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特許7634498情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250214BHJP
   G06V 20/17 20220101ALI20250214BHJP
【FI】
G06T7/00 640
G06V20/17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022043876
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2023137609
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康平
(72)【発明者】
【氏名】三五 大輔
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169060(JP,A)
【文献】特開2011-209780(JP,A)
【文献】特開2015-114147(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110263764(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112052720(CN,A)
【文献】永谷泉 外5名,衛星データとGISによる森林多様度評価手法の開発,GIS-理論と応用,日本,地理情報システム学会,2000年03月31日,第8巻 第1号,pp.107~113
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/94
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の地表面の領域である対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域を、地表面の分類種別である複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に各々が分類される1つ以上の部分領域に論理的に分割する部分領域分割部と、
前記対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成する経時変化マップ生成部と、
前記経時変化マップに示される前記経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、前記部分領域を、前記部分領域の数よりも多い細分領域に細分し、細分領域ごとに、細分領域での前記経時変化の変化度合いに応じて、細分領域を前記複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類する細分領域分類部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の地表面種別は階層構造の分類種別であり、
前記階層構造の階層ごとに各階層に属する地表面種別が定められており、
前記部分領域分割部は、
前記対象地表面領域を、前記階層構造のうちの最下層以外の階層に属するいずれかの地表面種別に分類される部分領域に分割し、
前記細分領域分類部は、
いずれかの細分領域を、前記部分領域の分類に用いられた地表面種別が属する階層よりも低い階層に属するいずれかの地表面種別に分類する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、更に、
各々が異なる時刻に取得された、前記対象地表面領域の上空からの2つのレーダ画像のコヒーレンスマップを生成するコヒーレンスマップ生成部を有し、
前記経時変化マップ生成部は、
前記コヒーレンスマップ生成部により各々が異なるレーダ画像の組み合わせについて生成された2つ以上のコヒーレンスマップの画像解析を行い、前記経時変化マップを生成する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記経時変化マップ生成部は、
前記部分領域分割部により前記対象地表面領域が2つ以上の部分領域に分割された場合に、前記2つ以上の部分領域のうちのいずれかの部分領域を選択し、選択した選択部分領域の画像解析を行い、前記選択部分領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成し、
前記細分領域分類部は、
前記経時変化マップに示される前記経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、前記選択部分領域を2つ以上の細分領域に細分し、細分領域ごとに、細分領域での前記経時変化の変化度合いに応じて、細分領域を前記複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記部分領域分割部は、
前記対象地表面領域の画像解析として、前記対象地表面領域の上空からの撮影画像に波長解析及び画素値分布解析のいずれかを行う請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記部分領域分割部は、
前記対象地表面領域の画像解析として、前記対象地表面領域の上空からの撮影画像に波長解析及び画素値分布解析の一方を行って前記対象地表面領域を1つ以上の部分領域に論理的に分割し、前記撮影画像に前記波長解析及び前記画素値分布解析の他方を行って、前記1つ以上の部分領域を更に論理的に分割する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、解析対象の地表面の領域である対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域を、地表面の分類種別である複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に各々が分類される1つ以上の部分領域に論理的に分割し、
