(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】通信機器および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04M 1/72412 20210101AFI20250214BHJP
H04W 12/30 20210101ALI20250214BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20250214BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20250214BHJP
【FI】
H04M1/72412
H04W12/30
H04W84/10 110
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2021094556
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山崎 歩輝
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-343219(JP,A)
【文献】特開2002-281041(JP,A)
【文献】特開2011-045081(JP,A)
【文献】特表2016-533065(JP,A)
【文献】特開2005-318298(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106792485(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J9/00-9/06
H04B7/24-7/26
H04L12/28
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信と、前記近距離無線通信とは異なる他の無線通信とが可能な第1通信機器に設定された前記第1通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器から受信する第1受信部と、
受信した前記専用機器名を登録する登録部と、
前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信によって前記第1通信機器から受信する第2受信部と、
前記第1通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第1通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する表示部とを備えていることを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記第2受信部は、異なる複数の前記第1通信機器の各通常機器名を受信し、
前記表示部は、一方の前記第1通信機器の専用機器名が登録されており、かつ他方の前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、一方の前記第1通信機器の前記専用機器名を、他方の前記第1通信機器の前記通常機器名よりも優先的に表示することを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記通信機器は、前記近距離無線通信および前記他の無線通信が可能であると共に専用機器名が設定されていない第2通信機器の専用機器名を設定する第1設定部をさらに備えており、
前記登録部は、前記第2通信機器の専用機器名を登録し、
前記第2受信部は、前記第2通信機器の通常機器名を受信し、
前記表示部は、前記第2通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第2通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第2通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第2通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示することを特徴とする請求項1または2に記載の通信機器。
【請求項4】
前記通信機器は、前記近距離無線通信が不可能でありかつ前記他の無線通信が可能な第3通信機器の専用機器名を設定する第2設定部をさらに備えており、
前記登録部は、前記第3通信機器の専用機器名を登録し、
前記第2受信部は、前記第3通信機器の通常機器名を受信し、
前記表示部は、前記第3通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第3通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第3通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第3通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の通信機器。
【請求項5】
前記通信機器は、
前記通信機器の専用機器名を設定する第3設定部と、
設定された前記通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器に送信する送信部とを備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の通信機器。
【請求項6】
前記近距離無線通信は、NFC通信であり、
前記他の無線通信は、BT通信であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の通信機器。
【請求項7】
近距離無線通信と、前記近距離無線通信とは異なる他の無線通信とが可能な第1通信機器に設定された前記第1通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器から受信する第1受信工程と、
受信した前記専用機器名を登録する登録工程と、
前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信によって前記第1通信機器から受信する第2受信工程と、
前記第1通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第1通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する表示工程とを有することを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Bluetooth(登録商標)通信(以下、BT通信)機能を搭載した各種の電子機器が広く利用されている。BT通信に対応する複数の電子機器は、ルータ等を介さずに互いに直接BT通信することによって、様々なデータを相互に送受信することができる。BT通信は、例えばワイヤレスイヤホンとスマートフォンとを相互にBluetooth接続し、スマートフォンの音楽データをBT通信でワイヤレスイヤホンに送信してワイヤレスイヤホンで音楽を再生する、といった便利な用途に活用されている。
【0003】
近年では、BT通信以外にも、いわゆるNFC(Near Field Communication)通信機能を搭載した電子機器も知られている。NFC通信は近距離無線通信の一種であり、BT通信とは異なる通信プロトコルによって近距離の無線通信を可能とする。NFC通信は、例えば電子決済のための非接触データ通信に良く利用されている。
【0004】
従来、BT通信機能およびNFC通信機能の双方を搭載した電子機器も提案されている。その一例として、特許文献1には、他の通信装置との間で通信を行う通信装置において、前記他の通信装置との間で、第1の通信プロトコルによる通信を行う第1の通信手段と、前記他の通信装置が利用可能な通信プロトコルの情報を、前記第1の通信プロトコルによる通信によって取得する取得手段と、前記他の通信装置との間で、前記他の通信装置が利用可能な通信プロトコルに含まれる第2の通信プロトコルによる通信に要する通信情報を、前記第1の通信プロトコルによる通信によって交換する交換手段と、前記他の通信装置との通信を、前記第1の通信プロトコルによる通信から、前記第2の通信プロトコルによる通信に切り換える切り換え手段と、前記他の通信装置との間で、前記交換手段において交換された前記通信情報に基づき、前記第2の通信プロトコルによる通信を行う第2の通信手段とを備えることを特徴とする通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の通信装置において、BTペアリングを行うためには、マスタ機器に接続されるスレーブ機器を、マスタ機器において選択する必要がある。マスタ機器に接続可能なスレーブ機器が、マスタ機器の周囲に複数存在する場合、マスタ機器の画面には、接続可能なスレーブ機器の名称の一覧が表示される。マスタ機器のユーザは、その一覧の中から、マスタ機器に接続させたいスレーブ機器を選択することになる。
【0007】
