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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】車両の下部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B62D25/20 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021076535
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170424
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】桶作 恭明
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-142613(JP,A)
【文献】特開2016-210335(JP,A)
【文献】特開2019-119312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの上面に設置され車幅方向へ延びるクロスメンバと、
前記フロアパネルの車幅方向外端側と接続され前後方向へ延びるサイドシルと、を備えた下部車体構造であって、
前記クロスメンバと前記サイドシルは、車幅方向に離間し、
前記クロスメンバと前記サイドシルの間に介在するガセットを設け、
前記クロスメンバは、前後一対の側壁と、各側壁を接続する上壁と、を有し、
前記ガセットは、
前記クロスメンバの前記側壁の車幅方向外端側に下端側が接続され、前記クロスメンバの前記側壁との接続部分から上方へ延びる前後一対の側壁と、
前記ガセットの前記各側壁の上端を接続し、前記クロスメンバの前記上壁よりも高い位置に配置される上壁と、
前記ガセットの前記上壁の車幅方向外端に形成され、前記ガセットの前記上壁から車幅方向外側へ突出し、前記サイドシルの上部と接続される突出部と、
前記ガセットの前記各側壁における車幅方向外端の上下方向所定位置から下端の車幅方向所定位置まで形成され、前記ガセットの前記各側壁から前後方向外側へ延び、前記サイドシルの側部及び前記クロスメンバの車幅方向外端側と接続される前後一対のフランジと、を有し、
前記ガセットは、前記ガセットの前記各側壁及び前記上壁の車幅方向内端並びに前記クロスメンバの前記上壁により形成される仮想の開口を閉塞する閉塞壁を有し、
前記フロアパネルとともに閉断面を形成し、略前後方向へ延びるフレームを備え、
前記ガセットの前記閉塞壁は、平面視にて、前記フレームの車幅方向外端側と重なる位置に配置される車両の下部車体構造。
【請求項2】
前記ガセットは、前記ガセットの前記上壁に形成されたシート取付部を有する請求項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
前記ガセットは、前記ガセットの前記各側壁の少なくとも一方に形成され、車幅方向について前記突出部の前記サイドシルとの接続部分と前記シート取付部と間に配置され、上下方向へ延びるビードを有する請求項に記載の車両の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの上面に設置されるクロスメンバと、フロアパネルの車幅方向端部と接続されるサイドシルと、を備えた車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の下部車体構造として、車体の床部をなすフロアパネルと、フロアパネルの上面に設置され車幅方向へ延びるクロスメンバと、フロアパネルの車幅方向端部と接続され前後方向へ延びるサイドシルと、を備えたものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の下部車体構造では、クロスメンバは、車幅方向外側に位置するシート取付けブラケットを介して、サイドシルに連結される。