前記コンピュータが、前記対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成し、
前記コンピュータが、前記経時変化マップに示される前記経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、前記部分領域を、前記部分領域の数よりも多い細分領域に細分し、細分領域ごとに、細分領域での前記経時変化の変化度合いに応じて、細分領域を前記複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類する情報処理方法。
【請求項8】
解析対象の地表面の領域である対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域を、地表面の分類種別である複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に各々が分類される1つ以上の部分領域に論理的に分割する部分領域分割処理と、
前記対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成する経時変化マップ生成処理と、
前記経時変化マップに示される前記経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、前記部分領域を、前記部分領域の数よりも多い細分領域に細分し、細分領域ごとに、細分領域での前記経時変化の変化度合いに応じて、細分領域を前記複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類する細分領域分類処理とをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地表面の画像解析に関する。
【背景技術】
【0002】
リモートセンシングは広域の地表面の観測が可能な手法である。地表面とは、地球の表面である。地表面には、陸域と水域が含まれる。
リモートセンシングでは、航空機、UAV(ドローン)、光学衛星、合成開口レーダ(SAR)衛星等にセンサを搭載し、上空から地表面を撮像する。
リモートセンシングデータの活用方法の1つに土地被覆分類がある。リモートセンシングデータを解析することで、例えば広域の植生繁茂の状況、都市建設の進捗状況等を確認することがきる。
【0003】
非特許文献1では、光学画像の波長情報を活用し、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)で植生領域を検出している。
波長の組合せによって指標が様々あり、NDWI(Normalized Difference Water Index)を用いて水域を検出することができる。また、NDBI(Normalized Difference Built-up Index)を用いて都市部を検出することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】市原雅也、MODIS衛星画像を用いた土地被覆分類
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1の技術は、地表面種別を、植生、都市部、水域といったレベルで分類することができる。しかしながら、非特許文献1の技術では、地表面をより詳細に分類することができないという課題がある。非特許文献1の技術では、例えば、植生に分類された領域を、繁茂する植物の種類で細分することができないという課題がある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決することを主な目的の一つとしている。より具体的には、本開示は、地表面をより詳細に分類することを主な目的とする。
ことを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、
解析対象の地表面の領域である対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域を、地表面の分類種別である複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に各々が分類される1つ以上の部分領域に論理的に分割する部分領域分割部と、
前記対象地表面領域の画像解析を行い、前記対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成する経時変化マップ生成部と、
前記経時変化マップに示される前記経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、前記部分領域を、前記部分領域の数よりも多い細分領域に細分し、細分領域ごとに、細分領域での前記経時変化の変化度合いに応じて、細分領域を前記複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類する細分領域分類部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、地表面をより詳細に分類することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の情報処理装置の機能構成例を示す図である。
図2】実施の形態1の分類情報高精度化部の動作例を説明する図である。
図3】実施の形態1の細分基準情報の例を示す図である。
図4】実施の形態2の情報処理装置の機能構成例を示す図である。
