(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】案内情報提供装置、案内情報提供システム、および案内情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250214BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20250214BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/015
(21)【出願番号】P 2021095103
(22)【出願日】2021-06-07
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】播金 真奈
(72)【発明者】
【氏名】平島 陽子
(72)【発明者】
【氏名】矢野 浩仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠一
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170417(JP,A)
【文献】特開2019-174264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/00
G06Q 30/00
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者における
混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者
が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービス
それぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部と、
前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象
のサービスについて、
対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者
を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動
における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動
で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定
する処理、前記混雑調整対象の
サービスの利用を回避
して前記他サービスの利用
を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する演算部と、
を有することを特徴とする案内情報提供装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記サービスに関連する各物品の属性情報を格納する物品基本情報データベースを有し、
前記演算部は、
前記物品基本情報データベースに基づき、各物品に関する所定の評価項目それぞれに関する属性情報を評価し、前記評価項目それぞれの前記評価の値を、前記記憶部において物品ごとに格納して物品評価データベースを生成し、
前記物品評価データベースに基づき、前記サービスごとに、当該サービスに関連する物品の前記評価の値の平均を項目ごとに計算し、前記平均の計算結果を項目ごとにサービス評価として格納して、サービス評価データベースを生成し、
前記
案内情報の生成に際し、前記サービス評価を参照し、前記
生起確率の高い行動で利用されるサービスと、前記評価項目それぞれの前記評価の値の特徴が最も近い
前記他サービスの利用を代替案として選定するものである、
ことを特徴とする請求項
1に記載の案内情報提供装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記混雑調整ポリシーの情報において、前記事業者が客数調整を行いたい混雑調整対象と、当該混雑調整対象に関して希望する最少及び最大の利用者数に関する値とを規定する客数調整基準を格納し、
前記演算部は、
前記提供状況の情報が示す客数の平均値と、前記客数調整基準が規定する最少の利用者数または最大の利用者数との差を基に、前記案内情報
の提供対象者とする人数を決定するものである、
ことを特徴とする請求項
1に記載の案内情報提供装置。
【請求項4】
前記演算部は、
前記案内情報
の提供対象者のうち前記案内情報に沿った行動を受入れた人数を一定時間ごとに集計し、前記最少の利用者数を達成するまで、前記案内情報
の提供対象者の選定から以後の各処理を繰り返すものである、
ことを特徴とする請求項
3に記載の案内情報提供装置。
【請求項5】
事業者における
混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者
が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービス
それぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部と、
前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象
のサービスについて、
対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者
を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動
における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動
で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定
する処理、前記混雑調整対象の
サービスの利用を回避
して前記他サービスの利用
を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する演算部と、
を有する案内情報提供装置を含むことを特徴とする案内情報提供システム。
【請求項6】
情報処理装置が、
事業者における
混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者
が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービス
それぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部を備えて、
前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象
のサービスについて、
対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者
を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動
における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動
で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定
する処理、前記混雑調整対象の
サービスの利用を回避
して前記他サービスの利用
を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する、
ことを特徴とする案内情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内情報提供装置、案内情報提供システム、および案内情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
街づくりにおいて都市を活性化させるため、市民の移動需要のコントロールについて検討されている。その背景として、混雑しやすい施設や交通機関では、その需要ピークに合わせたリソース確保が大きな負担となる一方で、利用者の少ない施設や交通機関では売上効率の低さによる諸問題が発生していることがある。
【0003】
都市全体で、施設や交通機関の効率的、持続的な経営を可能とするためには、市民の移動需要の過度な偏りを低減することが求められる。その際、施設や交通機関の運営事業者における経営資源や街づくりのポリシー等を踏まえ、市民の移動需要を適宜にコントロールすることが重要である。
【0004】
ここでの街づくりのポリシーとは、例えば、混雑を解消したい特定の時間帯の路線、区間の電車に対し、利用者を何人に減らしたいといった混雑調整ポリシーを想定できる。個々の交通機関や施設の混雑解消や誘客だけでなく、都市全体における望ましい移動ルートや時間帯での回遊の誘導も含む、市民の移動需要のマネジメント方針である。
【0005】
ところで、データを活用して市民に来店を促すことで移動需要をコントロールする方法として、ジオターゲティング技術の活用がある。そうした概念に関連する従来技術としては、たとえば、消費者が心を躍らせるようにすることで来店を促進しつつ、消費者の購買意欲が強いタイミングで消費者が関心のある商品に関するクーポンを提供する位置連動クーポン配信システム(特許文献1参照)が提案されている。
【0006】
この位置連動クーポン配信システムは、ユーザの消費者属性を入力するための入力部と、店舗で販売される商品を提供するメーカーが商品に関するクーポン情報を登録するためのクーポン登録部と、ユーザが店舗に来店したか否かを判断するための来店判断部と、ユーザの消費者属性に基づいて、店舗内で販売される商品のうちユーザにとって関心があると推測される商品の中からクーポンの配信候補の商品を複数選択する商品選択部と、ユーザが店舗に来店したタイミングで選択された複数の商品の中からランダムに選んだ商品に関するクーポンを携帯端末に配信する配信部と、を備える。
【0007】
また、将来の特定の時間帯に適合したセール情報を提供することで、店舗に来店するユーザ数の増加を図る店舗支援システム(特許文献2参照)も提案されている。
【0008】
この店舗支援システムは、時間帯を設定する時間帯設定部と、前記時間帯設定部により設定された時間帯に、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部と、前記ユーザ抽出部により抽出されたユーザにより使用される端末装置に、前記店舗の利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、を備える。
【0009】
また、スタンプラリーのようなイベントを行うことを可能とする広告システム(特許文献3参照)も提案されている。この広告システムは、携帯端末のユーザが参加者となるイベントを管理する広告管理サーバを備えた広告システムで行われる広告方法であって、広告管理サーバは、情報コードに基づき該広告管理サーバが携帯端末によってアクセスされた場合にそのアクセスの有効無効を判断し、該情報コードは、所定の複数の場所でイベン
トの対象となる旨の表示と共に表示される広告(以下、イベント広告という)に含まれており、該情報コードには個々のイベント広告の表示場所に割り当てられた場所コード、広告コード及び広告管理サーバのURL情報が含まれ、広告管理サーバには、場所コードとそれに対応するイベント広告の表示場所の情報、広告コードとそれに対応する広告情報であって携帯端末に表示される広告の情報を含む広告情報、イベントの開催期間、イベントの特典、特典の付与ルールが登録され、広告管理サーバがアクセスを有効と判断した場合に、そのアクセスを携帯端末ごとにイベント広告の表示場所と関連づけると共に該アクセスを特典の付与対象として登録し、特典の付与ルールに基づき、携帯端末ごとに特典の付与対象として登録されたアクセスに対して特典を決定し、決定した特典の情報を携帯端末に送信し、イベント開催期間の広告管理サーバへのアクセス回数をイベント広告の表示場所ごとに集計し、出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-102053号公報
【文献】特開2018-101270号公報
【文献】特開2019-114289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術のうち特許文献1が開示するシステムは、店舗間の連携を前提としないため、消費者の回遊行動を誘導できない。また、こうしたシステムを利用した場合、特定の施設等に集中的に集客が進む場合も想定され、意図しない混雑が発生する懸念もある。さらに、来店時の交通機関の利用に関するコントロールができないため、混雑している交通機関の利用がなされる可能性がある。
【0012】