一般に、スレーブ機器には、スレーブ機器の通常機器名が予め設定されている。しかし、その通常機器名はユーザにとって分かりにくい名称であるため、スレーブ機器のユーザは、自身のスレーブ機器に対して、通常機器名とは別に、独自の専用機器名を設定することができる。スレーブ機器に専用機器名が設定されている場合、マスタ機器は、接続可能なスレーブ機器の名称として、スレーブ機器の専用機器名を表示する。ここで、スレーブ機器のユーザが、スレーブ機器の専用機器名として、ユーザの個人名などの個人情報を含む専用機器名を設定した場合、そのような専用機器名が、ユーザの周囲にいる他人が所持するマスタ機器に意図せずに表示されることなる。結果、ユーザの個人情報が、意図せずに他人に漏洩する恐れが生ずる。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、通信機器に設定された専用機器名の漏洩を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る通信機器は、前記の課題を解決するために、近距離無線通信と、前記近距離無線通信とは異なる他の無線通信とが可能な第1通信機器に設定された前記第1通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器から受信する第1受信部と、受信した前記専用機器名を登録する登録部と、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信によって前記第1通信機器から受信する第2受信部と、前記第1通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第1通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する表示部とを備えている構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、通信機器に設定された専用機器名の漏洩を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマスタ機器および2つのスレーブ機器の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るスレーブ機器の専用機器名をマスタ機器に登録する際にマスタ機器によって実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るマスタ機器が、あるスレーブ機器とBTペアリングする際の一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るマスタ機器の画面に一覧表示されるBTペアリング候補の各スレーブ機器の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るマスタ機器の画面に一覧表示されるBTペアリング候補の各スレーブ機器の別例を示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るマスタ機器および2つのスレーブ機器の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るスレーブ機器の専用機器名をマスタ機器に登録する際にマスタ機器によって実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るマスタ機器およびスレーブ機器の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るスレーブ機器の専用機器名をマスタ機器に登録する際にマスタ機器によって実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係るマスタ機器および2つのスレーブ機器の構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係るスレーブ機器が、あるマスタ機器とBTペアリングする際の一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るマスタ機器1、スレーブ機器2、およびスレーブ機器3の構成を示すブロック図である。マスタ機器1は、例えばパーソナルコンピュータとして実現され、スレーブ機器2およびスレーブ機器3は、例えばスマートフォンとして実現される。マスタ機器1およびスレーブ機器2は、「山崎氏」というユーザが所持する、無線通信機能を有する電子機器(通信機器)である。スレーブ機器3は、「鈴木氏」というユーザが所持する、無線通信機能を有する電子機器(通信機器)である。言い換えると、マスタ機器1およびスレーブ機器2は、同一の第1ユーザが所持する電子機器であり、スレーブ機器3は、第1ユーザと異なる第2ユーザが所持する電子機器である。
【0013】
マスタ機器1、スレーブ機器2、およびスレーブ機器3は、いずれもBT通信可能な電子機器である。マスタ機器1は、BT通信におけるマスタ側として動作する電子機器であり、スレーブ機器2およびスレーブ機器3は、BT通信におけるスレーブ側として動作する電子機器である。マスタ機器1は、スレーブ機器2およびスレーブ機器3とBT通信することができる。マスタ機器1、スレーブ機器2、およびスレーブ機器3は、いずれも、NFC通信(近距離無線通信)可能な電子機器でもある。
【0014】
マスタ機器1は、NFC通信部11(第1受信部、送信部、登録部)、BT通信部12(第2受信部)、記憶部13、入力部14、判定部15、および表示部16を備えている。NFC通信部11は、NFC通信プロトコルに従った通信を、NFC通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。BT通信部12は、BT通信プロトコルに従った通信を、BT通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。記憶部13は、マスタ機器1の動作に必要な各種の情報を格納している。
図1の例では、記憶部13は、マスタ機器1の通常機器名である「機器A」を格納している。入力部14は、マスタ機器1に対するユーザの操作入力を受け付ける。判定部15の機能は後述する。表示部16は、各種の情報を表示する。
【0015】
スレーブ機器2(第1通信機器)は、NFC通信部21、BT通信部22、記憶部23、入力部24、専用機器名設定部25、および表示部26を備えている。NFC通信部21は、NFC通信プロトコルに従った通信を、NFC通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。BT通信部22は、BT通信プロトコルに従った通信を、BT通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。記憶部23は、スレーブ機器2の動作に必要な各種の情報を格納している。
図1の例では、記憶部23は、スレーブ機器2の通常機器名である「機器X」と、スレーブ機器2の専用機器名である「山崎機器」を格納している。入力部24は、スレーブ機器2に対するユーザの操作入力を受け付ける。専用機器名設定部25は、スレーブ機器2の専用機器名をスレーブ機器2に設定する。表示部26は、各種の情報を表示する。
【0016】
スレーブ機器3は、NFC通信部31、BT通信部32、記憶部33、入力部34、専用機器名設定部35、および表示部36を備えている。NFC通信部31は、NFC通信プロトコルに従った通信を、NFC通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。BT通信部32は、BT通信プロトコルに従った通信を、BT通信機能を有する他の電子機器との間で実行する。記憶部33は、スレーブ機器3の動作に必要な各種の情報を格納している。
図1の例では、記憶部33は、スレーブ機器3の通常機器名である「機器Y」と、スレーブ機器3の専用機器名である「鈴木機器」を格納している。入力部34は、スレーブ機器3に対するユーザの操作入力を受け付ける。専用機器名設定部35は、スレーブ機器3の専用機器名をスレーブ機器3に設定する。表示部36は、各種の情報を表示する。
【0017】
マスタ機器1、スレーブ機器2、およびスレーブ機器3は、いずれも、BT通信に必要な通信情報として、BT通信相手を特定するためのBD(Bluetooth Device)アドレスを有している。具体的には、マスタ機器1の記憶部13は、マスタ機器1を特定するためのユニークなBDアドレスを格納している。スレーブ機器2の記憶部23は、スレーブ機器2を特定するためのBDアドレスを格納している。スレーブ機器3の記憶部33は、スレーブ機器3を特定するためのBDアドレスを格納している。
【0018】
スレーブ機器2のユーザ(山崎氏)は、スレーブ機器2を他の電子機器と区別するために、スレーブ機器2の専用機器名をスレーブ機器2に登録する。ここでは、スレーブ機器2のユーザの個人情報である「山崎」を含む「山崎機器」という専用機器名を、スレーブ機器2に設定するものとする。設定の手順は次の通りである。スレーブ機器2の表示部26は、専用機器名の入力を促すメッセージを表示する。このメッセージを視認したユーザは、設定したい専用機器名として「山崎機器」をスレーブ機器2に入力する。入力部24は、この入力を受け付けて、入力された「山崎機器」を表示部26に通知する。表示部26は、通知された「山崎機器」を表示する。ユーザは、入力した「山崎機器」が正しく表示されたことを確認すると、この専用機器名の設定を確定するための操作をスレーブ機器2に対して入力する。入力部24は、この操作入力を受け付けて、「山崎機器」を専用機器名設定部25に通知する。専用機器名設定部25は、通知された「山崎機器」を記憶部23に格納することによって、スレーブ機器2の専用機器名として「山崎機器」をスレーブ機器2に設定する。
