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▶ インターナショナル トバコ マシーネリー ポーランド エスピー.ゼット オー.オー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】紙製伸縮ストロー
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/18 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A47G21/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022565882
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021061135
(87)【国際公開番号】W WO2021219718
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】20171882.2
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20207512.3
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510011101
【氏名又は名称】インターナショナル トバコ マシーネリー ポーランド エスピー.ゼット オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ザデッキ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-197971(JP,U)
【文献】特開2003-135242(JP,A)
【文献】特開昭62-249616(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03698679(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0020206(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の外径(d1)を有する第一のストロー(10)と、
第二の内径(d2)を有する第二のストロー(20)と
を含み、
前記第一の外径(d1)を有する前記第一のストロー(10)の少なくとも一部分が第二の内径(d2)を有するストローの同軸かつ内部に位置し、
前記第二のストロー(20)は前記第二のストロー(20)の内面(23)から突出した少なくとも二つのロック部(21、22)を備え、
前記第一のストロー(10)は前記第一のストロー(10)の外面(13)から突出した少なくとも二つのロック部(11、12)を備えることを特徴とする、紙製伸縮ストロー。
【請求項2】
前記第二のストロー(20)の内面(23)から突出する少なくとも二つのロック部(21、22)間の距離(l2)が前記第一のストロー(10)の直径(d1)の少なくとも半分となるように配置された、請求項1に記載の紙製ストロー。
【請求項3】
前記第一のストロー(10)の外面(13)から突出する少なくとも二つのロック部(11、12)間の距離(l1)が前記第一のストロー(10)の直径(d1)の少なくとも半分となるように配置された、請求項1または2に記載の紙製ストロー。
【請求項4】
前記第一および第二のストロー(20)の前記第一(11、12)および第二のロック部(21、22)の間の距離(l1、l2)が少なくともそれぞれ2mmである、請求項1から3のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項5】
前記ロック部(11、12、21、22)が輪状エンボス形状を有する、請求項1から4のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項6】
前記ロック部(11、12、21、22)が異なる高さまたは幅を有する、請求項1から5のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項7】
前記ロック部(11、12、21、22)が伸縮結合部のシールを形成するように適合された、請求項1から6のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項8】
前記第一のストロー(10)上の前記ロック部(11、12)の少なくとも一つが、前記第一のストロー(10)の端から少なくとも前記第一のストロー(10)の直径(d1)の半分の距離(l12)をおいて配置された、請求項1から7のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項9】
前記第二のストロー(20)上の前記ロック部(21、22)の少なくとも一つが、前記第二のストロー(20)の端から少なくとも前記第二のストロー(20)の直径(d2)の半分の距離(l22)をおいて配置された、請求項1から8のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項10】
前記第二のストロー(20)の一方の端部における内径(d2)が前記第一のストロー(10)の外径(d1)より小さい、請求項1から9のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項11】
