(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】標的核酸を検出するためのループプライマー及びループ・デ・ループ方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6876 20180101AFI20250214BHJP
C12Q 1/689 20180101ALI20250214BHJP
C12Q 1/6888 20180101ALI20250214BHJP
C12Q 1/6881 20180101ALI20250214BHJP
C12Q 1/6848 20180101ALI20250214BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z
C12Q1/689 Z ZNA
C12Q1/6888 Z
C12Q1/6881 Z
C12Q1/6848 Z
(21)【出願番号】P 2022555105
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 US2021022192
(87)【国際公開番号】W WO2021183941
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-03-12
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522362257
【氏名又は名称】ユーエイチ-オーエイチ ラブス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ボール,キャメロン,スコット
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-513623(JP,A)
【文献】THELWELL, Nicola et al.,“Mode of action and application of Scorpion primers to mutation detection”,Nucleic Acids Research,2000年10月01日,Vol. 28,No. 19,pp.3752-3761,DOI: 10.1093/nar/28.19.3752
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物であって、
(i)5’から3’に向って、
第1のセンサ分子と、
第1のクランピングオリゴヌクレオチドと、
前記標的配列と相補的ではないスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第2のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のセンサ分子であって、
前記第1のセンサ分子及び前記第2のセンサ分子が第1のバイオセンサ対である、第2のセンサ分子と、
前記標的配列上の第1の結合部位に相補的な第1のプライマー配列と、
を含むループプライマーであって、前記ループプライマーが、前記標的配列に結合した場合に、鎖置換ポリメラーゼにより増幅されるように構成されている、ループプライマーと、
(ii)フォワードインナープライマー(FIP)、(iii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iv)フォワードプライマー(F3)及び(v)バックワードプライマー(B3)、(vi)ループフォワードプライマー(LF)及び(vii)ループバックワードプライマー(LB)とを含み、前記FIP、前記BIP、前記F3、前記B3、前記LF及び前記LBが、前記標的配列上の6つの異なる結合部位に結合し、前記FIP、前記BIP、前記F3、前記B3、前記LF、及び前記LBの少なくとも1つが、前記第1の結合部位に結合する、プライマー混合物。
【請求項2】
第2のループプライマーをさらに含み、前記第2のループプライマーが、
第3のセンサ分子と、
第3のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第4のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第3のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第2のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第3及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第4のセンサ分子であって、
前記第3のセンサ分子及び前記第4のセンサ分子が第2のバイオセンサ対であり、前記第2のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対とは異なる、第4のセンサ分子と、
第2の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む、請求項1に記載のプライマー混合物。
【請求項3】
前記標的配列と前記第2の標的配列が異なる、請求項2に記載のプライマー混合物。
【請求項4】
(i)第2のフォワードインナープライマー(SFIP)、(ii)第2のバックワードインナープライマー(SBIP)、(iii)第2のフォワードプライマー(SF3)及び(iv)第2のバックワードプライマー(SB3)をさらに含み、前記SFIP、前記SBIP、前記SF3及び前記SB3が、前記第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項2に記載のプライマー混合物。
【請求項5】
(i)第2のループフォワードプライマー(SLF)及び(ii)第2のループバックワードプライマー(SLB)をさらに含み、前記SLF及び前記SLBが、前記第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、請求項2に記載のプライマー混合物。
【請求項6】
第3のループプライマーをさらに含み、前記第3のループプライマーが、
第5のセンサ分子と、
第5のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第3のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第6のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第5のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第3のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第5及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第6のセンサ分子であって、
前記第5のセンサ分子及び前記第6のセンサ分子が第3のバイオセンサ対であり、前記第3のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対及び第2のバイオセンサ対とは異なる、第6のセンサ分子と、
第3の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第3のプライマー配列と、
を含む、請求項2に記載のプライマー混合物。
【請求項7】
標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのキットであって、
請求項1に記載のプライマー混合物と、ポリメラーゼとを
含み、前記ポリメラーゼが、鎖置換ポリメラーゼである、キット。
【請求項8】
逆転写酵素をさらに含む、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
試料中の標的配列を検出する方法であって、
前記試料を用意する工程と、
(i)請求項1に記載のプライマー混合物と、ポリメラーゼとを前記試料に添加し、それにより反応混合物を生成する工程と、
前記反応混合物を50~85℃でインキュベートする工程と、
前記反応混合物からの蛍光信号を検出する工程と
を含む、方法。
【請求項10】
標的配列のループ・デ・ループ増幅(LdL)のためのループプライマーであって、5’から3’に向って、
第1のセンサ分子と、
第1のクランピングオリゴヌクレオチドと、
スペーシングオリゴヌクレオチドと、
第2のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のセンサ分子であって、
前記第1のセンサ分子及び前記第2のセンサ分子が第1のバイオセンサ対である、第2のセンサ分子と、
前記標的配列上の第1の結合部位に相補的な第1のプライマー配列と、
を含み、
第1のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含み、前記第1のさらなるオリゴヌクレオチドが、前記ループプライマーの5’末端にあ
り、前記第1のさらなるオリゴヌクレオチドがバーコード配列である、
ループプライマー。
【請求項11】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項12】
前記第1のバイオセンサ対が、エネルギー供与体と受容体の対である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項13】
前記第1のバイオセンサ対が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)又は生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のためのエネルギー供与体と受容体の対である、請求項
12に記載のループプライマー。
【請求項14】
前記第1のセンサ分子及び前記第2のセンサ分子が、検出可能な光信号を生成する複合体を形成し得る、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項15】
前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が60℃を超える、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項16】
前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が70℃を超える、請求項
15に記載のループプライマー。
【請求項17】
前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が80℃を超える、請求項
16に記載のループプライマー。
【請求項18】
前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が70から80℃である、請求項
15に記載のループプライマー。
【請求項19】
前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が60℃未満である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項20】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドの各々が、3から10ヌクレオチド長である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項21】
前記スペーシングオリゴヌクレオチドが、5から35ヌクレオチド長である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項22】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド、及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、全体で、15から35ヌクレオチド長である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項23】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、又は(vii)それらの組み合わせを含む、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項24】
第2のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含み、前記第2のさらなるオリゴヌクレオチドが前記第1のセンサ分子と前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドとの間にあ
り、前記第1のさらなるオリゴヌクレオチドがバーコード配列であり、かつ前記第2のさらなるオリゴヌクレオチドがバーコード配列である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項25】
前記標的配列が病原体ゲノムに特異的である、請求項
10に記載のループプライマー。
【請求項26】
標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物であって、請求項
10に記載のループプライマーを含む、プライマー混合物。
【請求項27】
(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及びバックワードプライマー(B3)をさらに含み、前記FIP、前記BIP、前記F3及び前記B3が、前記標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項
26に記載のプライマー混合物。
【請求項28】
(i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)をさらに含み、前記LF及び前記LBが、前記標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、請求項
27に記載のプライマー混合物。
【請求項29】
第2のループプライマーをさらに含み、前記第2のループプライマーが、
第3のセンサ分子と、
第3のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第4のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第3のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第2のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第3及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第4のセンサ分子であって、
前記第3のセンサ分子及び前記第4のセンサ分子が第2のバイオセンサ対であり、前記第2のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対とは異なる、第4のセンサ分子と、
第2の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む、請求項
26に記載のプライマー混合物。
【請求項30】
前記標的配列と前記第2の標的配列が異なる、請求項
29に記載のプライマー混合物。
【請求項31】
(i)第2のフォワードインナープライマー(SFIP)、(ii)第2のバックワードインナープライマー(SBIP)、(iii)第2のフォワードプライマー(SF3)及び(iv)第2のバックワードプライマー(SB3)をさらに含み、前記SFIP、前記SBIP、前記SF3及び前記SB3が、前記第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項
29に記載のプライマー混合物。
【請求項32】
(i)第2のループフォワードプライマー(SLF)及び(ii)第2のループバックワードプライマー(SLB)をさらに含み、前記SLF及び前記SLBが、前記第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、請求項
29に記載のプライマー混合物。
【請求項33】
第3のループプライマーをさらに含み、前記第3のループプライマーが、
第5のセンサ分子と、
第5のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第3のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第6のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第5のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第3のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第5及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第6のセンサ分子であって、
前記第5のセンサ分子及び前記第6のセンサ分子が第3のバイオセンサ対であり、前記第3のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対及び第2のバイオセンサ対とは異なる、第6のセンサ分子と、
第3の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む、請求項
29に記載のプライマー混合物。
【請求項34】
標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのキットであって、
請求項
10に記載のループプライマー及びポリメラーゼを含む、キット。
【請求項35】
逆転写酵素をさらに含む、請求項
34に記載のキット。
【請求項36】
前記ポリメラーゼが、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス・ポリメラーゼである、請求項
34に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/989,140号の優先権を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
2.配列表
本出願は、XXX配列を有する配列表を含み、これはEFS-Webを介して提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。XXXXに作成された前記ASCIIコピーの名前は48397WO_sequencelisting.txtであり、サイズはXXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
核酸配列の相補性を使用して標的核酸を検出する方法は、伝統的なサザンハイブリダイゼーションから今日に至るまで様々に改良又は改変されてきた。特に、様々なインビトロ核酸増幅方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅(RCA)及びループ媒介等温増幅(LAMP)の確立によって、より少量の標的核酸を検出することが可能になった。これらの方法は、感染症の医学的診断、突然変異遺伝子型の決定、一塩基多型(SNP)及び点突然変異の検出などのための試料中の標的核酸の配列特異的検出及び定量化に使用されてきた。核酸増幅方法は、その高い特異性及び感度のために、試験のゴールドスタンダードであった。
【0004】
しかしながら、増幅反応及び信号検出には、制御された環境及び高価な機器を用いた正確な測定が必要であるため、現在の核酸増幅方法には限界がある。したがって、この方法は、多くの場合、ポイント・オブ・ケア状況で使用するのには法外な費用がかかる。さらに、この方法は、単一の患者の試料における多重化標的の検出のために最適化されていない。多重化標的の検出は、シングルポット反応における信号多重化(蛍光スペクトル多重化、電気化学検出器のアレイ)、複数の反応の固有の反応容器への物理的分離、又はそれらの組み合わせによって達成され得る。しかしながら、CLIA放棄試験の場合、単一の患者の試料を使用して核酸標的のパネルを同時に照会するために、ユーザは3工程以下の簡素な工程を求めるはずである。したがって、複雑な装置又はディスポーザブルがプロセスを自動的に処理しない限り、試料を別個のチャンバに物理的に分離することは、CLIA放棄試験ではすぐに実行不可能になる。蛍光によるスペクトル多重化は、核酸標的のパネルを標的化するのに必要な固有の反応の数を減らすことができるが、スペクトル多重化LAMP反応は、アッセイ速度又は信号強度を劇的に犠牲にする必要があり、このことがPOC試験へうまく適用する見込みをくじく。
【0005】
そのため、標的核酸、特に多重化された標的を低コストで高い感度及び特異性をもって容易に増幅及び検出することを可能にする新たな方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【0006】