【0019】
スレーブ機器3のユーザ(鈴木氏)は、スレーブ機器3を他の電子機器と区別するために、スレーブ機器3の専用機器名をスレーブ機器3に登録する。ここでは、スレーブ機器3のユーザの個人情報である「鈴木」を含む「鈴木機器」という専用機器名を、スレーブ機器3に設定するものとする。設定の手順は次の通りである。スレーブ機器3の表示部36は、専用機器名の入力を促すメッセージを表示する。このメッセージを視認したユーザは、設定したい専用機器名として「鈴木機器」をスレーブ機器3に入力する。入力部34は、この入力を受け付けて、入力された「鈴木機器」を表示部36に通知する。表示部36は、通知された「鈴木機器」を表示する。ユーザは、入力した「鈴木機器」が正しく表示されたことを確認すると、この専用機器名の設定を確定するための操作をスレーブ機器3に対して入力する。入力部34は、この操作入力を受け付けて、「鈴木機器」を専用機器名設定部35に通知する。専用機器名設定部35は、通知された「鈴木機器」を記憶部33に格納することによって、スレーブ機器3の専用機器名として「鈴木機器」をスレーブ機器3に設定する。
【0020】
(専用機器名の登録処理)
図2は、本発明の第1実施形態に係るスレーブ機器2の専用機器名をマスタ機器1に登録する際にマスタ機器1によって実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。マスタ機器1およびスレーブ機器2のユーザは、スレーブ機器2の専用機器名をマスタ機器1に登録するために、マスタ機器1およびスレーブ機器2のNFC通信機能をオンにし、両者を互いに近づける。これにより、マスタ機器1のNFC通信部11は、NFC通信によってスレーブ機器2を検出する。次に、表示部16は、スレーブ機器2とのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。マスタ機器1のユーザは、スレーブ機器2とのNFC通信を許可する操作を、マスタ機器1に入力する。一方、スレーブ機器2のNFC通信部21は、NFC通信によってマスタ機器1を検出する。表示部26は、マスタ機器1とのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。スレーブ機器2のユーザ(マスタ機器1のユーザと同一人物)は、マスタ機器1とのNFC通信を許可する操作を、スレーブ機器2に入力する。入力部14および入力部24によってこれらの操作入力がそれぞれ検出されると、マスタ機器1とスレーブ機器2との間におけるNFC通信の実行が、マスタ機器1およびスレーブ機器2の双方において許可される。そこで、NFC通信部11は、スレーブ機器2とNFC接続することによって、スレーブ機器2とのNFC通信を開始する(ステップS1)。すると、マスタ機器1のNFC通信部11は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名の送信を、NFC通信によってスレーブ機器2に要求する(ステップS2)。
【0021】
スレーブ機器2のNFC通信部21は、この要求を受信すると、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を記憶部23から読み出し、NFC通信によってマスタ機器1に送信する。マスタ機器1のNFC通信部11は、スレーブ機器2から送信されたスレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を、NFC通信によってスレーブ機器2から受信したか否かを判定する(ステップS3)。NFC通信部11は、これらを受信していないと判定した場合(ステップS3においてNO)、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名の送信を、NFC通信によってスレーブ機器2に再び要求する。このように、NFC通信部11は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名をスレーブ機器2から受信するまで、これらの送信をスレーブ機器2に繰り返し要求する。
【0022】
NFC通信部11は、スレーブ機器2(第1通信機器)のBDアドレスおよび専用機器名をスレーブ機器2から受信した場合(ステップS3においてYES)、受信したBDアドレスおよび専用機器名を判定部15に通知する。判定部15は、通知されたスレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名が、マスタ機器1に登録済みか否かを判定する(ステップS4)。専用機器名設定部25は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名が記憶部13に格納されている場合、これらがマスタ機器1に登録済みであると判定する。一方、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名が記憶部13に格納されていない場合、これらがマスタ機器1に登録済みではないと判定する。
【0023】
判定部15は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名がマスタ機器1に登録済みであると判定した場合(ステップS4においてYES)、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名をマスタ機器1に再度登録しない。この後、
図2に示す一連の処理は終了する。一方、判定部15は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名がマスタ機器1に登録済みではないと判定した場合(ステップS4においてNO)、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名を互いに関連付けて記憶部13に格納することによって、マスタ機器1に登録する(ステップS5)。この後、
図2に示す一連の処理は終了する。
【0024】
以上のようにして、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名が、マスタ機器1に登録される。これにより、マスタ機器1は、スレーブ機器2とBT通信する前に、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」を把握することができる。
【0025】
ここで、スレーブ機器3のユーザ(鈴木氏)が、NFC通信機能がオンにされたマスタ機器1に、NFC通信機能がオンにされたスレーブ機器3を近づけたとする。これにより、スレーブ機器3のNFC通信部31は、NFC通信によってマスタ機器1を検出する。次に、表示部36は、マスタ機器1とのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。スレーブ機器3のユーザは、マスタ機器1とのNFC通信を許可する操作を、スレーブ機器3に入力する。
【0026】
一方、マスタ機器1のNFC通信部11は、NFC通信によってスレーブ機器3を検出する。次に、表示部16は、スレーブ機器3とのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。マスタ機器1のユーザ(山崎氏)は、スレーブ機器3は自身が所持する機器ではないため、スレーブ機器3とのNFC通信を許可しない操作を、マスタ機器1に入力する。
【0027】
スレーブ機器3では、NFC通信を許可する操作入力が入力部34によって検出されることによって、NFC通信の実行が許可されるので、NFC通信部31はマスタ機器1とのNFC通信を開始しようとする。一方、マスタ機器1では、NFC通信を許可しない操作入力が入力部14によって検出されることによって、NFC通信の実行が許可されないので、NFC通信部11はスレーブ機器3とのNFC通信を開始しない。すなわち、マスタ機器1はスレーブ機器3とのNFC通信を拒否するので、マスタ機器1とスレーブ機器3との間でNFC通信が行われることはない。その結果、NFC通信部11は、スレーブ機器3のBDアドレスおよび専用機器名「鈴木機器」を、スレーブ機器3から受信することはない。これにより、マスタ機器1は、スレーブ機器3とBT通信する前に、スレーブ機器3の専用機器名「鈴木機器」を把握することはない。
【0028】
(BTペアリング処理)
図3は、本発明の第1実施形態に係るマスタ機器1が、あるスレーブ機器とBTペアリングする際の一連の処理の流れを示すフローチャート図である。マスタ機器1およびスレーブ機器2のユーザ(山崎氏)は、マスタ機器1およびスレーブ機器2のBT通信機能をオンにする。この際、スレーブ機器3のユーザ(鈴木氏)は、事前にスレーブ機器3のBT通信機能をオンにしているものとする。マスタ機器1のBT通信部12は、BT通信可能なスレーブ機器を検索する(ステップS11)。ここでは、スレーブ機器2およびスレーブ機器3(複数の異なるスレーブ機器)が発見されたものとする。BT通信部12は、発見された各スレーブ機器から、スレーブ機器のBDアドレスおよび通常機器名を受信する(ステップS12)。ここでは、BT通信部12は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび通常機器名「機器X」を、スレーブ機器2から受信する。さらに、スレーブ機器3のBDアドレスおよび通常機器名「機器Y」を、スレーブ機器3から受信する。BT通信部12は、受信した各BDアドレスおよび各通常機器名を、判定部15に通知する。
