(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/28 20060101AFI20250214BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20250214BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65D47/28
A47J41/00 304C
A47J41/02 104C
(21)【出願番号】P 2021087781
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】松山 真
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166258(JP,A)
【文献】実開昭59-159548(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0089302(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0205371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/28
A47J 41/00
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前側上部に通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体にスライド自在に取り付けられた状態で、前記通液口を開閉する蓋体と、
前記蓋体が前記通液口を閉塞する閉塞位置と、前記蓋体が前記通液口を開放する開放位置との間でスライドされる前記蓋体を前記閉塞位置と前記開放位置とに保持する蓋開閉機構とを備え、
前記キャップ本体は、前記通液口を含む上部に前記蓋体に対応した幅で前後方向に対称な形状を有して切り欠かれたガイド凹部を有し、
前記蓋体は、前記ガイド凹部の内側に配置された状態で、前記キャップ本体の前後方向にスライド自在に取り付けられると共に、その前後方向及び幅方向において対称な形状を有することによって、前記ガイド凹部に対して前後を入れ替え自在に取り付けられており、
前記蓋開閉機構は、
前記蓋体の中央部に位置して、前記蓋体の幅方向の両側から突出された一対のプランジャと、
前記ガイド凹部の中央部に位置して、前記ガイド凹部の幅方向の両側面に沿って前後方向に切り欠き形成されると共に、前記一対のプランジャを着脱自在に係合させた状態で、前記キャップ本体にスライド自在に案内する一対のガイド溝とを有
し、
前記一対のガイド溝に対する前記一対のプランジャの係合状態を解除することによって、前記ガイド凹部の内側のどの位置に前記蓋体があったとしても、前記ガイド凹部の内側から前記蓋体を取り外すことが可能であることを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記蓋開閉機構は、前記一対のガイド溝の前端側に位置して、前記一対のプランジャを係止する一対の前側係止部と、
前記一対のガイド溝の後端側に位置して、前記一対のプランジャを係止する一対の後側係止部とを有し、
前記一対の前側係止部に前記一対のプランジャが係止されることによって、前記閉塞位置にて前記蓋体を保持し、
前記一対の後側係止部に前記一対のプランジャが係止されることによって、前記開放位置にて前記蓋体を保持することを特徴とする請求項
1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記通液口は、前記ガイド凹部の底面に対応した幅で開口しながら、その途中で前記ガイド凹部の底面よりも幅狭に開口した形状を有し、且つ、当該幅狭に開口した部分は、前記ガイド凹部の底面に対応した幅よりも長く設けられていることを特徴とする請求項
1又は
2に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記蓋体は、前記開放位置において前記通液口と一部重なることを特徴とする請求項1~
3の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【請求項6】
前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする請求項
