入力を受け付ける。以下、負荷伝達機構部1Eの説明において、負荷伝達機構部1Aとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Aとの共通点については図21において負荷伝達機構部1Aと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0103】
負荷伝達機構部1Eは、負荷伝達機構部1Aの構成に対して第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び取り付けブラケット141が取り除かれた構成である。
引張部材25は、負荷付与部230から伸長し、方向転換案内車170に挿通され巻回されて摺動軸部13に接続される。
引張部材25は、摺動軸部13に接続されて張力19を伝えるとともに、摺動軸部13の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える。摺動軸部13の第2端部13cに接続された引張部材25は、第2端部13cの水平移動に合わせて伸長し、方向転換案内車170からの伸長方向の角度を変化させる。
【0104】
<第6実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Fの構成について>
図22を参照して、第6実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1F(以下、負荷伝達機構部1Fと言う。)について説明する。図22は第6実施形態に係る負荷伝達機構部1Fの内部の構成を説明するための正面図である。負荷伝達機構部1Fは負荷伝達機構部1Bの変形例であるとともに、負荷伝達機構部1Eの変形例であり、第2トレーニング器具201に取り付けられて用いられ、ユーザの足からの入力を受け付ける。以下、負荷伝達機構部1Fの説明において、負荷伝達機構部1Bとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Bとの共通点については図22において負荷伝達機構部1Bと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0105】
負荷伝達機構部1Fは、負荷伝達機構部1Bの構成に対して、第1ガイドロール26、第2ガイドロール27、及び取り付けブラケット141が取り除かれた構成である。また、負荷伝達機構部1Fは、負荷伝達機構部1Eと比較して、主動軸部276の構成において負荷伝達機構部1Eの主動軸部4(図21参照)と異なる。主動軸部276は、摺動軸部13と同じ側面に先端部276cを突出させており、先端部276cに足置き部271が接続されている点で負荷伝達機構部1Aと異なる。
引張部材25は、負荷付与部230から伸長し、滑車285hに挿通され巻回されて摺動軸部13に接続される。
引張部材25は、摺動軸部13に接続されて張力19を伝えるとともに、摺動軸部13の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長方向を変える。摺動軸部13の第2端部13cに接続された引張部材25は、第2端部13cの水平移動に合わせて伸長し、滑車285hからの伸長方向の角度を変化させる。
【0106】
<第7実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Gの構成について>
図23及び図24を参照して、第7実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1G(以下、負荷伝達機構部1Gと言う。)について説明する。図23は負荷伝達機構部1Gの内部の構成について説明するための正面図であり、図24は負荷伝達機構部1Gの内部の構成について説明するための斜視図である。
負荷伝達機構部1Gは負荷伝達機構部1Bの変形例であり、第2トレーニング器具201に取り付けられて用いられ、ユーザの足からの入力を受け付ける。以下、負荷伝達機構部1Gの説明において、負荷伝達機構部1Bとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Bとの共通点については図23及び24において負荷伝達機構部1Bと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0107】
負荷伝達機構部1Gは、負荷伝達機構部1Bに対して、直動案内部20の案内方向が異なる。負荷伝達機構部1Gの直動案内部20のスライダ20cの案内方向は、図23の紙面に対して鉛直の方向であり、伝達チェーン10の延伸方向に対して直交する方向である。従って、直動案内部20の第1ガイド20a及び第2ガイド20bの延伸方向は、図23の紙面に対して鉛直の方向であり、伝達チェーン10の延伸方向に対して直交する方向である。
【0108】
連結固定部23はスライダ20cに固定されているため、連結固定部23は図23の紙面に対して鉛直の方向に往復の水平方向の移動をする。主動軸部276と摺動軸部13とは連結固定部23とともに水平方向に移動をする。主動軸部276の水平方向の移動は、摺動軸部13に接続された引張部材25を引っ張るため負荷を伴う。また、主動軸部276の回動運動は、摺動軸部13の軸方向への変位を伴い、更には引張部材25を引っ張るため負荷を伴う。