また、特許文献2が開示するシステムも、やはり店舗間の連携を前提としないため、消費者の回遊行動を誘導できない。また、このシステムでは、タイムセールのタイミングや、対象となる商材を店舗毎に決定するため、複数店舗でセールが同時開催された場合、店舗間の利潤の奪い合いがおこる懸念がある。さらに、店舗近辺にはおらず、かつそれほど強くはない購買動機を持つ消費者に対して、事前にタイムセールの情報を提供しても購買行動には繋がりにくい恐れがある。また、上述の特許文献1と同様に、交通機関の利用については考慮されていない。
【0013】
また、最適な回遊ルートは、予測が難しい混雑状況や、移動手段のダイヤ変動などに代表されるリアルタイムデータにも大きく依存するため、最適なルートを規定するチェックポイントまたは店舗は、リアルタイムデータを受けて都度変化するはずである。ところが、特許文献3が開示するシステムでは、リアルタイムデータを考慮することはできず、最適な回遊ルートとは異なる回遊ルートを選択してしまう事態が生じる懸念がある。
【0014】
加えて、タイムスタンプの提供者が、予め企画および準備した回遊ルートを事前に把握した上で、消費者は、その回遊ルートに沿って移動することになる。当然であるが、消費者は移動中も常に思考をしており、その時々の思考は購買動機、消費行動に大きな影響力を持つ。特許文献3の広告システムでは、消費者の移動中の思考を考慮することはできないため、最適な回遊ルートとは異なる他の回遊ルートを選択してしまう懸念は更に増大する。
【0015】
そこで本発明の目的は、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報を提供可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明の案内情報提供装置は、事業者における混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービスそれぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部と、前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象のサービスについて、対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定する処理、前記混雑調整対象のサービスの利用を回避して前記他サービスの利用を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する演算部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の案内情報提供システムは、事業者における混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービスそれぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部と、前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象のサービスについて、対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定する処理、前記混雑調整対象のサービスの利用を回避して前記他サービスの利用を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する演算部と、を有する案内情報提供装置を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の案内情報提供方法は、情報処理装置が、事業者における混雑調整対象のサービス及び望ましい客数を規定した混雑調整ポリシー、前記事業者によるサービスの利用者が連続的に行う確率の高い一連の行動における、特定の行動の前後で行う各行動の生起確率について規定した行動パターン、及び前記サービスそれぞれの特徴について示す当該サービスの提供状況、の各情報を少なくとも保持する記憶部を備えて、前記混雑調整ポリシーで規定された混雑調整対象のサービスについて、対応する事業者の端末から得た当該サービスの利用予約情報に基づいて、利用が想定される利用者を特定する処理、当該利用者に関して前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動における前記混雑調整対象のサービスの利用の前後いずれかの行動のうち生起確率の高いものを特定する処理、前記特定した行動で利用されるサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスを前記提供状況の情報に基づき特定する処理、前記混雑調整対象のサービスの利用を回避して前記他サービスの利用を促すための迂回路候補を検索し、当該迂回路候補の情報を含む案内情報を生成する処理を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態における案内情報提供システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本実施形態における客数調整基準DBの例を示す図である。
【
図3】本実施形態における利用者行動情報DBの例を示す図である。
【
図4】本実施形態における行動パターンDBの例を示す図である。
【
図5】本実施形態における物品基本情報DBの例を示す図である。
【
図6】本実施形態における物品評価DBの例を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるサービス評価DBの例を示す図である。
【
図8】本実施形態における案内情報提供方法のフロー例を示す図である。
【
図9】本実施形態における案内情報提供方法のフロー例を示す図である。
【
図10】本実施形態における案内情報提供方法のフロー例を示す図である。
【
図11】本実施形態における案内情報提供方法のフロー例を示す図である。
【
図12】本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<システム構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の案内情報提供装置1を含む、案内情報提供システム10の構成例を示す図である。
【0022】
案内情報提供システム10は、利用者の行動履歴の分析と、サービス間のつながりの分析を行い、事業者の客数調整基準に合わせた行動変容を誘発する案内情報を提供するシステムである。
【0023】