4.概要
本開示は、閉鎖系において標的核酸の検出を容易に行うことを可能にする新たな増幅方法を提供する。本方法は、バイオセンサ対を有するループプライマーを用いることにより、少量の標的核酸を高い特異性及び感度をもって検出することを可能にする。バイオセンサ対は、例えば、蛍光/クエンチャーFRET技術を使用して、ループプライマーの立体配座の変化を検出することによって、標的配列のループ・デ・ループ(「LDL」)増幅の決定を可能にする。さらに、複数のバイオセンサを使用することによって、単一のチューブの中の多重化標的を検出することが可能になる。ループプライマーは、ループ媒介等温増幅(LAMP)だけでなく、鎖置換ポリメラーゼを利用する任意の他の核酸増幅方法と組み合わせて使用することができる。
本開示は、以下の[1]から[95]を含む。
[1]標的配列のループ・デ・ループ増幅(LdL)のためのループプライマーであって、5’から3’に向って、
第1のセンサ分子と、
第1のクランピングオリゴヌクレオチドと、
スペーシングオリゴヌクレオチドと、
第2のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のセンサ分子であって、
前記第1のセンサ分子及び前記第2のセンサ分子が第1のバイオセンサ対である、第2のセンサ分子と、
前記標的配列上の第1の結合部位に相補的な第1のプライマー配列と、
を含むループプライマー。
[2]前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である、上記[1]に記載のループプライマー。
[3]前記第1のバイオセンサ対が、エネルギー供与体と受容体の対である、上記[1]又は[2]に記載のループプライマー。
[4]前記第1のバイオセンサ対が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)又は生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のためのエネルギー供与体と受容体の対である、上記[3]に記載のループプライマー。
[5]前記第1のセンサ分子がFRETフルオロフォアであり、前記第2のセンサ分子がFRETクエンチャーである、上記[3]に記載のループプライマー。
[6]前記第1のセンサ分子がFRETクエンチャーであり、前記第2のセンサ分子がFRETフルオロフォアである、上記[3]に記載のループプライマー。
[7]前記第1のセンサ分子がBRETエネルギー供与体であり、前記第2のセンサ分子がBRETエネルギー受容体である、上記[3]に記載のループプライマー。
[8]前記第1のセンサ分子がBRETエネルギー受容体であり、前記第2のセンサ分子がBRETエネルギー供与体である、上記[3]に記載のループプライマー。
[9]前記第1のセンサ分子及び前記第2のセンサ分子が、検出可能な光信号を生成する複合体を形成し得る、上記[1]に記載のループプライマー。
[10]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が60℃を超える、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[11]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が65℃を超える、上記[10]に記載のループプライマー。
[12]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が70℃を超える、上記[11]に記載のループプライマー。
[13]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が80℃を超える、上記[12]に記載のループプライマー。
[14]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が70から80℃である、上記[12]に記載のループプライマー。
[15]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が72.5から77.5℃である、上記[13]に記載のループプライマー。
[16]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が約75℃である、上記[14]に記載のループプライマー。
[17]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が60℃未満である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[18]前記第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)が60から65℃である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[19]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、3から10ヌクレオチド長である、上記[1]~[18]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[20]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、3から7ヌクレオチド長である、上記[19]に記載のループプライマー。
[21]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、6ヌクレオチド長である、上記[20]に記載のループプライマー。
[22]前記スペーシングオリゴヌクレオチドが、5から35ヌクレオチド長である、上記[1]~[21]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[23]前記スペーシングオリゴヌクレオチドが、10から20ヌクレオチド長である、上記[22]に記載のループプライマー。
[24]前記スペーシングオリゴヌクレオチドが、13から18ヌクレオチド長である、上記[23]に記載のループプライマー。
[25]前記スペーシングオリゴヌクレオチドが、13ヌクレオチド長である、上記[24]に記載のループプライマー。
[26]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド、及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、全体で、15から35ヌクレオチド長である、上記[1]~[25]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[27]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド、及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、全体で、20から30ヌクレオチド長である、上記[26]に記載のループプライマー。
[28]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド、及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、全体で、23から28ヌクレオチド長である、上記[27]に記載のループプライマー。
[29]前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記スペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、又は(vii)それらの組み合わせを含む、上記[1]~[28]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[30]前記ループプライマーの5’末端に第1のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む、上記[1]~[29]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[31]前記第1のセンサ分子と前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドとの間に第2のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む、上記[1]~[30]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[32]前記第1又は第2のさらなるオリゴヌクレオチドがバーコード配列である、上記[30]又は[31]に記載のループプライマー。
[33]前記標的配列が病原体ゲノムに特異的である、上記[1]~[32]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[34]前記標的配列がクラミジア・トラコマチスに特異的である、上記[33]に記載のループプライマー。
[35]前記標的配列がorf8又はcds2に由来する、上記[34]に記載のループプライマー。
[36]配列番号15のオリゴヌクレオチドを含む、上記[34]に記載のループプライマー。
[37]前記標的配列が、淋菌に特異的である、上記[33]に記載のループプライマー。
[38]前記標的配列が、porA又はglnAに由来する、上記[37]に記載のループプライマー。
[39]配列番号5又は配列番号7のオリゴヌクレオチドを含む、上記[37]に記載のループプライマー。
[40]前記標的配列がウイルスに特異的である、上記[33]に記載のループプライマー。
[41]前記ウイルスがSARS-CoV-2である、上記[40]に記載のループプライマー。
[42]前記標的配列がホモサピエンスに特異的である、上記[1]~[30]のいずれか一項に記載のループプライマー。
[43]前記標的配列がtbc1d3に由来する、上記[42]に記載のループプライマー。
[44]配列番号22のオリゴヌクレオチドを含む、上記[42]に記載のループプライマー。
[45]標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物であって、上記[1]~[44]のいずれか一項に記載のループプライマーを含む、プライマー混合物。
[46](i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及びバックワードプライマー(B3)をさらに含み、前記FIP、前記BIP、前記F3及び前記B3が、前記標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、上記[45]に記載のプライマー混合物。
[47](i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)をさらに含み、前記LF及び前記LBが、前記標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、上記[46]に記載のプライマー混合物。
[48]前記FIP、前記BIP、前記F3、前記B3、前記LF、又は前記LBが前記標的配列上の前記第1の結合部位に結合する、上記[45]~[47]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[49]前記FIPが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記FIPと前記ループプライマーの量の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、又は9:1である、上記[48]に記載のプライマー混合物。
[50]前記BIPが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記BIPと前記ループプライマーの量の比が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である、上記[48]に記載のプライマー混合物。
[51]前記LFが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記LFと前記ループプライマーの量の比が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、又は9:1である、上記[48]に記載のプライマー混合物。
[52]前記LBが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記LBと前記ループプライマーの量の比が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、又は9:1である、上記[48]に記載のプライマー混合物。
[53]前記F3が配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む、前記B3が配列番号2のオリゴヌクレオチドを含む、前記FIPが配列番号3のオリゴヌクレオチドを含む、前記BIPが配列番号4のオリゴヌクレオチドを含む、前記LFが配列番号6のオリゴヌクレオチドを含む、又は前記LBが配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[54]前記F3が配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、及び前記LBが配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[55]前記F3が配列番号9のオリゴヌクレオチドを含む、前記B3が配列番号10のオリゴヌクレオチドを含む、前記FIPが配列番号11のオリゴヌクレオチドを含む、前記BIPが配列番号12のオリゴヌクレオチドを含む、前記LFが配列番号13のオリゴヌクレオチドを含む、又は前記LBが配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[56]前記F3が配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、及び前記LBが配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[57]前記F3が配列番号16のオリゴヌクレオチドを含む、前記B3が配列番号17のオリゴヌクレオチドを含む、前記FIPが配列番号18のオリゴヌクレオチドを含む、前記BIPが配列番号19のオリゴヌクレオチドを含む、前記LFが配列番号20のオリゴヌクレオチドを含む、又は前記LBが配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[58]前記F3が配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、及び前記LBが配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む、上記[46]~[52]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[59]第2のループプライマーをさらに含み、前記第2のループプライマーが、
第3のセンサ分子と、
第3のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第4のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第3のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第2のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第3及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第4のセンサ分子であって、
前記第3のセンサ分子及び前記第4のセンサ分子が第2のバイオセンサ対であり、前記第2のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対とは異なる、第4のセンサ分子と、
第2の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む、上記[45]~[58]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[60]前記第3のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である、上記[59]に記載のプライマー混合物。
[61]前記標的配列と前記第2の標的配列が同一である、上記[59]又は[60]に記載のプライマー混合物。
[62]前記標的配列と前記第2の標的配列が異なる、上記[59]又は[60]に記載のプライマー混合物。
[63](i)第2のフォワードインナープライマー(SFIP)、(ii)第2のバックワードインナープライマー(SBIP)、(iii)第2のフォワードプライマー(SF3)及び(iv)第2のバックワードプライマー(SB3)をさらに含み、前記SFIP、前記SBIP、前記SF3及び前記SB3が、前記第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、上記[59]~[62]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[64](i)第2のループフォワードプライマー(SLF)及び(ii)第2のループバックワードプライマー(SLB)をさらに含み、前記SLF及び前記SLBが、前記第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、上記[59]~[60]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[65]第3のループプライマーをさらに含み、前記第3のループプライマーが、
第5のセンサ分子と、
第5のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第3のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第6のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
前記第5のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第3のスペーシングオリゴヌクレオチド及び前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第5及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T
m
)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第6のセンサ分子であって、
前記第5のセンサ分子及び前記第6のセンサ分子が第3のバイオセンサ対であり、前記第3のバイオセンサ対が前記第1のバイオセンサ対及び第2のバイオセンサ対とは異なる、第6のセンサ分子と、
第3の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む、上記[45]~[64]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[66]前記第5のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である、上記[65]に記載のプライマー混合物。
[67]前記標的配列、前記第2の標的配列及び前記第3の標的配列が同一である、上記[65]又は[66]に記載のプライマー混合物。
[68]前記標的配列、前記第2の標的配列及び前記第3の標的配列が異なる、上記[65]又は[66]に記載のプライマー混合物。
[69](i)第3のフォワードインナープライマー(TFIP)、(ii)第3のバックワードインナープライマー(TBIP)、(iii)第3のフォワードプライマー(TF3)、及び(iv)第3のバックワードプライマー(TB3)をさらに含み、前記TFIP、前記TBIP、前記TF3、及び前記TB3が、前記第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、上記[65]~[68]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[70](i)第3のループフォワードプライマー(TLF)及び(ii)第3のループバックワードプライマー(TLB)をさらに含み、前記TLF及び前記TLBが、前記第3の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、上記[65]~[69]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[71]第4のループプライマーをさらに含む、上記[65]~[70]のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
