(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】合成樹脂表皮材及び合成樹脂表皮材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20250214BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250214BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20250214BHJP
D06N 3/00 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
B29C59/02 Z
B32B27/00 E
B29C59/04 Z
D06N3/00
(21)【出願番号】P 2021010567
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390023009
【氏名又は名称】共和レザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 智昭
(72)【発明者】
【氏名】木全 由理子
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104217(JP,A)
【文献】特開2012-127010(JP,A)
【文献】特開2018-199264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/02
B32B 27/00
B29C 59/04
D06N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂を含有する表皮層を含む合成樹脂表皮材であって、前記合成樹脂表皮材の表面に凹凸パターンが形成されており、前記表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点とを含む断面における前記表面の凹凸形状が、下記条件(1)~(3)を全て満た
し、前記凹凸を有する前記表面の三次元表面粗さが1.637μm以下である合成樹脂表皮材。
(1)凸部が、頂部と前記頂部から隣接する凹部の底部に向けて傾斜した傾斜部とを有し、前記頂部に接触し、かつ前記表皮材の厚さ方向に垂直な方向の直線と前記傾斜部に沿った直線とが交差して成す2つの角度のうち前記凸部が含まれる側の角度が160°~178°である。
(2)前記凹部の前記表皮材の厚さ方向に垂直な方向の開口長さが2mm~13mmである。
(3)前記凹部の深さが0.1mm~0.4mmである。
【請求項2】
前記合成樹脂表皮材の長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方において、前記凹凸が一定のパターンで繰り返し配列されている請求項1に記載の合成樹脂表皮材。
【請求項3】
前記合成樹脂表皮材の長さ方向及び幅方向の両方において、前記凹凸がそれぞれ一定のパターンで繰り返し配列されている請求項2に記載の合成樹脂表皮材。
【請求項4】
前記合成樹脂表皮材の全面にわたり、前記凹凸が幾何学模様を呈するように配置されている請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の合成樹脂表皮材。
【請求項5】
請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の合成樹脂表皮材を製造する方法であって、 前記表皮層を形成するための合成樹脂層を含む合成樹脂シートを準備する工程と、
前記合成樹脂層に対し、エンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行うことにより、前記合成樹脂シートの表面に前記条件(1)~(3)を全て満た
し、前記凹凸を有する前記表面の三次元表面粗さが1.637μm以下である凹凸パターンを形成する工程と、
を含む、合成樹脂表皮材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合成樹脂表皮材及び合成樹脂表皮材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インストルメントパネル、ドアトリム、座席、天井などの自動車内装部品、トリム、座席、天井などの鉄道車輌及び航空機内装部品、家具、靴、履物、鞄、建装用内外装部材、衣類表装材及び裏地、壁装材などには、天然皮革や繊維製シートに代えて、耐久性に優れる合成樹脂表皮材(本開示において単に「表皮材」と称する場合がある。)が多用されている。
合成樹脂表皮材として、例えば特許文献1では、基材を前処理して10g/cm~300g/cmの剥離強度を持たせ、その上面に通常の方法で湿式銀層を形成し、後加工処理の後、上記基材を剥離して湿式銀層製品を製造し、次いで上記の湿式銀層製品の基材が剥離された面へ、接着剤でコーティングさせるか又は基布地へ接着剤のコーティングを施し、上記の基布地を接合させた合成皮革が開示されている。
このような合成皮革(合成樹脂表皮材)は、一般的に最表面に天然皮革に類似した凹凸、即ち、絞(シボ)模様を有しており、この絞模様が外観を大きく特徴付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
合成樹脂表皮材の表面に汚れが付着すると、表面の凹凸形状によっては汚れをきれいに拭き取ることは困難である。
また、現在では価値観が多様化しており、従来とは違った新しい外観を有する表皮材の開発が求められている。
【0005】
本開示は、上記のような状況に鑑み、汚れ拭き取り性に優れるとともに、従来の表皮材とは異質な外観による意匠性を発揮し得る合成樹脂表皮材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段は以下の実施形態を含む。
