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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】メディアコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H05K5/02 V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021191465
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077949
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2024-05-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日・販売所リスト
(73)【特許権者】
【識別番号】000207089
【氏名又は名称】大電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】坂本 充宏
(72)【発明者】
【氏名】徳渕 甚也
(72)【発明者】
【氏名】安井 和寛
(72)【発明者】
【氏名】本田 祐也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-154594(JP,A)
【文献】特開2006-269442(JP,A)
【文献】特開2010-286782(JP,A)
【文献】特開2013-164480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0137922(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105403964(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00-5/06
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状で形成されて当該直方体形状の背面に開口部を有する収納ケース部と、当該開口部から挿入されて着脱可能に固定される通信ユニット部と、から構成されるメディアコンバータにおいて、
前記収納ケース部が、前記直方体形状の底面から連続して前記背面側に延出する挿入台部と、当該挿入台部の上面側に凹溝状に形成された係止部と、を備え、
前記通信ユニット部が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部と、当該延出アーム部の下側に前記収納ケース部に固定された際の前記係止部の対応する位置に配設される突起部と、を備えることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のメディアコンバータにおいて、
前記通信ユニット部が、前記開口部よりも低い高さで構成され、
前記通信ユニット部の前記開口部への固定時に、前記通信ユニット部の上面と前記開口部との間に隙間部が形成されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項3】
請求項2に記載のメディアコンバータにおいて、
前記通信ユニット部の上面に前記隙間部の寸法に対応した大きさの弾性部材が配設されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項4】
請求項3に記載のメディアコンバータにおいて、
前記通信ユニット部の側面に弾性部材が配設されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のメディアコンバータにおいて、
前記収納ケース部及び前記通信ユニット部が、金属で構成されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項6】
請求項5に記載のメディアコンバータにおいて、
前記弾性部材が、磁気シールド材料からなることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のメディアコンバータにおいて、
前記延出アーム部が、前記通信ユニット部の側壁に軸支されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のメディアコンバータにおいて、
前記収納ケース部が、複数の開口部を有し、
前記通信ユニット部が、複数個から構成され、前記開口部の各々に固定されることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のメディアコンバータにおいて、
前記収納ケース部が、前記開口部に固定された前記通信ユニット部左右両側面に対応する位置に配設される板部からなる案内手段を備えることを特徴とする
メディアコンバータ。
【請求項10】
請求項9に記載のメディアコンバータにおいて、
前記板部が、長手方向に沿って山なり形状を有することを特徴とする
メディアコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器収納ケースに収容された通信ユニットから構成されるメディアコンバータに関し、特に通信ユニットを通信機器収納ケースに簡易かつ強固に取り付け及び交換可能なメディアコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ユニット部が通信機器収納ケース(集合ラック)に収容されて構成されるメディアコンバータは、通信ユニット部20の機能及び性能が順次改良されることから、通信ユニットを抜き差し可能とする構成が必要とされる。通信機器収納ケースには通信ユニットをスムーズに挿入取付可能となるような作業性の高さが求められている。
【0003】
例えば、従来の通信ユニットを収納する通信機器収納ケースとしては、機器とともに該機器に電源を供給する電源ユニットを収納し、機器収納ラックに取り付けられるラックマウント型の通信機器収納ケースにおいて、略箱状の本体ケースの背面に挿入口を形成し、該挿入口に前記電源ユニットを搭載する取付板を挿抜自在に取り付けたことを特徴とする機器収納ケースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の通信ユニットを収納する通信機器収納ケースとしては、前面を開口した複数の収納部に通信機器を挿入して固定手段により固定して成り、機器収納ラックに取り付けられるラックマウント型のメディアコンバータにおいて、左右方向に複数の取付部が形成された横長矩形板状のインナーベースと、該インナーベースの取付部に取り付けられて前記通信機器の挿入時に案内する左右側板部と背板部とで成る略コ字状のセパレータと、これら複数のセパレータの左右側面及び背面を囲んで固定手段により前記インナーベースと前記複数のセパレータとを連結固定するインナーカバーと、該インナーカバーと前記インナーベースと前記セパレータとで複数の収納部を構成する収納ユニットが取り付けられ、該収納ユニットの各収納部に対応する複数の開口を形成したベースと、前記ベースの上面を覆うカバーとで構成したことを特徴とするメディアコンバータが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-306682号公報
【文献】特開2007-305706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のように、通信ユニット部20の着脱時に案内溝に沿って取付板が摺動する場合には、案内溝の経年的な使用による摩耗や劣化もあり、また、最終的には螺子止めで通信ユニットを固定するので、固定の手間もかかるという課題がある。
【0007】
また、上記特許文献2のように、略コ字状のセパレータに通信ユニットを挿入する場合には、略コ字状のセパレータが配設されるインナーカバー、カバー、及びベースといった多層の装置構成が必要であり、複雑な部材で構成されることから装置が煩雑であり各部材のメンテナンスに手間がかかると共に、最終的には螺子止めで通信ユニットを固定するので、固定の手間もかかるという課題がある。
【0008】
つまり、従来の通信機器収納ケースに通信ユニット部が収容されて構成されるメディアコンバータでは、通信ユニット部20の着脱時に、螺子固定による手間のかかる作業が要求され、簡易に着脱できるとはいえない。
【0009】
簡易且つ強固に通信ユニットを通信機器収納ケースに着脱可能に収容されて構成されるようなメディアコンバータは、作業効率の向上が期待されており、市場ニーズが高いものの、未だ知られていない。
【0010】
本発明は、前記課題を解消するためになされたものであり、簡易且つ強固に通信ユニットを着脱可能に通信機器収納ケースに収容されて構成されるメディアコンバータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に開示するメディアコンバータは、直方体形状で形成されて当該直方体形状の背面に開口部を有する収納ケース部と、当該開口部から挿入されて着脱可能に固定される通信ユニット部と、から構成されるメディアコンバータにおいて、前記収納ケース部が、前記直方体形状の底面から連続して前記背面側に延出する挿入台部と、当該挿入台部の上面側に凹溝状に形成された係止部と、を備え、前記通信ユニット部が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部と、当該延出アーム部の下側に前記収納ケース部に固定された際の前記係止部の対応する位置に配設される突起部と、を備えるものである。
【0012】
