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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】物体検出システムおよび物体検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/931 20200101AFI20250214BHJP
   G01S 15/87 20060101ALI20250214BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S15/87
G08G1/16 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021132986
(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公開番号】P2023027707
(43)【公開日】2023-03-02
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】関 淳志
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-014997(JP,A)
【文献】特開2004-045320(JP,A)
【文献】特開2007-115075(JP,A)
【文献】特開2020-180795(JP,A)
【文献】特開2013-088279(JP,A)
【文献】特開平04-098187(JP,A)
【文献】特表2015-532712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0087414(US,A1)
【文献】特開2019-035755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/64
G01S 13/00-17/95
G08G 1/16
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送波する送波部および超音波の物体による反射波を受波する受波部を有し、反射波に応じて物体を検出する、車両の互いに異なる位置に設けられた複数の測距センサと、
前記車両への電力供給が開始されたとき、および前記車両の車両状態が所定状態を表したときである実行条件を満たしたときに、予め定めた群に属する複数の前記測距センサから超音波を送波させる全送波制御を行い、前記全送波制御によって事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを送波順の先頭とし、複数の前記測距センサの各々から前記送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御を繰り返す送波制御部と、
複数の前記測距センサの何れか1つが物体を所定回数検出したときに、該物体を検出物体として判定する判定部と、
を備える物体検出システム。
【請求項2】
前記送波制御部は、
前記実行条件を満たしたときに、該実行条件に対応する前記群に属する複数の前記測距センサから超音波を送波させる前記全送波制御を行い、
前記全送波制御によって前記事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを前記送波順の先頭とした、該実行条件に対応する前記群に属する複数の前記測距センサの各々から前記送波順に沿って超音波を順次送信させる前記周期送波制御を繰り返す、
請求項に記載の物体検出システム。
【請求項3】
前記送波制御部は、
前記実行条件を満たしたときに、前記群に属する複数の前記測距センサの各々から、前記周期送波制御における前記測距センサからの1回あたりの送波時間未満の送波時間で、且つ、送波期間の少なくとも一部が重複するように超音波を送波させる前記全送波制御を行う、
請求項1または請求項2に記載の物体検出システム。
【請求項4】
前記全送波制御における複数の前記測距センサからの超音波の総送波期間は、前記周期送波制御における前記測距センサの1回あたりの送波時間の2倍未満である、
請求項に記載の物体検出システム。
【請求項5】
前記送波制御部は、
前記全送波制御によって前記事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサから前記所定回数の送波を行うように制御した後に、前記周期送波制御を繰り返す、
請求項~請求項の何れか1項に記載の物体検出システム。
【請求項6】
前記送波制御部は、
複数の物体が前記事前検出された場合、前記車両に最も近い距離に位置する物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを前記送波順の先頭とした前記周期送波制御を繰り返す、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の物体検出システム。
【請求項7】
前記判定部は、
前記周期送波制御中に複数の前記測距センサの何れか1つが物体を前記所定回数検出したときに、該物体を前記検出物体として判定する、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の物体検出システム。
【請求項8】
前記判定部は、
前記事前検出および前記周期送波制御中に複数の前記測距センサの何れか1つが物体を所定回数検出したときに、該物体を前記検出物体として判定する、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の物体検出システム。
【請求項9】
前記送波制御部は、
前記車両への電力供給が開始されたときおよび前記車両の車両状態が所定状態を表したときである実行条件を満たしたときに、物体検出センサによって前記事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを前記送波順の先頭とした前記周期送波制御を繰り返す、
請求項1に記載の物体検出システム。
【請求項10】
前記送波制御部は、
前記車両に設けられた複数の前記測距センサを予め定めた複数のグループに分類した前記グループごとに、互いに異なる周波数の超音波を送波するように制御する、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の物体検出システム。
【請求項11】
超音波を送波する送波部および超音波の物体による反射波を受波する受波部を有し、反射波に応じて物体を検出する、車両の互いに異なる位置に設けられた複数の測距センサの内、前記車両への電力供給が開始されたとき、および前記車両の車両状態が所定状態を表したときである実行条件を満たしたときに、予め定めた群に属する複数の前記測距センサから超音波を送波させる全送波制御を行い、前記全送波制御によって事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを送波順の先頭とし、複数の前記測距センサの各々から前記送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御を繰り返すステップと、
複数の前記測距センサの何れか1つが物体を所定回数検出したときに、該物体を検出物体として判定するステップと、
を含む物体検出方法。
【請求項12】
前記周期送波制御を繰り返すステップは、前記実行条件を満たしたときに、該実行条件に対応する前記群に属する複数の前記測距センサから超音波を送波させる前記全送波制御を行い、前記全送波制御によって前記事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを前記送波順の先頭とした、該実行条件に対応する前記群に属する複数の前記測距センサの各々から前記送波順に沿って超音波を順次送信させる前記周期送波制御を繰り返す、
請求項11に記載の物体検出方法。
【請求項13】
前記周期送波制御を繰り返すステップは、前記実行条件を満たしたときに、前記群に属する複数の前記測距センサの各々から、前記周期送波制御における前記測距センサからの1回あたりの送波時間未満の送波時間で、且つ、送波期間の少なくとも一部が重複するように超音波を送波させる前記全送波制御を行う、