<1> 合成樹脂を含有する表皮層を含む合成樹脂表皮材であって、前記合成樹脂表皮材の表面に凹凸パターンが形成されており、前記表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点とを含む断面における前記表面の凹凸形状が、下記条件(1)~(3)を全て満たす合成樹脂表皮材。
(1)凸部が、頂部と前記頂部から隣接する凹部の底部に向けて傾斜した傾斜部とを有し、前記頂部に接触し、かつ前記表皮材の厚さ方向に垂直な方向の直線と前記傾斜部に沿った直線とが交差して成す2つの角度のうち前記凸部が含まれる側の角度が160°~178°である。
(2)前記凹部の前記表皮材の厚さ方向に垂直な方向の開口長さが2mm~13mmである。
(3)前記凹部の深さが0.1mm~0.4mmである。
<2> 前記合成樹脂表皮材の長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方において、前記凹凸が一定のパターンで繰り返し配列されている<1>に記載の合成樹脂表皮材。
<3> 前記合成樹脂表皮材の長さ方向及び幅方向の両方において、前記凹凸がそれぞれ一定のパターンで繰り返し配列されている<2>に記載の合成樹脂表皮材。
<4> 前記合成樹脂表皮材の全面にわたり、前記凹凸が幾何学模様を呈するように配置されている<1>~<3>のいずれか1つに記載の合成樹脂表皮材。
<5> 前記合成樹脂表皮材の前記凹凸を有する前記表面の三次元表面粗さが1.637μm以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の合成樹脂表皮材。
<6> <1>~<5>のいずれか1つに記載の合成樹脂表皮材を製造する方法であって、 前記表皮層を形成するための合成樹脂層を含む合成樹脂シートを準備する工程と、
前記合成樹脂層に対し、エンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行うことにより、前記合成樹脂シートの表面に前記条件(1)~(3)を全て満たす凹凸パターンを形成する工程と、
を含む、合成樹脂表皮材の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、汚れ拭き取り性に優れるとともに、従来の表皮材とは異質な外観による意匠性を発揮し得る合成樹脂表皮材及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例1)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状を示している。
【
図2】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例3)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図3】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例5)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図4】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例7)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図5】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例9)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図6】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例11)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図7】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例13)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図8】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例15)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図9】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例17)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図10】本開示に係る合成樹脂表皮材の一例(実施例19)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図11】従来の合成樹脂表皮材の一例(比較例1)について、(A)凹凸が形成された表面、(B)測定位置における断面形状、(C)断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状をそれぞれ示す図である。
【
図12】本開示に係る合成樹脂表皮材の凹凸差が最大となる断面における表面の凹凸形状の一例を示している。
【
図13】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凹凸形状の一例を示している。
【
図14】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凸部形状の一例を示している。
【
図15】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凸部形状の一例を示している。
【
図16】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凸部形状の一例を示している。