このように、直方体形状で形成されて当該直方体形状の背面に開口部を有する収納ケース部と、当該開口部から挿入されて着脱可能に固定される通信ユニット部と、から構成されるメディアコンバータにおいて、前記収納ケース部が、前記直方体形状の底面から連続して前記背面側に延出する挿入台部と、当該挿入台部の上面側に凹溝状に形成された係止部と、を備え、前記通信ユニット部が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部と、当該延出アーム部の下側に前記収納ケース部に固定された際の前記係止部の対応する位置に配設される突起部と、を備えることから、前記通信ユニット部の挿入後端と前記開口部とが面一に一致する位置で、且つ、前記延出アーム部と前記収納ケース部の下面の長手方向が一致する位置で、前記突起部が係止部に嵌合して前記開口部に強固に固定されることとなり、螺子等の外部固定手段を不要としつつ、ワンタッチの差し込みのみで作業性を向上させつつロック強度を維持することができ、円滑且つ強固に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0013】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記通信ユニット部が、前記開口部よりも低い高さで構成され、前記通信ユニット部の前記開口部への固定時に、前記通信ユニット部の上面と前記開口部との間に隙間部が形成されるものである。このように、前記通信ユニット部が、前記開口部よりも低い高さで構成され、前記通信ユニット部の前記開口部への固定時に、前記通信ユニット部の上面と前記開口部との間に隙間部が形成されることから、前記通信ユニット部を前記開口部へ挿入又は取り出しする際に、前記開口部の高さ方向に隙間部により形成された空間(遊び領域)によって、前記突起部が係止部に嵌合する際に、前記延出アーム部が前記開口部の内部で自在に上下動できることとなり、より円滑に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0014】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記通信ユニット部の上面に前記隙間部の寸法に対応した大きさの弾性部材が配設されるものである。前記通信ユニット部の上面に前記隙間部の寸法に対応した大きさの弾性部材が配設されることから、前記通信ユニット部を前記開口部へ挿入又は取り出しする際に、前記開口部の高さ方向に隙間部により形成された空間(遊び領域)に、弾性部材が前記開口部の内部上面と接触しながらその弾性力により前記通信ユニット部の上面に適度な押圧を加えて保持しつつ前記通信ユニット部の円滑な移動動作を支援して、前記突起部が係止部に嵌合する際の前記延出アーム部の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0015】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記通信ユニット部の側面に弾性部材が配設されるものである。このように、前記通信ユニット部の側面に弾性部材が配設されることから、前記通信ユニット部を前記開口部へ挿入又は取り出しする際に、前記開口部の横方向に対しても、前記通信ユニット部の円滑な移動動作を支援して、前記突起部が係止部に嵌合する際の前記延出アーム部の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0016】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記収納ケース部及び前記通信ユニット部が、金属で構成されるものである。このように、前記収納ケース部及び前記通信ユニット部が、金属で構成されることから、前記通信ユニット部が挿入されて支持固定された際に、装置全体として磁気シールド機能が発揮されることとなり、余分な外部からの部材を必要とすることなく、外部からの磁気ノイズを遮断すること及び内部からの磁気ノイズの放出を遮断することができ、より高品位な通信環境を構築することができる。
【0017】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記弾性部材が、磁気シールド材料からなるものである。このように、前記弾性部材が、磁気シールド材料からなることから、前記通信ユニット部が挿入されて支持固定された際に、前記収納ケース部に接触固定される前記弾性部材が前記収納ケース部と共に磁気シールド機能を発揮することとなり、余分な外部からの部材を必要とすることなく、外部からの磁気ノイズ及び内部からの磁気ノイズの放出を簡易かつ効率的に遮断することができ、より高品位な通信環境を構築することができる。
【0018】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記延出アーム部が、前記通信ユニット部の側壁に軸支されるものである。このように、前記延出アーム部が、前記通信ユニット部の側壁に軸支されることから、前記延出アーム部の上下方向への回動動作を可能とし、前記延出アーム部の当該回動動作の際に生じる前記通信ユニット部の上下動の動作を、隙間部により形成された空間(遊び領域)が弾性部材を介して円滑に保持すると共に前記通信ユニット部の移動動作を支援し、前記突起部が係止部に嵌合する際の前記延出アーム部の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0019】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記収納ケース部が、複数の開口部を有し、前記通信ユニット部が、複数個から構成され、前記開口部の各々に固定されるものである。このように、前記収納ケース部が、複数の開口部を有し、前記通信ユニット部が、複数個から構成され、前記開口部の各々に固定されることから、前記通信ユニット部の複数化にも対応できることとなり、多様な用途に応じて、高い汎用性が得られる。