5に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けることによって、容器本体の上部開口部を閉塞するキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前側上部に通液口が設けられたキャップ本体と、キャップ本体の前後方向にスライド自在に取り付けられた状態で、通液口を開閉する蓋体とを備え、蓋体に設けられた弾性クリック部がキャップ本体に設けられたクリック受部に嵌合することによって、通液口を閉塞する位置にて蓋体がキャップ本体に保持される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載のキャップユニットでは、蓋体の幅方向の両側の側面を弾性クリック部の形状に合わせて切り欠くことによって、一対の弾性クリック部が弾性変形可能に設けられた構造となっている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のキャップユニットでは、キャップ本体から蓋体を取り外して洗浄を行う際に、キャップ本体に対して蓋体が脱着し難い構造となっている。また、弾性クリック部との間に形成される隙間(切欠き部)が洗浄し難いだけでなく、この弾性クリック部を形成する金型の形状も複雑なものとなってしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構造を有しながら、キャップ本体に対する蓋体の脱着を容易に行うことを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前側上部に通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体にスライド自在に取り付けられた状態で、前記通液口を開閉する蓋体と、
前記蓋体が前記通液口を閉塞する閉塞位置と、前記蓋体が前記通液口を開放する開放位置との間でスライドされる前記蓋体を前記閉塞位置と前記開放位置とに保持する蓋開閉機構とを備え、
前記キャップ本体は、前記通液口を含む上部に前記蓋体に対応した幅で前後方向に対称な形状を有して切り欠かれたガイド凹部を有し、
前記蓋体は、前記ガイド凹部の内側に配置された状態で、前記キャップ本体の前後方向にスライド自在に取り付けられると共に、その前後方向及び幅方向において対称な形状を有することによって、前記ガイド凹部に対して前後を入れ替え自在に取り付けられており、
前記蓋開閉機構は、前記蓋体の中央部に位置して、前記蓋体の幅方向の両側から突出された一対のプランジャと、
前記ガイド凹部の中央部に位置して、前記ガイド凹部の幅方向の両側面に沿って前後方向に切り欠き形成されると共に、前記一対のプランジャを着脱自在に係合させた状態で、前記キャップ本体にスライド自在に案内する一対のガイド溝とを有し、
前記一対のガイド溝に対する前記一対のプランジャの係合状態を解除することによって、前記ガイド凹部の内側のどの位置に前記蓋体があったとしても、前記ガイド凹部の内側から前記蓋体を取り外すことが可能であることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記蓋開閉機構は、前記一対のガイド溝の前端側に位置して、前記一対のプランジャを係止する一対の前側係止部と、
前記一対のガイド溝の後端側に位置して、前記一対のプランジャを係止する一対の後側係止部とを有し、
前記一対の前側係止部に前記一対のプランジャが係止されることによって、前記閉塞位置にて前記蓋体を保持し、
前記一対の後側係止部に前記一対のプランジャが係止されることによって、前記開放位置にて前記蓋体を保持することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記通液口は、前記ガイド凹部の底面に対応した幅で開口しながら、その途中で前記ガイド凹部の底面よりも幅狭に開口した形状を有し、且つ、当該幅狭に開口した部分は、前記ガイド凹部の底面に対応した幅よりも長く設けられていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記蓋体は、前記開放位置において前記通液口と一部重なることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
〔6〕 前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする前記〔5〕に記載のキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、簡便な構造を有しながら、キャップ本体に対する蓋体の脱着を容易に行うことを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器において蓋体が閉塞位置にある状態を示す斜視図である。
【
図2】キャップ付き容器において蓋体が開放位置にある状態を示す斜視図である。
【
図3】キャップ付き容器において蓋体が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
【
図4】キャップ付き容器において蓋体が開放位置にある状態を示す断面図である。
【
図5】キャップユニットを上方側から見た分解斜視図である。
【
図6】キャップユニットを下方側から見た分解斜視図である。
【
図7】
図3及び
図4中に示す線分C-Cによるキャップユニットの断面において蓋体が閉塞位置と開放位置との間にある状態を示す断面斜視図である。
【
図8】