【0029】
判定部15は、通知された各BDアドレスに対応する各スレーブ機器の専用機器名が、マスタ機器1に登録済みであるか否かを判定する(ステップS13)。その際、判定部15は、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部13に格納されている場合、スレーブ機器の専用機器名がマスタ機器1に登録済みであると判定する。一方、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部13に格納されていない場合、スレーブ機器の専用機器名がマスタ機器1に登録済みでないと判定する。
【0030】
表示部16は、スレーブ機器の専用機器名がマスタ機器1に登録済みであると判定された場合(ステップS13においてYES)、BT通信可能な通信相手として、すなわちBTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器の専用機器名を表示する(ステップS14)。一方、スレーブ機器の専用機器名がマスタ機器1に登録済みでないと判定された場合(ステップS13においてNO)、BT通信可能な通信相手として、すなわちBTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器の通常機器名を表示する(ステップS15)。
【0031】
上述したように、記憶部13は、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を、互いに関連付けた状態で格納している。したがって、判定部15は、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」がマスタ機器1に登録済みであると判定する。これにより、表示部16は、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」を、BTペアリング候補の一つとして表示する。一方、記憶部13は、スレーブ機器3のBDアドレスおよび専用機器名「鈴木機器」を格納していない。したがって、判定部15は、スレーブ機器3の専用機器名「鈴木機器」については、マスタ機器1に登録済みでないと判定する。これにより、表示部16は、スレーブ機器3の通常機器名「機器Y」を、BTペアリング候補の一つとして表示する。
【0032】
マスタ機器1のユーザは、BTペアリング候補として表示されたいずれかの機器名を選択するための操作をマスタ機器1に入力する。入力部14は、ユーザによる機器名の選択入力を受け付ける(ステップS16)。入力部14は、選択された機器名をBT通信部12に通知する。BT通信部12は、通知された機器名に対応するスレーブ機器とのBTペアリングを確立する(S17)。例えば、ユーザが「山崎機器」を選択した場合、BT通信部12は、「山崎機器」に対応するスレーブ機器2とのBTペアリングを確立する(ステップS17)。
【0033】
(画面表示例)
図4は、本発明の第1実施形態に係るマスタ機器1の画面に一覧表示されるBTペアリング候補の各スレーブ機器の一例を示す図である。この図の例では、マスタ機器1が、スレーブ機器2、スレーブ機器3、および図示しない他のスレーブ機器とのいずれかとBTペアリングを行う際に、表示部16が表示する画面の一例を示す。さらに、他のスレーブ機器には、他のスレーブ機器を所持するユーザ(田中氏)の個人名を含む「田中機器」が、他のスレーブ機器として専用機器名として設定されているものとする。また、マスタ機器1は、他のスレーブ機器に設定されている専用機器名「田中機器」を、事前に取得していないものとする。
図4の例では、表示部16は、BTペアリング候補の一覧として、画面内の上から順に、スレーブ機器3の通常機器名「機器Y」、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」、および図示しない他のスレーブ機器の通常機器名「機器Z」を表示する。
【0034】
マスタ機器1のユーザ(山崎氏)は、
図4の画面を視認することによって、マスタ機器1にBTペアリングさせたい自身のスレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」が表示されていることを確認する。
【0035】
(主要な作用効果)
図4の画面に示すように、表示部16は、NFC通信によって事前に専用機器名「山崎機器」をマスタ機器1に提供したスレーブ機器2については、BTペアリングの候補の一つとして、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」を表示する。一方、NFC通信によってマスタ機器1に事前に専用機器名「鈴木機器」を提供しないスレーブ機器3については、BTペアリングの候補の一つとして、スレーブ機器3の通常機器名「機器Y」を表示する。他のスレーブ機器についても、BTペアリングの候補の一つとして、他のスレーブ機器の専用機器名「田中機器」ではなく、他のスレーブ機器の通常機器名「機器Z」を表示する。したがって、マスタ機器1のユーザは、画面内の「山崎機器」を視認することによって、表示された複数のスレーブ機器の中から自身のスレーブ機器2を容易に見つけ出し、かつ選択することができる。その結果、自身のスレーブ機器2を確実にマスタ機器1とペアリングさせることができる。
【0036】
さらに、例えば他のマスタ機器のユーザ(鈴木氏)が、NFC通信機能がオンにされたスレーブ機器2に、NFC通信機能がオンにされた他のマスタ機器を近づけたとする。これにより、スレーブ機器2のNFC通信部21は、NFC通信によって他のマスタ機器を検出する。次に、表示部26は、他のマスタ機器とのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。スレーブ機器2のユーザ(山崎氏)は、他のマスタ機器は自身が所持する機器ではないため、他のマスタ機器とのNFC通信を許可しない操作を、スレーブ機器2に入力する。これにより、スレーブ機器2と他のマスタ機器との間でNFC通信が行われないため、他のマスタ機器は、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」をNFC通信によってスレーブ機器2から受信することがない。その結果、他のマスタ機器は、BT通信可能なスレーブ機器2を発見したとしても、BTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」ではなく、スレーブ機器2の通常機器名「機器X」を表示することになる。これにより、スレーブ機器2のユーザ(山崎氏)の個人情報を含む「山崎機器」が、他のマスタ機器のユーザ(鈴木氏)に漏洩することを、防止することができる。
【0037】
(変形例)
図5は、本発明の第1実施形態に係るマスタ機器1の画面に一覧表示されるBTペアリング候補の各スレーブ機器の別例を示す図である。この図の例では、マスタ機器1が、スレーブ機器2、スレーブ機器3、および図示しない他のスレーブ機器とのいずれかとBTペアリングを行う際に、表示部16が表示する画面の別例を示す。
図5に示すように、表示部16は、スレーブ機器2(一方の第1通信機器)の専用機器名「山崎機器」を、スレーブ機器3(他方の第1通信機器)の通常機器名「機器Y」および他のスレーブ機器(他方の第1通信機器)の通常機器名「機器Z」よりも優先的に表示する。具体的には、スレーブ機器2の専用機器名「山崎機器」を、スレーブ機器3の通常機器名「機器Y」および他のスレーブ機器の通常機器名「機器Z」の上部に表示する。これにより、マスタ機器1のユーザは、優先表示された専用機器名「山崎機器」を画面内において迷わず発見することができる。したがって、スレーブ機器2をスムースにマスタ機器1にBTペアリングさせることができる。
【0038】
〔実施形態2〕
図6は、本発明の第2実施形態に係るマスタ機器1A、スレーブ機器2A、およびスレーブ機器3Aの構成を示すブロック図である。マスタ機器1Aは、例えばパーソナルコンピュータとして実現され、スレーブ機器2Aおよびスレーブ機器3Aは、例えばワイヤレスヘッドホン、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスマウス、またはワイヤレスキーボードとして実現される。マスタ機器1Aおよびスレーブ機器2Aは、「山崎氏」というユーザが所持する電子機器である。スレーブ機器3Aは、「鈴木氏」というユーザが所持する電子機器である。言い換えると、マスタ機器1Aおよびスレーブ機器2Aは、同一の第1ユーザが所持する電子機器であり、スレーブ機器3Aは、第1ユーザと異なる第2ユーザが所持する電子機器である。
【0039】
マスタ機器1Aは、実施形態1に係るマスタ機器1が備える各部材を同様に備えている。マスタ機器1Aは、専用機器名設定部17(第1設定部、登録部)をさらに備えている。スレーブ機器2A(第2通信機器)は、NFC通信部21、BT通信部22、および記憶部23を備えている。すなわち、スレーブ機器2Aは、実施形態1に係るスレーブ機器2とは異なり、入力部24、専用機器名設定部25、および表示部26を備えていない。スレーブ機器3Aは、NFC通信部31、BT通信部32、および記憶部33を備えている。すなわち、スレーブ機器3Aは、実施形態1に係るスレーブ機器3とは異なり、入力部34、専用機器名設定部35、および表示部36を備えていない。