請求項11または請求項12に記載の物体検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検出システムおよび物体検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたセンサにより車両周辺に存在する物体を検出するシステムが知られている。例えば、誤判定を抑制するため、レーダー装置を用いて所定の制御サイクル毎に検出範囲内を走査し、所定回数以上検出された物体を接触判定の対象の物体として判定する装置が知られている。また、赤外線カメラの画像により物体を検出した場合に判定回数を少なくすることで、物体検出時間の短縮を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-247829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来技術では判定回数を変動させるため、高精度な物体検出が困難となる場合があった。すなわち、従来技術では、検出時間短縮および高精度な物体検出を実現することは困難であった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、検出時間短縮および高精度な物体検出を実現することができる、物体検出システムおよび物体検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる物体検出システムは、複数の測距センサと、送波制御部と、判定部と、を備える。複数の測距センサは、超音波を送波する送波部および超音波の物体による反射波を受波する受波部を有し、反射波に応じて物体を検出する。複数の測距センサは、車両の互いに異なる位置に設けられている。送波制御部は、前記車両への電力供給が開始されたとき、および前記車両の車両状態が所定状態を表したときである実行条件を満たしたときに、予め定めた群に属する複数の前記測距センサから超音波を送波させる全送波制御を行い、前記全送波制御によって事前検出された物体を含む領域を検出範囲とする前記測距センサを送波順の先頭とし、複数の前記測距センサの各々から前記送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御を繰り返す。判定部は、複数の前記測距センサの何れか1つが物体を所定回数検出したときに、該物体を検出物体として判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる物体検出システムおよび物体検出方法によれば、検出時間短縮および高精度な物体検出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の物体検出システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態の測距センサの構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、実施形態の物体検出システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の物体検出装置の一例を示すハードウェア構成図である。
図5A図5Aは、従来の送波制御の一例を示す説明図である。
図5B図5Bは、従来の送波制御の一例を示す説明図である。
図6A図6Aは、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図6B図6Bは、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図8図8は、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図9図9は、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図10図10は、実施形態の送信制御の一例を示す説明図である
図11図11は、実施形態の送波制御の一例を示す説明図である。
図12図12は、実施形態の物体検出装置を搭載した複数の車両の一例を示す説明図である。
図13図13は、実施形態の情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る物体検出システムおよび物体検出方法の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の物体検出システム100の一例を示す模式図である。
【0011】
物体検出システム100は、物体検出装置10と、複数の測距センサ20と、を備える。物体検出装置10は、車両1の周辺の物体を検出する装置である。本実施形態では、物体検出装置10は、車両1に搭載された形態を一例として説明する。
【0012】
車両1には、複数の測距センサ20が設けられている。
【0013】
測距センサ20は、車両1の周辺の物体を検出するセンサである。本実施形態では、測距センサ20は、例えば、数cm~数mの検出距離であり、比較的近距離の物体の有無および物体までの距離を検出する。本実施形態では、測距センサ20が超音波センサである形態を一例として説明する。超音波センサは、20kHz~100kHzの超音波を送信波として送波する送波機能と、物体で反射した超音波を反射波として受信する受波機能と、を有する。
【0014】
本実施形態では、車両1は、測距センサ20として、測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、測距センサ20FR、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRを備える。これらの複数の測距センサ20は、車両1の互いに異なる位置に設けられている。また、これらの複数の測距センサ20の各々の検出範囲30は、少なくとも一部が非重複となるように調整されている。
【0015】
測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、および測距センサ20FRは、車両1のフロント側に設けられている。測距センサ20FLおよび測距センサ20FRは、車両1のフロント側におけるコーナー部分に設けられている。測距センサ20FLは、車両1のフロント側の左側コーナー部分に設けられている。測距センサ20FRは、車両1のフロント側の右側コーナー部分に設けられている。測距センサ20FLCは、車両1のフロント側の中央左寄りに設けられている。測距センサ20FRCは、車両1のフロント側の中央右寄りに設けられている。
【0016】
測距センサ20FLの検出範囲30FL、測距センサ20FLCの検出範囲30FLC、測距センサ20FRCの検出範囲30FRC、および測距センサ20FRの検出範囲30FRは、少なくとも一部が非重複となるように配置されている。なお、これらの複数の測距センサ20の各々の検出範囲30は、一部が重複するように配置されていてもよい。
【0017】
測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRは、車両1のリア側に設けられている。測距センサ20RLおよび測距センサ20RRは、車両1のリア側におけるコーナー部分に設けられている。測距センサ20RLは、車両1のリア側の左側コーナー部分に設けられている。測距センサ20RRは、車両1のリア側の右側コーナー部分に設けられている。測距センサ20RLCは、車両1のリア側の中央左寄りに設けられている。測距センサ20RRCは、車両1のリア側の中央右寄りに設けられている。
【0018】
測距センサ20RLの検出範囲30RL、測距センサ20RLの検出範囲30RLC、測距センサ20RRCの検出範囲30RRC、および測距センサ20RRの検出範囲30RRは、少なくとも一部が非重複となるように配置されている。なお、これらの複数の測距センサ20の各々の検出範囲30は、一部が重複するように配置されていてもよい。
【0019】
なお、車両1に設けられる測距センサ20の個数および配置は、上記形態に限定されるものではない。例えば、車両1のフロント部分に1個~3個または4個以上、車両1のリア部分に1個~3個または4個以上、車両1のサイド部分に1個以上の測距センサ20を設けた構成であってもよい。
【0020】
上記複数の測距センサ20の各々は、各々の検出範囲30内の物体を検出し、物体の検出結果情報を物体検出装置10へ出力する。
【0021】
物体とは、測距センサ20によって検出可能な物である。すなわち、本実施形態では、物体とは、測距センサ20から送波された超音波を反射した反射波の生じる物である。
【0022】
図2は、測距センサ20の構成の一例の模式図である。測距センサ20は、送波部22と、受波部24と、コントローラ26と、を備える。送波部22および受波部24とコントローラ26とは通信可能に接続されている。コントローラ26は、物体検出装置10に通信可能に接続されている。
