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特許7634536三次元の成形品を製造するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】三次元の成形品を製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20250214BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250214BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250214BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20250214BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20250214BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20250214BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20250214BHJP
   B05D 1/38 20060101ALI20250214BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20250214BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20250214BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D1/38
B05D3/00 D
B05D5/06 104K
B05D1/26 Z
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022528342
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2020082446
(87)【国際公開番号】W WO2021094628
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102019007953.1
(32)【優先日】2019-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019007972.8
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】524134948
【氏名又は名称】スリーディー システムズ ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス マテア
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110421169(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0297114(US,A1)
【文献】特開2017-019226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0189435(US,A1)
【文献】特開2018-158457(JP,A)
【文献】特開2016-060063(JP,A)
【文献】国際公開第2018/228919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n=1~Nの層Sの形態での材料被着によって三次元の成形品(200)を製造するための装置(100)であって、
印刷支持体(400)上に、または前記成形品(200)の、印刷支持体(400)上に存在する硬化した層S上に、物理的または化学的に硬化可能な材料を被着するための少なくとも1つの材料放出装置(300)と、
前記印刷支持体(400)と前記少なくとも1つの材料放出装置(300)とを互いに対して位置決めするための駆動装置(410)と、
前記三次元の成形品(200)の画像データ(210)を格納するためのデータメモリ(510)を備えた制御装置(500)であって、前記駆動装置(410)と前記少なくとも1つの材料放出装置(300)とに制御接続されている、制御装置(500)と、
前記三次元の成形品(200)の前記層Sを検査するための監視装置(600)であって、評価装置(610)が後置されている、監視装置(600)と、
材料除去装置(700)であって、前記評価装置(610)と前記材料除去装置(700)とは、前記制御装置(500)に制御接続されており、前記材料放出装置(300)に、それぞれ被着された前記層Sをレベリングするためのレベリング装置(310)が後置されている、材料除去装置(700)と、
を有している装置(100)において、
前記評価装置(610)は、前記監視装置(600)によって少なくとも1つの欠陥が検出されたn=xの層Sを確認し、欠陥を含む層に後続のn=x+1,x+2・・・の層Sを、前記成形品(200)の、予め定められた基準を上回っている欠陥を含む幾何学形状変化について検査し、前記後続のn=x+1,x+2・・・の層Sが欠陥を含む幾何学形状変化を有している場合に、前記層Sに対する欠陥信号を生成し、前記欠陥を含む層のこの第1の層Sに対して生成された前記欠陥信号を前記制御装置(500)に送信するように形成されており、
前記材料除去装置(700)は、最後に印刷された層Sから、欠陥信号が生成された前記欠陥を含む第1の層Sまでの前記三次元の成形品(200)の部分領域(T)の材料を除去するように構成されており、
前記材料除去装置(700)は、前記材料の除去時に完全な層Sが除去可能であるように形成されている
ことを特徴とする、装置(100)。
【請求項2】
前記制御装置(500)は、個々の層のための対応する座標および層厚さを備えたデータであるスライサポインタ(Z)を、欠陥を含む前記第1の層Sにセットすることを特徴とする、請求項1記載の装置(100)。
【請求項3】
前記最後に印刷された層Sから前記欠陥を含む層Sまでの前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、少なくとも1つの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項1または2記載の装置(100)。
【請求項4】
前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、2つ~4つの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項3記載の装置(100)。