【0040】
マスタ機器1A、スレーブ機器2A、およびスレーブ機器3Aは、いずれもBT通信可能な電子機器である。マスタ機器1A、スレーブ機器2A、およびスレーブ機器3Aは、いずれも、NFC通信可能な電子機器でもある。
【0041】
スレーブ機器2Aが専用機器名設定部25を備えていないので、スレーブ機器2Aのユーザは、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」を、スレーブ機器2Aに設定することはできない。したがって、スレーブ機器2Aの記憶部23は、スレーブ機器2Aの通常機器名「機器X」を格納しているが、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」を格納していない。すなわち、スレーブ機器2Aは、NFC通信可能であると共に専用機器名が設定されない電子機器である。同様に、スレーブ機器3Aが専用機器名設定部35を備えていないので、スレーブ機器3Aのユーザ(鈴木氏)は、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」を、スレーブ機器3Aに設定することはできない。すなわち、スレーブ機器3Aは、NFC通信可能であると共に専用機器名が設定されない電子機器である。
【0042】
(専用機器名の登録処理)
図7は、本発明の第2実施形態に係るスレーブ機器2Aの専用機器名をマスタ機器1Aに登録する際にマスタ機器1Aによって実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。上述したように、スレーブ機器2Aの記憶部23はスレーブ機器2Aの専用機器名を格納していないため、マスタ機器1Aは、スレーブ機器2Aの専用機器名をNFC通信によってスレーブ機器2Aから受信することができない。そこで、本実施形態では、マスタ機器1Aの専用機器名設定部17が、スレーブ機器2Aの代わりにスレーブ機器2Aの専用機器名を設定し、かつマスタ機器1Aに登録する。
【0043】
マスタ機器1Aおよびスレーブ機器2Aのユーザは、スレーブ機器2Aの専用機器名をマスタ機器1Aに登録するために、マスタ機器1Aおよびスレーブ機器2AのNFC通信機能をオンにし、両者を互いに近づける。これにより、マスタ機器1AのNFC通信部11は、NFC通信によってスレーブ機器2を検出する。次に、表示部16は、スレーブ機器2AとのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。マスタ機器1Aのユーザは、スレーブ機器2AとのNFC通信を許可する操作を、マスタ機器1Aに入力する。入力部14によってこの操作入力が検出されると、NFC通信部11は、スレーブ機器2AとNFC接続することによって、スレーブ機器2AとのNFC通信を開始する(ステップS21)。
【0044】
マスタ機器1AのNFC通信部11は、スレーブ機器2AのBDアドレスの送信を、NFC通信によってスレーブ機器2Aに要求する(ステップS22)。スレーブ機器2AのNFC通信部21は、この要求を受信すると、スレーブ機器2AのBDアドレスを記憶部23から読み出し、NFC通信によってマスタ機器1Aに送信する。マスタ機器1AのNFC通信部11は、スレーブ機器2Aから送信されたスレーブ機器2AのBDアドレスを、NFC通信によって受信したか否かを判定する(ステップS23)。NFC通信部11は、BDアドレスを受信していないと判定した場合(ステップS23においてNO)、スレーブ機器2AのBDアドレスを、NFC通信によってスレーブ機器2Aに再び要求する。このように、NFC通信部11は、スレーブ機器2AのBDアドレスをスレーブ機器2Aから受信するまで、BDアドレスの送信をスレーブ機器2Aに繰り返し要求する。
【0045】
NFC通信部11は、スレーブ機器2AのBDアドレスをスレーブ機器2Aから受信した場合(ステップS23においてYES)、受信したBDアドレスを判定部15に通知する。判定部15は、通知されたスレーブ機器2AのBDアドレスと、当該BDアドレスに対応するスレーブ機器2Aの専用機器名とが、マスタ機器1Aに登録済みか否かを判定する(ステップS24)。専用機器名設定部25は、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名が記憶部13に格納されている場合、これらがマスタ機器1Aに登録済みであると判定する。一方、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名が記憶部13に格納されていない場合、これらがマスタ機器1Aに登録済みではないと判定する。
【0046】
判定部15は、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名がマスタ機器1Aに登録済みであると判定した場合(ステップS24においてYES)、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名をマスタ機器1Aに再度登録しない。この後、
図7に示す一連の処理は終了する。一方、判定部15は、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名がマスタ機器1Aに登録済みではないと判定した場合(ステップS24においてNO)、その旨を専用機器名設定部17に通知する。専用機器名設定部17は、この通知を受けると、スレーブ機器2Aの専用機器名を設定する(ステップS25)。
【0047】
その手順は次の通りである。マスタ機器1Aの表示部16は、スレーブ機器2Aの専用機器名の入力を促すメッセージを表示する。このメッセージを視認したユーザは、設定したい専用機器名として「山崎機器」をマスタ機器1Aに入力する。入力部14は、この入力を受け付けて、入力された「山崎機器」を表示部16に通知する。表示部16は、通知された「山崎機器」を表示する。ユーザは、入力した「山崎機器」が正しく表示されたことを確認すると、この専用機器名の設定を確定するための操作をマスタ機器1Aに対して入力する。入力部14は、この入力を受け付けて、「山崎機器」を専用機器名設定部17に通知する。専用機器名設定部17は、通知された「山崎機器」を、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」として設定する。さらに、スレーブ機器2AのBDアドレスに専用機器名「山崎機器」を関連付けて記憶部13に格納することによって、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」をマスタ機器1Aに登録する。この後、
図7に示す一連の処理は終了する。
【0048】
以上のようにして、スレーブ機器2AのBDアドレスおよび専用機器名が、マスタ機器1Aに登録される。一方、スレーブ機器3Aの記憶部33には、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」が格納されていない。そのため、スレーブ機器3Aのユーザ(山崎氏)が、NFC通信機能がオンにされたマスタ機器1Aに、NFC通信機能がオンにされたスレーブ機器3Aを近づけたとしても、NFC通信部11は、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」をスレーブ機器3Aから受信することはない。これにより、マスタ機器1Aは、BT通信する前に、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」を把握することはない。また、マスタ機器1Aのユーザ(山崎氏)は、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」を事前に把握していないので、スレーブ機器3Aの専用機器名「鈴木機器」をマスタ機器1Aに設定することができない。
【0049】
本実施形態におけるBTペアリングの処理の流れは、実施形態1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。マスタ機器1Aの表示部16は、BTペアリング候補の一覧を表示する際、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」がマスタ機器1Aに格納されている場合、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」を表示する。一方、スレーブ機器3Aの専用機器名がマスタ機器1Aに登録されていない場合、スレーブ機器3Aの通常機器名「機器Y」を表示する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、マスタ機器1Aは、自ら専用機器名を設定することができないスレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」を、スレーブ機器2Aの代わりに設定することができる。したがって、自ら専用機器名を設定することができないスレーブ機器2Aについても、BTペアリングの際に、その専用機器名「山崎機器」を表示することができるので、スレーブ機器2AのユーザにBTペアリング先としてスレーブ機器2Aを容易に選択させることができる。