【0020】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記収納ケース部が、前記開口部に固定された前記通信ユニット部20の左右両側面に対応する位置に配設される板部からなる案内手段を備えるものである。このように、前記収納ケース部が、前記開口部に固定された前記通信ユニット部20の左右両側面に対応する位置に配設される板部からなる案内手段を備えることから、前記通信ユニット部を前記開口部へ挿入又は取り出しする際に、前記通信ユニット部の収納位置までの移動が、左右両側面から案内手段により案内されて円滑且つ安定的に支援されることとなり、より円滑に通信ユニット部を着脱可能に固定することができる。
【0021】
本願に開示するメディアコンバータは、必要に応じて、前記板部が、長手方向に沿って山なり形状を有するものである。このように、前記板部が、長手方向に沿って山なり形状を有することから、前記通信ユニット部を前記開口部へ挿入又は取り出しする際に、前記開口部の近傍では前記板部は山なり形状の低い位置にあることから、前記通信ユニット部を軽く固定することによる初期の進行方向への位置決めがなされ、前記通信ユニット部が前記開口部からさらに内部に移動するにつれて、前記板部は山なり形状の位置が高くなり、より高い強度での固定が行われ、前記通信ユニット部が前記開口部からさらに最終的な固定位置の近傍に移動するにつれて、前記板部は山なり形状の位置が低くなり、前記通信ユニット部を最終的な固定位置で軽く固定することで固定のし易さを向上させることとなり、前記案内手段が前記通信ユニット部の円滑な着脱動作を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部及び収納ケース部についての説明図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの収納ケース部の案内手段についての説明図を示す。
図3】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの収納ケース部の案内手段についての説明図を示す。
図4】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部の弾性体の説明図を示す。
図5】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部が収納ケース部に固定される動作の説明図を示す。
図6】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部が収納ケース部に固定される動作の説明図を示す。
図7】本発明の第1の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部が挿入固定された構成図を示す。
図8】本発明の第2の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部及び収納ケース部についての説明図を示す。
図9】本発明の第2の実施形態に係るメディアコンバータの収納ケース部についての詳細な構成図を示す。
図10】本発明の第2の実施形態に係るメディアコンバータの通信ユニット部についての詳細な構成図を示す。
図11】本発明の第2の実施形態に係るメディアコンバータの収納ケース部に通信ユニット部が挿入固定された構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るメディアコンバータは、図1(a)に示すように、直方体形状で形成されてこの直方体形状の背面に開口部11を有する収納ケース部10と、この開口部11から挿入されて着脱可能に固定される通信ユニット部20と、から構成されるメディアコンバータにおいて、この収納ケース部10が、この直方体形状の底面から連続してこの背面側に延出する挿入台部12と、この挿入台部12の上面側に凹溝状に穿設された矩形の孔として形成された係止部13と、を備え、この通信ユニット部20が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部21と、この延出アーム部21の下側にこの収納ケース部10に固定された際のこの係止部13の矩形孔に嵌合する位置に配設される突起部22と、を備える構成である。
【0024】
すなわち、第1の実施形態に係るメディアコンバータは、この通信ユニット部20をこの収納ケース部10に着脱可能に収容して構成されるものである。
【0025】
この収納ケース部10は、この通信ユニット部20の集合ラック(通信機器収納ケース)として機能する。この収納ケース部10の直方体形状としては、箱形状であれば特に限定されず、直方体形状も立方体形状も含まれる。
【0026】