【請求項5】
前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、4つよりも多くの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項3記載の装置(100)。
【請求項6】
前記材料除去装置(700)は、切削加工、研削、および/または削り落としするように形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項7】
前記材料除去装置(700)は、フライス加工するように形成されていることを特徴とする、請求項6記載の装置(100)。
【請求項8】
前記材料除去装置(700)は、研磨するように形成されていることを特徴とする、請求項6記載の装置(100)。
【請求項9】
前記材料除去装置(700)は、前記材料の除去時に1つの層Sの厚さまたは少なくとも2つの層Sの厚さが完全に除去可能であるように形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項10】
前記監視装置(600)は、光学式の監視装置、光学式または機械式の走査装置、層厚さ測定装置または測定レーザとして形成されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項11】
前記光学式の監視装置は、CCDカメラまたはレーザ光線と組み合わせられたCCDカメラであることを特徴とする、請求項10記載の装置(100)。
【請求項12】
前記材料放出装置(300)は、前記材料放出装置(300)の機能障害を検査しかつ場合により生じた前記機能障害を解消するためのサービスステーション(800)が配置されている休止位置に移動可能であるように形成されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項13】
前記印刷支持体(400)は、前記少なくとも1つの材料放出装置(300)に対して回転軸線を中心にして回転可能に支持されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項14】
前記駆動装置(410)は、前記材料放出装置(300)を、鉛直方向で固定の前記印刷支持体(400)に対して位置決めするように、または前記印刷支持体(400)を、鉛直方向で固定の前記材料放出装置(300)に対して位置決めするように形成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項15】
前記材料除去装置(700)は、前記成形品(200)を切削加工するための材料除去工具を有しており、該材料除去工具は、前記材料除去装置(700)が前記層S~Sを完全に除去するように、少なくとも1つの延在方向で前記印刷支持体(400)にわたって設けられていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項16】
前記材料除去装置(700)と前記印刷支持体(400)とは、互いに対して所定の高さだけ移動可能であり、前記高さは、前記成形品(200)の前記欠陥を含む層S~Sの除去すべき前記部分領域(T)に応じて、前記評価装置(610)によって設定されており、前記材料除去工具は、前記完全な層S~Sを1回の作業ステップで除去することを特徴とする、請求項15記載の装置(100)。
【請求項17】
前記材料除去装置(700)の前記材料除去工具は、軸線(710)に沿って所定の長手方向延在長さを有しており、前記軸線(710)を中心にして回転可能であり、かつ円筒形にまたは円錐形に形成されていることを特徴とする、請求項15または16記載の装置(100)。
【請求項18】
n=1~Nの層Sの形態での材料被着によって三次元の成形品(200)を製造するための方法であって、
物理的または化学的に硬化可能な材料を層Sの形態で印刷支持体(400)上に被着するステップと、
前記三次元の成形品(200)を少なくとも1つの既存の欠陥に関して検査するステップと、
それぞれ被着された各々の層Sをレベリングするステップと、
前記三次元の成形品(200)の、少なくとも1つの欠陥が検出された1つの層Sを確認するステップと、
n=x+1,x+2・・・の後続の層Sを、前記成形品(200)の、欠陥を含む幾何学形状変化について検査するステップと、
を含む方法において、
前記n=x+1,x+2・・・の後続の層Sの、予め定められた基準を上回っている欠陥を含む幾何学形状変化が検出された場合に、欠陥を含む層のこの第1の層Sに対する欠陥信号を生成しかつ制御装置(500)に送信し、
前記欠陥信号に応じて、層Sの形態での材料被着を停止させ、
前記成形品(200)の画像データ(210)において、スライサポインタ(Z)を、欠陥を含む前記第1の層Sにセットし、
最後に印刷された層Sから、欠陥信号が生成された前記欠陥を含む層Sまでの前記三次元の成形品(200)の部分領域(T)を除去し、このとき、前記層S~層Sを完全に除去し、
その後、除去された分の前記層と、場合により必要となる更なる層とを、前記成形品の完成に至るまで層毎に被着しかつ検査する
ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記スライサポインタ(Z)は、個々の層のための対応する座標および層厚さを備えたデータであることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記最後に印刷された層Sから前記欠陥を含む層Sまでの前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、少なくとも1つの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、2つ~4つの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記三次元の成形品(200)の前記部分領域(T)は、4つよりも多くの完全な層Sを備えることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記層Sを、切削加工、研削および/または削り落としによって除去することを特徴とする、請求項18から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記層Sを、フライス加工によって除去することを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記層Sを、研磨によって除去することを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記材料の除去時に、1つの層Sの厚さまたは少なくとも2つの層Sの厚さを完全に除去することを特徴とする、請求項18から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記印刷支持体(400)を、回転軸線(420)を中心にして回転させることを特徴とする、請求項18から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