【0109】
筐体部22の上面22aは、主動軸部276が外部に突出するための長穴34を備える。主動軸部276は長穴34の内部を矢印276aの方向に往復移動する。また、筐体部22の上面22aは、摺動軸部13が外部に突出するための長穴33を備える。摺動軸部13は長穴33の内部を矢印13dの方向に往復移動する。
【0110】
主動軸部276の先端部276cに取り付けられた足置き部271の回動運動は、伝達チェーン10を介して中間軸傘歯車5dの回動運動として伝わる。中間軸傘歯車5dの回動運動は、第2回動伝達部1Mを中間軸傘歯車5dとともに構成する直交軸傘歯車6cに伝達される。直交軸傘歯車6cの回転運動にはリンク機構部30及び摺動軸部13を介して引張部材25の負荷による抗力が働くため、中間軸傘歯車5dには中間軸傘歯車5dの回動運動の反作用として当該回動運動と同じ方向への水平方向に移動させる力が作用する。中間軸傘歯車5dに作用する水平方向に移動させる力は連結固定部23を介して主動軸部276及び足置き部271に作用する。
【0111】
従って、ユーザが足置き部271に載置した足を時計周りに回動させた場合には足置き部271はユーザから見て右方向へ負荷の伴う水平移動をする。一方で、ユーザが足置き部271に載置した足を反時計周りに回動させた場合には足置き部271はユーザから見て左方向へ負荷の伴う水平移動をする。
このため、ユーザの脚は、足置き部271の回動運動に伴い当該回動運動と同じ方向の水平移動をするため、ユーザの脚には回動運動と横移動の運動とが同時に生じるため、脚の複数の筋肉を使った複合的な運動を行うことができる。
さらに、ユーザは、足置き部271に載置した脚の屈伸運動を加えることによって、ユーザの脚は回動運動、横移動の運動、及び屈伸運動の三方向の運動を同時に行うことができるため、脚の広範囲の筋肉を使った三方向の複合的な運動を行うことができる。
【0112】
<第8実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1Hの構成について>
図25を参照して、第8実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部1H(以下、負荷伝達機構部1Hと言う。)ついて説明する。図25は負荷伝達機構部1Hの内部の構成について説明するための正面図である。
負荷伝達機構部1Hは負荷伝達機構部1Aの変形例であるとともに、負荷伝達機構部1Gの変形例であり、第1トレーニング器具100に取り付けられて用いられ、ユーザの手からの入力を受け付ける。負荷伝達機構部1Gは主に下肢の運動に用いられ第2トレーニング器具201に装着されるのに対して、負荷伝達機構部1Hは主に上肢の運動に用いられ第1トレーニング器具100に装着されて使用される。また、負荷伝達機構部1Hは、負荷伝達機構部1Gと比較して、主動軸部4の構成において負荷伝達機構部1Gの主動軸部276(図23及び図24参照)と異なる。主動軸部4は、摺動軸部13と反対の側面にその先端部を突出させており、当該先端部に握持部11が接続されている点で負荷伝達機構部1Gと異なる。
以下、負荷伝達機構部1Hの説明において、負荷伝達機構部1Aとの相違点についてのみ説明し、負荷伝達機構部1Aとの共通点については図25において負荷伝達機構部1Aと同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0113】
負荷伝達機構部1Hは、負荷伝達機構部1Aに対して、直動案内部20の案内方向が異なる。負荷伝達機構部1Hの直動案内部20のスライダ20cの案内方向は、図25の紙面に対して鉛直の方向であり、伝達チェーン10の延伸方向に対して直交する方向である。従って、直動案内部20の第1ガイド20a及び第2ガイド20bの延伸方向は、図25の紙面に対して鉛直の方向であり、伝達チェーン10の延伸方向に対して直交する方向である。
【0114】
主動軸部4の先端部に取り付けられた握持部11の回動運動は、伝達チェーン10を介して中間軸傘歯車5dの回動運動として伝わる。中間軸傘歯車5dの回動運動は、第2回動伝達部1Mを構成する直交軸傘歯車6cに伝達される。直交軸傘歯車6cの回動運動にはリンク機構部30及び摺動軸部13を介して引張部材25の負荷による抗力が働くため、中間軸傘歯車5dには中間軸傘歯車5dの回動運動の反作用として当該回転運動と同じ方向への水平方向に移動させる力が作用する。中間軸傘歯車5dに作用する水平方向に移動させる力は連結固定部23を介して主動軸部4及び握持部11に作用する。
【0115】
従って、例えば、ユーザが立ち上がり正面方向を向いた負荷伝達機構部1Hの初期状態(図8及び図9参照)に合わせ、手の甲を第1トレーニング器具100の左右の外側に向けて、握持部11をそれぞれ把持する。この状態から握持部11を上から見て時計周りにユーザが回動運動させた場合には握持部11は当該回動運動と同じ方向、即ちユーザから見て右方向に負荷の伴う水平移動をする。一方で、この状態から握持部11を上から見て反時計周りにユーザが回動運動させた場合には握持部11は当該回動運動と同じ方向、即ちユーザから見て左方向に負荷の伴う水平移動をする。
【0116】
