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特許7634531gIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物、薬学的に許容できる塩、および使用
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  • 特許-gIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物、薬学的に許容できる塩、および使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】gIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物、薬学的に許容できる塩、および使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20250214BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20250214BHJP
   C07K 1/06 20060101ALI20250214BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
C12N15/16
A61K38/22
A61K38/26
A61P3/10
A61P3/04
C07K1/06
C12P21/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022521629
(86)(22)【出願日】2019-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019110848
(87)【国際公開番号】W WO2021068251
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】201910952193.3
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522142660
【氏名又は名称】江蘇諾泰澳賽諾生物製薬股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINOPEP-ALLSINO BIOPHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28, Linpu Road, Economic & Technological Lianyungang, Jiangsu 222000 China
(73)【特許権者】
【識別番号】522142671
【氏名又は名称】杭州諾泰澳賽諾医薬技術開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU SINOPEP-ALLSINO PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1201-1203 Bldg E, 1378 West Wenyixi Road, Yuhang District Hangzhou, Zhejiang 311100 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】趙 呈青
(72)【発明者】
【氏名】谷 海涛
(72)【発明者】
【氏名】施 国強
(72)【発明者】
【氏名】姜 建軍
(72)【発明者】
【氏名】王 蔡典
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507124(JP,A)
【文献】特表2011-530509(JP,A)
【文献】特表2017-503474(JP,A)
【文献】特表2013-500278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列は、
(2)SEQ ID NO:2
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(3)SEQ ID NO:3
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
ら選択され、
式中、
【化4】
であことを特徴とする、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物。
【請求項2】
以下のステップ(1)、(2)を含む請求項に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の製造方法であって、
(1)樹脂を取り、活性化させた後、アミノ酸を逐一連結させることでペプチド樹脂が得られ、
(2)ペプチド樹脂を取り、側鎖を結合させ、分解し、精製することで側鎖保護されたポリペプチドが得られることを特徴とする、製造方法。
【請求項3】
GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物は、請求項に記載のポリペプチド化合物であり、このポリペプチド化合物のC末端アミノ酸は、C末端第一級アミドまたはその薬学的に許容できる塩としてアミド化されることを特徴とする、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
前記塩は、
GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物と、
塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ピロ硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、樟脳酸、桂皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、脂肪酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D-グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸およびチオシアン酸塩のうちの1種と;
から形成される塩であることを特徴とする、請求項に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
請求項に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を用いて製造される医薬品であって、
前記医薬品は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物を有効成分とし、剤形が錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ、トローチ剤、吸入剤、噴霧剤、注射剤、膜剤、貼付剤、散剤、顆粒剤、ブロック剤、乳剤、坐剤および配合剤のいずれか1種の製剤であることを特徴とする、医薬品。