材料放出装置(300)を、鉛直方向で固定の前記印刷支持体(400)に対して駆動装置(410)によって位置決めするか、または前記印刷支持体(400)を、鉛直方向で固定の前記材料放出装置(300)に対して駆動装置(410)によって位置決めすることを特徴とする、請求項18から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記欠陥を含む第1の層Sに達するまで、オブジェクトポインタ(Z)を前記スライサポインタ(Z)に追従させることを特徴とする、請求項18から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記層を材料放出装置(300)によって前記印刷支持体(400)上に、または前記成形品(200)の、前記印刷支持体(400)上に存在する硬化された層上に被着し、前記欠陥信号の生成と、新たな層Sの後続の被着との間に、前記材料放出装置(300)の機能障害を検知し、機能障害が検出された場合に、前記機能障害を解消することを特徴とする、請求項18から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記層S~層Sを1回の作業ステップで完全に除去することを特徴とする、請求項18から30までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層の形態での材料被着によって三次元の成形品を製造するための装置であって、印刷支持体上に、または成形品の、印刷支持体上に存在する硬化した層上に、物理的または化学的に硬化可能な材料を被着するための少なくとも1つの材料放出装置と、印刷支持体と少なくとも1つの材料放出装置とを互いに対して位置決めするための駆動装置と、三次元の成形品の画像データを格納するためのデータメモリを備えた制御装置であって、駆動装置と少なくとも1つの材料放出装置とに制御接続されている制御装置と、を有している装置に関する。さらに、装置は、三次元の成形品の層Sを検査するための監視装置であって、評価装置が後置されている監視装置を有している。装置は、さらに、材料除去装置であって、評価装置と材料除去装置とは、制御装置に制御接続されており、材料放出装置に、それぞれ被着された層Sをレベリングするためのレベリング装置が後置されている、材料除去装置を有している。
【0002】
さらに、本発明は、n=1~Nの層Sの形態での材料被着によって三次元の成形品を製造するための方法であって、
物理的または化学的に硬化可能な材料を層Sの形態で印刷支持体上に被着するステップと、
三次元の成形品を少なくとも1つの既存の欠陥に関して検査するステップと、
それぞれ被着された各々の層Sをレベリングするステップと、
三次元の成形品の、少なくとも1つの欠陥が検出された1つの層Sを確認するステップと、
n=x+1,x+2・・・後続の層Sを、成形品の、欠陥を含む幾何学形状変化について検査するステップと、
を含む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
層毎の材料被着による付加製造法の分野では、例えば欧州特許第3294529号明細書が公知であり、同明細書は、三次元の成形品を製造するための装置および方法に関する。同明細書に示された装置は、材料を回転可能な印刷支持体上に被着し、高い速度と高い印刷品質とで三次元の成形品を製造する。印刷プロセス中に、三次元の成形品に1つでも欠陥が発生したような場合には、成形品全体を廃棄物として処分しなくてはならず、印刷プロセスを新たに開始しなくてはならない。欠陥が印刷工程の最後に初めて発生した場合には、損失は、印刷工程の最初に発生した場合よりも大きくなる。これは、印刷すべきオブジェクトのサイズに応じて、高いコストないし極めて高いコストを生じさせることがある。対応して製造時間も長くなり、これによってもコストはより高くなってしまう。単に経済的な損失が発生するのみならず、大量の材料を処分しなくてはならない場合には、環境に関する考え方も重要となる。
【0004】
上述したことを回避するために、例えば独国特許出願公開第102017208497号明細書において提案された修正プロセスは、層の印刷中に欠陥が発生した場合に早期に、つまり、直ぐに、三次元の部材の各々の印刷された層を修正する。修正は、発生した欠陥種に関連している。例えば、部材の1つの領域で過度に少ない材料しか被着されなかった場合には、修正プロセスで材料被着プロセスは、この該当する領域に対してのみ実施される。修正プロセスは、欠陥を含む箇所でその程度が僅かな場合には、欠陥を含む箇所の修正は行われず、後続の機械コードの適合が実施されるという可能性をも含んでいる。例えば、部材の1つの領域で過度に多い材料が被着されている場合には、この余剰材料は、研削および/またはフライス加工によって除去することができる。しかしながら、同明細書では、この方法が極めて長い時間を要するという欠点がある。なぜなら、各々の後続の層において新たに計算を行う必要があり、これによって印刷が休止されるからである。さらに、各々の欠陥種に対して特定の修正プロセスが規定されているので、種々様々な欠陥種が区別される。個々の欠陥種を確認するために必要な時間は欠点であり、材料不足時における材料充填のような、提案された修正処置のために必要な時間は、部材の品質の損失を意味する。
【0005】
材料除去による修正プロセスは、同様に、米国特許出願公開第2018/0071987号明細書および米国特許出願公開第2018/0361668号明細書に基づいて公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知の先行技術から出発して、本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の装置および方法を改良して、先行技術に基づく欠点が排除され、製造プロセスの生産性が向上し、それにもかかわらず、三次元の成形品の高い品質が可能となるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の定義を使用する。