【
図17】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凹凸形状の一例を示している。
【
図18】本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凹凸形状の一例を示している。
【
図19】本開示に係る合成樹脂表皮材の層構成の一例を示している。
【
図20】本開示に係る合成樹脂表皮材の層構成の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る合成樹脂表皮材及びその製造方法について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示は以下の実施態様に限定されない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値は他の段階的な記載の数値範囲の上限値に、又は一つの数値範囲で記載された下限値は他の段階的な記載の数値範囲の下限値に置き換えてもよい。
また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示では、塩化ビニル樹脂をPVCと称することがある。
【0010】
本開示における発明者らは、表皮材の表面に凹凸を形成して凹凸によって模様を形成した場合、従来の表皮材とは異質な外観を呈することができる一方、表面に付着した汚れを布で拭き取る場合、凹凸形状によって汚れが落ちにくい場合と汚れが落ちやすい場合があることが分かった。そこで、凸部の形状、凹部の大きさ、凹凸パターンなどを精査したところ、表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点とを含む断面における凸部の傾斜角度、凹部の開口長さ、及び凹部の深さが、汚れの除去のし易さに大きく影響しており、凹凸形状が特定の条件を満たすことで、表面に付着した汚れが拭き取りによって除去し易くなるとともに、従来の表皮材とは異質な外観を呈し、意匠性を発揮することを見出した。
【0011】
<合成樹脂表皮材>
本開示に係る合成樹脂表皮材は、合成樹脂を含有する表皮層を含み、表皮材の表面に凹凸パターンが形成されている。そして、凹凸パターンが形成されている表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点とを含む断面(本開示において「凹凸差が最大となる断面」と称する場合がある。)における表面の凹凸形状が、下記条件(1)~(3)を全て満たしている。
(1)凸部が、頂部と頂部から隣接する凹部の底部に向けて傾斜した傾斜部とを有し、頂部に接触し、かつ表皮材の厚さ方向に垂直な方向の直線と傾斜部に沿った直線とが交差して成す2つの角度のうち凸部が含まれる側の角度(本開示において「凸部の傾斜角度」と称する場合がある。)が160°~178°である。
(2)凹部の表皮材の厚さ方向に垂直な方向の開口長さ(本開示において「凹部の開口長さ」と称する場合がある。)が2mm~13mmである。
(3)凹部の深さが0.1mm~0.4mmである。
表皮材の表面に形成されている凹凸が、上記の条件(1)~(3)を全て満たすことで、汚れの拭き取り性に優れるとともに、従来の表皮材とは異質な外観を呈する意匠性を発揮することができる。
以下、添付した図面を適宜参照しながら本開示に係る表皮材について具体的に説明する。なお、説明の便宜上、各図面における形状、寸法、角度などは適宜誇張して示している。また、表皮材の厚さ方向に垂直な方向を「水平方向」と称する場合がある。
【0012】
図12は、本開示に係る合成樹脂表皮材の凹凸差が最大となる断面における表面の凹凸形状の一例を示している。
図12に示されるように、表皮材10の表面には、水平方向(D方向)に沿って山型の凸部12が一定の間隔で形成されている。各凸部12は、頂部を通る厚さ方向(D方向に垂直な方向)の直線Pに対して左右対称となる形状を有しており、凹凸形状は下記(1)~(3)の条件を満たしている。
【0013】
(1)凸部12の頂部に接触する水平方向の直線Hと、凸部12の傾斜部に沿った直線Lとが交差して成す2つの角度α、βのうち凸部12が含まれる側の角度αが160°~178°の範囲にある。角度αが160°以上であることで凸部12の傾斜部の角度が緩やかであり、汚れが凹部14に入り込んでも除去されやすい。一方、角度αが178°以下であることで、表皮材10の表面を平面視した場合に凹凸パターンによる意匠性を発揮することができる。かかる観点から、角度αは165°~175°であることが好ましい。
【0014】
(2)凹部14の開口長さXが2mm~13mmの範囲にある。本開示における凹部14の開口長さXとは、凹部14に隣接する2つの凸部12の頂部間の水平方向における距離を意味する。なお、
図12では、凹部14に隣接する2つの凸部12の頂部の高さ(厚み)は同じであるが、凹部両側の凸部の頂部の高さが異なる場合も頂部間の水平方向の距離が凹部の開口長さXである。凹部14の開口長さXが2mm以上であることで、汚れが凹部14に入り込んでも目詰まりし難く、除去されやすい。一方、凹部14の開口長さXが13mm以下であることで、表皮材10の表面を平面視した場合に凹凸パターンによる意匠性を発揮することができる。かかる観点から、凹部14の開口長さXは3mm~10mmであることが好ましい。
【0015】
(3)凹部14の深さYが0.1mm~0.4mmの範囲にある。凹部14の深さYは、凹部14に隣接する2つの凸部12の頂部から凹部14の底部までの厚さ方向の距離を意味する。なお、
