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特許7634465地図情報作成装置、地図表示システム、および地図情報作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】地図情報作成装置、地図表示システム、および地図情報作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20250214BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/26 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021191412
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077909
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昌志
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216266(JP,A)
【文献】特開2012-029411(JP,A)
【文献】特開2009-204477(JP,A)
【文献】特開2001-251762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/14
G01C 21/26
G06T 1/00- 3/608
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフラ設備の地図上の表示領域および縮尺の少なくとも一方が指定された地図表示リクエストを端末から受信する通信部と、
前記地図表示リクエストに基づいて、前記地図に含まれる地物の一部が間引きされた間引き地図を表示するための地図情報を作成する地図情報生成部と、
を備え、
前記地図情報生成部は、前記地図表示リクエストに基づいて、前記地物の情報を格納する第1のデータベースから前記表示領域に含まれる地物の情報を範囲地物情報として取得し、前記地物のそれぞれを前記間引き地図に表示するか否かが設定された間引き情報を格納する第2のデータベースから、前記地物のうち前記範囲地物情報に含まれる地物に対応する前記間引き情報をリクエスト間引き情報として取得し、前記範囲地物情報および前記リクエスト間引き情報を用いて前記地図情報を作成し、
前記通信部は、前記端末に前記地図情報を送信する、
ことを特徴とする地図情報作成装置。
【請求項2】
前記通信部が前記地物の編集内容を示す地物編集情報を受信すると、前記地物編集情報に対応する前記地物の情報である地物情報を前記第1のデータベースから取得し、前記縮尺毎に設定された前記間引き情報を、前記地物情報を用いて作成し前記第2のデータベースに登録する登録部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項3】
前記地物には、前記地図上で点として表示される点地物と、前記地図上で線として表示される線地物とが含まれており、
前記地図情報生成部は、
前記リクエスト間引き情報を用いて前記点地物および前記線地物を間引くとともに、間引きを行わなかった前記点地物同士の接続関係が維持されるように前記線地物を再構成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の地図情報作成装置。
【請求項4】
前記地物情報および前記間引き情報には、前記地物を識別する識別情報が含まれ、
前記地図情報生成部は、
前記範囲地物情報に含まれる前記識別情報に基づいて、前記第2のデータベースから前記リクエスト間引き情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の地図情報作成装置。
【請求項5】
前記地物には、間引きの優先度が設定されており、
前記登録部は、前記優先度の高い前記地物から順番に間引いていく、
ことを特徴とする請求項2から4の何れか1つに記載の地図情報作成装置。
【請求項6】
前記インフラ設備は、電力系統の設備であり、
前記点地物には、電柱、変圧器、および開閉器の少なくとも1つが含まれ、
前記線地物には、電線が含まれている、
ことを特徴とする請求項3に記載の地図情報作成装置。
【請求項7】
前記登録部は、
前記点地物に設定されている属性、前記点地物が前記地図上で分岐点となっているか否か、前記点地物が終端点であるか否か、前記地図上で前記線地物の分岐点となっている点地物からの距離、または前記点地物の両隣の点地物を結んだ線分から前記両隣の点地物に挟まれた前記点地物までの距離に基づいて、前記間引きの優先度を導出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の地図情報作成装置。
【請求項8】
前記登録部は、前記表示領域を複数の地図領域に分割して、前記地図領域毎に前記地物を間引くか否かの間引き判定を実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の地図情報作成装置。
【請求項9】
前記登録部は、前記地図領域をオーバラップさせ、オーバラップした領域に対して少なくとも1つの前記地図領域で前記地物を間引くと判定した場合に前記地物を間引く、
ことを特徴とする請求項8に記載の地図情報作成装置。
【請求項10】
インフラ設備の地図上の表示領域および縮尺の少なくとも一方を指定した地図表示リクエストを送信する端末と、
前記地図表示リクエストを受信し、前記地図表示リクエストに基づいて、前記地図に含まれる地物の一部が間引きされた間引き地図を表示するための地図情報を作成して前記端末に前記地図情報を送信する地図情報作成装置と、
を備え、
前記地図情報作成装置は、前記地図表示リクエストに基づいて、前記地物の情報を格納する第1のデータベースから前記表示領域に含まれる地物の情報を範囲地物情報として取得し、前記地物のそれぞれを前記間引き地図に表示するか否かが設定された間引き情報を格納する第2のデータベースから、前記地物のうち前記範囲地物情報に含まれる地物に対応する前記間引き情報をリクエスト間引き情報として取得し、前記範囲地物情報および前記リクエスト間引き情報を用いて前記地図情報を作成し、
前記端末は、前記地図情報に基づいて、前記間引き地図を表示する、
ことを特徴とする地図表示システム。
【請求項11】
インフラ設備の地図上の表示領域および縮尺の少なくとも一方が指定された地図表示リクエストを端末から受信すると、前記地図表示リクエストに基づいて、前記地図に含まれる地物の一部が間引きされた間引き地図を表示するための地図情報を作成する地図情報生成ステップをコンピュータに実行させ、
前記地図情報生成ステップでは、前記地図表示リクエストに基づいて、前記地物の情報を格納する第1のデータベースから前記表示領域に含まれる地物の情報を範囲地物情報として取得し、前記地物のそれぞれを前記間引き地図に表示するか否かが設定された間引き情報を格納する第2のデータベースから、前記地物のうち前記範囲地物情報に含まれる地物に対応する前記間引き情報をリクエスト間引き情報として取得し、前記範囲地物情報および前記リクエスト間引き情報を用いて前記地図情報を作成させる、
ことを特徴とする地図情報作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示する地図の情報を作成する地図情報作成装置、地図表示システム、および地図情報作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の設備といったインフラ設備では、電柱などの地物を地図上に表示して設備の管理が行われている。このようなインフラ設備を管理するシステムでは、PC(Personal Computer)、タブレット等のクライアント端末が用いられる。これらのクライアント端末は、設備の作業指示者、現場作業者などに操作されることで、サーバにアクセスし、サーバから送られてくる地図の情報である地図情報に基づいて、地図上に地物を表示させている。