【0051】
さらに、スレーブ機器2Aの記憶部33には専用機器名「山崎機器」が格納されていないため、NFC通信可能な他のマスタ機器とスレーブ機器2Aとが仮にNFC通信したとしても、他のマスタ機器は、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」をスレーブ機器2Aから受信することはない。これにより、スレーブ機器2Aの専用機器名「山崎機器」が他のマスタ機器のユーザに漏洩することを防止することができる。
【0052】
〔実施形態3〕
図8は、本発明の第3実施形態に係るマスタ機器1Bおよびスレーブ機器2Bの構成を示すブロック図である。マスタ機器1Bは、例えばパーソナルコンピュータとして実現され、スレーブ機器2Bは、例えばワイヤレスヘッドホン、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスマウス、またはワイヤレスキーボードとして実現される。マスタ機器1Bおよびスレーブ機器2Bは、「山崎氏」というユーザが所持する電子機器である。言い換えると、マスタ機器1Bおよびスレーブ機器2Bは、同一の第1ユーザが所持する電子機器である。
【0053】
マスタ機器1Bは、実施形態1に係るマスタ機器1が備える各部材を同様に備えている。マスタ機器1Bは、専用機器名設定部17(第2設定部、登録部)をさらに備えている。スレーブ機器2B(第3通信機器)は、BT通信部22、および記憶部23を備えている。すなわち、スレーブ機器2Bは、実施形態1に係るスレーブ機器2とは異なり、NFC通信部21、入力部24、専用機器名設定部25、および表示部26を備えていない。
【0054】
マスタ機器1Bおよびスレーブ機器2Bは、いずれもBT通信可能な電子機器である。マスタ機器1Bは、NFC通信可能な電子機器でもある。スレーブ機器2Bは、NFC通信部21を備えていないので、NFC通信不可能な機器でもある。スレーブ機器2Bが専用機器名設定部25を備えていないので、スレーブ機器2Bのユーザは、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」を、スレーブ機器2Bに設定することはできない。したがって、スレーブ機器2Bの記憶部23は、スレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」を格納しているが、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」を格納していない。すなわち、スレーブ機器2Bは、NFC通信が不可能であると共に専用機器名が設定されない電子機器である。
【0055】
(BTペアリングおよび専用機器名の登録処理)
図9は、本発明の第3実施形態に係るマスタ機器1Bが、あるスレーブ機器とBTペアリングする際の一連の処理の流れを示すフローチャート図である。上述したように、スレーブ機器2BがNFC通信機能を有していないため、マスタ機器1Bは、スレーブ機器2BとNFC通信することができない。また、スレーブ機器2Bの記憶部23がスレーブ機器2Bの専用機器名を格納していないため、マスタ機器1Bは、スレーブ機器2Bの専用機器名をスレーブ機器2Bから受信することもできない。そこで、本実施形態では、マスタ機器1Bの専用機器名設定部17が、マスタ機器1Bとスレーブ機器2Bとが初めてBTペアリングする際に、スレーブ機器2Bの専用機器名を設定し、かつマスタ機器1Bに登録する。
【0056】
マスタ機器1Bおよびスレーブ機器2Bのユーザ(山崎氏)は、マスタ機器1Bおよびスレーブ機器2BのBT通信機能をオンにする。マスタ機器1BのBT通信部12は、BT通信可能なスレーブ機器を検索する(ステップS31)。ここでは、スレーブ機器2Bが発見されたものとする。BT通信部12は、発見されたスレーブ機器2Bから、スレーブ機器2BのBDアドレスおよび通常機器名「機器X」を受信する(ステップS32)。BT通信部12は、受信したBDアドレスおよび通常機器名「機器X」を、判定部15に通知する。
【0057】
判定部15は、通知されたBDアドレスに対応するスレーブ機器2Bの専用機器名が、マスタ機器1に登録済みであるか否かを判定する(ステップS33)。その際、判定部15は、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部13に格納されている場合、スレーブ機器2Bの専用機器名がマスタ機器1Bに登録済みであると判定する。一方、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部13に格納されていない場合、スレーブ機器2Bの専用機器名がマスタ機器1Bに登録済みでないと判定する。
【0058】
表示部16は、スレーブ機器2Bの専用機器名がマスタ機器1Bに登録済みであると判定された場合(ステップS33においてYES)、BT通信可能な通信相手として、すなわちBTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器2Bの専用機器名を表示する(ステップS34)。一方、スレーブ機器2Bの専用機器名がマスタ機器1Bに登録済みでないと判定された場合(ステップS33においてNO)、BT通信可能な通信相手として、すなわちBTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」を表示する(ステップS35)。
【0059】
マスタ機器1Bとスレーブ機器2Bとが初めてBTペアリングする時点では、スレーブ機器2Bの専用機器名はマスタ機器1Bに登録されていない。したがって、スレーブ機器2Bの表示部26は、BTペアリングの候補の一つとして、スレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」を表示する。専用機器名設定部17は、マスタ機器1Bとスレーブ機器2Bとが初めてBTペアリングする際にスレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」が表示された場合、スレーブ機器2Bの専用機器名を設定する(ステップS36)。
【0060】
その手順は次の通りである。マスタ機器1Bの表示部16は、スレーブ機器2Bの専用機器名の入力を促すメッセージを表示する。このメッセージを視認したユーザは、設定したい専用機器名として「山崎機器」をマスタ機器1Bに入力する。入力部14は、この入力を受け付けて、入力された「山崎機器」を表示部16に通知する。表示部16は、通知された「山崎機器」を表示する。ユーザは、入力した「山崎機器」が正しく表示されたことを確認すると、この専用機器名の設定を確定するための操作をマスタ機器1Bに対して入力する。入力部14は、この入力を受け付けて、「山崎機器」を専用機器名設定部17に通知する。専用機器名設定部17は、通知された「山崎機器」を、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」として設定する。さらに、スレーブ機器2BのBDアドレスに専用機器名「山崎機器」を関連付けて記憶部13に格納することによって、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」をマスタ機器1Bに登録する。表示部16は、表示済みのスレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」に代えて、登録された専用機器名「山崎機器」を、BTペアリング候補の一つとして表示する。
【0061】
マスタ機器1Bのユーザは、BTペアリング候補として表示されたいずれかの機器名を選択するための操作をマスタ機器1Bに入力する。入力部14は、ユーザによる機器名の選択入力を受け付ける(ステップS37)。入力部14は、選択された機器名をBT通信部12に通知する。BT通信部12は、通知された機器名に対応するスレーブ機器とのBTペアリングを確立する(ステップS38)。例えば、ユーザが「山崎機器」を選択した場合、BT通信部12は、「山崎機器」に対応するスレーブ機器2Bと、マスタ機器1BとのBTペアリングを確立する。
【0062】
本実施形態では、専用機器名設定部17は、マスタ機器1Bとスレーブ機器2Bとが初めてBTペアリングする際、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」をマスタ機器1Bに登録する。この後、マスタ機器1Bとスレーブ機器2Bと再びBTペアリングする際には、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」がマスタ機器1Bに登録されているので、表示部16は、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」を、BTペアリング候補の一つとして表示する。このように、自ら専用機器名を設定することができないスレーブ機器2Bについても、2度目以降のBTペアリングの際に、その専用機器名「山崎機器」を表示することができるので、マスタ機器1BのユーザにBTペアリング先としてスレーブ機器2Bを容易に選択させることができる。
【0063】