図5】実施の形態3の情報処理装置の機能構成例を示す図である。
図6】実施の形態4の情報処理装置の機能構成例を示す図である。
図7】実施の形態5の情報処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1の情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図を用いて説明する。以下の実施の形態の説明及び図面において、同一の符号を付したものは、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、実施の形態1の情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
情報処理装置1の動作手順は、情報処理方法に相当する。また、情報処理装置1の動作を実現するプログラムは、情報処理プログラムに相当する。
【0012】
情報処理装置1は、光学画像DIN1とレーダ画像DIN2とから高精度分類情報DOUTを出力する。
【0013】
光学画像DIN1は、リモートセンシングデータである。
つまり、光学画像DIN1は、解析対象の地表面の領域である対象地表面領域を上空から例えばカメラにより撮影して得られた撮像画像である。
【0014】
レーダ画像DIN2は、対象地表面領域を上空からレーダにより撮像して得られた撮像画像である。
レーダ画像DIN2は、異なる複数の撮像時刻で撮像された複数の撮像画像である。
レーダ画像DIN2は、光学画像DIN1と同一視野で対象地表面領域を撮像して得られる撮像画像である。
【0015】
高精度分類情報DOUTは、光学画像DIN1の解析により得られた部分領域を更に細分領域に細分した結果を示す。
【0016】
情報処理装置1は、機能構成として、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13及び分類情報高精度化部14を有する。
【0017】
波長情報解析部11は、光学画像DIN1の波長情報を用いて光学画像DIN1の波長解析を行い、初期分類情報D11を出力する。波長情報解析部11は、波長解析として、例えば、反射スペクトル解析を行う。
波長情報解析部11は、具体的には、NDVI、NDWI、NDBI等の波長解析方法を用いる。NDVIを用いれば植生領域が検出可能である。NDWIを用いれば水域が検出可能である。NDBIを用いれば都市部が検出可能である。
波長情報解析部11は、対象地表面領域の画像解析を行い、対象地表面領域を1つ以上の部分領域に論理的に分割する。各部分領域は、地表面の分類種別である複数の地表面種別のうちのいずれかの地表面種別に分類される。
初期分類情報D11には、対象地表面領域の部分領域への分割状況と、各部分領域が分類された地表面種別が示される。
【0018】
本実施の形態では、地表面種別は階層構造の分類種別である。階層構造の階層ごとに各階層に属する地表面種別が定められている。以下では、説明の簡明化のために、地表面種別は2層構造であるものとする。上位層については、植生、水域、都市部といった分類種別であることが想定される。また、下位層については、例えば、植生に関して、植物の種類についての分類種別が設けられている。
本実施の形態では、波長情報解析部11は、対象地表面領域を、上位層に属するいずれかの地表面種別(植生、水域、都市部)に分類される部分領域に分割する。地表面種別が3階層以上の階層構造である場合は、波長情報解析部11は、対象地表面領域を、最下層以外の階層に属するいずれかの地表面種別に分類される部分領域に分割する。
波長情報解析部11は、部分領域分割部に相当する。また、波長情報解析部11により行われる処理は、部分領域分割処理に相当する。
【0019】
コヒーレンスマップ生成部12は、レーダ画像DIN2のコヒーレンス情報の差分を算出し、コヒーレンスマップD12を生成する。そして、コヒーレンスマップ生成部12は、生成したコヒーレンスマップD12を出力する。
コヒーレンスマップ生成部12は、例えば、各々の撮像時刻が異なる3つ以上のレーダ画像DIN2から各々が異なる2つのレーダ画像DIN2の組み合せを選択する。そして、コヒーレンスマップ生成部12は、組み合わせごとに、複素相関の分布を示すコヒーレンスマップD12を生成する。
【0020】
コヒーレンス変化解析部13は、コヒーレンスマップ生成部12から出力された2つ以上のコヒーレンスマップD12の変化領域を解析する。そして、コヒーレンス変化解析部13は、解析結果を示すコヒーレンス変化情報D13を出力する。
つまり、コヒーレンス変化解析部13は、2つ以上のコヒーレンスマップD12の画像解析を行い、対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成する。そして、コヒーレンス変化解析部13は、生成した経時変化マップを、コヒーレンス変化情報D13として出力する。
コヒーレンス変化解析部13は、レーダ画像の輝度情報に加えて位相情報をも利用して変化検出を実施することで、土地利用の変化状況を算出できる。コヒーレンス変化情報D13は、対象地表面領域での経時変化の変化度合いを、例えば変化大、変化中、変化小のように示す。
コヒーレンス変化解析部13は、経時変化マップ生成部に相当する。また、コヒーレンス変化解析部13により行われる処理は、経時変化マップ生成処理に相当する。
【0021】
分類情報高精度化部14は、初期分類情報D11から植生領域、都市部領域などの部分領域を抽出する。そして、コヒーレンス変化解析部13は、抽出した部分領域をコヒーレンス変化情報D13を用いて更に分割する。分類情報高精度化部14は、再分割の状況が示される高精度分類情報DOUTを生成する。