この収納ケース部10の直方体形状の背面には、開口部11を有する。この開口部11に通信ユニット部20を着脱可能に挿入することができる。
【0027】
この収納ケース部10の直方体形状の表面には、通信ユニット部20の通信機能に必要な電力を供給する電源モジュールや、電源故障時にフォールトトレランスを実現する予備電源や、内部の排気を行うファンモジュール等が設置される。
【0028】
この収納ケース部10を構成する挿入台部12は、この収納ケース部10本体と同じ部材を用いることができる。この挿入台部12は、この直方体形状の底面から連続してこの背面側に延出することから、この通信ユニット部20をその着脱時に一時的に載置することができ、着脱作業性が向上される。
【0029】
この収納ケース部10を構成する係止部13は、凹んでいればその形状は特に限定されない。また、係止部13が底面まで貫通しているかどうかも限定されない。例えば、係止部13が底面まで貫通しない形状である穴形状であってもよいし、係止部13が底面まで貫通した形状である孔形状であってもよい。
【0030】
この通信ユニット部20を構成する延出アーム部21は、挿入後端(開口部11に挿入する側である先端に対する後端)から延出したアーム形状を有することにより、持ち運び時の取っ手としての持ちやすさが得られると共に、この収納ケース部10との固定部材としての機能も有する。
【0031】
この通信ユニット部20を構成する延出アーム部21の材質は、特に限定されないが、この収納ケース部10との固定強度が得られやすいという点から、金属材料を用いることが好適である。
【0032】
この通信ユニット部20を構成する延出アーム部21は、この通信ユニット部20の側壁に固定され、この固定後に延出アーム部21が可動してもしなくてもよく、例えば、可動しない場合には、この通信ユニット部20から動かないように固定することが可能であり、例えば、可動する場合には、この通信ユニット部20の側壁に軸支されることも可能である。
【0033】
この通信ユニット部20は、図1(b)に示すように、この開口部11よりも低い高さで構成され、この通信ユニット部20のこの開口部11への固定時に、この通信ユニット部20の上面とこの開口部11との間に隙間部Sが形成されることが好適である。
【0034】
また、この通信ユニット部20の上面にこの隙間部Sの寸法に対応した大きさの弾性部材23が配設されることが好適である。
【0035】
この通信ユニット部20は、図1(b)に示すように、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された高さLの空間(遊び領域)に、この開口部11へ向かって斜め上面から、挿入する(方向D)ことが可能となる。この形成された隙間部Sの空間によって、この通信ユニット部20が開口部11の内部で自在に上下動可能となり、図1(c)に示すように、最終的にこの通信ユニット部20の挿入後端とこの開口部11とが面一に一致する位置Mまで、この通信ユニット部20が挿入された時点で、この弾性部材23が隙間部Sにしっかりと固定されて、この通信ユニット部20がこの収納ケース部10に確実に保持される。
【0036】
この収納ケース部10は、その内部構造は、特に限定されないが、この収納ケース部10の底板を示す図2(a)に示すように、この開口部11に固定された通信ユニット部20の左右両側面に対応する位置に配設される板部からなる案内手段14を備えることが好適である。
【0037】
この案内手段14を備えることから、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、この通信ユニット部20の収納位置までの移動が、左右両側面から案内手段14により案内されて円滑且つ安定的に支援されることとなり、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0038】
また、この案内手段14を構成する板部の形状は、特に限定されるものではないが、長手方向(この通信ユニット部20が挿入される方向Dと平行になる)に沿って山なり形状を有することが好適である。
【0039】
この山なり形状を有することで、図2(a)に示すように、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、この開口部11の近傍ではこの板部は山なり形状の低い位置にあることから、この通信ユニット部20を軽く固定することによる初期の進行方向Dの方向決めが確実になされ、この通信ユニット部20がこの開口部11からさらに内部に移動するにつれて、この板部は山なり形状の位置が高くなり、より高い強度での固定が行われ、この通信ユニット部20がこの開口部11からさらに最終的な固定位置の近傍に移動するにつれて、この板部は山なり形状の位置が低くなり、図2(b)に示すように、この通信ユニット部20を最終的な固定位置で軽く固定することで固定のし易さを向上させることとなり、この案内手段14がこの通信ユニット部20の円滑な着脱動作を支援することができる。
【0040】