【0003】
例えば、クライアント端末が、電力分野で利用される系統図の表示を行う際には、電柱、電線などの電力会社が管理する各種設備を表示している。ところが、クライアント端末は、画面上で広域の系統図を表示しようとすると、大量の設備を表示する必要があるので、表示処理に時間がかかってしまい、ユーザに待ち時間が発生する場合がある。このため、クライアント端末に地図を表示させる際には、小さい処理負荷で詳細な地図を表示させることが望まれる。
【0004】
特許文献1に記載の図形作成表示装置は、全体の図形データの中から、縮尺毎に設定された図形種別データに対応する図形データを間引くことで、小縮尺の地図を迅速に表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-095974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、図形データが多くなるに従って地図を表示させる際の処理負荷が大きくなり、所望の処理負荷以内で詳細な地図を表示させることができるとは限らないという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、所望の処理負荷以内で詳細な地図を表示させるための地図情報を作成することができる地図情報作成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の地図情報作成装置は、インフラ設備の地図上の表示領域および縮尺の少なくとも一方が指定された地図表示リクエストを端末から受信する通信部と、地図表示リクエストに基づいて、地図に含まれる地物の一部が間引きされた間引き地図を表示するための地図情報を作成する地図情報生成部と、を備える。地図情報生成部は、地図表示リクエストに基づいて、地物の情報を格納する第1のデータベースから表示領域に含まれる地物の情報を範囲地物情報として取得し、地物のそれぞれを間引き地図に表示するか否かが設定された間引き情報を格納する第2のデータベースから、地物のうち範囲地物情報に含まれる地物に対応する間引き情報をリクエスト間引き情報として取得し、範囲地物情報およびリクエスト間引き情報を用いて地図情報を作成し、通信部は、端末に地図情報を送信する。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる地図情報作成装置は、所望の処理負荷以内で詳細な地図を表示させるための地図情報を作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる地図表示システムの構成を示す図
図2】実施の形態にかかるサーバによる間引き処理の概要を説明するための図
図3】実施の形態にかかる地図表示システムが備えるサーバの構成を示す図
図4】実施の形態にかかる地図表示システムが備えるクライアント端末の構成を示す図
図5】実施の形態にかかる地図表示システムが登録する更新間引き情報の登録処理を説明するための図
図6】実施の形態にかかる地図表示システムが登録する更新間引き情報の登録処理手順を示すフローチャート
図7】実施の形態にかかる地図表示システムが表示させる地図の地図表示処理を説明するための図
図8】実施の形態にかかる地図表示システムが表示させる地図の地図表示処理手順を示すフローチャート
図9】実施の形態にかかるサーバが登録する間引き地物の登録処理手順を示すフローチャート
図10】実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第1処理を説明するための図
図11】実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第2処理を説明するための図
図12】実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第3処理を説明するための図
図13】実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第4処理を説明するための図
図14】実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第5処理を説明するための図
図15】実施の形態にかかるサーバが更新間引き情報を作成する際に設定する地図領域を説明するための図
図16】実施の形態にかかるサーバが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図
図17】実施の形態にかかるサーバが備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかる地図情報作成装置、地図表示システム、および地図情報作成プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる地図表示システムの構成を示す図である。地図表示システム1は、地図情報作成装置であるサーバ10と、地図表示装置である1または複数のクライアント端末20と、地物DB(DataBase、データベース)60と、間引き情報DB40とを備えている。地物DB60が第1のデータベースであり、間引き情報DB40が第2のデータベースである。
【0013】
地図表示システム1は、クライアント端末20に電力系統の設備といったインフラ設備の地図を表示させるシステムである。地図表示システム1は、縮尺、表示領域などに応じて、特定の地物を間引きすることで、地図を表示する際の処理負荷を特定値以下としつつ、可能な限り詳細な地図を表示させる。すなわち、地図表示システム1は、広域系統図を表示する際の処理負荷を軽減させ、ユーザエクスペリエンスを向上させる。
【0014】
サーバ10は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、クライアント端末20との間で通信可能となっている。また、サーバ10は、地物DB60および間引き情報DB40に接続されている。なお、地物DB60および間引き情報DB40の少なくとも一方は、サーバ10内に配置されていてもよい。
【0015】
サーバ10は、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)サーバなどのウェブ(Web)サーバである。サーバ10は、クライアント端末20から送られてくる、編集された地物の情報(後述する地物編集情報31)を地物DB60に登録する。また、サーバ10は、地物編集情報31に対応する地物の情報(後述する更新地物情報32)を地物DB60から取得する。サーバ10は、更新地物情報32に基づいて、地図上の地物のうち何れの地物を間引きするかを示す情報(後述する更新間引き情報33)を作成して間引き情報DB40に登録する。
【0016】
実施の形態における地物は、電柱、変圧器、開閉器、電線などである。これらの地物のうち、電柱、変圧器、および開閉器が点地物であり、電線が線地物である。すなわち、点地物には、電柱、変圧器、および開閉器の少なくとも1つが含まれ、線地物には、電線が含まれている。線地物は、点地物同士を接続する地物である。
【0017】
また、サーバ10は、クライアント端末20から地図を表示させるリクエスト(後述する地図表示リクエスト51)を受け付けると、この地図表示リクエスト51に対応する地図の情報(後述する地図情報56)を作成する。サーバ10は、地物DB60および間引き情報DB40を用いて、地図情報56を作成する。
【0018】
実施の形態のサーバ10は、地図を表示する際の処理負荷を所望の処理負荷以内としつつ、可能な限り詳細な情報を表示させるための地図情報56を、地物の間引きの優先度に基づいて作成する。サーバ10は、地物の間引きの優先度に基づいて特定の地物を間引くことによって、地図を表示する際の処理負荷を低減する。サーバ10は、作成した地図情報56をクライアント端末20に送信する。クライアント端末20は、PC、タブレット、スマートホンなどである。クライアント端末20は、地図情報56に対応する地図25を表示させる。