前記第一のストロー(10)の前記少なくとも二つのロック部(11、12)および前記第二のストロー(20)の前記少なくとも二つのロック部(21、22)が第一のストロー(10)の直径(d1)に対応する距離(l1、l2)に配置された、請求項1から10のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項12】
前記第一のストロー(10)の前記ロック部(11、12)間の距離(l1)が前記第二のストロー(20)の前記ロック部(21、22)の幅(w22)より大きく、第二のストロー(20)のロック部(21、22)間の距離(l2)が第一のストロー(10)のロック部(11、12)の幅(w11)より大きい、請求項1から11のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項13】
第一の構成において、前記第一のストロー(10)が実質的に前記第二のストロー(20)の内部に位置し、前記第二のストロー(20)から前記第一のストロー(10)を引き出せるよう前記第一のストロー(10)の一部が前記第二のストロー(20)より突出している構成と、
第二の構成において、前記第一のストロー(10)が実質的に前記第二のストロー(20)から引き出され、前記第一のストロー(10)の前記ロック部(11、12)の少なくとも一つが前記第二のストロー(20)の前記ロック部(21、22)の間に位置する、または前記第二のストロー(20)のロック部(21、22)の少なくとも一つが前記第一のストロー(10)のロック部(11、12)の間に位置する構成と
の二つの構成を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の紙製ストロー。
【請求項14】
前記第二の構成において、第一の作業位置では前記第一のストロー(10)の前記ロック部(11、12)の一つが前記第二のストロー(20)の前記ロック部(21、22)の間に位置し、第二の作業位置では第一のストロー(10)の第二のロック部(11、12)が第二のストロー(20)のロック部(21、22)の間に位置する、請求項13に記載の紙製ストロー。
【請求項15】
前記第二の構成において、前記第一のストロー(10)の外面から突出する第一のストロー(10)の少なくとも一つの前記ロック部(11、12)の側面が、前記第二のストロー(20)の内面から突出する少なくとも一つの前記ロック部の側面と接触している、請求項13または14のいずれかに記載の紙製ストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、紙製伸縮ストローである。
【0002】
本発明は飲料用ストロー、特に紙などの生分解性材料からなる伸縮ストローに関する。
【0003】
食品業界において、通常プラスチック製であり、200年にも及ぶ長い減衰期により生態系に深刻な影響を与えるストローが、さまざまな飲料を飲むために使用されている。これらのストローは1段階および2段階のいずれであってもよく、まっすぐであっても曲がっていてもよい。プラスチック製のストローは、1本の直線状の物体または曲げられるように関節部分をもつものとして作られる。2段階のストローの構造には通常、両方の部品を繋ぐロックが含まれ、一方の部品をもう一方の部品に差し込んだ後に、連結部からの漏れを心配することなくすでに組み立てられたストローで飲料を飲むことができるようになっている。このような接続により、例えば飲料を飲む前にストローをホイルに包み、そのストローを取り出し、最大長まで展開することができる。このようなストローは伸縮ストローと呼ばれる。
【0004】
伸縮性のある飲料用ストロー、特にプラスチック素材で作られているものは先行技術で知られているものである。
【0005】
文書EP0139074Aより、外側ストローおよび内側ストローを備える伸縮ストローが知られている。内側ストローは基部が伸びており、外側ストローは先端が細くなっている。いずれのケースにおいても、直径の間の変化は緩やかであり、円錐状の形を有する。外側ストローは直径がわずかに減少した部分を備え、内側ストローは直径がわずかに増加した部分を備えており、展開された構成において内側ストローの直径が増加した部分が外側ストローの直径が減少した部分に重なるようにする。
【0006】
公報DE20309272U1号では、内側に向けられたエンボスを有する外側ストローおよび内側に向けられたエンボスを有する内側ストローを備える伸縮ストローが開示された。エンボスの対応する形状により、外側ストローのエンボスは、内側ストローのエンボスに適合し、内側ストローを外側ストローの内側に固定する。
【0007】
公報US4657182号において、内側ストローに一方の端部に延長が設けられており、内側ストローが滑り出さないよう外側ストローに順次クランプされたユニットを形成した、伸縮ストローが開示されている。
【0008】