この案内手段14は、この山なり形状の他にも、図3(a)に示すように、直線的な直線形状又はポール形状とすることも可能である。ポール形状とは直線的で細長い円柱形状を指すが、この円柱形状の両端部がエッジの無い丸みを帯びた形状であることが好適である。この場合でも、この通信ユニット部20は、この直線形状又はポール形状に沿ってスムーズにこの開口部11へ挿入又は取り出しが可能となり、図3(b)に示すように、この通信ユニット部20を最終的な固定位置で両サイドを軽く固定することから、固定のし易さを向上させることとなり、この案内手段14が、この通信ユニット部20の円滑な着脱動作を支援することができる。
【0041】
この通信ユニット部20は、各種カード用スロットとして背面(挿入後端)に各種の接続端子を配設することができる。この通信ユニット部20は、この接続端子から接続された通信ケーブルの情報の通信を制御する狭義のメディアコンバータであり、例えば、一例を挙げるに過ぎないが、1G/10G/100G/200G/400G等の様々な通信速度に対応したメディアコンバータを用いることができ、これらメディアコンバータには必要に応じてオプションでアンプを備えることができる。このようなアンプとしては、例えば、ブースターアンプやプリアンプが挙げられ、光許容損失を増大させることができる。
【0042】
この通信ユニット部20の背面には、LANコネクタや光コネクタ等の通信ケーブルを接続する部分が配される。この通信ケーブルに係るコネクタは、通信速度に応じて適宜選定される。また、この通信ユニット部20が収納ケース部10に向かうである前面(挿入先端)には、収納ケース部10の内部で電源や制御信号と接続するための接続コネクタが配される。
【0043】
また、AC100/240VやDC24/48V等の電源や、コンソールポートやイーサネットポート等の監視モジュール等は収納ケース部10に配される。
【0044】
弾性部材23の配置位置については、図4(a)に示すように、この通信ユニット部20の上面の他に側面にも弾性部材23を配設することが好適である。その他として、図4(b)に示すように、この通信ユニット部20の上面のみに弾性部材23を配設することも可能である。
【0045】
このように、直方体形状で形成されてこの直方体形状の背面に開口部11を有する収納ケース部10と、この開口部11から挿入されて着脱可能に固定される通信ユニット部20と、から構成されるメディアコンバータにおいて、この収納ケース部10が、この直方体形状の底面から連続してこの背面側に延出する挿入台部12と、この挿入台部12の上面側に凹溝状に形成された係止部13と、を備え、この通信ユニット部20が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部21と、この延出アーム部21の下側にこの収納ケース部10に固定された際のこの係止部13の対応する位置に配設される突起部22と、を備えることから、図5(a)に示すように、この通信ユニット部20の挿入後端とこの開口部11とが面一に一致する位置Mで、且つ、この延出アーム部21とこの収納ケース部10の下面の長手方向が一致する位置で、図5(b)に示すように、この突起部22が係止部13に嵌合してこの開口部11に強固に固定されることとなり、螺子等の外部固定手段を不要としつつ強固に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0046】
また、この通信ユニット部20は、図5に示すように、この開口部11よりも低い高さで構成され、この通信ユニット部20のこの開口部11への固定時に、この通信ユニット部20の上面とこの開口部11との間に隙間部Sが形成されることが好適である。
【0047】
この隙間部Sが形成されることにより、この通信ユニット部20は、この収納ケース部10の開口部11内での高さ方向の可動領域が得られることから、この通信ユニット部20についても、図5(a)に示すように、延出アーム部21が通信ユニット部20の側壁に配設される軸21aにより軸支されることが好適であり、これにより、高さ方向に可動可能となる。
【0048】
また、この通信ユニット部20の上面にこの隙間部Sの寸法に対応した大きさの弾性部材23が配設されることが好適である。
【0049】
この弾性部材23により、この通信ユニット部20が、この開口部11へ挿入又は取り出しされる際に、この収納ケース部10との接触抵抗が弾性部材23の弾性力により低減されることとなり、この通信ユニット部20が収納ケース部10に円滑に挿入脱着されると共に、この通信ユニット部20の挿入後端とこの開口部11とが面一に一致する位置Mでは、図5(a)に示すように、この通信ユニット部20の側壁に軸21aで軸支された延出アーム部21が軸21aにより回動して上方向に持ち上げられることで(方向A)、延出アーム部21が位置Tで支えとなって、この通信ユニット部20が上方向に持ち上げられ(方向B)、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された高さLの空間(遊び領域)にこの通信ユニット部20が持ち上げられ(方向C)、この弾性部材23によりこの隙間部Sを介してこの開口部11の内部上面に確実に保持される。