【0019】
クライアント端末20が表示する地図25は、地図表示リクエスト51に対応する地図である。地図25では、点地物が点で示され、線地物が線で示される。クライアント端末20が表示する地図25は、地物のうちの一部の地物が間引きされている。すなわち、地図25では、特定の点地物の図示が省略され、特定の線地物が簡略化されている。このように、地図25は、間引き前の地図(以下、元地図という)に含まれる地物の一部が間引きされた間引き地図である。元地図は、後述する背景地図に全ての地物が配置された地図(間引きされていない地図)である。
【0020】
ユーザが、クライアント端末20を用いて、地図25の元地図に含まれる地物の情報を編集すると、クライアント端末20は、編集結果に対応する地物編集情報31を作成してサーバ10に送信する。これにより、サーバ10は、地物DB60に地物編集情報31を登録する。
【0021】
クライアント端末20は、元地図の背景となる地図(背景地図)を記憶しており、この背景地図上の座標と、この座標に表示される地物の情報とが対応付けされた地物編集情報31を作成する。背景地図は、元地図から全ての地物が削除された地図である。背景地図での位置は、地球上での位置(緯度および経度)に対応している。すなわち、背景地図は、少なくとも緯度および経度が規定された地図である。背景地図には、道路、建造物、山、川などが含まれていてもよい。ユーザは、背景地図上の位置(座標)を指定したうえで、この位置での地物の情報を編集する。背景地図での座標と、元地図での座標と、間引き地図での座標とは、同じ座標である。
【0022】
地物DB60は、地物全体の地物情報である全体地物情報(後述する全体地物情報81)および元地図を格納している。なお、地物DB60は、元地図の代わりに背景地図を格納しておいてもよい。全体地物情報81は、地物編集情報31によって更新される。すなわち、サーバ10は、地物DB60に格納されている全体地物情報81のうち、地物編集情報31に対応する箇所を地物編集情報31によって更新する。
【0023】
サーバ10は、地物編集情報31を登録すると、この地物編集情報31に対応する更新地物情報32を取得し、更新地物情報32を用いて更新間引き情報33を作成する。具体的には、サーバ10は、地図25を複数の地図領域に分割し、各地図領域に対して更新間引き情報33を作成する。サーバ10は、地図25に設定可能な全ての縮尺に対して地図領域毎に更新間引き情報33を作成する。なお、地図25内の特定の地図領域のみが更新された場合には、サーバ10は、更新された地図領域に対して更新間引き情報33を作成する。サーバ10は、更新間引き情報33を間引き情報DB40に登録する。
【0024】
間引き情報DB40は、地物全体の間引き情報である全体間引き情報(後述する全体間引き情報82)を格納している。全体間引き情報82は、間引く地物の識別情報(後述する地物識別情報54)のリストを含んでいる。全体間引き情報82は、更新間引き情報33によって更新される。すなわち、サーバ10は、間引き情報DB40に格納されている全体間引き情報82のうち、更新間引き情報33に対応する箇所を更新間引き情報33によって更新する。
【0025】
また、サーバ10は、クライアント端末20から地図表示リクエスト51が送られてくると、地物DB60および間引き情報DB40を用いて、間引かれた地図25を作成し、クライアント端末20に送信する。
【0026】
クライアント端末20は、地図表示リクエスト51に対応する地図25をサーバ10から受信して表示する。これにより、地図表示システム1は、表示の処理負荷を特定値以下に抑制しつつ、クライアント端末20に可能な限り詳細な地図を表示させることができる。
【0027】
ここで、サーバ10による間引き処理の概要について説明する。図2は、実施の形態にかかるサーバによる間引き処理の概要を説明するための図である。サーバ10は、地物が表示される地図の縮尺、表示領域の大きさなどに応じて、特定の地物を間引きすることで、地図41から地図46を作成する。
【0028】
図41は、間引きされる前の地図である元地図の一部であり、点地物70および線地物80が含まれている。地図41では、点地物70および線地物80の配置が示されている。サーバ10は、表示の処理負荷が特定値以下となり、且つ可能な限り多くの地物を表示できるように、地図41の中から特定の地物を間引くことで、地図46を作成する。この場合において、サーバ10は、各地物の間引きの優先度に基づいて、間引く地物を決定する。すなわち、サーバ10は、表示の処理負荷が特定値以下となるまで、間引きの優先度が高い地物から順番に間引いていく。
【0029】
間引きの優先度は、地物が間引かれても、元地図の概観を保ったまま間引くことができる場合に高くなる。元地図は、元地図に含まれる線地物80の分岐点、点地物70の終端点などが保持されることによって、概観が保たれやすくなる。したがって、元地図に含まれる線地物80の分岐点、点地物70の終端点などは、間引きの優先度が低い。
【0030】
サーバ10は、地図41から特定の点地物70および線地物80を間引くとともに、特定の線地物80を簡略化することで地図46を作成する。サーバ10は、特定の線地物80を簡略化する際には、間引きを行わなかった点地物70同士の接続関係が維持されるように線地物80を再構成する。これにより、サーバ10は、元地図の概観を保ったうえで、表示の処理負荷に対応する個数の地物をクライアント端末20に表示させることが可能となる。地図41上の地物のうち何れの地物を間引きするかを示す情報が、更新間引き情報33であり、サーバ10によって作成される。
【0031】
図3は、実施の形態にかかる地図表示システムが備えるサーバの構成を示す図である。サーバ10は、通信部11と、登録部12と、地図情報生成部13とを有している。
【0032】
通信部11は、クライアント端末20との間で通信を実行する。通信部11は、クライアント端末20から地物編集情報31を受信すると、受信した地物編集情報31を登録部12に送る。
【0033】
地物編集情報31は、地物の編集内容を示す情報である。すなわち、地物編集情報31は、地物の情報の編集結果を示す。地物編集情報31には、地物を識別するための地物識別情報54、ユーザによって変更された地物の位置、ユーザによって変更された地物の属性などが含まれている。クライアント端末20は、元地図または地図25を表示させた状態で、ユーザから地物編集情報31を作成する指示(地物の情報を編集する指示)を受け付けることが可能となっている。
【0034】
クライアント端末20は、ユーザからの編集指示に従って、地物の追加、地物の削除、地物の位置変更、地物の属性変更などを行うことで、地物編集情報31を作成する。地物の属性は、例えば、地物が正常であるか異常であるかを示す情報、地物における停電の有無、地物の設置年月日、地物の点検年月日、地物に対する検査結果などである。
【0035】
また、通信部11は、クライアント端末20から地図表示リクエスト51を受信すると、受信した地図表示リクエスト51を登録部12に送る。地図表示リクエスト51は、地図25の表示に用いられる地図情報56を要求するための情報である。地図表示リクエスト51には、地図25として表示要求する縮尺(後述する縮尺情報85)および領域(表示領域)が含まれている。すなわち、クライアント端末20は、ユーザによって指定された縮尺および領域を示す地図表示リクエスト51をサーバ10に送信する。なお、地図25として表示要求される縮尺および領域の一方が決まれば他方は類推可能であるので、地図表示リクエスト51には、地図25として表示要求される縮尺および領域の少なくとも一方が含まれていてればよい。
【0036】
ユーザは、表示させたい領域および縮尺で元地図をクライアント端末20に表示させることで、地図25として表示させたい領域の中心座標および縮尺を指定する。ユーザがクライアント端末20に表示させた元地図の領域の中心座標が、地図25としてユーザが表示させたい領域の中心座標である。また、ユーザがクライアント端末20に表示させた元地図の縮尺が、ユーザが表示させたい地図25の縮尺である。