こうした案内情報提供システム10は、例えば、案内情報提供装置1と、利用者端末3と、店舗端末4と、交通事業者端末5と、SNS情報抽出機6が、ネットワーク2を介して接続して構成される情報処理システムである。
【0024】
案内情報提供装置1は、ハードウェアとして、プログラムや種々のデータを格納する記憶部11と、プログラムを実行する演算部であるCPU(Central Processing Unit)と、ネットワーク2を介して通信を行う通信I/F13を有している。こうしたハードウェア構成については、案内情報提供システム10を構成する他の装置である、利用者端末3、店舗端末4、交通事業者端末5、及びSNS情報抽出機6についても同様に備える。ただし、利用者端末3、店舗端末4、交通事業者端末5は、いずれも、さらに表示部を有している。
【0025】
利用者端末3は、利用者が保持するスマートフォン等の携帯端末である。また、店舗端末4、及び交通事業者端末5は、PC(Personal Computer)、或いは携帯端末を想定できる。
【0026】
案内情報提供装置1は、人の行動分析、サービスのつながりの分析、及び案内情報の生成を行う情報処理装置となる。こうした案内情報提供装置1の記憶部11は、分析プログラム100と、データベース110を記憶する。
【0027】
データベース110は、客数調整基準DB200、利用者行動情報DB300、行動パターンDB400、物品基本情報DB500、物品評価DB600、及びサービス評価DB700、を含む。これらデータベースの構成例については後述する(なお、以降の説明では、各データベースに付した符号は、DBまたはそのDBの情報を指すことがある。例えば、客数調整基準情報200、利用者行動情報300等、と記載することがある)。
【0028】
また、分析プログラム100は、行動パターン分析部101、サービス情報分析部102、提供ユーザ選定部103、及び案内情報選定部104、の各機能を実装するものとなる。分析プログラム100がCPU12で実行されることで、上述の機能101~104が実現される。なお、分析プログラム100は、上記6つの機能を同時に実装する必要はなく、各機能別のプログラムが集合したものでもよい。
【0029】
また、利用者端末3は、利用者が保有する通信機器である。利用者端末3は、店舗端末4との間で、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)といった近距離無線通信によりデータ通信可能としてもよい。
【0030】
利用者端末3は、衛星測位システムを利用して、衛星からの信号を受信して現在位置を
測位する測位機能を有してもよい。利用者端末3は、こうして取得した位置情報810や、利用者端末3を用いて利用者が購入した商品やサービスの購入履歴情報820を、案内情報提供装置1に提供する。なお、利用者端末3は、案内情報提供装置1から配信された案内情報を、ディスプレイ等の表示手段に表示して利用者に閲覧させ、当該利用者が選択した、すなわち採用および行動変容に用いた案内情報について、案内情報提供装置1にフィードバックする。
【0031】
店舗端末4は、店舗で用いられるコンピュータであり、当該店舗の管理・運営で用いる、利用予約情報830やPOSデータ850や仕入れ記録情報840といった各種の業務データ類を、案内情報提供装置1に適宜提供する。
【0032】
また、この店舗端末4は、無線LANやBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信モジュールを有するとしてもよい。その場合、店舗端末4は、利用者端末3と通信して、当該利用者端末3を操作する利用者による、店舗利用の履歴等を記録することを想定できる。
【0033】
また、交通事業者端末5は、交通事業者が用いるコンピュータであり、例えば、駅務管理システム等における改札入出場記録情報860や客数統計値情報870を、案内情報提供装置1に提供する。客数統計値情報870は、列車など車両の加重センサー等における観測データを基に算定された、当該列車での平均乗車数を表す。また、改札入出場記録情報860は、利用者が交通系ICカード等を用いて駅改札を入出場するときの情報を記録したデータである。
【0034】
また、SNS情報抽出機6は、SNS(Social Network System)上で公開されている情報や、或いは、利用者端末3などで管理されている、各種サービスに関する情報すなわちSNS情報を取得し、これを案内情報提供装置1に提供する情報処理装置である。
【0035】
このSNS情報抽出機6は、その記憶部に、情報抽出部61の機能と、サービス評判DB880を有する情報抽出プログラム60を記憶している。この情報抽出プログラム60がCPUで実行されることでこれらの機能が実現され、上記のSNS情報を抽出し案内情報提供装置1に提供する。
【0036】
<案内情報提供装置の機能について>
次に、案内情報提供装置1の各機能部について説明する。まず、分析プログラム100の行動パターン分析部101は、通信I/F13を介して,利用者端末3から位置情報810、および購入履歴820を取得する。
【0037】
また、行動パターン分析部101は、店舗端末4から利用予約情報830とPOSデータ850を取得する。また、行動パターン分析部101は、交通事業者端末5から改札入出場記録860を取得する。
【0038】
そして、行動パターン分析部1010は、上述のように取得した位置情報810、購入履歴820、利用予約情報830、POSデータ850、及び改札入出場記録860を、利用者ごとに時系列順に並べて、利用者行動情報300(
図3)を作成する。
【0039】
また、行動パターン分析部101は、利用者行動情報300からある行動に対して先行行動と従属行動を分析し、生起確率を評価して行動パターンDB400に登録する。
【0040】
サービス情報分析部102は、通信I/F13を介して、店舗端末4から仕入れ記録8
40とPOSデータ850を取得する。また、サービス情報分析部102は、SNS情報抽出機6からサービス評判880を取得する。
【0041】
サービス情報分析部102は、上述のように取得した情報を物品ごとに物品基本情報500(
図5)に登録する。
【0042】
そして、サービス情報分析部102は、物品基本情報500のデータを基に、各物品の地方度や人気度といった各項目に関して、独自に設定した評価基準に基づいて数値化を行い、物品評価DB600(
図6)に記録する。
【0043】