【0008】
印刷プロセス
印刷プロセスとしては、これに関連して、三次元の成形品を製造するために、層の形態で材料を被着することであると理解される。
【0009】
材料放出装置
材料放出装置というのは、それを用いて、液状、ペースト状、粉末状、またはガス状の硬化可能な材料を、印刷支持体上に、または成形品の、印刷支持体上にある硬化された層上に、層毎に被着することができる装置であると理解される。材料放出装置は、所要材料量を放出するために、特にインクジェット印刷ヘッドとして構成されていてよい。
【0010】
解体工程
解体工程は、三次元の成形品の材料を層毎に除去するための材料除去装置の使用である。この除去は、完全な層で、つまり印刷面全体で行われ、1つまたは複数の層厚さを1回の工程で除去することができる。解体工程後、新規印刷が行われる。
【0011】
層S
層というのは、材料放出装置によって印刷支持体上にまたは既に被着された層上に被着される材料層を意味している。
【0012】
最下位の層
最下位の層、添え字n=1は、少なくとも1つの材料放出装置によって印刷支持体上に被着される第1の層である。
【0013】
最上位の層S
最上位の層、添え字Nは、印刷プロセスが停止される前に、少なくとも1つの材料放出装置によって先に被着された層、添え字N-1上に被着された最後の層である。印刷プロセスは、欠陥が検知された場合または成形品が完成した場合に、停止される。
【0014】
欠陥を含む層S
欠陥を含む層は、材料除去によって解消される欠陥が発生している個々の第1の層、添え字n、n=1~Nであり、この欠陥は、後続の層に影響を及ぼす。したがって、個々の第1の層に続く互いに上下に被着された層も、同様に欠陥を含んでいる。
【0015】
部分領域T
部分領域Tは、(最上位の層から欠陥を含む層までの)添え字N~xを有する除去すべき層から成っている。
【0016】
欠陥
欠陥という概念は、これに関連して、それが三次元の成形品における不良箇所であるように使用される。例としては、1つの層の寸法および形状を変化させるおそれがある、材料不足、材料の収縮、またはこれに類するもののような、過度に少ない材料を含んでいる不良箇所のことを言う。
【0017】
スライサポインタ
スライサポインタZは、内部に、各々の個々の層のための、対応する座標、層の層厚さ等々を備えたデータであって、画像データメモリに格納されている3Dモデルのために一般化されたデータが格納されているメモリ領域を示す。
【0018】
オブジェクトポインタ
オブジェクトポインタZは、現時点で構成されたまたは除去された層の位置を示す。材料被着が、欠陥なしに継続されている限り、オブジェクトポインタZとスライサポインタZとは同期していて、同じ層を示す。解体工程が作動する欠陥発生時には、オブジェクトポインタZがスライサポインタZの位置に達するまで、オブジェクトポインタZはスライサポインタZに1層ずつ追従する。
【0019】
上述した課題は、冒頭に記載した形態の装置に関して、評価装置は、監視装置によって少なくとも1つの欠陥が検出されたn=xの層Sを確認し、欠陥を含む層Sに後続のn=x+1,x+2・・・の層Sを、成形品の、予め定められた基準を上回っている欠陥を含む幾何学形状変化について検査し、後続のn=x+1,x+2・・・の層Sが欠陥を含む幾何学形状変化を有している場合に、層Sに対する欠陥信号を生成し、欠陥を含む層のこの第1の層Sに対して生成された欠陥信号を制御装置に送信するように形成されており、材料除去装置は、最後に印刷された層Sから欠陥を含む第1の層Sまでの三次元の成形品の部分領域(T)の材料を除去するために構成されており、材料除去装置は、材料の除去時に完全な層Sが除去可能であるように形成されていることによって解決される。
【0020】
材料放出装置にレベリング装置が後置されていることには、材料過多、つまり、極めて多く被着された材料による欠陥が発生し得ないという利点がある。レベリング装置によって、層厚さは自動的に制限される。すなわち、材料の過剰高さがレベリングされ、これによって「材料過多」という欠陥を修正する必要がなくなる。好ましくは、レベリングは、なお液状の材料の被着直後に行われ、これによって、既に硬化した材料を除去する材料除去装置は使用されない。好ましくは、印刷プロセスはこの欠陥種の修正によって、その速度および生産性が制限されている。監視装置が、三次元の成形品の少なくとも1つの既存の欠陥を検査するということには、材料不足、または被着された層Sの材料の収縮に基づく幾何学形状変化または体積変化のような、種々様々な欠陥種を認識することができるという利点がある。好ましくは、評価装置が後置されている。後置された評価装置は、少なくとも1つの欠陥が監視装置によって検出された層S(n=x)を確認する。好ましくは、この層は、その上に既に少なくとも1つの別の層Sn+1が被着されている層Sである。したがって、1つの層Sにおける各々の欠陥検知後に印刷プロセスを停止させることなく、かつ欠陥を含む層Sを除去することなく、印刷プロセスを、好ましくは通常の形式で継続することができる。欠陥を含む層Sに後続のこれらの層S(n=x+1、x+2・・・)には、欠陥を含む層Sの欠陥の影響が現れている。これによって印刷プロセスには、好ましくは、後で成形品の幾何学形状に影響を及ぼすことがない特定の欠陥を補償する時間が与えられる。層Sにおいて発生した欠陥が、後続の層において、設定された値を上回る幾何学形状変化を生じさせる場合に初めて、評価装置によって、この欠陥を含む層Sに対する欠陥信号が生成される。例えば、収縮につながる材料の体積変化が発生し得る。好ましくは、欠陥を含む幾何学形状変化は監視装置によって検出され、評価装置によって対応して、欠陥を含む層Sの、後続する層Sで幾何学形状変化を生じさせるこの第1の層に対する欠陥信号が生成され、制御装置に送信される。これによって、制御装置は印刷プロセスを停止させる。好ましくは、このようにして各々の個々の層が修正されるのではない。さもないと、成形品の製造時間が極めて長くなってしまう。なぜなら、監視および評価、欠陥の位置の確認、適宜な修正処置の決定、および最終的な欠陥の解消には、極めて長い時間を要するからである。予め定められた値が上回られた後で初めて、修正が行われる。
【0021】
好ましくは、材料除去装置は、最後に印刷された層Sから、欠陥信号が生成された欠陥を含む層Sまでの三次元の成形品の部分領域(T)の材料を除去する。材料除去装置および評価装置は、制御装置に制御接続されている。これによって、欠陥を含む層Sまでのすべての層が除去される。欠陥を含む層S上には、既に更なる層が被着されている。最上位の層Sだけが除去されるのではなく、層の部分領域Tが除去される。これには、欠陥を含む成形品を常に修正することができ、欠陥を含む成形品を処分する必要がなくなるという利点がある。