【0037】
なお、地物編集情報31または地図表示リクエスト51には、表示させる地物の種類を指定した情報(レイヤ情報)、または表示させる地物の属性を指定した情報が含まれていてもよい。レイヤ情報は、例えば、電柱、電線、開閉器、変圧器などの地物の種類を指定した情報である。なお、レイヤ情報では、表示させる地物の種類が指定されてもよいし、表示させない地物の種類が指定されてもよい。表示させる地物の属性を指定した情報では、例えば、異常状態の地物、正常状態の地物などが指定される。
【0038】
また、通信部11は、地図情報生成部13が作成した地図情報56を、地図表示リクエスト51を送信してきた端末、すなわちクライアント端末20に送信する。地図情報56は、地物の間引きが行われた地図25を表示するための情報である。
【0039】
登録部12は、地物編集情報31を地物DB60に登録する。具体的には、登録部12は、地物編集情報31が示す地物の変更箇所に基づいて、地物の全体の情報である全体地物情報81の更新指示を地物DB60に送信する。これにより、地物DB60内で記憶されている全体地物情報81が更新される。全体地物情報81は、電柱、電線、開閉器、変圧器などの地物の位置情報(元地図での座標)、地物の属性情報、地物識別情報54などを含んでいる。地物識別情報54は、地物を識別するための情報であり、各地物に対して固有の情報が割り当てられる。
【0040】
登録部12は、地物編集情報31に対応する更新地物情報32を地物DB60から取得する。すなわち、登録部12は、全体地物情報81の中から、更新された地物の情報を示す更新地物情報32を抽出する。更新地物情報32は、全体地物情報81に含まれる地物情報の一部である。したがって、更新地物情報32は、電柱、電線、開閉器、変圧器などの地物の位置情報、地物の属性情報、地物識別情報54などを含んでいる。
【0041】
登録部12は、更新地物情報32に基づいて、更新間引き情報33を作成する。登録部12は、作成した更新間引き情報33を間引き情報DB40に登録する。更新間引き情報33は、縮尺毎に、何れの地物を間引くか(画面に表示しないか)を示す情報である。すなわち、更新間引き情報33では、縮尺毎に、各地物が間引き対象となっているか否かが示されている。更新間引き情報33では、例えば、間引き対象となっている地物の識別情報のリストが、縮尺毎、領域毎に格納されている。登録部12は、表示の処理負荷が特定値以下となるように、地物を表示するか否かが地物毎および縮尺毎に設定された更新間引き情報33を作成する。なお、本実施の形態では、縮尺の変更が段階的に行われる場合について説明するが、縮尺は連続的に変更されてもよい。すなわち、地図25に対しては、任意の縮尺が設定されてもよい。縮尺が連続的に変更される場合、サーバ10は、縮尺を変化させながら間引き対象となる地物を決定する。サーバ10は、この決定処理の際に、各地物が何れの縮尺まで表示されるべきか判断し、表示の有無を判定する際には、要求されている現在の縮尺が、表示されるべき縮尺の値より大きいか否かで、各地物が間引き対象となっているかを判定する。これにより、サーバ10は、連続的な縮尺の変更に対しても、縮尺毎に各地物が間引き対象となっているかを判定することができる。
【0042】
地図情報生成部13は、地図表示リクエスト51に基づいて、地物情報の取得リクエスト(後述する範囲地物取得リクエスト52)を作成する。範囲地物取得リクエスト52は、地図表示リクエスト51で指定された領域の地物情報(後述する範囲地物情報53)を要求する指示情報である。
【0043】
範囲地物情報53は、範囲地物取得リクエスト52で指定された領域に配置されている地物の情報である。範囲地物情報53は、全体地物情報81に含まれる地物情報の一部である。したがって、範囲地物情報53は、電柱、電線、開閉器、変圧器などの地物の位置情報(元地図での座標)、地物の属性情報、地物識別情報54などを含んでいる。
【0044】
地図情報生成部13は、範囲地物取得リクエスト52を地物DB60に送ることで、地物DB60が記憶している全体地物情報81の中から範囲地物取得リクエスト52に対応する範囲地物情報53を読み出す。
【0045】
地図情報生成部13は、地図表示リクエスト51に含まれている縮尺情報85と、地物DB60から取得した範囲地物情報53に含まれている地物識別情報54と、地物DB60から取得した元地図とに基づいて、間引き情報DB40から、地図表示リクエスト51に対応する間引き情報(後述するリクエスト間引き情報55)を取得する。
【0046】
範囲地物情報53に含まれている地物識別情報54は、地図表示リクエスト51で指定された領域に配置されている地物の識別情報である。地図情報生成部13が間引き情報DB40から取得するリクエスト間引き情報55は、地図表示リクエスト51に含まれている縮尺情報85および領域に対応した間引き情報である。縮尺情報85は、地図表示リクエスト51で指定された縮尺の情報であり、クライアント端末20は、縮尺情報85で示される縮尺で地図25を表示する。リクエスト間引き情報55は、間引く地物の地物識別情報54のリストを含んでいる。
【0047】
地図情報生成部13は、範囲地物情報53、リクエスト間引き情報55、元地図を用いて地図25に対応する地図情報56を作成する。地図情報56は、地物の位置情報、地物の属性情報、地物識別情報54などを含んでいる。地図情報生成部13は、範囲地物情報53内の地物の中からリクエスト間引き情報55で間引きに設定されている地物を間引くことで地図25に対応する地図情報56を作成する。すなわち、地図情報生成部13は、リクエスト間引き情報55を用いて点地物70および線地物80を間引くとともに、点地物70の間引きが行われた箇所の線地物80を再構成する。この場合において、地図情報生成部13は、間引きを行わなかった点地物70同士の接続関係が維持されるように線地物80を再構成する。すなわち、地図情報生成部13は、元地図において1または複数の線地物80を介して接続されていた点地物70同士は、再構成後も線地物80を介して接続されるように線地物80を再構成する。
【0048】
図4は、実施の形態にかかる地図表示システムが備えるクライアント端末の構成を示す図である。クライアント端末20は、入力部21と、編集部22と、通信部23と、表示部24とを有している。
【0049】
入力部21は、ユーザからの指示を受け付けて、編集部22に送る。入力部21が、ユーザから受け付ける指示は、地物編集情報31を作成する指示(地物を編集する指示)、地物編集情報31を送信する指示、地図表示リクエスト51を作成する指示(地図25を表示する指示)、地図表示リクエスト51を送信する指示などである。
【0050】
編集部22は、入力部21から地物編集情報31を作成する指示を受け付けると、この指示に従って地物の情報を編集し、地物編集情報31を作成する。編集部22は、地図25の元地図、地物編集情報31などを表示部24に表示させながら地物編集情報31を作成する。
【0051】
また、編集部22は、入力部21から地図表示リクエスト51を作成する指示を受け付けると、この指示に従って地図表示リクエスト51を作成する。編集部22は、地図表示リクエスト51を表示部24に表示させながら地図表示リクエスト51を作成する。
【0052】
編集部22は、入力部21から地物編集情報31の送信指示を受け付けると、作成した地物編集情報31を通信部23に送る。また、編集部22は、入力部21から地図表示リクエスト51の送信指示を受け付けると、作成した地図表示リクエスト51を通信部23に送る。
【0053】
通信部23は、地物編集情報31、地図表示リクエスト51などをサーバ10に送信する。また、通信部23は、サーバ10から地図情報56を受信し、受信した地図情報56を表示部24に送る。
【0054】