[72]第5のループプライマーをさらに含む、上記[71]に記載のプライマー混合物。
[73]上記[1]~[44]のいずれか一項に記載のループプライマー又は上記[45]~[72]のいずれか一項に記載のプライマー混合物を凍結乾燥することによって得られる乾燥プライマー混合物。
[74]標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのキットであって、
上記[1]~[44]のいずれか一項に記載のループプライマー、上記[45]~[72]のいずれか一項に記載のプライマー混合物、又は上記[73]に記載の乾燥プライマー混合物を含む、キット。
[75]ポリメラーゼをさらに含み、前記ポリメラーゼが、任意選択で、バチルス・ステアロサーモフィルス・ポリメラーゼである、上記[74]に記載のキット。
[76]dNTP、MgSO
4
及び緩衝液をさらに含む、上記[74]~[75]のいずれか一項に記載のキット。
[77]逆転写酵素をさらに含む、上記[74]~[76]のいずれか一項に記載のキット。
[78]RNase阻害剤をさらに含む、上記[74]~[77]のいずれか一項に記載のキット。
[79]前記RNase阻害剤が、ブタ又はマウスのRNase阻害剤である、上記[78]に記載のキット。
[80]試料中の標的配列を検出する方法であって、
試料を用意する工程と、
(i)上記[1]~[44]のいずれか一項に記載のプライマー、(ii)上記[45]~[72]のいずれか一項に記載のプライマー混合物、又は(iii)上記[73]に記載の乾燥プライマー混合物を再水和することによって得られた再構成プライマー混合物と、ポリメラーゼとを試料に添加し、それにより反応混合物を生成する工程と、
前記反応混合物を50~85℃でインキュベートする工程と
を含む、方法。
[81]前記インキュベーションが50~70℃で行われる、上記[80]に記載の方法。
[82]前記インキュベーションが60~65℃で行われる、上記[81]に記載の方法。
[83]前記インキュベーションが62~65℃で行われる、上記[82]に記載の方法。
[84]前記ポリメラーゼがバチルス・ステアロサーモフィルスポリメラーゼである、上記[80]~[83]のいずれか一項に記載の方法。
[85]前記反応混合物からの信号を検出する工程をさらに含む、上記[80]~[84]のいずれか一項に記載の方法。
[86]前記信号が蛍光信号である、上記[85]に記載の方法。
[87]前記検出する工程が、前記インキュベーションの工程の間に行われる、上記[85]~[86]のいずれか一項に記載の方法。
[88]前記試料中の前記標的配列の存在又は非存在を調べる工程をさらに含む、上記[80]~[87]のいずれか一項に記載の方法。
[89]前記試料を調製する先行する工程をさらに含む、上記[80]~[88]のいずれか一項に記載の方法。
[90]前記試料を調製する工程が、逆転写酵素とRNA分子を相互作用させることを含み、それにより、DNA分子を含む前記試料を生成する、上記[89]に記載の方法。
[91]前記試料を調製する工程が、前記逆転写酵素と相互作用させる前又は前記逆転写酵素の間に前記RNA分子を予熱する工程をさらに含む、上記[90]に記載の方法。
[92]前記反応混合物がRNase阻害剤をさらに含む、上記[80]~[91]のいずれか一項に記載の方法。
[93]前記RNase阻害剤が、ブタ又はマウスのRNA阻害剤である、上記[92]に記載の方法。
[94]前記試料が、精製RNA、精製DNA、全SARS-CoV-2ウイルス、全ヒト細胞、唾液若しくは鼻スワブ、又は鼻若しくは鼻咽頭スワブを含む、上記[80]~[93]のいずれか一項に記載の方法。
[95]前記試料が、ゲノムDNA、合成DNA、全細菌又は膣スワブ由来の全ヒト細胞を含む、上記[80]~[93]のいずれか一項に記載の方法。
【0007】
本出願人は、ループ・デ・ループ増幅方法が、阻害性蛍光プローブ、例えば、DARQ(消光の放出による増幅の検出)及びOSD(一段階置換)プローブを含む以前から公知の方法と比較して、より速いターンアラウンド時間で、改善された感度及び特異性をもって標的核酸分子の配列特異的増幅を可能にすることを実証した。さらに、ループ・デ・ループ増幅方法は、QUASR(組み込まれていない増幅信号レポーターの消光)とは異なり、増幅信号のリアルタイム検出を可能にする。ループ・デ・ループ法によれば、粗試料でも強い信号が得られるため、本方法を低コストの装置で行うことができる。
【0008】
したがって、本発明は、ループプライマー(例えば、フルオロフォア標識プライマー)を使用して試料中に存在する1つ又はそれ以上の標的核酸を検出する方法を提供する。フルオロフォア標識プライマーは、標的核酸に対する相補性と、バイオセンサ対、例えばフルオロフォア又はクエンチャー分子で修飾されていないプライマー配列の5’末端又はその近くで内部的に標識された連続ループ配列とを有するフルオロフォア標識オリゴヌクレオチドである。フルオロフォア標識プライマーを、付加されたループ配列の5’末端又はその近くでクエンチャー又はフルオロフォアでそれぞれ標識して、先の論点で説明した内部標識でFRETを可能にする。いくつかの実施形態では、フルオロフォア標識プライマーは、付加されたループ配列の5’末端又はその近くでフルオロフォア及びクエンチャーを有する内部部位で標識される。フルオロフォア標識プライマーは、(未修飾プライマー配列との交差部において)ループ配列の3’末端に第1のクランピング配列をさらに含む。この配列は、修飾されていないプライマー配列と重複していてもよく、修飾されていないプライマー配列に直接隣接していてもよく、又は修飾されていないプライマー配列から離間していてもよい。この配列は、dNTP、ロックド核酸、又は任意の他の形態の核酸修飾若しくは置換を含み得る。
【0009】
上記クランピング配列の融解温度は、好ましくは、鎖置換ポリメラーゼを使用するアッセイの伸長温度よりも約10℃高いが、アッセイの伸長温度よりも低いか、それに等しいか、又はそれよりも任意の量高くすることができる。
【0010】
クランピング配列の融解温度が反応の伸長温度よりも低い場合、リアルタイム検出は、この方法では(クランピング配列のTm付近又はTm未満に反応を冷却する)終点検出に置き換えることができる。この場合、ループプライマーを最大強度で使用する(非修飾プライマーをループプライマー類似体で100%置換する)場合であっても反応の阻害はない。
【0011】
クランピング配列の融解温度が反応の伸長温度に等しい場合、リアルタイム検出は依然として実行可能であるが、終点決定のために反応を冷却するまでより高いバックグラウンド蛍光が存在し得る。
【0012】
クランピング配列の融解温度が反応の伸長温度よりも高い場合、リアルタイム検出が基本動作モードであり、バックグラウンド蛍光は最小限になる。
【0013】
フルオロフォア標識プライマーは、プライマーが直鎖(伸長)立体配座にあるときにFRETを阻害するために、5’末端クエンチャー又はフルオロフォアから適切な距離だけ内部コンジュゲートしたフルオロフォア又はクエンチャーを分離し、その結果として蛍光を増加させる、スペーシング配列をさらに含む。スペーシング配列は配列及び長さが任意であり、デオキシリボヌクレオチド、ロックド核酸などを含むことができる。その長さは25ヌクレオチドであり得るが、より短くても長くてもよい。
【0014】
フルオロフォア標識プライマーは、ループ配列の5’末端又はその近くに第2のクランピング配列、すなわち第1のクランピング配列の逆相補体をさらに含む。フルオロフォア標識プライマーは、ループ・デ・ループオリゴヌクレオチドの5’末端にさらに追加のDNAバーコード、プローブ、又は配列をさらに含むことができる。この配列は、dNTP、ロックド核酸、又は任意の他の形態の核酸修飾若しくは置換を含み得る。
【0015】
第1のクランピング配列と対になった第2のクランピング配列の融解温度は、好ましくは、鎖置換ポリメラーゼを使用するアッセイの伸長温度よりも10℃高いが、アッセイの伸長温度よりも低いか、それに等しいか、又はそれよりも任意の量高くすることができる。
【0016】
ループ状のフルオロフォア標識プライマーは、さらなる用途、例えば、核酸捕捉、分子バーコード化、磁気分離、カラム精製、電気泳動分離を可能にするために、5’末端にさらなる配列、分子、精製タグ、ビーズ又は他の部分をさらに含むことができる。基板上にパターン化されたプローブ捕捉オリゴヌクレオチドを使用して、増幅産物を捕捉し、これにより蛍光、比色、発光、又は他のバンド若しくはゾーンを作り出すことができる。
【0017】
ループプライマーは、コストを最小限に抑えるために、又は感度及び特異性を高めるために、様々な程度にアッセイに滴定することができる。
【0018】
本明細書に記載のループプライマーは、蛍光体以外のセンサ分子、例えば、発光、色の変化、又は他の測定可能な信号を、ごく近接した際に、又は十分に離れて移動したときに提供するレポーター分子を用いて設計することができる。場合によっては、バイオセンサ、例えば、NanoLuc、Nanobit、NonoBRETを使用することができる。
【0019】
発光タンパク質が使用される場合、信号の減少は陽性反応の重要な指標となり得る。いくつかの実施形態では、生物発光による終点分析を行うことができる。
【0020】
標的配列の増幅には、鎖置換が可能な酵素を用いることができる。選択された核酸増幅方法によって必要とされる他の試薬をさらに使用することができる。
【0021】
本明細書で提供される方法は、高濃度の非標的RNA又はDNAを有する高バックグラウンド条件での蛍光信号の特異的検出を可能にするので、偽陽性及び非特異的増幅検出を減少させることができる。蛍光検出は、標識プライマーを組み込んだアンプリコン及び産物のみの特異的検出を可能にする。これにより、粗試料又は未処理試料、例えば、生殖器スワブ、糞便、唾液、尿、血液、植物材料、土壌、環境試料を使用する場合であっても、特異的な検出が可能になる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、2つ又はそれ以上のユニークな核酸標的の検出に適用することができる。そのような二重、三重、又は高次多重化LAMPアッセイでは、標的を差次的に標識することができる。例えば、一方の標的はFAMで標識され、他方はCy5で標識される。場合によっては、検出は、真陽性と偽陽性とを区別する能力をさらに低下させるために、複数の標識プライマーを用いて単一の核酸標的を検出するためにスペクトル多重化される。場合によっては、検出は、複数の標的に対して単一の標識、例えばFAMを使用し、各標的の同一性は、アッセイの特定の状況に応じてリアルタイム又は終点信号の分析(例えば、相対信号強度、結果に至るまでの時間など)に基づいて決定することができる。場合によっては、多重化は、物理的反応チャンバ内で反応を行うことによって達成し得る。場合によっては、多重化は、単一の反応チャンバ内で達成し得る。
【0023】
本明細書で提供される方法は、他のリアルタイムLAMP変位プローブ技術と比較して阻害を最小限に抑え、この方法を高感度にする。アッセイへの滴定は、完全な反応速度がループプライマー置換の少なくとも50%において維持されることを実証する。アッセイへの滴定は、完全な反応速度がインナープライマー置換の少なくとも25%において維持されることを実証する。
【0024】
本明細書で提供されるループプライマーは、鎖置換ポリメラーゼ、例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacilus stearothermophilus)(以前はバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus))から単離又は適合されたポリメラーゼを利用するループ媒介増幅(LAMP)に使用することができる。この場合、ループプライマーは、フォワードインナープライマー、バックワードインナープライマー、ループフォワードプライマー、ループバックワードプライマー、F3プライマー及びB3プライマーなどの、LAMP用の他のプライマーと一緒に使用することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、プライマー及び場合によって他の反応成分は、限定するものではないが、凍結乾燥のプロセスなどのプロセスを使用して乾燥される。乾燥したプライマーは、診断キットに含めることができる。好ましい実施形態では、凍結乾燥のプロセスは、LAMPプライマーセットの感受性に影響を与えない。
【0026】
一態様において、本開示は、標的配列のループ・デ・ループ増幅(LdL)のためのループプライマーであって、5’から3’に向って、第1のセンサ分子と、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと、スペーシングオリゴヌクレオチド(spacing oligonucleotide)と、第2のクランピングオリゴヌクレオチド(clamping oligonucleotide)であって、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと、第2のセンサ分子であって、第1のセンサ分子及び第2のセンサ分子が第1のバイオセンサ対である、第2のセンサ分子と、標的配列上の第1の結合部位に相補的な第1のプライマー配列と、を含むループプライマーを提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のバイオセンサ対はエネルギー供与体と受容体の対である。いくつかの実施形態では、第1のバイオセンサ対は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)又は生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のためのエネルギー供与体と受容体の対である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はFRETフルオロフォアであり、第2のセンサ分子はFRETクエンチャーである。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はFRETクエンチャーであり、第2のセンサ分子はFRETフルオロフォアである。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はBRETエネルギー供与体であり、第2のセンサ分子はBRETエネルギー受容体である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はBRETエネルギー受容体であり、第2のセンサ分子はBRETエネルギー供与体である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子及び第2のセンサ分子は、検出可能な光信号を生成する複合体を形成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、65℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、70℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、80℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、70から80℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、72.5から77.5℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、約75℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60℃未満である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60から65℃である。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3から10ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3から7ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、5から35ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、10から20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13から18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、15から35ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、20から30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、23から28ヌクレオチド長である。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’’-O-メチルRNA塩基、又は(vii)それらの組み合わせを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ループプライマーは、ループプライマーの5’末端に第1のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、第1のセンサ分子と第1のクランピングオリゴヌクレオチドとの間に第2のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1又は第2のさらなるオリゴヌクレオチドは、バーコード配列である。
【0034】
いくつかの実施形態では、標的配列は、病原体ゲノムに特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、orf8又はcds2に由来する。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号15のオリゴヌクレオチドを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、標的配列は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、porA又はglnAに由来する。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号5又は7のオリゴヌクレオチドを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、標的配列はウイルスに特異的である。いくつかの実施形態では、ウイルスはSARS-CoV-2である。
【0037】
いくつかの実施形態では、標的配列はホモサピエンスに特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、tbc1d3に由来する。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号22のオリゴヌクレオチドを含む。
【0038】
別の態様において、本開示は、本明細書で提供されるループプライマーを含む、標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及びバックワードプライマー(B3)をさらに含み、FIP、BIP、F3及びB3は、標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)を含み、LF及びLBは標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、FIP、BIP、F3、B3、LF又はLBは、標的配列上の第1の結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、FIPは、第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるFIPとループプライマーの量の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。いくつかの実施形態では、BIPは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のBIPとループプライマーの量の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。いくつかの実施形態では、LFは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるLFとループプライマーの量の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1.52である。いくつかの実施形態では、LBは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のLBとループプライマーの量の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。
