(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20250214BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20250214BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250214BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L23/02 Z
H01L25/04 C
H01L23/28 K
(21)【出願番号】P 2021157892
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 慎吾
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-195837(JP,U)
【文献】特開平08-032041(JP,A)
【文献】実開昭61-051745(JP,U)
【文献】特開平11-312782(JP,A)
【文献】特開昭64-017455(JP,A)
【文献】特開平05-166950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02-23/10
H01L 23/24
H01L 23/28
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された絶縁基板と、
前記絶縁基板が搭載されたベース板と、
前記ベース板に搭載され、前記半導体素子及び前記絶縁基板を囲むケースと
を備え、
前記ベース板の表面及び前記ケースの表面の一方に、テーパ形状を有する1つ以上の凸部が設けられ、
前記ベース板の前記表面及び前記ケースの前記表面の他方に、前記1つ以上の凸部と嵌合された、テーパ形状を有する1つ以上の凹部が設けられ、
嵌合された前記凸部
の先及び前記凹部
の底のぞれぞれの対面する平面を
、当該平面の垂直方向にまとめて貫通する取付穴が、前記ベース板及び前記ケースに設けられている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記1つ以上の凸部または前記1つ以上の凹部が、平面視の前記ベース板または前記ケースにおいて非対称に配置されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
前記1つ以上の凸部は複数の凸部であり、
前記1つ以上の凹部は、前記複数の凸部とそれぞれ嵌合された複数の凹部である、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記複数の凸部は、平面視において形状が互いに異なる第1凸部及び第2凸部を含み、
前記複数の凹部は、平面視において形状が互いに異なる第1凹部及び第2凹部を含む、半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記複数の凸部は、断面視において形状が互いに異なる第1凸部及び第2凸部を含み、
前記複数の凹部は、断面視において形状が互いに異なる第1凹部及び第2凹部を含む、半導体装置。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記複数の凸部は互いに隣り合い、前記複数の凹部は互いに隣り合う、半導体装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
互いに対向する前記凸部と前記凹部との間に隙間が設けられ、
前記隙間に接着剤及び封止材の少なくともいずれか1つが設けられている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース板とケースとを備える半導体装置が提案されている。例えば特許文献1には、ベース板及びケースの一方に設けられた凸部と、ベース板及びケースの他方に設けられた凹部とを嵌合させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、凸部及び凹部が、それらが設けられた表面に対して垂直に設けられている。このような技術では、凸部及び凹部の寸法のマージンが大きい場合には位置ずれが大きくなり、凸部及び凹部の寸法のマージンが小さい場合には嵌合に大きな力を要したり、嵌合できなかったりするという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ベース板及びケースにおいて適切な嵌合が可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子が搭載された絶縁基板と、前記絶縁基板が搭載されたベース板と、前記ベース板に搭載され、前記半導体素子及び前記絶縁基板を囲むケースとを備え、前記ベース板の表面及び前記ケースの表面の一方に、テーパ形状を有する1つ以上の凸部が設けられ、前記ベース板の前記表面及び前記ケースの前記表面の他方に、前記1つ以上の凸部と嵌合された、テーパ形状を有する1つ以上の凹部が設けられ、嵌合された前記凸部の先及び前記凹部の底のそれぞれの対面する平面を、当該平面の垂直方向にまとめて貫通する取付穴が、前記ベース板及び前記ケースに設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ベース板の表面及びケースの表面の一方に、テーパ形状を有する1つ以上の凸部が設けられ、ベース板の表面及びケースの表面の他方に、1つ以上の凸部と嵌合された、テーパ形状を有する1つ以上の凹部が設けられている。