(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】パーテーション
(51)【国際特許分類】
E04B 2/76 20060101AFI20250214BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
E04B2/76
E04B2/82 521A
E04B2/82 511Z
(21)【出願番号】P 2024109093
(22)【出願日】2024-07-05
【審査請求日】2024-08-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521076971
【氏名又は名称】有限会社原建
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】原田 祥憲
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190046(JP,A)
【文献】特開2006-009357(JP,A)
【文献】実公昭46-025143(JP,Y1)
【文献】実公昭46-025144(JP,Y1)
【文献】実開平07-006321(JP,U)
【文献】特開2004-092369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 2/76
E04B 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、前記台座を覆うカバーとを備えるパーテーションであって、
前記台座は、建物の床に対向する底部と、前記底部の両端からそれぞれ起立する第1側部及び第2側部と、前記第1側部及び前記第2側部の間に位置し前記底部から起立する縦補強部と、前記第1側部から前記第2側部へと延びるとともに前記縦補強部と交差する横補強部とを備え、
前記カバーは、対向する一対の側面と、前記側面の上端を覆う天井部と、
前記側面の一方の側縁を覆うサイド部とを備え、
前記側面及び前記天井部は、前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部、及び前記横補強部を覆
うとともに、前記天井部及び前記サイド部は円弧状に湾曲し、
前記台座の前記底部は、建物の床に固定手段によって固定され、前記第1側部は建物の壁に固定手段によって固定され、
前記カバーの前記側面は、前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部、及び前記横補強部にそれぞれ固定手段によって固定されることを特徴とするパーテーション。
【請求項2】
前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部及び前記横補強部は、溝形鋼を用いることを特徴とする請求項1記載のパーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内を区画するパーテーションに関し、特に二辺をそれぞれ床と壁に固定して用いることを特徴とするパーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの個室を仕切るパーテーションが知られている。特に幼児用のトイレは保育者が外から確認できるように仕切板の高さが低く、仕切板が天井まで届かないようにしている。このようなパーテーションは仕切板の底辺と建物の床とを固定するとともに、仕切板の側縁と建物の壁とを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパーテーションは、仕切板本体と、本体上部を覆うエッジとを備え、本体はペーパーコアの表面と裏面とにパネル材を貼り付け、内部を空洞としている。また、本体の上部及び下部には補強部材を備え、補強部材を介して床又は壁に固定される。本体の上部及び下部の間はパネル材のみによって支持されているから、耐久性に劣るという問題があった。
【0005】
この発明は、耐久性に優れたパーテーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかるパーテーションは、台座と、前記台座を覆うカバーとを備え、前記台座は、建物の床に対向する底部と、前記底部の両端からそれぞれ起立する第1側部及び第2側部と、前記第1側部及び前記第2側部の間に位置し前記底部から起立する縦補強部と、前記第1側部から前記第2側部へと延びるとともに前記縦補強部と交差する横補強部とを備え、前記カバーは、対向する一対の側面と、前記側面の上端を覆う天井部と、前記側面の一方の側縁を覆うサイド部とを備え、前記側面及び前記天井部は、前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部、及び前記横補強部を覆うとともに、前記天井部及び前記サイド部は円弧状に湾曲し、前記台座の前記底部は、建物の床に固定手段によって固定され、前記第1側部は建物の壁に固定手段によって固定され、前記カバーの前記側面は、前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部、及び前記横補強部にそれぞれ固定手段によって固定されることを特徴とする。