【0050】
次に、図5(b)に示すように、この通信ユニット部20の側壁に軸支された延出アーム部21が回動して下方向に引き下げられることで(方向A’)、この開口部11とこの通信ユニット部20との間の隙間部Sにより形成された空間(遊び領域)が高さLまで引き下げられて(L>L)(方向B’)、この通信ユニット部20が自然に下降し(方向C’)、これに伴って、延出アーム部21の突起部22が、この収納ケース部10の挿入台部12の上面側に凹溝状に形成された係止部13と自然に嵌合することとなる。
【0051】
このように、この延出アーム部21が、この通信ユニット部20の側壁に軸支されることから、この延出アーム部21の上下方向への回動動作を可能とし、この延出アーム部21のこの回動動作の際に生じるこの通信ユニット部20の上下動の動作を、隙間部により形成された空間(遊び領域)が弾性部材23を介して円滑に保持すると共にこの通信ユニット部20の移動動作を支援し、この突起部22が係止部13に嵌合する際のこの延出アーム部21の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、ロック強度を維持しつつ作業性が向上され、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0052】
また、この通信ユニット部20のこの開口部11への固定時に、この通信ユニット部20の上面とこの開口部11との間に隙間部Sが形成されることから、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された空間(遊び領域)によって、この突起部22が係止部13に嵌合する際のこの延出アーム部21の上下動が円滑化されることとなり、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0053】
また、この通信ユニット部20の上面にこの隙間部の寸法に対応した大きさの弾性部材23が配設されることから、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、図5(a)に示すように、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された高さLの空間(遊び領域)に、弾性部材23がこの開口部11の内部上面と接触しながらその弾性力によりこの通信ユニット部20の上面に適度な押圧を加えて保持しつつ、図5(b)に示すように、この通信ユニット部20の円滑な移動動作を支援して、この突起部22が係止部13に嵌合する際のこの延出アーム部21の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0054】
このように、この通信ユニット部20の側面に弾性部材23が配設されることから、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、この開口部11の横方向に対しても、この通信ユニット部20の円滑な移動動作を支援して、この突起部22が係止部13に嵌合する際のこの延出アーム部21の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0055】
また、この通信ユニット部20の上面にこの隙間部の寸法に対応した大きさの弾性部材23が配設されることから、この通信ユニット部20をこの開口部11へ挿入又は取り出しする際に、図5(a)に示すように、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された高さLの空間(遊び領域)に、弾性部材23がこの開口部11の内部上面と接触しながらその弾性力によりこの通信ユニット部20の上面に適度な押圧を加えて保持しつつ、図5(b)に示すように、この通信ユニット部20の円滑な移動動作を支援して、この突起部22が係止部13に嵌合する際のこの延出アーム部21の上下動が円滑化されると共に安定的な固定を促進することとなり、より円滑に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0056】
また、上記延出アーム部21の構成の他にも、図6に示すように、通信ユニット部20の側壁に配設される軸21aにより軸支されると共に、この延出アーム部21の可動域が狭く、この延出アーム部21が、収納ケース部10の底面と接触しない構成も可能である。
【0057】
また、図6に示すように、この通信ユニット部20が収納ケース部10に収容された際に、この通信ユニット部20と収納ケース部10がこの通信ユニット部20の挿入後端の位置Mよりも収納ケース部10の前面(背面に対向する面)側で嵌合し、この通信ユニット部20の挿入後端の全面が、この収納ケース部10の背面となって、この通信ユニット部20の挿入後端の位置Mが、この開口部11と面一に一致しない構成とすることも可能である。
【0058】