つまり、分類情報高精度化部14は、コヒーレンス変化情報D13に示される経時変化の変化度合いの領域分布に基づき、部分領域を、部分領域の数よりも多い細分領域に細分する。そして、分類情報高精度化部14は、細分領域ごとに、細分領域での経時変化の変化度合いに応じて、細分領域をいずれかの地表面種別に分類する。
本実施の形態では、分類情報高精度化部14は、いずれかの細分領域を、下位層の地表面種別に分類することができる。例えば、分類情報高精度化部14は、いずれかの細分領域を、植生の下位層の分類種別である「草地、針葉樹林」、「広葉樹林」等の地表面種別に分類することができる。地表面種別が3階層以上の階層構造である場合は、分類情報高精度化部14は、いずれかの細分領域を、波長情報解析部11による部分領域の分類に用いられた地表面種別が属する階層よりも低い階層に属するいずれかの地表面種別することができる。
分類情報高精度化部14は、細分領域分類部に相当する。また、分類情報高精度化部14により行われる処理は、細分領域分類処理に相当する。
【0022】
図8は、実施の形態8の情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施の形態に係る情報処理装置1は、コンピュータである。
情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903及び通信装置904を備える。
補助記憶装置903には、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13及び分類情報高精度化部14の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置903から主記憶装置902にロードされる。そして、プロセッサ901がこれらプログラムを実行して、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13及び分類情報高精度化部14の動作を行う。
図8は、プロセッサ901が波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13及び分類情報高精度化部14の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
【0024】
***動作の説明***
図2は、分類情報高精度化部14の動作の一例を示す。
【0025】
図2の(a)は、初期分類情報D11の例を示す。
分類情報高精度化部14は、波長情報解析部11から初期分類情報D11を取得する。
図2の(a)に示す初期分類情報D11は、対象地表面領域が「都市部」の地表面種別に分類される部分領域と、「植生」の地表面種別に分類される部分領域とに分割されている。
【0026】
図2の(b)は、コヒーレンス変化情報D13の例を示す。
分類情報高精度化部14は、コヒーレンス変化解析部13からコヒーレンス変化情報D13を取得する。
図2の(b)に示すコヒーレンス変化情報D13では、対象地表面領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布として、「変化大」の領域と「変化小」の領域が示される。
【0027】
図3は、分類情報高精度化部14が用いる細分基準情報の例を示す。
細分基準情報は、例えば、補助記憶装置903で保持されている。
例えば、初期分類情報D11の「都市部」とコヒーレンス変化情報D13の「変化小」とが重畳している領域は「都市部カテゴリ1」に分類される。また、初期分類情報D11の「都市部」とコヒーレンス変化情報D13の「変化大」とが重畳している領域は「都市部カテゴリ2」に分類される。同様に、初期分類情報D11の「植生」とコヒーレンス変化情報D13の「変化小」とが重畳している領域は「植生カテゴリ1」に分類される。また、初期分類情報D11の「植生」とコヒーレンス変化情報D13の「変化大」とが重畳している領域は「植生カテゴリ2」に分類される。図3では、「都市部」と「植生」のみが示されているが、「水域」の情報が含まれていてもよい。
情報処理装置1の利用者は、細分基準情報の「都市部カテゴリ1」、「都市部カテゴリ2」、「植生カテゴリ1」及び「植生カテゴリ2」の各々を定義する。
「都市部カテゴリ1」は、経時変化が少ないので、建物の改築等があまりないエリアと推測される。このため、利用者は、「都市部カテゴリ1」を例えば「安定エリア」と定義する。「都市部カテゴリ2」は、経時変化が多いので、建物の改築等が多いエリアと推測される。このため、利用者は、「都市部カテゴリ2」を例えば「開発エリア」と定義する。
また、「植生カテゴリ1」は、経時変化のあまりない植物が生育されていると推測される。このため、利用者は、「植生カテゴリ1」を例えば「草地、針葉樹林」と定義する。「植生カテゴリ2」は、経時変化の比較的多い植物が生育されていると推測される。このため、利用者は、「植生カテゴリ2」を例えば「広葉樹林」と定義する。
情報処理装置1の利用者は、各カテゴリを任意に定義することができる。
【0028】
図2の(c)は、高精度分類情報DOUTの例を示す。
分類情報高精度化部14は、初期分類情報D11とコヒーレンス変化情報D13とを重畳させ、部分領域を細分領域に細分する。また、分類情報高精度化部14は、図3の細分基準情報に従い、各細分領域を下位層の地表種別に分類する。
図2の(c)では、「都市部」と「変化大」とが重畳している。また、「植生」の左半分と「変化小」とが重畳し、「植生」の右半分と「変化大」とが重畳している。
このため、分類情報高精度化部14は、対象地表面領域を、「都市部」と「変化大」との細分領域と、「植生」と「変化小」との細分領域と、「植生」と「変化大」との細分領域とに細分している。