【0023】
送波部22は、超音波を送波する。受波部24は、超音波の物体による反射波を受波する。送波部22および受波部24は、例えば、圧電素子などを介して超音波を送波および反射波を受波する。コントローラ26は、送波部22から送波される超音波の送波タイミング、送波期間、超音波の周波数などを制御する。また、コントローラ26は、送波部22で超音波が送波されてから受波部24で反射波を受波するまでの時間を計測することで、物体までの距離を測定する。コントローラ26は、物体を検出した場合、物体検出を表す物体検出情報と、物体までの距離を表す距離情報と、を含む検出結果情報を物体検出装置10へ出力する。
【0024】
図1に戻り説明を続ける。車両1には、更に、撮影装置40およびレーダー42が設けられていてもよい。
【0025】
撮影装置40は、車両1の周辺を撮影し、撮影画像データを得る。以下では、撮影画像データを、単に撮影画像と称して説明する。撮影装置40は、取得した撮影画像を物体検出装置10へ出力する。
【0026】
本実施形態では、車両1には、撮影装置40として撮影装置40Fおよび撮影装置40Rが設けられている。撮影装置40Fは、車両1のフロント側に設けられており、車両1周辺のフロント側を撮影した撮影画像を得る。撮影装置40Rは、車両1のリア側に設けられており、車両1周辺のリア側を撮影した撮影画像を得る。なお、車両1に設けられる撮影装置40の個数および配置は、上記形態に限定されるものではない。
【0027】
レーダー42は、車両1の周囲の物体を検出し、物体と車両1との距離を測距する。レーダー42は、電磁波であるミリ波を走査することで、車両1の周囲の物体を検出する。本実施形態では、車両1には、レーダー42としてレーダー42Fおよびレーダー42Rが設けられている。
【0028】
レーダー42Fは、車両1のフロント側に設けられており、車両1周辺のフロント側を走査することで、車両1のフロント側の物体を検出する。レーダー42Rは、車両1のリア側に設けられており、車両1周辺のリア側を走査することで、車両1のリア側の物体を検出する。なお、車両1に設けられるレーダー42の個数および配置は、上記形態に限定されるものではない。
【0029】
次に、物体検出システム100の機能的構成について詳細に説明する。
【0030】
図3は、物体検出システム100の機能的構成の一例のブロック図である。
【0031】
車両1は、測距センサ20と、撮影装置40と、レーダー42と、Gセンサ44と、舵角センサ46と、走行制御部48と、操作部50と、メータコンピュータ52と、記憶部54と、物体検出装置10と、を備える。
【0032】
測距センサ20、撮影装置40、レーダー42、Gセンサ44、舵角センサ46、走行制御部48、メータコンピュータ52、記憶部54、および物体検出装置10は、バス56を介して通信可能に接続されている。バス56には、例えば、CAN(Controller Area Network)等のローカルエリアネットワークを用いてもよい。
【0033】
Gセンサ44は、車両1の加速度を計測し、測定結果を物体検出装置10へ出力する。本実施形態では、Gセンサ44は、車両1の車速および車両1の加速度を含む計測結果を物体検出装置10へ出力する形態を一例として説明する。
【0034】
舵角センサ46は、車両1に設けられたステアリングホイールの操舵角を検出し、舵角情報として物体検出装置10へ出力する。
【0035】
走行制御部48は、車両1の走行を制御するECU(Engine Control Unit)である。走行制御部48は、操作部50と通信可能に接続されている。走行制御部48は、操作部50から受付けたユーザによる操作情報などに応じて、車両1のエンジンやモータ等の駆動装置の制御、および車両1のトランスミッション等の伝達系装置の制御を実行する。
【0036】
操作部50は、ユーザである運転者によって操作される。操作部50は、例えば、イグニッションスイッチ50A、シフトレバー50B、アクセルペダル50C、およびブレーキペダル50Dを含む。なお、車両1に搭載された操作部50は、これらに限定されない。
【0037】
走行制御部48は、イグニッションスイッチ50Aの操作情報、シフトレバー50Bのシフト位置情報、アクセルペダル50Cのアクセルペダル操作情報、およびブレーキペダル50Dのブレーキペダル情報などに応じて、車両1の駆動装置および伝達系装置を制御する。また、本実施形態では、走行制御部48は、イグニッションスイッチ50Aの操作情報およびシフトレバー50Bのシフト位置情報を、物体検出装置10へ出力する。
【0038】
イグニッションスイッチ50Aの操作情報は、例えば、車両1の電気系統の各部への電力供給指示、車両1のエンジン始動指示、などを表す情報である。車両1の電気系統の各部への電力供給指示を受付けた走行制御部48は、車両1に搭載された電子機器への電力供給を開始する。また、車両1のエンジン始動指示を受付けた走行制御部48は、車両1のエンジンを始動する。
【0039】
シフトレバー50Bのシフト位置情報は、シフトレバー50Bの位置を表す情報である。シフト位置情報は、例えば、駐車(パーキング)、後退(リバース)、ニュートラル、前進走行(ドライブ)、などのシフト位置を表す情報である。
【0040】
メータコンピュータ52は、運転者などのユーザに対する情報報知機能を備える。情報報知機能は、情報を表示する表示機能、情報を表す音を出力する音出力機能、などである。表示機能は、例えば運転者に対して表示による報知を行うコンビネーションメータ装置である。音出力機能は、例えば、ブザーや音声による報知を行う報知音発生装置である。
【0041】
記憶部54は、各種のデータを記憶する。記憶部54は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。記憶部54は、1または複数の記憶媒体から構成してもよい。
【0042】
次に、物体検出装置10について詳細に説明する。
【0043】
図4は、物体検出装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0044】
物体検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM11C、およびI/F11D等がバス11Eにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0045】
CPU11Aは、本実施形態の物体検出装置10を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる各種の処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる各種の処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0046】
本実施形態の物体検出装置10で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の物体検出装置10で実行されるプログラムは、物体検出装置10にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
【0047】
図3に戻り説明を続ける。
【0048】
物体検出装置10は、複数の測距センサ20の各々の超音波の送波を制御する。
【0049】
図5Aおよび図5Bは、従来の送波制御の一例の説明図である。図5Aおよび図5Bには、車両1のリア側に設けられた複数の測距センサ20の従来の送波制御の一例を示す。
【0050】
複数の測距センサ20から同時に超音波を送波すると、何れの測距センサ20から送波された超音波の反射波であるか区別出来ず物体Bまでの距離測定精度が低下する場合がある。このため、複数の測距センサ20から順に超音波を送波させ、物体Bを検出することが行われている。
【0051】
例えば、図5Aに示すように、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、の順に超音波を順次送波させることが行われている。測距センサ20RLおよび測距センサ20RRは、車両1の車幅方向の両端部であるコーナー部分の各々に設けられており干渉の影響が少ないことから、同時に超音波を送波させることが行われている。
【0052】
また、ノイズなどの誤検出を防ぎ信頼性を向上させるために、所定回数以上同一の物体Bが検出されたときに、この物体Bを検出物体として特定する処理が行われている。