図3中に示す線分C-Cによるキャップユニットの断面において蓋体が閉塞位置にある状態を示す断面斜視図である。
【
図9】
図4中に示す線分C-Cによるキャップユニットの断面において蓋体が開放位置にある状態を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図9に示すキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100について説明する。
【0012】
なお、
図1は、キャップユニット1を備えたキャップ付き容器100において蓋体8が閉塞位置にある状態を示す斜視図である。
図2は、キャップ付き容器100において蓋体8が開放位置にある状態を示す斜視図である。
図3は、キャップ付き容器100において蓋体8が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
図4は、キャップ付き容器100において蓋体8が開放位置にある状態を示す断面図である。
図5は、キャップユニット1を上方側から見た分解斜視図である。
図6は、キャップユニット1を下方側から見た分解斜視図である。
図7は、
図3及び
図4中に示す線分C-Cによるキャップユニット1の断面において蓋体8が閉塞位置と開放位置との間にある状態を示す断面斜視図である。
図8は、
図3中に示す線分C-Cによるキャップユニット1の断面において蓋体8が閉塞位置にある状態を示す断面斜視図である。
図9は、
図4中に示す線分C-Cによるキャップユニット1の断面において蓋体8が開放位置にある状態を示す断面斜視図である。
【0013】
本実施形態のキャップ付き容器100は、
図1~
図4に示すように、本実施形態のキャップユニット1と、このキャップユニット1が着脱自在に取り付けられる容器本体2とを備えている。キャップ付き容器100は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、この容器本体2に収容された飲料(内容物)を保温又は保冷することが可能なタンブラー(飲料用容器)である。
【0014】
具体的に、この容器本体2は、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0015】
容器本体2は、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上端部は、容器本体2の上部開口部2cとして、円形状に開口している。
【0016】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0017】
本実施形態のキャップユニット1の構成については、
図3~
図9を参照して説明する。
なお、以下の説明では、キャップユニット1において、後述する通液口6が設けられた側をキャップユニット1の「前側」とし、通液口6が設けられた側とは反対側をキャップユニット1の「後側」として説明する。
【0018】
本実施形態のキャップユニット1は、
図3~
図6に示すように、容器本体2の上部開口部2cを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット1は、容器本体2の上部開口部2cを閉塞すると共に、前側上部に通液口6が設けられたキャップ本体7と、キャップ本体7の前後方向にスライド自在に取り付けられた状態で、通液口6を開閉する蓋体8と、蓋体8が通液口6を閉塞する閉塞位置と、蓋体8が通液口6を開放する開放位置との間でスライドされる蓋体8を閉塞位置と開放位置とに保持する蓋開閉機構9とを備えている。
【0019】
キャップ本体7は、例えばポリプロピレン(PP)やポリメチルペンテン(PMP)等の耐熱性樹脂からなる。キャップ本体7は、略円筒状の周壁部7aと、周壁部7aの上部を覆う略円板状の上壁部7bと、上壁部7bの周囲から上方に向かって突出された上縁部7cと、上縁部7cの周囲から外側に向かって突出された上側フランジ部7dと、周壁部7aの下端側の周囲から外側に向かって突出された下側フランジ部7eとを有している。
【0020】
キャップ本体7は、容器本体2の上部開口部2cから周壁部7aが容器本体2の内側に嵌め込まれた状態で、容器本体2の上端部に上側フランジ部7dの下面が当接されることによって、容器本体2の上部開口部2cを閉塞する構成となっている。
【0021】
キャップ本体7の周壁部7aには、止水パッキン10が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン10は、キャップ本体7と容器本体2との間を密閉するためのリング状のシール部材である。止水パッキン10は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0022】
これに対応して、周壁部7aの外周部には、止水パッキン10が嵌め付けられる嵌合凹部7fが設けられている。嵌合凹部7fは、上側フランジ部7dと下側フランジ部7eとの間に亘ってリング状に設けられている。