図12では、凹部14に隣接する2つの凸部12の頂部の高さ(厚み)は同じであるが、凹部両側の凸部の頂部の高さが異なる場合は、高い(厚い)方の頂部から凹部の底部までの厚さ方向の距離を凹部の深さYとする。凹部14の深さYが0.1mm以上であることで、表皮材10の表面を平面視した場合に凹凸パターンによる意匠性を発揮することができる。一方、凹部14の深さYが0.4mm以下であることで、汚れが凹部14に入り込んでも目詰まりし難く、除去され易い。かかる観点から、凹部14の深さYは0.2mm~0.3mmであることが好ましい。
【0016】
表皮材10の表面の凹凸形状の測定箇所は、平面図において、凹凸差が最も大きい2つの地点(表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点)の最短距離を結ぶように直線を引き、その直線に沿った断面における上記2地点間である。すなわち、凹凸差が最大となる2地点間に存在する凹凸形状について測定する。具体的には3Dスキャナーにより測定することができる。
【0017】
本開示に係る表皮材の表面における凹凸パターンは特に限定されないが、表皮材の長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方において、凹凸が一定のパターンで繰り返し配列されていることが好ましく、長さ方向及び幅方向の両方において、凹凸がそれぞれ一定のパターンで繰り返し配列されてもよい。表皮材の長さ方向及び幅方向の一方又は両方に凹凸パターンが配列されていることで、凹凸パターンにより規則的な模様を呈することができ、意匠性を高めることができる。なお、本開示における「凹凸パターン」とは、表皮材の長さ方向及び幅方向の一方又は両方に規則的に凹凸が形成されている場合に限定されず、凹凸によって意匠性を有する模様を呈する凹凸の配置を意味する。
【0018】
また、本開示に係る表皮材は、凹凸差が最大となる断面だけでなく、面内の他の方向の断面においても、表面の凹凸形状が前述した条件(1)~(3)を満たしてもよい。合成樹脂表皮材の全面にわたって、断面における凹凸形状が条件(1)~(3)を満たす凹凸パターンが形成されていることで、汚れ拭き取り性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、表皮材の表面における凹凸は、平面視において、全面にわたり幾何学模様を呈するように配置されていることが好ましい。表皮材の表面の凹凸によって形成される幾何学模様として、三角形、四角形、六角形などの多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、拡大、縮小、分割などの操作を加えながら連続して組み合わせ配列を展開して作られた模様でもよいし、周期関数で表すことができる幾何曲線によって生成される模様でもよい。
【0020】
本開示に係る表皮材の表面の凹凸パターンによる模様として、例えば、実施例として後述する
図1~
図10に示す模様が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本開示に係る表皮材の凹凸が形成された表面は、汚れ拭き取り性の観点から、三次元表面粗さが1.637μm以下であることが好ましく、1.500μm以下がより好ましい。三次元表面粗さ(Sa)は、縦10mm、横10mmの表皮材を用い、表皮材の表面側の少なくとも4方向の二次元粗さを、計測ピッチ20μm間隔で測定し、下記式(1)により算術平均粗さを求めたものである。
【0022】
【0023】
但し、上記式(1)において、Z(x,y)は、平均面をXY面、垂直方向(厚さ方向)をZ軸として測定した表面形状曲線Zを示し、dx及びdyは、それぞれx方向測定長及びy方向測定長を、Aは測定面積を示す。
【0024】
三次元表面粗さ(Sa)は、具体的には、接触式三次元表面粗さ計(小坂研究所株式会社製、“サーフコーダーSE-30K”)を用いて測定し、三次元表面形状解析ソフト(三谷商事株式会社製、“サーフトップアイ”)により解析し、上記式(1)により求める。
【0025】
次に、本開示に係る合成樹脂表皮材の凹凸形状の他の例について説明する。
図13~
図18は、それぞれ本開示に係る合成樹脂表皮材において凹凸差が最大となる断面における凹凸形状の一例を示している。なお、いずれの例においても、凹凸形状は条件(1)~(3)を全て満たし、各条件の好ましい範囲は、
図12に示す表皮材10について前記した好ましい範囲と同様である。また、表皮材の長さ方向及び幅方向における配列、凹凸パターンによって形成される幾何学模様、及び表面の三次元表面粗さについても
図12に示す表皮材と同様である。
【0026】
図13に示す表皮材20は、凸部22の頂部が平坦な形状であり、凹部24の底部も平坦な形状となっている。
図13に示す表皮材20では、隣接する凸部22の水平方向における頂部間の距離が、凹部14の開口長さXである。
【0027】
図14は、傾斜部の角度が段階的に変化した形状を有する凸部32を示している。このような形状を有する凸部32では、凸部32の傾斜部を構成する複数の線分のうち頂部に最も近い線分を延長した直線を凸部32の傾斜部に沿った直線Lとして角度αを規定する。
【0028】
図15は、傾斜部が湾曲した形状を有する凸部42を示している。このような形状を有する凸部42では、傾斜部の両端を通る直線に平行であり、凸部42の傾斜部と接する直線を傾斜部に沿った直線Lとして角度αを規定する。
なお、凸部の形状が、後述する実施例における
図2の(C)及び
図10の(C)に誇張して示されるように、頂部近辺のみ湾曲している形状の場合は、頂部近辺を除いた直線状の部分を延長した直線を、傾斜部に沿った直線Lとして角度αを規定する。
【0029】
図16は、凸部52が左右非対称の形状を有する凹凸形状を示している。各凸部52は高さが異なる2つの頂部P1、P2を有しており、凸部52の傾斜角度αは高い(厚い)方の頂部P1が条件(1)を満たすようにする。すなわち、凸部52の頂部P1に接触する水平方向の直線Hと紙面に向かって右側の傾斜部に沿った直線L1との成す角度はα1であり、直線Hと紙面に向かって左側の傾斜部に沿った直線L2との成す角度はα2である。これらの角度α1,α2がいずれも160°~178°の範囲にある。