【0053】
例えば、図5Aに示すように、測距センサ20RLの検出範囲30RLに物体Bが存在する場面を想定する。また、3回以上同一の測距センサ20で物体Bを検出したときに、この物体Bを検出物体として判定する場面を想定する。
【0054】
この場合、図5Bに示すように、1周期目C1、2周期目C2、および3周期目C3の各々の最後の送波タイミングである測距センサ20RLおよび測距センサ20RRによる超音波の送波により、測距センサ20RLによって物体Bが3回検出されることとなる。すなわち、3周期目C3の最後の測距センサ20RLおよび測距センサ20RRによる超音波の送波によって、測距センサ20RLの検出範囲30RLに位置する物体Bが検出物体として特定される。このため、従来技術では、最初の1周期目C1の測距センサ20RLCおよび測距センサ20RRCの各々からの2つの送波が無駄な送波Xとなっていた。
【0055】
このため、従来技術では、検出物体として判定するまでに時間を要する場合があった。すなわち、従来技術では、物体Bの検出時間短縮を図ることは困難であった。
【0056】
図3に戻り説明を続ける。本実施形態の物体検出装置10は、物体Bの検出時間短縮および高精度な物体検出を実現する装置である。
【0057】
詳細には、物体検出装置10は、処理部12を備える。処理部12は、各種の情報処理を実行する。例えば、CPU11Aが、ROM11BからプログラムをRAM11C上に読み出して実行することにより、処理部12の後述する各機能部がコンピュータ上で実現される。
【0058】
処理部12は、車両状態取得部12Aと、送波制御部12Bと、検出結果取得部12Cと、物体検出部12Dと、判定部12Eと、駆動制御部12Fと、を備える。車両状態取得部12A、送波制御部12B、検出結果取得部12C、物体検出部12D、判定部12E、および駆動制御部12Fの一部または全ては、例えば、CPU11Aなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。また、車両状態取得部12A、送波制御部12B、検出結果取得部12C、物体検出部12D、判定部12E、および駆動制御部12Fの少なくとも1つを、ネットワークなどを介して物体検出装置10と通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。
【0059】
車両状態取得部12Aは、車両1の車両状態を表す情報を取得する。
【0060】
車両状態を表す情報とは、車両1の状態を表す情報である。車両状態を表す情報は、例えば、車両1の車速、加速度、舵角情報、イグニッションスイッチ50Aの操作情報、およびシフト位置情報を含む。なお、車両状態を表す情報は、イグニッションスイッチ50Aの操作情報およびシフト位置情報を少なくとも含む情報であればよい。
【0061】
本実施形態では、車両状態取得部12Aは、Gセンサ44から車両1の車速および加速度の計測結果情報を取得する。また、車両状態取得部12Aは、舵角センサ46から舵角情報を取得する。また、車両状態取得部12Aは、走行制御部48からイグニッションスイッチ50Aの操作情報、およびシフトレバー50Bのシフト位置情報を取得する。
【0062】
車両状態取得部12Aは、これらの車速、加速度、舵角情報、イグニッションスイッチ50Aの操作情報、およびシフト位置情報を、車両状態を表す情報として取得する。
【0063】
送波制御部12Bは、車両1への電力供給が開始されたときに事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とし、複数の測距センサ20の各々から該送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御を繰り返す。
【0064】
事前検出とは、周期送波制御を行う前に物体Bを事前に検出することを意味する。周期送波制御の詳細は後述する。
【0065】
送波制御部12Bは、少なくとも車両1への電力供給が開示されたときに事前検出を行う。本実施形態では、送波制御部12Bは、車両1への電力供給が開始されたときおよび車両1の車両状態が所定状態を表したときである実行条件を満たしたときに、事前検出を行う。
【0066】
実行条件とは、事前検出の実行条件である。送波制御部12Bは、車両状態取得部12Aで取得した車両状態を表す情報を用いて、実行条件を満たしたか否かを判別する。
【0067】
詳細には、送波制御部12Bは、車両状態取得部12Aで取得した車両状態を表す情報に含まれるイグニッションスイッチ50Aの操作情報が、車両1の電気系統の各部への電力供給指示を表す情報であるか否かを判別する。送波制御部12Bは、電力供給指示を表す情報が含まれる場合、実行条件を満たすと判別する。言い換えると、送波制御部12Bは、車両1への電力供給が開始されたときに、実行条件を満たすと判定する。
【0068】
なお、送波制御部12Bは、車両状態取得部12Aで取得した車両状態を表す情報に含まれるイグニッションスイッチ50Aの操作情報に、車両1のエンジン始動指示を表す情報が含まれるか否かを判別してもよい。送波制御部12Bは、車両状態を表し情報に車両1のエンジン始動指示を表す情報が含まれる場合、実行条件を満たすと判別してもよい。
【0069】
また、送波制御部12Bは、車両状態取得部12Aで取得した車両状態を表す情報に含まれるシフトレバー50Bのシフト位置情報が、前回取得したシフト位置情報とは異なる情報を示す場合、実行条件を満たすと判別する。すなわち、送波制御部12Bは、ユーザによる操作指示によってシフトレバー50Bが操作されてシフト位置が変更されたときに、実行条件を満たすと判別する。
【0070】
なお、送波制御部12Bは、更に、車両1の車速、車両1の加速度、および舵角情報の少なくとも1つが予め定めた所定条件を満たす場合に、実行条件を満たすと判別してもよい。
【0071】
送波制御部12Bは、車両1の車両状態が実行条件を満たすと判別したときに、物体Bの事前検出を実行する。
【0072】
本実施形態では、送波制御部12Bは、複数の測距センサ20から超音波を送波させる全送波制御を行うことで、物体Bを事前検出する。
【0073】
全送波制御とは、車両1に搭載された複数の測距センサ20から超音波を送波させる制御である。全送波制御の対象となる測距センサ20は、車両1に搭載された全ての測距センサ20であってもよいし、予め定めた群に属する複数の測距センサ20であってもよい。
【0074】
例えば、物体検出装置10では、実行条件に対応する群に属する測距センサ20を予め設定する。そして、送波制御部12Bは、実行条件を満たすと判別したときに、判別した実行条件に対応する群に属する複数の測距センサ20の全てから超音波を送波させる全送波制御を行うことで、物体Bを事前検出する。
【0075】
例えば、物体検出装置10は、実行条件と、実行条件に対応する群に属する測距センサ20の識別情報と、を対応付けて記憶部54に記憶する。
【0076】
具体的には、例えば、記憶部54は、実行条件「車両1への電力供給開始」と、車両1のフロント側に設けられた測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、および測距センサ20FRの各々の識別情報と、を対応付けて予め記憶する。また、記憶部54は、実行条件「シフト位置情報“後退(リバース)”」と、車両1のリア側に設けられた測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々の識別情報と、を対応付けて予め記憶する。また、記憶部54は、実行条件「シフト位置情報“前進走行(ドライブ)”」と、車両1のフロント側に設けられた測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、および測距センサ20FRの各々の識別情報と、を対応付けて予め記憶する。
【0077】
送波制御部12Bは、判別した実行条件に対応する測距センサ20の識別情報を記憶部54から読み取ることで、判別した実行条件に対応する群に属する複数の測距センサ20を特定する。そして、送波制御部12Bは、特定した複数の測距センサ20から超音波を送波させる全送波制御を行う。
【0078】
なお、実行条件に対応する群に属する測距センサ20は、上記形態に限定されない。本実施形態では、実行条件に対応する群に属する測距センサ20の識別情報として、上記識別情報が対応付けて記憶部54に記憶されている形態を一例として説明する。
【0079】
全送波制御によって複数の測距センサ20から超音波が送波されることで、物体Bが事前検出される。