【請求項6】
GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、請求項に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を有効原料とし、或いは請求項またはに記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を有効原料とし、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤をさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項7】
請求項に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物または請求項に記載の製造方法により製造されるGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の使用であって、
前記使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における、有効原料とするGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の使用であることを特徴とする、使用。
【請求項8】
請求項またはに記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、請求項に記載の医薬品、或いはに記載の医薬組成物の使用であって、
前記使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における、有効原料とするポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、医薬品または医薬組成物の使用であることを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド化合物分野に関し、具体的には、デュアルインクレチンペプチド類似化合物であるポリペプチド化合物に関し、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の受容体を活性化させ、2型糖尿病および肥満症の治療に適用できる。本発明は、このポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、ポリペプチド医薬組成物、医薬品、製造方法およびその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームの病因は、タンパク質、脂肪、炭水化物などのさまざまな物質の異常な代謝である。栄養過剰と身体活動の低下は、肥満や糖尿病などの肥満関連疾患を引き起こす可能性がある。近年、2型糖尿病と脂質異常症の発生率が増加している。2型糖尿病は糖尿病の最も一般的な形態であり、すべての糖尿病の約90%を占めている。2型糖尿病は、インスリン抵抗性によって引き起こされる高血糖値を特徴としている。現在の2型糖尿病の標準治療には、食事療法、運動、および経口や注射可能な血糖降下薬による治療が含まれる。しかしながら、2型糖尿病の多くの患者はまだ血糖値が十分にコントロールされていない。
【0003】
GIPは42アミノ酸の胃腸調節ペプチドであり、膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを分泌し、グルコースの存在下で膵臓のβ細胞を保護することにより、グルコースの体内バランスにおいて生理学的役割を果たしている。GLP-1は、37アミノ酸のペプチドであり、インスリン分泌を刺激し、膵臓β細胞を保護し、グルカゴン分泌、胃内容排出、および食物摂取を阻害することで体重を減少させる。GIPおよびgLP-1は、インクレチンと呼ばれている。インクレチン素受容体は、シグナル伝達がグルコースの体内バランスに対して重要な役割を果たしている。正常の生理学では、GIPおよびGLP-1は食後に腸から分泌され、これらのインクレチンは満腹、インスリン分泌、栄養素処理などの食物に対する生理学的反応を増強させる。2型糖尿病患者のインクレチン反応は低下する。現在市販されているインクレチンアナログまたはジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤は、単一の作用メカニズムのみにより血糖をコントロールしている。二重作用メカニズムを有する2型糖尿病化合物を使用することにより、血糖降下活性および体重減少効果の両方に優れたポリペプチド化合物が得られる。
【0004】
GLP-1アナログの投与は、悪心や嘔吐などの副作用によって制限され、投与によって血糖コントロールや体重減少に十分な効果が得られないことがよくある。単独なGIPは2型糖尿病患者において非常に適度な血糖降下能力を有する。天然GIPおよびGLP-1はいずれも遍在するプロテアーゼDPP IVによって急速に不活性化されるため、短期間の代謝制御にのみ使用できる。DPP IVはエピペプチダーゼ類タンパク質加水分解酵素に属する。配列に非天然アミノ酸を導入することにより任意のペプチドのタンパク質分解安定性を高めることができる。従って、非天然アミノ酸の使用は、DPP IVタンパク質による分解および他の形態の分解に対するペプチドの安定性を向上できる。
【0005】
本発明の一部として、非天然アミノ酸は、GIPとGLP-1のアゴニスト活性のバランスに対してポジティブな影響を与えている。例えば、脂肪酸は、アルブミン結合モチーフにより半減期を延長させることでペプチドの薬物動態を改善することができる。脂肪酸を使用してペプチドの半減期を改善できるが、本出願人は、本発明の一部として脂肪酸鎖の長さ、組成、位置およびペプチドと脂肪酸鎖との間のリンカーが意外にGIPおよびGLP-1アゴニスト活性のバランスに影響があり、ペプチドの半減期を延長できることを発見した。いくつかのGIPアナログは、WO2013/164483、WO2014/192284およびWO2011/119657などの特許文献においてGIPおよびGLP-1活性を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の不足に対して、二重作用メカニズムを利用し、血糖降下活性および体重減少効果を有するGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、前記GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、前記GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、前記GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、前記GIP和GLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の医薬品を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、前記GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物、其薬学的に許容できる塩、その医薬組成物および医薬品の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、以下の技術的手段により実現される。