【0040】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号2のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号3のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号4のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号6のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3は配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFは配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBは配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号9のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号10のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号11のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号12のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号13のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3は配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFは配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBは配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号16のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号17のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号18のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号19のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号20のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、F3は配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3は配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFは配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBは配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第2のループプライマーをさらに含み、第2のループプライマーは、第3のセンサ分子と、第3のクランピングオリゴヌクレオチドと、第2のスペーシングオリゴヌクレオチドと、第4のクランピングオリゴヌクレオチドであって、第3のクランピングオリゴヌクレオチド、第2のスペーシングオリゴヌクレオチド及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドが、第3及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと、第4のセンサ分子であって、第3のセンサ分子及び第4のセンサ分子が第2のバイオセンサ対であり、第2のバイオセンサ対が第1のバイオセンサ対とは異なる、第4のセンサ分子と、第2の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、標的配列及び第2の標的配列は同一である。いくつかの実施形態では、標的配列と第2の標的配列は異なる。
【0048】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第2のフォワードインナープライマー(SFIP)、(ii)第2のバックワードインナープライマー(SBIP)、(iii)第2のフォワードプライマー(SF3)及び(iv)第2のバックワードプライマー(SB3)をさらに含み、SFIP、SBIP、SF3及びSB3は、第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0049】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第2のループフォワードプライマー(SLF)及び(ii)第2のループバックワードプライマー(SLB)をさらに含み、SLF及びSLBは、第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第3のループプライマーをさらに含み、第3のループプライマーは、第5のセンサ分子と、第5のクランピングオリゴヌクレオチドと、第3のスペーシングオリゴヌクレオチドと、第6のクランピングオリゴヌクレオチドであって、第5のクランピングオリゴヌクレオチド、第3のスペーシングオリゴヌクレオチド及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドが、第5及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと、第6のセンサ分子であって、第5のセンサ分子及び第6のセンサ分子が第3のバイオセンサ対であり、第3のバイオセンサ対が第1のバイオセンサ対及び第2のバイオセンサ対とは異なる、第6のセンサ分子と、第3の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、を含む。いくつかの実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、標的配列、第2の標的配列及び第3の標的配列は同一である。いくつかの実施形態では、標的配列、第2の標的配列及び第3の標的配列は異なる。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第3のフォワードインナープライマー(TFIP)、(ii)第3のバックワードインナープライマー(TBIP)、(iii)第3のフォワードプライマー(TF3)及び(iv)第3のバックワードプライマー(TB3)をさらに含み、TFIP、TBIP、TF3及びTB3は、第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第3のループフォワードプライマー(TLF)及び(ii)第3のループバックワードプライマー(TLB)をさらに含み、TLF及びTLBは第3の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第4のループプライマーをさらに含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第5のループプライマーをさらに含む。
【0050】
さらに別の態様において、本開示は、本明細書で提供されるループプライマー又はプライマー混合物を凍結乾燥することによって得られる乾燥プライマー混合物を提供する。
【0051】
一態様では、本開示は、標的配列のループ・デ・ループ増幅のためのキットであって、本明細書で提供されるループプライマー、プライマー混合物又は乾燥プライマー混合物を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットはポリメラーゼをさらに含み、ポリメラーゼは、任意選択で、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)・ポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、キットは、dNTP、MgSO4、及び緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは逆転写酵素をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットはRNase阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、RNase阻害剤は、ブタ又はマウスのRNase阻害剤である。
【0052】
別の態様において、本開示は、試料中の標的配列を検出する方法であって、試料を用意する工程と、(i)プライマー、(ii)プライマー混合物、又は(iii)本明細書に記載の乾燥プライマー混合物を再水和することによって得られた再構成プライマー混合物と、ポリメラーゼとを試料に添加し、それにより反応混合物を生成する工程と、反応混合物を50~85℃でインキュベートする工程と、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、インキュベーションは50~70℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは60~65℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは62~65℃で行われる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)・ポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、本方法は、反応混合物からの信号を検出する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、信号は蛍光信号である。いくつかの実施形態では、検出する工程はインキュベーションの工程中に行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、試料の中の標的配列の存在又は非存在を調べる工程をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、本方法は、試料を調製する先行する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、試料を調製する工程は、RNA分子を逆転写酵素と相互作用させ、それによりDNA分子を含む試料を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、試料を調製する工程は、逆転写酵素と相互作用させる前又は相互作用の間にRNA分子を予熱する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、RNase阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、RNase阻害剤はブタ又はマウスのRNA阻害剤である。
【0054】
いくつかの実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、全SARS-CoV-2ウイルス、全ヒト細胞、唾液若しくは鼻スワブ、又は鼻若しくは鼻咽頭スワブを含む。いくつかの実施形態では、試料は、ゲノムDNA、合成DNA、全細菌又は膣スワブ由来の全ヒト細胞を含む。
5.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、ループ・デ・ループ法におけるループプライマーの構造とDNA増幅の進行の様子を示す。
【0056】
【
図2A】
図2Aは、インターカレーティング色素(SYTO)で可視化された、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(CT)及び淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(NG)のLAMPアッセイの結果を提供する。CTでは少なくとも5log、NGでは6logの[DNA]についての増幅が急速である(30分未満)。NGアッセイ分析感度(LOD50)は、PROBIT分析によると35cp/10μL反応である。
【0057】
【
図2B】
図2Bは、新規なループプライマーを使用した標的増幅からの読み出しを示す。この結果は、阻害が最小限に抑えられ、SYTO色素よりも特異性が増大した、標的の極めて明るいリアルタイム検出を示す。
【0058】
【
図2C】
図2Cは、新規なループプライマーを用いた淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出を示す。この結果は、この方法が再現可能であり、迅速で堅牢な高信号対雑音比の増幅を発生させることを示している。プローブは偽陽性を排除する。
【0059】
【
図3-1】
図3は、50%置換のFAM標識LFプライマーを用いたループ・デ・ループ法を使用したクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の標的核酸の増幅を示す経時的なリアルタイム蛍光信号のプロットである。右側の表に示すように、陽性試料と陰性試料の両方を試験した。y軸上の各「サイクル」は、摂氏65度での30秒の経過時間を表す。
【0060】
【
図4-1】
図4は、50%置換のFAM標識LFプライマーを用いたループ・デ・ループ法を用いた淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の標的核酸の増幅を示すリアルタイム蛍光信号の経時的なプロットである。右側の表に示すように、陽性試料と陰性試料の両方を試験した。y軸上の各「サイクル」は、摂氏65度での30秒の経過時間を表す。
【0061】
【
図5-1】
図5は、50%置換のFAM標識LFプライマーを用いたループ・デ・ループ法を用いたホモサピエンスの標的核酸の増幅を示す、リアルタイム蛍光信号の経時的なプロットである。右側の表に示すように、陽性試料と陰性試料の両方を試験した。y軸上の各「サイクル」は、摂氏65度での30秒の経過時間を表す。
【0062】
【
図6】
図6は、ループ・デ・ループプライマーを用いた4回の陽性反応(左)及び4回の陰性反応(右)を含むチューブの画像を示す。蛍光は、青色LEDで励起され、青色ゲルフィルタを通して照らされ、発光は、カメラフォンにかざされた琥珀色のプラスチックフィルタで可視化された。
【0063】
【
図7】
図7は、PCRチューブ内で凍結乾燥によって調製された、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(上)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(中央)及びホモサピエンス(下)についてのループプライマーアッセイ用の乾燥(凍結乾燥)混合物を含有するチューブの画像を示す。
【0064】
【
図8】
図8は、使用前に再構成した
図7の乾燥混合物を使用したループ・デ・ループ反応におけるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及びホモサピエンスの標的核酸の増幅を示すリアルタイム蛍光信号を示す。この結果は、乾燥した後に再構成したプライマーのアッセイ活性及び感度が維持されていることを示す。
【0065】
【
図9】
図9A(第1の試験)及び
図9B(第2の試験)は、様々な温度でPOP7b(ホモサピエンスRNA転写物)又はORF1ab(SARS-CoV-2ゲノムRNA)のプライマーセットを使用してループ・デ・ループLAMP反応から結果を得るのに必要な時間をプロットする。
【0066】
【
図10】
図10は、ホモサピエンス、クラミジア・トラコマチス(C.Trachomatis)、淋菌(N.Gonorrhoeae)、又はSARS-CoV-2由来のDNAを標的とするループ・デ・ループプライマーの融解曲線を示す。ループ・デ・ループプライマーは、反応温度である65℃より約10℃高い温度でアンホールディングするように設計される。この曲線は、ループ・デ・ループプライマーのステムループ配列が蛍光信号の原因となることを示している。
【0067】
【
図11】
図11は、25%、50%、又は100%の強度のプライマーを使用したループ・デ・ループ反応から得られたリアルタイム蛍光信号を示す。これに関連して、「強度」は、プライマーがループ・デ・ループ法のループバージョンで置換される程度である。このデータは、より強いプライマーが、結果に至るまでの時間が1~2分遅くなるのと引き換えに、より大きな信号を示す傾向があることを示している。100%強度のループ・デ・ループプライマーはアッセイを減速させたが、他のリアルタイムLAMP変位プローブ法の程度には及ばなかった。y軸上の各「サイクル」は、摂氏65度での30秒の経過時間を表す。
【0068】
【
図12】
図12は、0.4μMのループ・デ・ループプライマー及び2μMのSYTOインターカレーティング色素の両方を含むループ・デ・ループ反応から得られた相対蛍光信号を示す。2チャネル蛍光データは、インターカレーティング色素(SYTO)及びループ・デ・ループ信号の発生のタイミングが同じであることを示す。ループ・デ・ループ対インターカレーティング色素では信号遅延はなく、ループ・デ・ループ反応はSYTOよりも大きな信号を示した。
【0069】
【
図13】
図13A及び
図13Bは、ループ・デ・ループ反応を用いたクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の標的配列の増幅から得られたリアルタイム蛍光信号を示す。
図13Aは新たに混合した反応混合物から得られた結果であり、
図13Bは凍結乾燥した反応混合物から得られた結果である。凍結乾燥アッセイ混合物は、3ヶ月を超えて安定であり、良好な読み出しが得られた。このアッセイを、アッセイ(20.7コピー/μL)のLoD
95(低陽性)のCt E BOUR(クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)株)のそれぞれに、2つの鋳型なし対照(NTC)を加えた14個の複写物で実行した。新たな反応混合物と凍結乾燥した反応混合物との間で、感度に変化はなく(LoD
95において、それぞれ12/14)、又は結果に至るまでの平均時間に変化はなかった(16分、T検定、P値=0.66)。
【0070】
【
図14】
図14A、
図14B及び
図14Cは、単一チューブ反応(シングルポット)におけるSARS-CoV-2及びヒト標的配列のループ・デ・ループ増幅から得られたスペクトル的に二重化された蛍光信号を示す。破線信号はSARS-CoV-2(FAM)から得られたものであり、実線信号はヒト内部対照(Cy5)から得られたものである。標的配列を含まない対照試料(
図14A)、粗ヒト鼻スワブ(
図14B)、及び熱不活性化SARS-CoV-2(ゲノムRNA標的配列を有するインタクトウイルス)と組み合わせた粗ヒト鼻スワブ(
図14C)の3種類の試料を使用した。このデータは、標的配列の存在下でのみ信号が特異的に増幅することを示す。このデータは、単一の反応容器におけるループ・デ・ループ法による反応のスペクトルが多重化することをさらに示している。
【0071】
【
図15A】
図15Aは、POP7bプライマーの様々な濃度でのループ・デ・ループ増幅から得られたリアルタイム蛍光信号を示す。信号強度は、POP7bプライマーの濃度が低下するにつれて低下した(矢印)。単一の反応体積中に2つ以上のプライマーセットを用いる多重化用途では、任意の所与のプライマーセットの濃度は、プライマーの100%が単一のセットに属する反応と比較して低下する。
【
図15B】
図15Bは、POP7bプライマーの様々な濃度での結果に至るまでの時間(分)をプロットしている。結果に至るまでの時間は、プライマー濃度が40%未満に低下した場合に影響を受け、これは、単一のチューブ内で2つを超える標的を多重化する利点が臨床的又は市場ベースの速度の必要性を上回る多くの用途で許容し得る。この反応では、10
-4gのBlock DNAを21μLの反応体積で使用した。
【0072】
【
図16】