このような構成によれば、ベース板及びケースにおいて適切な嵌合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の一部の構成を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図4】実施の形態2に係る半導体装置の一部の構成を示す平面図である。
【
図5】実施の形態3に係る半導体装置の一部の構成を示す平面図である。
【
図6】実施の形態2及び3の組み合わせに係る半導体装置の一部の構成を示す平面図である。
【
図7】実施の形態4に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の各実施の形態で説明される特徴は例示であり、すべての特徴は必ずしも必須ではない。また、以下に示される説明では、複数の実施の形態において同様の構成要素には同じまたは類似する符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「表」または「裏」などの特定の位置及び方向は、実際の実施時の位置及び方向とは必ず一致しなくてもよい。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。なお以下では、半導体装置がパワー半導体装置である場合を例にして説明する。
【0011】
図1の半導体装置は、半導体素子1と、絶縁基板2と、接合部3a,3bと、ベース板4と、ケース5と、接着剤6と、電極7と、金属ワイヤ8と、封止材9とを備える。
【0012】
半導体素子1は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、SBD(Schottky Barrier Diode)、PND(PN junction diode)、または、RC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)などの電力半導体素子を含む。
【0013】
半導体素子1の材料は、通常の珪素(Si)であってもよいし、ワイドバンドギャップ半導体であってもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、例えば炭化珪素(SiC)、または、窒化ガリウム(GaN)などを含む。半導体素子1の材料がワイドバンドギャップ半導体である場合には、高耐圧、高周波数及び高温において半導体素子1を適切に動作することが可能である。
【0014】
なお、
図1では、1つのケース5における半導体素子1の数は1つであるが、これに限ったものではない。例えば、1つのケース5における半導体素子1の数が2つである構成(つまり2in1の構成)であってもよいし、1つのケース5における半導体素子1の数が6つである構成(つまり6in1の構成)であってもよい。
【0015】
半導体素子1は、絶縁基板2に搭載されている。絶縁基板2は、絶縁層部と、絶縁層部の両面に設けられた第1及び第2回路パターン部とを含む。絶縁層部の材料は、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)などの無機セラミック材料を含む。第1及び第2回路パターン部の材料は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または、それらの合金を含む。
【0016】
半導体素子1と絶縁基板2の第1回路パターン部とは、接合部3aによって接合されている。接合部3aの材料は、例えば金属接合材である。金属接合材は、鉛(Pb)及び錫(Sn)などからなるはんだ、または、はんだ合金を含んでもよいし、ナノ銀からなる焼結材、または、ナノ銅粒子からなる焼結材などを含んでもよい。
【0017】
絶縁基板2は、ベース板4に搭載されている。ベース板4の材料は、銅、アルミニウム、または、銅-モリブデン合金(CuMo)などの金属材料を含んでもよいし、炭化ケイ素-アルミ複合材(AlSiC)、または、炭化ケイ素-マグネシウム複合材(MgSiC)などの複合材料を含んでもよい。また、ベース板4の材料は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、または、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂のような有機材料を含んでもよい。
【0018】
絶縁基板2とベース板4の第2回路パターン部とは、接合部3bによって接合されている。接合部3bの材料は、接合部3aの材料と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0019】