一方、凹部54の開口長さXは、隣接する凸部52の頂部P1、P2間の水平方向の距離である。
なお、本開示において凸部の「頂部」は、凹凸パターンによって意図した模様の形成に寄与する部分であり、例えば後述する
図6に見られるように、凸部から凹部にかけて傾斜が緩やかになっている部分は頂部ではなく、傾斜部の一部とみなしてよい。
【0030】
図17に示す凹凸形状は、凸部62が左右非対称の形状を有し、また、凹部64における底部の深さが水平方向に異なった形状を有している。このような形状の凸部62を有する表皮材60の場合、凸部62の頂部に接触する水平方向の直線Hと紙面に向かって右側の傾斜部に沿った直線L1との成す角度α1と、直線Hと紙面に向かって左側の傾斜部に沿った直線L2との成す角度はα2がいずれも160°~178°の範囲にある。
また、凸部62の頂部から凹部64の最も深い位置までの厚さ方向(垂直方向)の距離を凹部64の深さY1、Y2とし、Y1、Y2はいずれも0.1mm~0.4mmの範囲にある。また、各凹部64の開口長さX1、X2はいずれも2mm~13mmである。
【0031】
図18は、断面形状が異なる2種類の凸部72A,72Bが水平方向に交互に形成されている凹凸パターンの一例を示している。紙面に向かって右側の凸部72Bのさらに右側には、左側の凸部72Aと同様の凸部(不図示)が形成されている。このような凹凸形状の場合、以下の条件を全て満たしている。
【0032】
(凸部72A及び凹部74A)
紙面に向かって左側の凸部72Aは、頂部に接触する水平方向(D方向)の直線H1と右側傾斜部に沿った直線L1との成す角度α1が160°~178°の範囲にある。
また、凹部74Aの開口長さX1が2mm~13mmの範囲にある。
さらに、凹部74Aの深さY1が0.1mm~0.4mmの範囲にある。
【0033】
(凸部72B及び凹部74B)
紙面に向かって右側の凸部72Bは、頂部に接触する水平方向(D方向)の直線H2と凸部72Bの左側傾斜部に沿った直線L2と角度α2を成し、直線H2と凸部72Bの右側傾斜部に沿った直線L3とが角度α3を成している。α2及びα3はいずれも160°~178°の範囲にある。
また、凹部74Bの開口長さX2が2mm~13mmの範囲にある。
さらに、凹部74Bの深さY2が0.1mm~0.4mmの範囲にある。
【0034】
次に、本開示に係る表皮材の層構成、構成材料などについて説明する。
本開示に係る表皮材は、人工皮革、合成皮革、PVCレザーなどである。
本開示に係る表皮材は、合成樹脂を含有する表皮層を含むものであり、表皮材の表面に形成されている凹凸パターンが、前述した(1)~(3)の条件を全て満たしていればよく、層構成は特に限定されない。本開示に係る表皮材は、表皮層のみからなる単層品でもよいし、表皮層と1層又は2層以上の他の層とを積層した多層品でもよい。多層品の場合は、例えば基布と表皮層を含む層構成を有する。
【0035】
本開示に係る表皮材は、公知の表皮材と同様の材料を用いることができる。
例えば。表皮層は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂などを含んで構成される。表皮材を構成する樹脂は表皮材の用途などに応じて選択することができ、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤などを含んでもよい。
基布は、編物、織物、不織布などから構成される。
【0036】
本開示に係る表皮材を多層構造とする場合、表皮層と基布以外の他の層を含んでもよい。
図19は、本開示に係る表皮材の層構成の一例を示している。表皮材100は、基布130と表皮層110とが、接着層120を介して積層されている。表皮層110の表面には前述した(1)~(3)の条件を全て満たす凹凸114,112が形成されている。
【0037】
図20は、本開示に係る表皮材の層構成の他の例を示している。表皮材200は、
図19に示す表皮材100の表皮層110と接着層120との間にさらに発泡層140が配置されている。発泡層140は、例えば、PVCなどの合成樹脂を発泡剤で発泡させて多孔質構造を有する層とすることができる。発泡層140を含むことで弾力性の高い表皮材200とすることができる。
【0038】
なお、本開示に係る表皮材は、表皮層110の凹凸が形成されている表面に他の層を備えてもよい。例えば、良好な感触の付与などを目的とした表面処理層などが挙げられる。なお、表皮層110の表面に他の層が形成されている場合でも、表皮材の表面における凹凸パターンは、前述した条件(1)~(3)を全て満たすようにする。
【0039】
本開示に係る表皮材の厚みは特に限定されないが、表皮材の強度、取扱い性などの観点から0.45mm~1.8mmが好ましく、0.9mm~1.2mmがより好ましい。
【0040】
(表皮材の製造方法)
本開示に係る合成樹脂表皮材の製造方法は特に限定されないが、凹凸パターンが形成される前の表皮材の表面にエンボスロールまたはエンボス板を用いてエンボス加工を行うことにより、条件(1)~(3)を満たす凹凸を形成することが好ましい。すなわち、本開示に係る表皮材の製造方法は、本開示における表皮層を形成するための合成樹脂層を含む合成樹脂シートを準備する工程と、前記合成樹脂層に対し、エンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行うことにより、前記合成樹脂シートの表面に前記条件(1)~(3)を全て満たす凹凸パターンを形成する工程と、を含む。
【0041】
表皮層を形成するための合成樹脂層を含む合成樹脂シートとしては、合成樹脂層のみの単層シート、合成樹脂層と基布などを積層した積層シートなどが挙げられる。なお、合成樹脂層は、合成樹脂のほか、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤などが配合されていてもよい。