本発明の目的は、第一の外径を有する第一のストロー、第二の内径を有する第二のストローを含み、第一の外径を有するストローは少なくとも一部は第二の内径を有するストローの内側に、第二の内径を有するストローと同軸に位置する、紙製伸縮ストローである。本発明にかかるストローは、第一のストローがその外側に少なくとも2つのロック部を有し、第二のストローがその内側に少なくとも2つのロック部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる紙製ストローは、前記第一のストローの内面から突出する少なくとも二つのロック部が、前記第一のストローの直径の少なくとも半分の距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる紙製ストローは、前記第一のストローの外面から突出する少なくとも二つのロック部が、前記第一のストローの直径の少なくとも半分の距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる紙製ストローは、第一および第二のストローのそれぞれ第一および第二のロック部の間隔が少なくとも2mmであることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる紙製ストローは、ロック部が輪状のエンボスの形状をしていることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる紙製ストローは、ロック部が異なる高さおよび幅を持つことを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる紙製ストローは、ロック部が伸縮部の繋ぎ目のシールを形成するように適合されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる紙製ストローは、第一のストローの少なくとも一つのロック部が第一のストローの一方の端部から第一のストローの直径の少なくとも半分の距離となるように位置することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる紙製ストローは、第二のストローの少なくとも一つのロック部が第二のストローの一方の端部から第二のストローの直径の少なくとも半分の距離となるように位置することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる紙製ストローは、第二のストローの一方の端部における内径が第一のストローの外径より小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる紙製ストローは、第一のストローの少なくとも二つのロック部および第二のストローの少なくとも二つのロック部が、第一のストローの直径に対応する距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明にかかる紙製ストローは、第一のストローのロック部間の距離が第二のストローのロック部の幅より大きく、第二のストローのロック部間の距離が第一のストローのロック部の幅より大きいことを特徴とする。
【0020】
本発明にかかる紙製ストローは2つの構成を有することを特徴とし、第一の構成では第一のストローが実質的に第二のストローの内側にあり、第一のストローが第二のストローから引き出せるように第一のストローの一部が第二のストローから突出している一方で、第二の構成では第一のストローの少なくとも一つのロック部が第二のストローのロック部の間に位置するまたは第二のストローの少なくとも一つのロック部が第一のストローのロック部の間に位置するように、第一のストローが実質的に第二のストローから引き出される。
【0021】
本発明にかかる紙製ストローは第二の構成において、第一の作業位置では第一のストローのロック部の一つが第二のストローのロック部の間に位置し、第二の作業位置では第一のストローの第二のロック部が第二のストローのロック部の間に位置していることを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる紙製ストローは、第二の構成において第一のストローの外面から突出する少なくとも一つのロック部の側面が、第二のストローの内面から突出する少なくとも一つのロック部の側面と接触していることを特徴とする。
【0023】
紙製ストローの利点は、生分解性があることである。さらに、伸縮結合部の利点は、伸縮ストローが展開された構成においてその軸方向の安定性を保証するものである。本発明にかかる伸縮ストローの別の利点は、使用者がストローを展開する間、第一のロック部が取り込まれる瞬間を明確に感じ、展開動作を容易に停止することができ、同時に、必要に応じてストローを完全に展開する可能性も保持されることである。さらに、本発明にかかるストローは、軸方向の安定性を維持しながら材料消費を最小限に抑え、また、事故の場合にはストローが最小の寸法に折り畳まれるので、使用の安全性を向上させることができる。
【0024】
本発明の目的は以下の図面によって好ましい実施形態が詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明にかかる伸縮ストローの断面を示す。
図2】伸縮ストローのロック部の断面を示す。
図3】伸縮ストローの内側ストローの断面を示す。
図4】伸縮ストローの内側ストローを等角的に示す。
図5a】伸縮ストローの内側ストローのロック部が含まれる一部分の断面を示す。
図5b】伸縮ストローと外側ストローのロック部との連結部が含まれる一部分の断面を示す。
図6a】本発明にかかる別の実施形態における伸縮ストローの内側ストローの断面を示す。
図6b】本発明にかかる別の実施形態における伸縮ストローの外側ストローの断面を示す。
図6c】本発明にかかる別の実施形態における伸縮ストローの連結部の断面を示す。
図7a】本発明にかかる別の実施形態における伸縮ストローの内側ストローの断面を示す。
図7b】本発明にかかる別の実施形態における伸縮ストローの内側ストローの断面を示す。
図8a】第一の作業位置における、液体で充填されたストローを示す。
図8b】中間の作業位置における、液体で充填されたストローを示す。