本発明は、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を開示する。このGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物のアミノ酸配列は、
Y XaaEGTFTSDYSI XaaLDKIAQ XaaAFVQWLIAGGPSSGAPPPSであり、
C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化されており、
Xaaは、
【化1】
から選択され、
Xaaは、
【化2】
から選択され、
XaaとXaaは同じ出会っても異なっていてもよく、
Xaa
【化3】
から選択され、
nは5-25の自然数である。
【0013】
本発明に記載のポリペプチド医薬組成物において、前記nは自然数16または18である。
【0014】
本発明に記載のポリペプチド医薬組成物において、ポリペプチドアミノ酸配列は、好ましくは、
(1)SEQ ID NO:1
YVEGTFTSDYSIVLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(2)SEQ ID NO:2
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(3)SEQ ID NO:3
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(4)SEQ ID NO:4
YAEGTFTSDYSIALDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(5)SEQ ID NO:5
YAEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(6)SEQ ID NO:6
YAibEGTFTSDYSIALDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(7)SEQ ID NO:7
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSS GAPPPS-NH
(8)SEQ ID NO:8
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(9)SEQ ID NO:9
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(10)SEQ ID NO:10
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(11)SEQ ID NO:11
YAibEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(12)SEQ ID NO:12
YVEGTFTSDYSIVLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(13)SEQ ID NO:13
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(14)SEQ ID NO:14
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(15)SEQ ID NO:15
YAEGTFTSDYSIALDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(16)SEQ ID NO:16
YAEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(17)SEQ ID NO:17
YAibEGTFTSDYSIALDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(18)SEQ ID NO:18
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(19)SEQ ID NO:19
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(20)SEQ ID NO:20
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
(21)SEQ ID NO:21
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
であり、
式中、
【化4】
である。
【0015】
本発明は、以下のステップ(1)、(2)を含むGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の製造方法をさらに開示する。
(1)樹脂を取り、活性化させた後、アミノ酸を逐一連結させることでペプチド樹脂が得られる。
(2)ペプチド樹脂を取り、側鎖を結合させ、分解し、精製することで側鎖保護されたポリペプチドが得られる。
【0016】
本発明は、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩をさらに開示する。前記GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物は、上述したいずれかのポリペプチド化合物であり、かつこのポリペプチド化合物のC末端アミノ酸は、C末端第一級アミドまたはその薬学的に許容できる塩としてアミド化されている。
【0017】
本発明に記載のGIP和GLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩において、好ましくは、前記塩は、
GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物と、
塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ピロ硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、樟脳酸、桂皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、脂肪酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D-グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸およびチオシアン酸塩のうちの1種と、