【0080】
詳細には、検出結果取得部12Cが、複数の測距センサ20の各々から検出結果情報を取得する。上述したように、検出結果情報には、物体検出を表す物体検出情報と、物体までの距離を表す距離情報と、が含まれる。なお、物体を検出しなかった場合、測距センサ20は、物体非検出を表す情報を含む検出結果情報を物体検出装置10へ出力すればよい。
【0081】
物体検出部12Dは、複数の測距センサ20の各々から取得した検出結果情報を用いて、物体Bの位置を算出する。物体検出部12Dは、検出結果取得部12Cから取得した検出結果情報、物体Bの位置を表す情報、および検出結果情報の送信元の測距センサ20の識別情報を、送波制御部12Bおよび判定部12Eへ出力する。
【0082】
送波制御部12Bは、物体検出を表す物体検出情報を含む検出結果情報の送信元の測距センサ20の識別情報によって識別される測距センサ20を、事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20として特定する。
【0083】
送波制御部12Bは、事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とした周期送波制御を繰り返す。
【0084】
周期送波制御を繰り返すとは、複数の測距センサ20の各々から予め定めた送波順に沿って超音波を順次送信させる一連の送波制御を周期的に繰り返し実行することを意味する。
【0085】
送波制御部12Bは、周期送波制御における各周期の送波順の先頭で超音波を送波する測距センサ20として、物体Bを事前検出した測距センサ20を設定する。そして、送波制御部12Bは、該測距センサ20を送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返す。
【0086】
判定部12Eは、複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定する。検出物体として判定する、とは、測距センサ20で検出された物体Bを、駆動制御部12Fなどの後処理に用いるための検出された物体Bとして確定することを意味する。
【0087】
物体Bを検出物体と判定するために用いる所定回数は、予め定めればよい。本実施形態では、所定回数が、3回である場合を一例として説明する。なお、所定回数は、複数回数であればよく、3回に限定されない。また、本実施形態における「所定回数」は、物体Bを検出物体として判定するために用いる回数を意味するものとして説明する。
【0088】
図6Aおよび図6Bは、本実施形態の送波制御の一例の説明図である。図6Aおよび図6B並びに後述する送波制御の説明図には、特に説明の無い限りシフトレバー50Bのシフト位置情報が“後退(リバース)”を表す実行条件を満たした場面を一例として示す。また、図6Aおよび図6B並びに後述する送波制御の説明図には、“後退(リバース)”を表す実行条件に対応する群に属する測距センサ20として、車両1のリア側に設けられた測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRを送波制御する形態を一例として示す。また、図6Aおよび図6Bには、測距センサ20RLの検出範囲30RLに物体Bが存在する場面を一例として示す。図6B中、横軸は時間tを意味する。
【0089】
例えば、送波制御部12Bは、シフトレバー50Bのシフト位置情報が“後退(リバース)”を表す実行条件を満たしたときに、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から超音波を送波するように、これらの複数の測距センサ20を全送波制御Fする(ステップS10)。
【0090】
送波制御部12Bによる全送波制御Fによって、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から超音波が送波される。例えば、図6Bに示すように、全送波制御Fでは、同じタイミングおよび同じ送波期間、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から同時に超音波が送波される。
【0091】
図6Aおよび図6Bに示す例では、全送波制御Fによる事前検出によって、測距センサ20RLが物体Bを検出する。このため、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20RLCを、周期送波制御Cにおける各周期の送波順の先頭で超音波を送波する測距センサ20として設定する。
【0092】
そして、送波制御部12Bは、物体Bを事前検出した測距センサ20RLCを先頭とし、実行条件であるシフトレバー50Bのシフト位置情報“後退(リバース)”に対応する群に属する測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から、予め定めた送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御Cを繰り返す。
【0093】
例えば、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、のこの順に送波順が予め定められている場合を想定する。この場合、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20RLを先頭とし、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、測距センサ20RLC、測距センサ20RRCの順に超音波を順次送信させる周期送波制御C(ステップS11~ステップS13)を繰り返す。
【0094】
周期送波制御Cが繰り返されることで、図6Bに示すように、1周期目C1、2周期目C2、および3周期目C3の各々の周期送波制御Cの先頭で、測距センサ20RLおよび測距センサ20RRが超音波を送波する。上述したように、本実施形態では、所定回数が3回である場合を一例として説明する。このため、判定部12Eは、3周期目C3の最初の送波タイミングで測距センサ20RLおよび測距センサ20RRから超音波が送波されたときに、この送波によって検出された検出範囲30RLに位置する物体Bを、検出物体と判定する。
【0095】
このため、本実施形態の物体検出装置10は、図5Aおよび図5Bを用いて説明した従来技術のような、最初の1周期目C1の測距センサ20RLCおよび測距センサ20RRCの各々からの無駄な送波Xを行うことなく、測距センサ20RLで所定回数検出された物体Bを検出物体として判定することができる。すなわち、本実施形態の物体検出装置10は、図5Aおよび図5Bを用いて説明した従来技術の2つの送波分の無駄な送波Xを行うことなく、測距センサ20RLの検出範囲30RLに位置する物体Bを、検出物体と判定することができる。また、全送波制御Fの期間が1回分の超音波の送波時間に相当する場合、本実施形態の物体検出装置10は、1送波分の時間短縮を図ることができる。
【0096】
すなわち、本実施形態の物体検出装置10は、全送波制御Fによる事前検出によって物体Bの検出された検出範囲30を、周期送波制御Cにおいて優先的に検出する。このため、本実施形態の物体検出装置10は、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間短縮を図ることができる。また、本実施形態の物体検出装置10は、所定回数検出した物体Bを検出物体と判定するため、誤判定を抑制し、高精度に物体Bを検出物体として判定することができる。
【0097】
図3に戻り説明を続ける。駆動制御部12Fは、判定部12Eによる判定結果に基づいて車両1を駆動制御する。
【0098】
例えば、駆動制御部12Fは、判定部12Eによって検出物体と判定された物体Bとの接触を回避するように、走行制御部48を制御する。例えば、駆動制御部12Fは、検出物体と判定された物体Bとの接触を回避して走行するように、走行制御部48を制御する。この場合、走行制御部48は、検出物体と判定された物体Bとの接触を回避して走行するように車両1を制御する。また、駆動制御部12Fは、検出物体と判定された物体Bとの接触を回避して停止するように走行制御部48を制御する。この場合、走行制御部48は、検出物体と判定された物体Bとの接触を回避して走行を停止させるように車両1を制御する。
【0099】
また、駆動制御部12Fは、判定部12Eによって検出物体と判定された物体Bに関する情報をメータコンピュータ52に出力してもよい。例えば、駆動制御部12Fは、判定された検出範囲30に物体Bが位置することを表す情報をメータコンピュータ52に表示または音声出力してもよい。