シート取付けブラケットは、車幅方向外側の縁端から車両上方へ延設したフランジを有し、フランジがサイドシルの側面部に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-14353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、衝突体が車両の側面に衝突する際、衝突体が電柱等の場合は衝突体が車体のサイドシルに直接接触し、サイドシル、クロスメンバ等で抗力を発生させることとなる。一方、衝突体が車両等の場合、衝突初期に衝突体が車体のサイドシルよりも高い位置に接触する。この場合、特許文献1に記載の下部車体構造では、シート取付けブラケットがサイドシルの側面部に接合されているため、サイドシルの上部を的確に支持することができない。この結果、衝突初期に、サイドシルが室内側へ比較的大きく移動してしまい、衝突体の侵入量を十分に抑制することができない。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、側面衝突時の衝突体の接触高さによらず、良好な側面衝突性能を確保することのできる下部車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、フロアパネルの上面に設置され車幅方向へ延びるクロスメンバと、前記フロアパネルの車幅方向外端側と接続され前後方向へ延びるサイドシルと、を備えた下部車体構造であって、前記クロスメンバと前記サイドシルは、車幅方向に離間し、前記クロスメンバと前記サイドシルの間に介在するガセットを設け、前記ガセットは、前記クロスメンバの車幅方向外端側に下端側が接続される前後一対の側壁と、前記各側壁の上端を接続する上壁と、前記上壁の車幅方向外端に形成され、前記上壁から車幅方向外側へ突出し、前記サイドシルの上部と接続される突出部と、前記各側壁における車幅方向外端の上下方向所定位置から下端の車幅方向所定位置まで形成され、前記各側壁から前後方向外側へ延び、前記サイドシルの側部及び前記クロスメンバの車幅方向外端側と接続される前後一対のフランジと、を有する車両の下部車体構造が提供される。
【0007】
この車両の下部車体構造によれば、クロスメンバとサイドシルはガセットを介して接続され、サイドシルの上部はガセットの突出部に接続され、サイドシルの側部はガセットのフランジに接続される。これにより、他の車両等の衝突体が車両の側面に衝突し、衝突体が車体のサイドシルよりも高い位置に接触した際に、サイドシルの上部をガセットにより支持することができ、サイドシルの室内側へ移動を抑制することができる。一方、電柱等の衝突体が車両の側面に衝突し、衝突体が車体のサイドシルと接触した際には、ガセットが車幅方向に潰れることで、必要な抗力を発生させることができる。
【0008】
また、上記車両の下部車体構造において、前記ガセットは、前記各側壁及び前記上壁の車幅方向内端並びに前記クロスメンバの上部により形成される仮想の開口を閉塞する閉塞壁を有してもよい。
【0009】
この車両の下部車体構造によれば、ガセットの各側壁及び上壁と、クロスメンバの上部とにより形成される仮想の開口が閉塞されるので、側面断面におけるガセットの変形が抑制され、ガセットの剛性及び強度を増大させることができる。
【0010】
また、上記車両の下部車体構造において、前記フロアパネルとともに閉断面を形成し、略前後方向へ延びるフレームを備え、前記ガセットの前記閉塞壁は、平面視にて、前記フレームの車幅方向外端側と重なる位置に配置されてもよい。
【0011】
この車両の下部車体構造によれば、車両の側面衝突に際し、フレームは比較的強固に形成されていることから、他の部分と比べて潰れにくく、車体におけるフレームよりも車幅方向外側の部分が潰れやすい。従って、ガセットの車幅方向内端に位置する閉塞壁をフレームの車幅方向外端側と重なるよう配置することで、ガセット全体が側面衝突時に潰れやすい領域に位置することとなり、ガセットによるエネルギ吸収を効率良く行うことができる。
【0012】
また、上記車両の下部車体構造において、前記ガセットは、前記上壁に形成されたシート取付部を有してもよい。
【0013】
この車両の下部車体構造によれば、ガセットをシートの取り付けに利用することができる。
【0014】
また、上記車両の下部車体構造において、前記ガセットは、前記各側壁の少なくとも一方に形成され、車幅方向について前記突出部の前記サイドシルとの接続部分と前記シート取付部と間に配置され、上下方向へ延びるビードを有してもよい。