から形成される塩である。
【0018】
本発明は、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物をさらに開示する。この医薬組成物は、上述したいずれかのGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を有効原料とし、或いは上述したいずれかのGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を有効原料とし、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤をさらに含む。
【0019】
本発明に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩は、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物および上述化合物を原料とし、従来技術に開示の通常方法に従って製造される。
【0020】
本発明は、上述したいずれかのGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を用いて製造される医薬品をさらに開示する。前記医薬品は、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ、トローチ剤、吸入剤、噴霧剤、注射剤、膜剤、貼付剤、散剤、顆粒剤、ブロック剤、乳剤、坐剤および配合剤である。医薬品は、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物および薬学的に許容できる医薬品添加剤、キャリアまたは希釈剤から構成される。本発明に記載の医薬品は、従来技術における通常方法に従って製造できる。
【0021】
本発明に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の使用としては、有効原料として糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品または痩せ薬の製造に使用できる。
【0022】
本発明に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチドの薬学的に許容できる使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における有効原料とする使用である。
【0023】
本発明に記載のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物、医薬品は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品または痩せ薬として適用できる。
【0024】
本明細書に使用される略語を下に示す。
<略 語> <意 味>
DCM ジクロロメタン
DMF N-メチルピロリドン
HBTU ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウ
ロニウムヘキサフルオロホスファート
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIEA/DIPEA N,N’-ジイソプロピルエチルアミン
Fmoc N-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
EDT エタンジチオール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
tBu tert-ブチル
DMSO ジメチルスルホキシド
Alloc アリルオキシカルボニル
【発明の効果】
【0025】
従来のポリペプチド化合物および製造技術に比べ、本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、新規のGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物を開示する。本発明のポリペプチド化合物は、血糖降下、体重減少の効果を有し、有効原料として糖尿病を治療または予防するための医薬品または痩せ薬の製造に適用できる。動物エネルギ消耗データにより、本発明のポリペプチド化合物は、患者の体重を減らす作用を有するとともに、GIPおよびGLP-1受容体に対してバランスの共アゴニスト活性を有し、グルカゴンおよびGLP-2受容体に対して選択性を有し、免疫原性が低い特性および週に1回投与可能な薬物動態(PK)特徴を有し、糖尿病、肥満の治療薬の有効成分として適用される。
【0026】
本発明の製造方法により製造されたGIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物は、血糖降下および体重増加抑制の活性が高く、効果持続時間が長く、収率が高く、合成周期が短く、粗製品の精製が容易で、生産コストが低く、産業の自動化生産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実験における各試験薬の単回投与の、ob/obマウスのランダム血糖値およびAUC0-24hgluに対する影響(▲X▼±s,n=7)(▲X▼は、X文字の上に-が付く文字を指す、以下同じ)を示す図である。
図2】実験における各試験薬の単回投与のob/obマウスのランダム血糖値およびAUC0-24hgluに対する影響(▲X▼±s,n=7)を示す図である。
図3】実験における各試験薬の単回投与の、ob/obマウスAUC0-24hgluに対する影響(▲X▼±s,n=7)を示す図である。図におけるデータはAUC0-24hgluの低下率である。
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0030】
(実施例1:配列番号(SEQ ID NO)1のポリペプチド化合物の合成)
YVEGTFTSDYSIVLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
1.ペプチド鎖の合成
1.1 樹脂の膨潤
Fmoc-Rink Amide AM Resin(置換度0.35mmol/g)を10g秤量し、100mLのDCMで30min膨潤した後、吸引濾過してDCMを除去し、さらに100mLのDMFで30min膨潤し、それぞれ100mLのDMFおよびDCMで洗浄した。
【0031】
1.2 Fmoc-Ser(tBu)-Rink Amide AM Resinの合成
Fmoc-Ser(tBu)-OH(8mmol)、HOBT(16mmol)およびDIC(16mmol)を100mLのDMFに溶解し、得られた溶液を前のステップで得られた樹脂に加えて2時間反応させ、反応終了後、濾過して反応液を除去し、それぞれ100mLのDCMおよび100mLのDMFを用いて樹脂を3回洗浄した。