【0100】
なお、複数の物体Bが事前検出される場合がある。この場合、送波制御部12Bは、車両1に最も近い距離に位置する物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とした、周期送波制御Cを繰り返せばよい。
【0101】
図7は、複数の物体Bが事前検出された場合の送波制御の一例の説明図である。図7には、測距センサ20RLの検出範囲30RL、測距センサ20RLCの検出範囲30RLC、測距センサ20RRCの検出範囲30RRC、および測距センサ20RRの検出範囲30RRの各々に、物体B(物体B1~物体B4)が存在する場面を一例として示す。
【0102】
例えば、送波制御部12Bは、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から超音波を送波するように、これらの複数の測距センサ20を全送波制御Fする(ステップS14)。
【0103】
ステップS14の全送波制御Fによって、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々が物体Bを検出する。このように、複数の測距センサ20で物体Bが事前検出される場合がある。
【0104】
この場合、送波制御部12Bは、事前検出された複数の物体Bの内、車両1に最も近い距離に位置する物体Bを特定する。例えば、送波制御部12Bは、物体検出部12Dから受付けた検出結果情報に含まれる距離情報によって表される距離の最も近い物体Bを特定する。図7に示す例の場合、送波制御部12Bは、車両1に最も近い物体B2を特定する。そして、送波制御部12Bは、該物体B2を検出した測距センサ20RLCを、周期送波制御Cにおける各周期の送波順の先頭で超音波を送波する測距センサ20として設定する。すなわち、送波制御部12Bは、事前検出によって車両1に最も近い位置に存在する物体B2を検出した測距センサ20RLCを、周期送波制御Cにおける各周期の先頭で超音波を送波する測距センサ20として設定する。
【0105】
そして、送波制御部12Bは、測距センサ20RLCを送波順の先頭とし、測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRの各々から、予め定めた送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御C(ステップS15~ステップS17)を繰り返す。
【0106】
このように、複数の測距センサ20で物体Bが事前検出された場合、送波制御部12Bは、車両1に最も近い距離に位置する物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返す。このため、この場合、物体検出装置10は、車両1に対して最も危険な位置に存在する物体Bを優先的に検出物体として判定することができる。
【0107】
なお、送波制御部12Bは、全送波制御Fによって事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20から、所定回数の送波を行うように制御した後に周期送波制御Cを繰り返してもよい。すなわち、送波制御部12Bは、物体Bを検出物体として判定するときに用いる所定回数と同じ回数の送波を行うように、物体Bを事前検出した測距センサ20を制御した後に、周期送波制御Cを繰り返してもよい。
【0108】
図8は、送波制御の一例の説明図である。図8には、全送波制御Fによる事前検出により測距センサ20RLが物体Bを検出した場合を示す。また、図8には、該測距センサ20RLで所定回数の送波を行うように制御した後に周期送波制御Cを繰り返す場合の送波制御の流れを示す。図8中、横軸は時間tを意味する。
【0109】
送波制御部12Bによる全送波制御Fによって、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、から超音波が送波される。そして、全送波制御Fによる事前検出によって、測距センサ20RLによって物体Bが検出された場面を想定する。この場合、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20RLを送波順の先頭とし、測距センサ20RLおよび測距センサ20RRから所定回数(例えば3回)超音波を連続して送波させる。そして、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20RLを送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返す。
【0110】
このように、送波制御部12Bは、1周期目C1の周期送波制御Cの最初に、事前検出により物体Bを検出した測距センサ20RLから所定回数超音波を連続して送波させた後に、該測距センサ20RLを送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返してもよい。この場合、物体検出装置10は、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間を更に短縮することができる。
【0111】
なお、判定部12Eは、周期送波制御C中に複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定する。すなわち、判定部12Eは、周期送波制御Cの繰り返しによって物体Bを所定回数検出した測距センサ20を、検出物体を検出した測距センサ20として判定する。そして、判定部12Eは、該測距センサ20で検出された物体Bを検出物体として判定する。
【0112】
ここで、送波制御部12Bによる全送波制御Fによって物体Bを検出した測距センサ20が1つである場合には、全送波制御Fにおいて複数の測距センサ20から同時に超音波が送波されても反射波の干渉が生じないと考えられる。このため、全送波制御Fにより1つの測距センサ20が物体Bを検出した場合、判定部12Eは、全送波制御Fにおける物体Bの検出回数も所定回数の内の1回として計数してもよい。すなわち、判定部12Eは、全送波制御Fおよび周期送波制御C中に複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定してもよい。
【0113】
図9は、全送波制御Fによる物体Bの検出回数も所定回数として計数する場合の送波制御の一例の説明図である。図9中、横軸は時間tを意味する。
【0114】
送波制御部12Bによる全送波制御Fによって、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、から超音波が送波される。そして、全送波制御Fによる事前検出によって、測距センサ20RLが物体Bを検出した場面を想定する。この場合、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20RLを送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返す。
【0115】
そして、判定部12Eは、全送波制御Fにより測距センサ20RLが物体Bを検出した1回と、周期送波制御Cにより測距センサ20RLが物体Bを検出した回数と、の合計値が所定回数となったときに、該物体Bを検出物体として判定する。
【0116】
このように、判定部12Eは、全送波制御Fおよび周期送波制御C中に複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定してもよい。全送波制御Fにおける物体Bの検出回数も含めて計数することで、物体検出装置10は、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間を更に短縮することができる。
【0117】
なお、送波制御部12Bは、測距センサ20以外の物体検出センサによって物体Bを事前検出してもよい。測距センサ20以外の物体検出センサは、例えば、撮影装置40およびレーダー42の少なくとも一方である。この場合、送波制御部12Bは、例えば、車両1への電力供給が開始されたときなどの実行条件を満たしたときに、撮影装置40で撮影された撮影画像に含まれる物体Bおよびレーダー42の少なくとも一方によって検出された物体Bを検出することで、物体Bを事前検出すればよい。
【0118】