ケース5は、ベース板4に搭載されており、かつ、半導体素子1及び絶縁基板2を囲む。ケース5の材料は、電気絶縁性を有する材料であればよく、例えば、PPS、PBT、PET-PBT樹脂などを含む。
【0020】
ベース板4とケース5との間には隙間が設けられており、当該隙間には接着剤6が設けられている。接着剤6には、一般的にシリコーン系接着剤が用いられるが、接着剤6の材料はアクリル系樹脂、または、エポキシ樹脂などを含んでもよい。
【0021】
電極7は、ケース5と一体的に設けられている。電極7は、ケース5から露出した第1端部及び第2端部を有し、第2端部は、ケース5に対して第1端部と逆側に設けられている。電極7の材料は、例えば銅またはその合金等を主体とする金属を含む。電極7の表面は、ニッケル(Ni)などのめっき層を有することが好ましいが、めっき層を有しなくてもよい。
【0022】
金属ワイヤ8は、半導体素子1と絶縁基板2の第1回路パターン部との間、及び、第1回路パターン部と電極7の第1端部との間などを電気的に接続する。金属ワイヤ8は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または、それらの合金からなる金属配線であってもよい。
【0023】
封止材9は、ベース板4及びケース5で囲まれる集合体を被封止体として封止する。なお、
図1では図示していないが、被封止体は、半導体素子1を制御する制御基板を含んでもよい。封止材9の材料は、例えばシリコーンゲル、または、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を含む。
【0024】
ここで
図1に示すように、ケース5の表面(
図1では下面)には、テーパ形状を有する凸部5aが設けられ、ベース板4の表面(
図1では上面)には、凸部5aと嵌合された、テーパ形状を有する凹部4aが設けられている。
【0025】
凸部5aの側壁が、ケース5の表面の垂直方向に対して15°~30°傾けられることによって、凸部5aは、その先端部分に向かって先細るテーパ形状を有している。凹部4aの側壁が、ベース板4の表面の垂直方向に対して凸部5aの側壁と同程度に傾けられることによって、凹部4aは、その底部分に向かって先細るテーパ形状を有している。凹部4aの深さは、例えばベース板4の厚さの1/3~2/3である。互いに対向する凸部5aと凹部4aとの間には隙間が設けられ、当該隙間に接着剤6が設けられている。製造時には、接着剤6は、減圧下で隙間に設けられることが好ましい。
【0026】
図1の例では、ケース5の表面に同一形状を有する複数の凸部5aが設けられ、ベース板4の表面に同一形状を有する複数の凹部4aが設けられ、複数の凸部5aと複数の凹部4aとが嵌合されているが、これに限ったものではない。例えば、凸部5a及び凹部4aのそれぞれの数は1つであってもよい。
【0027】
ベース板4が金属からなり、ケース5が樹脂からなる構成では、ベース板4の凹部4aがプレス加工などにより形成されてもよく、ケース5の凸部5aが一体成型などにより形成されてもよい。
【0028】
図1の凸部及び凹部の配置関係は逆であってもよい。つまりベース板4の表面に、テーパ形状を有する凸部が設けられ、ケース5の表面に、テーパ形状を有する凹部が設けられてもよい。
【0029】
また、凸部5a及び凹部4aは、2段以上のテーパ形状を有していてもよい。つまり、凸部5a及び凹部4aの側壁の断面形状は、1つ以上屈曲された直線形状を有していてもよいし、段数を限りなく大きくした半円形状を有していてもよい。
【0030】
また
図1の例では、凸部5a及び凹部4aは、ケース5に埋設された電極7の真下に設けられている。このような構成によれば、電極7のベース板4への設計位置からのずれを抑制することができるので、半導体装置を外部装置に取り付ける際に不具合を生じさせる位置ずれを抑制することができる。
【0031】
図2は、絶縁基板2側からみた本実施の形態1に係るベース板4の平面図である。
図2には、平面視での複数の凹部4aの位置及び形状と、ケース5をベース板4に取り付けるための取付穴13とが図示されている。また
図2には、ベース板4の表面とケース5の
表面とが対向する領域であるケース搭載領域16が点線で示されている。なお
図2では図示されていないが、平面視での複数の凸部5aの位置及び形状は、平面視での複数の凹部4aの位置及び形状にそれぞれ対応する。
【0032】
図2の例では、複数の凹部4aが、平面視のベース板4において対称に配置されている。ここでいう対称は、ベース板4の中心点を通る短手方向の線または長手方向の線に関する線対称、または、ベース板4の中心点に関する点対称を含む。図示しないが、複数の凸部5aも、平面視のケース5において対称に配置されている。
【0033】
図2の例では、複数の凹部4aは、ベース板4の短辺に沿って設けられているが、ベース板4の長辺に沿って設けられてもよいし、ベース板4の短辺及び長辺の両方に沿って設けられてもよいし、ケース搭載領域16のうちのこれら以外の箇所に設けられてもよい。
【0034】
また