表示部24は、液晶モニタなどの表示装置を具備しており、地図情報56に対応する地図25を表示する。また、表示部24は、編集部22からの指示に従って、地図25の元地図、地物編集情報31、地図表示リクエスト51などを表示する。
【0055】
図5は、実施の形態にかかる地図表示システムが登録する更新間引き情報の登録処理を説明するための図である。図6は、実施の形態にかかる地図表示システムが登録する更新間引き情報の登録処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
クライアント端末20の編集部22は、ユーザからの操作に従って、地物の情報を編集する。クライアント端末20の通信部23は、地物の編集結果を示す地物編集情報31をサーバ10に送信する(ステップST1)。
【0057】
サーバ10の通信部11は、地物編集情報31を受信する。サーバ10の登録部12は、地物編集情報31を地物DB60に登録する(ステップST2)。具体的には、サーバ10の登録部12は、地物編集情報31を地物DB60に送信することで、全体地物情報81に地物編集情報31を登録する。すなわち、サーバ10の登録部12は、地物編集情報31に基づいて、地物DB60内の全体地物情報81を更新する。
【0058】
サーバ10の登録部12は、地物DB60から更新地物情報32を取得する(ステップST3)。この場合において、サーバ10の登録部12は、変更のあった地物の情報だけではなく、変更のあった地物の存在する領域の情報も含んだ更新地物情報32を取得する。サーバ10の登録部12が、地物DB60から取得する更新地物情報32は、地物DB60に登録した地物編集情報31に対応している。
【0059】
サーバ10の登録部12は、取得した更新地物情報32に基づいて、間引きする地物である間引き地物を決定する(ステップST4)。サーバ10の登録部12は、決定した間引き地物に対応する更新間引き情報33を作成する。このように、サーバ10の登録部12は、変更のあった地物の情報、および変更のあった地物の存在する領域の情報を含んだ更新地物情報32を取得し、新たに間引き地物を再計算する。サーバ10の登録部12は、間引き情報DB40に、生成した更新間引き情報33を登録する(ステップST5)。
【0060】
なお、登録部12は、バッチ処理によって集約処理(地物編集情報31を地物DB60に送信する処理)を実行してもよい。この場合、新たに追加された地物の地物編集情報31は、バッチ処理までは地物DB60に送信されない。したがって、新たに追加された地物は、バッチ処理までは地図25にそのまま表示される。また、登録部12は、バッチ処理によって更新間引き情報33の更新処理(更新間引き情報33を間引き情報DB40に登録する処理)を実行してもよい。この場合、登録部12は、新たに追加された地物の地物編集情報31に対応する更新地物情報32は、バッチ処理までは地物DB60から取得しない。登録部12は、バッチ処理の際にまとめて更新地物情報32を読み出して、更新間引き情報33をまとめて更新する。
【0061】
図7は、実施の形態にかかる地図表示システムが表示させる地図の地図表示処理を説明するための図である。図8は、実施の形態にかかる地図表示システムが表示させる地図の地図表示処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
クライアント端末20の編集部22は、ユーザからの操作に従って、地図表示リクエスト51を作成する。この地図表示リクエスト51には、縮尺情報85、地図25内の特定領域(表示させる領域)を示す情報などが含まれている。
【0063】
クライアント端末20の通信部23は、地図表示リクエスト51をサーバ10に送信する(ステップST11)。サーバ10の地図情報生成部13は、地図表示リクエスト51に基づいて、範囲地物取得リクエスト52を作成する。サーバ10の地図情報生成部13は、範囲地物取得リクエスト52を地物DB60に送信する(ステップST12)。
【0064】
サーバ10の地図情報生成部13は、範囲地物取得リクエスト52を地物DB60に送ることで、地物DB60が記憶している全体地物情報81の中から範囲地物取得リクエスト52に対応する範囲地物情報53を取得する(ステップST13)。
【0065】
サーバ10の地図情報生成部13は、地図表示リクエスト51に含まれていた縮尺情報85、および範囲地物情報53に含まれていた地物識別情報54を間引き情報DB40に送信する(ステップST14)。これにより、サーバ10の地図情報生成部13は、間引き情報DB40が記憶している全体間引き情報82から、縮尺情報85および地物識別情報54に対応するリクエスト間引き情報55を取得する(ステップST15)。
【0066】
サーバ10の地図情報生成部13は、範囲地物情報53、リクエスト間引き情報55、および元地図を用いて地図25に対応する地図情報56を作成する(ステップST16)。サーバ10の通信部11は、地図情報56をクライアント端末20に送信する(ステップST17)。クライアント端末20の通信部23は、地図情報56を受信する。そして、クライアント端末20の表示部24が、地図情報56に対応する地図25を表示する(ステップST18)。
【0067】
なお、図5および図6で説明したサーバ10による処理と、図7および図8で説明したサーバ10による処理とは、別々のサーバ10で実行されてもよい。
【0068】
ここで、サーバ10の登録部12による更新間引き情報33の登録処理について説明する。図9は、実施の形態にかかるサーバが登録する間引き地物の登録処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
サーバ10の登録部12は、地物編集情報31で指定された領域、すなわち更新領域に対応する更新地物情報32を地物DB60から取得する(ステップST21)。地図表示リクエスト51で指定される更新領域は、地物の情報が更新された領域である。
【0070】
サーバ10の登録部12は、更新地物情報32に含まれる地物毎に、間引きの優先度を導出する(ステップST22)。登録部12は、優先度の導出対象となっている地物(以下、対象点地物という場合がある)のそれぞれに対して優先度を導出する。登録部12は、以下の(1)~(5)の優先度導出要素に基づいて、各対象点地物の間引きの優先度を導出する。
(1)対象点地物の属性
(2)対象点地物が線地物80の分岐点であるか否か
(3)対象点地物が終端点であるか否か
(4)対象点地物の分岐点からの距離
(5)対象点地物の両隣の点地物70を結んだ線分から対象点地物までの距離
【0071】
例えば、地物の属性として、電柱の正常状態が設定されている場合、登録部12は、この地物(対象点地物)に対する間引きの優先度を高める。なお、登録部12は、電柱の異常状態が設定されている場合に間引きの優先度を高めてもよい。また、地物において停電が有った場合に間引きの優先度を高めてもよいし、地物において停電が無かった場合に間引きの優先度を高めてもよい。何れの属性の優先度を高めるかは、ユーザによって、サーバ10に設定される。
【0072】
また、登録部12は、対象点地物が分岐点でない場合に間引きの優先度を高める。また、登録部12は、対象点地物が終端点でない場合に間引きの優先度を高める。また、登録部12は、対象点地物の分岐点からの距離が短い場合に間引きの優先度を高める。この場合において、分岐点からの距離は、直線距離であってもよいし、線地物80を順番に辿った場合の合計距離であってもよい。
【0073】
また、登録部12は、対象点地物の両隣に配置されている点地物70を抽出する。抽出される点地物70は、対象点地物と線地物80を介して接続されている点地物70である。登録部12は、抽出した2つの点地物70を結んだ線分から対象点地物までの距離が特定値よりも短い場合に間引きの優先度を高める。
【0074】
登録部12は、上述した(1)~(5)のそれぞれに重みづけを行い、各地物に間引きの優先度を設定する。(1)~(5)の重みづけは、ユーザによって、サーバ10に設定される。