【0015】
この車両の下部車体構造によれば、車両の側面衝突に際し、ガセットをビードを起点として潰れさせることができる。これにより、側面衝突時のガセットの変形モード及び抗力を的確に設定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両の下部車体構造によれば、側面衝突時の衝突体の接触高さによらず、良好な側面衝突性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示す車両の側面図である。
図2】車両の下部車体構造の斜視説明図である。
図3】ガセットを取り外した状態の下部車体構造の平面説明図である。
図4】シートレールを取り外した状態の下部車体構造の平面説明図である。
図5】シートレールを取り外した状態の下部車体構造の斜視説明図である。
図6】下部車体構造の正面断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図6は本発明の一実施形態を示すものであり、図1は本発明の一実施形態を示す車両の側面図、図2は車両の下部車体構造の斜視説明図、図3はガセットを取り外した状態の下部車体構造の平面説明図、図4はシートレールを取り外した状態の下部車体構造の平面説明図、図5はシートレールを取り外した状態の下部車体構造の斜視説明図、図6は下部車体構造の正面断面説明図である。
【0019】
図1に示すように、この車両1は、車室空間にシート2が配置される。シート2は、シートレール3(図2参照)に固定され、シートレール3により前後方向へ案内される。
【0020】
図2に示すように、この車両1の車体構造は、車体の床部をなすフロアパネル4と、フロアパネル4の上面に設置され車幅方向へ延びる複数のクロスメンバ5,6と、フロアパネル4の下面に設置され略前後方向へ延びるフレーム7(図6参照)と、フロアパネル4の車幅方向端部と接続され前後方向へ延びるサイドシル8と、を備えている。本実施形態においては、フレーム7は、後方へ向かって車幅方向外側へ傾斜して延びている。また、本実施形態においては、第1クロスメンバ5と第2クロスメンバ6の2つのクロスメンバが、前後に間隔をおいて設けられる。フロアパネル4は、車幅方向中央側に上方へ凸に形成され、前後方向へ延びるトンネル4aを有する。各クロスメンバ5,6は、車幅方向内端がトンネル41に接続される。本実施形態においては、フロアパネル4、各クロスメンバ5,6、フレーム7及びサイドシル8は、鋼板からなる。
【0021】
第1クロスメンバ5及び第2クロスメンバ6は、側面断面にて、上方に凸の略ハット状に形成され、フロアパネル4とともに閉断面を形成する。本実施形態においては、第1クロスメンバ5の車幅方向外端がサイドシル8に接続される一方で、図3に示すように、第2クロスメンバ6はサイドシル8と車幅方向に離間しサイドシル8に接続されていない。図4に示すように、この車両1の車体構造では、第2クロスメンバ6とサイドシル8の間に介在するガセット10が設けられる。図5に示すように、ガセット10は、第2クロスメンバ6よりも上端が高く形成され、図2に示すように、車幅方向外側のシートレール3の後端側が取り付けられる。車幅方向内側のシートレール3の後端側は、第2クロスメンバ6の車幅方向内側に設けられるブラケット20に取り付けられる。
【0022】
図5に示すように、ガセット10は、下端側が第2クロスメンバ6の車幅方向外端側に接続される前後一対の側壁11と、各側壁11の上端を接続する上壁12と、上壁12の車幅方向外端に形成されサイドシル8と接続される突出部13と、各側壁11における車幅方向外端の上下方向所定位置から下端の車幅方向所定位置まで形成されサイドシル8及び第2クロスメンバ6と接続される前後一対のフランジ14と、を有している。第2クロスメンバ6は、前後一対の側壁6aと、各側壁6aを接続する上壁6bと、各側壁6aの下端から前後方向外側へ延びる前後一対のフランジ6cと、を有している。ガセット10の各側壁11は、下端側が第2クロスメンバ6の各側壁6aに接続され、第2クロスメンバ6の各側壁6aとの接続部分から上方へ延びる。ガセット10の上壁12は、第2クロスメンバ6の上壁6bよりも高い位置に配置される。ガセット10の上壁12には、シートレール3用のシート取付部12aが形成され、ガセット10がシート2の取り付けに利用される。本実施形態においては、シート取付部12aは、上壁12の車幅方向内端寄りに形成される。