このため、ユーザの腕は、握持部11の回動運動に伴い当該回動運動と同じ方向の水平移動をするため、ユーザの腕には回動運動と横移動の運動とが同時に生じるため、腕の複数の筋肉を使った複合的な運動を行うことができる。
さらに、ユーザは、腕を下方に引き下げる運動を加えることによって、ユーザの腕は回動運動、横移動の運動、及び引き下げ運動の三方向の運動を同時に行うことができるため、腕の広範囲の筋肉を使った三方向の複合的な運動を行うことができる。
【0117】
なお、本発明は上記した実施形態に係るトレーニング器具用負荷伝達機構部1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1H、並びにこれを用いたトレーニング器具100、201に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【符号の説明】
【0118】
1A 第1実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1B 第2実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1C 第3実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1D 第4実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1E 第5実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1F 第6実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1G 第7実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1H 第8実施形態のトレーニング器具用負荷伝達機構部
1K 第1回動伝達部
1M 第2回動伝達部
4 主動軸部
4a 主動軸受
4b 主動軸受
4c 主動軸スプロケット
5 中間軸部
5a 中間軸受
5b 中間軸受
5c 中間軸スプロケット
5d 中間軸傘歯車
6 直交軸部
6a 直交軸受
6c 直交軸傘歯車
7 接続部
8 接続筒部
10 伝達チェーン
11 握持部
11a 握り棒
11b 枠部
13 摺動軸部
13a 摺動軸受
13b 第1端部
13c 第2端部
13d 矢印
19 張力
20 直道案内部
20a 第1ガイド
20b 第2ガイド
20c スライダ
20d ガイド支持台
22 筐体部
22a 上面
23 連結固定部
23a 第1固定片
23b 第2固定片
25 引張部材
26 第1ガイドロール
26a 溝
27 第2ガイドロール
27a 溝
28 送りロール
28a 溝
30 リンク機構部
30a 第1リンク
30b 第2リンク
30c 第1ジョイント
30d 第2ジョイント
33 長穴
34 長穴
100 第1トレーニング器具
100a 両腕用第1トレーニング器具
100b 片腕用第1トレーニング器具
110 着座部
111 座席
112 座席支柱
120 枠組
121 大腿部押さえ部
130 負荷付与部
131 ウェイト
132 ウェイト案内支柱
133 箱部
134 動滑車
135 支持台
136 穴
140 案内支柱
141 取り付けブラケット
170 方向転換案内車
170a 溝
181 引張部材接続部
201 第2トレーニング器具
210 着座部
211 座席
212 座席支柱
215 背もたれ
220 枠組
221 枠組
222a スライドレール
222b スライドレール
225 上部筐体
230 負荷付与部
231 衝撃吸収材
232 ウェイト案内支柱
233 ウェイト
240 案内支柱
241 衝撃吸収材
250 昇降揺動部材
251 軸
271 足置き部
272 軸受
273 第3回動軸
274a 側板
274b 側板
275 接続板
276 主動軸部
276a 矢印
276c 先端部
277 本体上部
278 本体下部
279 接続部
280 引張部材
280a 第1引張部材
280b 接続部
280c 第2引張部材
285h 滑車
【要約】
【課題】 トレーニングの対象部位を複数同時に動かして複合的な負荷をかけるトレーニング器具用負荷伝達機構部を提供する。
【解決手段】 トレーニング器具用負荷伝達機構部は、主動軸部と、中間軸部と、第1回動伝達部と、中間軸部と、中間軸部と直交軸部との間の回動の伝達に用いられる第2回動伝達部と、摺動軸部と、主動軸部、中間軸部、直交軸部、及び軸受を連結する連結固定部を備え、連結固定部を第1回動伝達部の延伸方向に対して平行となる直線方向の移動を案内する直動案内部と、摺動軸部に接続されて張力を伝えるとともに、摺動軸部の軸方向及び直線方向の動きに合わせて伸長の方向を変える引張部材と、両端を直交軸部と摺動軸部とに接続され、直交軸部の回動運動を摺動軸部の往復運動に変換するリンク機構部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
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図20
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