図2の例では、凹部4aの形状は、5~50mm程度の辺を有する四角形状であるが、これに限ったものではない。例えば、凹部4aの形状は、それ以外の多角形状であってもよいし、T字形状など多角形状を組み合わせた形状であってもよい。
【0035】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る半導体装置によれば、ベース板4の表面及びケース5の表面の一方に1つ以上の凸部が設けられ、ベース板4の表面及びケース5の表面の他方に、当該1つ以上の凸部と嵌合された1つ以上の凹部が設けられている。このような構成によれば、ベース板4とケース5との間の並進方向の位置ずれ及び回転方向の位置ずれを抑制することができる。
【0036】
また本実施の形態1では、凸部及び凹部のそれぞれがテーパ形状を有しているので、凸部及び凹部が適切な位置に誘導される。これにより、凸部及び凹部の寸法のマージンに関わらず、位置ずれを抑制することができ、かつ、嵌合を容易化することができるので、ベース板4及びケース5において適切な嵌合を行うことができる。また、この結果、嵌合作業が効率化されて半導体装置の組立性が向上し、かつ、半導体装置の不良率が低下するため、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0037】
なお、水分が、ベース板4及びケース5の外部から、それらの隙間を通過してベース板4及びケース5で囲まれる内部空間内の半導体素子1及び絶縁基板2などの電気部品に到達すると、電気部品の絶縁性低下が生じて、寿命などの性能が劣化する。これに対して、本実施の形態1では、ベース板4及びケース5の外部から内部空間までの沿面距離を長くすることができ、その沿面に接着剤6が設けられているので、水分が電気部品に到達することを抑制することができる。
【0038】
なお、接着剤6の材料が例えばシリコーン系材料である場合、気泡発生により絶縁性などの特性が低下する。このため、接着剤6の代わりに、エポキシ樹脂またはシリコーンゲルなどの封止材9が、凸部と凹部との間の隙間に設けられてもよい。または、当該隙間の一部に接着剤6が設けられ、当該隙間の残部に封止材9が設けられてもよい。なお、凸部と凹部との接着がなくても、電気部品への水分の到達が十分に抑制できる場合などには、当該隙間に接着剤6などが設けられなくてもよい。
【0039】
<実施の形態1の変形例>
図3は、実施の形態1の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態1では、
図2のように、凹部4a及び凸部5aの位置と、取付穴13との位置とは異なっていたが、
図3に示すように、凹部4a及び凸部5aの位置と、取付穴13との位置とは重なっていてもよい。
【0040】
<実施の形態2>
図4は、絶縁基板2側からみた本実施の形態2に係るベース板4の平面図である。なお
図4では図示されていないが、平面視での複数の凸部5aの位置及び形状は、平面視での複数の凹部4aの位置及び形状にそれぞれ対応する。
【0041】
本実施の形態2では
図4のように、複数の凹部4aが、平面視のベース板4において非対称に配置されている。つまり、複数の凹部4aは、平面視のベース板4において線対称にも点対称にも配置されていない。なお
図4の例では、複数の凹部4aは、ベース板4の短辺に沿って設けられているが、これに限ったものではない。例えば、複数の凹部4aが、短辺に沿った箇所以外に設けられてもよいし、1つの凹部4aが、平面視のベース板4において非対称に配置されてもよい。
【0042】
図示しないが、複数の凸部5aも、平面視のケース5において対称に配置されている。本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、ベース板4の表面に凸部が設けられ、ケース5の表面に凹部が設けられてもよい。
【0043】
<実施の形態2のまとめ>
実施の形態1では
図2のように、1つ以上の凸部または1つ以上の凹部が、平面視のベース板4またはケース5において非対称に配置されていた。このような構成では、ケース5がベース板4に対して設計された状態から180°だけ回転されても、ベース板4と嵌合可能となるため、誤った組立が行われてしまう可能性がある。
【0044】
これに対して本実施の形態2では、1つ以上の凸部または1つ以上の凹部が、平面視のベース板4またはケース5において非対称に配置されている。このような構成によれば、ケース5がベース板4に対して設計された状態から180°だけ回転された場合には、1組以上の凸部及び凹部において噛み合わなくなるため、組立の誤りを抑制することができる。この結果、このことは、電極7がケース5において対称に配置されていない構成や、ベース板4またはケース5の形状が対称でない構成などにおいて、組立の誤りに起因する半導体装置の不良率が低下するため、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0045】
<実施の形態3>
図5は、絶縁基板2側からみた本実施の形態3に係るベース板4の平面図である。なお