【0023】
一方、止水パッキン10内周部には、縮径方向に突出された摘まみ片10aが設けられている。これに対応して、キャップ本体7には、下側フランジ部7eの後端側の一部を切り欠く切欠き部7gが設けられている。止水パッキン10は、切欠き部7gの内側に摘まみ片10aが位置するように、嵌合凹部7fの内側に嵌め付けられる。
【0024】
止水パッキン10は、摘まみ片10aを摘まんだ状態で、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、嵌合凹部7f(キャップ本体7)から取り外すことが可能である。これにより、止水パッキン10とキャップ本体7とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン10と嵌合凹部7f(キャップ本体7)との間を衛生的に保つことが可能である。
【0025】
また、止水パッキン10の外周面には、拡径方向に全周に亘って突出された弾性フランジ部10bが設けられている。止水パッキン10は、容器本体2の内側に周壁部7aが嵌め込まれた際に、この弾性フランジ部10bが弾性変形しながら、内容器4(容器本体2)の内周面に全周に亘って密着した状態となる。これにより、キャップ本体7と容器本体2との間を液密に封止(止水)することが可能となっている。
【0026】
蓋体8は、例えばポリプロピレン(PP)やポリメチルペンテン(PMP)等の耐熱性樹脂からなる。蓋体8は、前後方向に延在された略平板形状を有している。また、蓋体8は、その前後方向及び左右(幅)方向において対称な形状を有している。
【0027】
これに対応して、キャップ本体7には、通液口6を含む上壁部7bを蓋体8に対応した幅で前後方向に切り欠くガイド凹部11が設けられている。また、ガイド凹部11は、その前後方向において対称な形状を有している。
【0028】
通液口6は、ガイド凹部11の前側に位置して、このガイド凹部11の底面を厚み方向に貫通して設けられている。また、通液口6は、上縁部7cの前側の内周面に沿った位置から後方に向かってガイド凹部11の底面に対応した幅で開口しながら、その途中でガイド凹部11の底面よりも幅狭に開口した形状を有している。また、この幅狭に開口した部分の長さAは、ガイド凹部11の底面に対応した幅の部分の長さBよりも長くなっている(A>B)。幅狭に開口した部分は、蓋体8の底面に当接するため、蓋体8のスライド操作が円滑になると共に、蓋体8が通液口6の内側に脱落することを防ぐことが可能である。
【0029】
蓋体8は、ガイド凹部11の内側に配置されることによって、このガイド凹部11に沿ってキャップ本体7の前後方向にスライド自在に取り付けられる。また、蓋体8は、その前後方向において対称な形状を有することによって、ガイド凹部11に対して前後を入れ替え自在に取り付けられる。
【0030】
さらに、蓋体8は、ガイド凹部11の内側に配置された状態で、キャップ本体7と面一となるような形状を有している。具体的に、上壁部7bの上面は、その中央部から外周部に向かって凹状に湾曲している。これに合わせて、ガイド凹部11の底面も、その前後方向に凹状に湾曲している。一方、蓋体8は、これら上壁部7bの上面及びガイド凹部11の底面の形状に合わせて、その前後方向において上向きに湾曲した形状を有している。
【0031】
蓋体8は、閉塞位置において通液口6を閉塞すると共に、開放位置において通液口6と一部重なった状態で通液口6を開放する。これにより、本実施形態のキャップユニット1では、開放位置において通液口6と一部重なった蓋体8の前端部分を介してガイド凹部11の内側から蓋体8を取り外し易くすることが可能である。
【0032】
蓋体8の上部には、この蓋体8を開閉操作するための操作凸部12が設けられている。操作凸部12は、蓋体8の中央部を幅方向に延在しながら、上方に突出して設けられている。本実施形態のキャップユニット1では、この操作凸部12を介して蓋体8を前後方向にスライド操作し易くすることが可能である。
【0033】
蓋開閉機構9は、蓋体8の幅方向の両側から突出された一対のプランジャ13と、キャップ本体7の蓋体8を挟んだ幅方向の両側に位置して、一対のプランジャ13を着脱自在に係合させた状態で、キャップ本体7の前後方向にスライド自在に案内する一対のガイド溝14とを有している。
【0034】
一対のプランジャ13は、その先端に設けられたボール(又はピン)をその内側に設けられたバネにより付勢しながら、このバネの付勢に抗してボール(又はピン)を内側に押し込むことが可能な構造を有している。一対のプランジャ13は、蓋体8の中央部に位置して、蓋体8の幅方向の両側面からボール(又はピン)が突出した状態で取り付けられている。
【0035】
一対のガイド溝14は、ガイド凹部11の中央部に位置して、ガイド凹部11の幅方向の両側面に沿って前後方向に切り欠き形成されている。
【0036】