【0022】
好ましくは、最後に印刷された層Sから欠陥を含む層Sまでの三次元の成形品の部分領域Tは、少なくとも1つの好ましくは完全な層S、特に2つ~4つの好ましくは完全な層S、有利には、4つよりも多くの好ましくは完全な層Sを備えている。このようになっていると、解体工程を効果的かつ時間損失なしに迅速に実施することができる。なぜなら、各々の個々の層の除去、つまり解体は時間を要し、高コストの評価知能に基づいて比較的高価であり、これは、三次元の成形品の製造法を全体として高騰させてしまうからである。
【0023】
好ましくは、材料除去装置は、材料の除去時に完全な層nが除去可能であるように形成されている。これによって、例えば「材料不足」という欠陥時に個々の層における材料充填のような補修が不要になる。なぜなら、常に層S全体が材料除去装置によって除去されるからである。このようにすることによって、個々の欠陥種は区別されず、すべての欠陥種のために、個々の層を部分的にではなく、完全に除去する解体工程が使用される。これは、評価を簡単化し、かつプロセスを加速させる。
【0024】
好ましくは、材料除去装置は、特にフライス加工、好ましくは研磨、研削および/または削り落としによって切削加工するように形成されている。
【0025】
好ましくは、材料除去装置は、材料の除去時に1つの層Sの厚さまたは少なくとも2つの層Sの厚さが、好ましくは完全に除去可能であるように形成されている。このようになっていると、任意に多くの層Sを除去し、解体工程を加速させて使用することができる。
【0026】
好ましくは、監視装置は、光学式の監視装置、特にCCDカメラ、レーザ光線と組み合わせられたCCDカメラ、光学式または機械式の走査装置、層厚さ測定装置または測定レーザとして形成されている。このようになっていると、欠陥を含む層Sを高い精度で確認することができる。
【0027】
好ましくは、材料放出装置は、材料放出装置の機能障害を検査しかつ場合により生じた機能障害を解消するためのサービスステーションが配置されている休止位置に移動可能であるように形成されている。このようになっていると、材料放出装置を、材料除去装置が欠陥を含む層を備えた部分領域を除去する間に、場合により生じる、機能を損なうおそれがある故障を回避するために、保守することができる。場合によっては、材料放出装置は、欠陥信号の発生時に、相応の代替物と簡単に交換することもできる。
【0028】
好ましくは、印刷支持体は、少なくとも1つの材料放出装置に対して回転軸線を中心にして回転可能に支持されており、これによって印刷支持体は、全印刷プロセス中に連続的に運動することができる。このことは、迅速な印刷進行を可能にする。
【0029】
好ましくは、駆動装置は、材料放出装置を、鉛直方向で固定の印刷支持体に対して位置決めするように、または印刷支持体を、鉛直方向で固定の材料放出装置に対して位置決めするように形成されている。解体工程が導入されるか否かが決定される前に、複数の層Sが印刷されることによって、印刷速度を、中断なしに維持することができる。
【0030】
別の有利な構成では、材料除去装置は、成形品を切削加工するための材料除去工具を有しており、材料除去工具は、材料除去装置が層S~Sを完全に除去するように、少なくとも1つの延在方向で印刷支持体にわたって設けられている。このようになっていると、装置は、極めて効果的に、有効かつ迅速に1回の作業ステップで、既に部分的に印刷された成形品の欠陥を含む層の全面、つまり、完全な面を除去することができる。除去は、全印刷面、つまり、1つの完全な層の面にわたって常に行われる。1回の作業ステップで除去される層の数は、予め定められた部分領域Tに応じて設定される。
【0031】
好ましくは、材料除去装置と印刷支持体とは、互いに対して所定の高さだけ移動可能であり、この高さは、成形品の欠陥を含む層S~Sの除去すべき部分領域に応じて、評価装置によって設定されており、材料除去工具は、完全な層S~Sを1回の作業ステップで除去する。これによって、解体工程における迅速な加工時間が可能になる。なぜなら、材料除去装置は、欠陥を含む層を除去するために、単に1回しか成形品の上を移動しないからである。
【0032】
好ましくは、材料除去装置の材料除去工具は、軸線に沿って所定の長手方向延在長さを有しており、円筒形または円錐形に形成されていて、その軸線を中心にして回転可能である。これによって、材料放出装置は、デカルト座標の印刷法でも極座標の印刷法でも使用することができる。材料除去装置の縦長の材料除去工具が円錐形に形成されている場合には、円錐は、回転する印刷支持体の外周面に向かって延在している。これによって、より高い速度が印刷領域の外周面において考慮され、不正確さが発生しなくなる。
【0033】
上述した課題は、冒頭に記載した形態の方法に関して、
n=x+1,x+2・・・の後続の層Sの、予め定められた基準を上回っている欠陥を含む幾何学形状変化が検出された場合に、欠陥を含む層のこの第1の層Sに対する欠陥信号を生成しかつ制御装置に送信し、
欠陥信号に応じて、層Sの形態での材料被着を停止させ、
成形品の画像データにおいて、スライサポインタ(Z)を欠陥を含む第1の層Sにセットし、
最後に印刷された層Sから、欠陥信号が生成された欠陥を含む層Sまでの三次元の成形品の部分領域(T)を除去し、このとき、層S~層Sを完全に除去し、
その後、除去された分の層と、場合により必要となる更なる層とを、成形品の完成に至るまで層毎に被着しかつ検査する
ことによって解決される。
【0034】
独立請求項12に記載の方法による解決手段の利点は、装置に関して上述した利点に相当している。本発明の方法の更なる有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0035】
本発明の更なる詳細、特徴、および利点については、図面を参照しながら、三次元の成形品を製造するための装置の実施例において下記に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施例による配置形態における装置を概略的に示す図である。