次いで、準備した合成樹脂シートの合成樹脂層に対し、エンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行うことにより、合成樹脂シートの表面に凹凸パターンを形成する。
【0042】
例えば、
図19に示す層構成を有する表皮材100を製造する場合は、合成樹脂等を含む表皮層形成用組成物を、ナイフコーターで離型紙表面に塗工し、離型紙表面に表皮層形成用組成物層を形成する。表皮層形成用組成物層に接着剤を介して基布を貼り合せて、基布、接着層、表皮層の積層体を作製する。積層体から離型紙を剥離し、表皮層に対して、所定の凹凸パターンを有するエンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行う。これにより表面に条件(1)~(3)を満たす凹凸パターンが形成された表皮材100を製造することができる。
【0043】
また、
図20に示す層構成を有する表皮材200を製造する場合は、カレンダー装置などによって、合成樹脂等を含む表皮層と、合成樹脂、発泡剤等を含む発泡層形成用組成物層との積層体を形成し、発泡層形成用組成物層に接着剤を介して基布を貼り合せる。次いで、加熱によって発泡剤を発泡させる。次いで、表皮層に対して、所定の凹凸パターンを有するエンボスロール又はエンボス板を用いてエンボス加工を行う。これにより表面に条件(1)~(3)を満たす凹凸パターンが形成された表皮材200を製造することができる。
【0044】
また、表皮材の凹凸が形成された表面の三次元表面粗さを1.637μm以下にする方法としては、例えば表面に毛穴調、繊維調、ヘアライン調などの微細な凹凸を形成しないことが挙げられる。
【0045】
なお、本開示に係る表皮材の製造方法は、他の工程を含んでもよい。他の工程は、公知の工程を適用することができる。例えば、エンボス加工を行った後の表皮材を所定の形状に裁断する工程が挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本開示の合成樹脂表皮材について具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0047】
(工程I)表皮材の形成
I-(1)表皮材a(PVCレザー)
カレンダー装置にて、PVC樹脂に、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤などを配合した表皮層と、PVC樹脂に、発泡剤、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤などを配合した発泡層形成用組成物層との積層体を形成した。
発泡層形成用組成物層に接着剤を介して編布を貼り合せ後、加熱炉内を通過させることで、発泡剤を発泡させた。これにより、気泡が内在する発泡樹脂層を形成し、厚み1.2mmの表皮材aを得た。
【0048】
I-(2)表皮材b(ウレタン合皮)
ポリウレタン樹脂を溶剤で希釈し、表皮層形成用組成物を調製した。
表皮層形成用組成物を、ナイフコーターで離型紙表面に塗工し、離型紙表面に表皮層形成用組成物層を形成した。
表皮層形成用組成物層に接着剤を介して編布を貼り合せ後、熟成、硬化させ、厚み0.9mmの表皮材bを得た。
【0049】
(工程II)凹凸の形成
上記のようにして得られた表皮材a、bの表皮層側に、下記のいずれかのエンボス加工によって所定の凹凸パターンを形成した。
II-(1)エンボスロールによるエンボス加工
II-(2)エンボス板によるエンボス加工
【0050】
<実施例1>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図1の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0051】
<実施例2>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図1の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0052】
<実施例3>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボス板により
図2の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0053】
<実施例4>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボス板により
図2の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0054】
<実施例5>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図3の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0055】
<実施例6>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図3の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0056】
<実施例7>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボス板により
図4の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0057】
<実施例8>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボス板により
図4の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0058】