【0075】
登録部12は、各点地物70に設定した優先度に基づいて、間引き地物を決定する(ステップST23)。すなわち、登録部12は、全ての地物に間引きの優先度を設定し、間引きの優先度が高い点地物70から順番に間引き対象の地物に設定していく。
【0076】
登録部12は、例えば、各点地物70に設定した優先度に基づいて、各点地物70に優先度を示す点数を付ける。そして、登録部12は、点数の高い順番で各点地物70を間引き対象の地物に設定していく。
【0077】
登録部12は、終端点の点地物70を間引いた場合には、この間引いた点地物70に接続されていた線地物80を間引き対象の地物に設定する。登録部12は、クライアント端末20が地図25を表示した場合の表示の処理負荷が特定値以下となる個数まで点地物70および線地物80への間引き設定を実行する。
【0078】
図25を表示した場合の表示の処理負荷は、登録部12が、点地物70の個数および線地物80の個数に基づいて算出する。なお、登録部12は、地図情報生成部13が線地物80を再構成した場合の、点地物70の個数および線地物80の個数に基づいて表示の処理負荷を算出してもよい。
【0079】
処理負荷と比較される特定値は、予めサーバ10に登録されていてもよいし、クライアント端末20から要求された特定値が適用されてもよい。
【0080】
なお、登録部12は、クライアント端末20が地図25を表示した場合の表示の処理時間が特定時間以下となるように、点地物70の間引きおよび線地物80の再構成を実行してもよい。この場合、登録部12は、クライアント端末20の表示の処理能力に基づいて、地図25を表示した場合の表示の処理時間が特定時間以下となるように、地物の再構成を実行する。
【0081】
登録部12は、決定した間引き地物を間引き情報DB40に登録する(ステップST24)。すなわち、登録部12は、各地物が間引きの対象であるか否かを示す更新間引き情報33を間引き情報DB40に登録する。具体的には、登録部12は、縮尺情報85と、地物の地物識別情報54と、地物が間引きの対象であるか否かを示す情報とが対応付けされた更新間引き情報33を作成して間引き情報DB40に登録する。
【0082】
間引き情報DB40は、縮尺情報85毎に、地物識別情報54と、地物が間引きの対象であるか否かを示す情報とが対応付けされた全体間引き情報82を格納しており、全体間引き情報82を更新間引き情報33を用いて更新する。
【0083】
登録部12は、全ての更新領域に対して間引き地物を決定したか否かを判定する(ステップST25)。登録部12は、全ての更新領域に対して間引き地物を決定していない場合(ステップST25、No)、ステップST21の処理に戻り、ステップST21~ST24の処理を実行する。登録部12は、全ての更新領域に対して間引き地物を決定すると(ステップST25、Yes)、更新間引き情報33の登録処理を終了する。
【0084】
なお、最初に地図25の元地図が作成された場合には、元地図の全体が更新領域となる。この場合、登録部12は、元地図の全ての領域に対して縮尺情報85毎に更新間引き情報33を作成して間引き情報DB40に登録する。このとき、間引き情報DB40に登録される更新間引き情報33が全体間引き情報82となり、この後、地図25が更新されると、全体間引き情報82が更新間引き情報33を用いて更新される。
【0085】
実施の形態では、登録部12が、上述した(1)~(5)のそれぞれに重みづけを行い、各地物に間引きの優先度を設定する場合について説明したが、登録部12は、上述した(1)~(5)に従って順番に地物を間引いてもよい。この場合、登録部12は、表示の処理負荷が特定値以下となるまで、順番に地物を間引いていく。この場合の登録部12による間引き処理について説明する。
【0086】
登録部12は、間引き処理に含まれる第1処理~第5処理までを順番に実行することで、図2で示した地図41を元地図として地図46を作成する。図10は、実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第1処理を説明するための図である。サーバ10の登録部12は、図2に示した地図41から図10に示す地図42を作成する。具体的には、登録部12は、地図41上の任意の地物を基準ノードに設定する。図10では、点地物71Aが基準ノードに設定された場合を示している。
【0087】
登録部12は、基準ノードである点地物71Aから最も遠いノード(点地物72)までの経路を抽出する。点地物71Aから最も遠い点地物72は、点地物71Aから線地物80を辿った場合に、線地物80の接続数が最も多い点地物である。すなわち、点地物71Aから最も多くの線地物80を経由して接続されている点地物が、点地物71Aから最も遠い点地物72である。
【0088】
登録部12は、点地物71Aから点地物72までの経路に含まれる点地物73を抽出する。登録部12が、点地物71Aを基準ノードに設定する処理および点地物72,73を抽出する処理が第1処理である。図10では、点地物71Aが設定され、点地物72,73が抽出された状態を示している。
【0089】
図11は、実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第2処理を説明するための図である。登録部12は、図10に示した地図42から図11に示す地図43を作成する。具体的には、登録部12は、点地物73のうち、線地物80の分岐点となっている点地物73を抽出する。線地物80の分岐点となっている点地物73は、3本以上の線地物80が接続されている点地物である。
【0090】
登録部12は、線地物80の分岐点となっている点地物73に接続されている点地物70のうち、終端している点地物であり、且つ点地物73からの最短距離が基準値L以下の点地物74を抽出する。なお、点地物73からの距離は、線地物80を順番に辿った場合の経路の合計距離であってもよい。
【0091】
登録部12が、分岐点となっている点地物73を抽出する処理および点地物74を抽出する処理が第2処理である。図11では、点地物71Aが設定され、点地物72~74が抽出された状態を示している。
【0092】
図12は、実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第3処理を説明するための図である。登録部12は、図11に示した地図43から図12に示す地図44を作成する。具体的には、登録部12は、第2処理で抽出した点地物74を間引き対象の地物に設定することで削除する。また、登録部12は、削除されえた点地物74に接続されていた線地物80を間引き対象の地物に設定することで削除する。点地物74に接続されていた線地物80は、一端に点地物73が接続されており、他端には点地物74の削除によって何れの点地物も接続されていない線地物である。登録部12が、第2処理で抽出した点地物74を間引き対象の地物に設定することで削除する処理と、点地物74に接続されていた線地物80を間引き対象の地物に設定することで削除する処理とが第3処理である。
【0093】
また、登録部12は、線地物80の分岐点となっている点地物73に接続されている枝であって、点地物73から基準値Lよりも遠くまで延びている枝を抽出する。すなわち、登録部12は、点地物71Aから点地物72までの経路から延びる枝であって、点地物74が削除されなかった枝を抽出する。
【0094】
登録部12は、抽出した枝に対して第1処理から第3処理までを実行する。すなわち、登録部12は、抽出した枝の一端である点地物73を新たな基準ノードである点地物71Bに設定する。図12では、点地物71Aから点地物72までの経路に配置されている点地物73を新たな基準ノードである点地物71Bに設定した場合を示している。
【0095】
登録部12は、枝に含まれる点地物70から点地物72~74を抽出する。図12では、登録部12が、抽出した枝に対して、点地物71Bが設定され、点地物72~74が抽出された状態を示している。登録部12は、地図44において抽出した点地物74を間引き対象の地物に設定することで削除する。