次に、サービス情報分析部102は、上述の物品により生成、構成されるオムライスなどの商品、サービスごとに、物品評価DB600に記録された当該物品の評価の平均値を算定し、サービス評価700に記録する。なお、サービス情報分析部102は、ある商品やサービスについて関連する物品を特定する場合、例えば店舗端末4から当該商品やサービスの作成用情報(例:料理のレシピ情報)を取得し、これを参照するとしてもよい。これにより、商品の特徴を関連物品の特徴まで遡って数値化することができる。
【0044】
また、提供ユーザ選定部103は、通信I/F13を介して、利用者端末3から、例えば、利用者が経路検索を行った情報(例:利用予定路線の情報など)を取得し、客数調整基準200(
図2)に登録された調整対象路線に該当するかを判定する。なお、利用者が経路検索を行った情報などで利用予定の交通機関を特定するケースのみならず、例えば、行動パターンDB400で保持する情報から当該利用者の行動を予測するとしても良い。
【0045】
提供ユーザ選定部103は、上述の判定の結果が「該当する」ものであった場合、当該利用者を案内情報の提供対象ユーザとする。なお、1つの調整対象路線の利用予定者の内、案内情報を提供する人数は、交通事業者端末5から取得する客数統計値870の示す平均値と客数調整基準200に登録された最少人数または最大人数の差とする。
【0046】
なお、客数の平均値が客数調整基準200に登録された最大人数より大きい場合は、利用者に他路線の利用を誘発する案内を提供することとする。これにより、客数を目標人数範囲に調整することが可能である。
【0047】
また、客数の平均値が客数調整基準200に登録された最少人数より小さい場合は、他路線の利用者に該当路線の利用を誘発する案内を提供することで、利用者の少ない路線に人を誘導することも可能である。尚、利用者の利用予定線路の特定は、施設の利用予約から推定してもよい。また、交通機関の人数調整だけでなく、施設の利用者人数の調整に適応することも可能である。つまり本発明は、交通機関の混雑緩和だけでなく、利用者が少ない交通機関の利用促進や、施設への誘客や混雑調整にも適用可能である。
【0048】
また、案内情報選定部104は、提供ユーザ選定部103で提供対象ユーザと判定された利用者に関して、行動パターンDB400から、調整該当路線の利用前後の行動で最も生起確率が高い行動を抽出し、その行動目的が達成できる代替施設を提案する。代替施設の選定は、サービス評価DB700を参照し、上記の生起確率が最も高い行動に関するサービスの特徴と最も近い特徴を持つサービスを代替案とする。
【0049】
サービスの特徴の比較は、例えば以下の方法で行う。まず、案内情報選定部104は、サービス評価DB700の評価項目を頂点に取った正多角形(例えば評価項目が6つの場合は正六角形)の図形を作成し、頂点を最大評価値と図形中心を最小評価値とした軸を作成する。
【0050】
そして、案内情報選定部104は、各サービスの評価値を上述の図形上でプロットし、当該プロット間を結んだ直線で囲われた多角形を、そのサービスのグラフタイプとする。案内情報選定部104は、このグラフのマッチングを他サービスのグラフと行うことで、類似度を評価する。また、提案する代替サービスは、行動パターンDB400から抽出された生起確率が高い行動のサービスと、サービスのタイプが同じものとする。
【0051】
なお、類似度の評価は、例えば、上述の図形すなわち多角形の頂点同士の距離の近さをユークリッド距離で求め、その総和をチャート同士の類似度とする。ただし、この方法に限定はしない。
【0052】
これにより、利用者の好みや行動のつながりを維持した案内すなわち代替案を提供することで、その代替案について利用者の受入れ率を高め、鉄道や施設といった調整対象の利用回避を実現する。
【0053】
利用者に提供する代替案は、サービスの特徴のマッチング率が高い順に複数提案してもよい。なお、利用者のグラフタイプの選択履歴から選択アーキテクチャを考慮して、提案する順を決めても良い。また、人は他人の行動の影響を受けるため、代替案の受入率を高めるべく、例えば提供する案内情報に反応している人数を各利用者に提示してもよい。なお、類似度の高いサービスのみ提案すると、同じ特徴のサービスが提示され続けて利用者が飽きてしまうことが考えられるため、類似度の低いものをノイズとして挿入するとすればさらに好適である。
【0054】
なお、調整対象の利用予定者が最大人数よりも多い場合、抽出した調整該当の利用前後の行動の生起確率が高い順に最大変更人数(例:乗車人数の平均値と最少人数の差)の利用者に提供を行う。生成した案内情報は、通信I/F13を介して、利用者端末3に案内情報を送信する。
【0055】
<データ構成について>
次に、
図2乃至
図7を用いて、各DB(またはDB情報)の構成例について説明する。
図2は、客数調整基準DB200の例を示す。客数調整基準DB200は、交通事業者や店舗等の施設運営者の混雑調整ポリシーを管理するデータベースである。
【0056】
この客数調整基準DB200は、例えば、交通事業者端末5や店舗端末4といった適宜な事業者の端末から取得ないし受信した、客数の調整を行いたい路線や店舗の情報と、希望する利用者数を格納したものとなる。
【0057】
客数調整基準DB200は、例えば、交通事業者や店舗運営事業者など事業者を一意に識別するID211と、当該事業者の事業者名212、調整対象の時間帯213、個別の駅や店舗といった調整対象214、当該対象での最小利用者数の希望を示す最小人数215、最大利用者数の希望を示す最大人数216、の各値を含んで構成される。
【0058】
図3は、利用者行動情報DB300の例を示す。利用者行動情報DB300は、利用者の行動を時間やタイプに分けて管理するデータベースある。
【0059】
この利用者行動情報DB300は、利用者行動情報を識別するID311と、行動した時間を示す時間312、行動を行った場所を示す施設313、行動内容を示す行動内容314、利用したサービスや行動に関連した物品を示す利用サービス315、の各値から構成される。
【0060】
このうち行動内容314は、購入、訪問、乗車等に分類して登録してもよい。また、利
用サービス315は、購入履歴820と、利用予約情報830とPOSデータ850、および改札入出場記録860などから取得する。
【0061】
図4は、行動パターンDB400の例を示す。行動パターンDB400は、利用者が連続的に行う確率の高い一連の行動、すなわち行動パターンを管理するデータベースである。