図2】印刷プロセスにおける、成形品と、関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図3】欠陥検知後の、成形品と、関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図4】第1の実施例の解体工程の開始時の、成形品と、関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図5】解体工程中の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図6】解体工程中の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図7】解体工程中の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図8】解体工程中の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図9】解体工程後の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図10】新たな印刷プロセスの開始時の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図11】新たな印刷プロセスの終了後の、成形品と、第1の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図12】第2の実施例による配置形態における装置を概略的に示す図である。
図13】第2の実施例の解体工程の開始時の、成形品と、関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図14】解体工程後の、成形品と、第2の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図15】新たな印刷プロセスの開始時の、成形品と、第2の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図16】新たな印刷プロセスの終了後の、成形品と、第2の実施例の関連する画像データモデルとを示す側面図である。
図17】円筒形の材料除去工具を備えた材料除去装置を示す斜視図である。
図18】円錐形の材料除去工具を備えた材料除去装置を示す斜視図である。
図19図18の材料除去装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明について実施例の形態で、添付の図面を参照しながら詳説する。すべての図面において、同一の技術的な要素には同一の参照符号が付されている。
【0038】
図1には、本発明に係る装置100が第1の実施例による配置形態で示してある。装置100は、三次元の成形品200を製造し、成形品200の、欠陥を含む層Sを備えた部分領域Tを除去する働きをする。三次元の成形品200は、層Sの形態で被着される。この目的のために装置100は、材料を層Sの形態で被着するための材料放出装置300を有している。第1の層S、n=1は、印刷支持体400上に被着される。材料放出装置300には、レベリング装置310が後置されており、このレベリング装置310は、被着された層S上に余剰材料が形成され得ることを阻止する。さらに、装置100は、最上位の層Sから欠陥を含む層S、x:{1,…,N}、に至るまで、被着された材料の部分領域Tを除去するための材料除去装置700を有している。以下では、印刷支持体400上に被着された第1の層S、n=1は、最下位の層と呼ばれる。最後に被着された層Sは、最上位の層と呼ばれる。最上位の層Sは、三次元の成形品200が完成したときの最後の層であってもよいし、または印刷工程が欠陥検知に基づいて中断されたときの、成形品200の完成前の任意の層であってもよい。材料放出装置300および材料除去装置700は共に、制御装置500によって制御される。制御装置500はデータメモリ510を有しており、このデータメモリ510には、以下の図面で示すように、製造すべき三次元の成形品200の画像データ210が格納されている。さらに、制御装置500は、印刷支持体400と材料放出装置300とを互いに対して位置決めする駆動装置410を制御する。この第1の実施例では、駆動装置410は、印刷支持体400を、鉛直方向で固定に形成されている材料放出装置300に対して位置決めする。これは、層Sの形態で層毎に材料被着が行われる場合には、印刷支持体400が鉛直方向で下方に向かって移動するように行われ、層S~xの層毎の材料除去時には、印刷支持体400が鉛直方向で上方に向かって、この実施例では同様に鉛直方向で固定に形成されている材料除去装置700の方向に移動するように行われる。駆動装置410によって生じる、印刷支持体400の運動方向は、鉛直方向の双方向矢印によって象徴的に示してある。
【0039】
さらに、図1に示した第1の実施例の装置100は監視装置600を有しており、この監視装置600には、評価装置610が後置されている。監視装置600は、三次元の成形品200の、場合によっては発生する欠陥を検査する。
【0040】
場合によっては印刷プロセス中に三次元の成形品200の中または表面に発生し得る、不良の、つまり欠陥を含む層Sを検出しかつ修正するために、三次元の成形品200は、監視装置600によって検査される。例えば、複数の層S~Nから形成された成形品200を、三次元の成形品200の、データメモリ510に格納されている所定の画像データと比較することによって、欠陥が認識される。監視装置600と制御装置500との間に配置された評価装置610は、検出された欠陥を評価し、監視装置600によって確認された欠陥に、層S、x:{1,…,N}を対応させる。評価装置610は、後続の層S(n=x+1、n=x+2等々)の、成形品200の欠陥を含む幾何学形状変化を、つまり、予め定められた基準を上回っておりゆえに欠陥信号を生成させる幾何学形状変化を検査する。欠陥を含む層Sのこの第1の層に対して生成された欠陥信号は、制御装置500に送信される。印刷プロセスは、制御装置500によって停止される。なぜならば、1つの層Sには、後続の層に影響を及ぼす欠陥が発生していて、先に印刷された三次元の成形品200の部分領域Tの材料を除去するための解体工程が導入されるからである。この解体工程については、図3図8に記載する。
【0041】
代替的な実施形態では、監視装置600および評価装置610の代わりに検査員が作業を行うことができる。本発明に係る装置100は、それ以外は第1の実施例および第2の実施例のように機能する。検査員または監視員は、専門知識に基づいて欠陥を認識し、欠陥を含む層Sのこの第1の層のためのデータを入力ターミナルに入力し、これによって制御装置500は、入力データを、上述したようにさらに処理する。検査員は、除去すべき材料の深さの入力を、厚さ指示(Z軸におけるフライス加工のための移動距離)によってミリメートル単位で行うこともでき、制御装置500は、どれだけ多くの層が指示されたミリメートル指示に適合するかを計算し、スライサポインタZを層Sの計算された位置にセットする。