図16は、コロナウイルス陽性対象から取得した未処理の鼻スワブにおける、SARS-CoV-2に特異的なRNA標的配列(ORF1ab)、ホモサピエンスに特異的なRNA標的配列(POP7b)、両方の標的、又はどちらの標的でもない、のいずれかのループ・デ・ループRT-LAMP増幅から得られたリアルタイム蛍光信号を示す。鼻スワブをループ・デ・ループRT-LAMP試薬に直接溶出し、4種類の濃度に希釈して反応混合物とした。1×スワブは、単位体積当たりに溶出されるスワブの単位で、この試験構成で使用される試料の標準濃度を表す。この場合、SARS-CoV-2及びヒトRNAのプライマーセットを単一チューブ内で二重化した。各プライマーセットは、それぞれが同じフルオロフォアとクエンチャーの対(単一の蛍光チャネル)で標識された1つのループプライマーを含んでいた。その結果、SARS-CoV-2とヒトRNAの両方が検出された反応は、二重増幅信号を特徴としていた。両方の標的の検出をもたらした希釈は、「二重陽性」とラベル付けされ、いずれかの標的の検出をもたらすものは、「単一陽性」とラベル付けされ、どちらの標的も検出されない結果となるものは、「二重陰性」とラベル付けされる。このデータは、このコロナウイルス陽性のボランティアのスワブ試料について、リアルタイムのループ・デ・ループRT-LAMPアッセイが、反応中の両方の標的を検出するのに必要な感度よりも少なくとも370倍高いことを示していた。
【0073】
【
図17】
図17は、陰性対象から取得した鼻スワブ中のSARS-CoV-2に特異的な標的配列のループ・デ・ループ増幅から得られたリアルタイム蛍光信号を示す。
【0074】
【
図18】
図18は、SARS-CoV-2標的配列及びヒト標的配列の多重ループ・デ・ループ増幅から得られた蛍光信号を示し、ループ・デ・ループ反応の特異性を示している。SARS-CoV-2及びヒトプライマーセットの両方を、FAM標識プライマーを使用してループ・デ・ループ用に改変したので、二重陽性対照は2つの増幅現象を示す。RPPOSは、22の非標的呼吸器病原体由来の遺伝物質を含有する呼吸器病原体パネル陽性(Exact Diagnostics LLC)である。PRNEGは、核酸を含まないRPPOS産物のバックグラウンドマトリックス対照である。このデータは、SARS-CoV-2及びヒト標的を検出するためのループ・デ・ループRT-LAMP反応がオフターゲット核酸を増幅しないことを示す。
【0075】
【
図19-1】
図19は、多量のC.トラコマチス(C.trachomatis)(Ct)(1反応あたり10,000コピー当量)及び多量の淋菌(N.gonorrhoeae)(Ng)(1反応あたり10,000コピー当量)を含有する試料のループ・デ・ループ増幅から得られた蛍光信号を示す。
【0076】
【
図20-1】
図20は、陰性対照-スワブのみの対照(左の2つのパネル)又は緩衝液のみの対照(右の2つのパネル)のループ・デ・ループ増幅から得られた蛍光信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図面は、例示のみを目的として本発明の様々な実施形態を示す。当業者は、以下の説明から、本明細書に記載される本発明の原理から逸脱することなく、本明細書に示される構造及び方法の代替実施形態が使用され得ることを容易に理解するであろう。
【0078】
6.詳細な説明
6.1.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下に帰する意味を有する。
【0079】
本明細書で使用される「バイオセンサ対」という用語は、2つのセンサ分子間の特定の物理的相互作用時に検出可能な信号を生成することができるセンサ分子の対を指す。例えば、バイオセンサ対は、フェルスター共鳴エネルギー移動、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に使用されるドナー分子とアクセプター分子の対であり得る。この場合、蛍光信号は、ドナー分子からアクセプター分子へのエネルギーの距離依存性伝達によって生成され得る。他の実施形態では、バイオセンサ対は、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)に使用されるセンサ分子対である。この場合、生物発光信号は、ドナー分子からアクセプター分子へのエネルギーの距離依存性伝達によって生成され得る。当分野で公知の他のバイオセンサ対を、本開示の様々な実施形態において使用することができる。
【0080】
本明細書で使用される「ループ・デ・ループ増幅」又は「LdL増幅」という用語は、エネルギーの距離依存性伝達によって蛍光信号を生成することができるループプライマーを使用した標的核酸の増幅を指す。
【0081】
本明細書で使用される「LOD」という用語は、検出の限界を指す。例えば、LOD95は、95パーセンタイルの検出限界である。これは、アッセイが95%の時間で陽性結果を検出すると統計的に予想される標的の濃度である。
【0082】
6.2.他の解釈規則
本明細書に記載された範囲は、記載された終点を含む範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。例えば、1から50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、又は部分範囲を含むと理解される。
【0083】
別段示されない限り、1つ又はそれ以上の立体中心を有する化合物への言及は、その各立体異性体、及び立体異性体のすべての組み合わせを意図する。
【0084】
6.3.ループプライマー
一態様において、本発明は、ループ・デ・ループ増幅のためのループプライマーを提供する。ループプライマーは、5’から3’に向って、
第1のセンサ分子と、
第1のクランピングオリゴヌクレオチドと、
スペーシングオリゴヌクレオチドと、
第2のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のセンサ分子であって、
第1のセンサ分子及び第2のセンサ分子が第1のバイオセンサ対である、第2のセンサ分子と、
標的配列上の第1の結合部位に相補的な第1のプライマー配列と、
を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドに結合することができるが、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的ではない。
【0086】
本明細書で提供される方法には、当分野で公知の様々なバイオセンサを使用することができる。例えば、ごく近接した際に又は十分に離れた際に、色を変えるか、又は測定可能な信号を生成する一対の分子(例えば、発光タンパク質に基づくNanoLuc、Nanobit、NonoBRET技術)を使用することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1のバイオセンサ対はエネルギー供与体と受容体の対である。いくつかの実施形態では、第1のバイオセンサ対は、フェルスター共鳴エネルギー移動のためのエネルギー供与体及び受容体対である。いくつかの実施形態では、第1のバイオセンサ対は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)又は生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のためのエネルギー供与体と受容体の対である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はFRETフルオロフォアであり、第2のセンサ分子はFRETクエンチャーである。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はFRETクエンチャーであり、第2のセンサ分子はFRETフルオロフォアである。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はBRETエネルギー供与体であり、第2のセンサ分子はBRETエネルギー受容体である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子はBRETエネルギー受容体であり、第2のセンサ分子はBRETエネルギー供与体である。
【0088】
いくつかの実施形態では、FRETクエンチャーは、5’Iowa Black(登録商標)FQという商品名のIntegrated DNA technologiesから入手可能な5IABkFQである。5’Iowa Black(登録商標)FQは、531nmにピーク吸光度を有する、420から620nmの範囲の広い吸光度スペクトルを持つFRETクエンチャーである。このクエンチャーは、フルオレセイン及び緑色からピンク色のスペクトル範囲で発光する他の蛍光色素と共に使用することができる。いくつかの実施形態では、クエンチャーは、Black Hole Quencher(登録商標)(Biosearch Technologiesから入手可能)のいずれか、Iowa Black(登録商標)クエンチャー(Integrated DNA technologiesから入手可能)、Zen(登録商標)クエンチャー(Integrated DNA Technologiesから入手可能)、Onyx(登録商標)クエンチャー(Millipore-Sigmaから入手可能)のいずれか、又はATTO(登録商標)クエンチャー(ATTO-TECGmbHから入手可能)のいずれかである。
【0089】
いくつかの実施形態では、FRETフルオロフォアは、Int 6-FAM(Azide)という名称のIntegrated DNA technologiesから入手可能なi6-FAMK(FAM(フルオレセイン)アジド)である。この形態のFAMは、クリック化学を使用してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。この改変の内部バージョンは、dT塩基を介してオリゴに結合される。修飾の位置にdTヌクレオチドを付加することができる。あるいは、余分なヌクレオチドの付加を回避するために、配列中の既存のTヌクレオチドを必要な修飾で置き換えることができる。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、Cy3、Cy5、TAMRA、又はYakima Yellow(登録商標)(Integrated DNA Technologiesから入手可能)である。
【0090】
一実施形態では、ループプライマーは、内部クエンチャー(例えば、Zen(登録商標)又はOnyx A(登録商標))及び5’フルオロフォア(例えば、Yakima Yellow(登録商標)又はHEX)を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1のセンサ分子及び第2のセンサ分子は、検出可能な光信号を生成する複合体を形成することができる。
【0092】
第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、互いに相補的であるため、互いに結合することができる。第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、65℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、70℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、80℃を超える。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、70から80℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、72.5から77.5℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、約75℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60℃未満である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60から65℃である。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、鎖置換ポリメラーゼを用いるアッセイの伸長温度よりも10℃高い。いくつかの実施形態では、融解温度は、アッセイの伸長温度より低いか、それに等しいか、又はそれよりも任意の量高くすることができる。
【0095】
Tmが反応の伸長温度よりも低い場合、リアルタイム検出は、(クランピング配列のTm付近又はTm未満まで反応を冷却する)終点検出に置き換えることができ、完全な強度(100%置換)でループ・デ・ループプライマーを使用した場合であっても、反応の阻害はない。
【0096】
Tmが反応の伸長温度に等しい場合、リアルタイム検出は依然として実行可能であり得るが、終点決定のために反応を冷却するまでより高いバックグラウンド蛍光が存在し得る。
【0097】
Tmが反応の伸長温度よりも高い場合、リアルタイム検出が基本動作モードであり得、バックグラウンド蛍光は最小限になる。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3から10ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3から7ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチド長である。典型的な実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと第2のクランピングオリゴヌクレオチドは同じ長さを有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、5から35ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、10から20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13から18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13ヌクレオチド長である。
【0100】
いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、15から35ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、20から30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、全体で、23から28ヌクレオチド長である。
【0101】
ループプライマーは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、又は(vii)それらの組み合わせを含み得る。第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、又は(vii)それらの組み合わせを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、ループプライマーは、ループプライマーの5’末端に第1のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、第1のセンサ分子と第1のクランピングオリゴヌクレオチドとの間に第2のさらなるオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のさらなるオリゴヌクレオチドは、バーコード配列である。
【0103】
いくつかの実施形態では、ループプライマーは、ループプライマーの5’末端に、バーコード配列、プローブ配列又は他の配列をさらに含む。さらなる配列は、核酸塩基又はその修飾を含むことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、標的配列は、病原体ゲノムに特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、orf8又はcds2に由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号15の配列を有することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、標的配列は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、porA又はglnAに由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号5又は配列番号7の配列を有することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、標的配列はホモサピエンスに特異的である。いくつかの実施形態では、標的配列は、tbc1d3に由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号22の配列を有することができる。
【0107】
6.4.ループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物
別の態様において、本発明は、ループ・デ・ループ増幅のためのプライマー混合物を提供する。プライマー混合物は、本明細書で提供されるループプライマーを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、1つのループプライマーを含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、2つ以上のループプライマーを含む。それが2つ以上のループプライマーを含む場合、混合物中のプライマーは、単一の標的配列又は複数の標的配列に結合することができる。いくつかの実施形態では、複数のループプライマーは、複数の供給源からの標的配列を検出するように設計される。例えば、混合物は、複数の病原体から標的配列を検出するように設計された複数のループプライマーを含むことができる。
【0109】
プライマー混合物は、増幅反応のための追加のプライマーをさらに含むことができる。例えば、プライマー混合物は、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及びバックワードプライマー(B3)をさらに含むことができ、FIP、BIP、F3及びB3は、標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)をさらに含み、LF及びLBは標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、さらなるプライマーの1つ、例えば、FIP、BIP、F3、B3、LF又はLBは、第1の結合部位、すなわち、標的配列上のループプライマーと同じ結合部位に結合する。
【0110】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、1つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、本明細書で提供されるループ・デ・ループ増幅のためのループプライマー、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及び(iv)バックワードプライマー(B3)を含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、(i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)をさらに含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、プライマーセットは、本明細書で提供されるループ・デ・ループ増幅のためのループプライマーと、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及び(iv)バックワードプライマー(B3)から選択される3つのプライマーとを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、BIP、F3及びB3を含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、F3及びB3を含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP及びB3を含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP及びF3を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、プライマーセットは、本明細書で提供されるループ・デ・ループ増幅のためのループプライマーと、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)、(iv)バックワードプライマー(B3)、(v)ループフォワードプライマー(LF)及び(vi)ループバックワードプライマー(LB)から選択される5つのプライマーとを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、BIP、F3、B3、LF及びLBを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、F3、B3、LF及びLBを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP、B3、LF及びLBを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP、F3、LF及びLBを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP、F3、B3及びLFを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、ループプライマー、FIP、BIP、F3、B3及びLBを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、2つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、3つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、4つ又は5つのプライマーセットを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、各プライマーセットは、ユニークな標的配列を増幅するためのものである。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、同じ標的配列を増幅するための2つ又はそれ以上のプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、同じ標的配列上の同じ結合部位に結合する2つ又はそれ以上のループプライマーを含む。