【0062】
この行動パターンDB400は、行動パターンを識別するID411と、特定の行動内容を示す行動412、当該行動を行う時間帯や曜日を示す時間413、行動412に先行して行う行動を示す先行行動414、先行して行う確率を示す先行行動確率415、行動412に従属して行う行動を示す従属行動416、従属して行う確率を示す従属行動確率417、の各値から構成される。なお、先行行動414と従属行動416は、行動内容と購入商品などの関連物品に分けて登録してもよい。
【0063】
図5は、物品基本情報DB500の例を示す。物品基本情報DB500は、物品の基本的な情報を管理するデータベースである。
【0064】
この物品基本情報DB500は、物品情報を一意に特定する物品の共通ID511と、物品名を示す物品512、生産者名を示す生産者513、産地名を示す産地514、鮮度を表すための保存期間515、新商品やロングセラー商品を示す商品販売継続期間516、POSデータ850やSNSから抽出したサービス評判880に基づく業界での売行517から構成される。基本情報の項目は、その他の項目を利用してもよい。
【0065】
図6は、物品評価DB600の例を示す。物品評価DB600は、物品の評価値を示すデータベースである。この物品評価DB600は、物品の共通ID611と、物品名を示す物品612と、地方度の評価値を示す地方613、安全度の評価値を示す安全614、新しさの評価値を示す新しさ615、人気度を示す人気616、の各値から構成される。物品基本情報DB500の項目を踏まえて、他の項目を利用してもよい。評価値は、例えば5段階評価とし、基準は各項目で個別に定める。
【0066】
図7は、サービス評価DB700の例を示す。サービス評価DB700は、サービス評価を識別するID711と、サービス名を示すサービス712、関連する物品の共通ID611を示す関連物品リスト713、地方度の評価値を示す地方714、安全度を示す安全715、サービスの新しさを示す新しさ716、人気度を示す人気717、の各値から構成される。
【0067】
このうちサービス712は、商品名や利用設備など利用者が利用した多種のサービスである。各項目の評価値は、関連物品リスト713に含まれる物品共通ID611の物品について、物品評価DB600に記載された物品評価値の平均である。尚、サービスごとの評価以外に、例えば、施設評価テーブルを作成し、施設で取り扱うサービスの評価値を基に施設ごとの評価を行ってもよい。
【0068】
なお、位置情報810と購入履歴820は図示していないが、これは、利用者のスマートフォンやICカードから取得する利用者の行動履歴に関する情報である。
【0069】
また、利用予約830、仕入れ記録840、POSデータ850は図示していないが、これは、店舗担当者が登録する店舗のサービスに関する情報である。
【0070】
また、改札入出場記録860と客数統計値870は図示していないが、これは、交通事業者が保持する利用者ICカード利用履歴に記載される改札入出場情報と、車両の加重セ
ンサーなどの取得データを基にした客数に関する情報である。
【0071】
また、サービス評判880は図示していないが、これは、情報抽出部61で抽出した各サービスの評判に関する情報である。
【0072】
<フロー例:案内情報生成>
以下、本実施形態における案内情報提供方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する案内情報提供方法に対応する各種動作は、主に案内情報提供装置1がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0073】
図8は、本実施形態における案内情報提供方法のフロー例を示す図であり、具体的には、案内情報生成動作を示すフロー例となる。このフローは、分析プログラム100がCPU12で実行されることで、提供ユーザ選定部103及び案内情報選定部104が実装され、処理される。
【0074】
まず、提供ユーザ選定部103は、客数調整基準200から、例えば3時間後に混雑解消を行う路線(や店舗等)の情報を取得し、乗車数統計値870の平均値と比較して変更人数を計算する(S1001)。この処理を行うタイミングの設定は変更できるものとし、提案された利用者の行動変容率の実績から効果的な時間を設定してもよい。
【0075】
次に、提供ユーザ選定部103は、利用者の経路検索結果や施設の利用予約830の情報から、該当路線を利用する予定の利用者を特定する(S1002)。
【0076】
そして、案内情報選定部104は、S1002で特定された利用者に関して、行動パターンを行動パターンDB400で抽出し、該当路線を利用する前後の行動の生起確率を参照し、最も生起確率の高い行動を特定する(S1003)。
【0077】
また、このステップS1003において、案内情報選定部104は、特定した行動のサービス評価の特徴と最も近い評価の、(他の)サービスを、サービス評価DB700に基づきグラフマッチングによって選出する。この時選出するサービスは、該当路線を利用せずに移動できる提供場所のものとし、基準として定める移動時間内に位置するものとしてもよい。
【0078】
ここで、案内情報選定部104は、対象路線を利用予定の利用者中から最大変更人数(乗車人数の平均値と最少人数の差)の利用者を選出する(S1004)。選出する優先順位は、抽出した調整該当路線の利用前後の行動の生起確率が高い順とする。そして、案内情報選定部104は、生成した案内情報を、通信I/F13を介して、利用者端末3に送信する(S1005)。
【0079】
次に、提供ユーザ選定部104は、提案した案内情報を利用者が登録した数を30分ごとに集計する(S1006)。登録の有無は、利用者が利用者端末3を操作して登録したログから集計する。また、利用予定施設のキャンセルや新たな予約情報から判断してもよい。或いは、登録した利用者が実際に登録情報に沿った行動をしているか位置情報から確認してもよい。集計する時間の間隔は変更できるものとする。
【0080】
そして、上述の集計の結果、「登録した数」が最小変更人数(客数の平均値と最大人数の差)に到達した場合(S1007:Y)、提供ユーザ選定部103は、処理を終了する。一方、登録数が最小変更人数に達しなかった場合(S1007:N)、提供ユーザ選定部103は、S1002でもう一度対象利用者の特定を実施する。また、これに続いて案