【0096】
図13は、実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第4処理を説明するための図である。登録部12は、図12に示した地図44から図13に示す地図45を作成する。具体的には、登録部12は、対象点地物の両隣の点地物70を結んだ線分から対象点地物までの距離が特定値(後述する基準値D1)よりも短い対象点地物を点地物75として抽出する。登録部12が、点地物75を抽出する処理が第4処理である。図13では、登録部12が、点地物75を抽出した状態を示している。
【0097】
登録部12は、第4処理で抽出した点地物75を間引き対象の地物に設定することで削除するとともに、点地物75が削除された箇所を1本の線地物80に置き換える。登録部12が点地物75を間引き対象の地物に設定することで削除し、両隣の点地物70を1本の線地物80で接続する処理が第5処理である。
【0098】
図14は、実施の形態にかかるサーバが間引き判定する際の第5処理を説明するための図である。図14では、対象点地物が点地物70Bであり、点地物70Bの両隣の点地物が点地物70A,70Cである場合を示している。
【0099】
点地物70A,70Bは、線地物80Aによって接続されており、点地物70B,70Cは、線地物80Bによって接続されている。登録部12は、対象点地物である点地物70Bの両隣の点地物70A,70Cを結んだ線分X1から点地物70Bまでの距離が基準値D1以下である場合に点地物70Bを抽出する。
【0100】
登録部12は、抽出した点地物70B、および点地物70Bに接続されている線地物80A,80Bを間引き対象の地物に設定することで削除する。さらに、登録部12は、点地物70Bの両隣の点地物70A,70Cを新たな線地物80Cで接続する。線地物80Cは、点地物70A,70Cを最短距離で接続する線状の地物である。したがって、線地物80Cは、点地物70A,70Cを結んだ線分X1の位置に配置される。このように、登録部12は、点地物70Bを間引くとともに、間引きが行われなかった点地物70A,70C同士が接続されるように、線地物80A,80Bの代わりに線地物80Cを配置する。これにより、点地物70A,70Cの接続関係が維持される。
【0101】
なお、登録部12は、対象点地物に隣接していない点地物70を点地物70A,70Cとして抽出してもよい。すなわち、点地物70A,70Cは、対象点地物である点地物70Bに隣接した点地物70に限らない。登録部12は、例えば、点地物70Bから線地物80を辿って行った場合に、分岐点となっている点地物70を通過することなく辿り着ける点地物を点地物70A,70Cとする。また、登録部12は、元地図に含まれる点地物70のうち、何れの点地物70から順番に点地物70Bを設定してもよい。
【0102】
点地物70Aから点地物70Cまでの経路に複数の点地物70が配置されている場合がある。この場合において、登録部12は、点地物70Aから点地物70Cまでの経路に配置されている全ての点地物70を間引く場合も、点地物70Aと点地物70Cとが線地物80Cで接続される。
【0103】
登録部12は、縮尺毎、元地図の領域毎に、上述した第1処理から第5処理までを実行することによって地図41から地図46を作成する。ここでの地図46が、クライアント端末20で表示される地図25に対応している。
【0104】
登録部12は、地図41から地図46を作成し、地図46と地図41との差分に基づいて、元地図に含まれる地物の一部を間引き対象の地物に設定する。すなわち、登録部12は、地図46に含まれる地物と地図41に含まれる地物とを比較することで、間引きされる地物を示す更新間引き情報33を作成する。この更新間引き情報33では、地図41に含まれている点地物70であって、地図46に含まれていない点地物70が、間引き対象の点地物70として登録されている。一方、更新間引き情報33では、地図41,46の両方に含まれている点地物70が、間引き対象でない点地物70として登録されている。また、更新間引き情報33では、削除される線地物80A,80Bと、追加される線地物80Cとが登録されている。
【0105】
登録部12は、第1処理から第4処理までの間に特定の処理負荷以内で地図25を表示させることができる場合には、この時点で点地物70の間引き判定処理を終了する。
【0106】
一方、登録部12は、第1処理から第5処理を実行しても特定の処理負荷以内で地図25を表示させることができない場合には、上述した基準値Lおよび基準値D1の少なくとも一方を大きい値に変更したうえで、地図46に対して第1処理から第5処理を実行する。この場合も、登録部12は、第1処理から第4処理までの間に特定の処理負荷以内で地図25を表示させることができる場合には、この時点で点地物70の間引き判定処理を終了する。
【0107】
すなわち、登録部12は、特定の処理負荷以内で地図25を表示させることができるまで、基準値Lおよび基準値D1の少なくとも一方を大きい値に更新しながら第1処理から第5処理までを繰り返す。
【0108】
サーバ10は、クライアント端末20から受信した地図表示リクエスト51に基づいて、地図情報56を作成する。すなわち、サーバ10は、地図表示リクエスト51に基づいて、元地図から特定の地物を間引きした地図25に対応する地図情報56を作成する。この地図情報56は、特定の処理負荷以内で、可能な限り詳細な地図25を表示可能な情報である。これにより、クライアント端末20は、地図情報56に基づいて、特定の処理負荷以内で、可能な限り詳細な地図25を表示させることが可能となる。
【0109】
図15は、実施の形態にかかるサーバが更新間引き情報を作成する際に設定する地図領域を説明するための図である。登録部12は、元地図に設定された地図領域毎に更新間引き情報33を作成する際に、各地図領域間がオーバラップするように地図領域を設定する。
【0110】
図15では、登録部12が、地図領域61~64を設定した場合を示している。地図領域61~64は、互いに隣接する領域であり、それぞれオーバラップしている領域を共有している。登録部12は、対象点地物を何れかの地図領域61~64で間引きすると判定した場合には、この対象点地物を間引き地物と判定する。換言すると、登録部12は、オーバラップしている領域に対して、少なくとも1つの地図領域で間引きすると判定した地物を、間引き地物と判定する。すなわち、登録部12は、何れかの地図領域61~64で間引きすると判定した地物を間引き対象に設定した更新間引き情報33を作成する。小縮尺で広域が表示される際には間引き率が高くなり、中縮尺の場合はある程度の間引き率となる。1/500などの大縮尺であれば狭域しか表示されず、登録部12は、ほとんど間引きの必要はない。このような縮尺に応じた間引き率の変化に対応するため、登録部12は、表示する範囲の大きさを変化させながら縮尺毎の間引き地物判定処理を行う。
【0111】
したがって、クライアント端末20は、オーバラップしている領域に対しては、全ての地図領域61~64で間引きしないと判定された地物を表示部24に表示させる。換言すると、クライアント端末20は、オーバラップしている領域に対しては、少なくとも1つの地図領域で間引きすると判定された地物は表示部24に表示させない。
【0112】
また、本実施の形態では、サーバ10が、元地図に変更があった際に間引き判定を実行し更新間引き情報33を作成する場合について説明したが、間引き判定の処理タイミングは、このタイミングに限らない。すなわち、本実施の形態では、実際にクライアント端末20が地図25を表示する際には、サーバ10が、間引き判定の処理は実施しない場合について説明したが、サーバ10は、地図表示リクエスト51があった際に、間引き判定を実行してもよい。
【0113】