【0115】
ループプライマーは、増幅反応に最適化された任意の比で追加のプライマーと混合することができる。いくつかの実施形態では、FIPは、第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるFIPとループプライマーの量の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。いくつかの実施形態では、BIPは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるBIPとループプライマーの量の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。いくつかの実施形態では、LFは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるLFとループプライマーの量の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。いくつかの実施形態では、LBは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物におけるLBとループプライマーの量の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1又は9:1である。
【0116】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に特異的な標的配列を検出するように設計される。いくつかの実施形態では、F3は配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号2のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号3のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号4のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号6のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、F3が配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3が配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPが配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPが配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFが配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBが配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号5又は配列番号7のオリゴヌクレオチドである。
【0117】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に特異的な標的配列を検出するように設計される。いくつかの実施形態では、F3は配列番号9のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号10のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号11のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号12のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号13のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、F3が配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3が配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIPが配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPが配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFが配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBが配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号15のオリゴヌクレオチドである。
【0118】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、ホモサピエンスに特異的な標的配列を検出するように設計される。いくつかの実施形態では、F3は配列番号16のオリゴヌクレオチドを含む、B3は配列番号17のオリゴヌクレオチドを含む、FIPは配列番号18のオリゴヌクレオチドを含む、BIPは配列番号19のオリゴヌクレオチドを含む、LFは配列番号20のオリゴヌクレオチドを含む、又はLBは配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、F3が配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3が配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPが配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPが配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFが配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、及びLBが配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ループプライマーは、配列番号22のオリゴヌクレオチドである。
【0119】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、ウイルスに特異的な標的配列を検出するように設計される。いくつかの実施形態では、ウイルスはSARS-CoV-2である。
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるプライマー混合物は、複数の標的配列の検出のためにさらに組み合わされる。いくつかの実施形態では、複数の標的配列は、異なる生物に特異的である。例えば、複数の標的配列は、異なる病原体に特異的である。
【0121】
したがって、いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第2のループプライマーをさらに含み、第2のループプライマーは、
第3のセンサ分子と、
第3のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第2のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第4のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
第3のクランピングオリゴヌクレオチド、第2のスペーシングオリゴヌクレオチド及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドが、第3及び第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第4のセンサ分子であって、
第3のセンサ分子及び第4のセンサ分子が第2のバイオセンサ対であり、第2のバイオセンサ対が第1のバイオセンサ対とは異なる、第4のセンサ分子と、
第2の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドに結合することができるが、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的ではない。
【0123】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第2のフォワードインナープライマー(SFIP)、(ii)第2のバックワードインナープライマー(SBIP)、(iii)第2のフォワードプライマー(SF3)及び第2のバックワードプライマー(SB3)をさらに含み、SFIP、SBIP、SF3及びSB3は、第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第2のループフォワードプライマー(SLF)及び(ii)第2のループバックワードプライマー(SLB)をさらに含み、SLF及びSLBは、第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、第3のループプライマーをさらに含み、第3のループプライマーは、
第5のセンサ分子と、
第5のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第3のスペーシングオリゴヌクレオチドと、
第6のクランピングオリゴヌクレオチドであって、
第5のクランピングオリゴヌクレオチド、第3のスペーシングオリゴヌクレオチド及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドが、第5及び第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと、
第6のセンサ分子であって、
第5のセンサ分子及び第6のセンサ分子が第3のバイオセンサ対であり、第3のバイオセンサ対が第1のバイオセンサ対及び第2のバイオセンサ対とは異なる、第6のセンサ分子と、
第3の標的配列上の第1の結合部位に相補的な第2のプライマー配列と、
を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドに結合するが、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと完全には相補的ではない。
【0126】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第3のフォワードインナープライマー(TFIP)、(ii)第3のバックワードインナープライマー(TBIP)、(iii)第3のフォワードプライマー(TF3)及び第3のバックワードプライマー(TB3)をさらに含み、TFIP、TBIP、TF3及びTB3は、第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0127】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、(i)第3のループフォワードプライマー(TLF)及び(ii)第3のループバックワードプライマー(TLB)を含み、TLF及びTLBは第3の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0128】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのループプライマーを含む。プライマー混合物が2つ又はそれ以上のループプライマーを含む場合、各ループプライマーは、それぞれが検出のための固有の信号を提供する固有のバイオセンサ対を含み得る。いくつかの実施形態では、各バイオセンサ対は、検出のために固有の視覚信号(例えば、色)を提供する。いくつかの実施形態では、各バイオセンサ対は、固有の色素分子を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、プライマー混合物中の2つ又はそれ以上のループプライマーは、同一のバイオセンサ対を含む。いくつかの実施形態では、プライマー混合物中の2つ又はそれ以上のループプライマーをFAMで標識する。いくつかの実施形態では、プライマー混合物中の2つの異なるループプライマーをFAMで標識する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるプライマー混合物は凍結乾燥される。乾燥プライマー混合物は、本明細書に記載のルーパープライマー又はプライマー混合物のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、2つ又はそれ以上のループプライマーを含むプライマー混合物が凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、プライマー混合物は、凍結乾燥ビーズの形態である。
【0131】
6.5.ループ・デ・ループ増幅用キット
別の態様では、ループ・デ・ループ増幅のためのキットが提供される。本キットは、本明細書で提供されるループプライマー又はプライマー混合物のいずれかを含むことができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、キットは、1つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、本明細書で提供されるループ・デ・ループ増幅のためのループプライマー、(i)フォワードインナープライマー(FIP)、(ii)バックワードインナープライマー(BIP)、(iii)フォワードプライマー(F3)及びバックワードプライマー(B3)を含む。いくつかの実施形態では、プライマーセットは、(i)ループフォワードプライマー(LF)及び(ii)ループバックワードプライマー(LB)をさらに含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本キットは、2つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、3つのプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、4つ又は5つのプライマーセットを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本キットは、単一の容器に入った複数のプライマーセットを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、複数のプライマーセットを含み、各プライマーセットは、別個の容器に個別に入っている。
【0135】
いくつかの実施形態では、本キットはポリメラーゼをさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは鎖置換DNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)・ポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、Bst 2.0 WarnStart(登録商標)DNA Polymerase(NEBから入手可能)である。いくつかの実施形態では、本キットは、他の反応酵素、例えば、逆転写酵素をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆転写酵素はWarmStart(登録商標)RTx逆転写酵素(NEBから入手可能)である。いくつかの実施形態では、本キットはRNase阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、RNase阻害剤は、ブタ又はマウスのRNase阻害剤である。
【0136】
いくつかの実施形態では、本キットは、増幅反応のための試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、試薬は、dNTP、MgSO4、及び緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%のTween-20を含む。いくつかの実施形態では、試薬はトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、試薬はスクロースを含む。いくつかの実施形態では、試薬は安定化のためのポリマーを含む。増幅試薬は、ポリメラーゼに応じて選択及び最適化することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、本キットは、dNTP、MgSO4、緩衝液、ループ・デ・ループ増幅のための1つ又はそれ以上のプライマーセット及びポリメラーゼを含む混合物を含む。いくつかの実施形態では、本キットは、dNTP、ループ・デ・ループ増幅のための1つ又はそれ以上のプライマーセット、ポリメラーゼ、逆転写酵素、及びRNase阻害剤を含む混合物を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、この混合物は液体形態である。いくつかの実施形態では、この混合物は、乾燥形態である。いくつかの実施形態では、この混合物を凍結乾燥ビーズ又はペレットに製剤化する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本キットは、増幅反応のための装置をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットは、ループ媒介等温増幅のための装置を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本キットは、増幅反応を実行するための反応管をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットは、増幅反応の前に試料を濾過又は精製するためのコンポーネントをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本キットは感染症の診断用である。いくつかの実施形態では、本キットは、病原性感染症、例えば、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)及び淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の診断用である。いくつかの実施形態では、本キットは、一塩基多型(SNP)及び点変異の決定のために使用される。いくつかの実施形態では、本キットは変異遺伝子型の決定のために使用される。いくつかの実施形態では、本キットは、薬物耐性表現型に関連する変異遺伝子型の決定のために使用される。例えば、薬剤耐性マーカー、例えば、セフトリアキソン/セフィキシム耐性マーカー、キノロン(シプロフロキサシン)耐性マーカー、マクロライド耐性マーカー(アジスロマイシン)を検出することができる。
【0142】
6.6.ループ・デ・ループ増幅方法
別の態様では、ループ・デ・ループ増幅方法が提供される。この方法は、
試料を用意する工程と、
(i)プライマー、プライマー混合物、又は本明細書で提供される乾燥プライマー混合物を再水和することによって得られた再構成プライマー混合物、及び(ii)ポリメラーゼを試料に添加し、それによって反応混合物を生成する工程と、
反応混合物を50~85℃でインキュベートする工程と、
を含み得る。
【0143】