図8c】第二の作業位置における、液体で充填されたストローを示す。
図9】別の実施形態における伸縮ストローの内側ストローを示す。
図10a】本発明の第一の実施形態にかかる、端部に折り目がついた伸縮ストローを示す。
図10b】本発明の他の実施形態にかかる、端部に折り目がついた伸縮ストローを示す。
図11a】伸縮ストローのロック部を備えた内側ストローの一部分を通る断面を示している。
図11b】本発明の別の実施形態にかかる伸縮ストローのロック部を有する内側ストローの一部分を通る断面図である。
図12a】第一の構成での伸縮ストローを示す。
図12b】第二の実施形態における第一の構成での伸縮ストローを示す。
【0026】
図1では、本発明にかかる伸縮ストローの第一の実施形態を示す。伸縮ストローは実質的に第一の外径d1を有する第一のストロー10および第二の内径d2を有する第二のストロー20を備える。ストロー10は第二の直径を有するストロー20と同軸上で少なくとも一部がストロー20の内部にあるように位置する。第二のストロー20から第一のストロー10を引き出しやすくするため、ストロー10の一部がストロー20から飛び出している。
【0027】
第一のストロー10はその外面13より突出した少なくとも二つのロック部11、12を有する一方で、第二のストロー20はその外面23より内側に突出した少なくとも二つのロック部21、22を有する。
【0028】
図1において、本発明の第一の実施形態にかかるストローは作業位置の一つでの拡張された構成にて示されていた。
【0029】
ストロー10、20は、食品用途に適した適切な接着剤によって結合された少なくとも二つ、好ましくは三つの紙バンドから作られる螺旋状ストローである。このようなストローは生分解性を有し、環境を永続的に汚染しない。
【0030】
図2は第二のストロー20および第一のストロー10の輪郭を示し、さらに第二のストロー上に位置し、ストロー20の内面23から突出したロック部21および22が明確に示されている。ロック部21、22は、第二のストロー20の内側を向いた円周方向のエンボスの形態を有している。ストローはセルロース繊維の材料から作られており、例えば押し出し成型またはエンボス加工などの成型を受けやすい一方で、ある程度の弾性を有しており、これは伸縮結合部の密閉性にかかる有利な効果を奏する。
【0031】
従来の伸縮紙製ストローの結合部は、伸長したストロー10の軸に垂直に力が加わったときに発生する曲げトルクに起因する軸方向の不安定性によって特徴づけられる。この問題の解決策は、距離がl1、l2、または内側ストロー10の直径d1の少なくとも半分開いた少なくとも二つのロック手段を導入することである。第一のストローおよび第二のストローの間に接点を二つ以上有する結合部を使用することが好適である。断面図において接点は点の形をとっているが、立体物においてはストローの円周上に円を形成する。図示の実施形態において、第一のストローは第二のストローとの間に四つの接点14、15、24、25を有する。接点14、15、24、25は第一のストローのロック部11、12と第二のストローの内面23との接点および第二のストローのロック部21、22と第一のストローの外面13との接点から形成される。ストローの寸法によって、ストロー20上のロック部21、22の間隔が2mmの場合に既に軸方向安定にかかる有利な効果を観測できうるが、この場合ストロー20は約4mmの内径を有する。ストロー20上でロック部21、22間の距離を離すことは、安定化効果に更なる増大が見込める一方で最終製品の材料消費の増加に貢献するため実用的ではなく、安定性の増大は紙製伸縮ストローの製造過程を総合的に評価した場合、有利な安定化効果の利点を損なわせる材料コストを発生させることになる。
【0032】
図3はストロー10の外面13から突出する第一のロック部11および第二のロック部12を備えるストロー10を示す。ストロー10はストロー20と連動するため、ストロー10上のロック部の配置はストロー20上のロック部の配置と実質的に対応することが好ましい。ストロー10の場合、ロック部11および12はストロー10の直径d1の少なくとも半分である距離l1をとる。これはストロー20上のロック部21、22の配置に対応する。
【0033】
図4は第一のストロー10を等角図で示し、特にロック部11、12の形状が示されている。図5aおよび5bの断面図とあわせると、ロック部11、12が実質的にストロー10の全周に作られたエンボスの形状を有することがわかる。ロック部11、12は、伸縮ストローの材料に紙が用いられているためにエンボスの形状を有していてもよい。繊維からなる材料であるため、紙はエンボスの影響を受けやすい。エンボス加工にもかかわらず、このような材質はロック部11および12が結合の強さを維持するような自然な弾性をある程度保持し、同時に伸縮ストローが伸びられるようにストロー10に一定の限界軸力が加えられた際に降伏する。エンボス形状を有するロック要素11、12は、伸縮ストローの完全な伸長および折り畳みの両方が、ストロー10に再び第一の限界軸力を加えることを必要とするため、同時に伸縮ストローを拡張構成で維持することを可能にする。ストロー20のロック部21、22は同様の構造を有するが、ストロー20のロック部21、22はストロー20の内側に向けられている。図5aは、第一のストロー10のロック部11、12の第二のストロー20の内面23との接触点14、15を示している。この実施形態ではロック部11、12は実質的に同一であり、同一の接触点を形成しているため、図中では同一のものであるとして符号をつけた。接触点14、15を形成し、その頂部16、17でストロー20の内面23に衝突するロック部11、12の材料の弾性によってストロー10、20間の接続の堅固さが確保される。同様の状況は、図5bに示すストロー10および20の間の接続の場合にも生じる。ストロー20のロック部21、22の頂部26、27は、ストロー10の外面13との接触点24、25を形成し、これにより、支持と安定性とともに、接合部の気密性が確保される。