内情報選定部104は、案内情報の提供を行う。以後、提供ユーザ選定部103は、登録数が最小変更人数に到達するか(S1007:Y)、該当電車の出発時刻まで処理を同様に繰り返し、処理を終了する。
【0081】
<フロー例:行動パターン分析>
次に、
図9を参照して、行動パターン分析部101による処理動作について説明する。この場合、行動パターン分析部101は、定期的に(例えば3カ月に一回などの頻度)、利用者端末3から位置情報810と購入履歴820を取得し、店舗端4から利用予約情報830とPOSデータ850を取得し、さらに交通事業者端末5から改札入出場記録860を取得する(S1101)。そして、行動パターン分析部101は、取得した情報を利用者ごとに時系列順に並べ、利用者行動情報DB300を作成する(S1101)。
【0082】
次に、行動パターン分析部101は、各行動に対して前後に行った行動(先行行動と従属行動)ごとに、連続して行動した生起確率を計算する(S1102)。そして、生起確率が最大の先行行動と従属行動を行動パターンDB400に登録する(S1103)。なお、代替行動の案内情報を3つ以上提供したい場合は、生起確率が2位以下の先行行動と従属行動も登録し、利用してもよい。
【0083】
<フロー例:サービス情報分析>
次に、
図10を参照して、サービス情報分析部102による処理動作について説明する。この場合、サービス情報分析部102は、施設で取り扱う物品の情報として、店舗端末4から仕入れ記録840とPOSデータ850を取得し、SNS情報抽出機6からサービス評判880を取得する。そして、サービス情報分析部102は、ここで取得した情報を物品ごとに、物品基本情報DB500に登録する(S1201)。
【0084】
次に、サービス情報分析部102は、物品基本情報DB500に基づき、各物品の特徴を評価する。評価項目は地方度や人気度などとし、例えば基準を設けて5段階評価を行う(S1202)。また、サービス情報分析部102は、ここで得た5段階評価の値、すなわち評価値を物品評価DB600に登録する。
【0085】
そして、サービス情報分析部102は、関連する物品の物品評価を基に、各サービスの特徴を評価し、これをサービス評価DB700に登録し(S1203)、処理を終了する。
【0086】
なお、サービスの評価値は、物品評価DB600における特徴の項目ごとに、関連する物品の評価値の平均値を計算して求める。あるサービスに対する関連物品の紐づけは、例えばサービスが料理の場合はそのレシピを店舗に登録してもらうことで実施する。
【0087】
<フロー例:案内情報選定処理>
次に、
図11を参照して、案内情報選定部104による処理動作について説明する。案内情報選定処理の一つとして、例えば、混雑している電車の利用を避けて経路変更を促す場合の案内情報選定を実施する。
【0088】
提供ユーザ選定部103で、提供対象ユーザと行動変容させたい行動が判定されると、案内情報選定部104は、その行動の前につながっている行動を行動パターンDB400から抽出する(S1301)。この抽出された行動は、行動変容対象の行動の先行行動として、最も生起確率が高い行動である。
【0089】
次に、案内情報選定部104は、S1301で抽出した先行行動で利用するサービスと最も特徴の近い他サービスを選出する(S1302)。特徴の近いサービスの抽出では、
サービス評価DB700における各項目の評価値から作成したグラフのマッチングを行い、マッチング率が高くサービスのタイプが同じサービスを抽出する。
【0090】
そして、案内情報選定部104は、S1302で選出したサービスを提供する施設を経由する、目的地までの迂回ルートの候補を検索する(S1303)。この時に選出したサービスは、混雑を解消したい路線を利用せずに移動できる提供場所のものとし、基準として定める移動時間内に位置するものとしてもよい。なお、経路変更を促すための提案として、先行行動の代替案を提案するだけでなく、目的地で予定している行動が達成できる別の目的地の提案をするとしても良い。その際、目的地の代替案は、元の目的地の特徴と近いものをサービス評価DB700から抽出し、先行行動の代替案と共にセットで提案する。その提案例としては、例えば、「サテライトオフィスA」の代わりに、混雑していない経路で移動可能な「コーヒーショップC」と「サテライトオフィスB」をセットで提案する、といったものを想定できる。
【0091】
そして、案内情報選定部104は、上述の迂回ルート候補から、当初予定していたルートからの所要時間の増加が少ないルートを案内情報として、代替サービス案と共に利用者端末3に提供し(S1304)、処理を終了する。
【0092】
図12は、利用者端末3の表示部31に表示される案内情報提供画面の一例を示す。案内情報提供画面32は、混雑を回避する代替案の作成結果(S1003)として、利用者におすすめの経路と立寄り地を、一連の行動の流れとして表示する。
【0093】
例えば、「サテライトオフィスA」への経路を利用者が検索した際に、最短経路となる電車が混雑している場合を示す。行動パターンDB400における当該利用者の行動パターンから、サテライトオフィスを利用する直前に「コーヒーショップB」を利用する生起確率が高いと判明したとすると、サービス評価DB700から「コーヒーショップB」の特徴に近い「コーヒーショップA」を選出し、おすすめ案内情報として提案する。この「コーヒーショップA」は混雑していない電車で移動できる場所に位置する。
【0094】
このような案内情報の提供により、交通機関の混雑緩和と、店舗への誘客に貢献する。利用者は行動の流れを変えずに目的を達成できるとともに、嗜好に合ったサービスの情報や快適な移動経路の情報を得ることができる。
【0095】
以上のように、本実施例によれば、利用者の行動のつながりや利用するサービスのつながりを分析して、つながりを維持した案内情報を提供することにより、行動変容率を向上させることができる。また、本実施例によれば、事業者の混雑調整ポリシーに沿って、行動変容が望まれる利用者に案内情報を提供することができる。これにより、混雑度が高い路線を利用予定の対象者に、行動目的とのつながりを維持した代替行動を提案することで混雑路線を回避させることができ、行動変容させる対象者の人数も管理することができる。また、利用者数の少ない路線への誘導や、施設利用者数のコントロールにも対応可能である。
【0096】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態の各データベースの構成は一例であって、一部のデータを登録しない、または関連する他のデータを追加して登録してもよい。