【0023】
また、ガセット10は、各側壁11及び上壁12の車幅方向内端並びにクロスメンバ6の上壁6bにより形成される仮想の開口を閉塞する閉塞壁15を有する。これにより、側面断面におけるガセット10の変形が抑制され、ガセット10の剛性及び強度を増大させることができる。閉塞壁15は、車幅方向内側へ延び第2クロスメンバ6の上壁6bと接合されるフランジ15aを下端に有する。図6に示すように、閉塞壁15は、平面視にて、フレーム7の車幅方向外端側と重なる位置に配置されている。フレーム7は、左右一対の側壁7aと、各側壁7aを接続する下壁7bと、各側壁7aの下端から左右方向外側へ延びる前後一対のフランジ7cと、を有している。本実施形態においては、閉塞壁15は、平面視にて、フレーム7の車幅方向外側のフランジ7cと重なるよう配置される。
【0024】
また、第2クロスメンバ6の上壁6bの前後方向中央側には、フレーム7の車幅方向内側の側壁7aに対応して、フレーム7の延在方向へ延びるビード6dが形成される。ビード6dの車幅方向外端は、平面視にて、フレーム7の車幅方向内側のフランジ7cと重なるよう配置される。本実施形態においては、ビード6dは、第2クロスメンバ6の上壁6bに、下方へ凹んで形成されている。
【0025】
また、本実施形態においては、第2クロスメンバ6とフロアパネル4で形成される閉断面に、補強部材61が設けられる。補強部材61は、前後一対の側壁61aと、各側壁61aを接続する上壁61bと、を有し、補強部材61の各側壁61aは第2クロスメンバ6の各側壁6aに、補強部材61の上壁61bは第2クロスメンバ6の上壁6bにそれぞれ接合される。補強部材61は、上壁61bの車幅方向内端61cがフレーム7の車幅方向内側の側壁7aに対応して形成され、上壁61bの車幅方向外端61dが後述するガセット10の各ビード16に対応して形成される。上壁61bの車幅方向内端61cは、フレーム7の延在方向へ延び、上壁61bの車幅方向外端61dは、前後方向へ延びる。上壁61bの車幅方向内端61cは、平面視にて、フレーム7の車幅方向内側のフランジ7cと重なるよう配置される。また、上壁61bの車幅方向内端61dは、フレーム7の車幅方向外側のフランジ7cより外側に配置される。
【0026】
ガセット10の突出部13は、上壁12から車幅方向外側へ突出し、サイドシル8の上部に接合される。サイドシル8は、車幅方向内側の内壁8aと、車幅方向外側の外壁(図示せず)と、内壁8a及び外壁の上端を接続する上壁8bと、内壁8a及び外壁の下端を接続する下壁(図示せず)と、を有する。本実施形態においては、突出部13は、サイドシル8の上壁8bに接合される。また、ガセット10の上壁12は、サイドシル8の上壁8bより低い位置に配置されている。本実施形態においては、突出部13は、上壁12の車幅方向外端から車幅方向外側へ傾斜して上方へ延びる上方延在部13aと、上方延在部13aの上端から車幅方向外側へ延びサイドシル8の上壁8aと接合される接合部13bと、を有している。
【0027】
ガセット10の各フランジ14は、各側壁11から前後方向外側へ延び、サイドシル8の内壁8a及び第2クロスメンバ6の各フランジ6cに接合される。各フランジ14は、車幅方向外端側から、サイドシル接合部14a、中間部14b、クロスメンバ接合部14cをこの順で有している。サイドシル接合部14aは、サイドシル8の内壁8aに沿って形成され、内壁8aとスポット溶接により接合される。
【0028】
図5に示すように、第2クロスメンバ6の各フランジ6cは、車幅方向外端側がフロアパネル4から離隔している。具体的に、第2クロスメンバ6の各フランジ6cの車幅方向外端側は、正面視にて、車幅方向外側へ向かって、斜め下側に凸となるよう上方へ湾曲して延びている。ガセット10の各フランジ14のクロスメンバ接合部14cは、第2クロスメンバ6の各フランジ6cに沿って形成され、第2クロスメンバ6の各フランジ6cとスポット溶接により接合される。ガセット10の各フランジ14の中間部14bは、サイドシル接合部14a及びクロスメンバ接合部14cと連続的に形成され、これらを滑らかに接続する。本実施形態においては、ガセット10の各フランジ14は、曲面状に形成され、各側壁11の車幅方向外端の最上部から、各側壁11の下端における第2クロスメンバ6の各フランジ6cのフロアパネル4からの離隔位置に対応する位置まで形成される。