この場合も、図6(a)に示すように、この延出アーム部21が軸21aにより回動してコンパクトに上下動することにより、この弾性部材23がこの隙間部Sを介してこの開口部11の内部上面に確実に保持されつつ、この開口部11の高さ方向に隙間部Sにより形成された高さLの空間(遊び領域)が高さLを維持し続け、この延出アーム部21が回動して下方向に引き下げられることで、延出アーム部21の突起部22が、この収納ケース部10の挿入台部12の上面側に凹溝状に形成された係止部13と自然に嵌合することとなる。すなわち、この延出アーム部21が上下に微動することで、簡易に係止部13に対して嵌合によるロックと解除が行われる。
【0059】
また、この収納ケース部10及びこの通信ユニット部20の材質については、特に限定されないが、金属で構成されることが好適である。金属としては、特に限定されないが、例えば、磁気シールド材料からなるものを用いることができる。この磁気シールド材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄もしくはアルミニウムを用いることができる。
【0060】
このように、この収納ケース部10及びこの通信ユニット部20が、金属で構成されることから、この通信ユニット部20が挿入されて支持固定された際に、装置全体として磁気シールド機能が発揮されることとなり、余分な外部からの部材を必要とすることなく、外部からの磁気ノイズを遮断すること及び内部からの磁気ノイズの放出を遮断することができ、より高品位な通信環境を構築することができる。
【0061】
また、この場合の弾性部材23の材質としては、特に限定されないが、例えば、磁気シールド材料からなるものを用いることができる。この磁気シールド材料としては、特に限定されないが、例えば、金属銅を用いることができる。
【0062】
このように、この弾性部材23が、磁気シールド材料からなることから、この通信ユニット部20が挿入されて支持固定された際に、この収納ケース部10に接触固定される弾性部材23が収納ケース部10と共に磁気シールド機能を発揮することとなり、余分な外部からの部材を必要とすることなく、外部からの磁気ノイズ及び内部からの磁気ノイズの放出を簡易かつ効率的に遮断することができ、より高品位な通信環境を構築することができる。
【0063】
以上のように、第1の実施形態に係るメディアコンバータは、この収納ケース部10が、この直方体形状の底面から連続してこの背面側に延出する挿入台部12と、この挿入台部12の上面側に凹溝状に形成された係止部13と、を備え、この通信ユニット部20が、挿入後端から延出したアーム形状の延出アーム部21と、この延出アーム部21の下側にこの収納ケース部10に固定された際のこの係止部13の対応する位置に配設される突起部22と、を備えることから、この通信ユニット部20の挿入後端とこの開口部11とが面一に一致する位置で、且つ、この延出アーム部21とこの収納ケース部10の下面の長手方向が一致する位置で、この突起部22が係止部13に嵌合してストッパーとして開口部11に強固に固定されることとなり、図7に示すように、螺子等の外部固定手段を不要としつつ、ワンタッチの差し込みのみでロック強度を維持しつつ、作業性が向上され、円滑且つ強固に通信ユニット部20を着脱可能に固定することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るメディアコンバータは、図8に示すように、第1の実施形態と同様に、この収納ケース部10と、この通信ユニット部20と、を備え、さらに、この収納ケース部10が、複数の開口部11を有し、この通信ユニット部20が、複数個から構成され、この開口部11の各々に固定されるものである。
【0065】
この収納ケース部10は、図9に示すように、複数の通信ユニット部20に対応する複数の開口部11を有する。
【0066】
この通信ユニット部20は横幅の異なる各種のサイズのものを利用することができ、例えば、図10に示す構造とすることができる。
【0067】
また、この通信ユニット部20が挿入固定されていない開口部11(空スロットル)には、この通信ユニット部20と同一の構造(前記延出アーム部21
前記軸21a、前記突起部22、及び前記弾性部材23)を有するブラインド(遮蔽物)を挿入固定することができる。
【0068】
このように、この収納ケース部10が、複数の開口部11を有し、この通信ユニット部20が、複数個から構成され、この開口部11の各々に固定されることから、図11に示すように、この通信ユニット部20の複数化にも対応できることとなり、例えば、一例を挙げるに過ぎないが、この通信ユニット部20として、1G/10G/100G/200G/400G等の様々な通信速度に対応したメディアコンバータを最大4台搭載することやこのようなメディアコンバータを最大8台搭載することや、このようなメディアコンバータを混在させて配置する等の様々なバリエーションの配置が可能となり、多様な用途に応じて、高い汎用性が得られる。
【符号の説明】
【0069】
10 収納ケース部
11 開口部
12 挿入台部
13 係止部
14 案内手段
20 通信ユニット部
21 延出アーム部
21a 軸
22 突起部
23 弾性部材


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11