そして、送波制御部12Bは、事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20を送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返せばよい。
【0119】
図10は、物体検出センサによって物体Bを事前検出する場合の送信制御の一例の説明図である。図10中、横軸は時間tを意味する。
【0120】
撮影装置40などの物体検出センサによる事前検出により、測距センサ20RLの検出範囲30RLに物体Bが検出された場面を想定する。この場合、送波制御部12Bは、事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30RLとする測距センサ20RLを送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返せばよい。
【0121】
事前検出を測距センサ20以外の他の物体検出センサによって行う場合についても、事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30RLとする測距センサ20RLを送波順の先頭とした周期送波制御Cを繰り返すことで、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間を短縮することができる。
【0122】
なお、送波制御部12Bは、上記図6B図8、および図9などを用いて説明したように、全送波制御Fにおいて複数の測距センサ20から同時に超音波を送波させる制御を行ってもよい。また、送波制御部12Bは、全送波制御Fにおいて、複数の測距センサ20から少なくとも一部が非重複のタイミングで順次超音波を送波させてもよい。
【0123】
図11は、送波制御部12Bによる送波制御の流れの一例の説明図である。図11中、横軸は時間tを意味する。
【0124】
送波制御部12Bは、例えば、全送波制御Fによって、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RLおよび測距センサ20RR、から超音波を送波させる。
【0125】
送波制御部12Bは、全送波制御Fにおいて、複数の測距センサ20から少なくとも一部が非重複のタイミングで順次超音波を送波させてもよい。この場合、送波制御部12Bは、複数の測距センサ20の各々から、周期送波制御Cにおける測距センサ20からの1回あたりの送波時間Ta未満の送波時間Tbで、且つ、各々の送波期間の少なくとも一部が重複するように超音波を送波させる全送波制御Fを行うことが好ましい。
【0126】
また、全送波制御Fにおける複数の測距センサ20からの超音波の総送波期間Tcは、周期送波制御Cにおける測距センサ20の1回あたりの送波時間Taの2倍未満であることが好ましい。
【0127】
全送波制御Fにおける複数の測距センサ20の各々から送波される超音波の送波時間Tbを、周期送波制御Cにおける測距センサ20の1回あたりの送波時間Ta未満とすることで、全送波制御Fの時間短縮を図ることが出来る。このため、この場合、物体検出装置10は、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間短縮を図ることができる。
【0128】
なお、送波制御部12Bは、車両1に設けられた複数の測距センサ20を予め定めた複数のグループに分割した該グループごとに、互いに異なる周波数の超音波を送波するように制御してもよい。
【0129】
異なる周波数とするグループは、上述した、実行条件に対応する群と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、互いに異なる周波数とするグループが、上述した実行条件に対応する群と同じである形態を一例として説明する。
【0130】
送波制御部12Bでは、グループに属する測距センサ20ごとに、グループ間で互いに異なる周波数を予め設定する。
【0131】
例えば、送波制御部12Bは、車両1に設けられた複数の測距センサ20を、車両1のフロント側に設けられた測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、および測距センサ20FRによるグループと、車両1のリア側に設けられた測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、および測距センサ20RRによるグループと、に予め分類する。そして、送波制御部12Bは、これらの複数のグループに属する測距センサ20の各々に、グループ間で互いに異なる周波数の超音波を予め設定する。
【0132】
そして、送波制御部12Bは、上記全送波制御Fおよび周期送波制御Cの各々の制御時には、グループごとに互いに異なる周波数の超音波を送波するように制御する。
【0133】
図12は、本実施形態の物体検出装置10を搭載した複数の車両1の一例の説明図である。図12には、進行方向(矢印Z方向)に前進走行中の車両1Aおよび車両1Bを一例として示す。車両1Aおよび車両1Bは、車両1の一例である。
【0134】
例えば、車両1Aおよび車両1Bが、矢印Z方向へ前進走行中に、車両1に設けられた全ての複数の測距センサ20の各々から超音波を送波する場面を想定する。このような場合であっても、送波制御部12Bが、複数の測距センサ20を分類したグループごとに互いに異なる周波数の超音波を送波するように制御することで、他の車両1から送波された超音波を受波する干渉を抑制することができる。
【0135】
具体的には、例えば、車両1に設けられた複数の測距センサ20の各々から送波される超音波の周波数が全て同じ周波数である場合を想定する。この場合、車両1Aのリア側に設けられた測距センサ20(測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RR)から送波された超音波と、車両1Bのフロント側に設けられた測距センサ20(測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、測距センサ20FR)から送波された超音波と、が同じ周波数であるため干渉が生じる場合がある。
【0136】
一方、送波制御部12Bが、車両1のリア側に設けられた測距センサ20(測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RR)と、車両1のフロント側に設けられた測距センサ20(測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、測距センサ20FR)と、で異なる周波数の超音波を送波するように制御する。この制御によって、車両1Aのリア側に設けられた測距センサ20(測距センサ20RL、測距センサ20RLC、測距センサ20RRC、測距センサ20RR)から送波された超音波と、車両1Bのフロント側に設けられた測距センサ20(測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、測距センサ20FR)から送波された超音波と、が異なる周波数となり、干渉が抑制される。
【0137】
このため、送波制御部12Bが、例えば、車両1のシフト位置情報に拘わらず、車両1に搭載された全ての測距センサ20から全送波制御Fおよび周期送波制御Cを行った場合であっても、異なる車両1間で送波される超音波が干渉することを抑制することができる。このため、物体検出システム100では、車両1に搭載された全ての測距センサ20から常に超音波を送波させることができ、応答性の向上を図ることができる。
【0138】
次に、本実施形態の物体検出装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0139】
図13は、物体検出装置10で実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図13は、車両1のイグニッションスイッチ50Aがユーザによって操作され、車両1への電力供給が開始されたときに実行される情報処理の流れを一例として説明する。
【0140】
車両1への電力供給が開始されると、送波制御部12Bは、実行条件「車両1への電力供給開始」に対応する測距センサ20の群を特定する(ステップS100)。例えば、送波制御部12Bは、実行条件「車両1への電力供給開始」に対応する測距センサ20として、車両1のフロント側に設けられた測距センサ20FL、測距センサ20FLC、測距センサ20FRC、および測距センサ20FRを特定する。
【0141】