【0098】
また、上記実施形態の案内情報提供システムでは、SNS情報抽出機6を案内情報提供装置1から分離させて構成しているが、他の例によれば、案内情報提供装置1に備えるよ
うに構成してもよい。また、上記実施形態の案内情報提供システムでは、案内情報提供装置1に備えるように構成している機能を、分離して外部計算機に有してもよい。
【0099】
本発明はまた、上記案内情報提供装置1が実行する分析プログラム、および上記案内情報提供システム10が実行する案内情報提供プログラムとしても把握することができる。
【0100】
こうした本実施形態によれば、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報を提供可能となる。
【0101】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の案内情報提供装置において、前記演算部は、前記利用者によるサービス検索またはサービス予約の事象に基づき、前記混雑調整対象を利用対象としうる利用者を、案内情報提供対象者として選定する処理をさらに実行し、当該案内情報提供対象者について前記行動パターンを参照し、前記行動パターンが示す一連の行動のつながりを特定するものである、としてもよい。
【0102】
これによれば、利用者の具体的な事前行動に基づいて、混雑調整対象に関与する利用者を選定し、以後の処理対象とすることが可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【0103】
また、本実施形態の案内情報提供装置において、前記演算部は、前記利用者の行動情報を当該利用者の端末ないし当該行動情報を管理する所定装置から取得し、前記行動情報を前記記憶部に格納し、前記行動情報から、利用者ごとに、所定行動に対する先行行動と従属行動を特定し、当該先行行動及当該従属行動の生起確率をそれぞれ算定して、前記一連の行動のつながりの評価情報として前記記憶部に格納し、前記前後いずれかの行動で利用対象となっているサービスを特定する際、前記生起確率が最も高い行動の利用対象となっているサービスを特定するものである、としてもよい。
【0104】
これによれば、利用者が実行しがちな行動とそれに際して利用するサービスの情報を利用し、その代替案を効率的に特定可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【0105】
また、本実施形態の案内情報提供装置において、前記演算部は、前記生起確率が最も高い行動の利用対象となっているサービスを特定し、当該行動の目的が達成可能、かつ、前記特定したサービスの特徴と同一または類似の特徴を有する他サービスの利用を代替案として含む前記案内情報を生成するものである、としてもよい。
【0106】
これによれば、利用者が最も実行しがちな行動とそれに際して利用するサービスの情報を利用し、その代替案を効率的に特定可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【0107】
また、本実施形態の案内情報提供装置において、前記記憶部は、前記サービスに関連する各物品の属性情報を格納する物品基本情報データベースを有し、 前記演算部は、前記
物品基本情報データベースに基づき、各物品に関する所定の評価項目それぞれに関する属性情報を評価し、前記評価項目それぞれの前記評価の値を、前記記憶部において物品ごとに格納して物品評価データベースを生成し、前記物品評価データベースに基づき、前記サ
ービスごとに、当該サービスに関連する物品の前記評価の値の平均を項目ごとに計算し、前記平均の計算結果を項目ごとにサービス評価として格納して、サービス評価データベースを生成し、前記代替案の生成に際し、前記サービス評価を参照し、前記特定したサービスと、前記評価項目それぞれの前記評価の値の特徴が最も近い他サービスの利用を代替案として選定するものである、としてもよい。
【0108】
これによれば、サービスで提供される物品(例:飲食物など)と属性傾向が類似する他の物品を提供する他サービスすなわち代替案に関する情報を効率的に特定可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【0109】
また、本実施形態の案内情報提供装置において、前記記憶部は、前記混雑調整ポリシーの情報において、前記事業者が客数調整を行いたい混雑調整対象と、当該混雑調整対象に関して希望する最少及び最大の利用者数に関する値とを規定する客数調整基準を格納し、前記演算部は、前記提供状況の情報が示す客数の平均値と、前記客数調整基準が規定する最少の利用者数または最大の利用者数との差を基に、前記案内情報提供対象者とする人数を決定するものである、としてもよい。
【0110】
これによれば、事業者ニーズに即した客数調整を効率的に行う代替案の生成が可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【0111】
また、本実施形態の案内情報提供装置において、前記演算部は、前記案内情報提供対象者のうち前記案内情報に沿った行動を受入れた人数を一定時間ごとに集計し、前記最少の利用者数を達成するまで、前記案内情報提供対象者の選定から以後の各処理を繰り返すものである、としてもよい。
【0112】
これによれば、案内情報に応じた行動変容の実態を踏まえて処理を効率化可能となる。ひいては、交通事業者やデベロッパー、自治体などにおける、移動需要のコントロールポリシーを踏まえ、利用者の行動パターンやサービスの嗜好に合った案内情報をより効率的に提供可能となる。
【符号の説明】
【0113】
1 案内情報提供装置
2 ネットワーク
3 利用者端末
4 店舗端末
5 交通事業者端末
6 SNS情報抽出機
10 案内情報提供システム
60 情報抽出プログラム
61 情報抽出部
11 記憶部
12 CPU(演算部)
13 通信I/F
100 分析プログラム
101 行動パターン分析部
102 サービス情報分析部
103 提供ユーザ選定部
104 案内情報選定部
110 データベース
200 客数調整基準DB
300 利用者行動情報DB
400 行動パターンDB
500 物品基本情報DB
600 物品評価DB
700 サービス評価DB
810 位置情報
820 購入履歴
830 利用予約
840 仕入れ記録
850 POSデータ
860 改札入出場記録
870 客数統計値
880 サービス評判