【0034】
図6Aおよび6Bは、第一のストロー10および第二のストロー20をそれぞれと対応するロック部11’、12’および21’、22’とともに示す。この実施形態において、ロック部11’および12’は異なる高さh11およびh12を有し、ロック部21’および22’は異なる高さh21およびh22を有する。h11>h12およびh21>h22であること、また図面で示されていない他の実施形態においてはロック部の高さの関係は逆のh11<h12およびh21<h22であることにも留意されたい。
【0035】
図6cは、それぞれロック部11’、12’および21’、22’を有するストロー10および20の連結部を示す。第一の接点24は、ストロー20のロック部21’の頂部26とストロー10の外面13との接点で形成される。第二の接点14は、ストロー10のロック部11’の頂部16とストロー20の内面23との接点で形成される。ロック部11’および21’より高さの低いロック部12’および22’の場合、ロック部12’の接点は点15’となる一方、接点16’は上側部17’とロック部22’の上側部27’との接点で形成される。この実施形態におけるロック部12”および22”はどちらかといえば、ストロー20からストロー10を作業位置に向かって引き出す使用者に、第一のロック部21’がロック部12’を通過し、ストロー20からストロー10を引き出す力を低減しなければいけないことを知らせる閾値として機能する。
【0036】
図7Aは、w11>w12となる、それぞれw11およびw12の幅を有するロック部11および12を含むストロー10を示す。図面に示されない他の実施形態においては、ロック部の幅の関係が逆のw11<w12であってもよい。
【0037】
図7Bは、h11>h12およびw11>w12となるような異なる幅および高さを有するロック部11および12がストロー10で提供された実施形態を示す。他の実施形態において、ロック部11および12に異なる高さおよび幅の組み合わせを用いてもよい。ストロー20上に形成されたロック部21および22の高さおよび幅は同様に変動する。ロック部の幅が増加するにつれて伸縮の結合部の気密性が増加し、同時に伸縮ストローの展開に必要となる限界軸力も増加する。ロック部の高さが増加した場合にも、同様の技術的効果が観測される。
【0038】
図8aは、拡張構成における、液体Fで満たされた第一の作業位置での伸縮ストローを示す。第一の作業位置はロック部11がストロー20のロック部21および22の間にあるときに発生する。ストロー10のロック部12は接点15でストロー20の内面23に触れ、ロック部11、12の間の空間への液体Fの流入を防ぐことにより気密バリアを形成する。ストロー10の外面13に接触するストロー20のロック部22によって更なるバリアが形成される。ストロー10および20のそれぞれロック部11および21は、方向Dに向かってストロー10をストロー20から引き出す時に伸縮結合部からの液体Fの浸透を防ぐバリアおよびストロー10がストロー20から滑り出さないようなロックを形成する。ロック要素11、12および21、22の間隔は、ストロー10、20の往復変位の可能性を制限する結果となる。さらに、上述の通り、これは伸長位置における伸縮ストローの軸方向での安定性を高め、ストロー10の引き出された端部に長手方向軸に垂直な方向に大きな力が加えられても、後続の密閉バリアを通して液体Fの漏れを制限することができ、これはロック部12およびロック部22によって形成された密閉バリアを解放する傾向を持つ回転モーメントの発生をもたらす。更なる密閉バリアは、ロック部12および22の上側部と接触することによって、また同様にロック部11および21の上側部と接触することによって、形成される。これらの追加のバリアは伸縮結合部の気密性を高めるのに有利な効果を有する。
【0039】
図8bの伸縮ストローは拡張構成において、第一の位置および第二の作業位置の中間位置にある。中間位置においてストロー10を方向Dに引き出す際、ストロー10のロック部11はストロー20のロック部21の後方に移動しており、ロック部12はストロー20のロック部21および22の間にある。外側ストロー20からさらにストロー10を引き出すと、伸縮ストローは図8cに示される第二の作業位置に移動する。第二の作業位置において、ストロー10のロック部12は上述の通り、外側ストロー20の二つのロック部21、22の中間位置にある。さらに、ロック部12、21の側面は互いに接触し、追加の気密バリアを形成する。伸縮ストローの剛性、安定性、および接合部の堅固さを確保するため、ストロー10および20の間の接合部は、少なくとも二つの支持点を有することが好ましい。本実施形態では、第二の作業位置において、ロック部11、12のストロー20の内面23との接触点14、15と、ストロー20のロック部21のストロー10の外面13との接触点24とで、三点の支持点がある。支持点を三つ提供するためには、外側ストロー20の縁から第一のロック部21までの長さl22が、ストロー10の二つのロック部11、12の間の距離l1より大きいまたは等しいということが重要である。また、ストロー10の第二のロック部12およびその縁部の間の距離が、ストロー20のロック部21、22間の距離の長さ以上である、図示しない構成においても、同様の条件が満たされうる。