【0042】
図2には、左側に三次元の成形品200が示してあり、右側に成形品200の対応する画像データ210が示してある。オブジェクトポインタZおよびスライサポインタZは、概略的に示してある。スライサポインタZは、画像データ210に応じて印刷すべき層Sの層データを検出する。プリンタ側で各々の層Sが相当するオブジェクトポインタZは、材料放出装置300を対応して制御するためまたは位置決めするために、スライサポインタZに追従する。これによって、成形品200の層Sは、画像データ210に対応して印刷される。層Sn-1が完全に印刷されると、スライサポインタZは、印刷すべき次の層Sにジャンプし、オブジェクトポインタZは追従し、これによって層Sが層Sn-1上に被着される。このプロセスは、三次元の成形品が完成するまで、または欠陥が監視装置600または検査員によって検知されるまで続けられる。
【0043】
図2には、欠陥のない印刷プロセスが示してあり、この印刷プロセスでは、三次元の成形品200が欠陥なしに印刷されていて、すべての層S、n=1~n=Nは、正確に構成されている。材料を被着するために、印刷支持体400は第1の実施例に応じて鉛直方向に移動している。この記載ならびに以下の図面における成形品200および画像データ210の記載は、第2の実施例に対しておよび本発明に係る装置100の上述した代替的な実施形態に対して相応に通用する。
【0044】
図3以降の図面では、監視装置600または監視員/検査員が、後続の層に影響を及ぼす欠陥を検知した状況から出発している。この欠陥には、評価装置610を用いて対応する層Sが割り当てられる。例えば、印刷された成形品200の層Sn-1に欠陥があることが想定されている。印刷プロセスが停止される。画像データ210のスライサポインタZは、欠陥を含む層Sの第1の層に、ここでは例として選択された層Sn-1にセットされる。
【0045】
層Sに欠陥が発生していることに基づいて、印刷プロセスが停止されるや否や、材料放出装置300は休止位置に移動され、材料除去装置700のための作業位置を解放する。これによって、先に印刷された三次元の成形品200の部分領域Tの材料を除去するための解体工程が導入される。
【0046】
材料放出装置300が休止位置にある間に、材料放出装置300の機能障害がサービス装置によって検査される。サービス装置によって行われる保守が障害を解消し、これによって欠陥を含む層の除去後に、つまり解体工程後に、以下に記載するように、材料放出装置300は支障なく材料を層毎に被着することができる。
【0047】
この解体工程について、図4図8を参照しながら記載する。
【0048】
図4において材料除去装置700は、既に、対応する部分領域Tの材料を除去するために作業位置にある。部分領域Tは、この例では層n~n-1を含んでいる。オブジェクトポインタZは、除去される各々の層のデータを含んでおり、スライサポインタZに追従する。同様に、材料除去装置700の特性に関連して、1つまたは複数の層Sを、解体工程の層毎の加工工程で除去することができる。例えば、この図および以下の図では、それぞれ1つの層Sの除去が示してある。
【0049】
図5によれば、オブジェクトポインタZはさらにスライサポインタZに追従しており、このスライサポインタZは、欠陥を含む層n-1が除去されるまで、この欠陥を含む層n-1上に位置している。図5には、層Nは既に除去されているので、層N-1のための解体工程が示してある。そのために、印刷支持体400は、駆動装置410によって材料除去装置700の高さに移動されており、つまりこの例では、印刷された成形品200の層厚さは、鉛直上方に向かって移動されている。なぜなら、ここでは例としてそれぞれ1つの層厚さが除去されるからである。図5と同様に、図6では印刷支持体400は、駆動装置410によってさらに鉛直上方に向かって移動される。これによって、成形品200の次の層Sn+1を、材料除去装置700によって除去することができる。図面の右側における画像データ210の破線で示した層Sおよび層SN-1は、これらの層Sが既に除去されていることを示している。
【0050】
解体工程は、上述したプロセス後に、層を個々にまたは複数の層を除去するために続けられる。これを、図7には層nについて、図8には層x=n-1について概略的に示す。オブジェクトポインタZおよびスライサポインタZが再び同じ層、ここでは層n-1上に位置したときに初めて、材料除去装置700が停止される。これによって、検出された欠陥を含む層S、x=n-1に至るまでのすべての層が完全に除去されたことが保証され、解体工程は終了する。
【0051】
図9で第1の実施例のために示すように、材料除去装置700は休止位置に移動され、材料放出装置300は作業位置に移動される。成形品200が欠陥を含んでいたので、いまや印刷プロセスは、欠陥のない成形品200を製造するために、新たに開始されねばならない。
【0052】
図10には、第1の実施例による印刷工程が明らかに示してある。それぞれ三次元の成形品200の左の図示から認識できるように、欠陥を含む層S、x=n-1のまず第1の層が、材料放出装置300によって新たに被着され、レベリング装置310によってレベリングされ、つまり平滑化されている。このとき、材料除去装置700は、持ち上げられているかまたは横に移動されている。材料被着法は、成形品200が完全に欠陥なしに印刷されている限り、続けられる。材料被着は、オブジェクトポインタZがスライサポインタZの位置に達するまで行われる。
【0053】
図11には、層n=x~Nの新たな被着後における成形品200、つまり新たな印刷工程の終了時における成形品200が示してある。印刷支持体400は、駆動装置410によって再び出発位置に移動されており、最上位の層Nが完全に被着されている。材料除去装置700は休止位置にある。欠陥の検出が、成形品のなお完全な完成の前に行われた場合には、(有害な層の除去後に)印刷プロセスを、成形品が完全に完成するまで続けることができる。このとき、除去された層は、再び被着される。
【0054】