また、本実施形態において、スレーブ機器2BのBT通信機能がオンになっている際に、他のユーザが、自身が所持する他のマスタ機器とスレーブ機器とをBTペアリングさせるために、他のマスタ機器のBT通信機能をオンにしたとする。その際、他のマスタ機器は、BT通信可能なスレーブ機器を検索することによって、スレーブ機器2Bを発見することなる。そして、他のマスタ機器は、スレーブ機器2BのBDアドレスおよび通常機器名「機器X」を、スレーブ機器2Bから受信する。しかし、スレーブ機器2Bの記憶部23は、スレーブ機器2Bの専用機器名「山崎機器」を格納していないため、他のマスタ機器は、スレーブ機器2Bから専用機器名「山崎機器」を受信することがない。したがって、他のマスタ機器の表示部は、BTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器2Bの通常機器名「機器X」を表示する。このように、本実施形態では、スレーブ機器2Bのユーザ(山崎氏)の個人情報を含む「山崎機器」が他のユーザに漏洩することを防止できる。
【0064】
〔実施形態4〕
図10は、本発明の第4実施形態に係るマスタ機器1C、スレーブ機器2C、およびスレーブ機器3Cの構成を示すブロック図である。マスタ機器1Cは、例えばパーソナルコンピュータとして実現され、スレーブ機器2Cおよびスレーブ機器3Cは、例えばスマートフォンとして実現される。マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cは、「山崎氏」というユーザが所持する電子機器である。スレーブ機器3Cは、「鈴木氏」というユーザが所持する電子機器である。言い換えると、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cは、同一の第1ユーザが所持する電子機器であり、スレーブ機器3Cは、第1ユーザと異なる第2ユーザが所持する電子機器である。
【0065】
マスタ機器1Cの構成は、実施形態3に係るマスタ機器1Bの構成と同一である。ただし、本実施形態では、専用機器名設定部17(第3設定部、登録部)は、マスタ機器1Cの専用機器名を、マスタ機器1Cに設定する。スレーブ機器2C(第1通信機器)は、実施形態1に係るスレーブ機器2が備える各部材を備えている。スレーブ機器2Cは、判定部27をさらに備えている。スレーブ機器3Cの構成は、実施形態1に係るスレーブ機器3と同一である。
【0066】
マスタ機器1C、スレーブ機器2C、およびスレーブ機器3Cは、いずれもBT通信可能な電子機器である。マスタ機器1C、スレーブ機器2C、およびスレーブ機器3Cは、いずれも、NFC通信可能な電子機器でもある。
【0067】
本実施形態では、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cのユーザ(山崎氏)は、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」をマスタ機器1Cに設定すると共に、スレーブ機器2Cの専用機器名「山崎機器」をスレーブ機器2Cに登録する。マスタ機器1Cにおける専用機器名「山崎PC」の設定方法は、基本的に、スレーブ機器2における専用機器名「山崎機器」の設定方法と同一であるため、その詳細な説明を省略する。簡潔に言えば、専用機器名設定部17は、マスタ機器1Cの入力部14がユーザから受け付けた専用機器名「山崎PC」を、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」として設定する。さらに、マスタ機器1CのBDアドレスに専用機器名「山崎PC」を関連付けて記憶部13に格納することによって、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」をマスタ機器1Cに登録する。
【0068】
本実施形態では、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cは、NFC通信によって、自身のBDアドレスおよび専用機器名を相互に送受信する。具体的には、実施形態1と同様に、スレーブ機器2CのNFC通信部21は、スレーブ機器2CのBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を、NFC通信によってマスタ機器1Cに送信する。この結果、マスタ機器1CのNFC通信部11は、スレーブ機器2Cから送信されたBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を、NFC通信部11によって受信する。NFC通信部11は、受信したBDアドレスおよび専用機器名「山崎機器」を記憶部13に格納することによって、スレーブ機器2Cの専用機器名「山崎機器」をマスタ機器1Cに登録する。
【0069】
本実施形態では、さらに、マスタ機器1CのNFC通信部11は、マスタ機器1CのBDアドレスおよび専用機器名「山崎PC」を、NFC通信によってスレーブ機器2Cに送信する。この結果、スレーブ機器2CのNFC通信部21は、マスタ機器1Cから送信されたBDアドレスおよび専用機器名「山崎PC」を、NFC通信によって受信する。NFC通信部21は、受信したBDアドレスおよび専用機器名「山崎PC」を記憶部23に格納することによって、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」をスレーブ機器2Cに登録する。
【0070】
本実施形態では、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cのユーザ(山崎氏)は、実施形態1と同様に、マスタ機器1CのBTペアリング先であるスレーブ機器2Cを、マスタ機器1Cにおいて選択することができる。その際、マスタ機器1Cの表示部16は、スレーブ機器2Cの専用機器名がマスタ機器1Cに登録されているため、BTペアリング候補の一つとして、スレーブ機器2Cの専用機器名「山崎機器」を表示する。
【0071】
本実施形態では、さらに、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cのユーザ(山崎氏)は、スレーブ機器2CのBTペアリング先であるマスタ機器1Cを、スレーブ機器2Cにおいて選択することもできる。その際にスレーブ機器2Cによって実行される処理の流れを、
図11を参照して以下に説明する。
【0072】
(BTペアリング処理)
図11は、スレーブ機器2Cが、あるマスタ機器とBTペアリングする際の一連の処理の流れを示すフローチャート図である。マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cのユーザ(山崎氏)は、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2CのBT通信機能をオンにする。これにより、スレーブ機器2CのBT通信部22は、BT通信可能なマスタ機器を検索する(ステップS41)。ここでは、マスタ機器1Cが発見されたものとする。BT通信部22は、検索されたマスタ機器1Cから、マスタ機器1CのBDアドレスおよび通常機器名を受信する(ステップS42)。BT通信部22は、受信したBDアドレスおよび通常機器名を、判定部27に通知する。
【0073】
判定部27は、通知されたBDアドレスに対応するマスタ機器1Cの専用機器名が、スレーブ機器2Cに登録済みであるか否かを判定する(ステップS43)。その際、判定部27は、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部23に格納されている場合、マスタ機器1Cの専用機器名が、スレーブ機器2Cに登録済みであると判定する。一方、通知されたBDアドレスと、当該BDアドレスに関連付けられる専用機器名とが、記憶部23に格納されていない場合、マスタ機器1Cの専用機器名がスレーブ機器2Cに登録済みでないと判定する。
【0074】
表示部26は、マスタ機器1Cの専用機器名がスレーブ機器2Cに登録済みであると判定部27によって判定された場合(ステップS43においてYES)、マスタ機器1Cの専用機器名を表示する(ステップS44)。一方、マスタ機器1Cの専用機器名がスレーブ機器2Cに登録済みでないと判定部27によって判定された場合(ステップS43においてNO)、マスタ機器1Cの通常機器名を表示する(ステップS45)。
【0075】
上述したように、記憶部23は、マスタ機器1CのBDアドレスおよび専用機器名「山崎PC」を、互いに関連付けた状態で格納している。したがって、判定部27は、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」がスレーブ機器2Cに登録済みであると判定する。これにより、表示部26は、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」を、BTペアリング候補の一つとして表示する。
【0076】
スレーブ機器2Cのユーザは、BTペアリング候補として表示されたいずれかの機器名を選択するための操作をスレーブ機器2Cに入力する。入力部24は、ユーザによる機器名の選択入力を受け付ける(ステップS46)。入力部24は、選択された機器名をBT通信部22に通知する。BT通信部22は、通知された機器名に対応するマスタ機器1CとのBTペアリングを確立する(ステップS47)。例えば、ユーザが「山崎PC」を選択した場合、BT通信部22は、「山崎PC」に対応するマスタ機器1CのBT通信部12とBT通信することによって、マスタ機器1CとのBTペアリングを確立する。この後、
図11に示す処理は終了する。
【0077】