この発明によれば、カバーの内側全体に台座が配置され、これら台座は建物に固定されるとともに、カバーとも固定されるので、衝撃に強く、破損しにくいパーテーションを提供することができる。
また、天井部及びサイド部を円弧状にすることによってこれに接触した場合であっても怪我の追うリスクを低減することができる。
【0007】
前記カバーは、前記側面の一方の側縁を覆うサイド部をさらに備え、前記天井部及び前記サイド部は円弧状に湾曲することを特徴とする。
天井部及びサイド部を円弧状にすることによってこれに接触した場合であっても怪我の追うリスクを低減することができる。
【0008】
前記台座の前記底部、前記第1側部、前記第2側部、前記縦補強部及び前記横補強部は、溝形鋼を用いることを特徴とする。
溝形鋼を用いることによって台座全体の軽量化を図りつつ、強度を保つことができ、カバーの固定を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明のパーテーションよれば、台座を建物に固定し、台座にカバーを固定することとしたので、台座によってパーテーション全体の強度を向上させることができ、衝撃に強いパーテーションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明において、例えば幼児や精神疾患者など、一定の看視が必要な者に対して使用するのに最適なパーテーションを提供する。プライベートを保ちつつ看視をする必要があるのでパーテーションの上部は天井まで届くことなく、緊急の場合にはパーテーションの内側を覗けるようになっていることが望ましい。このようなパーテーション1は、トイレの個室の間を仕切ったり、トイレと他の空間とを仕切ったりする際に好適に用いることができる。
【0012】
<パーテーション1>
図1~
図7に示したようにパーテーション1は、台座2と台座2を覆うカバー4とを備える。パーテーション1は、天井まで届く高さではなく、例えば洋式便器に座った際には利用者が隠れ、立った際には頭がパーテーション1の上方から見える程度の高さにすることができる。この実施形態においてパーテーション1の高さ寸法は約80cm、幅寸法は約120cm、厚さ寸法は約10cmとしている。
【0013】
<台座2>
台座2は、建物の床に対向する底部21と、底部21の両端からそれぞれ起立する第1側部22及び第2側部23と、第1側部22及び第2側部23の間に位置し底部21から起立する縦補強部24と、第1側部22から第2側部23へと延びるとともに縦補強部24と交差する横補強部25とを備える。この実施形態において、縦補強部24は第1側部22及び第2側部23とほぼ平行に並ぶとともにこれらの間に二本設置している。底部21、第1側部22、第2側部23、縦補強部24及び横補強部25は、それぞれ鋼材等の金属材料を用いることができ、この実施形形態ではコの字型をした溝形鋼を用いる。溝形鋼は、それぞれウエブと一対のフランジとを備える。
【0014】
底部21、第1側部22及び第2側部23に用いる溝形鋼は、厚さ約4.5mm、ウエブの幅寸法が約100mm、フランジの幅寸法が約50mmである。底部21は、底ウエブ21aが建物の床に対向し、底フランジ21bが台座2の内側に向いて底ウエブ21aから起立する。第1側部22の第1側ウエブ22aは底ウエブ21aの一端から起立し、一対の第1側フランジ22bが第1側ウエブ22aの両端から第2側部23に向かって延出する。同様に第2側部23の第2側ウエブ23aは底ウエブ21aの他端から起立し、第2側フランジ23bが第2側ウエブ23aの両端から第1側部22に向かって延出する。
【0015】
底部21の底ウエブ21aには複数のネジ穴26を設け、台座2を建物の床に固定可能にしている。同様に第1側部22の第1側ウエブ22aにも複数のネジ穴26を設け、台座2を建物の壁に固定可能にしている。この実施形態において固定手段としてアンカーボルトを用いることができる。
底部21の底フランジ21b、第1側部22の第1側フランジ22b、第2側部23の第2側フランジ23b、縦補強部24の縦補強フランジ24b及び横補強部25の横補強フランジ25bには、カバー4と固定可能な複数のビス穴27を設ける。