【0040】
図9は伸縮ストローの別の実施形態、特にロック部11および12を有するストロー10を示す。ロック部12はストロー10の端部からl12の距離に位置し、ストロー10は直径d1を有することに留意されたい。好ましい実施形態において、距離l12はストロー10の直径の半分未満である。結果として生じる材料の節約のため、距離l12を最小にすることは好ましい。
【0041】
ストロー20のロック部がないほうの端部40は、ストロー10の外径d1より小さい内径d22を有する。直径の縮小は円周方向の折り目41の形を有し、ストロー10のほとんどがストロー20の内部にある折り畳み構成のときストロー10が端部40を通してストロー20から抜け出ることを阻止する。図10aは、ストロー20のロック部11および12のないほうの端部40が直径d22<d1を有するときの折り目41を有する実施形態を示す。図10aに示す実施形態では、ストロー10のロック部11、12の間にはl1の距離があり、ストロー20のロック部21、22は、距離l1?l2?d1である場合においてl2の距離を開けて設置されている。ロック部11、12およびロック部21、22の両方について、ロック部の好ましい間隔はストロー10の直径d1に対応する距離であることが、実験を通じて決定された。これにより、伸縮結合部の軸方向安定性の確保および伸縮ストローが拡張構成にあるときにストロー10および20が互いに挿入される安定化領域の形成に関連する材料消費の間の妥協点を達成することができる。
【0042】
図10bは、端部40が最小の折り目41’を有する外側ストロー20の別の実施形態を示す。距離l4は、内側に折り目をつけたストロー20の端部部分の長さに相当する。距離l4は、少なくとも内側ストロー10の内面18まで到達するようにストローの半径方向内側に深く伸びていることが好ましい。図11aは、ストロー10のロック部11、12およびストロー20のロック部21、22がはっきりと見える伸縮ストローの一部分を拡大して示す。図11aでは、ロック部11の幅はw11、ロック部22の幅はw22として示されている。ロック部11および12の間の距離はl1、ロック部21および22の間の距離はl2として示されている。この実施形態において、距離l1は幅w11より大きく、距離l2は幅w22よりも大きい。
【0043】
図11bは、伸縮ストローの素材が最大限に利用できるようストロー20の端部に折り目またはカラーとして形成された、ロック部21”を示す。
【0044】
図12aは第一の構成、すなわち折り畳まれた(または輸送)構成における伸縮ストローを示す。この構成において、ストロー10はほとんどがストロー20の内部に位置し、ストローの自由端40、すなわちストローのロック部21、22が形成されていないほうの端部の折り目41によってストロー内部に維持されている。この折り畳まれた構成において、伸縮ストローはより小さな全長を有する。この構成は、例えば飲料のパッケージに伸縮ストローが取りつけられているときの構成である。
【0045】
図12bは、第二の構成における第一の作業位置での伸縮ストローを示す。この位置では、ストロー10はロック部11がロック部22を突き抜け、ロック部21および22の間にあるようにストロー20から引き抜かれる。第二の作業位置では、ロック要素11および21の側面とロック部12および22が互いに接触し、伸縮結合部の締めつけが増加する。
【0046】
ストロー10を第一の作業位置まで引き抜くには、第一の制限力を軸方向に加えることが必要である。ロック部11によってロック部22の形態のクランプを通過することは使用者に明確に認識され、ストロー10が引き出される軸方向の力を第一の制限力の閾値よりも小さくし、伸縮ストローをその第一の作動位置に安定させることを可能にする。ロック部21、22および11、12が互いに近すぎる位置に配置されている場合、使用者はストロー10が引き出される軸方向の力を第一の制限力の閾値よりも小さくすることができない場合があり、その結果ロック部11がロック部21を通過してしまうことになる。これにより、伸縮結合部の軸方向の安定性が失われるが、少なくともロック部12とストロー20の内壁23との接触から生じるシールが維持されるので、まだシールの解除には至らないだろう。第一の制限力を超える軸方向の力でストロー10を引き抜くことが継続される場合にのみ、ロック部12がストロー20から滑り出すときに、ロック部12がロック部21を通過し、伸縮結合部の必然的なシールの解除につながるだろう。
【0047】
図12aおよび12bに関して、ストロー10に第二の限界力以上の軸力を加えてストロー20に押し込むとき、ストロー20の自由端40に形成された折り目41を通過させることもできることに留意されたい。ストロー20の折り目つきの自由端を通して押し込むことができるのは伸縮ストローの使用の安全性を高める重要な機能であり、例えば伸縮ストローを通して飲料を飲む際に転倒した場合、伸縮ストローは最小の長さに折り畳まれて可能な怪我を最小限にする。
【0048】
本発明にかかる紙製伸縮ストローの製造方法および製造装置は欧州特許出願EP20171882.2に記載されており、その内容は参照によって本明細書に組み込まれているものとする。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b