図12には、印刷支持体400と材料放出装置300とを互いに対して位置決めするための第2の実施例が示してある。図1に示した実施例とは異なり、図12における駆動装置410は、材料放出装置300を鉛直に移動させるために、材料放出装置300に配置されており、印刷支持体400は、鉛直方向で固定に形成されている。材料放出装置300の、駆動装置410によって生じる運動の方向は、鉛直の双方向矢印によって象徴的に示してある。この実施例では、材料放出装置300は、材料を印刷支持体400上に層Snの形態で被着するときに、駆動装置410によって鉛直上方に向かって移動され、これによって三次元の成形品200を製造することができる。材料除去時に駆動装置410は、材料除去装置700を鉛直方向で下方に向かって印刷支持体400の方向に移動させる(これについては、図13でさらに詳しく記載する)。駆動装置410の、この図に示した代替的な配置形態を無視すると、装置100は、図1を参照しながら記載したのとまったく同様に機能する。
【0055】
図13には、第2の実施例のための解体工程の開始が示してある。第2の実施例でも同様に、層n-1で、後続の層に影響を及ぼす欠陥が検知され、ゆえに解体工程が導入される状況から出発している。既に述べたように、材料除去装置700は、鉛直方向で固定に形成されている印刷支持体400に対して、鉛直に下方に向かって移動される。矢印は、駆動装置410が材料除去装置700を層毎に移動させる方向を示唆している。駆動装置410の、この図に示した代替的な配置形態を無視すると、解体工程は、第1の実施例の図5図9を参照しながら上述したのとまったく同様に機能する。
【0056】
図14には、解体工程によって材料除去が終了していることに基づいて、材料除去装置700が休止位置にある様子が示してある。材料放出装置300は、作業位置に移動される。成形品200は欠陥を含んでいたので、欠陥のない成形品200を製造するために、いまや印刷プロセスは新たに開始されねばならない。この材料被着は、スライサポインタZとオブジェクトポインタZとが位置している層n-1で開始する。上述したように、材料被着は材料放出装置300を用いて行われ、材料放出装置300に続くレベリング装置310は、材料過多を阻止し、成形品200が新たに構成される。
【0057】
図15には、この図では既に完全に新たに構成された層n-1から出発している印刷工程が明らかに示してある。材料放出装置300は、既に次の層n上に位置しており、この層n上には、画像データにおけるスライサポインタZが、かつ対応してオブジェクトポインタZがセットされている。
【0058】
それぞれ三次元の成形品200の左図から認識できるように、先に欠陥を含む層S、x=n-1が、材料放出装置300によって新たに被着されている。材料被着法は、成形品200が完全に欠陥なしに印刷されている限り続けられ、このことは図16に示してある。第1の実施例の図11と同様に、この第2の実施例でも、材料放出装置300は、駆動装置410によって再び出発位置に移動されており、最上位の層Nが完全に被着されている。材料除去装置700は休止位置にある。成形品は、欠陥のない材料被着後に完成している。欠陥の検出が、成形品のなお完全な完成の前に行われた場合には、(有害な層の除去後に)印刷プロセスを、成形品が完全に完成するまで続けることができる。このとき、除去された層は再び被着される。
【0059】
材料除去装置700は、成形品200の層Sを全面的にまたは完全に除去するのに適した材料除去工具を有している。層Sを全面的にまたは完全に除去するために材料除去工具は、印刷すべき成形品の印刷幅にわたって延在しており、つまり材料除去工具は、印刷支持体の印刷幅にわたって設けられている。
【0060】
図17図19には、材料除去装置700の実施例が斜視図で示してある。これらの図を用いて、材料除去装置700が1つまたは複数の層の材料を1回の作業ステップで完全に除去することを説明することができる。
【0061】
図17には、軸線710に沿って長手方向に延在している、材料除去装置700の材料除去工具の構成が示してある。ここでは、単に例としてフライスが示してある。材料除去装置700の材料除去工具は、軸線710を中心にして回転することのない別の汎用の切削工具として形成されていてもよい。このことは特に、面状に作業する材料除去工具、例えば研削する材料除去工具、侵食する材料除去工具、または研磨する材料除去工具に対して言える。図示の縦長の材料除去工具は、直交座標系に適している。なぜなら、材料除去は全面的に僅かな突起を備えて、成形品が被着される印刷支持体400の幅または長さ(印刷幅とも言える)にわたって、均一に行われるからである。材料の除去時に、材料除去装置700の縦長の材料除去工具は、その軸線710を中心にして回転する。解体工程は、欠陥形式、1つの層における局部的な発生箇所、および欠陥のサイズまたは寸法とは無関係に行われるので、材料は全面にわたって除去される。速度を高めるために、層は全面的に、つまり完全に除去されるのみならず、既に他の図面で記載したように、複数の層をも材料除去のこの1回の作業ステップで除去することができる。これによって生産性を高めることができるのみならず、製造すべき三次元の成形品200の品質をも高めることができる。なぜなら、補修は、最小限の面積で実施されるのではなく、大面積で実施されるからである。
【0062】
図18には、円錐形に形成された、材料除去装置700の縦長の材料除去工具が示してあり、この材料除去工具も同様にその軸線710を中心にして回転可能に支持されている。縦長の材料除去工具は、極座標印刷システムにおける切削加工のために使用される。例として、この図においても、欠陥を含む層を削り取る場合に使用される材料除去工具は回転可能に示してある。材料除去工具は、その軸線710に沿った切削式の材料除去のために、固定に形成されていてもよい。
【0063】
図19には、図18に示した実施例のための材料除去装置700が平面図で示してある。この図から認識できるように、材料除去装置700は、図17に示した直交座標系と同様に、印刷すべき領域の全幅にわたって延在している。図19では、印刷領域として、回転する印刷支持体400の環状の印刷領域が示してある。材料除去装置700はそれぞれ、印刷可能な領域の側部を越えて延在しており、これによって1回の作業ステップで全面的に材料除去を行うことができる。印刷支持体400は、回転軸線420を中心にして回転対称に配置されている。
【符号の説明】
【0064】
100 装置
200 成形品
210 成形品の画像データ
300 材料放出装置
310 レベリング装置
400 印刷支持体
410 駆動装置
420 回転軸線
500 制御装置
510 データメモリ
600 監視装置
610 評価装置
700 材料除去装置
710 軸線
800 サービスステーション
T 部分領域
S 層
n n:{1~N}、n=全正数
N 印刷された最後の層
x 欠陥を含む層x:{1,…,N}
オブジェクトポインタ
スライサポインタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19