図5では図示されていないが、平面視での複数の凸部5aの位置及び形状は、平面視での複数の凹部4aの位置及び形状にそれぞれ対応する。
【0046】
本実施の形態3では
図5のように、複数の凹部4aは、平面視において形状が互いに異なる第1凹部4a1及び第2凹部4a2を含む。
図5では、その一例として、第1凹部4a1の形状の少なくとも一部のサイズ(例えば縦方向のサイズ)と、第2凹部4a2の形状の少なくとも一部のサイズ(例えば縦方向のサイズ)とが互いに異なっている。なお図示しないが、第1凹部4a1の形状が四角形状であり、第2凹部4a2の形状が丸形状であるというように、第1凹部4a1の形状の種類と第2凹部4a2の形状の種類とが互いに異なってもよい。
【0047】
図示しないが、複数の凸部5aも、平面視において形状が互いに異なる第1凸部及び第2凸部を含む。本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、ベース板4の表面に凸部が設けられ、ケース5の表面に凹部が設けられてもよい。
【0048】
<実施の形態3のまとめ>
本実施の形態3に係る半導体装置では、複数の凸部は、平面視において形状が互いに異なる第1凸部及び第2凸部を含み、複数の凹部は、平面視において形状が互いに異なる第1凹部及び第2凹部を含む。このような構成によれば、実施の形態2と同様に、ケース5がベース板4に対して設計された状態から180°だけ回転された場合には、1組以上の凸部及び凹部において噛み合わなくなるため、組立の誤りを抑制することができる。
【0049】
なお、
図6に示すように、本実施の形態3の構成を実施の形態2の構成に組み合わせてもよい。このような構成によれば、組立の誤りをさらに抑制することができる。
【0050】
<実施の形態4>
図7は、本実施の形態4に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態4では、複数の凸部5aは、断面視において形状が互いに異なる第1凸部5a1及び第2凸部5a2を含み、複数の凹部4aは、断面視において形状が互いに異なる第1凹部4a1及び第2凹部4a2を含む。
【0051】
図7では、その一例として、第1凹部4a1の形状の少なくとも一部のサイズ(例えば横幅またはテーパ角度のサイズ)と、第2凹部4a2の形状の少なくとも一部のサイズ(例えば横幅またはテーパ角度のサイズ)とが互いに異なっている。なお図示しないが、第1凹部4a1の形状が0段のテーパ形状であり、第2凹部4a2の形状が1段のテーパ形状であるというように、第1凹部4a1の形状の種類と第2凹部4a2の形状の種類とが互いに異なってもよい。以上のことは、第1凸部5a1及び第2凸部5a2においても同様である。
【0052】
<実施の形態4のまとめ>
本実施の形態4に係る半導体装置では、複数の凸部は、断面視において形状が互いに異なる第1凸部及び第2凸部を含み、複数の凹部は、断面視において形状が互いに異なる第1凹部及び第2凹部を含む。このような構成によれば、実施の形態2と同様に、ケース5がベース板4に対して設計された状態から180°だけ回転された場合には、1組以上の凸部及び凹部において噛み合わなくなるため、組立の誤りを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態4の構成を、実施の形態2及び実施の形態3の少なくとも1つの構成に組み合わせてもよい。このような構成によれば、組立の誤りをさらに抑制することができる。
【0054】
<実施の形態5>
図8は、本実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態5では、複数の凸部5aは、ケース5の中心部から外周部に向かう方向に互いに隣り合い、複数の凹部4aは、ベース板4の中心部から外周部に向かう方向に互いに隣り合う。なお、複数の凸部5a及び複数の凹部4aは、それぞれケース5及びベース板4の全周に設けられてもよい。
【0055】
<実施の形態5のまとめ>
以上のような本実施の形態5によれば、実施の形態1よりもベース板4及びケース5の外部から内部空間までの沿面距離を長くすることができるため、水分が電気部品に到達することをさらに抑制することができる。また、複数の凸部が隣り合い、複数の凹部が隣り合うため、複数の凸部全体のサイズ、及び、複数の凹部全体のサイズを低減することができ、この結果として半導体装置のサイズの低減化が期待できる。
【0056】
なお、本実施の形態5の構成を、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4の少なくとも1つの構成に組み合わせてもよい。例えば、本実施の形態5において各凸部及び各凹部の形状が異なってもよい。このような構成によれば、組立の誤りを抑制することができる。
【0057】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 半導体素子、2 絶縁基板、4 ベース板、4a 凹部、4a1 第1凹部、4a2 第2凹部、5 ケース、5a 凸部、5a1 第1凸部、5a2 第2凸部、6 接着剤、9 封止材。