(主要な作用効果)
以上のように、本実施形態では、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cは、NFC通信によって、自身のBDアドレスおよび専用機器名を相互に送受信する。したがって、マスタ機器1Cおよびスレーブ機器2Cのユーザは、マスタ機器1Cの画面内の「山崎機器」を視認することによって、マスタ機器1CのBTペアリング相手として、自身のスレーブ機器2Cを容易に選択することができる。あるいは、スレーブ機器2Cの画面内の「山崎PC」を視認することによって、スレーブ機器2CのBTペアリング相手として、自身のマスタ機器1Cを容易に選択することもできる。
【0078】
本実施形態では、実施形態1と同様の理由で、スレーブ機器2Cの専用機器名「山崎機器」が他のユーザに漏洩することを防止することができる。さらに、例えばスレーブ機器3Cのユーザ(鈴木氏)が、NFC通信機能がオンにされたマスタ機器1Cに、NFC通信機能がオンにされたスレーブ機器3Cを近づけたとする。これにより、マスタ機器1CのNFC通信部11は、NFC通信によってスレーブ機器3Cを検出する。次に、表示部16は、スレーブ機器3CとのNFC通信を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示する。マスタ機器1Cのユーザ(山崎氏)は、スレーブ機器3Cは自身が所持する機器ではないため、スレーブ機器3CとのNFC通信を許可しない操作を、マスタ機器1Cに入力する。これにより、マスタ機器1Cとスレーブ機器3Cとの間でNFC通信が行われないため、スレーブ機器3Cは、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」をNFC通信によってマスタ機器1Cから受信することがない。その結果、スレーブ機器3Cは、BT通信可能なマスタ機器1Cを発見したとしても、BTペアリング候補の一つとして、マスタ機器1Cの専用機器名「山崎PC」ではなく、マスタ機器1Cの通常機器名「機器A」を表示することになる。これにより、マスタ機器1Cのユーザ(山崎氏)の個人情報を含む「山崎PC」が、スレーブ機器3Cのユーザ(鈴木氏)に漏洩することを、防止することができる。
【0079】
〔全実施形態に共通する変形例〕
上述したNFC通信は、マスタ機器1およびスレーブ機器2が実行可能な近距離無線通信の一例に過ぎない。マスタ機器1は、NFC通信以外の他の近距離無線通信(例えばRFID通信)によって、スレーブ機器2のBDアドレスおよび専用機器名をスレーブ機器2から受信してもよい。上述したBT通信は、近距離無線通信とは異なる他の無線通信の一例に過ぎない。マスタ機器1は、BT通信以外の他の無線通信(例えばWiFi(登録商標)通信)によって、スレーブ機器2と無線通信してもよい。
【0080】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る通信機器は、近距離無線通信と、前記近距離無線通信とは異なる他の無線通信とが可能な第1通信機器に設定された前記第1通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器から受信する第1受信部と、受信した前記専用機器名を登録する登録部と、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信によって前記第1通信機器から受信する第2受信部と、前記第1通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第1通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する表示部とを備えている構成である。
【0081】
本発明の態様2に係る通信機器は、前記の態様1において、前記第2受信部は、異なる複数の前記第1通信機器の各通常機器名を受信し、前記表示部は、一方の前記第1通信機器の専用機器名が登録されており、かつ他方の前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、一方の前記第1通信機器の前記専用機器名を、他方の前記第1通信機器の前記通常機器名よりも優先的に表示する構成としてもよい。
【0082】
本発明の態様3に係る通信機器は、前記の態様1または2において、前記通信機器は、前記近距離無線通信および前記他の無線通信が可能であると共に専用機器名が設定されていない第2通信機器の専用機器名を設定する第1設定部をさらに備えており、前記登録部は、前記第2通信機器の専用機器名を登録し、前記第2受信部は、前記第2通信機器の通常機器名を受信し、前記表示部は、前記第2通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第2通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第2通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第2通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する構成としてもよい。
【0083】
本発明の態様4に係る通信機器は、前記の態様1~3のいずれかにおいて、前記通信機器は、前記近距離無線通信が不可能でありかつ前記他の無線通信が可能な第3通信機器の専用機器名を設定する第2設定部をさらに備えており、前記登録部は、前記第3通信機器の専用機器名を登録し、前記第2受信部は、前記第3通信機器の通常機器名を受信し、前記表示部は、前記第3通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第3通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第3通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第3通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する構成としてもよい。
【0084】
本発明の態様5に係る通信機器は、前記の態様1~4のいずれかにおいて、前記通信機器は、前記通信機器の専用機器名を設定する第3設定部と、設定された前記通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器に送信する送信部とを備えている構成としてもよい。
【0085】
本発明の態様6に係る通信機器は、前記の態様1~5のいずれかにおいて、前記近距離無線通信は、NFC通信であり、前記他の無線通信は、BT通信である構成としてもよい。
【0086】
本発明の態様7に係る通信方法は、近距離無線通信と、前記近距離無線通信とは異なる他の無線通信とが可能な第1通信機器に設定された前記第1通信機器の専用機器名を、前記近距離無線通信によって前記第1通信機器から受信する第1受信工程と、受信した前記専用機器名を登録する登録工程と、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信によって前記第1通信機器から受信する第2受信工程と、前記第1通信機器の専用機器名が登録されている場合、前記第1通信機器の専用機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示し、前記第1通信機器の専用機器名が登録されていない場合、前記第1通信機器の通常機器名を、前記他の無線通信が可能な通信相手として表示する表示工程とを有する方法である。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
マスタ機器1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、マスタ機器1に含まれるNFC通信部11、BT通信部12、判定部15、および表示部16)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0088】
この場合、前記装置は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも一つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも一つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0089】
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前記装置に供給されてもよい。
【0090】
また、前記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0091】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることによって、新しい技術的特徴を形成することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1、1A、1B、1C マスタ機器
2、2A、2B、2C、3、3A、3C スレーブ機器
11、21、31 NFC通信部
12、22、32 BT通信部
13、23、33 記憶部
14、24、34 入力部
15、27 判定部
16、26、36 表示部
17、25、35 専用機器名設定部