反応温度は、ポリメラーゼ及び標的配列に応じて調整することができる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは50~70℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは55~70℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは60~65℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは62~65℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは60、61、62、63、64又は65℃で行われる。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法は、反応混合物からの信号を検出する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、蛍光信号を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、色又は濁度の変化を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、非視覚信号を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、検出する工程はインキュベーションの工程中に行われる。いくつかの実施形態では、検出する工程は、インキュベーション工程の完了後に行われる。いくつかの実施形態では、信号はリアルタイムで検出される。いくつかの実施形態では、信号はリアルタイムで記録され、インキュベーションの工程の完了後に分析される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本方法は、ループ・デ・ループ増幅のための試料を調製する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、試料を調製する工程は、RNA分子を逆転写酵素と相互作用させ、それによりDNA分子を含む試料を生成する。いくつかの実施形態では、試料を調製する工程は、逆転写酵素と相互作用させる前に、RNA分子を含有する試料又は反応混合物を予熱する工程をさらに含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ増幅のための試料は、精製ポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、全SARS-CoV-2ウイルス、全ヒト細胞、唾液若しくは鼻スワブ、又は鼻若しくは鼻咽頭スワブを含む。いくつかの実施形態では、試料は、ゲノムDNA、合成DNA、全細菌又は膣スワブ由来の全ヒト細胞を含む。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ増幅のための試料は、粗試料である。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ増幅のための試料は精製試料である。
【0147】
いくつかの実施形態では、2種類以上の信号が検出される。いくつかの実施形態では、複数の蛍光又は他の視覚信号が検出される。いくつかの実施形態では、複数の信号が、複数の標的配列の存在又は非存在を調べるために検出される。いくつかの実施形態では、単一の標的配列の有無を確認するために複数の信号が検出される。いくつかの実施形態では、本方法にさらなる感度及び特異性を提供するために複数の信号が検出される。
【0148】
標的配列の増幅には、当分野において公知の種々の増幅方法を用いることができる。
【0149】
典型的な実施形態では、ループ媒介等温増幅(「LAMP」)は、標的核酸のループ・デ・ループ増幅に使用される。LAMPは、ポリメラーゼとして知られる酵素の鎖置換活性に依存する等温DNA増幅法であり、塩基特異的にヌクレオチド塩基を伸長DNA又はRNA鎖に付加して、相補配列を有する二本鎖核酸を形成する。等温増幅法では、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)細菌由来のポリメラーゼ(Bstポリメラーゼ及びその変異体)などの鎖置換ポリメラーゼは、相補鎖を重合するときに二本鎖DNAの一方の鎖を置換するので、熱サイクルを必要としない。
【0150】
LAMP法は、標的DNA配列の6つの異なる領域を認識するように特別に設計された4つの異なるプライマー(F3、B3、インナーフォワードプライマー又はFIP、及びインナーバックワードプライマー又はBIP)を使用することができる。反応の速度を改善するために、2つのさらなる「ループ」プライマーを加えてもよい。反応混合物中のプライマーの濃度は変動し得るが、典型的には、FIP及びBIPプライマーについては1.6μM、順方向及び逆方向ループプライマー(LF,LB)については0.8μM、並びにF3及びB3プライマーについては0.2μMに設定される。LAMP法のいくつかの実施形態では、5つのプライマーを利用することができる(2つの可能なLAMPプライマーのうちの1つのみを使用する)。LAMP反応は、鎖置換反応を利用して一定温度(65℃前後)で進行する。標的の増幅及び検出は、試料、プライマー、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、緩衝液、及び基質を一定温度でインキュベートすることによって、一段階で完了し得る。LAMPの典型的な混合物組成物は、以下の試薬、すなわち、20mM Tris-HCL、10mM(NH4)2SO4、50mM KCl、8mM MgSO4、0.1%Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bstポリメラーゼ、前述の濃度のプライマー、及び水を含み、pHは20℃で8.8に調整されている。反応体積は、典型的には5μL~50μLである。反応の温度は、使用する特定の酵素及びプライマーに最適化され、反応は5~60分間にわたって進行する。LAMPは、感度、特異性及び効率が高い。
【0151】
LAMPは、6つの標的部位(例えば、F3、B3、FIP及びBIP)を認識する少なくとも4つのプライマーに依存して、特定のDNA又はRNA標的を増幅する(RNA標的は最初にDNAへの逆転写を必要とする)。ループプライマー(例えば、LF及びLB)が含まれる場合、標的核酸中の合計8つのユニーク部位が6つのプライマーによって認識される。本明細書で提供される様々な実施形態では、合計8つのユニーク部位のうちの1つが、本明細書に記載されるループプライマーによって認識され得る。標的が試料中に存在する場合、増幅反応が起こり、大量のDNAがもたらされ得る。
【0152】
本明細書に記載の新規なループ・デ・ループ法は、LAMP以外の他の等温増幅法に適用し得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の温度サイクル依存性に対処するために、多数の等温増幅法が開発されている。これらの方法はかなり異なり得るが、それらはすべて共通のいくつかの特徴を共有する。例えば、DNA鎖は熱変性されないので、すべての等温法は、プライマー結合及び増幅反応の開始を可能にするための代替アプローチに依存する。反応が開始されると、ポリメラーゼはまた、依然として目的の配列にアニールされている鎖を置換しなければならない。等温法は、典型的には、二本鎖DNAを分離するためのDNAポリメラーゼの鎖置換活性を用いる。この能力を有するポリメラーゼとしては、中程度の温度反応(25~40℃)では、クレノウフラグメント(3’-5’exo-)、Bsuラージフラグメント及びphi29が挙げられ、より高い温度(50~65℃)反応では、Bst DNAポリメラーゼのラージフラグメントが挙げられる。RNA種を検出するために、反応温度に適合する逆転写酵素を添加して増幅の等温性を維持する。dsDNAを分離するための鎖置換機構に加えて、等温法は、開始のための初期変性要件を回避するために酵素又はプライマーの設計を必要とし得る。
【0153】
上記のように、ループ媒介等温増幅(LAMP)は、標的DNAの6~8個の異なる領域を認識する4~6個のプライマーを使用する。鎖置換DNAポリメラーゼが合成を開始し、2つのプライマーがループ構造を形成して、その後の増幅を促進する。LAMPは迅速で高感度であり、増幅が非常に大きいため、LAMPは現場の診断によく適している。ループ・デ・ループプライマーは、単一若しくは任意の組み合わせ又は内側及び/若しくはループプライマーに使用され得る。
【0154】
鎖置換増幅(SDA)は、鎖置換DNAポリメラーゼ、典型的には、Bst DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント又はクレノウフラグメント(3’-5’exo-)に依存して、プライマーに含まれる部位の鎖制限エンドヌクレアーゼ又はニッキング酵素によって作られるニックで開始する。SDAは、1つのフォワードプライマー及び1つのリバースプライマー、並びに1つのバンピングフォワードプライマー及び1つのバンピングリバースプライマーを必要とする。ニッキング部位は、各ポリメラーゼ置換工程で再生され、指数関数的増幅をもたらす。SDAは、典型的には、臨床診断において使用される。既存の蛍光モニタリング技術は、SDAのために存在するが(Nadeau et al.,Real-Time,Sequence-specific detection of nucleic acids during strand displacement amplification,276m 2 177-187(1999))、蛍光を生成するために制限エンドヌクレアーゼ酵素の作用に依存する。順方向又は逆方向のいずれかのSDAプライマーを、フルオロフォア対とクエンチャー対との間の切断部位の位置を必要としないループ・デ・ループ法での使用に適合させることができる。切断部位は、ループ・デ・ループプライマーのクランピング配列の隣に、プライマーの3’末端に向かって存在し、その結果、制限エンドヌクレアーゼによるプライマー切断の前に、相補鎖上のポリメラーゼによるプライマーの5’末端の完全な伸長時に蛍光が生成される。
【0155】
ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)は、ヘリカーゼの二本鎖DNA巻き戻し活性を利用して鎖を分離し、鎖置換DNAポリメラーゼによるプライマーアニーリング及び伸長を可能にする。PCRと同様に、この系は、2つのプライマー、すなわち、1つのフォワードプライマー及び1つのリバースプライマーのみを必要とする。HDAは、いくつかの診断装置及びFDA承認試験で使用されている。HDA中のいずれかのプライマーを、ループ・デ・ループ法での使用に適合させて、反応のリアルタイムの密閉チューブモニタリングをリアルタイムで行うことができる。HDAでは、ヘリカーゼ酵素はループ・デ・ループプライマーのループ構造を開くことができ、これは一本鎖結合タンパク質によって安定化され、次いでDNAポリメラーゼによって二本鎖蛍光アンプリコンに変換され得る。
【0156】
ニッキング酵素増幅反応(NEAR)は、ニッキング酵素によって作られたニックで開始する鎖置換DNAポリメラーゼを使用し、標的配列から多くの短い核酸を迅速に生成する。このプロセスは非常に迅速かつ高感度であり、わずかな標的量を数分で検出することができる。NEARは、臨床及びバイオセーフティ用途において、一般的に病原体の検出に使用されている。NEAR用のフォワードプライマー又はリバースプライマーのいずれかは、鎖置換DNAポリメラーゼによるループの伸長を介してリアルタイム蛍光を生成するためにループ・デ・ループ法を使用することができる。
【0157】
6.7.使用方法
本明細書で提供されるループ・デ・ループ増幅方法は、様々な供給源から標的配列を検出するために使用することができる。例えば、それは、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、古細菌ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、原生生物ゲノム、原核生物ゲノム又は真核生物ゲノムに特異的な標的配列を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、RNA(例えば、プラスセンスRNA、マイナスセンスRNA)又はDNAを検出するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、合成的に生成された標的配列を検出するために使用される。
【0158】
いくつかの実施形態では、病原体に特異的なDNAの検出にループ・デ・ループ法が使用される。いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、原虫又は寄生虫である。いくつかの実施形態では、STDに関連する病原体を検出するためにループ・デ・ループ法が使用される。いくつかの実施形態では、病原体はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)である。いくつかの実施形態では、病原体は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)である。いくつかの実施形態では、病原体はSARS-CoV-2である。
【0159】
いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が感染の診断に使用される。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、変異遺伝子型の決定のために使用される。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、薬物耐性表現型に関連する変異遺伝子型の決定のために使用される。例えば、薬剤耐性マーカー、例えば、セフトリアキソン/セフィキシム耐性マーカー、キノロン(シプロフロキサシン)耐性マーカー、マクロライド耐性マーカー(アジスロマイシン)を検出することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、一塩基多型(SNP)の決定のために使用される。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、変異の決定のために使用される。
【0161】
いくつかの実施形態では、単一の標的の検出のためにループ・デ・ループ法が使用される。いくつかの実施形態では、2つ以上の標的の検出のためにループ・デ・ループ法が使用される。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、2つ、3つ、4つ又は5つの標的の検出のために使用される。
【0162】
いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループ法が、試料の分析又はキャラクタリゼーションのために使用される。いくつかの実施形態では、ループ・デ・ループが、試料の供給源を同定するために使用される。例えば、ループ・デ・ループ法は、ヒト試料の同定に用いられる。
【0163】
本明細書に記載のループ・デ・ループ法は、様々な試料の分析に使用することができる。いくつかの実施形態では、血液、尿、精液、組織又は唾液試料が分析される。いくつかの実施形態では、試料は動物又はヒト患者から採取される。いくつかの実施形態では、精製された試料が分析される。いくつかの実施形態では、粗試料が分析される。いくつかの実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、全SARS-CoV-2ウイルス、ヒト細胞全体、唾液若しくは鼻スワブ、又は中鼻甲介若しくは鼻咽頭スワブを含む。いくつかの実施形態では、試料は、ゲノムDNA、合成DNA、全細菌又は膣スワブ由来の全ヒト細胞を含む。
【実施例】
【0164】
6.8.実施例
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
6.8.1.実施例1:インターカレート色素(SYTO)を使用したクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)及び淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のLAMPアッセイ
【0165】
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)ゲノムDNA及び淋菌(Niesseria gonorrhea)ゲノムDNAを別々に検出するために、LAMP反応混合物を調製した。反応物は、10μL容量で調製され、以下の試薬、すなわち、20mM Tris-HCl、10mM(NH
4)
2SO
4、50mM KCl、8mM MgSO
4、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、1.6μMのFIP及びBIP、0.8μMのLF及びLB、0.2μMのF3及びB3を有するプライマー(配列番号1~4、6、8~14)、2.5μM SYTO85インターカレート色素、並びに、水を含有し、20℃でpHを8.8に調整した。標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した原液からpH8.0のTris-HCL緩衝液で10倍希釈した。標的DNA又はDNAを含まない緩衝液(鋳型なし対照の場合)を、各PCRチューブ内の9μLの溶液混合物に1μL添加した。反応の温度は65℃であり、SYTO85蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。
図2Aに示されるデータは、インターカレーティング色素によってモニタリングされた、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(緑色)及び淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(青色)についてのLAMP反応から得られた縦軸上のリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸上の時間の代表的な曲線を、それぞれ3レベルのゲノムDNA標的-高(原液濃度)、低(Ctについては原液DNAの10
-5希釈物、Ngについては原液DNAの10
-6希釈物)、及び鋳型なし対照(DNAなし(NTC))、について示す。
【0166】
6.8.2.実施例2:ループ・デ・ループ増幅によるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の検出
ループ・デ・ループLAMP反応混合物を調製して、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)ゲノムDNAを検出した。反応物は、10μL容量で調製され、以下の試薬、すなわち、20mM Tris-HCl、10mM(NH
4)
2SO
4、50mM KCl、8mM MgSO
4、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、1.6μMのFIP及びBIP、0.4μMのLF及びLF-LdL、0.8μMのLB、0.2μMのF3及びB3を有するプライマー(配列番号9~15)、並びに、水を含有し、20℃でpHを8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した原液からpH8.0のTris-HCL緩衝液で10倍又は2倍(より細かい分解能のため)に希釈した。標的DNA希釈物又はDNA非含有緩衝液(鋳型なし対照の場合)を、各PCRチューブ内の9μLの溶液混合物中に1μL添加し、アッセイ感度を調べるために数log濃度範囲にわたって1濃度当たり最大20個の複写物を使用した。反応の温度は65℃であり、ループ・デ・ループプライマーによって発せられるFAM蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。
図3に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈に対するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のループ・デ・ループLAMP反応から得られたリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸の時間(各「サイクル」は30秒を表す)の代表的な曲線を示す。次いで、アッセイ感度(検出の限界、50%及び95%の確率)を、アッセイの終点決定に基づいてPROBIT分析によって推定した。
【表1】
【0167】
6.8.3.実施例3:ループ・デ・ループ増幅による淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出
ループ・デ・ループLAMP反応混合物を調製して、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)ゲノムDNAを検出した。反応物は、10μL容量で調製され、以下の試薬、すなわち、20mM Tris-HCl、10mM(NH
4)
2SO
4、50mM KCl、8mM MgSO