【0029】
また、ガセット10は、各側壁11に形成され、上下方向へ延びるビード16を有する。各ビード16は、車幅方向について、突出部13のサイドシル8との接合部13aと、上壁12のシート取付部12aとの間に配置される。本実施形態においては、各ビード16は、補強部材61の車幅方向外端61dの車幅方向外側に前後一対に配置される。
【0030】
以上のように構成された車体構造によれば、他の車両等の衝突体が車両の側面に衝突し、衝突体が車体のサイドシルよりも高い位置に接触した際に、サイドシル8の上部をガセット10により支持することができ、サイドシル8の室内側へ移動を抑制することができる。
【0031】
一方、電柱等の衝突体が車両の側面に衝突し、衝突体が車体のサイドシル8と接触した際には、ガセット10が車幅方向に潰れることで、必要な抗力を発生させることができる。本実施形態においては、ガセット10を各ビード16を起点として潰れさせることができる。これにより、側面衝突時のガセット10の変形モード及び抗力を的確に設定することができる。
【0032】
このとき、フレーム7は比較的強固に形成されていることから、他の部分と比べて潰れにくく、車体におけるフレーム7よりも車幅方向外側の部分が潰れやすい。従って、ガセット10の車幅方向内端に位置する閉塞壁15をフレーム7の車幅方向外端側と重なるよう配置することで、ガセット10全体が側面衝突時に潰れやすい領域に位置することとなり、ガセット10によるエネルギ吸収を効率良く行うことができる。また、第2クロスメンバ6は、補強部材61の車幅方向内端6cの位置で折り曲げられ、変形し難いフレーム7を避けて第2クロスメンバ6を折り曲げることができる。本実施形態においては、第2クロスメンバ6の上壁6bのビード6dも、フレーム7の車幅方向内側の側壁7aに対応して形成されており、第2クロスメンバ6の折り曲げモードを的確に制御することができる。これにより、側面衝突時に、第2クロスメンバ6によるエネルギ吸収を効率良く行うことができる。
【0033】
尚、前記実施形態においては、ガセット10にシートレール3が固定されるものを示したが、ガセット10はシート2と独立して設けられていてもよい。また、ガセット10の閉塞壁15がフレーム7の車幅方向外端側と重なるものを示したが、閉塞壁15の車幅方向位置は任意に変更することができ、さらには、閉塞壁15を設けない構成としてもよい。
【0034】
また、前記実施形態においては、第2クロスメンバ6の各フランジ6cが車幅方向外端側でフロアパネル4から離隔するものを示したが、第2クロスメンバ6の形状は任意であり、必ずしも車幅方向外端側が離隔している必要はない。第2クロスメンバ6がいかなる形状であっても、ガセット10の各フランジ14が第2クロスメンバ6とサイドシル8に接続されていればよい。
【0035】
また、前記実施形態においては、サイドシル8に接合されるガセット10の突出部13の接合部13bが、上方延在部13aを介して形成されたものを示したが、必ずしも上方延在部13aを介している必要はない。突出部13は、サイドシル8の上部に接続されていればよく、ガセット10の上壁12とサイドシル8上部の相対的な高さ等に応じて、形状等を適宜変更することができる。
【0036】
また、前記実施形態においては、ガセット10の両方の側壁11にビード16がそれぞれ形成されるものを示したが、一方の側壁11にのみビード16が形成されていてもよい。また、車幅方向に間隔をおいて各側壁にビード16を複数形成してもよいし、ビード16を省いた構成とすることもできる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0038】
4 フロアパネル
6 第2クロスメンバ
7 フレーム
8 サイドシル
10 ガセット
11 側壁
12 上壁
12a シート取付部
13 突出部
14 フランジ
15 閉塞壁
16 ビード
図1
図2
図3
図4
図5
図6