蓋開閉機構9では、キャップ本体7の上部からガイド凹部11の内側に蓋体8を嵌め込んだ際に、一対のガイド溝14に一対のプランジャ13が係合された状態となる。この状態で、ガイド凹部11の内側に配置された蓋体8を前後方向にスライド自在に保持することが可能である。
【0037】
なお、一対のプランジャ13は、一対のガイド溝14に係合された状態において、蓋体8とガイド凹部11の側面との隙間の幅よりも、一対のプランジャ13と一対のガイド溝14との係合幅が広いため、確実な係合が可能となる。
【0038】
一方、蓋開閉機構9では、一対のガイド溝14に対する一対のプランジャ13の係合状態を解除することによって、ガイド凹部11の内側のどの位置に蓋体8があったとしても、ガイド凹部11の内側から蓋体8を取り外すことが可能である。
【0039】
また、蓋開閉機構9は、一対のガイド溝14の前端側に位置して、一対のプランジャ13を係止する一対の前側係止部15aと、一対のガイド溝14の後端側に位置して、一対のプランジャ13を係止する一対の後側係止部15bとを有している。
【0040】
前側係止部15a及び後側係止部15bは、ガイド溝14の内側から突出された突起によりガイド溝14の前端側及び後端側の一部を分断することによって、プランジャ13が係止される凹部を構成している。
【0041】
蓋開閉機構9では、
図7に示すように、一対のガイド溝14により案内される一対のプランジャ13が突起を乗り越えた後、一対の前側係止部15aに一対のプランジャ13が係止されることによって、
図8に示す閉塞位置にて蓋体8を保持することが可能である。
【0042】
一方、蓋開閉機構9では、
図7に示すように、一対のガイド溝14により案内される一対のプランジャ13が突起を乗り越えた後、一対の後側係止部15bに一対のプランジャ13が係止されることによって、
図9に示す開放位置にて蓋体8を保持することが可能である。
【0043】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器100では、上述した上縁部7cの前側を飲み口として、容器本体2を前方に傾けた際に、この容器本体2から通液口6を通して流出される飲料(内容物)を飲むことが可能である。
【0044】
以上のように、本実施形態のキャップユニット1では、上述した蓋開閉機構9を備えることによって、簡便な構造を有しながら、キャップ本体7に対する蓋体8の脱着を容易に行うことが可能である。
【0045】
具体的に、このキャップユニット1では、上述した蓋開閉機構9において、一対のガイド溝14に一対のプランジャ13が係合された状態となることで、ガイド凹部11の内側に配置された蓋体8を前後方向にスライド自在に保持することが可能である。一方、一対のガイド溝14に対する一対のプランジャ13の係合状態を解除することで、ガイド凹部11の内側から蓋体8をどの位置からでも容易に取り外すことが可能である。
【0046】
また、本実施形態のキャップユニット1では、上述したキャップ本体7と蓋体8とをそれぞれ別々に洗浄することができ、キャップ本体7と蓋体8との間を衛生的に保つことが可能である。
【0047】
また、本実施形態のキャップ付き容器100では、このようなキャップユニット1を備えることによって、容器本体2を把持した状態で、蓋体8の開閉操作を片手で容易にできることから、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記蓋開閉機構9では、上述した蓋体8の中央部に位置する一対のプランジャ13が蓋体8の幅方向の両側から突出して設けられた構成となっているが、これら一対のプランジャ13が蓋体8の前後方向の両側に各々設けられた構成としてもよい。
【0049】
なお、このような構成の場合、前側のプランジャ13に合わせて、ガイド溝14、前側係止部15a及び後側係止部15bを設け、後側のプランジャ13に合わせて、ガイド溝14、前側係止部15a及び後側係止部15bを設けた構成とすればよい。
【0050】
なお、上記実施形態では、上壁部7bの上面及び蓋体8は、中央部から外周部に向かって凹状に湾曲した形状となっているが、上壁部7bの上面及び蓋体8を平坦な形状としたり、前側又は後側に傾斜した形状としたりすることも可能である。
【0051】
なお、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせたタンブラー(飲料用容器)に本発明を適用した場合を例示しているが、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備えたキャップ付き容器に対して、本発明の蓋開閉機構9を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…キャップユニット 2…容器本体 3…外容器 4…内容器 5…真空断熱層 6…通液口 7…キャップ本体 8…蓋体 9…蓋開閉機構 10…止水パッキン 11…ガイド凹部 12…操作凸部 13…プランジャ 14…ガイド溝 15a…前側係止部 15b…後側係止部