<実施例9>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図5の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0059】
<実施例10>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図5の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0060】
<実施例11>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図6の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0061】
<実施例12>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図6の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0062】
<実施例13>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボス板により
図7の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0063】
<実施例14>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボス板により
図7の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0064】
<実施例15>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図8の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0065】
<実施例16>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図8の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0066】
<実施例17>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボス板により
図9の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0067】
<実施例18>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボス板により
図9の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0068】
<実施例19>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図10の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0069】
<実施例20>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図10の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0070】
<比較例1>
表皮材a(PVCレザー)に対し、エンボスロールにより
図11の(A)に示す凹凸パターン(従来の凹凸パターン)を形成した。
【0071】
<比較例2>
表皮材b(ウレタン合皮)に対し、エンボスロールにより
図11の(A)に示す凹凸パターンを形成した。
【0072】
[評価]
エンボス加工後の各表皮材について、表面の凹凸の厚みが最も大きい地点と最も小さい地点とを結ぶ線が含まれる断面、すなわち、各図の(A)に示される平面の観察位置Dの断面における表面の凹凸形状及び表面の三次元表面粗さをそれぞれ前述した装置を用いて測定するとともに、汚れ拭き取り性及び意匠性を評価した。
なお、各図において、(B)は(A)に示す測定位置に沿った断面形状を示し、(C)は測定位置の断面形状が分かり易いように(B)に示す断面形状の深度(厚み)を10倍に拡大した断面形状を示している。各図とも、便宜上、(C)の断面形状に凸部の傾斜角度α(α1、α2)、凹部の開口長さX(X1、X2)、及び凹部の深さY(Y1、Y2)を示しているが、測定は(B)に示す実際の断面形状に基づいて測定を行った。
【0073】
<汚れ拭き取り性>
(試験方法)
1:赤土(関東ローム層)2gと水1.4mlを混ぜて泥土にする。
2:泥土0.1gを指で表皮層の凹凸面に擦り付ける。
3:表皮層の凹凸面に擦り付けた泥土を水で湿らせた布で軽く拭き取る。
【0074】
(評価方法)
上記泥土による試験後、表皮層の色を目視で確認し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A:拭き取った部分の表皮層の色が視認できる
B:拭き取った部分の表皮層の色が視認できない
【0075】
<意匠性>
(評価方法)
各例で製造した表皮材の外観を、表皮材表面から50cm離れた位置から目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:従来の表皮材とは異なる特徴的な意匠性を示す外観であった
B:従来の表皮材と同等の外観であった
【0076】
結果を下記表1~表3に示す。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
実施例の表皮材はいずれも比較例の表皮材に比べて汚れ拭き取り性及び意匠性の評価が高かった。
【符号の説明】
【0081】
10、20 表皮材
12、22、32、42、52、62 72A,72B 凸部
14、24、54、64 74A、74B 凹部
100、200 表皮材
110 表皮層
120 接着層
130 基布
140 発泡層