【0016】
縦補強部24及び横補強部25に用いる溝形鋼は、厚さ約3.2mm、ウエブの幅寸法が約100mm、フランジの幅寸法が約40mmである。底部21及び横補強部25はその長さ寸法が約120cmであり、第1側部22はその長さ寸法が約70cmであり、第2側部23及び縦補強部24はその長さ寸法が約65cmである。
台座2の外形を形成し、建物の床又は壁に固定される底部21、第1側部22及び第2側部23の溝形鋼の厚さを、縦補強部24及び横補強部25よりも厚くすることによって、全体的な強度を確保することができる。縦補強部24及び横補強部25を薄くすることによって、台座2全体の軽量化を図ることができる。
【0017】
底部21、第1側部22及び第2側部23は、それぞれ別の溝形鋼を互いに溶接して一体としても良いし、一体的に形成されたものを用いても良い。同様に縦補強部24及び横補強部25も、それぞれ別の溝形鋼を溶接して一体としても良いし、一体的に形成されたものを用いても良い。また、底部21、第1側部22、第2側部23、縦補強部24及び横補強部25をすべて同じサイズの材料を用いることもでき、その場合にはすべてを一体的に形成することも可能である。
【0018】
<カバー4>
カバー4は、対向する一対の側面41,41と、側面41,41の上端を覆う天井部42と、側面41,41の一方の側縁を覆うサイド部43とを備える。カバー4は、台座2の底部21、第1側部22、第2側部23、縦補強部24、横補強部25を覆う大きさを有し、この実施形態では側面41の横方向の寸法は約120cm、縦方向の寸法は約80cmである。
側面41,41の間には、これらの離間寸法を保ち変形を防ぐためのスペーサ44を設ける。この実施形態では側面41,41の他方の側縁の上部にスペーサ44設けている。
【0019】
天井部42及びサイド部43は、円弧状に湾曲している。したがって、利用者がカバー4に接触した場合であっても怪我のリスクを軽減することができる。
側面41,41には、台座2のビス穴27に対応する位置にカバー穴28を設け、これらビス穴27及びカバー穴28を貫通するビスを打つことで互いに固定可能にしている。この実施形態において固定手段としてビスを用いている。
【0020】
上記のようなパーテーション1は、設置場所に台座2を固定してから、カバー4を台座2に固定することができる。したがって、台座2を確実に建物の床及び壁に固定することができ、作業性に優れかつ安全性を確保することができる。また、台座2の強度を維持するための溝形鋼を用いることから全体の重量が大きくなってしまうが、台座2とカバー4とを別々に搬送することができ設置場所への搬入が比較的容易である。
台座2に溝形鋼を用いることで、カバー4をそれぞれのフランジにビス止めするだけで台座2とカバー4とを固定することができ、設置作業を効率的におこなうことができる。
【0021】
上記のようなパーテーション1によれば、底部21及び第1側部22をそれぞれ直接床又は壁に固定しているので、天井まで届く高さを有しない場合であっても強固に固定することができ耐久性に優れたものとすることができる。また、カバー4の内側全体にわたって台座2が配置されているので、全体的に補強することができる。したがって、例えば、パーテーション1に大きな力が加えられた場合であっても、衝撃に強く、破損しにくいパーテーションを提供することができる。
なお、この実施形態で示した素材、寸法等は、パーテーション1全体の大きさ、設置場所等に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 :パーテーション
2 :台座
4 :カバー
21 :底部
22 :第1側部
23 :第2側部
24 :縦補強部
25 :横補強部
41 :側面
42 :天井部
43 :サイド部
【要約】
【課題】この発明は、衝撃に強い耐久性に優れたパーテーションを提供する。
【解決手段】パーテーション1は、台座2及びカバー4を備える。台座2は、建物の床に対向する底部21と、底部21から起立する第1側部22及び第2側部23と、縦補強部24と、縦補強部24と交差する横補強部25とを備える。底部21の底ウエブ21a及び第1側部22の第1側ウエブ22aには複数のネジ穴26を設ける。底フランジ21b、第1側フランジ22b、第2側フランジ23b、縦補強フランジ24b及び横補強フランジ25bには、カバー4と固定可能な複数のビス穴27を設ける。カバー4は、対向する一対の側面41,41と、上端を覆う天井部42と、側縁を覆うサイド部43とを備える。天井部42及びサイド部43は、円弧状に湾曲している。側面41,41には、カバー穴28を設け、ビス穴27及びカバー穴28を貫通するビスによって互いに固定可能である。
【選択図】
図1