また、本実施の形態では、サーバ10が、地図表示リクエスト51があった際に、地図表示リクエスト51に対応する地図情報56を作成する場合について説明したが、地図情報56を作成するタイミングは、このタイミングに限らない。すなわち、サーバ10は、更新間引き情報33を作成した際に、地図25の領域毎および縮尺毎に地図情報56を作成しておいてもよい。サーバ10は、地図表示リクエスト51が送られてくる前に地図情報56を作成する場合、作成した地図情報56を間引き情報DB40に格納しておく。
【0114】
クライアント端末20は、地図25を表示している際に、ユーザによって表示領域の変更指示(画面のスクロール指示)があると、スクロール指示に対応する新たな地図表示リクエスト51をサーバ10に送信する。これにより、クライアント端末20は、スクロール指示に対応する新たな地図情報56をサーバ10から受信して、スクロール指示に対応する新たな地図25を表示する。
【0115】
なお、地図表示システム1は、電力系統の設備以外に適用されてもよい。地図表示システム1は、下水道設備、道路設備などの社会インフラ設備(社会インフラビジネス)にも適用可能である。地図表示システム1が下水道設備に適用される場合、点地物70はマンホールなどであり、線地物80は、配管などである。また、地図表示システム1が道路設備に適用される場合、点地物70は、橋、信号機などであり、線地物80は、道路などである。
【0116】
つづいて、サーバ10およびクライアント端末20のハードウェア構成について説明する。なお、サーバ10およびクライアント端末20のハードウェア構成は同様であるので、ここではサーバ10のハードウェア構成について説明する。
【0117】
サーバ10は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用回路などの専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
【0118】
図16は、実施の形態にかかるサーバが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図である。図16に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、サーバ10の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能をサーバ10に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。上記プログラムは、地図情報56を作成して送信するための各種処理をサーバ10に実行させるプログラムであるとも言える。
【0119】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0120】
図17は、実施の形態にかかるサーバが備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図である。図17に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0121】
なお、通信部11、登録部12、および地図情報生成部13は、それぞれ別々のプログラムを用いて実現されてもよい。すなわち、処理回路90,93は、通信部11に対応する通信プログラム、登録部12に対応する登録プログラム、および地図情報生成部13に対応する地図情報作成プログラムを用いて、サーバ10による処理を実行してもよい。
【0122】
また、クライアント端末20の場合、編集部22、通信部23、および表示部24は、それぞれ別々のプログラムを用いて実現されてもよい。すなわち、クライアント端末20の処理回路90,93は、編集部22に対応する編集プログラム、通信部23に対応する通信プログラム、および表示部24に対応する表示プログラムを用いて、クライアント端末20による処理を実行してもよい。
【0123】
このように、実施の形態によれば、サーバ10の地図情報生成部13が、元地図に対する間引き地図である地図25を表示する際の表示の処理負荷が特定値以下となるように地図情報56を作成するので、所望の処理負荷以内で詳細な地図25を表示させるための地図情報56を作成することが可能となる。また、クライアント端末20は、所望の処理負荷以内で詳細な地図25を表示することが可能となる。
【0124】
また、実施の形態では、サーバ10の登録部12が、地物編集情報31に対応する更新地物情報32を地物DB60から取得し、処理負荷が特定値以下となるように地物を表示するか否かが地物毎および縮尺毎に設定された更新間引き情報33を、更新地物情報32を用いて作成している。そして、地図情報生成部13が、地図表示リクエスト51に基づいて、地物DB60から表示領域に含まれる地物情報を範囲地物情報53として取得している。さらに、地図情報生成部13が、間引き情報DB40から、範囲地物情報53に含まれる地物に対応する間引き情報をリクエスト間引き情報55として取得し、範囲地物情報53およびリクエスト間引き情報55を用いて地図情報56を作成している。これにより、サーバ10は、地図表示リクエスト51を受け付けた際に、リクエスト間引き情報55を用いて短時間で地図情報56を作成することができる。
【0125】
また、サーバ10の地図情報生成部13が、リクエスト間引き情報55を用いて点地物70および線地物80を間引くとともに、点地物70の間引きが行われた箇所の線地物80を再構成している。これにより、サーバ10は、元地図の概観を保ったうえで、所望の処理負荷以内で地図25を表示させるための地図情報56を作成することが可能となる。
【0126】
また、サーバ10の地図情報生成部13は、範囲地物情報53に含まれる地物識別情報54に基づいて、間引き情報DB40からリクエスト間引き情報55を取得するので、サーバ10は、容易にリクエスト間引き情報55を取得することが可能となる。
【0127】
また、サーバ10の登録部12は、優先度の高い地物から順番に間引いていくので、サーバ10は、地図25を表示させる際の処理負荷を容易に所望の処理負荷以内とすることが可能となる。
【0128】
また、サーバ10の登録部12は、上述した(1)~(5)の優先度導出要素に基づいて、各対象点地物の間引きの優先度を導出するので、地図25を表示する際に重要度の高い地物に対しては間引きの優先度を下げ、重要度の低い地物に対しては間引きの優先度を上げることができる。これにより、サーバ10は、重要度の高い地物を残しつつ、重要度の低い地物を間引くことが可能となる。
【0129】
また、サーバ10の登録部12は、地図25上の表示領域を複数の地図領域61~64に分割して、地図領域61~64毎に地物を間引くか否かの間引き判定を実行している。これにより、サーバ10は、全体間引き情報82の更新処理を行う際の処理負荷を減らすことが可能となる。
【0130】
また、サーバ10の登録部12は、地図領域61~64をオーバラップさせ、オーバラップした領域に対して少なくとも1つの地図領域で地物を間引くと判定した場合に地物を間引いている。これにより、サーバ10は、間引くべき地物を正確に抽出することが可能となる。
【0131】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 地図表示システム、10 サーバ、11,23 通信部、12 登録部、13 地図情報生成部、20 クライアント端末、21 入力部、22 編集部、24 表示部、25,41~46 地図、31 地物編集情報、32 更新地物情報、33 更新間引き情報、40 間引き情報DB、51 地図表示リクエスト、52 範囲地物取得リクエスト、53 範囲地物情報、54 地物識別情報、55 リクエスト間引き情報、56 地図情報、60 地物DB、61~64 地図領域、70,70A~70C,71A,71B,72~75 点地物、80,80A~80C 線地物、81 全体地物情報、82 全体間引き情報、85 縮尺情報、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ。
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