次に、送波制御部12Bは、特定した群に属する複数の測距センサ20の全てから超音波を送波させる全送波制御Fを行うことで、物体Bを事前検出する(ステップS102)。
【0142】
送波制御部12Bは、ステップS102の全送波制御Fによって1つの測距センサ20で物体Bが検出されたか否かを判断する(ステップS104)。1つの測距センサ20で物体Bが検出された場合(ステップS104:Yes)ステップS106へ進む。
【0143】
ステップS106では、送波制御部12Bは、ステップS102の全送波制御Fによる事前検出によって物体Bを検出した測距センサ20を、周期送波制御Cにおける各周期の送波順の先頭で超音波を送波する測距センサ20として設定する(ステップS106)。そして、ステップS110へ進む。
【0144】
一方、ステップS102の全送波制御Fによって複数の測距センサ20で物体Bが検出された場合(ステップS104:No)ステップS108へ進む。ステップS108では、送波制御部12Bは、車両1に最も近い距離の物体Bを検出した測距センサ20を、周期送波制御Cにおける各周期の送波順の先頭で超音波を送波する測距センサ20として設定する(ステップS108)。そして、ステップS110へ進む。
【0145】
ステップS110では、送波制御部12Bは、ステップS106またはステップS108で先頭として設定された測距センサ20を送波順の先頭とし、実行条件に対応する群に属する複数の測距センサ20から該送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御Cを開始する(ステップS110)。
【0146】
次に、送波制御部12Bは、実行条件を満たすか否かを判断する(ステップS112)。ステップS112では、送波制御部12Bは、車両状態取得部12Aで取得した車両状態が直前のステップS102の全送波制御Fの判断時に用いた実行条件とは異なる実行条件を満たすか否かを判断する。
【0147】
ステップS112で否定判断すると(ステップS112:No)、ステップS114へ進む。
【0148】
ステップS114では、判定部12Eが、複数の測距センサ20の何れかで物体Bを所定回数検出したか否かを判断する(ステップS114)。ステップS114で否定判断すると(ステップS114:No)上記ステップS112へ戻り、周期送波制御Cを継続する。ステップS114で肯定判断すると(ステップS114:Yes)、ステップS116へ進む。
【0149】
ステップS116では、ステップS114で物体Bを所定回数検出した測距センサ20の検出範囲30に位置する該物体Bを、検出物体として判定する(ステップS116)。
【0150】
駆動制御部12Fは、ステップS116の判定結果に基づいて車両1を駆動制御する(ステップS118)。
【0151】
次に、処理部12は、測距センサ20の送波制御処理を終了するか否かを判断する(ステップS120)。例えば、処理部12は、ユーザによるイグニッションスイッチ50Aの操作等によって車両1への電力供給終了を示す信号が入力されたか否かを判別することで、ステップS120の判断を実行する。ステップS120で否定判断すると(ステップS120:No)、上記ステップS112へ戻る。ステップS120で肯定判断すると(ステップS120:Yes)、ステップS122へ進む。
【0152】
ステップS122では、送波制御部12Bは周期送波制御Cを終了し(ステップS122)、本ルーチンを終了する。
【0153】
一方、ステップS112で肯定判断すると(ステップS112:Yes)、ステップS124へ進む。ステップS124では、送波制御部12Bは、周期送波制御Cを終了する(ステップS124)。そして、送波制御部12Bは、ステップS112で判断した実行条件に対応する測距センサ20の群を特定し(ステップS126)、上記ステップS102へ進む。
【0154】
以上説明したように、本実施形態の物体検出システム100は、複数の測距センサ20と、送波制御部12Bと、判定部12Eと、を備える。複数の測距センサ20は、超音波を送波する送波部22および超音波の物体Bによる反射波を受波する受波部24を有し、反射波に応じて物体Bを検出する。複数の測距センサ20は、車両1の互いに異なる位置に設けられている。送波制御部12Bは、車両1への電力供給が開始されたときに事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とし、複数の測距センサ20の各々から該送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御Cを繰り返す。判定部12Eは、複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定する。
【0155】
従来技術では、常に同じ測距センサ20を先頭とした送波順に沿って複数の測距センサ20から超音波を順次送信させる周期送波制御を繰り返し行っていた。そして、所定回数以上同じ測距センサ20で物体Bを検出した場合、該物体Bを検出物体として判定していた。このため、従来技術では、周期送波制御の各周期の最初以外のタイミングで超音波を送波する測距センサ20が物体Bを検出した場合、無駄な送波Xが発生し、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間が長くなる場合があった。また、従来技術として、赤外線カメラの画像により物体を検出した場合、判定回数を少なくすることで、物体検出時間の短縮を図る技術が開示されている。しかしながら、このような従来技術では、判定回数を変動させるため、誤判定が発生する場合があり、高精度に物体Bを検出物体として判定することが困難となる場合があった。
【0156】
一方、本実施形態の物体検出システム100では、送波制御部12Bは、車両1への電力供給が開始されたときに事前検出された物体Bを含む領域を検出範囲30とする測距センサ20を送波順の先頭とし、複数の測距センサ20の各々から該送波順に沿って超音波を順次送信させる周期送波制御Cを繰り返す。そして、判定部12Eは、複数の測距センサ20の何れか1つが物体Bを所定回数検出したときに、該物体Bを検出物体として判定する。
【0157】
すなわち、本実施形態の物体検出システム100では、事前検出によって物体Bの検出された検出範囲30を、周期送波制御Cにおいて他の測距センサ20の検出範囲30より先に優先的に検出することができる。よって、本実施形態の物体検出装置10は、物体Bを検出物体として判定するまでに要する時間の短縮を図ることができる。また、本実施形態の物体検出装置10は、所定回数検出した物体Bを検出物体と判定するため、誤判定を抑制し高精度に物体Bを検出物体として判定することができる。
【0158】
従って、本実施形態の物体検出システム100は、検出時間短縮および高精度な物体検出を実現することができる。
【0159】
また、本実施形態の物体検出システム100は、複数の測距センサ20から超音波を送波させる全送波制御Fによって、物体Bを事前検出する。このため、本実施形態の物体検出システム100は、事前検出および周期送波制御Cの双方を、測距センサ20の制御により実現することができる。よって、本実施形態では、複数種類のセンサを用いて事前検出および周期送波制御Cを行う場合に比べて、センサの搭載位置の調整や仕様変更などに対応可能な汎用性を有する物体検出システム100を提供することができる。また、本実施形態の物体検出システム100は、コスト削減を図ることができる。
【0160】
なお、本実施形態では、物体検出装置10は、車両1に搭載された形態を一例として説明した。しかし、物体検出装置10は、車両1の外部に搭載された構成であってもよい。物体検出装置10は、車両1に設けられた測距センサ20、撮影装置40、レーダー42、Gセンサ44、舵角センサ46、走行制御部48、メータコンピュータ52、および記憶部54などの各種の電子機器と通信可能に接続されていればよい。このため、物体検出装置10は、車両1の外部に設けられた情報処理装置に搭載された形態であってもよい。この場合、物体検出装置10の搭載された情報処理装置と、上記各種の電子機器とを、ネットワークなどを介して通信可能に構成すればよい。
【0161】
なお、上記には、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0162】
1 車両
10 物体検出装置
12B 送波制御部
12E 判定部
20 測距センサ
40 撮影装置
42 レーダー
100 物体検出システム
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13