そして、分類情報高精度化部14は、図3の細分基準情報に従い、「都市部」と「変化大」との細分領域を「都市部カテゴリ2」に分類する。また、分類情報高精度化部14は、「植生」と「変化小」との細分領域を「植生カテゴリ1」に分類する。更に、分類情報高精度化部14は、「植生」と「変化大」との細分領域を「植生カテゴリ2」に分類する。
情報処理装置1の利用者が前述のように各カテゴリを定義している場合は、「都市部」と「変化大」との細分領域は「開発エリア」に分類される。また、「植生」と「変化小」との細分領域は「草地、針葉樹林」に分類される。更に、「植生」と「変化大」との細分領域は「広葉樹林」に分類される。
【0029】
***実施の形態の効果の説明***
以上のように、実施の形態1によれば、地表面をより詳細に分類することができる。
つまり、本実施の形態では、光学画像の分類結果を事前知識として、分類結果の各分類領域内に対し、同一領域を撮像したレーダ画像のコヒーレンス変化を解析することにより、分類情報の高精度化を図ることが可能となる。
【0030】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態1と同様である。
【0031】
図4は、実施の形態2の情報処理装置1の機能構成例を示す。
【0032】
本実施の形態では、波長情報解析部11が初期分類情報D11をコヒーレンス変化解析部13に入力する。
コヒーレンス変化解析部13は、初期分類情報D11を取得し、初期分類情報D11を解析する。初期分類情報D11の解析の結果、対象地表面領域が2つ以上の部分領域に分割されている場合に、2つ以上の部分領域のうちのいずれかの部分領域を選択部分領域として選択する。また、コヒーレンス変化解析部13は、選択した選択部分領域の画像解析を行い、選択部分領域で生じた経時変化の変化度合いの領域分布が示される経時変化マップを生成する。更に、コヒーレンス変化解析部13は、選択部分領域についての経時変化マップをコヒーレンス変化情報D13として分類情報高精度化部14に出力する。
分類情報高精度化部14は、コヒーレンス変化情報D13に基づき、選択部分領域を2つ以上の細分領域に細分する。そして、分類情報高精度化部14は、細分領域ごとに、細分領域での経時変化の変化度合いに応じて、細分領域をいずれかの地表面種別に分類する。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、細分化を行いたい部分領域を選択部分領域として選択する。そして、選択部分領域に絞ってコヒーレンスマップD12を切り出す。このため、本実施の形態によれば、演算時間及び演算コストを削減することができる。
【0034】
本実施の形態では、選択部分領域についてコヒーレンスマップD12を切り出したが、代わりに、レーダ画像DIN2を選択部分領域について直接切出す構成も考えられる。この場合も、演算時間及び演算コストを削減することができる。
【0035】
実施の形態3.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態1と同様である。
【0036】
図5は、実施の形態3の情報処理装置1の機能構成例を示す。
本実施の形態では、波長情報解析部11の代わりに物体識別部15が含まれている。
物体識別部15は、波長情報解析部11と同様に、部分領域分割部に相当する。また、物体識別部15により行われる処理は、部分領域分割処理に相当する。
【0037】
物体識別部15は、光学画像DINの画素値分布解析を行い、光学画像DIN中の一部または全ての画素に対し、分類ラベルD15を付与する。物体識別部15は、分類ラベルD15の付与により、対象地表面領域を部分領域に論理的に分割する。
【0038】
物体識別の方法としては、例えば、ルールベースの処理、学習済モデルを用いた機械学習の手法で特定の物体を検出する方法がある。この場合、光学画像DIN中の一部の画素に対し分類ラベルが付与される。
【0039】
物体識別の別の方法として、例えばセグメンテーション処理を用いて、画素に分類ラベルを付与する方法がある。この場合、光学画像DIN中のすべての画素に対し分類ラベルが付与される。
【0040】
分類情報高精度化部14は、分類ラベルD15から植生領域、都市部領域など各部分領域を抽出する。そして、分類情報高精度化部14は、実施の形態1と同様に、各部分領域を、コヒーレンス変化情報D13を用いて更に分割することで、高精度分類情報DOUTを生成する。
【0041】
以上のように、本実施の形態よれば、波長情報が豊富でないRGB画像などを光学画像として扱う場合でも、対象地表面領域の分類の高精度化を図ることが可能となる。
【0042】
実施の形態4.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態1と同様である。
【0043】
図6は、実施の形態4の情報処理装置1の機能構成例を示す。
本実施の形態では、図1と比較して、物体識別部15と分類情報分割部16が追加されている。
本実施の形態では、波長情報解析部11、物体識別部15及び分類情報分割部16が部分領域分割部に相当する。また、波長情報解析部11、物体識別部15及び分類情報分割部16により行われる処理は、部分領域分割処理に相当する。
【0044】
物体識別部15は、実施の形態3で示したものと同じである。
つまり、物体識別部15は、光学画像DINの画素値分布解析を行い、光学画像DIN中の一部または全ての画素に対し、分類ラベルD15を付与する。
【0045】
分類情報分割部16は、初期分類情報D11と分類ラベルD15の組合せから、初期分類情報D11を更に分類することで、中間分類情報D16を出力する。
中間分類情報D16には、初期分類情報D11に示される部分領域から更に分割された部分領域が示される。
【0046】