4、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、1.6μMのFIP及びBIP、0.4μMのLF及びLF-LdL、0.8μMのLB、0.2μMのF3及びB3を有するプライマー(配列番号1~4、6~8)、並びに、水を含有し、20℃でpHを8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した原液からpH8.0のTris-HCL緩衝液で10倍又は2倍(より細かい分解能のため)に希釈した。標的DNA希釈物又はDNA非含有緩衝液(鋳型なし対照の場合)を、各PCRチューブ内の9μLの溶液混合物中に1μL添加し、アッセイ感度を調べるために数log濃度範囲にわたって1濃度当たり最大20個の複写物を使用した。反応の温度は65℃であり、ループ・デ・ループプライマーによって発せられるFAM蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。
図2B~
図2Cに示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈に対する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループ・デ・ループLAMP反応から得られたリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸の時間の代表的な曲線を示す。
図2Bは、ループ・デ・ループアッセイから得られた信号を、
図2Aに示すように、ループ・デ・ループプライマーなしでSYTO85色素を用いて実施したLAMPアッセイの信号と比較する。ループ・デ・ループアッセイは、陽性増幅の場合にはるかに大きな信号を提供する。
図2Cでは、ループ・デ・ループアッセイの再現性、並びに鋳型なし対照での無視できるバックグラウンド蛍光及び減少した後期偽増幅産物が示されている。
図4に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈に対する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループ・デ・ループLAMP反応から得られたリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸の時間(各「サイクル」は30秒を表す)の代表的な曲線を示す。次いで、アッセイ感度(検出の限界、50%及び95%の確率)を、アッセイの終点決定に基づくPROBIT分析による連続希釈試験結果から推定した。
【表2】
【0168】
6.8.4.実施例4:ループ・デ・ループ増幅によるホモサピエンスの検出
ループ・デ・ループLAMP反応混合物を調製して、ホモサピエンスゲノムDNAを検出した。反応物は、10μL容量で調製され、以下の試薬、すなわち、20mM Tris-HCl、10mM(NH
4)
2SO
4、50mM KCl、8mM MgSO
4、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、1.6μMのFIP及びBIP、0.4μMのLF及びLF-LdL、0.8μMのLB、0.2μMのF3及びB3を有するプライマー(配列番号16~22)、並びに、水を含有し、20℃でpHを8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した原液からpH8.0のTris-HCL緩衝液で10倍又は2倍(より細かい分解能のため)に希釈した。標的DNA希釈物又はDNA非含有緩衝液(鋳型なし対照の場合)を、各PCRチューブ内の9μLの溶液混合物中に1μL添加し、アッセイ感度を調べるために数log濃度範囲にわたって1濃度当たり最大20個の複写物を使用した。反応の温度は65℃であり、ループ・デ・ループプライマーによって発せられるFAM蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。
図3に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈に対するホモサピエンスのループ・デ・ループLAMP反応から得られたリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸の時間(各「サイクル」は30秒を表す)の代表的な曲線を示す。次いで、アッセイ感度(検出の限界、50%及び95%の確率)を、アッセイの終点決定に基づいてPROBIT分析によって推定した。
【表3】
【0169】
6.8.5.実施例5:ループ・デ・ループ増幅のための乾燥プライマー混合物
凍結乾燥試薬への製剤化は、5段階凍結乾燥プロトコルを用いた社内凍結乾燥試験で行った。淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を検出するように設計されたループ・デ・ループLAMP反応混合物を25μL容量/チューブで調製し、各チューブに分注した。凍結乾燥混合物は、以下の試薬、すなわち、1.4mM dNTP、グリセロールを含まない製剤としての0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、1.6μMのFIP及びBIP、0.4μMのLF及びLF-LdL、0.8μMのLB、0.2μMのF3及びB3を有するプライマー(配列番号1~4、6~8)、5%トレハロース、並びに水(1反応あたり最大25μL)を含有していた。チューブの蓋を凍結乾燥のために取り外した。チューブストリップを、製薬及びバイオテクノロジー産業における標準的な機器である加熱棚凍結乾燥機ユニット内の金属棚上に置いた。凍結乾燥機を5段階で実行するようにプログラムした。段階1:凝縮器ON、真空OFF、棚及び試薬を41°Fに冷却、30分。段階2:凝縮器ON、真空OFF、棚及び試薬を23Fに冷却、30分。段階3:凝縮器ON、真空OFF、棚及び試薬を-23Fに冷却、2時間。段階4:凝縮器ON、真空ON、棚及び試薬を-23F、10時間に維持する。段階5:凝縮器ON、真空ON、棚及び試薬を77Fに加熱、5時間。このプロセスが完了したら、チューブを取り出し、蓋をして、
図7に示す生成物を得た。凍結乾燥アッセイの活性を、様々な環境条件でのインキュベーション後に一定期間にわたって試験した。
図8は、再水和反応の代表的なリアルタイムループ・デ・ループLAMPアッセイ活性を示す。再水和プロトコルは、24μLの再水和緩衝液を1μLの淋菌(Neisseria gonorrhoeae)標的ゲノムDNAと共に乾燥試薬に添加することからなっていた。再水和緩衝液は、20mM Tris-HCL、10mM(NH
4)
2SO
4、50mM KCl、8mM MgSO
4、0.1%Tween(登録商標)20及び水から構成され、pHは20℃で8.8に調整された。緩衝液をチューブに添加し、次いで再密封し、ボルテックス又は混合を行うことなく、リアルタイムqPCR機にそのまま入れた。反応の温度は65℃であり、ループ・デ・ループプライマーによって発せられるFAM蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。
図8に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈に対する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループ・デ・ループLAMP反応から得られたリアルタイム蛍光(任意単位)対横軸の時間(各「サイクル」は30秒を表す)の代表的な曲線を示す。凍結乾燥ループ・デ・ループアッセイの速度、感度及び特異性は、新たに製剤化されたアッセイの速度、感度及び特異性と変わらないことが分かった。さらに、蛍光の大きさは乾燥及び再水和によって影響を受けず、ループ・デ・ループ法が病原体検出のための保存安定性インビトロ診断キットを提供し得ることを示している。
【0170】
6.8.6.実施例6:ループ・デ・ループ増幅のための温度
ループ・デ・ループLAMP反応混合物を上記のように調製し、一方はORF1abプライマーセットを含み、他方はPOP7bプライマーセットを含む。ORF1abプライマーセットは、プラスセンス一本鎖RNAゲノムを有するSARS-CoV-2ウイルスに特異的である。POP7bプライマーセットは、DNA鋳型として天然には存在しないヒトRNA標的に特異的であり、したがって、このプライマーセットは、試料中のヒトRNAの特異的指標として有用である。両方の場合において、ループ・デ・ループを使用して、LAMPに使用される6つの構成プライマーのうちの1つを修飾して、第7のループプライマーを作製した。ループプライマーは、フルオロフォアとクエンチャーの対を利用して、観測可能な信号を生成した。この実験では、各プライマーセットのRNA標的の配列に対応するそれらのプラスセンス鎖上の配列を含む中程度に高濃度の合成二本鎖DNA鋳型を、LAMP反応温度最適化の標的として利用して、逆転写工程又は希薄な標的が遭遇する確率的ノイズによる変動を最小限に抑えた。標的DNA希釈液を384ウェルプレート内の混合物に添加した。それらを55から70℃の範囲の様々な温度でインキュベートし、ループ・デ・ループプライマーによって発せられるFAM蛍光によって反応をモニタリングした。リアルタイムPCR装置を使用して、反応物を加熱し、リアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。重複する温度範囲について2回実験(第1の試験及び第2の試験)を行い、それらのデータを
図9A及び
図9Bに示す。この図は、検出に十分な信号を得るのに必要な時間を示す。この結果は、プライマーセットが広範囲の温度にわたって活性であることを示している。例えば、約57~70℃が、POP7bプライマーセット及びORF1abプライマーセットの両方について許容範囲であった。60℃~68℃の間で最適な性能が達成された。
【0171】
6.8.7.実施例7:精製された標的と粗検体中の標的の両方を検出するための多重ループ・デ・ループ反応
図14A、
図14B及び
図14Cは、それぞれにORF1ab及びPOP7b LdLプライマーセットを用いたSARS-CoV-2及びヒト標的配列のループ・デ・ループ増幅から得られた2つの蛍光信号を示す。SARS-CoV-2 ORF1ab(FAM)及びPOP7bヒト内部対照(Cy5)から得られた信号を示す。標的配列のない対照試料(鋳型なし対照)(
図14A)、ヒト鼻スワブ(
図14B)、及び熱不活性化ウイルスの形態のSARS-CoV-2標的配列と組み合わせたヒト鼻スワブ(
図14C)の3種類の試料を使用した。ヒト鼻スワブをボランティアから自己採取し、試料処理又は核酸抽出を行うことなく反応物に直接添加した。スワブを数秒間ねじることによって反応混合物に溶出させた。SARS-CoV-2標的配列を、SARS-CoV-2陽性反応に添加されるインタクトな熱不活性化ウイルス(ATCC VR-1986HK)として反応物に導入した。ORF1ab LdL-FAM及びPOP7b LdL-Cy5のプライマーセットを複製反応体積において1:1の比で二重鎖化した。両方のプライマーセットは、非標識プライマー類似体(25%強度)に対して1:3の比でLdLプライマーを利用した。反応物は、逆転写酵素、鎖置換ポリメラーゼ及びRNase阻害剤を含んでいた。リアルタイムPCR装置(Bio-Rad CFX-384(登録商標))を使用して、FAM及びCy5の蛍光測定値を記録しながら、55.6℃で2.5分間反応物をインキュベートし、次いで63.5℃で60分間反応物をインキュベートした。予想されたように、鋳型なし対照の複製物は、60分にわたってループ・デ・ループ蛍光信号を示さなかった。COVID-19陰性鼻スワブ試料を含む反応は、Cy5蛍光の増加によって証明されるように、POP7b信号の増幅を示したが、ORF1ab信号はフラットなままであった(陰性)。熱不活性化ウイルスを添加した試料は、単一反応容器内の両方のRNA標的のスペクトル的二重検出を示した。この結果は、ループ・デ・ループRT-LAMPがSARS-CoV-2及びヒト標的の単一チューブのスペクトル多重化を可能にすることを示している。
【0172】
ORF1ab LdLプライマーセットを用いたSARS-CoV-2の多重ループ・デ・ループ試験は、PCR試験と同程度に感度が高く、抽出を必要としなかった。これは、粗試料との反応が、以下の表に示すように良好な結果をもたらしたためである。POP7b LdLプライマーセットを内部対照として使用した。インタクトな熱不活性化SARS-CoV-2ウイルス(ATCC VR-1986HK)の段階希釈物を二重ループ・デ・ループ反応に添加し、リアルタイム信号発生についてモニタリングした。アッセイの検出限界は、試験キットの特定のフォーマットについて、LoD95=400cp/スワブ=2.7×10
3cp/mLと推定された。
【表4】
【0173】
三重化ループ・デ・ループ反応も単一のチューブで試験した。それは、3つの標的の特異的増幅を示し、結果に至るまでの速い時間を維持した。FAMフルオロフォアで標識された2つのループ・デ・ループプライマーセットを使用して、SARS-CoV-2ウイルスRNAの2つの別々の標的を検出した。Cy5で標識されたヒト内部対照ループ・デ・ループプライマーセットは、第3のRNA標的を検出した。内部Cy5フルオロフォアを5’Iowa Black(登録商標)RQクエンチャーと対にした。反応物は粗鼻スワブ溶出液を含み、熱不活性化SARS-CoV-2を添加した。
【0174】
POP7bヒト内部対照用のループ・デ・ループプライマーセットでの使用について、追加のループプライマーも試験した。ある場合では、第2のセンサ分子である内部TAMRAフルオロフォアを、第1のセンサ分子である5’Iowa Black(登録商標)FQクエンチャーと対にした。別の場合では、第1のセンサ分子である5’Yakima Yellow(登録商標)(Epoch Biosciences)を、第2のセンサ分子である内部Zen(商標)(Integrated DNA Technologies)クエンチャーと対にした。Yakima Yellow及びZenの配置について、ループプライマーの3つのバリエーションを作製し、試験した。第1の変形例では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと第2のクランピングオリゴヌクレオチドは完全に相補的であり、それぞれ6塩基長であった。スペーシングオリゴヌクレオチドは13塩基長であった。第2の変形例では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドは、その5’末端の追加の塩基を特徴とし、その結果、第1のクランピングオリゴヌクレオチドは7塩基長であり、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは6塩基長であった。第1のクランピングオリゴヌクレオチドと第2のクランピングオリゴヌクレオチドとの間に6個の相補的塩基が存在した。スペーシングオリゴヌクレオチドは13塩基長であった。第3の変形例では、第1及び第2のクランピングオリゴヌクレオチドは両方とも7塩基長であり、配列は完全に相補的であった。スペーシングオリゴヌクレオチドは10塩基長であった。
【0175】
これらの追加のループプライマーは、LAMP反応に使用される。この反応は、標的配列の特異的増幅信号を提供する。
【0176】
6.8.8.実施例8:ループ・デ・ループ増幅によるヒト試料中のSARS-CoV-2の検出
ループ・デ・ループLAMP反応混合物を調製して、処理されていないヒト唾液からSARS-CoV-2を検出した。凍結乾燥酵素、dNTP、及びオリゴヌクレオチドプライマー混合物をpH緩衝塩溶液にヒト唾液を混合した10%体積/体積混合物で再水和することによって、PCRチューブ中で反応物を調製した。凍結乾燥プライマー混合物は、SARS-CoV-2及びヒト内部対照RNA配列のプライマーセットを含んでいた。唾液試料で再水和した後、反応物を予熱温度で所定の期間インキュベートしてウイルスの溶解、RNase阻害、及び逆転写を促進し、次いでLAMP DNA増幅のためにより高い反応温度でインキュベートした。カスタム機器を使用して、温度制御データ及びリアルタイム蛍光データを収集した。
【0177】
熱不活性化SARS-CoV-2を匿名ドナーから採取した新鮮な唾液のプールに添加した。唾液の3倍連続希釈液を調製した。ループ・デ・ループ増幅方法を用いて20個の試料を試験した。モバイルアプリケーション、目測、又はリアルタイムの曲線検査による読み出しを以下にまとめる。これらの結果は、LoDが約2,500cp/mLであることを示している。
【表5】
【0178】
自己採取した鼻スワブをボランティア対象から取得して、10回ねじることによって反応混合物に直接添加した。
図16は、後にPCR試験によってCOVID陽性であることが確認された症候性のボランティアから取得した鼻スワブから得られた増幅結果を示す。陽性/陰性の対照試料から得られた結果も併せて示す。これらの結果は、試料(1×スワブ)が、ループ・デ・ループアッセイで陽性試料を検出するのに必要な濃度よりも365倍濃縮されたことを示している。LoDが約2,500cp/mLであると推定されることから、特定の試料は約9.1×10
5cp/mLのSARS-CoV-2ウイルスRNAを含有すると推定された。
【0179】
図17は、陰性ボランティアから取得した鼻スワブから得られた増幅結果を示す。この患者は、ループ・デ・ループ反応及びPCR試験の両方によって陰性と検出された。
【0180】
SARS-CoV-2を検出するための反応混合物を、1:1の比でヒトゲノム配列を検出するためのプライマーと多重化した。多重化された増幅結果を
図18に示す。これらの結果は、交差反応性を伴わない、2つの標的配列の特異的かつ高感度の検出を示す。
【0181】
6.8.9.実施例9:ループ・デ・ループ増幅によるヒト試料中のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)及び淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出
30秒、1Hzの回転法(Panpradist et al.,2016)を用いて、3つの膣スワブ(BD BBL Culture Swabs、固有の個々のドナーから供給されたLee Biosolutions(MO)から購入したポリウレタンフォーム付きスワブ)を1,294μLの再水和緩衝液(スワブあたり431μL)に溶出した。若干の流体がスワブに失われた後に、1095μLのプールされた膣スワブ溶出液を得た。流体回収率は85%であった。このスワブ溶出液を、ループ・デ・ループLAMP用(1つはCt用、1つはNg用、1つはヒトプロセス対照用)の凍結乾燥反応混合物を含む射出成形プロトタイプディスポーザブルにピペットで入れた。
【0182】
各反応物を以下で再水和した。
・18μLのスワブ溶出液(再水和緩衝液に旋回させたスワブ);
・再水和緩衝液に懸濁した1μLの全Ct病原体
・再水和緩衝液に懸濁した1μLの全Ng病原体
Ct及びNgの病原体試料は、ディスポーザブルの各反応チャンバの中にあった。したがって、例えば、Ctアッセイは、Ng及びヒト標的並びにスワブ試料中に存在するあらゆる細菌環境の同時存在下でCtを検出することを課せられていた。
【0183】
増幅結果を
図19~
図22に示す。
図19は、多量のCt(1反応あたり10,000コピー当量)及び多量のNg(1反応あたり10,000コピー当量)を含有する試料から得られた蛍光信号を示す。
図20は、陰性対照-スワブのみの対照(左の二枚のパネル)又は緩衝液のみの対照(右の二枚のパネル)から得られた信号を示す。スワブのみの対照ではCt又はNgの増幅はなかったが、ヒトゲノム配列は予想通りに増幅された。緩衝液のみの対照では、Ct又はNgの増幅はなかった。ホモサピエンスの増幅は、一方の緩衝液のみの反応(試験20)において遅れて検出されたが、信号が遅れたことを考えると、これは偽の増幅である可能性が高い。
【0184】
これらの結果は、このアッセイが、1反応あたり約100コピーのCt及び1反応あたり約1,000超コピーのNgを検出するように感受性であったことを示す。
7.配列
【表6】
【0185】
8.参照による組み込み
本出願で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願及び他の文献は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願又は他の文献がすべての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
9.均等物
本開示は、とりわけ、カンナビノイドの組成物及び同伴組成物を提供する。本開示はまた、カンナビノイド組成物及び同伴組成物を投与することによって神経変性疾患を治療する方法を提供する。様々な具体的な実施形態を図示及び説明してきたが、上記の明細書は限定的なものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。本明細書を検討すれば、多くの変形形態が当業者に明らかになるであろう。
【配列表】