【0032】
1.3 Fmoc保護基の除去
洗浄後の樹脂に0.1MのHOBtを含む25%ピペリジン/DMF(V/V)溶液を加えてFmocを除去し、反応終了後、それぞれ100mLのDCMおよび100mLのDMFを用いて樹脂を3回洗浄した。
【0033】
1.4 ペプチド鎖の延長
配列に従って、ペプチド鎖の合成が終了してペプチド樹脂が得られるまで、上記の脱保護および連結のステップを繰り返して順に対応するアミノ酸をつけた。
ここで、第20位Kは、Fmoc-Lys(Alloc)-OH、Fmoc-Lys(Dde)-OH、Fmoc-Lys(iVdde)-OH、Fmoc-Lys(Mtt)-OHまたはFmoc-Lys(Boc)-OHの保護戦略を採用することができる。本実施例ではFmoc-Lys(Alloc)-OHの保護戦略を採用した。
【0034】
1.5 側鎖の結合
得られたペプチド樹脂を反応フラスコに入れ、PhSiHを除去剤としてPd(PPhを用いてAlloc保護基を除去した。Fmoc/t-Buの戦略により20位Lys側鎖を合成し、またはOct(OtBu)-γ-Glu(OtBu)-AEEA-AEEA-Osu断片を直接結合させ、完全保護ペプチド樹脂を得た。
【0035】
1.6 ペプチド樹脂の分解
トリフルオロ酢酸を秤量して反応器に入れ、-10~0℃に冷却し、トリイソプロピルシラン、1,2-エタンジチオールおよび精製水を加え、撹拌して均一に混合した。ペプチド樹脂をゆっくりと加え、20~30℃に昇温し、115~125min開裂反応させた。反応終了後、濾過して樹脂を除去し、除去した樹脂をM×8×20%mlのTFAで洗浄し、濾液および洗浄液を全てM×8×1.2×4mlのエーテルに移し、5~10min撹拌し、15min以上静置して沈降させた。沈降懸濁液を遠心分離機に入れ、遠心分離し、固体を収集した。エーテルで固体を6回(毎回5L以上)洗浄した。固体を20~35℃で6~10h真空乾燥し、粗ペプチドを得た。
【0036】
1.7 粗ペプチドの精製
分取液体クロマトグラフィーにより精製した。クロマトグラフィー条件は、C18カラム(100mm×250mm,10μm);移動相A:0.1%のTFA/水(V/V)、移動相B:0.1%のTFA/アセトニトリル(V/V);移動相グラジエント:移動相B20%~60%、60min;流速:200mL/min、検出波長:214nmであった。純度が98.0%超えた留分を収集し、回転蒸発した後、凍結乾燥して1.36gのサンプルを得た。
【0037】
(実施例2:配列番号2ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化5】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.45g得た。
【0038】
(実施例3:配列番号3ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化6】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.51g得た。
【0039】
(実施例4:配列番号4ポリペプチド化合物の合成)
YAEGTFTSDYSIALDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.18g得た。
【0040】
(実施例5:配列番号5ポリペプチド化合物の合成)
YAEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.22g得た。
【0041】
(実施例6:配列番号6ポリペプチド化合物の合成)
YAibEGTFTSDYSIALDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.97g得た。
【0042】
(実施例7:配列番号7ポリペプチド化合物の合成)
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化7】
=Aib
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.55g得た。
【0043】
(実施例8:配列番号8ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
=Aib
【化8】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.01g得た。
【0044】
(実施例9:配列番号9ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化9】
=Aib
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.64g得た。
【0045】
(実施例10:配列番号10ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(HOOC-(CH16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
=Aib
【化10】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.81g得た。
【0046】
(実施例11:配列番号11ポリペプチド化合物の合成)
YAibEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.84g得た。
【0047】
(実施例12:配列番号12ポリペプチド化合物の合成)
YVEGTFTSDYSIVLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.12g得た。
【0048】
(実施例13:配列番号13ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化11】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.07g得た。
【0049】
(実施例14:配列番号14ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化12】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.89g得た。
【0050】
(実施例15:配列番号15ポリペプチド化合物の合成)
YAEGTFTSDYSIALDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.81g得た。
【0051】
(実施例16:配列番号16ポリペプチド化合物の合成)
YAEGTFTSDYSIAibLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.71g得た。
【0052】
(実施例17:配列番号17ポリペプチド化合物の合成)
YAibEGTFTSDYSIALDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.53g得た。
【0053】
(実施例18:配列番号18ポリペプチド化合物の合成)
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化13】
=Aib
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.25g得た。
【0054】
(実施例19:配列番号19ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
=Aib
【化14】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を0.93g得た。
【0055】
(実施例20:配列番号20ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
【化15】
=Aib
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を0.96g得た。
【0056】
(実施例21:配列番号15ポリペプチド化合物の合成)
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQK(γ-Glu-Palmitoyl)AFVQWLIAGGPSSGAPPPS-NH
=Aib
【化16】
合成方法は実施例1と同様であった。収集した溶液を凍結乾燥して精製品を1.47g得た。
【0057】
(実施例22)
以下、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニストポリペプチド化合物(「ポリペプチド化合物」と略す)に関する薬理学的実験方法および結果を示す。
1、 ポリペプチド化合物のGLP-1およびGIP受容体アゴニスト活性
HEK293細胞は、GLP-1RまたはGIPRをコードするcDNAをコトランスフェクションする。化合物の測定試験において、試験の2時間前に、細胞を96ウェルプレートに接種し、ポリペプチド化合物をDMSOで溶解し、0.1%ウシ血清アルブミンを含む培地で異なる倍数希釈し、コトランスフェクションされた細胞に加えた。細胞を20minインキュベートした後、Cisbo社のELISAキットを用い、マイクロプレートリーダーにより蛍光強度を測定し、標準曲線を作成し、蛍光強度を対応するcAMP数値に変換し、Graphpad Prism 7.0ソフトウェアの非線形回帰により化合物のEC50数値を計算した。
【0058】
【表1】
Peptides:ペプチド
Semaglutide:セマグルチド
【0059】
表1に示すように、全てのポリペプチド化合物は、GLP-1Rに対して高いアゴニスト活性を保持するとともに、GIPRに対してかなり高いアゴニスト活性を保持し、修正された非天然アミノ酸および側鎖基はアゴニスト活性に対して大きな影響を与えなかった。
【0060】
2、 ポリペプチド化合物の血糖降下実験
雄ob/obマウスを離乳させた後、1匹/1ケージで飼育し、高脂肪飼料を投与し、6-7週齢後、血糖値を測定し、ランダム体重、ランダム血糖値および空腹血糖値によってモデル対照群、ポリペプチド化合物群(9つの化合物を選択する)、陽性対照リラグルチド(リラグルチド)群および陽性対照セマグルチド(Semaglutide)群に分けた。各試験薬群および陽性対照群マウスに対して、それぞれ異なる用量の各試験薬または陽性薬物リラグルチドおよびセマグルチドを単回皮下注射し、モデル対照群マウスに対してPBS緩衝液を単回皮下注射し、各群のマウスに対して投与前(0時間)および投与後の2、4、6、10、24時間目にランダム血糖値を測定し、その後、各群のマウスの血糖状況に応じてランダム血糖値の測定時間を調整して投与後の34、48、58または72時間目に延長した。また、各群のマウスの投与前(0時間)および投与の24時間後のランダム体重を測定し、そしてランダム血糖値の測定状況に対応するマウス投与後48または72時間目のランダム体重を測定した。以下の算式により血糖降下率、投与24時間内の血糖曲線下面積(AUC0-24hglu)およびその低下率を計算した。
【0061】
血糖降下率=(モデル対照群血糖値-投与群血糖値)/モデル対照群血糖値×100%
AUC0-24hglu(mmol/Lh・r)=(BG0+BG2)+(BG2+BG4)+(BG4+BG6)+(BG6+BG10)×2+(BG10+BG24)×7
BG0、BG2、BG4、BG6、BG10およびBG24は、それぞれ投与前(0時間)および投与後の2、4、6、10および24時間目での血糖値を示す。
AUC0-24hglu(mmol/Lh・r)低下率=(モデル対照群AUC0-24hglu-投与群AUG0-24hglu)/モデル対照群AUC0-24hgln×100%
実験を合計2回実施し、時間間の間隔は8-10日であり、各実験を23群に分け、実験の群分けおよび用量状況を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
図1-3に示すように、血糖降下実験の結果として、本発明のポリペプチド化合物の投与濃度が100μg/kgである場合、血糖降低下下はほとんどセマグルチドおよびGIPの血糖降下効果に相当し、特に、配列番号2の血糖降下効果はセマグルチドとほぼ一致した。
【0064】
3、 ポリペプチド化合物のob/obマウスランダム体重に対する影響
表3-5の結果に示されるように、100g/kggIP、100および300g/kggLP-1の単回皮下注射投与は、ob/obマウスのランダム体重およびその変化量に明らかな影響がなかった。100g/kgのリラグルチドおよびセマグルチド群に単回皮下注射により投与した24および48時間後に、ob/obマウスのランダム体重およびその変化量は顕著に低下し、300g/kgの配列番号1~9を単回皮下注射により投与した24、48および72h時間後にob/obマウスのランダム体重およびその変化量は顕著に低下した。100g/kgの配列番号2を単回皮下注射により投与した24時間後にob/obマウスのランダム体重の変化量は顕著に低下し、300g/kgの配列番号9を単回皮下注射により投与した24および48時間後にob/obマウスの変化量は顕著に低下し、配列番号2は、等用量のセマグルチドの作用とほとんど同じであった。したがって、GIPおよびGLP-1デュアルアゴニスト化合物の単回皮下注射投与は、2型糖尿病ob/obマウスのランダム血糖値を顕著に減少でき、配列番号2は等用量のセマグルチドの作用と相当する。長期間の投与後、全てのポリペプチド化合物はいずれもより良好な体重コントロール効果を示した。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
図1
図2
図3
【配列表】
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