つまり、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、波長情報解析部11が光学画像DIN1の波長解析を行って対象地表面領域を1つ以上の部分領域に論理的に分割する。並行して、物体識別部15が光学画像DIN1の画素値分布解析を行う。そして、物体識別部15の分類ラベルD15に基づき、分類情報分割部16が波長情報解析部11の波長解析により得られた1つ以上の部分領域を更に論理的に分割する。
【0047】
本実施の形態では、分類情報高精度化部14は、中間分類情報D16に示される部分領域を、実施の形態1で説明した手法により細分して細分領域を得る。そして、分類情報高精度化部14は、実施の形態1で説明した手法で、各細分領域を地表面種別に分類する。
初期分類情報D11の部分領域の代わりに中間分類情報D16の部分領域が用いられる点を除けば、分類情報高精度化部14の動作は実施の形態1と同じである。
【0048】
以上のように、本実施の形態によれば、波長情報と画素値情報を組み合わせて用いることで、対象地表面領域の分類の高精度化を更に図ることが可能となる。
【0049】
なお、本実施の形態では、分類情報分割部16が、波長情報解析部11の波長解析により得られた1つ以上の部分領域を、物体識別部15の画素値分布解析により得られた分類ラベルD15に基づき、更に論理的に分割する例を説明した。これに代えて、分類情報分割部16が、物体識別部15の画素値分布解析により得られた1つ以上の部分領域を、波長情報解析部11の波長解析に基づき、更に論理的に分割するようにしてもよい。
【0050】
実施の形態5.
図7は、実施の形態1の情報処理装置1の動作手順を示すフローチャートである。
【0051】
ステップST1では、波長情報解析部11が、リモートセンシングデータである光学画像DIN1の波長情報を解析して、初期分類情報D11を生成する。
【0052】
ステップST2では、コヒーレンスマップ生成部12が、光学画像DIN1と同一視野の3つ以上の対象地表面領域のレーダ画像DIN2から各々で異なる2つのレーダ画像DIN2の組み合せを選択し、組み合わせごとに、複素相関の分布を示すコヒーレンスマップD12を生成する。
【0053】
ステップST3では、コヒーレンス変化解析部13が、コヒーレンスマップD12間の変化領域を解析して、コヒーレンス変化情報D13を生成する。
【0054】
ステップST4では、分類情報高精度化部14が、初期分類情報D11の各部分領域を、コヒーレンス変化情報を用いて細分し、細分領域の地表面種別を判別し、高精度分類情報DOUTを生成する。
【0055】
以上、実施の形態1~5を説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
また、これらの実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。
【0056】
***ハードウェア構成の補足説明***
最後に、情報処理装置1のハードウェア構成の補足説明を行う。
図8に示すプロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図8に示す主記憶装置902は、RAM(Random Access Memory)である。
図8に示す補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
図8に示す通信装置904は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0057】
また、補助記憶装置903には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ901により実行される。
プロセッサ901はOSの少なくとも一部を実行しながら、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ901がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
また、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0058】
また、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16の少なくともいずれかの「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」又は「サーキットリー」に読み替えてもよい。
また、情報処理装置1は、処理回路により実現されてもよい。処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
この場合は、波長情報解析部11、コヒーレンスマップ生成部12、コヒーレンス変化解析部13、分類情報高精度化部14、物体識別部15及び分類情報分割部16は、それぞれ処理回路の一部として実現される。
なお、本明細書では、プロセッサと処理回路との上位概念を、「プロセッシングサーキットリー」という。
つまり、プロセッサと処理回路とは、それぞれ「プロセッシングサーキットリー」の具体例である。
【符号の説明】
【0059】
1 情報処理装置、11 波長情報解析部、12 コヒーレンスマップ生成部、13 コヒーレンス変化解析部、14 分類情報高精度化部、15 物体識別部、16 分類情報分割部、901 プロセッサ、902 主記憶装置、903 補助記憶装置、904 通信装置、DIN1 光学画像、DIN2 レーダ画像、D11 初期分類情報、D12 コヒーレンスマップ、D13 コヒーレンス変化情報、D15 分類ラベル、D16 中間分類情報、DOUT 高精度分類情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8